JP2015187204A - ポリカーボネート樹脂からなる押出成形品 - Google Patents
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Abstract
Description
従来のポリカーボネート樹脂は、石油資源から誘導される原料を用いて製造されるが、近年、石油資源の枯渇が危惧されており、植物などのバイオマス資源から得られる原料を用いたポリカーボネート樹脂の提供が求められている。また、二酸化炭素排出量の増加、蓄積による地球温暖化が気候変動などをもたらすことが危惧されていることからも、使用後に廃棄処分をしてもカーボンニュートラルな植物由来モノマーを原料としたポリカーボネート樹脂の開発が求められている。
さらに、特許文献10では、押出やフィルターの条件をある範囲の製造条件にすることにより、良品のポリカーボネート樹脂を得られることが記載されている。
特許文献11では、ISBを原料としたジヒドロキシ化合物ポリカーボネート樹脂の末端OHをある範囲以下にすることにより、樹脂の吸水を抑制できることが開示されている。
また、特許文献10に記載の発明においては、実際の成形体としての評価はされておらず、実際にこれらの方法で得られた樹脂を使用した射出成形品は、いわゆるシルバーのような外観不良が発生しやすく、押出成形品では、微細な気泡が発生したりして、満足できるものではなかった。
本発明の目的は、上記の問題点を解消し、特定のポリカーボネートを用い、色相に優れ、フィルムでの気泡がなく、製造時にロールを汚染することもなく、ベントを閉塞しづらく、かつ残存低分子成分の少ない押出成形品を提供することにある。
下記構造式(2)で表される末端基の存在数(A)の全末端数(B)に対する割合(A/B)が75%以上98%未満の範囲であり、
下記式(3)で表される化合物の含有量が10重量ppm以上700重量ppm以下であり、
炭酸ジエステルに由来するモノヒドロキシ化合物の含有量が700重量ppm以下である
ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなることを特徴とする押出成形品。
[3]ポリカーボネート樹脂組成物がリン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸、ホスホン酸、ホスホン酸エステル、酸性リン酸エステル、及び脂肪族環状亜リン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種のリン系化合物をリン原子の量として0.7重量ppm以下含有する
ことを特徴とする[1]または[2]に記載の押出成形品。
[4]成形された成形体(厚さ0.1mm)を23℃、相対湿度50%の環境下にて、蛍光灯下2mに240時間静置した後に、該成形体を透過光で測定したASTM D1925−70に準拠したイエローインデックス(YI)値が処理前のYIに対して、−1以上0以下の変化であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の押出成形品。
[5]押出成形品がシートまたはフィルムであることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1項に記載の押出成形品。
[6]積層体シートまたはフィルムであることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項に記載の押出成形品。
[7]射出成形用加飾シートであることを特徴とする[1]〜[6]のいずれか1項に記載の押出成形品。
[8]導光板基材フィルムであることを特徴とする[1]〜[6]のいずれか1項に記載の押出成形品。
に限定されない。
下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂である。
重縮合により得られたポリカーボネート樹脂は、通常、重縮合槽の底部に設けられた抜き出し口からストランド状に抜き出して、水冷しながら若しくは水冷後、カッターで切断されてペレット状、チップ状等の粒状体とされる。ここで、本発明において「ペレット」とは、粒状体に切断された樹脂を意味するものである。また、後述するとおり、ポリカーボネート樹脂に各種の添加剤を添加して溶融混練した後に、ペレット状、チップ状等の粒状体とされるものも本発明におけるペレットに含まれる。
前述したように、ポリカーボネート樹脂の製造方法において、炭酸ジエステルとしてジフェニルカーボネートを使用することが好ましい。この場合、製造されるポリカーボネート樹脂の、下記構造式(2)で表される末端基(以下、「フェニル基末端」と記すことがある。)の存在数(A)の全末端数(B)に対する割合(A/B)が、75%以上98%未満の範囲であることを特徴としている。
ことが特に好ましい。また、96%以下の範囲であることが好ましく、95%以下の範囲であることが特に好ましい。
フェニル基末端の存在数(A)の全末端数(B)に対する割合(A/B)が、75%より少ないと、射出成形の際に成形品にシルバーと呼ばれる外観不良、押出成形での気泡が発生しやすくなる。また、フェニル基末端の存在数(A)の全末端数(B)に対する割合(A/B)が98%より多いと、射出成形や押出成形での外観不良は減る傾向にある。また、98%より多いポリカーボネート樹脂を得ようとすると、重合条件を過酷にしたり、長時間の反応が必要となり結果的に、ポリカーボネート樹脂の劣化に繋がり、色調が悪いものしか得られない可能性が非常に高い。
尚、構造式(1)の結合構造を有するジヒドロキシ化合物と、脂環式ジヒドロキシ化合物と、必要に応じて用いられるその他のジヒドロキシ化合物との使用割合は、本発明で使用するポリカーボネート樹脂を構成する各ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位の割合に応じ、適宜調整する。
本発明のポリカーボネート樹脂中には、下記構造式(3)で表される特殊なオリゴマー成分が含まれる。これらは、少なすぎると精製段階において、過剰な熱をかけたり、反応滞留時間を長くする必要があり、ポリマーの色調悪化を引き起こす可能性があり、上述の範囲が好ましい。多すぎると成形時において装置の汚染の問題を生じたり、成形品の外観不良を発生させる問題がある。
本発明のポリカーボネート樹脂中の下記構造式(3)で表される化合物の残存量は10重量ppm以上700重量ppm以下であり、好ましくは15重量ppm以上、特に好ましくは20重量ppm以上であることが好ましい。
以下、本発明のポリカーボネート樹脂を製造する方法について詳述する。
<原料>
(ジヒドロキシ化合物)
本発明のポリカーボネート樹脂は、下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂である。
本発明において、ポリカーボネート樹脂は、上記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位に加え、必要に応じて、下記式(4)で表されるジヒドロキシ化合物、(5)で表されるジヒドロキシ化合物、下記式(6)で表されるジヒドロキシ化合物、下記式(7)で表されるジヒドロキシ化合物および下記式(8)で表されるジヒドロキシ化合物よりなる群から選ばれた一種以上のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むことができる。
(上記式(5)中、R5は炭素数4〜20の置換若しくは無置換のシクロアルキレン基を示す。)
HO−CH2−R6−CH2−OH (6)
(上記式(6)中、R6は炭素数4〜20の置換若しくは無置換のシクロアルキレン基を示す。)
H−(O−R7)p−OH (7)
(上記式(7)中、R7は炭素数2〜10の置換若しくは無置換のアルキレン基を示し、pは2〜100の整数である。)
HO−R8−OH (8)
(上記式(8)中、R8は炭素数2〜20の置換若しくは無置換のアルキレン基を示す。)
なお、以下において、各種の基の炭素数は、当該基が置換基を有する場合、その置換基の炭素数をも含めた合計の炭素数を意味する。
本発明におけるポリカーボネート樹脂は、上記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むものである。
上記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物としては、例えば、立体異性体の関係にあるイソソルビド、イソマンニド、イソイデット等の無水糖アルコールが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのジヒドロキシ化合物のうち、資源として豊富に存在し、容易に入手可能な種々のデンプンから製造されるソルビトールを脱水縮合して得られるイソソルビドが、入手及び製造のし易さ、光学特性、成形性の面から最も好ましい。
本発明において、ポリカーボネート樹脂は、必要に応じて、上記式(4)で表されるジヒドロキシ化合物、下記式(5)で表されるジヒドロキシ化合物、下記式(6)で表されるジヒドロキシ化合物、下記式(7)で表されるジヒドロキシ化合物および下記式(8)で表されるジヒドロキシ化合物よりなる群から選ばれた一種以上のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むことができる。
上記式(4)で表されるジヒドロキシ化合物は、分子内に環状エーテル構造を有するものであって、スピログリコールと呼ばれる化合物である。
前記式(5)で表されるジヒドロキシ化合物は、R5に炭素数4〜20、好ましくは炭素数4〜18の置換若しくは無置換のシクロアルキレン基を有する脂環式ジヒドロキシ化合物である。ここで、R5が置換基を有する場合、当該置換基としては、炭素数1〜12の置換若しくは無置換のアルキル基が挙げられる。該アルキル基が置換基を有する場合、
当該置換基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基等が挙げられる。
R5のシクロアルキレン基としては、環構造を有する炭化水素基であれば特に制限は無く、橋頭炭素原子を有するような橋かけ構造であっても構わない。ジヒドロキシ化合物の製造が容易で不純物量を少なくすることができるという観点から、前記式(5)で表されるジヒドロキシ化合物は、5員環構造又は6員環構造を含む化合物、即ち、R5が置換若しくは無置換のシクロペンチレン基又は置換若しくは無置換のシクロへキシレン基であるジヒドロキシ化合物が好ましい。このようなジヒドロキシ化合物であれば、5員環構造又は6員環構造を含むことにより、得られるポリカーボネート樹脂の耐熱性を高くすることができる。該6員環構造は共有結合によって椅子形もしくは舟形に固定されていてもよい。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記式(6)で表されるジヒドロキシ化合物は、R6に炭素数4〜20、好ましくは炭素数3〜18の置換若しくは無置換のシクロアルキレン基を有する脂環式ジヒドロキシ化合物である。ここで、R6が置換基を有する場合、当該置換基としては、炭素数1〜12の置換若しくは無置換のアルキル基が挙げられ、該アルキル基が置換基を有する場合、当該置換基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基等が挙げられる。
このジヒドロキシ化合物は、環構造を有することにより、得られるポリカーボネート樹
脂を成形したときの成形品の靭性を高めることが可能となり、なかでもフィルムに成形したときの靭性を高めることができる。
前記式(7)で表されるジヒドロキシ化合物は、R7に炭素数2〜10、好ましくは炭素数2〜5の置換若しくは無置換のアルキレン基を有する化合物である。pは2〜100、好ましくは6〜50、より好ましくは12〜40の整数である。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記式(8)で表されるジヒドロキシ化合物は、R8に炭素数2〜20、好ましくは炭素数2〜10の置換若しくは無置換のアルキレン基である。R8のアルキレン基が置換基
を有する場合、当該置換基としては炭素数1〜5のアルキル基が挙げられる。
前記式(8)で表されるジヒドロキシ化合物のうち、R8が炭素数2〜20の置換若しくは無置換のアルキレン基であるジヒドロキシ化合物としては、具体的にはエチレングルコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどが挙げられるが何らこれらに限定されるものではない。
本発明において、ポリカーボネート樹脂は、前記式(4)〜(8)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を必要に応じて、その他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位に置き変えてもよい。
その他のジヒドロキシ化合物としては、例えば、ビスフェノール類やビスフェノール類のエチレンオキサイド(EO)付加類、フルオレン化合物等が挙げられる。
ビスフェノール類のエチレンオキサイド(EO)付加類としては、前述のビスフェノール類の化合物にエチレンオキサイド(EO)付加したものが挙げられる。
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−n−プロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9−
ビス(4−ヒドロキシ−3−n−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−sec−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−プロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチル−6−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロポキシ)フェニル)フルオレン等が挙げられる。
本発明において、ポリカーボネート樹脂に含まれる前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の含有割合は、ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の合計に対して、好ましくは20重量%以上、より好ましくは25重量%以上、更に好ましくは30重量%以上であり、通常95重量%以下、好ましくは90重量%以下である。該構造単位の含有割合が過度に少ないと、耐熱性が小さく、表面硬度が劣る可能性がある。また、該構造単位の含有割合が過度に多いと、ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度が過度に高くなって成形が困難になったり、吸水率が悪化する場合がある。
、塩基性安定剤を含むことが好ましい。
安定剤の量が少なすぎると特定ジヒドロキシ化合物の変質を防止する効果が得られない可能性があり、多すぎると特定ジヒドロキシ化合物の変性を招く場合があるので、本発明で用いるそれぞれのジヒドロキシ化合物に対して、0.0001重量%〜1重量%であることが好ましく、より好ましくは0.001重量%〜0.1重量%である。
このため、特定ジヒドロキシ化合物または前記その他のジヒドロキシ化合物のうち塩基性安定剤を含有するものについては、ポリカーボネート樹脂の製造原料として使用する前に塩基性安定剤をイオン交換樹脂または蒸留等で除去することが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂は、上述した特定ジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを原料として、エステル交換反応により重縮合させて得るこ
とができる。用いられる炭酸ジエステルとしては、通常、下記式(10)で表されるものが挙げられる。これらの炭酸ジエステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
なお、炭酸ジエステルは、塩化物イオンなどの不純物を含む場合があり、不純物が重合反応を阻害したり、得られるポリカーボネート樹脂の色相を悪化させたりする場合があるため、必要に応じて、蒸留などにより精製したものを使用することが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂は、上述したジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルをエステル交換反応させて製造される。より詳細には、エステル交換させ、副生するモノヒドロキシ化合物等を系外に除去することによって得られる。
前記エステル交換反応の際には、エステル交換反応触媒存在下で重縮合を行うが、本発明のポリカーボネート樹脂の製造時に使用し得るエステル交換反応触媒(以下、単に触媒、重合触媒と言うことがある)は、反応速度または重縮合して得られるポリカーボネート樹脂の品質に非常に大きな影響を与え得る。
息香酸セシウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、リン酸水素2セシウム、フェニルリン酸2ナトリウム、フェニルリン酸2カリウム、フェニルリン酸2リチウム、フェニルリン酸2セシウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウムのアルコレート、フェノレート、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2リチウム塩および2セシウム塩等が挙げられる。中でも重合活性と得られるポリカーボネート樹脂の色相の観点から、リチウム化合物が好ましい。
前記の塩基性リン化合物としては、例えば、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィンおよび四級ホスホニウム塩等が挙げられる。
中でも長周期型周期表における2族からなる群及びリチウムより選ばれた少なくとも1種の金属を含む化合物を用いる場合、特にはマグネシウム化合物及び/またはカルシウム化合物を用いる場合は、金属量として、前記全ジヒドロキシ化合物1mol当たり、0.1μmol以上が好ましく、より好ましくは0.3μmol以上、特に好ましくは0.5μmol以上とする。また上限としては、20μmol以下が好ましく、より好ましくは
10μmol以下であり、さらに好ましくは5μmol以下で、特に好ましくは3μmol以下である。
本発明のポリカーボネート樹脂は、特定ジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとをエステル交換反応により重縮合させることによって得られる。
原料であるジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルは、エステル交換反応前に均一に混合することが好ましい。混合の温度は通常80℃以上、好ましくは90℃以上であり、その上限は通常250℃以下、好ましくは200℃以下、更に好ましくは150℃以下である。中でも100℃以上120℃以下が好適である。混合の温度が低すぎると溶解速度が遅かったり、溶解度が不足する可能性があり、しばしば固化等の不具合を招き、混合の温度が高すぎるとジヒドロキシ化合物の熱劣化を招く場合があり、結果的に得られるポリカーボネート樹脂の色相や熱安定性に悪影響を及ぼす可能性がある。
重合反応の温度は、低すぎると生産性の低下や製品への熱履歴の増大を招き、高すぎるとモノマーの揮散を招くだけでなく、ポリカーボネート樹脂の分解や着色を助長する可能性がある。具体的には、第1段目の反応は、重合反応器の内温の温度としては、130〜210℃、好ましくは150〜205℃、更に好ましくは170〜200℃である。
る。
第2段目以降は、反応系の圧力を第1段目の圧力から徐々に下げ、引き続き発生するモノヒドロキシ化合物を反応系外へ除く。とくに化合物(3)の除去のためには第2段目以降は15KPa以下にし、最終的には反応系の圧力(絶対圧力)を600Pa以下にして、内温の最高温度190〜240℃、好ましくは1950〜235℃で、通常0.1〜5時間、好ましくは1〜4時間、特に好ましくは0.5〜3時間行う。
また、重合反応後半の重合速度の低下を抑止し、熱履歴による劣化を最小限に抑えるためには、重合の最終段階でプラグフロー性と界面更新性に優れ、化合物(3)の除去に優れた横型反応器を使用することが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂は、上述の通り重縮合後、通常、冷却固化させ、回転式カッター等でペレット化される。ペレット化の方法は限定されるものではないが、最終重合反応器から溶融状態で抜き出し、ストランドの形態で冷却固化させてペレット化させる方法、最終重合反応器から溶融状態で一軸または二軸の押出機に樹脂を供給し、溶融押出しした後、冷却固化させてペレット化させる方法、又は、最終重合反応器から溶融状態で抜き出し、ストランドの形態で冷却固化させて一旦ペレット化させた後に、再度一軸または二軸の押出機に樹脂を供給し、溶融押出しした後、冷却固化させてペレット化させる方法等が挙げられる。
押出機中の溶融混練温度は、ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度や分子量に依存するが、通常200〜300℃、好ましくは210〜280℃、更に好ましくは220〜270℃である。溶融混練温度が200℃より低いと、ポリカーボネート樹脂の溶融粘度が高く、押出機への負荷が大きくなり、生産性が低下する。300℃より高いと、ポリカーボネート樹脂の熱劣化が激しくなり、分子量の低下による機械的強度の低下や着色、ガスの発生や化合物(3)の発生を招く。
定方法の詳細は実施例の項で記載する。
<リン系化合物>
本発明のポリカーボネート樹脂には、重合触媒を失活させ、さらに高温下でのポリカーボネート樹脂の着色を抑制するために添加された、リン系化合物を含有することが好ましい。このリン系化合物としては、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸、ホスホン酸、ホスホン酸エステル、酸性リン酸エステル、及び脂肪族環状亜リン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。上記の中でも触媒失活と着色抑制の効果がさらに優れているのは、亜リン酸、ホスホン酸、ホスホン酸エステルであり、特にホスホン酸エステルが好ましい。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂には、前記リン系化合物に加えて、ヒンダードフェノール化合物も含有することで、ポリカーボネート樹脂のさらなる色調向上が期待できる。
ヒンダードフェノール系化合物としては、具体的には、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、n−オクタデシル−3−(3',5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−t
ert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(6−シクロヘキシル−4−メチルフェノール)、2,2’−エチリデン−ビス−(2,4−ジ−tert−ブチルフェノール)、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]−メタン、n−オクタデシル−3−(3',5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3
,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などが挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂の上記のヒンダードフェノール化合物の含有量は、ポリカーボネート樹脂を100重量部とした場合、0.001重量部〜1重量部が好ましく、0.005重量部〜0.5重量部がより好ましく、0.01重量部〜0.3重量部がさらに好ましい。
なお、ヒンダードフェノール化合物や以下の酸化防止剤についても、リン系化合物と同様に、押出機を用いてポリカーボネート樹脂に添加、混練されることが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂には、酸化防止の目的で、通常知られている酸化防止剤を添加することもできる。
これらの酸化防止剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂を100重量部とした場合、0.0001重量部〜0.1重量部が好ましく、0.0005重量部〜0.08重量部がより好ましく、0.001重量部〜0.05重量部がさらに好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂においては、ブルーイング剤を含有することもできる。
本発明で用いるブルーイング剤は、通常ポリカーボネート樹脂組成物に使用されるブルーイング剤等から適宜選択し、その配合量を調整して使用すればよく、複数種のブルーイング剤を使用してもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂におけるブルーイング剤の含有量は、通常、ポリカーボネート樹脂(A)を100重量部とした場合、好ましくは0.1×10−4〜10.0×10−4重量部、より好ましくは0.3×10−4〜5.0×10−4重量部、特に好ましくは0.3×10−4〜2.0×10−4重量部である。
本発明で用いるのに好ましいアンスラキノン系ブルーイング剤の具体例としては、例えば、一般名Solvent Violet13[CA.No(カラーインデックスNo)60725;商標名 ランクセス社製「マクロレックスバイオレットB」、三菱化学(株)製「ダイアレジンブルーG」、住友化学工業(株)製「スミプラストバイオレットB」]、Solvent Violet14、一般名Solvent Violet31[CA.No68210;商標名 三菱化学(株)製「ダイアレジンバイオレットD」]、Solvent Violet33[CA.No60725;商標名 三菱化学(株)製「ダイアレジンブルーJ」]、Solvent Violet36[CA.No68210;商標名 ランクセス社製「マクロレックスバイオレット3R」]、Solvent Blue45[CA.No61110;商標名 サンド社製「テトラゾールブルーRLS」]、一般名Solvent Blue94[CA.No61500;商標名 三菱化学(株)製「ダイアレジンブルーN」]、一般名Solvent Blue97[ランクセス社製「マクロレックスブルーRR」]、一般名Solvent Blue45、一般名Solvent Blue87および一般名Disperse Violet28が挙げられる。
本発明において、ブルーイング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよいが、ブルーイング剤の使用量は少ない方が好ましく、使用するブルーイング剤の種類も少ない方が好ましい。
響を最小限に抑えられるため好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂は、例えば、芳香族ポリカーボネート樹脂、芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリオレフィン、アクリル、アモルファスポリオレフィン、ABS、ASなどの合成樹脂、ポリ乳酸、ポリブチレンスクシネートなどの生分解性樹脂、ゴムなどの1種又は2種以上と混練して、ポリマーアロイとしても用いることもできる。
本発明のポリカーボネート樹脂押出成形品は、上述のポリカーボネート樹脂組成物を押出成形して得られるものであり、光学歪みが小さく、耐燃性、耐光性等に優れたプレートを製造するためには、各種の押出成形法の中でもTダイ押出成形法を選択することが好適である。
本発明のポリカーボネート樹脂シートまたはフィルムなどの押出成形に用いる冷却ロールの表面粗さは、製品に求められる粗度から設計すればよいが、高鏡面外観が必要な場合は、例えばJIS B0601(2001年)に準拠して測定した表面の最大高さRzが0.3μm以下である金属製鏡面ロールを用いることが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂シートやフィルムなどの押出成形に用いる冷却ロールの設定温度は、(タッチロールを設置する場合はこれも含め)最上流側の冷却ロールの設定温度t0(℃)が全冷却ロールの設定温度の中で最も低く、最下流側の冷却ロールの設定温度t1(℃)との間でt0<t1の関係を有することが好ましい。
最も高くし、最上流側から最下流側に段階的に冷却ロールの設定温度を上昇させることが、安定的にポリカーボネート樹脂プレートを冷却しながら搬送させることができるため特に好ましい。
通常、薄いフィルムやシートであれば、最上流側の冷却ロールの設定温度t0(℃)を最も高くすることが一般的であるが、本発明のポリカーボネート樹脂プレートは厚みDが5mm以上と非常に厚いため、最上流側の冷却ロールの設定温度t0(℃)が最も低いことにより、多量に吐出される溶融樹脂を効率的に冷却することが可能となり、前記の通りタッチロールとキャストロールのロール間隙に溶融樹脂のバンクを形成させる場合であっても、溶融樹脂が熱劣化するおそれが少なくなる。
本発明においては、樹脂吐出量も多くなると、押出機からTダイにかけての過剰な剪断発熱や樹脂劣化のおそれがでてくる。この場合、ギアポンプを設置する等により整流化された溶融樹脂がTダイのリップで過剰に圧縮されることは好ましくなく、製品厚みを増すにつれてリップ間隔も広げることが効果的である。すなわち、前記押出成形に用いる冷却ロールとして、最上流側にタッチロールを設け、このタッチロールの下流側にキャストロールを設け、押出成形において用いるTダイのリップ間隔が、該タッチロールと該キャストロールとのロール間隔の1.0倍以上であることが好ましく、特に1.5倍以上とすることが好ましい。なお、この上限は通常3.0倍である。
本発明のポリカーボネート樹脂フィルムやシートでは、後述の如く、厚みの均一性に優れる必要がある。この厚み精度を向上させる手段の一つとして、前記押出機と前記Tダイとの間に、出口側樹脂圧力変動が30分あたり1〜10%となるよう、ギアポンプを設けて、本発明のポリカーボネート樹脂プレートを製造することが好ましい。通常単軸または二軸押出機はスクリュー回転による押出脈動が生じるため、これに同調してフィルムやプレートの厚み変動が生じる。このため2ギア式ポンプまたは3ギア式ポンプ等を設けることで、押出脈動を相殺させることが好ましい。
押出機中の溶融混練温度は、ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度や分子量に依存するが、通常200〜300℃、好ましくは210〜280℃、更に好ましくは220〜270℃である。溶融混練温度が200℃より低いと、ポリカーボネート樹脂の溶融粘度が高く、押出機への負荷が大きくなり、生産性が低下する。300℃より高いと、ポリカーボネート樹脂の熱劣化が激しくなり、分子量の低下による機械的強度の低下や着色、ガスの発生を招き、シートやフィルムの気泡発生の原因になる。また、上記の通り重縮合させて得られたポリカーボネート樹脂中には、通常、色相または熱安定性、さらにはブリードアウト等により製品に悪影響を与える可能性のある、原料モノマー、エステル交換反応で副生するモノヒドロキシ化合物、またはポリカーボネート樹脂オリゴマー等の低分子量化合物が残存しているが、ベント口を有する押出機を用い、好ましくはベント口から真空ポ
ンプ等を用いて減圧にすることにより、これらを脱揮除去することも可能である。また、押出機内に水等の揮発性液体を導入して、脱揮を促進することもできる。ベント口は1つであっても複数であってもよいが、好ましくは2つ以上である。
化合物(1)を含むポリカーボネート樹脂成形体は、触媒種や触媒失活剤を選択すること
により、驚くべきことに蛍光灯や太陽光などに長時間照射されると黄色身が少なくなる場合がある。この場合、成形時の色目と成形体設置後の色目が変化するということであり、変化が小さい場合には問題とならないが、変化が度合いが大きい場合は成形品の色調が変化しているということであり問題となる可能性がある。例えば、フィルム0.1mmの成形体において、蛍光灯の下240時間放置後のYIの変化が0.5以上あると色目が大きく変化したと認識される。そこで、変化幅としては、0.5未満が好ましく、より好ましくは0.4未満である。また、0より大きい変化をする場合は、黄色身が強くなり、設置後の外観が悪くなるということであり、好ましくない。
[評価方法]
以下において、ポリカーボネート樹脂の物性ないし特性の評価は次の方法により行った。
ポリカーボネート樹脂のサンプルを塩化メチレンに溶解させ、0.6g/dLの濃度のポリカーボネート樹脂溶液を調製した。森友理化工業社製ウベローデ型粘度管を用いて、温度20.0℃±0.1℃で測定を行い、溶媒の通過時間t0と溶液の通過時間tから次式(i)より相対粘度ηrelを求め、相対粘度ηrelから次式(ii)より比粘度ηspを求めた。
ηsp=(η−η0)/η0=ηrel−1 ・・・(ii)
比粘度ηspを濃度c(g/dL)で割って、還元粘度ηsp/cを求めた。この値が高いほど分子量が大きい。
・装置:日本電子社製JNM−AL400(共鳴周波数400MHz)
・測定温度:常温
・緩和時間:6秒
・積算回数:512回
ポリカーボネート樹脂のペレットを90℃で5時間以上、真空乾燥した。乾燥したポリカーボネート樹脂のペレットを射出成形機(日本製鋼所社製J75EII型)に供給し、最終シリンダーの温度を250℃、成形サイクル23秒間の条件でプレート型の射出成形片(幅60mm×長さ60mm×厚さ3mm)を成形する操作を繰り返した。10ショット目以降、シリンダー内の樹脂の滞留時間は4分となる。10ショット目〜60ショット目で得られた射出成形片の厚み方向での透過光におけるイエローインデックス(YI)値を後述のとおり測定し、平均値を算出した。
ポリカーボネート樹脂ペレットの色相は、ASTM D1925に準拠して、コニカミノルタ社製分光測色計CM−5を用い、反射光で測定を行った。測定条件は測定径30mm、SCEを選択した。シャーレ測定用校正ガラスCM−A212を測定部にはめ込み、その上からゼロ校正ボックスCM−A124をかぶせてゼロ校正を行い、続いて内蔵の白色校正板を用いて白色校正を行った。白色校正板CM−A210を用いて測定を行い、L*が99.40±0.05、a*が0.03±0.01、b*が−0.43±0.01、YIが−0.58±0.01となることを確認した。ペレットのYIの測定は、内径30mm、高さ50mmの円柱ガラス容器にペレットを40mm程度の深さまで詰めて測定した。ガラス容器からペレットを取り出してから再度測定を行う操作を2回繰り返し、計3回の測定値の平均値を用いた。
ポリカーボネート樹脂組成物をベント付きニ軸押出機((株)日本製鋼所 製 TEX30α、シリンダー設定温度:240℃)、Tダイ(幅200mm、設定温度:220℃)、チルロール(設定温度:100〜120℃)及び巻取機を備えたフィルム製膜装置を用いて、厚み100μmのフィルムを20時間連続で製造した。
上記製造後、目視にてチルロールの汚染状況を確認した。
(6)ベント閉塞
運転中に押出機のベントが閉塞していた場合 ×
運転後にベント配管中に閉塞物が確認された場合 △
運転後にベント配管中に閉塞物が無かった場合 ○
(7)フィルム YI
上記製造フィルムをASTM D1925に準拠して、コニカミノルタ社製分光測色計CM−5を用い透過光で測定を行った。
上記製造フィルム中を外観で確認し、気泡状の欠点が発生した場合は、「有」と評価した。
(9)蛍光灯下処理
相対湿度50%の環境下にて、三菱オスラム ラビットスター形FLR40SW/Mの2本蛍光灯下2mに240時間静置した。
ポリカーボネート樹脂試料約1gを精秤し、塩化メチレン5mLに溶解して溶液とした後、総量が25mLになるようにアセトンを添加して再沈殿処理を行った。次いで、該処理液を0.2μmディスクフィルターで濾過して、液体クロマトグラフィーにて定量を行った。
以下の実施例及び比較例で用いた化合物の略号、および製造元は次の通りである。
<ジヒドロキシ化合物>
・ ISB:イソソルビド[ロケットフルーレ社製]
・ CHDM:1,4−シクロヘキサンジメタノール[SKChemical社製]
・ TCDDM:トリシクロデカンジメタノール[OXEA社製]
<炭酸ジエステル>
・ DPC:ジフェニルカーボネート[三菱化学(株)製]
・ Irganox1010:ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート][BASF社製]
<リン系化合物>
・ 亜リン酸[太平化学産業(株)製](分子量82.0)
・ AS2112:トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト[(株)ADEKA製](分子量646.9)
・ アデカスタブPEP−36:ビス(2,6−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリチルジホスファイト)(株式会社アデカ製)
塩素原子の含有量が5重量%以下であるものを用いた。
竪型攪拌反応器3器と横型攪拌反応器1器、並びに二軸押出機からなる連続重合設備を用いて、ポリカーボネート樹脂の重合を行った。ISBとCHDMとDPCをそれぞれタンクで溶融させ、モル比ISB/CHDM/DPC=0.700/0.300/1.010で第1竪型攪拌反応器に連続的に供給した。同時に、触媒として酢酸カルシウム1水和物の水溶液を全ジヒドロキシ化合物1molに対して1.5μmolとなるように第1竪型攪拌反応器に供給した。第1竪型攪拌反応器での平均滞留時間が90分となるように、反応器底部の移送配管に設けられたバルブの開度を制御しつつ、液面レベルを一定に保った。反応器底部より排出された反応液は、引き続き第2竪型攪拌反応器、第3竪型攪拌反応器、第4横型攪拌反応器[(株)日立プラントテクノロジー社製2軸メガネ翼]に逐次連続供給された。第1竪型攪拌反応器と第2竪型攪拌反応器は還流冷却器を具備しており、還流比を調節することで、未反応のジヒドロキシ化合物とDPCの留出を抑制した。
5kPa、90分、第2竪型攪拌反応器:195℃、10kPa、45分、第3竪型攪拌反応器:210℃、3kPa、45分、第4横型攪拌反応器:230℃、0.5kPa、90分とした。得られるポリカーボネート樹脂の還元粘度が0.61dL/gから0.64dL/gとなるように、第4横型攪拌反応器の内圧を微調整しながら運転を行った。
ポリカーボネート樹脂組成物をベント付きニ軸押出機((株)日本製鋼所 製 TEX30α、シリンダー設定温度:240℃)、Tダイ(幅200mm、設定温度:220℃)、チルロール(設定温度:90〜120℃)及び巻取機を備えたフィルム製膜装置を用いて、厚み100μmのフィルムを20時間連続で製造した。結果を表1に示す。運転後にベントの閉塞物は確認されたものの、製膜中は良品を得ることが出来た。また、亜リン酸による触媒失活効果が無いために、蛍光灯下処理前と処理後のフィルムYIは変化なかった。
第1ベント口の手前から亜リン酸をまぶしたマスターペレットを供給し、ポリカーボネート樹脂に対して亜リン酸を0.65ppm(リン原子の量として0.2ppm)添加した以外は実施例1と同様に行った。表1に示すようにベントの閉塞やフィルムでの気泡発生、ロール汚れなどなく品質の良いフィルムを得ることが出来、また設蛍光灯下処理前と処理後のYI(色調)変化も良好であった。
第4横型攪拌反応器の温度を225℃とし、第1ベント口の手前から亜リン酸をまぶしたマスターペレットを供給し、ポリカーボネート樹脂に対して亜リン酸を0.65ppm(リン原子の量として0.2ppm)添加し、押出機での注水量を4000重量ppmとした以外は実施例1と同様に行った。表1に示すようにベントの閉塞やフィルムでの気泡発生、ロール汚れなどなく品質の良いフィルムを得ることが出来、また蛍光灯下処理前と処理後のYI(色調)変化も良好であった。
モル比ISB/CHDM/DPC=0.700/0.300/1.012で第1竪型攪拌反応器に連続的に供給した以外は実施例1と同様に行った。表1に示すように運転後にベントの閉塞物は確認されたものの、製膜中は良品を得ることが出来た。また、亜リン酸による触媒失活効果が無いために、蛍光灯下処理前と処理後のYIが若干上昇していた。
モル比ISB/CHDM/DPC=0.500/0.500/1.004で第1竪型攪拌反応器に連続的に供給し、第1ベント口の手前から亜リン酸をまぶしたマスターペレットを供給し、ポリカーボネート樹脂に対して亜リン酸を1.50ppm(リン原子の量として0.6ppm)添加した以外は実施例1と同様に行った。表1に示すようにベントの閉塞やフィルムでの気泡発生、ロール汚れなどなく品質の良いフィルムを得ることが出来
、また蛍光灯下処理前と処理後のYI(色調)変化も良好であった。
モル比ISB/CHDM/DPC=0.500/0.500/1.006で第1竪型攪拌反応器に連続的に供給し、第1ベント口の手前から亜リン酸をまぶしたマスターペレットを供給し、ポリカーボネート樹脂に対して亜リン酸を0.65ppm(リン原子の量として0.2ppm)添加した以外は実施例1と同様に行った。表1に示すように化合物(3)や残存するフェノールが多いために運転後のベントに閉塞物が確認されたが、フィルムでの気泡発生、ロール汚れなどなく品質の良いフィルムを得ることが出来、また蛍光灯下処理前と処理後のYI(色調)変化も良好であった。
モル比ISB/CHDM/DPC=0.600/0.400/1.008で第1竪型攪拌反応器に連続的に供給し、第1ベント口の手前から亜リン酸をまぶしたマスターペレットを供給し、ポリカーボネート樹脂に対して亜リン酸を0.65ppm(リン原子の量として0.2ppm)添加した以外は実施例1と同様に行った。表1に示すようにベントの閉塞やフィルムでの気泡発生、ロール汚れなどなく品質の良いフィルムを得ることが出来、また蛍光灯下処理前と処理後のYI(色調)変化も良好であった。
モル比ISB/TCDDM/DPC=0.700/0.300/1.004で第1竪型攪拌反応器に連続的に供給し、第1ベント口の手前から亜リン酸をまぶしたマスターペレットを供給し、ポリカーボネート樹脂に対して亜リン酸を0.65ppm(リン原子の量として0.2ppm)添加した以外は実施例1と同様に行った。表1に示すように化合物(3)や残存するフェノールが多いために運転後のベントに閉塞物が確認されたが、フィルムでの気泡発生、ロール汚れなどなく品質の良いフィルムを得ることが出来、また蛍光灯下処理前と処理後のYI(色調)変化も良好であった。
モル比ISB/CHDM/DPC=0.700/0.300/1.000で、触媒として酢酸カルシウム1水和物の水溶液を全ジヒドロキシ化合物1molに対して1.25μmolとなるように、第1竪型攪拌反応器に連続的に供給し、各反応器の反応温度、内圧、滞留時間はそれぞれ、第1竪型攪拌反応器:188℃、24.2kPa、90分、第2竪型攪拌反応器:194℃、19.9kPa、60分、第3竪型攪拌反応器:214℃、9.9kPa、60分、第4横型攪拌反応器:225℃、0.1kPa、120分とし、押出機はシリンダー温度を前半4つのバレルは240℃、後半6つのバレルは195℃、スクリュー回転数を225rpmに設定した以外は実施例1と同様に行った。表1に示すように残存する化合物(3)が多いためにロールの汚染が発生し、良品を連続的に得ることが困難となった。また、初期色調が悪いために、蛍光灯下処理前と処理後のYI変化が大きすぎる結果となった。
ISB/CHDM/DPCのモル比が0.500/0.500/1.000、触媒として酢酸カルシウム1水和物の水溶液を全ジヒドロキシ化合物1molに対して1.25μmolとなるように第1竪型攪拌反応器に供給し、各反応器の反応温度、内圧、滞留時間はそれぞれ、第1竪型攪拌反応器:190℃、25kPa、90分、第2竪型攪拌反応器:196℃、17.7kPa、60分、第3竪型攪拌反応器:215℃、6.9kPa、60分、第4横型攪拌反応器:225℃、0.9kPa、120分とし、押出機はシリンダー温度を前半4つのバレルは240℃、後半6つのバレルは180℃、スクリュー回転数を225rpmに設定した以外は実施例1と同様に行った。表1に示すように末端OH
が75%未満であり、成形品での気泡が発生し、ベント閉塞物も確認された。
モル比ISB/CHDM/DPC=0.500/0.500/1.050で第1竪型攪拌反応器に連続的に供給し、第4横型攪拌反応器の温度を235℃、120分とし、第1ベント口の手前から亜リン酸をまぶしたマスターペレットを供給し、ポリカーボネート樹脂に対して亜リン酸を0.65ppm(リン原子の量として0.2ppm)添加した以外は実施例1と同様に行った。表1に示すように、化合物(3)や残存フェノールが多く、ベント閉塞やロール汚染が発生した。
モル比ISB/CHDM/DPC=0.500/0.500/1.000で第1竪型攪拌反応器に連続的に供給し、第4横型攪拌反応器の温度を220℃、190分とした以外は実施例1と同様に行った。DPCのモル比が少ない設定であったために、式(3)で表される化合物の発生は抑えられたが、フェニル末端も少ないために成形の際に気泡が発生し、さらに滞留時間が長いために初期色調が悪化し、蛍光灯下処理前と処理後のYI(色調)変化が0.5と大きくなった。
竪型攪拌反応器並びに二軸押出機からなる回分式重合設備を用いて、ポリカーボネート樹脂の重合を行った。ISBとTCDDMとDPCをそれぞれタンクで溶融させ、ISBをモル比ISB/TCDDM/DPC=0.700/0.300/1.058で第1竪型攪拌反応器に供給した。同時に、触媒として炭酸セシウムの水溶液を全ジヒドロキシ化合物1molに対して炭酸セシウムが1.25μmolとなるように第1竪型攪拌反応器に供給した。反応の第1段目の工程として、加熱槽温度を150℃に加熱し、撹拌しながら、原料を15分間溶解させ、圧力を常圧から13.3kPaに40分間で減圧し、加熱槽温度を190℃まで40分で上昇させながら、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。
、AS2112 500ppm添加した。押出機は3つの真空ベント口を有しており、樹
脂中の残存低分子成分を脱揮除去した。押出機(全10バレル)はシリンダー温度を220℃、スクリュー回転数を230rpmに設定した。押出機出口での樹脂温度は262℃であった。
最終段階で240℃の高温で120分間重合させたために、同じTCDDMを用いた実施例8よりも色調が悪化した。また、触媒に炭酸セシウム、失活剤にトルエンスルホン酸を用いていることから、設置後の色調変化は増加してしまい外観不良が発生する結果となった。さらに、竪型重合槽であるために、フェノールや式(3)で表される化合物が多く残存することとなり、ロール汚染やベントの閉塞が発生した。
のような製品を成形する際に、成形機の汚れや臭気などが抑制され、生産性や作業性を向上させることが可能になる。
Claims (8)
- ポリカーボネート樹脂のペレットのYIが15以下であることを特徴とする請求項1に記載の押出成形品。
- ポリカーボネート樹脂組成物がリン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸、ホスホン酸、ホスホン酸エステル、酸性リン酸エステル、及び脂肪族環状亜リン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種のリン系化合物をリン原子の量として0.7重量ppm以下含有する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の押出成形品。 - 成形された成形体(厚さ0.1mm)を23℃、相対湿度50%の環境下にて、蛍光灯下2mに240時間静置した後に、該成形体を透過光で測定したASTM D1925−70に準拠したイエローインデックス(YI)値が処理前のYIに対して、−1以上0以下の変化であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の押出成形品。
- 押出成形品がシートまたはフィルムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の押出成形品。
- 積層体シートまたはフィルムであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の押出成形品。
- 射出成形用加飾シートであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の押出成形品。
- 導光板基材フィルムであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の押出成形品。
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