JP2015007188A - ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】二種類以上のジヒドロキシ化合物を含む組成物を混合する工程と、二種類以上のジヒドロキシ化合物を含む組成物と炭酸ジエステルを含む組成物とを、連続的に反応器に供給して溶融重縮合する工程を有する共重合ポリカーボネートの製造方法であって、少なくとも一種のジヒドロキシ化合物が、構造の一部にフルオレン部位を有するジヒドロキシ化合物(A)であって、
二種類以上のジヒドロキシ化合物を含む組成物を混合する工程が連続工程であることを特徴とするポリカーボネートの製造方法。
【選択図】図1
Description
近年、フルオレン構造を側鎖に有するジヒドロキシ化合物から誘導された共重合ポリカーボネートが報告されており、特に脂肪族ジヒドロキシ化合物との共重合ポリカーボネートは光弾性係数が小さいなど、優れた光学特性を有することが示されている(特許文献1〜3)。また、特許文献3には、このフルオレン構造を含有するポリカーボネートからなる位相差フィルムは、光弾性係数が低い上、位相差が短波長になるほど小さくなる逆波長分散性を示すことから、位相差フィルムなどの光学用途に有用であることが開示されている。
程であることで、均一な品質のポリカーボネートを効率的かつ安定に製造することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明の要旨は、下記に存する。
(1)二種類以上のジヒドロキシ化合物を含む組成物を混合する工程と、二種類以上のジヒドロキシ化合物を含む組成物と炭酸ジエステルを含む組成物とを、連続的に反応器に供給して溶融重縮合する工程を有する共重合ポリカーボネートの製造方法であって、
少なくとも一種のジヒドロキシ化合物が、構造の一部にフルオレン部位を有するジヒドロキシ化合物(A)であって、
二種類以上のジヒドロキシ化合物を含む組成物を混合する工程が連続工程であることを特徴とするポリカーボネートの製造方法。
(2)二種類以上のジヒドロキシ化合物を含む組成物と炭酸ジエステルとを含む原料を混合する工程が、すべて連続工程であることを特徴とする(1)に記載のポリカーボネートの製造方法。
(3)前記ジヒドロキシ化合物(A)が、下記構造式(1)で表されるジヒドロキシ化合物である(1)または(2)に記載のポリカーボネートの製造方法。
(4)前記ジヒドロキシ化合物(A)を含む組成物をその他の原料と混合して溶解する工程を含むことを特徴とする(1)乃至(3)のいずれか一項に記載のポリカーボネートの製造方法。
(5)前記ジヒドロキシ化合物(A)を含有する液を調製する溶解槽において、液面を溶解槽高さの70%以上に保持することを特徴とする(1)乃至(4)のいずれか1項に記載のポリカーボネートの製造方法。
(6)前記ジヒドロキシ化合物(A)は、嵩密度が0.45g/mL以上、嵩密度の変動係数が8%以下の固体であることを特徴とする(1)乃至(5)のいずれか一項に記載のポリカーボネートの製造方法。
(7)前記ジヒドロキシ化合物(A)が沸点200℃以下の成分を1.5重量%以下含有することを特徴とする(1)乃至(6)のいずれか一項に記載のポリカーボネートの製造方法。
(8)構造の一部に下記式(2)で表される部位を有し、ジヒドロキシ化合物(A)とは異なるジヒドロキシ化合物(B)を含む(1)乃至(7)のいずれか1項に記載のポリカーボネートの製造方法。
、および前記フルオレン構造を有するジヒドロキシ化合物の一部を構成する部位である場合を除く。)
(9)前記ジヒドロキシ化合物(B)が、環状エーテル構造を有する化合物であることを特徴とする(8)に記載のポリカーボネートの製造方法。
(10)前記ジヒドロキシ化合物(B)が、下記構造式(3)で表される環状エーテル構造を有する化合物であることを特徴とする(8)または(9)に記載のポリカーボネートの製造方法。
(12)(1)乃至(10)のいずれか1項に記載の方法で得られたポリカーボネートを製膜してなる透明フィルムであり、長手方向の長さが500m以上であることを特徴とする透明フィルム。
(13)前記透明フィルムが少なくとも一方向に連続的に延伸されてなることを特徴とする(12)に記載の透明フィルム。
(14)波長450nmで測定した位相差(Re450)と波長550nmで測定した位相差(Re550)の比が下記式(4)を満足することを特徴とする(12)または(13)のいずれか一項に記載の透明フィルム。
なお、本明細書において、「〜」という表現を用いた場合、その前後の数値または物理値を含む意味で用いることとする。
以下、本発明のポリカーボネートの製造方法において使用可能な原料、触媒について説明する。
本発明のポリカーボネートの製造に用いられるジヒドロキシ化合物は、少なくともフルオレン構造を有するジヒドロキシ化合物(A)(フルオレン系ジヒドロキシ化合物)を含む。得られるポリカーボネートの耐熱性や機械強度、光学特性と重合反応性の観点から、ジヒドロキシ化合物(A)は、9,9−ジフェニルフルオレンの構造を有する下記式(1)で表されるものが好適に用いられる。
ス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチル−6−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロポキシ)フェニル)フルオレンなどが挙げられる。
、および前記フルオレン構造を有するジヒドロキシ化合物の一部を構成する部位である場合を除く。すなわち、ジヒドロキシ化合物(B)には、−CH2−OH以外に式(2)で
表される部位を有さない化合物は含まれないが、−CH2−OH以外に−CH2−O−CH2−等の式(2)で表される部位を有する化合物は含まれる。)
所望とする光学特性が得られ、さらに耐熱性や機械強度などの物性をバランスさせるためには、ジヒドロキシ化合物(A)/ジヒドロキシ化合物(B)のモル比が10/90〜70/30が好ましく、20/80〜60/40であるのがより好ましい。
前記の主鎖に芳香族基に結合したエーテル基を有するジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ビフェニル、ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)スルホン等が挙げられる。
これらのジヒドロキシ化合物(B)の中でも、芳香環構造を有しないジヒドロキシ化合物を用いることがポリカーボネートの光学特性の観点から好ましく、入手のし易さ、ハンドリング、重合時の反応性、得られるポリカーボネートの色相や耐熱性の観点から、式(3)、(4)、(5)で表されるヒドロキシ化合物に代表される、環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物がより好ましい。特に上記式(3)で表される糖由来の環状エーテル構造を2つ有するジヒドロキシ化合物である無水糖アルコールが、入手及び製造のし易さ、耐光性、光学特性、成形性、耐熱性、カーボンニュートラルの面から最も好ましい。
本発明の方法で製造されるポリカーボネートは、上記のジヒドロキシ化合物(A)及びジヒドロキシ化合物(B)以外のジヒドロキシ化合物(以下「ジヒドロキシ化合物(C)」と称する場合がある。)に由来する構造単位を含んでいてもよく、前記ジヒドロキシ化合物(C)としては、直鎖脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物、アルキル分岐脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物、脂環式炭化水素のジヒドロキシ化合物、芳香族ビスフェノール類等が挙げられる。
ンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール等が挙げられる。
前記のアルキル分岐脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物としては、ネオペンチルグリコール、ヘキシレングリコール等が挙げられる。
製造時の取り扱いの際には、酸素による分解を防ぐため、水分が混入しないようにし、また、脱酸素剤を用いたり、窒素雰囲気下にしたりすることが肝要である。イソソルビドが酸化されると、蟻酸をはじめとする分解物が発生する。例えば、これら分解物を含むイソソルビドを用いてポリカーボネートを製造すると、得られるポリカーボネートの着色を招いたり、物性を著しく劣化させたりするだけでなく、重合反応に影響を与え、高分子量の重合体が得られないこともあり、好ましくない。
一方、アミン系化合物などの塩基性有機化合物を安定剤として用いると、重合触媒としての作用や着色への影響が小さいため、蒸留などによって安定剤を除去せずに重合反応に用いることができる。
本発明において、ポリカーボネートは、少なくともジヒドロキシ化合物(A)を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを原料として、エステル交換反応により重縮合させて得ることができる。
エステル交換反応に用いられる炭酸ジエステルとしては、通常、下記式(8)で表されるものが挙げられる。これらの炭酸ジエステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
合があり、重合反応を阻害したり、得られるポリカーボネートの色相を悪化させたりする場合があるため、必要に応じて、蒸留などにより精製したものを使用することが好ましい。
重合に用いる炭酸ジエステルの一部をジカルボン酸化合物と置換することでポリエステルカーボネートが得られる。前記ジカルボン酸構造を形成するジカルボン酸化合物としては、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、4,4'−ジフェニルジカルボン酸、4,
4'−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4'−ベンゾフェノンジカルボン酸、4,4'−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸などを挙げることができる。これらのジカルボン酸成分はジカルボン酸そのものとして本発明のポリカーボネートの原料とすることができるが、製造法に応じて、メチルエステル体、フェニルエステル体等のジカルボン酸エステルや、ジカルボン酸ハライド等のジカルボン酸誘導体を原料とすることもできる。
本発明の製造方法において、ポリカーボネートは、上述のようにジヒドロキシ化合物(A)を含むジヒドロキシ化合物と前記式(8)で表される炭酸ジエステルをエステル交換反応させて製造する。より詳細には、エステル交換させ、副生するモノヒドロキシ化合物等を系外に除去することによって得られる。このエステル交換反応の際には、エステル交換反応触媒存在下で重縮合を行うが、本発明の方法で製造されるポリカーボネートの製造時に使用し得るエステル交換反応触媒(以下、単に触媒、重合触媒と言うことがある)は、反応速度や重縮合して得られるポリカーボネートの色調に非常に大きな影響を与え得る
。
前記の塩基性リン化合物としては、例えば、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、あるいは四級ホスホニウム塩等が挙げられる。
、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
(原料を混合する工程)
溶融重縮合による反応は、反応速度や得られるポリカーボネートの品質を一定に制御するために、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのモル比を厳密に制御する必要がある。要求される定量精度を得るには固体を供給する方法では難しいため、ポリカーボネートの原料として使用するジヒドロキシ化合物、および炭酸ジエステルは、通常、窒素やアルゴン等の不活性ガスの雰囲気下、バッチ式、半回分式または連続式の攪拌槽型の装置を用いて溶融液として扱われる。
二種類以上のジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを、連続的に反応器に供給して溶融重縮合する共重合ポリカーボネートの製造方法であって、ジヒドロキシ化合物には構造の一部にフルオレン部位を有するジヒドロキシ化合物(A)を少なくとも含み、二種類以上のジヒドロキシ化合物を混合する工程が連続工程であることを特徴とするポリカーボネートの製造方法。
さらに、本発明の連続工程とは、原料の移送を止めることなく、常に流し続ける状態を言い、必要量を一括で供給して、移送を停止したりなど、間欠的な操作は行わないことを「連続工程」という。
原料の計量は通常、液体の場合は流量計を用いて、固体の場合は計量フィーダーを用いて行われるが、各原料の混合をバッチ式に行う場合、バッチ間でどうしても微小な計量誤差が発生してしまい、得られるポリカーボネートの共重合組成や末端基量の変動を招いてしまう。原料を連続的に供給して混合を行うことで、このような供給量の変動は生じず、また、組成の微調整も行いやすくなる。さらに、連続して溶解槽に一定流量で供給し、同時に該溶解槽から液を連続的に排出する方法を採用すると、液化と溶融状態の保持にかかる熱履歴を最小にすることができるとともに、溶解にかかる滞留時間を一定にすることが可能となる。溶融下での原料の熱劣化は完全には避けられないが、滞留時間を一定に保つことで、一定の品質の原料を反応器に供給することができ、重縮合工程の運転やポリカーボネートの品質の安定化につながる。さらに、固体のジヒドロキシ化合物(A)を一定の供給量で連続的に供給することで、供給量の変動を最小に抑えることができるため、得られるポリカーボネートの共重合組成の変動が小さくなり、特に光学物性などの品質を均一にすることが可能となる。
前記ジヒドロキシ化合物(A)の嵩密度は0.45g/mL以上で、かつ嵩密度の変動係数が8%以下であることが好ましい。嵩密度、あるいは粒径が小さすぎると、粒子同士の摩擦によって、ホッパーなどで閉塞を引き起こしやすくなる。また、粒径が異なる固体が混ざると、偏析が起こり、いずれも供給量の制御が困難となる。嵩密度は0.48g/mL以上がさらに好ましく、特に0.50g/mL以上が好ましい。また、固体の定量供給性の観点からは、粒径が均一であることが好ましく、嵩密度の変動係数は6%以下であることがさらに好ましく、特に4%以下であることが好ましい。
ジヒドロキシ化合物(A)を液化するために用いられる溶解槽は、ジヒドロキシ化合物(A)を加温する必要があるため、加熱媒体が流通する熱交換器を具備していることが好ましい。また、溶融時間を短縮し、ジヒドロキシ化合物(A)が加熱媒体との接触面において局所過熱されることによる劣化を抑制するために、攪拌機を用いて攪拌されることが好ましい。
本発明の原料調製工程において、ジヒドロキシ化合物(A)は、溶融した炭酸ジエステルに溶解された形で反応に供されることが好ましい。ジヒドロキシ化合物(A)、ジヒドロキシ化合物(B)及びジヒドロキシ化合物(C)も原料調製工程において、可能な限り熱劣化を抑制することが好ましいが、複数種のジヒドロキシ化合物を混合して溶融させる場合、融点の高いジヒドロキシ化合物に合わせて溶融温度を設定しなければならないため、融点の低いモノマーは必要以上に熱負荷がかかることになる。そのため、ジヒドロキシ化合物(B)及び/又はジヒドロキシ化合物(C)の融点が炭酸ジエステルの融点よりも低い場合は、溶融した炭酸ジエステルに溶解するよりも、固体の該ジヒドロキシ化合物を単独で溶融させて反応に供する方が、原料に与えられる熱負荷を低減することができる。
性の向上や、重縮合中での着色を抑制することにより、得られる樹脂の色相を改善することができる。
原料モノマーの濾過の際には、濾過性能を確保しながらフィルターの寿命を延ばすためには、複数のフィルターユニットを用いることが好ましく、中でも上流側のユニット中のフィルターの目開きをCμm、下流側のユニット中のフィルターの目開きをDμmとした場合に、少なくとも1つの組み合わせにおいて、CはDより大きい(C>D)ことが好ましい。この条件を満たした場合は、フィルターがより閉塞しにくくなり、フィルターの交換頻度の低減を図ることができる。
(ここで1次側とはフィルターでの濾過前、2次側とは濾過後を示す。)
本発明において、原料をフィルターに通過させる際の原料流体の温度に制限はないが、低すぎると原料が固化し、高すぎると熱分解等の不具合があるため、好ましくは100℃〜200℃、さらに好ましくは100℃〜150℃である。
ることもできる。なお、重縮合触媒の具体例については、後記する。触媒の溶解に使用する水の性状は、含有される不純物の種類ならびに濃度が一定であれば特に限定されないが、通常、蒸留水や脱イオン水等が好ましく用いられる。
本発明の方法においては、少なくとも上記ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを、液体状態で連続的に反応器に供給し、通常、重縮合触媒の存在下で反応させる(溶融重縮合)ことによりポリカーボネートが製造される。
なお、本発明において、複数器の反応器を用いる場合において、1器目の反応器を第1反応器、2器目の反応器を第2反応器、3器目の反応器を第3反応器、……と称する。また、本発明において「反応器」とは、重縮合反応によって生成するモノヒドロキシ化合物(炭酸ジエステルとしてジフェニルカーボネートを用いる場合はフェノール)が理論生成量の10モル%以上生成する容器と定義する。従って、本発明における反応器は、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを混合した後の工程で、後述する反応温度まで加熱する加熱装置を有し、意図的なエステル交換反応を起こすための装置であり、原料を事前に混合したり溶解させたりすることを主な目的とする溶解槽や、原料液を移送するための配管は、たとえそこでわずかながら反応が進行していたとしても、前記の反応器に含まれない。
前記のそれぞれの反応器を加熱する加熱媒体の上限温度は、通常270℃、好ましくは260℃、中でも250℃が好適である。加熱媒体の温度が高すぎると、反応器壁面での熱劣化が促進され、異種構造や分解生成物の増加、色調の悪化等の不具合を招くことがある。下限温度は、上記反応温度が維持可能な温度であれば特に制限されない。
次に、本発明の方法について、さらに具体的に説明する。本発明の方法は、原料モノマーとして、少なくとも9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン(略称:BHEPF)等のジヒドロキシ化合物(A)を含むジヒドロキシ化合物と、ジフェニルカーボネート(略称:DPC)等の炭酸ジエステルをそれぞれ溶融状態にて、原料混合溶融液を調製し(原料調製工程)、これらの化合物を、重縮合触媒の存在下、溶融状態で複数の反応器を用いて多段階で重縮合反応をさせる(重縮合工程)ことによって行われる。DPCを用いた場合、モノヒドロキシ化合物としてフェノールが副生するため、減圧下で反応を行い、このフェノールを反応系から除去することにより、反応を進行させ、ポリカーボネートを生成させる。
発生したフェノール等のモノヒドロキシ化合物は、タンクに収集しておき、資源有効活用の観点から、必要に応じ、精製を行って回収した後、DPCやビスフェノールA等の原料として再利用することが好ましい。本発明の製造方法において、副生モノヒドロキシ化合物の精製方法に特に制限はないが、蒸留法を用いることが好ましい。
次に、製造方法の各工程について説明する。
先ず、上記ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの混合物を、溶融下に、竪型攪拌反応槽に供給して、通常、温度130℃〜240℃で重縮合反応を行う。
この反応は、通常1槽以上、好ましくは2槽〜6槽の多槽方式で連続的に行われ、副生するモノヒドロキシ化合物の40%から95%を留出させることが好ましい。反応温度は、通常130℃〜240℃、好ましくは150℃〜220℃であり、圧力は40kPa〜1kPaである。多槽方式の連続反応の場合、各槽の温度を、上記範囲内で順次上げ、各槽の圧力を、上記範囲内で順次下げることが好ましい。平均滞留時間は、通常0.1〜10時間、好ましくは0.5〜5時間、より好ましくは0.5〜3時間である。
溶融重縮合反応は平衡反応であるため、副生するモノヒドロキシ化合物を反応系外に除去することで反応が促進されるため、減圧状態にすることが好ましい。圧力は1kPa以上40kPa以下であることが好ましく、より好ましくは5kPa以上、30kPa以下である。圧力が高すぎるとモノヒドロキシ化合物が留出しないために反応性が低下し、低すぎると未反応のジヒドロキシ化合物や炭酸ジエステルなどの原料が留出するため、原料モル比がずれて所望の分子量まで到達しないなど、反応の制御が難しくなり、また、原料原単位が悪化してしまうおそれがある。
次に、前段の重縮合工程で得られたオリゴマーを横型攪拌反応器に供給して、温度200℃〜260℃で重縮合反応を行い、ポリカーボネートを得る。この反応は通常1器以上、好ましくは1〜3器の横型攪拌反応器で連続的に行われる。
反応温度は、好ましくは200〜260℃、より好ましくは210〜250℃である。圧力は、通常13.3kPa〜10Pa、好ましくは1kPa〜10Paである。平均滞留時間は、通常0.1〜10時間、好ましくは0.5〜5時間、より好ましくは0.5〜2時間である。
重縮合工程を多槽方式で行う場合は、通常、竪型攪拌反応槽を含む複数器の反応器を設けて、ポリカーボネートの平均分子量(還元粘度)を増大させる。
ここで、反応器としては、竪型攪拌反応槽や横型撹拌反応器があげられ、具体例としては、攪拌槽型反応器、薄膜反応器、遠心式薄膜蒸発反応器、表面更新型二軸混練反応器、二軸横型攪拌反応器、濡れ壁式反応器、自由落下させながら重縮合する多孔板型反応器、ワイヤーに沿わせて落下させながら重縮合するワイヤー付き多孔板型反応器等が挙げられる。上記の通り、前段反応工程では竪型攪拌反応槽を用いるのが好ましく、後段反応工程では横型攪拌反応器を用いるのが好ましい。
また、後段反応からも未反応のモノマーや熱分解によって、モノマーが留出してしまうが、前述したように温度や圧力、触媒量などの反応条件も適切に調節することで、各反応段階で十分に反応率を上げることで、後段反応からのモノマー留出を抑制することができる。
.5kPa以下である。なお、圧力は低いほど好ましいが、10Paで減圧の限界となることが多い。
本発明の方法で製造されるポリカーボネートは、上述の重縮合反応を行った後、固化させることなく、溶融状態のまま、フィルターに通して異物を濾過する。中でも樹脂中に含まれる低分子量成分の除去や、熱安定剤等の添加混練を実施するため、重縮合で得られた樹脂を押出機に導入し、次いで押出機から排出された樹脂を、フィルターを用いて濾過することが好ましい。
よりフィルターへのポリカーボネート樹脂の供給を安定させることができる。
マー、重縮合反応で副生するモノヒドロキシ化合物、ポリカーボネートオリゴマー等の低分子量化合物が残存しているが、ベント口を有する押出機を用い、好ましくはベント口から真空ポンプ等を用いて減圧にすることにより、これらを脱揮除去することも可能である。また、押出機内に水等の揮発性液体を導入して、脱揮を促進することもできる。ベント口は1つであっても複数であってもよいが、好ましくは2つ以上である。
特に、重合触媒を失活させ、さらに高温下でのポリカーボネート樹脂の着色を抑制するために、酸性化合物が添加されることが好ましい。酸性化合物としては、リン系化合物を用いることが好ましく、このリン系化合物としては、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、次亜リン酸、ポリリン酸、ホスホン酸エステル、酸性リン酸エステル、脂肪族環状亜リン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。上記の中でも触媒失活と着色抑制の効果がさらに優れているのは、亜リン酸、ホスホン酸、ホスホン酸エステルである。
チルヘキシル)、リン酸ジイソトリデシル、リン酸ジオレイル、リン酸ジステアリル、リン酸ジフェニル、リン酸ジベンジルなどのリン酸ジエステル、又はジエステルとモノエステルの混合物、クロロリン酸ジエチル、リン酸ステアリル亜鉛塩などが挙げられる。
ポリカーボネート樹脂への前記リン系化合物の添加量が少なすぎると、触媒失活や着色抑制の効果が不十分であり、多すぎるとかえってポリカーボネート樹脂が着色してしまうため、リン系化合物の添加量は、ポリカーボネート中の触媒金属量に対して、リン原子の含有量が0.5〜5倍molとなることが好ましい。さらには0.7〜3倍mol、特に0.8〜2倍molであることが好ましい。
このようにして、ポリカーボネート中の低分子化合物を脱揮除去することにより、ポリカーボネート中に含まれるモノヒドロキシ化合物の量は700ppm以下が好ましく、さらに好ましくは500ppm以下、特に好ましくは300ppm以下である。押出機での真空脱揮だけでなく、前述した最終反応器の真空度を高くすることによって、反応工程でも極力、低減しておくことが重要である。ただし、工業的に完全に除去することは困難であり、モノヒドロキシ化合物の含有量の下限は通常1ppmである。
フィルターで濾過されたポリカーボネート樹脂は、ダイスヘッドからストランドの形態で吐出し、冷却固化させ、回転式カッター等でペレット化されるが、そのペレット化の際、空冷、水冷等の冷却方法を使用するのが好ましい。空冷の際に使用する空気は、へパフィルター等で空気中の異物を事前に取り除いた空気を使用し、空気中の異物の再付着を防ぐのが望ましい。水冷を使用する際は、イオン交換樹脂等で水中の金属分を取り除き、さらにフィルターにて、水中の異物を取り除いた水を使用することが望ましい。用いるフィルターの目開きは、99%除去の濾過精度として10〜0.45μmであることが好ましい。
次に図を用いて、本実施の形態が適用される本発明の方法の一例を具体的に説明する。以下に説明する製造装置や原料、触媒は本発明の実施態様の一例であり、本発明は以下に
説明する例に限定されるものではない。
図1と図2は、本発明の方法で用いる製造装置の一例を示す図である。図1はジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを溶融させ、重縮合触媒と混合して反応器に送る原料調製工程を示す。図2はこれらの原料を溶融状態で複数の反応器を用いて重縮合反応させる重縮合工程を示す。
ISBはフレキシブルコンテナバック1aから受入ホッパー1bへ投入され、圧密により塊が生じている場合は解砕機1cにより、最大径が2cm以下の大きさに粉砕される。続いて、ISBは溶解槽1dに供給され、溶融される。槽底部から排出されたISBは続いて溶解槽1gに供給される。溶解槽1dと溶解槽1gのISBの供給量と排出量、および各溶解槽の液面は一定に保持される。溶解槽1gの底部からISB定量供給ポンプ1hにより、一定流量で反応器に移送される。
DPCは別に供給ラインを設けてあり、DPC定量供給ポンプ5bによりDPCの仕込み量を微調整することが可能である。
図2の製造装置の重縮合工程においては、第1竪型攪拌反応槽8a、第2竪型攪拌反応槽8b、第3竪型攪拌反応槽8c、第4横型攪拌反応器8dが直列に設けられる。各反応器では液面レベルを一定に保ち、重縮合反応が行われ、第1竪型攪拌反応槽8aの槽底より排出された重縮合反応液は第2竪型攪拌反応槽8bへ、続いて、第3竪型攪拌反応槽8
cへ、第4横型攪拌反応器8dへと順次連続供給され、重縮合反応が進行する。各反応器における反応条件は、重縮合反応の進行とともに高温、高真空、低攪拌速度となるようにそれぞれ設定することが好ましい。
拌反応器8dの後には移送する反応液が高粘度になるため、ギアポンプ11aと11bが設けられる。第1竪型攪拌反応槽8aと第2竪型攪拌反応槽8bは、供給熱量が特に大きくなることがあるため、熱媒温度が過剰に高温にならないように、それぞれ内部熱交換器10a、10bが設けられる。
本実施の形態では、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの重縮合反応に基づく重縮合は、以下の手順に従い開始される。
先ず、図2に示す連続製造装置において、直列に接続された4器の反応器(第1竪型攪拌反応槽8a、第2竪型攪拌反応槽8b、第3竪型攪拌反応槽8c、第4横型攪拌反応器8d)を、予め、所定の内温と圧力とにそれぞれ設定する。ここで、各反応器の内温、熱媒温度と圧力とは、特に限定されないが、以下のように設定することが好ましい。
内温:130℃〜230℃、圧力:40kPa〜10kPa、加熱媒体の温度140℃〜240℃ 、還流比0.01〜10
(第2竪型攪拌反応槽8b)
内温:150℃〜230℃、圧力:40kPa〜8kPa、加熱媒体の温度160℃〜
240℃、還流比0.01〜5
(第3竪型攪拌反応槽8c)
内温:170℃〜230℃、圧力:10kPa〜1kPa、加熱媒体の温度180℃〜240℃
(第4横型攪拌反応器8d)
内温:200℃〜260℃、圧力:1kPa〜10Pa、加熱媒体の温度210〜270℃
続いて、重縮合反応液は、第1竪型攪拌反応槽8aの槽底から排出され、第2竪型攪拌反応槽8bへ、続いて第2竪型攪拌反応槽8bの槽底から排出され、第3竪型攪拌反応槽8cへ逐次連続供給される。この前段反応工程において、副生するフェノールの理論量に対して50%から95%が留出され、オリゴマーが生成する。
上記後段反応工程における反応温度は、通常200〜260℃、好ましくは210〜250℃の範囲であり、反応圧力は、通常13.3kPa〜10Pa、好ましくは1kPa〜10Paである。
このように、本実施の形態では、図2に示す連続製造装置において、4器の反応器の内温と圧力が所定の数値に達した後に、原料混合溶融液と触媒とが予熱器を介して連続供給され、重縮合反応に基づく溶融重縮合が開始される。
さらに、本発明の方法で得られるポリカーボネートは例えば、芳香族ポリカーボネート、芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリオレフィン、アクリル、アモルファスポリオレフィン、ABS、ASなどの合成樹脂、ポリ乳酸、
ポリブチレンスクシネートなどの生分解性樹脂、ゴムなどの1種又は2種以上と混練して、ポリマーアロイとしても用いることもできる。
には適合できない可能性がある。
本発明にかかる前記透明フィルムは、波長450nmで測定した位相差(Re450)の、波長550nmで測定した位相差(Re550)に対する比は0.50以上1.0以下が好ましく、0.80以上0.95以下がさらに好ましく、特に0.82以上0.90以下が好ましい。前記比率がこの範囲であれば、可視領域の各波長において理想的な位相差特性を得ることができる。例えば1/4波長板としてこのような波長依存性を有する位相差フィルムを作製し、偏光板と貼り合わせることにより、円偏光板等を作製することができ、色相の波長依存性が少ない偏光板および表示装置の実現が可能である。一方、前記比率がこの範囲外の場合には、色相の波長依存性が大きくなり、可視領域のすべての波長において光学補償がなされなくなり、偏光板や表示装置に光が通り抜けることによる着色やコントラストの低下などの問題が生じる。
本発明にかかる前記透明フィルムは、光弾性係数が50×10−12Pa−1以下であることが好ましく、40×10−12Pa−1以下であることが更に好ましい。光弾性係数が過度に大きいと、位相差フィルムとした場合、偏光板と張り合わせると、画面の周囲が白くぼやけるような画像品質の低下が起きる可能性がある。特に大型の表示装置に用いられる場合にはこの問題が顕著に現れる。
以下において、原料調製液、およびポリカーボネートの組成分析と物性の評価は次の方法により行った。
以下の実施例の記載の中で用いた化合物の略号は次の通りである。
・BHEPF:9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン [大阪ガスケミカル(株)製、商品名:BPEF]
・ISB:イソソルビド [ロケットフルーレ社製、商品名:POLYSORB PS]・PEG#1000:ポリエチレングリコール 数平均分子量1000 [三洋化成(株)製]
・DEG:ジエチレングリコール [三菱化学(株)製]
・DPC:ジフェニルカーボネート [三菱化学(株)製]
・亜リン酸 [太平化学産業(株)製]
・Irg1010:ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート] [BASF社製]
漏斗を用いて、100mLの金属製円筒容器にBHEPF試料を投入し、余剰分をすり落として、内容物の重量を測定し、嵩密度[g/mL]を算出した。
本発明において使用したBHEPFは、沸点200℃以下の成分としてはトルエンと水を含有していた。トルエンの含有量は液体クロマトグラフィー分析により測定した。用いた装置や条件は次のとおりである。
・カラム:Cadenza CD−18 4.6mmΦ×250mm
・オーブン温度:60℃
・検出波長:220nm
・溶離液:A液:0.1%リン酸水溶液、B液:アセトニトリル
A/B=45/55vol%からA/B=0/100vol%まで15分間でグラジエント
・流量:1mL/min
・試料注入量:5μL
・定量法:絶対検量線法
BHEPF中の水分は水分測定装置CA−200((株)三菱化学アナリテック製)を用いて測定を行った。
反応工程から留出したモノマーの量は、留出液中の含有量と、留出液量を計測して算出した。全反応工程からの留出液を貯蔵するタンクから試料を採取し、ガスクロマトグラフィーでモノマーの含有量を測定した。用いた装置や条件は次のとおりである。
・カラム:DB−1 内径250μm、長さ30m、膜厚0.25μm(アジレント・テクノロジー(株)製)
・注入口温度:250℃
・検出器温度:320℃
・移動相:ヘリウム
・流量:1.5mL/min
・スプリット比:50/1
・オーブン温度:150℃(2min)→5℃/min→200℃→10℃/min→3
20℃(6min)
・定量法:ビフェニルを内部標準物質に用いて定量した。
溶媒として塩化メチレンを用い、0.6g/dLの濃度のポリカーボネート溶液を調製した。森友理化工業(株)製ウベローデ型粘度管を用いて、温度20.0℃±0.1℃で測定を行い、溶媒の通過時間t0と溶液の通過時間tから次式より相対粘度ηrelを求め、
ηrel=t/t0
相対粘度から次式より比粘度ηspを求めた。
ηsp=(η−η0)/η0=ηrel−1
比粘度を濃度c(g/dL)で割って、還元粘度ηsp/cを求めた。この値が高いほど分子量が大きい。
ポリカーボネート中の各ジヒドロキシ化合物構造単位比は、ポリカーボネート30mgを秤取し、重クロロホルム約0.7mLに溶解し、これを内径5mmのNMR用チューブに入れ、1HNMRスペクトルを測定した。各ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位に基づくシグナル強度比より各ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位比を求めた。用いた装置や条件は、次のとおりである。
・装置:日本電子(株)製JNM−AL400(共鳴周波数400MHz)
・測定温度:30℃
・緩和時間:6秒
・積算回数:512回
・BHEPFの繰り返し構造単位の分子量:464.51
・ISBの繰り返し構造単位の分子量:172.14
・PEG#1000の繰り返し構造単位の分子量:1025.99
・DEGの繰り返し構造単位の分子量:132.11
また、ポリカーボネート中のヒドロキシ末端基の量は以下の計算方法で求めた。
ヒドロキシ末端基量[mol/ton]=(ヒドロキシ末端基に由来するピークの積分値/プロトン数)/{(各ジヒドロキシ化合物に由来するピークの積分値/プロトン数)×繰り返し構造単位の分子量の総和}
90℃で5時間以上、真空乾燥をしたポリカーボネート樹脂を、単軸押出機(いすず化
工機社製、スクリュー径25mm、シリンダー設定温度:220℃)、Tダイ(幅200mm、設定温度:220℃)、チルロール(設定温度:120〜130℃)及び巻取機を備えたフィルム製膜装置を用いて、厚み100μm±10μmの未延伸フィルムを作製した。このフィルムから幅6cm、長さ12cmの試料を切り出した。前記試料をバッチ式二軸延伸装置[東洋精機産業(株)製]で、延伸速度を300%/minで、延伸倍率2.0倍の自由端一軸延伸を行った。延伸温度は実施例1〜3、比較例1のサンプルは155.0℃、実施例4〜5、比較例2のサンプルは133.0℃とした。得られた延伸フィルムを用いて、次のとおり、光学物性の測定を行った。
図1に示した原料調製工程により、BHEPFとISBとPEG#1000とDPCの混合溶液を調製した。フレキシブルコンテナバックに包装されたBHEPFを受入ホッパー2bに投入し、槽内を窒素置換した。窒素による気力輸送により、BHEPFを原料サイロ2dに移送した。
プ3dにより連続的に排出し、BHEPFとISBとDPCに混合した。
原料調製液はスタティックミキサー7aと原料フィルター7bを通して反応器に供給した。反応器の前で重縮合触媒として酢酸マグネシウム4水和物を全ジヒドロキシ化合物1molに対して12μmolとなるように触媒供給ポンプ6bから供給した。
留出液回収タンク17aから試料を採取し、モノマー留出量を算出したところ、全モノマーの合計は0.92mol%と少なかった。
運転期間中に使用したBHEPFは嵩密度が近いものを選択し、約30ロット使用した。全ロットの嵩密度の平均値は0.529g/mL、変動係数は3.01%であった。
BHEPFは嵩密度の大きく異なるものを選択し、運転期間中に約30ロット使用した以外は実施例1と同様に行った。BHEPFの嵩密度の平均値は0.499g/mL、変動係数は8.68%であった。得られたポリカーボネートの共重合組成や、Tg、フィルムの光学物性は実施例1と比べてばらつきがやや大きくなった。
BHEPF溶解槽2fにおいて、所定量のBHEPFとDPCを一括で投入し、溶解し
た後に混合液を全量、溶解槽2iに移送した。運転開始後は、同様にして溶解槽2fで混合液を調製し、溶解槽2iの液量が残りわずかになった時点で溶解槽2fから混合液を移送し、これを運転期間中繰り返し行った。それ以外は実施例1と同様に行った。得られたポリカーボネートの共重合組成や、Tg、フィルムの光学物性は実施例1や2と比べてばらつきがさらに大きくなった。
実施例1において、PEG#1000をDEGに変更し、BHEPF/ISB/DEG/DPC=0.348/0.483/0.169/1.010となるように原料混合液を調製した。DEGの原料調製はPEG#1000と同じ設備を用いた。重縮合触媒として酢酸マグネシウム4水和物を全ジヒドロキシ化合物1molに対して20μmolとなるように供給した。得られるポリカーボネートの還元粘度ηsp/cが0.40から0.42の範囲となるように調整した。それ以外は実施例1と同様に行った。得られたポリカーボネートの品質のばらつきは非常に小さかった。結果を表1に示す。
実施例3と同様に、BHEPFとDPCの混合液の調製をバッチ式に行い、実施例4と同じ共重合組成のポリカーボネートを製造した。得られたポリカーボネートの共重合組成や、Tg、フィルムの光学物性は実施例4と比べてばらつきがやや大きくなった。
溶解槽2fと同様の1槽目の溶解槽(図示せず)にBHEPF、ISB、PEG#1000、DPCのモル比率がBHEPF/ISB/PEG#1000/DPC=0.432/0.556/0.012/1.020となるように一括に投入して、混合した。溶解後に2槽目の溶解槽(図示せず)に全量、移送した。運転開始後は、同様にして1槽目の溶解槽で混合液を調製し、2槽目の溶解槽の液量が残りわずかになった時点で混合液を移送し、これを運転期間中繰り返し行った。その他は実施例1と同様に行った。得られたポリカーボネートの共重合組成や、Tg、フィルムの光学物性は実施例1〜3と比べてばらつきが非常に大きくなった。
比較例1において、PEG#1000をDEGに変更し、BHEPF、ISB、DEG、DPCのモル比率がBHEPF/ISB/DEG/DPC=0.348/0.483/0.169/1.010となるように原料混合液を調製し、比較例1と同様にバッチ式で調製を行った。その他は実施例4と同様に行った。得られたポリカーボネートの共重合組成や、Tg、フィルムの光学物性は実施例4〜5と比べてばらつきが非常に大きくなった。
表1に示した結果から、複数のジヒドロキシ化合物を混合する工程を連続とすることで得られるポリカーボネートの品質を均一にすることができる。さらに、固体の化合物は嵩密度や粒径が均一なものを用い、固体の供給および溶解についても連続的に実施することにより、さらに品質を均一化させることができる。また、そのポリカーボネートを用いた透明フィルム(延伸フィルム)は、位相差Re450とRe550の比(Re450/Re550)と配向性(Δn)のばらつきが少なく、均質なフィルムを得ることができる。
1b:ISB受入ホッパー
1c:解砕機
1d、1g:ISB溶解槽
1e:内部熱交換器
1f:上部パドル下部アンカー型攪拌翼
1h:ISB定量供給ポンプ
2a:BHEPFフレキシブルコンテナバック
2b:BHEPF受入ホッパー
2c:BHEPF空送ブロワー
2d:BHEPF原料サイロ
2e:BHEPF計量フィーダー
2f、2i:BHEPF溶解槽
2g:内部熱交換器
2h、2j:上部パドル下部アンカー型攪拌翼
2k:BHEPF定量供給ポンプ
3a:PEGドラム缶
3b:PEG供給ポンプ
3c:PEG溶解槽
3d:PEG定量供給ポンプ
4a、5a:DPC供給ライン
4b、5b:DPC定量供給ポンプ
6a:触媒タンク
6b:触媒定量供給ポンプ
7a:スタティックミキサー
7b:原料フィルター
8a:第1竪型攪拌反応槽
8b:第2竪型攪拌反応槽
8c:第3竪型攪拌反応槽
8d:第4横型攪拌反応器
9a、9b、9c:マックスブレンド翼
9d:2軸メガネ型攪拌翼
10a、10b:内部熱交換器
11a、11b、11c:ギアポンプ
12a、12b:還流冷却器
13a、13b:還流管
14a、14b、14c、14d:留出管
15a、15b、15c、15d:凝縮器
16a、16b、16c、16d:減圧装置
17a:留出液回収タンク
18a ベント式二軸押出機
18b ポリマーフィルター
19a ストランド冷却槽
19b ストランドカッター
19c 空送ブロワー
19d 製品ホッパー
19e 計量器
19f 製品袋(紙袋、フレキシブルコンテナバックなど)
Claims (14)
- 二種類以上のジヒドロキシ化合物を含む組成物を混合する工程と、二種類以上のジヒドロキシ化合物を含む組成物と炭酸ジエステルを含む組成物とを、連続的に反応器に供給して溶融重縮合する工程を有する共重合ポリカーボネートの製造方法であって、
少なくとも一種のジヒドロキシ化合物が、構造の一部にフルオレン部位を有するジヒドロキシ化合物(A)であって、
二種類以上のジヒドロキシ化合物を含む組成物を混合する工程が連続工程であることを特徴とするポリカーボネートの製造方法。 - 二種類以上のジヒドロキシ化合物を含む組成物と炭酸ジエステルとを含む原料を混合する工程が、すべて連続工程であることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネートの製造方法。
- 前記ジヒドロキシ化合物(A)が、下記構造式(1)で表されるジヒドロキシ化合物である請求項1または2に記載のポリカーボネートの製造方法。
- 前記ジヒドロキシ化合物(A)を含む組成物をその他の原料と混合して溶解する工程を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のポリカーボネートの製造方法。
- 前記ジヒドロキシ化合物(A)を含有する液を調製する溶解槽において、液面を溶解槽高さの70%以上に保持することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のポリカーボネートの製造方法。
- 前記ジヒドロキシ化合物(A)は、嵩密度が0.45g/mL以上、嵩密度の変動係数が8%以下の固体であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のポリカーボネートの製造方法。
- 前記ジヒドロキシ化合物(A)が沸点200℃以下の成分を1.5重量%以下含有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のポリカーボネートの製造方法。
- 前記ジヒドロキシ化合物(B)が、環状エーテル構造を有する化合物であることを特徴とする請求項8に記載のポリカーボネートの製造方法。
- 全反応工程から留出するジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルの量の合計が、仕込み量に対して2mol%以下であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載のポリカーボネートの製造方法。
- 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法で得られたポリカーボネートを製膜してなる透明フィルムであり、長手方向の長さが500m以上であることを特徴とする透明フィルム。
- 前記透明フィルムが少なくとも一方向に連続的に延伸されてなることを特徴とする請求項12に記載の透明フィルム。
- 波長450nmで測定した位相差(Re450)と波長550nmで測定した位相差(Re550)の比が下記式(4)を満足することを特徴とする請求項12または13のいずれか一項に記載の透明フィルム。
0.5 ≦ Re450/Re550 ≦ 1.0 (4)
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