JP2001081301A - 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

芳香族ポリカーボネート樹脂組成物

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JP2001081301A
JP2001081301A JP22738399A JP22738399A JP2001081301A JP 2001081301 A JP2001081301 A JP 2001081301A JP 22738399 A JP22738399 A JP 22738399A JP 22738399 A JP22738399 A JP 22738399A JP 2001081301 A JP2001081301 A JP 2001081301A
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polycarbonate resin
aromatic
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aromatic polycarbonate
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JP22738399A
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Yoji Ohira
洋二 大平
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Teijin Ltd
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Teijin Chemicals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 離型性を保ちつつ、成形耐熱性、耐乾熱性お
よび耐湿熱疲労性が同時に向上した芳香族ポリカーボネ
ート樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 (A)粘度平均分子量が10,000〜
50,000の芳香族ポリカーボネート樹脂100重量
部、(B)下記一般式(1)で表される化合物(B−1
成分)、下記一般式(2)で表される化合物(B−2成
分)、下記一般式(3)で表される化合物(B−3成
分)からなり、その合計を100重量%とした時、B−
1成分が40〜80重量%、B−2成分が0〜25重量
%およびB−3成分が5〜50重量%であって、且つ塩
素原子および塩素イオン濃度が1〜11000ppmで
あるリン系安定剤組成物0.0001〜0.15重量部
および(C)90重量%以上がアルコールと脂肪酸のエ
ステルである内部離型剤0.001〜1.0重量部から
なる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、離型性を保ちつ
つ、成形耐熱性、耐乾熱性および耐湿熱疲労性が同時に
向上した芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリカーボネート樹脂は高分子材
料の中では比較的耐熱性に優れる材料である。材料の高
機能化、高性能化の要求が高まる中で、多種の添加剤が
用いられるようになってきたが、一般的には添加剤を増
やすほど 樹脂の耐熱性は低下する傾向にある。
【0003】樹脂の耐熱性向上のためには、これまで多
くの提案がなされてきた。芳香族ポリカーボネート樹脂
の耐熱性を向上させる方法として、安定剤を添加する方
法がある。芳香族ポリカーボネート樹脂に対して多く用
いられている安定剤は、芳香族のホスファイト系化合物
やホスホナイト系化合物であり、その代表的な安定剤の
一つにテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェ
ニル)ビフェニレンホスホナイト系安定剤がある。
【0004】この安定剤を用いたポリカーボネート樹脂
組成物の提案は多くなされており、例えば、特開昭57
−158254では、テトラキス(2,4−ジ−ter
t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンホスホ
ナイトとホスファイトとホスファイト系安定剤を組み合
わせ配合することにより熱安定性を向上させる方法を提
案している。しかしながら、内部離型剤を添加した組成
物の熱安定性に対する該安定剤の寄与に関しては触れて
おらず、さらに、該安定剤中に含まれる塩素原子および
塩素イオン濃度がどのように成形耐熱性等へ影響をする
かについても触れていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、内部
離型剤として脂肪酸エステル化合物、さらに安定剤とし
て特定のビフェニレンホスホナイト化合物を使用した系
において、成形耐熱性、耐乾熱性および耐湿熱疲労性が
同時に優れたの芳香族ポリカーネート樹脂組成物を提供
することにある。これまで、多くの安定剤やそれを用い
た芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が提案されてき
た。ポリカーボネート樹脂製品の多種多様化が進む中
で、今後も新しい安定剤の開発が必要である。同時に、
既存の各安定剤に関しては、その安定剤を用いた樹脂組
成物に関し、安定効果やその他の性能を少しでも向上さ
せることが重要である。
【0006】
【課題を解決するための手段】我々は、課題を達成する
ために鋭意検討した結果、驚くべきことに、「安定剤と
して特定のビフェニレンホスホナイトと特定のホスファ
イトを組み合わせて使用すること」と「該リン系安定剤
組成物に含まれる塩素原子あるいは塩素イオン濃度を限
定すること」が、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の
離型性を保ちつつ、成形耐熱性、耐乾熱性および耐湿熱
疲労性が同時に向上することを発見し、本発明に至っ
た。
【0007】すなわち本発明は、(A)粘度平均分子量
が10,000〜50,000の芳香族ポリカーボネー
ト樹脂100重量部、(B)下記一般式(1)で表され
る化合物(B−1成分)、下記一般式(2)で表される
化合物(B−2成分)、下記一般式(3)で表される化
合物(B−3成分)からなり、その合計を100重量%
とした時、B−1成分が40〜80重量%、B−2成分
が0〜25重量%およびB−3成分が5〜50重量%で
あって、且つ塩素原子および塩素イオン濃度が1〜11
000ppmであるリン系安定剤組成物0.0001〜
0.15重量部および(C)90重量%以上がアルコー
ルと脂肪酸のエステルである内部離型剤0.001〜
1.0重量部からなる芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物である。
【0008】
【化2】
【0009】[式中、Ar1、Ar2はアルキル置換基
があってもよい芳香族基であって、同一でも異なってい
てもよい。またAr3はジアルキル置換芳香族基であっ
て、同一でも異なっていてもよい。]
【0010】本発明のリン系安定剤組成物はB−1成
分、B−2成分およびB−3成分からなり、その合計を
100重量%とした時、B−1成分が40〜80重量
%、B−2成分が0〜25重量%およびB−3成分が5
〜50重量%である。好ましくは、B−1成分が40〜
80重量%、B−2成分が5〜25重量%およびB−3
成分が5〜50重量%であり、より好ましくは、B−1
成分が55〜80重量%、B−2成分が5〜25重量%
およびB−3成分が5〜45重量%である。
【0011】本発明のB−1成分の具体的例としては、
テトラキス(2,4−ジ−iso−プロピルフェニル)
−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス
(2,4−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフ
ェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t
ert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジ
ホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブ
チルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイ
ト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニ
ル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラ
キス(2,6−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,
4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,
6−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレ
ンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert
−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホ
ナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフ
ェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テ
トラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−
3,3’−ビフェニレンジホスホナイト等があげられ、
テトラキス(ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェ
ニレンジホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4
−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホ
スホナイトがより好ましい。このテトラキス(2,4−
ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホス
ホナイトは、2種以上の混合物が好ましく、具体的には
テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)
−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト(B−1−1
成分)、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフ
ェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト(B
−1−2成分)および、テトラキス(2,4−ジ−te
rt−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホ
スホナイト(B−1−3成分)の3種の混合物がより好
ましい。また、この混合物の混合比は、B−1−1成
分、B−1−2成分およびB−1−3成分を重量比で1
00:37〜64:4〜14の範囲が好ましく、10
0:40〜60:5〜11の範囲がより好ましい。
【0012】本発明のB−2成分の具体的例としては、
ビス(2,4−ジ−iso−プロピルフェニル)−4−
フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−
n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホ
ナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニ
ル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス
(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェ
ニル−フェニルホスホナイトビス(2,6−ジ−iso
−プロピルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホ
ナイト、ビス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3
−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ
−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニ
ルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル
フェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト等が
あげられ、ビス(ジ−tert−ブチルフェニル)−フ
ェニル−フェニルホスホナイトが好ましく、ビス(2,
4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェ
ニルホスホナイトがより好ましい。このビス(2,4−
ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニル
ホスホナイトは、2種以上の混合物が好ましく、具体的
にはビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−
4−フェニル−フェニルホスホナイト(B−2−1成
分)および、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェ
ニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト(B−2
−2成分)の混合物がより好ましい。また、この混合物
の混合比は、B−2−1成分および、B−2−2成分を
重量比で5:1〜4の範囲が好ましく、5:2〜3の範
囲がより好ましい。
【0013】本発明のB−3成分の具体的例としては、
トリス(ジメチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ
エチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−
プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブ
チルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t
ert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,
6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト等が
あげられ、トリス(ジアルキル置換フェニル)ホスファ
イトが好ましく、トリス(ジ−tert−ブチルフェニ
ル)ホスファイトがより好ましく、トリス(2,4−ジ
−tert−ブチルフェニル)ホスファイトが特に好ま
しい。かかるB−3成分の化合物は1種または2種以上
の混合物であってもよい。
【0014】本発明のリン系安定剤組成物の量は、芳香
族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.0
001〜0.15重量部の範囲であり、0.002〜
0.15重量部の範囲がより好ましく、0.02〜0.
1重量部の範囲が最も好ましい。
【0015】本発明でいう「リン系安定剤組成物中に含
まれる塩素原子および塩素イオン」とは、本発明のリン
系安定剤組成物に含有した塩素化合物に由来するもので
ある。その塩素化合物は、例えば、製造過程において該
安定剤中に生じたり、原料の段階から存在していたもの
であって、かつ、精製時に除去しきれないものである。
これらの塩素化合物は、具体的に、製造(反応、精製な
ど)時に使用した塩素系溶媒、塩素系触媒、未反応塩
素、副生したハロゲン化水素、副生したハロゲン化水素
のアンモニウムやアミン塩などを挙げることができる。
【0016】該リン系安定剤組成物に含有する塩素化合
物を低減する方法には、安定剤の製造において、精製を
強化する方法がある。例えば、溶媒を使用した洗浄によ
る精製の場合、洗浄用溶媒を増やしたり、洗浄回数を多
くしたり、塩素化合物を選択的に溶解しやすい溶媒を用
いること等を挙げることができる。蒸留、あるいは、昇
華による精製の場合は、精留塔部を長くして蒸留段数を
増やして、分離能を上げる方法等がある。
【0017】また、該リン系安定剤組成物に含有する塩
素化合物を低減するために、製造における合成反応終了
直後でかつ精製前の時点において、塩素化合物を少なく
しておくことも有効である。例えば、使用する塩素系触
媒の量を減らすこと、塩素を含まない触媒を用いるこ
と、反応溶媒として使用する塩素系溶媒の量を減らすこ
と、塩素系溶媒を使用しないこと、反応をより完全に完
結させること等をあげることができる。反応をより完全
に終結させるためには、反応時間を長くしたり、反応温
度を上げたり、より活性な触媒を使用したり、原料の仕
込みにおいて「塩素化合物に対するフェノール化合物の
モル比」を大きくしたり、製造工程に脱塩化水素反応が
ある場合は、塩化水素の補足効率をあげる方法等を挙げ
ることができる。
【0018】また、該リン系安定剤組成物に「塩化水素
と塩化水素補足剤との反応生成物」を含有する場合、こ
れを低減するために、これまで述べた方法以外に、精製
段階で除去しやすい「塩化水素と塩化水素補足剤との反
応生成物」となるような塩化水素補足剤を使用すること
等が挙げられる。
【0019】該リン系安定剤の製造において、触媒とし
て塩素系触媒を使用し、該安定剤中にこの塩素系触媒や
それに由来する塩素系化合物が残存する場合、それらを
低減する方法として、これまで述べた方法以外に、精製
段階で除去しやすいものを塩素系触媒として選択する方
法を挙げることができる。
【0020】該リン系安定剤の製造において、溶媒とし
て塩素系溶媒を使用する場合、該安定剤中の塩素系溶媒
を低減するには、これまで述べた方法以外に、精製段階
で非塩素系の溶媒で洗浄したり、乾燥時間を延長する方
法等があげられる。
【0021】該リン系安定剤に含有する塩素化合物を低
減する方法として、これまで述べた方法を安定剤の生産
効率や収率を犠牲にすることなく実施するのが好まし
い。しかしながら、本発明の目的を達成するためには、
安定剤の生産効率や収率を犠牲にして、これまで述べた
方法を実施してもよい。
【0022】本発明における「塩素原子および塩素イオ
ン濃度」は、任意の方法で測定することができる。例え
ば、化学分析法、蛍光X線法、燃焼クロル法、ヘッドス
ペースガスクロマトグラフィー法、パージアンドトラッ
プガスクロマトグラフィー法をあげることができる。そ
の中でも、特に好ましいのは、蛍光X線法であり、塩素
原子と塩素イオンを同時に測定できる。
【0023】かかる塩素原子および塩素イオン濃度は1
〜11000ppmであり、好ましくは1〜8000p
pmであり、より好ましくは1〜3000ppmであ
る。
【0024】B−1成分に含有する塩素原子および塩素
イオンを完全に取除くことは工業的に困難な面があり、
経済的な観点からその濃度は1〜13700ppmであ
り、好ましくは1〜10000ppmであり、より好ま
しくは1〜5500ppmである。
【0025】B−2成分に含有する塩素原子および塩素
イオンを完全に取除くことは工業的に困難な面があり、
経済的な観点からその濃度は1〜20000ppmであ
り、好ましくは1〜14500ppmであり、より好ま
しくは1〜5500ppmである。
【0026】B−3成分に含有する塩素原子および塩素
イオンを完全に取除くことは工業的に困難な面があり、
経済的な観点からその濃度は0.1〜50ppmであ
り、好ましくは0.1〜40ppmであり、より好まし
くは10〜40ppmである。
【0027】本発明における内部離型剤とは、溶融成形
時において樹脂成形品の金型からの離型性を向上させる
ために、樹脂組成物中に配合されるものである。かかる
内部離型剤としては、90重量%以上が一価アルコール
と脂肪酸のエステルおよび/または多価アルコールと脂
肪酸との部分エステルあるいは全エステルである内部離
型剤が挙げられる。かかる一価アルコールと脂肪酸のエ
ステルとは、炭素原子数1〜20の一価アルコールと炭
素原子数10〜30の飽和脂肪酸とのエステルである。
また多価アルコールと脂肪酸との部分エステルまたは全
エステルとは、炭素原子数1〜25の多価アルコールと
炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸との部分エステルま
たは全エステルである。
【0028】具体的に一価アルコールと飽和脂肪酸とエ
ステルとしては、ステアリルステアレート、パルミチル
パルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレー
ト、イソプロピルパルミテート等があげられ、ステアリ
ルステアレートが好ましい。
【0029】また具体的に多価アルコールと飽和脂肪酸
との部分エステルまたは全エステルとしては、ステアリ
ン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステ
アリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノソルビテー
ト、ベヘニン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトール
モノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステア
レート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート、
プロピレングリコールモノステアレート、ビフェニルビ
フェネ−ト、ソルビタンモノステアレート、2−エチル
ヘキシルステアレート、ジペンタエリスルトールヘキサ
ステアレート等のジペンタエリスルトール全エステルま
たは部分エステル等が挙げらる。
【0030】これらのエステルのなかでも、ステアリン
酸モノグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ペン
タエリスリトールテトラステアレート、ステアリン酸ト
リグリセリドとステアリルステアレートの混合物が好ま
しく用いられる。特に、ステアリン酸モノグリセリド、
ペンタエリスリトールテトラステアレート、ステアリン
酸トリグリセリドとステアリルステアレートの混合物が
好ましく用いられる。このステアリン酸トリグリセリド
とステアリルステアレートの混合物は、重量比で前者が
60〜80に対して後者が20〜40の範囲が好まし
い。
【0031】内部離型剤中のエステルの量は、内部離型
剤100重量%部とした時、90重量%以上、好ましく
は95重量%以上、実質的にエステルのみからなるもの
がより好ましい。
【0032】上記脂肪酸エステルの酸価は、3以下が好
ましく、2以下がより好ましい。ステアリン酸モノグリ
セリドの場合は、酸価1.5以下、純度95重量%以上
が更に好ましく、酸価が1.2以下、純度が98重量%
以上が最も好ましい。脂肪酸エステルの酸価の測定は、
公知の方法を用いることができる。
【0033】上記エステル以外の内部離型剤としては、
オレフィン系ワックス、カルボキシル基及び/またはカ
ルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックス、シ
リコーンオイル、オルガノポリシロキサン、パラフィン
ワックス、蜜蝋等が挙げられる。
【0034】かかる一価アルコールと脂肪酸のエステル
あるいは/および多価アルコールと脂肪酸との部分エス
テルまたは全エステルからなる内部離型剤の配合量は、
芳香族ポリカーボネート樹脂組成物100重量部に対し
て0.001〜1.0重量部が好ましく、0.01〜
0.6重量部がより好ましい。
【0035】本発明における芳香族ポリカーボネート樹
脂の分子量は、粘度平均分子量(M)で10,000〜
50,000が好ましく、14,000〜35,000
がより好ましい。かかる粘度平均分子量を有する芳香族
ポリカーボネート樹脂は、押出・成形加工時に比較的良
好な流動性を保ちながら、得られた成形品に関して一定
の機械的強度を有するので好ましい。
【0036】本発明でいう粘度平均分子量は、塩化メチ
レン100mlに芳香族ポリカーボネート樹脂0.7g
を20℃で溶解した溶液を用いて測定された比粘度(η
SP)を次式に挿入して求めるMを指す。 ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]
は極限粘度) [η]=1.23×10-40.83 c=0.7
【0037】本発明で(A)成分として使用される芳香
族ポリカーボネート樹脂は、二価フェノールとカーボネ
ート前駆体とを界面重合法(溶液法)また溶融法で反応
させて得られるものである。ここで使用される二価フェ
ノールの代表的な例としては、2,2−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモ
フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−
3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)エーテル、4,4−ジヒドロキシジフェニ
ル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等が挙げられる。
好ましい二価フェノールは、ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)アルカンであり、なかでもビスフェノールAが特
に好ましい。
【0038】カーボネート前駆体としてはカルボニルハ
ライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等
が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネ
ートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げ
られる。
【0039】上記二価フェノールとカーボネート前駆体
を界面重合法または溶融法によって反応させて芳香族ポ
リカーボネート樹脂を製造するに当っては、二価フェノ
ールは単独または2種以上を使用することができ、必要
に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化防止
剤等を使用してもよい。また芳香族ポリカーボネート樹
脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分
岐ポリカーボネート樹脂であってもよい。また、2種以
上の芳香族ポリカーボネート樹脂の混合物であってもよ
い。
【0040】界面重合法による反応は、通常二価フェノ
ールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶
媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸
化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。有
機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼン
等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促進
のために例えば第三級アミンや第四級アンモニウム塩等
の触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常
0〜40℃であり、反応時間は数分〜5時間程度であ
る。
【0041】溶融法による反応は、通常二価フェノール
とジフェニルカーボネートとのエステル交換反応であ
り、不活性ガスの存在下に二価フェノールとジフェニル
カーボネートを混合し、減圧下通常120〜350℃で
反応させる。減圧度は段階的に変化させ、最終的には1
mmHg以下にして生成したフェノール類を系外に除去
させる。反応時間は通常1〜4時間程度である。
【0042】また、重合反応において、末端停止剤とし
て単官能フェノール類を使用することができる。とくに
カーボネート前駆物質としてホスゲンを使用する反応の
場合、単官能フェノール類は末端停止剤として分子量調
節のために一般的に使用され、また得られた芳香族ポリ
カーボネート樹脂は、末端が単官能フェノール類に基づ
く基によって封鎖されているので、そうでないものと比
べて熱安定性に優れている。かかる単官能フェノール類
としては、ポリカーボネートの末端停止剤として使用さ
れるものであればよく、一般にはフェノールまたは低級
アルキル置換フェノールであって、下記一般式(4)で
表される単官能フェノール類を示すことができる。
【0043】
【化3】
【0044】[式中、Rは水素原子または炭素数1〜9
のアルキル基もしくはフェニルアルキル基であり、mは
1〜5、好ましくは1〜3の整数を示す。]
【0045】前記単官能フェノール類の具体例として
は、例えばフェノール、p−tert−ブチルフェノー
ル、p−クミルフェノールおよびイソオクチルフェノー
ルが挙げられる。
【0046】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物には、成形時における分子量の低下や色相の悪化を高
度に防止するために、本発明の請求項で示したリン系安
定剤組成物に加えて、本発明の請求項で示したリン系安
定剤組成物の成分化合物や他の熱安定剤を追加併用する
ことができる。かかる熱安定剤としては、亜リン酸、リ
ン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステ
ル等が挙げられ、具体的には、トリフェニルホスファイ
ト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシ
ルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオク
タデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファ
イト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプ
ロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニ
ルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、
モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−
ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエ
リスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス
(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホ
スファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリト
ールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブ
チルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、
ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ト
リブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ
メチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフ
ェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホス
フェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホ
スフェート、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホ
スホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル等が
挙げられる。なかでも、亜リン酸、トリメチルホスフェ
ート、ベンゼンホスホン酸ジメチルが好ましく使用され
る。
【0047】これらは、1種もしくは2種以上を混合し
て用いてもよい。かかる熱安定剤の配合量は、該芳香族
ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.001
〜0.15重量部が好ましく、0.001〜0.10重
量部がより好ましく、0.001〜0.05重量部がさ
らに好ましい。
【0048】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物には、酸化防止の目的で通常知られた酸化防止剤を配
合することができる。かかる酸化防止剤としては、例え
ばペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプ
ロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3
−ラウリルチオプロピオネート)、グリセロール−3−
ステアリルチオプロピオネート、トリエチレングリコー
ル−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−
ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,
5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−
tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス
(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベン
ジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5
−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシン
ナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒド
ロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、ト
リス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ
ベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ビフェニレン
ジホスホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert
−ブチルフェニル)、3,9−ビス{1,1−ジメチル
−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ
−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}
−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウ
ンデカン等が挙げられる。これら酸化防止剤の配合量
は、該芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し
て0.001〜0.05重量部が好ましい。
【0049】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物には、紫外線吸収剤を配合することができる。紫外線
吸収剤化合物は、具体的に、ベンゾフェノン系では、
2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ
−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−
オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベン
ジロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキ
シ−5−スルホキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−
4−メトキシ−5−スルホキシトリハイドライドレイト
ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキ
シベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロ
キシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,
4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロ
キシ−4,4’−ジメトキシ−5−ソジウムスルホキシ
ベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキ
シ−2−メトキシフェニル)メタン、2−ヒドロキシ−
4−n−ドデシルオキシベンソフェノン、2−ヒドロキ
シ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン等
があげられ、ベンゾトリアゾール系では、2−(2−ヒ
ドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、
2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニ
ル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,
5−ジクミルフェニル)フェニルベンゾトリアゾール、
2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メ
チルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,
2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメ
チルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−
イル)フェノール]、2−(2−ヒドロキシ−3,5−
ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、
2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチル
フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2
−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニ
ル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−
tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2
−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)
ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−4−オク
トキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2’−メチ
レンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニ
ル)、2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾ
オキサジン−4−オン)、2−[2−ヒドロキシ−3−
(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)
−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾ−ルがあげら
れ、これらを単独あるいは2種以上の混合物で用いるこ
とができる。
【0050】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物には、帯電防止剤を配合することができる。かかる帯
電防止剤としては、例えばポリエーテルエステルアミ
ド、グリセリンモノステアレート、ドデシルベンゼンス
ルホン酸アンモニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸
ホスホニウム塩、無水マレイン酸モノグリセライド、無
水マレイン酸ジグリセライド、カーボン、グラファイ
ト、金属粉末等が挙げられる。かかる帯電防止剤の配合
量は、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物100重量部
に対して0.1〜10重量部が好ましい。
【0051】本発明の芳香族樹脂組成物には、発明の目
的を損なわない範囲でブルーイング剤を配合することが
できる。ブルーイング剤は、樹脂組成物の黄色味を消す
ために有効である。とくに耐候性を付与した組成物の場
合は、一定量の紫外線吸収剤が配合されているため「紫
外線吸収剤の作用や色」によって樹脂製品が黄色味を帯
びやすい現実があり、とくにシート製品やレンズ製品に
自然な透明感を付与するためにはブルーイング剤の配合
は非常に有効である。
【0052】本発明におけるブルーイング剤の配合量
は、樹脂組成物全体の0.05〜1.5ppmであり、
好ましくは、0.1〜1.2ppmである。配合量多す
ぎると樹脂製品の青みが強くなって視感透明度が低下す
る。
【0053】ブル−イング剤としては代表例として、チ
バ・スペシャリティ・ケミカルズ社のマクロレックスバ
イオレットやトリアゾ−ルブル−RLS等があげられる
が、特に制限されるものではない。
【0054】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物には、本発明の目的が損なわれない量の難燃剤を配合
することができる。難燃剤としては、ハロゲン化ビスフ
ェノールAのポリカーボネート型難燃剤、有機塩系難燃
剤、芳香族リン酸エステル系難剤、あるいは、ハロゲン
化芳香族リン酸エステル型難燃剤等があげられ、それら
を一種以上配合することができる。具体的にハロゲン化
ビスフェノールAのポリカーボネート型難燃剤は、テト
ラブロモビスフェノールAのポリカーボネート型難燃
剤、テトラブロモビスフェノールAとビスフェノールA
との共重合ポリカーボネート型難燃剤等である。具体的
に有機塩系難燃剤は、ジフェニルスルホン−3,3’−
ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−3−ス
ルホン酸カリウム、2,4,5−トリクロロベンゼンス
ルホン酸ナトリウム、2,4,5−トリクロロベンゼン
スルホン酸カリウム、ビス(2,6−ジブロモ−4−ク
ミルフェニル)リン酸カリウム、ビス(4−クミルフェ
ニル)リン酸ナトリウム、ビス(p−トルエンスルホ
ン)イミドカリウム、ビス(ジフェニルリン酸)イミド
カリウム、ビス(2,4,6−トリブロモフェニル)リ
ン酸カリウム、ビス(2,4−ジブロモフェニル)リン
酸カリウム、ビス(4−ブロモフェニル)リン酸カリウ
ム、ジフェニルリン酸カリウム、ジフェニルリン酸ナト
リウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム、ラウ
リル硫酸ナトリウムあるいはカリウム、ヘキサデシル硫
酸ナトリウムあるいはカリウム等である。具体的にハロ
ゲン化芳香族リン酸エステル型難燃剤は、トリス(2,
4,6−トリブロモフェニル)ホスフェート、トリス
(2,4−ジブロモフェニル)ホスフェート、トリス
(4−ブロモフェニル)ホスフェート等である。具体的
に芳香族リン酸エステル系難剤は、トリフェニルホスフ
ェート、トリス(2,6−キシリル)ホスフェート、テ
トラキス(2,6−キシリル)レゾルシンジホスフェー
ト、テトラキス(2,6−キシリル)ヒドロキノンジホ
スフェート、テトラキス(2,6−キシリル)−4,
4’−ビフェノールジホスフェート、テトラフェニルレ
ゾルシンジホスフェート、テトラフェニルヒドロキノン
ジホスフェート、テトラフェニル−4,4’−ビフェノ
ールジホスフェート、芳香環ソースがレゾルシンとフェ
ノールでありフェノール性OH基を含まない芳香族ポリ
ホスフェート、芳香環ソースがレゾルシンとフェノール
でありフェノール性OH基を含む芳香族ポリホスフェー
ト、芳香環ソースがヒドロキノンとフェノールでありフ
ェノール性OH基を含まない芳香族ポリホスフェート、
同様のフェノール性OH基を含む芳香族ポリホスフェー
ト、(以下に示す「芳香族ポリホスフェート」は、フェ
ノール性OH基を含む芳香族ポリホスフェートと含まな
い芳香族ポリホスフェートの両方を意味するものとす
る)芳香環ソースがビスフェノールAとフェノールであ
る芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがテトラブロ
モビスフェノールAとフェノールである芳香族ポリホス
フェート、芳香環ソースがレゾルシンと2,6−キシレ
ノールである芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースが
ヒドロキノンと2,6−キシレノールである芳香族ポリ
ホスフェート、芳香環ソースがビスフェノールAと2,
6−キシレノールである芳香族ポリホスフェート、芳香
環ソースがテトラブロモビスフェノールAと2,6−キ
シレノールである芳香族ポリホスフェート等である。
【0055】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物には、他の樹脂やエラストマーを本発明の目的が損な
われない範囲で少割合配合することもできる。
【0056】かかる他の樹脂としては、例えばポリエチ
レンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の
ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、
ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコー
ン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレン
スルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエチレン、ポ
リプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹
脂、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS樹
脂)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合
体(ABS樹脂)、ポリメタクリレート樹脂、フェノー
ル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。
【0057】また、エラストマーとしては、例えばイソ
ブチレン/イソプレンゴム、スチレン/ブタジエンゴ
ム、エチレン/プロピレンゴム、アクリル系エラストマ
ー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラス
トマー、コアシェル型のエラストマーであるMBS(メ
タクリル酸メチル/ステレン/ブタジエン)ゴム、MA
S(メタクリル酸メチル/アクリロニトリル/スチレ
ン)ゴム等が挙げられる。
【0058】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物において芳香族ポリカーボネート樹脂とリン系安定剤
組成物や内部離型剤、その他の配合添加剤をブレンドす
るには、任意の方法が採用される。例えばタンブラー、
V型ブレンダー、スーパーミキサー、ナウターミキサ
ー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等で混合
する方法が適宜用いられる。こうして得られた芳香族ポ
リカーボネート樹脂組成物パウダーやペレットのブレン
ド品は、そのまま又は溶融押出機で一旦ペレット状にし
てから、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法、シート
押出し法等の通常知られている方法で成形品やシートに
することができる。
【0059】リン系安定剤組成物や内部離型剤、その他
の添加剤のブレンドにあたっては、一段階で実施しても
よいが、二段階以上に分けて実施してもよい。二段階に
分けて実施する方法には、例えば、配合予定の芳香族ポ
リカーボネート樹脂パウダーやペレットの一部と配合添
加剤とをブレンドした後、つまり、配合添加剤を芳香族
ポリカーボネート樹脂パウダーで希釈して添加剤のマス
ターバッチとした後、これを用いて最終的なブレンドを
行う方法がある。
【0060】例えば、一段階でブレンドする方法におい
ては、所定量のB−1成分〜B−3成分を予め混合した
ものを芳香族ポリカーボネート樹脂パウダーやペレット
とブレンドする方法、また、所定量のB−1成分〜B−
3成分を各々別個に計量し、芳香族ポリカーボネート樹
脂パウダーやペレットに順次添加後ブレンドする方法等
を採用することができる。
【0061】リン系安定剤組成物や内部離型剤、その他
の添加剤の配合にあたっては、添加剤を押出機に直接添
加、注入、あるいは加熱融解後注入する方法をとること
もできる。また、界面重合法においては、重合終了後の
芳香族ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液に安定剤組
成物や内部離型剤添加溶解する方法も採用される。
【0062】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。な
お、評価は下記の方法で行った。
【0063】(1)安定剤のCl含有量 蛍光X線法により、安定剤中の塩素原子および塩素イオ
ンを測定した。 (2)酸価 試料をベンゼン−エタノール溶液に溶かし、指示薬にフ
ェノールフタレインを用いて、0.1N−KOHエタノ
ール溶液で中和滴定をする。酸価は次式により求める。 酸化(KOHmg/g)=A×f×N×56.11÷S A: 試料の中和に要したKOH溶液のml数 f: KOHの力価 N: KOHの規定度 S: 試料重量(g)
【0064】(3)成形耐熱性 射出成形機を用いてペットを成形温度340℃、1分サ
イクルで「滞留前の色相測定用平板」(70mm×50
mm×2mm)に成形した。さらに、シリンダ−中に樹
脂を10分間滞留させた後、「滞留後の色相測定用平
板」を得た。滞留前後の平板の色相を色差計により測定
し、次式により色差△Eを求めた。表に示した値(△
E)が小さいほど成形耐熱性が優れることを示す。
【0065】
【数1】
【0066】(4)耐乾熱性 射出成形機を用いてペットを成形温度340℃、1分サ
イクルで色相測定用平板(70mm×50mm×2m
m)に成形した。この平板成形板を 150℃に設定し
た熱風乾燥機中に20日間放置(乾熱処理)し、乾熱処
理前後の平板の黄色度(YI)の差△YIを求めた。表
に示した値(△YI)が小さいほど耐乾熱性が優れるこ
とを示す。
【0067】(5)耐湿熱疲労性 図1に示したいわゆるC型の測定用サンプルを用いて、
80℃、90%RHの雰囲気で、正弦波で振動数1H
z、最大荷重2kgの条件で、以下の疲労試験機
[(株)島津製作所製 島津サーボパルサー EHF−
EC5型]を用いて、測定用サンプルが破断するまでの
回数を測定した。表に示した値(破断するまでの回数)
が大きいほど、耐湿熱疲労性に優れることを示す。
【0068】(6)離型荷重 住友SS75射出成形機を用いて、コップ型の成形片を
成形し、離型時の突出し荷重をメモライザーにより測定
した。
【0069】実施例、比較例で用いたリン系安定剤、内
部離型剤等は以下の通りである。 B−1安定剤 テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,
4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,
4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレ
ンジホスホナイトおよび、テトラキス(2,4−ジ−t
−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホ
ナイトの100:50:10(重量比)混合物 B−2安定剤 ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−
フェニル−フェニルホスホナイトおよびビス(2,4−
ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェ
ニルホスホナイトの5:3(重量比)混合物 B−3安定剤 トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホス
ファイト(安定剤中のCl含有量20ppm) TNPP安定剤 トリス(ノニルフェニル)ホスファイト 脂肪酸エステル1 ステアリン酸モノグリセリド(酸価0.8、純度97.
0重量%) 脂肪酸エステル2 ステアリン酸トリグリセリドとステアリルステアレート
との混合物(混合割合は、前者が約70重量%:酸価
1.8) 脂肪酸エステル3 ペンタエリスリトールテトラステアレート(酸価0.
6) ブルーイング剤 1−(4−メチルフェニアミノ)−4−ヒドロシ−9、
10−アントラキノン
【0070】[実施例1〜8、比較例1〜5]ビスフェ
ノールA、p−tert−ブチルフェノール(末端停止
剤)とホスゲンから界面重合法により得られた粉粒状芳
香族ポリカーボネート樹脂に対し、表1のようなCl含
量のリン系安定剤組成物と内部離型剤等を表1に示した
組成の通り添加混合し、280℃で押出ペレット化後、
上記の成形評価を行い、表1の評価結果を得た。
【0071】
【表1】
【0072】
【発明の効果】内部離型剤として脂肪酸エステル化合
物、さらに安定剤として特定のリン系安定剤組成物を使
用した系において、該リン系安定剤組成物に含まれる塩
素量を限定することにより該芳香族ポリカーボネート樹
脂組成物の離型性を保ちつつ、成形耐熱性、耐乾熱性お
よび耐湿熱疲労性が同時に向上した芳香族ポリカーネー
ト樹脂組成物を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【図1】耐湿熱疲労性を評価するために使用した、いわ
ゆるC型サンプルの正面図である。なおサンプルの厚み
は3mmである。符号6で示される孔の部分に試験機の
治具を通し、符号7で示される垂直方向に所定の荷重を
かけて試験を行う。
【符号の説明】
1 C型形状の二重円の中心 2 二重円の内側円の半径(20mm) 3 二重円の外側円の半径(30mm) 4 治具装着用孔の位置を示す中心角(60°) 5 サンプル端面の間隙(13mm) 6 治具装着用孔(直径4mmの円であり、サンプル
幅の中央に位置する) 7 疲労試験時におけるサンプルに課される荷重の方
フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 CG001 CG011 CG031 EH039 EH049 EH059 EW067 EW116 EW118 FD036 FD037 FD038 FD050 FD060 FD070 FD100 FD130 FD169 FD200 4J029 AA10 AB01 AC02 AD01 AE01 BB10A BB12A BB13A BB13B BD09A BF14A BH02 DB07 DB13 HC01 HC02 HC04A HC05A JB013 JB183 JC473 JE013 JE043 KA02

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)粘度平均分子量が10,000〜
    50,000の芳香族ポリカーボネート樹脂100重量
    部、(B)下記一般式(1)で表される化合物(B−1
    成分)、下記一般式(2)で表される化合物(B−2成
    分)、下記一般式(3)で表される化合物(B−3成
    分)からなり、その合計を100重量%とした時、B−
    1成分が40〜80重量%、B−2成分が0〜25重量
    %およびB−3成分が5〜50重量%であって、且つ塩
    素原子および塩素イオン濃度が1〜11000ppmで
    あるリン系安定剤組成物0.0001〜0.15重量部
    および(C)90重量%以上がアルコールと脂肪酸のエ
    ステルである内部離型剤0.001〜1.0重量部から
    なる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。 【化1】 [式中、Ar1、Ar2はアルキル置換基があってもよ
    い芳香族基であって、同一でも異なっていてもよい。ま
    たAr3はジアルキル置換芳香族基であって、同一でも
    異なっていてもよい。]
  2. 【請求項2】 B−2成分が5〜25重量%である請求
    項1記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 内部離型剤が0.01〜0.6重量部で
    ある請求項1記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
    物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014080602A (ja) * 2012-09-26 2014-05-08 Mitsubishi Chemicals Corp ポリカーボネート樹脂
JP2014080603A (ja) * 2012-09-26 2014-05-08 Mitsubishi Chemicals Corp ポリカーボネート樹脂の製造方法
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