JP4122269B2 - 芳香族ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents

芳香族ポリカーボネートの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4122269B2
JP4122269B2 JP2003297848A JP2003297848A JP4122269B2 JP 4122269 B2 JP4122269 B2 JP 4122269B2 JP 2003297848 A JP2003297848 A JP 2003297848A JP 2003297848 A JP2003297848 A JP 2003297848A JP 4122269 B2 JP4122269 B2 JP 4122269B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phenol
bisphenol
aromatic polycarbonate
thiol group
bpa
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003297848A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005068248A (ja
Inventor
成俊 兵頭
竜郎 田中
功一 早志
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2003297848A priority Critical patent/JP4122269B2/ja
Publication of JP2005068248A publication Critical patent/JP2005068248A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4122269B2 publication Critical patent/JP4122269B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Description

この発明は、芳香族ポリカーボネートの製造方法に関し、詳しくは、チオール基含有塩基を含むフェノールを用いてビスフェノールAを製造し、このビスフェノールAを用いて芳香族ポリカーボネートを製造する方法に関する。
フェノールとアセトンからビスフェノールAを製造する際、ピリジン化合物を加えることにより、得られるビスフェノールAの熱安定性を向上させることは、特許文献1に記載されている。そして、このピリジン化合物として、チオール基を含有するピリジン化合物も記載されている。
特開2002−255882号公報
しかし、上記特許文献1においては、上記ピリジン化合物をビスフェノールAの熱安定性を向上するために、ビスフェノールAそのものに添加しているので、ビスフェノールAの合成反応工程におけるピリジン化合物の効果については検討されていない。
そこで、この発明は、所定量のチオール基含有塩基の存在下で、ビスフェノールAの合成反応を行うことにより、ビスフェノールA合成反応の選択性を向上させることにより、ビスフェノールAの純度を向上させ、さらに、このビスフェノールAを用いて製造される芳香族ポリカーボネートの色調を向上させることを目的とする。
この発明は、0.001〜100重量ppmのチオール基含有塩基を含有するフェノールとアセトンを用いてビスフェノールAを製造し、次いで、このビスフェノールAとカルボニル化合物とを用いて芳香族ポリカーボネートを製造することにより、上記課題を解決したのである。
0.001〜100重量ppmのチオール基含有塩基を存在させるので、触媒寿命が高まることを期待でき、色調変化に影響を与える不純物を低減させることができる。このため、このビスフェノールAを用いて製造される芳香族ポリカーボネートの収率及び色調を向上させることができる。
この発明によると、所定量のチオール基含有塩基を含有するフェノールを用いて、ビスフェノールAを製造するので、ビスフェノールA合成反応の選択性を向上させることができる。これにより、ビスフェノールAの純度を向上させ、さらに、このビスフェノールAを用いて製造される芳香族ポリカーボネートの色調を向上させることができる。
以下、この発明の実施形態について詳細に説明する。
この発明にかかる芳香族ポリカーボネートの製造方法は、特定のチオール基含有塩基を含有するフェノール(PL)とアセトンとを用いてビスフェノールA(BPA)を製造し、次いで、このビスフェノールA(BPA)を用いて芳香族ポリカーボネート(PC)を製造する芳香族ポリカーボネート(PC)の製造方法である。
上記チオール基含有塩基とは、チオール基を含有し、ビスフェノールA(BPA)の製造触媒である陽イオン交換樹脂のアニオン基部分とイオン結合可能な塩基を有する化合物をいう。上記チオール基含有塩基は、上記陽イオン交換樹脂のアニオン基部分とイオン結合可能な部位である塩基を有するので、後述するビスフェノールA(BPA)の反応器に上記チオール基含有塩基が入ったとき、このチオール基含有塩基が上記陽イオン交換樹脂にイオン結合するので、上記陽イオン交換樹脂の触媒活性を向上させることができる。さらに、フェノール(PL)とアセトンとの合成反応に寄与し、ビスフェノールAの反応選択率をより向上させ、芳香族ポリカーボネートの製造において、悪影響を及ぼす不純物を低減させることができる。
このようなチオール基含有塩基としては、3−(2−メルカプトエチル)ピリジン、4−(2−メルカプトエチル)ピリジン、2−(3−メルカプトプロピル)ピリジン、3−(3−メルカプトプロピル)ピリジン、4−(3−メルカプトプロピル)ピリジン、2−(4−メルカプトブチル)ピリジン、3−(4−メルカプトブチル)ピリジン、4−(4−メルカプトブチル)ピリジン等のチオール基含有ピリジン等があげられる。
上記チオール基含有塩基の含有量は、フェノールに対して、0.001〜100重量ppmがよく、0.01〜10重量ppmが好ましい。0.001重量ppmより少ないと、芳香族ポリカーボネートの製造において、悪影響を及ぼす不純物を低減させることが不十分となる場合がある。一方、100重量ppmより多いと、重合に供されるビスフェノールA(BPA)中のチオール基含有塩基量を無視できず、かえって、ポリカーボネートの色調を悪化させる傾向がある。
[ビスフェノールA製造工程]
ビスフェノールAの製造工程は、図1示すプロセスから構成される。すなわち、原料としてフェノール(PL)及びアセトン(A)を用い、合成反応工程(工程(a))、低沸除去工程(工程(b))、晶析・分離工程(工程(c))、加熱溶融工程(工程(d))、フェノール(PL)除去工程(工程(e))、造粒工程(工程(f))を経由してビスフェノールA(BPA)が製造される。
次に、各工程についてそれぞれ説明する。
上記工程(a)は、フェノール(PL)とアセトン(A)とを酸性触媒の存在下で、縮合反応させてビスフェノールAを生成させる工程である。ここで用いる原料のフェノール(PL)及びアセトン(A)は、化学量論量よりもフェノール(PL)が過剰な条件で反応させる。フェノール(PL)とアセトン(A)とのモル比は、フェノール(PL)/アセトン(A)の比として3〜30、好ましくは5〜20の範囲である。反応温度は通常30〜100℃、好ましくは50〜90℃、反応圧力は、一般に常圧〜5kg/cm2・Gで行われる。
上記酸性触媒としてイオン交換樹脂を用いる場合、ゲル型で架橋度が1〜8%、好ましくは2〜6%のスルホン酸型陽イオン交換樹脂が適しているが、特に限定されるものではない。
上記フェノール(PL)には、上記チオール基含有塩基が含有されるため、このチオール基含有塩基の塩基部分が、酸触媒の酸部分、例えば、上記陽イオン交換樹脂の官能基部分にイオン結合する。ただ、このイオン結合は、結合・離脱が可逆であるため、連続反応である上記ビスフェノールA(BPA)の合成反応においては、合成されたビスフェノールA(BPA)と共に、上記チオール基含有塩基の一部が流出する。このため、フェノールに対する上記チオール基含有塩基の含有割合を上記した範囲になるように、上記チオール基含有塩基を供給する必要がある。
これに対し、後述するようなプロセスを採用する場合は、上記の合成されたビスフェノールA(BPA)と共に流出した上記チオール基含有塩基の一部は、後述する晶析・分離工程で分離母液側に回収される。この分離母液は、フェノール(PL)を主成分としており、原料フェノール(PL)として再使用される。このため、流出した上記チオール基含有塩基は、再び合成反応工程に戻されることとなる。この場合、上記分離母液中の上記チオール基含有塩基の含有割合を、上記分離母液中のフェノール(PL)に対して、上記した範囲になるように、上記チオール基含有塩基量を管理すればよい。
上記工程(a)で生成する反応混合物中には、一般にビスフェノールA(BPA)の他に、未反応フェノール(PL)、未反応アセトン(A)、触媒、反応生成水(W)及び着色物質等の副生物が含まれる。
上記工程(b)は、上記工程(a)で得られる反応混合液から低沸点成分と触媒とを除去する工程である。ここでいう低沸点成分とは、反応生成水(W)、未反応アセトン(A)、及びこれらと沸点が近いものである。この工程では、上記反応混合物からこれらの低沸点成分を例えば減圧蒸留等により除去し、また触媒等の固体成分は濾過等によって除かれる。なお、固定床触媒反応器を用いる場合は脱触媒の必要は特にない。減圧蒸留は圧力50〜300mmHg、温度70〜130℃の範囲を用いるのが好ましく、未反応フェノール(PL)が共沸してその一部が系外へ除かれることもある。
上記工程(c)は、上記工程(b)で得られた混合液を冷却し、ビスフェノールA(BPA)とフェノール(PL)との付加物結晶を析出させて分離する工程である。この工程(c)に先立って、上記工程(b)で得られた混合液中のビスフェノールA(BPA)の濃度を、フェノールを留去又は追加することにより、ビスフェノールAの濃度を10〜50重量%、好ましくは20〜40重量%に調整しておくと、上記付加物の収率を高め、かつスラリー状の混合液の見掛けの粘度を調節して、作業性を改良する上で好ましい。
上記工程(c)における冷却は、一般に45〜60℃の温度まで行われ、これによって、ビスフェノールA(BPA)とフェノール(PL)との付加物の結晶が析出し、系はスラリー状になる。この冷却は、外部に設けた熱交換器や晶析機に加えられる水の蒸発潜熱による除熱によって行われる。次に、このスラリー状の液を、ろ過、遠心分離等により付加物結晶と反応副生物を含む母液とに分離し、付加物結晶を次工程に供する。分離された母液の一部又は全部は、後述する母液処理工程(g)を経由して、工程(a)にリサイクルして、原料として使用されるフェノールの一部又は全部として用い、更に反応収率の向上を図る。
上記工程(d)は、上記工程(c)で得られた付加物の結晶を加熱溶融する工程である。この付加物結晶の組成は、ビスフェノールA(BPA)が45〜70重量%、フェノール(PL)が55〜30%の範囲にあるのが一般的である。この結晶を100〜160℃に加熱することにより溶融して次工程に供する。
上記工程(e)は、上記工程(d)で得られた溶融液からフェノール(PL)を除去して溶融ビスフェノールA(BPA)を得る工程である。工程(e)で得られた溶融液から、減圧蒸留等の方法によってフェノール(PL)を除去することにより付加物を解離させて、高純度のビスフェノールAが回収できる。この減圧蒸留は、圧力10〜100mmHg、温度150〜220℃の範囲で、かつ系内に存在するビスフェノールA(BPA)とフェノール(PL)との混合液の融点より少なくとも10℃高い温度で行うのが好ましい。減圧蒸留に加えてスチームストリッピングを行って、残存するフェノール(PL)を除去する方法も提案されている。
上記工程(f)は、上記工程(e)で得られた溶融状態のビスフェノールA(BPA)を冷却・固化し、造粒して粒状の製品を得る工程である。溶融状態のビスフェノールAは、例えばスプレードライヤー等の造粒装置により液滴にされ、冷却固化されて製品となる。この液滴は、噴霧、滴下、散布等により調製され、冷却は通常窒素あるいは空気等によって行われる。
このビスフェノールA(BPA)の製造工程、特に、上記工程(a)において、ビスフェノールA(BPA)以外に、2,4’−異性体等の副生物(以下、「BPA副生物」と称する。)も同時に合成される。そして、このBPA副生物は、主として、上記工程(c)の母液に含有され、上記ビスフェノールA(BPA)の製造工程を循環する。このため、上記BPA副生物がこの循環系内で蓄積する傾向にあり、ある程度以上の蓄積が生じると、上記工程(c)での分離が不十分となり、ビスフェノールA(BPA)側に付随してしまい、結果として、製品ビスフェノールA(BPA)の品質を低下させる傾向がある。このため、上記工程(c)の母液の一部又は全部を、母液処理工程(工程(g))にかけることにより、上記母液中の上記BPA副生物を分離・除去し、製品ビスフェノールA(BPA)の品質を保持する。
上記工程(g)は、蒸留によりフェノール(PL)を回収する方法、又は、母液を塩基性物質の存在下で加熱してこの母液中のビスフェノールA(BPA)副生物を分解して、フェノール及びフェノール誘導体を生じさせ、次いで、これを酸触媒を用いて反応させてビスフェノールA(BPA)を製造し、これを回収する方法である。
具体的には、図2に示すように、まず、上記母液の一部又は全部をフェノール蒸発器32に導入し、同時に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基性物質Hを導入する。次いで、フェノール(PL)の沸点以上に加熱して蒸発させ、フェノール(PL)をフェノール蒸発器32の上部から抜き出す。そして、フェノール蒸発器32の下部から上記ビスフェノールA(BPA)及びBPA副生物を主成分とする蒸発残渣を残渣反応器33に送り、180〜300℃の熱をかけることにより、上記ビスフェノールA(BPA)及びBPA副生物に分解反応を生じさせ、ビスフェノールA(BPA)の反応中間体であるイソプロペニルフェノール等の分解物を得、これを塔頂から蒸留留去させる、また、この残渣反応器33で生じた釜残分は、有機分を大量に含む排液(D4)として、焼却処理等の排液処理工程(図示せず)に送られる。
上記BPA副生物の分解物であるフェノール(PL)及びフェノール誘導体は、残渣反応器33の上部より留去されて再生反応器34に送られるが、残渣反応器33の上部より取り出す際、上記フェノール蒸発器32の上部から抜き出されたフェノール(PL)と混合させる。これにより、フェノール誘導体の濃度が希釈されて、好ましくない副反応が生じるのを抑えることができる。
次いで、再生反応器34において、上記BPA副生物の分解物であるフェノール(PL)及びフェノール誘導体を、酸触媒又はアルカリ触媒を用いて、再度、反応させることにより、ビスフェノールA(BPA)等を生成させる。これは、未反応のフェノール(PL)と共に、上記原料として使用されるフェノール(PL)に混合されて、工程(a)に送られる。上記ビスフェノールA(BPA)は、そのまま、工程(c)を経て回収され、フェノール(PL)は、原料として使用されるので、ビスフェノールA(BPA)の製造効率を高めることができる。
上記工程(a)の原料として使用されるフェノール(PL)は、特に限定されないが、後述する芳香族ポリカーボネート製造工程(原料として、ジフェニルカーボネート(DPC)を用いた場合の製造工程)で副生するフェノール(以下、副生するフェノールを「副生フェノール(s−PL)」と称する。)を、好ましくは、晶析・分離工程の洗浄液として使用した後に用いるのがよい。
次に、芳香族ポリカーボネートの製造について説明する。芳香族ポリカーボネートは、上記ビスフェノールA(BPA)と、ホスゲン又はジフェニルカーボネート(DPC)とを、脱塩酸又は脱フェノールを伴いながら縮重合反応させて製造される。また、上記ジフェニルカーボネート(DPC)は、フェノール(PL)とホスゲン(CDC)とをアルカリ系触媒存在下で反応させて製造される。あるいは、別法として、フェノール(PL)とジアルキルカーボネート、又はフェノール(PL)と酸素及び一酸化炭素より製造される。
[芳香族ポリカーボネート製造工程]
次に、ジフェニルカーボネート(DPC)を用いた場合の芳香族ポリカーボネート製造工程について説明する。
この芳香族ポリカーボネートの製造工程は、図3に示すプロセスから構成される。すなわち、原料として、上記ビスフェノールA(BPA)製造工程で製造されたビスフェノールA(BPA)とジフェニルカーボネート(DPC)を用い、これとアルカリ水溶液等の塩基性触媒(C2)とを混合槽41に導入して混合し、次いで重合槽に送って重合工程を行う。上記重合槽の数は、特に限定されないが、重合反応が、フェノールを副生しながらの縮重合であるので、重合度に併せて重合条件をかえることを可能とするため、複数の重合槽を用いるのが好ましい。図2においては、縦型重合槽を3つ(第1重合槽42,第2重合槽43,第3重合槽44)、及び横型重合器を1つ(第4重合器45)を直列に連結した重合槽群を示した。この場合の重合条件としては、例えば、第1重合槽42において、200〜250℃で50から200Torr、第2重合槽43において、230〜280℃で10から50Torr、第3重合槽44において、250〜300℃で0.2から5Torr、第4重合器45において、260〜320℃で0.05から2Torrとすることができる。このようにすると、重合が進行するにつれて副生フェノール(s−PL)が留去され、所望の重合度の芳香族ポリカーボネート(PC)を得ることができる。
上記重合工程において生じた副生フェノール(s−PL)は、熱交換器46,47やコンデンサ48によって液化され、PC用回収PLタンク49に送られる。そして、残りの排ガス(D5)は、処理工程(図示せず)に送られる。
上記重合工程で製造された芳香族ポリカーボネートは、押出機52に送られる。ここで、含有する揮発分を排ガス(D5)として除去すると共に、酸Iや各種添加剤Jを加えて、触媒の中和等が行われる。そして、ペレット化等の処理(図示せず)が行われ、製品としての芳香族ポリカーボネートが得られる。
上記重合工程での副生フェノール(s−PL)を主成分とする蒸発成分は、上記の通り、液化されてPC用回収PLタンク49に送られる。この蒸発成分は、副生フェノール(s−PL)を主成分とするが、原料であるジフェニルカーボネート(DPC)やビスフェノールA(BPA)、ジフェニルカーボネート(DPC)及びビスフェノールA(BPA)の1分子同士〜数分子同士が縮重合したオリゴマー、アルカリ系触媒由来の水等を含有する。このため、通常は、この蒸発成分を蒸留工程にかけ、副生フェノール(s−PL)を精製して使用する。一方、場合によっては、未精製のまま、あるいは低純度精製で使用することも可能である。
これは、上記副生フェノール(s−PL)を主成分とする蒸発成分には、ジフェニルカーボネート(DPC)、ビスフェノールA(BPA)、ジフェニルカーボネート(DPC)とビスフェノールA(BPA)とを1〜数分子反応したオリゴマー等が不純物として含まれる。そして、これらの不純物のうち、ビスフェノールA(BPA)や上記オリゴマーは、ビスフェノールA(BPA)製造工程に混入しても、問題が生じることはなく、また、ジフェニルカーボネート(DPC)は、加水分解してフェノール(PL)が発生するのでフェノール(PL)として使用されるからである。
上記蒸留工程の例としては、図1に示すような2段の蒸留塔を用いる方法を例としてあげることができる。まず、第1PL蒸留塔50では、フェノール(PL)より低沸点の水等を蒸発留去させ、低沸留去分(D6)を回収除去する。次いで、第1PL蒸留塔50の第3蒸留残渣uを第2PL蒸留塔51に送り、副生フェノール(s−PL)を蒸留回収する共に、この第2PL蒸留塔51でのPL蒸留残渣(X2)を回収する。そして、回収された副生フェノール(s−PL)は、少なくともその一部を原料フェノール(PL)の一部として使用することができる。この際、上記の回収された副生フェノール(s−PL)の少なくとも一部を、上記晶析・分離工程の洗浄液として使用した後に、原料フェノール(PL)の一部として使用するのが好ましい。上記副生フェノール(s−PL)を、上記晶析・分離工程の洗浄液として使用すると、ビスフェノールA(BPA)とフェノール(PL)との付加物を、不純物を付加することなく、より効率よく洗浄することが可能となる。
以下に、この発明を具体的に説明する。まず、評価方法について説明する。
<初期色相(YI)の測定>
ポリカーボネート樹脂を窒素雰囲気下、120℃で6時間乾燥した後、(株)日本製鋼所製J−100射出成形機で3mm厚の射出成形片を360℃で製作し、スガ試験機株式会社製SC−1によりYI値を測定した(このYI値が大きいほど着色していることを示す)。
(実験例1)
温度調節器を有する流通式合成反応器に、4−ピリジンエタンチオールでスルホン酸基の15%を中和した、スルホン酸型酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:商品名 ダイヤイオンSK−104)を60L充填した。この合成反応器に、フェノール:アセトンのモル比 10:1の混合液を温度 80℃、68.2kg/hrの流量で装入し、反応させた。アセトンの転化率、選択率は、それぞれ80%、98%であった。反応混合物は、低沸点物(未反応アセトン、水、フェノールの一部)を5.1kg/hの流量でパージしたのち、50℃に冷却して付加物の結晶を析出させた。これを濾過して、付加物の結晶と母液とに分離した。流量はそれぞれ16.5kg/hと46.5kg/hであった。この母液の10wt%を母液処理工程に供給し、他の母液は合成反応器に装入する原料の一部として循環させた。合成反応器に装入した、循環母液中の遊離の4−ピリジンエタンチオールの濃度を分析すると、1.3重量ppmだった。
ここで得られた付加物結晶を、再度27.2kg/hの流量のフェノールに溶解させたのち、50℃に冷却して結晶を析出させ、濾過して付加物の結晶(11.3kg/h)と母液(32.5kg/h)とに分離した。分離された結晶は、0.3mmHgの減圧下、180℃に加熱してフェノールを除去し、純度99.95%以上のビスフェノールAを7.7kg/hの流量で得た。
一方、母液処理工程に供給した母液は、フェノールの一部を留去し濃縮した。次に、水酸化ナトリウムを0.1重量%含ませ、50mmHgの減圧下、210℃にコントロールした分解蒸留塔の塔底に装入した。塔底の液レベルは一定の条件で運転し(滞留時間 1hr)、分解蒸留塔の塔底液は0.46kg/hの流量で系外にパージした。さらに、分解蒸留塔の塔頂からの流出液と前述のフェノールとを混ぜ、スルホン酸型酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:商品名 ダイヤイオンSK−104)を4L充填した、流通式反応器に4.2kg/hの流量で装入し、80℃の条件で、反応させた。得られた反応液は最初の合成反応器に循環した。
前述の合成反応器へは、系外へパージされた量及び得られたビスフェノールAの量に対応する量のアセトン(3.6kg/h)とフェノール(18.5kg/h)とを補給し、合成反応を連続的に行い、上記の系全体としてビスフェノールAを連続的に製造した。
ここで得られた、ビスフェノールAを原料として用い、芳香族ポリカーボネートを製造し、YI値を想定したところ、1.6であった。
(実験例2)
温度調節器を有する流通式合成反応器に、4−ピリジンエタンチオールでスルホン酸基の15%を中和した、スルホン酸型酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:商品名 ダイヤイオンSK−104)を60L充填した。この合成反応器に、フェノール:アセトンのモル比 10:1の混合液を温度 80℃、68.2kg/hrの流量で装入し、反応させた。合成反応器に供給した原料中には、遊離状態の4−ピリジンエタンチオールを10.0wtppmの濃度で混入させた。アセトンの転化率、選択率は、それぞれ80%、98%であった。反応混合物は、低沸点物(未反応アセトン、水、フェノールの一部)を18.9kg/hの流量でパージしたのち、50℃に冷却して付加物の結晶を析出させた。これを濾過して、付加物の結晶と母液とに分離した。流量はそれぞれ13.0kg/hと36.3kg/hであった。
ここで得られた付加物結晶を、再度21.2kg/hの流量のフェノールに溶解させたのち、50℃に冷却して結晶を析出させ、濾過して付加物の結晶(8.8kg/h)と母液(25.4kg/h)とに分離した。分離された結晶は、0.3mmHgの減圧下、180℃に加熱してフェノールを除去し、純度99.95%以上のビスフェノールAを6.0kg/hの流量で得た。
得られたビスフェノールAを原料として用い、芳香族ポリカーボネートを製造し、YI値を想定したところ、1.6であった。
(実験例3)
温度調節器を有する流通式合成反応器に、2−アミノエタンチオールでスルホン酸基の10%を中和した、スルホン酸型酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:商品名 ダイヤイオンSK−104)を60L充填した。この合成反応器に、フェノール:アセトンのモル比 10:1の混合液を温度 80℃、68.2kg/hrの流量で装入し、反応させた。合成反応器に供給した原料中には、遊離状態の4−ピリジンエタンチオールを10.0wtppmの濃度で混入させた。アセトンの転化率、選択率は、それぞれ75%、96%であった。反応混合物は、低沸点物(未反応アセトン、水、フェノールの一部)を23.4kg/hの流量でパージしたのち、50℃に冷却して付加物の結晶を析出させた。これを濾過して、付加物の結晶と母液とに分離した。流量はそれぞれ11.9kg/hと33.0kg/hであった。
ここで得られた付加物結晶を、再度19.6kg/hの流量のフェノールに溶解させたのち、50℃に冷却して結晶を析出させ、濾過して付加物の結晶(8.1kg/h)と母液(23.3kg/h)とに分離した。分離された結晶は、0.3mmHgの減圧下、180℃に加熱してフェノールを除去し、純度99.95%以上のビスフェノールAを5.5kg/hの流量で得た。
得られたビスフェノールAを原料として用い、芳香族ポリカーボネートを製造し、YI値を想定したところ、1.6であった
(比較例1)
温度調節器を有する流通式合成反応器に、2−アミノエタンチオールでスルホン酸基の10%を中和した、スルホン酸型酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:商品名 ダイヤイオンSK−104)を60L充填した。この合成反応器に、フェノール:アセトンのモル比 10:1の混合液を温度 80℃、68.2kg/hrの流量で装入し、反応させた。合成反応器に供給した原料中には、遊離状態の4−ピリジンエタンチオールを混入させなかった。アセトンの転化率、選択率は、それぞれ75%、95.5%であった。反応混合物は、低沸点物(未反応アセトン、水、フェノールの一部)を23.4kg/hの流量でパージしたのち、50℃に冷却して付加物の結晶を析出させた。これを濾過して、付加物の結晶と母液とに分離した。流量はそれぞれ11.9kg/hと33.0kg/hであった。
ここで得られた付加物結晶を、再度19.6kg/hの流量のフェノールに溶解させたのち、50℃に冷却して結晶を析出させ、濾過して付加物の結晶(8.1kg/h)と母液(23.3kg/h)とに分離した。分離された結晶は、0.3mmHgの減圧下、180℃に加熱してフェノールを除去し、純度99.95%以上のビスフェノールAを5.5kg/hの流量で得た。
得られたビスフェノールAを原料として用い、芳香族ポリカーボネートを製造し、YI値を想定したところ、1.8であった
この発明に係るビスフェノールA(BPA)製造工程のスキームを示す工程図 この発明に係るビスフェノールA(BPA)製造工程の母液処理工程(工程(g))のスキームを示す工程図 この発明に係る芳香族ポリカーボネート(PC)製造工程のスキームを示す工程図
符号の説明
32 フェノール蒸発器
33 残渣反応器
34 再生反応器
41 混合槽
42 第1重合槽
43 第2重合槽
44 第3重合槽
45 第4重合器
46 熱交換器
47 熱交換器
48 コンデンサ
49 PC用回収PLタンク
50 第1PL蒸留塔
51 第2PL蒸留塔
52 押出機
A アセトン
BPA ビスフェノールA
C2 塩基性触媒
D3 水系排水
D4 高沸分
D5 排ガス
D6 低沸留去分
DPC ジフェニルカーボネート
H 塩基性物質
I 酸
J 添加剤
P 水・フェノール混合物
PL フェノール
c−PL クレゾール等含有フェノール
co−PL カルボニル化合物含有フェノール
s−PL 副生フェノール
X2 PL蒸留残渣
u 第3蒸留残渣

Claims (3)

  1. フェノール及びアセトンを原料とし、合成反応工程、晶析・分離工程を経てビスフェノールAを製造するビスフェノールA製造工程を含み、このビスフェノールAとカルボニル化合物とを用いて芳香族ポリカーボネートを製造する芳香族ポリカーボネートの製造方法において、
    ビスフェノールAの製造触媒として、チオール基含有塩基をイオン結合させた陽イオン交換樹脂を用い、0.01〜10重量ppmのチオール基含有塩基を含有するフェノールとアセトンとを用いてビスフェノールAを製造することを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法。
  2. 記フェノールは、上記晶析・分離工程における分離母液を一部に含むものであり、
    この分離母液は、上記ビスフェノールA製造工程で流出したチオール基含有塩基の一部を含み、
    上記分離母液中のフェノールに対して、上記チオール基含有塩基の含有割合が、0.01〜10重量ppmとなるように、上記分離母液中の上記チオール基含有塩基量を管理することを特徴とする請求項1に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
  3. 上記のカルボニル化合物がジフェニルカーボネートであり、このジフェニルカーボネート及びビスフェノールAを原料とし、重合工程を経て芳香族ポリカーボネートを製造すると共に、上記重合工程での蒸発成分を液化して副生フェノールを回収する芳香族ポリカーボネート製造工程を含む、芳香族ポリカーボネートの製造方法において、
    上記副生フェノールの少なくとも一部を上記ビスフェノールA製造工程の晶析・分離工程の洗浄液として使用する請求項2に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
JP2003297848A 2003-08-21 2003-08-21 芳香族ポリカーボネートの製造方法 Expired - Fee Related JP4122269B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003297848A JP4122269B2 (ja) 2003-08-21 2003-08-21 芳香族ポリカーボネートの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003297848A JP4122269B2 (ja) 2003-08-21 2003-08-21 芳香族ポリカーボネートの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005068248A JP2005068248A (ja) 2005-03-17
JP4122269B2 true JP4122269B2 (ja) 2008-07-23

Family

ID=34403561

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003297848A Expired - Fee Related JP4122269B2 (ja) 2003-08-21 2003-08-21 芳香族ポリカーボネートの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4122269B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005068248A (ja) 2005-03-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2000023408A1 (fr) Procede de production de bisphenol a
JP5030472B2 (ja) 高純度ビスフェノールaの製造方法及び製造設備
KR100788091B1 (ko) 비스페놀 에이의 제조 방법
JPH0616584A (ja) ビスフェノール−aの製法
JP4691881B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
KR100873749B1 (ko) 비스페놀 a의 제조방법
JP4904064B2 (ja) ビスフェノールaの製造方法
KR100843003B1 (ko) 비스페놀 a의 제조방법
JP4122269B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
KR20150036023A (ko) 비스페놀 a의 제조 방법
JP4295042B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JP4333276B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JP4012322B2 (ja) ビスフェノールaの製造方法
JP2007112762A (ja) ビスフェノールaの製造方法およびイオン交換樹脂の判定方法
KR100813452B1 (ko) 방향족 폴리카보네이트의 제조 방법
US6673973B1 (en) Method of producing 1,1-bis-(4-hydroxyphenyl)-3,3,5-trimethylcyclohexane
JP4615831B2 (ja) ビスフェノールaの製造におけるフェノールの回収方法
KR101090193B1 (ko) 비스페놀a의 제조방법
KR102349519B1 (ko) 비스페놀a의 제조방법
JP2000229899A (ja) ビスフェノールaの製造方法
JP2007112763A (ja) 色相の良好なビスフェノールaの製造方法
JP4706172B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造装置及び芳香族ポリカーボネートの製造方法
KR20050074440A (ko) 비스페놀 a의 제조방법
JP2004149510A (ja) ビスフェノールaの製造方法
JP2003160524A (ja) ビスフェノールaの製造方法及びその装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060223

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20071227

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080129

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080331

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080422

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080501

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110509

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4122269

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120509

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130509

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140509

Year of fee payment: 6

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees