JP4871703B2 - 9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類の包接結晶を利用した連続製造方法 - Google Patents
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Description
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類としては、例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン;9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)フルオレン等の9,9−ビス(アルキルヒドロキシフェニル)フルオレン;9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)フルオレン等の9,9−ビス(ジアルキルヒドロキシフェニル)フルオレン;9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(シクロアルキルヒドロキシフェニル)フルオレン;9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(アリールヒドロキシフェニル)フルオレン等が挙げられる。
これらを製造する方法として、触媒の存在下でフルオレノンとフェノール類とを縮合反応させる方法が知られている。
縮合反応にはフルオレンを空気酸化して得られるフルオレノンを出発原料とし、塩化水素ガスおよびメルカプトプロピオン酸を触媒として用いてフェノールと縮合反応させる方法が知られている(特許文献1及び特許文献2)。
特許文献3には、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンの製法に用いる触媒として70%より高い硫酸含量の硫酸を使用し、共縮合剤としてβ−メルカプトプロピオン酸を用いる方法が挙げられている。
これらの反応工程を用いた場合、反応生成物には目的成分のほかに、水可溶性触媒である鉱酸が含まれ、後工程でその除去を必要とする。
特許文献4には、塩酸や硫酸などの水可溶性触媒を用いずに、スルホン酸型陽イオン交換樹脂を触媒として用いる方法が提案されているが、ビスフェノール類の製造法においても塩酸、硫酸などの鉱酸を用いずにイオン交換樹脂を用いる発明がなされている(特許文献5及び特許文献6)。
このような反応工程を用いても、反応生成物には9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類の他に、未反応のフェノール類とフルオレノン及び助触媒、反応で生成した水および副生物が含まれており、何らかの分離手段が必要である。その分離手段として、抽出・液液分離、蒸留、晶析などの方法が提案されている。
特許文献7には、フルオレノンとフェノール類を、チオール類と塩酸の共存下で縮合反応させるフルオレン誘導体の製造方法において、得られた反応混合物に抽剤を添加して目的化合物を有機層に分配させ、有機層に晶析溶媒を添加して包接化合物として晶析分離する方法が提案されている。
特許文献8には、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンの合成後の分離方法として付加物(包接化合物)を形成する溶剤を用いて結晶を析出させる方法が記載されている。
特許文献9には、同目的の分離方法として低脂肪酸アルコールと水を用いる方法が提案され、特許文献10には、低脂肪酸アルコールと芳香族炭化水素の混合溶媒を用いる方法が提案されている。
特許文献11には9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(ビスクレゾールフルオレンに同じ、以下BCFと表記する)の製造方法として炭素数6〜12の脂肪族炭化水素若しくは芳香族炭化水素又はこれらの混合溶媒を用いて晶析を行う方法が提案されている。また、特許文献12にはビスクレゾール類の精製に際し、炭素数1〜3の低級脂肪族アルコール及び炭素数3〜7の低級脂肪族ケトンを含む混合溶媒を用いて晶析を行う方法が提案されている。
以上の公知技術から反応工程のみを連続化しても、発生する水の分離、助触媒の分離、未反応フェノール類の分離、包接化合物を構成する晶析溶媒の分離が必要となり、工業化を意図した場合には複数の分離工程をも含めた連続化を要する。分離工程で回収された有用成分を循環再利用させるには、不純物を抑制しつつ製品回収率を向上させることが必要であるが、各分離工程で発生する不純物の組成と再利用先であるそれぞれの工程の特性について言及した文献はなく、未だ有効な連続生産方法は提案されていない。
また、例えば、BCFの包接化合物を晶析する実施例では、反応生成物又は有機層の残渣と晶析溶媒との混合液を、溶媒の沸点以下の温度で加温して溶解し、生成した溶液を、10℃に冷却する方法が記載されているが(特許文献13)、工業化を意図した場合には巨大な伝熱面を有する容器を必要とするため、連続製造が困難であった。
〔請求項1記載の発明〕
以下の工程を含むことを特徴とする9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類の連続製造方法。
9−フルオレノンとフェノ−ル及びアルキルフェノ−ルから選ばれたフェノ−ル類とを、触媒としてスルホン酸型陽イオン交換樹脂を用いて縮合反応させ、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類を生成させる反応工程、
前記反応工程から得られた反応生成物から水分を除去して、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類を含むフェノール類溶液を得る脱水工程、
前記脱水工程で得られた9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類を含む溶液からフェノール類を分離し、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類を濃縮する濃縮工程、
前記濃縮工程で得られた濃縮液に溶媒を混合し、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類と溶媒とで構成される包接化合物を晶析させる晶析工程、
前記晶析工程で得られた晶析生成物から前記包接化合物を含む結晶を分離するとともに、分離結晶を洗浄する晶析生成物分離工程、
前記晶析生成物分離工程で得られた包接化合物を含むスラリーから溶媒を除去する溶媒除去工程、
前記溶媒除去工程で得られた溶媒を含む液、前記晶析生成物分離工程で得られた母液及び洗浄液のうち少なくとも一部を精製する溶媒精製工程、
前記溶媒精製工程で得られた液の少なくとも一部を精製して前記反応工程へ供給するフェノール類精製工程。
前記晶析生成物分離工程で得られた母液及び洗浄液の少なくとも一部を、前記濃縮工程で得られた濃縮液と混合する請求項1記載の9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類の連続製造方法。
前記溶媒除去工程で得られた溶媒を含む液の少なくとも一部を、前記濃縮工程で得られた濃縮液と混合する請求項1記載の9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類の連続製造方法。
前記溶媒精製工程で得られた液の少なくとも一部を、前記脱水工程で得られた9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類を含む溶液と共に、前記濃縮工程に供給する請求項1記載の9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類の連続製造方法。
前記濃縮工程で得られたフェノール類を含む液を、前記反応工程に供給する請求項1記載の9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類の連続製造方法。
前記晶析工程において、断熱条件下で溶媒を蒸発させて、前記包接化合物を晶析させる請求項1記載の9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類の連続製造方法。
前記晶析工程において、断熱条件下で蒸発させた溶媒の少なくとも一部を冷却し、晶析工程に還流する請求項1記載の9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類の連続製造方法。
ちなみに、従来のバッチプロセスで得られた結晶粒径は約50μm程度であったが、本プロセスにより得られた包接結晶の粒径(断熱冷却晶析又は間接冷却晶析のいずれにおいても)は約140〜160μm程度であり、3倍程度の粒径をもつ無色透明の結晶が得られ、結晶粒径が大きいものとなる。
このように、本プロセスにより得られる包接結晶は、結晶粒径が大きく、濁りが少ないことから、結晶中への母液の巻き込みが少なく、結晶の純度が高いものとなる。また、本プロセスでは、結晶に付着する母液量が少ないので、連続的に効率のよい結晶洗浄を行えることから、高純度の製品を容易に得られる。
<第1の実施の形態>
図1は本発明により9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類を製造するための第1の実施の形態に係る工程図である。
図1において、1は反応工程、2は脱水工程、3は濃縮工程、5は晶析工程、6は晶析生成物分離工程、7は溶媒除去工程、8は溶媒精製工程、9はフェノール類精製工程を各々示す。
この反応は、例えばフェノール類としてオルトクレゾールを選択した場合には、次のように表される。
すなわち、1モルのフルオレノンに2モルのオルトクレゾールが反応し、1モルのBCFと1モルの水が発生する。
反応工程1で得られた反応生成物は、目的物である9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類のほか、未反応のフェノール類及び助触媒を含む。更に、少量の9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類の異性体、二量体、三量体、ビスフェノール類、トリスフェノール類、クロマン化合物等の副生物を含む。
フェノール類としてオルトクレゾールを選択した場合の副生物の例として、BCFの2量体(以下WBCFと表記する)が挙げられる。WBCFは次のような構造で表される。
脱水工程2では水を多く含むフェノール類水溶液がライン14を通って系外へ排出され、脱水後の反応生成物はライン15を通って濃縮工程3に供給される。濃縮工程3では過剰の未反応のフェノール類を除去する。濃縮工程3には一般には蒸発缶を用いることができ、分離されたフェノール類は凝縮後、ライン16を通って反応工程1に返送することが望ましい。濃縮工程3での蒸気をライン16を通して反応工程1へ返送することは、後述のフェノール類精製工程9での熱量原単位を低減させるのに寄与する。脱水工程2及び濃縮工程3では最終製品の着色や劣化を防止するため操作温度を180℃以下、望ましくは120℃以下にする必要があり、そのため、これらの工程は真空下で操作される。従って、濃縮工程3ではこの操作温度において結晶が析出せず、輸送に支障がない程度の粘性を保つ濃度に液を濃縮する。
濃縮工程3で得られた濃縮液はライン17を通って後に説明するように循環利用している極性溶媒(アセトンなどのケトン類、メタノールなどのアルコール類、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類。特に好ましくはアセトンである。)とを混合され、ライン18を通って晶析工程5へ供給される。
晶析工程5で得られた包接化合物を含むスラリーは、ライン20を通して晶析生成物分離工程6に供給される。晶析生成物分離工程6では固液分離ができる分離機であればどのような分離機を用いてもよい。このような分離機としては、遠心分離機や濾過機が一般的に用いられるが、必要とする動力、メンテナンスの容易性、母液と洗浄液を別々に取り扱うことが容易である点などから濾過機を用いるのが望ましい。濾過機として、特に水平ベルトフィルターを使用するのが洗浄及びろ過特性に優れる。水平ベルトフィルターを用いた場合について説明すると、濾過機を用いた晶析生成物分離工程6では洗浄液として後述する溶媒精製工程8で得られ、ライン28を通じて供給される精製溶媒を用いることが望ましく、また、系全体として溶媒が損失するため、新たな溶媒を供給してもよい。溶媒の補充供給は精製溶媒と新たな溶媒を混合してから晶析生成物分離工程6に供給してもよいが、混合せずに新たな溶媒をケーキ洗浄に用いてもよい。水平ベルトフィルターにスラリーを供給して得られる母液と、母液分離後に残留した濾過結晶をさらに溶媒で洗浄することにより得られる洗浄液とは、それぞれライン21、ライン22を通って溶媒精製工程8へ供給される。洗浄液分離後に残留した洗浄結晶はライン23を通って溶媒除去工程7へ供給することができる。
フェノール類精製工程9としては、フェノール類(たとえばクレゾール)が高沸点であるため、減圧蒸留を用いるのが望ましい。ライン31を通る溶液はフェノール類精製工程9により、軽質成分をライン32で、重質成分をライン33で除去され、精製されたフェノール類としてライン34を通って反応工程1に供給される。
図2は第2の実施の形態に係る工程図である。
第2の実施の形態における第1の実施の形態との相違点は、晶析工程5として、断熱冷却晶析缶を用いる場合において、蒸発させた溶媒は19bを通して循環使用する。ライン19aを通して、ライン18からの混合液と合わせながら循環使用することもできる。後者の場合、温度及び溶媒濃度によって、前記混合液との接触により結晶が析出する場合もあるが、析出がない場合には 十分に採用可能である。
他の相違点は、溶媒除去工程7で除去された溶媒の一部をライン24aを通して溶媒精製工程8へ供給するほか、ライン24bを通して直接濃縮液と混合する点である。溶媒除去工程7で除去された溶媒の一部を、ライン24bを通して直接濃縮液と混合することは、溶媒精製工程8での熱量原単位を低減させる利点をもたらす。
図3は第3の実施の形態に係る工程図である。
第3の実施の形態における第1の実施の形態との相違点は、濃縮工程3での蒸気をライン16を通してフェノール類精製工程9へ供給する点、晶析生成物分離工程6で得られる母液及び洗浄液を全量溶媒精製工程8へ供給する点、溶媒精製工程8で回収された溶媒の一部を濃縮工程3で得られた濃縮液と混合し、晶析工程5へ供給する点、溶媒を回収した後の残りの溶液をライン29を通して全量フェノール類精製工程9へ供給する点である。
本発明において使用するフェノ−ル類としては、フェノ−ル又はアルキルフェノ−ルであり、例えば2−C1-4アルキルフェノール(オルトクレゾールなど)が好ましく使用できる。
反応器としては、イオン交換樹脂の充填塔を使用でき、液をダウンフローとして、発生する反応熱はジャケットを通す温水により除去することができる。
触媒として使用するイオン交換樹脂としては、強酸性のスルホン酸型陽イオン交換樹脂を使用することができ、この陽イオン交換樹脂は水不溶性である必要がある。そして、反応系にイオウ化合物を存在させる場合は、この陽イオン交換樹脂のままであっても差し支えないが、存在させない場合は、陽イオン交換樹脂のスルホン酸基の一部をイオウ化合物で中和処理したイオン交換樹脂を使用するのが好ましい。前者の場合であっても、スルホン酸基の一部をイオウ化合物で中和処理したイオン交換樹脂を使用してもよい。他に使用することができるイオン交換樹脂としては、本明細書に記載の特許文献に記載のものが参照される。
晶析工程で存在させる極性溶媒としては、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類との包接結晶を生成する溶媒が使用される。晶析溶媒は、メタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類及びジイソプロピルエーテルなどのエーテル類から選択された少なくとも一種の極性溶媒で構成できる。
〔実施例1〕
図1に示す工程に従って、原料に、9−フルオレノンとフェノール類としてオルトクレゾールを使用し、助触媒にβ−メルカプトプロピオン酸(以下βMPA)を使用して、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類としてBCFを連続的に製造する場合の原料原単位を、インベンシス社のシミュレータであるPRO/II(製品名)を用いて計算した。シミュレーション・パラメータとして、年間生産量は4000t/yとした。スルホン酸型イオン交換樹脂を用いた反応実験結果をもとにするとBCFの転化率は99%となるが、運転変動などを考慮して、BCFの転化率を95%、選択率を97%と設定し、副生成物はすべてWBCFになるとした。原料オルトクレゾールの純度は99.7wt%(不純物としてフェノール等を指定)、原料アセトンの純度は99.6wt%(不純物として水等を指定)とした。原料モル比率はオルトクレゾール/フルオレノンで20、フルオレノン/βMPAで40とした。「アセトンとBCFの包接化合物」のアセトンに対する溶解度曲線は実測値をもとに対数関数として近似した。
その結果、各原料原単位は、オルトクレゾールは0.680kg/kgBCF、フルオレノンは0.530kg/kgBCF、アセトンは0.024kg/kgBCFであった。ユーティリティ原単位は低圧スチームが1.2kg/kgBCF、中圧スチームが4.1kg/kgBCF、冷却水が0.20Ton/kgBCFであった。廃棄物量は廃水が0.0514kg/kgBCF、軽質廃棄物は0.020kg/kgBCF、中質廃棄物は0.020kg/kgBCF、重質廃棄物は0.13kg/kgBCFであった。
同原料を使用し、バッチ方式で製造した場合、すなわち撹拌器、冷却器、および温度計を備えた2Lのガラス製反応器に、純度99%のフルオレノン70g、オルトクレゾール250g、βMPA0.4g、および濃硫酸15gを仕込み、55℃で6時間攪拌することにより、反応を行った。HPLCで確認した結果、フルオレノンの残存量は0.1%以下であった。得られた反応混合液に、トルエン300gおよび水80gを加え、32%水酸化ナトリウム水溶液をpHが約7になるまで加えて中和した後、水層を除去した。有機層を80℃に加温した後に、水80gで3回洗浄した。減圧蒸留により有機層からトルエン300gを回収したのち、有機層にトルエン−アセトンの混合溶媒(混合比率1:4)400mlを加えて70℃で1時間攪拌したのちに、10℃まで冷却し、再結晶させることにより、目的生成物であるBCF140gを得た。この場合には、BCF回収率89%、BCF純度99.7wt%、製品中のT−S濃度6.2ppmとなった。また、結晶粒度は約50μmであり、DRY晶の粒度分布の標準偏差は0.244であった。原料原単位は、オルトクレゾールは0.924kg/kgBCF、フルオレノンは0.529kg/kgBCF、βMPAは0.003kg/kgBCF、98%硫酸は0.091kg/kgBCF、アセトンは1.063kg/kgBCF、トルエンは0.15kg/kgBCFであった。ユーティリティ原単位は蒸気が6.062kg/kgBCF、廃棄物量は廃水が2.533kg/kgBCFであった。
図3に示す工程に従って、実施例1同様シミュレータによって計算したところ、各原料原単位は、オルトクレゾールは0.825kg/kgBCF、フルオレノンは0.563kg/kgBCF、アセトンは0.024kg/kgBCFであった。ユーティリティ原単位は低圧スチームが1.2kg/kgBCF、中圧スチームが4.8kg/kgBCF、冷却水が0.36Ton/kgBCFであった。廃棄物量は廃水が0.055kg/kgBCF、軽質廃棄物は0.020kg/kgBCF、中質廃棄物は0.020kg/kgBCF、重質廃棄物は0.32kg/kgBCFであった。
図1に示す工程に従って、原料として、9−フルオレノンとフェノール類としてオルトクレゾールを使用し、助触媒としてβMPAを使用し、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類としてBCFを連続的に製造した。反応は、スルホン酸型陽イオン交換樹脂の充填層を有する反応器により行った。晶析工程において、間接冷却晶析器を使用した場合(実施例3)と断熱冷却晶析器を使用した場合(実施例4)との間で、得られる結晶について調べたところ、表1に示す結果が得られた。晶析機は容積30リットル・直径250ミリメートルのダブルプロペラ結晶缶を使用した。間接冷却晶析器(実施例3)では常圧を保持し、ジャケット温度と結晶缶内の温度差ΔTが5℃になるように調整し、結晶缶内温度を29℃に保持した。断熱冷却晶析器(実施例4)では結晶缶内圧力を140Torrに保持し、温度を28℃に保持した。結晶粒径及び粒度分布の分析には島津レーザ回折式流度分布測定装置(SALD−2000J)を用いた。分散材には水と界面活性剤を使用した。
Claims (7)
- 以下の工程を含むことを特徴とする9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類の連続製造方法。
9−フルオレノンとフェノ−ル及びアルキルフェノ−ルから選ばれたフェノ−ル類とを、触媒としてスルホン酸型陽イオン交換樹脂を用いて縮合反応させ、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類を生成させる反応工程、
前記反応工程から得られた反応生成物から水分を除去して、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類を含むフェノール類溶液を得る脱水工程、
前記脱水工程で得られた9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類を含む溶液からフェノール類を分離し、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類を濃縮する濃縮工程、
前記濃縮工程で得られた濃縮液に溶媒を混合し、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類と溶媒とで構成される包接化合物を晶析させる晶析工程、
前記晶析工程で得られた晶析生成物から前記包接化合物を含む結晶を分離するとともに、分離結晶を洗浄する晶析生成物分離工程、
前記晶析生成物分離工程で得られた包接化合物を含むスラリーから溶媒を除去する溶媒除去工程、
前記溶媒除去工程で得られた溶媒を含む液、前記晶析生成物分離工程で得られた母液及び洗浄液のうち少なくとも一部を精製する溶媒精製工程、
前記溶媒精製工程で得られた液の少なくとも一部を精製して前記反応工程へ供給するフェノール類精製工程。 - 前記晶析生成物分離工程で得られた母液及び洗浄液の少なくとも一部を、前記濃縮工程で得られた濃縮液と混合する請求項1記載の9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類の連続製造方法。
- 前記溶媒除去工程で得られた溶媒を含む液の少なくとも一部を、前記濃縮工程で得られた濃縮液と混合する請求項1記載の9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類の連続製造方法。
- 前記溶媒精製工程で得られた液の少なくとも一部を、前記脱水工程で得られた9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類を含む溶液と共に、前記濃縮工程に供給する請求項1記載の9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類の連続製造方法。
- 前記濃縮工程で得られたフェノール類を含む液を、前記反応工程に供給する請求項1記載の9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類の連続製造方法。
- 前記晶析工程において、断熱条件下で溶媒を蒸発させて、前記包接化合物を晶析させる請求項1記載の9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類の連続製造方法。
- 前記晶析工程において、断熱条件下で蒸発させた溶媒の少なくとも一部を冷却し、晶析工程に還流する請求項1記載の9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類の連続製造方法。
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