JP2014028908A - インク、インクセット、インクカートリッジ、インクジェット記録方法 - Google Patents

インク、インクセット、インクカートリッジ、インクジェット記録方法 Download PDF

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淳一 酒井
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Abstract

【課題】耐オゾン性、耐湿性、及び発色性に優れた画像を記録可能なインクを提供する。
【解決手段】第1の色材(アントラピリドン系)及び第2の色材(アゾ系)を含有し、インク全質量を基準とした、第1の色材の含有量(質量%)が、第2の色材の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.2倍以上10.0倍以下であるインク。
Figure 2014028908

【選択図】なし

Description

本発明は、インク、インクセット、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録方法に用いるインクに対する要求性能としては、記録した画像の発色性が優れること、及び画像保存性が優れることが挙げられ、これらの性能を高いレベルで両立させることが好ましい。画像保存性とは、具体的には、画像が、光、湿度、水、熱、空気中に存在するオゾンなどの環境ガスに長時間さらされた際に、画像の色材が劣化し、画像の色調変化や褪色といった現象が発生しない特性をいう。しかし、カラーインデックス(C.I.)番号が付与されているような従来の色材では、インクジェット記録方法に用いるインクに要求される発色性と画像保存性とを両立させることは難しい。そこで、発色性と画像保存性の向上を達成するために、様々な提案がなされている。
色調及び耐光性に優れたマゼンタ染料として、アントラピリドン系染料に関する提案がある(特許文献1参照)。また、アントラピリドン系染料及びアゾ系染料を含有させることで、色調が良好であり、耐オゾン性、耐光性が良好な画像を記録しうるマゼンタインクに関する提案がある(特許文献2〜5参照)。
特開2010−006969号公報 特開2005−105136号公報 特開2005−307068号公報 特表2007−511619号公報 特開2008−297542号公報
本発明者らが、特許文献1において提案された染料を含有するインクを調製し、このインクを用いて画像を記録したところ、記録された画像の発色性及び耐オゾン性については、近年求められるレベルを満足できるものではないことが判明した。
また、特許文献2〜5に記載のインクを調製し、これらのインクを用いて画像を記録したところ、記録された画像の発色性、耐オゾン性、及び耐湿性は十分に両立されていないことが判明した。特に、これらのインクのみを用いて記録した1次色の画像の耐湿性はある程度向上しているものの、シアンやイエローなどの他色を併用して記録した2次色の画像の耐湿性は不十分であった。
したがって、本発明の目的は、耐オゾン性、耐湿性、及び発色性に優れた画像を記録可能なインクを提供することにある。また、本発明の別の目的は、前記インクを用いたインクセット、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明によれば、第1の色材及び第2の色材を含有するインクであって、前記第1の色材が、下記一般式(1)で表される化合物であり、前記第2の色材が、下記一般式(2)で表される化合物であり、インク全質量を基準とした、前記第1の色材の含有量(質量%)が、前記第2の色材の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.2倍以上10.0倍以下であることを特徴とするインクが提供される。
Figure 2014028908
(前記一般式(1)中、R1はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、シクロアルキル基、モノアルキルアミノアルキル基、又はジアルキルアミノアルキル基を表し、R2はそれぞれ独立に、下記式(i)乃至(iv)のいずれかで表される基を表し、Xは連結基を表し、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す)
Figure 2014028908
(前記式(i)及び(ii)中、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す。前記式(iv)中、R3は水素原子、アルキル基、又はアルコキシ基を表す)
Figure 2014028908
(前記一般式(2)中、R4、R5、R6、及びR7はそれぞれ独立にアルキル基を表し、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す)
本発明によれば、耐オゾン性、耐湿性、及び発色性に優れた画像を記録可能なインクを提供することができる。また、本発明によれば、このインクを用いたインクセット、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することができる。
本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。なお、本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中において塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。
まず、本発明者らは、耐オゾン性、耐湿性、及び発色性が両立した画像を記録可能な色材についての検討を行った。マゼンタ色を有する色材としては、アゾ系、キサンテン系、アントラピリドン系などの色材がある。しかし、いずれの色材においても、1種の色材でのみ調製したインクで記録した画像は、要求するレベルに到達していなかった。そこで、それぞれの色材の特徴を活かしたインクを調製することはできないかと考え、アゾ系色材とアントラピリドン系色材を併用したインクについて検討を行った。その結果、一般式(1)で表される化合物と一般式(2)で表される化合物を特定の比率で併用することで、耐オゾン性、耐湿性、及び発色性が両立した画像を記録可能なインクが得られることが判明した。特に、一般式(1)で表される化合物と一般式(2)で表される化合物を併用したインクの性能は、一般式(1)で表される化合物と一般式(2)で表される化合物をそれぞれ単独で用いたインクよりも向上していた。また、一般式(1)で表される化合物と一般式(2)で表される化合物を併用したインクを用いて記録した画像の耐オゾン性は、顕著に向上していた。
本発明者らはこの理由を次のように考えている。一般式(1)で表される化合物は、青味のマゼンタの色調を有する色材である。一方、一般式(2)で表される化合物は、黄味のマゼンタの色調を有する色材である。また、一般式(2)で表される化合物の耐オゾン性は、一般式(1)で表される化合物よりも相対的に優れている。
さらに、一般式(1)で表される化合物と一般式(2)で表される化合物は、記録媒体への定着性についても違いがある。定着性の高低は、記録媒体を構成するカチオン性成分(アルミナやその水和物、カチオン性樹脂、填料)などに対する、色材の吸着しやすさに相関がある。定着性が低い色材はカチオン性成分に吸着しづらく、定着性が高い色材はカチオン性成分に吸着しやすい。そして、本発明者らの検討の結果、以下のことが判明した。先ず、一般式(1)で表される化合物は、記録媒体への定着性が低く、記録媒体の厚さ方向に深くまで色材が浸透する。一方、一般式(2)で表される化合物は、記録媒体への定着性が高いため、色材は記録媒体の厚さ方向に対して深く浸透せず、表面やその近傍に留まる。すなわち、一般式(1)で表される化合物と一般式(2)で表される化合物とでは、記録媒体の厚さの方向において、存在する位置が異なる。
また、一般的に、色材はオゾンガスによって発色団の結合が切断されるなどして、褪色や変色が発生する。一般式(1)で表される化合物は、オゾンガスの影響で黄味に大きく変色する傾向にある。一方、一般式(2)で表される化合物は、オゾンガスの影響でやや青味に変色するもののその程度は小さく、褪色が生じやすい傾向にある。そして、上述の通り、一般式(1)で表される化合物と一般式(2)で表される化合物とでは、記録媒体の厚さの方向において存在する位置が異なる。このため、表面近傍に存在する一般式(2)で表される化合物が、それよりも浸透した位置に存在する一般式(1)で表される化合物のオゾンガスによる劣化を抑制する。さらに、上述の通り、一般式(1)で表される化合物と一般式(2)で表される化合物とは、変色の方向が補色の関係にあるため、色変化が相殺される。これらの作用が相まって、画像の耐オゾン性が顕著に向上するものと考えられる。
また、本発明のインクを用いて記録した画像の耐湿性が向上するのは、一般式(1)で表される化合物と一般式(2)で表される化合物が、記録媒体におけるこれらの存在位置が異なるため、記録媒体への吸着が効率よく生じるためであると考えられる。
記録される画像の耐オゾン性、耐湿性、及び発色性のいずれをも向上させるためには、一般式(1)で表される化合物と一般式(2)で表される化合物をインク中に単に含有させればよいというわけではなく、これらの比率も重要である。本発明のインクは、インク全質量を基準とした、第1の色材の含有量(質量%)が、第2の色材の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.2倍以上10.0倍以下であることを要する。この質量比率が0.2倍未満であると、画像の発色性が不十分となる。一方、質量比率が10.0倍超であると、画像の発色性と耐オゾン性が不十分となる。
<インク>
(第1の色材)
本発明のインクは、下記一般式(1)で表される化合物を第1の色材として含有する。この第1の色材はマゼンタ色を呈する水溶性の染料であり、マゼンタの色調を有するインクの色材として好適に用いることができる。
Figure 2014028908
(前記一般式(1)中、R1はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、シクロアルキル基、モノアルキルアミノアルキル基、又はジアルキルアミノアルキル基を表し、R2はそれぞれ独立に、下記式(i)乃至(iv)のいずれかで表される基を表し、Xは連結基を表し、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す)
Figure 2014028908
(前記式(i)及び(ii)中、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す。前記式(iv)中、R3は水素原子、アルキル基、又はアルコキシ基を表す)
一般式(1)中のR1は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、シクロアルキル基、モノアルキルアミノアルキル基、又はジアルキルアミノアルキル基を表す。
アルキル基としては、炭素数1乃至8のアルキル基を挙げることができる。より具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−へキシル、n−へプチル、及びn−オクチルなどの直鎖アルキル基;iso−プロピル、sec−ブチル、t−ブチル、iso−ブチルなどの分岐鎖アルキル基を挙げることができる。
ヒドロキシアルキル基としては、炭素数1乃至4のヒドロキシアルキル基を挙げることができる。より具体的には、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、及びヒドロキシブチルなどを挙げることができる。ヒドロキシアルキル基を構成するアルキルとしては、直鎖、分岐鎖、及び環状のアルキルを挙げることができる。なかでも、直鎖アルキルが好ましい。また、アルキルにおけるヒドロキシの置換位置はいずれの位置でもよいが、アルキルの末端にヒドロキシが置換していることが好ましい。このようなヒドロキシアルキル基としては、例えば、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、及び4−ヒドロキシブチルなどを挙げることができる。
シクロアルキル基としては、炭素数3乃至8のシクロアルキル基を挙げることができる。より具体的には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロへキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルなどを挙げることができる。
モノアルキルアミノアルキル基としては、モノ−炭素数1乃至4アルキルアミノ−炭素数1乃至4アルキル基を挙げることができる。より具体的には、モノメチルアミノプロピル、及びモノエチルアミノプロピルなどを挙げることができる。
ジアルキルアミノアルキル基の例としては、ジ−炭素数1乃至4アルキルアミノ−炭素数1乃至4アルキル基を挙げることができる。より具体的には、ジメチルアミノプロピル、及びジエチルアミノエチルなどを挙げることができる。
本発明においては、一般式(1)中のR1が、水素原子、アルキル基、又はシクロヘキシルであることが好ましく、水素原子又はアルキル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。
一般式(1)中のR2は、それぞれ独立に、下記式(i)乃至(iv)のいずれかで表される基を表す。式(i)及び(ii)中のMは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す。また、式(iv)中のR3は、水素原子、アルキル基、又はアルコキシ基を表す。
Figure 2014028908
式(i)で表される基の具体例としては、カルボキシ基が置換している、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシを挙げることができる。なかでも、2−ナフチルオキシが好ましい。カルボキシ基の置換位置は、酸素原子の置換位置を1位としたときに、5位、6位、7位、又は8位が好ましく、6位がさらに好ましい。
式(ii)乃至(iv)において、置換位置が特定されていない原子団の置換位置は、ベンゼン環における酸素原子の置換位置を1位としたときに、2位又は4位が好ましく、4位がさらに好ましい。
式(iv)中のR3は、水素原子、アルキル基、又はアルコキシ基を表す。R3は、アルキル基又はアルコキシ基が好ましく、アルコキシ基がさらに好ましい。
3におけるアルキル基としては、直鎖、分岐鎖、及び環状のアルキル基を挙げることができる。なかでも、直鎖アルキルが好ましい。R3におけるアルキル基の炭素数は1乃至8であることが好ましく、1乃至6であることがさらに好ましく、1乃至4であることが特に好ましい。アルキル基の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチルなどの直鎖アルキル基;iso−プロピル、iso−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、iso−ペンチル、iso−ヘキシル、iso−ヘプチル、iso−オクチルなどの分岐鎖アルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロへキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルなどのシクロアルキル基を挙げることができる。
3におけるアルコキシ基としては、直鎖及び分岐鎖のアルコキシ基を挙げることができる。なかでも、直鎖アルコキシ基が好ましい。R3におけるアルコキシ基の炭素数は1乃至8であることが好ましく、1乃至6であることがさらに好ましく、1乃至4であることが特に好ましい。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキシロキシ、n−ヘプチロキシ、n−オクチロキシなどの直鎖アルコキシ基;iso−プロポキシ、iso−ブトキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシ、iso−ペンチロキシ、iso−ヘキシロキシ、iso−ヘプチロキシ、iso−オクチロキシなどの分岐鎖アルコキシ基を挙げることができる。なかでも、n−プロポキシが好ましい。
一般式(1)中のR2は、式(i)、式(ii)、又は式(iv)で表される基であることが好ましく、下記式(v)、下記式(vi)、又は下記式(vii)で表される基であることがさらに好ましい。
Figure 2014028908
一般式(1)中のXは連結基である。この連結基としては、以下に示す連結基1乃至7を挙げることができる。なお、以下に示す連結基1乃至7中の「*」を付した結合手は、各窒素原子の結合手である。このため、連結基1乃至7中の各窒素原子は、一般式(1)中の2つの異なるトリアジン環とそれぞれ直接結合する。以下に示す連結基のなかでも下記連結基1又は下記連結基2が特に好ましい。
Figure 2014028908
(連結基1中、nは2乃至8の数を表し、好ましくは2乃至6、さらに好ましくは2である。*はそれぞれ異なる2つのトリアジン環との結合部位を表す)
Figure 2014028908
(連結基2中、Raはそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。*はそれぞれ異なる2つのトリアジン環との結合部位を表す)
Figure 2014028908
(連結基3中、*はそれぞれ異なる2つのトリアジン環との結合部位を表す)
Figure 2014028908
(連結基4中、*はそれぞれ異なる2つのトリアジン環との結合部位を表す)
Figure 2014028908
(連結基5中、*はそれぞれ異なる2つのトリアジン環との結合部位を表す)
Figure 2014028908
(連結基6中、mは2乃至4の数を表す。*はそれぞれ異なる2つのトリアジン環との結合部位を表す)
Figure 2014028908
(連結基7中、*はそれぞれ異なる2つのトリアジン環との結合部位を表す)
一般式(1)、式(i)、式(ii)、式(v)、及び式(vi)中のMは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。アルカリ金属の具体例としては、リチウム、ナトリウム、及びカリウムなどを挙げることができる。有機アンモニウムの具体例としては、アセトアミド、ベンズアミド、トリメチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、フェニルアミノ、トリエタノールアミノなどを挙げることができる。
一般式(1)で表される化合物の好ましい具体例としては、表1に示す例示化合物1〜23を挙げることができる。勿論、一般式(1)で表される化合物は、一般式(1)の構造及びその定義に包含されるものであれば、下記の例示化合物に限られるものではない。
Figure 2014028908
本発明においては、より高いレベルの耐湿性が得られるため、一般式(1)において、R1が水素原子又は炭素数1乃至4の直鎖アルキル基であり、かつ、Xが連結基1又は連結基2であることが好ましい。具体的には、上記の例示化合物のなかでも、例示化合物1〜4、6、7、15、16、18、及び21〜23が好ましい。また、より高いレベルの耐湿性及び耐オゾン性が得られるため、第1の色材が、下記一般式(3)で表される化合物(Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す)であることが好ましい。なお、一般式(3)で表される化合物を遊離酸型として示したものが表1における例示化合物1である。
Figure 2014028908
(前記一般式(3)中、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す)
(第2の色材)
第1の色材として用いられる一般式(1)で表される上記の化合物と組み合わせる第2の色材は、下記一般式(2)で表される化合物である。この第2の色材はマゼンタ色を呈する水溶性の染料であり、マゼンタの色調を有するインクの色材として好適に用いることができる。
Figure 2014028908
(前記一般式(2)中、R4、R5、R6、及びR7はそれぞれ独立にアルキル基を表し、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す)
一般式(2)中のR4、R5、R6、及びR7は、それぞれ独立にアルキル基である。このアルキル基は、インクを構成する水性媒体への溶解性の観点から、炭素数1乃至3であることが好ましい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、及びi−プロピル基を挙げることができる。アルキル基の炭素数が4以上であると、第2の色材の疎水性が増大し、インクを構成する水性媒体に第2の色材が溶解しにくくなる場合がある。
一般式(2)中のMは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。アルカリ金属の具体例としては、リチウム、ナトリウム、及びカリウムなどを挙げることができる。有機アンモニウムの具体例としては、アセトアミド、ベンズアミド、トリメチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、フェニルアミノ、及びトリエタノールアミノなどを挙げることができる。
一般式(2)で表される化合物の遊離酸型の具体例としては、下記例示化合物24及び25を挙げることができる。勿論、一般式(2)で表される化合物は、一般式(2)の構造及びその定義に包含されるものであれば、下記の例示化合物に限られるものではない。本発明においては、下記の例示化合物のなかでも例示化合物24が好ましい。
Figure 2014028908
Figure 2014028908
(色材の含有量)
インク中の第1の色材の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.01質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。また、インク中の第2の色材の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.01質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。また、インク中の第1の色材及び第2の色材の合計の含有量(質量%)は、吐出特性などのインクジェット用のインクとしての信頼性を満たす範囲であれば特に限定されないが、0.01質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
本発明のインクは、インク全質量を基準とした、第1の色材の含有量(質量%)が、第2の色材の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.2倍以上10.0倍以下であることを要する。すなわち、「第1の色材の含有量(質量%)」/「第2の色材の含有量(質量%)」=0.2倍以上10.0倍以下であることを要する。上記の質量比率が0.2倍未満であると、画像の発色性が得られない。一方、上記の質量比率が10.0倍超であると、画像の耐オゾン性と発色性が得られない。上記の質量比率は1.0倍以上であることが好ましい。上記の質量比率は1.0倍以上であると、耐オゾン性と発色性がより向上する。また、上記の質量比率は1.0倍以上7.0倍以下であることが好ましい。上記の質量比率は7.0倍以下であると、耐オゾン性、耐湿性、及び発色性がより向上する。
(水性媒体)
本発明のインクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を用いることができる。水は、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、10.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましい。
水溶性有機溶剤は、水溶性であれば特に制限はなく、アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、グリコールエーテル、含窒素極性溶媒、含硫黄極性溶媒などを用いることができる。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、5.0質量%以上90.0質量%以下、さらには10.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤の含有量が上記した範囲より少ないと、インクをインクジェット記録装置に用いる場合に吐出安定性などの信頼性が得られない場合がある。また、水溶性有機溶剤の含有量が上記した範囲より多いと、インクの粘度が上昇して、インクの供給不良が起きる場合がある。界面活性剤の種類にもよるが、界面活性剤を溶解させやすい水溶性有機溶剤を1種以上用いることが好ましい。このような水溶性有機溶剤としては、例えば、アルカンジオール類などを挙げることができる。
(添加剤)
本発明のインクは、上記した成分以外にも必要に応じて、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類や、尿素、エチレン尿素などの尿素誘導体などの、常温で固体の水溶性有機化合物を含有してもよい。さらに、本発明のインクは、必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、及び水溶性ポリマーなど、種々の添加剤を含有してもよい。
本発明のインクは、下記式(4)で表される化合物を界面活性剤として含有することが好ましい。
Figure 2014028908
(前記式(4)中、m+nは0.0以上10.0以下の数を表す)
式(4)中のm+nはエチレンオキサイド基の付加モル数を示し、0.0以上10.0以下の数を表す。式(4)で表される化合物は、エチレンオキサイド基の付加モル数の分布に幅を有する混合物として合成されるため、通常、m+nは平均値として表される。なお、m+n=0.0である場合は、2つのヒドロキシ基がそれぞれの炭素原子に直接結合していることを意味する。
式(4)で表される化合物を添加することにより、インクジェット用のインクとしての好適な表面張力とインクジェット特性を容易に両立させることができる。m+nが10.0超であると、好適な表面張力に調整するために必要となる式(4)で表される化合物の含有量が増えるため、吐出安定性などのインクジェット特性が低下する場合がある。インク中の式(4)で表される化合物の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。
式(4)で表される化合物としては、アセチレノールE100(m+n=10.0)、E70(m+n=7.0)、E60(m+n=6.0)、E40(m+n=4.0)(以上、川研ファインケミカル製);サーフィノール440(m+n=3.4)(日信化学工業製)などの市販のものを用いることもできる。
(インクの物性)
本発明のインクの25℃における表面張力は、10mN/m以上60mN/m以下であることが好ましく、20mN/m以上60mN/m以下であることがさらに好ましく、30mN/m以上40mN/m以下であることが特に好ましい。インクの表面張力を上記した範囲内とすることで、インクジェット方式に適用した際に吐出口近傍の濡れによる吐出よれ(インクの着弾点のずれ)などの発生を有効に抑制することが可能となる。インクの表面張力は、例えば、インク中の界面活性剤などの含有量を適宜決定することで調整することができる。また、本発明のインクは、インクジェット方式の記録ヘッドから吐出する際に良好な吐出特性が得られるよう、所望の粘度やpHに調整することが好ましい。
(その他のインク)
フルカラーの画像などを記録するために、本発明のインクと、本発明のインクとは別の色相を有するその他のインクとを組み合わせて用いることができる。その他のインクとしては、例えば、ブラックインク、シアンインク、イエローインク、レッドインク、グリーンインク、及びブルーインクからなる群より選択される少なくとも一種のインクを挙げることができる。その他のインクに用いられる色材は、公知の染料であっても、新規に合成された染料であってもよい。
<インクセット>
近年、粒状感のない滑らかな階調性を有する銀塩写真のような画像をインクジェット記録方法によって記録するために、互いに同一の色相を有する濃インク及び淡インクの組み合わせを有するインクセットが用いられている。本発明における淡インクとは、色材の含有量が濃インクに比して相対的に少ないインクのことをいう。また、淡インクと濃インクは同一の色相を有する。本発明において、複数のインクが同一の色相を有することとは、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、グリーン、及びブルーなどに分類される色相の範囲内において、前記複数のインクが互いに同じ色相に分類されることを意味する。
以下、インクジェット用にも好適な、本発明のインクセットの詳細について説明する。本発明のインクセットは、互いに同一の色相である濃インク及び淡インクの組み合わせを有するインクセットであり、濃インク及び淡インクが、それぞれ前述の本発明のインクであることを特徴とする。
一般式(1)で表される化合物(第1の色材)と一般式(2)で表される化合物(第2の色材)を含有する濃インク及び淡インクについては、以下に示すような課題がある。すなわち、淡インクは、濃インクと比較して、記録される画像の耐オゾン性が相対的に低い。一方、濃インクは、淡インクと比較して、記録される画像の耐湿性が相対的に低い。
本発明のインクセットは、濃インクと淡インクのいずれも、インク全質量を基準とした、第1の色材の含有量(質量%)が、第2の色材の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.2倍以上10.0倍以下である。このように、第1の色材及び第2の色材を所定の比率で含有する濃インク及び淡インクの組み合わせを有する本発明のインクセットを用いれば、第1の色材及び第2の色材を含有する濃インク及び淡インクにおいて生ずる上記課題を解決することができる。すなわち、本発明のインクセットを用いれば、濃インク及び淡インクのいずれについても、耐オゾン性、耐湿性、及び発色性の良好な画像を記録することができる。
さらに、濃インク及び淡インクが、下記式(4)で表される化合物を第1の界面活性剤及び第2の界面活性剤としてそれぞれ含有することが好ましい。さらには、濃インクに含有される第1の界面活性剤のm+nの値が、淡インクに含有される第2の界面活性剤のm+nの値よりも小さいことが好ましい。第1の界面活性剤と第2の界面活性剤のm+nの値が上記の関係を満たすことで、耐ブリーディング性を向上させることができる。
Figure 2014028908
(前記式(4)中、m+nは0.0以上10.0以下の数を表す)
通常、全く同一の界面活性剤を用いて所望の表面張力にするためには、淡インクに比して、濃インクには界面活性剤を多く含有させる必要がある。特に、一般式(2)で表される化合物は、その構造に起因して、アゾ染料、アントラピリドン染料、及びキサンテン染料などの他のマゼンタ色材に比べて界面活性剤の能力が十分に発揮されにくく、インクの表面張力を制御しにくいといった特徴を有する。このため、一般式(2)で表される化合物を色材として含有するインクの表面張力を所望の値となるように調整するには、必要となる界面活性剤の量が他の色材を含有するインクと比して増加する傾向にある。したがって、濃インクの場合、必要となる界面活性剤の含有量は、一般的なインクジェット用のインクより多くなる傾向にある。界面活性剤の含有量が多くなると、インクの粘度が高くなるなどの理由により、吐出安定性などのインクジェット特性に影響が生ずる場合もある。したがって、濃インク及び淡インクに全く同一の界面活性剤を含有させるのではなく、m+nの値が相対的に小さい第1の界面活性剤を濃インクに用いると、必要以上に粘度を高めることなく、所望の表面張力とすることができる。このため、インクジェット特性が向上するという効果が得られるため好ましい。
また、エチレンオキサイド付加モル数の平均値を表すm+nの値が相対的に小さい第1の界面活性剤を濃インクに用いると、濃インクの静的表面張力だけでなく、動的表面張力をも制御することができる。このため、濃インクで記録される画像と淡インクで記録される画像の境界部分における耐ブリーディング性を向上させることができるために好ましい。
濃インク及び淡インク中の各色材及び式(4)で表される界面活性剤の含有量は、上述の本発明のインクについての好ましい含有量と同等である。より具体的には、各インク中の色材の合計含有量は、濃インクよりも淡インクが少ないことが好ましく、その差の絶対値が2.0質量%以上であることがさらに好ましい。また、各インク中の式(4)で表される界面活性剤の含有量は、濃インクよりも淡インクが多いことが好ましく、その差の絶対値が0.5質量%以上であることがさらに好ましい。
<インクカートリッジ>
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、このインク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明のインクである。図1は、本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示すように、インクカートリッジの底面には、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給口12が設けられている。インクカートリッジの内部はインクを収容するためのインク収容部となっている。インク収容部は、インク収容室14と、吸収体収容室16とで構成されており、これらは連通口18を介して連通している。また、吸収体収容室16はインク供給口12に連通している。インク収容室14には液体のインク20が収容されており、吸収体収容室16には、インクを含浸状態で保持する吸収体22,24が収容されている。インク収容部は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容されるインク全量を吸収体により保持する形態であってもよい。また、インク収容部は、吸収体を持たず、インクの全量を液体の状態で収容する形態であってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明のインクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
図2は、本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。インクジェット記録装置には、記録媒体32を搬送する搬送手段(不図示)、及びキャリッジシャフト34が設けられている。キャリッジシャフト34にはヘッドカートリッジ36が搭載可能となっている。ヘッドカートリッジ36は記録ヘッド38及び40を具備しており、インクカートリッジ42がセットされるように構成されている。ヘッドカートリッジ36がキャリッジシャフト34に沿って主走査方向に搬送される間に、記録ヘッド38及び40から記録媒体32に向かってインク(不図示)が吐出される。そして、記録媒体32が搬送手段(不図示)により副走査方向に搬送されることによって、記録媒体32に画像が記録される。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
[インクの評価]
<インクの調製>
表2−1〜2−4の上段に示す各成分(単位:%)を混合して十分に撹拌した後、ポアサイズ0.20μmのフィルター(富士フイルム製)で加圧ろ過して各インクを調製した。なお、表2−1〜2−4中の「アセチレノールE100」は前記式(4)で表される化合物(ノニオン性界面活性剤)の商品名(川研ファインケミカル製)であり、m+nの値は10.0である。また、表2−1〜2−4の下段には、インク中の「第1の色材の含有量(%)/第2の色材の含有量(%)」の値を「質量比率(倍)」として示した。
表2−1〜2−4中の比較化合物は、遊離酸型として、下記の構造を有する化合物である。これらの化合物は、水酸化ナトリウム水溶液を用いて酸性基のカウンターイオンをナトリウムイオンとしてインクの調製に用いた。
Figure 2014028908
Figure 2014028908
Figure 2014028908
また、特許文献4に記載の「M−2」の化合物を、例示化合物25(Na/K塩)として用いた。
Figure 2014028908
Figure 2014028908
Figure 2014028908
Figure 2014028908
Figure 2014028908
<評価>
上記で得られた各インクをそれぞれインクカートリッジに充填し、熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクを吐出するインクジェット記録装置(商品名「PIXUS iP8600」、キヤノン製)に搭載した。本実施例においては、1/600インチ×1/600インチの単位領域に22.4ngのインクを付与して記録したベタ画像を「記録デューティが100%である」と定義する。
このインクジェット記録装置を使用し、温度23℃、相対湿度55%の環境で、記録媒体(商品名「キヤノン写真用紙・光沢プロ[プラチナグレード]PT101」、キヤノン製)に、各評価項目に使用する画像を記録した記録物をそれぞれ作製した。得られた記録物を温度23℃、相対湿度55%の環境で24時間載置し、十分に乾燥させた後に各評価を行った。耐オゾン性及び発色性の評価には、分光光度計(商品名「Spectrolino」、Gretag Macbeth製)を用いた。この分光光度計を用いて、光源:D50、視野:2°の条件で、CIE(国際照明委員会)により規定されたL***表示系におけるL*、a*及びb*を測定した。本発明においては、下記の各項目の評価基準で、Cを許容できないレベル、A及びBを許容できるレベルとした。評価結果を表3に示す。
(耐オゾン性)
耐オゾン性の評価には、記録デューティが100%であるベタ画像を記録した記録物を用いた。得られた記録物におけるベタ画像のL1、a1及びb1を測定した(耐オゾン性試験前のLab値)。次いで、この記録物をオゾン試験装置(商品名「OMS−H」、スガ試験機製)中に載置し、槽内温度23℃、相対湿度50%、オゾンガス濃度10ppmの条件で24時間、オゾン曝露を行った。その後、記録物におけるベタ画像のL2、a2及びb2を測定した(耐オゾン性試験後のLab値)。得られた耐オゾン性試験前のLab値及び耐オゾン性試験後のLab値から、ΔE(色差)={(L1−L22+(a1−a22+(b1−b221/2を算出し、以下に示す評価基準にしたがって耐オゾン性を評価した。
A:ΔEが5未満であった。
B:ΔEが5以上10未満であった。
C:ΔEが10以上であった。
(耐湿性)
耐湿性の評価には、上記で得られたインクと、別のインクを併用して記録した2次色のベタ画像を記録した記録物を用いた。上記で得られたインク(マゼンタインク)及びシアンインク(商品名「BCI−7eC」、キヤノン製)のそれぞれの記録デューティを100%とした、合計の記録デューティが200%であるベタ画像を、格子柄(市松模様)状に記録した記録物を用いた。なお、前記シアンインクは、下記の評価基準でAランクとなり、滲みが生じないインクである。得られた記録物を、槽内温度25℃、相対湿度85%に設定した恒温槽に1週間載置した。その後、記録物を目視で観察し、以下に示す評価基準にしたがって耐湿性を評価した。
A:マゼンタインクの滲みは生じていなかった。
B:マゼンタインクの滲みが生じていたが、軽微であった。
C:マゼンタインクの滲みが生じ、画像がぼやけていた。
(発色性)
発色性の評価には、記録デューティが100%であるベタ画像を記録した記録物を用いた。得られた記録物におけるベタ画像のa*及びb*を測定した。得られたa*及びb*の値から、下記式に基づいて色相角(H°)を求め、以下に示す評価基準にしたがって発色性を評価した。なお、A及びBの色相角が好ましいマゼンタインクの色相を示し、なかでもAの色相角が特に好ましいマゼンタインクの色相を示す。一方、Cの色相角では、黄味又は青味の色相であり、マゼンタインクとして適さない。
*≧0、b*≧0(第一象現)では、H°=tan-1(b*/a*
*≦0、b*≧0(第二象現)では、H°=180+tan-1(b*/a*
*≦0、b*≦0(第三象現)では、H°=180+tan-1(b*/a*
*≧0、b*≦0(第四象現)では、H°=360+tan-1(b*/a*
A:H°が0以上5未満、又は、350より大きく360(=0)以下であった。
B:H°が5以上15未満であった。
C:H°が15以上、又は、350以下であった。
Figure 2014028908
実施例15の各項目の評価結果はいずれもBランクであったが、それと同等の評価結果であった実施例5、11、及び12と比較すると、相対的に劣っていた。
[インクセットの評価]
<インクの調製>
表4の上段に示す各成分(単位:%)を混合して十分に撹拌した後、ポアサイズ0.20μmのフィルター(富士フイルム製)で加圧ろ過して各インクを調製した。なお、表4中の「アセチレノールE100」及び「アセチレノールE60」は、前記式(4)で表される化合物(ノニオン性界面活性剤)の商品名(川研ファインケミカル製)であり、m+nの値は、それぞれ10.0及び6.0である。また、表4の下段には、インク中の「第1の色材の含有量(%)/第2の色材の含有量(%)」の値を「質量比率(倍)」として示した。
Figure 2014028908
<評価>
上記で得られた各インクをそれぞれインクカートリッジに充填し、表5の左側に示す組み合わせでインクセットとした。インクセットを構成する各インクを、熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクを吐出するインクジェット記録装置(商品名「PIXUSiP8600」、キヤノン製)にそれぞれ搭載した。この際、インクジェット記録装置のマゼンタインクのポジションに濃インクを、また、フォトマゼンタインクのポジションに淡インクをセットした。本実施例においては、1/600インチ×1/600インチの単位領域に22.4ngのインクを付与して記録したベタ画像を「記録デューティが100%である」と定義する。
このインクジェット記録装置を使用し、温度23℃、相対湿度55%の環境で、記録媒体(商品名「キヤノン写真用紙・光沢プロ[プラチナグレード]PT101」、キヤノン製)に、各評価項目に使用する画像を記録した記録物をそれぞれ作製した。得られた記録物を温度23℃、相対湿度55%の環境で24時間載置し、十分に乾燥させた後に各評価を行った。耐オゾン性及び発色性の評価には、分光光度計(商品名「Spectrolino」、Gretag Macbeth製)を用いた。この分光光度計を用いて、光源:D50、視野:2°の条件で、CIE(国際照明委員会)により規定されたL***表示系におけるL*、a*及びb*を測定した。本発明においては、下記の各項目の評価基準で、Cを許容できないレベル、A及びBを許容できるレベルとした。評価結果を表5に示す。
(耐オゾン性)
耐オゾン性の評価には、濃インク及び淡インクの記録デューティがそれぞれ100%である2種類のベタ画像を記録した記録物を用いた。得られた記録物における2種類のベタ画像のL1、a1及びb1を測定した(耐オゾン性試験前のLab値)。この記録物をオゾン試験装置(商品名「OMS−H」、スガ試験機製)中に載置し、槽内温度23℃、相対湿度50%、オゾンガス濃度10ppmの条件で24時間、オゾン曝露を行った。その後、記録物における2種類のベタ画像のL2、a2及びb2を測定した(耐オゾン性試験後のLab値)。得られた耐オゾン性試験前のLab値及び耐オゾン性試験後のLab値から、2種類のベタ画像のそれぞれについて、ΔE(色差)={(L1−L22+(a1−a22+(b1−b221/2を算出した。そして、以下に示す評価基準にしたがって耐オゾン性を評価した。
A:ΔEが5未満であった。
B:ΔEが5以上10未満であった。
C:ΔEが10以上であった。
(耐湿性)
耐湿性の評価には、インクセットを構成する濃インク又は淡インクと、別のインクを併用して記録した2次色のベタ画像を記録した記録物を用いた。濃インク又は淡インク(マゼンタインク)及びシアンインク(商品名「BCI−7eC」、キヤノン製)のそれぞれの記録デューティを100%とした、合計の記録デューティが200%であるベタ画像を、格子柄(市松模様)状に記録した記録物を用いた。なお、前記シアンインクは、下記の評価基準でAランクとなり、滲みが生じないインクである。得られた記録物を、槽内温度25℃、相対湿度85%に設定した恒温槽に1週間載置した。その後、記録物を目視で観察し、以下に示す評価基準にしたがって耐湿性を評価した。
A:マゼンタインクの滲みは生じていなかった。
B:マゼンタインクの滲みが生じていたが、軽微であった。
C:マゼンタインクの滲みが生じ、画像がぼやけていた。
(発色性)
発色性の評価には、濃インクと淡インクを1:2の割合として、合計の記録デューティが100%であるベタ画像を記録した記録物を用いた。得られた記録物におけるベタ画像のa*及びb*を測定した。得られたa*及びb*の値から、下記式に基づいて色相角(H°)を求め、以下に示す評価基準にしたがって発色性を評価した。なお、A及びBの色相角が好ましいマゼンタインクの色相を示し、なかでもAの色相角が特に好ましいマゼンタインクの色相を示す。一方、Cの色相角では、黄味又は青味の色相であり、マゼンタインクとして適さない。
*≧0、b*≧0(第一象現)では、H°=tan-1(b*/a*
*≦0、b*≧0(第二象現)では、H°=180+tan-1(b*/a*
*≦0、b*≦0(第三象現)では、H°=180+tan-1(b*/a*
*≧0、b*≦0(第四象現)では、H°=360+tan-1(b*/a*
A:H°が0以上5未満、又は、350より大きく360(=0)以下であった。
B:H°が5以上15未満であった。
C:H°が15以上、又は、350以下であった。
(粒状性)
粒状性の評価には、濃インクと淡インクを1:2の割合として、合計の記録デューティを0%から100%まで5%刻みで変化させた各階調のベタ画像を記録した記録物を用いた。なお、比較例17は淡インクを有さないので、濃インクのみを用いて記録デューティを0%から100%まで5%刻みで変化させた各階調のベタ画像を記録した記録物を用いた。得られた記録物における、各階調のベタ画像を目視で観察して、以下に示す評価基準にしたがって粒状性(インクのドットが確認されるか否か)を評価した。
A:いずれのベタ画像においてもドットは確認されず、画像に滑らかな階調性があった。
B:ドットが確認されたベタ画像もあったが、画像には滑らかな階調性があった。
C:いずれかのベタ画像においてドットが確認され、画像に滑らかな階調性がなかった。
(画像品位)
以下の2つのパターンを記録して記録物を得た。パターン1は、淡インクの記録デューティを100%として記録した背景中に濃インクの記録デューティを100%として文字と罫線を記録したものである。また、パターン2は、濃インクの記録デューティを100%として記録した背景中に淡インクの記録デューティを100%として文字と罫線を記録したものである。得られた記録物における、濃インクで記録した画像と、淡インクで記録した画像とが隣接する境界部分の滲みの程度を目視で観察して、以下に示す評価基準にしたがって画像品位を評価した。
A:境界部に滲みが生じていなかった。
B:境界部に滲みがやや生じていた。
Figure 2014028908

Claims (11)

  1. 第1の色材及び第2の色材を含有するインクであって、
    前記第1の色材が、下記一般式(1)で表される化合物であり、
    前記第2の色材が、下記一般式(2)で表される化合物であり、
    インク全質量を基準とした、前記第1の色材の含有量(質量%)が、前記第2の色材の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.2倍以上10.0倍以下であることを特徴とするインク。
    Figure 2014028908
    (前記一般式(1)中、R1はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、シクロアルキル基、モノアルキルアミノアルキル基、又はジアルキルアミノアルキル基を表し、R2はそれぞれ独立に、下記式(i)乃至(iv)のいずれかで表される基を表し、Xは連結基を表し、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す)
    Figure 2014028908
    (前記式(i)及び(ii)中、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す。前記式(iv)中、R3は水素原子、アルキル基、又はアルコキシ基を表す)
    Figure 2014028908
    (前記一般式(2)中、R4、R5、R6、及びR7はそれぞれ独立にアルキル基を表し、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す)
  2. 前記一般式(1)中、R1が水素原子又は炭素数1乃至4の直鎖アルキル基であり、かつ、Xが下記連結基1又は下記連結基2である請求項1に記載のインク。
    Figure 2014028908
    (前記連結基1中、nは2乃至8の数を表し、*はそれぞれ異なる2つのトリアジン環との結合部位を表す)
    Figure 2014028908
    (前記連結基2中、Raはそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、*はそれぞれ異なる2つのトリアジン環との結合部位を表す)
  3. 前記第1の色材が、下記一般式(3)で表される化合物である請求項1に記載のインク。
    Figure 2014028908
    (前記一般式(3)中、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す)
  4. インク全質量を基準とした、前記第1の色材の含有量(質量%)が、前記第2の色材の含有量(質量%)に対する質量比率で、1.0倍以上7.0倍以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインク。
  5. インクジェット用である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインク。
  6. インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えたインクカートリッジであって、
    前記インクが、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインクであることを特徴とするインクカートリッジ。
  7. インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出させて記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    前記インクが、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
  8. 互いに同一の色相である、濃インク及び淡インクの組み合わせを有するインクセットであって、
    前記濃インク及び前記淡インクが、それぞれ請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインクであることを特徴とするインクセット。
  9. 前記濃インク及び前記淡インクが、下記式(4)で表される化合物を第1の界面活性剤及び第2の界面活性剤としてそれぞれ含有し、
    前記濃インクに含有される前記第1の界面活性剤のm+nの値が、前記淡インクに含有される前記第2の界面活性剤のm+nの値よりも小さい請求項8に記載のインクセット。
    Figure 2014028908
    (前記式(4)中、m+nは0.0以上10.0以下の数を表す)
  10. インクジェット用である請求項8又は9に記載のインクセット。
  11. インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出させて記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    前記インクが、請求項8乃至10のいずれか1項に記載のインクセットを構成する各インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
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