JP2015129212A - 導光板 - Google Patents

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徹 ▲高▼島
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Abstract

【課題】導光性能、色相、耐湿熱変色性に優れるポリカーボネート樹脂からなる導光板を提供する。【解決手段】下記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を少なくとも含むポリカーボネート樹脂からなり、前記樹脂がヒンダードフェノール化合物を含む導光板。(但し、上記式(1)で表される部位が−CH2−OHの一部を構成する部位である場合を除く。)【選択図】なし

Description

本発明は、色相、透明性、耐湿熱変色性に優れるポリカーボネート樹脂からなる導光板に関する。
パーソナルコンピュータ、携帯電話等にて使用される液晶表示装置には、その薄型化、軽量化、省力化、高精細化の要求に対応するために、面状光源装置が組み込まれている。そして、この面状光源装置には、入光する光を液晶表示側に均一かつ効率的に導く役割を果たす目的で、一面が一様な傾斜面を有する楔型断面の導光板や平板形状の導光板が備えられている。また導光板の表面に凹凸パターンを形成して光散乱機能を付与するものもある。
従来の芳香族ポリカーボネート樹脂は、機械的性質、熱的性質、電気的性質、耐候性に優れるが、光線透過率は、PMMA等に比べて低いことから、従来の芳香族ポリカーボネート樹脂製の導光板と光源とから面光源体を構成した場合、輝度が低いという問題がある。また最近では導光板の入光部と入光部から離れた場所の色度差を少なくすることが求められているが、従来の芳香族ポリカーボネート樹脂はPMMA樹脂と比べて黄変しやすいという問題がある。
かかる状況下、バイオマス資源から得られるジヒドロキシ化合物であるイソソルビド(ISB)をモノマー成分とし、炭酸ジエステルとのエステル交換により、副生するモノヒドロキシ化合物を減圧下で留去しながら、ポリカーボネート樹脂を得る方法が提案されている(例えば特許文献1〜4参照)。ISBから得られるポリカーボネート樹脂は、耐熱性を活かした成形材料としての利用の他にも、優れた光学特性を活かし、光学用途やガラス代替用途への利用も検討されている。
ところが、ISBのようなジヒドロキシ化合物は、従来の芳香族ポリカーボネート樹脂に使用されているビスフェノール類に比べると熱安定性が低く、高温下で行う重縮合反応や成形、加工の際に熱分解により樹脂が着色する問題があった。この問題を解決するために、重合の反応条件や重合触媒の改善や、ポリカーボネート樹脂への熱安定剤などの添加による改良が検討されている(例えば特許文献5〜8参照)。しかしながら、特許文献5〜8では湿熱環境下における変色については考慮されていない、また、湿熱試験前における色調についても導光板として求められる水準に対して充分では無い。一方、ISBから得られるポリカーボネート樹脂に対して光拡散剤を含有した光拡散板(特許文献9)や、ISBから得られるポリカーボネート樹脂に対して微粒子を含有した光拡散性樹脂組成物及び成形体(特許文献10)が開示されている。
国際公開第2004/111106号パンフレット 特開2006−232897号公報 特開2006−28441号公報 特開2008−24919号公報 特開2009−161745号公報 国際公開第2011/065505号パンフレット 特開2009−91405号公報 特開2009−144020号公報 特開2009−191226号公報 特開2011−178949号公報
しかしながら、特許文献9及び特許文献10に開示されている光拡散性樹脂組成物では、光拡散剤や微粒子が含有されているため、光源からの距離が遠ざかるにしたがって輝度が低下し、導光板の均一な面発光を得ることはできない。また、特許文献9〜10においても湿熱環境下における変色については考慮されていない。
本発明者らの検討によると、ISBなどのジヒドロキシ化合物を用いたポリカーボネート樹脂は湿熱環境下に長時間曝されると黄変する課題が見出された。
加えて、光学用途やガラス代替用途など、特に高い透明性や色相が求められる分野においては、色調のさらなる向上が要求されており、従来の方法では要求される性能を満足できていない。
本発明の目的は、上記の問題点を解消し、導光性能、色相、耐湿熱変色性に優れるポリカーボネート樹脂からなる導光板を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するべく、鋭意検討を重ねた結果、下記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を少なくとも含むポリカーボネート樹脂からなる導光板が、優れた導光性能、色相、耐湿熱変色性を有し、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明の要旨は下記[1]〜[5]に存する。
[1] 下記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を少なくとも含むポリカーボネート樹脂からなり、
前記樹脂がヒンダードフェノール化合物を含む導光板。
Figure 2015129212
(但し、上記式(1)で表される部位が−CH−OHの一部を構成する部位である場合を除く。)
[2] 前記樹脂が以下の条件(A)及び条件(B)を満たす[1]に記載の導光板。
(A)シリンダー温度250℃の条件において、該ポリカーボネート樹脂から射出成形された厚さ3mmのプレート成形体のYIが2.50以下である。
(B)シリンダー温度250℃の条件において、該ポリカーボネート樹脂から射出成形された厚さ3mmのプレート成形体を、温度85℃相対湿度85%の湿熱条件下で500時間経過させた後の成形体のYIが3.00以下である。
[3] 前記樹脂がリン系触媒失活剤を含む[1]または[2]に記載の導光板。
[4] リン系触媒失活剤がリン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸、ホスホン酸、ホスホン酸エステル、酸性リン酸エステル、及び脂肪族環状亜リン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である[1]〜[3]のいずれか1項に記載の導光板。
[5] リン系触媒失活剤の含有量がリン原子の含有量として0.03重量ppm〜8重量ppmである[1]〜[4]のいずれか1項に記載の導光板。
[6] 前記樹脂のヒンダードフェノール化合物の含有量が0.001重量部〜1重量部である[1]〜[5]のいずれか1項に記載の導光板。
本発明によれば、導光性能、色相、耐湿熱変色性に優れるポリカーボネート樹脂からなる導光板を提供する事ができる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の内容に限定されない。
ここで、本発明の導光板のとり得る形態としては、特に限定されるものではないが、押出成形してなるフィルム状、シート状、板状、あるいは射出成形してなる板状、いずれも好適に選択される。
[ポリカーボネート樹脂]
本発明のポリカーボネート樹脂は、下記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を少なくとも含むポリカーボネート樹脂である。
Figure 2015129212
(但し、上記式(1)で表される部位が−CH−OHの一部を構成する部位である場合を除く。)
本発明において、ポリカーボネート樹脂の色調は次のとおり評価する。射出成形機を用いて、シリンダー温度を250℃に設定し、厚さ3mmのプレートを成形する。色差計を用いて、得られたプレートの透過光におけるイエローインデックス(YI)値を測定する。射出成形と色調測定の詳細な条件は実施例の項で後述する。
本発明のポリカーボネート樹脂のプレートのYIの上限値は2.50以下であり、さらには2.30以下が好ましく、特には2.00以下であることが好ましい。これらの値が上記上限よりも低くなると、導光性能や色相を求められる導光板への適用が好ましい。また、下限値は−2.50以上であり、さらには−2.30以上が好ましく、特には−2.00以上であることが好ましい。これらの値が上記下限よりも高くなると、導光性能や色相を求められる導光板への適用が好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂の温度85℃相対湿度85%条件における湿熱試験500時間後のプレートYI(湿熱試験500時間後)は3.00以下であり、さらには2.75以下であることが好ましく、特には2.50以下であることが好ましい。これらの値が上記上限よりも低くなると、導光板への適用が好ましい。また、下限値は−3.00以上であり、さらには−2.75以上が好ましく、特には−2.50以上であることが好ましい。これらの値が上記下限よりも高くなると、様々な温度・湿度において使用された場合にも導光性能や色相を維持できるため好ましい。
<全光線透過率>
本発明のポリカーボネート樹脂の全光線透過率は、厚さ3mmの成形体を用いて測定された全光線透過率が90%以上であることが好ましく、さらに91%以上であることが好ましく、特に92%以上であることが好ましい。この光線透過率が上記下限よりも低くなると、本発明のポリカーボネート樹脂からなる導光板の導光性能が低下し、ディスプレイの輝度が低下する。後述するように、ポリカーボネート樹脂の重合や成形加工の段階にお
ける熱履歴を低減して着色を抑制し、さらにモノヒドロキシ化合物などの残存低分子成分を低減することによって、ポリカーボネート樹脂の光線透過率を向上させることが可能になる。この全光線透過の測定方法の詳細は実施例の項で記載する。
[ポリカーボネート樹脂の製造方法]
以下、本発明のポリカーボネート樹脂を製造する方法について詳述する。
<原料>
(ジヒドロキシ化合物)
本発明のポリカーボネート樹脂は、下記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物(以下、「特定ジヒドロキシ化合物」と称することがある。)に由来する構造単位を少なくとも含む。即ち、特定ジヒドロキシ化合物は、2つのヒドロキシル基と、さらに下記式(1)の構造単位を少なくとも含むものを言う。
Figure 2015129212
(但し、上記式(1)で表される部位が−CH−OHの一部を構成する部位である場合を除く。)
前記式(1)で表される部位を有する特定ジヒドロキシ化合物としては、具体的には、オキシアルキレングリコール類、芳香族基に結合したエーテル基を主鎖中に有するジヒドロキシ化合物、環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物等が挙げられる。これらのジヒドロキシ化合物は重合反応性が良好であり、得られるポリカーボネート樹脂の機械物性や耐熱性、光学特性なども優れている点において好ましい。
前記のオキシアルキレングリコール類としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
前記の主鎖に芳香族基に結合したエーテル基を有するジヒドロキシ化合物としては、例えば、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソブチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−シクロヘキシルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチル−6−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロポキシ)フェニル]フルオレン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ビフェニルおよびビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホン等が挙げられる。
前記の環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物としては、例えば、下記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物、下記式(4)および下記式(5)で表されるスピログリコール等が挙げられる。なお、前記の「環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物」の「環状エーテル構造」とは、環状構造中にエーテル基を有し、環状鎖を構成する炭素原子が脂肪族炭素原子である構造からなるものを意味する。
Figure 2015129212
前記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物としては、立体異性体の関係にある、イソソルビド(ISB)、イソマンニドおよびイソイデットが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの特定ジヒドロキシ化合物の中でも、入手のし易さ、ハンドリング、重合時の反応性および得られるポリカーボネート樹脂の色相の観点から、前記式(2)、(4)または(5)で表されるジヒドロキシ化合物に代表される、環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物が好ましく、前記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物または前記式(5)で表されるスピログリコール等の環状エーテル構造を2つ有するジヒドロキシ化合物がさらに好ましく、中でも植物由来の資源として豊富に存在し、容易に入手可能な種々のデンプンから製造されるソルビトールを脱水縮合して得られる上記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物等の無水糖アルコールが、入手及び製造のし易さ、耐候性、光学特性、成形性、耐熱性およびカーボンニュートラルの面から最も好ましい。
これらの特定ジヒドロキシ化合物は、得られるポリカーボネート樹脂の要求性能に応じて、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、本発明のポリカーボネート樹脂は、耐熱性や機械物性、光学物性などのバランスを考慮すると、特定ジヒドロキシ化合物に由来する構造を25重量%以上含有することが好ましく、特に30重量%以上、80重量%以下、とりわけ35重量%以上、75重量%以下含有することが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂は、上記の特定ジヒドロキシ化合物以外のジヒドロキシ化合物(以下「その他のジヒドロキシ化合物」と称す場合がある。)に由来する構造単位
を含んでいてもよい。前記その他のジヒドロキシ化合物としては、例えば、直鎖脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物、分岐を有する直鎖脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物、脂環式炭化水素のジヒドロキシ化合物および芳香族ビスフェノール類等が挙げられる。
前記の直鎖脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,5−ヘプタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオールおよび1,12−ドデカンジオール等が挙げられる。
前記の分岐を有する直鎖脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物としては、例えば、ネオペンチルグリコールおよびヘキシレングリコール等が挙げられる。
前記の脂環式炭化水素のジヒドロキシ化合物としては、例えば、1,2−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、2,6−デカリンジメタノール、1,5−デカリンジメタノール、2,3−デカリンジメタノール、2,3−ノルボルナンジメタノール、2,5−ノルボルナンジメタノール、1,3−アダマンタンジメタノール、リモネンなどのテルペン化合物から誘導されるジヒドロキシ化合物等が挙げられる。
前記の芳香族ビスフェノール類としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−(3,5−ジフェニル)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジクロロジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−2,5−ジエトキシジフェニルエーテル、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)フルオレン、(4−ヒドロキシ−3−n−プロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−n−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−sec−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン等が挙げられる。
得られるポリカーボネート樹脂の光学特性や耐熱性、機械物性の観点からは、下記式(3)で表されるジヒドロキシ化合物を用いることが好ましい。入手及び製造のしやすさや前述の性能の点から、特に好ましいのは、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9
−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンである。
Figure 2015129212
(上記一般式(3)中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数6〜20のシクロアルキル基、または、置換若しくは無置換の炭素数6〜20のアリール基を表し、XとXはそれぞれ独立に、置換若しくは無置換の炭素数2〜10のアルキレン基、置換若しくは無置換の炭素数6〜20のシクロアルキレン基、または、置換若しくは無置換の炭素数6〜20のアリーレン基を表す。m及びnはそれぞれ独立に0〜5の整数である。)
本発明のポリカーボネート樹脂において、位相差の波長分散性や耐熱性などの所望とする光学特性や機械物性を満足するには、前記式(3)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を25重量%以上、75重量%以下含有することが好ましく、30重量%以上、70重量%以下含有することがより好ましい。
これらの前記その他のジヒドロキシ化合物も、得られるポリカーボネート樹脂の要求性能に応じて、単独で前記特定ジヒドロキシ化合物と併用してもよく、2種以上を組み合わせた上で前記特定ジヒドロキシ化合物と併用してもよい。中でも、ポリカーボネート樹脂の色調や耐候性、光学特性の観点からは、分子構造内に芳香環構造を有しないジヒドロキシ化合物、即ち脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物または脂環式炭化水素のジヒドロキシ化合物が好ましく、これらを併用してもよい。
前記したうち、脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物としては、特に1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ヘプタンジオールまたは1,6−ヘキサンジオール等の炭素数3〜6で両末端にヒドロキシ基を有する直鎖脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物が好ましい。
脂環式炭化水素のジヒドロキシ化合物としては、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールまたはトリシクロデカンジメタノールが好ましく、より好ましいのは1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノールまたは1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのシクロヘキサン構造を有するジヒドロキシ化合物であり、最も好ましいのは1,4−シクロヘキサンジメタノールである。
これら前記その他のジヒドロキシ化合物を、前記特定ジヒドロキシ化合物と併用することにより、ポリカーボネート樹脂の柔軟性や機械物性の改善、および成形性の改善などの効果を得ることも可能である。ただし、ポリカーボネート樹脂中の前記その他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の含有割合が多過ぎると、機械的物性の低下または耐熱性の低下を招くことがあるため、本発明のポリカーボネート樹脂において、前記その他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の割合は、好ましくは70重量%以下、さらに好ましくは65重量%以下、特に好ましくは60重量%以下である。一方、好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは15重量%以上、特に好ましくは20重量%以上である。
また、その他のジヒドロキシ化合物と特定ジヒドロキシ化合物との併用による上記効果を有効に得るために、ポリカーボネート樹脂中の全ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位に占める特定ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の割合は、モル比で、全ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を1とした場合、0.1以上、0.95以下、とりわけ0.2以上、0.9以下であることが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂の製造に使用される全てのジヒドロキシ化合物は、還元剤、抗酸化剤、脱酸素剤、光安定剤、制酸剤、pH安定剤または熱安定剤等の安定剤を含んでいてもよい。特に酸性下で本発明の特定ジヒドロキシ化合物は変質しやすいことから、塩基性安定剤を含むことが好ましい。
塩基性安定剤としては、例えば、長周期型周期表(Nomenclature of Inorganic Chemistry IUPAC Recommendations2005)における1族または2族の金属の水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、硼酸塩および脂肪酸塩、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシドおよびブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等の塩基性アンモニウム化合物、ジエチルアミン、ジブチルアミン、トリエチルアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、ピロリジン、ピペリジン、3−アミノ−1−プロパノール、エチレンジアミン、N−メチルジエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾールおよびアミノキノリン等のアミン系化合物、並びにジ−(tert−ブチル)アミンおよび2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等のヒンダードアミン系化合物が挙げられる。これらの安定剤の中でも安定化の効果からはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、イミダゾールまたはヒンダードアミン系化合物が好ましい。
これら塩基性安定剤の、本発明で用いる全てのジヒドロキシ化合物中の含有量に特に制限はないが、本発明で用いる前記の特定ジヒドロキシ化合物は酸性状態では不安定であるので、上記の安定剤を含む特定ジヒドロキシ化合物の水溶液のpHが7付近となるように安定剤を添加することが好ましい。
安定剤の量が少なすぎると特定ジヒドロキシ化合物の変質を防止する効果が得られない可能性があり、多すぎると特定ジヒドロキシ化合物の変性を招く場合があるので、本発明で用いるそれぞれのジヒドロキシ化合物に対して、0.0001重量%〜1重量%であることが好ましく、より好ましくは0.001重量%〜0.1重量%である。
これら塩基性安定剤を本発明で用いるジヒドロキシ化合物に含めたままポリカーボネート樹脂の製造原料として用いると、塩基性安定剤自体が重合触媒となり、重合速度または品質の制御が困難になるだけでなく、樹脂色相の悪化を招いてしまう。
このため、特定ジヒドロキシ化合物または前記その他のジヒドロキシ化合物のうち塩基性安定剤を含有するものについては、ポリカーボネート樹脂の製造原料として使用する前
に塩基性安定剤をイオン交換樹脂または蒸留等で除去することが好ましい。
また、本発明で用いられる特定ジヒドロキシ化合物は、酸素によって徐々に酸化されやすいので、保管または製造時の取り扱いの際には、酸素による分解を防ぐため、水分が混入しないようにし、また、脱酸素剤を用いたり、窒素雰囲気下にしたりすることが好ましい。
(炭酸ジエステル)
本発明のポリカーボネート樹脂は、上述した特定ジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを原料として、エステル交換反応により重縮合させて得ることができる。用いられる炭酸ジエステルとしては、通常、下記式(6)で表されるものが挙げられる。これらの炭酸ジエステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
Figure 2015129212
上記式(6)において、AおよびAは、それぞれ置換もしくは無置換の炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基または置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基であり、AとAとは同一であっても異なっていてもよい。AおよびAの好ましいものは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基であり、より好ましいのは無置換の芳香族炭化水素基である。
前記式(6)で表される炭酸ジエステルとしては、例えば、ジフェニルカーボネート(DPC)およびジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート並びにジ−t−ブチルカーボネート等が挙げられる。中でも好ましくはジフェニルカーボネートまたは置換ジフェニルカーボネートであり、特に好ましくはジフェニルカーボネートである。
なお、炭酸ジエステルは、塩化物イオンなどの不純物を含む場合があり、不純物が重合反応を阻害したり、得られるポリカーボネート樹脂の色相を悪化させたりする場合があるため、必要に応じて、蒸留などにより精製したものを使用することが好ましい。
<エステル交換反応触媒>
本発明のポリカーボネート樹脂は、上述したジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルをエステル交換反応させて製造される。より詳細には、エステル交換させ、副生するモノヒドロキシ化合物等を系外に除去することによって得られる。
前記エステル交換反応の際には、エステル交換反応触媒存在下で重縮合を行うが、本発明のポリカーボネート樹脂の製造時に使用し得るエステル交換反応触媒(以下、単に触媒、重合触媒と言うことがある)は、反応速度または重縮合して得られるポリカーボネート樹脂の品質に非常に大きな影響を与え得る。
用いられる触媒としては、製造されたポリカーボネート樹脂の透明性、色相、耐熱性、耐候性、及び機械的強度を満足させ得るものであれば限定されない。例えば、長周期型周期表における1族または2族(以下、単に「1族」、「2族」と表記する。)の金属化合物、並びに塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物およびアミン系化合物等の塩基性化合物が挙げられる。好ましくは1族金属化合物及び/又は2族金属化合物が使用される。
前記の1族金属化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸セシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸セシウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素セシウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素カリウム、フェニル化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ素セシウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸セシウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、リン酸水素2セシウム、フェニルリン酸2ナトリウム、フェニルリン酸2カリウム、フェニルリン酸2リチウム、フェニルリン酸2セシウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウムのアルコレート、フェノレート、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2リチウム塩および2セシウム塩等が挙げられる。中でも重合活性と得られるポリカーボネート樹脂の色相の観点から、リチウム化合物が好ましい。
前記の2族金属化合物としては、例えば、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸ストロンチウム等が挙げられる。中でもマグネシウム化合物、カルシウム化合物またはバリウム化合物が好ましく、重合活性と得られるポリカーボネート樹脂の色相の観点から、マグネシウム化合物及び/又はカルシウム化合物が更に好ましく、最も好ましくはカルシウム化合物である。
なお、前記の1族金属化合物及び/又は2族金属化合物と共に補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物を併用することも可能であるが、1族金属化合物及び/又は2族金属化合物のみを使用することが特に好ましい。
前記の塩基性リン化合物としては、例えば、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィンおよび四級ホスホニウム塩等が挙げられる。
前記の塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシドおよびブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
前記のアミン系化合物としては、例えば、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリンおよびグアニジン等が挙げられる。
上記重合触媒の使用量は、重合に使用した全ジヒドロキシ化合物1mol当たり0.1μmol〜300μmolが好ましく、より好ましくは0.5μmol〜100μmolであり、特に1μmol〜50μmolが好ましい。
中でも長周期型周期表における2族からなる群及びリチウムより選ばれた少なくとも1種の金属を含む化合物を用いる場合、特にはマグネシウム化合物及び/またはカルシウム化合物を用いる場合は、金属量として、前記全ジヒドロキシ化合物1mol当たり、0.1μmol以上が好ましく、より好ましくは0.3μmol以上、特に好ましくは0.5μmol以上とする。また上限としては、20μmol以下が好ましく、より好ましくは10μmol以下であり、さらに好ましくは5μmol以下で、特に好ましくは3μmol以下である。
触媒量が少なすぎると、重合速度が遅くなるため、所望の分子量のポリカーボネート樹脂を得ようとするにはその分だけ重合温度を高くせざるを得なくなる。そのために、得られたポリカーボネート樹脂の色相が悪化する可能性が高くなり、また、未反応の原料が重合途中で揮発してジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルのモル比率が崩れ、所望の分子量に到達しない可能性がある。一方、重合触媒の使用量が多すぎると、好ましくない副反応を併発し、得られるポリカーボネート樹脂の色相の悪化または成形加工時の樹脂の着色を招く可能性がある。
ただし、1族金属の中でもナトリウム、カリウムまたはセシウムは、ポリカーボネート樹脂中に多く含まれると色相に悪影響を及ぼす可能性がある。そして、これらの金属は使用する触媒からのみではなく、原料または反応装置から混入する場合がある。出所にかかわらず、ポリカーボネート樹脂中のこれらの金属の化合物の合計量は、金属量として、1重量ppm以下であることが好ましく、さらには0.5重量ppm以下であることが好ましい。
<ポリカーボネート樹脂の製造方法>
本発明のポリカーボネート樹脂は、特定ジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとをエステル交換反応により重縮合させることによって得られる。
原料であるジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルは、エステル交換反応前に均一に混合することが好ましい。混合の温度は通常80℃以上、好ましくは90℃以上であり、その上限は通常250℃以下、好ましくは200℃以下、更に好ましくは150℃以下である。中でも100℃以上120℃以下が好適である。混合の温度が低すぎると溶解速度が遅かったり、溶解度が不足する可能性があり、しばしば固化等の不具合を招き、混合の温度が高すぎるとジヒドロキシ化合物の熱劣化を招く場合があり、結果的に得られるポリカーボネート樹脂の色相や熱安定性に悪影響を及ぼす可能性がある。
本発明のポリカーボネート樹脂の原料である特定ジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルと混合する操作は、酸素濃度10vol%以下、更には0.0001vol%〜10vol%、中でも0.0001vol%〜5vol%、特には0.0001vol%〜1vol%の雰囲気下で行うことが、色相悪化防止の観点から好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂を得るためには、反応に用いる特定ジヒドロキシ化合物を含む全ジヒドロキシ化合物に対して、炭酸ジエステルを0.90〜1.20のモル比率で用いることが好ましく、さらに好ましくは、0.95〜1.10のモル比率である。このモル比率が小さくなると、製造されたポリカーボネート樹脂の末端水酸基が増加して、ポリマーの熱安定性が悪化し、成形時に着色を招いたり、エステル交換反応の速度が低下したり、所望する高分子量体が得られない可能性がある。
また、このモル比率が大きくなると、エステル交換反応の速度が低下したり、所望とする分子量のポリカーボネート樹脂の製造が困難となる場合がある。エステル交換反応速度の低下は、重合反応時の熱履歴を増大させ、結果的に得られたポリカーボネート樹脂の色相や耐候性を悪化させる可能性がある。さらには、特定ジヒドロキシ化合物を含む全ジヒドロキシ化合物に対して、炭酸ジエステルのモル比率が増大すると、得られるポリカーボネート樹脂中の残存炭酸ジエステル量が増加し、成形時の汚れや臭気の問題を招く場合があり、好ましくない。
本発明において、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを重縮合させる方法は、上述の触媒存在下、通常、複数の反応器を用いて多段階で実施される。反応の形式は、バッチ式、連続式、あるいはバッチ式と連続式の組み合わせのいずれの方法でもよいが、より少ない熱履歴でポリカーボネート樹脂が得られ、生産性にも優れている連続式が好ましい。
重合初期においては、相対的に低温、低真空でプレポリマーを得、重合後期においては相対的に高温、高真空で所定の値まで分子量を上昇させることが好ましいが、各分子量段階でのジャケット温度と内温、反応系内の圧力を適切に選択することが重合速度の制御や得られるポリカーボネート樹脂の品質の観点から重要である。例えば、重合反応が所定の値に到達する前に温度、圧力のどちらか一方でも早く変化させすぎると、未反応のモノマーが留出し、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルのモル比率を狂わせ、重合速度の低下を招いたり、所定の分子量や末端基を持つポリマーが得られなかったりして結果的に本発明の目的を達成することができない可能性がある。
更には、留出するモノマーの量を抑制するために、重合反応器に還流冷却器を用いることが有効であり、特に未反応モノマー成分が多い重合初期の反応器でその効果は大きい。還流冷却器に導入される冷媒の温度は使用するモノマーに応じて適宜選択することができるが、通常、還流冷却器に導入される冷媒の温度は該還流冷却器の入口において45〜180℃であり、好ましくは80〜150℃、特に好ましくは100〜130℃である。冷媒の温度が高すぎると還流量が減り、その効果が低下し、逆に低すぎると、本来留去すべきモノヒドロキシ化合物の留去効率が低下する傾向にある。冷媒としては、温水、蒸気、熱媒オイル等が用いられ、蒸気、熱媒オイルが好ましい。
重合速度を適切に維持し、モノマーの留出を抑制しながら、最終的なポリカーボネート樹脂の色相を損なわないようにするためには、前述の触媒の種類と量の選定が重要である。本発明のポリカーボネート樹脂は、触媒を用いて、複数の反応器を用いて多段階で重合させて製造することが好ましいが、重合を複数の反応器で実施する理由は、重合反応初期においては、反応液中に含まれるモノマーが多いために、必要な重合速度を維持しつつ、モノマーの揮散を抑制することが重要であり、重合反応後期においては、平衡を重合側にシフトさせるために、副生するモノヒドロキシ化合物を十分留去させることが重要になるためである。このように、異なった重合反応条件を設定するには、直列に配置された複数の重合反応器を用いることが、生産効率の観点から好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂の製造に使用される反応器は、上述の通り、少なくとも2つ以上であればよいが、生産効率などの観点からは、3つ以上、好ましくは3〜5つ、特に好ましくは4つである。本発明において、反応器が2つ以上であれば、その反応器中で、更に条件の異なる反応段階を複数持たせる、連続的に温度・圧力を変えていくなどしてもよい。
本発明において、重合触媒は原料調製槽、原料貯槽に添加することもできるし、重合槽に直接添加することもできるが、供給の安定性、重合の制御の観点からは、重合槽に供給される前の原料ラインの途中に触媒供給ラインを設置し、好ましくは水溶液で供給する。
重合反応の温度は、低すぎると生産性の低下や製品への熱履歴の増大を招き、高すぎる
とモノマーの揮散を招くだけでなく、ポリカーボネート樹脂の分解や着色を助長する可能性がある。具体的には、第1段目の反応は、重合反応器の内温の最高温度として、130〜250℃、好ましくは150〜240℃、更に好ましくは170〜230℃で、1〜110kPa、好ましくは5〜70kPa、さらに好ましくは7〜30kPa(絶対圧力)の圧力下、0.1〜10時間、好ましくは0.5〜3時間、発生するモノヒドロキシ化合物を反応系外へ留去しながら実施される。
第2段目以降は、反応系の圧力を第1段目の圧力から徐々に下げ、引き続き発生するモノヒドロキシ化合物を反応系外へ除きながら、最終的には反応系の圧力(絶対圧力)を1kPa以下にして、内温の最高温度210〜270℃、好ましくは220〜250℃で、通常0.1〜10時間、好ましくは0.3〜6時間、特に好ましくは0.5〜3時間行う。
所定の分子量のポリカーボネート樹脂を得るために、重合温度を高く、重合時間を長くし過ぎると色調が悪化する傾向にある。特にポリカーボネート樹脂の着色や熱劣化を抑制し、色相の良好なポリカーボネート樹脂を得るには、全反応段階における内温の最高温度が250℃未満、特に220〜245℃であることが好ましい。また、重合反応後半の重合速度の低下を抑止し、熱履歴による劣化を最小限に抑えるためには、重合の最終段階でプラグフロー性と界面更新性に優れた横型反応器を使用することが好ましい。
副生したモノヒドロキシ化合物は、資源有効活用の観点から、必要に応じ精製を行った後、炭酸ジフェニルやビスフェノールA等の原料として再利用することが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂は、上述の通り重縮合後、通常、冷却固化させ、回転式カッター等でペレット化される。ペレット化の方法は限定されるものではないが、最終重合反応器から溶融状態で抜き出し、ストランドの形態で冷却固化させてペレット化させる方法、最終重合反応器から溶融状態で一軸または二軸の押出機に樹脂を供給し、溶融押出しした後、冷却固化させてペレット化させる方法、又は、最終重合反応器から溶融状態で抜き出し、ストランドの形態で冷却固化させて一旦ペレット化させた後に、再度一軸または二軸の押出機に樹脂を供給し、溶融押出しした後、冷却固化させてペレット化させる方法等が挙げられる。
押出機を使用した場合、押出機において、残存モノマーの減圧脱揮や、通常知られている熱安定剤、中和剤、紫外線吸収剤、光安定剤、離型剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤、潤滑剤、可塑剤、相溶化剤、難燃剤等を添加、混練を行うこともできる。
押出機中の溶融混練温度は、ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度や分子量に依存するが、通常200〜300℃、好ましくは210〜280℃、更に好ましくは220〜270℃である。溶融混練温度が200℃より低いと、ポリカーボネート樹脂の溶融粘度が高く、押出機への負荷が大きくなり、生産性が低下する。300℃より高いと、ポリカーボネート樹脂の熱劣化が激しくなり、分子量の低下による機械的強度の低下や着色、ガスの発生を招く。
このようにして得られた本発明のポリカーボネート樹脂の分子量は、還元粘度で表すことができ、還元粘度は、通常0.30dL/g以上であり、0.35dL/g以上が好ましく、還元粘度の上限は、1.20dL/g以下、1.00dL/g以下がより好ましく、0.80dL/g以下が更に好ましい。ポリカーボネート樹脂の還元粘度が低すぎると成形品の機械的強度が小さい可能性があり、大きすぎると、成形する際の流動性が低下し、生産性や成形性を低下させる傾向がある。なお、ポリカーボネート樹脂の還元粘度は、溶媒として塩化メチレンを用い、ポリカーボネート樹脂濃度を0.6g/dLに精密に調整し、温度20.0℃±0.1℃でウベローデ粘度管を用いて測定される。還元粘度の測定方法の詳細は実施例の項で記載する。
[ポリカーボネート樹脂の添加剤]
<リン系触媒失活剤>
本発明のポリカーボネート樹脂には、重合触媒を失活させ、さらに高温下でのポリカーボネート樹脂の着色を抑制するために添加された、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、次亜リン酸、ポリリン酸、ホスホン酸エステル、酸性リン酸エステル、脂肪族環状亜リン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種のリン系触媒失活剤を用いることが好ましい。これらの化合物は、化合物そのものあるいはその分解物がリン酸基構造を有し、触媒を中和するため、重合触媒を失活させ、さらに高温下でのポリカーボネート樹脂の着色を抑制することができる。
上記の中でも触媒失活と着色抑制の効果がさらに優れているのは、亜リン酸、ホスホン酸、ホスホン酸エステルであり、特に亜リン酸、ホスホン酸エステルが好ましい。
ホスホン酸としては、ホスホン酸(亜リン酸)、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、ビニルホスホン酸、デシルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、アミノメチルホスホン酸、メチレンジホスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、4−メトキシフェニルホスホン酸、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)、プロピルホスホン酸無水物などが挙げられる。
ホスホン酸エステルとしては、ホスホン酸ジメチル、ホスホン酸ジエチル、ホスホン酸ビス(2−エチルヘキシル)、ホスホン酸ジラウリル、ホスホン酸ジオレイル、ホスホン酸ジフェニル、ホスホン酸ジベンジル、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジフェニル、エチルホスホン酸ジエチル、ベンジルホスホン酸ジエチル、フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホスホン酸ジエチル、フェニルホスホン酸ジプロピル、(メトキシメチル)ホスホン酸ジエチル、ビニルホスホン酸ジエチル、ヒドロキシメチルホスホン酸ジエチル、(2−ヒドロキシエチル)ホスホン酸ジメチル、p−メチルベンジルホスホン酸ジエチル、ジエチルホスホノ酢酸、ジエチルホスホノ酢酸エチル、ジエチルホスホノ酢酸tert−ブチル、(4−クロロベンジル)ホスホン酸ジエチル、シアノホスホン酸ジエチル、シアノメチルホスホン酸ジエチル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチル、ジエチルホスホノアセトアルデヒドジエチルアセタール、(メチルチオメチル)ホスホン酸ジエチルなどが挙げられる。
酸性リン酸エステルとしては、リン酸ジメチル、リン酸ジエチル、リン酸ジビニル、リン酸ジプロピル、リン酸ジブチル、リン酸ビス(ブトキシエチル)、リン酸ビス(2−エチルヘキシル)、リン酸ジイソトリデシル、リン酸ジオレイル、リン酸ジステアリル、リン酸ジフェニル、リン酸ジベンジルなどのリン酸ジエステル、またはジエステルとモノエステルの混合物、クロロリン酸ジエチル、リン酸ステアリル亜鉛塩などが挙げられる。
脂肪族環状亜リン酸エステルは、リン原子を含む環状構造中に芳香族基を含まない亜リン酸エステル化合物と定義する。例えば、ビス(デシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、水添ビスフェノールA・ペンタエリスリトールホスファイトポリマーなどジヒドロキシ化合物とペンタエリスリトールジホスファイトからなるポリマー型の化合物などが挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
前記リン系触媒失活剤の含有量が下記下限値以上であると、触媒失活や着色抑制の効果が十分であり、下記上限値以下であるとポリカーボネート樹脂の色調や耐湿熱変色性が良好である。そのため、リン系触媒失活剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂中のリン原子の含有量として0.03重量ppm以上、8重量ppm以下とすることが好ましく、さらには0.05重量ppm以上、4重量ppm以下が好ましく、より0.10重量ppm以上、1.5重量ppm以下が好ましく、最も好ましくは0.15重量ppm以上、1.0重量ppm以下が好ましい。
前記リン系触媒失活剤は通常、三塩化リンを出発原料に用いられるため、未反応物や脱離した塩酸由来の含塩素成分が残存する場合があるが、前記リン系触媒失活剤に含有される塩素原子の量は5重量%以下であることが好ましい。塩素原子の残存量が多いと、前記リン系触媒失活剤を添加する製造設備の金属部を腐食させたり、ポリカーボネート樹脂の熱安定性を低下させ、着色や熱劣化による分子量低下を促進させる懸念がある。
前記リン系触媒失活剤は前述のとおり、押出機を用いてポリカーボネート樹脂に添加、混練されることが好ましい。特に、ポリカーボネート樹脂を重合後に溶融状態のまま押出機に供給し、ただちに前記リン系触媒失活剤を樹脂に添加することが最も効果的である。さらに、触媒を失活させた状態で、押出機で真空ベントにより脱揮処理を行うと、効率的に低分子成分を脱揮除去することができる。
<ヒンダードフェノール化合物>
本発明のポリカーボネート樹脂には、前記リン系触媒失活剤に加えて、ヒンダードフェノール化合物も含有することで、ポリカーボネート樹脂の色調を向上できることが特徴の一つである。
ヒンダードフェノール化合物としては、具体的には、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、n−オクタデシル−3−(3'
,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(6−シクロヘキシル−4−メチルフェノール)、2,2’−エチリデン−ビス−(2,4−ジ−tert−ブチルフェノール)、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]−メタン、n−オクタデシル−3−(3'
,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などが挙げられる。
これらの化合物の中でも、炭素数5以上のアルキル基によって1つ以上置換された芳香族モノヒドロキシ化合物が好ましく、具体的には、n−オクタデシル−3−(3',5’
−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が好ましく、ペンタエリスリチル−テトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが更に好ましい。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂の上記のヒンダードフェノール化合物の含有量は、ポリカーボネート樹脂を100重量部とした場合、0.001重量部〜1重量部が好ましく、0.005重量部〜0.5重量部がより好ましく、0.01重量部〜0.3重量部がさらに好ましい。前記含有量が過度に少ないと、成形時の着色抑制効果が不十分になることがある。また、前記含有量が過度に多いと、射出成形時における金型への付着物が多くなったり、押出成形によりフィルムを成形する際にロールへの付着物が多くなったりすることにより、製品の表面外観が損なわれるおそれがある。
なお、ヒンダードフェノール化合物や以下の酸化防止剤についても、リン系触媒失活剤と同様に、押出機を用いてポリカーボネート樹脂に添加、混練されることが好ましい。
<酸化防止剤>
本発明のポリカーボネート樹脂には、酸化防止の目的で、通常知られている酸化防止剤を添加することもできる。
酸化防止剤としては、具体的には、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、グリセロール−3−ステアリルチオプロピオネート、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンなどが挙げられる。
これらの酸化防止剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用してもよい。
これらの酸化防止剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂を100重量部とした場合、0.0001重量部〜0.1重量部が好ましく、0.0005重量部〜0.08重量部がより好ましく、0.001重量部〜0.05重量部がさらに好ましい。
<添加剤の組み合わせ>
本発明のポリカーボネート樹脂には前記リン系触媒失活剤、ヒンダードフェノール化合物、酸化防止剤を組み合わせて添加することで、ポリカーボネート樹脂のさらなる色調向上と耐湿熱変色性向上が期待できる。具体的には、下記(A)を特徴としており、下記(
B)が好ましく、下記(C)がより好ましい。
組み合わせ(A)ヒンダードフェノール化合物のみを含有する
組み合わせ(B)ヒンダードフェノール化合物、及び、リン系触媒失活剤を含有する
組み合わせ(C)ヒンダードフェノール化合物、及び、リン系触媒失活剤、及び、酸化防止剤を含有する
[特定ジヒドロキシ化合物に由来する二重結合末端基量]
本発明のポリカーボネート樹脂が前記式(2)で表される特定ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含む場合、前記式(2)で表される特定ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位全体に対して、下記式(2A)と(2B)で表される二重結合末端基の含有量が0.4mol%以下であることが好ましく、さらに0.3mol%以下であることが好ましい。下記式(2A)と(2B)で表される二重結合末端基は熱分解によって生成する構造であり、ポリカーボネート樹脂が受けた熱履歴を表す指標となる。この二重結合末端基量が上記上限よりも多いと、重合や成形加工の際に過剰な熱履歴がかかっており、樹脂の色調や耐候性が悪化しやすくなる。
Figure 2015129212
[ポリカーボネート樹脂組成物]
本発明のポリカーボネート樹脂は、例えば、芳香族ポリカーボネート樹脂、芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリオレフィン、アクリル、アモルファスポリオレフィン、ABS、ASなどの合成樹脂、ポリ乳酸、ポリブチレンスクシネートなどの生分解性樹脂、ゴムなどの1種又は2種以上と混練して、ポリマーアロイとしても用いることもできる。
更に、本発明のポリカーボネート樹脂は、これらのその他の樹脂成分と共に樹脂組成物に通常用いられる核剤、難燃剤、難燃助剤、無機充填剤、衝撃改良剤、加水分解抑制剤、発泡剤、染顔料、離型剤、蛍光増白剤等を添加してポリカーボネート樹脂組成物とすることができる。
[導光板]
本発明のポリカーボネート樹脂及びこれを含む樹脂組成物は、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法等の通常知られている方法で導光板とすることができる。射出成形法により導光板とする場合は、好ましくは射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法などにより行われる。押出成形法により導光板とする場合は、Tダイなどを用いた溶融押出法、又は溶液流延法を用いて成形することができる。これらの中でも効率よく安価に生産することができるため溶融押出法が好ましい。
導光板は、液晶バックライトユニットや各種の表示装置、照明装置の中で、LED等の
光源の光を伝えるためのものであり、側面または裏面等からから入れた光を、通常表面に設けられた凹凸により拡散させ、均一の光を出す。その形状は、通常平板状であり、表面には凹凸を有していても有していなくてもよい。凸凹形状を有する場合は、本発明の導光板の両面又は片面に、凹凸形状を付与した薄型導光板の形態をとることができる。
凹凸形状を付与する方法としては、例えば、表面に凹凸形状を有する転写用型部材を用いて熱プレスする方法、表面に光硬化性樹脂組成物を塗布し、光硬化性樹脂組成物塗布層に転写用型部材の転写面の凹凸形状を転写する方法がある。また、印刷によってドット形状を付与してもよい。これら凹凸形状と凹凸形状を付与する方法は、単独で使用しても、組み合わせて使用してもよい。
導光板の凹凸形状は、具体的には、マット構造、ドット形状、プリズム列配列構造などが挙げられる。本発明のポリカーボネート樹脂は、連続的にこれらの形状を付与することができるために、生産性良く導光板を製造できる。
成形した導光板は、紙管やプラスチックコア等のロールに巻いた状態や、一枚ずつ所定のサイズに切り抜く又は打ち抜いた状態とすることができる。転写型を用いて表面凹凸構造を有する導光板を生産する場合は、連続的に効率よく安価に生産することができるため、ロール状に巻いた状態とすることが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物による導光板は、液晶バックライトユニットや各種の表示装置、照明装置の分野で好適に使用できる。このような装置の例としては、携帯電話、モバイルノート、ネットブック、スレートPC、タブレットPC、スマートフォン、タブレット型端末等の携帯端末、カメラ、時計、ノートパソコン、各種ディスプレイ、照明機器等が挙げられる。
本発明の導光板は、優れた透光特性を持ち、薄膜化の要請を満たすため、特に薄型液晶表示装置用導光板として好適に使用できる。
〔バックライトユニット〕
本発明のバックライトユニットは、本発明の導光板を組み込んだことを特徴とするものであり、それ以外の構成は従来のバックライトユニットと同様のものを使用できる。例えば、導光板の側面(入射面)に光源(複数のLED等)を配置し、導光板の下面側には必要に応じて反射シートを積層するなどして、本発明の導光板を組み込んだバックライトユニットを作製すればよい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
[評価方法]
以下において、ポリカーボネート樹脂の物性ないし特性の評価は次の方法により行った。
(1)還元粘度の測定
ポリカーボネート樹脂のサンプルを塩化メチレンに溶解させ、0.6g/dLの濃度のポリカーボネート樹脂溶液を調製した。森友理化工業社製ウベローデ型粘度管を用いて、温度20.0℃±0.1℃で測定を行い、溶媒の通過時間tと溶液の通過時間tから次式(i)より相対粘度ηrelを求め、相対粘度ηrelから次式(ii)より比粘度ηspを求めた。
ηrel=t/t ・・・(i)
ηsp=(η−η)/η=ηrel−1 ・・・(ii)
比粘度ηspを濃度c(g/dL)で割って、還元粘度ηsp/cを求めた。この値が高いほど分子量が大きい。
(2)ポリカーボネート樹脂の成形、および色調の測定
ポリカーボネート樹脂のペレットを90℃で5時間以上、真空乾燥した。乾燥したポリカーボネート樹脂のペレットを射出成形機(日本製鋼所社製J75EII型)に供給し、最終シリンダーの温度を250℃、成形サイクル23秒間の条件でプレート型の射出成形片(幅60mm×長さ60mm×厚さ3mm)を成形した。得られた射出成形片の厚み方向での透過光におけるイエローインデックス(YI)値を後述のとおり測定した。(この値を初期のYIとする。)
得られたプレートの色調はコニカミノルタ社製分光測色計CM−5を用い、ASTM D1925に準拠して測定を行った。前述の射出成形で得られたプレートを測定室に置き、透過光のYI値を測定した。YI値が小さい程、黄色味がなく品質が優れることを示す。なお、成形直後はプレートの色調が不安定のため、プレートを冷暗所に保管し、成形後1日以上経過した後に色調測定を行う。
(3)湿熱試験後の色調の測定
上記(2)で得られた射出成形片(幅60mm×長さ60mm×厚さ3mm)を、温度85℃、相対湿度85%に調整された恒温恒湿槽中に500時間放置した後に取出し、厚み方向での透過光におけるイエローインデックス(YI)値をコニカミノルタ社製分光測色計CM−5を用い、ASTM D1925に準拠して測定を行った。(この値を湿熱試験後のYIとする。)
尚、湿熱試験後のYIから初期のYIを除算して求めた値をΔYI(湿熱試験500時間後)と定義した。
(4)全光線透過率の測定
上記(2)で得られた射出成形片(幅60mm×長さ60mm×厚さ3mm)を、JIS K 7105に準拠し、ヘーズメーター(日本電色工業(株)製:NDH2000)により、D65光源にて全光線透過率を測定した。
(5)導光性能(色相)の評価
射出成形機(東芝機械(株)製:EC−75SX)を用いて、シリンダー温度210℃〜260℃、金型温度80℃、射出圧力180〜250MPa、保圧60〜80MPa、保圧時間2秒、冷却時間30秒の条件で、幅100mm、長さ100mm、肉厚1.0mmの平板状射出成形片を成形した。光源として、厚み450μmのLEDランプ(日亜化学製 NSCW335)10個を設置した基盤上に、(株)麗光製の反射シート1枚を設置し、その上に射出成形片を設置した。射出成形片の端面から光を照射し、射出成形片の正面から導光性能(色相)を確認し、相対比較した結果、色相が白色に近いものを「○」、黄色に近いものを「×」、「○」と「×」の間の色相を呈したものを「△」とする3段階評価を実施した。
[使用原料]
以下の実施例及び比較例で用いた化合物の略号、および製造元は次の通りである。
<ジヒドロキシ化合物>
・ISB:イソソルビド[ロケットフルーレ社製]
・CHDM:1,4−シクロヘキサンジメタノール[SKChemical社製]
<炭酸ジエステル>
・DPC:ジフェニルカーボネート[三菱化学(株)製]
<ヒンダードフェノール化合物>
・Irganox1010:ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−t
ert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート][BASF社製]
<リン系触媒失活剤>
・亜リン酸[太平化学産業(株)製](分子量82.0)
なお、上記のリン系触媒失活剤はすべて塩素原子の含有量が5重量%以下であるものを用いた。
<酸化防止剤>
・AS2112:トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト[(株)ADEKA製](分子量646.9)
[ポリカーボネート樹脂の製造例1]
竪型攪拌反応器3器と横型攪拌反応器1器、並びに二軸押出機からなる連続重合設備を用いて、ポリカーボネート樹脂の重合を行った。ISBとCHDMとDPCをそれぞれタンクで溶融させ、ISBを25.6kg/hr、CHDMを25.3kg/hr、DPCを75.5kg/hr(モル比でISB/CHDM/DPC=0.500/0.500/1.005)の流量で第1竪型攪拌反応器に連続的に供給した。同時に、触媒として酢酸カルシウム1水和物の水溶液を全ジヒドロキシ化合物1molに対して1.5μmolとなるように第1竪型攪拌反応器に供給した。第1竪型攪拌反応器での平均滞留時間が90分となるように、反応器底部の移送配管に設けられたバルブの開度を制御しつつ、液面レベルを一定に保った。反応器底部より排出された反応液は、引き続き第2竪型攪拌反応器、第3竪型攪拌反応器、第4横型攪拌反応器[(株)日立プラントテクノロジー社製2軸メガネ翼]に逐次連続供給された。第1竪型攪拌反応器と第2竪型攪拌反応器は還流冷却器を具備しており、還流比を調節することで、未反応のジヒドロキシ化合物とDPCの留出を抑制した。
各反応器の反応温度、内圧、滞留時間はそれぞれ、第1竪型攪拌反応器:190℃、25kPa、90分、第2竪型攪拌反応器:195℃、10kPa、45分、第3竪型攪拌反応器:210℃、3kPa、45分、第4横型攪拌反応器:225℃、0.5kPa、90分とした。得られるポリカーボネート樹脂の還元粘度が0.61dL/gから0.64dL/gとなるように、第4横型攪拌反応器の内圧を微調整しながら運転を行った。
第4横型攪拌反応器より60kg/hrの量でポリカーボネート樹脂を抜き出し、続いて樹脂を溶融状態のまま二軸押出機[(株)日本製鋼所製TEX30α]に供給した。押出機は3つの真空ベント口を有しており、樹脂中の残存低分子成分を脱揮除去した。第2ベントの手前で水を樹脂に対して2000重量ppm加えて、注水脱揮を行った。押出機はシリンダー温度を220℃、スクリュー回転数を230rpmに設定した。押出機出口での樹脂温度は262℃であった。
押出機を通過したポリカーボネート樹脂は、引き続き溶融状態のままフィルターを通して異物を濾過した後、ダイからストランド状に排出させ、水冷、固化させた後、回転式カッターでペレット化した。得られたポリカーボネート樹脂の溶融粘度は1640Pa・sであり、ガラス転移温度は100℃であった。樹脂中のナトリウム、カリウム及びセシウムの合計の含有量は0.1重量ppmであった。ISB由来の二重結合末端基の量はISBに由来する構造単位全体に対して0.25mol%であった。
[実施例1]
ポリカーボネート樹脂の製造例1のとおり、ポリカーボネート樹脂ペレットを一旦得た後、別の二軸押出機を用いて再度溶融させて亜リン酸、及びIrganox1010を混練した。亜リン酸はポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.65重量ppm(リン原子の含有量として0.24重量ppm)添加した。Irganox1010は樹脂100重量部に対して0.1重量部添加した。このペレットを用いて、前述の方法にて、初
期のプレートYI、ΔYI(湿熱試験500時間後)、導光性能(色相)の評価を行い、結果を表1に示した。
表1に示すとおり、いずれも良好な結果が得られた。
[実施例2]
ポリカーボネート樹脂の製造例1のとおり、ポリカーボネート樹脂ペレットを一旦得た後、別の二軸押出機を用いて再度溶融させて亜リン酸、AS2112、及びIrganox1010を混練した。亜リン酸はポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.65重量ppm(リン原子の含有量として0.24重量ppm)添加した。AS2112は樹脂100重量部に対して0.05重量部添加した。Irganox1010は樹脂100重量部に対して0.1重量部添加した。得られたポリカーボネート樹脂の評価結果を表1に示す。表1に示すとおり、いずれも良好な結果が得られた。
[比較例1]
ポリカーボネート樹脂の製造例1のとおり、ポリカーボネート樹脂ペレットを一旦得た後、別の二軸押出機を用いて再度溶融させて亜リン酸を混練した。亜リン酸はポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.65重量ppm(リン原子の含有量として0.24重量ppm)添加した。得られたポリカーボネート樹脂の評価結果を表1に示す。表1に示すとおり、実施例1〜2と比較するとプレートYIが高い、すなわち色調が悪く、さらに導光性能(色相)と耐湿熱変色性も悪い結果であった。
[比較例2]
ポリカーボネート樹脂の製造例1のとおり、ポリカーボネート樹脂ペレットを一旦得た後、別の二軸押出機を用いて再度溶融させて亜リン酸、及びAS2112を混練した。亜リン酸はポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.65重量ppm(リン原子の含有量として0.24重量ppm)添加した。AS2112は樹脂100重量部に対して0.05重量部添加した。得られたポリカーボネート樹脂の評価結果を表1に示す。表1に示すとおり、実施例1〜2と比較すると耐湿熱変色性が悪い結果であった。
[ポリカーボネート樹脂製導光板の製造例1]
ポリカーボネート樹脂の製造例1の二軸押出機による混練の工程において、亜リン酸、AS2112、及びIrganox1010を添加した以外はポリカーボネート樹脂の製造例1と同様にポリカーボネート樹脂ペレットを得た。亜リン酸はポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.65重量ppm(リン原子の含有量として0.24重量ppm)添加した。AS2112は樹脂100重量部に対して0.05重量部添加した。Irganox1010は樹脂100重量部に対して0.1重量部添加した。得られたポリカーボネート樹脂を、名機製作所(株)製の型締め力200トンの射出成形機を用いて、金型温度80℃、シリンダー温度210〜260℃、射出圧力120MPa、冷却時間30秒で射出圧縮成形し、厚さ0.9mmの導光板を製造した。使用した金型のキャビティの寸法は縦12.7cm,横22.5cmであり、成形品の片面に直径30〜50μm、高さ1〜5μmの円錐状の突起が、150〜200μmのピッチで形成され凹凸形状が付与されるように、金型表面に微細加工が施されている。
[ポリカーボネート樹脂製導光板の製造例2]
ポリカーボネート樹脂の製造例1の重合工程において、ISBを35.8kg/hr、CHDMを15.2kg/hrとし、(モル比でISB/CHDM/DPC=0.700/0.300/1.005)さらに二軸押出機による混練の工程において、亜リン酸、AS2112、及びIrganox1010を添加した以外はポリカーボネート樹脂の製造例1と同様にポリカーボネート樹脂ペレットを得た。亜リン酸はポリカーボネート樹脂1
00重量部に対して0.65重量ppm(リン原子の含有量として0.24重量ppm)添加した。AS2112は樹脂100重量部に対して0.05重量部添加した。Irganox1010は樹脂100重量部に対して0.1重量部添加した。得られたポリカーボネート樹脂を、名機製作所(株)製の型締め力200トンの射出成形機を用いて、金型温度80℃、シリンダー温度210〜260℃、射出圧力120MPa、冷却時間30秒で射出圧縮成形し、厚さ1.0mmの導光板を製造した。使用した金型のキャビティの寸法は縦12.7cm,横22.5cmであり、成形品の片面に直径30〜50μm、高さ1〜5μmの円筒状の突起が、150〜200μmのピッチで形成され凹凸形状が付与されるように、金型表面に微細加工が施されている。
Figure 2015129212
本発明によれば、導光性能、色相、耐湿熱変色性に優れるポリカーボネート樹脂からなる導光板を提供することができる。

Claims (6)

  1. 下記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を少なくとも含むポリカーボネート樹脂からなり、
    前記樹脂がヒンダードフェノール化合物を含む導光板。
    Figure 2015129212
    (但し、上記式(1)で表される部位が−CH−OHの一部を構成する部位である場合を除く。)
  2. 前記樹脂が以下の条件(A)及び条件(B)を満たす請求項1に記載の導光板。
    (A)シリンダー温度250℃の条件において、該ポリカーボネート樹脂から射出成形された厚さ3mmのプレート成形体のYIが2.50以下である。
    (B)シリンダー温度250℃の条件において、該ポリカーボネート樹脂から射出成形された厚さ3mmのプレート成形体を、温度85℃相対湿度85%の湿熱条件下で500時間経過させた後の成形体のYIが3.00以下である。
  3. 前記樹脂がリン系触媒失活剤を含む請求項1または2に記載の導光板。
  4. リン系触媒失活剤がリン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸、ホスホン酸、ホスホン酸エステル、酸性リン酸エステル、及び脂肪族環状亜リン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の導光板。
  5. リン系触媒失活剤の含有量がリン原子の含有量として0.03重量ppm〜8重量ppmである請求項1〜4のいずれか1項に記載の導光板。
  6. 前記樹脂のヒンダードフェノール化合物の含有量が0.001重量部〜1重量部である請求項1〜5のいずれか1項に記載の導光板。
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