JP2014065895A - インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1の色材及び第2の色材を含有し、これらの含有量の合計が6.0質量%以下のインクである。第1の色材が、1,2−ヘキサンジオール20.0質量%水溶液中での最大吸収波長及び水中での最大吸収波長の差Δλmax1が20.0以上であるブラック色材であり、第2の色材が、1,2−ヘキサンジオール20.0質量%水溶液中での最大吸収波長及び水中での最大吸収波長の差Δλmax2が12.0以下である特定の色材であり、Δλmax1及びΔλmax2の和が35.0以下である。
【選択図】なし
Description
(前記一般式(II)中、R4及びR5はそれぞれ独立に、ヒドロキシ基で置換された炭素数1乃至4のアルコキシ基を表し、nは1乃至3を表し、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す)
(前記一般式(III)中、R6及びR7はそれぞれ独立に、アニオン性基で置換されていてもよいアリール基を表し、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す)
(前記一般式(IV)中、R8はそれぞれ独立に、炭素数1乃至4のアルキル基を表し、前記アルキル基は、アニオン性基、スルホンアミド基、ヒドロキシ基、炭素数1乃至4のアルキル基、又はこれらのうち少なくとも2つを組み合わせた基で置換されていてもよく、nは3又は4を表す)
(前記一般式(V)中、破線で表される環A、B、C及びDは、それぞれ独立に芳香環又は複素芳香環を表し、R9は1乃至3個のアニオン性基で置換されたアニリノ基を表し、R10はアミノ基又は炭素数1乃至4のアルコキシ基を表し、R11は炭素数1乃至4のアルキレン基を表し、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表し、lは0乃至4、mは1乃至3、nは1乃至3、l+m+nは1乃至4を表す)
(前記一般式(VI)中、R12、R13、R14、及びR15はそれぞれ独立に、炭素数1乃至4のアルキル基を表し、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す)
(前記一般式(VII)中、R16は水素原子又は炭素数1乃至4のアルキル基を表し、R17は1乃至3個のアニオン性基で置換されたアリールオキシ基、又はヒドロキシ基を表し、nは1又は2を表し、n=1のときR18は1乃至3のアニオン性基で置換されたアリール基を表し、n=2のときR18は炭素数1乃至4のアルキレン基を表し、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す)
(前記一般式(VIII)中、R19はアニオン性基を有する炭素数1乃至4の脂肪族アミン残基を表し、R20はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、又は炭素数1乃至4のアルコキシ基を表し、前記アルキル基及びアルコキシ基はアニオン性基で置換されていてもよく、nは0又は1を表し、Mは、それぞれ独立に水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表し、l及びmはそれぞれ独立に1又は2を表す)
以下、本発明のインクを構成する各成分について詳細に説明する。
第1の色材は、1,2−ヘキサンジオール20.0質量%水溶液中での最大吸収波長(λmaxD1)及び水中での最大吸収波長(λmaxW1)の差Δλmax1(=λmaxD1−λmaxW1)が20.0以上のブラック色材である。Δλmax1が20.0未満であると、記録される画像の耐オゾン性が不十分となる。また、他のインクに含まれる水溶性有機溶剤による色調変化を十分に抑制するためには、Δλmax1の上限は30.0以下であることが好ましい。
第2の色材は、1,2−ヘキサンジオール20.0質量%水溶液中での最大吸収波長(λmaxD2)及び水中での最大吸収波長(λmaxW2)の差Δλmax2(=λmaxD2−λmaxW2)が12.0以下の色材である。また、第2の色材は、第1の色材による画像の耐オゾン性を損なうことなく、ソルバトクロミズム現象を示す第1の色材を用いることによって生じる色調変化を抑制するために、後述する特定の群より選ばれる色材を用いる必要がある。前記特定の群とは、下記一般式(II)で表される化合物、C.I.フードブラック2、下記一般式(III)で表される化合物、C.I.ダイレクトブルー199、下記一般式(IV)で表される化合物、下記一般式(V)で表される化合物、C.I.ダイレクトレッド227、C.I.アシッドレッド289、下記一般式(VI)で表される化合物、下記一般式(VII)で表される化合物、C.I.アシッドレッド249、C.I.ダイレクトイエロー132、C.I.アシッドイエロー23、C.I.アシッドイエロー17、及び下記一般式(VIII)で表される化合物で構成される。
本発明の効果が損なわれない限り、第1の色材及び第2の色材以外のその他の色材(第3の色材)をさらにインクに含有させてもよい。第3の色材が存在することによって、Δλmaxの和が35.0を超える場合もあり得る。しかし、2種の色材の組み合わせが本発明の要件を満たさない場合に第3の色材を追加する場合と比較して、2種の色材の組み合わせが本発明の要件を満たす場合に第3の色材を追加したほうが、色調変化を明らかに抑制することができる。ただし、1種以上の第3の色材を使用する場合には、その含有量を第1の色材又は第2の色材の含有量以下とすることが好ましく、第2の色材の含有量よりも少なくすることがより好ましい。なお、1種以上の第3の色材を使用する場合には、インク中の色材の含有量の合計を、インク全質量を基準として、1.0質量%以上6.0質量%以下とすることが好ましい。また、インク中の全ての色材についてのΔλmaxの和(Δλmax1+Δλmax2+Δλmax3+…)が35.0以下であることが特に好ましい。なお、Δλmax3は、Δλmax1やΔλmax2と同様にして定義される値である。
本発明のインクは、グレー〜ブラックの色調を有するインクであることが好ましい。本発明におけるグレー〜ブラックの色調とは、シアン、マゼンタ、イエローなどのカラー(有彩色)ではない色調、すなわち無彩色のことを意味し、明度は問わない。つまり、本発明のインクは、ブラックインク(濃インク)やグレーインク(淡インク)、さらには淡グレーインクとすることができる。したがって、インクの色調をグレー〜ブラックに調整するために、インク中の第2の色材の含有量は、ブラック色材である第1の色材の含有量よりも少なくすることが好ましい。より具体的には、インク全質量を基準とした、第1の色材の含有量(質量%)が、第2の色材の含有量(質量%)に対する質量比率で、1.0倍以上10.0倍以下であることが好ましい。
本発明のインクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を用いることができる。また、本発明のインクは、水性媒体として少なくとも水を含有する、水性のインクであることが好ましい。水は、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、10.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましい。
本発明のインクは、グリセリンをさらに含有することが好ましい。グリセリンを含有することにより、記録される画像の耐湿性を向上させることができる。グリセリンを含有させることにより画像の耐湿性が向上する理由について説明する。第1の色材は、インクの極性によって色調が変化しやすいという特性を有する。第1の色材を含有するインクによって記録された画像を高湿度の環境下に放置すると、第1の色材と、高極性の物質である大気中の水分とが接触することにより、画像が変色し、耐湿性が低下しやすい。したがって、グリセリンのような高極性の水溶性有機溶剤をインクに含有させておくと、このインクによって記録された画像における第1の色材の色調は、高極性環境下での色調となる。すなわち、グリセリンを含有するインク中での第1の色材の色調は、既に高極性環境下における色調となっているため、高湿度環境下で第1の色材と水分が接触しても、変色の程度が小さい。インク中のグリセリンの含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、1.0質量%以上30.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以上20.0質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明のインクは、グリセリンとともに、グリセリンよりも極性が相対的に低い水溶性有機溶剤を、グリセリンの含有量に対する所定の質量比率となるように含有することが好ましい。まず、水溶性有機溶剤の極性を示す指標とするLogP(Log Pow)について説明する。LogPとは、水とオクタノール(1−オクタノール)の分配係数のことをいう。LogPは対象物質の水へのなじみやすさに関連する物性値であり、この値が大きいほど極性は低くなる。LogPは、LogP=Log10Co/Cw(Coはオクタノール相中の対象物質の濃度を表し、Cwは水相中の対象物質の濃度を表す)の関係式により算出される。LogPは、JIS Z 7260−107に記載の方法で実験的に求めることもできる。また、商品名「ACD/PhysChem Suite」(ACD/Labs製)などの市販の計算ソフトを利用して求めることもできる。後述する実施例においては、商品名「ACD/PhysChem Suite Version 12.00」(ACD/Labs製)を使用して求めた値を採用した。各種の水溶性有機溶剤のLogP値を表1に示す。
条件A:LogP値が−1.8以上0.0未満である第1の水溶性有機溶剤を含有し、インク全質量を基準とした、前記第1の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、前記グリセリンの含有量(質量%)に対する質量比率で、0.3倍以上6.0倍以下である。
条件B:LogP値が0.0以上0.9以下である第2の水溶性有機溶剤を含有し、インク全質量を基準とした、前記第2の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、前記グリセリンの含有量(質量%)に対する質量比率で、0.2倍以上1.0倍以下である。
条件C:インク全質量を基準とした、LogP値が−1.8以上0.9以下の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、前記グリセリンの含有量(質量%)に対する質量比率で、0.2倍以上6.0倍以下である。
本発明のインクは、上記した成分以外にも必要に応じて、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類や、尿素、エチレン尿素などの尿素誘導体などの、常温で固体の水溶性有機化合物を含有してもよい。さらに、本発明のインクは、必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、及び水溶性樹脂など、種々の添加剤を含有してもよい。
フルカラーの画像などを形成するために、本発明のインクと、本発明のインクとは別の色相を有するその他のインクとを組み合わせて用いることができる。その他のインクとしては、例えば、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、レッドインク、グリーンインク、及びブルーインクからなる群より選択される少なくとも一種のインクを挙げることができる。また、これらのインクと実質的に同一の色相を有する、いわゆる淡インクをさらに組み合わせて用いることもできる。その他のインクや淡インクに用いられる色材は、公知の染料であっても、新規に合成された染料であってもよい。
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、このインク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明のインクである。図1は、本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示すように、インクカートリッジの底面には、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給口12が設けられている。インクカートリッジの内部はインクを収容するためのインク収容部となっている。インク収容部は、インク収容室14と、吸収体収容室16とで構成されており、これらは連通口18を介して連通している。また、吸収体収容室16はインク供給口12に連通している。インク収容室14には液体のインク20が収容されており、吸収体収容室16には、インクを含浸状態で保持する吸収体22及び24が収容されている。インク収容部は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容されるインク全量を吸収体により保持する形態であってもよい。また、インク収容部は、吸収体を持たず、インクの全量を液体の状態で収容する形態であってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明のインクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
(ブラック色材1)
特許文献2の記載を参考にして、遊離酸型として下記式で表される化合物(ブラック色材1)のリチウム塩とナトリウム塩(80%:20%)の混合物を合成した。
国際公開第2012/081640号の記載を参考にして、遊離酸型として下記式で表される化合物(ブラック色材2)のリチウム塩とナトリウム塩(80%:20%)の混合物を合成した。
特表2002−535432号公報の記載を参考にして、遊離酸型として下記式で表される化合物(ブラック色材3)のナトリウム塩を合成した。
特許文献1の記載を参考にして、遊離酸型として下記式で表される化合物(ブラック色材4)のリチウム塩を合成した。
特開2003−231834号公報の記載を参考にして、遊離酸型として下記式で表される化合物(シアン色材1)のリチウム塩を合成した。
特開2004−323605号公報の記載を参考にして、遊離酸型として下記式で表される化合物(シアン色材2)のナトリウム塩を合成した。
国際公開第2007/091631号の記載を参考にして、遊離酸型として下記式で表される化合物(シアン色材3)のナトリウム塩を合成した。
特開2006−143989号公報の記載を参考にして、遊離酸型として下記式で表される化合物(マゼンタ色材1)のリチウム塩を合成した。
国際公開第2008/066062号の記載を参考にして、遊離酸型として下記式で表される化合物(マゼンタ色材2)のナトリウム塩を合成した。
特開2004−083903号公報の記載を参考にして、遊離酸型として下記式で表される化合物(イエロー色材1)のカリウム塩を合成した。
国際公開第2006/082669号の記載を参考にして、遊離酸型として下記式で表される化合物(イエロー色材2)のカリウム塩を合成した。
国際公開第2006/001274号の記載を参考にして、遊離酸型として下記式で表される化合物(イエロー色材3)のナトリウム塩を合成した。
国際公開第2008/053776号の記載を参考にして、遊離酸型として下記式で表される化合物(イエロー色材4)のナトリウム塩を合成した。
各色材について、UV−Vis吸収スペクトルにおける、1,2−ヘキサンジオール20.0%水溶液中での最大吸収波長(λmaxD)及び水中での最大吸収波長(λmaxW)の差Δλmax(=λmaxD−λmaxW)を測定した。1,2−ヘキサンジオール20.0%水溶液、又はイオン交換水を用いて、各色材の含有量が0.002〜0.005%となるように希釈し、λmaxD及びλmaxWを測定した。測定条件を以下に示す。そして、測定した値からΔλmax=λmaxD−λmaxWの値を求めた。結果を表2に示す。なお、λmaxの単位は「nm」である。
・分光光度計:自記分光光度計(商品名「U−3300」、日立製作所製)
・測定セル:1cm 石英セル
・サンプリング間隔:0.1nm
・スキャン速度:30nm/min
表3−1〜3−5及び表4−1〜4−4の上段に示す各成分(単位:%)を混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズ0.20μmのフィルターで加圧ろ過して各インクを調製した。なお、表3−1〜3−5及び表4−1〜4−4中の「アセチレノールE100」はノニオン性界面活性剤(川研ファインケミカル製)の商品名である。また、色材に付した括弧内の数値はΔλmaxの値である。表3−1〜3−5及び表4−1〜4−4の下段には、インクの調製に用いた第1の色材及び第2の色材の組み合わせについて、Δλmax1+Δλmax2の値(nm)を示した。また、表4−1〜4−4の下段には、グリセリンの含有量(%)に対する、第1の水溶性有機溶剤の含有量(%)の質量比率を「第1の溶剤/グリセリン」として示した。また、グリセリンの含有量(%)に対する、第2の水溶性有機溶剤の含有量(%)の質量比率を「第2の溶剤/グリセリン」として示した。さらに、グリセリンの含有量(%)に対する、LogP値が−1.8以上0.9以下の水溶性有機溶剤の含有量(%)の質量比率を「特定の溶剤/グリセリン」として示した。
上記で得られた各インクをそれぞれインクカートリッジに充填し、熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクを吐出するインクジェット記録装置(商品名「PIXUS iP8600」、キヤノン製)に搭載した。本実施例においては、1/600インチ×1/600インチの単位領域に22ngのインクを付与して記録したベタ画像を「記録デューティが100%である」と定義する。このインクジェット記録装置を用いて、温度23℃、相対湿度55%の環境で、記録媒体(PT−101;キヤノン製)に、記録デューティが50%及び80%であるベタ画像を記録した記録物を作製した。得られた記録物を、温度23℃、相対湿度55%の環境で24時間乾燥させた。画像の測色は、分光光度計(商品名「Spectorolino」、Gretag Macbeth製)を用いて、光源:D50、視野:2°の条件で、L、a、b、及び光学濃度を測定して行った。なお、L、a及びbは、CIE(国際照明委員会)により規定されたL*a*b*表示系におけるL*、a*及びb*である。
表3−1〜3−5に示した実施例及び比較例の各インクを用いて得られた記録物における、記録デューティが50%であるベタ画像の測色を行った。組成Hでの各値をa1及びb1とし、組成Lでの各値をa2及びb2とした。得られたab値から、ΔC*={(a1−a2)2+(b1−b2)2}1/2を算出し、以下に示す評価基準にしたがって色調を評価した。評価結果を表5に示す。本評価では、他のインクと重ね合わせて画像を記録することを想定して、組成H及び組成Lの各インクで記録したそれぞれの画像からΔC*を求めた。ΔC*が小さい場合、インクの極性が異なる場合であっても、画像の色調の差が小さく、色調変化が抑制されていることを意味する。本発明においては、下記の評価基準でAA及びAを許容できるレベル、B及びCを許容できないレベルとした。
AA:ΔC*が5未満であった。
A:ΔC*が5以上8未満であった。
B:ΔC*が8以上であった。
C:画像にブロンズが見られた。
表3−1〜3−5に示した実施例及び比較例の組成Lの各インクを用いて得られた記録物における、記録デューティが50%であるベタ画像の光学濃度を測定した(耐オゾン性試験前の光学濃度)。この記録物をオゾン試験装置(商品名「OMS−H」、スガ試験機製)中に載置し、槽内温度23℃、相対湿度50%、オゾンガス濃度10ppmの条件で24時間、オゾン曝露を行った。その後、記録物におけるベタ画像の光学濃度を測定した(耐オゾン性試験後の光学濃度)。得られた耐オゾン性試験前の光学濃度及び耐オゾン性試験後の光学濃度から、光学濃度の残存率=(耐オゾン性試験後の光学濃度/耐オゾン性試験前の光学濃度)×100(%)の値を算出し、以下に示す評価基準にしたがって耐オゾン性を評価した。評価結果を表5に示す。本発明においては、下記の評価基準でAを許容できるレベル、B、C及びDを許容できないレベルとした。
A:光学濃度の残存率が85%以上であった。
B:光学濃度の残存率が80%以上85%未満であった。
C:光学濃度の残存率が50%以上80%未満であった。
D:光学濃度の残存率が50%未満であった。
表4−1〜4−4に示した実施例及び比較例の各インクを用いて得られた記録物における、記録デューティが50%であるベタ画像のL1、a1及びb1を測定した(耐湿性試験前のLab値)。この記録物を温度25℃、相対湿度85%の環境に3日間載置した後、さらに温度23℃、相対湿度55%の環境に24時間載置した。その後、記録物におけるベタ画像のL2、a2及びb2を測定した(耐湿性試験後のLab値)。得られた耐湿性試験前のLab値及び耐湿性試験後のLab値から、ΔE(色差)={(L1−L2)2+(a1−a2)2+(b1−b2)2}1/2を算出し、以下に示す評価基準にしたがって耐湿性を評価した。評価結果を表6に示す。下記の評価基準でAA、A及びBを許容できるレベル、Cを許容できないレベルとした。
AA:ΔEが2.0未満であった。
A:ΔEが2.0以上2.5未満であった。
B:ΔEが2.5以上4.0未満であった。
C:ΔEが4.0以上であった。
表4−1〜4−4に示した実施例及び比較例の各インクを用いて得られた記録物における、記録デューティが80%であるベタ画像を目視で確認して、下記の評価基準にしたがって耐ブロンズ性を評価した。評価結果を表6に示す。本発明においては、下記の評価基準でAA、A及びBを許容できるレベル、C及びDを許容できないレベルとした。
AA:ブロンズ現象がみられなかった。
A:角度によっては色変化が若干みられた。
B:角度によってはギラツキが若干みられた。
C:ギラツキがみられた。
D:ギラツキが目立った。
実施例13〜48のインクにおける第2の色材の含有量を0.5%から3.5%に増やし、イオン交換水の含有量をそれぞれ3.0%減らした(合計100.0%)以外は同様の組成で、比較例21〜56のインクを調製した。そして、実施例13〜48及び比較例21〜56のインクをそれぞれインクカートリッジに充填し、上記と同様のインクジェット記録装置に搭載した。このインクジェット記録装置を用いて、記録ヘッドの回復操作(クリーニング)を1回行った後、ノズルチェックパターンを記録し、正常に記録が行われていることを確認した。その後、キャリッジが動作している途中で電源ケーブルを引き抜くことにより、記録ヘッドにキャッピングが行われていない状態とした。この状態のまま、インクジェット記録装置を温度30℃、相対湿度10%の条件で14日間放置した。その後、このインクジェット記録装置を用いて、回復操作を行った後、ノズルチェックパターンを記録する、という手順を繰り返した。
Claims (13)
- 第1の色材及び第2の色材を含有するインクジェット用のインクであって、
前記第1の色材が、UV−Vis吸収スペクトルにおける、1,2−ヘキサンジオール20.0質量%水溶液中での最大吸収波長(λmaxD1)及び水中での最大吸収波長(λmaxW1)の差Δλmax1(=λmaxD1−λmaxW1)が20.0以上であるブラック色材であり、
前記第2の色材が、UV−Vis吸収スペクトルにおける、1,2−ヘキサンジオール20.0質量%水溶液中での最大吸収波長(λmaxD2)及び水中での最大吸収波長(λmaxW2)の差Δλmax2(=λmaxD2−λmaxW2)が12.0以下である色材であり、
前記Δλmax1及び前記Δλmax2の和が35.0以下であり、
前記第2の色材が、下記一般式(II)で表される化合物、C.I.フードブラック2、下記一般式(III)で表される化合物、C.I.ダイレクトブルー199、下記一般式(IV)で表される化合物、下記一般式(V)で表される化合物、C.I.ダイレクトレッド227、C.I.アシッドレッド289、下記一般式(VI)で表される化合物、下記一般式(VII)で表される化合物、C.I.アシッドレッド249、C.I.ダイレクトイエロー132、C.I.アシッドイエロー23、C.I.アシッドイエロー17、及び下記一般式(VIII)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
インク中の前記第1の色材の含有量(質量%)及び前記第2の色材の含有量(質量%)の合計が、インク全質量を基準として6.0質量%以下であることを特徴とするインク。
(前記一般式(II)中、R4及びR5はそれぞれ独立に、ヒドロキシ基で置換された炭素数1乃至4のアルコキシ基を表し、nは1乃至3を表し、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す)
(前記一般式(III)中、R6及びR7はそれぞれ独立に、アニオン性基で置換されていてもよいアリール基を表し、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す)
(前記一般式(IV)中、R8はそれぞれ独立に、炭素数1乃至4のアルキル基を表し、前記アルキル基は、アニオン性基、スルホンアミド基、ヒドロキシ基、炭素数1乃至4のアルキル基、又はこれらのうち少なくとも2つを組み合わせた基で置換されていてもよく、nは3又は4を表す)
(前記一般式(V)中、破線で表される環A、B、C及びDは、それぞれ独立に芳香環又は複素芳香環を表し、R9は1乃至3個のアニオン性基で置換されたアニリノ基を表し、R10はアミノ基又は炭素数1乃至4のアルコキシ基を表し、R11は炭素数1乃至4のアルキレン基を表し、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表し、lは0乃至4、mは1乃至3、nは1乃至3、l+m+nは1乃至4を表す)
(前記一般式(VI)中、R12、R13、R14、及びR15はそれぞれ独立に、炭素数1乃至4のアルキル基を表し、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す)
(前記一般式(VII)中、R16は水素原子又は炭素数1乃至4のアルキル基を表し、R17は1乃至3個のアニオン性基で置換されたアリールオキシ基、又はヒドロキシ基を表し、nは1又は2を表し、n=1のときR18は1乃至3のアニオン性基で置換されたアリール基を表し、n=2のときR18は炭素数1乃至4のアルキレン基を表し、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す)
(前記一般式(VIII)中、R19はアニオン性基を有する炭素数1乃至4の脂肪族アミン残基を表し、R20はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、又は炭素数1乃至4のアルコキシ基を表し、前記アルキル基及びアルコキシ基はアニオン性基で置換されていてもよく、nは0又は1を表し、Mは、それぞれ独立に水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表し、l及びmはそれぞれ独立に1又は2を表す) - 前記第2の色材が、前記一般式(II)で表される化合物、C.I.フードブラック2、C.I.ダイレクトブルー199、前記一般式(IV)で表される化合物、前記一般式(V)で表される化合物、C.I.ダイレクトレッド227、C.I.アシッドレッド289、前記一般式(VI)で表される化合物、前記一般式(VII)で表される化合物、C.I.アシッドレッド249、C.I.アシッドイエロー23、C.I.アシッドイエロー17、及び前記一般式(VIII)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のインク。
- 前記第2の色材のΔλmax2が0.0以下であり、かつ、前記Δλmax1及び前記Δλmax2の和が20.0以下である請求項1又は2に記載のインク。
- 前記第2の色材が、前記一般式(VIII)で表される化合物である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインク。
- 前記一般式(VIII)で表される化合物におけるR19が、−NH−CH2CH2−SO3M(Mは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す)である請求項4に記載のインク。
- インク中の前記第1の色材の含有量(質量%)及び前記第2の色材の含有量(質量%)の合計が、インク全質量を基準として1.0質量%以上である請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインク。
- インク全質量を基準とした、前記第1の色材の含有量(質量%)が、前記第2の色材の含有量(質量%)に対する質量比率で、1.0倍以上10.0倍以下である請求項1乃至7のいずれか1項に記載のインク。
- さらに、グリセリンを含有する請求項1乃至8のいずれか1項に記載のインク。
- 以下の条件A及び条件Bの少なくとも一方と、条件Cと、を満足する請求項9に記載のインク。
条件A:LogP値が−1.8以上0.0未満である第1の水溶性有機溶剤を含有し、インク全質量を基準とした、前記第1の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、前記グリセリンの含有量(質量%)に対する質量比率で、0.3倍以上6.0倍以下である。
条件B:LogP値が0.0以上0.9以下である第2の水溶性有機溶剤を含有し、インク全質量を基準とした、前記第2の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、前記グリセリンの含有量(質量%)に対する質量比率で、0.2倍以上1.0倍以下である。
条件C:インク全質量を基準とした、LogP値が−1.8以上0.9以下の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、前記グリセリンの含有量(質量%)に対する質量比率で、0.2倍以上6.0倍以下である。 - 前記第1の水溶性有機溶剤が、主鎖の両末端にヒドロキシ基を有し、2つの前記ヒドロキシ基の間に存在する主鎖の原子数が4乃至6個の化合物である請求項10に記載のインク。
- インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えたインクカートリッジであって、
前記インクが、請求項1乃至11のいずれか1項に記載のインクであることを特徴とするインクカートリッジ。 - インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記インクが、請求項1乃至11のいずれか1項に記載のインクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
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