JP5353817B2 - 芳香族ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents
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Description
上記重合反応において、フェノール(本特許請求の範囲及び明細書において、「PL」と略する。)が副生する。この副生PLには、不純物として、DPC、BPA、DPC及びBPAが1〜数分子反応したオリゴマー等が含まれる。この副生PLは、BPA製造工程やDPC製造工程に戻される方法が知られている。
また、通常、BPAは、精製された後の溶融状態のものを冷却し、固形状としたものを使用しているが、BPAの製造設備が、PCの製造設備と近接して設けられている場合、上記溶融状態のまま、あるいは、BPAとPLの一定組成の混合溶液のまま、上記PCの製造設備に供して重合を行うと、あらためて加熱したり、精製したりする必要がなくなり、熱効率が向上する。
さらに、上記のDPC及びBPAの製造工程、及びPCの製造工程においては、それぞれ有機物を大量に含む排液が生じる。
また、DPCを製造する工程においては、還流させつつDPCを蒸留して精製し、PCを製造する工程においては、PLをDPCと蒸留分離しながら除去する。これらの蒸留操作は、蒸留温度を下げるために、真空設備を設けて減圧下で行われる(特許文献7参照)。
しかしながら、上記の場合は、いずれも、BPA、DPC等、水以外の不純物の含有量に注目しているものの、水の含有量については検討されていない。重合原料であるDPCやBPC、特に、いったん固形化して保持されたものを使用すると、原料に含まれる水分や、更には重合触媒とともに供給される水分が副生フェノールに同伴される。水の存在は、BPA製造工程においては、触媒の活性低下を引き起こし、反応転化率を低下させる。また、DPC製造工程においては、触媒の活性低下につながると共に、製造されるDPCの加水分解につながる。
また、BPAの製造工程の、得られたBPAを晶析する工程において、使用される晶析装置等の接液部に固体の付着が生じやすく、数ヶ月に1度は、この工程を停止させて、掃除をする必要がある。このため、BPAの製造工程の、合成反応工程から晶析工程に至る工程は、断続的な運転となる。
さらに、上記PCの製造工程における蒸留残渣にはPLが含有されているため、その全てを重合工程に戻すと、重合開始当初からPLが存在することとなり、初期の重合速度に影響を与える。さらに、PCの製造工程における蒸留残渣は、一般的に着色しており、そのままリサイクルしたのでは、製品のPCの着色を招くこととなる。また、上記蒸留残渣を再度蒸留しても、その回収蒸留残渣にも多少の上記各成分が含まれるので、そのまま廃棄処分するのは、製造効率に影響すると共に、環境負荷の問題が生じる。
さらにまた、減圧下で蒸留すると、PLやDPC等の留出成分が、真空設備に引っ張られて、真空設備に連結される配管の途中に液溜まりを生じたり、この溜まった留出成分が固まったりして、真空状態を維持できなくなる場合がある。また、留出したPLやDPC等の留出成分をポンプによって還流させる場合、還流用の配管内で留出成分が固化するなどの原因によって詰まるおそれもあった。
(なお、式(1)において、Vcは、PC貯蔵タンクの容量(m3)を示し、Fcは、PC蒸発成分の液化物又は副生フェノールの供給速度(m3/hr)を示す。)
・10≦(Vd/Fd)≦100 (2)
(なお、式(2)において、Vdは、DPC貯蔵タンクの容量(m3)を示し、Fdは、ジフェニルカーボネートの供給速度(m3/hr)を示す。)
・10≦(Vb/Fb)≦1000 (3)
(なお、式(3)において、Vbは、BPA貯蔵タンクの容量(m3)を示し、Fbは、PC重合工程に供されるビスフェノールAの供給量(m3/hr)を示す。)
一方、芳香族ポリカーボネート製造工程の重合後期に回収される副生フェノールに含まれる不純物は、ビスフェノールA製造工程で加水分解され、この製造工程での原料及び生成物となり、かつ、ビスフェノールA製造工程での触媒活性低下原因となるアルコール類等がほとんど含まれないので、これらの不純物を含む副生フェノールは、精製することなく、ビスフェノールA製造工程に使用されるフェノールの少なくとも一部として使用することができる。
この発明にかかる芳香族ポリカーボネート(PC)の製造方法は、ジフェニルカーボネート(DPC)及びビスフェノールA(BPA)を重合させて製造する方法である。
DPCは、PL及びカルボニル化合物を原料として製造される。このカルボニル化合物は、DPCのカルボニル基を形成することができれば、制限なく用いられる。このようなカルボニル化合物の例としては、ホスゲン(以下、「CDC」と略する。)、一酸化炭素、炭酸ジアルキル等があげられる。以下において、カルボニル化合物としてCDCを用い、反応後にDPC洗浄工程及びDPC蒸留工程を経て、DPCを製造する工程について説明する。
BPAの製造工程は、図2示すプロセスから構成される。すなわち、原料としてPL及びアセトン(A)を用い、BPA反応工程(工程(a))、BPA低沸除去工程(工程(b))、BPA晶析・分離工程(工程(c))、加熱溶融工程(工程(d))、PL除去工程(工程(e))、造粒工程(工程(f))を経由してBPAが製造される。
上記工程(a)は、PLとアセトン(A)とを酸性触媒の存在下で、縮合反応させてBPAを生成させる工程である。ここで用いる原料のPL及びアセトン(A)は、化学量論量よりもPLが過剰な条件で反応させる。PLとアセトン(A)とのモル比は、PL/アセトン(A)の比として3〜30、好ましくは5〜20の範囲である。反応温度は通常30〜100℃、好ましくは50〜90℃、反応圧力は、一般に常圧〜5kg/cm2・Gで行われる。
上記PCの製造工程は、図5に示すプロセスから構成される。すなわち、原料として、上記の方法で製造されたDPC及びBPAを用い、これとアルカリ水溶液等の塩基性触媒(C2)とを混合槽21に導入して混合し、次いで重合槽に送ってPC重合工程を行う。上記重合槽は、重合で副生するフェノールを留出させながら縮重合が行うことができるものであれば、特に制限はなく、縦型槽、横型槽、塔形式の槽の何れの槽であってもよい。
上記PL蒸留工程で蒸留回収したs−PL中の水分量は、0.2重量%以下がよく、0.1重量%以下が好ましく、0.05重量%以下がより好ましく、0.01重量%以下がさらに好ましい。0.2重量%より多いと、後述するように、上記DPC製造工程やBPA製造工程に送ったとき、DPC製造工程及びBPA製造工程においては、触媒活性の低下を生じ、また、DPC製造工程においては、加水分解等が生じやすくなる。このため、DPC製造工程やBPA製造工程での製造効率の低下が生じやすい。一方、水分量は少なければ少ないほどよいので、水分量の下限は、0重量%である。
上記第1PL蒸留塔30で留去された低沸留去分(D6)は、上記したように、上記DPC製造工程のDPC洗浄工程や、上記BPA製造工程の水分離工程((b−2)工程)に戻すことにより、PC低沸留去分(D6)中のPLを回収することができる。
上記重合工程において副生したフェノールを含有するPC蒸発成分pは、図5に示すように、熱交換器26,27やコンデンサ28によって液化され、PC用回収PLタンク29に送られる。そして、残りの排ガス(D5)は、処理工程(図示せず)に送られる。
ところで、DPC製造工程とBPA製造工程、及びPC製造工程が同一スケールの場合、図5で示すPC製造工程で生じるs−PLの量は、理論的に、DPC製造工程及びBPA製造工程で原料として使用される量の合計の約半分であり、かつ、DPC製造工程で原料として使用される量と、BPA製造工程で原料として使用される量とは、理論上同一である。そして、不足分は、市販のPL(以下、単に「市販PL」と称する。)で補われる。このため、s−PLや市販PLをどのように使用するかが問題となることがある。
(1.PC製造工程)
上記PC製造工程において、図7に示すように、上記PL蒸留工程の前及び/又は後に、上記PL蒸留工程にかける前のPC蒸発成分pの液化物、及び/又は上記PL蒸留工程で回収されたs−PLを貯蔵するPC貯蔵工程(PC第1貯蔵工程又はPC第2貯蔵工程)を設けることができる。このPC貯蔵工程を設けることにより、PC重合工程が一時的に停止したり、断続的になっても、このPC貯蔵工程で、上記のPC蒸発成分p又はs−PLが貯蔵され、これを次工程である、PL蒸留工程や、DPC反応工程又はBPA反応工程の原料PLとして連続的に供給することができ、次工程を連続的に運転することが可能となる。
10≦(Vc/Fc)≦100 (1)
なお、式(1)において、Vcは、PC貯蔵タンクの容量(m3)を示し、Fcは、PC蒸発成分の液化物又は副生フェノールの供給速度(m3/hr)を示す。
上記DPC製造工程において、図7に示すように、DPC蒸留工程の後に、このDPC蒸留工程で得られたDPCを貯蔵するDPC貯蔵工程を設けることができる。このDPC貯蔵工程を設けることにより、DPC製造工程が一時的に停止したり、断続的になっても、このDPC貯蔵工程で、DPCが貯蔵され、これを次工程である、PC製造工程の原料DPCとして連続的に供給することができ、連続的にPCを製造することが可能となる。
10≦(Vd/Fd)≦100 (2)
なお、式(2)において、Vdは、DPC貯蔵タンクの容量(m3)を示し、Fdは、ジフェニルカーボネートの供給速度(m3/hr)を示す。
上記BPA製造工程において、図7に示すようなPL除去工程((e)工程)の後、又は、図示しないが、BPA晶析・分離工程((c)工程)からPL除去工程((e)工程)までの間に、上記のビスフェノールA(BPA)とフェノール(PL)との混合物を貯蔵するためのBPA貯蔵工程が設けられる。
10≦(Vb/Fb)≦1000 (3)
なお、式(3)において、Vbは、BPA貯蔵タンクの容量(m3)を示し、Fbは、PC重合工程に供されるビスフェノールAの供給量(m3/hr)を示す。
なお、この貯蔵タンクは、1つであってもよく、直列又は並列に複数個設けても良い。複数個設けた場合の上記式(3)のVbは、複数個存在するタンクの容量の合計量を意味する。
(PL蒸留残渣(X2)の処理)
上記のPL蒸留残渣(X2)には、PL、DPC、BPA、DPC及びBPAの1分子同士〜数分子同士が縮重合したオリゴマー等を含有するが、このうち、PL、BPA及びDPCを多く含む。そこで、これらの有効成分を有効活用するため、図8に示すように、上記のPL蒸留残渣(X2)を、上記DPC製造工程の上記の蒸留工程又は回収蒸留工程、又は上記BPA製造工程の上記母液処理工程(工程(g))に送る。
上記DPC製造工程において、上記回収蒸留工程を有さないときの蒸留残渣(X1)、又は、上記回収蒸留工程を有するときの回収蒸留残渣(X1’)には、DPCや、DPCのメチル置換体、DPCの臭素置換体等のDPC系不純物等が含まれ、また、上記PL蒸留残渣(X2)を、上記蒸留工程又は回収蒸留工程に導入した場合は、合わせて、BPA、DPC及びBPAの1分子同士〜数分子同士が縮重合したオリゴマー等を含有するが、このうち、BPA及びDPCを多く含む。そこで、これらの有効成分を有効活用するため、上記蒸留残渣(X1)又は回収蒸留残渣(X1’)を、上記BPA製造工程の上記母液処理工程(工程(g))に送る。
PL蒸留残渣(X2)、蒸留残渣(X1)及び回収蒸留残渣(X1’)の処理法として、上記の方法があげられるが、これらの中でも、上記PL蒸留残渣(X2)を、上記DPC蒸留工程やDPC回収蒸留工程に送り、次いで、上記DPC蒸留工程で生じるDPC蒸留残渣(X1)やDPC回収蒸留残渣(X1’)を、上記BPA母液処理工程(工程(g))に送ることが好ましい。
上記のDPC蒸留工程やPC重合工程、PL蒸留工程の蒸留装置及び重合装置には、留出成分を凝縮する凝縮器、系内を減圧にする真空設備、及び上記凝縮器と真空設備とを繋ぐ真空配管が設けられる。以下において、蒸留装置を例にして説明する。
以下に、s−PLの処理について、本発明を更に具体的に説明する。
[PCの重合工程]
窒素ガス雰囲気下、130℃で、BPA(三菱化学(株)製、後述する参考例2で得られたもの)を34.3kg/hrで、DPC(三菱化学(株)製、後述する参考例1で得られたもの)を33.5kg/hrで溶融混合し、130℃に加熱した原料導入管を介して常圧、窒素雰囲気下、210℃に制御した第1縦型攪拌重合槽内に連続供給し、平均滞留時間が60分になるように槽底部のポリマー排出ラインに設けられたバルブ開度を制御しつつ液面レベルを一定に保った。また、上記原料混合物の供給を開始すると同時に、触媒として水溶液とした炭酸セシウムをBPA1モルに対し、0.5×10−6モルの流量で連続供給した。槽底より排出された重合液は、引き続き第2、3、4の縦型重合槽並びに第5の横型重合器に逐次連続供給された。反応の間、各槽の平均滞留時間が60分になるように液面レベルを制御し、また同時に副生するPLの留去も行った。第1〜3重合槽より蒸発するガスは、それぞれ多段凝縮器で凝縮液化され、一部を各重合槽に還流し、残りをs−PLタンクに回収した。一方、第4〜5重合器より蒸発するガスは、それぞれ、並列2基ある片方のフリーズコンデンサで固化され、他方のフリーズコンデンサとの切替運転により固化分を溶融し、s−PLタンクに回収された。
PCの濃度(C)が0.6g/dlの塩化メチレン溶液を用いて、ウベローデ型粘度計により温度20℃で測定した比粘度(ηsp)から、下記の両式を用いて算出した。
ηsp/C=[η](1+0.28ηsp)
[η]=1.23×10−4(Mv)0.83
PCを窒素雰囲気下、120℃で6時間乾燥した後、(株)日本製鋼所製J−100射出成形機で3mm厚の射出成形片を360℃で製作し、スガ試験機株式会社製SC−1によりYI値を測定した(このYI値が大きいほど着色していることを示す)。
上記重合工程より約30.2kg/hrで回収されたs−PLを分析した結果、DPCが5.0重量%、BPAが0.5重量%、オリゴマーが0.3重量%、水分が0.3重量%検出された。
このs−PLを以下の2塔の蒸留塔で連続的に精製した。第1PL蒸留塔は、200Torr、還流比2で、含有する水を一部PLとともに留去し、缶出液は第2PL蒸留塔へ供給した。第1PL蒸留塔より留出されるPC低沸留去分中のフェノール濃度は、約90重量%であった。次いで、第2PL蒸留塔では、50Torr、還流比0.5で、トップより精製s−PLを約27kg/hrで得た。一方、缶出からはDPC、BPA、及び、オリゴマーをそれぞれ、67重量%、7重量%、及び、4重量%含有するPL混合液を約2.2kg/hrで連続的に抜き出した。
まず、図5の第2PL蒸留塔で留去された脱水後のs−PLをDPC原料として使用し、かつ、第1PL蒸留塔30のs−PLの脱水時に留出されるPC低沸留去分(D6)をDPCの洗浄工程にリサイクルしながら、DPCを製造する方法について、具体的に説明する。
図1に示すフローに準じてDPC製造工程を行った。なお、DPC反応器1は、2つの反応器を直列に連結して用いた。
得られた脱塩酸処理液bと、後述するDPC回収蒸留塔8より回収されたDPC含有回収液dとを混合槽3に送り、続いて、テフロンライニング製のアルカリ中和槽4に送った。そして、約5重量%の水酸化ナトリウム水溶液(25重量%の水酸化ナトリウム水溶液と次工程の水洗後に分離された水相、及び上記s−PL精製工程で得られたPC低沸留去分との混合液)を上記中和槽4に供給し、80℃で約10分間混合した後、pH8.5に調整した。静置分離し、分離した有機相を水洗槽5に移送した。一方、分離後の水相(PLや食塩を含有している)は、水蒸気と接触させて、含有するPLをほぼ全量低沸留去分として回収し、次工程の水洗槽5に供給した。水洗槽5では有機相に対して約30重量%に相当する温水で洗浄され、水相(前述した中和混合槽にリサイクルされる)を分離して、粗製DPC(水、触媒ピリジン、PLを含有する)である水洗処理液fを得た。
次に、上記水洗処理液fを約42kg/hr、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液を70mL/hrで第1DPC蒸留塔6の中段に連続供給した。第1DPC蒸留塔6は内径150mm、高さ4.0mで、上部に還流装置、中央に原料供給部があり、濃縮部および回収部にスルザーパッキング(住友重機械工業(株)製)を充填した、理論段数8段の連続蒸留塔を使用した。真空度20torr、熱媒オイル温度約220℃、トップ温度80〜100℃、還流比1の条件で蒸留してDPCより低沸点物質である水、触媒ピリジン、未反応PLを含む混合ガスFを蒸留除去した。混合ガスFは脱水処理後、一部をパージし、残りを前記DPC第一反応器へ供給した。一方、塔底からは、約37kg/hrでDPCを主とする第1蒸留残渣gを抜き出した。その中の水分は未検出(10ppm以下)であり、ピリジンとPLの含有量はそれぞれ未検出(1ppm以下)と50ppmであった。
更に、この第1蒸留残渣gを第2DPC蒸留塔7に連続供給した。第2DPC蒸留塔7は内径200mm、高さ4.0mで、上部に還流装置、中央に原料供給部があり、濃縮部および回収部にスルザーパッキング(住友重機械工業(株)製)を充填した、理論段数8段の連続蒸留塔を使用した。真空度20torr、熱媒オイル温度約240℃、トップ温度約180℃、還流比0.5、留出率約90%の条件で蒸留して、トップより精製DPCを約33.5kg/hrで得、塔底より高沸物であるDPC蒸留残渣(X1)を約4kg/hrでパージした。精製DPCは、PLを80ppm含有する高純度品であった。
さらに、高沸蒸留塔の塔底よりパージされたDPC蒸留残渣(X1)を同時にDPC回収蒸留塔8に供給し、下記の条件で連続蒸留し、トップより約3.5kg/hrで回収されたDPC含有回収液dは、前述した混合槽3にリサイクルし、缶出液であるDPC回収蒸留塔8は約0.2kg/hrで連続的にパージした。DPCの回収蒸留の条件は、内径100mm、高さ3.0mで、上部に還流装置、中央に原料供給部があり、濃縮部および回収部にスルザーパッキング(住友重機械工業(株)製)を充填した、理論段数8段の連続蒸留塔を使用し、真空度20torr、熱媒オイル温度約240℃、トップ温度180℃、還流比0.5で実施した。また、DPC回収蒸留塔8の缶出液であるDPC回収蒸留残渣(X1’)には、DPCのアルキル置換体とブロム置換体が、それぞれ、約7000重量ppmと約800重量ppm検出された。
上記の精製s−PLの代わりに、市販のPL(三菱化学(株)製)を用いた以外は、実験例1と同様にして、DPCを製造した。
s−PLを用いても、市販のPLの場合と同様の収率が得られ、製造効率が保持されたことが確認された。
上記のs−PL精製工程において、第1PL蒸留塔をバイパスして得られたs−PL(含水率0.3重量%)を用いた以外は、実験例1と同様にしてDPCを製造した。その結果、DPC反応工程での加水分解により、脱塩酸処理液b中のDPC濃度が86重量%まで低下し、製造効率の大幅な低下がみられた。
(BPA製造工程)
図2〜4に示すフローにしたがって、BPAを製造した。すなわち、温度調節器を有する流通式BPA反応器に、4−ピリジンエタンチオールでスルホン酸基の15%を中和した、スルホン酸型酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:商品名 ダイヤイオンSK−104)を60L充填した。このBPA反応器に、PL:アセトンのモル比10:1の混合液を温度80℃、68.2kg/hrの流量で装入し、反応させた。アセトンの転化率は80%であった。反応混合物は、低沸点物(未反応アセトン、水、PLの一部)を5.1kg/hの流量で除去したのち、50℃に冷却して付加物の結晶を析出させた。これを濾過して、付加物の結晶と母液とに分離した。流量はそれぞれ16.5kg/hと46.5kg/hであった。この母液の10wt%を母液処理工程に供給し、他の母液はBPA反応器に装入する原料の一部として循環させた。
次に、図5の第2PL蒸留塔で留去されたs−PLの脱水品をBPA原料として使用し、かつ、s−PLの脱水時に留出されるPC低沸留去分(D6)をBPAの水分離工程に戻しながら、BPAを製造する方法について説明する。
上記の精製s−PLの代わりに、上記のs−PL精製工程において、第1PL蒸留塔をバイパスして得られたs−PL(含水率0.3重量%)を用いた以外は、実験例2と同様にして、BPAを製造した。その結果、BPAの収量に低下がみられた。これは、含有する水によって、反応触媒であるイオン交換樹脂の活性低下が引き起こされたためと考えられる。
参考例2において、精製PLに代えて市販の工業用PLを用いた以外は、参考例2と同様にしてBPAを製造した。その結果、徐々にBPAの収量が低下し、含有するヒドロキシアセトンによる触媒の活性低下が確認された。
次に、s−PLの処理2として、PC重合工程でのPC蒸発成分の処理について、実験例を用いて説明する。
市販PLとCDCからDPCを製造する例を以下に示す。
<反応工程>
溶融した市販PLとピリジン触媒を反応器へ連続供給しながら、150℃の混合下、ホスゲンガスを連続供給した。ホスゲン化反応に伴って副生される塩化水素ガスは10℃まで冷却し、凝縮液は反応器に戻され、未凝縮ガスはアルカリ水溶液で中和後排出した。一方、反応器からはDPCが約91重量%含有する反応液を連続的に抜き出した。反応工程でのホスゲンの反応率はほぼ100%であった。
上記反応液と約5重量%の水酸化ナトリウム水溶液を、それぞれテフロンライニング製の中和混合槽に供給し、80℃下で約10分間混合し、pH8.5に調整した。中和後の有機相は静置分離後、水洗混合槽に移送した。水洗混合槽では有機相に対して約30重量%に相当する温水で洗浄され、水相を分離して、粗製DPC(水1重量%、ピリジン2重量%、PL8重量%、DPC89重量%含有)を得た。
次に、上記粗製DPCを約30kg/hrで低沸蒸留塔の中段に連続供給した。低沸蒸留塔は内径150mm、高さ4.0mで、上部に還流装置、中央に原料供給部があり、濃縮部および回収部にスルザーパッキング(住友重機械工業(株)製)を充填した、理論段数8段の連続蒸留塔を使用した。真空度20torr、熱媒オイル温度約220℃、トップ温度80〜100℃、塔中段温度160℃、還流比1の条件で蒸留してDPCより低沸点物質である水、ピリジン、PLを蒸留留去した。塔底からは、約26kg/hrでDPC(水10重量ppm以下、ピリジン1重量ppm以下、PL50重量ppm)が連続的に抜き出された。
更に、このDPC(低沸蒸留塔の缶出液)を高沸蒸留塔に連続供給した。高沸蒸留塔は内径200mm、高さ4.0mで、上部に還流装置、中央に原料供給部があり、濃縮部および回収部にスルザーパッキング(住友重機械工業(株)製)を充填した、理論段数8段の連続蒸留塔を使用した。真空度20torr、熱媒オイル温度約240℃、トップ温度約180℃、還流比0.5の条件で蒸留して、トップより精製DPCが約23.5kg/hrで得られ、塔底より高沸物(DPCのアルキル置換体とブロム置換体がそれぞれ約350重量ppmと約40重量ppm含有するDPC)が約2.5kg/hrでパージされた。精製DPCは、PL80重量ppm含有する高純度品であった。
市販PLとジメチルカーボネートからDPCを製造する例を以下に記す。
内径50mm、高さ5mの実段数50段のトレイ式蒸留塔(第1反応蒸留塔)の上から10段目に市販PL、ジメチルカーボネート及び触媒としてテトラフェノキシチタンを含む原料液を600g/hr(ジメチルカーボネート390g/hr、PL200g/hr、テトラフェノキシチタン0.5g/hr)の流量でフィードした。塔底をマントルヒーターで加熱して反応蒸留を行い、塔頂からメタノールを含むジメチルカーボネート溶液を還留比12で還留させながら抜き出した。生成したメチルフェニルカーボネート及び少量のDPCを含む塔底液は、塔底から抜き出して、内径80mm、高さ4mの実段数50段のトレイ式蒸留塔(第2反応蒸留塔)の上から10段目にフィードした。第2反応蒸留塔では、更に反応が進行して生成したDPC、メチルフェニルカーボネートを含む液が、塔底から抜き出された。そして、大部分の未反応ジメチルカーボネートと一部の未反応PLは、第2反応蒸留塔の塔頂より留去して第1反応蒸留塔へリサイクルした。
内径32mm、高さ2.5mの実段数30段の蒸留塔(共沸蒸留塔)の中段に第1反応蒸留塔から留出させたメタノールを含むジメチルカーボネートの溶液をフィードして、還留比5で蒸留した。塔頂よりほぼ共沸組成に近いメタノールとジメチルカーボネートの混合液を抜き出し、次いで抽出蒸留塔にフィードした。抽出蒸留塔では、メタノールとジメチルカーボネートを分離し、メタノールは系外にパージされ、ジメチルカーボネートは第1反応蒸留塔へリサイクルした。また、前記の共沸蒸留塔の塔底液は微量のPLを含むジメチルカーボネートであり、これは第1反応蒸留塔へ循環した。
第2反応蒸留塔の塔底から連続的に抜き出された触媒及びDPCを含む高沸点反応混合物は蒸発缶へ導入され、そこで触媒を含む蒸発凝縮液がパージされた。一方、蒸発缶で形成されたDPCを多量に含む蒸発物はジフェニルカーボネート精製塔に供給された。精製塔の塔頂圧力は20Torr、塔底温度は190℃に制御され、塔頂からフェノール及びメチルフェニルカーボネートを含む低沸点混合物を留出し、一部は還流し、残りは前記の第2反応蒸留塔へリサイクルした。一方、ジフェニルカーボネート精製塔の塔底からは高沸不純物をパージし、塔中段からDPCを得た。
市販PLとアセトンからBPAを製造する例を以下に記す。
温度調節器を有する流通式合成反応器に、4−ピリジンエタンチオールでスルホン酸基の15%を中和した、スルホン酸型酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製、商品名ダイヤイオンSK−104)を60L充填した。この合成反応器に、PL:アセトンのモル比が10:1の混合液を温度80℃、68.2kg/hrの流量で装入し、反応させた。アセトンの転化率は80%であった。反応混合物は、低沸点物(未反応アセトン、水、PLの一部)を5.1kg/hの流量でパージしたのち、50℃に冷却して付加物の結晶を析出させた。これを濾過して、付加物の結晶と母液とに分離した。流量はそれぞれ16.5kg/hと46.5kg/hであった。この母液の10wt%を母液処理工程に供給し、他の母液は合成反応器に装入する原料の一部として循環させた。
上記DPCの製造例(1)で得られたDPCと、上記BPAの製造例から得られたBPAから図6に示す工程でPCを製造する例を以下に記す。
上記DPCとBPAを窒素ガス雰囲気下、0.977重量比で混合槽21にて溶融混合し、窒素雰囲気下、210℃、100Torrに制御した第1縦型攪拌重合槽22内に連続供給し、平均滞留時間が60分になるように槽底部のポリマー排出ラインに設けられたバルブ開度を制御しつつ液面レベルを一定に保った。また、上記原料混合物の供給を開始すると同時に、触媒として水溶液とした炭酸セシウムをBPA1モルに対し、0.5×10−6モルの流量で連続供給した。槽底より排出された重合液は、引き続き第2、3の縦型重合槽23,24並びに第4の横型重合器25に逐次連続供給された。反応の間、各槽の平均滞留時間が60分になるように液面レベルを制御し、また同時に副生するPLの留去も行った。第1、2重合槽22,23より蒸発するガスは、それぞれ環流装置33a,33b、及び多段凝縮器26,27で凝縮液化され、一部を各重合槽に還流し、残りを第1PC用回収PLタンク29aに回収した。一方、第3重合槽24より蒸発するガスは、並列2基ある片方のフリーズコンデンサーで固化され、他方のフリーズコンデンサーとの切替運転により固化分を溶融し、第2PC用回収PLタンク29bに回収された。その際、第1,及び第2重合槽22,23より留出されるPC蒸発成分は全てを第1PC用回収PLタンク29aに、第3重合槽24より留出されるPC蒸発成分は第2PC用回収PLタンク29bにそれぞれ貯蔵した。
上記重合工程より回収された各PC蒸発成分の量ならびに組成を測定した結果、以下の通りであった。
・第1PC用回収PLタンク29a
回収された第1PC蒸発成分p1中のフェノール量は、PC重合工程で留出したPL全体量に対して、約60%であった。PL以外にはDPCが1.1重量%検出され、BPA及びオリゴマー成分は未検出であった。
・第2PC用回収PLタンク29b
回収された第2PC蒸発成分p2中のフェノール量は、重合工程で留出したPL全体量に対して、約40%であり、PL以外にDPCが6.0重量%検出され、BPA及びオリゴマー成分がそれぞれ1.2重量%、0.3重量%検出された。
上記DPCの製造例(2)で得られたDPCと、上記BPAの製造例から得られたBPAからPCを製造する例を以下に記す。
DPCとして、前述したDPCの製造例(2)で得られたDPCを使用した以外は、前記PCの製造例(1)と同様の操作を実施した。得られたPCは、Mv=21,000、初期YI=1.7であり、前記芳香族ポリカーボネートの製造例(1)のそれと同等品質であった。
上記重合工程より回収された各PC蒸発成分の量ならびに組成を測定した結果、以下の通りであった。
・第1PC用回収PLタンク29a
回収された第1PC蒸発成分p1中のフェノール量は、PC重合工程で留出したPL全体量に対して、約60%であった。PL以外にはDPCが1.1重量%、メタノールが95重量ppm検出され、BPAおよびオリゴマー成分は未検出であった。
・第2PC用回収PLタンク29b
回収された第2PC蒸発成分p2中のフェノール量は、重合工程で留出したPL全体量に対して、約40%であり、PL以外にDPCが6.0重量%検出され、BPA及びオリゴマー成分がそれぞれ1.2重量%、0.3重量%検出された。メタノールは未検出(5重量ppm以下)であった。
上記PCの製造例(1)で得られた副生フェノールを含むPC蒸発成分を用いて、DPC及びBPAを製造した。
<DPCの製造>
前述したDPCの製造例(1)で使用した市販PLの60%に相当する分を、上記PCの製造例(1)で回収された第1PC蒸発成分p1に変えた以外は、前述したDPCの製造例(1)と同様の操作を行い、DPCを製造した。結果、反応工程でのホスゲン反応率、及び、得られたDPCの品質は何ら変わりなく問題なかった。
前述したBPAの製造例において、合成反応器に連続的に補給される市販PLの40%に相当する分を、上記PCの製造例(1)で回収された第2PC蒸発成分p2に変えた以外は、前述したBPAの製造例と同様の操作を行い、BPAを製造した。結果、アセトンの転化率、ビスフェノールAの品質に問題はなかった。
上記PCの製造例(2)で得られた副生フェノールを含むPC蒸発成分を用いて、DPC及びBPAを製造した。
<DPCの製造>
前述したDPCの製造例(2)で使用した市販PLの60%に相当する分を、上記PCの製造例(2)で回収された第1PC蒸発成分p1に変えた以外は、前述したDPCの製造例(2)と同様の操作を行い、DPCを製造した。結果、同等品質のDPCを得ることができ、メチルフェニルカーボネート由来のメタノールが混入しても問題ないことが確認できた。
前述したBPAの製造例において、合成反応器に連続的に補給される市販PLの40%に相当する分を、上記PCの製造例(2)で回収された第2PC蒸発成分p2に変えた以外は、前述したBPAの製造例と同様の操作を行い、BPAを製造した。結果、アセトンの転化率、BPAの品質に問題はなかった。また、反応原料中のメタノール濃度は未検出であった。
上記PCの製造例(1)で回収された第2PC蒸発成分p2を使用してDPCを製造した。
<DPCの製造>
前述したDPCの製造例(1)で使用した市販PLを全て、上記PCの製造例(1)で回収された第2PC蒸発成分p2に変えた以外は、前述したDPCの製造例(1)と同様の操作を行い、DPCを製造した。結果、反応液を洗浄工程に移送する配管内で閉塞を生じ、運転を継続することができなかった。
上記PCの製造例(2)で回収された第1PC蒸発成分p1を使用してBPAを製造した。
<BPAの製造>
前述したBPAの製造例において、合成反応器に連続的に補給される市販PLを全て、上記PCの製造例(2)で回収された第1PC蒸発成分p1(メタノール95重量ppm含有)に変えた以外は、前述したBPAの製造例に従ってBPAを連続的に製造した。結果、アセトンの転化率が55.0%まで大幅に低下し、含有するメタノールにより触媒性能が低下したと考えられる。また、合成反応時の原料フェノール中のメタノール濃度は、循環する母液にて希釈され、約30重量ppmであった。
次に、s−PLの処理3として、PC蒸発成分p及び市販PLの不純物による使用法の区分けについて、実験例を用いて説明する。
(DPCの製造)
〔反応工程〕
溶融した市販PL(三菱化学(株)製、クレゾール含有量:45重量ppm、ヒドロキシアセトン含有量:27重量ppm、以下、「PL1」と称する。)とピリジン触媒を反応器へ連続供給しながら、150℃の混合下、ホスゲンガスを連続供給した。ホスゲン化反応に伴って副生される塩化水素ガスは10℃まで冷却し、凝縮液は反応器に戻され、未凝縮ガスはアルカリ水溶液で中和後排出した。一方、反応器からはDPCが約91重量%含有する反応液を連続的に抜き出した。
上記反応液と約5重量%の水酸化ナトリウム水溶液を、それぞれテフロンライニング製の中和混合槽に供給し、80℃で約10分間混合しpH8.5に調整した。中和後の有機相は静置分離後、水洗混合槽に移送した。水洗混合槽では有機相に対して約30重量%に相当する温水で洗浄され、水相を分離して、粗製DPC(水1重量%、ピリジン2重量%、PL8重量%、DPC89重量%含有)を得た。
次に、上記粗製DPCを約30kg/hrで低沸蒸留塔の中段に連続供給した。低沸蒸留塔は内径150mm、高さ4.0mで、上部に還流装置、中央に原料供給部があり、濃縮部および回収部にスルザーパッキング(住友重機工業製)を充填した、理論段数8段の連続蒸留塔を使用した。真空度20torr、熱媒オイル温度約220℃、トップ温度80〜100℃、塔中段温度160℃、還流比1の条件で蒸留してDPCより低沸点物質である水、ピリジン、PLを蒸留留去した。塔底からは、約26kg/hrでDPC(水10重量ppm以下、ピリジン1重量ppm以下、PL50重量ppm)が連続的に抜き出された。
更に、このDPC(低沸蒸留塔の缶出液)を高沸蒸留塔に連続供給した。高沸蒸留塔は内径200mm、高さ4.0mで、上部に還流装置、中央に原料供給部があり、濃縮部および回収部にスルザーパッキング(住友重機工業製)を充填した、理論段数8段の連続蒸留塔を使用した。真空度20torr、熱媒オイル温度約240℃、トップ温度約180℃、還流比0.5の条件で蒸留して、トップより精製DPC(PL80重量ppm含有)が約23.5kg/hrで得られた。
上記の市販PL(PL1)の代わりに、三菱化学(株)でのPC製造工場から得られたPC蒸発成分pを以下の条件で蒸留精製した副生フェノール(クレゾール含有量:5重量ppm、ヒドロキシアセトン含有量:1重量ppm以下、以下、「PL2」と称する。)を用いた以外は、実験例1と同様にして、DPCを製造した。
[蒸留精製条件]
第1蒸留塔では、200Torr、還流比2で、含有する水を一部PLとともに留去し、缶出液を第2蒸留塔へ連続供給した。第2蒸留塔では、50Torr、還流比0.5で、トップより精製した副生フェノールを得、缶出からは高沸点の成分であるDPC、BPA、及び、オリゴマーを含有するPL混合液を連続的にパージした。
〔結果〕
市販pLを精製することなく、DPC製造に使用しても、蒸留精製した副生フェノールを用いた場合と同様に、高純度で、変色等の生じない高純度なDPCが得られた。
スルホン酸基の15重量%が4−(2−メルカプトエチル)ピリジンで変性されたスルホン酸型陽イオン交換樹脂(スチレン−ジビニルベンゼン架橋共重合体のスルホン化物(ダイヤイオンSK104H、三菱化学(株)製))を反応器に充填し、これに上記PL(PL2又はPL1)とアセトン(三菱化学(株)製)とからなる原料流体(PL:アセトン=13:1(モル比))をフェノール湿潤触媒基準のLHSV=5hr−1で連続的に流通させながら、70℃の反応温度で、1008時間にわたって、BPAの生成反応を行った。反応開始直後のアセトンの反応率、1008時間経過後のアセトン反応率、及びBPAの選択率を表1に示す。また、反応開始120時間経過後のアセトン反応率に対する1008時間経過後のアセトン反応率の比を、活性維持率として算出した。この結果も合わせて表1に示す。
反応率(%)={(供給アセトン量−未反応アセトン量)/供給アセトン量}×100
活性維持率(%)=(1008時間後のアセトン転化率)/(120時間後のアセトン転化率)×100
PLとして、重合工程で留出したPLを蒸留精製したものを用いた場合、市販PLを用いた場合とは異なり、反応率も触媒の活性維持率も高い保持率を有していた。
次に、製造工程間の連携について、図7に記載のフローしたがって、本発明を更に具体的に説明する。なお、BPA貯蔵工程は、図7と異なり、加熱溶融工程((d)工程)とPL除去工程((e)工程)の間に設けた。
〔BPAの製造〕
温度調節器を有する流通式BPA反応器に、4−ピリジンエタンチオールでスルホン酸基の15%を中和した、スルホン酸型酸性陽イオン交換樹脂(三菱化成(株)製:商品名ダイヤイオンSK−104)を60L充填した。この合成反応器に、PL:アセトン(A)のモル比が10:1の混合液を温度80℃、68.2kg/hrの流量で装入し、反応させた。アセトン(A)の転化率は80%であった。反応混合物は、低沸点物(未反応アセトン、水、PLの一部)を5.1kg/hの流量でパージしたのち、50℃に冷却して付加物の結晶を析出させた。これを濾過して、付加物の結晶と母液とに分離した。流量はそれぞれ16.5kg/hと46.5kg/hであった。この母液の10wt%を母液処理工程に供給し、他の母液は合成反応器に装入する原料の一部として循環させた。
図5に示すフローにしたがって、PCの製造例を以下に記す。
上記連続的に供給されるBPAとDPCを窒素ガス雰囲気下、混合槽21で1.024重量比で溶融混合し、窒素雰囲気下、210℃、100Torrに制御した第1縦型攪拌重合槽22内に連続供給し、平均滞留時間が60分になるように槽底部のポリマー排出ラインに設けられたバルブ開度を制御しつつ液面レベルを一定に保った。また、上記原料混合物の供給を開始すると同時に、触媒として水溶液とした炭酸セシウムをBPA1モルに対し、0.5×10−6モルの流量で連続供給した。槽底より排出された重合液は、引き続き第2、3の縦型重合槽23,24並びに第4の横型重合槽25に逐次連続供給された。反応の間、各槽の平均滞留時間が60分になるように液面レベルを制御し、また同時に副生するPLの留去も行った。第1、2重合槽より蒸発するPC蒸発成分pは、それぞれ多段凝縮器で凝縮液化され、一部を各重合槽に還流し、残りをPC用PLタンク29に回収した。一方、第3,4重合槽24,25より蒸発するガスは、それぞれ、並列2基ある片方のフリーズコンデンサで固化され、他方のフリーズコンデンサとの切替運転により固化分を溶融し、PC用PLタンク29に回収した(図示せず)。
PCの濃度(C)が0.6g/dlの塩化メチレン溶液を用いて、ウベローデ型粘度計により温度20℃で測定した比粘度(ηsp)から、下記の両式を用いて分子量(Mv)を算出した。
ηsp/C=[η](1+0.28ηsp)
[η]=1.23×10−4(Mv)0.83
PCを窒素雰囲気下、120℃で6時間乾燥した後、(株)日本製鋼所(株)製:J−100射出成形機で3mm厚の射出成形片を360℃で製作し、スガ試験機(株)製:SC−1によりYI値を測定した(このYI値が大きいほど着色していることを示す)。
実験例1のBPA製造時のBPA貯蔵タンクの容量を2m3(Vb/Fb=294となる)に変えた以外は、上記実験例1と同様の操作を行い、BPAおよび芳香族ポリカーボネートを連続して製造した。得られた芳香族ポリカーボネートのMvは21,000であり、初期YIは1.8を示した。
また、上記運転を2ヶ月継続したが、その間、芳香族ポリカーボネートの色相(初期YI)は1.8〜1.9を示し、良好な製品を得ることができた。さらに、その後、BPAの合成反応・晶析工程を一時的に約3日ほど停止したが、貯蔵タンクにストックされた混合液を用いて、後工程を連続して運転することができ、得られた製品品質も問題なかった。それ以降、上述の通り、BPAの前工程(BPA貯蔵タンクより前にある工程まで)を、2ヶ月毎に3日間停止する断続運転を行い、該BPAの後工程から芳香族ポリカーボネートの製造までを連続運転して、約半年にわたり、良品質の芳香族ポリカーボネートを連続して得ることができた。
実験例1のBPA製造時のBPA貯蔵タンクの容量を50L(Vb/Fb=7となる)に変えた以外は、上記実験例1と同様の操作を行い、BPAおよび芳香族ポリカーボネートを連続して製造した。得られた芳香族ポリカーボネートのMvは21,000であり、初期YIは1.8を示した。
比較例1において、貯蔵タンクの液面が一定になるように、BPAの前工程(貯蔵タンクより前にある工程まで)の製造速度を調整しながら、連続的にBPAを製造し、得られたBPAは冷却後、造粒されたものを、新たに設けたBPAの粉体ホッパー(容量1m3)に一度貯蔵した。その後、粉体計量フィーダーを用いて、DPC溶液に供給、溶解させながら、上述の通り連続的にPCを製造した。上記粉体ホッパーにBPAが存在している間は、BPA工程を一時的に停止しても、PCの製造速度には問題無かったが、この方法では、溶融しているBPAを粉体にするため一度冷却し、その後溶解のために加熱する必要があり、熱効率の面で不利であった。また、BPAの供給時に粉塵が発生し、ガスラインが閉塞するトラブルが発生した。
比較例1において、貯蔵タンクの液面が一定になるように、貯蔵タンク以降の製造速度を若干上昇させ、連続的にBPAを7.7kg/hrで製造した。得られたBPA単体は、新たに設けた容量2m3のタンクに貯蔵され、内温が160℃にコントロールされた後、比較例1と同様に、7.2kg/hrでPCの製造原料として供給した。得られたPCの初期YIは1.8であったが、運転を継続するにつれて、色相が明らかに悪化し始め、BPA単体で溶融保持すると品質は大幅に悪化した。
次に、BPA製造工程、DPC製造工程及びPC製造工程を連携し、各製造工程にBPA、DPC、PC貯蔵工程を設けた実験例を以下に記す。
〔BPAの製造〕
上記実験例1と同様に実施した。
<反応工程>
温度50℃の溶融フェノールを6.4kg/hr、触媒として、後述する低沸蒸留塔から留出した低沸点物質を脱水処理したピリジン含有フェノールを第一反応器へ連続供給しながら、150℃へ昇温した。十分に攪拌を行いながら、ホスゲンガス0.75Nm3/hrを第一反応器へ連続供給した。第一反応器から流出した反応混合物は、気液混相にてオーバーフロー管を介して第二反応器へ供給した。第二反応器も十分な攪拌状態のもと150℃に調整し、反応液は脱ガス塔へ供給し、脱ガス塔では、中間体であるフェニルクロロフォーメートとフェノールの押し切り反応を完結すべく、窒素ガスによる向流接触を160℃で実施した。脱ガス塔底からは、ジフェニルカーボネートが約89重量%の反応液が連続的に抜き出された。供給されたホスゲンは、そのほぼ100%がジフェニルカーボネートに転換された。一方、ジフェニルカーボネート合成時の排ガス(第二反応器からの反応排ガス及び脱ガス塔からの窒素含有排ガス)は、混合した後、10℃まで冷却され、凝縮液は第二反応器へ戻され、未凝縮ガスの塩化水素はアルカリ水溶液で中和され、排出した。
得られた反応液と、後述する回収蒸留塔より回収されたジフェニルカーボネートと、約5重量%の水酸化ナトリウム水溶液(25重量%の水酸化ナトリウム水溶液と次工程の水洗後に分離された水相との混合液)を、それぞれテフロンライニング製の中和混合槽に供給し、80℃で約10分間混合しpH8.5に調整した。中和後の有機相は静置分離後、水洗混合槽に移送した。一方、分離後の水相(フェノールや食塩を含有している)は、水蒸気と接触させて、含有するフェノールをほぼ全量フェノール含有水として回収し、次工程の水洗混合槽に供給した。水洗混合槽では有機相に対して約30重量%に相当する温水で洗浄され、水相(前述した中和混合槽にリサイクルされる)を分離して、粗製ジフェニルカーボネート(水、触媒ピリジン、フェノールを含有する)を得た。
次に、上記粗製ジフェニルカーボネートを約9kg/hr、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液を15mL/hrで低沸蒸留塔の中段に連続供給した。低沸蒸留塔は内径100mm、高さ4.0mで、上部に還流装置、中央に原料供給部があり、濃縮部および回収部にスルザーパッキング(住友重機械工業製)を充填した、理論段数8段の連続蒸留塔を使用した。真空度20torr、熱媒オイル温度約220℃、トップ温度80〜100℃、還流比1の条件で蒸留してジフェニルカーボネートより低沸点物質である水、触媒ピリジン、未反応フェノールを蒸留除去した。低沸点物質は脱水処理後、一部をパージし、残りを前記ホスゲン化第一反応器へ供給した。一方、塔底からは、約7.8kg/hrでジフェニルカーボネートを抜き出し、その中の水分は未検出(10ppm以下)であり、ピリジンとフェノールの含有量はそれぞれ未検出(1ppm以下)と50ppmであった。
更に、このジフェニルカーボネート(低沸蒸留塔の缶出液)を高沸蒸留塔に連続供給した。高沸蒸留塔は内径100mm、高さ4.0mで、上部に還流装置、中央に原料供給部があり、濃縮部および回収部にスルザーパッキング(住友重機械工業製)を充填した、理論段数8段の連続蒸留塔を使用した。真空度20torr、熱媒オイル温度約240℃、トップ温度約180℃、還流比0.5、留出率約90%の条件で蒸留して、トップより精製ジフェニルカーボネートを約7.1kg/hr(7L/hr)で得、塔底より高沸物を約0.8kg/hrでパージした。精製ジフェニルカーボネートは、フェノールを80ppm含有する高純度品であり、SUS316製の容量200Lのタンク(明細書に記載のVd/Fd=29となる)に100℃で一定量(約100L)貯蔵された後、7L/hrでPC重合原料として供給された。
さらに、高沸蒸留塔の塔底よりパージされた缶出液を同時に回収蒸留塔に供給し、下記の条件で連続蒸留し、トップより約0.7kg/hrで回収されたジフェニルカーボネートは前述した中和混合槽にリサイクルし、缶出液は約0.04kg/hrで連続的にパージした。ジフェニルカーボネートの回収蒸留の条件は、内径50mm、高さ3.0mで、上部に還流装置、中央に原料供給部があり、濃縮部および回収部にスルザーパッキング(住友重機械工業製)を充填した、理論段数8段の連続蒸留塔を使用し、真空度20torr、熱媒オイル温度約240℃、トップ温度180℃、還流比0.5で実施した。また、回収蒸留塔の缶出液には、ジフェニルカーボネートのアルキル置換体とブロム置換体が、それぞれ、約7000重量ppmと約800重量ppm検出された。
<重合工程>
窒素ガス雰囲気下、130℃で、上記で得られたビスフェノールAを7.2kg/hrで、ジフェニルカーボネートを7.1kg/hrで溶融混合し、130℃に加熱した原料導入管を介して常圧、窒素雰囲気下、210℃に制御した第1縦型攪拌重合槽内に連続供給し、平均滞留時間が60分になるように槽底部のポリマー排出ラインに設けられたバルブ開度を制御しつつ液面レベルを一定に保った。また、上記原料混合物の供給を開始すると同時に、触媒として水溶液とした炭酸セシウムをビスフェノールA1モルに対し、0.5×10−6モルの流量で連続供給した。槽底より排出された重合液は、引き続き第2、3、4の縦型重合槽並びに第5の横型重合槽に逐次連続供給された。反応の間、各槽の平均滞留時間が60分になるように液面レベルを制御し、また同時に副生するフェノールの留去も行った。第1〜3重合槽より蒸発するガスは、それぞれ多段凝縮器で凝縮液化され、一部を各重合槽に還流し、残りを副生フェノールタンクに回収した。一方、第4〜5重合槽より蒸発するガスは、それぞれ、並列2基ある片方のフリーズコンデンサーで固化され、他方のフリーズコンデンサーとの切替運転により固化分を溶融し、上記の副生フェノールタンクに回収された。
ポリカーボネートの濃度(C)が0.6g/dlの塩化メチレン溶液を用いて、ウベローデ型粘度計により温度20℃で測定した比粘度(ηsp)から、下記の両式を用いて算出した値である。
ηsp/C=[η](1+0.28ηsp)
[η]=1.23×10−4×(Mv)0.83
ポリカーボネート樹脂を窒素雰囲気下、120℃で6時間乾燥した後、(株)日本製鋼所製J−100射出成形機で3mm厚の射出成形片を360℃で製作し、スガ試験機株式会社製SC−1によりYI値を測定した(このYI値が大きいほど着色していることを示す)。
上記重合工程より約6.3kg/hr(6L/hr)で回収された副生フェノールは前述した副生フェノールタンク(SUS304製の容量200Lタンク。明細書に記載のVc/Fc=33となる)に一定量(約100L)貯蔵した後、以下の蒸留精製を行い、DPC製造原料としてリサイクルした。不足分は、市販PLを一部補充した。
第1の蒸留塔は、200Torr、還流比2で、含有する水を一部フェノールとともに留去し、缶出液は第2蒸留塔へ供給した。第2蒸留塔では、50Torr、還流比0.5で、トップより精製フェノールを約5.8kg/hrで得、精製フェノールタンクを経由して、DPC製造工程に供給した。一方、缶出からはジフェニルカーボネート、ビスフェノールA、及び、オリゴマーをそれぞれ、67重量%、7重量%、及び、4重量%含有するフェノール混合液を連続的に抜き出した。
次に、排液処理について、本発明を更に具体的に説明する。なお、まず、粘度平均分子量(Mv)及び初期色相(YI)の測定方法は、上記の通りである。
(DPC製造工程)
図1に記載のフローにしたがって行った。以下に、詳細を示す。
〔DPC反応工程〕
溶融PLとピリジン触媒をDPC反応器1へ連続供給しながら、150℃の混合下、ホスゲン(CDC)ガスを連続供給した。次いで、脱塩酸塔2に送り、ホスゲン化反応に伴って副生される塩化水素ガス(D1)は10℃まで冷却し、凝縮液は反応器に戻され、未凝縮ガスはアルカリ水溶液で中和後排出した。一方、脱塩酸塔2からはDPCが約91重量%含有する脱塩酸処理液bを連続的に抜き出した。
上記脱塩酸処理液bを混合槽3に送り、続いて、テフロンライニング製のアルカリ中和槽4に送った。また、約5重量%の水酸化ナトリウム水溶液を、アルカリ中和槽4に供給し、80℃下で約10分間混合し、pH8.5に調整した。中和後の有機相は静置分離後、水洗槽5に移送した。水洗槽5では有機相に対して約30重量%に相当する温水で洗浄され、水相を分離して、粗製DPC(水1重量%、ピリジン2重量%、PL8重量%、DPC89重量%含有)である水洗処理液fを得た。
次に、上記水洗処理液fを約30kg/hrで第1PL蒸留塔6の中段に連続供給した。第1PL蒸留塔6は内径150mm、高さ4.0mで、上部に還流装置、中央に原料供給部があり、濃縮部および回収部にスルザーパッキング(住友重機械工業(株)製)を充填した、理論段数8段の連続蒸留塔を使用した。真空度20torr、熱媒オイル温度約220℃、トップ温度80〜100℃、塔中段温度160℃、還流比1の条件で蒸留してDPCより低沸点物質である水、ピリジン、PLを含む混合ガスF蒸留留去した。塔底からは、約26kg/hrでDPC(水10重量ppm以下、ピリジン1重量ppm以下、PL50重量ppm)を含む缶出液である第1蒸留残渣gが連続的に抜き出された。
更に、この第1蒸留残渣gを第2PL蒸留塔7に連続供給した。第2PL蒸留塔7は内径200mm、高さ4.0mで、上部に還流装置、中央に原料供給部があり、濃縮部および回収部にスルザーパッキング(住友重機械工業(株)製)を充填した、理論段数8段の連続蒸留塔を使用した。真空度20torr、熱媒オイル温度約240℃、トップ温度約180℃、還流比0.5の条件で蒸留して、トップより精製DPCが約23.5kg/hrで得られ、塔底より高沸物(DPCのアルキル置換体とブロム置換体がそれぞれ約350重量ppmと約40重量ppm含有するDPC)であるDPC蒸留残渣(X1)が約2.5kg/hrでパージされた。精製DPCは、PLを80重量ppm含有する高純度品であった。
〔PC重合工程〕
図5に示すフローにしたがって行った。すなわち、上記DPC製造工程で得られた精製DPCとBPAを窒素ガス雰囲気下、混合槽21において、0.977重量比で溶融混合し、130℃に加熱した原料導入管を介して常圧、窒素雰囲気下、210℃に制御した縦型第1重合槽22内に連続供給し、平均滞留時間が60分になるように槽底部のポリマー排出ラインに設けられたバルブ開度を制御しつつ液面レベルを一定に保った。また、上記原料混合物の供給を開始すると同時に、触媒として水溶液とした炭酸セシウムをBPA1モルに対し、0.5×10−6モルの流量で連続供給した。槽底より排出された重合液は、引き続き第2、3の縦型重合槽並びに第4の横型重合器に逐次連続供給された。反応の間、各槽の平均滞留時間が60分になるように液面レベルを制御し、また同時に副生するPLの留去も行った。第1〜3重合槽より蒸発するPC蒸発成分pは、それぞれ多段凝縮器で凝縮液化され、一部を各重合槽に還流し、残りをPC用回収PLタンク29に回収した。一方、第4重合器より蒸発するガスは、並列2基ある片方のフリーズコンデンサで固化され、他方のフリーズコンデンサとの切替運転により固化分を溶融し、PC用回収PLタンク29に回収された(図示せず)。
上記PC重合工程より回収されたPC蒸発成分pを分析した結果、DPCが5.0重量%、BPAが0.5重量%、オリゴマーが0.3重量%、水分が0.2重量%検出された。
このPC蒸発成分pを以下の2塔の蒸留塔(第1PL蒸留塔30,第2PL蒸留塔31)で連続的に精製した。第1PL蒸留塔30は、200Torr、還流比2で、含有する水を一部PLとともにPC低沸留去分(D6)として留去し、缶出液である第1段蒸留残渣qは、第2PL蒸留塔31へ連続供給した。第2PL蒸留塔31では、50Torr、還流比0.5で、トップより精製PLを得、缶出からはDPC、BPA、及び、オリゴマーをそれぞれ、67重量%、7重量%、及び、4重量%含有するPL蒸留残渣(X2)を連続的にパージした。
上記PC製造工程の副生PL精製工程よりパージされたPL蒸留残渣(X2,PL22重量%、DPC67重量%、BPA7重量%、オリゴマー4重量%含有)を上記DPC製造工程の第1DPC蒸留塔6へ供給し、次いで、第1DPC蒸留塔6の缶出液である第1蒸留残渣gを第2DPC蒸留塔7へ供給した。その結果、上記PL蒸留残渣(X2)のうちPLのほぼ100%が第1DPC蒸留塔6のトップより回収され、DPCの約半分が第2DPC蒸留塔7のトップより回収され、上記PL蒸留残渣(X2)を既存の所定の工程にリサイクルするだけで有効成分が効率的に回収できた。
以上の操作を実施しながら、前述の如くDPC及びPCを製造した結果、得られたDPC及びPCの品質には何ら問題が無かった。
(DPC製造工程)
図1に記載のフローにしたがって行った。以下に、詳細を示す。
〔回収蒸留工程〕
実験例1のDPC製造工程の高沸蒸留工程よりパージされたDPC蒸留残渣(X1)をDPC回収蒸留塔8に供給し、下記の条件で連続蒸留し、トップよりDPC含有回収液dを留出回収した。回収された留出分は、DPC製造工程の洗浄工程にリサイクルし、歩留まりを向上させた。一方、DPC回収蒸留塔の缶出からは高沸物(DPCのアルキル置換体とブロム置換体がそれぞれ約7000重量ppmと約800重量ppm含有するDPC)であるDPC回収蒸留残渣(X1’)が連続的にパージされた。
その他の操作は、実験例1と同様に行い、精製DPC(PL80重量ppm含有)の高純度品を製造し、PCを製造した。
上記PC製造工程のPL蒸留工程よりパージされたPL蒸留残渣(X2,PL22重量%、DPC67重量%、BPA7重量%、オリゴマー4重量%含有)を上記DPC製造工程のDPC回収蒸留塔8へ供給した。その結果、上記蒸留残渣のうちPLのほぼ100%とDPCの約80重量%が回収蒸留塔のトップより回収され、上記PL蒸留残渣X2を既存の所定の工程にリサイクルするだけで有効成分が効率的に回収できた。
以上の操作を実施しながら、前述の如くDPC及びPCを製造した結果、得られたDPC及びPCの品質には何ら問題が無かった。
(BPA製造工程)
図2〜4に示すフローで行った。温度調節器を有する流通式BPA反応器に、4−ピリジンエタンチオールでスルホン酸基の15%を中和した、スルホン酸型酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:商品名 ダイヤイオン SK−104)を60L充填した。このBPA反応器に、PL:アセトンのモル比10:1の混合液を温度80℃、68.2kg/hrの流量で装入し、反応させた。アセトンの転化率は80%であった。反応混合物は、低沸点物(未反応アセトン、水、PLの一部)を5.1kg/hの流量でパージしたのち、50℃に冷却して付加物の結晶を析出させた。これを濾過して、付加物の結晶と母液とに分離した。流量はそれぞれ16.5kg/hと46.5kg/hであった。この母液の10wt%を母液処理工程に供給し、他の母液は合成反応器に装入する原料の一部として循環させた。
前述のBPA反応器へは、系外へパージされた量及び得られたBPAの量に対応する量のアセトン(3.6kg/h)とPL(18.5kg/h)とを補給し、合成反応を連続的に行い、上記の系全体としてBPAを連続的に製造した。
上記DPC製造工程のDPC蒸留残渣(X1,DPCのアルキル置換体:約350重量ppm、DPCのブロム置換体約40重量ppm、残りはDPC)を0.11kg/hの流量で、PC製造工程の副生PL精製工程よりパージされたPL蒸留残渣(X2,PL22重量%、DPC67重量%、BPA7重量%、オリゴマー4重量%含有)を0.15kg/hの流量で、上記BPA製造工程の母液処理工程((g)工程)へ供給した。このとき、残渣反応器14の塔底の液レベルは一定の条件で運転し(滞留時間:1hr)、塔底液は0.6kg/hで系外にパージした。
以上の操作を実施しながら、前述の如くBPA、DPC及びPCを製造した結果、得られたBPA、DPC及びPCの品質には何ら問題が無かった。
(DPC製造工程のDPC回収蒸留残渣(X1’)とPC製造工程のPL蒸留残渣(X2)を、BPA製造工程の母液処理工程に送る例)
上記DPC製造工程のDPC回収蒸留残渣(X1’,DPCのアルキル置換体:約7000重量ppm、DPCのブロム置換体約800重量ppm、残りはDPC)を0.11kg/hの流量で、PC製造工程の副生PL精製工程よりパージされたPL蒸留残渣(X2,PL22重量%、DPC67重量%、BPA7重量%、オリゴマー4重量%含有)を0.15kg/hの流量で、上記BPA製造工程の母液処理工程((g)工程)へ供給した。このとき、残渣反応器14の塔底の液レベルは一定の条件で運転し(滞留時間 1hr)、塔底液は0.6kg/hで系外にパージした。
以上の操作を実施しながら、前述の如くBPA、DPC及びPCを製造した結果、得られたBPA、DPC及びPCの品質には何ら問題が無かった。
(PC製造工程のPL蒸留残渣(X2)を、DPC製造工程の回収蒸留工程に送り、DPC回収蒸留残渣(X1’)をBPA製造工程の母液処理工程に送る例)
上記PC製造工程の副生PL精製工程よりパージされたPL蒸留残渣(X2、PL22重量%、DPC67重量%、BPA7重量%、オリゴマー4重量%含有)を上記DPC製造工程のDPC回収蒸留塔8へ供給し、DPC回収蒸留塔8より留出された有効成分は上記DPC製造工程の洗浄工程にリサイクルし、かつ、DPC回収蒸留塔8の缶出液であるDPC回収蒸留残渣(X1’)は、上記BPA製造工程の母液処理工程((g)工程)に供給し、該工程で回収された有効成分をBPA製造工程の合成原料として使用した。以上の操作を実施しながら、BPA、DPC及びPCを400時間連続して運転した結果、得られたBPA、DPC及びPCの品質には何ら問題が無く、高沸廃棄物はBPA製造工程の母液処理工程からの排出にまとめられ、その量は激減し、歩留まりが大幅に向上した。
2 脱塩酸塔
3 混合槽
4 アルカリ中和槽
5 水洗槽
6 第1DPC蒸留塔
7 第2DPC蒸留塔
8 DPC回収蒸留塔
12 PL分離塔
13 フェノール蒸発器
14 残渣反応器
15 再生反応器
22 第1重合槽
23 第2重合槽
24 第3重合槽
25 第4重合器
26 熱交換器
27 熱交換器
28 コンデンサ
29 PC用回収PLタンク
29a 第1PC用回収PLタンク
29b 第2PC用回収PLタンク
30 第1PL蒸留塔
31 第2PL蒸留塔
32 押出機
33a,33b 環流装置
42 凝縮器
43 真空設備
44 真空配管
45 凝縮液タンク
46 送液ポンプ
47 還流配管
48 ミストキャッチャー
49 液抜き口
50 供給口
52 弁
53 液抜き口
54 液抜き口
55 供給口
56 弁
57 取り出し口
BPA ビスフェノールA
C1 アルカリ系触媒
C2 塩基性触媒
CDC ホスゲン
D1 塩酸ガス
D2 中和排水
D3 排水
D4 BPA低沸留去分
D5 排ガス
D6 PC低沸留去分
D7 廃液
DPC ジフェニルカーボネート
E1 アルカリ性水溶液
F 混合ガス
I 酸
J 添加剤
p PC蒸発成分
p1 第1PC蒸発成分
p2 第2PC蒸発成分
PL フェノール
s−PL 副生フェノール
W 水
X1 DPC蒸留残渣
X1’ 回収蒸留残渣
X2 PL蒸留残渣
b 脱塩酸処理液
d DPC含有回収液
e 中和処理液
f 水洗処理液
g 第1蒸留残渣
k PL回収液
p PC蒸発成分
q 第1段蒸留残渣
Claims (41)
- フェノール(PL)及びカルボニル化合物を原料とし、ジフェニルカーボネート(DPC)を製造するジフェニルカーボネート(DPC)製造工程、
及び/又は、フェノール(PL)及びアセトンを原料としてビスフェノールA(BPA)を製造するビスフェノールA(BPA)製造工程、
並びに、上記ジフェニルカーボネート(DPC)及びビスフェノールA(BPA)を原料とし、PC重合工程を経て芳香族ポリカーボネート(PC)を製造すると共に、副生フェノールを回収する芳香族ポリカーボネート(PC)製造工程を含む、芳香族ポリカーボネートの製造方法において、
上記ジフェニルカーボネート(DPC)製造工程は、DPC反応工程及びDPC蒸留工程を有する工程であり、
上記芳香族ポリカーボネート(PC)製造工程のうち、副生フェノールを回収する工程は、上記PC重合工程でのPC蒸発成分を液化してPL蒸留工程にかけ、このPC蒸発成分から、水を一部のフェノール(PL)と共に留去させた成分であるPC低沸留去分を除去することによって、副生フェノールを回収する工程であり、
上記芳香族ポリカーボネート(PC)製造工程で回収される副生フェノールを上記ジフェニルカーボネート(DPC)製造工程、及び/又はビスフェノールA(BPA)製造工程の原料として用い、
かつ、上記PL蒸留工程で生じるPL蒸留残渣を、上記DPC蒸留工程に送ることを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法。 - 上記ビスフェノールA製造工程は、BPA反応工程、BPA低沸除去工程及びBPA晶析・分離工程を有すると共に、上記BPA低沸除去工程から排出されるBPA低沸留去分をBPA水分離工程にかけてフェノール回収液を回収する工程を有することを特徴とする請求項1に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
- 上記PL蒸留工程で除去されるPC低沸分中のフェノール濃度が50〜99.8重量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
- 上記ジフェニルカーボネート製造工程は、上記のDPC反応工程とDPC蒸留工程の間にDPC洗浄工程を有し、
上記PL蒸留工程で発生するPC低沸留去分を、上記DPC洗浄工程に送ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。 - 上記PL蒸留工程で発生するPC低沸留去分を、上記BPA水分離工程に送ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
- 上記ビスフェノールA製造工程で原料として使用されるフェノール中の、ヒドロキシアセトンの含有量が10重量ppm未満であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
- 上記BPA反応工程に用いられる酸触媒が、メルカプト基を有する化合物で変性されたスルホン酸型陽イオン交換樹脂である請求項1乃至6のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
- 上記PL蒸留工程の前及び/又は後に、上記PL蒸留工程にかける前のPC蒸発成分の液化物、及び/又は上記PL蒸留工程で回収された副生フェノールを貯蔵するPC貯蔵工程を設け、このPC貯蔵工程に用いられるPC貯蔵タンクの容量を、下記式(1)の条件を満たす容量とすることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
10≦(Vc/Fc)≦100 (1)
(なお、式(1)において、Vcは、PC貯蔵タンクの容量(m3)を示し、Fcは、PC蒸発成分の液化物又は副生フェノールの供給速度(m3/hr)を示す。) - 上記DPC蒸留工程の後に、このDPC蒸留工程で得られたジフェニルカーボネートを貯蔵するDPC貯蔵工程を設け、このDPC貯蔵工程に用いられるDPC貯蔵タンクの容量を、下記式(2)の条件を満たす容量とすることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
10≦(Vd/Fd)≦100 (2)
(なお、式(2)において、Vdは、DPC貯蔵タンクの容量(m3)を示し、Fdは、ジフェニルカーボネートの供給速度(m3/hr)を示す。) - 上記BPA晶析・分離工程と、上記PC重合工程との間に、ビスフェノールAとフェノールとの混合物を貯蔵するBPA貯蔵工程を設けることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
- 上記BPA貯蔵工程に用いられるBPA貯蔵タンクの容量を、下記式(3)の条件を満たす容量とすることを特徴とする請求項10に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
10≦(Vb/Fb)≦1000 (3)
(なお、式(3)において、Vbは、BPA貯蔵タンクの容量(m3)を示し、Fbは、PC重合工程に供されるビスフェノールAの供給量(m3/hr)を示す。) - 上記BPA貯蔵工程で貯蔵される上記ビスフェノールAとフェノールとの混合物が、ビスフェノールAとフェノールとの付加物結晶、ビスフェノールAとフェノールとの付加物結晶を含むスラリー、ビスフェノールAとフェノールとの混合液のいずれかの形態であることを特徴とする請求項10又は11に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
- 上記BPA晶析工程とPC重合工程との間、又はそれより前の工程に、中和工程を設けることを特徴とする請求項10乃至12のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
- 上記のBPA反応工程からBPA晶析工程に至る工程を断続的に行うと共に、上記PC重合工程を連続的に行うことを特徴とする請求項10乃至13のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
- 上記ジフェニルカーボネート製造工程は、上記DPC蒸留工程のDPC蒸留残渣からジフェニルカーボネートを回収するDPC回収蒸留工程を有し、
上記PL蒸留工程で生じるPL蒸留残渣を、上記DPC蒸留工程及び/又はDPC回収蒸留工程に送ることを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。 - 上記ビスフェノールA製造工程は、上記BPA晶析・分離工程から排出される母液の一部又は全部を、BPA母液処理工程に送って母液中の副生物を減少させ、次いで、ビスフェノールA製造の原料として使用されるフェノールの一部又は全部として用いる工程を有し、
上記PL蒸留工程で生じるPL蒸留残渣、及び/又は上記DPC蒸留工程で生じるDPC蒸留残渣を、上記ビスフェノールA製造工程の上記BPA母液処理工程に送ることを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。 - 上記PL蒸留工程で生じるPL蒸留残渣、並びに/又は、上記DPC蒸留工程で生じるDPC蒸留残渣及び/若しくは上記DPC回収蒸留工程で生じるDPC回収蒸留残渣を、上記ビスフェノールA製造工程の上記BPA母液処理工程に送ることを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
- 上記PL蒸留工程で生じるPL蒸留残渣を、上記DPC蒸留工程に送り、次いで、上記DPC蒸留工程で生じる蒸留残渣を、上記BPA母液処理工程に送ることを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
- 上記PL蒸留工程で生じるPL蒸留残渣を、上記DPC蒸留工程及び/又はDPC回収蒸留工程に送り、次いで、上記DPC蒸留工程で生じるDPC蒸留残渣及び/又はDPC回収蒸留残渣を、上記BPA母液処理工程に送ることを特徴とする請求項1乃至18のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
- 上記BPA母液処理工程は、母液の一部又は全部に塩基性物質を加えて加熱することによって、フェノール及びフェノール誘導体を生じさせ、次いで、このフェノール及びフェノール誘導体を、酸触媒又はアルカリ触媒を用いて反応させることにより、ビスフェノールAを得ることを特徴とする請求項17乃至19のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
- 上記塩基性物質が水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムであることを特徴とする請求項20に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
- 上記DPC蒸留工程の蒸留塔に、留出する物質を凝縮する凝縮器、系内を減圧にする真空設備、及び、上記凝縮器と上記真空設備とを繋ぐ真空配管を設け、
上記真空配管は、上記凝縮器側から上記真空設備側へ向かって下向きの傾斜を有しており、かつ、上記凝縮器側から上記真空設備側へ向かって上方に立ち上がる部分の高さの合計が1m以下であることを特徴とする請求項1乃至21のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。 - 上記PC重合工程でのPC蒸発成分を液化する工程に用いられる重合装置に、留出するPC蒸発成分を凝縮する凝縮器、重合系内を減圧にする真空設備、及び上記凝縮器と真空設備とを繋ぐ真空配管を設け、
上記真空配管は、上記凝縮器側から上記真空設備側へ向かって下向きの傾斜を有しており、かつ、上記凝縮器側から上記真空設備側へ向かって上方に立ち上げる部分の高さの合計が1m以下であることを特徴とする請求項1乃至22のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。 - 上記PL蒸留工程の蒸留塔に、留出する物質を凝縮する凝縮器、系内を減圧にする真空設備、及び、上記凝縮器と上記真空設備とを繋ぐ真空配管を設け、
上記真空配管は、上記凝縮器側から上記真空設備側へ向かって下向きの傾斜を有しており、かつ、上記凝縮器側から上記真空設備側へ向かって上方に立ち上がる部分の高さの合計が1m以下であることを特徴とする請求項1乃至23のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。 - 上記真空配管が、上記蒸留塔及び/又は重合装置からの留出物の融点以上に内部を加熱保温する設備を有することを特徴とする請求項23又は24に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
- 上記真空配管の上記真空設備側に、少なくとも一つの液抜き口を設けることを特徴とする請求項22乃至25のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
- 上記真空配管の上記凝縮器側に、加熱流体を供給可能な供給口を設けることを特徴とする請求項22乃至26のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
- 上記供給口から、上記加熱流体を供給することにより、上記真空配管を洗浄することを特徴とする請求項27に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
- 上記加熱流体が、水蒸気、フェノール、窒素のうち少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項27又は28に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
- 上記ジフェニルカーボネート製造工程で原料として使用されるフェノールとして、クレゾール及び/又はキシレノールを20〜1000重量ppm含有するフェノールを用い、
上記ビスフェノールA製造工程で原料として使用されるフェノールの少なくとも一部として、上記芳香族ポリカーボネート製造工程の重合工程で生じるフェノールを用いることを特徴とする請求項1乃至29のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。 - 上記ビスフェノールA製造工程で原料として使用されるフェノール中の、クレゾール及び/又はキシレノールの含有量が20重量ppm未満であることを特徴とする請求項30に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
- 上記ビスフェノールA製造工程で原料として使用されるフェノールの少なくとも一部として、上記芳香族ポリカーボネート製造工程の重合工程で生じるフェノールを、水を除去する工程を経た後に用いることを特徴とする請求項30又は31に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
- 上記ビスフェノールA製造工程は、BPA反応工程、BPA低沸除去工程及びBPA晶析・分離工程を有すると共に、上記BPA低沸除去工程から排出されるBPA低沸留去分をBPA水分離工程にかけてフェノールを回収する工程を有し、
上記の水を除去する工程が、上記ビスフェノールA製造工程の水分離工程であることを特徴とする請求項32に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。 - 上記水を除去する工程に次いで、フェノールより高沸点の成分を分離するBPA高沸分分離工程を有することを特徴とする請求項32又は33に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
- 上記ビスフェノールA製造工程は、上記BPA晶析・分離工程から排出される母液の一部又は全部を、BPA母液処理工程に送って母液中の副生物を減少させ、次いで、ビスフェノールA製造の原料として使用されるフェノールの一部又は全部として用いる工程を有し、
上記BPA高沸分除去工程で得られたフェノールより高沸点の成分を、上記BPA母液処理工程に送ることを特徴とする請求項34に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。 - 上記芳香族ポリカーボネート製造工程で副生するフェノールのうち、50〜95重量%を上記ジフェニルカーボネート製造工程で使用するフェノールの少なくとも一部として使用し、かつ、50〜5重量%を上記ビスフェノールA製造工程の原料の少なくとも一部として使用することを特徴とする請求項1乃至35のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
- 上記芳香族ポリカーボネート製造工程で副生するフェノールのうち、50〜70重量%を上記ジフェニルカーボネート製造工程で使用するフェノールの少なくとも一部として使用し、かつ、50〜30重量%を上記ビスフェノールA製造工程の原料の少なくとも一部として使用することを特徴とする請求項36に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
- 上記芳香族ポリカーボネート製造工程における重合工程は、少なくとも3槽の重合槽から構成され、上記重合槽のうち、第1槽、又は第1槽及び第2槽から回収される副生フェノールを上記ジフェニルカーボネート製造工程で使用するフェノールの少なくとも一部として使用し、かつ、上記重合槽のうち、第2槽以降、又は第3槽以降の重合槽から回収される副生フェノールを上記ビスフェノールA製造工程で使用するフェノールの少なくとも一部として使用することを特徴とする請求項1乃至37のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
- 上記ジフェニルカーボネート製造工程で使用される副生フェノールは、ジフェニルカーボネートより高沸点を有する高沸点化合物を1.0重量%以下含有する請求項36乃至38のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
- 上記ジフェニルカーボネート製造工程で使用される副生フェノールが得られる上記重合槽は、蒸発成分を還流する還流装置を有する請求項36乃至39のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
- 上記カルボニル化合物がジアルキルカーボネート及び/又はアルキルアリールカーボネートであり、上記芳香族ポリカーボネート製造工程で副生するフェノールを上記ビスフェノールA製造工程の原料の一部として使用するとき、上記の原料として用いられるフェノールには、ジアルキルカーボネート及びアルキルアリールカーボネート、並びにジアルキルカーボネート及び/又はアルキルアリールカーボネートから得られるアルキルアルコールを20重量ppm以下含有する請求項36乃至40のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
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