JPH11323118A - 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

難燃性ポリカーボネート樹脂組成物

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JPH11323118A
JPH11323118A JP10138358A JP13835898A JPH11323118A JP H11323118 A JPH11323118 A JP H11323118A JP 10138358 A JP10138358 A JP 10138358A JP 13835898 A JP13835898 A JP 13835898A JP H11323118 A JPH11323118 A JP H11323118A
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polycarbonate resin
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flame
molecular weight
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JP10138358A
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Yoji Ohira
洋二 大平
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Teijin Ltd
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Teijin Chemicals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 機械的物性や透明性を維持すべく少量の添加
剤配合で難燃性を向上させた難燃性ポリカーボネート樹
脂組成物。 【解決手段】 (a)ポリカーボネート樹脂100重量
部、(b)芳香族スルホン酸金属塩0.1〜0.8重量
部、(c)ハロゲン化有機リン酸エステル0.05〜
0.8重量部、(d)フェニル基含有ポリシロキサン
0.01〜1.0重量部及び(e)ポリアリーレンスル
フィド0.005〜0.4重量部からなる樹脂組成物で
あって、ポリカーボネート樹脂が、粘度平均分子量1
0,000〜30,000の直鎖状ポリカーボネート樹
脂65〜95重量%と粘度平均分子量100,000〜
250,000の直鎖状高分子量ポリカーボネート樹脂
及び/又は粘度平均分子量10,000〜40,000
の分岐状ポリカーボネート樹脂35〜5重量%との混合
物であり、その粘度平均分子量が11,000〜40,
000である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は難燃性ポリカーボネ
ート樹脂組成物に関する。詳しくは、少量の配合量で難
燃性を向上させる技術を用いた難燃性樹脂組成物に関す
るものであり、更に詳しくはポリカーボネート樹脂本来
の透明性を保持しつつ、薄肉化した時でも燃焼時に滴下
現象を示さない高度な難燃性を有する芳香族ポリカーボ
ネート樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネート樹脂は機械的強度、特
に耐衝撃性、電気的特性、透明性等に優れ、エンジニア
リングプラスチックとしてOA機器分野、電気・電子機
器分野、自動車分野、建築分野等多くの分野において広
く利用されている。そして、これらの分野の中にはOA
機器、電気・電子機器分野を中心として高度の難燃性を
要求される分野がある。ポリカーボネート樹脂は、各種
熱可塑性樹脂の中では酸素指数が高く、一般的に自己消
火性を有する樹脂である。しかしながら、OA機器、電
気・電子機器分野、その他各種用途における安全上の要
求を満たすために更に難燃性を高めた樹脂組成物が強く
求められている。一方材料の薄肉化の要求もあり、透明
性を阻害することなく、より難燃性を高めることが必要
になってきている。特に昨今の電気・電子機器における
軽量化、及びそれに伴う製品差別化においてし烈な開発
が成されている状況においては、実用的な難燃処方の中
で、特定の難燃規格をクリアできる最小厚みを0.1m
mでも薄くすること、例えばUL規格94のV−0ラン
クの最小厚みを0.1mmでも薄くすることは、今や大
きな意味をもつ。
【0003】従来、ポリカーボネート樹脂の難燃化方法
として有機ハロゲン化物や有機又は無機スルホン酸塩を
配合する方法が知られている。具体的には例えば特公昭
47−41422号公報には、ポリカーボネート樹脂に
ハロゲン化フェノールで末端封鎖された2,2−ビス
(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパ
ンのポリカーボネートを配合する方法が記載されてい
る。又特開昭61−21154号公報にはポリカーボネ
ート樹脂(特に分岐状のポリカーボネート樹脂)を、ス
ルホン酸塩類等で防炎化し、更に抗滴下剤としてペルフ
ルオロアルカンスルホン酸アリールエステル類を配合す
る方法等が示されている。しかしながら、これらの方法
では燃焼時に滴下現象を示さない高度な難燃性を有する
薄肉化した(例えば厚さ1.5mm程度)ポリカーボネ
ート樹脂成形品は得られない。
【0004】又、特公昭58−13587号公報には難
燃剤として芳香族スルホンスルホン酸アルカリ金属及び
アルカリ土類金属塩を用いた組成物が知られているが、
かかる化合物では十分な難燃性を得るためには、樹脂に
多量の添加をする必要がありポリカーボネート樹脂の優
れた特性である透明性を損なう結果となる。
【0005】本出願人は、特願平8−314694号に
おいて、分子量域の異なるポリカーボネート樹脂混合物
をベースとし、特定の芳香族リン酸エステルと特定の芳
香族スルホン酸塩を配合する樹脂組成物を提案してい
る。かかる組成物は、UL規格94の1.5mm厚みに
おける難燃性がV−0であり、かつ良好な透明性を有す
る難燃性樹脂組成物である。又配合添加剤が少量である
ため、元のポリカーボネート樹脂の各物性と比較してそ
れらの低下が少なく実用性が高いのも特徴である。しか
しながら現在においては、更に薄肉での高度の難燃性が
要求される場合がある。
【0006】一般に薄肉になるほど、燃焼時に成形品全
体が軟化しやすくなり、燃焼時の溶融滴下現象(以下ド
リップと称する)が生じ易くなる。かかる現象は成形品
の肉厚に対して極めて敏感に生じ、0.1mm程度の肉
厚差であってもドリップの有無の差が生じる場合があ
る。
【0007】UL規格94のV−0ランクに合格するた
めには、燃焼時間の低減と共に燃焼時のドリップを示さ
ないことが必要とされる。かかるドリップ防止にはフィ
ブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンの添
加が極めて効果が高く、広く利用されている。しかしな
がら、かかるポリテトラフルオロエチレンの添加は微量
であっても、ポリカーボネート樹脂の透明性を損なうも
のとなり、本発明の目的には適さない。
【0008】又、単に難燃剤成分の増加により難燃性を
向上させることを試みると、難燃剤成分の燃焼時の可塑
化作用により、逆にドリップが生じやすくなるために燃
焼性が劣る結果となる。
【0009】一方、ポリアリーレンスルフィド、例えば
ポリフェニレンスルフィド(以下PPSと略す)はエン
ジニアリングプラスチックの中でも極めて限界酸素指数
が高く、最高の難燃性を示すものである。例えば、特開
昭51―100150号公報では、ポリカーボネート樹
脂とPPSとから構成される樹脂組成物において、PP
Sを0.5〜50%配合することが提案されている。特
にハロゲン系難燃成分を共重合したポリカーボネート樹
脂95重量%に対して、PPSを5重量%とした樹脂組
成物がUL規格94の約1.6mm厚みにおいて、V−
0を達成し、かかるPPSを添加しない場合にV−2と
なるのに比較して良好な難燃性を達成できることが示さ
れている。しかしながら、かかる組成物もより薄肉の部
分での難燃性は十分でなく、又PPSの添加量が多いた
めに不透明となる。特開平7−316428号公報にお
いても、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂とPPSと
から構成される樹脂組成物が提案されているが、PPS
を5〜99重量%配合するものであり、同様の理由によ
り十分なものではない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、ポリ
カーボネート樹脂あるいは樹脂組成物の機械的物性や透
明性を維持すべく少量の添加剤配合、例えば0.4%以
下の添加剤配合で該樹脂あるいは樹脂組成物の難燃性を
向上させる方法とその方法を用いた難燃性ポリカーボネ
ート樹脂組成物を提供することにある。更に具体的な本
発明の課題は、例えばUL規格94の燃焼試験におい
て、1.3mm厚と薄肉化したときでもV−0を達成で
きる(ドリップを示さない)高度な難燃性を有する透明
なポリカーボネート樹脂組成物を提供するにある。
【0011】本発明者は上記課題を達成せんとして鋭意
研究を重ねた結果、ポリカーボネート樹脂あるいは樹脂
組成物に極めて少量である特定範囲のポリアリーレンス
ルフィドを配合することにより、一定の難燃性向上が可
能であることを見いだした。更に、かかる知見により特
定の超高分子量のポリカーボネート樹脂を含む混合ポリ
カーボネート樹脂に、少量の芳香族スルホン酸金属塩、
少量のハロゲン化有機リン酸エステル、フェニル基含有
ポリシロキサン、及びポリアリーレンスルフィドを配合
することによって、UL規格94の燃焼試験において
1.3mm厚と薄肉化したときでもドリップを起こさな
い高度な難燃性を有しかつ透明性に優れたポリカーボネ
ート樹脂組成物が得られることを見いだし、本発明を完
成する至った。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、(a)ポリカ
ーボネート樹脂(A成分)100重量部、(b)芳香族
スルホン酸金属塩(B成分)0.1〜0.8重量部、
(c)ハロゲン化有機リン酸エステル(C成分)0.0
5〜0.8重量部、(d)フェニル基含有ポリシロキサ
ン(D成分)0.01〜1.0重量部及び(e)ポリア
リーレンスルフィド(E成分)0.005〜0.4重量
部からなる樹脂組成物であって、A成分のポリカーボネ
ート樹脂が、該A成分100重量%中、粘度平均分子量
10,000〜30,000の直鎖状ポリカーボネート
樹脂(a−1成分)65〜95重量%と粘度平均分子量
100,000〜250,000の直鎖状高分子量ポリ
カーボネート樹脂及び/又は粘度平均分子量10,00
0〜40,000の分岐状ポリカーボネート樹脂(a−
2成分)35〜5重量%との混合物であり、その粘度平
均分子量が11,000〜40,000である難燃性ポ
リカーボネート樹脂組成物に関するものである。尚、a
−1成分及びa−2成分の分子量分布は、一般的なポリ
カーボネート樹脂の値、GPC測定において求められる
W/MNの値で1.7〜3.8の値を満足するものをい
う。
【0013】本発明のa−1成分及びa−2成分におい
て使用する直鎖状ポリカーボネート樹脂は、通常二価フ
ェノールとカーボネート前駆体との溶液法又は溶融法で
反応させて製造されるものであり、実質的に分岐剤を配
合することなく製造されるものである。ここで使用する
二価フェノールとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)プロパン[通称ビスフェノールA]を主た
る対象とするが、その一部又は全部を他の二価フェノー
ルで置換えてもよい。他の二価フェノールとしては例え
ば4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ヒドロキノン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエ
タン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−
メチルフェニル)プロパン、ビス(4―ヒドロキシフェ
ニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スル
ホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド等を挙げる
ことができる。これらは単独又は混合しても差し支えな
い。特に好ましくはビスフェノールAである。
【0014】本発明のa−2成分において使用する分岐
状ポリカーボネート樹脂とは、上記直鎖状ポリカーボネ
ート樹脂を製造する時に、例えば以下に示すような三官
能以上の多官能性化合物の少なくとも一種以上を分岐剤
として二価フェノールに対して、0.1〜2.0モル%
共重合させることにより製造されるものである。ここで
分岐剤の例としては、例えばフロログルシン、フロログ
ルシド、又は4,6−ジメチル−2,4,6−トリス
(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、2,4,6
−トリメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフ
ェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキ
シフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒド
ロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5
−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,6
−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−
メチルフェノール、4−{4−[1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)エチル]ベンゼン}−α,α−ジメ
チルベンジルフェノール等のトリスフェノール、テトラ
(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4−ジ
ヒドロキシフェニル)ケトン、1,4−ビス(4,4−
ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン、又はトリ
メリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカ
ルボン酸及びこれらの酸クロライド等が挙げられ、中で
も1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒド
ロキシフェニル)エタンが好ましく、特に1,1,1−
トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。
【0015】本願発明のA成分であるポリカーボネート
樹脂は、ハロゲンを含有しないものを主たる対象とする
が、本発明の課題の達成に悪影響を与えない程度の量で
あれば、ハロゲン原子を含有してもよい。したがって二
価フェノールとして2,2−ビス(4−ヒドロキシ−
3,5−ジブロモフェニル)プロパンを使用することも
可能である。
【0016】カーボネート前駆体としては例えばカルボ
ニルハライド、カーボネートエステル、ハロホルメート
等が挙げられ、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボ
ネート、二価フェノールのジハロホルメート等が挙げら
れる。
【0017】以下にポリカーボネート樹脂を製造する基
本的な手段を簡単に説明する。尚以下の手段以外の製造
法で得られたポリカーボネートであっても本発明の目的
の達成を妨げるものではない。カーボネート前駆体とし
てホスゲンを用いる溶液法では、通常酸結合剤及び有機
溶媒の存在下に反応を行う。酸結合剤としては例えば水
酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属の水
酸化物、又はピリジン等のアミン化合物が用いられる。
有機溶媒としては例えば塩化メチレン、クロロベンゼン
等のハロゲン化炭化水素が使用される。又反応促進のた
め例えば第三級アミンや第四級アンモニウム塩等の触媒
を使用することができる。分子量調節剤として例えばフ
ェノール、p−tert−ブチルフェノール及び4−
(2−フェニルイソプロピル)フェノールのようなアル
キル置換フェノール等の末端停止剤を使用することが望
ましいが、末端停止剤及び必要に応じて分岐剤をそれぞ
れ反応の初期から、又は反応の途中から添加する。反応
温度は通常0〜40℃、反応温度は数分〜5時間、反応
中のpHは10以上に保つのが好ましい。
【0018】カーボネート前駆体として炭酸ジエステル
を使用するエステル交換反応(溶融法)では、不活性ガ
スの存在下に所定割合の二価フェノール及び必要に応じ
て分岐剤を炭酸ジエステルと加熱しながら撹拌し、生成
するアルコール又はフェノール類を留出させる方法によ
り行う。反応温度は生成するアルコール又はフェノール
類の沸点等により異なるが、通常120〜300℃の範
囲である。反応はその初期から減圧にして生成するアル
コール又はフェノール類を留出させながら反応を完結さ
せる。又反応を促進するために通常エステル交換反応に
用いられる触媒を使用することができる。このエステル
交換反応に使用する炭酸ジエステルとしては、例えばジ
フェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ジメ
チルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカ
ーボネート等が挙げられる。これらのうち特にジフェニ
ルカーボネートが好ましい。更に反応の途中で末端停止
剤として、ジフェニルカーボネートやメチル(2−フェ
ニルオキシカルボニルオキシ)ベンゼンカルボキシレー
トを添加することも好ましく行われる。
【0019】本発明のA成分として使用されるポリカー
ボネート樹脂とは、該A成分100重量%中a−1成分
として粘度平均分子量が10,000〜30,000の
通常の溶融成形に供されるポリカーボネート樹脂65〜
95重量%と、a−2成分として粘度平均分子量が10
0,000〜250,000の一般には溶融成形に供し
得ない高分子量のポリカーボネート樹脂及び/又は粘度
平均分子量が10,000〜40,000の分岐状ポリ
カーボネート樹脂35〜5重量%とを混合した混合物で
あり、更にかかる混合物の粘度平均分子量が11,00
0〜40,000であることを特徴とするポリカーボネ
ート樹脂である。
【0020】a−1成分のポリカーボネート樹脂として
粘度平均分子量が10,000未満のポリカーボネート
樹脂を使用したのでは充分な難燃性が得られ難くなり且
つ機械的特性も低下するようになる。又、粘度平均分子
量が30,000を越えるポリカーボネート樹脂を使用
したのでは得られる組成物は溶融成形し難くなり、良好
な成形物が得られ難くなり、成形物を得るため熱負荷を
高くすると熱劣化により結果的に透明性が不十分とな
る。又a−2成分として使用する直鎖状ポリカーボネー
ト樹脂の粘度平均分子量が100,000未満だと燃焼
時の滴下を充分に防止のためにa−2成分の割合を大き
くしなければならず、その結果溶融粘度が増大し、溶融
成形特に射出成形が困難になる。その際に適度の溶融粘
度を保持するためにa−2成分の割合を小さくしたので
は、燃焼時の滴下を充分に防止することができなくな
る。一方a−2成分として使用する直鎖状ポリカーボネ
ート樹脂の粘度平均分子量が250,000を越えるポ
リカーボネート樹脂を使用したのでは、燃焼時の滴下を
充分に防止することはできるが、溶融粘度が増大し溶融
成形が困難になる。更にa−2成分として分岐状ポリカ
ーボネート樹脂を使用する場合には、粘度平均分子量が
10,000未満であると難燃性が不十分となり、4
0,000を越えると溶融成形が困難となる。
【0021】又A成分の粘度平均分子量は11,000
〜40,000とすることが必要である。特にA成分の
粘度平均分子量が13,000〜30,000であるこ
とが好ましい。A成分のポリカーボネート樹脂の粘度平
均分子量が11,000未満では、得られる成形品の強
度が不足し実用的でない。A成分は異なる分子量の混合
物及び/又は直鎖状と分岐状の混合物であるため直鎖状
の場合の粘度平均分子量よりも成形加工性は良好となる
ものの、粘度平均分子量が40,000を越える場合に
は溶融成形し難くなり、良好な成形物が得られ難くな
る。
【0022】又a−1成分及びa−2成分の混合割合
は、A成分100重量%中、a−1成分が65〜95重
量%であり、a−2成分が5〜35重量%である。好ま
しくはa−1成分が77〜93重量%、a−2成分が7
〜23重量%である。a−1成分が5重量%未満の場合
には、難燃性が不十分となり、35重量%を越える場合
には、成形加工性が劣るために好ましくない。
【0023】a−1成分で使用される二価フェノールと
a−2成分で使用される二価フェノールは同一であって
も異なっていてもよいが、同一であることがより好まし
い。又、a−1成分のポリカーボネート樹脂とa−2成
分のポリカーボネート樹脂とを混合する方法としては、
独立にa−1成分及びa−2成分のポリカーボネート樹
脂を重合してから混合する方法の他、a−2成分が直鎖
状高分子量ポリカーボネート樹脂の場合には、特開平5
−306336号公報において示される方法(GPC法
による分子量分布のチャートにおいて複数のポリマーピ
ークを示す芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法)等
において、かかるポリカーボネート樹脂を本発明のA成
分のポリカーボネート樹脂の条件を満足するよう製造す
る方法、及びかかる製造方法により得られたポリカーボ
ネート樹脂に更にa−1成分及び/又はa−2成分のポ
リカーボネート樹脂を混合する方法を挙げることができ
る。又、a−2成分が分岐状ポリカーボネート樹脂の場
合も同様に、混合の結果得られるA成分を予め製造した
ものを使用することもできる。すなわち、本発明は分岐
剤を二価フェノールに対して0.005〜0.7モル%
共重合させて得られた粘度平均分子量11,000〜4
0,000のポリカーボネート樹脂をA成分として使用
することも可能である。
【0024】尚本発明でいう粘度平均分子量Mは、ポリ
マー0.7gを100mlの塩化メチレンに20℃で溶
解した溶液から求めた比粘度(ηSP)を下記式に挿入し
て求める。 ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c (但し[η]は極限粘度) [η]=1.23×10-40.83 c=0.7
【0025】本発明でB成分として使用する芳香族スル
ホン酸金属塩としては、ベンゼンスルホン酸ナトリウ
ム、ベンゼンジスルホン酸ジナトリウム、ナフタレン−
2,6−ジスルホン酸ジナトリウム、ビフェニル−3,
3’−ジスルホン酸カルシウム、トリフェニルメタン−
4,4’−ジスルホン酸ジナトリウム、p−トルエンス
ルホン酸ナトリウム等の芳香族炭化水素にスルホン酸金
属塩が置換したタイプ、ジフェニルスルホン−3,3’
−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−3−
スルホン酸カリウム等の芳香族スルホンの芳香族基にス
ルホン酸金属塩が置換したタイプ、フェニルホスホン酸
ビス(γ−ナトリウムスルホプロピル)、リン酸トリス
(2−ナトリウムスルホベンジル)、亜リン酸フェニル
ビス(γ−ナトリウムスルホプロピル)等のリン酸又は
亜リン酸の、アリールエステル又はアルアルキルエステ
ルの芳香族環にスルホン酸金属塩が置換したタイプ、
(ナトリウムスルホフェニル)ジフェニルホスフィン、
(ジナトリウムスルホフェニル)フェニルホスフィン等
のトリアリールホスフィンの芳香族環にスルホン酸金属
塩が置換したタイプ等が挙げられる。中でも難燃性の点
から好ましいものとしては、下記一般式[1]
【0026】
【化7】
【0027】(式中、Mはアルカリ金属イオン又はアル
カリ土類金属イオンを表わし、nが1でない場合同一で
あっても異なっていてもよく、q及びrは0、1又は2
であってq+rが1〜4の整数になる数であり、nはM
がアルカリ金属の場合はq+rに同一の数であり、Mが
アルカリ土類金属の場合には(q+r)/2と同一の1
又は2である。)で表わされる芳香族スルホン酸のアル
カリ金属塩又はアルカリ土類金属塩であり、具体的には
ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウ
ム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、ジ
フェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジナトリウ
ム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸ナトリウム、
ジフェニルスルホン−4,4’−ジスルホン酸ジカリウ
ム、ジフェニルスルホン−3,4’−ジスルホン酸ジカ
リウム等が挙げられる。
【0028】上記B成分の芳香族スルホン酸金属塩の使
用量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して
0.1〜0.8重量部、好ましくは0.1〜0.6重量
部である。この使用量が0.1重量部未満ではポリカー
ボネート樹脂に充分な難燃性を付与することができず、
0.8重量部を越えると得られるポリカーボネート樹脂
組成物の色相や透明性、機械的特性を損なうようにな
る。
【0029】本発明におけるC成分として使用するハロ
ゲン化有機リン酸エステルとしては、下記一般式[7]
で表わされるリン酸エステル化合物が挙げられる。
【0030】
【化8】
【0031】(ここでR4、R5及びR6はそれぞれハロ
ゲン原子が1個以上置換した又はハロゲン原子が置換し
ていない炭素数1〜15のアルキル基、アリール基、ア
ルアルキル基、又は下記一般式[3]で表わされる基で
あり、R4〜R6の少なくとも1つはハロゲン原子を含ん
だものである。)
【0032】
【化9】
【0033】(ここでArは炭素数6〜12のアリール
基を表わし、XはO(酸素原子)、S(硫黄原子)、S
2、又はArとR7の直接の結合を表わし、R7は炭素
数1〜8のアルキル基、アリール基、アルアルキル基を
表わす。) 又本発明におけるC成分として、下記一般式[8]で表
わされる縮合リン酸エステル化合物を使用することもで
きる。
【0034】
【化10】
【0035】(ここでR8、R9、R10及びR11はそれぞ
れハロゲン原子が1個以上置換した又はハロゲン原子が
置換していない炭素数6〜15のアリール基であり、少
なくとも1つはハロゲン原子を含んだものである。Yは
ハイドロキノン、レゾルシノール、ビスフェノールAか
ら誘導される基を表わし、又kは1〜5の整数であり、
又はk数の異なるものの混合物である場合には1〜5の
平均値を表わす。) 本発明のC成分の中でも、難燃性の点から以下の一般式
[2]で表わされるハロゲン化有機リン酸エステルの使
用が好ましい。
【0036】
【化11】
【0037】(ここで、Ar1、Ar2及びAr3はそれ
ぞれハロゲン原子が1個以上置換した又はハロゲン原子
が置換していない炭素数1〜15のアリール基又は下記
一般式[3]で表わされる基であり、Ar1〜Ar3の少
なくとも1つはハロゲン原子を含んだものである。)
【0038】
【化12】
【0039】(ここでArは炭素数6〜12のアリール
基を表わし、XはO(酸素原子)、S(硫黄原子)、S
2、又はArとR7の直接の結合を表わし、R7は炭素
数1〜8のアルキル基、アリール基、アルアルキル基を
表わす。) この中でも特にハロゲン化トリフェニルホスフェートが
好ましい。
【0040】これらのハロゲン化有機リン酸エステルに
おいては、不純物としての塩類やリン酸エステルハライ
ド類が多いと、得られる難燃性ポリカーボネート樹脂組
成物に濁りが生じて透明性が低下したり、耐熱性の悪化
により溶融成形時に色相が悪化するようになる。よって
ハロゲン化有機リン酸エステルとしては、不純物として
の塩類が0.01重量%以下で且つリン酸エステルハラ
イド類が0.3重量%以下のものが好ましく使用できる
ものである。
【0041】尚、ここでいう不純物としての塩類とは例
えば塩化ナトリウムや塩化カルシウム等のアルカリ金属
やアルカリ土類金属のハライド類、リン酸ナトリウムや
リン酸カルシウム等のリン酸のアルカリ金属やアルカリ
土類金属の塩類及び部分リン酸アリールフェニルエステ
ルのアルカリ金属やアルカリ土類金属の塩類、無機リン
酸や部分リン酸アリールエステルが挙げられ、リン酸エ
ステルハライド類としてはリン酸モノアリールエステル
やリン酸ジアリールエステルのハライド類が挙げられ
る。市販のハロゲン化トリアリールホスフェートには上
記不純物が多く含まれるため、かかるホスフェートを使
用する場合には、再結晶を繰返す等してその純度を高め
ることが好ましい。再結晶法以外にも、純度の高いハロ
ゲン化トリアリールホスフェートを得るには任意の方法
が採用されるが、合成法そのものにより不純物を極めて
少なくする方法がより好ましく使用できる。
【0042】上記(C)ハロゲン化有機リン酸エステル
の使用量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し
て0.05〜0.8重量部、好ましくは0.1〜0.6
重量部である。この使用量が0.05重量部未満ではポ
リカーボネート樹脂に充分な難燃性を付与することがで
きず、0.8重量部を越えると得られるポリカーボネー
ト樹脂組成物の色相や機械的特性を損なうようになる。
【0043】本発明におけるD成分であるフェニル基含
有ポリシロキサンは、少なくとも一般式[9]で表わさ
れる構造を含むことを特徴とするものをいう。
【0044】
【化13】
【0045】中でも透明性の観点から好ましいものとし
ては、少なくとも下記一般式[4]で表わされるフェニ
ルシロキサン単位及び/又は下記一般式[5]で表わさ
れるアルキルフェニルシロキサン単位、及び一般式
[6]で表わされるトリアルキルシロキサン単位を含有
してなり、かつ25℃における粘度が1〜2000cS
tであるフェニル基含有ポリシロキサンである。
【0046】
【化14】
【0047】(ここで、式中R1は炭素数1〜4のアル
キル基を表わし、xは0、1、又は2である。)
【0048】
【化15】
【0049】(ここで、式中R2は炭素数1〜6のアル
キル基、又はシクロアルキル基を表わす。)
【0050】
【化16】
【0051】(ここで、式中R3は炭素数1〜4のアル
キル基を表わす。)かかる一般式[4]〜一般式[6]
で表わされる構成単位を含有するフェニル基含有ポリシ
ロキサンにおいてポリカーボネート樹脂との透明性を高
めるには、第1にはポリカーボネート樹脂との屈折率を
近づけるという観点から、第2にはポリカーボネート樹
脂との相溶性を高めるとの観点から、構成単位を調整す
る方法が挙げられる。
【0052】上記第1の観点からは、フェニル基の含有
率を高くすることが必要となるので、一般式[4]の構
成単位においてメチルフェニルシロキサン単位を主成
分、すなわち全体の80モル%以上としたフェニル基含
有ポリシロキサンを使用することが好ましい。
【0053】上記第2の観点からは屈折率には関係な
く、芳香族水素に対する脂肪族水素の割合を2.4〜
5.0とし、更に25℃における粘度が1〜2,000
cStであるフェニル基含有ポリシロキサンを使用する
ことが好ましい。かかるフェニル基含有ポリシロキサン
は、屈折率の点ではポリカーボネート樹脂と差が大きく
なるが、透明性の観点からは上記第1の観点から好まし
いとしたフェニル基含有ポリシロキサンよりも、透明性
において好ましい結果の得られるものである。
【0054】尚、本発明のD成分において限定している
ところの「芳香族水素に対する脂肪族水素の割合」は、
1H核磁気共鳴測定装置によって容易に測定することが
できる。「芳香族水素に対する脂肪族水素の割合」と
は、本発明のD成分全体あるいはD成分の混合化合物全
体において、「芳香族炭化水素基における水素原子の
数」に対する「脂肪族炭化水素基における水素原子の
数」の比率であり、例えば、メチル基一つとフェニル基
一つを持つ単位、すなわちメチルフェニルシロキサン単
位であれば3/5、すなわち0.6ということになる。
該割合は、該割合が異なる特定単位の混合により調節が
可能である。
【0055】したがってより好ましいフェニル基含有ポ
リシロキサンとしては一般式[4]〜一般式[6]で表
わされる構成単位を含有フェニル基含有ポリシロキサン
であって芳香族水素に対する脂肪族水素の割合を2.4
〜5.0とし、更に25℃における粘度が1〜2,00
0cStのものであり、更により好ましくは芳香族水素
に対する脂肪族水素の割合を2.4〜4.0とし、更に
25℃における粘度が5〜500cStのものであり、
特により好ましくは芳香族水素に対する脂肪族水素の割
合を2.5〜3.4とし、更に25℃における粘度が1
0〜100cStのものである。
【0056】本発明における該フェニル基含有ポリシロ
キサンの配合量は、本発明で使用するポリカーボネート
樹脂100重量部に対して0.01〜1.0重量部であ
り、好ましくは、0.05〜0.6重量部である。配合
量が1.0重量部より多くとなると、難燃性が低下する
だけでなく組成物成形品に関して機械的物性が低下する
問題が生じる。又、該配合量が0.01重量部より少な
くなると他の配合難燃剤との相乗効果が十分発現され
ず、組成物に高度な難燃性を付与するという本発明の目
的を達成できない。更に、フェニル基含有ポリシロキサ
ンは内部離型剤としての作用も有するが、フェニル基含
有ポリシロキサン配合量が0.01重量部より少なくな
るとその内部離型剤としての作用も不十分となる。
【0057】本発明でE成分として使用するポリアリー
レンスルフィドは、下記一般式[10]
【0058】
【化17】
【0059】(ここでR12、R13、R14、及びR15は炭
素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール
基、アルアルキル基、又は水素を表わす。)で表わされ
る繰返し単位を70モル%以上含有する重合体で、好ま
しくはR12、R13、R14、及びR15が全て水素である繰
返し単位を70モル%以上含有する重合体である。他の
共重合成分としては30モル%未満であれば、
【0060】
【化18】
【0061】
【化19】
【0062】
【化20】
【0063】
【化21】
【0064】
【化22】
【0065】
【化23】
【0066】を含有してもよい。
【0067】ポリアリーレンスルフィド樹脂は、一般に
その製造法により、実質上直鎖状で分岐、架橋構造をも
たない分子構造のものと、分岐や架橋を有するものが知
られているが、本発明においてはそのいずれのタイプを
使用してもよい。
【0068】本発明においてE成分として用いるポリア
リーレンスルフィド樹脂の重量平均分子量は8,000
〜12,0000であり、好ましくは12,000〜6
0,000である。又ポリアリーレンスルフィドとして
は、ポリフェニレンスルフィドが特に好ましい。尚、ポ
リアリーレンスルフィドの重量平均分子量は、高温GP
Cを使用することで測定でき、標準ポリスチレン換算の
値である。
【0069】本発明におけるポリアリーレンスルフィド
樹脂の配合量は、本発明で使用するポリカーボネート樹
脂100量部に対して0.005〜0.4重量部であ
り、好ましくは、0.01〜0.3重量部である。0.
005重量部以下では、他の添加剤との相乗効果が十分
発現せず本発明の目的とする高度な難燃性を付与できな
い。0.4重量部を超えると組成物成形片の透明性が損
なわれたり、ポリカーボネート樹脂の分解が生じる問題
がある。
【0070】本発明の特徴の1つである透明性とは、ポ
リカーボネート樹脂本来の透明性により近いことであ
り、具体的には2mm厚みの成形平板において全光線透
過率が80.0%以上であり、かつヘーズ(曇価)10
以下の場合をいう。より好ましくは、該全光線透過率が
84.0%以上であり、かつ該ヘーズが9以下である。
特に好ましくは、該全光線透過率が87.0%以上であ
り、かつ該ヘーズが4以下のものである。
【0071】本発明のポリカーボネート樹脂組成物に
は、成形時における分子量の低下や色相の悪化を防止す
るために熱安定剤を配合することができる。かかる熱安
定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホス
ホン酸及びこれらのエステル等が挙げられ、具体的に
は、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニ
ル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブ
チルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイ
ト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホス
ファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオク
チルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフ
ェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイ
ト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチル
ジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert
−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール
ジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−
tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビ
ス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファ
イト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)
ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペ
ンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホスフ
ェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェ
ート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオル
ソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオ
クチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、
4,4’−ビフェニレンジホスホスフィン酸テトラキス
(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、ベンゼン
ホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベ
ンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。なかで
も、トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホ
スフェート、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフ
ェニル)ホスファイト及びベンゼンホスホン酸ジメチル
が好ましく使用される。これらの熱安定剤は、単独でも
しくは2種以上混合して用いてもよい。かかる熱安定剤
の配合量は、本発明のA成分〜E成分からなるポリカー
ボネート樹脂組成物100重量部に対して0.0001
〜1重量部が好ましく、0.0005〜0.5重量部が
より好ましく、0.001〜0.1重量部が更に好まし
い。
【0072】本発明のポリカーボネート樹脂組成物に
は、酸化防止の目的で通常知られた酸化防止剤を配合す
ることができる。かかる酸化防止剤としては、例えばペ
ンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピ
オネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラ
ウリルチオプロピオネート)、グリセロール−3−ステ
アリルチオプロピオネート、トリエチレングリコール−
ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−
ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキ
サンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペ
ンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−
tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、
1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5
−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベ
ンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t
ert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイ
ド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ
−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス
(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベン
ジル)イソシアヌレート、4,4’−ビフェニレンジホ
スホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブ
チルフェニル)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2
−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5
−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−
2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウン
デカン等が挙げられる。これら酸化防止剤の配合量は、
本発明のA成分〜E成分からなるポリカーボネート樹脂
組成物100重量部に対して0.0001〜0.05重
量部とすべきである。
【0073】本発明のA成分であるポリカーボネート樹
脂組成物には、溶融成形時の金型からの離型性をより向
上させるために、本発明の目的を損なわない程度で離型
剤を配合することができる。かかる離型剤としては、一
価又は多価アルコールの高級脂肪酸エステル、パラフィ
ンワックス、蜜蝋等が挙げられる。かかる高級脂肪酸エ
ステルとしては、炭素原子数1〜20の一価又は多価ア
ルコールと炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸との部分
エステル又は全エステルであるのが好ましい。かかる一
価又は多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステル又
は全エステルとしては、ステアリン酸モノグリセリド、
ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリ
ド、ステアリン酸モノソルビテート、ベヘニン酸モノグ
リセリド、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペ
ンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリス
リトールテトラペラルゴネート、プロピレングリコール
モノステアレート、ステアリルステアレート、パルミチ
ルパルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレー
ト、イソプロピルパルミテート、ビフェニルビフェネ−
ト、ソルビタンモノステアレート、2−エチルヘキシル
ステアレート等が挙げられ、なかでもステアリン酸モノ
グリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ペンタエリ
スリトールテトラステアレートが好ましく用いられる。
かかる離型剤の配合量は、本発明のA成分〜E成分から
なるポリカーボネート樹脂組成物100重量部に対して
0.001〜0.5重量部とすべきである。
【0074】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物には、光安定剤を配合することができる。かかる光安
定剤としては、例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−
tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2
−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキ
シフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−
(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリア
ゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α
−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリア
ゾール、2,2’−メチレンビス(4−クミル−6−ベ
ンゾトリアゾールフェニル)、2,2’−p−フェニレ
ンビス(1,3−ベンゾオキサジン−4−オン)、ポリ
アルキレンナフタレート等が挙げられる。かかる光安定
剤の配合量は、本発明のA成分〜E成分からなるポリカ
ーボネート樹脂組成物100重量部に対して0.01〜
2重量部とすべきである。
【0075】本発明のポリカーボネート樹脂組成物に
は、帯電防止剤を配合することができる。かかる帯電防
止剤としては、例えばポリエーテルエステルアミド、グ
リセリンモノステアレート、ドデシルベンゼンスルホン
酸アンモニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ホスホ
ニウム塩、無水マレイン酸モノグリセライド、無水マレ
イン酸ジグリセライド等が挙げられる。かかる帯電防止
剤の配合量は、本発明のA成分〜E成分からなるポリカ
ーボネート樹脂組成物100重量部に対して0.1〜1
0重量部とすべきである。
【0076】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物には、他の樹脂やエラストマーを本発明の目的が損な
われない範囲、すなわち高い難燃性及び透明性を保持で
きる範囲で配合することもできる。かかる他の樹脂とし
ては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレ
ンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリアミド樹
脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウ
レタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリフェニレンエーテル
樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリ
ロニトリル/スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロ
ニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS樹
脂)、ポリメタクリレート樹脂、フェノール樹脂、エポ
キシ樹脂等の樹脂が挙げられる。
【0077】又、エラストマーとしては、例えばイソブ
チレン/イソプレンゴム、スチレン/ブタジエンゴム、
エチレン/プロピレンゴム、アクリル系エラストマー、
ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマ
ー、コアシェル型のエラストマーであるMBS(メタク
リル酸メチル/ステレン/ブタジエン)ゴム、MAS
(メタクリル酸メチル/アクリロニトリル/スチレン)
ゴム等が挙げられる。
【0078】本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、
通常、A成分のポリカーボネート樹脂、B成分の芳香族
スルホン酸金属塩、C成分のハロゲン化有機リン酸エス
テル、D成分のフェニル基含有ポリシロキサン、及びE
成分のポリアリーレンスルフィドを別々の供給機より、
又はかかる成分の一部又は全部を混合機により予備混合
した混合物及び混合物以外の各成分を各々の供給機よ
り、同一の投入口から又は2個所以上の投入口から混練
機に供給し、溶融混合することで作成される。又B成分
〜E成分の一部又全部を一部のA成分であるポリカーボ
ネート樹脂と予め混合してマスターを作成し投入する方
法、かかるマスターを押出機途中から投入する方法、及
びD成分のフェニル基含有ポリシロキサン等の成分を液
体状態のまま混練機に注入する方法のいずれの方法も取
ることができる。混合機としては例えば、タンブラー、
V型ブレンダー、スーパーミキサー、スーパーフロータ
ー及びヘンシェルミキサー等が挙げられる。又混練機と
しては種々の溶融混合機が使用できるが、例えば、ニー
ダー、一軸又は二軸押出機等が使用できる。中でも二軸
押出機等を用いて樹脂組成物を溶融して押出し、ペレタ
イザーによりペレット化する方法が好ましく使用され
る。好ましくは250〜320℃程度の温度で1個以上
の脱気孔を備えた押出機を使用し、減圧下において溶融
混練することが好ましい。
【0079】こうして得られるポリカーボネート樹脂組
成物のペレットは射出成形法、押出成形法、圧縮成形法
等の通常知られている方法で成形品にすることができ
る。尚、上記混合機により得られた混合物のまま射出成
形、押出成形等により成形品にすることも当然可能であ
る。
【0080】
【発明の実施の形態】以下に実施例をあげて更に説明す
る。実施例中の「部」は重量部である。 [参考例1]ポリカーボネート樹脂の製造(1) 温度計、撹拌機及び還流冷却器付き反応器にイオン交換
水219.4部、48%水酸化ナトリウム水溶液40.
2部を仕込み、これに2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン57.5部及びハイドロサルファイト
0.12部を溶解した後、塩化メチレン181部を加
え、撹拌下15〜25℃でホスゲン28.3部を40分
要して吹き込んだ。ホスゲン吹き込み終了後、48%水
酸化ナトリウム水溶液7.2部及びp−tert−ブチ
ルフェノール2.38部を加え、攪拌を始め、乳化後ト
リエチルアミン0.06部を加え、さらに28〜33℃
で1時間撹拌して反応を終了した。反応終了後生成物を
塩化メチレンで希釈して水洗した後塩酸酸性にして水洗
し、水層の導電率がイオン交換水と殆ど同じになったと
ころで、軸受け部に異物取出口を有する隔離室を設けた
ニーダーにて塩化メチレンを蒸発して、粘度平均分子量
15,500(以下PC−1と略称する)のポリーカー
ボネート樹脂粉末を得た。
【0081】[参考例2]ポリカーボネート樹脂の製造
(2) 温度計、撹拌機及び還流冷却器付き反応器に、2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン100部を、
窒素気流下でイオン交換水により作成した10%水酸化
ナトリウム水溶液550部を溶解した中に、塩化メチレ
ン320部を加えて攪拌下25℃でホスゲン50部を1
00分間要して吹き込んだ。この間15%水酸化ナトリ
ウム水溶液を加えて水層のPH値を12〜14に調整し
た。反応終了後における塩化メチレン層中の反応生成物
の濃度は25%であった。次いで強く攪拌しながら塩化
メチレン550部を加えて均一なエマルジョンにした。
この時、塩化メチレン層中の反応生成物の濃度は11%
であった。続いて15%水酸化ナトリウム水溶液を加え
て水層のPHを13に調整しながら末端停止剤としてp
−tert−ブチルフェノール0.23部、触媒として
トリエチルアミン0.2部及び塩化メチレン550部を
添加した。この時、塩化メチレン層中の反応生成物の濃
度は7%であった。10分後更に塩化メチレン550部
を追加し、塩化メチレン層中の反応生成物の濃度を5%
とし、更に10分後塩化メチレン550部を追加し、3
0℃で3時間重縮合反応させた。反応終了時、塩化メチ
レン層中の反応生成物の濃度は4%であった。反応終了
後水層を分離し、有機層を十分に水洗し、濃縮した後、
メタノール中に滴下し、沈殿物として高分子量ポリカー
ボネート樹脂を得、これを乾燥した。得られた高分子量
ポリカーボネート樹脂は粘度平均分子量121,000
(以下、PC−2と略称する)であった。
【0082】[参考例3]ポリカーボネート樹脂の製造
(3) ホスゲン吹き込み管、温度計及びかきまぜ機を取り付け
た反応槽に、ビスフェノールA114部を溶解した1
2.3%NaOH水溶液394部と塩化メチレン291
部を入れ、かきまぜながら20〜25℃でホスゲン6
9.3部を40分を要して導入し、オリゴマーを生成せ
しめた。このものにp−tert−ブチルフェノール
2.81部と1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェ
ニル)エタン0.83部を溶解した10%NaOH水溶
液9部を加え、5分間かきまぜた後トリエチルアミン
0.23部を加え10分間かきまぜて1,1,1−トリ
ス(4−ヒドロキシフェニル)エタンを反応せしめた。
しかる後、ビスフェノールA22.8部を溶解した4%
NaOH水溶液237部を加え、約40分間かきまぜを
続けて反応を完結した。反応混合液から塩化メチレン相
を分離し、水洗後塩酸酸性とし水相の導電率がイオン交
換水のそれとほとんど同じになるまで水洗を続けた後塩
化メチレン相を分離し塩化メチレンを蒸発して分岐状ポ
リカーボネート樹脂を得た。この分岐状ポリカーボネー
ト樹脂の粘度平均分子量は24,600(以下、PC−
3と略称する)であった。
【0083】[参考例4]ポリカーボネート樹脂の製造
(4) 撹拌機及び蒸留塔を備えた反応器に2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)プロパン50.2部(0.22モ
ル)、ジフェニルカーボネート(バイエル社製)49.
2部(0.23モル)及び触媒として水酸化ナトリウム
0.000005部とテトラメチルアンモニウムヒドロ
キシド0.0016部を仕込み、窒素置換した。この混
合物を200℃まで加熱して撹拌しながら溶解させた。
次いで、減圧度を30Torrとして加熱しながら1時
間で大半のフェノールを留去し、更に270℃まで温度
を上げ、減圧度を1Torrとして2時間重合反応を行
なったところで、メチル(2−フェニルオキシカルボニ
ルオキシ)ベンゼンカルボキシレートを末端停止剤とし
て2.3部を添加した。その後270℃、1torr以
下で5分間末端封鎖反応を行った。次に溶融状態のまま
で、触媒中和剤としてドデシルベンゼンスルホン酸テト
ラブチルホスホニウム塩を0.0023部(4×10-5
モル/ビスフェノール1モル)添加して270℃、10
torr以下で10分間反応を継続し、粘度平均分子量
15,500のポリマーを得た。このポリマーをギアポ
ンプでルーダーに送った。ルーダー途中でトリスノニル
フェニルホスファイトを0.003重量%、トリメチル
ホスフェートを0.005重量%、ステアリン酸モノグ
リセリドを0.045重量%加え、ポリカーボネート樹
脂ペレット(以下PC−4と略称する)を得た。
【0084】[実施例1〜11、比較例1〜15]上記
で得られた芳香族ポリカーボネート樹脂及びその他下記
に示す成分を使用して、表1〜表4に示すサンプルにつ
いて評価を行った。評価は以下の項目(1)及び(2)
について行った。又、表中の部は重量部を表わす。
【0085】(1)難燃性 難燃性は厚さ1.5mm及び厚さ1.3mmのテストピ
ースを用い、燃焼性の評価尺度として、米国UL規格の
UL−94に規定されている垂直燃焼試験に準じて評価
した。V−0に合格するものについては、その5本の試
験片における10回の燃焼秒数の平均燃焼秒数も併せて
記録した。同じV−0合格であっても燃焼秒数が大きい
ものは燃焼性がやや劣ることを示す。
【0086】(2)全光線透過率及びヘーズ(曇価) 下記に示す方法で得られた長さ90mm、幅50mm、
厚み2mmの成形板を使用し、日本電色(株)NDH−
300A型を使用して2mmにおける全光線透過率及び
ヘーズを測定した。併せて目視での観察も行った。
【0087】表1〜表4に示す量(重量部)の各成分及
び更にリン酸エステル系安定剤として、トリス(2,4
−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート0.0
2部を、タンブラーを使用して均一に混合した後、30
mmφベント付き二軸押出機(神戸製鋼(株)製KTX
−30)により、シリンダー温度280℃、10mmH
gの真空度で脱気しながらペレット化し、得られたペレ
ットを120℃で5時間乾燥後、射出成形機(住友重機
械工業(株)製SG150U型)を使用して、シリンダ
ー温度310℃、金型温度80℃の条件で難燃性評価用
のテストピースを作成した。20ショット成形の後、続
いて20ショットを成形し、その中から5個をランダム
に選択して、燃焼試験を実施した。同様に透明性評価用
の板状成形品についても、20ショット成形の後、続い
て20ショットを成形し、その中から5枚をランダムに
選択して全光線透過率及びヘーズの測定に供した。
【0088】なお表1〜表4に記載の各成分を示す記号
は以下の通りである。 (A成分) PC−1;上記参考例1で得られた直鎖状ポリカーボネ
ート樹脂 PC−2;上記参考例2で得られた直鎖状高分子量ポリ
カーボネート樹脂 PC−3;上記参考例3で得られた分岐状ポリカーボネ
ート樹脂 PC−4;上記参考例4で得られた直鎖状ポリカーボネ
ート樹脂 PC−5;直鎖状ポリカーボネート樹脂(帝人化成
(株)製 パンライトL−1250WP、粘度平均分子
量23,900) PC−6;直鎖状ポリカーボネート樹脂(帝人化成
(株)製 パンライトK−1300W、粘度平均分子量
30,000)
【0089】(B成分) SFR−1;ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホ
ン酸ジカリウム塩とジフェニルスルホン−3−スルホン
酸カリウム塩との8:2(重量比)混合物 SFR−2;ベンゼンスルホン酸ナトリウム (B成分以外のスルホン酸金属塩) SFR−3;パーフルオロブタンスルホン酸カリウム塩
(大日本インキ(株)製メガファックF−114)
【0090】(C成分) PFR−1;31P−NMRのピーク積分値で求めた純度
が99.2%であり、不純物中の塩類含有量が0.02
%、リン酸エステルハライド類が0.2%であるトリス
(2,4,6−トリブロモフェニル)ホスフェート PFR−2;31P−NMRのピーク積分値で求めた純度
が98.0%であり、不純物中の塩類含有量が0.90
%、リン酸エステルハライド類が0.4%であるトリス
(2,4,6−トリブロモフェニル)ホスフェート (C成分以外のリン酸エステル) PFR−3;トリフェニルホスフェート(大八化学
(株)製S−4)
【0091】(D成分) POS−1;芳香族水素に対する脂肪族水素の割合が
2.8であり、ジメチルシロキサン単位を含有せず、2
5℃における粘度が22.5cStであり、屈折率1.
460であるフェニル基含有ポリシロキサン(東レ・ダ
ウコーニング・シリコーン(株)製 SH−556) POS−2;芳香族水素に対する脂肪族水素の割合が
0.6であり、ジメチルシロキサン単位を含有せず、2
5℃における粘度が500cStであり屈折率1.53
4であるメチルフェニルポリシロキサン(東レ・ダウコ
ーニング・シリコーン(株)製 SH−710) POS−3;25℃における粘度が100cStであり
屈折率1.403のポリジメチルシロキサン(東レ・ダ
ウコーニング・シリコーン(株)製 SH−200)
【0092】(E成分) PPS−1;重量平均分子量20,000(ポリスチレ
ン換算)、310℃での粘度300ポイズである直鎖状
ポリフェニレンスルフィド樹脂(呉羽化学(株)製フォ
ートロンW203) PPS−2;重量平均分子量40,000(ポリスチレ
ン換算)、315℃での粘度1800ポイズである分岐
型ポリフェニレンスルフィド樹脂(東ソー(株)製サス
ティール#160) (E成分以外の助剤) PTFE;フィブリル形成能を有するポリテトラフルオ
ロエチレン樹脂(ダイキン工業(株)製ポリフロンFA
500)
【0093】
【表1】
【0094】
【表2】
【0095】
【表3】
【0096】
【表4】
【0097】この表から明らかなように、例えば実施例
1と比較例1を比較すると、本発明のポリカーボネート
樹脂を使用した場合は十分な難燃性を有する一方、本発
明のA成分でないポリカーボネート樹脂を使用した場合
は、燃焼性が劣ることがわかる。同様のことが分岐状ポ
リカーボネート樹脂を使用した場合の実施例4との比較
からもいえる。又実施例1と比較例2との比較から、本
発明の芳香族スルホン酸金属塩を使用しない場合に、十
分な難燃性を達成できないことがわかる。同様に比較例
3より本発明の芳香族スルホン酸金属塩を使用せず、他
の難燃剤を増量しても十分な難燃性を達成できず、比較
例4及び比較例5より、本発明のハロゲン化リン酸エス
テルを使用しない場合にも十分な難燃性が得られないこ
とがわかる。比較例6よりポリシロキサンがフェニル基
含有のものでない場合は透明性に劣り、又比較例9より
通常使用されるドリップ防止剤では、本発明の目的であ
る透明性及び1.3mm厚という薄肉においてV−0を
達成する難燃性を得ることはできないことがわかる。更
に比較例10〜12よりポリフェニレンスルフィドは極
めて少量の適性領域においてのみ、十分な難燃性及び透
明性が達成できており、配合量が多すぎると逆に難燃性
が低下し逆効果となることがわかる。又比較例14及び
比較例15からa−2成分が適正量配合されていない場
合には、目的とする難燃性を得ることができないことが
わかる。
【0098】
【発明の効果】本発明は、ポリカーボネート樹脂あるい
は樹脂組成物の難燃性向上に関して新しい手法を提供す
ると共に、薄肉でも難燃性に優れ、かつ透明性を維持し
たポリカーボネート樹脂組成物を提供するものであり、
電気・電子機器分野及び自動車分野、その他各種の分野
において軽量、薄肉化の推進を可能とするものでありそ
の奏する効果は極めて大きいものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 81:02)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)ポリカーボネート樹脂(A成分)
    100重量部、(b)芳香族スルホン酸金属塩(B成
    分)0.1〜0.8重量部、(c)ハロゲン化有機リン
    酸エステル(C成分)0.05〜0.8重量部、(d)
    フェニル基含有ポリシロキサン(D成分)0.01〜
    1.0重量部及び(e)ポリアリーレンスルフィド(E
    成分)0.005〜0.4重量部からなる樹脂組成物で
    あって、A成分のポリカーボネート樹脂が、該A成分1
    00重量%中、粘度平均分子量10,000〜30,0
    00の直鎖状ポリカーボネート樹脂(a−1成分)65
    〜95重量%と粘度平均分子量100,000〜25
    0,000の直鎖状高分子量ポリカーボネート樹脂及び
    /又は粘度平均分子量10,000〜40,000の分
    岐状ポリカーボネート樹脂(a−2成分)35〜5重量
    %との混合物であり、その粘度平均分子量が11,00
    0〜40,000である難燃性ポリカーボネート樹脂組
    成物。
  2. 【請求項2】 B成分が下記一般式[1]で表わされる
    芳香族スルホン酸金属塩である請求項1に記載の難燃性
    ポリカーボネート樹脂組成物。 【化1】 (式中、Mはアルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属
    イオンを表わし、nが1でない場合同一であっても異な
    っていてもよく、q及びrは0、1又は2であってq+
    rが1〜4の整数になる数であり、nはMがアルカリ金
    属の場合はq+rに同一の数であり、Mがアルカリ土類
    金属の場合には(q+r)/2と同一の1又は2であ
    る。)
  3. 【請求項3】 C成分が下記一般式[2]で表わされる
    ハロゲン化有機リン酸エステルである請求項1又は2の
    いずれか1項に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成
    物。 【化2】 (ここで、Ar1、Ar2及びAr3はそれぞれハロゲン
    原子が1個以上置換した又はハロゲン原子が置換してい
    ない炭素数1〜15のアリール基又は下記一般式[3]
    で表わされる基であり、Ar1〜Ar3の少なくとも1つ
    はハロゲン原子を含んだものである。) 【化3】 (ここでArは炭素数6〜12のアリール基を表わし、
    XはO(酸素原子)、S(硫黄原子)、SO2、又はA
    rとR7の直接の結合を表わし、R7は炭素数1〜8のア
    ルキル基、アリール基、アルアルキル基を表わす。)
  4. 【請求項4】 D成分が、少なくとも下記一般式[4]
    で表わされるフェニルシロキサン単位及び/又は下記一
    般式[5]で表わされるアルキルフェニルシロキサン単
    位、及び下記一般式[6]で表わされるトリアルキルシ
    ロキサン単位を含有してなり、かつ25℃における粘度
    が1〜2000cStであるフェニル基含有ポリシロキ
    サンである請求項1〜3いずれか1項に記載の難燃性ポ
    リカーボネート樹脂組成物。 【化4】 (ここで、式中R1は炭素数1〜4のアルキル基を表わ
    し、xは0、1、又は2である。) 【化5】 (ここで、式中R2は炭素数1〜6のアルキル基、又は
    シクロアルキル基を表わす。) 【化6】 (ここで、式中R3は炭素数1〜4のアルキル基を表わ
    す。)
  5. 【請求項5】 D成分が、芳香族水素に対する脂肪族水
    素の割合が2.4〜5.0であるフェニル基含有ポリシ
    ロキサンである請求項4に記載の難燃性ポリカーボネー
    ト樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 E成分のポリアリーレンスルフィドにお
    ける重量平均分子量が12,000〜60,000であ
    る請求項1〜5いずれか1項に記載の難燃性ポリカーボ
    ネート樹脂組成物。
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