JP2018095754A - 水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 耐湿性に優れる画像を記録しうるとともに、固着回復性、及び間欠吐出安定性に優れる水性インクを提供する。【解決手段】 色材、及び水溶性有機溶剤を含有する水性インクであって、前記色材が、一般式(1)で表される化合物で構成される色材を含み、前記水溶性有機溶剤が、LogP値が−1.10以上である第1水溶性有機溶剤を含むことを特徴とする水性インク。【選択図】 なし
Description
本発明は、水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法に関する。
マゼンタの色相を有し、発色性が良好である色材として、キサンテン骨格を有する化合物が知られている。キサンテン骨格を有する化合物は、可視領域に2つの高い吸収帯(x−band及びy−band)を有し、長波長側のx−bandとより短波長側のy−bandの補色が重なって、視認される色調を発現するため、発色性が良好となっている。キサンテン骨格を有する化合物の中でも、C.I.アシッドレッド289はマゼンタの色相を有し、かつ、非常に良好な発色性や透明性を有する色材として、広く知られている。
しかし、C.I.アシッドレッド289に代表される、従来のキサンテン骨格を有する化合物は、耐湿性が劣るという課題がある。キサンテン骨格を有する化合物の構造を改良することが行われている(特許文献1参照)。さらに、キサンテン骨格を有する化合物の耐湿性を向上するために、その構造を改良することが行われている(特許文献2参照)。
本発明者らは、特許文献1に記載の色素化合物を含有するインクを用いて検討を行ったところ、インクの固着回復性、及び間欠吐出安定性は向上し得るものの、画像の耐湿性は不十分であることがわかった。また、特許文献2に記載の例示化合物6を含有するインクを用いて検討を行ったところ、インクの固着回復性、及び得られる画像の耐湿性は向上し得るものの、インクの間欠吐出安定性は得られないことがわかった。
固着回復性とは、インクの固着により生じた記録ヘッドの吐出口における目詰まりを解消し、インクが正常に吐出できる状態へと回復させる特性をいう。また、インクジェット記録方法で画像を記録する際、記録ヘッドの回復動作を行わず、かつ、記録ヘッドの一部の吐出口から一定時間インクが吐出されない状態が続くと、この一部の吐出口からインク中の水分などの蒸発が進行する。その後、この一部の吐出口からインクを吐出させようとすると、吐出が不安定になる場合や吐出ができない場合があり、その結果として記録される画像が乱れやすくなる。間欠吐出安定性とは、このような場合であってもインクの吐出が不安定になったり、不吐出が起こったりせず、記録される画像に乱れが生じにくい特性をいう。
本発明の目的は、耐湿性に優れる画像を記録しうるとともに、固着回復性、及び間欠吐出安定性に優れる水性インクを提供することにある。また、本発明の別の目的は、前記水性インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することにある。
上記の目的は、以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明のインクは、色材、及び水溶性有機溶剤を含有するインクジェット用の水性インクであって、前記色材が、下記一般式(1)で表される化合物で構成される色材を含み、前記水溶性有機溶剤が、LogP値が−1.10以上である第1水溶性有機溶剤を含むことを特徴とする水性インクに関する。
(一般式(1)中、R1、R5、R6及びR10はそれぞれ独立に、アルキル基を表す。R3及びR8はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、又はイオン性基を表す。R2、R4、R7及びR9はそれぞれ独立に、水素原子、イオン性基、又は下記一般式(2)で表される基を表し、R2、R4、R7及びR9の少なくとも1つは下記一般式(2)で表される基を表す。Zはそれぞれ独立に、スルホン酸基、又はスルファモイル基を表し、R2、R3、R4、R7、R8及びR9の少なくとも1つがイオン性基を有する場合にはnは0以上6以下の整数を表し、R2、R3、R4、R7、R8及びR9がイオン性基を有さない場合にはnは1以上6以下の整数を表し、Zが存在する場合は一般式(1)における芳香環の少なくとも1つの水素原子の位置に置換している。)
(一般式(2)中、R11は、炭素数5以上7以下のアルキル基を表す。「*」は置換基の結合部位を表す。)
また、本発明は、インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えているインクカートリッジであって、前記インクが、前記水性インクであることを特徴とするインクカートリッジに関する。
また、本発明は、インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えているインクカートリッジであって、前記インクが、前記水性インクであることを特徴とするインクカートリッジに関する。
本発明によれば、耐湿性に優れる画像を記録しうるとともに、固着回復性、及び間欠吐出安定性に優れる水性インク、前記水性インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することができる。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明においては、化合物が塩である場合は、水やインクなどの水性の液体中では塩の少なくとも一部はイオンに解離して存在し得るが、便宜上、「塩」と表現する。また、アルキル基に付した「n」は直鎖を示す。インクジェット用の水性インクのことを、単に「インク」と記載することがある。また、一般式(1)で表される化合物のことを、単に「化合物」と記載することがある。物性値は、特に断りのない限り、温度25℃における値である。
本発明者らは、得られる画像の耐湿性に優れるインクに含有させる化合物として、一般式(1)で表される化合物を見出した。一般式(1)で表される化合物は、キサンテン骨格にアミノ基を介して結合しているベンゼン環において、アミノ基の結合位置を基準として、オルト位にアルキル基、メタ位の少なくともいずれかの位置に特定の置換基、がそれぞれ置換しているものである。なお、一般式(1)においては、R1、R5、R6、R10がオルト位であり、R2、R4、R7、R9がメタ位である。この化合物は、炭素数が5以上のアルキル基であるR11を有する一般式(2)で表される基がメタ位に置換しているため、画像の耐湿性が向上する。
しかし、R11の炭素数が多いと、インクの固着回復性、及び低温環境下でのインクの間欠吐出安定性が得られないことがわかった。R11の炭素数が多いと、一般式(1)で表される化合物がインクの主成分である水に溶解しにくくなるため、記録ヘッドの吐出口付近にインクが固着しやすくなる。そのため、インクの固着回復性が得られない。R2、R4、R7及びR9のいずれかにR11を有する基が存在するため、一般式(1)で表される化合物のキサンテン骨格以外の部分は、相対的に疎水性が高い。低温環境下では、R11の炭素数が多いと、一般式(1)で表される化合物の疎水性が強くなるため、インク中で、一般式(1)で表される化合物の疎水性部分が集まりやすくなる。さらに、一般式(1)で表される化合物の有するキサンテン骨格の持つ酸素原子が、水を引き寄せやすいため、水を巻き込んだ化合物の集合体が形成され、インクがゲル化しやすくなるため、インクの間欠吐出安定性が得られない。
本発明者らが検討したところ、R11の炭素数を7以下とすることで、化合物が水に溶解しやすくなるため、インクの固着回復性が向上することがわかった。しかし、R11の炭素数を7以下としても、インク中の水溶性有機溶剤の種類によっては、インクの間欠吐出安定性が得られないことがわかった。そこで、本発明者らがインクに含有させる水溶性有機溶剤の種類を検討したところ、LogP値が−1.10以上である第1水溶性有機溶剤を含有するインクを用いることで、インクの間欠吐出安定性が向上することがわかった。
LogPとは、水溶性有機溶剤の極性を示す指標である。この値が大きいと、極性は低くなり、この値が小さいと、極性は高くなる。LogP値が−1.10以上である第1水溶性有機溶剤は、疎水性が強いため、一般式(1)で表される化合物のキサンテン骨格以外の部分に引き寄せられる。化合物のキサンテン骨格以外の部分には、第1水溶性有機溶剤が存在するため、インク中で化合物の疎水性部位が集まりにくくなる。これにより、水を巻き込んだ化合物の集合体は形成されにくく、インクがゲル化しにくくなるため、インクの間欠吐出安定性が向上する。
<インク>
本発明のインクは、色材、及び水溶性有機溶剤を含有する水性インクである。
本発明のインクは、色材、及び水溶性有機溶剤を含有する水性インクである。
(色材)
本発明のインクは、下記一般式(1)で表される化合物で構成される色材を含有する。
本発明のインクは、下記一般式(1)で表される化合物で構成される色材を含有する。
(一般式(1)中、R1、R5、R6及びR10はそれぞれ独立に、アルキル基を表す。R3及びR8はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、又はイオン性基を表す。R2、R4、R7及びR9はそれぞれ独立に、水素原子、イオン性基、又は下記一般式(2)で表される基を表し、R2、R4、R7及びR9の少なくとも1つは下記一般式(2)で表される基を表す。Zはそれぞれ独立に、スルホン酸基、又はスルファモイル基を表し、R2、R3、R4、R7、R8及びR9の少なくとも1つがイオン性基を有する場合にはnは0以上6以下の整数を表す。R2、R3、R4、R7、R8及びR9がイオン性基を有さない場合にはnは1以上6以下の整数を表す。Zが存在する場合は一般式(1)における芳香環の少なくとも1つの水素原子の位置に置換している。)
(一般式(2)中、R11は、炭素数5以上7以下のアルキル基を表す。「*」は置換基の結合部位を表す。)
一般式(1)中、R1、R5、R6及びR10はそれぞれ独立に、アルキル基を表す。R1、R5、R6及びR10のアルキル基としては、炭素数1以上6以下、好ましくは炭素数1以上3以下の、直鎖又は分岐鎖のアルキル基が挙げられる。R1、R5、R6及びR10のアルキル基は、一般式(1)で表される化合物の耐湿性、固着回復性、及び間欠吐出安定性が損なわれない範囲で置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ヒドロキシ基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などの炭素数1以上3以下のアルコキシ基;シアノ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;などが挙げられる。R1、R5、R6及びR10のアルキル基としては、置換基を有するものも含めると、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、1−メチルブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基などの無置換アルキル基;2−ヒドロキシエチル基、2−メトキシエチル基、2−シアノエチル基、トリフルオロメチル基などの置換アルキル基;が挙げられる。より優れた耐湿性が得られるため、アルキル基の炭素数は1以上6以下であることが好ましい。さらに、合成の容易さの観点から、アルキル基の炭素数は1以上3以下であることが好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基であることが特に好ましい。
一般式(1)中、R3及びR8はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、又はイオン性基を表す。R3及びR8のアルキル基、アルコキシ基、及びアリールオキシ基は、一般式(1)で表される化合物の耐湿性、固着回復性、及び間欠吐出安定性が損なわれない範囲で置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基などの炭素数1以上3以下のアルキル基;フェニル基、ナフチル基などの炭素数6以上12以下のアリール基;ベンジル基、p−トリル基、m−キシリル基、2−フェネチル基、ナフチルエチル基などの炭素数7以上14以下のアラルキル基;ヒドロキシ基;カルバモイル基;スルファモイル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基などの炭素数1以上3以下のアルコキシ基;シアノ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基などのイオン性基;などが挙げられる。
R3及びR8のアルキル基としては、炭素数1以上6以下、好ましくは炭素数1以上3以下の、直鎖又は分岐鎖のアルキル基が挙げられる。R3及びR8のアルキル基としては、置換基を有するものも含めると、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、1−メチルブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基などの無置換アルキル基;2−ヒドロキシエチル基、2−メトキシエチル基、2−シアノエチル基、トリフルオロメチル基、3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基、4−カルボキシブチル基などの置換アルキル基;が挙げられる。より優れた耐湿性が得られるとともに、水への溶解性も良好になるため、アルキル基の炭素数は、イオン性基が置換していない場合は1以上3以下であることが好ましく、イオン性基が置換している場合は4以上6以下であることが好ましい。
R3及びR8のアルコキシ基としては、炭素数1以上6以下、好ましくは炭素数1以上3以下の、直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基が挙げられる。R3及びR8のアルコキシ基としては、置換基を有するものも含めると、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基などの無置換アルコキシ基;2−メトキシエトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、3−カルボキシプロポキシ基などの置換アルコキシ基;などが挙げられる。アルコキシ基の炭素数は、より優れた耐湿性が得られるため、1以上6以下であることが好ましい。さらに、より優れた耐湿性が得られるとともに、水への溶解性も良好になるため、アルコキシ基の炭素数は1以上3以下であることが特に好ましい。
R3及びR8のアリールオキシ基としては、炭素数6以上18以下、好ましくは炭素数6以上12以下、特に好ましくは炭素数6以上10以下のアリールオキシ基が挙げられる。R3及びR8のアリールオキシ基としては、置換基を有するものも含めると、例えば、フェノキシ基、2−ナフトキシ基、1−アントリルオキシ基、9−フェナントリルオキシ基、1−アズレニルオキシ基などの無置換アリールオキシ基;p−メトキシフェノキシ基、o−メトキシフェノキシ基、o−トリルオキシ基、p−トリルオキシ基、2,3−キシリルオキシ基、3,5−キシリルオキシ基、4−カルボキシ−2−メチルフェノキシ基、4−スルホ−2−メチルフェノキシ基などの置換アリールオキシ基;などが挙げられる。アリールオキシ基の炭素数は、より優れた耐湿性が得られるため、6以上18以下、さらには6以上12以下、特には6以上10以下であることが好ましい。なかでも、より優れた耐湿性が得られることと、合成の容易さの観点から、フェノキシ基であることが好ましい。
R3及びR8のイオン性基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基などのアニオン性基が挙げられる。R3及びR8のイオン性基は、これ以外に存在しうるイオン性基やスルファモイル基とともに、一般式(1)で表される化合物に水への溶解性を付与する。イオン性基は酸型、塩型のいずれであってもよい。
塩型のイオン性基の場合、塩を形成するカウンターイオンとしては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属;無置換のアンモニウム;メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、n−プロピルアンモニウム、イソプロピルアンモニウム、ジイソプロピルアンモニウム、n−ブチルアンモニウム、テトラn−ブチルアンモニウム、イソブチルアンモニウム、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウムなどの有機アンモニウム;が挙げられる。なお、R3及びR8のイオン性基だけでなく、一般式(1)で表される化合物が有し得る他のイオン性基についても、酸型、塩型のいずれであってもよい。例えば、塩型のイオン性基である場合のカウンターイオンとしては、上記のカウンターイオンと同様のものが挙げられる。
R3及びR8としては、より優れた耐湿性が得られるため、炭素数1以上3以下のアルキル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基であることがさらに好ましい。また、合成の容易さの観点から、R3及びR8が置換基を有する場合は、各基がすべて同じ置換基を有することが好ましい。
一般式(1)中、R2、R4、R7及びR9はそれぞれ独立に、水素原子、イオン性基、又は一般式(2)で表される基を表し、R2、R4、R7及びR9の少なくとも1つは一般式(2)で表される基を表す。より優れた耐湿性、固着回復性、及び間欠吐出安定性が得られるため、一般式(1)で表される化合物中の一般式(2)で表される基の数は2以上4以下であることが好ましく、なかでも2であることが特に好ましい。
一般式(1)で表される化合物は、C.I.アシッドレッド289と同様に、高いマゼンタの発色性を有しながらも、耐湿性、固着回復性、及び間欠吐出安定性を有する。このためには、R2、R4、R7及びR9の少なくとも1つが前記一般式(2)で表される基であることが重要である。
R2、R4、R7及びR9のイオン性基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基などのアニオン性基が挙げられる。R2、R4、R7及びR9のイオン性基は、これ以外に存在しうるイオン性基やスルファモイル基とともに、一般式(1)で表される化合物に水への溶解性を付与する。イオン性基は酸型、塩型のいずれであってもよい。塩型のイオン性基の場合の塩を形成するカウンターイオンとしては、上記R3及びR8のイオン性基におけるものと同様のものを挙げることができる。
R2、R4、R7及びR9の一般式(2)で表される基は、R11(炭素数5以上7以下のアルキル基)が結合しているアシルアミノ基である。
R11のアルキル基の炭素数は、耐湿性、固着回復性、及び間欠吐出安定性を得るため、5以上7以下であることを要する。なお、R11のアルキル基の炭素数には、置換基の炭素数は含めない。R11のアルキル基としては、直鎖又は分岐鎖のアルキル基が挙げられ、直鎖のアルキル基であることが好ましく、また、置換基を有しないことも好ましい。R11のアルキル基としては、置換基を有するものも含めると、例えば、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、sec−ヘキシル基、n−ヘプチル基、sec−ヘプチル基などの無置換アルキル基;2−エトキシヘキシル基、2−エトキシヘプチル基などの置換アルキル基;が挙げられる。より優れた耐湿性が得られるとともに、水への溶解性も良好になり、インクの固着回復性がさらに向上するため、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘプチル基が特に好ましい。
また、一般式(1)で表される化合物の合成の容易さの観点から、以下の場合が好ましい。一般式(1)で表される化合物が、一般式(2)で表される基を2個以上有する場合、それぞれの一般式(2)で表される基が同じ構造であることが好ましい。また、R2及びR7が共に一般式(2)で表される基であることが好ましい。また、R1とR6、R2とR7、R3とR8、R4とR9、R5とR10の各組み合わせが、それぞれ同じ基であることが好ましい。また、一般式(2)のR11が炭素数5以上のアルキル基であることが好ましい。
一般式(1)中、Zはそれぞれ独立に、スルホン酸基、又はスルファモイル基を表す。R2、R3、R4、R7、R8及びR9の少なくとも1つがイオン性基を有する場合にはnは0以上6以下の整数を表す。R2、R3、R4、R7、R8及びR9がイオン性基を有さない場合にはnは1以上6以下の整数を表す。Zが存在する場合は一般式(1)における芳香環の少なくとも1つの水素原子の位置に置換している。なお、R2、R3、R4、R7、R8及びR9が有し得るイオン性基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基などが挙げられる。
Zのスルホン酸基は、これ以外に存在しうるイオン性基やスルファモイル基とともに、一般式(1)で表される化合物に水への溶解性を付与する。スルホン酸基は酸型、塩型のいずれであってもよい。塩型のスルホン酸基の場合の塩を形成するカウンターイオンとしては、上記の各イオン性基におけるものと同様のものを挙げることができる。
Zのスルファモイル基は、一般式(1)で表される化合物の耐湿性、固着回復性、及び間欠吐出安定性が損なわれない範囲で置換基を有してもよい。このような置換基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などの炭素数1以上4以下のアルキル基が挙げられる。Zのスルファモイル基としては、置換基を有するものも含めると、例えば、無置換のスルファモイル基(アミノスルホニル基);N−メチルアミノスルホニル基、N,N−ジメチルアミノスルホニル基、N−n−ブチルアミノスルホニル基などの炭素数1以上4以下のアルキル基が置換した置換スルファモイル基などが挙げられる。
nは一般式(1)におけるZの置換数を表す。R2、R3、R4、R7、R8及びR9の少なくとも1つがイオン性基を有する場合にはnは0以上6以下の整数を表し、R2、R3、R4、R7、R8及びR9がイオン性基を有さない場合にはnは1以上6以下の整数を表す。つまり、n=0のとき、一般式(1)で表される化合物はZとしてのスルホン酸基やスルファモイル基を有さないことになる。この場合、染料としての化合物の水への溶解性を確保するため、R2、R3、R4、R7、R8及びR9の少なくとも1つがイオン性基を有する必要がある。一方、R2、R3、R4、R7、R8及びR9の少なくとも1つがイオン性基を有する場合には、このイオン性基により化合物が水に溶解することができるため、n=0であってもよい。
特に、本発明においては、水への溶解性がより優れるためnは1以上であることが好ましく、高いレベルの耐湿性を得るためにはnは3以下であることが好ましい。なお、一般式(1)で表される化合物は、nの数が異なる複数の化合物の混合物であってもよい。本発明においては、混合物である場合、nは幅を持たせて表記する。混合物である場合は通常、範囲の中央値の化合物が最も多く存在する。例えば、n=2−4と表記される化合物は、n=2、3、4の化合物を含む混合物であり、n=3の化合物の割合が最も多くなる。
水への溶解性をより高めることができるため、一般式(1)で表される化合物はイオン性基を有することが好ましい。この場合、一般式(1)におけるnが1以上6以下の整数であり、かつ、Zがスルホン酸基であることが好ましい。このとき、スルホン酸基が塩型であり、スルホン酸基のカウンターイオンが、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、及び、アンモニウムイオンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることがさらに好ましい。
一般式(1)で表される化合物の主骨格(すなわち、一般式(1)の[ ]内の構造)におけるZの置換位置は、一般式(1)のその他の置換基の置換位置や、スルホン化又はクロロスルホン化の反応条件によって決定される。R2、R3、R4、R7、R8及びR9の全てが水素原子以外の置換基であり、R11の置換基が芳香族性の水素原子を有さない場合、キサンテン骨格の水素原子の位置にZが置換する。また、R2、R3、R4、R7、R8及びR9の少なくとも1つが水素原子である場合、その水素原子の位置にZが置換していてもよい。また、R11が芳香環を有し、かつ、芳香族性の水素原子を有する場合、Zは芳香環に置換していてもよい。本発明においては、合成の容易さの観点で、キサンテン骨格の水素原子の位置にZが置換していることが好ましい。 一般式(1)で表される化合物には互変異性体が存在する。互変異性体としては、一般式(1)で表される化合物の他に、下記一般式(1a)及び(1b)などで表される化合物が考えられる。本発明においては、これらの化合物(互変異性体)や塩も一般式(1)で表される化合物に含まれるものとする。なお、一般式(1a)及び(1b)中のR1〜R10は、上記一般式(1)中のR1〜R10と同義である。
〔一般式(1)で表される化合物の合成方法〕
一般式(1)で表される化合物は、公知の方法に基づいて合成することができる。合成スキームの一例を以下に示す。合成スキーム中の化合物(B)、(C)、(D)及び(E)におけるR1〜R10、Z、nは、一般式(1)におけるR1〜R10、Z、nと同義である。なお、一般式(1)で表される化合物は、置換基の種類やその数、位置が異なる複数の異性体の混合物として合成され得るが、便宜上、本発明においては混合物である場合も含め、「化合物」と記載する。
一般式(1)で表される化合物は、公知の方法に基づいて合成することができる。合成スキームの一例を以下に示す。合成スキーム中の化合物(B)、(C)、(D)及び(E)におけるR1〜R10、Z、nは、一般式(1)におけるR1〜R10、Z、nと同義である。なお、一般式(1)で表される化合物は、置換基の種類やその数、位置が異なる複数の異性体の混合物として合成され得るが、便宜上、本発明においては混合物である場合も含め、「化合物」と記載する。
上記に例示した合成スキームでは、1段目に示した第1の縮合工程、2段目に示した第2の縮合工程を経て、n=0である一般式(1)で表される化合物を合成する。これに加えて、化合物の水への溶解性をさらに高める場合には、3段目として、スルホン化又はスルファモイル化工程を追加してもよく、この場合は、n=1〜6である一般式(1)で表される化合物が得られる。
先ず、第1の縮合工程では、化合物(A)と化合物(B)とを、有機溶媒や縮合剤の存在下で加熱し、縮合させることにより、化合物(C)を得る。次に、第2の縮合工程では、化合物(D)と第1の縮合工程で得られた化合物(C)とを、加熱し、縮合させることにより、化合物(E)(n=0である一般式(1)で表される化合物)を得る。化合物の水への溶解度をさらに高める場合には、第2の縮合工程で得られた化合物(E)を、濃硫酸や発煙硫酸などのスルホン化剤を用いてスルホン化することができる。これことにより、Zがスルホン酸基である化合物(F)(n=1〜6である一般式(1)で表される化合物)が得られる。また、第2の縮合工程で得られた化合物(E)を、クロロスルホン酸などを用いてクロロスルホン化した後、濃アンモニア水、アルキルアミン、アリールアミンなどのアミン化合物と反応させてスルファモイル化することにより、Zがスルファモイル基である化合物(F)(n=1〜6である一般式(1)で表される化合物)が得られる。
上記に例示した合成スキームの縮合反応において用いる有機溶媒について説明する。第1の縮合工程では、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールなどを単独又は混合して用いることが好ましい。第2の縮合工程では、例えば、エチレングリコール、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ニトロベンゼンなどを単独又は混合して用いることが好ましい。
第1の縮合工程における反応温度は60℃〜100℃であることが好ましく、70℃以上、また、90℃以下であることがさらに好ましい。第2の縮合工程における反応温度は120℃〜220℃であることが好ましく、180℃以下であることがさらに好ましい。
一般式(1)中におけるR1〜R5とR6〜R10が同一の基である化合物を合成する場合には、上記合成スキーム中の化合物(B)及び化合物(D)として同じ種類のものを用いることができる。したがって、この場合は、化合物(A)から一段階の縮合工程を行うことにより一般式(1)で表される化合物を得ることができる。その際における反応温度は120℃〜220℃であることが好ましく、180℃以下であることがさらに好ましい。縮合剤としては、例えば、酸化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウムなどを用いることができる。
上記合成スキームによって得られる最終生成物である化合物は、通常の有機合成反応の後処理方法にしたがって処理した後、精製を行うことで、例えば、インクの色材(染料)などの所望の用途で利用することができる。なお、一般式(1)で表される化合物の同定には、1H NMR分析、LC/MS分析、UV/Vis分光分析などを利用することができる。
一般式(1)で表される化合物は、耐湿性、固着回復性、及び間欠吐出安定性に優れる。一般式(1)で表される化合物は、印刷、塗装、筆記具、インクジェットなどの各種のインクの色材として好適に用いることができる。また、各種のインクだけでなく、光記録やカラーフィルタなどに適用する色材としても、一般式(1)で表される化合物を好適に用いることができる。
〔一般式(1)で表される化合物の具体例〕
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、表1及び2に記載の化合物が挙げられる。勿論、一般式(1)で表される化合物は、一般式(1)で表される化合物の定義に含まれるものであれば、表1及び2に記載の化合物に限られるものではない。なかでも、一般式(1)で表される化合物は、化合物5、6、12、及び16からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。表1及び2中、「Me」はメチル基、「Et」はエチル基、「EtO」はエトキシ基、「PhO」はフェノキシ基、「n−Pr」はノルマルプロピル基、「i−Pr」はイソプロピル基、「i−Bu」はイソブチル基、「t−Bu」はターシャリーブチル基を表す。さらに、「*」は置換基の結合部位を表す。
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、表1及び2に記載の化合物が挙げられる。勿論、一般式(1)で表される化合物は、一般式(1)で表される化合物の定義に含まれるものであれば、表1及び2に記載の化合物に限られるものではない。なかでも、一般式(1)で表される化合物は、化合物5、6、12、及び16からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。表1及び2中、「Me」はメチル基、「Et」はエチル基、「EtO」はエトキシ基、「PhO」はフェノキシ基、「n−Pr」はノルマルプロピル基、「i−Pr」はイソプロピル基、「i−Bu」はイソブチル基、「t−Bu」はターシャリーブチル基を表す。さらに、「*」は置換基の結合部位を表す。
(その他の色材)
一般式(1)で表される化合物に加えて用いることができる、一般式(1)とは別の構造を有する化合物(その他の色材)としては、顔料や染料などが挙げられ、染料を用いることがより好ましい。その他の色材としては、シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、ブルー、グリーン、及びブラックなどに分類されるいずれの色相のものを用いてもよい。特に、マゼンタからレッドの領域の色相を有する染料、シアン領域の色相を有する染料を用いることが好ましい。なかでも、アゾ骨格やアントラピリドン骨格を有する化合物などの染料、フタロシアニン骨格を有する化合物などの染料を用いることがさらに好ましい。
一般式(1)で表される化合物に加えて用いることができる、一般式(1)とは別の構造を有する化合物(その他の色材)としては、顔料や染料などが挙げられ、染料を用いることがより好ましい。その他の色材としては、シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、ブルー、グリーン、及びブラックなどに分類されるいずれの色相のものを用いてもよい。特に、マゼンタからレッドの領域の色相を有する染料、シアン領域の色相を有する染料を用いることが好ましい。なかでも、アゾ骨格やアントラピリドン骨格を有する化合物などの染料、フタロシアニン骨格を有する化合物などの染料を用いることがさらに好ましい。
〔色材の含有量〕
インク中の一般式(1)で表される化合物の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上5.0質量%以下であることがさらに好ましい。色材として、一般式(1)で表される化合物に加えて、一般式(1)とは別の構造を有する化合物を用いる場合は、インク中の各化合物(色材)の合計含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
インク中の一般式(1)で表される化合物の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上5.0質量%以下であることがさらに好ましい。色材として、一般式(1)で表される化合物に加えて、一般式(1)とは別の構造を有する化合物を用いる場合は、インク中の各化合物(色材)の合計含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
(水溶性有機溶剤)
水溶性有機溶剤の極性を示す指標とするLogP(Log Pow)について説明する。LogPとは、水とオクタノール(1−オクタノール)の分配係数のことをいう。LogPは対象物質の水へのなじみやすさに関連する物性値であり、この値が大きいほど極性は低くなる。LogPは、LogP=Log10Co/Cw(Coはオクタノール相中の対象物質の濃度を表し、Cwは水相中の対象物質の濃度を表す)の関係式により算出される。LogPは、JIS Z 7260−107に記載の方法で実験的に求めることもできる。また、商品名「ACD/PhysChem Suite」(ACD/Labs製)などの市販の計算ソフトを利用して求めることもできる。後述する実施例においては、商品名「ACD/PhysChem Suite Version 12.00」(ACD/Labs製)を使用して求めた値を採用した。
水溶性有機溶剤の極性を示す指標とするLogP(Log Pow)について説明する。LogPとは、水とオクタノール(1−オクタノール)の分配係数のことをいう。LogPは対象物質の水へのなじみやすさに関連する物性値であり、この値が大きいほど極性は低くなる。LogPは、LogP=Log10Co/Cw(Coはオクタノール相中の対象物質の濃度を表し、Cwは水相中の対象物質の濃度を表す)の関係式により算出される。LogPは、JIS Z 7260−107に記載の方法で実験的に求めることもできる。また、商品名「ACD/PhysChem Suite」(ACD/Labs製)などの市販の計算ソフトを利用して求めることもできる。後述する実施例においては、商品名「ACD/PhysChem Suite Version 12.00」(ACD/Labs製)を使用して求めた値を採用した。
通常「水溶性有機溶剤」とは液体を指すものであるが、本発明においては、温度25℃で固体であるものも水溶性有機溶剤に含めることとする。水溶性有機溶剤の具体例としては、以下に示すものなどが挙げられる(括弧内の数値は、LogPの値を表す)。グリセリン(−1.85)、トリエチレングリコール(−1.65)、ジエチレングリコール(−1.41)、1,2,6−ヘキサントリオール(−1.39)、エチレングリコール(−1.36)、エチレン尿素(−1.24)、2−ピロリドン(−1.09)、1,2−プロパンジオール(−1.01)、1,4−ブタンジオール(−0.77)、γ−ブチロラクトン(−0.63)、δ−バレロラクタム(−0.57)、1,5−ペンタンジオール(−0.56)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール(−0.21)、δ−バレロラクトン(−0.10)、1,6−ヘキサンジオール(−0.05)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(0.36)、1,2−ヘキサンジオール(0.52)、エチレングリコールモノブチルエーテル(0.83)、1−ペンタノール(1.35)、1,2−オクタンジオール(1.54)などが挙げられる。
[第1水溶性有機溶剤]
インクは、LogP値が−1.10以上である第1水溶性有機溶剤を含有する。第1水溶性有機溶剤のLogP値は、1.50以下であることが好ましい。LogP値が、1.50を超えると、化合物の疎水性部分の近傍には、第1水溶性有機溶剤が存在しやすいため、インク中で化合物の疎水性部分が集まりにくくなる。これにより、水を巻き込んだ化合物の集合体は形成されにくく、インクがゲル化しにくくなる。そのため、インクの間欠吐出安定性はより向上する傾向にある。しかし、水溶性有機溶剤そのものの水溶性が低下するため、吐出口付近にインクが固着しやすく、インクの固着回復性が十分に得られない場合がある。
インクは、LogP値が−1.10以上である第1水溶性有機溶剤を含有する。第1水溶性有機溶剤のLogP値は、1.50以下であることが好ましい。LogP値が、1.50を超えると、化合物の疎水性部分の近傍には、第1水溶性有機溶剤が存在しやすいため、インク中で化合物の疎水性部分が集まりにくくなる。これにより、水を巻き込んだ化合物の集合体は形成されにくく、インクがゲル化しにくくなる。そのため、インクの間欠吐出安定性はより向上する傾向にある。しかし、水溶性有機溶剤そのものの水溶性が低下するため、吐出口付近にインクが固着しやすく、インクの固着回復性が十分に得られない場合がある。
第1水溶性有機溶剤の具体例としては、以下に示すものなどが挙げられる(括弧内の数値は、LogPの値を表す)。2−ピロリドン(−1.09)、1,2−プロパンジオール(−1.01)、1,4−ブタンジオール(−0.77)、γ−ブチロラクトン(−0.63)、δ−バレロラクタム(−0.57)、1,5−ペンタンジオール(−0.56)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール(−0.21)、δ−バレロラクトン(−0.10)、1,6−ヘキサンジオール(−0.05)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(0.36)、1,2−ヘキサンジオール(0.52)、エチレングリコールモノブチルエーテル(0.83)、1−ペンタノール(1.35)、1,2−オクタンジオール(1.54)などが挙げられる。なお、インクが、LogP値が−1.10以上の第1水溶性有機溶剤を含有すれば、さらにLogP値が−1.10未満の水溶性有機溶剤(他の水溶性有機溶剤)も併用して用いることができる。第1水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、他の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.1倍以上20.0倍以下であることが好ましい。
なかでも、第1水溶性有機溶剤は、主鎖の炭素数が4以上7以下である1価、又は2価のアルコールであることが好ましい。主鎖とは、化合物におけるもっとも長い炭素鎖のことであり、ヒドロキシ基を構成する原子以外の原子について数えるものである。なお、炭素鎖は直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。例えば、1,5−ペンタンジオールの主鎖の炭素数は、5である。主鎖の炭素数が4以上7以下である1価、又は2価のアルコールとしては、1−ブタノール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1−ペンタノール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1−ヘキサノール、1,2−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1−ヘプタノール、1,7−ヘプタンジオール、1,2−ヘプタンジオールなどが挙げられる。なかでも、主鎖の炭素数が4以上7以下である1価、又は2価のアルコールは、1−ペンタノール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、及び1,6−ヘキサンジオールからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
主鎖の炭素数が長いと、第1水溶性有機溶剤の有する炭素鎖が、一般式(2)中のR11のアルキル基と疎水性相互作用しやすくなる。さらに、第1水溶性有機溶剤が、ヒドロキシ基を有することで、ヒドロキシ基の水素原子が、一般式(2)の有する酸素原子と水素結合しやすくなる。これにより、第1水溶性有機溶剤が、一般式(1)で表される化合物の疎水性部分の近傍に存在することができるため、インク中で化合物の疎水性部分が集まりにくくなる。これにより、水を巻き込んだ化合物の集合体は形成されにくく、インクがゲル化しにくくなる。そのため、インクの間欠吐出安定性がさらに向上する。主鎖の炭素数が、4未満であると、第1水溶性有機溶剤の有する炭素鎖が短いため、一般式(2)中のR11のアルキル基と疎水性相互作用しにくくなる。これにより、第1水溶性有機溶剤が、一般式(1)で表される化合物の疎水性部分の近傍に存在しにくくなるため、インク中で化合物の疎水性部分が集まりやすくなる。これにより、水を巻き込んだ化合物の集合体は形成されやすく、インクがゲル化しやすくなる。そのため、インクの間欠吐出安定性が十分に得られない場合がある。主鎖の炭素数が、7を超えると、水溶性有機溶剤の水溶性が低下するため、吐出口付近にインクが固着しやすく、インクの固着回復性が得られない場合がある。
第1水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、1.0質量%以上40.0質量%以下であることが好ましい。第1水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、色材の含有量(質量%)に対する質量比率で、1.0倍以上であることが好ましい。前記質量比率が、1.0倍未満であると、色材に対して第1水溶性有機溶剤が少ないため、化合物の疎水性部分の近傍には、第1水溶性有機溶剤が存在しにくいため、インク中で化合物の疎水性部分が集まりやすくなる。これにより、水を巻き込んだ化合物の集合体は形成されやすく、インクがゲル化しやすくなる。そのため、インクの間欠吐出安定性が十分に得られない場合がある。第1水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、色材の含有量(質量%)に対する質量比率で、40.0倍以下であることがさらに好ましい。前記質量比率が、40.0倍を超えると、色材に対して第1水溶性有機溶剤が多いため、インクの粘度が上昇し、インクの固着回復性が十分に得られない場合がある。
(ビス(2−ヒドロキシエチル)スルホン)
インクは、さらにビス(2−ヒドロキシエチル)スルホンを含有することが好ましい。ビス(2−ヒドロキシエチル)スルホンの有するスルホニル基(−S(=O)2−)は、電子吸引性が高いため、一般式(1)で表される化合物において、電子を多く有しているキサンテン骨格の酸素原子と相互作用する。特に、一般式(2)の酸素原子とビス(2−ヒドロキシエチル)スルホンの有するスルホニル基が相互作用することで、一般式(1)で表される化合物の疎水性部分の近傍にビス(2−ヒドロキシエチル)スルホンが存在できる。これにより、インク中で化合物の疎水性部分が集まりにくくなるため、水を巻き込んだ化合物の集合体は形成されず、インクがゲル化しにくくなる。これにより、インクの間欠吐出安定性がさらに向上する。
インクは、さらにビス(2−ヒドロキシエチル)スルホンを含有することが好ましい。ビス(2−ヒドロキシエチル)スルホンの有するスルホニル基(−S(=O)2−)は、電子吸引性が高いため、一般式(1)で表される化合物において、電子を多く有しているキサンテン骨格の酸素原子と相互作用する。特に、一般式(2)の酸素原子とビス(2−ヒドロキシエチル)スルホンの有するスルホニル基が相互作用することで、一般式(1)で表される化合物の疎水性部分の近傍にビス(2−ヒドロキシエチル)スルホンが存在できる。これにより、インク中で化合物の疎水性部分が集まりにくくなるため、水を巻き込んだ化合物の集合体は形成されず、インクがゲル化しにくくなる。これにより、インクの間欠吐出安定性がさらに向上する。
ビス(2−ヒドロキシエチル)スルホンの含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、1.0質量%以上40.0質量%以下であることが好ましい。ビス(2−ヒドロキシエチル)スルホンの含有量(質量%)は、色材の含有量(質量%)に対する質量比率で、1.0倍以上であることが好ましい。前記質量比率が、1.0倍未満であると、色材に対してビス(2−ヒドロキシエチル)スルホンが少ないため、一般式(1)で表される化合物の疎水性部分の近傍にビス(2−ヒドロキシエチル)スルホンが存在しにくくなる。これにより、インク中で化合物の疎水性部分が集まりやすくなるため、水を巻き込んだ化合物の集合体は形成され、インクがゲル化しやすくなる。これにより、インクの間欠吐出安定性が十分に得られない場合がある。ビス(2−ヒドロキシエチル)スルホンの含有量(質量%)は、色材の含有量(質量%)に対する質量比率で、40.0倍以下であることがさらに好ましい。前記質量比率が、40.0倍を超えると、色材に対してビス(2−ヒドロキシエチル)スルホンが多いため、インクの粘度が上昇し、インクの固着回復性が十分に得られない場合がある。
(水性媒体)
本発明のインクは、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有する。水としては脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。水溶性有機溶剤は、第1水溶性有機溶剤と必要に応じて使用し得るビス(2−ヒドロキシエチル)スルホンを含むこと以外は、特に限定されるものではない。水溶性有機溶剤としては、その他のアルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類、及び含窒素化合物類などの水性のインクに使用可能なものをいずれも用いることができる。また、これらの水溶性有機溶剤の1種又は2種以上をインクに含有させることができる。
本発明のインクは、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有する。水としては脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。水溶性有機溶剤は、第1水溶性有機溶剤と必要に応じて使用し得るビス(2−ヒドロキシエチル)スルホンを含むこと以外は、特に限定されるものではない。水溶性有機溶剤としては、その他のアルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類、及び含窒素化合物類などの水性のインクに使用可能なものをいずれも用いることができる。また、これらの水溶性有機溶剤の1種又は2種以上をインクに含有させることができる。
インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、45.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。また、インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上55.0質量%以下であることが好ましい。この含有量は、第1水溶性有機溶剤を含む値である。水溶性有機溶剤の含有量が3.0質量%未満であると、インクをインクジェット記録装置に用いる場合に吐出安定性などの信頼性が十分に得られない場合がある。また、水溶性有機溶剤の含有量が55.0質量%超であると、インクの粘度が上昇して、インクの供給不良が起きる場合がある。
(その他の成分)
本発明のインクには、必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、消泡剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、及びキレート剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。
本発明のインクには、必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、消泡剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、及びキレート剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。
(インクの物性)
本発明においては、温度25℃における、インクのpH、静的表面張力、粘度が以下の範囲内であることが好ましい。pHは5.0以上10.0以下であることが好ましく、7.0以上9.5以下であることがさらに好ましい。静的表面張力は30mN/m以上45mN/m以下であることが好ましく、35mN/m以上40mN/m以下であることがさらに好ましい。また、粘度は1.0mPa・s以上5.0mPa・s以下であることが好ましい。
本発明においては、温度25℃における、インクのpH、静的表面張力、粘度が以下の範囲内であることが好ましい。pHは5.0以上10.0以下であることが好ましく、7.0以上9.5以下であることがさらに好ましい。静的表面張力は30mN/m以上45mN/m以下であることが好ましく、35mN/m以上40mN/m以下であることがさらに好ましい。また、粘度は1.0mPa・s以上5.0mPa・s以下であることが好ましい。
<インクカートリッジ>
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、このインク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明のインクである。図1は、本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示すように、インクカートリッジの底面には、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給口12が設けられている。インクカートリッジの内部はインクを収容するためのインク収容部となっている。インク収容部は、インク収容室14と、吸収体収容室16とで構成されており、これらは連通口18を介して連通している。また、吸収体収容室16はインク供給口12に連通している。インク収容室14には液体のインク20が収容されており、吸収体収容室16には、インクを含浸状態で保持する吸収体22及び24が収容されている。インク収容部は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容されるインク全量を吸収体により保持する形態であってもよい。また、インク収容部は、吸収体を持たず、インクの全量を液体の状態で収容する形態であってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、このインク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明のインクである。図1は、本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示すように、インクカートリッジの底面には、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給口12が設けられている。インクカートリッジの内部はインクを収容するためのインク収容部となっている。インク収容部は、インク収容室14と、吸収体収容室16とで構成されており、これらは連通口18を介して連通している。また、吸収体収容室16はインク供給口12に連通している。インク収容室14には液体のインク20が収容されており、吸収体収容室16には、インクを含浸状態で保持する吸収体22及び24が収容されている。インク収容部は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容されるインク全量を吸収体により保持する形態であってもよい。また、インク収容部は、吸収体を持たず、インクの全量を液体の状態で収容する形態であってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明のインクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明のインクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
図2は、本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。インクジェット記録装置には、記録媒体32を搬送する搬送手段(不図示)、及びキャリッジシャフト34が設けられている。キャリッジシャフト34にはヘッドカートリッジ36が搭載可能となっている。ヘッドカートリッジ36は記録ヘッド38及び40を具備しており、インクカートリッジ42がセットされるように構成されている。ヘッドカートリッジ36がキャリッジシャフト34に沿って主走査方向に搬送される間に、記録ヘッド38及び40から記録媒体32に向かってインク(不図示)が吐出される。そして、記録媒体32が搬送手段(不図示)により副走査方向に搬送されることによって、記録媒体32に画像が記録される。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<化合物の合成>
化合物6、及び15は、特許文献2の例示化合物6、及び16の合成方法の記載に準じて、合成した。
化合物6、及び15は、特許文献2の例示化合物6、及び16の合成方法の記載に準じて、合成した。
比較化合物1は、特許文献2の例示化合物6の合成方法において、N−(3−アミノ−2,4,6−トリメチルフェニル)ヘキサンアミドをN−(3−アミノ−2,4,6−トリメチルフェニル)ノナンアミド変更した以外は、同様の方法で合成した。この比較化合物1は、R11がオクチル基である。比較化合物2は、特許文献2に記載の比較化合物7であり、R11がイソブチル基である。比較化合物3は、特許文献1に記載の色素化合物(11)であり、R11がイソプロピル基である。
<インクの調製>
表3及び4に記載の各成分を混合した。ポリエチレングリコールに付した数値は、数平均分子量である。アセチレノールE100は、川研ファインケミカル製のノニオン性界面活性剤である。表中、括弧内の数値は、LogP値を表す。表3及び4の下段には、色材の含有量(%)、第1水溶性有機溶剤の含有量(%)、及びビス(2−ヒドロキシエチル)スルホンの含有量(%)を記載する。さらに、表3及び4の下段には、色材の含有量に対する第1水溶性有機溶剤の含有量(倍)(表中「第1水溶性有機溶剤/色材(倍)」と記載)を記載する。さらに、色材の含有量に対するビス(2−ヒドロキシエチル)スルホンの含有量(倍)(表中「ビス(2−ヒドロキシエチル)スルホン/色材(倍)」と記載)を記載する。
表3及び4に記載の各成分を混合した。ポリエチレングリコールに付した数値は、数平均分子量である。アセチレノールE100は、川研ファインケミカル製のノニオン性界面活性剤である。表中、括弧内の数値は、LogP値を表す。表3及び4の下段には、色材の含有量(%)、第1水溶性有機溶剤の含有量(%)、及びビス(2−ヒドロキシエチル)スルホンの含有量(%)を記載する。さらに、表3及び4の下段には、色材の含有量に対する第1水溶性有機溶剤の含有量(倍)(表中「第1水溶性有機溶剤/色材(倍)」と記載)を記載する。さらに、色材の含有量に対するビス(2−ヒドロキシエチル)スルホンの含有量(倍)(表中「ビス(2−ヒドロキシエチル)スルホン/色材(倍)」と記載)を記載する。
<評価>
上記で得られたインクをそれぞれインクカートリッジに充填し、熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクを吐出するインクジェット記録装置(PIXUS iP8600、キヤノン製)に搭載した。本実施例においては、1/600インチ×1/600インチの単位領域に、1滴あたり2.5pLのインク滴を8滴付与して記録したベタ画像を「記録デューティが100%である」と定義する。本発明において、評価基準は、AAA、AA、A、又はBを許容できるレベルとし、Cを許容できないレベルとした。評価結果を、表5に記載する。
上記で得られたインクをそれぞれインクカートリッジに充填し、熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクを吐出するインクジェット記録装置(PIXUS iP8600、キヤノン製)に搭載した。本実施例においては、1/600インチ×1/600インチの単位領域に、1滴あたり2.5pLのインク滴を8滴付与して記録したベタ画像を「記録デューティが100%である」と定義する。本発明において、評価基準は、AAA、AA、A、又はBを許容できるレベルとし、Cを許容できないレベルとした。評価結果を、表5に記載する。
(耐湿性)
上記インクジェット記録装置を用いて、温度23℃、相対湿度55%の環境で、光沢紙(キヤノン写真用紙・光沢ゴールド GL−101、キヤノン製)に画像を記録し、記録物を得た。その記録物は、記録デューティが100%であるベタ画像と、そのベタ画像と同じサイズの非記録部が格子状に配置されたものである。得られた記録物を、温度23℃、相対湿度55%の環境で24時間乾燥させた。
上記インクジェット記録装置を用いて、温度23℃、相対湿度55%の環境で、光沢紙(キヤノン写真用紙・光沢ゴールド GL−101、キヤノン製)に画像を記録し、記録物を得た。その記録物は、記録デューティが100%であるベタ画像と、そのベタ画像と同じサイズの非記録部が格子状に配置されたものである。得られた記録物を、温度23℃、相対湿度55%の環境で24時間乾燥させた。
記録物におけるベタ画像の部分について、L*、a*及びb*(L1 *、a1 *及びb1 *)を測定した。その後、この記録物を温度30℃、相対湿度90%の恒温恒湿槽中に168時間入れた。そして、記録物におけるベタ画像の部分について、L*、a*及びb*(L2 *、a2 *及びb2 *)を測定した。その値から、色変化(ΔE)={(L1 *−L2 *)2+(a1 *−a2 *)2+(b1 *−b2 *)2}1/2を算出し、以下に示す評価基準にしたがって、耐湿性を評価した。L*、a*及びb*は、CIE(国際照明委員会)により規定されたL*a*b*表示系に基づくものである。
A:ΔEが5未満だった。
C:ΔEが5以上だった。
A:ΔEが5未満だった。
C:ΔEが5以上だった。
(固着回復性)
上記のインクジェット記録装置を用いて、普通紙(PPC用紙GF−500、キヤノン製)に、PIXUS iP8600のノズルチェックパターンを記録した。その後、インクジェット記録装置から、インクカートリッジを搭載した記録ヘッド(ヘッドカートリッジ)を取り外し、温度30℃、相対湿度10%の環境で14日間放置した。そして、このヘッドカートリッジを再び上記のインクジェット記録装置に装着し、ノズルチェックパターンを記録した。ノズルチェックパターンが正常に記録されず、目詰まりが発生した場合、プリンタドライバからクリーニングを行った後に、再びノズルチェックパターンを記録した。このようにして、ノズルチェックパターンを正常に記録することができるようになるまでに要したクリーニングの回数により、固着回復性を評価した。
A:1〜4回のクリーニングにより、ノズルチェックパターンが正常に記録された。
C:5回以上のクリーニングを行っても、ノズルチェックパターンが正常に記録されなかった。
上記のインクジェット記録装置を用いて、普通紙(PPC用紙GF−500、キヤノン製)に、PIXUS iP8600のノズルチェックパターンを記録した。その後、インクジェット記録装置から、インクカートリッジを搭載した記録ヘッド(ヘッドカートリッジ)を取り外し、温度30℃、相対湿度10%の環境で14日間放置した。そして、このヘッドカートリッジを再び上記のインクジェット記録装置に装着し、ノズルチェックパターンを記録した。ノズルチェックパターンが正常に記録されず、目詰まりが発生した場合、プリンタドライバからクリーニングを行った後に、再びノズルチェックパターンを記録した。このようにして、ノズルチェックパターンを正常に記録することができるようになるまでに要したクリーニングの回数により、固着回復性を評価した。
A:1〜4回のクリーニングにより、ノズルチェックパターンが正常に記録された。
C:5回以上のクリーニングを行っても、ノズルチェックパターンが正常に記録されなかった。
(間欠吐出安定性)
上記で得られたインクをインクカートリッジに搭載した上記インクジェット記録装置を、記録ヘッドの吐出口近傍に存在するインクの温度が上昇しないようにしたまま、温度5℃、相対湿度10%の環境に5時間放置した。インクを吐出させた後、インクの吐出を5秒間休止させ、記録ヘッドの回復動作を行わずにインクを再び吐出させた。記録媒体(HR−101、キヤノン製)に、記録ヘッドの吐出口列を構成するすべての吐出口からそれぞれ1滴ずつインクを吐出して縦罫線を記録した。記録した縦罫線を目視で確認し、間欠吐出安定性を評価した。
AAA:罫線の乱れがなかった。
AA:罫線にわずかに乱れがあった。
A:ドットはすべて吐出されていたが、各ドットの位置にバラツキがあり、罫線が波打っていた。
B:半分未満のドットが吐出されていなく、ドットとドットの間に隙間ができていた。
C:半分以上のドットが吐出されていなかった。
上記で得られたインクをインクカートリッジに搭載した上記インクジェット記録装置を、記録ヘッドの吐出口近傍に存在するインクの温度が上昇しないようにしたまま、温度5℃、相対湿度10%の環境に5時間放置した。インクを吐出させた後、インクの吐出を5秒間休止させ、記録ヘッドの回復動作を行わずにインクを再び吐出させた。記録媒体(HR−101、キヤノン製)に、記録ヘッドの吐出口列を構成するすべての吐出口からそれぞれ1滴ずつインクを吐出して縦罫線を記録した。記録した縦罫線を目視で確認し、間欠吐出安定性を評価した。
AAA:罫線の乱れがなかった。
AA:罫線にわずかに乱れがあった。
A:ドットはすべて吐出されていたが、各ドットの位置にバラツキがあり、罫線が波打っていた。
B:半分未満のドットが吐出されていなく、ドットとドットの間に隙間ができていた。
C:半分以上のドットが吐出されていなかった。
実施例15の評価結果は、固着回復性がAであるが、他のAよりも劣っていた。
Claims (6)
- 色材、及び水溶性有機溶剤を含有するインクジェット用の水性インクであって、
前記色材が、下記一般式(1)で表される化合物で構成される色材を含み、
前記水溶性有機溶剤が、LogP値が−1.10以上である第1水溶性有機溶剤を含むことを特徴とする水性インク。
(一般式(1)中、R1、R5、R6及びR10はそれぞれ独立に、アルキル基を表す。R3及びR8はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、又はイオン性基を表す。R2、R4、R7及びR9はそれぞれ独立に、水素原子、イオン性基、又は下記一般式(2)で表される基を表し、R2、R4、R7及びR9の少なくとも1つは下記一般式(2)で表される基を表す。Zはそれぞれ独立に、スルホン酸基、又はスルファモイル基を表し、R2、R3、R4、R7、R8及びR9の少なくとも1つがイオン性基を有する場合にはnは0以上6以下の整数を表し、R2、R3、R4、R7、R8及びR9がイオン性基を有さない場合にはnは1以上6以下の整数を表し、Zが存在する場合は一般式(1)における芳香環の少なくとも1つの水素原子の位置に置換している。)
(一般式(2)中、R11は、炭素数5以上7以下のアルキル基を表す。) - 前記第1水溶性有機溶剤の含有量(質量%)が、前記色材の含有量(質量%)に対する質量比率で、1.0倍以上である請求項1に記載の水性インク。
- 前記水性インクが、さらにビス(2−ヒドロキシエチル)スルホンを含有する請求項1又は2に記載の水性インク。
- 前記ビス(2−ヒドロキシエチル)スルホンの含有量(質量%)が、前記色材の含有量(質量%)に対する質量比率で、1.0倍以上である請求項3に記載の水性インク。
- インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えたインクカートリッジであって、
前記インクが、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクカートリッジ。 - インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記インクが、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
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JP2016242648A JP2018095754A (ja) | 2016-12-14 | 2016-12-14 | 水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019019160A (ja) * | 2017-07-12 | 2019-02-07 | 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 | インクジェット記録用水性インク |
-
2016
- 2016-12-14 JP JP2016242648A patent/JP2018095754A/ja active Pending
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