JP2006143966A - 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物および成形品 - Google Patents

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Seiichi Tanabe
誠一 田辺
Keizo Igari
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Abstract

【課題】成形耐熱性と耐湿熱性が共に優れたポリカーボネート樹脂組成物および成形品を提供する。
【解決手段】(A)粘度平均分子量が10,000〜50,000の芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、(B)下記一般式(1)で表される化合物(B−1成分)、下記一般式(2)で表される化合物(B−2成分)および下記一般式(3)で表される化合物(B−3成分)からなり、その合計を100重量%とした時、B−1成分が40〜80重量%、B−2成分が0〜25重量%およびB−3成分が5〜50重量%であって、且つ2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール濃度が100ppm以下であるリン系安定剤組成物0.0001〜0.15重量部を含有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
Figure 2006143966

[式中、Ar1、Ar2およびAr3は少なくとも1つのtert−ブチル基で置換された芳香族基であって、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
【選択図】 なし

Description

本発明は、成形耐熱性と耐湿熱性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物および芳香族ポリカーボネート樹脂組成物より形成された成形品に関する。
芳香族ポリカーボネート樹脂は高分子材料の中では比較的耐熱性に優れる材料である。しかしながら、材料の高機能化、高性能化の要求が高まる中では、さらに成形耐熱性等の向上が必要とされている。
成形耐熱性向上のためには、これまで多くの提案がなされてきた。芳香族ポリカーボネート樹脂の耐熱性を向上させる方法として、安定剤を添加する方法がある。芳香族ポリカーボネート樹脂に対して多く用いられている安定剤は、芳香族のホスファイト系化合物やホスホナイト系化合物であり、その代表的な安定剤の一つにテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ビフェニレンホスホナイト系安定剤がある。
この安定剤を用いたポリカーボネート樹脂組成物の提案はいくつかなされており、例えば、特許文献1では、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンホスホナイトとホスファイト系安定剤を組み合わせ配合することにより熱安定性を向上させる方法を提案している。また、特許文献2では、上記ホスホナイト系安定剤中に含まれる塩素原子および塩素イオン濃度に着目し、これらの濃度を特定範囲とすることにより成形耐熱性および耐湿熱疲労性を向上させることが示されている。
しかしながら、ポリカーボネート樹脂製品の多種多様化が進む中で、さらに熱安定性や耐湿熱性に優れた安定剤が望まれている。
特開昭57−158254号公報 特開2000−351892号公報
本発明の目的は、特定のビフェニレンホスホナイトを使用したポリカーボネート樹脂組成物において、成形耐熱性と耐湿熱性が共に優れたポリカーボネート樹脂組成物およびかかるポリカーボネート樹脂組成物から形成された成形品を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、熱安定剤として使用される特定のビフェニレンホスホナイト中に含まれる微量成分に着目し、微量成分の中で不純物として含まれる2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール成分がポリカーボネート樹脂の熱安定性と耐湿熱性の両方に悪影響を与えていることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明によれば、
1.(A)粘度平均分子量が10,000〜50,000の芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、(B)下記一般式(1)で表される化合物(B−1成分)、下記一般式(2)で表される化合物(B−2成分)および下記一般式(3)で表される化合物(B−3成分)からなり、その合計を100重量%とした時、B−1成分が40〜80重量%、B−2成分が0〜25重量%およびB−3成分が5〜50重量%であって、且つ2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール濃度が100ppm以下であるリン系安定剤組成物0.0001〜0.15重量部を含有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
Figure 2006143966
[式中、Ar1、Ar2およびAr3は少なくとも1つのtert−ブチル基で置換された芳香族基であって、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
2.前記B−2成分が5〜25重量%である前項1記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
3.前項1記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物より形成された成形品。
が提供される。
以下、本発明ついてさらに詳細に説明する。
(A成分の芳香族ポリカーボネート樹脂について)
本発明で(A)成分として使用される芳香族ポリカーボネート樹脂は、一例として二価フェノールとカーボネート前駆体とを界面重合法(溶液法)または溶融法で反応させて得られるものである。ここで使用される二価フェノールの代表的な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4′−ジヒドロキシジフェニル、1,4−ジヒドロキシナフタレン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−フェニル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4′−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4′−ジヒドロキシジフェニルエステル等が挙げられる。好ましい二価フェノールは、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンであり、なかでもビスフェノールAが特に好ましい。
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
上記二価フェノールとカーボネート前駆体を界面重合法または溶融法によって反応させて芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、二価フェノールは単独または2種以上を使用することができ、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化防止剤等を使用してもよい。また芳香族ポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であってもよい。また、2種以上の芳香族ポリカーボネート樹脂の混合物であってもよい。
界面重合法による反応は、通常二価フェノールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促進のために例えば第三級アミンや第四級アンモニウム塩等の触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は数分〜5時間程度である。
溶融法による反応は、通常二価フェノールとジフェニルカーボネートとのエステル交換反応であり、不活性ガスの存在下に二価フェノールとジフェニルカーボネートを混合し、減圧下通常120〜350℃で反応させる。減圧度は段階的に変化させ、最終的には1.3×10Pa以下にして生成したフェノール類を系外に除去させる。反応時間は通常1〜4時間程度である。
また、重合反応において、末端停止剤として単官能フェノール類を使用することができる。とくにカーボネート前駆物質としてホスゲンを使用する反応の場合、単官能フェノール類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用され、また得られた芳香族ポリカーボネート樹脂は、末端が単官能フェノール類に基づく基によって封鎖されているので、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。かかる単官能フェノール類としては、ポリカーボネートの末端停止剤として使用されるものであればよく、一般にはフェノールまたは低級アルキル置換フェノールであって、下記一般式(4)で表される単官能フェノール類を示すことができる。
Figure 2006143966
[式中、Rは水素原子または炭素数1〜9のアルキル基もしくはフェニルアルキル基であり、mは1〜5、好ましくは1〜3の整数を示す。]
前記単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノールおよびイソオクチルフェノールが挙げられる。
本発明における芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は、粘度平均分子量(M)で10,000〜50,000が好ましく、14,000〜35,000がより好ましい。かかる粘度平均分子量を有する芳香族ポリカーボネート樹脂は、押出・成形加工時に比較的良好な流動性を保ちながら、得られた成形品に関して一定の機械的強度を有するので好ましい。
本発明でいう粘度平均分子量(M)は、塩化メチレン100mlに芳香族ポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液を用いて測定された比粘度(ηSP)を次式に挿入して求められる。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−40.83
c=0.7
(B成分のリン系安定剤組成物について)
本発明で使用されるB成分のリン系安定剤組成物は、下記一般式(1)で表される化合物(B−1成分)、下記一般式(2)で表される化合物(B−2成分)および下記一般式(3)で表される化合物(B−3成分)からなり、その合計を100重量%とした時、B−1成分が40〜80重量%、B−2成分が0〜25重量%およびB−3成分が5〜50重量%である。好ましくは、B−1成分が40〜80重量%、B−2成分が5〜25重量%およびB−3成分が5〜50重量%であり、より好ましくは、B−1成分が55〜80重量%、B−2成分が5〜25重量%およびB−3成分が5〜45重量%である。
Figure 2006143966
[式中、Ar1、Ar2およびAr3は少なくとも1つのtert−ブチル基で置換された芳香族基であって、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
本発明のB−1成分の具体的例としては、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト等が挙げられ、テトラキス(ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイトがより好ましい。このテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイトは、2種以上の混合物が好ましく、具体的にはテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト(B−1−1成分)、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト(B−1−2成分)およびテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト(B−1−3成分)の3種の混合物がより好ましい。また、この混合物の混合比は、B−1−1成分、B−1−2成分およびB−1−3成分が重量比で100:37〜64:4〜14の範囲が好ましく、100:40〜60:5〜11の範囲がより好ましい。
本発明のB−2成分の具体的例としては、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト等が挙げられ、ビス(ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトが好ましく、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトがより好ましい。このビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトは、2種以上の混合物が好ましく、具体的にはビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト(B−2−1成分)および、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト(B−2−2成分)の混合物がより好ましい。また、この混合物の混合比は、B−2−1成分およびB−2−2成分が重量比で5:1〜4の範囲が好ましく、5:2〜3の範囲がより好ましい。
本発明のB−3成分の具体的例としては、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチル−5−メチルフェニル)ホスファイト等が挙げられ、トリス(ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトがより好ましく、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトが特に好ましい。かかるB−3成分の化合物は1種または2種以上の混合物であってもよい。
本発明において、B成分のリン系安定剤組成物の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.0001〜0.15重量部の範囲であり、0.002〜0.15重量部の範囲がより好ましく、0.02〜0.1重量部の範囲が最も好ましい。
また、前記リン系安定剤組成物中に含まれる2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノールとは、該リン系安定剤の製造過程において主に原料の段階から存在していたものである。市販品には、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノールが1000ppm程度含有されている。
該リン系安定剤組成物に含有する2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノールを低減する方法としては、例えば、該リン系安定剤組成物を溶媒により洗浄する方法や蒸留により精製する方法が挙げられる。該リン系安定剤組成物を溶媒により洗浄する方法の場合、該リン系安定剤組成物の製造・精製工程で使用される溶媒による洗浄時の洗浄用溶媒量を増やしたり、洗浄回数を多くしたり、あるいは2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノールを選択的に溶解しやすい溶媒を用いること等の方法が採用できる。また、蒸留により精製する方法の場合、精留塔部を長くして蒸留段数を増やして、分離能を上げて2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノールを低減した原料を得る方法が採用できる。
本発明における2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノールは、熱分解ガスクロマトグラフィー法により測定することができる。
本発明で使用されるB成分のリン系安定剤組成物に含有される2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール濃度は100ppm以下である。好ましくは50ppm以下であり、より好ましくは30ppm以下であり、さらに好ましくは20ppm以下であり、特に好ましくは10ppm以下であり、最も好ましくは5ppm以下である。なお、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール濃度は零とすることが好ましいが、完全に零とすることは困難である。1ppm以上含有されていても構わず、より好ましくは0.1ppm以上、さらに好ましくは0.01ppm以上、特に好ましくは0.001ppm以上含有される。
(他の添加剤について)
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には、成形時における分子量の低下や色相の悪化を高度に防止するために、本発明のB成分で示したリン系安定剤組成物に加えて、本発明のB成分で示したリン系安定剤組成物の各成分化合物や他の熱安定剤を追加併用することができる。かかる熱安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル等が挙げられ、具体的には、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。なかでも、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリメチルホスフェート、ベンゼンホスホン酸ジメチルが好ましく使用される。
これらは、1種もしくは2種以上を混合して用いてもよい。かかる熱安定剤の配合量は、該芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.001〜0.15重量部が好ましく、0.001〜0.10重量部がより好ましく、0.001〜0.05重量部がさらに好ましい。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には、酸化防止の目的で通常知られた酸化防止剤を配合することができる。かかる酸化防止剤としては、例えばペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、グリセロール−3−ステアリルチオプロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ビフェニレンジホスホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等が挙げられる。これら酸化防止剤の配合量は、該芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.001〜0.05重量部が好ましい。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には、溶融成形時の金型からの離型性をより向上させるために、本発明の目的を損なわない程度で離型剤を配合することができる。かかる離型剤としては、一価または多価アルコールの高級脂肪酸エステル、ポリオルガノシロキサン、パラフィンワックス、蜜蝋等が挙げられる。かかる高級脂肪酸エステルとしては、炭素原子数1〜20の一価または多価アルコールと炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルであるのが好ましい。かかる一価または多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルとしては、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ベヘニン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート、プロピレングリコールモノステアレート、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテート、ビフェニルビフェネ−ト、ソルビタンモノステアレート、2−エチルヘキシルステアレート等が挙げられ、なかでも、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレートが好ましく用いられる。かかる離型剤の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物100重量部に対して0.001〜0.5重量部が好ましい。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には、紫外線吸収剤を配合することができる。紫外線吸収剤化合物は、具体的に、ベンゾフェノン系では、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシトリハイドライドレイトベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−ソジウムスルホキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンソフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン等が挙げられ、ベンゾトリアゾール系では、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)フェニルベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2’−メチレンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニル)、2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオキサジン−4−オン)、2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾ−ルが挙げられ、これらは単独あるいは2種以上の混合物で用いることができる。かかる紫外線吸収剤化合物の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましい。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には、帯電防止剤を配合することができる。かかる帯電防止剤としては、例えばポリエーテルエステルアミド、グリセリンモノステアレート、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ホスホニウム塩、無水マレイン酸モノグリセライド、無水マレイン酸ジグリセライド、カーボン、グラファイト、金属粉末等が挙げられる。かかる帯電防止剤の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましい。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には、ブルーイング剤を配合することができる。ブルーイング剤は、樹脂組成物の黄色味を消すために有効である。とくに耐候性を付与した組成物の場合は、一定量の紫外線吸収剤が配合されているため紫外線吸収剤自体の色及び紫外線吸収能力によって樹脂製品が黄色味を帯びやすいため、とくにシート製品やレンズ製品に自然な透明感を付与するためにはブルーイング剤の配合は有効である。ブルーイング剤の配合量は、樹脂組成物全体の0.05〜1.5ppmであり、好ましくは、0.1〜1.2ppmである。配合量が多すぎると樹脂製品の青みが強くなって視感透明度が低下する。ブル−イング剤の代表例としては、バイエル社のマクロレックスバイオレットBやポリシンスレンブルーRLS等が挙げられる。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には、難燃剤を配合することができる。難燃剤としては、ハロゲン化ビスフェノールAのポリカーボネート型難燃剤、有機塩系難燃剤、芳香族リン酸エステル系難剤、あるいは、ハロゲン化芳香族リン酸エステル型難燃剤等があげられ、それらを一種以上配合することができる。具体的にハロゲン化ビスフェノールAのポリカーボネート型難燃剤は、テトラブロモビスフェノールAのポリカーボネート型難燃剤、テトラブロモビスフェノールAとビスフェノールAとの共重合ポリカーボネート型難燃剤等である。具体的に有機塩系難燃剤は、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸カリウム、ビス(2,6−ジブロモ−4−クミルフェニル)リン酸カリウム、ビス(4−クミルフェニル)リン酸ナトリウム、ビス(p−トルエンスルホン)イミドカリウム、ビス(ジフェニルリン酸)イミドカリウム、ビス(2,4,6−トリブロモフェニル)リン酸カリウム、ビス(2,4−ジブロモフェニル)リン酸カリウム、ビス(4−ブロモフェニル)リン酸カリウム、ジフェニルリン酸カリウム、ジフェニルリン酸ナトリウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム、ラウリル硫酸ナトリウムあるいはカリウム、ヘキサデシル硫酸ナトリウムあるいはカリウム等である。具体的にハロゲン化芳香族リン酸エステル型難燃剤は、トリス(2,4,6−トリブロモフェニル)ホスフェート、トリス(2,4−ジブロモフェニル)ホスフェート、トリス(4−ブロモフェニル)ホスフェート等である。具体的に芳香族リン酸エステル系難剤は、トリフェニルホスフェート、トリス(2,6−キシリル)ホスフェート、テトラキス(2,6−キシリル)レゾルシンジホスフェート、テトラキス(2,6−キシリル)ヒドロキノンジホスフェート、テトラキス(2,6−キシリル)−4,4’−ビフェノールジホスフェート、テトラフェニルレゾルシンジホスフェート、テトラフェニルヒドロキノンジホスフェート、テトラフェニル−4,4’−ビフェノールジホスフェート、芳香環ソースがレゾルシンとフェノールでありフェノール性OH基を含まない芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがレゾルシンとフェノールでありフェノール性OH基を含む芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがヒドロキノンとフェノールでありフェノール性OH基を含まない芳香族ポリホスフェート、同様のフェノール性OH基を含む芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがビスフェノールAとフェノールである芳香族ポリホスフェート(以下、芳香族ポリホスフェートはフェノール性OH基を含む芳香族ポリホスフェートとフェノール性OH基を含まない芳香族ポリホスフェートの両方を意味するものとする)、芳香環ソースがテトラブロモビスフェノールAとフェノールである芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがレゾルシンと2,6−キシレノールである芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがヒドロキノンと2,6−キシレノールである芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがビスフェノールAと2,6−キシレノールである芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがテトラブロモビスフェノールAと2,6−キシレノールである芳香族ポリホスフェート等である。かかる難燃剤の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物100重量部に対して1〜30重量部が好ましい。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には、他の樹脂やエラストマーを本発明の目的が損なわれない範囲で少割合配合することもできる。
かかる他の樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリメタクリレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。
また、エラストマーとしては、例えばイソブチレン/イソプレンゴム、スチレン/ブタジエンゴム、エチレン/プロピレンゴム、アクリル系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、コアシェル型のエラストマーであるMBS(メタクリル酸メチル/ステレン/ブタジエン)ゴム、MAS(メタクリル酸メチル/アクリロニトリル/スチレン)ゴム等が挙げられる。
かかる他の樹脂やエラストマーの配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物100重量部に対して1〜30重量部が好ましい。
(本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物より形成された成形品について)
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物において、芳香族ポリカーボネート樹脂とリン系安定剤組成物や他の添加剤をブレンドするには、任意の方法が採用される。例えばタンブラー、V型ブレンダー、スーパーミキサー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等で混合する方法が適宜用いられる。こうして得られた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物のパウダーやペレットは、そのまま又は溶融押出機で一旦ペレット状にしてから、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法等の通常知られている方法で成形品にすることができる。
なお、リン系安定剤組成物や他の添加剤のブレンドにあたっては、一段階で実施してもよいが、二段階以上に分けて実施してもよい。二段階に分けて実施する方法とは、例えば、芳香族ポリカーボネート樹脂パウダーの一部と配合する添加剤とをプレブレンドした後(すなわち、配合する添加剤を芳香族ポリカーボネート樹脂パウダーで希釈して高濃度の添加剤のマスターバッチとした後)、芳香族ポリカーボネート樹脂とマスターバッチとをブレンドする方法である。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物より形成された成形品としては、シート、フィルム、パイプ等の押出成形品、ランプやランプカバー等の照明機器部品、機械部品、電気・電子部品、医療・保安部品、レンズ、光ディスク等が挙げられる。
特定のリン系安定剤組成物を使用した芳香族ポリカーボネート樹脂組成物において、該リン系安定剤組成物に含まれる2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール量を規定することにより、成形耐熱性と耐湿熱性が共に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂が得られ、ポリカーボネート樹脂を使用する様々な用途に応用することができ、その工業的価値は非常に高い。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、評価は下記の方法で行った。
(1)リン系熱安定剤組成物の調製
リン系熱安定剤組成物(クラリアント社製;商品名P−EPQ、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール(TTBP)含有量890ppm)3kgに対し脱水したアセトニトリル10Lを添加し、乾燥窒素雰囲気下で40℃、6時間加熱攪拌した。攪拌後、室温まで冷却し乾燥窒素雰囲気下でろ過した。得られたろ取物に脱水したアセトニトリル10Lを添加し、乾燥窒素雰囲気下で40℃、6時間加熱攪拌し、ろ過する操作をさらに3回繰り返した。得られたろ取物を減圧乾燥機で圧力133Pa、温度40℃の条件下で12時間乾燥させてリン系熱安定剤組成物を得た。該リン系熱安定剤組成物には下記(i)〜(iii)の化合物がそれぞれ(i)71%、(ii)15%、(iii)14%の割合で含まれていた。また該リン系熱安定剤組成物中の2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール(TTBP)含有量は2ppmであった。
実施例1〜3は該リン系熱安定剤組成物をそのまま使用し、実施例4〜6は該リン系熱安定剤組成物1000gに対しTTBP約13mgを添加して用いた。比較例1は該リン系熱安定剤組成物10gに対しTTBP約10mgを添加して用いた。
(i)B−1安定剤
テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイトおよび、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイトの100:50:10(重量比)混合物
(ii)B−2安定剤
ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイトおよびビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイトの5:3(重量比)混合物
(iii)B−3安定剤
トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト
(2)リン系熱安定剤組成物中の2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール含有量
熱分解GC−MSにて、下記装置および条件により分析し、リン系熱安定剤組成物中の2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール含有量を求めた。
装置
・熱分解装置:PY−2010D(フロンティアラボ社製)
・GC:HP−5890シリーズIIplus(YOKOGAWA社製)
・MS:HP−5272(HEWLETT PACARD社製)
・カラム:TC−5(GLサイエンス社製)
条件
・熱分解温度:350℃
・サンプル量:0.3mg/5μLサンプルカップ
・GC温度50℃〜310℃
(3)成形耐熱性
実施例および比較例で得たペレットを、シリンダー温度350℃、1分サイクルで射出成形して見本板(縦70mm×横50mm×厚み2mm)を作製した。また、温度350℃で10分間シリンダー内に滞留させた後に射出成形して見本板(縦70mm×横50mm×厚み2mm)を作製した。滞留前(1分サイクルで射出成形)と滞留後(10分間シリンダー内に滞留させた後に射出成形)の見本板の色相を色差計を用いて測定し、色差(ΔE)を算出した。
色相測定;厚み2mmのL値、a値、b値を測定
色差計:SE−2000(日本電色社製)
測定条件:C光源反射法、視野角2°
ΔE計算式
ΔE={(L1−L2)+(a1−a2)+(b1−b2)1/2
L1、a1、b1:滞留前の見本板色相
L2、a2、b2:滞留後の見本板色相
(4)耐湿熱性
上記(3)の方法で得た滞留前の見本板を用い、プレッシャークッカー試験(蒸気雰囲気中、温度120℃で24時間曝露)を実施し、プレッシャークッカー試験後の見本板のHazeを測定した。Hazeの測定は、JIS K−6735に準拠して日本電色工業(株)製、積分球式全光線透過率測定機NDH−2000(C光源)により測定した。
H=Td/Tt×100(%)
[実施例1〜6、比較例1]
ビスフェノールA、p−tert−ブチルフェノール(末端停止剤)とホスゲンから界面重合法により得られた表1に示した粘度平均分子量を有するそれぞれの芳香族ポリカーボネート樹脂パウダーに対し、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール含量を調製したリン系安定剤組成物を表1に示した量添加混合し、ポリカーボネート樹脂組成物パウダーを得た。このポリカーボネート樹脂組成物パウダーを120℃で5時間乾燥し、280℃で溶融押出ししてペレット化した。得られたペレットを用いて上記評価を行い、評価結果を表1に示した。
Figure 2006143966

Claims (3)

  1. (A)粘度平均分子量が10,000〜50,000の芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、(B)下記一般式(1)で表される化合物(B−1成分)、下記一般式(2)で表される化合物(B−2成分)および下記一般式(3)で表される化合物(B−3成分)からなり、その合計を100重量%とした時、B−1成分が40〜80重量%、B−2成分が0〜25重量%およびB−3成分が5〜50重量%であって、且つ2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール濃度が100ppm以下であるリン系安定剤組成物0.0001〜0.15重量部を含有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
    Figure 2006143966
    [式中、Ar1、Ar2およびAr3は少なくとも1つのtert−ブチル基で置換された芳香族基であって、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
  2. 前記B−2成分が5〜25重量%である請求項1記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 請求項1記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物より形成された成形品。
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