JP2003160524A - ビスフェノールaの製造方法及びその装置 - Google Patents

ビスフェノールaの製造方法及びその装置

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JP2003160524A
JP2003160524A JP2001357023A JP2001357023A JP2003160524A JP 2003160524 A JP2003160524 A JP 2003160524A JP 2001357023 A JP2001357023 A JP 2001357023A JP 2001357023 A JP2001357023 A JP 2001357023A JP 2003160524 A JP2003160524 A JP 2003160524A
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phenol
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正宏 児玉
Kazuyuki Hirano
和幸 平野
Nobuo Ogata
宣夫 緒方
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Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 造粒工程におけるトラブルなどの異常時に、
造粒系以外の装置の運転を止めなくてもよい上、造粒系
の再スタートアップ時に定常運転までの時間を短縮する
ことができるビスフェノールAの製造方法及びその装置
を提供すること。 【解決手段】 反応工程、低沸点成分除去工程、濃縮工
程、晶析・固液分離工程、加熱溶融工程、脱フェノール
工程及び造粒工程を有するビスフェノールAの製造方法
において、造粒工程における処理能力に応じて、脱フェ
ノール工程から抜き出されるビスフェノールAの少なく
とも一部を濃縮工程へ返送するビスフェノールAの製造
方法、及びこの方法を実施し得るビスフェノールAの製
造装置である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビスフェノールA
〔2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〕
の製造方法の改良及びそれに用いる装置に関する。さら
に詳しくは、本発明は、ビスフェノールAの溶融状製品
と粒状製品を同時に製造し得ると共に、造粒工程のトラ
ブルなどの異常時に、造粒系以外の装置の運転を止めな
くてもよい上、造粒系の再スタートアップ時に定常運転
までの時間を短縮することができるなど、工業的に有利
なビスフェノールAの製造方法、及びこの方法に用いら
れるビスフェノールAの製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ビスフェノールAはポリカーボネート樹
脂やポリアリレート樹脂などのエンジニアリングプラス
チック、あるいはエポキシ樹脂などの原料として重要な
化合物であることが知られており、近年その需要はます
ます増大する傾向にある。このビスフェノールAは、酸
性触媒及び場合により用いられる硫黄化合物などの助触
媒の存在下に、過剰のフェノールとアセトンとを縮合さ
せることにより製造される。この反応において用いられ
る酸触媒としては、従来、硫酸や塩化水素などの無機鉱
酸が用いられていたが、近年、陽イオン交換樹脂が注目
され(英国特許第842209号明細書、同第8495
65号明細書、同第883391号明細書)、工業的に
用いられるようになった。
【0003】一方、助触媒として用いられる硫黄化合物
としては、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、
チオグリコール酸などの置換基を有する若しくは有しな
いアルキルメルカプタン類が有効であることが知られて
いる(米国特許第2359242号明細書、同第277
5620号明細書)。このメルカプタン類は、反応速度
を上げるとともに、選択率を向上させる作用を有してい
る。例えば、ビスフェノールAの製造において、反応副
生物として、主に2−(2−ヒドロキシフェニル)−2
−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(o,p′−
体)が生成し、その他トリスフェノール、ポリフェノー
ルなどが生成する。特に、ポリカーボネート樹脂やポリ
アリレート樹脂などの原料として用いる場合、これらの
副生物の含有量が少なく、着色のない高純度のビスフェ
ノールAが要求される。このため、反応速度を上げると
ともに、上記副生物の生成を抑え、選択率を高めるため
に、助触媒としてメルカプタン類が用いられる。このビ
スフェノールAの製造プロセスにおいては、通常各種用
途に対応するため、造粒工程を設け、加熱溶融ビスフェ
ノールAを造粒して粒子状製品とすることが行われてい
る。そして、この造粒工程においては、例えばスプレー
ドライヤーなどの造粒装置が用いられ、ビスフェノール
Aを液滴にしたのち、冷却固化することにより、造粒す
ることが行われている。
【0004】ところで、ビスフェノールA製造装置にお
いては、原料のフェノールや生成物であるビスフェノー
ルAの融点が高いため、固形物形成などによるトラブル
が発生しやすく、したがって、このようなトラブルが発
生する部位では様々な工夫がなされている。例えば、前
記ビスフェノールAの造粒工程では、上記トラブルが発
生しやすく、したがって、原因となる微粉を予め除去し
たり、微粉再凝集を防ぐ様々な対策で対処しているが、
ホッパーなどの閉塞を完全に防止することができず、し
ばしばビスフェノールA装置の運転を停止するという好
ましくない事態が招来していた。この際、装置内に残留
するビスフェノールAは、中間タンクやスロップタンク
などに移す必要があった。この場合、溶融ビスフェノー
ルAは再利用できるものの、高温での保存による着色な
どで、品質の劣化が生じるので、再度精製が必要とな
り、余分な加熱や、ビスフェノールAを繰り返し精製装
置を通すことになり、経済的にも好ましくなく、また、
場合によってはスロップタンクに移し、タールとしての
利用しかできず、経済的損失が著しく大きくなるなどの
問題が生じる。さらに、ビスフェノールA製造装置の運
転を全面的に停止した場合、定常運転に戻すまでに、か
なりの時間を要するのを免れない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
状況下で、ビスフェノールAの溶融状製品と粒状製品を
同時に製造し得ると共に、造粒工程のトラブルなどの異
常時に、造粒系以外の装置の運転を止めなくてもよい
上、造粒系の再スタートアップ時に定常運転までの時間
を短縮することができるなど、工業的に有利なビスフェ
ノールAの製造方法、及びこの方法に用いられるビスフ
ェノールAの製造装置を提供することを目的とするもの
である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、反応工程、低
沸点成分除去工程、濃縮工程、晶析・固液分離工程、加
熱溶融工程、脱フェノール工程及び造粒工程を含むビス
フェノールAの製造方法において、造粒工程における処
理能力に応じて、脱フェノール工程から抜き出されるビ
スフェノールAの少なくとも一部、すなわち一部又は全
量を濃縮工程へ返送する方法、及び該方法を実施し得る
装置により、その目的を達成し得ることを見出した。本
発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0007】すなわち、本発明は、(1)フェノールと
アセトンを縮合させる反応工程によりビスフェノールA
を含む反応混合物を得たのち、該反応混合物に、低沸点
成分除去工程、濃縮工程、晶析・固液分離工程、加熱溶
融工程、脱フェノール工程及び造粒工程を順次施し、ビ
スフェノールAを製造する方法において、造粒工程にお
ける処理能力に応じて、脱フェノール工程から抜き出さ
れるビスフェノールAの少なくとも一部を濃縮工程へ返
送することを特徴とするビスフェノールAの製造方法、
(2)濃縮工程に返送されるビスフェノールAの量に応
じて、反応工程に導入するアセトン量を調節する上記
(1)のビスフェノールAの製造方法、
【0008】(3)フェノールとアセトンとを縮合させ
る反応装置、低沸点成分除去装置、濃縮装置、晶析・固
液分離装置、加熱溶融装置、脱フェノール装置及び造粒
装置を有するビスフェノールAの製造装置において、上
記脱フェノール装置の出口と濃縮装置の入口間に、脱フ
ェノール装置から抜き出されるビスフェノールAを濃縮
装置に返送するための配管を設けたことを特徴とするビ
スフェノールAの製造装置、を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のビスフェノールAの製造
方法においては、フェノールとアセトンを縮合させる反
応工程によりビスフェノールAを含む反応混合物を得た
のち、該反応混合物に、低沸点成分除去工程、濃縮工
程、晶析・固液分離工程、加熱溶融工程、脱フェノール
工程及び造粒工程を順次施すことにより、ビスフェノー
ルAが製造される。次に、当該ビスフェノールAの製造
方法における各工程について説明する。
【0010】(A)反応工程 この反応工程においては、酸性触媒の存在下、過剰のフ
ェノールとアセトンを縮合させて、ビスフェノールAを
生成させる。上記酸性触媒としては、酸型イオン交換樹
脂を用いることができる。この酸型イオン交換樹脂とし
ては、特に制限はなく、従来ビスフェノールAの触媒と
して慣用されているものを用いることができるが、特に
触媒活性などの点から、スルホン酸型陽イオン交換樹脂
が好適である。
【0011】該スルホン酸型陽イオン交換樹脂について
は、スルホン酸基を有する強酸性陽イオン交換樹脂であ
ればよく特に制限されず、例えばスルホン化スチレン−
ジビニルベンゼンコポリマー、スルホン化架橋スチレン
ポリマー、フェノールホルムアルデヒド−スルホン酸樹
脂、ベンゼンホルムアルデヒド−スルホン酸樹脂などが
挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いてもよく、二
種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0012】本発明の方法においては、上記酸型イオン
交換樹脂と共に、通常助触媒として、メルカプタン類が
併用される。このメルカプタン類は、分子内にSH基を
遊離の形で有する化合物を指し、このようなものとして
は、アルキルメルカプタンや、カルボキシル基、アミノ
基、ヒドロキシル基などの置換基一種以上を有するアル
キルメルカプタン類、例えばメルカプトカルボン酸、ア
ミノアルカンチオール、メルカプトアルコールなどを用
いることができる。このようなメルカプタン類の例とし
ては、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、n−
ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタンなどの
アルキルメルカプタン、チオグリコール酸、β−メルカ
プトプロピオン酸などのチオカルボン酸、2−アミノエ
タンチオールなどのアミノアルカンチオール、メルカプ
トエタノールなどのメルカプトアルコールなどが挙げら
れるが、これらの中で、アルキルメルカプタンが助触媒
としての効果の点で、特に好ましい。また、これらのメ
ルカプタン類は、単独で用いてもよく、二種以上を組み
合わせて用いてもよい。これらのメルカプタン類は、前
記酸型イオン交換樹脂上に固定化させ、助触媒として機
能させることもできる。
【0013】前記メルカプタン類の使用量は、一般に原
料のアセトンに対して、0.1〜20モル%、好ましく
は、1〜10モル%の範囲で選定される。また、フェノ
ールとアセトンとの使用割合については特に制限はない
が、生成するビスフェノールAの精製の容易さや経済性
などの点から、未反応のアセトンの量はできるだけ少な
いことが望ましく、したがって、フェノールを化学量論
的量よりも過剰に用いるのが有利である。通常、アセト
ン1モル当たり、3〜30モル、好ましくは5〜15モ
ルのフェノールが用いられる。また、このビスフェノー
ルAの製造においては、反応溶媒は、反応液の粘度が高
すぎたり、凝固して運転が困難になるような低温で反応
させる以外は、一般に必要ではない。
【0014】本発明におけるフェノールとアセトンとの
縮合反応は、回分式及び連続式のいずれであってもよい
が、酸型イオン交換樹脂を充填した反応塔に、フェノー
ルとアセトンとメルカプタン類(メルカプタン類が酸型
イオン交換樹脂に固定化されない場合)を連続的に供給
して反応させる固定床連続反応方式を用いるのが有利で
ある。この際、反応塔は1基でもよく、また2基以上を
直列に配置してもよいが、工業的には、酸型イオン交換
樹脂を充填した反応塔を2基以上直列に連結し、固定床
多段連続反応方式を採用するのが、特に有利である。
【0015】この固定床連続反応方式における反応条件
について説明する。まず、アセトン/フェノールモル比
は、通常1/30〜1/3、好ましくは1/15〜1/
5の範囲で選ばれる。このモル比が1/30より小さい
場合、反応速度が遅くなりすぎるおそれがあり、1/3
より大きいと不純物の生成が多くなり、ビスフェノール
Aの選択率が低下する傾向がある。一方、メルカプタン
類が酸型イオン交換樹脂に固定化されない場合、メルカ
プタン類/アセトンモル比は、通常0.1/100〜2
0/100、好ましくは1/100〜10/100の範
囲で選ばれる。このモル比が0.1/100より小さい
場合、反応速度やビスフェノールAの選択率の向上効果
が十分に発揮されないおそれがあり、20/100より
大きいとその量の割りには効果の向上はあまり認められ
ない。
【0016】また、反応温度は、通常40〜150℃、
好ましくは60〜110℃の範囲で選ばれる。該温度が
40℃未満では反応速度が遅い上、反応液の粘度が極め
て高く、場合により、固化するおそれがあり、150℃
を超えると反応制御が困難となり、かつビスフェノール
A(p,p′−体)の選択率が低下する上、触媒の酸型
イオン交換樹脂が分解又は劣化することがある。さら
に、原料混合物のLHSV(液空間速度)は、通常0.
2〜30hr−1、好ましくは0.5〜10hr−1の
範囲で選ばれる。
【0017】(B)低沸点成分除去工程 この低沸点成分除去工程においては、前記の(A)工程
の反応工程で得られたビスフェノールAを含む反応混合
液を、実質上酸型イオン交換樹脂が含まれない状態、す
なわち回分反応方式の場合は該触媒をろ過などにより除
去し、固定床連続反応方式の場合は、そのままの状態で
低沸点成分除去処理が施される。この工程においては、
通常、まず、蒸留塔を用いた減圧蒸留により、未反応ア
セトン、副生水及びアルキルメルカプタンなどの低沸点
物質を除去することが行われる。この減圧蒸留は、一般
に圧力6.5〜80kPa程度及び温度70〜180℃
程度の条件で実施される。この際、未反応フェノールが
共沸し、その一部が上記低沸点物質と共に、蒸留塔の塔
頂より系外へ除かれる。この蒸留においては、ビスフェ
ノールAの熱分解を防止するために、使用する加熱源の
温度は190℃以下とすることが望ましい。また、機器
の材料としては、一般にSUS304、SUS316及
びSUS316Lが用いられる。
【0018】(C)濃縮工程 この濃縮工程においては、反応混合物から低沸点物質を
除いた、ビスフェノールA及びフェノールなどを含む塔
底液に減圧蒸留を施してフェノールを留去させ、ビスフ
ェノールAを濃縮する。この濃縮条件については特に制
限はないが、通常温度100〜170℃程度及び圧力5
〜70kPa程度の条件が採用される。この温度が10
0℃より低いと高真空が必要となり、170℃より高い
と次の晶析工程で余分の除熱が必要となり、好ましくな
い。また、濃縮残液中のビスフェノールAの濃度は、好
ましくは20〜50重量%、より好ましくは20〜40
重量%の範囲である。この濃度が20重量%未満ではビ
スフェノールAの回収率が低く、50重量%を超えると
晶析後のスラリー移送が困難となるおそれがある。
【0019】(D)晶析・固液分離工程 この晶析・固液分離工程は、上記(C)工程の濃縮工程
で得られた濃縮残液からビスフェノールAとフェノール
との1:1付加物(以下、フェノールアダクトと称する
ことがある。)を晶析・分離する工程である。この工程
においては、まず、上記濃縮残液を40〜70℃程度に
冷却し、フェノールアダクトを晶析させ、スラリーとす
る。この際の冷却は、外部熱交換器を用いて行ってもよ
く、また、濃縮残液に水を加え、減圧下での水の蒸発潜
熱を利用して冷却する真空冷却晶析法によって行っても
よい。この真空冷却晶析法においては、該濃縮残液に、
水を3〜20重量%程度添加し、通常温度40〜70
℃、圧力3〜13kPaの条件で晶析処理が行われる。
上記水の添加量が3重量%未満では除熱能力が十分では
なく、20重量%を超えるとビスフェノールAの溶解ロ
スが大きくなり、好ましくない。このような晶析操作に
おいて、晶析温度が40℃未満では晶析液の粘度の増大
や固化をもたらすおそれがあり、70℃を超えるとビス
フェノールAの溶解ロスが大きくなり、好ましくない。
【0020】次に、このようにして晶析されたフェノー
ルアダクトを含むスラリーを、ろ過や遠心分離などの公
知の手段により、フェノールアダクトと、反応副生物を
含む晶析母液とに分離する。この晶析母液はそのまま一
部を反応器へリサイクルしたり、一部又は全部をアルカ
リ分解処理して、フェノールとイソプロペニルフェノー
ルとして回収してもよい。また、一部又は全部を異性化
して、晶析原料にリサイクルすることもできる。この晶
析・固液分離工程は、高純度の製品を得るために、複数
回繰り返すことが有効である。すなわち、晶析後、固液
分離によって得られたフェノールアダクトに対して、次
の(D')工程を施すのがよい。
【0021】(D')フェノールアダクトの溶解、晶析
・固液分離工程 この工程においては、上記(D')工程で晶析・分離さ
れたフェノールアダクトを、フェノール含有溶液を用い
て溶解する。この工程において用いられるフェノール含
有溶液としては特に制限はなく、例えば前記(C)工程
の濃縮工程で得られた回収フェノール、(D)工程の晶
析・固液分離工程で生成するフェノールアダクトの洗浄
液、本(D')工程以降の工程で生成する、晶析したフ
ェノールアダクトの固液分離における母液や該フェノー
ルアダクトの洗浄液などを挙げることができる。
【0022】この工程においては、(D)工程で得られ
たフェノールアダクトに上記フェノール含有溶液を加
え、80〜110℃程度に加熱し、該フェノールアダク
トを加熱溶解させ、晶析操作に好ましいビスフェノール
A濃度を有するビスフェノールA含有溶液を調製する。
このようにして調製されたビスフェノールA含有溶液
は、比較的低い温度でも粘度が低くて取扱いが比較的容
易であり、晶析したフェノールアダクトの固液分離をフ
ィルターで行うのに適している。次に、上記のようにし
て得られたビスフェノールA含有溶液から、フェノール
アダクトを晶析・固液分離し、さらに当該フェノールア
ダクトをフェノール含有溶液を用いて溶解したのち、晶
析・固液分離する操作を1回以上繰り返す。
【0023】(E)加熱溶解工程 この加熱溶解工程は、上記(D)又は(D')工程で晶
析・分離されたフェノールアダクトを加熱溶融後、フェ
ノールを留去させる工程である。この工程においては、
まず、フェノールアダクトを100〜160℃程度に加
熱・溶融して液状混合物となし、次いで減圧蒸留によっ
てフェノールを留去し、溶融状態のビスフェノールAを
回収する。上記減圧蒸留は、一般に圧力1.3〜13k
Pa、温度150〜190℃の範囲の条件で実施され
る。残存フェノールは、さらにスチームストリッピング
により除去することができる。
【0024】(F)造粒工程 この造粒工程においては、上記(E)工程で得られた溶
解状態のビスフェノールAを、スプレードライヤーなど
の造粒装置により、液滴にし、冷却固化して製品とす
る。該液滴は噴霧、散布などにより形成され、窒素や空
気などによって冷却される。
【0025】本発明のビスフェノールAの製造方法にお
ける特徴は、前記の造粒工程における処理能力に応じ
て、脱フェノール工程から抜き出されるビスフェノール
Aの少なくとも一部、すなわち一部又は全量を濃縮工程
へ返送することである。そして、この場合、濃縮工程に
返送されるビスフェノールAの量に応じて、反応工程に
導入するアセトン量を調節することにより、濃縮工程に
おける被濃縮液中のビスフェノールAの濃度を所望の値
に調整することができる。
【0026】このように、造粒工程における処理能力に
応じて、脱フェノール工程から抜き出されるビスフェノ
ールAの少なくとも一部を濃縮工程へ返送することによ
り、造粒工程のトラブルなどの異常時に、造粒系以外の
装置の運転を止めなくてもよく、かつ装置内に残留する
ビスフェノールAを再製品化し得る上、反応混合物中の
ビスフェノールA濃度を早く安定化させることができる
ので、造粒系の再スタートアップ時に定常運転までの時
間を短縮することができる。
【0027】本発明の方法においては、所望により、濃
縮工程に返送すべきビスフェノールAの一部を、ビスフ
ェノールAを原料とする製造装置、例えばポリカーボネ
ート樹脂製造装置やエポキシ樹脂製造装置などへ移送し
てもよい。そのためには、ビスフェノールAを濃縮装置
へ返送するための配管の途中に、ビスフェノールAを原
料とする製造装置へビスフェノールAを移送するための
配管を設けることが好ましい。近隣に、ビスフェノール
Aを原料とする製造装置が設置されている際には、粒状
のビスフェノールA製品よりも、溶融状のビスフェノー
ルA製品を配管を介して移送する方が、経済的に有利な
場合がある。なお、正常運転中においても、必要に応
じ、この移送ラインを利用して、溶融状態のビスフェノ
ールA製品を抜き出すことができる。すなわち、必要に
応じ、ビスフェノールAの粒状製品と溶融状製品を同時
に得ることができる。
【0028】図1は、本発明のビスフェノールAの製造
方法における一例の工程図である。本発明はまた、前記
のビスフェノールAの製造方法を実施し得るビスフェノ
ールAの製造装置をも提供する。
【0029】本発明のビスフェノールAの製造装置にお
いては、フェノールとアセトンとを縮合させる反応装
置、低沸点成分除去装置、濃縮装置、晶析・固液分離装
置、加熱溶融装置、脱フェノール装置及び造粒装置を有
すると共に、上記脱フェノール装置の出口と濃縮装置の
入口間に、脱フェノール装置から抜き出されるビスフェ
ノールAを濃縮装置に返送するための配管が設けられて
いる。また、この装置には、必要に応じ、ビスフェノー
ルAを濃縮装置へ返送するための配管の途中に、ビスフ
ェノールAを原料とする製造装置へビスフェノールAを
移送するための配管を設けることができる。
【0030】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定さ
れるものではない。 参考例1 図1に示すビスフェノールAの製造工程に従って、連続
的にビスフェノールAを製造した。陽イオン交換樹脂6
00gが充填された反応器に、フェノールを4600g
/hr、アセトンを280g/hr及びエチルメルカプ
タンを16g/hrの速度で温度を75℃に維持しなが
ら、連続的に供給した。反応混合物は、未反応アセトン
を主とした低沸点成分を除去するための低沸点成分除去
工程に送り、未反応アセトンを主とした低沸点成分を除
去した。低沸点成分除去工程から生成したビスフェノー
ルA及び未反応フェノールを主とした反応生成物が46
40g/hrで得られ、この反応生成物は、165℃、
53.3kPaの条件に維持された濃縮工程へ送った。
【0031】この濃縮工程において、フェノールが一部
除去されて、ビスフェノールAの濃度が30重量%とな
るように濃縮調整された。濃縮工程からのビスフェノー
ルAの濃度が30重量%(残りは大部分がフェノールで
ある。)であるビスフェノールA濃縮液に水を加え、こ
の混合液は晶析・固液分離工程へ送られた。晶析工程で
は、45℃の条件で冷却晶析が施され、ビスフェノール
Aとフェノールとの付加物(アダクト)が晶析する。こ
の付加物のスラリー溶液は固液分離工程に送られ遠心分
離されてビスフェノールAとフェノールとの付加物結晶
と母液とに分離された。
【0032】晶析・固液分離工程から870g/hrで
連続的に得られたビスフェノールAとフェノールとの付
加物結晶は、アダクト加熱溶融工程に送り170℃の温
度で加熱溶融させた。次いで、この加熱溶融されたビス
フェノールAとフェノールとの付加物結晶は、170
℃、5.3kPaの条件に維持された工程へ送り、大部
分のフェノールを留出させ溶融状態のビスフェノールA
を得た。次に、大部分のフェノールを留出させた溶融状
態のビスフェノールAをさらにスチームストリッピング
することにより、残留フェノールを実質上完全に除去
し、溶融状態のビスフェノールAを545g/hrで連
続的に得た。
【0033】このようにして得られた溶融状態のビスフ
ェノールAは、造粒工程に送り、造粒塔の塔頂部から液
滴状態で落下させた溶融状態のビスフェノールAと冷却
窒素ガスとを交流接触させ、ビスフェノールAの造粒物
を538g/hrで連続的に得た。
【0034】実施例1 参考例1において、造粒工程にトラブルが発生し、脱フ
ェノール工程からの溶融状態のビスフェノールAを造粒
工程に送ることができなくなったため、脱フェノール工
程の出口と濃縮工程の入口の間に設けた返送ラインによ
り、溶融状態のビスフェノールAを全量(545g/h
r)連続的に濃縮工程へ返送すると共に、反応工程には
アセトンの供給を停止し、フェノールのみを流しつづけ
た。5時間後、造粒工程のトラブルが解消したため、濃
縮工程への返送を停止し、造粒工程に溶融状態のビスフ
ェノールAを供給すると共に、反応工程にはアセトンの
供給を開始してビスフェノールAの造粒物を製造した。
【0035】実施例2 参考例1において、造粒工程にトラブルが発生し、造粒
工程での処理能力が半減したため、脱フェノール工程か
らの溶融状態のビスフェノールAの半量を造粒工程に送
り造粒すると共に、残り半量の溶融状態のビスフェノー
ルAは実施例1と同様に返送ラインを通して濃縮工程に
送った。また、これに伴い反応工程にはアセトンの供給
を半分の140g/hrとして反応を続けた。
【0036】比較例1 参考例1において、造粒工程で詰まりが発生し、脱フェ
ノール工程からの溶融状態のビスフェノールAを造粒工
程に送ることができなくなったため、脱フェノール工程
からの溶融状態のビスフェノールAをスロップタンクに
抜き出すと共に、反応工程にはアセトンの供給を停止
し、フェノールのみを流しつづけた。6時間後、造粒工
程の詰まりが解消したため、アセトンの供給を再開し
た。22時間後に造粒工程からビスフェノールAの造粒
物が製造される定常運転に復帰した。
【0037】
【発明の効果】本発明のビスフェノールAの製造方法に
よれば、ビスフェノールAの溶融状製品と粒状製品を同
時に製造し得ると共に、造粒工程のトラブルなどの異常
時に、造粒系以外の装置の運転を止めなくてもよい上、
造粒系の再スタートアップ時に定常運転までの時間を短
縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のビスフェノールAの製造方法における
一例の工程図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4H006 AA02 AA04 AD11 AD15 AD17 BC51 BD31 BD53 BD60 BD82 BD84 FC50 FE13

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェノールとアセトンを縮合させる反応
    工程によりビスフェノールAを含む反応混合物を得たの
    ち、該反応混合物に、低沸点成分除去工程、濃縮工程、
    晶析・固液分離工程、加熱溶融工程、脱フェノール工程
    及び造粒工程を順次施し、ビスフェノールAを製造する
    方法において、造粒工程における処理能力に応じて、脱
    フェノール工程から抜き出されるビスフェノールAの少
    なくとも一部を濃縮工程へ返送することを特徴とするビ
    スフェノールAの製造方法。
  2. 【請求項2】 濃縮工程に返送されるビスフェノールA
    の量に応じて、反応工程に導入するアセトン量を調節す
    る請求項1記載のビスフェノールAの製造方法。
  3. 【請求項3】 フェノールとアセトンとを縮合させる反
    応装置、低沸点成分除去装置、濃縮装置、晶析・固液分
    離装置、加熱溶融装置、脱フェノール装置及び造粒装置
    を有するビスフェノールAの製造装置において、上記脱
    フェノール装置の出口と濃縮装置の入口間に、脱フェノ
    ール装置から抜き出されるビスフェノールAを濃縮装置
    に返送するための配管を設けたことを特徴とするビスフ
    ェノールAの製造装置。
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