JP6015022B2 - ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品 - Google Patents
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Description
このような状況下、深みのある漆黒性、鮮映性を有する樹脂組成物およびその成形品が要望されていた。また、更に、同時に耐衝撃性、高い表面硬度による耐傷性、難燃性、熱滞留安定性を高いレベルでバランスさせた樹脂組成物及び成形品が要望されていた。
[1] 環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカ
ーボネート樹脂と、着色剤とを含む樹脂組成物であって、JIS K7105反射光法で測定したL*値が、6以下であることを特徴とする樹脂組成物。
[2] 前記ポリカーボネート樹脂組成物中に含有する、前記着色剤の含有量が、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、0.001質量部以上3質量部以下であることを特徴とする[1]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[3] 前記着色剤が、550〜600nmに極大吸収波長を有する着色剤、580〜680nmに極大吸収波長を有する着色剤、および640〜690nmに極大吸収波長を有する着色剤を少なくとも含むことを特徴とする、[1]または[2]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[4] 前記着色剤が有機染料であることを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[5] 前記環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物が、下記式(3)で表されるジヒドロキシ化合物であることを特徴とする[1]乃至[4]のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[7] 前記ポリカーボネート樹脂が、全ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位に対して、環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を40〜90モル%、式(4)で表される脂肪族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を60〜10モル%含有することを特徴とする[1]乃至[6]のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[8] 前記ポリカーボネート樹脂組成物100質量部に対して酸化防止剤を0.0001質量部以上5質量部以下含んでなることを特徴とする特徴とする[1]乃至[7]のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[9] 前記ポリカーボネート樹脂組成物100質量部に対して難燃剤を0.01質量部以上30質量部以下含んでなることを特徴とする[1]乃至[8]のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[10] 前記ポリカーボネート樹脂組成物100質量部に対してヒンダードアミン系光安定剤を0.01質量部以上30質量部以下含んでなることを特徴とする[1]乃至[9]のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[11] 前記ポリカーボネート樹脂が、環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物と、下記式(2)で表される炭酸ジエステルとの重縮合により得られることを特徴とする[1]乃至[10]のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[12] 前記ポリカーボネート樹脂組成物が、芳香族モノヒドロキシ化合物を700質量ppm以下含むことを特徴とする[1]乃至[11]のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[13] 前記ポリカーボネート樹脂組成物が、前記式(2)で表される炭酸ジエステルを60質量ppm以下含むことを特徴とする[1]乃至[12]のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[14] 前記ポリカーボネート樹脂の重合温度が250℃未満であることを特徴とする[1]乃至[13]のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[15] [1]乃至[14]のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなることを特徴とするポリカーボネート樹脂成形品。
[16] ポリカーボネート樹脂成形品が、射出成形法により成形されたものであることを特徴とする[15]に記載のポリカーボネート樹脂成形品。
本発明の樹脂組成物および成形品は、深みのある漆黒性を呈し、JIS K7105反射光法で測定したL*値がほぼ同等の組成物であっても、JIS Z8729に準拠して色調を測定した場合に、特段に低いL値を示し、特に深みのある漆黒性を有する。
(2)耐衝撃性
JIS K7111(2006年)に基づく、シャルピー衝撃試験により測定される(単位:kg−cm/cm2)、樹脂組成物の成形体のシャルピー衝撃試験結果が優れ、本発明の樹脂組成物の厚さ3mmの成形品の、JIS K7111で測定したシャルピー衝撃試験結果で、5kJ/m2以上の特に優れた結果を示す。
本発明における樹脂組成物の成形体の引っかき硬度は、JIS K5600−5−4(1999年)に準拠して評価するが、本発明の樹脂組成物の引っかき硬度は、従前知られた樹脂組成物より高い硬度を示す。
(4)難燃性
UL94規格の垂直燃焼試験の結果がV−2以上の好適な難燃性を示す。
滞留成形を1サイクル5分で行い、5ショット目以降の滞留成形品の表面にシルバーストリークによる肌荒れが無い。
このような樹脂組成物及び成形品は、製品に高級感、重厚感を持たせることができる幅広い分野に使用することが可能であり、電気・電子・OA機器の筐体や、自動車用内・外装部品、その他生活関連の外装部品等への適用が期待できる。
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造を有するポリカーボネートと、着色料を含有する樹脂組成物であって、(1)JIS K7105反射光法で測定したL*値が6以下の樹脂組成物である。
本発明に係る樹脂組成物のL*値は、JIS K7105に準じ測定したものであって、通常測定用の成形体を成形した上で、当該成形体のL*値を測定するが、既に成形体となっている場合は、その一部を切り出すなど、測定可能な状態として測定すればよく、その形状には制限されない。成形体を成形する方法に特に制限は無いが、例えば射出成形により平板状成形品(90mm×50mm×3mm厚)を作成し、日本電色工業社製SE2000型分光式色彩計(反射法)にて測定する方法があげられる。この場合の射出成形条件としては、樹脂組成物ペレットを、110℃で4時間以上乾燥した後、名機製作所製のM150AII−SJ型射出成形機を用いて、シリンダー温度270℃、金型温度80℃、成形サイクル55秒の条件で、成形品の表面粗さが、JIS B0601(2001年)で規定される輪郭曲線の最大高さRzで0.2μm以下、且つ輪郭曲線要素の平均長さRSmが25μm以下になるように成形することが好ましい。本発明の樹脂組成物の厚さ3mmの成形品の、JIS K7105反射光法で測定したL*値は、通常6以下、好ましくは5以下より好ましくは4以下、更に好ましくは3以下であって、特に好ましくは2以下である。
本発明の樹脂組成物の成形品を反射光で測定したL*値を6以下にするには、可視光領域において光学反射率が一定以下に低くなるよう各種着色剤を適宜含有させる。より具体的には、400nm以上800nm以下の波長領域において、最大反射率が、通常0.1%以上であり、通常5%以下、好ましくは3.5%以下、より好ましくは3%以下の範囲内となるように着色剤を含有させる。この際、最終的に400nm以上800nm以下の波長領域での最大反射率が上記範囲内となるように、着色剤の種類、量を組み合わせて使用する。使用する着色剤は、400nm以上800nm以下の波長領域において、最大反射率を低くするように選択する。本発明のポリカーボネート樹脂を含有する樹脂組成物は、このようにしてL*値を6以下にすることにより、鮮映性に優れたものとなり、意匠性に優れた漆黒性のある成形体が実現可能となる。着色剤としては、最大吸収波長の異なる複数の着色剤を組み合わせて用いても構わないが、着色剤の種類が多すぎたり、着色剤の量が多すぎたりすると着色剤による光の反射や散乱の影響が大きくなり、鮮映性が低下する場合がある。
無機顔料としては具体的には例えば、カーボンブラック;酸化チタン、亜鉛華、弁柄、酸化クロム、鉄黒、チタンイエロー、亜鉛−鉄系ブラウン、銅−クロム系ブラック、銅−鉄系ブラック等の酸化物系顔料等;が挙げられる。
本願の着色剤としては、550〜600nmの範囲に極大吸収波長を少なくとも有する着色剤、580〜680nmの範囲に極大吸収波長を少なくとも有する着色剤、および640〜690nmの範囲に極大吸収波長を少なくとも有する着色剤を用いることが好ましい。
33、Solvent Violet 49等が挙げられる。
580〜680nmの範囲に極大吸収波長を少なくとも有する着色剤としては、Solvent Blue 35、Solvent Blue 36、Solvent Blue 63、Solvent Blue 78、Solvent Blue 83、Solvent
Blue 87、Solvent Blue 94、Solvent Blue 97等が挙
げられる。
20、Solve nt Green 28等が挙げられる。
さらに、400〜460nmの範囲に極大吸収波長を少なくとも有する着色剤や、480〜550nmの範囲に極大吸収波長がを少なくとも有する着色剤を含んでも良い。
Yellow 33、Solvent Yellow 93、Solvent Yellow 104、Solvent Yellow 114、Solvent Yellow 157、Solvent Yellow 163、Solvent Yellow 167等が挙げられる。
ed 146、Solvent Red 149、Solvent Red 150、Sol
vent Red 151、Solvent Red 168、Solvent Red 179、Solvent Red 191、Solvent Red 207、Solvent
Red 227等が挙げられる。
これらの中でも、着色性、漆黒性、深み、清澄性の観点で、少なくともアンスラキノン系染料を用いるのが好ましい。
d 111、Solvent Red 149、Solvent Red 150、Solv
ent Red 151、Solvent Red 168、Solvent Red 191
、Solvent Red 207、Disperse Red 22、Disperse
Red 60、Disperse Violet 31、Solvent Blue 35、
Solvent Blue 36、Solvent Blue 63、Solvent Bl
ue 78、Solvent Blue 83、Solvent Blue 87、Solv
ent Blue 94、Solvent Blue 97、Solvent Green 3、Solvent Green20、Solve nt Green 28、Disperse Violet 28、SolventViolet 13、Solvent Violet 14、Solvent Violet 36等のカラーインデックスで市販されている
染料が挙げられる。
着色剤の種類が多すぎたり、着色剤の量が多すぎたりすると着色剤による光の反射や散乱の影響が大きくなり、ポリカーボネート樹脂組成物の鮮映性が低下する場合がある。したがって、ポリカーボネート樹脂組成物の鮮映性を高めるためには使用する着色剤の種類と量が少ない方が好ましい。高い鮮映性を得るために、着色剤の合計量は、ポリカーボネート樹脂組成物100質量部中、0.001質量部以上3質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.005質量部以上、更に好ましくは0.01質量部以上であり、好ましくは3質量部以下、より好ましくは2質量部以下、更に好ましくは1質量部以下である。
<ポリカーボネート樹脂>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に用いるポリカーボネート樹脂は、環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むものである。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂は、環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物(以下、「本発明のジヒドロキシ化合物」と称することがある。)を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを原料として、エステル交換反応により重縮合させて得られる。
これらのジヒドロキシ化合物のなかでも、耐熱性を高めるという観点から、下記式(3
)に代表される無水糖アルコール構造を有する化合物類、および下記式(4)、(5)に代表されるスピログリコール構造を有する化合物類が好ましく、特にはこれらのなかでも下記式(3)および下記式(4)に代表されるような複数の環構造を有するものが好ましい。
植物由来の資源として豊富に存在し、容易に入手可能な種々のデンプンから製造されるソルビトールを脱水縮合して得られるイソソルビドが、入手及び製造のし易さ、成形性、耐熱性、耐衝撃性、表面硬度、難燃性、熱滞留安定性カーボンニュートラルの面から最も好ましい。
その他のジヒドロキシ化合物としては、構造の一部に下記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物を用いることができる。
更に、その他のジヒドロキシ化合物として炭素数2から炭素数20の脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物も使用することができる。ここで、脂肪族炭化水素のなかには、直鎖脂肪族炭化水素、分岐脂肪族炭化水素、環状脂肪族炭化水素およびその複数を有する炭化水素があげられる。好ましくは、炭素数2から炭素数20の脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物が用いられ、より好ましくは炭素数2から炭素数12の脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物が用いられ、更に好ましくは炭素数2から炭素数8の脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物が用いられる。
ニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジクロロジフェニルエーテル、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ−2−メチル)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)フルオレン等の芳香族ビスフェノール類が挙げられる。
そして、その他のジヒドロキシ化合物のなかでも脂肪族ジヒドロキシ化合物を用いる場合は、全ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位に対する脂肪族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の割合は、10モル%以上であることが好ましく、より好ましくは20モル%以上、更に好ましくは30モル%以上、特に好ましくは40モル%以上であって、好ましくは60モル%以下、より好ましくは55モル%以下、特に好ましくは53モル%以下である。
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物と他の樹脂との相溶性を高めるという観点、特に他のポリカーボネート樹脂との相溶性を高めるという観点から、本発明のポリカーボネート樹脂のジヒドロキシ化合物に由来する全構造単位が、本発明のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位および脂肪族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位のみからなることが好ましい。この場合、本発明のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と脂肪族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位との比率は、モル比率で本発明のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位40〜90モル%に対して、脂肪族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位60〜10モル%であることが好ましい。
チルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等の塩基性アンモニウム化合物、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリン等のアミン系化合物が挙げられる。その中でも、その効果と後述する蒸留除去のしやすさから、ナトリウムまたはカリウムのリン酸塩、亜リン酸塩が好ましく、中でもリン酸水素2ナトリウム、亜リン酸水素2ナトリウムが好ましい。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂は、上述した本発明のジヒドロキシ化合物を含む
ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを原料として、エステル交換反応により重縮合させて得ることができる。
用いられる炭酸ジエステルとしては、通常、下記式(2)で表されるものが挙げられる。これらの炭酸ジエステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記式(2)で表される炭酸ジエステルとしては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネート類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びジ−t−ブチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類が例示されるが、好ましくはジフェニルカーボネート、置換ジフェニルカーボネートであり、特に好ましくはジフェニルカーボネートである。なお、炭酸ジエステルは、塩化物イオンなどの不純物を含む場合があり、重合反応を阻害したり、得られるポリカーボネート樹脂及びポリカーボネート樹脂組成物の色相に影響を及ぼしたりする場合があるため、必要に応じて、蒸留などにより精製したものを使用することが好ましい。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂の製造方法は特に限定されるものではないが、代表例としては、環状エーテル構造を有する本発明のジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と、上記式(2)で表される炭酸ジエステルとをエステル交換反応させてポリカーボネート樹脂を製造する方法が挙げられる。より詳細には、エステル交換反応触媒存在下でエステル交換反応により重縮合を行い、エステル交換反応の際に副生するモノヒドロキシ化合物等を系外に除去する方法が挙げられる。
また、1族金属化合物及び/又は2族金属化合物の形態としては通常、水酸化物、又は炭酸塩、カルボン酸塩、フェノール塩といった塩の形態で用いられるが、入手のし易さ、取扱いの容易さから、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩が好ましく、色相と重合活性の観点からは酢酸塩が好ましい。
トリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸セシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸セシウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素セシウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素カリウム、フェニル化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ素セシウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸セシウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、リン酸水素2セシウム、フェニルリン酸2ナトリウム、フェニルリン酸2カリウム、フェニルリン酸2リチウム、フェニルリン酸2セシウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウムのアルコレート、フェノレート、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2リチウム塩、2セシウム塩等が挙げられ、中でもリチウム化合物が好ましい。
塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
ン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリン等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂組成物中の金属量は、湿式灰化などの方法でポリカーボネート樹脂組成物中の金属を回収した後、原子発光、原子吸光、Inductively Coupled Plasma(ICP)等の方法を使用して測定することが出来る。
樹脂を製造する場合は、フェノール、置換フェノールが副生し、ポリカーボネート樹脂中に残存することは避けられないが、フェノール、置換フェノールも芳香環を有することから紫外線を吸収し、耐光性に影響を与える場合があるだけでなく、成型時の臭気の原因となる場合がある。ポリカーボネート樹脂中には、通常のバッチ反応後は1000質量ppm以上の、副生フェノール等の芳香環を有する芳香族モノヒドロキシ化合物が含まれているが、耐光性や臭気低減の観点からは、脱揮性能に優れた横型反応器や真空ベント付の押出機を用いて、ポリカーボネート樹脂中に好ましくは700質量ppm以下、更に好ましくは500質量ppm以下、特には300質量ppm以下にすることが好ましい。ただし、工業的に完全に除去することは困難であり、芳香族モノヒドロキシ化合物の含有量の下限は通常1質量ppmである。
なお、これら芳香族モノヒドロキシ化合物は、用いる原料により、当然置換基を有していてもよく、例えば、炭素数が5以下であるアルキル基などを有していてもよい。
以下、本発明に用いるポリカーボネート樹脂組成物を製造するための方法について詳述する。本発明に用いるポリカーボネート樹脂は、例えば、本発明のジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と前記式(2)の炭酸ジエステルとをエステル交換反応により重縮合させることによって得られるが、原料であるジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルは、エステル交換反応前に均一に混合することが好ましい。
このモル比率が小さくなると、製造されたポリカーボネート樹脂の末端水酸基が増加して、ポリマーの熱安定性に影響を与え、成型時に着色を招いたり、エステル交換反応の速度が低下したり、所望する高分子量体が得られ難い可能性がある。
更には、本発明に用いるジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物に対して、前記式(2)で表される炭酸ジエステルのモル比率が増大すると、得られるポリカーボネート樹脂中の残存炭酸ジエステル量が増加し、これらが紫外線を吸収してポリカーボネート樹脂及びポリカーボネート樹脂組成物の耐光性に影響を及ぼす可能性がある。本発明に用い
るポリカーボネート樹脂組成物に残存する炭酸ジエステルの濃度は、通常200質量ppm以下、好ましくは100質量ppm以下、より好ましくは60質量ppm以下、中でも30質量ppm以下が好適である。現実的にポリカーボネート樹脂組成物は未反応の炭酸ジエステルを含むことがあり、濃度の下限値は通常1質量ppmである。
重合初期においては、相対的に低温、低真空でプレポリマーを得、重合後期においては相対的に高温、高真空で所定の値まで分子量を上昇させることが好ましいが、各分子量段階でのジャケット温度と内温、反応系内の圧力を適切に選択することが色相や耐光性の観点から重要である。例えば、重合反応が所定の値に到達する前に温度、圧力のどちらか一方でも早く変化させすぎると、未反応のモノマーが留出し、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルのモル比を狂わせ、重合速度の低下を招いたり、所定の分子量や末端基を持つポリマーが得られなかったりして結果的に本願発明の目的を達成することができない可能性がある。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂は、触媒を用いて、複数の反応器を用いて多段階で重合させて製造することが好ましいが、重合を複数の反応器で実施する理由は、重合反応初期においては、反応液中に含まれるモノマーが多いために、必要な重合速度を維持しつつ、モノマーの揮散を抑制してやることが重要であり、重合反応後期においては、平衡を重合側にシフトさせるために、副生するモノヒドロキシ化合物を十分留去させることが重要になるためである。このように、異なった重合反応条件を設定するには、直列に配置された複数の重合反応器を用いることが、生産効率の観点から好ましい。
本発明において、反応器が2つ以上であれば、その反応器中で、更に条件の異なる反応段階を複数持たせる、連続的に温度・圧力を変えていくなどしてもよい。
重合反応の温度は、低すぎると生産性の低下や製品への熱履歴の増大を招き、高すぎるとモノマーの揮散を招くだけでなく、ポリカーボネート樹脂及びポリカーボネート樹脂組成物の分解や着色を助長する可能性がある。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂は、上述の通り重縮合後、通常、冷却固化させ、回転式カッター等でペレット化される。
ペレット化の方法は限定されるものではないが、最終重合反応器から溶融状態で抜き出し、ストランドの形態で冷却固化させてペレット化させる方法、最終重合反応器から溶融状態で一軸または二軸の押出機に樹脂を供給し、溶融押出しした後、冷却固化させてペレット化させる方法、又は、最終重合反応器から溶融状態で抜き出し、ストランドの形態で冷却固化させて一旦ペレット化させた後に、再度一軸または二軸の押出機に樹脂を供給し、溶融押出しした後、冷却固化させてペレット化させる方法等が挙げられる。
押出機中の、溶融混練温度は、ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度や分子量に依存するが、通常150℃以上、好ましくは200℃以上、より好ましくは230℃以上であり、通常300℃以下、好ましくは270℃以下、より好ましくは260℃以下である。溶融混練温度が150℃より低いと、ポリカーボネート樹脂の溶融粘度が高く、押出機への負荷が大きくなり、生産性が低下する。300℃より高いと、ポリカーボネートの熱劣化が激しくなり、分子量の低下による機械的強度の低下や着色、ガスの発生を招く。
好ましくはJISB 9920(2002年)に定義されるクラス7、更に好ましくはクラス6より清浄度の高いクリーンルーム中で実施することが望ましい。
また、押出されたポリカーボネート樹脂を冷却しチップ化する際は、空冷、水冷等の冷却方法を使用するのが好ましい。空冷の際に使用する空気は、ヘパフィルター等で空気中の異物を事前に取り除いた空気を使用し、空気中の異物の再付着を防ぐのが望ましい。水冷を使用する際は、イオン交換樹脂等で水中の金属分を取り除き、さらにフィルターにて、水中の異物を取り除いた水を使用することが望ましい。用いるフィルターの目開きは、99%除去の濾過精度として10μm〜0.45μmであることが好ましい。
ポリカーボネート樹脂の還元粘度が低すぎると成形品の機械的強度が小さい可能性があり、大きすぎると、成形する際の流動性が低下し、生産性や成形性を低下させる傾向がある。
更に本発明に用いるポリカーボネート樹脂中の下記式(6)で表される末端基の濃度の下限量は、通常20μeq/g以上、好ましくは40μeq/g以上、より好ましくは50μeq/g以上であり、上限は通常160μeq/g以下、好ましくは140μeq/g以下、より好ましくは100μeq/g以下である。
下記式(6)で表される末端基の濃度を制御するには、原料である本発明のジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と前記式(2)で表される炭酸ジエステルのモル比率を制御する他、エステル交換反応時の触媒の種類や量、重合圧力や重合温度を制御する方法等が挙げられる。
樹脂を製造した場合は重合反応終了時;さらに、重合法に関わらず、ポリカーボネート樹脂と他の配合剤との混練途中等のポリカーボネート樹脂が溶融した状態;押出機等を用い、ペレットまたは粉末等の固体状態のポリカーボネート樹脂とブレンド・混練する際等が挙げられる。含有方法としては、ポリカーボネート樹脂に前記着色剤を直接混合または混練する方法;少量のポリカーボネート樹脂または他の樹脂等と前記着色剤を用いて作成した高濃度のマスターバッチとして混合することもできるが、漆黒性、鮮映性の観点では、直接混合または混錬する方法がより好ましい。
本発明の樹脂組成物には、耐衝撃性の改良や表面硬度の改良などのために、本発明のポリカーボネート樹脂以外のその他の樹脂を含有していても構わない。その他の樹脂に特に制限は無いが、高い漆黒性と鮮映性を維持するために、本発明のポリカーボネート樹脂と完全な相溶性を有する樹脂が好ましく、なかでも各種のポリカーボネート樹脂が好ましい。更に各種のポリカーボネート樹脂の中でも、本発明のポリカーボネート樹脂と屈折率が近いものが好ましい。
耐衝撃性は本発明においてはシャルピー衝撃試験により評価する。シャルピー衝撃試験の結果は、樹脂組成物成形体の粘り強さ(靭性)を示すもので、より高い値を示す樹脂組成物は脆性破壊しにくい。本発明の樹脂組成物は、表面硬度の高いアクリルなどの樹脂に比べて高い値を示す。更に本発明の樹脂組成物に、一般に知られる、ポリカーボネート樹脂のようなβ分散を有する樹脂を含有させ、当該β分散を有する樹脂の分子量を高分子量化したり、本発明の樹脂組成物に、衝撃改良剤(グラフトゴム、エラストマー)や充填剤(強化繊維等)を添加したりすることで、より高いシャルピー衝撃強度を達成することが出来る。しかしながら、衝撃改良剤や充填剤(強化繊維等)を添加したりすると、成形体表面の鮮映性が損なわれたりする場合があるため、ポリカーボネート樹脂のようなβ分散を有する樹脂を含有させることが好ましい。また、β分散を有する樹脂の分子量を高分子量化しようとすると、高分子量化に伴う反応の長時間化や高温化により樹脂の色相が影響を受けたりすることがあり、成形体のL*値を上昇させる場合があるので、好ましくない。
本発明の樹脂組成物には、更に酸化防止剤を含んでも良い。酸化防止剤としては樹脂に使用される一般的な酸化防止剤が種々使用できるが、酸化安定性、熱安定性、漆黒性等の観点から、ホスファイト系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、およびフェノール系酸化防止剤が好ましい。
前記含有量が過度に少ないと、成形時の着色抑制効果が不十分になることがある。また、前記含有量が過度に多いと、射出成形時における金型への付着物が多くなったり、押出成形によりフィルムを成形する際にロールへの付着物が多くなったりすることにより、製品の表面外観に影響が生じる可能性がある。
ホスファイト系酸化防止剤としては、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、
ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
前記含有量が過度に少ないと、成形時の着色抑制効果が不十分になることがある。また、前記含有量が過度に多いと、射出成形時における金型への付着物が多くなったり、押出成形によりフィルムを成形する際にロールへの付着物が多くなったりすることにより、製品の表面外観に影響が生じる可能性がある。
イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ラウリルステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ビス[2−メチル−4−(3−ラウリルチオプロピオニルオキシ)−5−tert−ブチルフェニル]スルフィド、オクタデシルジスルフィド、メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプト−6−メチルベンズイミダゾール、1,1’−チオビス(2−ナフトール)などをあげることができる。上記のうち、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)が好ましい。
前記含有量が過度に少ないと、成形時の着色抑制効果が不十分になることがある。また、前記含有量が過度に多いと、射出成形時における金型への付着物が多くなったり、押出成形によりフィルムを成形する際にロールへの付着物が多くなったりすることにより、製品の表面外観が損なわれるおそれがある。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物はホスファイト系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤をそれぞれ単独で含有しても着色抑制の効果の発現は乏しく、双方含有することで、成形時の着色抑制に多大な効果を発揮する可能性がある。
フェノール系酸化防止剤としては、例えばペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、グリセロール−3−ステアリルチオプロピオネート、トリエチレングリコール
−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等の化合物が挙げられる。
前記含有量が過度に少ないと、成形時の着色抑制効果が不十分になることがある。また、前記含有量が過度に多いと、射出成形時における金型への付着物が多くなったり、押出成形によりフィルムを成形する際にロールへの付着物が多くなったりすることにより、製品の表面外観に影響が生じる可能性がある。
また、本発明で使用するポリカーボネート樹脂に難燃剤を配合したポリカーボネート樹脂組成物が調製される。難燃剤の配合量は、難燃剤の種類や難燃性の程度に応じて選択される。本実施の形態では、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、難燃剤が通常0.01質量部以上、好ましくは0.02質量部以上であり、通常30質量部以下、好ましくは25質量部以下の範囲である。難燃剤を配合することにより、難燃性に優れたポリカーボネート樹脂組成物が得られる。
燐含有化合物系難燃剤としては、例えば、燐酸エステル系化合物、ホスファゼン系化合物、赤燐、被覆された赤燐、ポリ燐酸塩系化合物等が挙げられる。燐含有化合物系難燃剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、好ましくは0.1質量部〜20質量部である。配合量が過度に少ないと十分な難燃性が得られにくく、過度に多いと耐熱性が低下しやすい。
スルホン酸金属塩系難燃剤としては、例えば、脂肪族スルホン酸金属塩、芳香族スルホン酸金属塩、パーフルオロアルカン−スルホン酸金属塩等が挙げられる。これら金属塩の金属としては、好ましくは、周期表1族の金属、周期表2族の金属等が挙げられる。具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属;カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属;ベリリウム、マグネシウムである。
芳香族スルホンスルホン酸金属塩としては、芳香族スルホンスルホン酸アルカリ金属塩、芳香族スルホンスルホン酸アルカリ土類金属塩が好ましい。これらは重合体であってもよい。芳香族スルホンスルホン酸金属塩の具体例としては、例えば、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸のナトリウム塩、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸のカリウム塩、4,4’−ジブロモジフェニル−スルホン−3−スルホン酸のナトリウム塩、4,4’−ジブロモジフェニル−スルホン−3−スルホンのカリウム塩、4−クロロー4’−ニトロジフェニルスルホン−3−スルホン酸のカルシウム塩、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸のジナトリウム塩、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸のジカリウム塩等が挙げられる。
珪素含有化合物系難燃剤としては、例えば、シリコーンワニス、ケイ素原子と結合する置換基が芳香族炭化水素基と炭素数2以上の脂肪族炭化水素基とからなるシリコーン樹脂、主鎖が分岐構造でかつ含有する有機官能基中に芳香族基を持つシリコーン化合物、シリ
カ粉末の表面に官能基を有していてもよいポリジオルガノシロキサン重合体を担持させたシリコーン粉末、オルガノポリシロキサン−ポリカーボネート共重合体等が挙げられる。これらの中で、シリコーンワニスが好ましい。
珪素含有化合物系難燃剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂組成物100質量部に対し、好ましくは0.1〜10質量部である。珪素含有化合物系難燃剤の配合量が過度に少ないと十分な難燃性が得られにくく、過度に多いと耐熱性が低下しやすい。
引っかき硬度を高めるために、滑剤を添加し樹脂の表面抵抗を低減する方法もすることも可能であるが、滑剤を添加すると、成形体表面の鮮映性が損なわれる場合があるため、本発明の環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂と、着色剤とを含むポリカーボネート樹脂組成物においては、必要最小限度に留めるべきである。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物から樹脂成形品を製造する方法は、特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂について一般に採用されている成形法、すなわち一般的な射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシストなどの中空成形法、断熱金型を用いた成形法、急速加熱金型を用いた成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法等を採用することができる。また、ホットランナー方式を用いた成形法を選択することもできる。
ポリカーボネート樹脂組成物の物性ないし特性の評価は次の方法により行った。
(1)ポリカーボネート組成物樹脂中の金属濃度の測定:
パーキンエルマー社製マイクロウェーブ分解容器にポリカーボネート樹脂組成物のペレット約0.5gを精秤し、97%硫酸2mLを加え、密閉状態にして230℃で10分間マイクロウェーブ加熱した。室温まで冷却後、68%硝酸1.5mLを加えて、密閉状態にして150℃で10分間マイクロウェーブ加熱した後、再度室温まで冷却を行い、68%硝酸2.5mLを加え、再び密閉状態にして230℃で10分間マイクロウェーブ加熱し、内容物を完全に分解させた。室温まで冷却後、上記で得られた液を純水で希釈し、サーモクエスト社製ICP−MSで金属濃度を測定した。
ポリカーボネート樹脂組成物中の各ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位比は、ポリカーボネート樹脂組成物30mgを秤取し、重クロロホルム約0.7mLに溶解し、溶液とし、これを内径5mmのNMR用チューブに入れ、日本電子社製JNM−AL400(共鳴周波数400MHz)を用いて常温で1H−NMRスペクトルを測定した。各ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位に基づくシグナル強度比より各ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位比を求めた。末端フェニル基濃度は、1,1,2,2−テトラブロモエタンを内標として、上記と同様に1H−NMRを測定し、内標と末端フェニル基に基づくシグナル強度比より求めた。
ポリカーボネート樹脂組成物のサンプルを、溶媒として塩化メチレンを用いて溶解し、0.6g/dLの濃度のポリカーボネート溶液を調製した。森友理化工業社製ウベローデ型粘度管を用いて、温度20.0℃±0.1℃で測定を行い、溶媒の通過時間t0と溶液の通過時間tから次式より相対粘度ηrelを求め、
ηrel=t/t0
相対粘度から次式より比粘度ηspを求めた。
比粘度を濃度c(g/dL)で割って、還元粘度ηsp/cを求めた。この値が高いほど分子量が大きい。
(4)ポリカーボネート樹脂組成物中のフェノール濃度、DPC(ジフェニルカーボネート)濃度の測定
ポリカーボネート樹脂組成物の試料1.25gを塩化メチレン7mlに溶解し、溶液とした後、総量が25mlになるようにアセトンを添加して再沈殿処理を行った。次いで、該処理液を0.2μmディスクフィルターでろ過して、液体クロマトグラフィーにて定量を行った。
内部標準物質としてテトラメチルシラン(TMS)をあらかじめ添加混合した重クロロホルムのみのスペクトルを測定し、TMSと重クロロホルム中に含まれる残存Hのシグナル比を求めた。次に、ポリカーボネート樹脂組成物30mgを秤取し、前記重クロロホルム約0.7mLに溶解させた。これを内径5mmのNMR用チューブに入れ、日本電子社製JNM−AL400(共鳴周波数400MHz)を用いて常温で1H−NMRスペクトルを測定した。得られたNMRチャートの6.5ppm〜8.0ppmに現れるシグナルの積分値から、重クロロホルム中に含まれる残存Hのシグナルの積分値(TMSのシグナルの積分値および前記で予め求めたTMSと重クロロホルム中に含まれる残存Hとの比から求める)を差し引いた値をaとする。一方、0.5ppm〜6.5ppmに現れるシグナルの積分値をbとすると、a/(a+b)=A/(A+B)となるので、これを求めた。
樹脂組成物ペレットを、110℃で4時間以上乾燥した後、名機製作所製のM150AII−SJ型射出成形機を用いて、シリンダー温度270℃、金型温度80℃、成形サイクル55秒の条件で、ASTM試験片及び平板状成形品(90mm×50mm×3mm厚)を作成した。該成形品のL*値を、JIS K7105に準じ、平板状成形品(90mm×50mm×3mm厚)を使用し、日本電色工業社製SE2000型分光式色彩計(反射法)にて測定した。この値が小さいほど黒色性が高いと言える。
JIS Z8729による樹脂組成物のL*値は、JIS K7105によるL*値を測定する際と同様の方法で成形品を作成し、JIS Z8729に準拠し、平板状成形品(90mm×50mm×3mm厚)を使用し、倉敷紡績社製分光色差計COLOR−7xにて測定した。計算色差式はCIE1976L*a*b*を用いた。この値が小さいほど黒色性が高いと言える。
樹脂組成物の反射率は、JIS K7105によるL*値を測定する際と同様の方法で成形品を作成し、JIS Z−8729に準拠し、平板状成形品(90mm×50mm×3mm厚)を使用し、倉敷紡績社製分光色差計COLOR−7xにて測定した。反射率は、波長400nmから700nmの10nm毎に測定し、平均値を求め反射率とした。
スガ試験機社製メタリングウェザーメーターM6Tを用いて、63℃、相対湿度50%の条件下、光源として水平式メタリングランプを、インナーフィルターとして石英を、またランプの周囲にアウターフィルターとして#500のフィルターを取り付け、波長300nm〜400nmの放射照度1.5kw/m2になるように設定し、得られた射出成形板(幅60mm×長さ60mm×厚さ3mm)の正方形の面に対して、100時間照射処理を行った。樹脂組成物の反射率は、JIS Z8729に準拠し、平板状成形品(90mm×50mm×3mm厚)を使用し、倉敷紡績社製分光色差計COLOR−7xにて測
定した。反射率は、波長400nmから700nmの10nm毎に測定し、平均値を求めた。試験前後の反射率の差は、試験後の反射率から試験前の反射率を引いて求めた。
シャルピー衝撃試験結果
樹脂組成物の成形体のシャルピー衝撃試験結果は、JIS K−7111に基づく、シャルピー衝撃試験により測定した(単位:kg−cm/cm2)。
(10)表面硬度
樹脂組成物の成形体の引っかき硬度は、JIS K5600−5−4に準拠して評価した。
樹脂組成物の漆黒性は、上記で作製した平板状成形品(90mm×50mm×3mm厚)の外観を目視にて観察し、くすみや濁りが観察されないものを○とし、くすみや濁りが僅かに観察されるものを△、明らかなくすみや濁りが観察されるものを×と判定した。この目視観察の漆黒性は、JIS Z8729によるL*値と高い相関関係を示した。
樹脂組成物の鮮映性は、上記で作製した平板状成形品(90mm×50mm×3mm厚)の表面外観を目視にて観察し、蛍光灯下で塗膜表面に蛍光灯管を映し出し、凹凸が見つけられなくかつ蛍光灯管が真直ぐに映し出されたものを○とし、著しい凹凸が見受けられたり、蛍光灯管が歪んで映されたりするものを×と判定した。
二軸押出機で混練したペレットを、80℃で4時間予備乾燥し、日本製鋼所製J75EII型射出成形機で、シリンダー温度230℃、成形サイクル45秒、金型温度60℃の条件で、UL94規格に準じて1.5mmtの燃焼試験片を成形した。得られた試験片にて、UL94規格の垂直燃焼試験を行って評価した。
上記で作製した平板状成形品(90mm×50mm×3mm厚)の表面外観を目視にて観察し、シルバーストリークによる肌荒れのないものを○、シルバーストリークによる肌荒れの若干あるものを△として評価した。
なお、以下の実施例の記載の中で用いた化合物の略号は次の通りである。
ISB:イソソルビド(ロケットフルーレ社製、商品名POLYSORB)
CHDM:1,4−シクロヘキサンジメタノール(イーストマン社製)
DPC:ジフェニルカーボネート(三菱化学社製)
撹拌翼および100℃に制御された還流冷却器を具備した重合反応装置に、ISBとCHDM、蒸留精製して塩化物イオン濃度を10ppb以下にしたDPCおよび酢酸カルシウム1水和物を、モル比率でISB/CHDM/DPC/酢酸カルシウム1水和物=0.70/0.30/1.00/1.3×10−6になるように仕込み、十分に窒素置換した(酸素濃度0.0005体積%〜0.001体積%)。続いて熱媒で加温を行い、内温が100℃になった時点で撹拌を開始し、内温が100℃になるように制御しながら内容物を融解させ均一にした。その後、昇温を開始し、40分で内温を210℃にし、内温が215℃に到達した時点でこの温度を保持するように制御すると同時に、減圧を開始し、215℃に到達してから90分で13.3kPa(絶対圧力、以下同様)にして、この圧力を保持するようにしながら、さらに60分間保持した。重合反応とともに副生するフェノール蒸気は、還流冷却器への入口温度として100℃に制御された蒸気を冷媒として用いた
還流冷却器に導き、フェノール蒸気中に若干量含まれるモノマー成分を重合反応器に戻し、凝縮しないフェノール蒸気は続いて45℃の温水を冷媒として用いた凝縮器に導いて回収した。
冷却固化させた後、回転式カッターでペレット化した。この際、ベント口は真空ポンプに連結し、ベント口での圧力が500Paになるように制御した。その結果、黄色度が小さく、明度に優れ、色調の良いポリカーボネート樹脂が得られ、耐光性も良好であった。
Ca濃度;1.3μmol/ジヒドロキシ化合物
Cs濃度;測定限界未満
Na、K、Cs濃度;0.6質量ppm
Li濃度;測定限界未満
フェノール;205質量ppm
炭酸ジエステル;26質量ppm
末端フェニル基;75μeq/g
還元粘度;0.48dL/g
A/(A+B);0.007mol/mol
Violet3R(カラーインデックスNo.Solvent Violet 36);0.1質量部、三菱化学株式会社製Diaregin Blue H3G;0.01質量部、有本化学工業株式会社製Oil Green 5602(カラーインデックスNo.Solvent Green 3);0.1質量部(以上、アンスラキノン系染料)、ランクセス株式会社製Macrolex Yellow 6G(カラーインデックスNo.Solvent Yellow 179);0.05質量部(メチン系染料)、酸化防止剤として、BASFジャパン株式会社製 イルガノックス1010;0.1質量部、BASFジャパン株式会社製 イルガフォス168;0.05質量部、難燃剤として、大八化学工業株式会社製PX−200;8質量部を、タンブラーミキサーで均一に混合した後、二軸押出機(日本製鋼所製、TEX30XCT、L/D=42、バレル数12)を用いて、シリンダー温度270℃、スクリュー回転数200rpmにてバレル1より押出機にフィードし溶融混練することにより樹脂組成物のペレットを作製した。
上記の方法で得られたペレットを、110℃で4時間以上乾燥した後、名機製作所製のM150AII−SJ型射出成形機を用いて、シリンダー温度270℃、金型温度80℃、成形サイクル55秒の条件で、ASTM試験片及び平板状成形品(90mm×50mm×3mm厚)を作成した。
実施例1で得られた樹脂組成物の成形体は、表1に示すように、漆黒性、鮮映性、耐衝撃性、表面硬度、熱滞留安定性を兼ね備えたものであった。
芳香族ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、ノバレックス7022J)に対して、実施例1と同様に、アンスラキノン系染料、メチン系染料、酸化防止剤、難燃剤を混合し、樹脂組成物とした。さらに、実施例と同じ条件で成形品を作成し、その評価結果を表1に示した。
ポリメタクリル酸メチル樹脂(三菱レイヨン株式会社製、アクリペットMD001、以下PMMA樹脂)に対して、実施例1と同様に、アンスラキノン系染料、メチン系染料、酸化防止剤、難燃剤を混合し、樹脂組成物とした。さらに、実施例と同じ条件で成形品を作成し、その評価結果を表1に示した。
アクリロニトリルブタジェンスチレン共重合樹脂(テクノポリマー株式会社製、テクノABS150、以下ABS樹脂)に対して、実施例1と同様に、アンスラキノン系染料、メチン系染料、酸化防止剤、難燃剤を混合し、樹脂組成物とした。さらに、実施例と同じ条件で成形品を作成し、その評価結果を表1に示した。
実施例1で得られたポリカーボネート樹脂を用い、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、着色剤として;ランクセス株式会社製Macrolex Violet3R(カラーインデックスNo.Solvent Violet 36);0.01質量部、ランクセス社製Macrolex Red E2G(カラーインデックスNo.Solvent Red 179);0.01質量部、有本化学工業株式会社製Oil Green 5602(カラーインデックスNo.Solvent Green 3);0.04質量部、ランクセス株式会社製Macrolex Blue RR(カラーインデックスNo.Solvent Blue 97);0.04質量部、酸化防止剤として、株式会社ADEKA製 アデカスタブAO−60;0.1質量部、株式会社ADEKA製 アデカスタブ2112;0.05質量部を、タンブラーミキサーで均一に混合した後、単軸押出機を用いて、シリンダー温度240℃で溶融混練することにより樹脂組成物のペレットを作製した。
作製したペレットを用い、ポリカーボネート樹脂組成物の成形品を作製した。
実施例3で得られた樹脂組成物の成形体は、表1に示すように、漆黒性、鮮映性、耐衝撃性、表面硬度、熱滞留安定性を兼ね備えたものであった。
実施例3において、着色剤として;ランクセス株式会社製Macrolex Violet3R(カラーインデックスNo.Solvent Violet 36);0.01質量部、ランクセス社製Macrolex Red E2G(カラーインデックスNo.Solvent Red 179);0.03質量部、有本化学工業株式会社製Oil Green 5602(カラーインデックスNo.Solvent Green 3);0.05質量部、ランクセス株式会社製Macrolex Blue RR(カラーインデックスNo.Solvent Blue 97);0.01質量部、とした以外は、実施例3と同様に行い、ペレットを得た。
実施例2で得られた樹脂組成物の成形体は、表1に示すように、漆黒性、鮮映性、耐衝撃性、表面硬度、熱滞留安定性を兼ね備えたものであった。
ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製、ノバレックス7022A)100質量部に対して、着色剤として;ランクセス株式会社製Macrolex Violet3R(カラーインデックスNo.Solvent Violet 36);0.01質量部、ランクセス社製Macrolex Red E2G(カラーインデックスNo.Solvent Red 179);0.01質量部、有本化学工業株式会社製Oil Green 5602(カラーインデックスNo.Solvent Green 3);0.04質量部、ランクセス株式会社製Macrolex Blue RR(カラーインデックスNo.Solvent Blue 97);0.04質量部、酸化防止剤として、株式会社ADEKA製 アデカスタブAO−60;0.1質量部、株式会社ADEKA製 アデカスタブ2112;0.05質量部を、タンブラーミキサーで均一に混合した後、単軸押出機を用いて、シリンダー温度290℃で溶融混練することにより樹脂組成物のペレットを作製した。
上記の方法で得られたペレットを、110℃で4時間以上乾燥した後、名機製作所製のM150AII−SJ型射出成形機を用いて、シリンダー温度290℃、金型温度80℃、成形サイクル55秒の条件で、ASTM試験片及び平板状成形品(90mm×50mm×3mm厚)を作製した。
比較例5において、着色剤として;ランクセス株式会社製Macrolex Violet3R(カラーインデックスNo.Solvent Violet 36);0.01
質量部、ランクセス社製Macrolex Red E2G(カラーインデックスNo.Solvent Red 179);0.03質量部、有本化学工業株式会社製Oil Green 5602(カラーインデックスNo.Solvent Green 3);0.05質量部、ランクセス株式会社製Macrolex Blue RR(カラーインデックスNo.Solvent Blue 97);0.01質量部、とした以外は、実施例2と同様に行い、ペレットを得た。
上記のペレットを、実施例3と同様に行い、ASTM試験片及び平板状成形品(90mm×50mm×3mm厚)を作製した。
実施例1で得られたポリカーボネート樹脂を用い、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、着色剤として;カラーインデックスNo.Pigment White 6);0.015質量部、カラーインデックスNo.Pigment Red 101 0.012質量部、カラーインデックスNo.Pigment Brown 24;0.005
質量部、カラーインデックスNo.Pigment Blue 29;0.02質量部、カラーインデックスNo.Pigment Black 7 0.12質量部、酸化防止剤として、株式会社ADEKA製 アデカスタブAO−60;0.1質量部、株式会社ADEKA製 アデカスタブ2112;0.05質量部を、ヒンダードアミン系光安定剤として、BASFジャパン株式会社製チヌビン770DF 0.05質量部をタンブラーミキサーで均一に混合した後、単軸押出機を用いて、シリンダー温度240℃で溶融混練することにより樹脂組成物のペレットを作製した。
作製したペレットを用い、ポリカーボネート樹脂組成物の成形品を作製した。
表1から明らかな通り、本発明の樹脂組成物および成形品は、漆黒性、鮮映性に優れ、同時に耐衝撃性、高い表面硬度による耐傷性、難燃性、熱滞留安定性も兼ね備えるもので、具体的には、樹脂組成物の射出成形品(シリンダー温度280℃、金型温度80℃、成形サイクル55秒、90mm×50mm×3mm厚)を目視観察したときに、
i)くすみや濁りの無い深みのある漆黒性を呈し、
ii)蛍光灯下で塗膜表面に蛍光灯管を映し出し、凹凸が見つけられなくかつ蛍光灯管が真直ぐに映し出され、
iii)シャルピー衝撃強度が10kJ/m以上で、
iv)表面硬度がH以上で
v)UL94規格の垂直燃焼試験の結果がV−2以上で、
iv)滞留成形を1サイクル5分で行い、5ショット目以降の滞留成形品の表面にシルバーストリークによる肌荒れが無い。
の各特性を同時に満たす樹脂組成物及び成形品を提供することを見出したものであることがわかる。
Claims (15)
- 前記ポリカーボネート樹脂組成物中に含有する、前記着色剤の含有量が、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、0.001質量部以上3質量部以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記着色剤が、550〜600nmに極大吸収波長を有する着色剤、580〜680nmに極大吸収波長を有する着色剤、および640〜690nmに極大吸収波長を有する着色剤を少なくとも含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記着色剤が有機染料であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記ポリカーボネート樹脂が、全ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位に対して、式(3)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を40〜90モル%、炭素数2以上20以下の脂肪族炭化水素のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を60〜10モル%含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記ポリカーボネート樹脂組成物100質量部に対して酸化防止剤を0.0001質量部以上5質量部以下含んでなることを特徴とする特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記ポリカーボネート樹脂組成物100質量部に対して難燃剤を0.01質量部以上30質量部以下含んでなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記ポリカーボネート樹脂組成物100質量部に対してヒンダードアミン系光安定剤を0.01質量部以上30質量部以下含んでなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記ポリカーボネート樹脂組成物中のリチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムの合計量が金属量として、1質量ppm以下であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記ポリカーボネート樹脂組成物が、リチウム及び長周期型周期表第2族の金属からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含み、前記リチウム及び長周期型周期表第2族の金属からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属の合計量が、金属量として20質量ppm以下含有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記ポリカーボネート樹脂組成物が、芳香族モノヒドロキシ化合物を700質量ppm以下含むことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記ポリカーボネート樹脂中の芳香環に結合したHのモル数を(A)、芳香環以外に結合したHのモル数を(B)とした場合、芳香環に結合したHのモル数の全Hのモル数に対する比率(A/(A+B))が0.1以下であることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1乃至14のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物からなるポリカーボネート樹脂成形品。
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