JP4685234B2 - ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物に関する。更に詳しくは、ポリカーボネート樹脂組成物製造時の取り扱い性、成形時の離型性に優れ、且つ金型付着物が少なく、さらに耐熱性に優れるポリカーボネート樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、ポリカーボネート樹脂には、成形品の金型からの離型性を向上させる目的で多価アルコールの脂肪酸部分エステルなどの離型剤を配合する。しかしながら、これらの化合物は一般的にポリカーボネート樹脂に配合するとその熱安定性を悪化させるという問題が発生している。
【0003】
このような観点から特開平2−69556号公報では可能な限りOH基を少なくするとともに、小さい酸価を有するエステル化合物の使用を提案しており、耐熱性の向上に有用であることが示されている。
【0004】
しかしながら、このような化合物は分子骨格が大きくなるため成形時の離型性向上効果が小さく、充分な離型性を得るためには、大過剰の添加が必要となり経済的に問題である。さらに、大過剰添加した場合には、金型付着物やスタンパー付着物が多くなり不良率が高くなるとともに、洗浄サイクルが短くなるため生産性が著しく悪化する。特にコンパクトディスクなどの光学式ディスク基板や自動車ヘッドランプレンズなどの成形では、高度な転写性能と良好な経済性能(生産性)が必須であり問題である。
【0005】
また、ポリカーボネート樹脂に分岐状の脂肪酸エステル基を有する化合物を特定量配合することにより、帯電防止性能にすぐれた樹脂組成物が提供されることが示されている(WO 00/15707号明細書)。
【0006】
一方、ポリカーボネート樹脂の製造方法の一つである溶融重合法においては製造時の溶融樹脂への離型剤添加方法として、より正確に計量し、より完全に相溶させ、より均一な樹脂組成とするため加熱溶解させて液状で添加することが望ましい。通常、離型剤は、常温、常圧において固体のため、高温に加熱し溶解させた状態で添加するが、この際完全に溶解させるためには高温に保つ必要があり、離型剤自身が着色劣化しやすくなり、樹脂組成物の品質が大幅に悪化するという問題が発生している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第一の目的は、成形時の離型性に優れ、且つ金型付着物が少なく、さらに耐熱性の良好なポリカーボネート樹脂組成物を提供することにある。
【0008】
本発明の第二の目的は、離型剤として特定の化合物を使用することにより、殊に溶融混練で、液状添加する際に取り扱い易く、且つ耐熱性に優れるポリカーボネート樹脂組成物を提供することにある。
【0009】
本発明者は、上記目的を達成せんとして鋭意検討を重ねた結果、ポリカーボネート樹脂に、離型剤として脂肪酸部分に特定の分岐構造を有する脂肪酸エステル化合物を特定量配合することによって、成形時の離型性を損なうことなく、製造時の取り扱い性、耐熱性に優れ、さらに金型付着物が少ないポリカーボネート樹脂組成物が得られることを究明し、本発明を完成した。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明によれば、(A)ポリカーボネート樹脂(a成分)および(B)下記一般式(I)で表される脂肪酸エステル化合物(b成分)よりなり、a成分100重量部に対して、b成分が0.1重量部より少なく0.001重量部以上であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物が提供される。
【0011】
【化2】
Figure 0004685234
【0012】
(式中、l、m、nは、それぞれ独立して0〜の整数であり、l、m、nのうち少なくとも1つは1以上の整数であり、、R、Rは、それぞれ独立して水素原子、または炭素数10〜20の直鎖ないし分岐状の脂肪族カルボン酸残基であり、R、R、Rの少なくとも一つは分岐状の脂肪族カルボン酸残基である。)
【0013】
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂は、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを界面縮重合法または溶融重合法で反応させて得られるものである。ここで使用されるジヒドロキシ化合物の代表的な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4′−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−フェニル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4′−ジヒドロキシジフェニルエステル等があげられ、これらは単独または2種以上を混合して使用できる。なかでもビスフェノールAが好ましい。
【0014】
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたはジヒドロキシ化合物のジハロホルメート等が挙げられる。
【0015】
上記ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体を界面重縮合法または溶融重合法によって反応させてポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、ジヒドロキシ化合物の酸化防止剤等を使用してもよい。またポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物または脂肪族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であっても、芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂であってもよく、また、得られたポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
【0016】
界面重縮合法による反応は、通常ジヒドロキシ化合物とホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促進のために例えばトリエチルアミン、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド等の第三級アミン、第四級アンモニウム化合物、第四級ホスホニウム化合物等の触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜40℃、反応時間は10分〜5時間程度、反応中のpHは9以上に保つのが好ましい。
【0017】
また、かかる重合反応において、通常末端停止剤が使用される。かかる末端停止剤として単官能フェノール類を使用することができる。単官能フェノール類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用され、また得られたポリカーボネート樹脂は、末端が単官能フェノール類に基づく基によって封鎖されているので、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。かかる単官能フェノール類としては、一般にはフェノール又は低級アルキル置換フェノールであって、例えばフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノールおよびイソオクチルフェノールが用いられる。
【0018】
溶融重合法による反応は、通常ジヒドロキシ化合物とカーボネートエステルとのエステル交換反応であり、不活性ガスの存在下にジヒドロキシ化合物とカーボネートエステルとを加熱しながら混合して、生成するアルコールまたはフェノールを留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノールの沸点等により異なるが、通常120〜350℃の範囲である。反応後期には系を1300〜13Pa程度に減圧して生成するアルコールまたはフェノールの留出を容易にさせる。反応時間は通常1〜4時間程度である。
【0019】
カーボネートエステルとしては、置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール基、アラルキル基あるいは炭素数1〜4のアルキル基などのエステルが挙げられる。具体的にはジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m―クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネートなどが挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが好ましい。
【0020】
また、重合速度を速めるために重合触媒を用いることができ、かかる重合触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ジヒドロキシ化合物のナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属化合物、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属化合物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の含窒素塩基性化合物、アルカリ金属やアルカリ土類金属のアルコキシド類、アルカリ金属やアルカリ土類金属の有機酸塩類、亜鉛化合物類、ホウ素化合物類、アルミニウム化合物類、珪素化合物類、ゲルマニウム化合物類、有機スズ化合物類、鉛化合物類、オスミウム化合物類、アンチモン化合物類マンガン化合物類、チタン化合物類、ジルコニウム化合物類などの通常エステル化反応、エステル交換反応に使用される触媒を用いることができる。触媒は単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせ使用してもよい。これらの重合触媒の使用量は、原料のジヒドロキシ化合物1モルに対し、好ましくは1×10-9〜1×10-3当量、より好ましくは1×10-8〜5×10-4当量の範囲で選ばれる。
【0021】
ポリカーボネート樹脂の分子量は、粘度平均分子量(M)で10,000〜100,000が好ましく、11,000〜45,000がより好ましく、12,000〜30,000が特に好ましい。かかる粘度平均分子量を有するポリカーボネート樹脂は、十分な強度が得られ、また、成形時の溶融流動性も良好であり成形歪みが発生せず好ましい。かかる粘度平均分子量は塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10-40.83
c=0.7
【0022】
本発明で使用される離型剤である脂肪酸エステル化合物は上記一般式(I)で表され、特に脂肪酸部分に分岐状構造を持つことを特徴とする化合物である。
【0023】
式中、l、m、nは、それぞれ独立して0〜の整数であり、l、m、nのうち少なくとも1つは1以上の整数が望ましく、より好ましくはl、m、nのうち一つが0、二つが1となるグリセリン構造である。また、R、R、Rは、それぞれ独立して水素原子、または炭素数10〜20の直鎖ないし分岐状の脂肪族カルボン酸残基であり、これらの水素原子の一部がOH基やCOOH基などに置換されていてもよく、且つR、R、Rの少なくとも一つは分岐状の脂肪族カルボン酸残基である。特に好ましくは、R、R、Rはすべて直鎖ないし分岐状の脂肪族カルボン酸残基であり、且つR、R、Rの少なくとも一つは分岐状の脂肪族カルボン酸残基である。なお、脂肪族カルボン酸残基とは、−OR(、−ORまたは−OR)が脂肪酸エステル基であることを意味する。
【0024】
また、かかる脂肪酸エステル化合物中の脂肪酸エステル基の組成比が、トリエステル、ジエステルおよびモノエステルの合計重量を100重量%としたとき、トリエステル0〜20重量%、ジエステル15〜55重量%、モノエステル30〜70重量%の割合が好ましく、トリエステル5〜15重量%、ジエステル25〜45重量%、モノエステル40〜60重量%の割合がより好ましく、トリエステル8〜13重量%、ジエステル30〜40重量%、モノエステル45〜55重量%の割合が特に好ましい。
【0025】
かかる脂肪酸エステル化合物の使用量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.1重量部より少なく0.001重量部以上であり、好ましくは0.095重量部以下0.005重量部以上である。0.001重量部未満では充分な離型性が得られず好ましくない。またかかる脂肪酸エステル化合物は、極少量であれば製造時の未反応物(グリセリン)や不純物が混入していてもよい。
【0026】
離型剤として、一般的に使用されているグリセリンモノステアレートやペンタエリスリトールテトラステアレート、その他全ての脂肪酸基が分岐状でなく直鎖状である脂肪酸エステル化合物を用いても本発明の目的は達成されない。
【0027】
本発明で使用される脂肪酸エステル化合物は、脂肪酸エステルの脂肪酸基に分岐構造を有することが大きな特徴である。脂肪酸基を分岐状にすると、分子はより結晶化しにくくなるため、融点が低く、且つ耐揮発性に優れるというポリカーボネート樹脂用の離型剤としては理想的な特徴を有するようになる。
【0028】
具体的には、本発明で使用される脂肪酸エステル化合物は、常温、常圧で透明液体である場合が多く、殊にポリカーボネート樹脂を溶融混練する場合に、ほとんど加熱しなくても、またはより緩やかな加熱で液状添加することが可能となる。このため、従来問題となっていた本工程での離型剤の着色劣化などの問題が起こりにくくなる。なお、本明細書において常温、常圧とは、25℃、1013hPaを基準とした。
【0029】
さらに本発明で使用される脂肪酸エステル化合物は、融点が低く、且つ耐揮発性に優れているため、ポリカーボネート樹脂を成形する際に、金型付着物を大きく低減できる。このため殊に光ディスクや自動車ヘッドランプレンズなどの精密な転写性の必要となる成形において、金型洗浄の回数を減らすことができ生産性が良くなるとともに、成形不良率も少なくなるという利点があり、好適に使用される。
【0030】
なお、上記金型付着物とは、ポリカーボネート樹脂組成物の成形を続けることによって、金型キャビティまたはスタンパー外周上やガス抜き部の隙間に堆積する物質を示す。そして、この金型付着物を低減させるためには、溶融樹脂から揮発するガス状物を少なくする方法が有効である。その評価方法の一つとして各添加剤の熱重量分析における重量減少温度を測定する方法があり、本発明で使用される離型剤は、20%重量減少温度が300℃以上の化合物であり、耐揮発性に優れ、成形時の金型付着物が極めて少なくなる。
【0031】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、前記脂肪酸エステル化合物とそれ以外の離型剤を本発明の目的を損なわない範囲で併用して配合することができる。かかる離型剤としては、一価または多価アルコールの高級脂肪酸エステル、ポリオルガノシロキサン、パラフィンワックス、蜜蝋等が挙げられる。かかる高級脂肪酸エステルとしては、炭素原子数1〜20の一価または多価アルコールと炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルであるのが好ましい。かかる一価または多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルとしては、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ベヘニン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート、プロピレングリコールモノステアレート、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテート、ビフェニルビフェネ−ト、ソルビタンモノステアレート、2−エチルヘキシルステアレート等が挙げられる。かかる離型剤の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物100重量部に対して0.001〜0.5重量部が好ましい。
【0032】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、成形時における分子量の低下や色相の悪化を高度に防止するために、熱安定剤を使用することができる。かかる熱安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル等が挙げられ、具体的には、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4−ジフェニレンホスホナイト、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピルなどが挙げられる。
【0033】
これらのなかで、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4−ジフェニレンホスホナイトが好ましく使用される。これらの熱安定剤は、1種もしくは2種以上を混合して用いてもよい。かかる熱安定剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.001〜0.15重量部が好ましく、0.001〜0.1重量部がより好ましい。
【0034】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、酸化防止の目的で通常知られた酸化防止剤を配合することができる。かかる酸化防止剤としては、例えばペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、グリセロール−3−ステアリルチオプロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ビフェニレンジホスホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等が挙げられ、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。これら酸化防止剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.001〜0.1重量部が好ましい。
【0035】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、紫外線吸収剤を配合することができる。紫外線吸収剤化合物は、具体的に、ベンゾフェノン系では、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシトリハイドライドレイトベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−ソジウムスルホキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンソフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン等があげられる。
【0036】
また、ベンゾトリアゾール系では、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)フェニルベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2’−メチレンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニル)、2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオキサジン−4−オン)、2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾ−ルがあげられ、なかでも2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ルが好ましい。これらの紫外線吸収剤は単独あるいは2種以上の混合物で用いることができる。かかる紫外線吸収剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂組成物100重量部に対して0.01〜1重量部が好ましい。
【0037】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、発明の目的を損なわない範囲でブルーイング剤を配合することができる。ブルーイング剤は、樹脂組成物の黄色味を消すために有効である。とくに耐候性を付与した組成物の場合は、一定量の紫外線吸収剤が配合されているため「紫外線吸収剤の作用や色」によって樹脂製品が黄色味を帯びやすい現実があり、とくにシート製品に自然な透明感を付与するためにはブルーイング剤の配合は非常に有効である。
【0038】
かかるブルーイング剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂組成物に対して好ましくは0.05〜1.5ppmであり、より好ましくは、0.1〜1.2ppmである。配合量が多すぎると樹脂製品の青みが強くなって視感透明度が低下することがある。ブル−イング剤としては代表例として、バイエル社のマクロレックスバイオレットやトリアゾ−ルブル−RLS等があげられる。
【0039】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、本発明の目的が損なわれない量の帯電防止剤を配合することができる。かかる帯電防止剤としては、例えばドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、脂肪酸エステル化合物、カーボン、グラファイト、金属粉末等が挙げられる。かかる帯電防止剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂組成物100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましく、0.1〜5重量部がより好ましい。
【0040】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、本発明の目的が損なわれない量の難燃剤を配合することができる。難燃剤としては、ハロゲン化ビスフェノールAのポリカーボネート型難燃剤、有機塩系難燃剤、芳香族リン酸エステル系難燃剤、あるいは、ハロゲン化芳香族リン酸エステル型難燃剤等があげられる。具体的にハロゲン化ビスフェノールAのポリカーボネート型難燃剤は、テトラブロモビスフェノールAのポリカーボネート型難燃剤、テトラブロモビスフェノールAとビスフェノールAとの共重合ポリカーボネート型難燃剤等である。具体的に有機塩系難燃剤は、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸カリウム、ビス(2,6−ジブロモ−4−クミルフェニル)リン酸カリウム、ビス(4−クミルフェニル)リン酸ナトリウム、ビス(p−トルエンスルホン)イミドカリウム、ビス(ジフェニルリン酸)イミドカリウム、ビス(2,4,6−トリブロモフェニル)リン酸カリウム、ビス(2,4−ジブロモフェニル)リン酸カリウム、ビス(4−ブロモフェニル)リン酸カリウム、ジフェニルリン酸カリウム、ジフェニルリン酸ナトリウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム、ラウリル硫酸ナトリウムあるいはカリウム、ヘキサデシル硫酸ナトリウムあるいはカリウム等である。具体的にハロゲン化芳香族リン酸エステル型難燃剤は、トリス(2,4,6−トリブロモフェニル)ホスフェート、トリス(2,4−ジブロモフェニル)ホスフェート、トリス(4−ブロモフェニル)ホスフェート等である。具体的に芳香族リン酸エステル系難燃剤は、トリフェニルホスフェート、トリス(2,6−キシリル)ホスフェート、テトラキス(2,6−キシリル)レゾルシンジホスフェート、テトラキス(2,6−キシリル)ヒドロキノンジホスフェート、テトラキス(2,6−キシリル)−4,4’−ビフェノールジホスフェート、テトラフェニルレゾルシンジホスフェート、テトラフェニルヒドロキノンジホスフェート、テトラフェニル−4,4’−ビフェノールジホスフェート、芳香環ソースがレゾルシンとフェノールでありフェノール性OH基を含まない芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがレゾルシンとフェノールでありフェノール性OH基を含む芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがヒドロキノンとフェノールでありフェノール性OH基を含まない芳香族ポリホスフェート、同様のフェノール性OH基を含む芳香族ポリホスフェート、(以下に示す「芳香族ポリホスフェート」は、フェノール性OH基を含む芳香族ポリホスフェートと含まない芳香族ポリホスフェートの両方を意味するものとする)芳香環ソースがビスフェノールAとフェノールである芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがテトラブロモビスフェノールAとフェノールである芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがレゾルシンと2,6−キシレノールである芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがヒドロキノンと2,6−キシレノールである芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがビスフェノールAと2,6−キシレノールである芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがテトラブロモビスフェノールAと2,6−キシレノールである芳香族ポリホスフェート等である。
【0041】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、他の樹脂やエラストマーを本発明の目的が損なわれない範囲で少割合配合することもできる。
【0042】
かかる他の樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリメタクリレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。
【0043】
また、エラストマーとしては、例えばイソブチレン/イソプレンゴム、スチレン/ブタジエンゴム、エチレン/プロピレンゴム、アクリル系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、コアシェル型のエラストマーであるMBS(メタクリル酸メチル/ステレン/ブタジエン)ゴム、MAS(メタクリル酸メチル/アクリロニトリル/スチレン)ゴム等が挙げられる。
【0044】
本発明のポリカーボネート樹脂において配合剤をブレンドするには、任意の方法が採用される。例えばタンブラー、V型ブレンダー、スーパーミキサー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等で混合する方法が適宜用いられる。こうして得られるポリカーボネート樹脂組成物パウダーは、そのまま又は溶融押出機で一旦ペレット状にしてから、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法、シート押出し法等の通常知られている方法で成形品やシートにすることができる。
【0045】
また、配合剤のブレンドにあたっては、一段階で実施してもよいが、二段階以上に分けて実施してもよい。一段階で実施する方法としては、例えば、界面重縮合法の場合には、樹脂パウダー製造の最終段階である乾燥工程にて、乾燥途中の乾燥機に各添加剤を投入し、乾燥と同時にブレンドを行う方法がある。また、溶融重合法の場合には、溶融重合の最終段階におけるエクストルーダーの途中で添加する方法がある。二段階に分けて実施する方法としては、例えば、配合予定のポリカーボネート樹脂パウダーの一部と配合剤とをブレンドした後、つまり、配合剤をポリカーボネート樹脂パウダーで希釈して配合剤のマスターバッチとした後、これを用いて最終的なブレンドを行う方法など用いられる。
【0046】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明は何らこれに限定されるものではない。なお特に説明が無い限り実施例中の部は重量部、%は重量%である。なお、評価は下記の方法によった。
【0047】
(1)離型剤の常温、常圧での状態観察(離型剤取り扱い性の評価)
温度25℃、圧力1013hPaに密閉状態にて1日放置した状態で各離型剤の状態を観察した。
【0048】
(2)離型剤の熱重量分析(離型剤の耐揮発性評価)
DuPont社製951TGA装置を用いて、窒素雰囲気中昇温速度毎分10℃の条件下で20%重量減少温度を測定した。
【0049】
(3)離型荷重の測定(離型性の評価)
住友SS75射出成形機を用いて、コップ型の成形片を成形し、離型時の突出し荷重をメモライザーにより測定した。この値が小さいほど離型性に優れることを示す。
【0050】
(4)金型付着物測定試験(金型付着物発生量の評価)
射出成形機、住友重機械工業製DISK3 M IIIにCD専用の金型を取り付け、この金型にピットの入ったニッケル製のCD用スタンパーを装着し、成形材料を自動搬送にて成形機のホッパに投入し、シリンダー温度340℃、金型温度65℃、射出速度100mm/sec、保持圧力3.9MPa(40kgf/cm2)の条件で直径120mm、肉厚1.2mmの光ディスク基板を連続的に1万枚成形した。
連続1万枚を成形した後、成形後のスタンパー付着物をクロロホルムで抽出乾固し、付着物量を測定した。
付着物量を測定した結果を下記の基準で評価した。
付着物量評価基準
A:1万枚成形後の付着物量 7mg以下
B:1万枚成形後の付着物量 7mgを超え15mg以下
C:1万枚成形後の付着物量 15mgを超える
D:1万枚の成形に至るまでに基板に付着物が転写した。
【0051】
(5)ポリカーボネート樹脂組成物の耐熱性測定試験(耐熱性評価)
射出成形機を用いてポリカーボネート樹脂組成物のポリカーボネート樹脂組成物のペレットを成形温度330℃、1分サイクルで厚さ2.0mmの成形板を作成した。この成形板を温度設定150℃の乾燥機中に500時間保管した。保管前の成形板のYI値と保管後の成形板のYI値をそれぞれ日本電色(株)製色差計Z−1001DP型で測定し、その差(ΔYI値)をそれぞれ算出した。ΔYI値が小さいほど成形板の色相変化が小さく、耐熱性に優れることを示す。
【0052】
[実施例1〜2、比較例1〜6]
ビスフェノールAとホスゲンから界面重縮合法により製造された分子量15500のポリカーボネート樹脂100部に、熱安定剤としてテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4−ジフェニレンホスホナイト0.003部配合し、また、表1記載の離型剤を表1記載の量配合した。次いで、ブレンダーにて混合した後、ベント式単軸押出し機を用いて溶融混練しペレットを得た。得られた各サンプルペレットの評価結果を表1に示した。なお、表中の記号表記の離型剤は下記の通りである。
【0053】
A−1;分岐型脂肪酸エステル化合物{ICI Chemicals & Polymers Limited製Atmer801;前記式(I)において、l、m、nはそれぞれ1、0、1の整数でグリセリン構造であり、R1、R2、R3は、それぞれ水素原子または炭素数10〜20の直鎖ないし分岐状の脂肪族カルボン酸残基で、R1、R2、R3の少なくとも1つは分岐状の脂肪族カルボン酸残基である。また、その組成比は、グリセリントリエステル9%、グリセリンジエステル35%、グリセリンモノエステル52%(その他グリセリン4%を含む)}
A−2;グリセリンモノステアレート
A−3;ステアリルステアレート
A−4;ペンタエリスリトールテトラステアレート
【0054】
[参考例1]
実施例1にて用いたポリカーボネート樹脂に対していずれの離型剤も配合しない以外はすべて実施例1と同様の方法によりペレットを得た。得られたペレットを実施例1と同様の方法により評価し、評価結果を表1に示した。
【0055】
【表1】
Figure 0004685234
【0056】
【発明の効果】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、特定の化学構造を有する離型剤を使用することにより、製造時の取り扱い性、成形時の離型性、耐熱性に優れることから、ポリカーボネート樹脂を製造する際に、より品質劣化の少ないポリマーが得られる。また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は連続成形時の金型付着物が少ないため、殊に光学式ディスク基板の成形や自動車ヘッドランプレンズを成形する際に金型洗浄回数を減らすことができるため、品質上だけでなく生産効率上からも極めて有用である。

Claims (2)

  1. (A)ポリカーボネート樹脂(a成分)および(B)下記一般式(I)で表される脂肪酸エステル化合物(b成分)よりなり、a成分100重量部に対して、b成分が0.1重量部より少なく0.001重量部以上であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
    Figure 0004685234
    (式中、l、m、nは、それぞれ独立して0〜の整数であり、l、m、nのうち少なくとも1つは1以上の整数であり、、R、Rは、それぞれ独立して水素原子、または炭素数10〜20の直鎖ないし分岐状の脂肪族カルボン酸残基であり、R、R、Rの少なくとも一つは分岐状の脂肪族カルボン酸残基である。)
  2. 前記b成分の脂肪酸エステル化合物が混合物であってその組成比が、トリエステル、ジエステルおよびモノエステルの合計重量を100重量%としたとき、トリエステル0〜20重量%、ジエステル15〜55重量%およびモノエステル30〜70重量%である請求項1記載のポリカーボネート樹脂組成物。
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