JP6913438B2 - ポリカーボネート樹脂フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
但し、一般的に偏光子保護フィルムに用いられるセルロースエステルフィルムは吸水性が高く、大型テレビに用いた場合に耐久性が不足するという問題がある。また、アクリル系樹脂を用いた偏光板保護フィルムも提案されているが(例えば、特許文献7参照)、脆さがあるため取扱い時に破断したりすることがあり、薄膜化が困難であった。
吸収剤のブリードアウトによるフィルム外観の劣化、該ブリードアウトによる製膜機のロール汚れ、フィルム異物の増加、ギアマークなどの外観の不良の課題がある。また、製膜時の劣化による機械的強度の低下の課題もある。
[1]下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂組成物からなる、波長380nmの光線透過率が1.0%以下、589nmでの厚み位相差(Rth(589))が20nm以下、589nmでの面内位相差(R0(589))が20nm以下、および厚みが50μm〜120μmであるフィルムを、押出機および押し出されたフィルムを搬送するロールを用いて製造する方法であって、該押出機の有するバレルの設定温度が230℃以上270℃未満、ロールの温度が90℃以上140℃未満である、ポリカーボネート樹脂フィルムの製造方法。
[3]前記紫外線吸収剤がトリアジン系、ベンゾトリアゾール系、キノリノン系、およびインドール系から選ばれる少なくとも1種である、[2]に記載のポリカーボネート樹脂フィルムの製造方法。
[4]前記バレルの設定温度が240℃以上である、[1]乃至[3]の何れか1つに記載のポリカーボネート樹脂フィルムの製造方法。
[5]前記ロールの温度が135℃未満である、[1]乃至[4]の何れか1つに記載のポリカーボネート樹脂フィルムの製造方法。
に限定されない。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂は、以下の通り、下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂である。本発明で用いるポリカーボネート樹脂は、以下に示す通り、下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを原料にして得られる。
(ジヒドロキシ化合物)
本発明のポリカーボネート樹脂は、下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂である。
(上記式(5)中、R5は炭素数4〜20の置換若しくは無置換のシクロアルキレン基を示す。)
HO−CH2−R6−CH2−OH (6)
(上記式(6)中、R6は炭素数4〜20の置換若しくは無置換のシクロアルキレン基を示す。)
H−(O−R7)p−OH (7)
(上記式(7)中、R7は炭素数2〜10の置換若しくは無置換のアルキレン基を示し、pは2〜100の整数である。)
HO−R8−OH (8)
(上記式(8)中、R8は炭素数2〜20の置換若しくは無置換のアルキレン基を示す。)
なお、以下において、各種の基の炭素数は、当該基が置換基を有する場合、その置換基の炭素数をも含めた合計の炭素数を意味する。
本発明におけるポリカーボネート樹脂は、上記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むものである。
上記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物としては、例えば、立体異性体の関係にあるイソソルビド、イソマンニド、イソイデット等の無水糖アルコールが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのジヒドロキシ化合物のうち、資源として豊富に存在し、容易に入手可能な種々のデンプンから製造されるソルビトールを脱水縮合して得られるイソソルビドが、入手及び製造のし易さ、光学特性、成形性の面から最も好ましい。
ポリカーボネート樹脂が、上記(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位以外の構造単位を同時に含む場合、その比率は特に限定されず、ポリカーボネート樹脂の要求性能に応じて、適宜設定すればよい。
本発明において、ポリカーボネート樹脂は、必要に応じて、上記式(4)で表されるジヒドロキシ化合物、下記式(5)で表されるジヒドロキシ化合物、下記式(6)で表されるジヒドロキシ化合物、下記式(7)で表されるジヒドロキシ化合物および下記式(8)で表されるジヒドロキシ化合物よりなる群から選ばれた一種以上のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むことができる。
上記式(4)で表されるジヒドロキシ化合物は、分子内に環状エーテル構造を有するものであって、スピログリコールと呼ばれる化合物である。
前記式(5)で表されるジヒドロキシ化合物は、R5に炭素数4〜20、好ましくは炭素数4〜18の置換若しくは無置換のシクロアルキレン基を有する脂環式ジヒドロキシ化合物である。ここで、R5が置換基を有する場合、当該置換基としては、炭素数1〜12の置換若しくは無置換のアルキル基が挙げられる。該アルキル基が置換基を有する場合、当該置換基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基等が挙げられる。
R5のシクロアルキレン基としては、環構造を有する炭化水素基であれば特に制限は無く、橋頭炭素原子を有するような橋かけ構造であっても構わない。ジヒドロキシ化合物の製造が容易で不純物量を少なくすることができるという観点から、前記式(5)で表されるジヒドロキシ化合物は、5員環構造又は6員環構造を含む化合物、即ち、R5が置換若しくは無置換のシクロペンチレン基又は置換若しくは無置換のシクロへキシレン基であるジヒドロキシ化合物が好ましい。このようなジヒドロキシ化合物であれば、5員環構造又は6員環構造を含むことにより、得られるポリカーボネート樹脂の耐熱性を高くすることができる。該6員環構造は共有結合によって椅子形もしくは舟形に固定されていてもよい。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記式(6)で表されるジヒドロキシ化合物は、R6に炭素数4〜20、好ましくは炭素数3〜18の置換若しくは無置換のシクロアルキレン基を有する脂環式ジヒドロキシ化合物である。ここで、R6が置換基を有する場合、当該置換基としては、炭素数1〜12の置換若しくは無置換のアルキル基が挙げられ、該アルキル基が置換基を有する場合、当該置換基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基等が挙げられる。
R6のシクロアルキレン基としては、環構造を有する炭化水素基であれば特に制限は無く、橋頭炭素原子を有するような橋かけ構造であっても構わない。ジヒドロキシ化合物の製造が容易で不純物量を少なくすることができるという観点から、前記式(6)で表されるジヒドロキシ化合物は、5員環構造又は6員環構造を含む化合物、即ち、R6が置換若しくは無置換のシクロペンチレン基又は置換若しくは無置換のシクロへキシレン基であるジヒドロキシ化合物が好ましい。このようなジヒドロキシ化合物であれば、5員環構造又は6員環構造を含むことにより、得られるポリカーボネート樹脂の耐熱性を高くすることができる。該6員環構造は共有結合によって椅子形もしくは舟形に固定されていてもよい。前記式(6)で表されるジヒドロキシ化合物は、なかでも、R6が前記式(9)で示される種々の異性体であることが好ましい。
ロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン、3,9−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン、4,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン、及び4,9−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02.6]デカンの混合物を使用することができる。
前記式(7)で表されるジヒドロキシ化合物は、R7に炭素数2〜10、好ましくは炭素数2〜5の置換若しくは無置換のアルキレン基を有する化合物である。pは2〜100、好ましくは6〜50、より好ましくは12〜40の整数である。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記式(8)で表されるジヒドロキシ化合物は、R8に炭素数2〜20、好ましくは炭素数2〜10の置換若しくは無置換のアルキレン基である。R8のアルキレン基が置換基を有する場合、当該置換基としては炭素数1〜5のアルキル基が挙げられる。
前記式(8)で表されるジヒドロキシ化合物のうち、R8が炭素数2〜20の置換若しくは無置換のアルキレン基であるジヒドロキシ化合物としては、具体的にはエチレングルコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどが挙げられるが何らこれらに限定されるものではない。
本発明において、ポリカーボネート樹脂は、前記式(4)〜(8)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を必要に応じて、その他のジヒドロキシ化合物に由来する
構造単位に置き変えてもよい。
その他のジヒドロキシ化合物としては、例えば、ビスフェノール類やビスフェノール類のエチレンオキサイド(EO)付加類、フルオレン化合物等が挙げられる。
ビスフェノール類のエチレンオキサイド(EO)付加類としては、前述のビスフェノール類の化合物にエチレンオキサイド(EO)付加したものが挙げられる。
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−n−プロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−n−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−sec−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−プロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチル−6−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロポキシ)フェニル)フルオレン等が挙げられる。
本発明において、ポリカーボネート樹脂に含まれる前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の含有割合は、ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の合計に対して、好ましくは20重量%以上、より好ましくは25重量%以上、更に好ましくは30重量%以上であり、通常95重量%以下、好ましくは90重量%以下である。該構造単位の含有割合が過度に少ないと、耐熱性が小さく、表面硬度が劣る可能性がある。また、該構造単位の含有割合が過度に多いと、ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度が過度に高くなって成形が困難になったり、吸水率が悪化する場合がある。
塩基性安定剤としては、例えば、長周期型周期表(Nomenclature of Inorganic Chemistry IUPAC Recommendations2005)における1族または2族の金属の水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、硼酸塩および脂肪酸塩、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシドおよびブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等の塩基性アンモニウム化合物、ジエチルアミン、ジブチルアミン、トリエチルアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、ピロリジン、ピペリジン、3−アミノ−1−プロパノール、エチレンジアミン、N−メチルジエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾールおよびアミノキノリン等のアミン系化合物、並びにジ−(tert−ブチル)アミンおよび2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等のヒンダードアミン系化合物が挙げられる。これらの安定剤の中でも安定化の効果からはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、イミダゾールまたはヒンダードアミン系化合物が好ましい。
安定剤の量が少なすぎると特定ジヒドロキシ化合物の変質を防止する効果が得られない可能性があり、多すぎると特定ジヒドロキシ化合物の変性を招く場合があるので、本発明で用いるそれぞれのジヒドロキシ化合物に対して、0.0001重量%〜1重量%であることが好ましく、より好ましくは0.001重量%〜0.1重量%である。
このため、特定ジヒドロキシ化合物または前記その他のジヒドロキシ化合物のうち塩基性安定剤を含有するものについては、ポリカーボネート樹脂の製造原料として使用する前に塩基性安定剤をイオン交換樹脂または蒸留等で除去することが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂は、上述した特定ジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを原料として、エステル交換反応により重縮合させて得ることができる。用いられる炭酸ジエステルとしては、通常、下記式(10)で表されるものが挙げられる。これらの炭酸ジエステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
なお、炭酸ジエステルは、塩化物イオンなどの不純物を含む場合があり、不純物が重合反応を阻害したり、得られるポリカーボネート樹脂の色相を悪化させたりする場合があるため、必要に応じて、蒸留などにより精製したものを使用することが好ましい。
本発明で用いるポリカーボネート樹脂は、上述したジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルをエステル交換反応させて製造される。より詳細には、エステル交換させ、副生するモノヒドロキシ化合物等を系外に除去することによって得られる。
前記エステル交換反応の際には、エステル交換反応触媒存在下で重縮合を行うが、本発明のポリカーボネート樹脂の製造時に使用し得るエステル交換反応触媒(以下、単に触媒、重合触媒と言うことがある)は、反応速度または重縮合して得られるポリカーボネート樹脂の品質に非常に大きな影響を与え得る。
前記の塩基性リン化合物としては、例えば、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィンおよび四級ホスホニウム塩等が挙げられる。
キシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシドおよびブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
中でも長周期型周期表における2族からなる群及びリチウムより選ばれた少なくとも1種の金属を含む化合物を用いる場合、特にはマグネシウム化合物及び/またはカルシウム化合物を用いる場合は、金属量として、前記全ジヒドロキシ化合物1mol当たり、0.1μmol以上が好ましく、より好ましくは0.3μmol以上、特に好ましくは0.5μmol以上とする。また上限としては、20μmol以下が好ましく、より好ましくは10μmol以下であり、さらに好ましくは5μmol以下で、特に好ましくは3μmol以下である。
本発明で用いるポリカーボネート樹脂のガラス転移温度は、下限値として90℃以上であることが好ましく、より好ましくは100℃以上、特に好ましくは110℃以上である。一方で、上限値として、200℃以下であることが好ましく、より好ましくは160℃以下、特に好ましくは145℃以下である。ガラス転移温度が過度に低いと耐熱性が悪くなる傾向にあり、フィルム成形後に寸法変化を起こす可能性があり、また、位相差フィルムとして、偏光板と張り合わせた場合にも画像品質を下げる場合がある。ガラス転移温度が過度に高いと、フィルム成形時の溶融成形安定性が悪くなる場合があり、冷却が困難に
なり、外観不良や位相差のバラツキが発生したりする。本発明のポリカーボネート樹脂のガラス転移温度は、後掲の実施例の項に記載される方法で測定される。
本発明で用いるポリカーボネート樹脂における溶融粘度は特に制限されないが、温度240℃、せん断速度91.2sec−1での溶融粘度が500Pa・sec−1以上2500Pa・sec−1以下であることが好ましく、800Pa・sec−1以上2300Pa・sec−1以下であることがより好ましく、900Pa・sec−1以上2000Pa・sec−1以下であることがさらに好ましい。ポリカーボネート樹脂の溶融粘度が上記下限値より小さいと成形品の機械的強度が小さくなるという問題が生じる可能性がある。一方、溶融粘度が上記上限値より大きいと、成形する際の流動性が低下し、生産性が低下するという問題が生じたり、成形の際に成形品に気泡が混入して成形品の外観が低下したり、ポリカーボネート樹脂中の異物を濾過などにより除去することが困難になったりするという問題が生じる可能性がある。ポリカーボネート樹脂の溶融粘度は、後掲の実施例の項に記載される方法で測定される。
上述の通り、本発明で用いるポリカーボネート樹脂は、特定ジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとをエステル交換反応により重縮合させることによって得られる。
原料であるジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルは、エステル交換反応前に均一に混合することが好ましい。混合の温度は通常80℃以上、好ましくは90℃以上であり、その上限は通常250℃以下、好ましくは200℃以下、更に好ましくは150℃以下である。中でも100℃以上120℃以下が好適である。混合の温度が低すぎると溶解速度が遅かったり、溶解度が不足したりする可能性があり、しばしば固化等の不具合を招き、混合の温度が高すぎるとジヒドロキシ化合物の熱劣化を招く場合があり、結果的に得られるポリカーボネート樹脂の色相や熱安定性に悪影響を及ぼす可能性がある。
の触媒存在下、通常、複数の反応器を用いて多段階で実施される。反応の形式は、バッチ式、連続式、あるいはバッチ式と連続式の組み合わせのいずれの方法でもよいが、より少ない熱履歴でポリカーボネート樹脂が得られ、生産性にも優れている連続式が好ましい。
重合初期においては、相対的に低温、低真空でプレポリマーを得、重合後期においては相対的に高温、高真空で所定の値まで分子量を上昇させることが好ましいが、各分子量段階でのジャケット温度と内温、反応系内の圧力を適切に選択することが重合速度の制御や得られるポリカーボネート樹脂の品質の観点から重要である。例えば、重合反応が所定の値に到達する前に温度、圧力のどちらか一方でも早く変化させすぎると、未反応のモノマーが留出し、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルのモル比率を狂わせ、重合速度の低下を招いたり、所定の分子量や末端基を持つポリマーが得られなかったりして結果的に本発明の目的を達成することができない可能性がある。
重合反応の温度は、低すぎると生産性の低下や製品への熱履歴の増大を招き、高すぎるとモノマーの揮散を招くだけでなく、ポリカーボネート樹脂の分解や着色を助長する可能性がある。具体的には、第1段目の反応は、重合反応器の内温の温度としては、130〜210℃、好ましくは150〜205℃、更に好ましくは170〜200℃である。
また、反応系の圧力としては、1〜110kPa、好ましくは5〜70kPa、さらに好ましくは7〜30kPa(絶対圧力)の圧力下、反応時間を0.1〜10時間、好ましくは0.5〜3時間、発生するモノヒドロキシ化合物を反応系外へ留去しながら実施される。
ノヒドロキシ化合物を反応系外へ除く。
また、重合反応後半の重合速度の低下を抑止し、熱履歴による劣化を最小限に抑えるためには、重合の最終段階でプラグフロー性と界面更新性に優れた横型反応器を使用することが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂は、上述の通り重縮合後、通常、冷却固化させ、回転式カッター等でペレット化される。ペレット化の方法は限定されるものではないが、最終重合反応器から溶融状態で抜き出し、ストランドの形態で冷却固化させてペレット化させる方法、最終重合反応器から溶融状態で一軸または二軸の押出機に樹脂を供給し、溶融押出しした後、冷却固化させてペレット化させる方法、又は、最終重合反応器から溶融状態で抜き出し、ストランドの形態で冷却固化させて一旦ペレット化させた後に、再度一軸または二軸の押出機に樹脂を供給し、溶融押出しした後、冷却固化させてペレット化させる方法等が挙げられる。
押出機中の溶融混練温度は、ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度や分子量に依存するが、通常200〜300℃、好ましくは210〜280℃、更に好ましくは220〜270℃である。溶融混練温度が200℃より低いと、ポリカーボネート樹脂の溶融粘度が高く、押出機への負荷が大きくなり、生産性が低下する。300℃より高いと、ポリカーボネート樹脂の熱劣化が激しくなり、分子量の低下による機械的強度の低下や着色、フィルム成形時のガスの発生による気泡の発生を招く。
<リン系化合物>
本発明で用いるポリカーボネート樹脂には、重合触媒を失活させ、さらに高温下でのポリカーボネート樹脂の着色を抑制するために添加された、リン系化合物を含有することが
好ましい。このリン系化合物としては、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸、ホスホン酸、ホスホン酸エステル、酸性リン酸エステル、及び脂肪族環状亜リン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。上記の中でも触媒失活と着色抑制の効果がさらに優れているのは、亜リン酸、ホスホン酸、ホスホン酸エステルであり、特にホスホン酸エステルが好ましい。
前記リン系化合物の含有量が少なすぎると、触媒失活や着色抑制の効果が不十分であり、多すぎるとかえってポリカーボネート樹脂が着色したり、湿熱条件での着色が発生したりするので、リン系化合物の含有量は、特に限定されないが、ポリカーボネート樹脂中のリン原子の含有量として0.02重量ppm以上、0.7重量ppm以下とすることが好ましく、さらには0.05重量ppm以上、0.65重量ppm以下が好ましく、特には0.07重量ppm以上、0.60重量ppm以下が好ましい。
本発明で用いるポリカーボネート樹脂には、前記リン系化合物に加えて、ヒンダードフェノール化合物も含有することで、ポリカーボネート樹脂のさらなる色調向上が期待できる。
ヒンダードフェノール系化合物としては、具体的には、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、n−オクタデシル−3−(3',5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−t
ert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(6−シクロヘキシル−4−メチルフェノール)、2,2’−エチリデン−ビス−(2,4−ジ−tert−ブチルフェノール)、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]−メタン、n−オクタデシル−3−(3',5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3
,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などが挙げられる。
本発明で用いるポリカーボネート樹脂の上記のヒンダードフェノール化合物の含有量は、ポリカーボネート樹脂を100重量部とした場合、0.001重量部〜1重量部が好ましく、0.005重量部〜0.5重量部がより好ましく、0.01重量部〜0.3重量部がさらに好ましい。
なお、ヒンダードフェノール化合物や以下の酸化防止剤についても、リン系化合物と同様に、押出機を用いてポリカーボネート樹脂に添加、混練されることが好ましい。
本発明で用いるポリカーボネート樹脂には、酸化防止の目的で、通常知られている酸化防止剤を添加することもできる。
酸化防止剤としては、具体的には、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニ
ル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、グリセロール−3−ステアリルチオプロピオネート、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンなどが挙げられる。
これらの酸化防止剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂を100重量部とした場合、0.0001重量部〜0.1重量部が好ましく、0.0005重量部〜0.08重量部がより好ましく、0.001重量部〜0.05重量部がさらに好ましい。
本発明で用いるポリカーボネート樹脂においては、ブルーイング剤を含有することもできる。
本発明で用いるブルーイング剤は、通常ポリカーボネート樹脂組成物に使用されるブルーイング剤等から適宜選択し、その配合量を調整して使用すればよく、複数種のブルーイング剤を使用してもよい。
ブルーイング剤の含有量が0.1×10−4重量部以上であれば、本発明のポリカーボネート樹脂プレートの促進耐光性試験前後のYI値を特定の範囲とすることや、b*値を3以下にすることが容易となるため好ましい。一方で、ブルーイング剤の含有量が10.0×10−4重量部以下であれば明度が低下することがないため、L*値を90以上とすることが容易となるため好ましい。
本発明で用いるのに好ましいアンスラキノン系ブルーイング剤の具体例としては、例えば、一般名Solvent Violet13[CA.No(カラーインデックスNo)60725;商標名 ランクセス社製「マクロレックスバイオレットB」、三菱化学(株)製「ダイアレジンブルーG」、住友化学工業(株)製「スミプラストバイオレットB」]、Solvent Violet14、一般名Solvent Violet31[C
A.No68210;商標名 三菱化学(株)製「ダイアレジンバイオレットD」]、Solvent Violet33[CA.No60725;商標名 三菱化学(株)製「ダイアレジンブルーJ」]、Solvent Violet36[CA.No68210;商標名 ランクセス社製「マクロレックスバイオレット3R」]、Solvent Blue45[CA.No61110;商標名 サンド社製「テトラゾールブルーRLS」]、一般名Solvent Blue94[CA.No61500;商標名 三菱化学(株)製「ダイアレジンブルーN」]、一般名Solvent Blue97[ランクセス社製「マクロレックスブルーRR」]、一般名Solvent Blue45、一般名Solvent Blue87および一般名Disperse Violet28が挙げられる。
本発明において、ブルーイング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよいが、ブルーイング剤の使用量は少ない方が好ましく、使用するブルーイング剤の種類も少ない方が好ましい。
きる。
更に、本発明で用いるポリカーボネート樹脂は、例えば、芳香族ポリカーボネート樹脂、芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリオレフィン、アクリル、アモルファスポリオレフィン、ABS、ASなどの合成樹脂、ポリ乳酸、ポリブチレンスクシネートなどの生分解性樹脂、ゴムなどの1種又は2種以上と混練して、ポリマーアロイとしても用いることもできる。
本発明の透明フィルムは、前記ポリカーボネート樹脂または前記ポリカーボネート樹脂を含有する組成物をフィルム状に成形してなるものである。
本発明において、前記ポリカーボネート樹脂または前記ポリカーボネート樹脂を含有する組成物を用いて透明フィルムを作製する方法は押出機および押し出されたフィルムを搬送するロールを備えた製膜機で製膜する方法あれば特に限定されることはなく、Tダイ成形法、インフレーション成形法等の溶融押出製膜法、共押出し法、共溶融法、多層押出し法、等、様々な製膜方法を用いることができる。これらの製膜方法のうち、生産性及び残留溶媒低減の観点から溶融押出製膜法を用いることが好ましく、溶融押出製膜法の中でもTダイ成形法、インフレーション成形法を用いることがより好ましい。その中でもTダイ成形法が特に好ましい。
吐出量やギアポンプの精度が同程度の場合は、押出機のバレル設定温度に厚み精度が依存する。押出温度が高い場合、冷却ロールで十分に冷却されずに厚み精度が出にくくなり
、また押出温度が低すぎる場合、均一な溶融が不十分で厚み精度が出にくくなる。
本発明で得られるポリカーボネート樹脂フィルムは、延伸フィルムであっても良く、少なくとも一方向に延伸することにより位相差フィルムとすることができる。
その延伸方法は、自由端延伸、固定端延伸、自由端収縮、固定端収縮等、様々な延伸方法を、単独または同時もしくは逐次で用いることができる。
また、延伸方向に関しても、水平方向・垂直方向・厚さ方向、対角方向等、様々な方向や次元に行なうことが可能であり、特に限定されないが、好ましくは、横一軸延伸方法、縦横同時二軸延伸方法、縦横逐次二軸延伸方法等が挙げられる。
延伸温度は、目的に応じて、適宜、適切な値が選択され得る。好ましい延伸温度は、原反フィルム(即ち、原反フィルムの製膜材料である本発明で用いるポリカーボネート樹脂又はその樹脂組成物)のガラス転移温度(Tg)に対し、下限として、Tg−20℃、好ましくはTg−10℃、より好ましくはTg−5℃であり、上限としてTg+30℃、好ましくはTg+20℃、より好ましくはTg+10℃である。このような条件を選択することによって、得られるフィルムの位相差値が均一になり易く、かつ、フィルムが白濁しにくくなる。具体的には、上記延伸温度は70℃〜230℃であり、好ましくは90℃〜210℃であり、さらに好ましくは100℃〜200℃であり、特に好ましくは100℃〜180℃である。
延伸倍率が過度に大きいと延伸時のフィルムの破断を招く可能性があるだけでなく、高温条件下での長期使用による光学的特性の変動抑制効果が小さくなる可能性があり、過度に低いとフィルムの所望の厚みにおいて意図した光学的特性が付与できなくなる可能性がある。
延伸速度が過度に小さいと生産性が低下するだけでなく、所望の位相差を得るのに延伸倍率を過度に大きくしなければならない場合がある。
歪み速度(%/分)={延伸速度(mm/分)/原反フィルムの長さ(mm)}×100
また、延伸後加熱炉で熱固定処理を行っても良いし、テンターの幅を制御したり、ロール周速を調整したりして、緩和工程を行っても良い。
本発明の製造方法から得られるポリカーボネート樹脂フィルムの厚みは、下限として、50μm以上、好ましくは53μm以上、さらに好ましくは55μm以上である。該フィルムの厚みがこの下限値より薄い場合、このフィルムを延伸する場合に薄すぎるために延伸時に破れが発生する場合がある。また、該フィルムの厚みは、上限として、120μm未満、好ましくは115μm未満、さらに好ましくは110μm未満である。該フィルムの厚みがこの上限値より大きい場合、延伸後の厚みが厚すぎて、偏光子保護フィルムとして用いた場合に、厚すぎるために画像表示装置に取り組む際に適しない。
<位相差>
本発明で得られるフィルムの589nmにおける面内位相差(R0)及び厚み位相差(Rth)は、20nm以下が好ましく、15nm以下がより好ましく、10nm以下がさらに好ましい。位相差が高すぎる場合、本発明で得られるフィルムを延伸する場合に延伸時の位相差発現性を制御することが困難になり、得られる延伸フィルムの位相差が均一になりにくい。
<光線透過率>
本発明で得られるフィルムの波長380nmの光線透過率は、1.0%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましく、0.3%以下がさらに好ましく、0.1%以下が特に好ましい。前記フィルムの波長380nmの光線透過率が1.0%より高い場合は、得られたフィルムを延伸後、偏光子保護フィルムとして用いた場合に、紫外線透過による偏光子の劣化を招く恐れがある。
また、本発明で得られるフィルムは、可視光領域における光線透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。
本発明に用いる紫外線吸収剤は、本発明の特定する物性を有し、紫外線波長領域の光を吸収するものであれば、限定されるものではない。
本発明に用いる紫外線吸収剤の融点としては、下限として135℃以上が好ましく、140℃以上がより好ましく、145℃がさらに好ましい。また、上限として300℃以下が好ましく、290℃以下がより好ましく、280℃以下がさらに好ましい。融点がこの範囲内であることにより、押出製膜の際にロール汚染や、Tダイへの付着物を低減させることができ、フィルムの外観が良好になる。同時に、紫外線吸収剤を押出機混練で混練させた際に、紫外線吸収剤の粒子が完全に溶融し、均一分散するために紫外線吸収剤の粒子に由来するフィルム外観不良を防止することができる。
紫外線吸収剤としては、トリアジン系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、インドール系、キノリノン系、ベンゾエート系、シアノアクリレート系などが挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,6−ジフェニル−4−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ
−4−エトキシエトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ブトキシエトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−プロポキシエトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−メトキシカルボニルプロピルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−エトキシカルボニルエチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−(1−(2−エトキシヘキシルオキシ)−1−オキソプロパン−2−イルオキシ)フェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−エトキシエトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ブトキシエトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−プロポキシエトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−メトキシカルボニルプロピルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−エトキシカルボニルエチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−(1−(2−エトキシヘキシルオキシ)−1−オキソプロパン−2−イルオキシ)フェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ―4−N-オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2―
(4,6―ジフェニルー1,3,5−トリアジン―2−イル)−5−(2−(2−エチル
ヘキサノイロキシ)エトキシ)フェノールなどが挙げられる。
(株)製「Kemisorb102」)、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン((株)ADEKA製「アデカスタブLA−F70」)、2―(4,6―ジフェニル−1,3,5−トリアジン―2−イル)−5−(2−(2−エチルヘキサノイロキシ)エトキシ)フェノール((株)
ADEKA製「アデカスタブLA−46」)、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(BASFジャパン(株)「チヌビン1577」)が挙げられる。
2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシトリハイドライドレイトベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシ−ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−ソジ
ウムスルホキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンソフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン等が挙げられる。
その中でも、市販品としては、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン(シプロ化成(株)製「シーソーブ106」、BASFジャパン(株)「Uvinul3050」)、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン(シプロ化成(株)製「シーソーブ107」、BASFジャパン(株)「Uvinul3049」)
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ―3,5−ジ―tert−ペンチルフェニル)、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等が挙げられる。
インドール系紫外線吸収剤としては、下記式(12)で表される化合物を用いることができ、例えば、2−[(1−メチル−2−フェニル−1H−インドール−3−イル)メチ
レン]プロパンジニトリル(オリヱント化学工業(株)製「BONASORB UA−3901」)などが挙げられる。
キノリノン系紫外線吸収剤としては、下記式(13)で表されるような化合物を用いることができ、例えば、4−ヒドロキシ−3−[(フェニルイミノ)メチル]−2(1H)−キノリノン(オリヱント化学工業(株)製「BONASORB UA−3701」)など
が挙げられる。
ベンゾエート系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、2,6−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、n−ヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、n−オクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどが挙げられる。これらベンゾエート系紫外線吸収剤は、紫外線吸収剤として用いることができる。
シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えば、2’−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3−(3’,4’−メチレンジオキシフェニル)−アクリレート等が挙げられる。これらシアノアクリレート系紫外線吸収剤は紫外線吸収剤として用いることができる。
本発明では、紫外線吸収剤を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
この中でも、熱安定性や樹脂への着色が少ない点から、トリアジン系、ベンゾトリアゾール系、キノリノン系、インドール系が好ましい。
<還元粘度保持率>
本発明で得られるフィルムの還元粘度保持率は、90%以上が好ましく、93%以上がより好ましく、95%以上がさらに好ましい。還元粘度保持率が90%より低い場合、フィルムの靱性が低下し、分解に起因する微細なガスが起点となり延伸する場合の破断原因になる可能性がある。
<フィルム異物>
本発明で得られるフィルム中の異物については、後述の方法で評価するが、10個/m2以下が好ましく、5個/m2以下がより好ましい。この数値を超える異物がある場合、フィルムの外観を損ねるだけでなく、フィルムの光学物性に著しく影響する。
[評価方法]
以下において、ポリカーボネート樹脂の物性ないし特性の評価は次の方法により行った。
ポリカーボネート樹脂のサンプルを塩化メチレンに溶解させ、0.6g/dLの濃度のポリカーボネート樹脂溶液を調製した。森友理化工業社製ウベローデ型粘度管を用いて、温度20.0℃±0.1℃で測定を行い、溶媒の通過時間t0と溶液の通過時間tから次式(i)より相対粘度ηrelを求め、相対粘度ηrelから次式(ii)より比粘度ηspを求めた。
ηrel=t/t0 ・・・(i)
ηsp=(η−η0)/η0=ηrel−1 ・・・(ii)
比粘度ηspを濃度c(g/dL)で割って、還元粘度ηsp/cを求めた。この値が高いほど分子量が大きい。
還元粘度保持率は、使用するポリカーボネート樹脂組成物ペレットの還元粘度(A)と、それから得られたポリカーボネート樹脂組成物フィルムの還元粘度(B)から、次のように求められる。
還元粘度保持率(%)={(A)/(B)}×100
還元粘度保持率の数値が高いほど、フィルム製膜前後における樹脂の還元粘度の変化が小さいことを示す。本実施例では、還元粘度保持率は90%以上を合格とした。
(3)5%重量減少温度
TG−DTA6300(セイコー製)にて窒素下(流量200ml/min)にて、試料約10mgを室温から500℃まで10℃/minにて昇温しながら測定を行い、5%重量減少温度を求めた。
(4)融点
示差走査熱量計(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製DSC6220)を用いて測定した。ポリカーボネート樹脂サンプル約10mgを同社製アルミパンに入れて密封し、50mL/分の窒素気流下、昇温速度10℃/分で室温から400℃まで昇温し、融解ピークの頂点の温度を求め融点とした。
(5)ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度(Tg)
ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量計(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製DSC6220)を用いて測定した。ポリカーボネート樹脂サンプル約10mgを同社製アルミパンに入れて密封し、50mL/分の窒素気流下、昇温速度20℃/分で室温から250℃まで昇温した。3分間温度を保持した後、0℃まで20℃/分の速度で冷却した。0℃で3分保持し、再び200℃まで20℃/分の速度で昇温した。2回目の昇温で得られたDSCデータより、補外ガラス転移開始温度を採用した。
(6)380nmの紫外線透過率
波長380nmにおける光線透過率は、JISK0115(吸光光度分析通則)に準拠して、紫外可視分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製U2900)を用いて測定した。
以下の基準に従い、製膜機が有する押出機に対して最寄りのロールにおいて、フィルム製膜時の汚れの発生有無の判定を行った。
60分〜120分までにロール汚れが目視で確認できたもの △
120分時点でロール汚れが確認出来なかったもの ○
得られたフィルムから幅50mm、長さ200mmに切り出したサンプルについて、目視にて該サンプル中の直径(楕円状の場合は長径)150μm以上の異物の存在数をカウントした。フィルム異物の値が小さいほど、得られるフィルムに存在する異物が少ないことを示す。本実施例では、フィルム異物が10個/m2以下を合格とした。
得られたフィルムで幅方向にギアマークが目視にて確認された場合は×、確認できなかった場合は○と評価した。「○」評価の場合、外観上優れたフィルムであることを示す。
取得開始から約50m部分にて、フィルムの中心から両幅方向に80mmの範囲を20mm間隔で接触厚み計((株)小野測器製 製品名「ディジタルリニアゲージ DG−933」)を用いて厚みを測定した。ここで、本発明でいう「フィルムの厚み」とは、前記の測定値の総平均を算出したものである。また、下記式より得られる数値を本発明でいう「厚み精度」とした。
厚み精度(%)={(フィルムの厚みからの最大の偏差)/(フィルムの厚み)}×100
(ただし、式中「フィルムの厚みからの最大の偏差」とは上述の各測定値と平均値(フィルムの厚み)との差のうち、最大の値のことをいう。)
この数値が小さいほど、フィルムの厚さがより均一である。
得られたフィルムから幅4cm、長さ4cmに切り出したサンプルについて、位相差測定装置(王子計測機器社製 製品名「KOBRA WRXY2020」を用いて、波長589nmにおける面内位相差(R0)と厚み位相差(Rth)を測定した。
以下の実施例及び比較例で用いた化合物の略号、および製造元は次の通りである。
・ ISB:イソソルビド[ロケットフルーレ社製]
・ CHDM:1,4−シクロヘキサンジメタノール[SKChemical社製]
<炭酸ジエステル>
・ DPC:ジフェニルカーボネート[三菱化学(株)製]
<ヒンダードフェノール化合物>
・ Irganox1010:ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート][BASFジャパン(株
)製]
・ 亜リン酸[関東化学(株)製](分子量82.0)
・UVA−1:LA−31[(株)ADEKA製](構造:ベンゾトリアゾール系、融点
:195℃、5%重量減少温度:390℃)
・UVA−2:LA−F70[(株)ADEKA製](構造:トリアジン系、融点:150℃、5%重量減少温度:385℃)
[製造例1]
竪型攪拌反応器3器(第1竪型攪拌反応器〜第3竪型攪拌反応器)、横型攪拌反応器1器(第4横型攪拌反応器)、並びに二軸押出機からなる連続重合設備を用いて、ポリカーボネート樹脂の重合を行った。ISB、CHDMおよびDPCをそれぞれタンクで溶融させ、モル比ISB/CHDM/DPC=0.700/0.300/1.010で第1竪型攪拌反応器に連続的に供給した。同時に、触媒として酢酸カルシウム1水和物の水溶液を全ジヒドロキシ化合物1molに対して1.5μmolとなるように第1竪型攪拌反応器に供給した。第1竪型攪拌反応器での平均滞留時間が90分となるように、反応器底部の移送配管に設けられたバルブの開度を制御しつつ、液面レベルを一定に保った。第1竪型反応器の反応器底部より排出された反応液は、引き続き第2竪型攪拌反応器、第3竪型攪拌反応器、第4横型攪拌反応器[(株)日立プラントテクノロジー社製2軸メガネ翼]に逐次連続供給された。第1竪型攪拌反応器と第2竪型攪拌反応器は還流冷却器を具備しており、還流比を調節することで、未反応のジヒドロキシ化合物とDPCの留出を抑制した。
押出機を通過したポリカーボネート樹脂組成物は、引き続き溶融状態のままフィルターを通して異物を濾過した後、ダイからストランド状に排出させ、水冷、固化させた後、回転式カッターでペレット化した。ペレットのガラス転移温度は122℃であった。得られたポリカーボネート樹脂組成物をPC1とする。
製造例1に記載のポリカーボネート樹脂組成物(PC1)100重量部及びUVA−1
3.0重量部を、定量フィーダーを用いてベント付きニ軸押出機((株)日本製鋼所 製
TEX30α、シリンダー設定温度:240℃)に供給し、フィルターを通して異物を
濾過した後、ダイからストランド状に排出させ、水冷、固化させた後、回転式カッターでペレット化した。ペレットのガラス転移温度は120℃であった。得られたポリカーボネート樹脂組成物をPC2とする。
製造例1に記載のポリカーボネート樹脂組成物(PC1)100重量部及びUVA−2
1.2重量部を、定量フィーダーを用いてベント付きニ軸押出機((株)日本製鋼所 製
TEX30α、シリンダー設定温度:240℃)に供給し、フィルターを通して異物を
濾過した後、ダイからストランド状に排出させ、水冷、固化させた後、回転式カッターでペレット化した。ペレットのガラス転移温度は121℃であった。得られたポリカーボネート樹脂組成物をPC3とする。
PC2をベント付きニ軸押出機((株)日本製鋼所 製 TEX30α)、Tダイ(幅200mm)、チルドロール及び巻取機を備えたフィルム製膜装置を用いて、Tダイ法にて2時間連続で製膜し、それぞれの評価を実施した。条件及び結果を表1に示す。表1に示される結果から、実施例のものはフィルムを製膜する際の紫外線吸収剤のブリードアウトによる製膜機のロール汚れや添加剤由来の異物が発生することがなく、使用に耐えうる十分な強度を有する、低位相差の高品質なフィルムを製造できることがわかる。なお、本明細書において、実施例5は、本発明の参考例に相当する。
Claims (5)
- 下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と、紫外線吸収剤を含むポリカーボネート樹脂組成物からなる、波長380nmの光線透過率が1.0%以下、589nmでの厚み位相差(Rth(589))が15nm以下、589nmでの面内位相差(R0(589))が15nm以下、および厚みが50μm〜120μmであるフィルムを、押出機および押し出されたフィルムを搬送するロールを用いて製造する方法であって、
前記紫外線吸収剤の含有量が前記ポリカーボネート樹脂組成物100重量%に対して0.3重量%以上、5重量%以下であり、
前記押出機の有するバレルの設定温度が230℃以上270℃未満、ロールの温度が100℃以上140℃未満である、ポリカーボネート樹脂フィルムの製造方法。
- 前記紫外線吸収剤の融点が300℃以下である、請求項1に記載のポリカーボネート樹脂フィルムの製造方法。
- 前記紫外線吸収剤がトリアジン系、ベンゾトリアゾール系、キノリノン系、およびインドール系から選ばれる少なくとも1種である、請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂フィルムの製造方法。
- 前記バレルの設定温度が245℃以上である、請求項1乃至3の何れか1項に記載のポリカーボネート樹脂フィルムの製造方法。
- 前記ロールの温度が135℃未満である、請求項1乃至4の何れか1項に記載のポリカーボネート樹脂フィルムの製造方法。
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