JP2021075697A - 水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】イエローインクとしての色相が良好であるとともに、発色性、及び耐光性のいずれにも優れた画像を記録することが可能な水性インクを提供する。【解決手段】第1、第2の色材を含有する水性インクで、第1の色材が、下記一般式(1)で表される化合物であり、第2の色材が、下記一般式(2)で表される化合物である。【選択図】なし
Description
本発明は、水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録方法では、近年、インク滴の極小化や、多色インクの導入に伴う色域の向上などにより、記録される画像の高画質化が今まで以上に進んでいる。しかし、その反面、色材やインクに対する要求はより大きくなり、発色性、色相などの分光特性の向上や、耐光性などのインクの信頼性において、より厳しい特性が要求されている。このような実情から、それらの諸特性を向上させるために、これまで、色材として所定の化合物(染料)を含有させたインクが提案されている(特許文献1及び2参照)。
インクジェット用のインクに使用される染料においては、分光反射特性(色相)と耐光性を同時に高いレベルで満足するなどの要求を満たすことは現状できていない。
したがって、本発明の目的は、イエローインクとしての色相が良好であるとともに、発色性、及び耐光性のいずれにも優れた画像を記録することが可能な水性インクを提供することにある。また、本発明の別の目的は、この水性インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明によれば、第1の色材及び第2の色材を含有するインクジェット用の水性インクであって、前記第1の色材が、下記一般式(1)で表される化合物であり、前記第2の色材が、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする水性インクが提供される。
本発明によれば、イエローインクとしての色相が良好であるとともに、発色性、及び耐光性のいずれにも優れた画像を記録することが可能な水性インクを提供することができる。また、本発明によれば、この水性インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することができる。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。また、インクジェット用の水性インクのことを、単に「インク」と記載することがある。物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)における値である。
本発明者らは検討の結果、後述する第1の色材及び第2の色材を併用することで、イエロー領域における良好な分光反射特性を示すとともに耐光性に優れた画像を記録することができるインクが得られることを見出し、本発明に至った。第1の色材(下記一般式(1)で表される化合物)は耐光性に優れるが、赤味の色相を持つ。一方、第2の色材(下記一般式(2)で表される化合物)は着色力が高いため発色性に優れるとともに、緑味の色相を持つ。加えて、第1の色材及び第2の色材は互いに類似した構造を有するため、これらを併用しても、上記した各色材の優れた特性が損なわれることなく発揮され、上記の効果を得ることができると推測される。
<インク>
本発明の水性インクは、第1の色材及び第2の色材を含有する。第1の色材は、下記一般式(1)で表される化合物である。第2の色材は、下記一般式(2)で表される化合物である。本発明のインクは、活性エネルギー線硬化型である必要はないので、重合性基を有するモノマーなどを含有させる必要もない。以下、本発明のインクを構成する成分やインクの物性について詳細に説明する。
本発明の水性インクは、第1の色材及び第2の色材を含有する。第1の色材は、下記一般式(1)で表される化合物である。第2の色材は、下記一般式(2)で表される化合物である。本発明のインクは、活性エネルギー線硬化型である必要はないので、重合性基を有するモノマーなどを含有させる必要もない。以下、本発明のインクを構成する成分やインクの物性について詳細に説明する。
(色材)
本発明のインクは、第1の色材として下記一般式(1)で表される化合物、及び第2の色材として下記一般式(2)で表される化合物を含有する。これらの色材は水溶性の染料である。調色などのために、第1の色材及び第2の色材とは異なる構造の染料を併用してもよい。
本発明のインクは、第1の色材として下記一般式(1)で表される化合物、及び第2の色材として下記一般式(2)で表される化合物を含有する。これらの色材は水溶性の染料である。調色などのために、第1の色材及び第2の色材とは異なる構造の染料を併用してもよい。
一般式(1)中、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す。
一般式(2)中、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、−COOM、又は−SO3Mを表し、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す。
一般式(1)で表される化合物及び一般式(2)で表される化合物におけるMで表されるアルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、及びカリウムなどを挙げることができる。また、同様にMで表される有機アンモニウムとしては、例えば、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、n−プロピルアンモニウム、及びn−ブチルアンモニウムなどのアルキルアンモニウム類;モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、及びトリエタノールアンモニウムなどのモノ、ジ、又はトリアルカノールアンモニウム類などを挙げることができる。水溶性が高まる観点から、上記Mとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、及びアンモニウムが好ましい。
一般式(1)で表される化合物(第1の色材)は、C.I.ダイレクトイエロー132である。水溶性が高い観点、及び入手の容易さの観点などから、一般式(1)中のMがナトリウムを表す化合物であるC.I.ダイレクトイエロー132がさらに好ましい。
一般式(2)で表される化合物(第2の色材)としては、一般式(2)中のR1及びR2のいずれか一方が水素原子を表し、いずれか他方が−SO3Mを表す化合物がより好ましい。一般式(2)で表される化合物(第2の色材)のなかでも、水溶性が高く、耐光性にさらに優れた画像が得られやすいため、下記一般式(2.1)で表される化合物がさらに好ましい。
一般式(2.1)中、Mは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムを表す。この一般式(2.1)中のMは、好適なものを含め、一般式(2)中のMと同義である。
第2の色材である一般式(2)で表される化合物の好適例を遊離酸型で表すと、下記の化学式(II−1)〜(II−5)のそれぞれに示す化合物II−1〜II−5を挙げることができる。勿論、本発明においては、一般式(2)の構造及びその定義に包含されるものであれば、一般式(2)で表される化合物は以下に示す化合物に限定されない。本発明においては、以下に示す遊離酸型の化合物のなかでも、上述した一般式(2.1)で表される化合物に含まれる化合物II−1が好ましい。
第2の色材である一般式(2)で表される化合物は、例えば、以下に説明する方法によって、合成することができる。以下の合成方法の説明で挙げる一般式(a)及び(c)におけるR3及びR4は、それぞれ一般式(2)中のR1及びR2に対応し、それぞれ独立に、水素原子、−COOH、又は−SO3Hを表す。
下記一般式(a)で表される化合物を常法にしたがってジアゾ化して得られたジアゾ化合物と、下記化学式(b)で示す化合物(2−メトキシアニリン)とを常法にしたがってカップリング反応させ、下記一般式(c)で表される化合物(中間体)を得る。
一般式(a)で表される化合物のジアゾ化は、例えば、その化合物の溶液に、塩酸、硫酸などの無機酸の存在下、液温が−50〜100℃(好ましくは−10〜10℃)程度の条件下で、ジアゾ化剤を添加することにより、行うことができる。ジアゾ化剤としては、例えば、ニトロシル硫酸;亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウムなどのアルカリ金属の亜硝酸塩などを用いることができる。一般式(a)で表される化合物のジアゾ化合物と、化学式(b)で示す化合物とのカップリング反応は、例えば、液媒体中で、−50〜100℃程度(好ましくは−10〜10℃)程度の温度、かつ、酸性から中性のpH値で行うことができる。液媒体としては、水、有機溶剤、これらの混合物を用いることができる。pH値は、2〜7であることが好ましく、pH値の調整は、塩基の添加によって行うことができる。塩基としては、例えば、水酸化リチウム及び水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、及び炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩;酢酸ナトリウムなどのアルカリ金属の酢酸塩;アンモニア;有機アミンなどを用いることができる。一般式(a)で表される化合物と、化学式(b)で表される化合物とは、ほぼ化学量論量で用いればよい。
次に、化学式(b)で示す化合物を常法にしたがってジアゾ化して得られたジアゾ化合物と、上述のようにして得られる一般式(c)で表される化合物(中間体)とを常法にしたがってカップリング反応させる。これにより、遊離酸型の一般式(2)(当該式中のMが水素原子を表す。)で表される化合物(第2の色材)を得ることができる。
化学式(b)で示す化合物のジアゾ化は、例えば、その化合物の溶液に、塩酸、硫酸などの無機酸の存在下、液温が−50〜100℃(好ましくは−10〜10℃)程度の条件下で、上述したジアゾ化剤を添加することにより、行うことができる。化学式(b)で示す化合物のジアゾ化合物と、一般式(c)で表される化合物(中間体)とのカップリング反応は、例えば、液媒体中、−50〜100℃程度(好ましくは−10〜10℃)程度の温度、かつ、中性からアルカリ性のpH値で行うことができる。液媒体としては、水、有機溶剤、これらの混合物を用いることができる。pH値は、7〜9であることが好ましく、pH値の調整は、上述した塩基の添加によって行うことができる。化学式(b)で示す化合物と、一般式(c)で表される化合物とは、ほぼ化学量論量で用いればよい。
上述した遊離酸型の一般式(2)で表される化合物の合成の後、必要に応じて以下の処理を行うことで、塩型の一般式(2)で表される化合物(第2の色材)を得ることができる。反応系に所望の塩を加えて塩析する方法が挙げられる。また、反応系に塩酸などの鉱酸を加えて、遊離酸型の化合物を分取した後、得られた化合物を洗浄し、再度、液媒体(好適には水)中で、遊離酸に所望の塩を添加して塩型の化合物を得る方法が挙げられる。
(色材の検証方法)
本発明で用いる色材がインク中に含まれているか否かを検証するには、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた下記(1)〜(3)の検証方法を適用することができる。
(1)ピークの保持時間
(2)(1)のピークについての極大吸収波長
(3)(1)のピークについてのマススペクトルのm/z(posi)、m/z(nega)
本発明で用いる色材がインク中に含まれているか否かを検証するには、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた下記(1)〜(3)の検証方法を適用することができる。
(1)ピークの保持時間
(2)(1)のピークについての極大吸収波長
(3)(1)のピークについてのマススペクトルのm/z(posi)、m/z(nega)
高速液体クロマトグラフィーの分析条件は、以下に示す通りである。純水で約1,000倍に希釈した液体(インク)を測定用サンプルとする。そして、下記の条件で高速液体クロマトグラフィーでの分析を行い、ピークの保持時間(retention time)、及びピークの極大吸収波長を測定する。
・カラム:SunFire C18(日本ウォーターズ製)2.1mm×150mm
・カラム温度:40℃
・流速:0.2mL/min
・PDA:200nm〜700nm
・移動相及びグラジエント条件:表1
・カラム:SunFire C18(日本ウォーターズ製)2.1mm×150mm
・カラム温度:40℃
・流速:0.2mL/min
・PDA:200nm〜700nm
・移動相及びグラジエント条件:表1
また、マススペクトルの分析条件は以下に示す通りである。得られたピークについて、下記の条件でマススペクトルを測定し、最も強く検出されたm/zをposi及びnegaのそれぞれに対して測定する。
・イオン化法:ESI
・キャピラリ電圧:3.5kV
・脱溶媒ガス:300℃
・イオン源温度:120℃
・検出器:
posi;40V 200〜1500amu/0.9sec
nega;40V 200〜1500amu/0.9sec
・イオン化法:ESI
・キャピラリ電圧:3.5kV
・脱溶媒ガス:300℃
・イオン源温度:120℃
・検出器:
posi;40V 200〜1500amu/0.9sec
nega;40V 200〜1500amu/0.9sec
上記方法及び条件下で測定した際の結果を以下に示す。
・後記化学式(I)で表される化合物のナトリウム塩(後記「化合物1−1」)
254nmでのHPLC純度=98.1%
m/z=319.2([M−2Na]2−)、639.2([M−2Na+H]−)
・上記化合物II−1のナトリウム塩(後記「化合物2−1A」)
254nmでのHPLC純度=97.3%
m/z=441.2([M−Na]−)
・後記化学式(I)で表される化合物のナトリウム塩(後記「化合物1−1」)
254nmでのHPLC純度=98.1%
m/z=319.2([M−2Na]2−)、639.2([M−2Na+H]−)
・上記化合物II−1のナトリウム塩(後記「化合物2−1A」)
254nmでのHPLC純度=97.3%
m/z=441.2([M−Na]−)
(色材の含有量)
水性インク中の第1の色材及び第2の色材の合計含有量に占める、第2の色材の含有量の割合(質量%)は、0.20質量%以上2.00質量%以下であることが好ましい。この第2の色材の含有量の割合(質量%)は、インク中の第1の色材の含有量をC1(質量%)、第2の色材の含有量をC2(質量%)で表すと、式:C2/(C1+C2)×100(質量%)により、算出することができる。この第2の色材の含有量の割合(質量%)は、0.50質量%以上1.00質量%以下であることがさらに好ましい。具体的には、イエローインクとしてより好ましい色相を有する画像が得られやすい観点から、0.50質量%以上であることが好ましい。また、発色性及び耐光性にさらに優れた画像が得られやすい観点から、1.00質量%以下であることが好ましい。
水性インク中の第1の色材及び第2の色材の合計含有量に占める、第2の色材の含有量の割合(質量%)は、0.20質量%以上2.00質量%以下であることが好ましい。この第2の色材の含有量の割合(質量%)は、インク中の第1の色材の含有量をC1(質量%)、第2の色材の含有量をC2(質量%)で表すと、式:C2/(C1+C2)×100(質量%)により、算出することができる。この第2の色材の含有量の割合(質量%)は、0.50質量%以上1.00質量%以下であることがさらに好ましい。具体的には、イエローインクとしてより好ましい色相を有する画像が得られやすい観点から、0.50質量%以上であることが好ましい。また、発色性及び耐光性にさらに優れた画像が得られやすい観点から、1.00質量%以下であることが好ましい。
水性インク中の第1の色材及び第2の色材の合計含有量(上記C1+C2;質量%)は、インク全質量を基準として、2.500質量%以上6.500質量%以下であることが好ましい。これら色材の合計含有量(質量%)は、3.000質量%以上6.000質量%以下であることがさらに好ましい。具体的には、色材の合計含有量がある程度多いと、発色性及び耐光性にさらに優れた画像が得られやすいため、3.000質量%以上であることが好ましい。また、色材の合計含有量が適量であれば、好適な色相の範囲内で、発色性にさらに優れた画像が得られやすいため、6.000質量%以下であることが好ましい。
水性インク中の第1の色材の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.100質量%以上10.000質量%以下であることが好ましく、0.500質量%以上6.500質量%以下であることがさらに好ましい。また、水性インク中の第2の色材の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.010質量%以上5.000質量%以下であることが好ましく、0.010質量%以上1.000質量%以下であることがさらに好ましい。水性インク中のすべての色材の合計含有量(質量%)に占める、第1の色材及び第2の色材の合計含有量(質量%)の割合は、10.0質量%以上であることが好ましい。前記割合は、20.0質量%以上であることがさらに好ましく、50.0質量%以上であることが特に好ましく、また、100.0質量%であってもよい。
本発明において、イエローインクとして好ましい色相を有する画像とは、以下の二つのことを意味する。すなわち、イエローインクのみを用いて記録した画像が赤味や緑味を帯びていないことを意味する。さらに、これに加えて、イエローインクを用いて記録する2次色の画像、つまりレッド領域やグリーン領域の画像を記録する際に、レッド領域及びグリーン領域の色相をいずれも大きく損失することがない色相を有することを意味する。
より具体的には、イエローインクのみを用いて、白色の記録媒体にインクの付与量を約0.06g/inch2として記録したベタ画像について、CIE(国際照明委員会)により規定されたL*a*b*表色系におけるa*及びb*を測定する。そして、得られたa*及びb*の値から、下記式(A)に基づいて算出される色相角(H°)が、85°以上92°以下である画像を、イエローインクとしての色相が良好な画像であるとする。また、そのような色相角(H°)を有する画像を記録することが可能なインクを、イエローインクとして好ましい色相を有するインクであるとする。イエローインクとしての色相がより良好である観点から、上記色相角(H°)は、88°以上90°以下であることがさらに好ましい。a*及びb*の値は、例えば、分光光度計(商品名:Spectrolino;Gretag Macbeth製)を用いて測定することができる。勿論、本発明においては、これに限られるものではない。測色の際に用いる「白色の記録媒体」としては、拡散青色光反射率を利用するISO白色度(JIS P 8148)が約80%以上である記録媒体などを挙げることができる。
式(A)
a*≧0、b*≧0(第一象現)では、H°=tan−1(b*/a*)
a*≦0、b*≧0(第二象現)では、H°=180+tan−1(b*/a*)
a*≦0、b*≦0(第三象現)では、H°=180+tan−1(b*/a*)
a*≧0、b*≦0(第四象現)では、H°=360+tan−1(b*/a*)
a*≧0、b*≧0(第一象現)では、H°=tan−1(b*/a*)
a*≦0、b*≧0(第二象現)では、H°=180+tan−1(b*/a*)
a*≦0、b*≦0(第三象現)では、H°=180+tan−1(b*/a*)
a*≧0、b*≦0(第四象現)では、H°=360+tan−1(b*/a*)
(水性媒体)
本発明のインクは、水性媒体として少なくとも水を含有する水性インクである。水としては、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、10.000質量%以上90.000質量%以下であることが好ましく、50.000質量%以上90.000質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明のインクは、水性媒体として少なくとも水を含有する水性インクである。水としては、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、10.000質量%以上90.000質量%以下であることが好ましく、50.000質量%以上90.000質量%以下であることがさらに好ましい。
水性媒体は、さらに水溶性有機溶剤を含有してもよい。水溶性有機溶剤は水溶性であれば特に制限はなく、1価アルコール、多価アルコール、(ポリ)アルキレングリコール、グリコールエーテル、含窒素極性溶剤、含硫黄極性溶剤などを用いることができる。水溶性有機溶剤としては、水よりも蒸気圧の低いものを用いることが好ましい。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.000質量%以上50.000質量%以下であることが好ましい。
(その他の添加剤)
本発明のインクは、上記した成分以外にも必要に応じて、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類や、尿素、エチレン尿素などの尿素誘導体などの、常温で固体の水溶性有機化合物を含有してもよい。さらに、本発明のインクは、必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、及び水溶性樹脂など、種々の添加剤を含有してもよい。これらのなかでも、インクには界面活性剤を含有させることが好ましい。水性インク中の界面活性剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.100質量%以上1.500質量%以下であることが好ましく、0.200質量%以上1.200質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明のインクは、上記した成分以外にも必要に応じて、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類や、尿素、エチレン尿素などの尿素誘導体などの、常温で固体の水溶性有機化合物を含有してもよい。さらに、本発明のインクは、必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、及び水溶性樹脂など、種々の添加剤を含有してもよい。これらのなかでも、インクには界面活性剤を含有させることが好ましい。水性インク中の界面活性剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.100質量%以上1.500質量%以下であることが好ましく、0.200質量%以上1.200質量%以下であることがさらに好ましい。
<インクカートリッジ>
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、このインク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明の水性インクである。図1は、本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示すように、インクカートリッジの底面には、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給口12が設けられている。インクカートリッジの内部はインクを収容するためのインク収容部となっている。インク収容部は、インク収容室14と、吸収体収容室16とで構成されており、これらは連通口18を介して連通している。また、吸収体収容室16はインク供給口12に連通している。インク収容室14には液体のインク20が収容されており、吸収体収容室16には、インクを含浸状態で保持する吸収体22及び24が収容されている。インク収容部は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容されるインク全量を吸収体により保持する形態であってもよい。また、インク収容部は、吸収体を持たず、インクの全量を液体の状態で収容する形態であってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、このインク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明の水性インクである。図1は、本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示すように、インクカートリッジの底面には、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給口12が設けられている。インクカートリッジの内部はインクを収容するためのインク収容部となっている。インク収容部は、インク収容室14と、吸収体収容室16とで構成されており、これらは連通口18を介して連通している。また、吸収体収容室16はインク供給口12に連通している。インク収容室14には液体のインク20が収容されており、吸収体収容室16には、インクを含浸状態で保持する吸収体22及び24が収容されている。インク収容部は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容されるインク全量を吸収体により保持する形態であってもよい。また、インク収容部は、吸収体を持たず、インクの全量を液体の状態で収容する形態であってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明の水性インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明の水性インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
図2は、本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。インクジェット記録装置には、記録媒体32を搬送する搬送手段(不図示)、及びキャリッジシャフト34が設けられている。キャリッジシャフト34にはヘッドカートリッジ36が搭載可能となっている。ヘッドカートリッジ36は記録ヘッド38及び40を具備しており、インクカートリッジ42がセットされるように構成されている。ヘッドカートリッジ36がキャリッジシャフト34に沿って主走査方向に搬送される間に、記録ヘッド38及び40から記録媒体32に向かってインク(不図示)が吐出される。そして、記録媒体32が搬送手段(不図示)により副走査方向に搬送されることによって、記録媒体32に画像が記録される。記録媒体32としては、特に制限はないが、普通紙などのコート層を有しない記録媒体、光沢紙やマット紙などのコート層を有する記録媒体などの、紙を基材とした記録媒体を用いることが好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<色材の合成>
(化合物1−1の合成)
下記化学式(a1)で示す化合物10.0部を、水30.0部に分散させた。これに、濃塩酸17.0部を加えて溶液を調製し、この溶液を氷浴で冷却した。この溶液に、亜硝酸ナトリウム4.2部を水10.0部に溶解させた溶液を、液温0〜5℃で滴下し、同温度で30分撹拌した。次いで、アミド硫酸0.8部を添加し、ジアゾ化液を得た。
(化合物1−1の合成)
下記化学式(a1)で示す化合物10.0部を、水30.0部に分散させた。これに、濃塩酸17.0部を加えて溶液を調製し、この溶液を氷浴で冷却した。この溶液に、亜硝酸ナトリウム4.2部を水10.0部に溶解させた溶液を、液温0〜5℃で滴下し、同温度で30分撹拌した。次いで、アミド硫酸0.8部を添加し、ジアゾ化液を得た。
2−メトキシアニリン(前述の化学式(b)参照)6.8部を、メタノール25.0部に溶解させて溶液を調製した。この溶液を、上記ジアゾ化液に、上記温度を維持しながら滴下した。滴下終了後、飽和酢酸ナトリウム溶液を加え、pHを3.0〜3.5に調整した後、さらに2時間撹拌して、反応させた。
その後、25%水酸化ナトリウム水溶液を滴下して中和し、pHを7.0付近まで調整した。次いで、塩化ナトリウム12.0部を添加し、温度60℃で30分撹拌した。室温まで冷却し、析出した沈殿をろ過により分取して、下記化学式(c1)で示す化合物(中間体)の粗体を得た(収率89%)。下記化学式(c1)で示す化合物(中間体)の分析結果は、HPLC純度(254nm)99.7%、m/z=306.0([M−Na]−)、純分:76.8%(塩を含む)であった。
上記化学式(c1)で示す化合物(中間体)の粗体13.0部、及び炭酸水素ナトリウム1.96部を水250部に溶解させ、さらにトリホスゲン2.42部を加え、液温30℃で4時間撹拌させた。この溶液にさらに炭酸水素ナトリウム1.96部を加え、2時間撹拌し、反応させた。その後、水250部を加えて上記中間体を溶解させて、不溶分をろ過により除去した後、ろ液に塩化ナトリウム10.0部を加えて塩析し、N,N−ジメチルホルムアミドに溶解させ、塩分を除去し、溶媒を減圧留去した。このようにして、遊離酸型として下記化学式(I)で表される化合物のナトリウム塩(これを「化合物1−1」と記す。)9.7部を得た(収率93%)。
(化合物1−2及び1−3)
化合物1−1の合成フローにおける塩析に使用する化合物を変更したこと以外は同様にして、上記化学式(I)で表される化合物のカリウム塩(これを「化合物1−2」と記す。)を得た。また、同様にして、上記化学式(I)で表される化合物のアンモニウム塩(これを「化合物1−3」と記す。)を得た。
化合物1−1の合成フローにおける塩析に使用する化合物を変更したこと以外は同様にして、上記化学式(I)で表される化合物のカリウム塩(これを「化合物1−2」と記す。)を得た。また、同様にして、上記化学式(I)で表される化合物のアンモニウム塩(これを「化合物1−3」と記す。)を得た。
(化合物2−1A)
2−メトキシアニリン(前述の化学式(b)参照)10.0部をメタノール15.8部に溶解させた溶液に、濃塩酸23.7部を加え、氷浴で冷却した。この溶液に、亜硝酸ナトリウム5.8部を水10.0部に溶解させた溶液を、液温0〜5℃で滴下し、同温度で30分撹拌した。次いで、アミド硫酸1.1部を添加して、液体1を調製した。これとは別に、上記で得られた化学式(c1)で表される化合物(中間体)の粗体32.6部、炭酸ナトリウム31.6部を水300部に溶解させ、氷浴で冷却し、液温0〜5℃に保った。この溶液を、先に調製した液体1に、温度を維持しながら滴下した。滴下終了後、溶液を終夜撹拌し、反応させた。その後、濃塩酸を滴下して中和し、pHを7.0付近まで調整した。次いで、塩化ナトリウム56.0部を加えて塩析し、N,N−ジメチルホルムアミドに溶解させて、塩分を除去し、溶媒を減圧留去した。このようにして、前述の化学式(II−1)で表される化合物II−1のナトリウム塩(これを「化合物2−1A」と記す。)を得た(収率67%)。
2−メトキシアニリン(前述の化学式(b)参照)10.0部をメタノール15.8部に溶解させた溶液に、濃塩酸23.7部を加え、氷浴で冷却した。この溶液に、亜硝酸ナトリウム5.8部を水10.0部に溶解させた溶液を、液温0〜5℃で滴下し、同温度で30分撹拌した。次いで、アミド硫酸1.1部を添加して、液体1を調製した。これとは別に、上記で得られた化学式(c1)で表される化合物(中間体)の粗体32.6部、炭酸ナトリウム31.6部を水300部に溶解させ、氷浴で冷却し、液温0〜5℃に保った。この溶液を、先に調製した液体1に、温度を維持しながら滴下した。滴下終了後、溶液を終夜撹拌し、反応させた。その後、濃塩酸を滴下して中和し、pHを7.0付近まで調整した。次いで、塩化ナトリウム56.0部を加えて塩析し、N,N−ジメチルホルムアミドに溶解させて、塩分を除去し、溶媒を減圧留去した。このようにして、前述の化学式(II−1)で表される化合物II−1のナトリウム塩(これを「化合物2−1A」と記す。)を得た(収率67%)。
(化合物2−1B及び2−1C)
化合物2−1Aの合成フローにおける塩析に使用する化合物を変更したこと以外は化合物2−1Aの合成と同様にして、前述の化学式(II−1)で表される化合物II−1のカリウム塩(これを「化合物2−1B」と記す。)を得た。また、同様に、前述の化学式(II−1)で表される化合物II−1のアンモニウム塩(これを「化合物2−1C」と記す。)を得た。
化合物2−1Aの合成フローにおける塩析に使用する化合物を変更したこと以外は化合物2−1Aの合成と同様にして、前述の化学式(II−1)で表される化合物II−1のカリウム塩(これを「化合物2−1B」と記す。)を得た。また、同様に、前述の化学式(II−1)で表される化合物II−1のアンモニウム塩(これを「化合物2−1C」と記す。)を得た。
(化合物2−2〜2−5)
化合物2−1Aの合成フローにおける出発物質を変更したこと以外は化合物2−1Aの合成と同様にして、前述の化学式(II−2)〜(II−5)でそれぞれ表される化合物II−2〜II−5のナトリウム塩を得た。これらをそれぞれ、「化合物2−2」、「化合物2−3」、「化合物2−4」、及び「化合物2−5」と記す。すなわち、化合物2−2〜2−5の合成においては、化合物2−1Aの合成に用いた上記化学式(a1)で表される化合物を、それぞれ、下記化学式(a2)〜(a5)で表される化合物に変更して用いた。
化合物2−1Aの合成フローにおける出発物質を変更したこと以外は化合物2−1Aの合成と同様にして、前述の化学式(II−2)〜(II−5)でそれぞれ表される化合物II−2〜II−5のナトリウム塩を得た。これらをそれぞれ、「化合物2−2」、「化合物2−3」、「化合物2−4」、及び「化合物2−5」と記す。すなわち、化合物2−2〜2−5の合成においては、化合物2−1Aの合成に用いた上記化学式(a1)で表される化合物を、それぞれ、下記化学式(a2)〜(a5)で表される化合物に変更して用いた。
(比較化合物1)
特許文献1(特開2004−83903号公報)に記載の「合成例2」で使用された1,3−ジブロモプロパンを、1,2−ジブロモエタンに変更したこと以外は、当該合成例と同様の操作を行い、下記化学式(3−1)で表される比較化合物1を合成した。下記化学式中の「t−Bu」はtert−ブチル基を表す。
特許文献1(特開2004−83903号公報)に記載の「合成例2」で使用された1,3−ジブロモプロパンを、1,2−ジブロモエタンに変更したこと以外は、当該合成例と同様の操作を行い、下記化学式(3−1)で表される比較化合物1を合成した。下記化学式中の「t−Bu」はtert−ブチル基を表す。
(比較化合物2)
特許文献2(特開2007−63520号公報)に記載の「DYE−11」の合成例にしたがって、下記化学式(3−2)で表される比較化合物2を合成した。下記化学式中の「t−Bu」はtert−ブチル基を表す。
特許文献2(特開2007−63520号公報)に記載の「DYE−11」の合成例にしたがって、下記化学式(3−2)で表される比較化合物2を合成した。下記化学式中の「t−Bu」はtert−ブチル基を表す。
<インクの調製>
表2(表2−1〜表2−3)の上段に示す各成分(単位:%)を混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズ0.20μmのフィルターで加圧ろ過して各インクを調製した。表2中の「アセチレノールE100」(川研ファインケミカル製)は、ノニオン性界面活性剤の商品名である。表2の下段には、インクの特性として、インク中の第1の色材の含有量C1(%)、第2の色材の含有量C2(%)、及びそれらの合計含有量(C1+C2)(%)、並びにC2/(C1+C2)×100の値(%)を示した。
表2(表2−1〜表2−3)の上段に示す各成分(単位:%)を混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズ0.20μmのフィルターで加圧ろ過して各インクを調製した。表2中の「アセチレノールE100」(川研ファインケミカル製)は、ノニオン性界面活性剤の商品名である。表2の下段には、インクの特性として、インク中の第1の色材の含有量C1(%)、第2の色材の含有量C2(%)、及びそれらの合計含有量(C1+C2)(%)、並びにC2/(C1+C2)×100の値(%)を示した。
<評価>
上記で得られた各インクをそれぞれインクカートリッジに充填し、熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクを吐出するインクジェット記録装置(商品名「PIXUS iP8600」、キヤノン製)に搭載した。本実施例においては、1/2400インチ×1/1200インチの単位領域に2.6ngのインク滴を8滴付与して記録したベタ画像を「記録デューティが100%である」と定義する。本発明においては、下記の各項目の評価基準で、「A」及び「B」を許容できるレベル、「C」を許容できないレベルとした。評価結果を表3に示す。
上記で得られた各インクをそれぞれインクカートリッジに充填し、熱エネルギーの作用により記録ヘッドからインクを吐出するインクジェット記録装置(商品名「PIXUS iP8600」、キヤノン製)に搭載した。本実施例においては、1/2400インチ×1/1200インチの単位領域に2.6ngのインク滴を8滴付与して記録したベタ画像を「記録デューティが100%である」と定義する。本発明においては、下記の各項目の評価基準で、「A」及び「B」を許容できるレベル、「C」を許容できないレベルとした。評価結果を表3に示す。
(発色性)
上記のインクジェット記録装置を用いて、記録媒体(商品名「キヤノン写真用紙・光沢 プロ[プラチナグレード]PT201」、キヤノン製)に、記録デューティを0%から100%まで10%刻みで変化させた画像を記録した。得られた記録物を、温度23℃、相対湿度55%の環境で24時間乾燥させた。記録物における記録デューティが100%の画像の部分について、分光光度計(商品名「Spectrolino」、Gretag Macbeth製)を用いて光学濃度を測定し、以下の評価基準にしたがって、画像の発色性の評価を行った。
A:光学濃度が2.2以上であった。
B:光学濃度が2.0以上2.2未満であった。
C:光学濃度が2.0未満であった。
上記のインクジェット記録装置を用いて、記録媒体(商品名「キヤノン写真用紙・光沢 プロ[プラチナグレード]PT201」、キヤノン製)に、記録デューティを0%から100%まで10%刻みで変化させた画像を記録した。得られた記録物を、温度23℃、相対湿度55%の環境で24時間乾燥させた。記録物における記録デューティが100%の画像の部分について、分光光度計(商品名「Spectrolino」、Gretag Macbeth製)を用いて光学濃度を測定し、以下の評価基準にしたがって、画像の発色性の評価を行った。
A:光学濃度が2.2以上であった。
B:光学濃度が2.0以上2.2未満であった。
C:光学濃度が2.0未満であった。
(色相)
上記のインクジェット記録装置を用いて、記録媒体(商品名「キヤノン写真用紙・光沢 プロ[プラチナグレード]PT201」、キヤノン製)に、記録デューティを0%から100%まで10%刻みで変化させた画像を記録した。得られた記録物を、温度23℃、相対湿度55%の環境で24時間乾燥させた。記録物における記録デューティが100%の画像の部分について、CIE(国際照明委員会)により規定されたL*a*b*表色系におけるa*及びb*を測定した。a*及びb*の値は、分光光度計(商品名「Spectrolino」、Gretag Macbeth製)を用いて、光源:D50、視野:2°の条件で測定した。得られたa*及びb*の値から、下記式(A)に基づいて色相角(H°)をそれぞれ算出した。
式(A)
a*≧0、b*≧0(第一象現)では、H°=tan−1(b*/a*)
a*≦0、b*≧0(第二象現)では、H°=180+tan−1(b*/a*)
a*≦0、b*≦0(第三象現)では、H°=180+tan−1(b*/a*)
a*≧0、b*≦0(第四象現)では、H°=360+tan−1(b*/a*)
上記のインクジェット記録装置を用いて、記録媒体(商品名「キヤノン写真用紙・光沢 プロ[プラチナグレード]PT201」、キヤノン製)に、記録デューティを0%から100%まで10%刻みで変化させた画像を記録した。得られた記録物を、温度23℃、相対湿度55%の環境で24時間乾燥させた。記録物における記録デューティが100%の画像の部分について、CIE(国際照明委員会)により規定されたL*a*b*表色系におけるa*及びb*を測定した。a*及びb*の値は、分光光度計(商品名「Spectrolino」、Gretag Macbeth製)を用いて、光源:D50、視野:2°の条件で測定した。得られたa*及びb*の値から、下記式(A)に基づいて色相角(H°)をそれぞれ算出した。
式(A)
a*≧0、b*≧0(第一象現)では、H°=tan−1(b*/a*)
a*≦0、b*≧0(第二象現)では、H°=180+tan−1(b*/a*)
a*≦0、b*≦0(第三象現)では、H°=180+tan−1(b*/a*)
a*≧0、b*≦0(第四象現)では、H°=360+tan−1(b*/a*)
得られたH°の値から、以下に示す評価基準にしたがって、画像の色相を評価した。
A:H°が88°以上90°以下であった。
B:H°が85°以上88°未満、又は90°を超えて92°以下であった。
C:H°が85°未満、又は92°を超えていた。
A:H°が88°以上90°以下であった。
B:H°が85°以上88°未満、又は90°を超えて92°以下であった。
C:H°が85°未満、又は92°を超えていた。
(耐光性)
上記のインクジェット記録装置を用いて、記録媒体(商品名「キヤノン写真用紙・光沢 プロ[プラチナグレード]PT201」、キヤノン製)に、記録デューティが25%であるベタ画像を記録した。得られた記録物を、温度23℃、相対湿度55%の環境で24時間乾燥させた。記録物におけるベタ画像の光学濃度を測定した(耐光性試験前の光学濃度)。この記録物をスーパーキセノン試験機(商品名「SX−75」、スガ試験機製)中に載置し、槽内温度24℃、相対湿度60%、照射強度100キロルクスで100時間、キセノン光の照射を行った。その後、記録物におけるベタ画像の光学濃度を測定した(耐光性試験後の光学濃度)。得られた耐光性試験前の光学濃度及び耐光性試験後の光学濃度の値から、光学濃度の残存率=耐光性試験後の光学濃度/耐光性試験前の光学濃度×100(%)を算出し、以下に示す評価基準にしたがって、画像の耐光性を評価した。
A:光学濃度の残存率が80%以上であった。
B:光学濃度の残存率が70%以上80%未満であった。
C:光学濃度の残存率が70%未満であった。
上記のインクジェット記録装置を用いて、記録媒体(商品名「キヤノン写真用紙・光沢 プロ[プラチナグレード]PT201」、キヤノン製)に、記録デューティが25%であるベタ画像を記録した。得られた記録物を、温度23℃、相対湿度55%の環境で24時間乾燥させた。記録物におけるベタ画像の光学濃度を測定した(耐光性試験前の光学濃度)。この記録物をスーパーキセノン試験機(商品名「SX−75」、スガ試験機製)中に載置し、槽内温度24℃、相対湿度60%、照射強度100キロルクスで100時間、キセノン光の照射を行った。その後、記録物におけるベタ画像の光学濃度を測定した(耐光性試験後の光学濃度)。得られた耐光性試験前の光学濃度及び耐光性試験後の光学濃度の値から、光学濃度の残存率=耐光性試験後の光学濃度/耐光性試験前の光学濃度×100(%)を算出し、以下に示す評価基準にしたがって、画像の耐光性を評価した。
A:光学濃度の残存率が80%以上であった。
B:光学濃度の残存率が70%以上80%未満であった。
C:光学濃度の残存率が70%未満であった。
Claims (8)
- 前記水性インク中の前記第1の色材及び前記第2の色材の合計含有量に占める、前記第2の色材の含有量の割合(質量%)が、0.20質量%以上2.00質量%以下である請求項1に記載の水性インク。
- 前記水性インク中の前記第1の色材及び前記第2の色材の合計含有量に占める、前記第2の色材の含有量の割合(質量%)が、0.50質量%以上1.00質量%以下である請求項1又は2に記載の水性インク。
- 前記水性インク中の前記第1の色材及び前記第2の色材の合計含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、2.500質量%以上6.500質量%以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水性インク。
- 前記水性インク中の前記第1の色材及び前記第2の色材の合計含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、3.000質量%以上6.000質量%以下である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の水性インク。
- インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えたインクカートリッジであって、
前記インクが、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクカートリッジ。 - インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記インクが、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
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