本明細書において、「C.I.」とは、「カラーインデックス」を意味する。また、本明細書においては、実施例等も含めて「%」及び「部」は、特に断りのない限り、いずれも質量基準で記載する。
前記式(1)で表される化合物若しくはその互変異生体、又はそれらの塩は、実質的に着色剤である。すなわち、前記インクは、少なくとも2種類の着色剤を含有するインクである。前記の着色剤としては、水溶性の着色剤が好ましい。本明細書において水溶性の着色剤とは、25℃の水1リットルに対する溶解度が通常5g以上、好ましくは10g以上、より好ましくは20g以上の着色剤を意味する。上限は特にないが、500g程度である。
[式(1)、式(3)、及び式(4)で表される化合物若しくはその互変異生体、又はそれらの塩]
前記式(1)、式(3)、又は式(4)で表される化合物若しくはその互変異生体、又はそれらの塩(以下「化合物若しくはその互変異生体、又はそれらの塩」を含めて「化合物」という。)は、それぞれ、その互変異生体、又はそれらの塩の混合物となる可能性がある。そのような化合物は全て、前記式(1)、式(3)、又は式(4)で表される化合物に含まれる。以下、これらの化合物が有することができる基について記載する。また、これらの基の用語は、式(2)で表される基においても同じ意味を有する。
アルキル基としては、炭素数が通常1〜12、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4の直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基が挙げられる。これらの中では直鎖又は分岐鎖が好ましく、直鎖アルキル基がより好ましい。その具体例としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル等の直鎖アルキル基;イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル等の分岐鎖アルキル基;シクロプロピル、シクロペンチル等の環状アルキル基が挙げられる。これらの中ではメチル又はn−プロピルが好ましく、メチルがより好ましい。
カルボキシ基で置換されたアルキル基としては、通常1つ又は2つ、好ましくは1つのカルボキシ基で置換された、前記アルキル基が挙げられる。カルボキシ基の置換位置は特に制限されないが、アルキル基の末端に置換するのが好ましい。その具体例としてはカルボキシメチル、2−カルボキシエチル、3−カルボキシプロピル等が挙げられる。
アリール基としては、炭素数6〜30、好ましくは6〜10のアリール基が挙げられる。その具体例としては、フェニル基、ナフチル基が挙げられる。これらの中ではフェニル基が好ましい。
スルホ基で置換されたアリール基としては、通常1つ〜5つ、好ましくは1つ〜3つ、より好ましくは1つ又は2つ、さらに好ましくは1つのスルホ基で置換されたアリール基が挙げられる。
アルコキシ基としては、炭素数が通常1〜12、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4の直鎖、分岐鎖、又は環状のアルコキシ基が挙げられる。これらの中では直鎖又は分岐鎖が好ましく、直鎖アルコキシ基がより好ましい。その具体例としては、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ等の直鎖アルコキシ基;イソプロポキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシ、2−エチルヘキシロキシ等の分岐鎖アルコキシ基;シクロプロポキシ、シクロペンチロキシ等の環状アルコキシ基が挙げられる。これらの中ではメトキシが好ましい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。これらの中ではフッ素原子、塩素原子が好ましい。
アルキルチオ基としては、炭素数が通常1〜12、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4の直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキルチオ基が挙げられる。これらの中では直鎖又は分岐鎖が好ましく、直鎖アルキルチオ基がより好ましい。その具体例としては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、n−ブチルチオ等の直鎖アルキルチオ基;イソプロピルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオ、t−ブチルチオ、2−エチルヘキシルチオ等の分岐鎖アルキルチオ基;シクロプロピルチオ、シクロペンチルチオ等の環状アルキルチオ基が挙げられる。これらの中ではメチルチオ又はn−プロピルチオが好ましく、メチルチオがより好ましい。
ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたアルキルチオ基としては、通常1つ又は2つ、好ましくは1つの前記の基で置換された、前記アルキルチオ基が挙げられる。アルキルチオ基における前記の基の置換位置は特に制限されないが、アルキルチオ基における硫黄原子が結合する炭素原子以外の炭素原子に置換するのが好ましい。前記の基の中では、スルホ基、及びカルボキシ基が好ましく、スルホ基がより好ましい。その具体例としては、例えば、2−ヒドロキシエチルチオ、3−ヒドロキシプロピルチオ、2−スルホエチルチオ、3−スルホプロピルチオ、2−カルボキシエチルチオ、3−カルボキシプロピルチオ、4−カルボキシブチルチオ、2−ヒドロキシ−3−スルホプロピルチオ、2−ヒドロキシ−3−カルボキシプロピルチオ、2,2−ジスルホエチルチオ、2,2−ジカルボキシエチルチオ、3−カルボキシ−3−スルホプロピルチオ等が挙げられる。
ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたアルコキシ基としては、通常1つ又は2つ、好ましくは1つの前記の基で置換された、前記アルコキシ基が挙げられる。アルコキシ基における前記の基の置換位置は特に制限されないが、アルコキシ基における酸素原子が結合する炭素原子以外の炭素原子に置換するのが好ましい。前記の基の中では、スルホ基、及びカルボキシ基が好ましく、スルホ基がより好ましい。その具体例としては、例えば、2−ヒドロキシエトキシ、2−ヒドロキシプロポキシ、2−スルホエトキシ、3−スルホプロポキシ、2−カルボキシエトキシ、3−カルボキシプロポキシ、4−カルボキシブトキシ、2−ヒドロキシ−3−スルホプロポキシ、2−ヒドロキシ−3−カルボキシプロポキシ、2,2−ジスルホエトキシ、2,2−ジカルボキシエトキシ、3−カルボキシ−3−スルホプロポキシ等が挙げられる。
ヒドロキシ基、アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたアルコキシ基としては、前記「ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたアルコキシ基」の構成に、置換基の選択肢としてアルコキシ基が加えられた構成が挙げられる。その具体例としては、前記と同じものに加え、2−メトキシエトキシ、3−メトキシプロポキシ、2−エトキシエトキシ、3−エトキシプロポキシ等が挙げられる。
アルキルカルボニルアミノ基としては、アルキル部分の炭素数が通常1〜12、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4の直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキルカルボニルアミノ基が挙げられる。これらの中では直鎖又は分岐鎖が好ましく、直鎖アルキル基がより好ましい。その具体例としては、例えば、メチルカルボニルアミノ、エチルカルボニルアミノ、n−プロピルカルボニルアミノ、n−ブチルカルボニルアミノ等の直鎖アルキルカルボニルアミノ基;イソプロピルカルボニルアミノ、イソブチルカルボニルアミノ、sec−ブチルカルボニルアミノ、t−ブチルカルボニルアミノ、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ等の分岐鎖アルキルカルボニルアミノ基;シクロプロピルカルボニルアミノ、シクロペンチルカルボニルアミノ等の環状アルキルカルボニルアミノ基が挙げられる。これらの中ではメチルカルボニルアミノが好ましい。
アルキルスルホニル基としては、アルキル部分の炭素数が通常1〜12、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4の直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキルスルホニル基が挙げられる。これらの中では直鎖又は分岐鎖が好ましく、直鎖アルキルスルホニル基がより好ましい。その具体例としては、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、n−プロピルスルホニル、n−ブチルスルホニル等の直鎖アルキルスルホニル基;イソプロピルスルホニル、イソブチルスルホニル、sec−ブチルスルホニル、t−ブチルスルホニル、2−エチルヘキシルスルホニル等の分岐鎖アルキルスルホニル基;シクロプロピルスルホニル、シクロペンチルスルホニル等の環状アルキルスルホニル基が挙げられる。これらの中ではメチルスルホニルが好ましい。
ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたアルキルスルホニル基としては、通常1つ又は2つ、好ましくは1つの前記の基で置換された、前記アルキルスルホニル基が挙げられる。前記の基の中では、スルホ基、及びカルボキシ基が好ましく、スルホ基がより好ましい。その具体例としては、例えば、2−ヒドロキシエチルスルホニル、3−ヒドロキシプロピルスルホニル、2−スルホエチルスルホニル、3−スルホプロピルスルホニル、2−カルボキシエチルスルホニル、3−カルボキシプロピルスルホニル、4−カルボキシブチルスルホニル、2−ヒドロキシ−3−スルホプロピルスルホニル、2−ヒドロキシ−3−カルボキシプロピルスルホニル、2,2−ジスルホエチルスルホニル、2,2−ジカルボキシエチルスルホニル、3−カルボキシ−3−スルホプロピルスルホニル等が挙げられる。
スルホアニリノ基としては、通常1つ〜5つ、好ましくは1つ〜3つ、より好ましくは1つ又は2つのスルホ基で置換されたアリール基が挙げられる。
スルホアニリノ基としては、通常1つ〜7つ、好ましくは1つ〜3つのスルホ基で置換されたナフチル基が挙げられる。
アルキルアミノ基としては、アルキル部分の炭素数が通常1〜12、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4の直鎖、分岐鎖、又は環状のモノアルキルアミノ基、及びジアルキルアミノ基が挙げられる。これらの中では直鎖又は分岐鎖が好ましく、直鎖アルキル基がより好ましい。モノアルキルアミノ基の具体例としては、例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、n−ブチルアミノ等の直鎖アルキルアミノ基;イソプロピルアミノ、イソブチルアミノ、sec−ブチルアミノ、t−ブチルアミノ、2−エチルヘキシルアミノ等の分岐鎖アルキルアミノ基;シクロプロピルアミノ、シクロペンチルアミノ等の環状アルキルアミノ基が挙げられる。ジアルキルアミノ基の具体例としては、前記モノアルキルアミノ基で挙げたアルキル基を、独立に2つ有するアミノ基、例えばメチルエチルアミノ等が挙げられる。
アリールアミノ基としては、炭素数6〜30、好ましくは6〜10のモノアリールアミノ基、又はジアリールアミノ基が挙げられる。その具体例としては、フェニルアミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基等のモノアリールアミノ基;ジフェニルアミノ基等のジアリールアミノ基が挙げられる。
N−アルキルアミノスルホニル基としては、アルキル部分の炭素数が通常1〜12、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4の直鎖、分岐鎖、又は環状のモノアルキルアミノスルホニル基、及びジアルキルアミノスルホニル基が挙げられる。これらの中では直鎖又は分岐鎖が好ましく、直鎖アルキル基がより好ましい。モノアルキルアミノスルホニル基の具体例としては、例えば、メチルアミノスルホニル、エチルアミノスルホニル、n−プロピルアミノスルホニル、n−ブチルアミノスルホニル等の直鎖アルキルアミノスルホニル基;イソプロピルアミノスルホニル、イソブチルアミノスルホニル、sec−ブチルアミノスルホニル、t−ブチルアミノスルホニル、2−エチルヘキシルアミノスルホニル等の分岐鎖アルキルアミノスルホニル基;シクロプロピルアミノスルホニル、シクロペンチルアミノスルホニル等の環状アルキルアミノスルホニル基が挙げられる。ジアルキルアミノスルホニル基の具体例としては、前記モノアルキルアミノスルホニル基で挙げたアルキル基を、独立に2つ有するアミノスルホニル基、例えばメチルエチルアミノスルホニル等が挙げられる。
アリールアミノスルホニル基としては、炭素数6〜30、好ましくは6〜10のモノアリールアミノスルホニル基、又はジアリールアミノスルホニル基が挙げられる。その具体例としては、フェニルアミノスルホニル基、1−ナフチルアミノスルホニル基、2−ナフチルアミノスルホニル基等のモノアリールアミノスルホニル基;ジフェニルアミノスルホニル基等のジアリールアミノスルホニル基が挙げられる。
アルキルスルホニルアミノ基としては、アルキル部分の炭素数が通常1〜12、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4の直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキルスルホニルアミノ基が挙げられる。これらの中では直鎖又は分岐鎖が好ましく、直鎖アルキルスルホニルアミノ基がより好ましい。その具体例としては、例えば、メチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ、n−プロピルスルホニルアミノ、n−ブチルスルホニルアミノ等の直鎖アルキルスルホニルアミノ基;イソプロピルスルホニルアミノ、イソブチルスルホニルアミノ、sec−ブチルスルホニルアミノ、t−ブチルスルホニルアミノ、2−エチルヘキシルスルホニルアミノ等の分岐鎖アルキルスルホニルアミノ基;シクロプロピルスルホニルアミノ、シクロペンチルスルホニルアミノ等の環状アルキルスルホニルアミノ基が挙げられる。これらの中ではメチルスルホニルアミノが好ましい。
アリールスルホニルアミノ基としては、炭素数6〜30、好ましくは6〜10のアリールスルホニルアミノ基が挙げられる。その具体例としては、フェニルスルホニルアミノ基、1−ナフチルスルホニルアミノ基、2−ナフチルスルホニルアミノ基等が挙げられる。
前記した全ての基は、後記する置換基群1から選択される1つ又は2つの基を、さらに有することができる。
前記のうち、R11としては、アルキル基、カルボキシ基で置換されたアルキル基、アリール基、スルホ基で置換されたアリール基、又はカルボキシ基が好ましい。R15、R16及びR17としては、それぞれ独立にアルキルチオ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたアルキルチオ基;アルコキシ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたアルコキシ基;又は前記式(2)で表される基が好ましい。R18、R19及びR110は、それぞれ独立に水素原子;カルボキシ基;スルホ基;アルキルカルボニルアミノ基;ハロゲン原子;アルキル基;アルコキシ基;ヒドロキシ基、アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたアルコキシ基;又は前記式(2)で表される基が好ましい。R111、R112、R113及びR114は、それぞれ独立に水素原子;カルボキシ基;スルホ基;ヒドロキシ基;アルキルカルボニルアミノ基;ハロゲン原子;シアノ基;ニトロ基;スルファモイル基;アルキル基;アルコキシ基;ヒドロキシ基、アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたアルコキシ基;アルキルスルホニル基;又はヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたアルキルスルホニル基が好ましい。
式(1)で表される化合物としては、前記のうち、以下(1−i)〜(1−V)の組み合わせの化合物が好ましい。また、(1−i)から(1−V)へ向かうに従って、順次好ましさが増し、(1−V)の化合物が最も好ましい。
(1−i)
R11がアルキル基であり、
R15がアルキルチオ基、アルコキシ基、又は前記式(2)で表される基であり、
R16及びR17が、それぞれ独立にアルキルチオ基、又は前記式(2)で表される基である化合物。
(1−ii)
R11がアルキル基であり、
R12がシアノ基であり、
R13及びR14が、それぞれ独立に水素原子、アルコキシ基、又はスルホ基であり、
R15がアルコキシ基であり、
R16及びR17が、それぞれ独立にアルキルチオ基であり、
R18及びR110が、それぞれ独立にアルキル基、又はアルキルカルボニルアミノ基であり、
R19が前記式(2)で表される基であり、
R111、R112、R113及びR114が、それぞれ独立に水素原子、スルホ基、又はニトロ基である化合物。
(1−iii)
R11がアルキル基であり、
R12がシアノ基であり、
R13及びR14の一方が水素原子、又はアルコキシ基、他方がスルホ基であり、
R15がスルホ基又はカルボキシ基で置換されたアルコキシ基であり、
R16及びR17が、それぞれ独立にスルホ基又はカルボキシ基で置換されたアルキルチオ基であり、
R18及びR110が、それぞれ独立にアルキル基、又はアルキルカルボニルアミノ基であり、
R19が前記式(2)で表される基であり、
R111、R112、R113及びR114が、それぞれ独立に水素原子、スルホ基、又はニトロ基である化合物。
(1−iV)
R11がアルキル基であり、
R12がシアノ基であり、
R13及びR14の一方が水素原子、又はアルコキシ基、他方がスルホ基であり、
R15がスルホ基で置換されたアルコキシ基であり、
R16及びR17が、それぞれ独立にスルホ基で置換されたアルキルチオ基であり、
R18がアルキル基であり、
R19が前記式(2)で表される基であり、
R110がアルキルカルボニルアミノ基であり
R111、R112、R113及びR114が、それぞれ独立に水素原子、スルホ基、又はニトロ基である化合物。
(1−V)
R11がアルキル基であり、
R12がシアノ基であり、
R13及びR14の一方が水素原子、又はアルコキシ基、他方がスルホ基であり、
R15がスルホ基で置換されたアルコキシ基であり、
R16及びR17が、それぞれ独立にスルホ基で置換されたアルキルチオ基であり、
R18がアルキル基であり、
R19が前記式(2)で表される基であり、
R110がアルキルカルボニルアミノ基であり
R111がスルホ基であり、
R112がニトロ基であり、
R113及びR114が水素原子である化合物。
前記式(1)で表される化合物は、破線で表されるベンゼン環を有さないのが好ましい。R15〜R17の置換位置は、これらが置換するベンゼン環の右側のアゾ基の置換位置を1位として、2位が好ましい。また、R18、R19及びR110の置換位置は、同様にして5位が好ましい。R111、及びR112の置換位置は、これらが置換するベンゼン環のアゾ基の置換位置を1位として、それぞれ2位、及び4位が好ましい。
前記式(1)で表される化合物の具体例を以下に示すが、式(1)で表される化合物は、下記の例に限定されるものではない。
下記表1〜18中の略号等は、以下の意味を有する。
Ac:アセチル。
Et:エチル。
n−Pr:n−プロピル。
式(1)で表される化合物は、例えば次のような方法で合成することができる。また、各工程における化合物の構造式は遊離酸の形で表すものとする。なお、下記式(1−74)〜式(1−81)において、R11〜R19、R110〜R114は、式(1)におけるのと同じ意味を表す。下記式(1−74)で表される化合物を常法によりジアゾ化し、得られたジアゾ化合物と下記式(1−75)で表される化合物とを常法によりカップリング反応させ、下記式(1−76)で表される化合物を得る。
得られた式(1−76)で表される化合物を常法によりジアゾ化した後、得られたジアゾ化合物と下記式(1−77)で表される化合物とを常法によりカップリング反応させ、下記式(1−78)で表される化合物を得る。
得られた式(1−78)で表される化合物を常法によりジアゾ化した後、得られたジアゾ化合物と下記式(1−79)で表される化合物とを常法によりカップリング反応させ、下記式(1−80)で表される化合物を得る。得られた式(1−80)で表される化合物を常法によりジアゾ化した後、得られたジアゾ化合物と下記式(1−81)で表される化合物とを常法によりカップリング反応させる事により、上記式(1)で表される化合物を得ることができる。なお、式(1−81)で表される化合物は、特許文献12に記載の方法に準じて合成することができる。
式(1−74)で表される化合物のジアゾ化はそれ自体公知の方法で実施され、例えば、無機酸媒質中、例えば−5〜30℃、好ましくは0〜15℃の温度で亜硝酸塩、例えば亜硝酸ナトリウム等の亜硝酸アルカリ金属塩を使用して実施される。式(1−74)で表される化合物のジアゾ化物と式(1−75)で表される化合物とのカップリングもそれ自体公知の条件で実施される。水又は水性有機媒体中、例えば−5〜30℃、好ましくは0〜25℃の温度、且つ、酸性から中性のpH値、例えばpH1〜6で行うことが有利である。ジアゾ化反応液が酸性であり、また、カップリング反応の進行により反応系内はさらに酸性化してしまうため、反応液の好ましいpH条件へのpH値の調整を塩基の添加によって行う。塩基としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、酢酸ナトリウム等の酢酸塩、アンモニア又は有機アミン等が使用できる。式(1−74)で表される化合物と式(1−75)で表される化合物とは、ほぼ化学量論量で用いる。
式(1−76)で表される化合物のジアゾ化はそれ自体公知の方法で実施され、例えば、無機酸媒質中、例えば−5〜40℃、好ましくは5〜30℃の温度で亜硝酸塩、例えば亜硝酸ナトリウム等の亜硝酸アルカリ金属塩を使用して実施される。式(1−76)で表される化合物のジアゾ化物と式(1−77)で表される化合物とのカップリングもそれ自体公知の条件で実施される。水又は水性有機媒体中、例えば−5〜40℃、好ましくは10〜30℃の温度、且つ、酸性から中性のpH値、例えばpH2〜7で行うことが有利である。ジアゾ化反応液が酸性であり、また、カップリング反応の進行により反応系内はさらに酸性化してしまうため、反応液の好ましいpH条件へのpH値の調整を塩基の添加によって行う。塩基としては上記と同じものが使用できる。式(1−76)で表される化合物と式(1−77)で表される化合物とは、ほぼ化学量論量で用いる。
式(1−78)で表される化合物のジアゾ化はそれ自体公知の方法で実施され、例えば無機酸媒質中、例えば−5〜50℃、好ましくは5〜40℃の温度で亜硝酸塩、例えば亜硝酸ナトリウム等の亜硝酸アルカリ金属塩を使用して実施される。式(1−78)で表される化合物のジアゾ化物と式(1−79)で表される化合物とのカップリングもそれ自体公知の条件で実施される。水又は水性有機媒体中、例えば−5〜50℃、好ましくは10〜40℃の温度且つ、酸性から中性のpH値、例えばpH2〜7で行うことが有利である。ジアゾ化反応液が酸性であり、また、カップリング反応の進行により反応系内はさらに酸性化してしまうため、反応液の好ましいpH条件へのpH値の調整を塩基の添加によって行う。塩基としては上記と同じものが使用できる。式(1−78)で表される化合物と式(1−79)で表される化合物とは、ほぼ化学量論量で用いる。
式(1−80)で表される化合物のジアゾ化もそれ自体公知の方法で実施され、例えば無機酸媒質中例えば−5〜50℃、好ましくは10〜40℃の温度で亜硝酸塩、例えば亜硝酸ナトリウム等の亜硝酸アルカリ金属塩を使用して実施される。式(1−80)で表される化合物のジアゾ化物と式(1−81)で表される化合物とのカップリングもそれ自体公知の条件で実施される。水又は水性有機媒体中、例えば−5〜50℃、好ましくは10〜40℃の温度、且つ、弱酸性からアルカリ性のpH値で行うことが有利である。好ましくは弱酸性から弱アルカリ性のpH値、例えばpH5〜10で実施され、pH値の調整は塩基の添加によって実施される。塩基としては上記と同じものが使用できる。式(1−80)で表される化合物と式(1−81)で表される化合物とは、ほぼ化学量論量で用いる。
前記式(2)において、R116のスルホアニリノ基、又はスルホナフチルアミノ基としてはスルホアニリノ基が好ましい。前記R116は、好ましくは、さらにカルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキル基、シアノ基、ハロゲン原子、アルキルスルホニル基、及びアルキルチオ基よりなる群から選択される1種類以上の置換基を1つ又は2つ有することができる。
前記のうちR116としては、スルホ基を通常1つ〜5つ、好ましくは1つ〜3つ、より好ましくは1つ又は2つ有するスルホアニリノ基がさらに好ましく、スルホ基を2つ有するスルホアニリノ基が特に好ましい。これらの中では2,5−ジスルホアニリノ基が特に好ましい。
前記式(2)において、R117としてはアルキルアミノ基、又はヒドロキシ基が好ましく、アルキルアミノ基がより好ましい。R117がアルキルアミノ基のとき、好ましくは、さらにスルホ基、カルボキシ基、リン酸基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルカルボニルアミノ基、ウレイド基、アルキル基、アリール基、シアノ基、ハロゲン原子、アルキルスルホニル基、及びアルキルチオ基;より好ましくは、さらにスルホ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルキルスルホニル基、及びアルキルチオ基;よりなる群から選択される1種類以上の置換基を1つ又は2つ有することができる。これらの中ではスルホ基、カルボキシ基、及びリン酸基よりなる群から選択される1種類以上の置換基を1つ又は2つ有するアルキルアミノ基がさらに好ましく、スルホ基を1つ有するアルキルアミノ基が特に好ましい。
前記式(3)において、A3基は、カルボキシ基;スルホ基;ハロゲン原子;シアノ基;ニトロ基;スルファモイル基;アルキル基;アルコキシ基;アルキルスルホニル基;及び、ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたアルキルスルホニル基;よりなる群から選択される基を少なくとも1つ有するアリール基が好ましい。B3基、及びC3基は、それぞれ独立にカルボキシ基;スルホ基;アルキル基;アルコキシ基;及び、ヒドロキシ基、アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたアルコキシ基;アルキルチオ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたアルキルチオ基;よりなる群から選択される基を少なくとも1つ有するパラフェニレン基が好ましい。R31はカルボキシ基を有することができるアルキル基、スルホ基を有することができるアリール基、又はカルボキシ基が好ましい。
前記した全ての基は、後記する置換基群1から選択される1つ又は2つの基を、さらに有することができる。
式(3)で表される化合物のうち、A3基としてはカルボキシ基;スルホ基;シアノ基;ニトロ基;スルファモイル基;アルコキシ基;アルキルスルホニル基;及び、ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたアルキルスルホニル基;よりなる群から選択される基を1つ〜5つ有するアリール基が好ましい。同様に、カルボキシ基;スルホ基;シアノ基;ニトロ基;スルファモイル基;アルコキシ基;及び、ヒドロキシ基、及びスルホ基から選択される少なくとも1種類の基で置換されたアルキルスルホニル基;よりなる群から選択される基を1つ〜3つ有するアリール基がより好ましい。同様に、カルボキシ基;スルホ基;アルコキシ基;アルキルスルホニル基;及び、ヒドロキシ基、及びスルホ基から選択される少なくとも1種類の基で置換されたアルキルスルホニル基;よりなる群から選択される基を1つ〜3つ有するアリール基がさらに好ましい。同様に、カルボキシ基、及びスルホ基から選択される1つ又は2つの基を有するアリール基が特に好ましい。
式(3)で表される化合物のうち、B3基、及びC3基としてはスルホ基;アルキル基;アルコキシ基;及び、ヒドロキシ基、アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたアルコキシ基;よりなる群から選択される基を1つ又は2つ有するフェニレン基が好ましい。同様に、スルホ基;アルキル基;アルコキシ基;及び、スルホ基で置換されたアルコキシ基;よりなる群から選択される基を1つ又は2つ有するフェニレン基がより好ましい。これらの置換位置としては、B3基、及びC3基のそれぞれ右側に置換するアゾ基の置換位置を1位として、2位及び/又は5位に置換するのが好ましい。
式(3)で表される化合物のうち、R31としてはカルボキシ基を有することができるアルキル基が好ましく、無置換のアルキル基がより好ましい。R32としてはシアノ基、又はカルバモイル基が好ましい。R33及びR34としては一方が水素原子、他方がアルキル基、ハロゲン原子、又はスルホ基が好ましく;一方が水素原子、他方がアルキル基、又はスルホ基がより好ましく;一方が水素原子、他方がスルホ基であることがさらに好ましい。
前記式(3)で表される化合物は、例えば、特許文献1の記載、又はそれに準じて合成することができる。その具体例を以下に示すが、式(3)で表される化合物は、下記の例に限定されるものではない。
前記式(4)において、R41、R42、R45、R46及びR47は、それぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;シアノ基;ヒドロキシ基;カルボキシ基;スルホ基;スルファモイル基;N−アルキルアミノスルホニル基;N−アリールアミノスルホニル基;アルキルスルホニル基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたアルキルスルホニル基;リン酸基;ニトロ基;アルキルカルボニル基;アリールカルボニル基;ウレイド基;アルキル基;ヒドロキシ基、及びアルコキシ基から選択される少なくとも1種類の基で置換されたアルキル基;アルコキシ基;ヒドロキシ基、アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたアルコキシ基;アルキルカルボニルアミノ基;アリールカルボニルアミノ基;アルキルスルホニルアミノ基;アリールスルホニルアミノ基;ハロゲン原子、アルキル基、及びニトロ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたアリールスルホニルアミノ基;よりなる群から選択される基が好ましい。R43及びR44は、それぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;シアノ基;カルボキシ基;スルホ基;ニトロ基;アルキル基;ヒドロキシ基、及びアルコキシ基から選択される少なくとも1種類の基で置換されたアルキル基;アルコキシ基;アルコキシ基;ヒドロキシ基、アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたアルコキシ基;アルキルカルボニルアミノ基;アルキルスルホニルアミノ基;アリールスルホニルアミノ基;ハロゲン原子、アルキル基、及びニトロ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたアリールスルホニルアミノ基;アルキルチオ基;ヒドロキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたアルキルチオ基;よりなる群から選択される少なくとも1種類の基が好ましい。
前記した全ての基は、後記する置換基群1から選択される1つ又は2つの基を、さらに有することができる。
前記式(4)で表される化合物のうち、R41及びR42としては、それぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;シアノ基;カルボキシ基;スルホ基;スルファモイル基;N−アルキルアミノスルホニル基;N−アリールアミノスルホニル基;アルキルスルホニル基;ヒドロキシ基で置換されたアルキルスルホニル基;リン酸基;ニトロ基;アルキルカルボニル基;アリールカルボニル基;ウレイド基;アルキル基;アルコキシ基;ヒドロキシ基、アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される1つ又は2つの基で置換されたアルコキシ基;アルキルカルボニルアミノ基;アリールカルボニルアミノ基;よりなる群から選択される基が好ましい。同様に、それぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;シアノ基;スルファモイル基;アルキルカルボニルアミノ基;ニトロ基;カルボキシ基;及び、スルホ基;よりなる群から選択される基がより好ましい。R41及びR42としては、一方が水素原子、又はスルホ基、他方がカルボキシ基、スルホ基、又はアルコキシ基がさらに好ましく;一方が水素原子、他方がカルボキシ基、又はスルホ基が場合により好ましく;一方が水素原子、他方がスルホ基であることが特に好ましい。R41、R42及びニトロ基の置換位置は特に制限されないが、アゾ基の置換位置を1位として、R41が2位、ニトロ基が4位、R42が5位;又は、ニトロ基が2位、R41が4位、R42が5位であることが好ましい。
但し、R41及びR42の両方が同時に水素原子を表すことはない。
式(4)で表される化合物のうち、R43及びR44としては、それぞれ独立に水素原子;シアノ基;カルボキシ基;スルホ基;ニトロ基;アルキル基;アルコキシ基;ヒドロキシ基、アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたアルコキシ基;及び、アルキルカルボニルアミノ基;よりなる群から選択される基が好ましい。同様に、それぞれ独立に水素原子;カルボキシ基;スルホ基;アルキル基;アルコキシ基;スルホ基で置換されたアルコキシ基;よりなる群から選択される基がより好ましい。R43及びR44としては、一方がスルホ基、又はスルホ基で置換されたアルコキシ基、他方が水素原子、スルホ基、又はアルキル基がさらに好ましい。
R43としてはスルホ基が特に好ましい。
R44としては水素原子が特に好ましい。
R43及びR44の置換位置は特に制限されないが、右側のアゾ基の置換位置を1位、左側のアゾ基を4位として、R43が3位、R44が6位であることが好ましい。
式(4)で表される化合物のうちR45、R46及びR47としては、それぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;シアノ基;カルボキシ基;スルホ基;スルファモイル基;N−アルキルアミノスルホニル基;N−アリールアミノスルホニル基;アルキルスルホニル基;ヒドロキシ基で置換されたアルキルスルホニル基;リン酸基;ニトロ基;アルキルカルボニル基;アリールカルボニル基;ウレイド基;アルキル基;アルコキシ基;ヒドロキシ基、アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたアルコキシ基;アルキルカルボニルアミノ基;アリールカルボニルアミノ基;アルキル基で置換されたアリールスルホニルアミノ基;よりなる群から選択される基が好ましい。R45、R46及びR47としては、いずれか1つが水素原子;カルボキシ基;スルホ基;又は、アルキル基よりなる群から選択される基、他のいずれか1つが水素原子;ヒドロキシ基;カルボキシ基;スルホ基;スルファモイル基;ニトロ基;アルキルカルボニルアミノ基;アルキル基で置換されたアリールスルホニルアミノ基、残りの1つが水素原子;カルボキシ基;スルホ基;スルホ基で置換されたアルコキシ基よりなる群から選択される基、がより好ましい。これらの中でも、R45が水素原子;カルボキシ基;又はスルホ基、R46がスルホ基、R47が水素原子であることがさらに好ましい。R45、R46及びR47の置換位置は特に制限されない。好ましくは、アゾ基の置換位置を1位としてR45が2位又は3位、R46が4位、R47が5位であることが好ましい。
但し、式(4)で表される化合物においてR45、R46及びR47の全てが同時に水素原子を表すことはない。
式(4)中、置換位置が特定されていないスルホ基の置換位置は特に制限されない。このスルホ基の好ましい置換位置としては、右側のアゾ基の置換位置を1位、アミノ基を2位、ヒドロキシ基を3位、左側のアゾ基を4位、置換位置の特定されたスルホ基を5位として、7位である。
また、nは1が好ましい。
前記式(4)で表される化合物は、例えば、特許文献1の記載、又はそれに準じて合成することができる。その具体例を以下に示すが、式(4)で表される化合物は、下記の例に限定されるものではない。
[式(5)で表される化合物]
以下に、式(5)で表される化合物について説明する。式(5)で表される化合物においては、以下の置換基群1、置換基群2、イオン性親水性基、及びハメットの置換基定数σp値を使用する。
[置換基群1]
炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖アルキル基、炭素数7〜18の直鎖又は分岐鎖アラルキル基、炭素数2〜12の直鎖又は分岐鎖アルケニル基、炭素数2〜12の直鎖又は分岐鎖アルキニル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルケニル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、2−メチルスルホニルエチル、3−フェノキシプロピル、トリフルオロメチル、シクロペンチル)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)、アリール基(例えば、フェニル、4−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−アミルフェニル)、ヘテロ環基(例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メチルスルホニルエトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、3−t−ブチルオキシカルボニルフェノキシ、3−メトキシカルボニルフェニルオキシ、アシルアミノ基(例えば、アセトアミド、ベンズアミド、4−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)ブタンアミド)、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルブチルアミノ)、アリールアミノ基(例えば、フェニルアミノ、2−クロロアニリノ)、ウレイド基(例えば、フェニルウレイド、メチルウレイド、N,N−ジブチルウレイド)、スルファモイルアミノ基(例えば、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、オクチルチオ、2−フェノキシエチルチオ)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、2−ブトキシ−5−t−オクチルフェニルチオ、2−カルボキシフェニルチオ)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ)、アルキルスルホニルアミノ基及びアリールスルホニルアミノ基(例えば、メチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、p−トルエンスルホニルアミノ)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、スルホニル基(例えば、メチルスルホニル、オクチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−トルエンスルホニル)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル)、ヘテロ環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アゾ基(例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾ)、アルキルカルボニルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイルオキシ基(例えば、N−メチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ)、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、ジブチルメチルシリルオキシ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ)、イミド基(例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ヘテロ環チオ基(例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、2,4−ジ−フェノキシ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ、2−ピリジルチオ)、スルフィニル基(例えば、3−フェノキシプロピルスルフィニル)、ホスホニル基(例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル)、アシル基(例えば、アセチル、3−フェニルプロパノイル、ベンゾイル)、イオン性親水性基(カルボキシ基、スルホ基など)が挙げられる。これらの基は、更に置換基を有することができる。更なる置換基としては、以上に説明した置換基群1から選択される1つ又は2つの基を挙げることができる。括弧書きした各基の具体例は、これらの各基が更なる置換基を有する例も含む。
[置換基群2]
ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基、イオン性親水性基が例として挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。更なる置換基としては、以上に説明した置換基群2から選択される1つ又は2つの基を挙げることができる。
以下に、置換基群1及び置換基群2における各基をさらに詳しく説明する。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子が挙げられる。
アルキル基としては、直鎖、分岐、環状の置換若しくは無置換のアルキル基が挙げられ、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えば、アルコキシ基、アルキルチオ基のアルキル基)もこのような概念のアルキル基を表す。詳細には、アルキル基としては、好ましくは、炭素数1から30のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、エイコシル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、2―エチルヘキシル基等が挙げられ、シクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数3から30の置換又は無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基等が挙げられ、ビシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数5から30の置換若しくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基、例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル基等が挙げられる。
アラルキル基としては、置換若しくは無置換のアラルキル基が挙げられ、置換若しくは無置換のアラルキル基としては、炭素原子数が7〜30のアラルキル基が好ましい。例えばベンジル基及び2−フェネチル基を挙げられる。
アルケニル基としては、直鎖、分岐、環状の置換若しくは無置換のアルケニル基が挙げられ、シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を包含する。詳細には、アルケニル基としては、好ましくは、炭素数2から30の置換又は無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基、プレニル基、ゲラニル基、オレイル基等が挙げられ、シクロアルケニル基としては、好ましくは、炭素数3から30の置換若しくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3から30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基、例えば、2−シクロペンテン−1−イル基、2−シクロヘキセン−1−イル基等が挙げられ、ビシクロアルケニル基としては、置換若しくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5から30の置換若しくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基、例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル基等が挙げられる。
アルキニル基としては、好ましくは、炭素数2から30の置換又は無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。
アリール基としては、好ましくは、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリール基、例えば、フェニル基、p−トリル基、ナフチル基、m−クロロフェニル基、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル基等が挙げられる。
ヘテロ環基としては、好ましくは、5又は6員の置換若しくは無置換の芳香族若しくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数3から30の5又は6員の芳香族のヘテロ環基、例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基等が挙げられる。
アルコキシ基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基等が挙げられる。
アリールオキシ基としては、好ましくは、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基等が挙げられる。
シリルオキシ基としては、好ましくは、炭素数0から20の置換若しくは無置換のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ基、ジフェニルメチルシリルオキシ基等が挙げられる。
ヘテロ環オキシ基としては、好ましくは、炭素数2から30の置換若しくは無置換のヘテロ環オキシ基、例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基等が挙げられる。
アシルオキシ基としては、好ましくは、ホルミルオキシ基、炭素数2から30の置換若しくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
カルバモイルオキシ基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基等が挙げられる。
アルコキシカルボニルオキシ基としては、好ましくは、炭素数2から30の置換若しくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、t−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
アリールオキシカルボニルオキシ基としては、好ましくは、炭素数7から30の置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基等が挙げられる。
アミノ基としては、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含み、好ましくは、アミノ基、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアニリノ基、例えば、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基、トリアジニルアミノ基等が挙げられる。
アシルアミノ基としては、好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ基等が挙げられる。
アミノカルボニルアミノ基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基等が挙げられる。
アルコキシカルボニルアミノ基としては、好ましくは、炭素数2から30の置換若しくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、t−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ基等が挙げられる。
アリールオキシカルボニルアミノ基としては、好ましくは、炭素数7から30の置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基等が挙げられる。
スルファモイルアミノ基としては、好ましくは、炭素数0から30の置換若しくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基等が挙げられる。
アルキル又はアリールスルホニルアミノ基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基等が挙げられる。
アルキルチオ基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基等が挙げられる。
アリールチオ基としては、好ましくは、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基等が挙げられる。
ヘテロ環チオ基としては、好ましくは、炭素数2から30の置換又は無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基等が挙げられる。
スルファモイル基としては、好ましくは、炭素数0から30の置換若しくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル基等が挙げられる。
アルキル又はアリールスルフィニル基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換又は無置換のアルキルスルフィニル基、6から30の置換又は無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基等が挙げられる。
アルキル又はアリールスルホニル基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換又は無置換のアルキルスルホニル基、6から30の置換又は無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基等が挙げられる。
アシル基としては、好ましくは、ホルミル基、炭素数2から30の置換又は無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7から30の置換若しくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数2から30の置換若しくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基、例えば、アセチル基、ピバロイル基、2−クロロアセチル基、ステアロイル基、ベンゾイル基、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル基、2−ピリジルカルボニル基、2−フリルカルボニル基等が挙げられる。
アリールオキシカルボニル基としては、好ましくは、炭素数7から30の置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−t−ブチルフェノキシカルボニル基等が挙げられる。
アルコキシカルボニル基としては、好ましくは、炭素数2から30の置換若しくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
カルバモイル基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のカルバモイル基、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基等が挙げられる。
アリール又はヘテロ環アゾ基としては、好ましくは炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3から30の置換若しくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ等が挙げられる。
イミド基としては、好ましくは、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基等が挙げられる。
ホスフィノ基としては、好ましくは、炭素数0から30の置換若しくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基等が挙げられる。
ホスフィニル基としては、好ましくは、炭素数0から30の置換若しくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基等が挙げられる。
ホスフィニルオキシ基としては、好ましくは、炭素数0から30の置換若しくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基等が挙げられる。
ホスフィニルアミノ基としては、好ましくは、炭素数0から30の置換若しくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基が挙げられる。
シリル基としては、好ましくは、炭素数0から30の置換若しくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基等が挙げられる。
[イオン性親水性基]
スルホ基、カルボキシ基、チオカルボキシ基、スルフィノ基、ホスホノ基、ジヒドロキシホスフィノ基、ヒドロキシ基、リン酸基及び4級アンモニウム基、アシルスルファモイル基、スルホニルカルバモイル基、スルホニルスルファモイル基等が挙げられる。特に好ましくはスルホ基、カルボキシ基である。またカルボキシ基、ホスホノ基及びスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対カチオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)及び有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジウムイオン、テトラメチルホスホニウム)が含まれ、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩が好ましい。
式(5)で表される化合物が含有するイオン性親水性基の対カチオン(一価のカウンターカチオン)は主成分としてリチウムイオンを含むことが好ましい。対カチオンはすべてリチウムイオンでなくてもよいが、上記各インク組成物中のリチウムイオン濃度は、各インク組成物中の対カチオン全体に対して、50%以上とすることが好ましく、より好ましくは75%以上、更に好ましくは80%であり、特に好ましくは95%以上である。このような存在比率の条件下において、水素イオン、アルカリ金属イオン(例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン)、アルカリ土類金属イオン(例えば、マグネシウムイオン、カルシウムイオンなど)、4級アンモニウムイオン、4級ホスホニウムイオン、スルホニウムイオンなどを対カチオンとして含むことができる。
[ハメットの置換基定数σp値]
ハメット則はベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年L.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J.A.Dean編、「Lange’s Handbook of Chemistry」第12版、1979年(Mc Graw−Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。なお、本発明において各置換基をハメットの置換基定数σpにより限定したり説明したりするが、これは上記の成書で見出せる、文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に含まれるであろう置換基をも含むことはいうまでもない。式(5)で表される化合物はベンゼン誘導体ではないが、置換基の電子効果を示す尺度として、置換位置に関係なくσp値を使用する。本発明においては今後、σp値をこのような意味で使用する。
前記式(5)中、R51としてはアリール基を表し、後述する下記式(5−1)に表される構造のような、R511、R512及びR513を有するベンゼン環基であることが好ましい。R52としてはアルキル基、カルボキシ基で置換されたアルキル基、アリール基、スルホ基で置換されたアリール基、又はカルボキシ基が挙げられる。これらの中ではアルキル基が好ましい。R53としてはシアノ基、カルバモイル基、又はカルボキシ基が挙げられる。これらの中ではシアノ基が好ましい。R54及びR55としては、それぞれ独立にイオン性親水性基で置換されたアリール基が好ましく、スルホ基で置換されたアリール基がより好ましい。イオン性親水性基の置換数は通常1つ〜5つ、好ましくは1つ〜3つ、より好ましくは1つ又は2つ、さらに好ましくは1つである。イオン性親水性基の置換数が1つのときは、窒素原子と結合するR54及びR55の炭素原子を1位として、4位が好ましい。Gは窒素原子又は−C(R56)=を表す。R56は水素原子、スルホ基、カルボキシ基、置換若しくは無置換のカルバモイル基、又はシアノ基を表し、カルバモイル基が置換基を有する場合の置換基としてはアルキル基(メチル基、エチル基)、アリール基(フェニル基)を挙げることができる。
式(5)で表される化合物としては、下記式(5−1)で表される化合物が好ましい。
式(5−1)中、A5基、G、R52〜R55は、好ましいもの等を含めて式(5)と同じ意味を有する。R511、R512及びR513は、それぞれ独立に水素原子、又は1価の置換基を表す。R511、R512及びR513は、互いに結合して環を形成しても良い。R511、R512及びR513の全てが同時に水素原子を表すことはない。
R511、R512及びR513が置換基を表す場合の置換基としては、それぞれ独立に前記置換基群2を挙げることができる。一般式(1)において、R511、R512及びR513はそれぞれ独立に、水素原子、イオン性親水性基、置換又は無置換のヘテロ環アミノ基、置換又は無置換のカルバモイル基、置換又は無置換のスルファモイル基、置換又は無置換のアルキルスルホニルアミノ基、置換又は無置換のアリールスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のアシルアミノ基のいずれかであることが好ましく、水素原子、イオン性親水性基、置換又は無置換のアミノ基を置換基として有するヘテロ環アミノ基、置換又は無置換のアルキルスルホニルアミノ基、置換又は無置換のアリールスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のアシルアミノ基のいずれかであることがより好ましく、水素原子、置換又は無置換のアミノ基を置換基として有するヘテロ環アミノ基、イオン性親水性基を置換基として有するアリールスルホニルアミノ基、イオン性親水性基を置換基として有するアシルアミノ基のいずれかであることが特に好ましい。アシルアミノ基としては、アルキルカルボニルアミノ基、イオン性親水性基を置換基として有するアルキルカルボニルアミノ基、イオン性親水性基を置換基として有するアリールカルボニルアミノ基が好ましい。該アルキルカルボニルアミノ基におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、又はn−プロピル基が好ましく、エチル基がより好ましい。該アリールカルボニルアミノ基におけるアリール基としてはフェニル基が好ましい。R511、R512及びR513が表すヘテロ環アミノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アシルアミノ基が置換基を有する場合の置換基としては、それぞれ独立に、イオン性親水性基(例えば、−CO2M、−SO3M:Mは一価のカウンターカチオン)であることより好ましい。R511、R512及びR513は、互いに結合して環を形成しても良く、R511、R512及びR513が互いに結合して形成する環としては、例えばベンゼン環、ナフタレン環が挙げられ、ベンゼン環であることが好ましい。R511、R512及びR513は更に置換基を有していてもよく、更なる置換基としては、水酸基、置換又は無置換のアミノ基又はイオン性親水性基を有していてもよいアリール基、イオン性親水性基を有していてもよいヘテロ環基を挙げることができ、置換又は無置換のアミノ基であることが好ましい。該置換アミノ基の置換基としては、例えば、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基、置換又は無置換のヘテロ環基であることが好ましく、イオン性親水性基で置換されたアルキル基、又はイオン性親水性基で置換されたアリール基であることがより好ましい。
R511、R512及びR513はそれぞれ独立に水素原子、又は1価の置換基を表す。R511、R512及びR513が置換基を表す場合の置換基としては、それぞれ独立に前記置換基群2を挙げることができる。一般式(1)において、R511、R512及びR513はそれぞれ独立に、水素原子、イオン性親水性基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のカルバモイル基、置換若しくは無置換のスルファモイル基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のアシルアミノ基のいずれかであることが好ましい。置換若しくは無置換のアミノ基である場合、ヘテロ環アミノ基であることが好ましい。R511、R512及びR513はそれぞれ独立に、水素原子、イオン性親水性基、置換若しくは無置換のヘテロ環アミノ基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のアシルアミノ基のいずれかであることがより好ましく、水素原子、置換若しくは無置換のヘテロ環アミノ基、置換若しくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のアシルアミノ基のいずれかであることが特に好ましい。
R511、R512及びR513が表すヘテロ環アミノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アシルアミノ基が置換基を有する場合の置換基としては、それぞれ独立に、イオン性親水性基(例えば、−CO2M、−SO3M:Mは一価のカウンターカチオン)であることがより好ましい。R511、R512及びR513は更に置換基を有していてもよく、更なる置換基としては、水酸基、置換若しくは無置換のアミノ基又はイオン性親水性基を有していてもよいアリール基、イオン性親水性基を有していてもよいヘテロ環基を挙げることができ、置換若しくは無置換のアミノ基であることが好ましい。該置換アミノ基の置換基としては、例えば、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基であることが好ましく、イオン性親水性基で置換されたアルキル基、又はイオン性親水性基で置換されたアリール基であることがより好ましい。
ヘテロ環アミノ基としては、置換若しくは無置換のトリアジニルアミノ基が好ましく、置換基を有するトリアジニルアミノ基がより好ましい。トリアジニルアミノ基が有する置換基としては、置換若しくは無置換のアミノ基が好ましく、置換若しくは無置換のアミノ基であることが特に好ましい。該置換アミノ基の置換基としては、上述の例が好適に用いられる。ここで、イオン性親水性基で置換されたアルキル基におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、又はn−プロピル基が好ましく、エチル基がより好ましい。イオン性親水性基で置換されたアリール基におけるアリール基としてはフェニル基が好ましい。
アシルアミノ基としては、アルキルカルボニルアミノ基、イオン性親水性基を置換基として有するアルキルカルボニルアミノ基、イオン性親水性基を置換基として有するアリールカルボニルアミノ基が好ましい。該アルキルカルボニルアミノ基におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、又はn−プロピル基が好ましく、エチル基がより好ましい。該アリールカルボニルアシル基におけるアリール基としてはフェニル基が好ましい。
R511、R512及びR513の全てが同時に水素原子を表すことはない。R511、R512及びR513は、互いに結合して環を形成しても良く、R511、R512及びR513が互いに結合して形成する環としては、例えばベンゼン環、ナフタレン環が挙げられ、ベンゼン環であることが好ましい。R511、R512及びR513のなかでも、R512が置換基を表すことが好ましく、R511、及びR513が水素原子を表し、R512が置換基を表すことがより好ましい。特に、R511、及びR513は水素原子を表し、R512は置換若しくは無置換のアミノ基を置換として有するヘテロ環アミノ基、イオン性親水性基を置換基として有するアリールスルホニルアミノ基、又はイオン性親水性基を置換基として有するアシルアミノ基であることが最も好ましい。
R511、R512及びR513が表す置換基としてより具体的には、下記の置換基(A5−1)を挙げることができる。
置換基(A5−1)中、*はR511〜R513としての結合手を表す。LA511は単結合、カルボニル基、スルホニル基を表す。RA511は置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。
RA511は置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基であることが好ましく、置換基を有する場合の置換基は、イオン性親水性基、アリールアミノ基、アルキルアミノ基が挙げられる。
前記置換基(A5−1)は、下記置換基(A5−2)又は(A5−3)であることが好ましい。
置換基(A5−2)及び(A5−3)中、*はR511〜R513としての結合手を表す。LA521はカルボニル基、又はスルホニル基を表す。RA521は置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。RA531は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。
RA521は置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表し、置換基を有する場合の置換基は、イオン性親水性基であることが好ましい。RA531は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表し、置換基を有する場合の置換基は、アルキルアミノ基、アリールアミノ基であることが好ましく、アルキルアミノ基又はアリールアミノ基であることがより好ましく、これらは更に置換基を有していてもよくイオン性親水性基により置換されていることが好ましい。
前記置換基(A5−3)は、下記置換基(A5−4)であることが好ましい。
置換基(A5−4)中、*はR511〜R513としての結合手を表す。RA541はそれぞれ独立に置換若しくは無置換のアルキルアミノ基、又は置換若しくは無置換のアリールアミノ基を表す。
RA541は、それぞれ独立に置換若しくは無置換のアルキルアミノ基、または置換若しくは無置換のアリールアミノ基を表し、置換基を有する場合の置換基は、イオン性親水性基であることが好ましい。
前記置換基(A5−1)〜(A5−4)の具体例を以下に示すが、下記の例に限定されるものではない。*はR511〜R513としての結合手を表す。
A5基は置換フェニル基、又は置換若しくは無置換の含窒素5員ヘテロ環基を表す。置換フェニル基としては、置換基群2を有するフェニル基が挙げられ、イオン性親水性基又はハメットのσp値が0.3以上の電子求引性基を有するフェニル基であることが更に好ましい。
A5基が表す含窒素ヘテロ環基は、置換若しくは無置換の含窒素へテロ環基が含まれる。Aが表すヘテロ環基としては、5員の、置換若しくは無置換の芳香族若しくは非芳香族のへテロ環化合物から1個の水素原子を取り除いた1価の基が好ましく、炭素数2〜4の5員の芳香族へテロ環基がより好ましい。置換基の例としては、前述の置換基群2の項で述べた基が挙げられる。前記含窒素5員ヘテロ環基としては、置換位置を限定しないで表すと、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環が挙げられる。
前記式(5)で表される化合物としては、下記式(5−2)で表される化合物も好ましい。
式(5−2)中、A5基、G、R52〜R55は、好ましいもの等を含めて式(5)と同じ意味を有する。R521、R522、R523、及びR524は、それぞれ独立に水素原子、又は1価の置換基を表す。A52は置換フェニル基、又は置換若しくは無置換の含窒素5員ヘテロ環基を表す。
式(5−2)中のR521、R522、R523、及びR524が表す1価の置換基としては、それぞれ独立に、置換基群1を挙げることができ、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基、置換又は無置換のヘテロ環基であることが好ましく、イオン性親水性基で置換されたアルキル基(炭素数1〜10のアルキル基が挙げられ、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、又はt−ブチルが好ましく、メチル、エチル、又はn−プロピルがより好ましく、n−プロピルが更に好ましい。)、又はイオン性親水性基で置換されたアリール基(炭素数6〜20のアリール基が挙げられ、フェニル、ナフチルが好ましく、フェニルがより好ましい。)であることがより好ましい。
前記式(5)又は式(5−2)で表される化合物としては、下記式(5−3)で表される化合物が好ましい。
式(5−3)中、G、R52〜R55は、好ましいもの等を含めて式(5)と同じ意味を有する。また、R521、R522、R523、及びR524は、好ましいもの等を含めて式(5−2)と同じ意味を有する。X521、X522、X523、X524及びX525は、それぞれ独立に水素原子、又は1価の置換基を表す。X521、X522、X523、X524及びX525が置換基を表す場合の置換基としては、前記の置換基群2を挙げることができる。X521、X522、X523、X524及びX525は、それぞれ独立に水素原子、イオン性親水性基、シアノ基、置換又は無置換のアルキルスルホニル基、置換又は無置換のアリールスルホニル基、ニトロ基、置換又は無置換のアルコキシカルボニル基、置換又は無置換のカルバモイル基、置換又は無置換のスルファモイル基であることが好ましく、水素原子、イオン性親水性基、シアノ基、メタンスルホニル基、フェニルスルホニル基、ニトロ基、メトキシカルボニル基、カルバモイル基であることがより好ましく、水素原子、イオン性親水性基、又はシアノ基であることが特に好ましい。
式(5−3)において、X522及びX524は、それぞれ独立に、水素原子又はイオン性親水性基であることが好ましい。X521、X523及びX525は、それぞれ独立に水素原子、又は置換基群2のいずれかであることが好ましく、更に、X521、X523及びX525の少なくとも一つはハメットのσp値が0.3以上の電子求引性基を表すことが好ましい。ハメットの置換基定数σp値の上限としては1.0以下の電子求引性基である。
σp値が0.3以上の電子求引性基の具体例としては、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、ジアリールホスフィニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基、アシルチオ基、スルファモイル基、チオシアネート基、チオカルボニル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン化アリールオキシ基、ハロゲン化アルキルアミノ基、ハロゲン化アルキルチオ基、σp値が0.3以上の他の電子求引性基で置換されたアリール基、ニトロ基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アゾ基、又はセレノシアネート基が挙げられる。好ましくはシアノ基、メチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、メトキシカルボニル基、カルバモイル基、ニトロ基であり、より好ましくはシアノ基、メチルスルホニル基、ニトロ基である。
式(5−3)で表される化合物として特に好ましい組み合わせは、以下の(5−3−i)〜(5−3−v)を含む。
(5−3−i)
X522及びX524はそれぞれ独立に、水素原子又はイオン性親水性基であることが好ましく、X521、X523及びX525の少なくとも一つはハメットのσp値が0.3以上の電子求引性基を表すことが好ましく、シアノ基、メチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、メトキシカルボニル基、カルバモイル基、ニトロ基であり、より好ましくはシアノ基、メチルスルホニル基、ニトロ基であり、更に好ましくはシアノ基でありX521、X522、X523及びX524が、水素原子であってX525がシアノ基である
(5−3−ii)
Gは窒素原子又は−C(R56)=を表し、R56は水素原子、スルホ基、カルボキシ基、置換又は無置換のカルバモイル基、又はシアノ基を表し、カルバモイル基(−CONH2基)又はシアノ基であることが好ましく、シアノ基がより好ましい。
(5−3−iii)
R521、R522、R523、及びR524が表す1価の置換基としては、置換基群1を挙げることができ、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基、置換又は無置換のヘテロ環基であることが好ましく、イオン性親水性基で置換されたアルキル基、又はイオン性親水性基で置換されたアリール基であることがより好ましい。これらの中ではR521及びR522の一方が水素原子、他方がイオン性親水性基で置換されたアルキル基が好ましい。同様に、R523及びR524の一方が水素原子、他方がイオン性親水性基で置換されたアリール基が好ましく、他方が1つ〜3つのイオン性親水性基で置換されたアリール基がより好ましく、2つのイオン性親水性基で置換されたフェニル基が特に好ましい。このとき、イオン性親水性基の置換位置は特に制限されないが、R523又はR524が結合する窒素原子の位置を1位として、2位及び5位が好ましい。
(5−3−iv)
R52としてはアルキル基が好ましく、R53としてはシアノ基が好ましく、R54及びR55としてはイオン性親水性基で置換されたアリール基が好ましい。R54及びR55としてはイオン性親水性基で置換されたフェニル基がより好ましく、イオン性親水性基で置換されたフェニル基がさらに好ましい。このとき、イオン性親水性基の置換位置は特に制限されないが、R54及びR55が結合する窒素原子の位置を1位として、4位が好ましい。
(5−3−v)
イオン性親水性基としてはスルホ基、又はカルボキシ基が好ましく、スルホ基がより好ましい。
前記式(5)で表される化合物としては、下記式(5−4)で表される化合物も好ましい。
式(5−4)中、R541は1価の置換基を表し、G、R52〜R55及びA5基は、好ましいもの等を含めて式(5)と同じ意味を有する。また、LA521は式(A5−2)と同じ意味を有する。
式(5−4)中のR541が表す1価の置換基としては、置換基群1を挙げることができ、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基、置換又は無置換のヘテロ環基であることが好ましく、イオン性親水性基で置換されたアルキル基、又はアリール基であることがより好ましく、特に好ましくは、イオン性親水性基で置換されたアルキル基である。イオン性親水性基で置換されたアルキル基において、アルキル基としては、メチル基、エチル基、又はn−プロピル基、が好ましく、エチル基が特に好ましい。イオン性親水性基としてはスルホ基、又はカルボキシ基が好ましく、カルボキシ基がより好ましい。
前記式(5−4)で表される化合物としては、下記式(5−5)で表される化合物が好ましい。
式(5−5)中、R541、G、R52〜R55は、好ましいもの等を含めて式(5)又は式(5−4)と同じ意味を有する。また、LA521は式(A5−2)と同じ意味を有する。X551、X552、X553、X554及びX555は、それぞれ独立に水素原子、又は1価の置換基を表す。1価の置換基としては、前記の置換基群2を挙げることができる。X551、X552、X553、X554及びX555はそれぞれ独立に水素原子、イオン性親水性基、シアノ基、置換又は無置換のアルキルスルホニル基、置換又は無置換のアリールスルホニル基、ニトロ基、置換又は無置換のアルコキシカルボニル基、置換又は無置換のカルバモイル基、置換又は無置換のスルファモイル基であることが好ましく、水素原子、イオン性親水性基、シアノ基、メタンスルホニル基、フェニルスルホニル基、ニトロ基、メトキシカルボニル基、カルバモイル基であることがより好ましく、水素原子、イオン性親水性基、又はシアノ基であることが特に好ましい。イオン性親水性基としてはスルホ基、又はカルボキシ基が好ましく、カルボキシ基がより好ましい。
一般式(5−5)において、X552及びX554はそれぞれ独立に水素原子、又はイオン性親水性基であることが好ましい。X551、X553及びX555はそれぞれ独立に水素原子、又は置換基群2のいずれかであることが好ましく、更に、X551、X553及びX555の少なくとも一つはハメットのσp値が0.3以上の電子求引性基を表すことが好ましい。ハメットの置換基定数σp値の上限としては1.0以下の電子求引性基である。これらの具体例としては、前記と同じものが挙げられる。
一般式(5−5)で表される化合物として特に好ましい組み合わせは、以下の(5−5−i)〜(5−5−v)を含む。
(5−5−i)
X552及びX554の少なくとも一つはイオン性親水性基であることが好ましく、X551、X553及びX555が水素原子又はハメットのσp値が0.3以上の電子求引性基であることが好ましく、X551、X553及びX555が水素原子であって、X552及びX554がイオン性親水性基であることがより好ましい。より具体的には、X551〜X554が水素原子、X555がハメットのσp値が0.3以上の電子求引性基電子吸引性基、好ましくはシアノ基;又は、X551、X553及びX555が水素原子、X552及びX554がイオン性親水性基、好ましくはカルボキシ基である。
(5−5−ii)
Gは窒素原子又は−C(R56)=を表し、R56は水素原子、スルホ基、カルボキシ基、置換又は無置換のカルバモイル基、又はシアノ基を表し、カルバモイル基(−CONH2基)又はシアノ基であることが好ましく、シアノ基がより好ましい。
(5−5−iii)
R541が表す1価の置換基としては、置換基群1を挙げることができ、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基、ヘテロ環基であることが好ましく、イオン性親水性基で置換されたアルキル基、アリール基であることがより好ましい。より具体的には、R541がアルキル基(特に好ましくはメチル)、カルボキシ基で置換されたアルキル基(特に好ましくはカルボキシエチル)、スルホニル基(特に好ましくはメチルスルホニル)、イオン性親水性基で置換されたアリール基(好ましくは1つ〜3つ、より好ましくは1つ又は2つのイオン性親水性基で置換されたアリール基、さらに好ましくは1つ又は2つのイオン性親水性基で置換されたフェニル基)が挙げられる。R541が1つ又は2つのイオン性親水性基で置換されたフェニル基のとき、イオン性親水性基の置換位置は特に制限されないが、LA521との結合位置を1位として、2位及び/又は4位が好ましい。
(5−5−iv)
R52としてはアルキル基が好ましく、R53としてはシアノ基が好ましく、R54及びR55としてはイオン性親水性基で置換されたアリール基が好ましい。R54及びR55としてはイオン性親水性基で置換されたフェニル基がより好ましく、イオン性親水性基で置換されたフェニル基がさらに好ましい。このとき、イオン性親水性基の置換位置は特に制限されないが、R54及びR55が窒素原子と結合する炭素原子の位置を1位として、4位が好ましい。
(5−5−v)
イオン性親水性基としては、スルホ基、又はカルボキシ基が好ましく、カルボキシ基がより好ましい。
前記式(5−4)で表される化合物としては、下記式(5−6)で表される化合物も好ましい。
式(5−6)中、R541、G、R52、R54及びR55は、好ましいもの等を含めて式(5)又は式(5−4)と同じ意味を有する。R53は、それぞれ独立に、好ましいもの等を含めて式(5)又は式(5−4)と同じ意味を有する。また、LA521は式(A5−2)と同じ意味を有する。R561は、イオン性親水性基で置換されたアリール基、好ましくは1つ〜3つ、より好ましくは1つ又は2つのイオン性親水性基で置換されたアリール基、さらに好ましくは2つのイオン性親水性基で置換されたアリール基、特に好ましくは2つのイオン性親水性基で置換されたフェニル基を表す。R561が2つのイオン性親水性基で置換されたフェニル基のとき、イオン性親水性基の置換位置に制限はない。好ましくは、R561が窒素原子と結合する炭素原子の位置を1位として、3位及び5位である。
式(5−6)で表される化合物として特に好ましい組み合わせは、以下の(5−6−i)〜(5−6−v)を含む。
(5−6−i)
Gは窒素原子又は−C(R56)=を表し、R56は水素原子、スルホ基、カルボキシ基、置換又は無置換のカルバモイル基、又はシアノ基を表し、カルバモイル基(−CONH2基)又はシアノ基であることが好ましく、シアノ基がより好ましい。
(5−6−ii)
R541が表す1価の置換基としては、置換基群1を挙げることができ、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基、ヘテロ環基であることが好ましく、イオン性親水性基で置換されたアルキル基、アリール基であることがより好ましく、イオン性親水性基で置換されたアリール基であることがさらに好ましい。より具体的には、R541がアルキル基(特に好ましくはメチル)、カルボキシ基で置換されたアルキルカルボニル基(特に好ましくはカルボキシエチルカルボニル)、スルホニル基(特に好ましくはメチルスルホニル)、イオン性親水性基で置換されたアリール基(好ましくは1つ〜3つ、より好ましくは1つ又は2つのイオン性親水性基で置換されたアリール基、さらに好ましくは1つ又は2つのイオン性親水性基で置換されたフェニル基)が挙げられる。R541が1つ又は2つのイオン性親水性基で置換されたフェニル基のとき、イオン性親水性基の置換位置は特に制限されないが、LA521との結合位置を1位として、2位及び/又は4位が好ましい。
(5−6−iii)
R52としてはアルキル基が好ましく、R53としてはシアノ基が好ましく、R54及びR55としてはイオン性親水性基で置換されたアリール基が好ましい。R54及びR55としてはイオン性親水性基で置換されたフェニル基がより好ましく、イオン性親水性基で置換されたフェニル基がさらに好ましい。このとき、イオン性親水性基の置換位置は特に制限されないが、R54及びR55が結合する窒素原子の位置を1位として、4位が好ましい。
(5−6−iv)
イオン性親水性基としては、スルホ基、又はカルボキシ基が好ましく、カルボキシ基がより好ましい。
前記式(5)、式(5−1)〜式(5−6)で表される化合物は、水を溶媒として測定した吸収スペクトルの最大吸収波長(λmax)が550nm以上700nm以下であることが好ましく、更に580nm〜650nmであることが特に好ましい。また、式(5)、式(5−1)〜式(5−6)で表される化合物は少なくとも3つ以上のイオン性親水性基を有することが好ましい。より好ましくはイオン性親水性基を3〜6個有し、更に好ましくはイオン性親水性基を4〜5個有する。
前記式(5)で表される化合物の具体例を以下に示すが、式(5)で表される化合物は、下記の例に限定されるものではない。
式(5)、式(5−1)〜式(5−6)で表される化合物は、例えば、特許文献3〜8に記載の方法、又はその方法に準じて合成することができる。
前記式(6)中、A6基、及びD6基におけるアリール基としてはフェニルが好ましい。B6基、及びC6基におけるアリーレン基としては、炭素数6から30、好ましくは6から10のアリーレン基が挙げられる。その具体例としては、フェニレン、ナフチレンが挙げられ、フェニレンが好しく、パラフェニレンがさらに好ましい。A6基、D6基、B6基、及びC6基は、前記置換基群1から選択される基を1つ〜3つ、好ましくは1つ又は2つ、それぞれ有することができる。式(6)で表される化合物は、1分子内に通常1つ〜8つ、好ましくは1つ〜7つ、より好ましくは1つ〜6つ、さらに好ましくは1つ〜5つのイオン性親水性基を有する。
前記式(6)において、A6基、B6基、C6基、及びD6基の置換基としては、前記置換基群1のうち、アルキル基;ハロゲン原子;シアノ基;ヒドロキシ基;ニトロ基;カルボキシ基;アミノ基;アルコキシ基;アシルアミノ基;アルキルアミノ基;アルキルチオ基;カルバモイル基;スルファモイル基;スルホニル基;アシル基;及び、イオン性親水性基;よりなる群から選択される基が好ましい。また、ヒドロキシ基、カルバモイル基、及びイオン性親水性基よりなる群から選択される基で置換されていてもよいアルキル基;ハロゲン原子;シアノ基;ヒドロキシ基;ニトロ基;カルボキシ基;アミノ基;ヒドロキシ基、カルバモイル基、及びイオン性親水性基よりなる群から選択される基で置換されていてもよいアルコキシ基;アシルアミノ基;ヒドロキシ基、カルバモイル基、及びイオン性親水性基よりなる群から選択される基で置換されていてもよいアルキルアミノ基;ヒドロキシ基、カルバモイル基、及びイオン性親水性基よりなる群から選択される基で置換されていてもよいアルキルチオ基;カルバモイル基;スルファモイル基;ヒドロキシ基、カルバモイル基、及びイオン性親水性基よりなる群から選択される基で置換されていてもよいスルホニル基;アシル基;及び、イオン性親水性基;よりなる群から選択される基がより好ましい。前記のうち、A6基、及びD6基の置換基としてはハロゲン原子、及びイオン性親水性基から選択される基がさらに好ましい。また、B6基、及びC6基の置換基としては非置換アルキル基、ハロゲン原子、イオン性親水性基で置換されていてもよいアルコキシ基、及びイオン性親水性基よりなる群から選択される基がさらに好ましい。
式(6)で表される化合物として特に好ましい組み合わせは、以下の(6−i)及び(6−ii)を含む。
(6−i)
A6基、及びD6基はイオン性親水性基を有するフェニル基であり、さらにハロゲン原子、又は非置換アルコキシ基を有する。B6基、及びC6基はハロゲン原子、及びイオン性親水性基で置換されたアルコキシ基を有するフェニル基であり、R61はカルボニル基である。A6基、及びD6基が有する置換基の位置は、式(6)中のアゾ基の置換位置を1位として3位及び4位であるB6基、及びC6基が有する置換基の位置は、式(6)中の窒素原子の置換位置を1位として2位、及び5位(好ましくはイオン性親水性基で置換されたアルコキシ基が2位、ハロゲン原子が5位)である。
(6−ii)
A6基がイオン性親水性基を有するフェニル基であり、D6基はイオン性親水性基を有する、フェニル基又はナフチル基である。B6基はイオン性親水性基を有するパラフェニレン基であり、C6基は非置換アルキル基、非置換アルコキシ基、及びイオン性親水性基よりなる群から選択される基を有してもよいフェニル基である。R61は式(9)で表される基であり、R91はイオン性親水性基で置換されたアルキルアミノ基である。A6基が有する置換基の位置は、式(6)中のアゾ基の置換位置を1位として3位又は4位である。D6基がフェニル基のとき、D6基が有する置換基の位置は、式(6)中のアゾ基の置換位置を1位として3位、又は4位である。D6基がナフチル基のとき、式(6)中のアゾ基の置換位置は2位であり、D6基が有する置換基の位置は4位及び8位、又は、6位及び8位である。B6基が有する置換基の位置は、式(6)中の窒素原子の置換位置を1位として2位である。C6基が有する置換基の位置は、式(6)中の窒素原子の置換位置を1位として2位、又は3位である。
前記式(6)で表される化合物の具体例を以下に示すが、式(6)で表される化合物は、下記の例に限定されるものではない。
下記表26〜表33中の略号等は、以下の意味を有する。
A6 & D6:A6基、及びD6基が同じ基であることを意味する。
B6 & C6:B6基、及びC6基が同じ基であることを意味する。
Ph:フェニル。
SPO:スルホプロポキシ。
PL:パラフェニレン。
Me:メチル。
CPO:カルボキシプロポキシ。
SEO:スルホエトキシ。
SBO:スルホブトキシ。
SEA:スルホエチルアミノ。
SMA:スルホメチルアミノ。
SPA:スルホプロピルアミノ。
Np:ナフチル。
表26〜表33における各基の読み方を、No.6−1及びNo.6−300を例として簡単に説明する。
No.6−1:
「3−SO3H−4−F−Ph」は「3−スルホ−4−フルオロ−フェニル」である。また、「2−(3−SPO)−5−F−PL」は「2−(3−スルホプロポキシ)−5−フルオロ−パラフェニレン」である。すなわち、No.6−1は、A6基、及びD6基が3−スルホ−4−フルオロ−フェニル基であり、B6基、及びC6基が2−(3−スルホプロポキシ)−5−フルオロ−パラフェニレン基であり、R61がカルボニル基の化合物であることを意味する。
No.6−300:
「3−SO3H−Ph」は「3−スルホ−フェニル」である。「2−(3−SPO)−PL」は「2−(3−スルホプロポキシ)−パラフェニレン」である。「4,6,8−(SO3H)3−2−Np」は「4,6,8−トリスルホ−2−ナフチル」である。すなわち、No.6−300は、A6基が3−スルホ−フェニル基、B6基が2−(3−スルホプロポキシ)−パラフェニレン基、C6基が非置換のパラフェニレン基、D6基が4,6,8−トリスルホ−2−ナフチル基、R61が式(9)で表される基であり、そのR91がスルホエチルアミノ基の化合物であることを意味する。
式(6)で表される化合物は、例えば、特許文献9及び10に記載の方法、又はその方法に準じて合成することができる。
前記式(7)中、A71基、及びA72基におけるアリール基としてはフェニルが好ましい。B71基、C71基、B72基、及びC72基におけるアリーレン基としては、炭素数6から30、好ましくは6から10のアリーレン基が挙げられる。その具体例としては、フェニレン、ナフチレンが挙げられ、フェニレンが好しく、パラフェニレンがさらに好ましい。A71基、B71基、C71基、A72基、B72基、C72基は、前記置換基群1から選択される基を1つ〜3つ、好ましくは1つ又は2つ、より好ましくは1つ、それぞれ有することができる。式(7)で表される化合物は、1分子内に通常1つ〜8つ、好ましくは1つ〜7つ、より好ましくは1つ〜6つのイオン性親水性基を有する。
前記式(7)においてR71が式(10)のとき、A71基、B71基、A72基、及びB72基の置換基としては、前記置換基群1のうち、イオン性親水性基が好ましい。C71基、及びC72基の置換基としては、前記置換基群1のうち、アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシルアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ウレイド基よりなる群から選択される基が好ましい。R91としては、イオン性親水性基で置換されたアルキルアミノ基が好ましい。また、式(7)においてR71が式(10)のとき、C71基、及びC72基は、式(10)中の「*」を付けた窒素原子と結合する。
式(7)においてR71が式(10)で表される化合物として特に好ましい組み合わせは、以下の(7−i)を含む。
(7−i)
A71基、及びA72基は、それぞれ独立にイオン性親水性基(好ましくはスルホ基)を有するフェニル基である。B71基、及びB72基は、それぞれ独立にイオン性親水性基(好ましくはスルホ基)を有するフェニレン(好ましくはパラフェニレン)である。C71基、及びC72基は、それぞれ独立に非置換アルキル基を有するフェニレン(好ましくはパラフェニレン)である。A71基、及びA72基が有する置換基の位置は、式(7)中のアゾ基の置換位置を1位として4位である。B71基、及びB72基が有する置換基の位置は、式(7)中のA71基、又はA72基が結合するアゾ基の置換位置を1位として3位である。C71基、及びC72基が有する置換基の位置は、式(7)中の「−NH−」の置換位置を1位として3位である。R91としては、イオン性親水性基(好ましくはカルボキシ基、及びスルホ基から選択される基)で置換されたモノ−又はジ−アルキルアミノ基が好ましい。
前記式(7)においてR71が式(11)のとき、A71基、B71基、A72基、及びB72基の置換基としては、前記置換基群1のうち、アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、及びイオン性親水性基よりなる群から選択される基が好ましい。A71基、及びA72基の置換基としてはアルコキシ基、ヒドロキシ基、及びイオン性親水性基よりなる群から選択される基がより好ましく、イオン性親水性基がさらに好ましい。A71基、及びA72基が有する置換基の数は通常1つ〜5つ、好ましくは1つ〜4つ、より好ましくは1つ〜3つ、さらに好ましくは1つ又は2つ、特に好ましくは1つである。B71基、及びB72基の置換基としてはアルキル基、及びアルコキシ基よりなる群から選択される基がより好ましく、非置換であることがさらに好ましい。B71基、及びB72基が置換基を有するとき、その数は通常1つ〜4つ、好ましくは1つ〜3つ、より好ましくは1つ又は2つである。C71基、及びC72基の置換基としては、前記置換基群1のうち、イオン性親水性基が好ましい。C71基、及びC72基が有する置換基の数は通常1つ〜4つ、好ましくは1つ〜3つ、より好ましくは1つ又は2つ、さらに好ましくは1つである。また、式(7)においてR71が式(11)のとき、C71基、及びC72基は、式(11)中の「*」を付けた炭素原子と結合する。式(7)においてR71が式(11)で表される化合物として特に好ましい組み合わせは、以下の(7−ii)及び(7−iii)を含む。
(7−ii)
A71基、及びA72基は、それぞれ独立にアルコキシ基、ヒドロキシ基、及びイオン性親水性基よりなる群から選択される基を有するフェニル基である。その置換位置は、アゾ基の置換位置を1位として、置換基が3つのとき3位、4位、及び5位;置換基が2つのとき3位、及び4位;置換基が1つのとき3位、又は4位が好ましい。B71基、及びB72基は、非置換のフェニレン(好ましくはパラフェニレン);又は、アルキル基、及びアルコキシ基よりなる群から選択される基を有するフェニレン(好ましくはパラフェニレン)である。置換基を有するとき、その置換位置は、C71基が結合するアゾ基の置換位置を1位として、置換基が2つのとき2位、及び5位;置換基が1つのとき2位、又は3位が好ましい。C71基、及びC72基は、それぞれ独立にイオン性親水性基(好ましくはスルホ基)を有するフェニレン基(好ましくはパラフェニレン基)である。その置換位置は、R71との結合位置を1位として2位が好ましい。
(7−iii)
A71基、及びA72基は、それぞれ独立にイオン性親水性基(好ましくはスルホ基)を1つ有するフェニル基である。その置換位置は、アゾ基の置換位置を1位として4位が好ましい。B71基、及びB72基は、非置換のフェニレン(好ましくはパラフェニレン)である。C71基、及びC72基は、それぞれ独立にイオン性親水性基(好ましくはスルホ基)を1つ有するフェニレン基(好ましくはパラフェニレン基)である。その置換位置は、R71との結合位置を1位として2位が好ましい。
前記式(7)で表される化合物の具体例を以下に示すが、式(7)で表される化合物は、下記の例に限定されるものではない。
下記表34及び表35中の略号等は、以下の意味を有する。
R71における「10」は式(10)、「11」は式(11)で表される基をそれぞれ意味する。
A71 & A72:A71基、及びA72基が同じ基であることを意味する。
B71 & B72:B71基、及びB72基が同じ基であることを意味する。
C71 & C72:C71基、及びC72基が同じ基であることを意味する。
Ph:フェニル。
PL:パラフェニレン。
Me:メチル。
Et:エチル。
nPr:n−プロピル。
SEA:スルホエチルアミノ。
(CP)2A:(ジ−カルボキシプロピル)アミノ。
CEA:カルボキシエチルアミノ。
CPeA:カルボキシペンチルアミノ。
SMA:スルホメチルアミノ。
(SM)2A:(ジ−スルホメチル)アミノ。
(SE)2A:(ジ−スルホエチル)アミノ。
CMA:カルボキシメチルアミノ。
(CM)2A:(ジ−カルボキシメチル)アミノ。
(CE)2A:(ジ−カルボキシエチル)アミノ。
SPA:スルホプロピルアミノ。
(SP)2A:(ジ−スルホプロピル)アミノ。
OMe:メトキシ。
OH:ヒドロキシ。
表34及び表35における各基の読み方を、No.7−1及びNo.7−44を例として簡単に説明する。
No.7−1:
「4−SO3H−Ph」は「4−スルホ−フェニル」である。「3−SO3H−PL」は「3−スルホ−パラフェニレン」である。「3−Me−PL」は「3−メチル−パラフェニレン」である。また、「SEA」はスルホエチルアミノである。すなわち、No.7−1は、A71基、及びA72基が4−スルホ−フェニル基であり、B71基、及びB72基が3−スルホ−パラフェニレン基であり、C71基、及びC72基が3−メチル−パラフェニレン基であり、R71が式(10)で表される基であり、そのR91がスルホエチルアミノ基である化合物であることを意味する。
No.7−44;
「3−CO2H−4−OMe−5−SO3H−Ph」は「3−カルボキシ−4−メトキシ−5−スルホフェニル」である。「2,5−(Me)2−PL」は「2,5−ジメチル−パラフェニレン」である。また、「2−SO3H−PL」は「2−スルホ−パラフェニレン」である。すなわち、No.7−44は、A71基、及びA72基が3−カルボキシ−4−メトキシ−5−スルホフェニル基であり、B71基、及びB72基が2,5−ジメチル−パラフェニレン基であり、C71基、及びC72基が2−スルホ−パラフェニレン基であり、R71が式(11)で表される基である化合物であることを意味する。
前記式(8)中、A8基、及びB8基におけるアリール基としては、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル等の各基が挙げられる。これらの基は、さらに置換基を有することができる。また、置換基を複数有するときは、その置換基同士が結合して、縮合環を形成することができる。また、その縮合環は、さらに置換基を有することができる。前記アリール基、及び縮合環が有することができる置換基としては、例えば、アゾ基、ハロゲン原子、カルボキシ基、カルバモイル基、スルホ基、スルファモイル基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、シアノ基、ホスホ基、ホスフィノ基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ニトロ基、シリル基、アシル基、アルキル基(好ましくは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルバモイル基、スルホ基、及びスルファモイル基から選択される1又は2以上の置換基で置換されていても良いC1−C6アルキル基)、アルコキシ基(好ましくは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルバモイル基、スルホ基、及びスルファモイル基から選択される1又は2以上の置換基で置換されていても良いC1−C6アルコキシ基)、スルホアルキル基(好ましくは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルバモイル基、スルホ基、及びスルファモイル基ら選択させる1又は2以上の置換基で置換されていても良いC1−C6スルホアルキル基)、アルキルチオ基(好ましくは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルバモイル基、スルホ基、及びスルファモイル基から選択される1又は2以上の置換基で置換されていても良いC1−C6アルキルチオ基)、アルキルアミノ基(好ましくは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルバモイル基、スルホ基、及びスルファモイル基から選択させる1又は2以上の置換基で置換されていても良いC1−C6アルキルアミノ基)、又はアシルアミノ基、アリールオキシ基、ヘテロ環基、ヘテロ環オキシ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アリールスルホニル基、ヘテロ環スルホニル基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。A8基、及びB8基におけるヘテロ環基としては、チオフェン、フラン、ピロール、チアゾール、オキサゾール、ピラゾール、イミダゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、及びピラジン等の各基が挙げられる。これらの基は、さらに置換基を有することができる。また、置換基を複数有するときは、その置換基同士が結合して、縮合環を形成することができる。また、その縮合環は、さらに置換基を有することができる。前記ヘテロ環基、及び縮合環が有することができる置換基としてはアゾ基、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基及びその塩、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基及びその塩、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスホノ基及びその塩、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基、並びに4級アンモニウム基等が挙げられる。
前記式(9)中、R91における置換基としては、アルキルアミノ基、又はアリールアミノ基が挙げられる。これらの基はイオン性親水性基で置換されるのが好ましい。これらの基は、前記置換基群1と同じ意味を有する。R91としては、イオン性親水性基で置換されたモノ−又はジ−アルキルアミノ基、又は、イオン性親水性基で置換されたフェニルアミノ基がより好ましい。イオン性親水性基の置換数は、アルキルアミノ基のとき、1つのアルキル基に対して1つ;及び、フェニルアミノ基のとき、1つのフェニル基に対して通常1つ〜3つ、好ましくは1つ又は2つである。これらの中ではイオン性親水性基(好ましくはカルボキシ基、及びスルホ基から選択される基)で置換されたモノ−又はジ−アルキルアミノ基が特に好ましい。このとき、アルキル部分は直鎖又は分岐鎖であり、直鎖が好ましい。また、その炭素数は1〜6、好ましくは1〜4である。
着色剤(B)としては、C.I.番号を有する公知の染料を使用することもできる。そのような染料の中では直接染料(C.I.ダイレクト)、及び酸性染料(C.I.アシッド)が好ましく、直接染料がより好ましい。そのような染料の具体例としては、例えば、C.I.ダイレクトイエロー34、50、58、86、132、142、161、173、及びアシッドイエロー17、23等のイエロー染料;C.I.ダイレクトオレンジ17、26、29、39、49等のオレンジ染料;C.I.ダイレクトレッド62、75、79、80、84、89、225、226、227等のレッド染料等が挙げられる。これらの中ではイエロー染料が好ましい。
前記式(1)で表される化合物、着色剤(A)及び着色剤(B)の塩は、無機又は有機陽イオンとの塩である。そのうち、無機の陽イオンとの塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩が挙げられ、好ましい無機塩は、リチウム、ナトリウム、カリウムの塩、及びアンモニウム塩である。また、有機の陽イオンとの塩としては、例えば下記式(1−82)で表される4級アンモニウムイオンとの塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、式(1)で表される化合物は、その遊離酸、その互変異性体、及びそれらの各種の塩の混合物とすることもできる。例えばナトリウム塩とアンモニウム塩との混合物;遊離酸とナトリウム塩との混合物;リチウム塩、ナトリウム塩、及びアンモニウム塩の混合物;等、どのように組み合わせることもできる。塩の種類によって溶解性等の物性値が異なる場合も有り、必要に応じて適宜塩の種類を選択すること;又は、複数の塩等を含む場合にはその比率を変化させることにより、目的の物性とすることもできる。
式(1−82)中、Z821、Z822、Z823、及びZ824は、それぞれ独立して、水素原子、非置換アルキル基、ヒドロキシアルキル基、及びヒドロキシアルコキシアルキル基よりなる群から選択される基を表し、少なくとも1つは水素原子以外の基である。上記式(1−82)におけるZ821〜Z824のアルキル基の好ましい具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル等が挙げられる。ヒドロキシアルキル基の好ましい具体例としては、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシブチル等のヒドロキシ(C1−C4)アルキル基が挙げられる。ヒドロキシアルコキシアルキル基の具体例としては、ヒドロキシエトキシメチル、2−ヒドロキシエトキシエチル、3−ヒドロキシエトキシプロピル、2−ヒドロキシエトキシプロピル、4−ヒドロキシエトキシブチル、3−ヒドロキシエトキシブチル、2−ヒドロキシエトキシブチル等のヒドロキシ(C1−C4)アルコキシ(C1−C4)アルキル基が挙げられる。これらの中では、ヒドロキシエトキシ(C1−C4)アルキル基が好ましい。
前記インクは必要に応じ、前記以外の成分としてインク調製剤を含有することができる。インク調製剤としては水溶性有機溶剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、水溶性紫外線吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤等が挙げられる。
水溶性有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、及びトリメチロールプロパン等のC1−C6アルカノール;N,N−ジメチルホルムアミド、及びN,N−ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、及びN−メチルピロリジン−2−オン等のラクタム;1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン、及び1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の環式尿素類;アセトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン、及びエチレンカーボネート等のケトン又はケトアルコール;テトラヒドロフラン、及びジオキサン等の環状エーテル;エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、分子量400、800、1540又はそれ以上のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジグリコール又はジチオジグリコール等の、C2−C6アルキレン単位を有するモノ−、オリゴ−、及びポリ−アルキレングリコール又はチオグリコール;グリセリン、ジグリセリン、ヘキサン−1,2,6−トリオール等のポリオール(トリオール);γ−ブチロラクトン;及び、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
防腐剤の例としては、例えば有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリールスルホン系、ヨードプロパギル系、ハロアルキルチオ系、ニトリル系、ピリジン系、8−オキシキノリン系、ベンゾチアゾール系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオキシド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系、又は無機塩系等の化合物が挙げられる。また、アーチケミカル社製の商品名プロクセルGXL(S)、及びプロクセルXL−2(S)等のプロクセルシリーズが好ましく挙げられる。
防黴剤の具体例としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン及びその塩等が挙げられる。
pH調整剤としては、調製されるインクに悪影響を及ぼさずに、インクのpHをおおよそ5〜11の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用することができる。その具体例としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン等のアルカノールアミン;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化アンモニウム(アンモニア水);、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;酢酸カリウム等の有機酸のアルカリ金属塩;ケイ酸ナトリウム、リン酸二ナトリウム等の無機塩基等が挙げられる。
キレート試薬の具体例としては、例えばエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、及びウラシル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
防錆剤の具体例としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、及びジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト等が挙げられる。
水溶性紫外線吸収剤の例としては、例えばスルホ化されたベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾ−ル系化合物、サリチル酸系化合物、桂皮酸系化合物、及びトリアジン系化合物が挙げられる。
酸化防止剤の例としては、例えば、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。前記有機系の褪色防止剤の例としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、及び複素環類等が挙げられる。
界面活性剤の例としては、例えばアニオン、カチオン、ノニオン、両性、シリコーン系、フッ素系等の、公知の界面活性剤が挙げられる。これらの中ではノニオン、及びシリコーン系から選択される界面活性剤が好ましく、シリコーン系がより好ましい。アニオン界面活性剤としてはアルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、N−アシルアミノ酸又はその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型リン酸エステル、アルキル型リン酸エステル、アルキルアリールスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル系;ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等のアセチレングリコール(アルコール)系;日信化学社製、商品名サーフィノール104、105、82、465、オルフィンSTG等;ポリグリコールエーテル系(例えばSIGMA−ALDRICH社製のTergitol 15−S−7等);等が挙げられる。
両性界面活性剤としてはラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、ポリエーテル変性シロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。その一例としては、エアープロダクツ社製のダイノール960、ダイノール980、日信化学株式会社製のシルフェイスSAG001、シルフェイスSAG002、シルフェイスSAG003、シルフェイスSAG005、シルフェイスSAG503A、シルフェイスSAG008、シルフェイスSAG009、シルフェイスSAG010、及びビックケミー社製のBYK−345、BYK−347、BYK−348、BYK−349、BYK−3455等が挙げられる。これらの中では、ビックケミー社製のBYKシリーズ等で知られるポリエーテル変性シロキサンが好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸系化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物等が挙げられる。フッ素系界面活性剤は、例えばDuPont社、オムノバ社、DIC株式会社、及びビックケミー社等から、様々な種類の製品を容易に購入することができる。
前記インクは、前記の各成分を任意の順序で混合、撹拌することによって得られる。得られたインクは、必要に応じてメンブランフィルター等で精密濾過を行うことができる。精密濾過を行うフィルターの孔径は通常1μm〜0.1μm、好ましくは、0.8μm〜0.1μmである。
前記インクは、例えば、筆記用、印刷用、情報記録用、捺染用等の各種の用途に使用できる。それらの中でもインクジェット記録に用いることが特に好ましい。
前記インクジェット記録方法は、前記インクの液滴を記録信号に応じて吐出させて、記録メディアに付着させることにより画像形成を行う記録方法である。インクの吐出を行うインクジェットプリンタのインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じてインクの物性を適宜調整することができる。
前記インクはインクジェットプリンタの記録方式に依存せず、いずれの方式でも使用できる。その一例としては、例えば、電荷制御、ドロップオンデマンド(圧力パルス)、音響インクジェット、サーマルインクジェット等の各種の方式が挙げられる。
前記の記録メディアは、前記インクにより着色が可能な物質を意味する。その一例としては紙、フィルム、繊維や布(セルロース、ナイロン、羊毛等)、皮革、カラーフィルター用基材等が挙げられる。記録メディアの中では紙、合成紙、フィルム等の基材にインク受容層を設けたものが好ましい。インク受容層は、例えば基材にカチオン系ポリマーを含浸あるいは塗工すること;多孔質シリカ、アルミナゾル、特殊セラミックス等の、インク中の色素を吸収し得る多孔性白色無機物を、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーと共に、基材表面に塗工すること;等の方法により設けられる。このようなインク受容層を設けた記録メディアは、通常インクジェット専用紙(フィルム)/光沢紙(フィルム)等と呼ばれる。その具体例としては、キヤノン株式会社製、商品名 プロフェッショナルフォトペーパー、スーパーフォトペーパー又はマットフォトペーパー;セイコーエプソン株式会社製、商品名 写真用紙(光沢)、PMマット紙、クリスピア;日本ヒューレット・パッカード株式会社製、商品名 アドバンスフォトペーパー、プレミアムプラスフォト用紙、プレミアム光沢フィルム又はフォト用紙;等が挙げられる。また、インク受容層を有さないPPC用紙等の普通紙も、使用することができる。
前記インクジェット記録方法で記録メディアに記録するときは、例えば前記インクを含有する容器(インクタンク等という。)をインクジェットプリンタの所定の位置に装填し、前記の記録方法で記録メディアに記録する。前記インクジェット記録方法は、前記カラーインクから選択される複数のインクのインクセットとして、フルカラーの記録ができる。そのときは、各色のインクを含有する容器を前記と同様にインクジェットプリンタの所定の位置に装填し、前記の記録方法で記録メディアに記録する。
前記の全ての内容について、好ましいもの同士の組み合わせはより好ましく、より好ましいもの同士の組み合わせはさらに好ましい。好ましいものとより好ましいものとの組み合わせ、より好ましいものとさらに好ましいものとの組み合わせについても同様である。
前記インクは、式(1)で表される化合物と着色剤(B)を含有することが好ましく、式(1)で表される化合物と着色剤(B)及び着色剤(A)を含有することがさらに好ましい。
前記インクを用いて印刷する際に、印刷物においてよりニュートラルな黒色を表現しようとして、インクの色相を調整する場合、好みにもより一概には定義することは困難であるが、目安として、色相を表す値であるa*値が−8〜8の範囲でありかつb*値が−15〜5の範囲であり、さらにa*値とb*値から下記計算式(1)で算出できるC*値が11以下となるよう調製することにより、一般に良好な黒色表現が可能となる。
C* = √(a*)2 + (b*)2 計算式(1)
本発明のインクは、実質的に水を含有する水性インクであり、インクジェット専用紙等のインク受容層を有する記録メディア、及びインク受容層を有さない汎用普通紙等のいずれを使用しても、高画質な画像形成をすることができる。また、このインクは長期間保存後の固体析出、物性変化、色変化等もなく、貯蔵安定性が良好である。本発明のインクで記録した画像は、特に耐オゾンガス性に非常に優れ、また印字濃度が高く、ブロンジング性に優れ、演色性が小さく、且つ彩度が低く、高品位な黒色の色相を有する。耐光性、耐湿性、耐水性等の各種堅牢性にも優れる。さらにマゼンタ、シアン、及びイエロー色素をそれぞれ含有するインクと併用することにより、各種の堅牢性、及び保存性の優れたフルカラーのインクジェット記録が可能である。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって限定されるものではない。また、各合成反応等の操作は、特に断りのない限りいずれも攪拌下にて行った。
[合成例]:式(1)で表される化合物の合成。
(工程1)
氷水200部中に塩化シアヌール18.4部、商品名 レオコールTD−50(0.1部)を加え10℃以下で30分間攪拌した。次に2,5−ジスルホアニリン(純度88.4%の市販品を使用)31.7部を加え10%水酸化ナトリウム水溶液でpH2.8〜3.0としながら0〜10℃で2時間、pH2.8〜3.0としながら、25〜30℃で1時間反応を行った。得られた液に4−クロロ−3−ニトロアニリン16.9部を加え、10%水酸化ナトリウム水溶液でpH5.0〜5.5としながら40〜45℃で2時間反応を行った。得られた液に2‐アミノエタンスルホン酸を18.8部添加し、10%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0〜7.5としながら70〜80℃で3時間反応を行った。このとき液量は600部であった。この液に塩化ナトリウム120部を添加し、30分間撹拌した後、析出した固体を濾過し、下記式(1−83)で表される化合物を含むウエットケーキ193部を得た。
(工程2)
工程1で得られた式(1−83)を含有するウエットケーキ193部をN−メチル−2−ピロリドン90部に溶解し、ここに3−メルカプトプロパンスルホン酸ナトリウム19.1部及び炭酸カリウム15.2部を添加した。添加後、100〜110℃に加熱し、同温度で2時間反応させた。得られた液を60℃まで冷却した。この液に水150部を加えた後、35%塩酸をさらに加えてpH1.0〜1.5とした。このときの液量は550部であった。この液に塩化ナトリウム110部添加し、30分間撹拌した後、析出した固体を濾過分取して、下記式(1−84)で表される化合物を含むウェットケーキを204部得た。
(工程3)
水150部に、(工程2)で得られた式(1−84)で表される化合物のウェットケーキ204部、活性炭5部、及び無水塩化鉄(III)0.6部を添加し、60℃に加熱後、80%ヒドラジンヒドラート11.3部を約30分間かけて滴下した。得られた液を90℃に加熱後、同温度で2時間反応させた。得られた液を40℃まで冷却後、不溶物を濾過により除去し、濾液を室温まで冷却した。得られた液に50%硫酸を加えてpH1.0〜1.5とした。このときの液量は625部であった。この液に塩化ナトリウム125部添加し、30分間撹拌した後、析出した固体を濾過分取して、下記式(1−85)で表される化合物を含むウェットケーキを98部得た。
(工程4)
水50部に2−アミノ−5−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム12.2部を添加後、25%水酸化ナトリウム水溶液の添加によりpH4.0〜5.0として水溶液を得た。35%塩酸18.3部を添加後、40%亜硝酸ナトリウム水溶液10.5部を添加し、約30分間反応させた。ここにスルファミン酸1.5部を添加して5分間撹拌し、ジアゾ反応液を得た。一方、水100部に国際公開2012/081640号公報に記載の方法で得られる下記式(1−86)の化合物11.0部を添加し、25%水酸化ナトリウム水溶液の添加によりpH4.0〜5.0として水溶液を得た。この水溶液を前記のジアゾ反応液に約5分間かけて滴下した。滴下後、15%炭酸ナトリウム水溶液の添加によりpHを4.0〜6.0に保持しながら3時間反応させた後、塩化ナトリウムを添加した。析出した固体を濾過分取し、下記式(1−87)で表される化合物を含むウェットケーキを103.8部得た。
(工程5)
水80部に(工程4)にて得られた式(1−87)で表される化合物のウェットケーキ全量を添加後、25%水酸化ナトリウム水溶液の添加によりpH6.0〜7.0として水溶液を得た。得られた水溶液に35%塩酸16.5部を添加後、40%亜硝酸ナトリウム水溶液10.6部を添加し、約30分間反応させた。ここにスルファミン酸7.5部を添加して5分間撹拌し、ジアゾ反応液を得た。一方、水100部に(工程3)にて得られた式(1−85)で表される化合物のウェットケーキ64.7部を添加後、25%水酸化ナトリウム水溶液の添加によりpH4.0〜5.0として水溶液を得た。この水溶液を前記のジアゾ反応液に約5分間かけて滴下した。滴下後、15%炭酸ナトリウム水溶液の添加によりpHを3.0〜3.5に保持しながら3時間反応させた。得られた液に塩化ナトリウムを添加し、析出した固体を濾過分取し、下記式(1−88)で表される化合物を含むウェットケーキを104部得た。
(工程6)
水100部に(工程5)にて得られた式(1−88)で表される化合物のウェットケーキ52部を加えて撹拌することにより溶液とした。得られた溶液に35%塩酸7.8部を添加後、40%亜硝酸ナトリウム水溶液2.8部を添加し、約30分撹拌した。ここにスルファミン酸0.8部を添加して5分間撹拌し、ジアゾ反応液を得た。一方、水80部に特開2004−083492号公報に記載の方法で得られる下記式(1−89)の化合物3.7部を添加し、25%水酸化ナトリウム水溶液の添加によりpH6.0〜7.0として水溶液を得た。この水溶液を前記のジアゾ反応液に約5分間かけて滴下した。滴下後、15%炭酸ナトリウム水溶液の添加によりpHを3.0〜4.5に保持しながら3時間反応させた。得られた液に25%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを7.0〜7.5とした。得られた液に塩化ナトリウムを添加することにより析出した固体を濾過分取し、下記式(1−90)で表される化合物を含むウェットケーキを29.5部得た。
(工程7)
水80部に(工程6)にて得られた式(1−90)で表される化合物のウェットケーキ29.5部を加えて撹拌することにより溶液とした。得られた溶液に35%塩酸6.3部を添加後、40%亜硝酸ナトリウム水溶液2.3部を添加し、約30分撹拌した。ここにスルファミン酸0.5部を添加し5分間撹拌しジアゾ反応液を得た。一方、水80部に、国際公開2012/081640号公報に記載の方法で得られる下記式(1−91)の化合物4.4部を添加し、5%水酸化ナトリウム水溶液の添加によりpH6.0〜7.0として水溶液を得た。この水溶液に、前記のジアゾ反応液を15〜30℃、約30分間かけて滴下した。この際、15%炭酸ナトリウム水溶液を加えて反応液のpHを6.5〜7.5に保持し、同温度及びpHの調整を維持しながら、さらに2時間反応した。得られた液に塩化ナトリウムを加えることにより析出した固体を濾過分離し、ウェットケーキ21.5部を得た。得られたウェットケーキを水40部に溶解し、35%塩酸でpHを7.0〜7.5とした後、メタノール400部を添加し、析出した固体を濾過分取した。得られたウェットケーキを再度水40部に溶解後、メタノール300部を添加した。析出した固体を濾過分離し、乾燥することにより下記式(1−92)で表される化合物のナトリウム塩(λmax:597nm)の黒色粉末12.1部を得た。
[(A)インクの調製]
下記表36及び表37に示した成分を混合して溶液とした後、0.45μmのメンブランフィルターで濾過することにより各実施例、及び比較例のインクを得た。各インクのpHは8.0〜9.5の範囲に調整した。
表36中の略号等は、以下の意味を有する。また、各成分の数値は「部」である。
1−92:前記の合成例で得た式(1−92)で表される化合物のナトリウム塩。
3−17:表21のNo.3−17の化合物。
4−1:表23のNo.4−1の化合物。
6−282:表33のNo.6−282の化合物。
7−1:表34のNo.7−1の化合物。
7−39:表35のNo.7−39の化合物。
GLY:グリセリン。
NMP:N−メチル−2−ピロリドン。
IPA:イソプロピルアルコール。
BCA:ブチルカルビトール。
TAU:タウリン。
EDA:エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム。
SF104:サーフィノール104PG50。
また、「aq.NaOH」及び「残部」とは、各液のpHを25%水酸化ナトリウム水溶液で8.0〜9.5に調製した後、水を加えて液の総量を100部としたことを意味する。
表37中の略号等は、以下の意味を有する。また、各成分の数値は「部」である。
1−92:前記の合成例で得た式(1−92)で表される化合物のナトリウム塩。
3−17:表21のNo.3−17の化合物。
4−1:表23のNo.4−1の化合物。
6−282:表33のNo.6−282の化合物。
7−1:表34のNo.7−1の化合物。
7−39:表35のNo.7−39の化合物。
比較色素A:下記式(A)の化合物。
GLY:グリセリン。
NMP:N−メチル−2−ピロリドン。
IPA:イソプロピルアルコール。
BCA:ブチルカルビトール。
TAU:タウリン。
EDA:エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム。
SF104:サーフィノール104PG50。
また、「aq.NaOH」及び「残部」とは、各液のpHを25%水酸化ナトリウム水溶液で8.0〜9.5に調製した後、水を加えて液の総量を100部としたことを意味する。
上記において、比較色素Aとして用いた化合物を下記式(A)として示す。式(A)は、本願式(1)におけるR15、R16、R17、R18、R19及びR110のいずれにも上記式(2)で表される基を含まない。
[(B)インクジェット記録]
実施例、及び比較例の各インクを、インクジェットプリンタ(キヤノン株式会社製、商品名:PIXUS ip7230)を用いて、下記の光沢紙にそれぞれインクジェット記録を行った。記録の際は100%、85%、70%、55%、40%、25%濃度の6段階の階調が得られるように画像パターンを作り、ハーフトーンの記録物を得た。得られた記録物を試験片として用い、下記する試験を行った。
光沢紙:キヤノン株式会社製、商品名:キヤノン写真用紙・プラチナグレード(PT−201)。
光沢紙:キヤノン株式会社製、商品名:キヤノン写真用紙・光沢ゴールド(GL−101)。
[(C)試験片の測色]
試験片の測色が必要なときは、X−rite社製の測色機、商品名SpectroEyeを用いた。測色の条件は、濃度基準にDINまたはANSI A、視野角2度、光源D65である。
[(D)耐オゾン性試験]
各試験片をオゾンウェザーメーター(スガ試験機社製 型式OMS−H)内に設置し、オゾン濃度10ppm、槽内温度23℃、湿度50%RHで24時間放置する試験を行った。各試験片について、55%の階調部分の試験前後の印字濃度(Dc値)を測色し、色素残存率を求めた。試験結果を下記表38に示す。色素残存率(%)の数値は、より大きい方が優れた結果を意味する。
[(E)色相評価]
実施例6〜13及び比較例1〜5で得られたインクを用いてインクジェット印刷した印刷物を、それぞれJIS Z 8729記載の方法により、印刷物の色相を表す値であるa*値及びb*値を測定し、さらにa*値及びb*値より算出可能な彩度C*値を算出し、下記表39に結果を示した。また、印刷物を用いて上記耐オゾン性試験を行い、試験前後での色差△E値を示した。色差ΔEは、試験前後のL*、a*、b*の数値差ΔL*、Δa*、Δb*から下記計算式(2)で算出できる。なお、a*、b*、C*及びΔEは、それぞれ小数点第2位まで算出し、小数点第2位を四捨五入して、小数点第1位までを有効とした。
ΔE = √(ΔL*)2+(Δa)2+(Δb*)2 計算式(2)
表39から明らかなように、実施例6〜13は、a*値が−8〜8の範囲でありかつb*値が−15〜5の範囲であり、かつ、C*値が11以下であることから、良好な黒色の印刷物が得られていることが分かる。一方、比較例5は、b*値が−15.98及び−16.18、C*が16.36及び16.21と、いずれも上記設定範囲外となっており、良好な黒色の印刷物が得られないことを示している。これは、本願式(1)と着色剤(B)の組合せ、あるいは、本願式(1)と着色剤(A)と着色剤(B)の組合せではないためであり、本願式(1)と着色剤(B)の組合せ、あるいは、本願式(1)と着色剤(A)と着色剤(B)の組合せであることが、良好な黒色印刷物を得るためには必要であることを示している。
また、本願式(1)と着色剤(B)の組合せ、あるいは、本願式(1)と着色剤(A)と着色剤(B)の組合せである実施例6〜13では、耐オゾンガス試験前後の色相変化の程度を表す△Eの値が、5.0以下となっており、本願式(1)と着色剤(B)の組合せ、あるいは、本願式(1)と着色剤(A)と着色剤(B)の組合せ以外である比較例1〜4では、この△Eの値が、5.0を超えている。この△Eの値は、数値が小さいと上記試験前後での変化率が小さく、耐オゾンガス性に優れることを示す。上記表39中、比較例4に関しては、PT−201への印刷においては4.3と、5.0以下であるが、GL−101への印刷においては5.5と、5.0を超えることから、印刷紙への依存性がある。これに対して、実施例6〜13は印刷紙によらず、良好な耐オゾンガス性を示していることが分かる。よって、本発明は、耐オゾンガス性に優れた水性インクを提供できていることを示している。