JP6264809B2 - ポリカーボネート樹脂の製造方法 - Google Patents
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Description
また、光学用途に用いられる材料の場合、樹脂中に異物の混入がないことが求められるため、溶融樹脂をフィルターに通して濾過する方法が用いられる。しかし、粘度の高い樹脂をフィルターで濾過するには高温で処理する必要があり、この際に樹脂が着色したり、前述のモノヒドロキシ化合物が増加してしまう課題も見出された。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
θ=Lv×π×(dc/2)2/{Q/(3600×1000)} (A)
dc:前記押出機のシリンダー径[m]
Lv:前記押出機のスクリュー軸方向のベント口の長さ[m]
Q:押出機への樹脂の供給量[kg/hr]
本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法は、下記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを溶融重縮合させて得られたポリカーボネート樹脂を、フィルターを用いて濾過した後に冷却固化するポリカーボネート樹脂の製造方法であって、前記フィルターの目開きが50μm以下であり、該フィルターを通過する前後での、該ポリカーボネート樹脂中のモノヒドロキシ化合物の増加量が100重量ppm以下であることを特徴とする。
なお、以下において、本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法で製造されたポリカーボネート樹脂を「本発明のポリカーボネート樹脂」と称す場合がある。
(ジヒドロキシ化合物)
本発明のポリカーボネート樹脂は、下記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物(以下、「特定ジヒドロキシ化合物」と称することがある。)に由来する構造単位を少なくとも含む。即ち、特定ジヒドロキシ化合物は、2つのヒドロキシル基と、さらに下記式(1)の構造単位を少なくとも含むものを言う。
また、その他のジヒドロキシ化合物と特定ジヒドロキシ化合物との併用による上記効果を有効に得るために、ポリカーボネート樹脂中の全ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位に占める特定ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の割合は、モル比で、全ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を1とした場合、0.1以上、0.95以下、とりわけ0.2以上、0.9以下であることが好ましい。
また、特定ジヒドロキシ化合物として、前記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物と前記式(3)で表されるジヒドロキシ化合物とを併用する場合、さらにオキシアルキレングリコール類を併用することが好ましく、この場合において、ポリカーボネート樹脂中の全ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位に占める前記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位、前記式(3)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位、およびオキシアルキレングリコール類に由来する構造単位の割合は、全ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を1とした場合のモル比で、前記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を0.1〜0.7、前記式(3)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を0.1〜0.5、オキシアルキレングリコール類に由来する構造単位を0.001〜0.3とすることが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂は、上述した特定ジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを原料として、エステル交換反応により重縮合させて得ることができる。用いられる炭酸ジエステルとしては、通常、下記式(6)で表されるものが挙げられる。これらの炭酸ジエステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂は、上述したジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルをエステル交換反応させて製造される。より詳細には、エステル交換させ、副生するモノヒドロキシ化合物等を系外に除去することによって得られる。
本発明のポリカーボネート樹脂は、特定ジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとをエステル交換反応により重縮合させることによって得られる。
(1) 濾過に必要な圧力を発生させるために、最終重合反応器からギアポンプやスクリュー等を用いて溶融状態でポリカーボネート樹脂を抜き出し、フィルターで濾過し、ストランドの形態で冷却固化させて、回転式カッター等でペレット化する方法
(2) 最終重合反応器から溶融状態で一軸又は二軸の押出機にポリカーボネート樹脂を供給し、溶融押出しした後、フィルターで濾過し、ストランドの形態で冷却固化させて、回転式カッター等でペレット化する方法
(3) 最終重合反応器から溶融状態のままで一軸又は二軸の押出機にポリカーボネート樹脂を供給し、溶融押出しした後、一旦ストランドの形態で冷却固化させてペレット化し、該ペレットを再度押出機に導入して溶融押出しした後、フィルターで濾過し、ストランドの形態で冷却固化させて、ペレット化する方法
(4) 最終重合反応器から溶融状態でポリカーボネート樹脂を抜き出し、押出機を通さずにストランドの形態で冷却固化させて一旦ペレット化させた後に、一軸又は二軸の押出機にペレットを供給し、溶融押出しした後、フィルターで濾過し、ストランドの形態で冷却固化させてペレット化する方法
本発明において前記押出機の形態は限定されるものではないが、一軸又は二軸の押出機が用いられる。中でも後述の脱揮性能の向上や添加剤の均一な混練のためには、二軸の押出機が好ましい。この場合、軸の回転方向は異方向であっても同方向であってもよいが、混練性能の観点からは同方向が好ましい。押出機の使用により次のフィルターへのポリカーボネート樹脂の供給を安定させることもできる。
θ=Lv×π×(dc/2)2/{Q/(3600×1000)} (A)
dc:前記押出機のシリンダー径[m]
Lv:前記押出機のスクリュー軸方向のベント口の長さ[m]
Q:押出機への樹脂の供給量[kg/hr]
本発明においては、溶融重縮合して得られたポリカーボネート樹脂中のヤケやゲル等の異物を除去するために、フィルターによる濾過を行う。このフィルターによる濾過は、残存モノマーや副生フェノール等を減圧脱揮により除去し、熱安定剤や離型剤等の添加剤を混合するために、ポリカーボネート樹脂を前記の押出機で押出した後に行うことが好ましい。
前記フィルターで濾過されたポリカーボネート樹脂は、ダイスヘッドからストランドの形態で吐出し、冷却固化させ、回転式カッター等でペレット化されるが、本発明において、ポリカーボネート樹脂が直接外気と触れるストランド化、ペレット化の際には、外気からの異物混入を防止するために、好ましくはJISB 9920(2002年)に定義されるクラス7、更に好ましくはクラス6より清浄度の高いクリーンルーム中で実施することが望ましい。
<リン系化合物>
本発明のポリカーボネート樹脂には、重合触媒を失活させ、さらに高温下でのポリカーボネート樹脂の着色を抑制するために添加された、リン系化合物を含有することが好ましい。このリン系化合物としては、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、次亜リン酸、ポリリン酸、ホスホン酸エステル、酸性リン酸エステル、脂肪族環状亜リン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。上記の中でも触媒失活と着色抑制の効果がさらに優れているのは、亜リン酸、ホスホン酸、ホスホン酸エステルであり、特にホスホン酸エステルが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法においては、前記リン系化合物に加えて、ヒンダードフェノール化合物を併用添加することで、得られるポリカーボネート樹脂のさらなる色調の向上が期待できる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
なお、ヒンダードフェノール化合物や以下の酸化防止剤についても、リン系化合物と同様に、押出機を用いてポリカーボネート樹脂に添加、混練されることが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法では、酸化防止の目的で、通常知られている酸化防止剤をポリカーボネート樹脂に添加することもできる。
これらの酸化防止剤の添加量は、ポリカーボネート樹脂を100重量部とした場合、0.0001重量部〜0.1重量部が好ましく、0.0005重量部〜0.08重量部がより好ましく、0.001重量部〜0.05重量部がさらに好ましい。
以下に、本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法により製造された本発明のポリカーボネート樹脂の好適な物性について説明する。
本発明のポリカーボネート樹脂の分子量は、還元粘度で表すことができ、還元粘度は、通常0.30dL/g以上であり、0.33dL/g以上が好ましく、還元粘度の上限は、1.20dL/g以下、1.00dL/g以下がより好ましく、0.80dL/g以下が更に好ましい。ポリカーボネート樹脂の還元粘度が低すぎると成形品の機械的強度が小さい可能性があり、大きすぎると、成形する際の流動性が低下し、生産性や成形性を低下させる傾向がある。なお、ポリカーボネート樹脂の還元粘度は、溶媒として塩化メチレンを用い、ポリカーボネート樹脂濃度を0.6g/dLに精密に調整し、温度20.0℃±0.1℃でウベローデ粘度管を用いて測定される。還元粘度の測定方法の詳細は実施例の項で記載する。
本発明のポリカーボネート樹脂の溶融粘度は400Pa・s以上、4000Pa・s以下が好ましく、さらには450Pa・s以上、3500Pa・s以下が好ましく、特に500Pa・s以上、3000Pa・s以下が好ましい。ポリカーボネート樹脂の溶融粘度が上記範囲より低いと、ポリカーボネート樹脂が脆くなり、十分な機械物性を有する材料とならない。一方、溶融粘度が上記範囲よりも高いと、成形加工時に流動性が不足し、成形品の外観が損なわれたり、寸法精度が悪化したりする。また、剪断発熱により樹脂温度が上昇して、樹脂が着色したり発泡したりする懸念がある。なお、本明細書において溶融粘度とは、キャピラリーレオメーター[東洋精機(株)製]を用いて、測定温度240℃、剪断速度91.2sec−1における溶融粘度を示す。その測定方法の詳細は実施例の項で記載する。
本発明のポリカーボネート樹脂のガラス転移温度は80℃以上、180℃以下であることが好ましく、さらには90℃以上、160℃以下が好ましく、特に95℃以上、140℃以下が好ましい。ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度が低すぎると、高温下や高湿下において成形品が変形するなどして、使用に耐えうる耐熱性を満足できない。一方、ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度が過度に高いと、成形加工の際に温度を高くせざるを得ず、ポリカーボネート樹脂の分子量低下や着色などの熱劣化を招いたり、ガスの発生により成形品の外観を損ねるおそれがある。なお、ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度は示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される。測定条件の詳細は実施例の項で記載する。
前記の重縮合反応において、炭酸ジエステルから脱離成分としてモノヒドロキシ化合物が生成する。例えば、炭酸ジエステルとしてジフェニルカーボネートを用いる場合は、生成するモノヒドロキシ化合物はフェノールである。炭酸ジエステルと同様にモノヒドロキシ化合物もポリカーボネート樹脂中に多く残存すると、成形加工時に問題を生じることがある。本発明のポリカーボネート樹脂中のモノヒドロキシ化合物の残存量は700重量ppm以下であり、さらに500重量ppm以下であることが好ましく、特には300重量ppm以下であることが好ましい。ポリカーボネート樹脂の製造時に、前述の触媒失活剤となる特定のリン系化合物を適量用い、さらに十分に脱揮処理を行うことで、ポリカーボネート樹脂中のモノヒドロキシ化合物の残存量を低減し、かつ加熱下での発生を抑制することができる。ポリカーボネート樹脂中のモノヒドロキシ化合物量の測定方法の詳細は実施例の項で記載する。
モノヒドロキシ化合物は重縮合反応中だけでなく、ポリカーボネート樹脂を加熱して成形や加工する時にも、重合反応や熱分解が進行して発生するため、重合後の加熱条件下においても発生を抑制する必要がある。本発明のポリカーボネート樹脂は、260℃で60分間加熱した後のモノヒドロキシ化合物の増加量、即ち、260℃で60分間加熱することで発生するモノヒドロキシ化合物は700重量ppm以下であり、さらには400重量ppm以下であることが好ましく、特には200重量ppm以下であることが好ましい。モノヒドロキシ化合物の増加量の測定方法の詳細は実施例の項で記載する。
本発明のポリカーボネート樹脂は、以下に記載する二つの条件で射出成形されたプレートのイエローインデックス(YI)値の差が0.30以下であることが好ましく、0.25以下であることがより好ましく、0.20以下であることがさらに好ましい。YI値の差が大きくなると、射出成形や押出成形などの溶融加工をする際にポリカーボネート樹脂の着色が大きくなり、透明性や良好や色相を求められる用途への適用が難しくなる。
本発明のポリカーボネート樹脂が前記式(2)で表される特定ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含む場合、前記式(2)で表される特定ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位全体に対して、下記式(2A)と(2B)で表される二重結合末端基の含有量が0.4mol%以下であることが好ましく、さらに0.3mol%以下であることが好ましい。下記式(2A)と(2B)で表される二重結合末端基は熱分解によって生成する構造であり、ポリカーボネート樹脂が受けた熱履歴を表す指標となる。この二重結合末端基量が上記上限よりも多いと、重合や成形加工の際に過剰な熱履歴がかかっており、樹脂の色調や耐候性が悪化しやすくなる。
本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法によれば、着色が少なく、異物の少ないポリカーボネート樹脂が得られるため、本発明のポリカーボネート樹脂から押出成形によって得られた厚さ35μm±5μmのフィルムに含まれる25μm以上の異物が、好ましくは500個/m2以下、より好ましくは、300個/m2以下、最も好ましくは200個/m2以下とすることができる。このように異物の少ない特性は、ポリカーボネート樹脂を光学用途に用いる際に特に好適である。なお、ここで、25μm以上の異物とは、上記フィルムをインラインで観察した際の画像において、異物を2本平行線で挟んだとき、この平行線の距離が最も大きくなる、異物の最大長(最大径)に相当する。
次に、図1を参照して、本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法の実施形態の一例を具体的に説明する。以下に説明する連続製造装置や原料、触媒等は、本発明の実施態様の一例であり、本発明は以下に説明する例に限定されるものではない。
内温:130℃〜230℃
圧力:40kPa〜10kPa
加熱媒体の温度:140℃〜240℃
還流比:0.01〜10
(第2竪型攪拌反応器6b)
内温:150℃〜230℃
圧力:40kPa〜8kPa
加熱媒体の温度:160℃〜240℃
還流比:0.01〜5
(第3竪型攪拌反応器6c)
内温:170℃〜230℃
圧力:10kPa〜1kPa
加熱媒体の温度:180℃〜240℃
(第4横型攪拌反応器6d)
内温:200℃〜260℃
圧力:1kPa〜10Pa
加熱媒体の温度:210〜270℃
本発明のポリカーボネート樹脂は、例えば、芳香族ポリカーボネート樹脂、芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリオレフィン、アクリル、アモルファスポリオレフィン、ABS、ASなどの合成樹脂、ポリ乳酸、ポリブチレンスクシネートなどの生分解性樹脂、ゴムなどの1種又は2種以上と混練して、ポリマーアロイとしても用いることもできる。
本発明のポリカーボネート樹脂及びこれを含む樹脂組成物は、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法等の通常知られている方法で成形品とすることができ、色相、透明性、耐候性、耐熱性、及び機械的強度に優れ、残存低分子成分や異物の少ないポリカーボネート樹脂成形品を得ることができる。
以下において、ポリカーボネート樹脂の物性ないし特性の評価は次の方法により行った。
ポリカーボネート樹脂のサンプルを塩化メチレンに溶解させ、0.6g/dLの濃度のポリカーボネート樹脂溶液を調製した。森友理化工業社製ウベローデ型粘度管を用いて、温度20.0℃±0.1℃で測定を行い、溶媒の通過時間t0と溶液の通過時間tから次式(i)より相対粘度ηrelを求め、相対粘度ηrelから次式(ii)より比粘度ηspを求めた。
ηrel=t/t0 ・・・(i)
ηsp=(η−η0)/η0=ηrel−1 ・・・(ii)
比粘度ηspを濃度c(g/dL)で割って、還元粘度ηsp/cを求めた。この値が高いほど分子量が大きい。
ポリカーボネート樹脂のペレットを90℃で5時間以上、真空乾燥した。乾燥したポリカーボネート樹脂のペレットを射出成形機(日本製鋼所社製J75EII型)に供給し、最終シリンダーの温度を250℃、成形サイクル23秒間の条件でプレート型の射出成形片(幅60mm×長さ60mm×厚さ3mm)を成形する操作を繰り返した。10ショット目以降、シリンダー内の樹脂の滞留時間は4分となる。10ショット目〜20ショット目で得られた射出成形片の厚み方向での透過光におけるイエローインデックス(YI)値を後述のとおり測定し、平均値を算出した。(この値を初期のYIとする。)続いて、21ショット目から成形サイクルを120秒とし、30ショット目まで成形操作を繰り返した。30ショット目の樹脂の滞留時間は24分となる。30ショット目で得られた射出成形品のYI値を同様にして色差計を用いて測定した。(この値を滞留のYIとする)
得られたプレートの色調はコニカミノルタ社製分光測色計CM−5を用い、ASTM D1925に準拠して測定を行った。前述の射出成形で得られたプレートを測定室に置き、透過光のYI値を測定した。YI値が小さい程、黄色味がなく品質が優れることを示す。なお、成形直後はプレートの色調が不安定のため、プレートは冷暗所に保管し、成形後1日以上経過した後に色調測定を行う。また、比較に用いるプレートは同一条件下で保管し、同時に測定した数値を用いる。
ポリカーボネート樹脂ペレットの色相は、ASTM D1925に準拠して、コニカミノルタ社製分光測色計CM−5を用い、反射光で測定を行った。測定条件は測定径30mm、SCEを選択した。シャーレ測定用校正ガラスCM−A212を測定部にはめ込み、その上からゼロ校正ボックスCM−A124をかぶせてゼロ校正を行い、続いて内蔵の白色校正板を用いて白色校正を行った。白色校正板CM−A210を用いて測定を行い、L*が99.40±0.05、a*が0.03±0.01、b*が−0.43±0.01、YIが−0.58±0.01となることを確認した。ペレットのYIの測定は、内径30mm、高さ50mmの円柱ガラス容器にペレットを40mm程度の深さまで詰めて測定した。ガラス容器からペレットを取り出してから再度測定を行う操作を2回繰り返し、計3回の測定値の平均値を用いた。
ポリカーボネート樹脂試料約1gを精秤し、塩化メチレン5mLに溶解して溶液とした後、総量が25mLになるようにアセトンを添加して再沈殿処理を行った。次いで、該処理液を0.2μmディスクフィルターで濾過して、液体クロマトグラフィーにて定量を行った。
ポリカーボネート樹脂を90℃で5時間以上、真空乾燥した。乾燥したポリカーボネート樹脂約5gをガラス試験管に入れ、容器内を窒素置換した後、窒素シールした。260℃に加熱したオイルバスに、試験管内のポリカーボネート樹脂ペレットがオイル液面よりも下になるように試験管を浸け、60分後にオイルバスから取り出した。室温付近まで冷却した後、樹脂を取り出し、前述の(4)の方法でポリカーボネート樹脂中のモノヒドロキシ化合物の量を測定し、加熱処理前のモノヒドロキシ化合物の量を引いて、加熱によって増加した量を求めた。
ポリカーボネート樹脂のペレットを90℃で5時間以上、真空乾燥した。乾燥した試料を用いて、キャピラリーレオメーター(東洋精機(株)製)で測定を行った。測定温度は240℃とし、剪断速度9.12〜1824sec−1間で溶融粘度を測定し、91.2sec−1における溶融粘度の値を用いた。ダイス径1mmφ×10mmLのオリフィスを使用した。
示差走査熱量計(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製DSC6220)を用いて測定した。ポリカーボネート樹脂試料約10mgを同社製アルミパンに入れて密封し、50mL/分の窒素気流下、昇温速度20℃/分で室温から250℃まで昇温した。3分間温度を保持した後、30℃まで20℃/分の速度で冷却した。30℃で3分保持し、再び200℃まで20℃/分の速度で昇温した。2回目の昇温で得られたDSCデータより、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度である、補外ガラス転移開始温度を求め、それをガラス転移温度とした。
ポリカーボネート樹脂試料約25mgを秤取し、重クロロホルム約0.7mLに溶解し、これを内径5mmのNMR用チューブに入れ、1HNMRスペクトルを測定した。ポリカーボネートを構成する前記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物と前記式(2A)と(2B)で表される二重結合末端基に由来するシグナルの強度比より、二重結合末端基の量を定量した。用いた装置及び条件は、次のとおりである。
・装置:日本電子社製JNM−AL400(共鳴周波数400MHz)
・測定温度:常温
・緩和時間:6秒
・積算回数:512回
(a):5.6−4.8ppm:全ISB構造単位由来(プロトン数:3)
(b):6.7−6.5ppm:ISB由来二重結合末端基由来(プロトン数:1)
全ISB構造単位に対するISB由来二重結合末端基の量[mol%]
=(b)積分値/{(a)積分値/3}×100
パーキンエルマー社製マイクロウェーブ分解容器にポリカーボネート樹脂試料約0.5gを精秤し、97%硫酸2mLを加え、密閉状態にして230℃で10分間マイクロウェーブ加熱した。室温まで冷却後、68%硝酸1.5mLを加えて、密閉状態にして150℃で10分間マイクロウェーブ加熱した後、再度室温まで冷却を行い、68%硝酸2.5mLを加え、再び密閉状態にして230℃で10分間マイクロウェーブ加熱し、内容物を完全に分解させた。室温まで冷却後、上記で得られた液を純水で希釈し、サーモクエスト社製ICP−MSで定量した。
1軸押出機(口径20mm、シングルフライト、L/D=25)とキャストフィルムダイ(150mm幅)、冷却ロールを用いて、厚さ35μm±5μmのフィルムを成形した。Optical Control System社製、Film Quality Testing System(型式FSA100)を使用し、押出製膜をしたフィルムをインラインで3m2観察して、1m2当たりの25μm以上の異物数を測定した。
以下の実施例及び比較例で用いた化合物の略号、および製造元は次の通りである。
・ISB:イソソルビド[ロケットフルーレ社製]
・CHDM:1,4−シクロヘキサンジメタノール[SKChemical社製]
・BHEPF:9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン[大阪ガスケミカル(株)製]
・PEG#1000:ポリエチレングリコール(数平均分子量:1000)[三洋化成(株)社製]
<炭酸ジエステル>
・DPC:ジフェニルカーボネート[三菱化学(株)製]
<ヒンダードフェノール化合物>
・Irganox1010:ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート][BASF社製]
・亜リン酸[太平化学産業(株)製](分子量82.0)
・リン酸[東京化成工業(株)製](分子量98.0)
・ホスホン酸ビス(2−エチルヘキシル)[城北化学工業(株)製](分子量306.4)
・ホスホン酸ジラウリル[城北化学工業(株)製](分子量418.6)
・リン酸ビス(2−エチルヘキシル)(モノエステルとジエステルの混合物)[城北化学工業(株)製](分子量266.3)
・AX−71:リン酸ジステアリル(モノエステルとジエステルの混合物)[(株)ADEKA製](分子量476.7)
・PEP−8:ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト[(株)ADEKA製](分子量366.5)
・AS2112:トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト[(株)ADEKA製](分子量646.9)
・亜リン酸トリラウリル[城北化学工業(株)製](分子量587.0)
・亜リン酸トリフェニル[東京化成工業(株)製](分子量310.3)
・リン酸トリス(2−エチルヘキシル)[東京化成工業(株)製](分子量434.6)
・リン酸トリフェニル[東京化成工業(株)製](分子量326.3)
・PTSB:p−トルエンスルホン酸ブチル[東京化成工業(株)製](分子量228.3)
なお、上記のリン系化合物はすべて塩素原子の含有量が5重量%以下であるものを用いた。
図1に示すように、竪型攪拌反応器3器と横型攪拌反応器1器、並びに二軸押出機からなる連続重合設備を用いて、ポリカーボネート樹脂の重合を行った。ISBとCHDMとDPCをそれぞれタンクで溶融させ、ISBを25.6kg/hr、CHDMを25.3kg/hr、DPCを75.5kg/hr(モル比でISB/CHDM/DPC=0.500/0.500/1.005)の流量で第1竪型攪拌反応器に連続的に供給した。同時に、触媒として酢酸カルシウム1水和物の水溶液を全ジヒドロキシ化合物1molに対して1.5μmolとなるように第1竪型攪拌反応器に供給した。第1竪型攪拌反応器での平均滞留時間が90分となるように、反応器底部の移送配管に設けられたバルブの開度を制御しつつ、液面レベルを一定に保った。反応器底部より排出された反応液は、引き続き第2竪型攪拌反応器、第3竪型攪拌反応器、第4横型攪拌反応器[(株)日立プラントテクノロジー社製2軸メガネ翼]に逐次連続供給された。第1竪型攪拌反応器と第2竪型攪拌反応器は還流冷却器を具備しており、還流比を調節することで、未反応のジヒドロキシ化合物とDPCの留出を抑制した。
各反応器の反応温度、内圧、滞留時間はそれぞれ、第1竪型攪拌反応器:190℃、25kPa、90分、第2竪型攪拌反応器:195℃、10kPa、45分、第3竪型攪拌反応器:210℃、3kPa、45分、第4横型攪拌反応器:225℃、0.5kPa、90分とした。得られるポリカーボネート樹脂の還元粘度が0.61dL/gから0.64dL/gとなるように、第4横型攪拌反応器の内圧を微調整しながら運転を行った。
第4横型攪拌反応器より60kg/hrの量でポリカーボネート樹脂を抜き出し、続いて樹脂を溶融状態のままベント式二軸押出機[(株)日本製鋼所製TEX30α、L/D:42.0]に供給した。押出機は3つの真空ベント口を有しており、樹脂中の残存低分子成分を脱揮除去した。各ベント口のスクリュー軸方向の長さは150mm、150mm、45mmである。第2ベントの手前で水を樹脂に対して2000重量ppm加えて、注水脱揮を行った。押出機はシリンダー温度を220℃、スクリュー回転数を230rpm(周速0.36m/秒)に設定した。前記式(A)で示されるθの値は16.6であった。
製造例1よりも大型の製造設備を用いて、ポリカーボネート樹脂の製造を行った。反応器や押出機、フィルターの構成は製造例1と同等である。ISBとCHDMとDPCをそれぞれタンクで溶融させ、ISBを533.6kg/hr、CHDMを526.6kg/hr、DPCを1572.2kg/hr(モル比でISB/CHDM/DPC=0.500/0.500/1.005)の流量で第1竪型攪拌反応器に連続的に供給した。各反応器の反応条件は製造例1と同様とした。
第4横型攪拌反応器より1250kg/hrの量でポリカーボネート樹脂を抜き出し、続いて樹脂を溶融状態のままベント式二軸押出機[(株)日本製鋼所製TEX160α、L/D:38.5]に供給した。押出機は3つの真空ベント口を有しており、各ベント口のスクリュー軸方向の長さは295mm、800mm、295mmである。第2ベントの手前で水を樹脂に対して2000重量ppm加えて、注水脱揮を行った。押出機はシリンダー温度を180℃、スクリュー回転数を40rpm(周速0.36m/秒)に設定した。前記式(A)で示されるθは95.2であった。
製造例1と同じ製造設備を用いて、BHEPFを38.2kg/hr、ISBを16.1kg/hr、PEG#1000を0.58kg/hr、DPCを42.8kg/hr(モル比でBHEPF/ISB/PEG#1000/DPC=0.441/0.556/0.003/1.010)の流量で第1竪型攪拌反応器に連続的に供給した。BHEPFとDPCは混合して溶解させたため、混合液を供給した。同時に、触媒として酢酸マグネシウム4水和物の水溶液を全ジヒドロキシ化合物1molに対して12μmolとなるように第1竪型攪拌反応器に供給した。
各反応器の反応温度、内圧、滞留時間はそれぞれ、第1竪型攪拌反応器:195℃、27kPa、90分、第2竪型攪拌反応器:200℃、24kPa、80分、第3竪型攪拌反応器:220℃、12kPa、45分、第4横型攪拌反応器:238℃、0.5kPa、90分とした。得られるポリカーボネート樹脂の還元粘度が0.34dL/gから0.36dL/gとなるように、第4横型攪拌反応器の内圧を微調整しながら運転を行った。
その他は製造例1と同様に行い、BHEPF/ISB/PEG#1000=44.1/55.6/0.3mol%のポリカーボネート樹脂Bを得た。
フィルターから排出されたポリカーボネート樹脂の温度は272℃であった。得られたポリカーボネート樹脂Bの溶融粘度は2730Pa・sであり、ガラス転移温度は145℃であった。樹脂中のナトリウム、カリウム及びセシウムの合計の含有量は0.2重量ppmであった。ISB由来の二重結合末端基の量はISBに由来する構造単位全体に対して0.36mol%であった。ポリカーボネート樹脂中の異物の量は50個/m2であった。
製造例3よりも大型の製造設備を用いて、ポリカーボネート樹脂の製造を行った。反応器や押出機、フィルターの構成は製造例3と同等である。BHEPFを334.3kg/hr、ISBを796.5kg/hr、PEG#1000を12.2kg/hr、DPCを890.6kg/hr(モル比でBHEPF/ISB/PEG#1000/DPC=0.441/0.556/0.003/1.010)の流量で第1竪型攪拌反応器に連続的に供給した。各反応器の反応条件は製造例3と同様とした。
押出機とフィルター濾過の条件は製造例2と同様に行い、BHEPF/ISB/PEG#1000=44.1/55.6/0.3mol%のポリカーボネート樹脂Bを得た。フィルターから排出されたポリカーボネート樹脂の温度は276℃であった。得られたポリカーボネート樹脂の溶融粘度は2780Pa・sであり、ガラス転移温度は145℃であった。樹脂中のナトリウム、カリウム及びセシウムの合計の含有量は0.1重量ppmであった。ISB由来の二重結合末端基の量はISBに由来する構造単位全体に対して0.32mol%であった。ポリカーボネート樹脂中の異物の量は25個/m2であった。
製造例1において、押出機の第1ベント口の手前から亜リン酸をまぶしたマスターペレットを供給し、ポリカーボネート樹脂に対して亜リン酸を4.3ppm(リン原子の量として1.6ppm)添加した。フィルターを通過する際のモノヒドロキシ化合物の増加量は38重量ppmであり、非常に少なかった。得られたポリカーボネート樹脂のペレットYIは6.8、モノヒドロキシ化合物の残存量は230ppmであった。このペレットを用いて、前述の方法にてプレート成形体の色調、加熱によるモノヒドロキシ化合物の増加量の評価を行い、結果を表1に示した。
表1に示すとおり、いずれも良好な結果が得られた。
二軸押出機のスクリュー回転数を280rpmとした以外は実施例1と同様に行った。フィルターから排出されるポリカーボネート樹脂の温度は285℃まで上昇したが、フィルターを通過する際のモノヒドロキシ化合物の増加量は68重量ppmであり、実施例1よりも若干増加したものの良好な結果であった。得られたポリカーボネート樹脂の評価結果を表1に示す。
表1に示す通り、得られたポリカーボネート樹脂は実施例1のポリカーボネート樹脂よりも色調がわずかに悪化したが、押出機での脱揮効率が向上したことにより、モノヒドロキシ化合物の残存量が低下した。
実施例2において、亜リン酸を押出機の第3ベントの手前で添加した以外は実施例2と同様に行った。得られたポリカーボネート樹脂の評価結果を表1に示す。
表1に示す通り、フィルターを通過する際のモノヒドロキシ化合物の増加量は特に変化がなかったが、得られたポリカーボネート樹脂の色調が若干悪化し、モノヒドロキシ化合物の残存量も増加した。
製造例2において、押出機の第1ベント口の手前から亜リン酸をまぶしたマスターペレットを供給し、ポリカーボネート樹脂に対して亜リン酸を4.3ppm添加した。フィルターを通過する際のモノヒドロキシ化合物の増加量は32重量ppmであり、非常に少なかった。得られたポリカーボネート樹脂の評価結果を表1に示す。
表1に示す通り、得られたポリカーボネート樹脂のペレットYIは5.3、モノヒドロキシ化合物の残存量は98重量ppmであり、実施例1よりも良好な品質のポリカーボネート樹脂が得られた。
実施例1において、亜リン酸の添加量を22.0重量ppmとした以外は実施例1と同様に行った。得られたポリカーボネート樹脂の評価結果を表1に示す。
表1に示す通り、モノヒドロキシ化合物は低減したが、滞留後のプレートの色調が悪化した。この結果から、リン系化合物の添加量が多すぎると、モノヒドロキシ化合物の低減には効果があるが、樹脂の色調を悪化させる傾向があることが分かる。
実施例1において、亜リン酸に替えてリン酸を用いた以外は実施例1と同様に行った。リン酸の添加量は5.2重量ppmとした。得られたポリカーボネート樹脂の評価結果を表1に示す。
表1に示す通り、良好な品質のポリカーボネート樹脂が得られた。
実施例1において、亜リン酸に替えてホスホン酸ビス(2−エチルヘキシル)を用いた以外は実施例1と同様に行った。ホスホン酸ビス(2−エチルヘキシル)の添加量は32.2重量ppmとした。得られたポリカーボネート樹脂の評価結果を表1に示す。
表1に示す通り、良好な品質のポリカーボネート樹脂が得られた。
実施例1において、亜リン酸に替えてホスホン酸ジラウリルを用いた以外は実施例1と同様に行った。ホスホン酸ジラウリルの添加量は44.0重量ppmとした。得られたポリカーボネート樹脂の評価結果を表1に示す。
表1に示す通り、良好な品質のポリカーボネート樹脂が得られた。
実施例1において、亜リン酸に替えてリン酸ビス(2−エチルヘキシル)を用いた以外は実施例1と同様に行った。リン酸ビス(2−エチルヘキシル)の添加量は21.0重量ppmとした。得られたポリカーボネート樹脂の評価結果を表1に示す。
表1に示す通り、得られたポリカーボネート樹脂の色調は良好であったが、実施例1〜8のポリカーボネート樹脂と比較すると、加熱によるモノヒドロキシ化合物の増加量が若干多くなったことから、触媒失活効果がやや劣っていることが分かる。
実施例1において、亜リン酸に替えてAX−71を用いた以外は実施例1と同様に行った。AX−71の添加量は37.0重量ppmとした。得られたポリカーボネート樹脂の評価結果を表1に示す。
表1に示す通り、得られたポリカーボネート樹脂の色調は良好であったが、実施例1〜8のポリカーボネート樹脂と比較すると、加熱によるモノヒドロキシ化合物の増加量が若干多くなった。
実施例1において、亜リン酸に替えてPEP−8を用いた以外は実施例1と同様に行った。PEP−8の添加量は38.5重量ppmとした。得られたポリカーボネート樹脂の評価結果を表1に示す。
表1に示す通り、得られたポリカーボネート樹脂の色調は良好であったが、実施例1〜8のポリカーボネート樹脂と比較すると、加熱によるモノヒドロキシ化合物の増加量が若干多くなった。
製造例1において、DPCの供給量を76.2kg/hrとし(モル比でISB/CHDM/DPC=0.500/0.500/1.015)、得られるポリカーボネート樹脂の還元粘度が0.50〜0.53dL/Lとなるように第4横型攪拌反応器の内圧を調整した。得られたポリカーボネート樹脂の溶融粘度は620Pa・sであり、フィルターから排出されたポリカーボネート樹脂の温度は押出機出口の樹脂温度は255℃に低下した。ISB由来の二重結合末端基の量は、ISBに由来する構造単位全体に対して0.18mol%であった。ガラス転移温度は99℃であった。
押出機ではホスホン酸ビス(2−エチルヘキシル)を樹脂に対して32.2重量ppm添加した。得られたポリカーボネート樹脂の評価結果を表1に示す。
表1に示す通り、得られたポリカーボネート樹脂は実施例1〜11のポリカーボネート樹脂と比較して、さらに色調が向上した。
製造例3において、押出機の第1ベント口の手前から亜リン酸をまぶしたマスターペレットを供給し、ポリカーボネート樹脂に対して亜リン酸を8.0ppm添加した。フィルターを通過する際のモノヒドロキシ化合物の増加量は31重量ppmであり、非常に少なかった。得られたポリカーボネート樹脂のペレットYIは23.1、モノヒドロキシ化合物の残存量は186ppmであった。このペレットを用いて、前述の方法にて評価を行った結果を表1に示す。表1に示すとおり、いずれも良好な結果が得られた。
製造例4において、押出機の第1ベント口の手前から亜リン酸をまぶしたマスターペレットを供給し、ポリカーボネート樹脂に対して亜リン酸を8.0ppm添加した。フィルターを通過する際のモノヒドロキシ化合物の増加量は27重量ppmであり、非常に少なかった。得られたポリカーボネート樹脂の評価結果を表1に示す。
表1に示す通り、得られたポリカーボネート樹脂のペレットYIは20.0、モノヒドロキシ化合物の残存量は96重量ppmであり、実施例13よりも良好な品質のポリカーボネート樹脂が得られた。
実施例13において、亜リン酸に替えてホスホン酸ビス(2−エチルヘキシル)を用いた以外は実施例13と同様に行った。ホスホン酸ビス(2−エチルヘキシル)の添加量は43.0重量ppmとした。得られたポリカーボネート樹脂の評価結果を表1に示す。
表1に示す通り、良好な品質のポリカーボネート樹脂が得られた。
製造例1において、押出機で添加剤を何も加えずにポリカーボネート樹脂を得た。フィルターを通過する際のモノヒドロキシ化合物の増加量は280重量ppmまで増加した。得られたポリカーボネート樹脂の評価結果を表2に示す。
表2に示す通り、実施例1〜12のポリカーボネート樹脂と比較して、ペレットYIや初期のプレートの色調も悪化し、モノヒドロキシ化合物の含有量も多かった。さらに、加熱後の色調やモノヒドロキシ化合物の増加量も悪化した。
比較例1において、押出機のスクリュー回転数を280rpmとした以外は比較例1と同様に行った。フィルターから排出されるポリカーボネート樹脂の温度は286℃まで上昇し、フィルターを通過する際のモノヒドロキシ化合物の増加量もさらに悪化した。得られたポリカーボネート樹脂の評価結果を表2に示す。
表2に示す通り、得られたポリカーボネート樹脂の色調も比較例1のポリカーボネート樹脂よりもさらに悪化した。
実施例1において、亜リン酸の添加量を2.0重量ppmとした以外は実施例1と同様に行った。得られたポリカーボネート樹脂の評価結果を表2に示す。
表2に示す通り、実施例1よりも得られたポリカーボネート樹脂の品質は全体的に劣っていた。
実施例1において、亜リン酸に替えてAS2112を用いた以外は実施例1と同様に行った。AS2112の添加量は200重量ppmとした。得られたポリカーボネート樹脂の評価結果を表2に示す。
表2に示す通り、フィルターを通過する際のモノヒドロキシ化合物の増加量や、得られたポリカーボネート樹脂の品質は比較例1のポリカーボネート樹脂と変わらず、AS2112に品質改良の効果は見られなかった。
実施例1において、亜リン酸に替えて亜リン酸トリラウリルを用いた以外は実施例1と同様に行った。亜リン酸トリラウリルの添加量は200重量ppmとした。得られたポリカーボネート樹脂の評価結果を表2に示す。
表2に示す通り、得られたポリカーボネート樹脂の品質は比較例1のポリカーボネート樹脂と変わらず、亜リン酸トリラウリルに品質改良の効果は見られなかった。
実施例1において、亜リン酸に替えて亜リン酸トリフェニルを用いた以外は実施例1と同様に行った。亜リン酸トリフェニルの添加量は100重量ppmとした。得られたポリカーボネート樹脂の評価結果を表2に示す。
表2に示す通り、フィルターを通過する際のモノヒドロキシ化合物の増加量や、得られたポリカーボネート樹脂の品質は比較例1のポリカーボネート樹脂と変わらず、亜リン酸トリフェニルに品質改良の効果は見られなかった。
実施例1において、亜リン酸に替えてリン酸トリス(2−エチルヘキシル)を用いた以外は実施例1と同様に行った。リン酸トリス(2−エチルヘキシル)の添加量は150重量ppmとした。得られたポリカーボネート樹脂の評価結果を表2に示す。
表2に示す通り、フィルターを通過する際のモノヒドロキシ化合物の増加量や、得られたポリカーボネート樹脂の品質は比較例1のポリカーボネート樹脂と変わらず、リン酸トリス(2−エチルヘキシル)に品質改良の効果は見られなかった。
実施例1において、亜リン酸に替えてリン酸トリフェニルを用いた以外は実施例1と同様に行った。リン酸トリフェニルの添加量は100重量ppmとした。得られたポリカーボネート樹脂の評価結果を表2に示す。
表2に示す通り、フィルターを通過する際のモノヒドロキシ化合物の増加量や、得られたポリカーボネート樹脂の品質は比較例1のポリカーボネート樹脂と変わらず、リン酸トリフェニルに品質改良の効果は見られなかった。
実施例1において、亜リン酸に替えてPTSBを用いた以外は実施例1と同様に行った。PTSBの添加量は24.0重量ppmとした。得られたポリカーボネート樹脂の評価結果を表2に示す。
表2に示す通り、得られたポリカーボネート樹脂の品質は比較例1のポリカーボネート樹脂と変わらず、PTSBに品質改良の効果は見られなかった。滞留による着色はむしろ悪化している傾向が見られる。
製造例2において、押出機で何も添加剤を加えずにポリカーボネート樹脂を得た。フィルターを通過する際のモノヒドロキシ化合物の増加量は321重量ppmまで増加した。得られたポリカーボネート樹脂の評価結果を表2に示す。
表2に示す通り、実施例13〜15のポリカーボネート樹脂と比較して、ペレットYIや初期のプレートの色調が悪化し、モノヒドロキシ化合物の含有量も多かった。さらに、加熱後の色調やモノヒドロキシ化合物の増加量も悪化した。
比較例10において、押出機のスクリュー回転数を280rpmとした以外は比較例10と同様に行った。フィルターから排出されるポリカーボネート樹脂の温度は287℃まで上昇し、フィルターを通過する際のモノヒドロキシ化合物の増加量もさらに悪化した。得られたポリカーボネート樹脂の評価結果を表2に示す。
表2に示す通り、得られたポリカーボネート樹脂の色調も比較例10のポリカーボネート樹脂よりもさらに悪化した。
実施例13において、亜リン酸に替えてPTSBを用いた以外は実施例13と同様に行った。PTSBの添加量は40.0重量ppmとした。得られたポリカーボネート樹脂の評価結果を表2に示す。
表2に示す通り、比較例12のポリカーボネート樹脂よりも得られたポリカーボネート樹脂の品質は低下しており、特に色調が悪化した。
1b、1c、1d 原料(ジヒドロキシ化合物)供給口
1e 触媒供給口
2a 原料混合槽
3a アンカー型攪拌翼
4a 原料供給ポンプ
4b、4c、4d ギアポンプ
5a 原料フィルター
6a 第1竪型攪拌反応槽
6b 第2竪型攪拌反応槽
6c 第3竪型攪拌反応槽
6d 第4横型攪拌反応器
7a、7b、7c マックスブレンド翼
7d 2軸メガネ型攪拌翼
8a、8b 内部熱交換器
9a、9b 還流冷却器
10a、10b 還流管
11a、11b、11c、11d 留出管
12a、12b、12c、12d 凝縮器
13a、13b、13c、13d 減圧装置
14a 留出液回収タンク
15a ベント式二軸押出機
15b ポリマーフィルター
16a ストランド冷却槽
16b ストランドカッター
16c 空送ブロワー
16d 製品ホッパー
16e 計量器
16f 製品袋(紙袋、フレキシブルコンテナバッグなど)
Claims (13)
- 下記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを溶融重縮合させて得られたポリカーボネート樹脂を、フィルターを用いて濾過した後に冷却固化するポリカーボネート樹脂の製造方法であって、
前記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と、炭酸ジエステルと、重合触媒とを、多段に設けられた反応器に連続的に供給して溶融重縮合を行い、最終反応器より排出されたポリカーボネート樹脂を固化させることなく、前記フィルターに供給するポリカーボネート樹脂の製造方法であり、
押出機を用いて、分子内にリン原子を有するリン系化合物を、前記溶融重縮合により得られたポリカーボネート樹脂に添加した後に、溶融状態のまま前記フィルターに供給し、
該フィルターから排出されるポリカーボネート樹脂の温度(フィルターで濾過した直後のポリカーボネート樹脂の温度)が220℃以上280℃以下であり、
前記リン系化合物を該ポリカーボネート樹脂中のリン原子の含有量として1重量ppm以上、8重量ppm以下添加し、
前記リン系化合物が、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸、ホスホン酸、ホスホン酸エステル、酸性リン酸エステル、及び脂肪族環状亜リン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種のリン系化合物であり、
前記フィルターの目開きが50μm以下であり、該フィルターを通過する前後での、該ポリカーボネート樹脂中のモノヒドロキシ化合物の増加量が100重量ppm以下であり、
前記フィルターから排出されたポリカーボネート樹脂中のナトリウム、カリウム及びセシウムの合計の含有量が、金属量として1重量ppm以下であることを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 前記リン系化合物中の塩素原子の含有量が5重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 前記押出機がベント式二軸押出機であり、押出機の第1ベント口の手前で前記リン系化合物を添加することを特徴とする請求項1又は2に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 前記押出機の処理条件を示す下記式(A)で示されるθの値が、10以上、200以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
θ=Lv×π×(dc/2)2/{Q/(3600×1000)} (A)
dc:前記押出機のシリンダー径[m]
Lv:前記押出機のスクリュー軸方向のベント口の長さ[m]
Q:押出機への樹脂の供給量(樹脂の処理量)[kg/hr] - 前記フィルターから排出されたポリカーボネート樹脂を260℃、60分間加熱した後のモノヒドロキシ化合物の増加量が700重量ppm以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- シリンダー温度250℃、滞留時間5分以下の条件において、前記フィルターから排出されたポリカーボネート樹脂を用いて射出成形された厚さ3mmのプレート成形体のYIと、シリンダー温度250℃、滞留時間20分以上の条件において、射出成形された厚さ3mmのプレート成形体のYIの差が0.30以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 前記フィルターから排出されたポリカーボネート樹脂の測定温度240℃、剪断速度91.2sec−1における溶融粘度が400Pa・s以上、4000Pa・s以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 前記フィルターから排出されたポリカーボネート樹脂のガラス転移温度が80℃以上、180℃以下であることを特徴とする求項1乃至7のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 前記フィルターから排出されたポリカーボネート樹脂に含有されるモノヒドロキシ化合物の量が700重量ppm以下であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 前記フィルターから排出されたポリカーボネート樹脂が、前記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を25重量%以上含有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 前記フィルターから排出されたポリカーボネート樹脂が、前記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する二重結合末端基を、前記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位全体に対して0.4mol%以下含有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 前記フィルターから排出されたポリカーボネート樹脂が、下記式(3)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を25重量%以上、75重量%以下含有することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 前記フィルターから排出されたポリカーボネート樹脂を、厚さ35±5μmのフィルムに押出成形した時、該フィルムに含まれる25μm以上の異物が500個/m2以下であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
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JP2014080603A (ja) | 2014-05-08 |
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