JP2003238850A - インクセット及びこれを用いた記録方法及び記録物 - Google Patents

インクセット及びこれを用いた記録方法及び記録物

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JP2003238850A
JP2003238850A JP2002038588A JP2002038588A JP2003238850A JP 2003238850 A JP2003238850 A JP 2003238850A JP 2002038588 A JP2002038588 A JP 2002038588A JP 2002038588 A JP2002038588 A JP 2002038588A JP 2003238850 A JP2003238850 A JP 2003238850A
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yellow
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Kazuhiko Kitamura
和彦 北村
Hiroshi Fukumoto
福本  浩
Yoshiharu Kanetani
美春 金谷
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、記録画像の変色を防止し得るイン
クセットを提供することを目的とする。 【解決手段】 本発明は、イエローインクとマゼンタイ
ンクとシアンインクとを少なくとも備えるインクセット
において、前記イエローインクが、着色剤として少なく
ともC.I.ダイレクトイエロー98を含むことを特徴
とするインクセットを提供するものである。また、本発
明は、このインクセットを使用して記録媒体に画像を形
成することを特徴とする記録方法、及びこのインクセッ
トを使用して記録媒体に画像が形成されてなることを特
徴とする記録物を更に提供するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、画像の変色を防止
でき、画像の保存性を向上し得るインクセット、詳しく
は、イエローインクとマゼンタインクとシアンインクと
を少なくとも備えるインクセットにおいて、記録画像の
経時的な変色を防止し得るインクセット、並びにこれを
用いた記録方法及び記録物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来か
ら、鮮明で高品質なカラー画像(印字物)を形成するた
めに、種々の記録方法が開発されている。特に高品質画
像の形成に優れることから、イエローインク、マゼンタ
インク及びシアンインクからなるインクセット(以下、
「YMC系のインクセット」という。)を用いたインク
ジェット記録方式が採用されている。ここでいうマゼン
タインク及びシアンインクは、それぞれ、単一濃度のイ
ンク、及び色濃度の異なる二種の(濃淡)インク等の複
数からなるものが含まれる。これらのインクセットによ
り形成された記録画像は、変色や退色等の経時的な劣化
が生じないといった保存性に優れることが必要であり、
このためには、高湿度環境下において滲まない耐湿性、
太陽光や室内の蛍光灯等やそれらに含まれる紫外線等に
曝されても劣化しないような耐光性や、大気中のN
、SO、オゾン等の酸化性ガスによっても劣化し
ないような耐ガス性を有することが望まれる。
【0003】従来までのインクセットは、印刷物の保存
性改良として主に耐湿性や耐光性に注力されてきた。こ
れら保存性が向上するに従い、耐ガス性の改良の必要性
も無視できなくなっている。しかし、従来から使用され
ているインクセットにおいては、ガスによる変色が起こ
り、画像の劣化が著しく問題であった。退色であれば光
学濃度の単純な低下である為経時的に画像は薄くはなる
が、画像そのものの持つ印象の変化は少ない。しかしな
がら、変色は画像の印象に対する影響力が大きく、変色
の防止は画像の保存性という観点から重要である。
【0004】従って、本発明は、記録画像の変色を防止
し得るインクセットを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、鋭意研究
した結果、従来のYMC系のインクセットによる画像の
変色の原因が各色インクのガス退色特性(特にオゾンに
対する退色特性)のバランスの欠如、特に、イエローイ
ンクのガス退色特性がマゼンタインク及びシアンインク
それぞれのガス退色特性よりも高いことによるとの知見
(第一の知見)を得た。すなわち、YMC系のインクセ
ットで表わされた画像の色は、YMC各色の退色スピー
ドが等しければ、退色したように見えるが、各色の退色
スピードが著しく異なると、あたかも変色したように見
える。
【0006】また、本発明者等は、この第一の知見に基
づいて更に検討した結果、従来のYMC系のインクセッ
トにおけるマゼンタインク及びシアンインクとガス退色
特性が同程度のイエローインクとして特定のイエロー染
料を含むインクを用いたインクセットが、各色インクの
ガス退色特性のバランスを保持でき、前記目的を達成し
得ることの知見(第二の知見)を得た。
【0007】本発明は、前記各知見に基づきなされたも
ので、イエローインクとマゼンタインクとシアンインク
とを少なくとも備えるインクセットにおいて、前記イエ
ローインクが、着色剤として少なくともC.I.ダイレ
クトイエロー98を含むことを特徴とするインクセット
を提供するものである。
【0008】また、本発明は、前記インクセットを使用
して記録媒体に画像を形成することを特徴とする記録方
法を提供するものである。
【0009】また、本発明は、前記インクセットを使用
して記録媒体に画像が形成されてなることを特徴とする
記録物を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明をその好ましい実施
形態に基づいて詳細に説明する。 (インクセット)本発明のインクセットは、イエローイ
ンクとマゼンタインクとシアンインクとを少なくとも備
え、前記イエローインクが、着色剤として少なくとも
C.I.ダイレクトイエロー98を含むものである。
【0011】本発明のインクセットは、前記のように、
イエローインクの着色剤として、C.I.ダイレクトイ
エロー98を用いたものであり、これによりイエローイ
ンク、マゼンタインク及びシアンインクそれぞれのガス
退色特性のバランスを保持させ、以って、記録画像の変
色を防止することができる。
【0012】本発明のインクセットは、インク(インク
組成物)を用いた記録方式に用いられる。インクを用い
た記録方式とは、例えば、インクの液滴を吐出し記録媒
体に付着させて印字を行うインクジェット記録方式や、
ペン等による筆記具による記録方式、その他各種の印字
方式が挙げられる。本発明のインクセットは、特に、イ
ンクジェット記録方式によって形成した記録画像の耐変
色性に優れることから、インクジェット記録方式に好ま
しく用いられる。
【0013】本発明のインクセットは、イエローインク
とマゼンタインクとシアンインクとを少なくとも備える
ものであり、以下、これら各インクについて説明する。
【0014】(インクセット中のイエローインク)本発
明のインクセットが備えるイエローインクは、前述の通
り、着色剤として、C.I.ダイレクトイエロー98を
含むものが用いられる。
【0015】C.I.ダイレクトイエロー98の含有量
は、インクに適切なガス退色特性を付与できる点で、イ
エローインク中、好ましくは0.1〜10重量%、更に
好ましくは0.5〜5重量%、最も好ましくは1〜3重
量%である。
【0016】また、イエローインクは、C.I.ダイレ
クトイエロー98と共に、C.I.ダイレクトイエロー
86、132及び173からなる群より選択された一種
以上の着色剤を併用することが好ましい。イエローイン
クにこれらの着色剤を併用することで、形成する画像の
発色性、耐光性及び耐湿性を維持しつつ、所望のガス退
色特性を得ることができる。
【0017】C.I.ダイレクトイエロー86、132
及び173からなる群より選択された一種以上の着色剤
の含有量は、イエローインク中、好ましくは0.1〜4
重量%、更に好ましくは0.5〜2.0重量%である。
【0018】また、C.I.ダイレクトイエロー98
と、C.I.ダイレクトイエロー86、132及び17
3からなる群より選択された一種以上の着色剤との配合
割合は、重量比(前者/後者)で、1/4〜4/1が好
ましく、1/3〜3/1が更に好ましい。
【0019】イエローインクに含まれる溶媒、その他の
任意の成分については、後述する。
【0020】(インクセット中のマゼンタインク)本発
明のインクセットが備えるマゼンタインクは、特に制限
されることなく、通常のインクセット、特にインクジェ
ット記録用インクセットに使用されるマゼンタインクと
同様のものが用いられ、単一濃度のマゼンタインクで
も、色濃度の異なる二種のマゼンタインク等の複数から
なるものであってもよい。
【0021】マゼンタインクの着色剤としては、マゼン
タ色を示すことができる着色剤であれば何れのものも包
含されるが、好ましくは、下記一般式(I)又は(II)で
表される化合物(染料)から選択されるものである。式
(I)及び(II)で表される化合物を使用することで、イ
ンクセットにおけるイエローインク及びシアンインクそ
れぞれのガス退色特性とのバランスを保持しつつ、形成
する画像の耐光性及び耐湿性を向上させることができ
る。これらの着色剤の使用に際しては、式(I)及び(I
I)で表される化合物の群から選択して1種単独で又は2
種以上を混合して用ることもできる。
【0022】
【化4】
【0023】
【化5】
【0024】前記式(I)で表される化合物の具体例と
しては、下記のものが挙げられる。
【0025】
【化6】
【0026】
【化7】
【0027】
【化8】
【0028】
【化9】
【0029】
【化10】
【0030】
【化11】
【0031】
【化12】
【0032】
【化13】
【0033】
【化14】
【0034】
【化15】
【0035】
【化16】
【0036】
【化17】
【0037】また、前記式(II)で表される化合物の具体
例としては、下記のものが挙げられる。
【0038】
【化18】
【0039】
【化19】
【0040】
【化20】
【0041】
【化21】
【0042】
【化22】
【0043】
【化23】
【0044】
【化24】
【0045】
【化25】
【0046】
【化26】
【0047】
【化27】
【0048】マゼンタインクにおける着色剤の含有量
は、好ましくは0.1〜10重量%、更に好ましくは
0.3〜4重量%である。
【0049】(インクセット中のシアンインク)本発明
のインクセットが備えるシアンインクは、特に制限され
ることなく、通常のインクセット、特にインクジェット
記録用インクセットに使用されるシアンインクと同様の
ものが用いられ、単一濃度のシアンインクでも、色濃度
の異なる二種のシアンインク等の複数からなるものであ
ってもよい。
【0050】シアンインクの着色剤としては、シアン色
を示すことができる着色剤であれば何れのものも包含さ
れるが、好ましくは、下記一般式(III)で表される化合
物(染料)から選択されるものである。式(III)で表さ
れる化合物を使用することで、インクセットにおけるイ
エローインク及びマゼンタインクそれぞれのガス退色特
性とのバランスを保持しつつ、形成する画像の耐光性及
び耐湿性を向上させることができる。これらの着色剤の
使用に際しては、式(III)で表される化合物の群から選
択して1種単独で又は2種以上を混合して用ることもで
きる。
【0051】
【化28】
【0052】前記式(III)で表される化合物の具体例と
しては、C.I.ダイレクトブルー86、87、199
等が挙げられる。
【0053】シアンインクにおける着色剤の含有量は、
好ましくは0.1〜5.0重量%、更に好ましくは0.
5〜4.0重量%である。
【0054】シアンインクに含まれる溶媒、その他の任
意の成分については、後述する。
【0055】(インクセットの態様)本発明の一つの好
ましい態様によれば、イエローインク、濃マゼンタイン
ク、淡マゼンタインク、濃シアンインク、及び淡シアン
インクかならるインクセットが提供される。また、本発
明の別の態様によれば、それぞれ単一濃度のイエローイ
ンク、マゼンタインク、及びシアンインクからなるイン
クセットが提供される。 また、これらのインクセット
には、後述するブラックインクを更に含むことができ
る。
【0056】(インクセット中のブラックインク)本発
明においては、イエローインクとマゼンタインクとシア
ンインクとからなるインクセットに、更にブラックイン
クを含ませることもできる。このようなブラックインク
を更に備えるインクセットによれば、特に文字などの黒
色部においてよりくっきりとした印象を与えることが出
来るとともに、形成する画像の暗部における色再現範囲
を広げ、暗部の画像品質をより向上させることができ
る。
【0057】本発明のインクセットにおいて使用可能な
ブラックインクに含まれる着色剤としては、黒色(ブラ
ック)を印刷することができる染料または顔料であれば
いずれのものも使用可能である。このような染料として
は、例えば、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染
料、反応性染料、分散染料、建染染料、可溶性建染染
料、反応分散染料等、通常のインク、とりわけインクジ
ェット記録に使用される各種染料が使用可能である。ま
た、このような顔料としては、カーボンブラック等の黒
顔料が使用可能である。
【0058】本発明において、ブラックインクに含まれ
る着色剤は単独または複数種混合して用いることができ
る。
【0059】本発明において、ブラックインクとして
は、特に、形成する画像の耐光性及び耐湿性を満足し、
かつ所望の退色バランス特性を満たす点で、着色剤とし
て、C.I.ダイレクトブラック195、C.I.フー
ドブラック2、C.I.サルファーブラック1、並びに
C.I.リアクティブブラック31及び35からなる群
より選択された一種以上を含むものが好ましい。
【0060】また、ブラックインクには、上記の好まし
い着色剤とともに、形成する画像の黒色部を所望の黒色
に近づけるための補色剤として、C.I.ダイレクトイ
エロー132等のブラック以外の染料を含有させること
もできる。
【0061】ブラックインクにおける着色剤の含有量
は、好ましくは0.1〜10重量%、更に好ましくは1
〜8重量%である。
【0062】ブラックインクに含まれる溶媒、その他の
任意の成分については、後述する。
【0063】(各インク中の水、水溶性有機溶媒その他
の任意の成分)本発明のインクセットに用いられる各イ
ンクにおいて、主溶媒は水または水と水溶性有機溶媒と
の混合液が好適である。水は、イオン交換水、限外濾過
水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水を用いる
ことができる。また、紫外線照射、または過酸化水素添
加などにより滅菌した水を用いることにより、インクを
長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止する
ことができるので好適である。
【0064】本発明のインクセットに用いられる各イン
クにおいては、主溶媒として使用される場合の水の含有
量は、インクに対して50〜90重量%であるのが好ま
しく、また、60〜80重量%であるのがさらに好まし
い。
【0065】本発明の好ましい態様によれば、本発明の
インクセットに用いられるインクの溶媒は、水と水溶性
有機溶媒との混合液であり、浸透剤をさらに含んでなる
ことが好ましい。浸透剤を用いると、記録媒体へのイン
クの浸透性を高めることができ、浸透剤の種類やそのイ
ンク中への添加量を変更することでインクの乾燥時間を
適宜調整することが可能となる。かかる浸透剤の好まし
い例としては、エチレングリコールモノメチルエーテ
ル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレン
グリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモ
ノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモ
ノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエ
ーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエー
テル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエー
テル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエ
ーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテ
ル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジ
エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエ
チレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレ
ングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−
1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメ
チルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテ
ル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、
プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プ
ロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、
プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプ
ロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロ
ピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレング
リコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコール
モノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコール
モノ−iso−プロピルエーテルの多価アルコールのア
ルキルエーテル類(グリコールエーテル)などが挙げら
れ、これら一種または二種以上の混合物として用いるこ
とができる。
【0066】これら浸透剤の添加量は、インクに対して
3〜30重量%程度の範囲が好ましく、より好ましくは
5〜20重量%程度の範囲である。
【0067】本発明の好ましい態様によれば、インクの
溶媒として、湿潤剤をさらに含んでなることが好まし
い。湿潤剤の好ましい例としては、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、
プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2,
6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレン
グリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリ
メチロールプロパンなどの多価アルコール類;尿素;2
−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン;1,3−
ジメチル−2−イミダゾリジノン、ホルムアミド、アセ
トアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビ
タン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、スルホラ
ンなどが挙げられ、これら一種または二種以上の混合物
として用いることができる。
【0068】これら湿潤剤の添加量は、インクに対して
5〜50重量%程度の範囲が好ましく、より好ましくは
5〜30重量%程度の範囲である。
【0069】本発明のインクセットに用いられる各イン
クは、さらに界面活性剤を含有することができる。界面
活性剤の例としては、アニオン性界面活性剤、非イオン
性界面活性剤および、アセチレングリコール系界面活性
剤が挙げられる。これらは単独使用または二種以上を併
用することができる。
【0070】本発明においては、これらの界面活性剤の
中でも、特にアセチレングリコール系界面活性剤を用い
ることが、インクの表面張力を低下させ、インクの起泡
性を抑制して、インクとしての効果を向上できる点で好
ましく、このアセチレングリコール系界面活性剤の好ま
しい具体例としては、下記の式(a)で表わされる化合
物が挙げられる。
【0071】
【化29】
【0072】[上記式中、0≦m+n≦50、R、R
、R、およびRは独立してアルキル基(好ましく
は炭素数1〜6のアルキル基)を表す。]
【0073】上記の式(a)で表される化合物の中で特
に好ましくは2,4,7,9−テトラメチル−5−デシ
ン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチ
ン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシ
ン−3−オールなどが挙げられる。上記の式(a)で表
されるアセチレングリコール系界面活性剤として市販品
を利用することも可能であり、その具体例としてはサー
フィノール82、104、440、465、485、ま
たはTG(いずれもAir Products and Chemicals.Inc.
より入手可能)、オルフィンSTG、オルフィンE10
10(商品名)(以上、日信化学社製)が挙げられる。
【0074】界面活性剤の添加量はインク全量に対して
0.1〜5重量%であることが、所望するインク乾燥時
間に応じて適宜決定されてよいが、0.1〜3重量%で
あることがより好ましく、特に好ましくは0.5〜2重
量%である。なお、本発明に用いられるインクの表面張
力は、通常45mN/m以下であり、25〜45mN/
m範囲であることが好ましい。
【0075】本発明のインクセットに用いられる各イン
クは、さらにノズルの目詰まり防止剤、防腐剤または防
かび剤、酸化防止剤、導電率調整剤、pH調整剤、溶解
助剤、粘度調整剤、浸透促進剤、表面張力調整剤、酸素
吸収剤などを添加することができる。
【0076】防腐剤または防かび剤の例としては、安息
香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、
2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソ
ルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2
−ジベンゾチアゾリン−3−オン(Avecia社のプ
ロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGX
L、プロキセルXL−2、プロキセルTN)などがあげ
れる。
【0077】さらに、pH調整剤、溶解助剤、または酸
化防止剤の例としては、ジエタノールアミン、トリエタ
ノールアミン、プロパノールアミン、モルホリンなどの
アミン類およびそれらの変成物、水酸化カリウム、水酸
化ナトリウム、水酸化リチウムなどの無機塩類、水酸化
アンモニウム、四級アンモニウム水酸化物(テトラメチ
ルアンモニウムなど)、炭酸カリウム、炭酸ナトリウ
ム、炭酸リチウムなどの炭酸塩類その他燐酸塩など、あ
るいはN−メチル−2−ピロリドン、尿素、チオ尿素、
テトラメチル尿素などの尿素類、アロハネート、メチル
アロハネートなどのアロハネート類、ビウレット、ジメ
チルビウレット、テトラメチルビウレットなどのビウレ
ット類など、L−アスコルビン酸およびその塩を挙げる
ことができる。
【0078】本発明においてはまた、前記した他の任意
の成分は、単独または各群内および各群間において複数
種選択して混合して用いることもできる。本発明におい
ては、各インクの全ての成分の量は、インクの粘度が2
0℃で10mPa・s未満であるように選択されるのが
好ましい。
【0079】(記録方法)本発明によれば、前述したイ
ンクセットを使用して記録媒体に画像を形成する記録方
法が提供される。特に、前述したインクセットに含まれ
るインクの液滴を吐出し記録媒体に付着させて印字を行
うインクジェット記録方法が好ましく提供される。本発
明の記録方法によれば、変色が防止された画像を形成す
ることができる。
【0080】画像を形成するための記録媒体としては、
特に制限されず種々の記録媒体、例えば、パルプ繊維で
構成される記録媒体(紙)、記録面(印刷面)にインク
吸収層を設けたインクジェット記録用専用記録媒体(マ
ット系専用紙、光沢専用紙、インクジェット記録用フィ
ルム、インクジェット記録用OHPシート)等を使用す
ることができる。
【0081】(記録物)本発明によれば、前述したイン
クセットを使用して記録媒体に画像が形成されてなる記
録物が提供される。本発明の記録物は、変色が防止され
た画像が形成されたものである。
【0082】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、これらは本発明の範囲を何等限定するものでは
ない。
【0083】実施例1、2及び比較例1、2 (インクの調製)表1に示す配合比で各成分を常温にて
30分攪拌した後、1μmのメンブランフィルターで濾
過して、表1に示す組成を有する各インクを得た。な
お、表中に示すインクの各成分量はインク全量に対する
各成分の重量%を示し、残量は水(超純水)である。
【0084】
【表1】
【0085】なお、表1におけるインク及び化合物につ
いての詳細は、次の通りである。 ・Y、Y及びYはイエローインク、Mは濃マゼンタ
インク、LMは淡マゼンタインク、Cは濃シアンイン
ク、LCは淡シアンインクをそれぞれ示す。 ・M−13、M−4は、前記に示した化学構造である。
【0086】次いで、得られたインクそれぞれを次に示
す組み合わせの各インクセットとして、インクジェット
プリンタPM800C及びEPSON Stylus
Color760(共にセイコーエプソン株式会社製)
を用いて、これらの専用カートリッジに充填し、インク
ジェット専用記録媒体(PM写真用紙;セイコーエプソ
ン株式会社製)に印刷を行い、記録物を得た。
【0087】 インクセットA(実施例1)…Y、M、LM、C、LC インクセットA(比較例1)…Y、M、LM、C、
LC インクセットB(実施例2)…Y、M、C インクセットB(比較例2)…Y、M、C
【0088】そして、各インクセットについて、以下の
評価を行った。 (オゾン曝露試験)定流量フロー型ガス腐食試験装置G
H−180形((株)山崎精機研究所製)を用い、25
℃60%RH、オゾン濃度2ppmの条件下(その他の気
体は大気)にて、記録物を10時間曝露した。
【0089】(オゾン曝露に対する退色バランス性評
価)オゾン曝露試験での曝露後の記録物における画像の
OD値(Optical Density)を、反射濃度計(「SPM
−100」Gretag社製)を用いて測定し、以下の式によ
り光学濃度残存率(Relict Optical Density;ROD)
を求めた。記録物としては、イエロー画像(Y画像),
マゼンタ画像(M画像),シアン画像(C画像)それぞ
れOD値が0.9〜1.1の範囲に入るように作成した
カラーパッチを印刷した。 ROD(%)=(D/D)×100 (D:曝露試験後のOD、D:曝露試験前のOD) そして求めたRODにより、以下の判定基準により、退
色バランス性を評価した。
【0090】A:各色のRODの差が15%以内であ
る。 B:各色のRODの差が15%を超え、30%以下であ
る。 C:各色のRODの差が30%を超える。 尚、ここでいうRODの差とは、最大値と最小値との差
をいう。
【0091】(オゾン曝露に対する変色特性評価)YMC
系のインクセットの3次色として印字されたグレーは、
各インクの退色バランスの差による変色特性を評価する
のに適している。そこで、OD値が0.9〜1.1の範
囲にあるように作成したYMC系のインクセットの3次
色からなるグレーのパッチを印刷し、前記オゾン曝露試
験を行ない、曝露後の記録物のΔE*を反射濃度計を用い
て測定した。
【0092】色差ΔE*abはCIE(Commission Internation
al del’Eclarirage)により規格化され、JIS(すなわちJ
IS Z 8729)において採用されている。 ΔE*ab=[(ΔL*)+(Δa*)+(Δb*)]1/2 (i) (ΔL*、Δa*、Δb*はそれぞれ曝露前・曝露後におけるL
*、a*、b*の差) 上記式より、色差△E*を求め、下記基準により変色特
性を評価した。 A:色差△E*が20以下である。 B:色差△E*が20を越え30以下である。 C:色差△E*が30を越える。
【0093】(屋外曝露試験)直射日光及び雨には曝さ
れることなく、かつ、壁や障害物によって空気の流動が
妨げられることが無いように、柱と屋根だけからなる構
造物を作製した。これを屋外に設置し、この中に記録物
を配置して、所定時間(20日又は60日)曝露した。
【0094】(屋外曝露に対する退色バランス性評価)
屋外曝露試験での20日曝露した記録物について、前記
オゾン曝露試験での場合と同様に、RODを求めた。記
録物としては、Y画像,M画像,C画像それぞれOD値
が0.9〜1.1の範囲に入るように作成したパッチを
印刷した。そして求めたRODにより、前記オゾン曝露
試験での退色バランス性評価と同様の判定基準により、
退色バランス性を評価した。
【0095】(屋外曝露に対する変色特性評価)前記オゾ
ン曝露に対する変色特性評価の場合と同様にしてグレー
のパッチを印刷し、前記屋外曝露試験を60日間行な
い、曝露後の記録物のΔE*を反射濃度計を用いて測定
し、前記オゾン曝露試験での変色特性評価と同様の判定
基準により変色特性を評価した。
【0096】実施例及び比較例の各インクセットの退色
バランス性及び変色特性の評価結果を表2に示す。
【0097】
【表2】
【0098】尚、表2中、「耐ガス性(ROD%)」は
オゾン曝露に対する退色バランス性の評価を示し、「耐
ガス性(グレー)」はオゾン曝露に対する変色特性の評
価を示し、「実環境放置(ROD%)」は屋外曝露に対
する退色バランス性の評価を示し、「実環境放置(グレ
ー)」は屋外曝露に対する変色特性の評価を示す。
【0099】表2の結果から明らかなように、C.I.
ダイレクトイエロー98を含むイエローインクを用いた
実施例1及び2のインクセットは、これにより形成され
る記録画像の退色バランス性及び変色特性が全て優れて
いることが判る。これに対し、比較例1及び2のインク
セットでは、これにより形成される記録画像の退色バラ
ンス性及び変色特性が実用上十分なレベル(A)に達し
ていないことが判る。
【0100】
【発明の効果】本発明のインクセットによれば、記録画
像の変色を防止することができる。本発明は、このよう
な効果を有する記録方法及び記録物を更に提供すること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金谷 美春 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコ ーエプソン株式会社内 Fターム(参考) 2C056 EA13 FC02 2H086 BA55 BA59 BA62 4J039 AE07 BA29 BC05 BC06 BC09 BC13 BC19 BC29 BC33 BC50 BC52 BC54 BC61 BC65 BC69 BC73 BC74 BC77 BC79 BE22 BE33 EA15 EA16 EA17 EA35 EA38 EA40 EA43 EA44

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イエローインクとマゼンタインクとシア
    ンインクとを少なくとも備えるインクセットにおいて、
    前記イエローインクが、着色剤として少なくともC.
    I.ダイレクトイエロー98を含むことを特徴とするイ
    ンクセット。
  2. 【請求項2】 前記C.I.ダイレクトイエロー98の
    含有量が、イエローインク中、0.1〜10重量%であ
    る、請求項1記載のインクセット。
  3. 【請求項3】 前記イエローインクが、着色剤として、
    更にC.I.ダイレクトイエロー86、132及び17
    3からなる群より選択された一種以上を含む、請求項1
    又は2記載のインクセット。
  4. 【請求項4】 前記マゼンタインクは、着色剤として、
    下記一般式(I)又は(II)で表される化合物を含む、請
    求項1〜3の何れかに記載のインクセット。 【化1】 【化2】
  5. 【請求項5】 前記マゼンタインクにおける着色剤の含
    有量が、マゼンタインク中、0.1〜10重量%であ
    る、請求項1〜4の何れかに記載のインクセット。
  6. 【請求項6】 前記シアンインクは、着色剤として、下
    記一般式(III)で表される化合物を含む、請求項1〜5
    の何れかに記載のインクセット。 【化3】
  7. 【請求項7】 前記シアンインクにおける着色剤の含有
    量が、シアンインク中、0.1〜5重量%である、請求
    項1〜6の何れかに記載のインクセット。
  8. 【請求項8】 インクセットが備えるインクは、浸透剤
    を含む、請求項1〜7の何れかに記載のインクセット。
  9. 【請求項9】 前記浸透剤が、グリコールエーテルを少
    なくとも含む、請求項8に記載のインクセット。
  10. 【請求項10】 インクセットが備えるインクは、界面
    活性剤を含む、請求項1〜9の何れかに記載のインクセ
    ット。
  11. 【請求項11】 前記界面活性剤が、アセチレングリコ
    ール系界面活性剤である、請求項10に記載のインクセ
    ット。
  12. 【請求項12】 前記界面活性剤の含有量が、インク全
    量に対して0.1〜5重量%である、請求項10に記載
    のインクセット。
  13. 【請求項13】 請求項1〜12の何れかに記載のイン
    クセットを使用して記録媒体に画像を形成することを特
    徴とする記録方法。
  14. 【請求項14】 請求項1〜12の何れかに記載のイン
    クセットを使用して記録媒体に画像が形成されてなるこ
    とを特徴とする記録物。
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