JP2013185083A - 芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記(A)および(B)の工程を経て芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットを製造する方法において、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液から有機溶媒を除去して芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体を得る工程、(B)(A)工程で得られた芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体に各種添加剤を配合して押出し、芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットを得る工程、(A)工程の芳香族ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液に該芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部あたりフォスファイト化合物0.003〜0.05重量部を添加すること、かつ(B)工程の押出時に該芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体100重量部あたりフォスファイト化合物0.005〜0.1重量部を添加することを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法。
【選択図】なし
Description
特に透明性、機械的特性に優れることから光学材料、建設材料としての用途も多く、自動車ランプレンズ、照明グローブ、各種光学レンズ、グレージング、アーケード用途等に使用されている。しかしながら、これら用途に使用する際は屋外での使用が多く耐候性が不可欠であるが、芳香族ポリカーボネート樹脂は耐候性が十分ではなく、長期の屋外の使用において分解・劣化が進行し、物性、外観が損なわれることが知られている。
例えば、耐候性を付与するためには紫外線吸収剤を配合する場合が多い。しかしながら、紫外線吸収剤を有効量添加すると組成物の耐熱性が低下する傾向にある。耐熱性の低下を防ぐための方法としては例えばリン系安定剤を配合する方法等があげられる。
1.下記(A)および(B)の工程を経て芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットを製造する方法において、
(A)芳香族ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液から有機溶媒を除去して芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体を得る工程
(B)(A)工程で得られた芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体に各種添加剤を配合して押出し、芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットを得る工程
(A)工程の芳香族ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液に該芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部あたり下記式(1)で示されるリン系安定剤0.003〜0.05重量部を添加すること、かつ(B)工程の押出時に該芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体100重量部あたり下記式(1)で示されるリン系安定剤0.005〜0.1重量部を添加することを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法。
2.式(1)で示されるリン系安定剤におけるR1及びR2が、それぞれtert−ブチル基である前項1に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法。
3.(B)工程において、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部あたり、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ヒドロキシフェニルトリアジン系、サリチル酸フェニル系およびヒンダードアミン系の紫外線吸収剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の紫外線吸収剤を0.1〜10重量部添加する前項1または2に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法。
4.芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が、10,000〜50,000である前項1〜3のいずれか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法。
5.ポリカーボネート樹脂ペレットは、該ポリカーボネート樹脂ペレットをシリンダー温度350℃、金型温度80℃の条件で、成形サイクル60秒で成形して得られた厚み2mmの「滞留前の成形板」と、シリンダー中に樹脂を10分間滞留させた後に成形して得られた厚み2mmの「滞留後の成形板」とにおいて、下記式により算出される成形板の色相変化(ΔE)が0.5以下である前項1〜4のいずれか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法。
ΔE ={(L−L’)2+(a−a’)2+(b−b’)2}1/2
「滞留前の成形板」の色相:L、a、b
「滞留後の成形板」の色相:L’、a’、b’
6.ポリカーボネート樹脂ペレットは、該ポリカーボネート樹脂ペレットをシリンダー温度350℃、金型温度80℃の条件で、成形サイクル60秒で成形して得られた厚み2mmの「滞留前の成形板」と、シリンダー中に樹脂を10分間滞留させた後に成形して得られた厚み2mmの「滞留後の成形板」とにおいて、下記式により算出される成形板の粘度平均分子量の変化(ΔM)が1.5以下である前項1〜4のいずれか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法。
ΔM = M−M’
「滞留前の成形板」 の粘度平均分子量:M
「滞留後の成形板」 の粘度平均分子量:M’
が提供される。
(リン系安定剤)
本発明で用いるリン系安定剤としては、上記式(1)で示される化合物である。
R1〜R3は、それぞれ、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基である。R1及びR2は、それぞれ、好ましくは炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基であり、R3は、好ましくは炭素数1〜18の直鎖または分岐のアルキル基である。R1及びR2の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基などが挙げられ、特に好ましくは、tert−ブチル基が挙げられる。R3の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基などが挙げられ、特に好ましくは,直鎖のオクチル基が挙げられる。m及びnは、それぞれ0〜4の整数であり、好ましくは2である。m及びnが2の場合、R1及びR2は、ベンゼン環に結合している酸素原子のオルソ位及びパラ位で結合していることが好ましい。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットを製造する方法において、(A)工程として芳香族ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液から有機溶媒を除去して芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体を得る工程を行う。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットを製造する方法において、上記(A)工程で得られた芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体に各種添加剤を配合して押出し、芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットを得る工程を行う。
各種添加剤としては、例えば以下のような添加剤が挙げられる。
かかる他の樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリメタクリレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。
本発明における芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は、粘度平均分子量(M)で10,000〜50,000が好ましく、14,000〜35,000がより好ましい。かかる粘度平均分子量を有する芳香族ポリカーボネート樹脂は、押出・成形加工時に比較的良好な流動性を保ちながら、得られた成形品に関して一定の機械的強度を有するので好ましい。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4M0.83
c=0.7
本発明で使用される芳香族ポリカーボネート樹脂は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを界面重合法(溶液法)また溶融法で反応させて得られるものであり、好ましくは界面重合法(溶液法)で得られたものである。ここで使用される二価フェノールの代表的な例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、4,4−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等が挙げられる。好ましい二価フェノールは、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンであり、なかでもビスフェノールAが特に好ましい。
上記二価フェノールとカーボネート前駆体を界面重合法または溶融法によって反応させて芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、二価フェノールは単独または2種以上を使用することができ、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化防止剤等を使用してもよい。また芳香族ポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であってもよい。また、2種以上の芳香族ポリカーボネート樹脂の混合物であってもよい。
本発明の製造方法で得られた芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットは、成形耐熱性に優れる。
該ポリカーボネート樹脂ペレットは、該ポリカーボネート樹脂ペレットをシリンダー温度350℃、金型温度80℃の条件で、成形サイクル60秒で成形して得られた厚み2mmの「滞留前の成形板」と、シリンダー中に樹脂を10分間滞留させた後に成形して得られた厚み2mmの「滞留後の成形板」とにおいて、下記式により算出される成形板の色相変化(ΔE)が0.5以下であることが好ましく、0.4以下であることがより好ましい。
ΔE ={(L−L’)2+(a−a’)2+(b−b’)2}1/2
「滞留前の成形板」の色相:L、a、b
「滞留後の成形板」の色相:L’、a’、b’
ΔM = M−M’
「滞留前の成形板」 の粘度平均分子量:M
「滞留後の成形板」 の粘度平均分子量:M’
ΔE ={(L−L’)2+(a−a’)2+(b−b’)2}1/2
「滞留前の成形板」の色相:L、a、b
「滞留後の成形板」の色相:L’、a’、b’
また、得られた滞留前後の成形板の粘度平均分子量の変化(ΔM)を測定した。ΔMが大きいほど成形耐熱性に劣ることを示す。
ΔM = M−M’
「滞留前の成形板」 の分子量:M
「滞留後の成形板」 の分子量:M’
ΔHaze = 処理後の成形板のHaze − 処理前の成形板のHaze
(a成分)
a−1:ビスフェノールAとホスゲンから界面重合法により製造された粘度平均分子量22,500の芳香族ポリカーボネート樹脂パウダー
a−2:ビスフェノールAとホスゲンから界面重合法により製造された粘度平均分子量23,900の芳香族ポリカーボネート樹脂パウダー
a−3:ビスフェノールAとホスゲンから界面重合法により製造された粘度平均分子量27,000の芳香族ポリカーボネート樹脂パウダー
(b成分)
b−1:リン系酸化防止剤 2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルフォスファイト ((株)ADEKA製 アデカスタブHP−10)
b−2:リン系酸化防止剤 トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト (バスフジャパン(株)製 イルガフォス168)
b−3:ヒンダードフェノール系酸化防止剤 オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート (バスフジャパン(株)製 イルガノックス1076)
b−4:リン系酸化防止剤 ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト ((株)ADEKA製 アデカスタブPEP−36)
(c成分)
c−1:離型剤 グリセリンモノステアレート (理研ビタミン(株)製 リケマールS−100A)
c−2:離型剤 ペンタエリスリトールテトラステアレート (エメリー オレオケミカルズ(株)製:ロキシオールVPG861)
(d成分)
d−1:紫外線吸収剤 2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール (ケミプロ化成(株)製 ケミソーブ79)
d−2:紫外線吸収剤 2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシルオキシ)フェノール (バスフジャパン(株)製 チヌビン1577)
(その他添加剤)
ブルーイング剤(バイエル(株)製:マクロレックスバイオレットB)
(A工程)ビスフェノールA、p−tert−ブチルフェノール(末端停止剤)とホスゲンから界面重合法により得られた粘度平均分子量22,500の芳香族ポリカーボネート樹脂の塩化メチレン溶液(約12%重量濃度)に、b成分を表1に示した通り添加混合した。この溶液を60℃の温水(ニーダー内部空間容量の10%程度を占める量)が仕込まれたニーダーに撹拌下で投入し、スチームを吹込みながら塩化メチレンを蒸発除去させて芳香族ポリカーボネート樹脂の造粒を行った。塩化メチレン溶液の投入には1時間をかけ、投入終了後もそのまま撹拌を10分間継続して行い、芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体の水スラリーを得た。得られた水スラリーは、芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体の量が水スラリーの量に対して約25重量%であり、塩化メチレンの量が水スラリーの量に対して約25重量%であった。かかる水スラリーを粉砕機に通してスラリー中の芳香族ポリカーボネート樹脂を粉砕し、さらに遠心脱水を行い芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体を得た。この芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体を乾燥機に入れて120℃で7時間乾燥し、芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体(パウダー)を得た。
粘度平均分子量が23,900の界面重合法により得られた芳香族ポリカーボネート樹脂を使用すること以外は、実施例1と同様の操作を行った。
粘度平均分子量が27,000の界面重合法により得られた芳香族ポリカーボネート樹脂を使用すること以外は、実施例1と同様の操作を行った。
Claims (6)
- 下記(A)および(B)の工程を経て芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットを製造する方法において、
(A)芳香族ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液から有機溶媒を除去して芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体を得る工程
(B)(A)工程で得られた芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体に各種添加剤を配合して押出し、芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットを得る工程
(A)工程の芳香族ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液に該芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部あたり下記式(1)で示されるリン系安定剤0.003〜0.05重量部を添加すること、かつ(B)工程の押出時に該芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体100重量部あたり下記式(1)で示されるリン系安定剤0.005〜0.1重量部を添加することを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法。
- 式(1)で示されるリン系安定剤におけるR1及びR2が、それぞれtert−ブチル基である請求項1に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法。
- (B)工程において、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部あたり、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ヒドロキシフェニルトリアジン系、サリチル酸フェニル系およびヒンダードアミン系の紫外線吸収剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の紫外線吸収剤を0.1〜10重量部添加する請求項1または2に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法。
- 芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が、10,000〜50,000である請求項1〜3のいずれか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法。
- ポリカーボネート樹脂ペレットは、該ポリカーボネート樹脂ペレットをシリンダー温度350℃、金型温度80℃の条件で、成形サイクル60秒で成形して得られた厚み2mmの「滞留前の成形板」と、シリンダー中に樹脂を10分間滞留させた後に成形して得られた厚み2mmの「滞留後の成形板」とにおいて、下記式により算出される成形板の色相変化(ΔE)が0.5以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法。
ΔE ={(L−L’)2+(a−a’)2+(b−b’)2}1/2
「滞留前の成形板」の色相:L、a、b
「滞留後の成形板」の色相:L’、a’、b’ - ポリカーボネート樹脂ペレットは、該ポリカーボネート樹脂ペレットをシリンダー温度350℃、金型温度80℃の条件で、成形サイクル60秒で成形して得られた厚み2mmの「滞留前の成形板」と、シリンダー中に樹脂を10分間滞留させた後に成形して得られた厚み2mmの「滞留後の成形板」とにおいて、下記式により算出される成形板の粘度平均分子量の変化(ΔM)が1.5以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法。
ΔM = M−M’
「滞留前の成形板」 の粘度平均分子量:M
「滞留後の成形板」 の粘度平均分子量:M’
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