JP6584548B2 - インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 - Google Patents

インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 Download PDF

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Description

本発明は、インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録方法は、インク小滴を記録媒体に付与して画像を記録する記録方法であり、その低価格化、記録速度の向上により、急速に普及が進んでいる。一般に、インクジェット記録方法で得られた記録物は、銀塩写真と比較してその画像の堅牢性が低い。特に、記録物が、光、湿度、熱、空気中に存在するオゾンガスなどの環境ガスに長時間さらされた際に、記録物の色材が劣化し、画像の色調変化や褪色が発生しやすいなどの問題がある。
ブラック色材を含有するインク(ブラックインク)を用いて記録した画像の褪色は、色材の劣化による色調の変化を伴うことが多い。ブラック色材の耐オゾン性を向上させる技術に関し、種々の提案がなされている。特許文献1では、特定のテトラキスアゾ構造の化合物を色材として用いることで、耐オゾン性を向上させる技術が提案されている。
また、インクジェット記録方法の他の課題としては、高濃度の画像において、画像が光を反射し金属光沢を発する、いわゆるブロンズ現象の発生が挙げられる。ブロンズ現象は、堅牢性を向上させるため色材の水に対する溶解度を下げたり、色材の結晶性を上げたりした場合に発生しやすい現象である。ブロンズ現象が発生してしまうと、光学濃度が低下するだけではなく、画像の品位も著しく低下してしまうこととなる。特にブラックインクにおいては、近年、画像を記録媒体に記録する際に色材を結晶化させることで堅牢性の向上を図る技術が多く用いられているが、その一方、記録媒体の表面上で色材が凝集することによりブロンズ現象が顕著になるという課題も発生している。そのため、耐ブロンズ性と堅牢性の両立が強く要望されている。
さらに、インクジェット記録方法の他の課題としては、記録媒体に複数のインクを重ねて付与した場合に、単色で記録した色調から変化してしまい、所望の色調が得られない場合があることが挙げられる。特にブラックインクにおいては、重ねて付与される他のインクに含有されている水溶性有機溶剤の影響によって色調が変化しやすい。そのため、色調変化を抑制させる技術として、特許文献2では添加剤を含有させる技術が開示されている。また、特許文献3では、高極性溶媒と低極性溶媒におけるUV−Vis吸収スペクトルの最大吸収波長の変化量が異なる色材を混合させる技術が開示されている。
国際公開第2012/081640号 特表2007−510760号公報 特開2014−065895号公報
しかし、本発明者らの検討の結果、特許文献1に記載されたテトラキスアゾ化合物を含有するインクで記録した画像は、耐オゾン性が不十分であることがわかった。また、耐ブロンズ性及び色調変化の抑制も不十分なレベルであることがわかった。さらに、本発明者らは、特許文献2に記載された添加剤や、特許文献3に記載された最大吸収波長の変化量が異なる化合物を、特許文献1に記載されたテトラキスアゾ化合物に添加して検討を行った。その結果、色調変化の抑制には改善が認められたものの、耐オゾン性、及び耐ブロンズ性は改善されないことがわかった。つまり、従来においては、耐オゾン性、耐ブロンズ性、及び色調変化の抑制をいずれも満足させる技術は、いまだ提案されていないことがわかった。
したがって、本発明の目的は、耐オゾン性に優れるとともに、様々な水溶性有機溶剤が存在する環境下においても色調変化が抑制されるだけではなく、耐ブロンズ性に優れた画像を記録可能なインクを提供することにある。また、本発明の別の目的は、前記インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明によれば、第1の色材及び第2の色材を含有するインクジェット用のインクであって、前記第1の色材が、下記一般式(I)で表される化合物であり、前記第2の色材が、下記一般式(II)で表される化合物であり、前記第2の色材の含有量(質量%)が、前記第1の色材の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.08倍以上であることを特徴とするインクが提供される。
Figure 0006584548
(前記一般式(I)中、R1は炭素数1乃至4のアルキル基を表す。Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す。pはそれぞれ独立に1以上4以下の整数を表し、qは1又は2を表す。)
Figure 0006584548
(前記一般式(II)中、R2は炭素数1乃至4のアルキル基を表す。Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す。rはそれぞれ独立に1以上4以下の整数を表し、sは1又は2を表す。)
本発明によれば、耐オゾン性に優れるとともに、様々な水溶性有機溶剤が存在する環境下においても色調変化が抑制されるだけではなく、耐ブロンズ性に優れた画像を記録可能なインクを提供することができる。また、本発明によれば、このインクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することができる。
本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。 低極性環境下及び高極性環境下における色材のエネルギー準位を模式的に説明する概念図である。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。また、インクジェット用のインクのことを、単に「インク」と記載することがある。物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)における値である。
本発明者らはまず、耐オゾン性の高いテトラキスアゾ化合物の検討を行った。その結果、第1の色材(一般式(I)で表される化合物)において耐オゾン性が向上したものの、耐ブロンズ性、及び色調変化の抑制に課題があることがわかった。
第1の色材は、分子を会合させやすくすることによって耐オゾン性を向上させた色材である。分子の会合は、一般的にはイオン結合、双極子−双極子相互作用、ファンデルワールス力などの分子間力により生ずる。インクに含有させる色材として利用する場合、インク中での会合力及び凝集抑制のバランスという観点から、双極子−双極子相互作用を利用して分子を会合させることが最も好ましい。双極子−双極子相互作用とは、電気陰性度の異なる複数の原子が結合している場合に、これらの原子間に電荷の偏り(分極)が生じ、その分極により分子同士が静電的に引き寄せられる現象をいう。
分極を生じている分子の基底状態(HOMO)は、周囲に存在する物質の誘電率の影響を受ける場合がある。図3に示すように、例えば、高極性環境下(高誘電率の物質が存在する場合)においては、分子の分極が安定化される。このため、高極性環境下における基底状態(HOMO)のエネルギー準位は、低極性環境下(低誘電率の物質が存在する場合)における基底状態(HOMO)のエネルギー準位と比較して顕著に低下する場合がある。
これに対して、このような分極を生じている分子の励起状態(LUMO)は、分極とは逆の方向、つまり、分極を弱める方向に電子が流れるため、分極が小さい状態となる。このため、励起状態(LUMO)のエネルギー準位は、基底状態(HOMO)のエネルギー準位と比較して、周囲に存在する物質の誘電率の影響を受けにくく、高極性環境下と低極性環境下とであまり変わらない。したがって、分子内でこのように分極している色材は、高極性環境下と低極性環境下とでHOMO−LUMOのバンドギャップに差が生じ、色調変化を生ずる。この現象は、ソルバトクロミズムと呼ばれるものである。このような第1の色材をインクに用いた場合、色材の置かれる環境の違い(周囲に存在する物質の誘電率の違い)により、色材の最大吸収波長がシフトし、色調変化が生ずることになる。
記録媒体に複数のインクを重ねて付与した場合、各インク中に存在する水溶性有機溶剤の種類、含有量は均一ではない場合も多い。そのため、色材は様々な水溶性有機溶剤が存在する環境下に置かれることになり、第1の色材をインクに用い、複数のインクを重ねて付与した場合に、色材の最大吸収波長がシフトし、色調変化が生ずることになる。
本発明者らは、前述の課題を解決すべく検討した結果、様々な水溶性有機溶剤が存在する環境下においても、色調変化が抑制された画像を記録可能なインクの構成を見出した。インクには、分子が会合しやすい第1の色材とともに、第2の色材(一般式(II)で表される化合物)を含有させる。これにより、種々の水溶性有機溶剤が存在する環境下となった場合であっても、最大吸収波長のシフトが小さい、均一な色調が保持された画像を記録可能なインクとすることができる。
さらに、第1の色材は分子が会合しやすく、記録媒体で色材の凝集が起こり、ブロンズ現象が生じることになる。しかし、本発明のインクにおいては、このブロンズ現象も抑制可能であることが明らかとなった。
インクに、第1の色材とともに第2の色材を含有させることで、最大吸収波長のシフトが小さくなる理由を、本発明者らは以下のように推測している。第1の色材は分極により分子同士が静電的に引き寄せられて会合しているが、高極性環境下においては第1の色材の分極が安定化される。このため、高極性環境下における基底状態(HOMO)のエネルギー準位は、低極性環境下(低誘電率の物質が存在する場合)における基底状態(HOMO)のエネルギー準位と比較して顕著に低下している。一方、インクに、第1の色材と、第1の色材に構造が類似した第2の色材を含有させることで、第1の色材と第2の色材の間で会合を生じる。
第1の色材を表す一般式(I)は、第2の色材を表す一般式(II)の構造に加えて、シアノ基で置換されたヘテロ環を含む置換基を有しており、分子内での分極の度合いが大きい。したがって、第1の色材のみで会合が生じた場合より、第1の色材と第2の色材で会合が生じた場合の方が、見掛け上の分子内での分極の度合いが小さくなることになる。
そのため、高極性環境下における第1の色材と第2の色材で会合が生じた場合の基底状態のエネルギー準位は、第1の色材のみで会合が生じた場合のそれと比べて、低極性環境下における基底状態のエネルギー準位と比較して低下する度合いが小さくなる。その結果、色調変化が抑制されているものと推測される。
また、インクに、第1の色材とともに第2の色材を含有させることで、ブロンズ現象も抑制される理由は、次のように推測される。前述の通り、第1の色材のみで会合が生じた場合より、第1の色材と第2の色材で会合が生じた場合の方が、見掛け上の分子内での分極の度合いが小さくなるため、記録媒体で色材が凝集し難く、ブロンズ現象が抑制されたものと推測される。
<インク>
本発明のインクジェット用のインクは、2種の色材を含有する。以下、本発明のインクを構成する成分やインクの物性について詳細に説明する。
(色材)
本発明のインクは、第1の色材として下記一般式(I)で表される化合物、及び第2の色材として下記一般式(II)で表される化合物を含有する。
Figure 0006584548
(前記一般式(I)中、R1は炭素数1乃至4のアルキル基を表す。Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す。pはそれぞれ独立に1以上4以下の整数を表し、qは1又は2を表す。)
Figure 0006584548
(前記一般式(II)中、R2は炭素数1乃至4のアルキル基を表す。Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す。rはそれぞれ独立に1以上4以下の整数を表し、sは1又は2を表す。)
耐オゾン性の観点から、第1の色材は、下記一般式(I’)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0006584548
(前記一般式(I’)中、R1は炭素数1乃至4のアルキル基を表す。Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す。)
一般式(I)、(II)、及び(I’)中、R1及びR2はそれぞれ独立に、炭素数1乃至4のアルキル基を表す。炭素数1乃至4のアルキル基としては、直鎖又は分岐鎖のアルキル基を挙げることができる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、及びn−ブチル基などの直鎖のアルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、及びtert−ブチル基などの分岐鎖のアルキル基などを挙げることができる。なかでも、直鎖のアルキル基が好ましく、メチル基がさらに好ましい。
一般式(I)、(II)、及び(I’)中、Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、及びカリウムなどを挙げることができる。有機アンモニウムとしては、メチルアミン、及びエチルアミンなどの炭素数1乃至3のアルキルアミン類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、及びトリイソプロパノールアミンなどの炭素数1乃至4のモノ、ジ又はトリアルカノールアミン類などを挙げることができる。本発明においては、一般式(I)、(II)、及び(I’)中のMが、いずれも、ナトリウム及びリチウムの少なくとも一方であることが好ましい。
一般式(I)で表される化合物の具体例を遊離酸型で表すと、例えば、以下に示す例示化合物1−1及び1−2などを挙げることができる。勿論、本発明においては、一般式(I)の構造及びその定義に包含されるものであれば、一般式(I)で表される化合物は以下に示す例示化合物に限定されない。
Figure 0006584548
また、一般式(II)で表される化合物の具体例を遊離酸型で表すと、例えば、以下に示す例示化合物2−1などを挙げることができる。勿論、本発明においては、一般式(II)の構造及びその定義に包含されるものであれば、一般式(II)で表される化合物は以下に示す例示化合物に限定されない。
Figure 0006584548
一般式(I)で表される化合物は、公知の方法に基づいて合成することができる。その合成方法の一例を以下に説明する。以下の合成方法の説明で挙げる一般式(1)〜(8)における、R1、M、p、及びqは、それぞれ、一般式(I)におけるR1、M、p、及びqと同義である。
下記一般式(1)で表される化合物を常法によりジアゾ化して得られたジアゾ化合物、及び下記一般式(2)で表される化合物を、常法によりカップリング反応させ、下記一般式(3)で表される化合物を得る。
Figure 0006584548
一般式(3)で表される化合物を常法によりジアゾ化して得られたジアゾ化合物、及び下記一般式(4)で表される化合物を、常法によりカップリング反応させ、下記一般式(5)で表される化合物を得る。
Figure 0006584548
一般式(5)で表される化合物を常法によりジアゾ化して得られたジアゾ化合物、及び下記一般式(6)で表される化合物を、カップリング反応させ、下記一般式(7)で表される化合物を得る。一般式(6)で表される化合物は、特開2004−083492号公報に記載の方法に準じて合成することができる。
Figure 0006584548
一般式(7)で表される化合物を常法によりジアゾ化して得られたジアゾ化合物、及び下記一般式(8)で表される化合物を、常法によりカップリング反応させることにより、一般式(I)で表される化合物を得ることができる。一般式(8)で表される化合物は、国際公開第2007/077931号に記載の方法に準じて合成することができる。
Figure 0006584548
一般式(II)で表される化合物も公知の方法に基づいて合成することができる。例えば、上述した一般式(I)で表される化合物の合成例における一般式(7)で表される化合物を得る工程までの合成方法に準じて、一般式(II)で表される化合物を合成することができる。この場合の一般式(II)で表される化合物の合成方法は、一般式(1)〜(7)におけるR1、M、p、及びqを、それぞれ一般式(II)におけるものと同義のR2、M、r、及びsに置き換えて説明されうる。
一般式(I)で表される化合物の合成方法における各工程ついて、以下にさらに説明する。まず、上述の一般式(1)で表される化合物のジアゾ化は、公知の方法にしたがって行うことができる。例えば、水性の液媒体中で、−5〜30℃、好ましくは0〜15℃の温度で亜硝酸塩を用いてジアゾ化することができる。亜硝酸塩としては、例えば亜硝酸ナトリウムなどのアルカリ金属の亜硝酸塩を用いることができる。一般式(1)で表される化合物のジアゾ化物と一般式(2)で表される化合物とのカップリング反応も公知の方法にしたがって行うことができる。例えば、水性の液媒体中で、−5〜30℃、好ましくは0〜25℃の温度、かつ、酸性から中性のpH値、例えばpH1〜6でカップリング反応を行うことが有利である。ジアゾ化反応液が酸性であり、また、カップリング反応の進行により反応系内はさらに酸性化するため、塩基を添加することで、反応液のpHを好ましい値に調整する。塩基としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩;酢酸ナトリウムなどのアルカリ金属の酢酸塩;アンモニア;有機アミンなどを用いることができる。一般式(1)で表される化合物と一般式(2)で表される化合物とは、ほぼ化学量論量で用いればよい。
一般式(3)で表される化合物のジアゾ化は、公知の方法にしたがって行うことができる。例えば、水性の液媒体中で、−5〜40℃、好ましくは5〜30℃の温度で亜硝酸塩を用いてジアゾ化することができる。一般式(3)で表される化合物のジアゾ化物と一般式(4)で表される化合物とのカップリング反応も公知の方法にしたがって行うことができる。例えば、水性の液媒体中で、−5〜40℃、好ましくは10〜30℃の温度、かつ、酸性から中性のpH値、例えばpH2〜7でカップリング反応を行うことが有利である。ジアゾ化反応液が酸性であり、また、カップリング反応の進行により反応系内はさらに酸性化するため、塩基を添加することで、反応液のpHを好ましい値に調整する。塩基としては上記と同じものを用いることができる。また、一般式(3)で表される化合物と一般式(4)で表される化合物とは、ほぼ化学量論量で用いればよい。
一般式(5)で表される化合物のジアゾ化は、公知の方法にしたがって行うことができる。例えば、水性の液媒体中で、−5〜50℃、好ましくは5〜40℃の温度で亜硝酸塩を用いてジアゾ化することができる。一般式(5)で表される化合物のジアゾ化物と一般式(6)で表される化合物とのカップリング反応も公知の方法にしたがって行うことができる。例えば、水性の液媒体中で、−5〜50℃、好ましくは10〜40℃の温度、かつ、酸性から中性のpH値、例えばpH2〜7でカップリング反応を行うことが有利である。ジアゾ化反応液が酸性であり、また、カップリング反応の進行により反応系内はさらに酸性化するため、塩基を添加することで、反応液のpHを好ましい値に調整する。塩基としては上記と同じものを用いることができる。また、一般式(5)で表される化合物と一般式(6)で表される化合物とは、ほぼ化学量論量で用いればよい。
一般式(7)で表される化合物のジアゾ化も、公知の方法にしたがって行うことができる。例えば、水性の液媒体中で、−5〜50℃、好ましくは10〜40℃の温度で亜硝酸塩を用いてジアゾ化することができる。一般式(7)で表される化合物のジアゾ化物と一般式(8)で表される化合物とのカップリング反応も公知の方法にしたがって行うことができる。例えば、水性の液媒体中で、−5〜50℃、好ましくは10〜40℃の温度、かつ、弱酸性からアルカリ性のpH値でカップリング反応を行うことが有利である。好ましくは弱酸性から弱アルカリ性のpH値、例えばpH5〜10でカップリング反応を行い、pH値の調整は塩基の添加によって行われる。塩基としては上記と同じものを用いることができる。一般式(7)で表される化合物と一般式(8)で表される化合物とは、ほぼ化学量論量で用いればよい。
上記合成フローの後に以下の処理を行うことで、塩型の一般式(I)で表される化合物を得ることができる。反応系に所望の塩を加えて塩析する方法が挙げられる。また、反応系に塩酸などの鉱酸を加えて、遊離酸型の化合物を分取した後、得られた化合物を洗浄し、再度、水性の液媒体(好適には水)中で、遊離酸に所望の塩を添加して塩型の化合物を得る方法が挙げられる。
(色材の検証方法)
本発明で用いる色材がインク中に含まれているか否かの検証には、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた下記(1)及び(2)の検証方法を適用することができる。
(1)ピークの保持時間
(2)(1)のピークについてのマススペクトルのM/Z(posi)、M/Z(nega)
高速液体クロマトグラフィーの分析条件は、以下に示す通りである。純水で約1,000倍に希釈した液体(インク)を測定用サンプルとする。下記の条件で高速液体クロマトグラフィーでの分析を行い、ピークの保持時間(retention time)を測定する。
・カラム:SunFire C18(日本ウォーターズ製)2.1mm×150mm
・カラム温度:40℃
・流速:0.2mL/min
・PDA:200nm〜700nm
・移動相及びグラジエント条件:表1
Figure 0006584548
また、マススペクトルの分析条件は以下に示す通りである。得られたピークについて、下記の条件でマススペクトルを測定し、最も強く検出されたM/Zをposi及びnegaのそれぞれに対して測定する。
・イオン化法:ESI
・キャピラリー電圧:3.5kV
・脱溶媒ガス:300℃
・イオン源温度:120℃
・検出器:
posi;40V 200〜1500amu/0.9sec
nega;40V 200〜1500amu/0.9sec
上記した方法及び条件下で、第1の色材の具体例である例示化合物1−1及び1−2、並びに第2の色材の具体例である例示化合物2−1について測定を行った。その結果、得られた保持時間、M/Z(posi)、及びM/Z(nega)の値を表2に示す。未知のインクについて、上記と同様の方法及び条件下で測定を行って、表2に示す値に該当する場合、本発明のインクに用いる化合物に該当すると判断できる。表2の下段には、後述する比較例で用いた比較化合物についての分析結果も示す。
Figure 0006584548
(色材の含有量)
インク全質量を基準とした、第2の色材の含有量Y(質量%)は、第1の色材の含有量X(質量%)に対する質量比率(Y/X)で、0.01倍以上であることが好ましく、0.08倍以上であることがさらに好ましい。上記の質量比率(Y/X)が0.01倍未満であると、色調変化を十分に抑制できない場合がある。一方、上記の質量比率(Y/X)が0.08倍未満であると耐ブロンズ性が十分に向上しない場合がある。第2の色材の含有量Y(質量%)は、第1の色材の含有量X(質量%)に対する質量比率(Y/X)で、0.35倍以下であることが好ましい。上記の質量比率(Y/X)が0.35倍超であると、耐オゾン性が十分に向上しない場合がある。
画像性能、及びインクの信頼性の観点より、インク中の第1の色材及び第2の色材の含有量の合計(質量%)は、インク全質量を基準として、好ましくは0.200質量%以上10.000質量%以下であることが好ましい。なかでも、0.500質量%以上7.000質量%以下であることがさらに好ましい。インク中の第1の色材の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.100質量%以上5.000質量%以下であることが好ましい。インク中の第2の色材の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.100質量%以上5.000質量%以下であることが好ましい。
なお、インクには、本発明の目的が損なわれない限り、上述した一般式(I)で表される化合物及び一般式(II)で表される化合物以外の色材をさらに含有させてもよい。
(水性媒体)
本発明のインクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を用いることができる。本発明においては、水性媒体として少なくとも水を含有する、水性のインクとすることが好ましい。水は、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、10.000質量%以上90.000質量%以下であることが好ましい。
水溶性有機溶剤は、水溶性であれば特に制限はなく、アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、グリコールエーテル、含窒素極性溶媒、含硫黄極性溶媒などを用いることができる。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、5.000質量%以上90.000質量%以下であることが好ましい。この水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、5.000質量%以上50.000質量%以下であることがより好ましく、10.000質量%以上50.000質量%以下であることがさらに好ましい。水溶性有機溶剤の含有量が上記した範囲を外れると、高いレベルのインクの吐出安定性が十分に得られない場合がある。
(その他の添加剤)
本発明のインクには、上述の各成分以外にも必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、及び水溶性樹脂など、種々の添加剤を含有させてもよい。
(インクの物性)
本発明においては、インクの25℃における粘度は、1.0mPa・s以上5.0mPa・s以下であることが好ましく、1.0mPa・s以上3.5mPa・s以下であることがより好ましい。また、インクの25℃における静的表面張力は、28mN/m以上45mN/m以下であることが好ましい。さらに、インクの25℃におけるpHは、5以上9以下であることが好ましい。
<インクカートリッジ>
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、このインク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明のインクである。図1は、本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示すように、インクカートリッジの底面には、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給口12が設けられている。インクカートリッジの内部はインクを収容するためのインク収容部となっている。インク収容部は、インク収容室14と、吸収体収容室16とで構成されており、これらは連通口18を介して連通している。また、吸収体収容室16はインク供給口12に連通している。インク収容室14には液体のインク20が収容されており、吸収体収容室16には、インクを含浸状態で保持する吸収体22及び24が収容されている。インク収容部は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容されるインク全量を吸収体により保持する形態であってもよい。また、インク収容部は、吸収体を持たず、インクの全量を液体の状態で収容する形態であってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明のインクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
図2は、本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。インクジェット記録装置には、記録媒体32を搬送する搬送手段(不図示)、及びキャリッジシャフト34が設けられている。キャリッジシャフト34にはヘッドカートリッジ36が搭載可能となっている。ヘッドカートリッジ36は記録ヘッド38及び40を具備しており、インクカートリッジ42がセットされるように構成されている。ヘッドカートリッジ36がキャリッジシャフト34に沿って主走査方向に搬送される間に、記録ヘッド38及び40から記録媒体32に向かってインク(不図示)が吐出される。そして、記録媒体32が搬送手段(不図示)により副走査方向に搬送されることによって、記録媒体32に画像が記録される。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。なお、簡単のために、合成例中の各化合物は原則、遊離酸型として示した。
<第1の色材の合成>
(化合物A)
〔工程1〕
水50.0部に下記式(1.1)で表される2−アミノ−5−ニトロベンゼンスルホン酸12.2部を添加後、25%水酸化ナトリウム水溶液の添加によりpH4.0〜5.0として水溶液を得た。35%塩酸18.3部を添加後、40%亜硝酸ナトリウム水溶液10.5部を添加し、約30分間反応させた。ここにスルファミン酸1.5部を添加して5分間撹拌し、ジアゾ反応液を得た。
一方、水100.0部に下記式(2.1)の化合物11.0部を添加し、25%水酸化ナトリウム水溶液の添加によりpH4.0〜5.0として水溶液を得た。この水溶液を上記にて得られたジアゾ反応液に約5分間かけて滴下した。滴下後、15%炭酸ナトリウム水溶液の添加によりpHを4.0〜6.0に保持しながら3時間反応させた後、塩化ナトリウムを添加した。析出した固体をろ過により分取し、下記式(3.1)で表される化合物を含むウェットケーキを103.8部得た。
Figure 0006584548
〔工程2〕
水80.0部に工程1にて得られた式(3.1)で表される化合物のウェットケーキ全量を添加後、25%水酸化ナトリウム水溶液の添加によりpH6.0〜7.0として水溶液を得た。35%塩酸16.5部を添加後、40%亜硝酸ナトリウム水溶液10.6部を添加し、約30分間反応させた。ここにスルファミン酸7.5部を添加して5分間撹拌し、ジアゾ反応液を得た。
一方、水100.0部に下記式(4.1)で表される化合物のウェットケーキ64.7部を添加後、25%水酸化ナトリウム水溶液の添加によりpH4.0〜5.0として水溶液を得た。この水溶液を上記にて得られたジアゾ反応液に約5分間かけて滴下した。滴下後、15%炭酸ナトリウム水溶液の添加によりpHを3.0〜3.5に保持しながら3時間反応させた。この液に塩化ナトリウムを添加し、析出した固体をろ過により分取し、下記式(5.1)で表される化合物を含むウェットケーキを104.0部得た。
Figure 0006584548
〔工程3〕
水100.0部に工程2にて得られた式(5.1)で表される化合物のウェットケーキ52.0部を添加し、撹拌して溶解した。35%塩酸7.8部を添加後、40%亜硝酸ナトリウム水溶液2.8部を添加し、約30分間撹拌した。ここにスルファミン酸0.8部を添加して5分間撹拌し、ジアゾ反応液を得た。
一方、水80.0部に下記式(6.1)で表される化合物3.7部を添加し、25%水酸化ナトリウム水溶液の添加によりpH6.0〜7.0として水溶液を得た。この水溶液を上記にて得られたジアゾ反応液に約5分間かけて滴下した。滴下後、15%炭酸ナトリウム水溶液の添加によりpHを3.0〜4.5に保持しながら3時間反応させた。25%水酸化ナトリウム水溶液の添加によりpHを7.0〜7.5とした後、塩化ナトリウムを添加した。析出した固体をろ過により分取し、下記式(7.1)で表される化合物を含むウェットケーキを29.5部得た。
Figure 0006584548
〔工程4〕
水80.0部に工程3にて得られた式(7.1)で表される化合物のウェットケーキ29.5部を添加し撹拌して溶解した。35%塩酸6.3部を添加後、40%亜硝酸ナトリウム水溶液2.3部を添加し、約30分間撹拌した。ここにスルファミン酸0.5部を添加し5分間撹拌しジアゾ反応液を得た。
一方、水80.0部に、下記式(8.1)で表される化合物4.4部を添加し、5%水酸化ナトリウム水溶液の添加によりpH6.0〜7.0として水溶液を得た。この水溶液に、上記で得たジアゾ反応液を15〜30℃、約30分間かけて滴下した。この際、15%炭酸ナトリウム水溶液を加えて反応液のpHを6.5〜7.5に保持し、同温度及びpHの調整を維持しながら、さらに2時間反応させた。反応液に塩化ナトリウムを加えて塩析し、析出した固体をろ過により分取し、ウェットケーキ21.5部を得た。得られたウェットケーキを水40.0部に溶解し、35%塩酸でpHを7.0〜7.5とした後、メタノール400.0部を添加し、析出した固体をろ過により分取した。得られたウェットケーキを再度水40.0部に溶解後、メタノール300.0部を添加した。析出した固体をろ過により分取し、乾燥することにより、遊離酸型として下記式(A)で表される化合物のナトリウム塩である化合物Aを黒色粉末として12.1部得た。
Figure 0006584548
Figure 0006584548
(化合物B)
化合物Aの合成における「工程2」で使用した式(4.1)で表される化合物を、下記式(4.2)で表される化合物に変更した以外は、化合物Aの合成方法に準じて、遊離酸型として下記式(B)で表される化合物のナトリウム塩である化合物Bを得た。
Figure 0006584548
Figure 0006584548
<第2の色材の合成>
(化合物C)
化合物Aの合成における「工程2」まで行い、上記式(5.1)で表される化合物を合成した。水100.0部に工程2にて得られた式(5.1)で表される化合物のウェットケーキ52.0部を添加し、撹拌して溶解した。35%塩酸7.8部を添加後、40%亜硝酸ナトリウム水溶液2.8部を添加し、約30分間撹拌した。ここにスルファミン酸0.8部を添加して5分間撹拌し、ジアゾ反応液を得た。
一方、水80.0部に上記式(6.1)で表される化合物3.7部を添加し、25%水酸化ナトリウム水溶液の添加によりpH7.5〜8.0として水溶液を得た。この水溶液を上記にて得られたジアゾ反応液に15〜30℃で約30分間かけて滴下した。この際、15%炭酸ナトリウム水溶液を加えて反応液のpHを7.5〜8.5に保持し、同温度及びpHの調整を維持しながら、さらに2時間反応させた。反応後に塩化ナトリウムを加えて塩析し、析出した固体をろ過により分取し、乾燥することにより、ウェットケーキ20.0gを得た。得られたウェットケーキを水100.0部に溶解し、35%塩酸でpHを7.0〜7.5とした後、メタノール80.0部を添加し、析出した固体をろ過により分取した。得られたウェットケーキを再度水60.0部に溶解後、メタノール90.0部を添加した。析出した固体をろ過により分取し、乾燥することにより、遊離酸型として下記式(C)で表される化合物のナトリウム塩である化合物Cを5.0g得た。
Figure 0006584548
(化合物D)
化合物Cの合成で使用した上記式(4.1)で表される化合物を、上記式(4.2)で表される化合物に変更した以外は、化合物Cの合成方法に準じて、遊離酸型として下記式(D)で表される化合物のナトリウム塩である化合物Dを得た。
Figure 0006584548
(比較化合物E)
特許文献1の記載を参考にして、遊離酸型として下記式(E)で表される化合物のナトリウム塩である比較化合物Eを得た。
Figure 0006584548
(比較化合物F)
特許文献1に記載の「[実施例1]」の合成例において、その「(工程5)」までの合成を行い、遊離酸型として下記式(F1)で表される化合物(特許文献1に記載の式(19)で表される化合物)をウェットケーキとして得た。水250.0部にウェットケーキ45.0部を添加し、撹拌して溶解した。35%塩酸16.5部を塩化後、40%亜硝酸ナトリウム水溶液4.7部を添加し、約30分間撹拌した。ここにスルファミン酸2.0部を添加して5分間撹拌し、ジアゾ反応液を得た。
Figure 0006584548
一方、水60.0部に、上記式(6.1)で表される化合物5.5部を添加し、25%水酸化ナトリウム水溶液の添加によりpH7.5〜8.5として水溶液を得た。この水溶液を上記で得られたジアゾ反応液に15〜30℃で約30分かけて滴下した。この際、炭酸ナトリウム水溶液を加えて反応液のpHを7.5〜8.5に保持し、同温度及びpHの調整を維持しながら、さらに2時間反応させた。反応液に塩化ナトリウムを加えて塩析し、析出した固体をろ過により分取し、ウェットケーキ36.5部を得た。得られたウェットケーキを水150.0部に溶解し、35%塩酸でpHを7.0〜7.5とした後、メタノールを110.0部添加し、析出した固体をろ過により分取した。得られたウェットケーキを再度水に80.0部に溶解後、メタノール120.0部を添加した。析出した固体をろ過により分取し、乾燥することにより、遊離酸型として下記式(F)で表される化合物のナトリウム塩である比較化合物Fを得た。
Figure 0006584548
(比較化合物G)
国際公開第2006/001274号の記載を参考にして、遊離酸型として下記式(G)で表される化合物のナトリウム塩である比較化合物Gを合成した。
Figure 0006584548
<インクの調製>
表3−1〜3−5の上段に示す各成分(単位:%)を混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズ0.20μmのフィルターで加圧ろ過して各インクを調製した。表3−1〜3−5中の「アセチレノールE100」(川研ファインケミカル製)は、ノニオン性界面活性剤の商品名である。表3−1〜3−5の下段には、インク中の第1の色材の含有量X(%)、第2の色材の含有量Y(%)、及びY/Xの値を示した。表3−1〜3−5に示した実施例及び比較例は、極性を異ならせた2種類のインク組成で構成される。インクの極性は、高誘電率の水溶性有機溶剤であるグリセリンと、低誘電率の水溶性有機溶剤である1,2−ヘキサンジオールとを使い分けることにより異ならせた。具体的には、グリセリンを使用する組成(H)とすることでインクの極性を相対的に高くし、1,2−ヘキサンジオールを使用する組成(L)とすることでインクの極性を相対的に低くした。
Figure 0006584548
Figure 0006584548
Figure 0006584548
Figure 0006584548
Figure 0006584548
<評価>
上記で得られた各インクをそれぞれインクカートリッジに充填し、熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクを吐出するインクジェット記録装置(商品名「PIXUS iP8600」、キヤノン製)に搭載した。本実施例においては、1/2400インチ×1/1200インチの単位領域に2.5pLのインクを付与して記録したベタ画像を「記録デューティが100%である」と定義する。このインクジェット記録装置を用いて、温度23℃、相対湿度55%の環境で、記録媒体(商品名「キヤノン写真用紙・光沢 プロ[プラチナグレード]PT201」、キヤノン製)に各画像を記録した。色相及び光学濃度の測定には、分光光度計(商品名「Spectrolino」、Gretag Macbeth製)を用いて、光源:D50、視野:2°の条件で測定した。以下の色調変化の評価方法の説明におけるa及びbは、CIE(国際照明委員会)により規定されたL***表色系におけるa*及びb*である。評価結果を表4に示す。本発明においては、下記の各項目の評価基準で、「AA」、「A」及び「B」を許容できるレベル、「C」を許容できないレベルとした。
(色調変化)
表3−1〜3−5に示す組成H及びLのインクを用いて、記録デューティが50%であるベタ画像をそれぞれ記録した。記録物を25℃の室内に24時間載置し、乾燥させた。その後、ベタ画像の色相(a及びb)を測定した。組成Hでの各値をa1及びb1、組成Lでの各値をa2及びb2とした。得られた各値から、ΔC*=[(a1−a22+(b1−b221/2を算出し、以下に示す評価基準にしたがって色調変化を評価した。本評価では、他のインクと重ね合わせた画像を記録することを想定して、組成H及び組成Lの各インクで記録したそれぞれの画像からΔC*を求めている。ΔC*が小さい場合には、インクの極性が異なる場合であっても、画像の色調の差が小さく、色調変化が抑制されていることを意味する。
A:ΔC*が5未満であった。
B:ΔC*が5以上8未満であった。
C:ΔC*が8以上であった。
(耐オゾン性)
組成Lのインクを用いて、記録デューティが40%であるベタ画像を記録した。記録物を25℃の室内に24時間載置して乾燥させた後、ベタ画像の光学濃度を測定した(耐オゾン性試験前の光学濃度)。この記録物をオゾン試験装置(商品名「OMS−H」、スガ試験機製)中に載置し、槽内温度23℃、相対湿度50%、オゾンガス濃度10ppmの条件で24時間、オゾン曝露を行った。記録物を25℃の室内にさらに24時間載置した。その後、記録物におけるベタ画像の光学濃度を測定した(耐オゾン性試験後の光学濃度)。得られた耐オゾン性試験前の光学濃度及び耐オゾン性試験後の光学濃度の値から、光学濃度の残存率(%)=(耐オゾン性試験後の光学濃度/耐オゾン性試験前の光学濃度)×100を算出し、以下に示す評価基準にしたがって耐オゾン性を評価した。
AA:光学濃度の残存率が82%以上であった。
A:光学濃度の残存率が80%以上82%未満であった。
B:光学濃度の残存率が75%以上80%未満であった。
C:光学濃度の残存率が75%未満であった。
(耐ブロンズ性)
組成Lのインクを用いて、記録デューティが100%であるベタ画像を記録した。記録物を25℃の室内に24時間載置して乾燥させた後、ベタ画像を目視で確認し、以下に示す評価基準にしたがって耐ブロンズ性を評価した。
A:ブロンズ現象が生じていなかった。
B:画像を目視する角度を変えると、ブロンズ現象が確認された。
C:画像を目視する角度を変えなくても、ブロンズ現象が確認された。
Figure 0006584548

Claims (10)

  1. 第1の色材及び第2の色材を含有するインクジェット用のインクであって、
    前記第1の色材が、下記一般式(I)で表される化合物であり、前記第2の色材が、下記一般式(II)で表される化合物であり、
    前記第2の色材の含有量(質量%)が、前記第1の色材の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.08倍以上であることを特徴とするインク。
    Figure 0006584548
    (前記一般式(I)中、Rは炭素数1乃至4のアルキル基を表す。Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す。pはそれぞれ独立に1以上4以下の整数を表し、qは1又は2を表す。)
    Figure 0006584548
    (前記一般式(II)中、Rは炭素数1乃至4のアルキル基を表す。Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す。rはそれぞれ独立に1以上4以下の整数を表し、sは1又は2を表す。)
  2. 前記第1の色材が、下記一般式(I’)で表される化合物である請求項1に記載のインク。
    Figure 0006584548
    (前記一般式(I’)中、Rは炭素数1乃至4のアルキル基を表す。Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す。)
  3. 前記R及び前記Rが、それぞれ独立に、炭素数1乃至4の直鎖のアルキル基である請求項1又は2に記載のインク。
  4. 前記R及び前記Rが、いずれもメチル基である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインク。
  5. 前記一般式(I)及び前記一般式(II)中のMが、アルカリ金属である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインク。
  6. 前記第1の色材の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、0.100質量%以上5.000質量%以下である請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインク。
  7. 前記第2の色材の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、0.100質量%以上5.000質量%以下である請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインク。
  8. 前記第2の色材の含有量(質量%)が、前記第1の色材の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.35倍以下である請求項1乃至のいずれか1項に記載のインク。
  9. インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えたインクカートリッジであって、
    前記インクが、請求項1乃至のいずれか1項に記載のインクであることを特徴とするインクカートリッジ。
  10. インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    前記インクが、請求項1乃至のいずれか1項に記載のインクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
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