JP5871200B2 - インク組成物 - Google Patents
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Description
本発明は、インク組成物、特に、色再現性および耐光性に優れた記録画像を実現できるインク組成物に関する。
近年、複数のカラーインク組成物を用いたインクジェット記録方法によってカラー画像を形成して記録物を得ることが行われている。一般に、カラー画像の形成は、イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、およびシアンインク組成物の三色、さらに所望によりブラックインク組成物を加えた四色によって行われている。また、これらの四色に淡シアンインク組成物および淡マゼンタインク組成物を加えた六色またはそれらにさらにダークイエローインク組成物を加えた七色によってカラー画像形成を行なう場合もある。このような二種以上のインク組成物を組み合わせたものがインクセットである。
現在市場で市販されているプリンターに搭載されているインク組成物の耐光性能力に関しては、上記評価手法を用いて判断した場合、マゼンタインク組成物の能力が最も低く、インクセットの耐光性寿命の律速となっているケースが多い。よって、マゼンタインク組成物の耐光性を改良することは、写真画像の耐光性向上及びインクセットの耐光性寿命の延長に効果的である。
本発明によるインク組成物は、水による1000倍希釈溶液の分光特性から算出されるL*a*b*表色系の色相角が270°〜360°の範囲内にあるものである。前記色相角は、好ましくは、320〜350°の範囲内である。この範囲とすることにより、色再現性および耐光性にさらに優れた記録画像を実現できる。
色相角 = 360+tan(b*/a*) a*>0、b*<0の場合
360−tan(b*/a*) a*<0、b*<0の場合
彩度(C*値)=((a*)2+(b*)2)1/2 (i)
アントラピリドン系染料
本発明のインク組成物には、上記式(I)で表されるアントラピリドン系染料が含まれる。
M1がNH4またはNaを表し、
R1が水素原子または置換されてもよいベンゾイル基(好ましくは、スルホン酸基(このスルホン酸基はNH4またはNaで置換されていてもよい)で置換されたベンゾイル基)を表し、
R2が置換されてもよいアルキル基(好ましくは、炭素数1〜3のアルキル基、さらに好ましくはメチル基)を表し、
R3が水素原子を表し、
R4が置換されてもよいスルホン酸基(好ましくは、NH4またはNaで置換されたスルホン酸基)を表し、
R5が上記式(II)(好ましくは、式(II)中、XおよびYが、それぞれ独立して、水酸基、アミノ基、アニリノ基、またはフェノール基(さらに好しくは、カルボキシル基(このカルボキシル基はNH4またはNaで置換されていてもよい)で置換されたフェノール基)を表し、これらの基は、各々水素原子の部分が一種または二種以上の置換基により置換されていてもよい)を表す化合物群が挙げられる。
で表される基を表す。さらにZは、塩素原子、水酸基、アミノ基、モノエタノールアミノ基、ジエタノールアミノ基、モルホリノ基、アニリノ基、またはフェノール基を表し、これらの基は、各々水素原子の部分が一種または二種以上の置換基により置換されていてもよい)。
M2がNH4またはNaを表し、
R6が置換されてもよいベンゾイル基(好ましくは、スルホン酸基(このスルホン酸基はNH4またはNaで置換されていてもよい)で置換されたベンゾイル基)を表し、 R7が置換されてもよいアルキル基(好ましくは、炭素数1〜3のアルキル基、さらに好ましくはメチル基)を表し、
R8が水素原子を表し、
R9が置換されてもよいスルホン酸基(好ましくは、NH4またはNaで置換されたスルホン酸基)を表し、
Aがアルキレン基または上記式(IV)(好ましくは、R10が水素原子を表す)表し、 Zがアミノ基またはフェノール基(さらに好しくは、カルボキシル基(このカルボキシル基はNH4またはNaで置換されていてもよい)で置換されたフェノール基)を表す化合物群が挙げられる。
M3がNH4またはNaを表し、
Bがアルキレン基(好ましくは、エチレン基)を表し、
n=2である化合物群が挙げられる。
本発明のインク組成物には、上記式(III)で表される銅フタロシアニン系染料が含まれる。
本発明によるインク組成物は、水のみ、または水と水溶性有機溶剤とからなる水性媒体中に、着色剤として、上記式(I)で表される染料と、上記式(III)で表される染料とを含有し、必要に応じ、保湿剤、界面活性剤、浸透促進剤、粘度調整剤、pH調整剤、およびその他の添加剤を含有させたものである。
下記表1〜2の組成からなるインク組成物を常温にて1時間攪拌した後、0.8μmのメンブランフィルターで濾過して、各インク組成物を得た。なお、下記表1〜2中の数値はインク中の含有量(質量%)を表し、オルフィンE1011は、日信化学工業(株)製である。
各インク組成物(例1〜16およびRef.1〜3のインク組成物)の水による希釈溶液の分光特性は、分光光度計(日立製作所株式会社製 商品名U-3000)を用い測定した。測定に際しては、インク1mlにイオン交換水を加えて1000mlとし、これを光路長1cmの石英セルに充填して、透過モードで測定した。インク組成物のL*a*b*値は、測定された分光特性から、色彩分析プログラム(U-3000付属の色彩分析プログラム)を用いて求めた。
C*および色相角は上記のようにして算出した。
評価結果を下記表3および表4に表す。
インク組成物(例1〜16およびRef.1〜3のインク組成物)を充填したインクカートリッジを、インクジェットプリンターPM-G800(セイコーエプソン株式会社製)に装填し、評価紙(写真用紙クリスピア<高光沢>:セイコーエプソン株式会社製)に印字した。
ブルーインクを使用する場合、インクの供給方法としては、PM-G800用インクカートリッジにブルーインクを充填してキャリッジ上のICLC32の位置に装填し、PM-G800用ブラックインクカートリッジ(ICBK32:セイコーエプソン株式会社製)とカラーインクカートリッジ(ICC32、ICM32、ICY32:いずれも同社製)とをキャリッジ上の所定の位置に装填し、そこからそれぞれ所要の各色インクをヘッドに供給した。キャリッジ上のICLM32の位置には、空のインクカートリッジを装填した。印字に際しては、ブルーインク用のプリンタドライバーを作成し、これを用いた。
インクジェット写真用紙(写真用紙クリスピア セイコーエプソン社製)に当該色(マゼンタインクはマゼンタ単色、ライトマゼンタインクはライトマゼンタ単色、ブルーインクはブルー単色)のベタ印字(100%Duty)を行い、発色性と色相を目視評価した。
A:発色性、色相ともに使用可能と判断される場合
B:発色性と色相のいずれか一方が、使用可能レベルであると判断される場合
C:発色性、色相ともに、使用不可能であると判断される場合
評価結果を下記表3および表4に表す。
蛍光灯耐光性試験機STF-11(商品名:株式会社 スガ試験機製)を用い、24℃、相対湿度60%R.H.、照度70,000luxの条件下にて、上記印字物を16、18、および20日間暴露した。
暴露後、それぞれの印字物のOD値を、反射濃度計(「Spectrilino」(商品名:Gretag社製)を用いて測定し、次式より光学濃度残存率(ROD)を求め、下記判定基準により評価した。
ROD(%)=(D/D0)×100
D:暴露試験後のOD D0:暴露試験前のOD
(測定条件 光源:D50、視野角:2°)
A:20日暴露で、RODが80%以上の場合
B:18日暴露でRODが80%以上であり、20日暴露でRODが80%未満の場合
C:16日暴露でRODが80%以上であり、18日暴露でRODが80%未満の場合
D:16日暴露でRODが80%未満の場合
評価結果を下記表3および表4に表す。
「シアン染料を添加していないインク」(Ref.1、Ref.2、およびRef.3)に比べ、「シアン染料を添加したインク」(例1〜16)の画像耐光性のランクが2ランク以上高い場合をA、1ランク高い場合をB、同じランクの場合または1ランク低い場合をCとした。なお、例1、3、5〜8、11、および13に関してはRef.1、例2、4、12、および14に関してはRef.2、例9に関してはRef.3、例10および15に関してはRef.4、例16に関してはRef.5を、「シアン染料を添加していないインク」として評価した。
評価結果を下記表3および表4に表す。
Claims (6)
- 下記式(I)で表されるアントラピリドン系染料と、下記式(X)で表される銅フタロシアニン系染料とを含んでなるインク組成物であり、
前記インク組成物の水による1000倍希釈溶液の分光特性から算出されるL*a*b*表色系の色相角が270°〜 360°の範囲内にあって、前記アントラピリドン系染料の含有量Aが1〜10質量%であって、前記銅フタロシアニン系染料の含有量Bが0.05〜2.0質量%であって、含有モル比(A/B)が、10〜100である、インク組成物:
- 前記M 1 が、NH 4 である化合物と、Naである化合物とが、7:3のモル比で混合されたものである、請求項1に記載のインク組成物。
- 前記アントラピリドン系染料が下記式(IV)で表される化合物である、請求項1または2に記載のインク組成物:
で表される基を表す。さらにZは、塩素原子、水酸基、アミノ基、モノエタノールアミノ基、ジエタノールアミノ基、モルホリノ基、アニリノ基、またはフェノール基を表し、これらの基は、各々水素原子の部分が一種または二種以上の置換基により置換されていてもよい)。 - 前記アントラピリドン系染料の含有量が、インク組成物に対して、4〜10質量%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 前記銅フタロシアニン系染料の含有量が、インク組成物に対して、0.05〜1.0質量%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインク組成物。
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