JP2001019757A - 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法

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JP2001019757A
JP2001019757A JP11190066A JP19006699A JP2001019757A JP 2001019757 A JP2001019757 A JP 2001019757A JP 11190066 A JP11190066 A JP 11190066A JP 19006699 A JP19006699 A JP 19006699A JP 2001019757 A JP2001019757 A JP 2001019757A
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aromatic polycarbonate
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aromatic
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JP11190066A
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Yoji Ohira
洋二 大平
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Teijin Chemicals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 芳香族ポリカーボーネート樹脂の有機溶媒溶
液から有機溶媒を除去して固体の芳香族ポリカーボーネ
ート樹脂を得る工程において、実質的に分子量低下が少
なく、色相の優れる乾燥芳香族ポリカーボーネート樹脂
を得る製造方法を提供する。 【解決手段】 芳香族ポリカーボーネート樹脂の有機溶
媒溶液から有機溶媒を除去して得られる固体の芳香族ポ
リカーボーネート樹脂を製造する方法において、粘度平
均分子量が10,000〜50,000の芳香族ポリカ
ーボーネート樹脂の有機溶媒溶液に該芳香族ポリカーボ
ーネート樹脂100重量部当り、塩素原子および塩素イ
オン濃度が1〜11000ppmである特定の化合物か
ら選ばれた少なくとも1種のリン系安定剤を0.000
1〜0.15重量部添加してなる芳香族ポリカーボネー
ト樹脂組成物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は芳香族ポリカーボー
ネート樹脂の有機溶媒溶液から有機溶媒を除去して固体
の芳香族ポリカーボーネート樹脂を得る工程において、
実質的に分子量低下が少なく、色相の優れた芳香族ポリ
カーボーネート樹脂を得る製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリカーボネート樹脂は高分子材
料の中では比較的耐熱性に優れる材料である。しかしな
がら、材料の高機能化、高性能化の要求が高まる中で
は、さらに成形耐熱性の向上や成形品そのものの耐熱性
の向上が必要とされている。耐熱性を向上させるには、
ポリカーボネート樹脂パウダーに安定剤を配合して、押
出ペレット化し、成形加工を行う方法がある。そして、
その際に用いる「芳香族ポリカーボネート樹脂パウダ
ー」としては、それが例えば溶液法によって製造される
場合は、重合反応の後、芳香族ポリカーボネート樹脂の
有機溶媒溶液から有機溶媒を除去して固体の芳香族ポリ
カーボーネート樹脂を得る工程において、樹脂の劣化が
少なく色相の優れた「芳香族ポリカーボネート樹脂パウ
ダー」が有効である。該工程において実質的に分子量低
下が少なく、色相の優れた芳香族ポリカーボーネート樹
脂を得る製造方法としては、例えば、特開昭62―77
25で芳香族ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液に、
テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)
−4,4’−ビフェニレンホスホナイトを予め添加して
おく方法が提案されている。この方法は、非常に有効な
手段であるが、芳香族ポリカーボネート樹脂パウダーや
それを用いて得られた樹脂組成物、成形品に関する耐熱
性をはじめとした各性能をより一層向上させるために
は、さらに有効な手段が必要とされている。なお、前述
のテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニ
ル)−4,4’−ビフェニレンホスホナイトに関して
は、該化合物中に含まれる塩素原子および塩素イオン濃
度が、製造で得られる芳香族ポリカーボネート樹脂パウ
ダーやそれを用いて得られた樹脂組成物、成形品に対
し、色相や耐熱性、その他の特性にどのような影響を及
ぼすかについてはこれまで言及されたことがなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、芳香
族ポリカーボーネート樹脂の有機溶媒溶液から有機溶媒
を除去して固体の芳香族ポリカーボーネート樹脂を得る
工程において、実質的に分子量低下が少なく、色相の優
れる乾燥芳香族ポリカーボーネート樹脂を得る製造方法
を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】我々は、課題を達成する
ために鋭意検討した結果、驚くべきことに、「芳香族ポ
リカーボーネート樹脂の有機溶媒溶液」から有機溶媒を
除去して固体の芳香族ポリカーボーネート樹脂を得る工
程において、「芳香族ポリカーボーネート樹脂の有機溶
媒溶液」に特定のリン系安定剤を予め添加しておく方法
を実施する場合に、該リン系安定剤に含まれる塩素原子
あるいは塩素イオン濃度が、「製造で得られる乾燥芳香
族ポリカーボーネート樹脂の色相」や「該工程における
芳香族ポリカーボーネート樹脂の分子量低下」に寄与し
ていることを発見し、本発明に至った。
【0005】すなわち本発明は、芳香族ポリカーボーネ
ート樹脂の有機溶媒溶液から有機溶媒を除去して得られ
る固体の芳香族ポリカーボーネート樹脂を製造する方法
において、粘度平均分子量が10,000〜50,00
0の芳香族ポリカーボーネート樹脂の有機溶媒溶液に該
芳香族ポリカーボーネート樹脂100重量部当たり、塩
素原子および塩素イオン濃度が1〜11000ppmで
ある下記一般式(1)〜(3)で表される化合物から選
ばれた少なくとも1種のリン系安定剤を0.0001〜
0.15重量部添加してなる芳香族ポリカーボネート樹
脂組成物の製造方法である。
【0006】
【化2】
【0007】[式中、Ar1、Ar2はアルキル置換基
があってもよい芳香族基であって、同一でも異なってい
てもよい。またAr3はジアルキル置換芳香族基であっ
て、同一でも異なっていてもよい。]
【0008】本発明のリン系安定剤は上記一般式(1)
〜(3)で表される化合物から選ばれた少なくとも1種
のリン系安定剤である。好ましくは、上記一般式(1)
で表される化合物(B−1成分)、上記一般式(2)で
表される化合物(B−2成分)および、上記一般式
(3)で表される化合物(B−3成分)からなり、且つ
その合計を100重量%とした時、B−1成分が40〜
80重量%、B−2成分が0〜25重量%およびB−3
成分が5〜50重量%であるリン系安定剤組成物または
上記一般式(3)で表される化合物のリン系安定剤であ
る。さらに好ましくは、B−1成分、B−2成分およ
び、B−3成分からなり、その合計を100重量%とし
た時、B−1成分が40〜80重量%、B−2成分が0
〜25重量%およびB−3成分が5〜50重量%である
リン系安定剤組成物である。さらに、より好ましくは、
B−1成分が40〜80重量%、B−2成分が5〜25
重量%およびB−3成分が5〜50重量%のリン系安定
剤組成物である。さらに、その上に、最も好ましくは、
B−1成分が55〜80重量%、B−2成分が5〜25
重量%およびB−3成分が5〜45重量%のリン系安定
剤組成物である。
【0009】本発明のB−1成分の具体的例としては、
テトラキス(2,4−ジ−iso−プロピルフェニル)
−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス
(2,4−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフ
ェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t
ert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジ
ホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブ
チルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイ
ト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニ
ル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラ
キス(2,6−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,
4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,
6−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレ
ンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert
−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホ
ナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフ
ェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テ
トラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−
3,3’−ビフェニレンジホスホナイト等があげられ、
テトラキス(ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェ
ニレンジホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4
−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホ
スホナイトがより好ましい。
【0010】このテトラキス(2,4−ジ−tert−
ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイトは、2
種以上の混合物が好ましく、具体的にはテトラキス
(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’
−ビフェニレンジホスホナイト(B−1−1成分)、テ
トラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−
4,3’−ビフェニレンジホスホナイト(B−1−2成
分)および、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチ
ルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト
(B−1−3成分)の3種の混合物がより好ましい。ま
た、この混合物の混合比は、B−1−1成分、B−1−
2成分およびB−1−3成分を重量比で100:37〜
64:4〜14の範囲が好ましく、100:40〜6
0:5〜11の範囲がより好ましい。
【0011】本発明のB−2成分の具体的例としては、
ビス(2,4−ジ−iso−プロピルフェニル)−4−
フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−
n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホ
ナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニ
ル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス
(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェ
ニル−フェニルホスホナイトビス(2,6−ジ−iso
−プロピルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホ
ナイト、ビス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3
−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ
−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニ
ルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル
フェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト等が
あげられ、ビス(ジ−tert−ブチルフェニル)−フ
ェニル−フェニルホスホナイトが好ましく、ビス(2,
4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェ
ニルホスホナイトがより好ましい。このビス(2,4−
ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニル
ホスホナイトは、2種以上の混合物が好ましく、具体的
にはビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−
4−フェニル−フェニルホスホナイト(B−2−1成
分)および、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェ
ニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト(B−2
−2成分)の混合物がより好ましい。また、この混合物
の混合比は、B−2−1成分および、B−2−2成分を
重量比で5:1〜4の範囲が好ましく、5:2〜3の範
囲がより好ましい。
【0012】本発明のB−3成分の具体的例としては、
トリス(ジメチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ
エチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−
プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブ
チルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t
ert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,
6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト等が
あげられ、トリス(ジアルキル置換フェニル)ホスファ
イトが好ましく、トリス(ジ−tert−ブチルフェニ
ル)ホスファイトがより好ましく、トリス(2,4−ジ
−tert−ブチルフェニル)ホスファイトが特に好ま
しい。かかるB−3成分の化合物は1種または2種以上
の混合物であってもよい。
【0013】本発明のリン系安定剤組成物の量は、芳香
族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.0
001〜0.15重量部の範囲であり、0.001〜
0.15重量部の範囲がより好ましく、0.0015〜
0.05重量部の範囲が最も好ましい。
【0014】本発明でいう「リン系安定剤組成物中に含
まれる塩素原子および塩素イオン」とは、本発明のリン
系安定剤組成物に含有した塩素化合物に由来するもので
ある。その塩素化合物は、例えば、製造過程において該
安定剤中に生じたり、原料の段階から存在していたもの
であって、かつ、精製時に除去しきれないものである。
これらの塩素化合物は、具体的に、製造(反応、精製な
ど)時に使用した塩素系溶媒、塩素系触媒、未反応塩
素、副生したハロゲン化水素、副生したハロゲン化水素
のアンモニウムやアミン塩などを挙げることができる。
【0015】該リン系安定剤組成物に含有する塩素化合
物を低減する方法には、安定剤の製造において、精製を
強化する方法がある。例えば、溶媒を使用した洗浄によ
る精製の場合、洗浄用溶媒を増やしたり、洗浄回数を多
くしたり、塩素化合物を選択的に溶解しやすい溶媒を用
いること等を挙げることができる。蒸留、あるいは、昇
華による精製の場合は、精留塔部を長くして蒸留段数を
増やして、分離能を上げる方法等がある。また、該リン
系安定剤組成物に含有する塩素化合物を低減するため
に、製造における合成反応終了直後でかつ精製前の時点
において、塩素化合物を少なくしておくことも有効であ
る。例えば、使用する塩素系触媒の量を減らすこと、塩
素を含まない触媒を用いること、反応溶媒として使用す
る塩素系溶媒の量を減らすこと、塩素系溶媒を使用しな
いこと、反応をより完全に完結させること等をあげるこ
とができる。反応をより完全に終結させるためには、反
応時間を長くしたり、反応温度を上げたり、より活性な
触媒を使用したり、原料の仕込みにおいて「塩素化合物
に対するフェノール化合物のモル比」を大きくしたり、
製造工程に脱塩化水素反応がある場合は、塩化水素の補
足効率をあげる方法等を挙げることができる。
【0016】また、該リン系安定剤組成物に「塩化水素
と塩化水素補足剤との反応生成物」を含有する場合、こ
れを低減するために、これまで述べた方法以外に、精製
段階で除去しやすい「塩化水素と塩化水素補足剤との反
応生成物」となるような塩化水素補足剤を使用すること
等が挙げられる。
【0017】該リン系安定剤の製造において、触媒とし
て塩素系触媒を使用し、該安定剤中にこの塩素系触媒や
それに由来する塩素系化合物が残存する場合、それらを
低減する方法として、これまで述べた方法以外に、精製
段階で除去しやすいものを塩素系触媒として選択する方
法を挙げることができる。
【0018】該リン系安定剤の製造において、溶媒とし
て塩素系溶媒を使用する場合、該安定剤中の塩素系溶媒
を低減するには、これまで述べた方法以外に、精製段階
で非塩素系の溶媒で洗浄したり、乾燥時間を延長する方
法等があげられる。
【0019】該リン系安定剤に含有する塩素化合物を低
減する方法として、これまで述べた方法を安定剤の生産
効率や収率を犠牲にすることなく実施するのが好まし
い。しかしながら、本発明の目的を達成するためには、
安定剤の生産効率や収率を例え低くても、これまで述べ
た方法を実施してもよい。
【0020】本発明における「塩素原子および塩素イオ
ン濃度」は、任意の方法で測定することができる。例え
ば、化学分析法、蛍光X線法、燃焼クロル法、ヘッドス
ペースガスクロマトグラフィー法、パージアンドトラッ
プガスクロマトグラフィー法をあげることができる。そ
の中でも、特に好ましいのは、蛍光X線法であり、塩素
原子と塩素イオンを同時に測定できる。
【0021】かかる塩素原子および塩素イオン濃度は1
〜11000ppmであり、好ましくは1〜8000p
pmであり、より好ましくは1〜3000ppmであ
る。
【0022】B−1成分に含有する塩素原子および塩素
イオンを完全に取除くことは工業的に困難な面があり、
経済的な観点からその濃度は1〜13700ppmであ
り、好ましくは1〜10000ppmであり、より好ま
しくは1〜5500ppmである。
【0023】B−2成分に含有する塩素原子および塩素
イオンを完全に取除くことは工業的に困難な面があり、
経済的な観点からその濃度は1〜20000ppmであ
り、好ましくは1〜14500ppmであり、より好ま
しくは1〜5500ppmである。
【0024】B−3成分に含有する塩素原子および塩素
イオンを完全に取除くことは工業的に困難な面があり、
経済的な観点からその濃度は0.1〜50ppmであ
り、好ましくは0.1〜40ppmであり、より好まし
くは10〜40ppmである。
【0025】本発明における芳香族ポリカーボーネート
樹脂の有機溶媒溶液とは、通常、界面重合法における製
造において反応終了時点で得られる「芳香族ポリカーボ
ーネート樹脂の有機溶媒溶液」を示し、この溶液につい
て酸性水あるいは/および中性水での撹拌洗浄処理、一
定の濃縮処理、異物除去等を目的とした濾過処理、水分
除去処理、その他製造工程で行われているいずれの処理
を施したものであっても、また、複数の処理を施したも
のであってもよい。
【0026】また、本発明における芳香族ポリカーボー
ネート樹脂の有機溶媒溶液は、予め準備した乾燥芳香族
ポリカーボネート樹脂のパウダー、フレーク、あるいは
ペレットを有機溶媒に溶かしたものも使用できるが、工
程管理が容易である上記界面重合法における製造におい
て反応終了時点で得られる「芳香族ポリカーボーネート
樹脂の有機溶媒溶液」が好ましい。
【0027】本発明における芳香族ポリカーボーネート
樹脂の有機溶媒溶液から有機溶媒を除去して得られる固
体の芳香族ポリカーボーネート樹脂を製造する方法と
は、該有機溶媒溶液を公知の方法や装置を用いて加熱濃
縮しながら造粒し、得られた粉体を乾燥する方法を示
す。造粒法としては、例えば、貧溶媒法やニーダーを用
いる方法、薄膜蒸発器を用いる方法、スプレードライヤ
ーを用いる方法、スチームチューブドライヤーを用いる
方法、フラッシュドライ法等が挙げられる。また、濃縮
槽で濃縮して加熱溶融状態のまま押出しペレット化する
方法、濃縮槽で濃縮して得られた固体を粉砕する方法、
濃縮槽で濃縮して溶融状態のまま押出をして得たペレッ
トを粉砕する方法などがある。貧溶媒法で用いる攪拌シ
ステムとしては、パドル翼撹拌、ヘリカル翼撹拌、ホモ
ミキサー撹拌、ニーダー撹拌等が挙げられる。
【0028】本発明における芳香族ポリカーボネート樹
脂の分子量は、粘度平均分子量(M)で10,000〜
50,000が好ましく、14,000〜35,000
がより好ましい。かかる粘度平均分子量を有する芳香族
ポリカーボネート樹脂は、押出・成形加工時に比較的良
好な流動性を保ちながら、得られた成形品に関して一定
の機械的強度を有するので好ましい。
【0029】本発明でいう粘度平均分子量は、塩化メチ
レン100mlに芳香族ポリカーボネート樹脂0.7g
を20℃で溶解した溶液を用いて測定された比粘度(η
SP)を次式に挿入して求めるMを指す。 ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]
は極限粘度) [η]=1.23×10-40.83 c=0.7
【0030】本発明で使用される芳香族ポリカーボネー
ト樹脂は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを界
面重合法(溶液法)また溶融法で反応させて得られるも
のである。経済的な観点から、好ましくは、界面重合法
(溶液法)で得られたものである。ここで使用される二
価フェノールの代表的な例としては、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノール
A)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2
−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)
プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ
ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロ
キシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)エーテル、4,4−ジヒドロキシジフ
ェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等が挙げられ
る。好ましい二価フェノールは、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)アルカンであり、なかでもビスフェノールA
が特に好ましい。
【0031】カーボネート前駆体としてはカルボニルハ
ライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等
が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネ
ートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げ
られる。
【0032】上記二価フェノールとカーボネート前駆体
を界面重合法または溶融法によって反応させて芳香族ポ
リカーボネート樹脂を製造するに当っては、二価フェノ
ールは単独または2種以上を使用することができ、必要
に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化防止
剤等を使用してもよい。また芳香族ポリカーボネート樹
脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分
岐ポリカーボネート樹脂であってもよい。また、2種以
上の芳香族ポリカーボネート樹脂の混合物であってもよ
い。
【0033】界面重合法による反応は、通常二価フェノ
ールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶
媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸
化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。有
機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼン
等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促進
のために例えば第三級アミンや第四級アンモニウム塩等
の触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常
0〜40℃であり、反応時間は数分〜5時間程度であ
る。
【0034】溶融法による反応は、通常二価フェノール
とジフェニルカーボネートとのエステル交換反応であ
り、不活性ガスの存在下に二価フェノールとジフェニル
カーボネートを混合し、減圧下通常120〜350℃で
反応させる。減圧度は段階的に変化させ、最終的には1
mmHg以下にして生成したフェノール類を系外に除去
させる。反応時間は通常1〜4時間程度である。
【0035】また、重合反応において、末端停止剤とし
て単官能フェノール類を使用することができる。とくに
カーボネート前駆物質としてホスゲンを使用する反応の
場合、単官能フェノール類は末端停止剤として分子量調
節のために一般的に使用され、また得られた芳香族ポリ
カーボネート樹脂は、末端が単官能フェノール類に基づ
く基によって封鎖されているので、そうでないものと比
べて熱安定性に優れている。かかる単官能フェノール類
としては、ポリカーボネートの末端停止剤として使用さ
れるものであればよく、一般にはフェノールまたは低級
アルキル置換フェノールであって、下記一般式(4)で
表される単官能フェノール類を示すことができる。
【0036】
【化3】
【0037】[式中、Rは水素原子または炭素数1〜9
のアルキル基もしくはフェニルアルキル基であり、mは
1〜5、好ましくは1〜3の整数を示す。]
【0038】前記単官能フェノール類の具体例として
は、例えばフェノール、p−tert−ブチルフェノー
ル、p−クミルフェノールおよびイソオクチルフェノー
ルが挙げられる。
【0039】本発明で得られた固体の芳香族ポリカーボ
ネート樹脂は、これを用いて任意の芳香族ポリカーボネ
ート樹脂組成物を製造することができる。芳香族ポリカ
ーボネート樹脂組成物成形時における分子量の低下や色
相の悪化を高度に防止するために、押出加工前に、本発
明の請求項で示したリン系安定剤組成物の成分化合物や
他の熱安定剤を配合することができる。かかる熱安定剤
としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン
酸およびこれらのエステル等が挙げられ、具体的には、
トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)
ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチル
ホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシ
ルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニル
ホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイ
ト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジ
フェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスフ
ァイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メ
チルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、
2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチル
フェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニ
ル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,
4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリト
ールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトー
ルジホスファイト、トリブチルホスフェート、トリエチ
ルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニ
ルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフ
ェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェー
ト、ジイソプロピルホスフェート、ベンゼンホスホン酸
ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホス
ホン酸ジプロピル等が挙げられる。なかでも、亜リン
酸、トリメチルホスフェート、ベンゼンホスホン酸ジメ
チルが好ましく使用される。
【0040】これらは、1種もしくは2種以上を混合し
て用いてもよい。かかる熱安定剤の配合量は、該芳香族
ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.001
〜0.15重量部が好ましく、0.001〜0.10重
量部がより好ましく、0.001〜0.05重量部がさ
らに好ましい。
【0041】本発明で得られた固体の芳香族ポリカーボ
ネート樹脂を用いて任意の芳香族ポリカーボネート樹脂
組成物を製造する場合、芳香族ポリカーボネート樹脂組
成物には、酸化防止の目的で通常知られた酸化防止剤を
配合することができる。かかる酸化防止剤としては、例
えばペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプト
プロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス
(3−ラウリルチオプロピオネート)、グリセロール−
3−ステアリルチオプロピオネート、トリエチレングリ
コール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,
6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−te
rt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,
5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−
tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス
(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベン
ジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5
−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシン
ナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒド
ロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、ト
リス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ
ベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ビフェニレン
ジホスホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert
−ブチルフェニル)、3,9−ビス{1,1−ジメチル
−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ
−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}
−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウ
ンデカン等が挙げられる。これら酸化防止剤の配合量
は、該芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し
て0.001〜0.05重量部が好ましい。
【0042】本発明で得られた固体の芳香族ポリカーボ
ネート樹脂を用いて任意の芳香族ポリカーボネート樹脂
組成物を製造する場合、芳香族ポリカーボネート樹脂組
成物には、溶融成形時の金型からの離型性をより向上さ
せるために、本発明の目的を損なわない程度で離型剤を
配合することができる。かかる離型剤としては、一価ま
たは多価アルコールの高級脂肪酸エステル、ポリオルガ
ノシロキサン、パラフィンワックス、蜜蝋等が挙げられ
る。かかる高級脂肪酸エステルとしては、炭素原子数1
〜20の一価または多価アルコールと炭素原子数10〜
30の飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルで
あるのが好ましい。かかる一価または多価アルコールと
飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルとして
は、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリ
セリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モ
ノソルビテート、ベヘニン酸モノグリセリド、ペンタエ
リスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトール
テトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラペラ
ルゴネート、プロピレングリコールモノステアレート、
ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ブ
チルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパ
ルミテート、ビフェニルビフェネ−ト、ソルビタンモノ
ステアレート、2−エチルヘキシルステアレート等が挙
げられ、なかでも、ステアリン酸モノグリセリド、ステ
アリン酸トリグリセリド、ペンタエリスリトールテトラ
ステアレートが好ましく用いられる。かかる離型剤の配
合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物100重量
部に対して0.001〜0.5重量部が好ましい。
【0043】本発明で得られた固体の芳香族ポリカーボ
ネート樹脂を用いて任意の芳香族ポリカーボネート樹脂
組成物を製造する場合、芳香族ポリカーボネート樹脂組
成物には、紫外線吸収剤を配合することができる。紫外
線吸収剤化合物は、具体的に、ベンゾフェノン系では、
2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ
−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−
オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベン
ジロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキ
シ−5−スルホキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−
4−メトキシ−5−スルホキシトリハイドライドレイト
ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキ
シベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロ
キシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,
4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロ
キシ−4,4’−ジメトキシ−5−ソジウムスルホキシ
ベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキ
シ−2−メトキシフェニル)メタン、2−ヒドロキシ−
4−n−ドデシルオキシベンソフェノン、2−ヒドロキ
シ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン等
があげられ、ベンゾトリアゾール系では、2−(2−ヒ
ドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、
2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニ
ル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,
5−ジクミルフェニル)フェニルベンゾトリアゾール、
2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メ
チルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,
2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメ
チルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−
イル)フェノール]、2−(2−ヒドロキシ−3,5−
ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、
2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチル
フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2
−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニ
ル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−
tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2
−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)
ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−4−オク
トキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2’−メチ
レンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニ
ル)、2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾ
オキサジン−4−オン)、2−[2−ヒドロキシ−3−
(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)
−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾ−ルがあげら
れ、これらを単独あるいは2種以上の混合物で用いるこ
とができる。
【0044】本発明で得られた固体の芳香族ポリカーボ
ネート樹脂を用いて任意の芳香族ポリカーボネート樹脂
組成物を製造する場合、芳香族ポリカーボネート樹脂組
成物には、帯電防止剤を配合することができる。かかる
帯電防止剤としては、例えばポリエーテルエステルアミ
ド、グリセリンモノステアレート、ドデシルベンゼンス
ルホン酸アンモニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸
ホスホニウム塩、無水マレイン酸モノグリセライド、無
水マレイン酸ジグリセライド、カーボン、グラファイ
ト、金属粉末等が挙げられる。かかる帯電防止剤の配合
量は、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物100重量部
に対して0.1〜10重量部が好ましい。
【0045】本発明で得られた固体の芳香族ポリカーボ
ネート樹脂を用いて任意の芳香族ポリカーボネート樹脂
組成物を製造する場合、芳香族ポリカーボネート樹脂組
成物には、ブルーイング剤を配合することができる。ブ
ルーイング剤は、樹脂組成物の黄色味を消すために有効
である。とくに耐候性を付与した組成物の場合は、一定
量の紫外線吸収剤が配合されているため「紫外線吸収剤
の作用や色」によって樹脂製品が黄色味を帯びやすい現
実があり、とくにシート製品やレンズ製品に自然な透明
感を付与するためにはブルーイング剤の配合は非常に有
効である。ブルーイング剤の配合量は、樹脂組成物全体
の0.05〜1.5ppmであり、好ましくは、0.1
〜1.2ppmである。配合量多すぎると樹脂製品の青
みが強くなって視感透明度が低下する。ブル−イング剤
としては代表例として、チバ・スペシャリティ・ケミカ
ルズ社のマクロレックスバイオレットやトリアゾ−ルブ
ル−RLS等があげられるが、特に制限されるものでは
ない。
【0046】本発明で得られた固体の芳香族ポリカーボ
ネート樹脂を用いて任意の芳香族ポリカーボネート樹脂
組成物を製造する場合、芳香族ポリカーボネート樹脂組
成物には、難燃剤を配合することができる。難燃剤とし
ては、ハロゲン化ビスフェノールAのポリカーボネート
型難燃剤、有機塩系難燃剤、芳香族リン酸エステル系難
剤、あるいは、ハロゲン化芳香族リン酸エステル型難燃
剤等があげられ、それらを一種以上配合することができ
る。具体的にハロゲン化ビスフェノールAのポリカーボ
ネート型難燃剤は、テトラブロモビスフェノールAのポ
リカーボネート型難燃剤、テトラブロモビスフェノール
AとビスフェノールAとの共重合ポリカーボネート型難
燃剤等である。具体的に有機塩系難燃剤は、ジフェニル
スルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェ
ニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、2,4,5−
トリクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム、2,4,5
−トリクロロベンゼンスルホン酸カリウム、ビス(2,
6−ジブロモ−4−クミルフェニル)リン酸カリウム、
ビス(4−クミルフェニル)リン酸ナトリウム、ビス
(p−トルエンスルホン)イミドカリウム、ビス(ジフ
ェニルリン酸)イミドカリウム、ビス(2,4,6−ト
リブロモフェニル)リン酸カリウム、ビス(2,4−ジ
ブロモフェニル)リン酸カリウム、ビス(4−ブロモフ
ェニル)リン酸カリウム、ジフェニルリン酸カリウム、
ジフェニルリン酸ナトリウム、パーフルオロブタンスル
ホン酸カリウム、ラウリル硫酸ナトリウムあるいはカリ
ウム、ヘキサデシル硫酸ナトリウムあるいはカリウム等
である。具体的にハロゲン化芳香族リン酸エステル型難
燃剤は、トリス(2,4,6−トリブロモフェニル)ホ
スフェート、トリス(2,4−ジブロモフェニル)ホス
フェート、トリス(4−ブロモフェニル)ホスフェート
等である。具体的に芳香族リン酸エステル系難剤は、ト
リフェニルホスフェート、トリス(2,6−キシリル)
ホスフェート、テトラキス(2,6−キシリル)レゾル
シンジホスフェート、テトラキス(2,6−キシリル)
ヒドロキノンジホスフェート、テトラキス(2,6−キ
シリル)−4,4’−ビフェノールジホスフェート、テ
トラフェニルレゾルシンジホスフェート、テトラフェニ
ルヒドロキノンジホスフェート、テトラフェニル−4,
4’−ビフェノールジホスフェート、芳香環ソースがレ
ゾルシンとフェノールでありフェノール性OH基を含ま
ない芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがレゾルシ
ンとフェノールでありフェノール性OH基を含む芳香族
ポリホスフェート、芳香環ソースがヒドロキノンとフェ
ノールでありフェノール性OH基を含まない芳香族ポリ
ホスフェート、同様のフェノール性OH基を含む芳香族
ポリホスフェート、(以下に示す「芳香族ポリホスフェ
ート」は、フェノール性OH基を含む芳香族ポリホスフ
ェートと含まない芳香族ポリホスフェートの両方を意味
するものとする)芳香環ソースがビスフェノールAとフ
ェノールである芳香族ポリホスフェート、芳香環ソース
がテトラブロモビスフェノールAとフェノールである芳
香族ポリホスフェート、芳香環ソースがレゾルシンと
2,6−キシレノールである芳香族ポリホスフェート、
芳香環ソースがヒドロキノンと2,6−キシレノールで
ある芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがビスフェ
ノールAと2,6−キシレノールである芳香族ポリホス
フェート、芳香環ソースがテトラブロモビスフェノール
Aと2,6−キシレノールである芳香族ポリホスフェー
ト等である。
【0047】本発明で得られた固体の芳香族ポリカーボ
ネート樹脂を用いて任意の芳香族ポリカーボネート樹脂
組成物を製造する場合、ポリカーボネート樹脂組成物に
は、他の樹脂やエラストマーを少割合配合することもで
きる。
【0048】かかる他の樹脂としては、例えばポリエチ
レンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の
ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、
ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコー
ン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレン
スルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエチレン、ポ
リプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹
脂、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS樹
脂)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合
体(ABS樹脂)、ポリメタクリレート樹脂、フェノー
ル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。
【0049】また、エラストマーとしては、例えばイソ
ブチレン/イソプレンゴム、スチレン/ブタジエンゴ
ム、エチレン/プロピレンゴム、アクリル系エラストマ
ー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラス
トマー、コアシェル型のエラストマーであるMBS(メ
タクリル酸メチル/ステレン/ブタジエン)ゴム、MA
S(メタクリル酸メチル/アクリロニトリル/スチレ
ン)ゴム等が挙げられる。
【0050】本発明で得られた固体の芳香族ポリカーボ
ネート樹脂を用いて任意の芳香族ポリカーボネート樹脂
組成物を製造する場合、芳香族ポリカーボネート樹脂組
成物において芳香族ポリカーボネート樹脂とリン系安定
剤組成物や他の配合添加剤をブレンドするには、任意の
方法が採用される。例えばタンブラー、V型ブレンダ
ー、スーパーミキサー、ナウターミキサー、バンバリー
ミキサー、混練ロール、押出機等で混合する方法が適宜
用いられる。こうして得られた芳香族ポリカーボネート
樹脂組成物パウダーやペレットのブレンド品は、そのま
ま又は溶融押出機で一旦ペレット状にしてから、射出成
形法、押出成形法、圧縮成形法、シート押出し法等の通
常知られている方法で成形品やシートにすることができ
る。
【0051】リン系安定剤組成物や他の添加剤のブレン
ドにあたっては、一段階で実施してもよいが、二段階以
上に分けて実施してもよい。二段階に分けて実施する方
法には、例えば、配合予定の芳香族ポリカーボネート樹
脂パウダーやペレットの一部と配合添加剤とをブレンド
した後、つまり、配合添加剤を芳香族ポリカーボネート
樹脂パウダーで希釈して添加剤のマスターバッチとした
後、これを用いて最終的なブレンドを行う方法がある。
【0052】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。な
お、評価は下記の方法で行った。
【0053】(1)安定剤のCl含有量 蛍光X線法により、安定剤中の塩素原子および塩素イオ
ンを測定した。
【0054】(2)b値 実施例、比較例、参考例で得たポリカーボネート樹脂パ
ウダーを120℃で5時間乾燥し、280℃の温度設定
で押出を行いペレットを得た。これを成形温度340
℃、1分サイクルで見本板(70mm×50mm×2m
m)を成形した。この見本板(平板)の色相(b値)を
色差計により測定した。
【0055】実施例、比較例、参考例で用いたリン系安
定剤は以下の通りである。 B−1安定剤 テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,
4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,
4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレ
ンジホスホナイトおよび、テトラキス(2,4−ジ−t
−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホ
ナイトの100:50:10(重量比)混合物 B−2安定剤 ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−
フェニル−フェニルホスホナイトおよびビス(2,4−
ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェ
ニルホスホナイトの5:3(重量比)混合物 B−3安定剤 トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホス
ファイト
【0056】[実施例1〜7、比較例1、参考例1〜
2]ビスフェノールA、p−tert−ブチルフェノー
ル(末端停止剤)とホスゲンから界面重合法により得ら
れた「『表1に示す分子量のポリカーボネート樹脂』の
塩化メチレン溶液(約12%重量濃度)」に対し、表1
のようなCl含量のリン系安定剤あるいは安定剤組成物
を表1に示した通り添加混合した。この溶液を60℃の
温水(ニーダー内部空間容量の10%程度を占める量)
が仕込まれたニーダーに撹拌下に投入し、スチームを吹
込みながら塩化メチレンを蒸発除去させてポリカーボネ
ート樹脂の造粒を行った。塩化メチレン溶液の投入には
1時間をかけ、投入終了後もそのまま撹拌を10分間継
続して行い、ポリカーボネート粉粒体の水スラリーを得
た。得られた水スラリーは、ポリカーボネート粉粒体の
量が水スラリーの量に対して約25重量%でり、塩化メ
チレンの量が水スラリーの量に対して約25重量%であ
った。かかる水スラリーを粉砕機に通してスラリー中の
ポリカーボネートを粉砕し、さらに遠心脱水を行いポリ
カーボネート粉体を得た。このポリカーボネート粉体を
乾燥機に入れて120℃で7時間乾燥し、ポリカーボネ
ート樹脂パウダーを得た。
【0057】このポリカーボネート樹脂パウダーに関し
て粘度分子量測定を行い、表1の評価結果を得た。ま
た、押出・成形を行ってb値を測定し、表1の評価結果
を得た。
【0058】
【表1】
【0059】
【発明の効果】「芳香族ポリカーボーネート樹脂の有機
溶媒溶液」から有機溶媒を除去して固体の芳香族ポリカ
ーボーネート樹脂を得る工程において、「芳香族ポリカ
ーボーネート樹脂の有機溶媒溶液」に特定のリン系安定
剤を予め添加しておく方法を実施しする上で、該リン系
安定剤に含まれる塩素原子あるいは塩素イオン濃度を規
定することによって、「製造で得られる乾燥芳香族ポリ
カーボーネート樹脂の色相」を高度に向上させ「該工程
における芳香族ポリカーボーネート樹脂の分子量低下」
を高度に抑制できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 CG011 CG021 CG031 EW066 EW116 FD036 4J029 AA10 AB04 AC01 AC02 AD01 AE01 AE03 BB10A BB12A BB13A BB13B BD09A BF14A BG08X BH02 DB07 DB13 HC01 HC02 HC05A JC473 JC483 KB04 KE05 KE09 KE11

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ポリカーボーネート樹脂の有機溶
    媒溶液から有機溶媒を除去して得られる固体の芳香族ポ
    リカーボーネート樹脂を製造する方法において、粘度平
    均分子量が10,000〜50,000の芳香族ポリカ
    ーボーネート樹脂の有機溶媒溶液に該芳香族ポリカーボ
    ーネート樹脂100重量部当り、塩素原子および塩素イ
    オン濃度が1〜11000ppmである下記一般式
    (1)〜(3)で表される化合物から選ばれた少なくと
    も1種のリン系安定剤を0.0001〜0.15重量部
    添加してなる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造
    方法。 【化1】 [式中、Ar1、Ar2はアルキル置換基があってもよ
    い芳香族基であって、同一でも異なっていてもよい。ま
    たAr3はジアルキル置換芳香族基であって、同一でも
    異なっていてもよい。]
  2. 【請求項2】 リン系安定剤が一般式(1)で表される
    化合物(B−1成分)、一般式(2)で表される化合物
    (B−2成分)、一般式(3)で表される化合物(B−
    3成分)からなり、その合計を100重量%とした時、
    B−1成分が40〜80重量%、B−2成分が0〜25
    重量%およびB−3成分が5〜50重量%であるリン系
    安定剤組成物またはB−3成分からなる請求項1記載の
    芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
  3. 【請求項3】 リン系安定剤が一般式(1)で表される
    化合物(B−1成分)、一般式(2)で表される化合物
    (B−2成分)、一般式(3)で表される化合物(B−
    3成分)からなり、その合計を100重量%とした時、
    B−1成分が40〜80重量%、B−2成分が0〜25
    重量%およびB−3成分が5〜50重量%であるリン系
    安定剤組成物である請求項2記載の芳香族ポリカーボネ
    ート樹脂組成物の製造方法。
  4. 【請求項4】 B−2成分が5〜25重量%である請求
    項3記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方
    法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006143967A (ja) * 2004-11-24 2006-06-08 Teijin Chem Ltd 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法
JP2006143966A (ja) * 2004-11-24 2006-06-08 Teijin Chem Ltd 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物および成形品
JP2013185083A (ja) * 2012-03-08 2013-09-19 Teijin Ltd 芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法

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