JP2005255939A - インクセット - Google Patents
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Abstract
【課題】 良好な耐オゾン性を有する画像を記録可能なインクセットを提供する。
【解決手段】 少なくとも、イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、及びシアンインク組成物を備えたインクセットであって、前記マゼンタインク組成物が着色剤としてC.I.リアクティブレッド141を含むことを特徴とするインクセット。
【選択図】 なし
【解決手段】 少なくとも、イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、及びシアンインク組成物を備えたインクセットであって、前記マゼンタインク組成物が着色剤としてC.I.リアクティブレッド141を含むことを特徴とするインクセット。
【選択図】 なし
Description
本発明は、インクセット、特に、耐オゾン性に優れた画像を形成することができるインクセットに関するものである。
近年、インクジェット記録方法が注目されている。インクジェット記録方法は、インク組成物を小滴として飛翔させ、この小滴を紙等の記録媒体(メディア)に付着させて印刷を行なう印刷方法である。この方法は、比較的安価な装置により高解像度かつ高品位な画像を高速で印刷可能であるという特徴を有する。そして、この方法を利用したインクジェット記録装置は、優れた印字品質、低コスト、比較的静かな動作、優れたグラフィック形成能により、市場に広く受け入れられている。中でも、サーマル(バブルジェット(登録商標))及び圧電ドロップ・オン・デマンドプリンターは、商業的にとりわけ成功し、オフィス及び家庭でのパソコン用プリンターとして広く用いられてきた。
さらに近年、複数のカラーインク組成物を用いたインクジェット記録方法によってカラー画像を形成して記録物を得ることが行われている。一般に、カラー画像の形成は、イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、及びシアンインク組成物の三色、さらに所望によりブラックインク組成物を加えた四色によって行われている。また、これらの四色にライトシアンインク組成物及びライトマゼンタインク組成物を加えた六色又はそれらにさらにダークイエローインク組成物を加えた七色によってカラー画像形成を行なう場合もある。このような2種以上のインク組成物を組み合わせたものがインクセットである。
上述したカラー画像の形成に用いられるインク組成物には、各色ごとのインク組成物自身が良好な発色性を有していることに加え、複数色のインク組成物を組み合わせたときに良好な中間色を発色することができること、及び得られる記録物が保存中に変退色しないこと等が求められる。
さらに最近、カラーインクジェットプリンタによる"写真画質"印刷においては、ヘッド、インク組成物、記録方法、及びメディアのそれぞれの継続的な改良がなされ、得られる画質は"銀塩写真"と遜色ないレベルとなり、"写真並"となった。その一方で、インク組成物及びメディアの改良により、カラーインクジェットプリンタを用いて得られる記録物の画像の保存性の向上が図られており、特に画像の耐光性に関しては、実用上問題のないレベルまで改良されてきた(例えば、特許文献1及び2参照)。しかし、画像の劣化は、光の作用によって生じるだけでなく、環境中に存在する酸化性ガス、例えばオゾンによる酸化によっても生じ、画像の退色や変色が進行する。したがって、記録物の画像の保存性をさらに向上させるためには、インク組成物によって形成された画像の耐光性を向上させるとともに、耐オゾン性もあわせて向上させることが望まれている。
また、インクセットにおいて、特定のインク組成物の耐オゾン性が他のインク組成物の耐オゾン性よりも著しく低い場合、その特定のインク組成物によって形成された色が他の色よりも早く退色及び変色等してしまい、画像全体の色調のバランスが悪くなるが、そうすると観察者は、単独のインク組成物によって形成された画像が退色することを認識できるようになるよりも短時間内に画像の画質劣化を認識できるようになる。したがって、インクセットにおいては、インクセットを構成する各インク組成物各々の耐オゾン性を向上させることと併せて、各インク組成物の耐オゾン性レベル、すなわち各インク組成物によって形成される画像のオゾンによる劣化速度、例えば退色速度もできるだけ同じであることが好ましい。言い換えれば、インクセットを構成する各インク組成物の耐オゾン性が優れているとともに、各インク組成物間の耐オゾン性の差が小さいことが好ましい。
また、同系色について色濃度の異なる濃淡2種のインク組成物を含めてインクセットを構成することによって、様々な色濃度の画像を形成でき、粒状感のない画像を得ることができるようになった。このような色濃度の異なる2種のインク組成物を含むインクセットは主に写真画像の印刷に用いられるが、写真画像の形成においては、画像の粒状感を緩和又は解消するため、一般に色濃度の低いインク組成物が使用されるケースが多い。また、前述した耐オゾン性の評価においても、評価試料となる光学濃度が1.0近傍のパターンは、色濃度の低いインク組成物によって形成される。したがって、記録物の写真画像の耐オゾン性、及びインクセット全体としての耐オゾン性向上のためには、色濃度の低いインク組成物の耐オゾン性を改良することが重要である。一方、色濃度の濃いインク組成物は、極彩色の画像やグラフィックアート的なパターンの印刷に用いられるため、これらのインク組成物の耐オゾン性の改良も必要である。
上述のとおり、インクセットにおいてはインクセットを構成する各インク組成物自身の耐オゾン性が良好であるとともに、各インク組成物間の耐オゾン性のバランスが良く、オゾンに晒された場合に特定色が他の色に比べて早く退色及び/又は変色しないようにすることが必要とされる。
本発明は、上記課題を解決すべく完成されたものであり、耐オゾン性が良好な画像を記録媒体上に記録することが可能なインクセット、そのインクセットを収容したインクカートリッジ、そのインクセットを使用した記録方法、及びそのインクセットにより記録された記録物に関するものである。
本発明の第一の態様のインクセットは、少なくとも、イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、及びシアンインク組成物を備えたインクセットであって、前記マゼンタインク組成物が着色剤としてC.I.リアクティブレッド141を含むことを特徴とするものである。
本発明の第二の態様のインクセットは、上記第一の態様のインクセットにおいて、マゼンタインク組成物として、色濃度の異なる二種のマゼンタインク組成物を備え、その少なくとも一種が着色剤としてC.I.リアクティブレッド141を含有することを特徴とするものである。
色濃度の異なる二種のマゼンタインク組成物を備えた上記第二の態様のインクセットにおいては、低い色濃度を有するマゼンタインク組成物(以下、淡マゼンタインク組成物とも記す)がC.I.リアクティブレッド141を着色剤として含み、かつC.I.リアクティブレッド141が前記淡マゼンタインク組成物の総重量に対して0.1〜1.2重量%含有されていることが好ましい。
色濃度の異なる二種のマゼンタインク組成物を備えた上記第二の態様のインクセットにおいては、高い色濃度を有するマゼンタインク組成物(以下、濃マゼンタインク組成物とも記す)が、C.I.リアクティブレッド141を着色剤として含み、かつC.I.リアクティブレッド141が前記濃マゼンタインク組成物の総重量に対して1.2〜5.0重量%含有されていることが好ましい。
さらに本発明の上記の各インクセットにおいては、イエローインク組成物が、着色剤として以下の式(1):
及び以下の式(2):
(前記式(1)及び(2)中、R5、R5’、 R6、及びR6’は、独立してCH3、OCH3を表し、Z及びZ’は独立して、下記式:
のいずれかの構造を有するものであり、互いに同一であっても異なっていても良い。ここで、Mは、H、Li、Na、K、アンモニウム、又は有機アミン類を表し、nは1又は2の整数である。)
で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
さらに上記式(1)で表される化合物及び式(2)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物が合計で、イエローインク組成物中にその総重量の1.0〜6.0重量%含有されていることが好ましい。
で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
さらに上記式(1)で表される化合物及び式(2)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物が合計で、イエローインク組成物中にその総重量の1.0〜6.0重量%含有されていることが好ましい。
本発明のインクセットにおいては、上記イエローインク組成物がC.I.ダイレクトイエロー58をさらに含むことが好ましい。
さらに上記イエローインク組成物においては、前記式(1)で表される化合物及び前記式(2)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物の合計の濃度(重量%)と、C.I.ダイレクトイエロー58の濃度(重量%)との比が、2:1〜9:1の範囲にあることが好ましい。
本発明のインクセットにおいては、シアンインク組成物が着色剤として、以下の式(3):
(前記式(3)中、R7は、OH又はCOOHを表し、Mは、H、Li、Na、K、アンモニウム基又は有機アミン類を表し、l、m、nは、それぞれ、0〜4であり、かつ(l+m+n)=4である。)
で表される化合物の少なくとも一種を含有することが好ましい。
で表される化合物の少なくとも一種を含有することが好ましい。
さらに上記シアンインク組成物は、前記式(3)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含み、かつ前記着色剤の合計量が前記シアンインク組成物の総重量に対して2.0〜6.0重量%含有されていることが好ましい。
さらに本発明の上記各インクセットにおいては、シアンインク組成物として、色濃度の異なる二種のシアンインク組成物を備えることが好ましい。
本発明のインクセットが色濃度の異なる二種のシアンインク組成物を備える場合は、低い色濃度を有するシアンインク組成物(以下、淡シアンインク組成物とも記す)が、着色剤として、前記式(3)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましい。
本発明のインクセットが色濃度の異なる二種のシアンインク組成物を備える場合は、高い色濃度を有するシアンインク組成物(以下、濃シアンインク組成物とも記す)が、着色剤として、前記式(3)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましい。
さらに、上記の色濃度の異なる二種のシアンインク組成物が、前記式(3)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含み、かつ前記着色剤の合計量が前記濃シアンインク組成物の総重量に対して2.0〜6.0重量%含有されているとともに、前記淡シアンインク組成物が、前記式(3)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含み、かつ前記着色剤の合計量が前記淡シアンインク組成物の総重量に対して0.4〜3.0重量%含有されていることが好ましい。
本発明のインクセットにおいては、インクセットを構成するインク組成物が、ノニオン系界面活性剤を含むことが好ましい。
さらに、上記ノニオン界面活性剤が、アセチレングリコール系界面活性剤であることが好ましい。
さらに、本発明のインクセットを構成するインク組成物が前記ノニオン系界面活性剤を0.1〜5重量%含むことが好ましい。
さらに、本発明のインクセットを構成するインク組成物が浸透促進剤を含むことが好ましい。
上記浸透促進剤は、グリコールエーテル類であることが好ましい。
本発明のインクカートリッジは、上述したインクセットを一体的に又は独立に収容したことを特徴とするものである。
本発明のインクジェット記録方法は、上述したインクセット又は上記インクカートリッジを用いて記録することを特徴とするものである。
本発明の記録物は、上述したインクセット又は上記インクカートリッジを用いて記録されたことを特徴とするものである。
本発明のインクセットを用いて記録した記録物は、耐オゾン性に優れる。さらに、本発明のインクセットは、インクジェット記録方法に用いるインクセットとして優れる。
本発明の第一の態様に係るインクセットは、イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、及びシアンインク組成物を含み、前記マゼンタインク組成物がC.I.リアクティブレッド141を着色剤として含むものである。
本発明の第二の態様に係るインクセットは、上記インクセットにおいて、マゼンタインク組成物として色濃度の異なる少なくとも二種のマゼンタインク組成物を備えたインクセットであり、二種のマゼンタインク組成物のうちの少なくとも一種がC.I.リアクティブレッド141を着色剤として含むものである。特に淡マゼンタインク組成物が、C.I.リアクティブレッド141を着色剤として含有していることが好ましい。
本発明の第三の態様に係るインクセットは、上記第一及び第二の態様に係るインクセットにおいて、イエローインク組成物が、前記式(1)で表される化合物(以下、式(1)の染料とも記す)及び前記式(2)で表される化合物(以下、式(2)の染料とも記す)からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含むものである。前記イエローインク組成物にはさらにC.I.ダイレクトイエロー58を含めてもよい。
本発明の第四の態様に係るインクセットは、上記第一から第三の態様に係るインクセットにおいて、さらに、シアンインク組成物が、前記式(3)で表される化合物(以下、式(3)の染料とも記す)の少なくとも一種を着色剤として含むものである。さらに、シアンインク組成物として色濃度の異なる少なくとも二種のシアンインク組成物を備えたインクセットが好ましく、少なくとも二種のシアンインク組成物のうちの少なくとも一種が、前記式(3)の染料の少なくとも一種を着色剤として含むことが好ましい。特に淡シアンインク組成物が前記式(3)の染料を着色剤として含むことが好ましい。
本発明のインクセットはいずれも、インク組成物を用いる記録方法に用いられ、インク組成物を用いた記録方法としては、例えば、インクジェット記録方法、ペン等の筆記具による記録方法、その他各種の印字及び印刷方法があげられる。本発明のインクセットは、特にインクジェット記録方法に用いるインクセットとして好ましい。
以下、本発明のインクセットを構成する各インク組成物について説明する。初めに各インク組成物中に含有される着色剤について説明する。本発明のインクセットにおいては、インクセットを構成する各インク組成物に特定の染料を着色剤として用いることにより、インクセットとして優れた耐オゾン性を発現させることができる。
まず、本発明のインクセットに用いるマゼンタインク組成物について説明する。本発明のマゼンタインク組成物はC.I.リアクティブレッド141を着色剤として含む。
本発明のマゼンタインク組成物中のC.I.リアクティブレッド141の含有量は、マゼンタインクとして所望する色濃度が得られるように適宜選択して定めることができる。マゼンタインク組成物として濃マゼンタインク組成物および淡マゼンタインク組成物を含めてインクセットを構成する場合は、これら二種のうちの少なくとも一種がC.I.リアクティブレッド141を着色剤として含み、さらにこれらの二種がともにC.I.リアクティブレッド141を着色剤として含むことがさらに好ましい。濃マゼンタインク組成物に着色剤としてC.I.リアクティブレッド141を含有させる場合は、濃マゼンタインク組成物の総重量に対して1.2〜5.0重量%のC.I.リアクティブレッド141を含有させることが好ましい。着色剤の濃度を1.2重量%以上にすることによって濃マゼンタインク組成物として必要な発色性を確保することができ、かつ着色剤の濃度を5.0重量%以下にすることによって、インクジェット記録方法に用いた場合のノズルからの好ましい吐出性の確保、及びノズルの目詰まりを防止すること等が容易となる。
また、淡マゼンタインク組成物に着色剤としてC.I.リアクティブレッド141を含有させる場合は、淡マゼンタインク組成物の総重量に対して0.1〜1.2重量%のC.I.リアクティブレッド141を含有させることが好ましい。着色剤の濃度を0.1重量%以上にすることによって淡マゼンタインク組成物として必要な発色性を確保することができ、かつ着色剤の濃度を1.2重量%以下にすることによって、淡マゼンタインク組成物を用いて記録された記録物の画像における好ましくない粒状感の発生を防止することができる。
本発明のマゼンタインク組成物、又は濃マゼンタインク組成物及び淡マゼンタインク組成物において、色調などを調整するために、耐オゾン性を大きく損ねない範囲でC.I.リアクティブレッド141以外のマゼンタ系染料を着色剤として併用することができる。
C.I.リアクティブレッド141以外のマゼンタ系染料としては、例えば、C.I.ダイレクトレッド2,4,9,23,26,31,39,62,63,72,75,76,79,80,81,83,84,89,92,95,111,173,184,207,211,212,214,218,221,223,224,225,226,227,232,233,240,241,242,243,247、C.I.ダイレクトバイオレット7,9,47,48,51,66,90,93,94,95,98,100,101、C.I.アシッドレッド35,42,52,57,62,80,82,111,114,118,119,127,128,131,143,151,154,158,249,254,257,261,263,266,289,299,301,305,336,337,361,396,397、C.I.アシッドバイオレット5,34,43,47,48,90,103,126、C.I.リアクティブレッド3,13,17,19,21,22,23,24,29,35,37,40,41,43,45,49,55、C.I.リアクティブバイオレット1,3,4,5,6,7,8,9,16,17,22,23,24,26,27,33,34、C.I.ベーシックレッド12,13,14,15,18,22,23,24,25,27,29,35,36,38,39,45,46、C.I.ベーシックバイオレット1,2,3,7,10,15,16,20,21,25,27,28,35,37,39,40,48等を例示できる。
次に本発明のインクセットを構成するイエローインク組成物に用いる着色剤について説明する。本発明のインクセットにおいて、イエローインク組成物に用いる着色剤は特定構造の着色剤に限定されるものではないが、他の色のインク組成物の耐オゾン性とイエローインク組成物の耐オゾン性との間の差が小さいことが好ましい。本発明のインクセットに含まれるイエローインク組成物は、前記式(1)の染料及び前記式(2)の染料からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含有することが特に好ましい。さらに、本発明のイエローインク組成物には着色剤としてさらにC.I.ダイレクトイエロー58を含有させてもよい。この場合、イエローインク組成物に含まれる式(1)の染料及び式(2)の染料の合計の濃度(重量%)と、C.I.ダイレクトイエロー58の濃度(重量%)との比が、2:1〜9:1の範囲にあることが好ましい。この範囲で各染料を用いた場合には、他の画像保存性に悪影響を与えることなく、耐オゾン性を他のインクのレベルに合わせることができる。
イエローインク組成物の着色剤として上記構成を採用することにより、本発明のインクセットを用いて形成される画像の耐オゾン性を良好にすることができ、かつ、他の色のインク組成物の耐オゾン性とのバランスにも優れたインクセットを得ることができる。
イエローインク組成物中の着色剤の濃度は、着色剤として用いられる染料のカラーバリューにしたがって適宜決定することができる。上記式(1)及び式(2)の染料からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として本発明のイエローインク組成物中に含める場合、一般的には、イエローインク組成物中に前記式(1)及び式(2)の染料からなる群から選ばれた着色剤が合計で、イエローインク組成物の総重量に対して1.0〜6.0重量%含有されることが好ましい。イエローインク組成物中における前記着色剤の合計量の濃度を1.0重量%以上にすることによって良好な発色性を得ることができ、また前記着色剤の合計量の濃度を6.0重量%以下にすることによって、インクジェット記録方法に用いるためのインク組成物として必要とされる、ノズルからの吐出性等の特性を良好なものにし、インクノズルの目詰まりを防止することができる。
また、本発明においては、イエローインク組成物の色調などを調整するために、耐オゾン性を大きく損ねない範囲で、上記の染料とともにその他のイエロー系染料を併用することもできる。
本発明において用いることができる、その他のイエロー系染料としては、例えば、C.I.ダイレクトイエロー8,9,11,12,27,28,29,33,35,39,41,44,50,53,59,68,87,93,95,96,98,100,106,108,109,110,130,142,144,161,163、C.I.アシッドイエロー17,19,23,25,39,40,42,44,49,50,61,64,76,79,110,127,135,143,151,159,169,174,190,195,196,197,199,218,219,222,227、C.I.リアクティブイエロー2,3,13,14,15,17,18,23,24,25,26,27,29,35,37,41,42、C.I.ベーシックイエロー1,2,4,11,13,14,15,19,21,23,24,25,28,29,32,36,39,40等を挙げることができるが、これらに限定されない。
次に本発明においてシアンインク組成物に用いられる着色剤について説明する。本発明のインクセットにおけるシアンインク組成物に用いられる着色剤は、特に限定されるものではないが、本発明のインクセットを用いて得られる画像の耐オゾン性を良好に保つためには、シアンインク組成物が優れた耐オゾン性を有するとともに、他の色のインク組成物の耐オゾン性との差が小さいことが好ましい。耐オゾン性に優れ、かつ他の色のインク組成物の耐オゾン性と大きな差がないことから、本発明のシアンインク組成物に用いられる着色剤としては、前記の式(3)の染料から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
本発明のインクセットにおけるシアンインク組成物中の着色剤の濃度は、着色剤として用いられる染料のカラーバリューにしたがって適宜決定することができるが、着色剤として上記式(3)の染料の少なくとも一種を用いる場合、一般に、式(3)の染料の合計量が、シアンインク組成物中に、シアンインク組成物の総重量に対して2.0〜6.0重量%含有されることが好ましい。シアンインク中に含まれる式(3)の染料の濃度を2.0重量%以上にすることにより、優れた発色性を得ることができ、さらに式(3)の染料の濃度を6.0重量%以下にすることにより、インクジェット記録方法に用いるためのインク組成物として必要とされるノズルからのインクの吐出性等の物性を好ましいものにすることができ、しかもインクジェットノズルの目詰まりが生じにくい等の効果が得られる。
本発明においては、所望によりシアンインク組成物として濃シアンインク組成物及び淡シアンインク組成物をインクセットに含めることができる。その場合、濃シアンインク組成物又は淡シアンインク組成物の少なくとも一つが前記式(3)の染料の少なくとも一種を着色剤として含有することが好ましく、淡シアンインク組成物が前記式(3)の染料の少なくとも一種を着色剤として含むことがさらに好ましい。濃シアンインク組成物及び淡シアンインク組成物の両者が前記式(3)の染料の少なくとも一種を着色剤として含むことが特に好ましい。
濃シアンインク組成物及び淡シアンインク組成物をインクセットに含める場合、淡シアンインク組成物中の着色剤の濃度は、着色剤として用いられる染料の種類に応じて、淡シアンインク組成物を濃シアンインク組成物と組み合わせたときに好ましいカラーバランスを有するよう適宜決定することができる。淡シアンインク組成物中に式(3)の染料の少なくとも一種を着色剤として含める場合、その着色剤が合計で淡シアンインク組成物の総重量に対して0.4〜3.0重量%含まれていることが好ましい。淡シアンインク組成物中の前記着色剤の濃度を0.4重量%以上にすることにより、発色性を優れたものにすることができ、かつ、前記着色剤の濃度を3.0重量%以下にすることによって、そのインク組成物を用いて記録された画像の粒状性が荒くなることを防止することができる。また、濃シアンインク組成物中に式(3)の染料の少なくとも一種を着色剤として含める場合、その着色剤が合計で濃シアンインク組成物の総重量に対して2.0〜6.0重量%含まれていることが好ましい。濃シアンインク組成物中の前記着色剤の濃度を2.0重量%以上にすることにより、発色性を優れたものにでき、かつ、前記着色剤の濃度を6.0重量%以下にすることにより、インクジェット記録方法に用いるためのインク組成物として必要とされる、ノズルからのインクの吐出性等の物性を好ましいものにすることができ、しかもインクジェットノズルの目詰まりが生じにくい等の効果が得られる。
本発明のインクセットにおけるシアンインク組成物、又は濃シアンインク組成物及び淡シアンインク組成物においては、着色剤として前記式(3)の染料の少なくとも一種を用いることが特に好ましいが、インクの色調の調整等のため、耐オゾン性を大きく損ねない範囲で他のシアン系染料を併用することができる。他のシアン系染料としては、例えば、C.I.ダイレクトブルー1,10,15,22,25,55,67,68,71,76,77,78,80,84,90,98,106,108,109,151,156,158,159,160,168,189,192,193,194,200,201,202,203,207,211,213,214,218,225,229,236,237,244,248,249,251,252,264,270,280,288,289,291、C.I.アシッドブルー9,25,40,41,62,72,76,78,80,82,92,106,112,113,120,127:1,129,138,143,175,181,205,207,220,221,230,232,247,258,260,264,271,277,278,279,280,288,290,326、C.I.リアクティブブルー2,3,5,8,10,13,14,15,17,18,19,21,25,26,27,28,29,38、C.I.ベーシックブルー1,3,5,7,9,22,26,41,45,46,47,54,57,60,62,65,66,69,71等を挙げることができるが、これらに限定されない。
本発明のインクセットは、イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、及びシアンインク組成物に、さらにブラックインク組成物を備えてもよい。
以上本発明の各インク組成物に用いる着色剤及びそのインク組成物中の着色剤含有量について説明したが、以下、各インク組成物に含まれるその他の成分について説明する。
本発明における各インク組成物は、上述した着色剤(染料)を適当な溶媒に溶解して得ることができる。上記各インク組成物において着色剤を溶解するための溶媒としては、水、または水と水溶性有機溶剤との混合液を主溶媒として用いることが好ましい。水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等を用いることができる。また、長期保存の観点から、紫外線照射や過酸化水素添加などの各種化学滅菌処理を施した水を用いることが好ましい。本発明のインクセットを構成する各インク組成物における水の含有量は、各インク組成物の重量のうちの40〜90重量%であることが好ましく、50〜80重量%であることがさらに好ましい。
本発明における各インク組成物は、上述のとおり、溶媒として水とともに水溶性有機溶剤を用いることができる。この水溶性有機溶剤としては、染料を溶解する能力を有するものが好ましく、かつ蒸気圧が純水よりも小さいものが好ましい。本発明において用いる水溶性有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール類、アセトニルアセトン等のケトン類、γ−ブチロラクトン、リン酸トリエチル等のエステル類、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、チオジグリコール等が好ましいが、これらに限定されるものではない。水とともに水溶性有機溶剤をインク組成物の溶媒として用いることによって、インクヘッドからのインク組成物の吐出安定性を向上させること、及び他の特性をほとんど変化させずにインク組成物の粘度を下げる等の調節を容易に行うことができる。
また、糖類から選ばれる少なくとも一種の保湿剤を、本発明の各インク組成物に含有させることができる。インク組成物に保湿剤を含有させることにより、インクジェット記録方法にインク組成物を用いた場合、インクからの水分の蒸発を抑制してインクを保湿することができる。本発明に用いる糖類としては、マルチトール、ソルビトール、グルコノラクトン、マルトース等が好ましい。なお、上述した水溶性有機溶剤も保湿剤としてはたらく場合がある。
上記水溶性有機溶剤及び/又は保湿剤は合計して、インク組成物中に5〜50重量%、さらに好ましくは5〜30重量%、特に好ましくは5〜20重量%含有させることができる。これらの含有量を5重量%以上にすることによって良好なインクの保湿性が得られ、かつ50重量%以下にすることによって、インク組成物の粘度をインクジェット記録方法に用いるための好ましい粘度に調整することができる。
また、本発明のインク組成物には、記録媒体へのインクの速やかな定着性(浸透性)を得るとともに、1ドットの真円度を保つために有効な添加剤として、ノニオン系界面活性剤を含有させることが好ましい。本発明に用いられるノニオン系界面活性剤としては、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤が挙げられる。アセチレングリコール系界面活性剤として、具体的には、サーフィノール465(商標)、サーフィノール104(商標)(以上商品名、Air Products and Chemicals, Inc. 社製)、オルフィンSTG(商標)、オルフィンE1010(商標)(以上商品名、日信化学社製)等が挙げられる。
本発明においては、インク組成物中にノニオン系界面活性剤が、好ましくは0.1〜5重量%、さらに好ましくは0.5〜2重量%含まれるように、各インク組成物にノニオン系界面活性剤を添加するのがよい。インク組成物にノニオン系界面活性剤を0.1重量%以上含有させることによって、記録媒体に対する各インク組成物の浸透性を高くすることができる。またインク組成物中のノニオン系界面活性剤の含有量を5重量%以下にすることにより、記録媒体上にインク組成物によって形成された画像がにじみにくいという効果が得られる。
さらに、浸透促進剤として、グリコールエーテル類をインク組成物に添加することにより、記録媒体に対するインク組成物の浸透性が向上するとともに、カラー印刷を行った場合に隣り合うカラーインクどうしの境界において、インクのブリード(ブリーディング)が減少し、非常に鮮明な画像を得ることができる。したがって、本発明のインクセットを構成するインク組成物には浸透促進剤を添加することが好ましい。
浸透促進剤として本発明に用いる上記グリコールエーテル類としては、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等が好ましいが、これらに限定されるものではない。これらのグリコールエーテル類は、インク組成物中に3〜30重量%、さらに好ましくは5〜15重量%含まれるように各インク組成物中に添加されることが好ましい。グリコールエーテル類の添加量を3重量%以上にすることにより、カラー印刷時における隣り合うインク間のブリード(ブリーディング)を有効に防止でき、さらにこの添加量を30重量%以下にすることにより、画像のにじみが発生することを防止しやすくなり、かつインクの保存安定性を高めることができる。
さらに、本発明における各インク組成物には、トリエタノールアミンやアルカリ金属水酸化物等のpH調整剤、アルギン酸ナトリウム等の水溶性ポリマー、水溶性樹脂、フッ素系界面活性剤、防腐剤、防カビ剤、防錆剤、溶解助剤、酸化防止剤、及び紫外線吸収剤等から選ばれる材料を所望により添加することができる。これらの成分は、各種別に一種又は二種以上を混合して用いることができる。また、添加する必要がなければ添加しなくてもよい。当業者は本発明の効果を損なわない範囲で、選択された好ましい添加剤を好ましい量で用いることができる。なお、上記溶解助剤とは、インク組成物から不溶物が析出する場合に、その不溶物を溶解し、インク組成物を均一な溶液に保つための添加剤である。
上記溶解助剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドンなどのピロリドン類、尿素、チオ尿素、テトラメチル尿素などの尿素類、アロハネート、メチルアロハネート等のアロハネート類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチルビウレットなどのビウレット類などを挙げることができるがこれらに限定されない。また、上記酸化防止剤の例としては、L−アスコルビン酸及びその塩類等が例示できるが、これらに限定されない。
上記防腐剤又は防カビ剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、及び1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン(AVECIA社のプロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL、プロキセルXL−2、及びプロキセルTN(以上商品名))等を例示できるが、これらに限定されない。
上記pH調整剤としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、モルホリン等のアミン類及びそれらの変性物、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどの金属水酸化物、水酸化アンモニウム、四級アンモニウム水酸化物(テトラメチルアンモニウム等)等のアンモニウム塩、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウムなどの炭酸塩類その他燐酸塩類などが例示できるが、これらに限定されない。
なお、本発明のインクセットを構成する各インク組成物は、そのpHが20℃において7.0〜10.5であることが好ましく、7.5〜10.0であることがさらに好ましい。20℃におけるインク組成物のpHを7.0以上にすることによってインクジェットヘッドの共析メッキが剥離することを防止することができ、かつインクジェットヘッドからのインク組成物の吐出特性を安定化することができる。また、インク組成物のpHを20℃において10.5以下にすることによって、インク組成物が接触する各種の部材、たとえばインクカートリッジやインクジェットヘッドを構成する部材が劣化されることを防ぐことができる。
なお、本発明におけるインク組成物のpH値は、市販のpHメーターを用い、インク組成物にpH電極を直接挿入することによって測定される値である。
なお、本発明におけるインク組成物のpH値は、市販のpHメーターを用い、インク組成物にpH電極を直接挿入することによって測定される値である。
本発明のインクセットを構成する各インク組成物は、上述した成分から適宜選ばれた成分を含んで構成されるが、得られる各インク組成物の粘度が20℃において10mPa・s未満であることが好ましい。さらに、本発明においては各インク組成物の表面張力が20℃において45mN/m以下であることが好ましく、25〜45mN/mの範囲であることが特に好ましい。粘度及び表面張力をこのように調整することによって、インクジェット記録方法に用いるために好ましい特性を有するインク組成物を得ることができる。この粘度及び表面張力の調整は、インク組成物に含有させる溶剤及び各種添加剤の添加量、並びにそれらの種類等を適宜調節及び選択することによって行うことができる。
本発明における各インク組成物の調製方法としては、たとえば、各インク組成物に含有される各種成分を充分に混合してできるだけ均一に溶解した後、孔径1μm程度のメンブランフィルターで加圧濾過し、さらに得られた溶液を真空ポンプを用いて脱気処理して調製する方法が例示できるが、これに限定されない。
次に、上述した各インク組成物を用いた本発明のインクセットは、これらを一体的に若しくは独立に収容したインクカートリッジとして用いることができ、取り扱いが便利である点等からも好ましい。インクセットを含んで構成されるインクカートリッジは当技術分野において公知であり、公知の方法を適宜用いてインクカートリッジにすることができる。
本発明のインクセット又はインクカートリッジは一般の筆記具用、記録計用、ペンプロッター用等に用いることができるが、インクジェット記録方法に用いることが特に好ましい。本発明のインクセット又はインクカートリッジを用いることができるインクジェット記録方法は、インク組成物を細いノズルから液滴として吐出させ、その液滴を記録媒体に付着させる全ての方法を含む。
本発明のインクセット又はインクカートリッジは、インクジェット記録方式による画像記録方法を用いて記録媒体上に画像を記録する場合に用いるインク組成物として特に好ましい。本発明のインクセットを用いて記録された記録物は優れた画質を有し、さらに耐オゾン性にも優れている。
以下に、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔各インク組成物の調製〕
以下の表1に示した組成にしたがって各成分を混合し、常温において30分間攪拌した後、得られた溶液を目開き1.0μmのメンブランフィルターを用いて濾過することにより各インク組成物を得た。なお表1中の各数値は、インク組成物の重量(総重量)を100重量%とした場合の各成分の重量%を示し、さらに水の量を示す「残量」は、水以外の成分とあわせて合計100重量%になる量を示す。
以下の表1に示した組成にしたがって各成分を混合し、常温において30分間攪拌した後、得られた溶液を目開き1.0μmのメンブランフィルターを用いて濾過することにより各インク組成物を得た。なお表1中の各数値は、インク組成物の重量(総重量)を100重量%とした場合の各成分の重量%を示し、さらに水の量を示す「残量」は、水以外の成分とあわせて合計100重量%になる量を示す。
表1におけるインク組成物についての詳細は、次の通りである。
M1及びM2はマゼンタインク組成物、Y1及びY2はイエローインク組成物、C1はシアンインク組成物をそれぞれ示す。なお、M1は、従来のインクジェットプリンタで使用されたマゼンタ染料を用いたマゼンタインク組成物であり、M2は、今回の発明であるC.I.リアクティブレッド141を使用したマゼンタインク組成物である。
M1及びM2はマゼンタインク組成物、Y1及びY2はイエローインク組成物、C1はシアンインク組成物をそれぞれ示す。なお、M1は、従来のインクジェットプリンタで使用されたマゼンタ染料を用いたマゼンタインク組成物であり、M2は、今回の発明であるC.I.リアクティブレッド141を使用したマゼンタインク組成物である。
また、表1に示した各着色剤のうち、M染料1は、従来一般に用いられているマゼンタ染料の一例として、以下の化学式(4):
で表される染料である。また、式1の染料および/または式2の染料の例として、C.I.ダイレクトイエロー173及びC.I.ダイレクトイエロー86を用い、式3の染料の例としてC.I.ダイレクトブルー199を用いた。
また表1中、TEGmBEはトリエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルを表す。また、表1中、オルフィンE1010(商標)及びオルフィンSTG(商標)は日信化学社製のアセチレングリコール系界面活性剤であり、プロキセルXL−2(商品名)はAVECIA社製の防腐剤である。
〔記録物の印字〕
次に、上述のようにして調製した各インク組成物を表2に示すように組み合わせて、実施例1、実施例2、及び比較例1の各インクセットを得た。この各インクセットを、インクジェットプリンタStylus Color 880(セイコーエプソン株式会社製)の専用カートリッジに充填し、同プリンタを使用して、インクジェット専用記録媒体(PM写真用紙、PMマット紙、およびEPSON光沢紙;それぞれ商品名、セイコーエプソン株式会社製)に印刷を行い、記録物を得た。具体的には、それぞれの色のOD値が0.9〜1.1になるように調整されたベタ画像を前記記録媒体に印刷して記録物を作成した。得られた記録物について、以下の耐オゾン性試験を行った。
次に、上述のようにして調製した各インク組成物を表2に示すように組み合わせて、実施例1、実施例2、及び比較例1の各インクセットを得た。この各インクセットを、インクジェットプリンタStylus Color 880(セイコーエプソン株式会社製)の専用カートリッジに充填し、同プリンタを使用して、インクジェット専用記録媒体(PM写真用紙、PMマット紙、およびEPSON光沢紙;それぞれ商品名、セイコーエプソン株式会社製)に印刷を行い、記録物を得た。具体的には、それぞれの色のOD値が0.9〜1.1になるように調整されたベタ画像を前記記録媒体に印刷して記録物を作成した。得られた記録物について、以下の耐オゾン性試験を行った。
〔耐オゾン性試験方法〕
オゾンウェザーメーターOMS−H型(商品名、(株)スガ試験機製)を使用し、24℃、64%RHの条件下、10ppm濃度のオゾンに上記記録物を曝露した。曝露開始から一定時間経過ごとに、濃度計(Spectrolino(商標)、Gretag社製)を使用して各記録物に記録されている各色のOD値を測定した。OD値の測定条件は、光源をD50とし、さらに視野角を2度とした。またこの測定は、測定対象である色毎に、シアンにはRed、マゼンタにはGreen、イエローにはBlueの各フィルターを用いて行った。得られた結果から次式:
ROD(%)=(D/D0)×100
(式中、Dは曝露試験後のOD値、D0は曝露試験前のOD値を表す。)
を用いて光学濃度残存率(ROD)を求めた。さらに、得られたROD値に基づき、下記の判定基準を用いて、記録物に記録された各色の耐オゾン性をA〜Dにランク付けた。
オゾンウェザーメーターOMS−H型(商品名、(株)スガ試験機製)を使用し、24℃、64%RHの条件下、10ppm濃度のオゾンに上記記録物を曝露した。曝露開始から一定時間経過ごとに、濃度計(Spectrolino(商標)、Gretag社製)を使用して各記録物に記録されている各色のOD値を測定した。OD値の測定条件は、光源をD50とし、さらに視野角を2度とした。またこの測定は、測定対象である色毎に、シアンにはRed、マゼンタにはGreen、イエローにはBlueの各フィルターを用いて行った。得られた結果から次式:
ROD(%)=(D/D0)×100
(式中、Dは曝露試験後のOD値、D0は曝露試験前のOD値を表す。)
を用いて光学濃度残存率(ROD)を求めた。さらに、得られたROD値に基づき、下記の判定基準を用いて、記録物に記録された各色の耐オゾン性をA〜Dにランク付けた。
[判定基準]
評価A:試験開始から12時間後のRODが70%以上である。
評価B:試験開始から8時間以上〜12時間未満でRODが70%になる。
評価C:試験開始から4時間以上〜8時間未満でRODが70%になる。
評価D:試験開始から4時間未満でRODが70%になる。
評価A:試験開始から12時間後のRODが70%以上である。
評価B:試験開始から8時間以上〜12時間未満でRODが70%になる。
評価C:試験開始から4時間以上〜8時間未満でRODが70%になる。
評価D:試験開始から4時間未満でRODが70%になる。
また、上記評価において、インクセットを構成するインク組成物のうちで最も耐オゾン性が低い評価結果をそのインクセットの寿命とみなした。結果を表3に示した。表3に示したように、本発明のインクセットを用い、記録媒体としてPM写真用紙を用いた場合には、特にマゼンタの耐オゾン性が良好となる。また、本発明のインクセットを用い、記録媒体としてPMマット紙を用いた場合及びEPSON光沢紙を用いた場合には、マゼンタの耐オゾン性が改善されるとともにインクセットの寿命も比較例のインクセットに比べて改善された。本発明のインクセットを用いてPMマット紙に記録した記録物の耐オゾン性が特に優れていた。
Claims (22)
- 少なくとも、イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、及びシアンインク組成物を備えたインクセットであって、前記マゼンタインク組成物が着色剤としてC.I.リアクティブレッド141を含むことを特徴とするインクセット。
- 前記マゼンタインク組成物として、色濃度の異なる二種のマゼンタインク組成物を備え、その少なくとも一種が着色剤としてC.I.リアクティブレッド141を含有することを特徴とする請求項1に記載のインクセット。
- 前記色濃度の異なる二種のマゼンタインク組成物のうち、低い色濃度を有するマゼンタインク組成物がC.I.リアクティブレッド141を着色剤として含み、かつC.I.リアクティブレッド141が前記低い色濃度を有するマゼンタインク組成物の総重量に対して0.1〜1.2重量%含有されていることを特徴とする請求項2に記載のインクセット。
- 前記色濃度の異なる二種のマゼンタインク組成物のうち、高い色濃度を有するマゼンタインク組成物が、C.I.リアクティブレッド141を着色剤として含み、かつC.I.リアクティブレッド141が前記高い色濃度を有するマゼンタインク組成物の総重量に対して1.2〜5.0重量%含有されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のインクセット。
- 前記式(1)で表される化合物及び前記式(2)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物が合計で、前記イエローインク組成物中に、前記イエローインク組成物の総重量に対して1.0〜6.0重量%含有されていることを特徴とする請求項5記載のインクセット。
- 前記イエローインク組成物がC.I.ダイレクトイエロー58をさらに含むことを特徴とする請求項5又は6に記載のインクセット。
- 前記イエローインク組成物において、前記式(1)で表される化合物及び前記式(2)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物の合計の濃度(重量%)と、C.I.ダイレクトイエロー58の濃度(重量%)との比が、2:1〜9:1の範囲にあることを特徴とする請求項7記載のインクセット。
- 前記シアンインク組成物が、前記式(3)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含み、かつ前記着色剤の合計量が前記シアンインク組成物の総重量に対して2.0〜6.0重量%含有されていることを特徴とする請求項9に記載のインクセット。
- 色濃度の異なる二種のシアンインク組成物を備えたことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のインクセット。
- 前記色濃度の異なる二種のシアンインク組成物のうち、低い色濃度を有するシアンインク組成物が、着色剤として、前記式(3)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項11に記載のインクセット。
- 前記色濃度の異なる二種のシアンインク組成物のうち、高い色濃度を有するシアンインク組成物が、着色剤として、前記式(3)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項11又は12に記載のインクセット。
- 前記高い色濃度を有するシアンインク組成物が、前記式(3)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含み、かつ前記着色剤の合計量が前記高い色濃度を有するシアンインク組成物の総重量に対して2.0〜6.0重量%含有されているとともに、前記低い色濃度を有するシアンインク組成物が、前記式(3)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含み、かつ前記着色剤の合計量が前記低い色濃度を有するシアンインク組成物の総重量に対して0.4〜3.0重量%含有されていることを特徴とする請求項11〜13のいずれか一項に記載のインクセット。
- 前記インク組成物が、ノニオン系界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載のインクセット。
- 前記ノニオン系界面活性剤が、アセチレングリコール系界面活性剤であることを特徴とする請求項15に記載のインクセット。
- 前記インク組成物が前記ノニオン系界面活性剤を0.1〜5重量%含むことを特徴とする、請求項15又は16に記載のインクセット。
- 前記インク組成物が浸透促進剤を含むことを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載のインクセット。
- 前記浸透促進剤がグリコールエーテル類であることを特徴とする請求項18に記載のインクセット。
- 請求項1〜19のいずれかに一項に記載されたインクセットを一体的に又は独立に収容したことを特徴とするインクカートリッジ。
- 請求項1〜19のいずれか一項に記載のインクセット又は請求項20に記載のインクカートリッジを用いて記録することを特徴とするインクジェット記録方法。
- 請求項1〜19のいずれか一項に記載のインクセット又は請求項20に記載のインクカートリッジを用いて記録されたことを特徴とする記録物。
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