JP4907776B2 - 透明難燃性ポリカーボネート樹脂シートの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明難燃性ポリカーボネート樹脂シートの製造方法に関する。更に詳しくは、難燃剤と成形方法の相乗効果により、本来有している優れた透明性や色相を損なうことなく優れた難燃性を有する透明難燃性ポリカーボネート樹脂シートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
芳香族ポリカーボネート樹脂は多くの優れた特性を有するがゆえに広い分野で多量使用されている。しかしながら、芳香族ポリカーボネート樹脂は燃焼する性質があり用途によっては難燃性にする必要があり、特に電器製品や建築用途には厳しい難燃性が要求されている。
【0003】
芳香族ポリカーボネート樹脂を難燃化する方法としては、従来よりハロゲン系難燃剤を配合する方法が知られている。例えば特公昭47−44537号公報には、ポリカーボネート樹脂に対して、臭素化ビスフェノールAのカーボネートオリゴマーを全組成物当り1〜20重量%含有する難燃性ポリカーボネート樹脂組成物が提案されており、特公昭47−24660号公報には臭素化ビスフェノールAとビスフェノールAの共重合ポリカーボネートを10〜20%程度配合する方法が提案されている。
【0004】
しかしながら、かかるハロゲン系難燃剤を添加するのみでは充分な難燃性が得られず、組成によっては透明性が損なわれるようにもなる。このためハロゲン系難燃剤の配合量を単に多くすることは好ましくない。また、ハロゲン系難燃剤の難燃効果を高めるために、酸化アンチモン等の難燃助剤を併用することも知られているが、かかる難燃助剤を併用したのでは透明性が損なわれ、芳香族ポリカーボネート樹脂の特徴が失われる。
【0005】
また、特開平6−271756号公報には、芳香族ポリカーボネート樹脂に臭素化ビスフェノールAのポリカーボネートオリゴマー、パーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ塩、アルコールの硫酸エステル金属塩およびフィブリル形成性フッ素樹脂を配合してなる難燃性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が提案されている。
【0006】
さらに、特開昭53−50261号公報には、芳香族ポリカーボネート樹脂と有機アルカリ(土類)金属塩との混合物である難燃性ポリカーボネート組成物において、無機ハロゲン化物または有機単量体または重合体芳香族または複素環式ハロゲン化物を混合した組成物が示されており、その実施例において、芳香族ポリカーボネート樹脂100部に、有機アルカリ(土類)金属塩としてジフェニルスルホン−3−スルホン酸ナトリウム0.2部、有機ハロゲン化物として臭素化ビスフェノールAのポリカーボネート1.5部およびテフロン0.1部を配合した難燃性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が提案されている。
【0007】
しかしながら、これらの芳香族ポリカーボネート樹脂組成物においても、その透明性が十分でないという問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、本来有している優れた透明性や色相を損なうことなく優れた難燃性を有する芳香族ポリカーボネート樹脂シートを提供するにある。
【0009】
本発明者は、上記目的を達成せんとして芳香族ポリカーボネート樹脂の難燃化について鋭意検討を重ねた結果、芳香族ポリカーボネート樹脂に臭素化ビスフェノールAのカーボネート化合物を特定量配合した芳香族ポリカーボネート樹脂シートを、任意の1方向に特定量の熱収縮性を付与させることによってきわめて難燃性に優れるようになることを見出し、本発明に到達した。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明によれば、ポリカーボネート樹脂および臭素化カーボネート化合物から実質的になる樹脂組成物を、T型ダイス装置を装着した押出機にてシート状に押出し、冷却ロールで成形し、引取ロールで引き取ることにより形成されたポリカーボネート樹脂シートの製造方法であって、冷却ロール速度をQ、引き取り速度をCとして、下記式(3)を満足する製造方法であり、得られるポリカーボネート樹脂シートは、ポリカーボネート樹脂と臭素化カーボネート化合物との合計を100重量%としたとき、臭素化カーボネート化合物の含有量が23〜40重量%であり、且つ該シートを190℃、60分で加熱処理した際、加熱収縮率が3〜30%であることを特徴とする透明難燃性ポリカーボネート樹脂シートの製造方法が提供される。
0.04≦(Q−C)/C≦0.15 ・・・・・・ (3)
【0011】
本発明で使用される芳香族ポリカーボネート樹脂は、一例として二価フェノールとカーボネート前駆体とを界面重合法または溶融法で反応させて得られるものである。ここで使用される二価フェノールの代表的な例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、4,4−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等が挙げられる。好ましい二価フェノールは、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンであり、なかでもビスフェノールAが特に好ましい。
【0012】
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
【0013】
上記二価フェノールとカーボネート前駆体を界面重合法又は溶融法によって反応させて芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、二価フェノールは単独または2種以上を使用することができ、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化防止剤等を使用してもよい。また芳香族ポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であっても、芳香族または脂肪族好ましくは炭素数8以上の芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂であっても、2種以上の芳香族ポリカーボネート樹脂の混合物であってもよい。
【0014】
界面重合法による反応は、通常二価フェノールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促進のために例えば第三級アミンや第四級アンモニウム塩等の触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は数分〜5時間程度である。
【0015】
溶融法による反応は、通常二価フェノールとジフェニルカーボネートとのエステル交換反応であり、不活性ガスの存在下に二価フェノールとジフェニルカーボネートを混合し、減圧下通常120〜350℃で反応させる。減圧度は段階的に変化させ、最終的には133Pa以下にして生成したフェノール類を系外に除去させる。反応時間は通常1〜4時間程度である。
【0016】
また、重合反応において、末端停止剤として単官能フェノール類を使用することができる。殊にカーボネート前駆物質としてホスゲンを使用する反応の場合、単官能フェノール類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用され、また得られたポリカーボネート樹脂は、末端が単官能フェノール類に基づく基によって封鎖されているので、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。かかる単官能フェノール類としては、ポリカーボネートの末端停止剤として使用されるものであればよく、一般にはフェノール又は低級アルキル置換フェノールであって、下記一般式(2)で表される単官能フェノール類を示すことができる。
【0017】
【化2】
【0018】
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜9の直鎖または分岐のアルキル基あるいはアリールアルキル基を示し、mは1〜5、好ましくは1〜3の整数を示す。]
【0019】
前記単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノールおよびイソオクチルフェノールが挙げられる。
【0020】
芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は、粘度平均分子量(M)で10,000〜100,000が好ましく、13,000〜40,000がより好ましく、15,000〜35,000がさらに好ましく、20,000〜30,000が特に好ましい。かかる粘度平均分子量を有する芳香族ポリカーボネート樹脂は機械的強度に優れ、成形時の流動性も良好であり好ましい。本発明でいう粘度平均分子量は塩化メチレン100mLに芳香族ポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求める。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10-4M0.83
c=0.7
【0021】
本発明で使用される臭素化カーボネート化合物は、一例として臭素化ビスフェノールとカーボネート前駆体とを界面重合法または溶融法で反応させて得られるものである。
【0022】
上記臭素化カーボネート化合物を構成する成分となる臭素化ビスフェノールとして、具体的には2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン(通称テトラブロモビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)エタンおよび1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)エタン等が挙げられ、なかでもテトラブロモビスフェノールAが好ましい。これらは単独または2種以上を混合して使用できる。
【0023】
また、この臭素化ビスフェノールの一部を他の二価フェノールで置き換え共重合させたものであってもよく、他の二価フェノールとしては、上記芳香族ポリカーボネート樹脂で説明した二価フェノールが用いられ、なかでもビスフェノールAが好ましい。また、カーボネート前駆体としては上記芳香族ポリカーボネート樹脂で説明したカーボネート前駆体が用いられる。
【0024】
前記臭素化カーボネート化合物は、例えばビスフェノール成分のアルカリ水溶液に、カーボネート前駆体例えばホスゲンを、有機溶媒の存在下反応させることによって製造され、次いでかかる反応生成物の有機溶媒溶液から有機溶媒を除去することにより、臭素化カーボネート化合物が粉末として回収される。
【0025】
また、臭素化ビスフェノールとカーボネート前駆体との反応において、末端停止剤が好ましく使用され、該末端停止剤として単官能フェノール類が好ましく使用される。かかる単官能フェノール類としては、フェノール、低級アルキル置換フェノールおよびハロゲン置換フェノール等が挙げられ、具体的にはフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノール、イソオクチルフェノール、ブロモフェノール、ジブロモフェノールおよびトリブロモフェノール等が挙げられ、フェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノールおよび2,4,6−トリブロモフェノールが好ましく用いられる。
【0026】
上記臭素化カーボネート化合物としては、下記一般式(1)で示される化合物が好ましく使用される。
【0027】
【化3】
【0028】
[式中、Xは臭素原子または水素原子であって、且つ、一分子鎖中Xは、その50%以上が臭素原子であり、Yは臭素原子または水素原子であり、Zは臭素原子、炭素数1〜12のアルキル基、クミル基または水素原子であり、nは2〜10の整数である。]
【0029】
上記一般式(1)中のXは、その好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上が臭素原子、特に好ましくはすべてのXが臭素原子であり、また、YおよびZが臭素原子、Yが水素原子かつZがtert−ブチル基、Yが水素原子かつZがクミル基、YおよびZが水素原子であることが好ましく、nは3〜7の整数が好ましい。Xの臭素原子の割合が大きいほど、得られた化合物はより熱安定性が高く難燃効果も高くなり好ましい。nの値がこの範囲であるとかかるカーボネート化合物の溶融粘度が高くなく流動性が良好で、本発明の透明難燃性ポリカーボネート樹脂シートは成形加工性に優れるため好ましい。上記臭素化カーボネート化合物の臭素含有量は52〜59重量%が好ましい。
【0030】
本発明で使用される臭素化カーボネート化合物のシートに対する配合量は、ポリカーボネート樹脂と臭素化カーボネート化合物との合計を100重量%としたとき、臭素化カーボネート化合物の含有量が23〜40重量%であり、25〜30重量%が好ましい。23重量%未満では難燃性が不十分であり、40重量%より多いと樹脂ヤケが発生し外観が悪化し、著しく物性が低下し好ましくない。
【0031】
また、ポリカーボネート樹脂シート中の臭素含有量としては、12〜24重量%が好ましく、16〜19重量%がより好ましい。かかる範囲内では難燃性が十分であり、樹脂ヤケが発生し難く外観に優れ、物性の低下も少なく好ましい。
【0032】
本発明の透明難燃性ポリカーボネート樹脂シートは、190℃で60分加熱処理後、その加熱収縮率が3〜30%であり、4〜20%が好ましい。3%未満ではUL−94燃焼試験時に樹脂の縮み上がり等の効果がみられずドリップが発生しやすくなり好ましくない。また、30%より大きいと樹脂内に凍結歪が発生しているため熱成形や実用上において寸法精度が低下し、製品としての価値が劣り、また、難燃性も低下する傾向にあり好ましくない。
【0033】
また、ポリカーボネート樹脂シートに熱収縮性を付与させるには任意の方法でよいが、シーティング時において引き取りロール速度を冷却ロール速度より早くする方法や、シーティング後に加熱処理により延伸する方法等が挙げられる。
【0034】
特に、冷却ロール速度をQ、引き取り速度をCとして下記式(3)が成り立つ条件で成形を実施する方法が好ましく採用される。
0.04≦(Q−C)/C≦0.15 ・・・・・・ (3)
【0035】
本発明の透明難燃性ポリカーボネート樹脂シートの厚みは0.1mm〜1.0mmが好ましく、0.5mm〜0.8mmがより好ましい。かかる範囲の厚みのシートは、冷却ロールでの狭持加圧による成形が容易であり、上記熱収縮率の範囲のシートを得ることが容易であり好ましい。
【0036】
本発明の透明難燃性ポリカーボネート樹脂シートには、成形時における分子量の低下や色相の悪化を防止するために熱安定剤を配合することができる。かかる熱安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル等が挙げられ、亜リン酸エステルとして具体的には、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられ、リン酸エステルとして具体的には、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート等が挙げられ、亜ホスホン酸エステルとして具体的には、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4−ジフェニレンホスホナイト等が挙げられ、またホスホン酸エステルとして具体的には、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。なかでも、トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホスフェートおよびベンゼンホスホン酸ジメチルが好ましく使用される。これらの熱安定剤は、単独でもしくは2種以上混合して用いてもよい。かかる熱安定剤の配合量は、該芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.0001〜1重量部が好ましく、0.0005〜0.5重量部がより好ましく、0.001〜0.1重量部がさらに好ましい。
【0037】
本発明の透明難燃性ポリカーボネート樹脂シートには、酸化防止の目的で通常知られた酸化防止剤を配合することができる。かかる酸化防止剤としては、例えばペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、グリセロール−3−ステアリルチオプロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等が挙げられる。これら酸化防止剤の配合量は、該芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.0001〜0.05重量部が好ましい。
【0038】
本発明の透明難燃性ポリカーボネート樹脂シートには、光安定剤を配合することができる。かかる光安定剤としては、例えば2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2´−メチレンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニル)、2,2´−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオキサジン−4−オン)、ポリアルキレンナフタレート等が挙げられる。かかる光安定剤の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物100重量部に対して0.01〜5重量部が好ましい。
【0039】
本発明の透明難燃性ポリカーボネート樹脂シートには、樹脂組成物の補強等を目的として充填剤や他の樹脂やエラストマー、及び品質向上のため帯電防止剤や離型剤、着色剤やその他の難燃剤を本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
【0040】
本発明の透明難燃性ポリカーボネート樹脂シートを製造するには、任意の方法が採用される。例えばタンブラー、V型ブレンダー、スーパーミキサー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等で混合する方法が適宜用いられるが、溶融押出機で一旦ペレット状にしてから、押出成形法でシート形状にすることが好ましい。なお、高温度で成形すると樹脂が分解し物性や難燃性が低下するため、樹脂温度は250〜320℃になるように温度設定を行なうのが好ましい。
【0041】
【実施例】
以下に実施例を挙げてさらに説明する。実施例中の部は重量部であり、また、難燃性の評価は下記の方法に従った。
(1)難燃性
難燃性はアンダーライターズ・ラボラトリーズのサブジェクト94(UL−94)に定めた垂直燃焼性試験に従ってシートの押出方向及び幅方向にかけて測定した。厚さ0.4mm未満の試験片についてはVTM試験を実施した。VTM−0はUL−94試験のV−0に相当する。
(2)透明性、色相
透明性、色相については、成形シートの外観を目視にて評価し、樹脂ヤケや濁りが見られないものを○、樹脂ヤケや濁りが見られたものを×とした。
(3)加熱収縮率
加熱収縮率は、JIS K6735の試験方法に準拠して150mm角の試験片にコンパスで直径100mmの円を描き、平らなプレートに置き190℃で60分加熱処理した後、変形した円(楕円状)の短径を測定し、加熱収縮率を算出した。
【0042】
[実施例1〜5]
表1記載の各成分を表1記載の割合でタンブラーにてブレンドし、これをベント付き単軸押出機でシリンダー温度300℃でペレット化し、得られたペレットは押出幅1400mmT型ダイス装置を装着した押出機にてシリンダー温度300℃、吐出量300kg/hrでシート状に押出し直径300mmの3つの冷却ロールで成形し、引き取りロールで引き取り巾1300mmで表1記載の厚みのシートを得た(図1参照)。冷却ロール3,4,5の温度は夫々120℃、130℃、145℃に設定し、冷却ロール速度をQ、引き取り速度をCとして下記式(3)が成り立つ条件で成形を実施した。
0.04≦(Q−C)/C≦0.15 ・・・・・・ (3)
【0043】
評価結果は表1に示す通りである。なお、表1記載の各成分を示す記号は下記のとおりである。
【0044】
(a)成分
PC1;ビスフェノールAとホスゲンとの反応により(末端停止剤としてp−tert−ブチルフェノールを使用)得られた粘度平均分子量27,000の粉粒状芳香族ポリカーボネート樹脂
(b)成分
T;テトラブロモビスフェノールAとホスゲンとの反応により(末端停止剤としてp−tert−ブチルフェノールを使用)得られた平均重合度7の粉末状の臭素化カーボネートオリゴマー
【0045】
また、表1の実施例及び比較例において、熱安定剤としてテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4−ジフェニレンホスホナイト0.03部、トリメチルホスフェート0.01部およびベンゼンホスホン酸ジメチル0.01部を配合した。
【0046】
[比較例1〜4]
表1記載の各成分を表1記載の割合で配合し、表1記載の押出条件で、実施例と同様に成形しシートを得た。評価結果を表1に示した。
【0047】
【表1】
【0048】
【発明の効果】
本発明の透明難燃性ポリカーボネート樹脂シートは、透明性や色相を損なうことなく優れた難燃性を呈するため、その工業的効果は格別なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用するポリカーボネート樹脂シートの製造装置の概略図である。
【符号の説明】
1.Tダイリップ
2.溶融押出しされたポリカーボネート樹脂シート
3.冷却ロール
4.冷却ロール
5.冷却ロール
6.引取ロール
Claims (4)
- ポリカーボネート樹脂および臭素化カーボネート化合物から実質的になる樹脂組成物を、T型ダイス装置を装着した押出機にてシート状に押出し、冷却ロールで成形し、引取ロールで引き取ることにより形成されたポリカーボネート樹脂シートの製造方法であって、冷却ロール速度をQ、引き取り速度をCとして、下記式(3)を満足する製造方法であり、得られるポリカーボネート樹脂シートは、ポリカーボネート樹脂と臭素化カーボネート化合物との合計を100重量%としたとき、臭素化カーボネート化合物の含有量が23〜40重量%であり、且つ該シートを190℃、60分で加熱処理した際、加熱収縮率が3〜30%であることを特徴とする透明難燃性ポリカーボネート樹脂シートの製造方法。
0.04≦(Q−C)/C≦0.15 ・・・・・・ (3) - ポリカーボネート樹脂シートの厚みが、0.1〜1.0mmである請求項1記載の透明難燃性ポリカーボネート樹脂シートの製造方法。
- ポリカーボネート樹脂シートは、シートの押出方向および幅方向において、UL−94規格の難燃レベルがVTM−0またはV−0である請求項1記載の透明難燃性ポリカーボネート樹脂シートの製造方法。
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