以下、本発明のインクジェット記録用イエローインク及びインクジェット記録用インクセット、並びにこれを用いたインクジェット記録方法について詳細に説明する。
<インクジェット記録用イエローインク>
本発明のインクジェット記録用イエローインク(以下、単に「イエローインク」ともいう。)は、下記一般式(Y)で表される化合物及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも2種の水溶性アゾ染料を含み、この水溶性アゾ染料の2種として、少なくとも、一般式(Y)中のnが1である水溶性アゾ染料(yn1)と、一般式(Y)中のnが2である水溶性アゾ染料(yn2)とを含んでなる。
本発明のイエローインクは、一般には水溶性有機溶剤及び/又は水を含有し、好ましくはノニオン系界面活性剤を含有する。本発明のイエローインクは、必要に応じて、更に他の成分を用いて構成することができる。
本発明においては、イエロー色用の染料としてピラゾールアゾ系のイエロー染料を単に含有するのではなく、そのビス体とモノ体との両方を同インク中にともに含有し、モノ体がビス体に比較して堅牢性が弱いが色相が近似していることを利用することで、イエロー色調を所望色調に保ちながら、多色画像の褪色時のカラーバランスを調整できる。これより、カラーバランスが良好で長期での保存性に優れた画像が得られる。
[水溶性アゾ染料(イエロー系)]
本発明のイエローインクは、染料として、下記一般式(Y)で表される化合物及びその塩からなる群より選ばれる水溶性アゾ染料のうち、n=1であるモノ体の水溶性アゾ染料(yn1)の少なくとも1種と、n=2であるビス体の水溶性アゾ染料(yn2)の少なくとも1種とを含有する。この水溶性アゾ染料は、色再現性に優れ、光、熱、湿度、及び環境中の活性ガスに対する堅牢性に優れるところ、より堅牢性の高いビス体に加えてモノ体を組み合わせた構成にすることにより、カラー画像を形成したときの褪色バランスを保ち、長期にわたって色調が安定的に良好な画像を記録することができる。
なお、「水溶性」とは、水100g(25℃)に1g以上溶解することをいう。
式中、Gはヘテロ環基を表し、R、X、Y、Z、及びQは置換基を表し、nは1又は2を表す。nが1のときは、R、X、Y、Z、Q、及びGは、1価の置換基を表す。nが2のときは、R、X、Y、Z、Q、及びGは、1価又は2価の置換基を表し、少なくとも1つは2価の置換基を表す。
本発明のインクジェット記録用イエローインクにおいて、併用する水溶性アゾ染料(yn1)と水溶性アゾ染料(yn2)との比率としては、特に制限されるものではなく、インク組成や、画像記録時に用いる他色のインクとの関係など場合に応じて適宜選択することができるが、水溶性アゾ染料yn1、yn2の比率〔yn1:yn2〕としては、1:20〜1:1の範囲であることが好ましい。比率yn1:yn2は、水溶性アゾ染料yn1の水溶性アゾ染料yn2に対する割合が少なすぎず1/20以上となる範囲であると、カラーバランスの低下が回避され、長期での保存性により優れた画像が得られ、逆に水溶性アゾ染料yn1の水溶性アゾ染料yn2に対する割合が1/1以下となる範囲であると、良好な保存性を有するイエロー画像が得られる点で有利である。
前記比率yn1:yn2としては、前記同様の理由から、1:15〜1:2の範囲がより好ましく、更に好ましくは1:10〜1:3の範囲である。
以下、一般式(Y)について詳細に説明する。
一般式(Y)中、Gとしては、5〜8員ヘテロ環基が好ましく、その中でも、5員又は6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環基が好ましく、それらは更に縮環していてもよい。更に好ましくは、炭素数3〜30の5員又は6員の芳香族のヘテロ環基である。
前記Gで表されるヘテロ環基の例には、置換位置を限定しないで例示すると、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾール、イソオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリン、スルホランなどが挙げられる。
前記ヘテロ環基が、更に置換基を有することが可能な基であるときは、以下に挙げたような置換基を更に有してもよい。
炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖アルキル基、炭素数7〜18の直鎖又は分岐鎖アラルキル基、炭素数2〜12の直鎖又は分岐鎖アルケニル基、炭素数2〜12の直鎖又は分岐鎖アルキニル基、炭素数3〜12の直鎖又は分岐鎖シクロアルキル基、炭素数3〜12の直鎖又は分岐鎖シクロアルケニル基(以上の各基は分岐鎖を有するものが染料の溶解性及びインクの安定性を向上させる理由から好ましく、不斉炭素を有するものが特に好ましい。例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、sec-ブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、2−メチルスルホニルエチル、3−フェノキシプロピル、トリフルオロメチル、シクロペンチル)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)、アリール基(例えば、フェニル、4−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−アミルフェニル)、ヘテロ環基(例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキルオキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メチルスルホニルエトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、3−t−ブチルオキシカルボニルフェノキシ、3−メトキシカルボニルフェニルオキシ、アシルアミノ基(例えば、アセトアミド、ベンズアミド、4−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)ブタンアミド)、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルブチルアミノ)、アリールアミノ基(例えば、フェニルアミノ、2−クロロアニリノ)、ウレイド基(例えば、フェニルウレイド、メチルウレイド、N,N−ジブチルウレイド)、スルファモイルアミノ基(例えば、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、オクチルチオ、2−フェノキシエチルチオ)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、2−ブトキシ−5−t−オクチルフェニルチオ、2−カルボキシフェニルチオ)、アルキルオキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ)、アルキルスルホニルアミノ基及びアリールスルホニルアミノ基(例えば、メチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、p−トルエンスルホニルアミノ)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、スルホニル基(例えば、メチルスルホニル、オクチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−トルエンスルホニル)、アルキルオキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル)、ヘテロ環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アゾ基(例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾ)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイルオキシ基(例えば、N−メチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ)、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、ジブチルメチルシリルオキシ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ)、イミド基(例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ヘテロ環チオ基(例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、2,4−ジ−フェノキシ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ、2−ピリジルチオ)、スルフィニル基(例えば、3−フェノキシプロピルスルフィニル)、ホスホニル基(例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル)、アシル基(例えば、アセチル、3−フェニルプロパノイル、ベンゾイル)、イオン性親水性基(例えば、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基及び4級アンモニウム基)が挙げられる。
前記一般式(Y)において、Q、R、X、Y、及びZの好ましい例について、詳細に説明する。
Q、R、X、Y及びZが1価の基を表す場合、1価の基としては、水素原子、又は1価の置換基を表す。1価の置換基を更に詳しく説明する。この1価の置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリールアミノ基)、アシルアミノ基(アミド基)、アミノカルボニルアミノ基(ウレイド基)、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基、アゾ基、又はイミド基を挙げることができ、各々はさらに置換基を有していてもよい。
中でも、特に好ましいものは、記録した画像の湿度や酸化性ガス・光等に対する保存性及び良好な色相の点で、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルバモイル基、又はアルコキシカルボニル基であり、特に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はヘテロ環基が好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、又はアルキルスルホニル基が最も好ましい。
以下、前記Q、R、X、Y、及びZについて更に詳しく説明する。
Q、R、X、Y及びZで表されるハロゲン原子は、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を表す。中でも塩素原子、又は臭素原子が好ましく、特に塩素原子が好ましい。
Q、R、X、Y及びZで表されるアルキル基は、置換もしくは無置換のアルキル基が含まれる。置換又は無置換のアルキル基は、炭素原子数が1〜30のアルキル基が好ましい。置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。中でも、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シアノ基、及びハロゲン原子、スルホ基(塩の形でもよい) 又はカルボキシル基(塩の形でもよい)が好ましい。前記アルキル基の例には、メチル、エチル、ブチル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、ヒドロキシエチル、シアノエチル又は4−スルホブチルを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるシクロアルキル基は、置換もしくは無置換のシクロアルキル基が含まれる。置換基又は無置換のシクロアルキル基は、炭素原子数が5〜30のシクロアルキル基が好ましい。置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記シクロアルキル基の例にはシクロヘキシル、シクロペンチル、又は4−n−ドデシルシクロヘキシルを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアラルキル基は、置換もしくは無置換のアラルキル基が含まれる。置換もしくは無置換のアラルキル基としては、炭素原子数が7〜30のアラルキル基が好ましい。置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アラルキルの例にはベンジル及び2−フェネチルを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアルケニル基は、直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。好ましくは炭素数2−30の置換又は無置換のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イルなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアルキニル基は、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキニル基であり、例えば、エチニル、又はプロパルギルを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアリール基は、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、又はo−ヘキサデカノイルアミノフェニルである。置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。
Q、R、X、Y及びZで表されるヘテロ環基は、5又は6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた1価の基であり、それらは更に縮環していてもよい。更に好ましくは、炭素数3〜30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記ヘテロ環基の例には、置換位置を限定しないで例示すると、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾール、イソオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリンなどが挙げられる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアルコキシ基は、置換もしくは無置換のアルコキシ基が含まれる。置換もしくは無置換のアルコキシ基としては、炭素原子数が1〜30のアルコキシ基が好ましい。置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、n−オクチルオキシ、メトキシエトキシ、ヒドロキシエトキシ及び3−カルボキシプロポキシなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアリールオキシ基は、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基が好ましい。置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アリールオキシ基の例には、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるシリルオキシ基は、炭素数3〜20のシリルオキシ基が好ましく、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるヘテロ環オキシ基は、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基が好ましい。置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記ヘテロ環オキシ基の例には、例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアシルオキシ基は、ホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アシルオキシ基の例には、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるカルバモイルオキシ基は、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。
前記カルバモイルオキシ基の例には、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアルコキシカルボニルオキシ基は、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アルコキシカルボニルオキシ基の例には、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアリールオキシカルボニルオキシ基は、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アリールオキシカルボニルオキシ基の例には、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアミノ基は、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアミノ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アミノ基の例には、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N-メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ、ヒドロキシエチルアミノ、カルボキシエチルアミノ、スルフォエチルアミノ、3,5−ジカルボキシアニリノなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアシルアミノ基は、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アシルアミノ基の例には、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアミノカルボニルアミノ基は、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アミノカルボニルアミノ基の例には、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアルコキシカルボニルアミノ基は、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アルコキシカルボニルアミノ基の例には、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアリールオキシカルボニルアミノ基は、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アリールオキシカルボニルアミノ基の例には、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるスルファモイルアミノ基は、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記スルファモイルアミノ基の例には、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアルキル及びアリールスルホニルアミノ基は、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アルキルスルホニルアミノ基及びアリールスルホニルアミノ基の例には、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアルキルチオ基は、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アルキルチオ基の例には、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアリールチオ基は炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールチオ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アリールチオ基の例には、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるヘテロ環チオ基は、炭素数2〜30の置換又は無置換のヘテロ環チオ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記ヘテロ環チオ基の例には、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるスルファモイル基は、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記スルファモイル基の例には、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N‘−フェニルカルバモイル)スルファモイル)などを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアルキル及びアリールスルフィニル基は、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換又は無置換のアリールスルフィニル基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アルキル及びアリールスルフィニル基の例には、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニルなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアルキル及びアリールスルホニル基は、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換又は無置換のアリールスルホニル基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アルキル及びアリールスルホニル基の例には、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−トルエンスルホニルなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアシル基は、ホルミル基、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4〜30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アシル基の例には、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2―ピリジルカルボニル、2―フリルカルボニルなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアリールオキシカルボニル基は、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アリールオキシカルボニル基の例には、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニルなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアルコキシカルボニル基は、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アルコキシカルボニル基の例には、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニルなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるカルバモイル基は、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記カルバモイル基の例には、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイルなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるホスフィノ基は、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィノ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記ホスフィノ基の例には、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるホスフィニル基は、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニル基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記ホスフィニル基の例には、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニルなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるホスフィニルオキシ基は、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記ホスフィニルオキシ基の例には、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるホスフィニルアミノ基は、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記ホスフィニルアミノ基の例には、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるシリル基は、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシリル基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記シリル基の例には、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリルなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアゾ基は、例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるイミド基は、例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミドなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZが2価の基を表す場合、2価の基としては、アルキレン基(例、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン)、アルケニレン基(例、エテニレン、プロぺニレン)、アルキニレン基(例、エチニレン、プロピニレン)、アリーレン基(例、フェニレン、ナフチレン)、2価のヘテロ環基(例、6−クロロ−1、3、5−トリアジン−2、4−ジイル基、ピリミジン−2、4−ジイル基、ピリミジン−4、6−ジイル基、キノキサリン−2、3−ジイル基、ピリダジン−3,6−ジイル)、−O−、−CO−、−NR’−(R’は水素原子、アルキル基又はアリール基)、−S−、−SO2−、−SO−又はこれらの組み合わせ(例えば−NHCH2CH2NH−、−NHCONH−等)であることが好ましい。
アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、2価のヘテロ環基、Rのアルキル基又はアリール基は、置換基を有していてもよい。置換基の例としては、前記Gで説明した置換基と同義である。
前記R’のアルキル基及びアリール基は、前記Gの置換基例と同義である。
さらに好ましくは、炭素数10以下のアルキレン基、炭素数10以下のアルケニレン基、炭素数10以下のアルキニレン基、炭素数6以上10以下のアリーレン基、2価のヘテロ環基、−S−、−SO−、−SO2−又はこれらの組み合わせ(例えば−SCH2CH2S−、−SCH2CH2CH2S−等)であることがさらに好ましい。
2価の連結基の総炭素数は0〜50であることが好ましく、0〜30であることがより好ましく、0〜10であることが最も好ましい。
Q、R、X、Y及びZが3価の基を表す場合、3価の基としては、3価の炭化水素基、3価のヘテロ環基、>N−、又はこれと2価の基の組み合わせ(例えば>NCH2CH2NH−、>NCONH−等)であることが好ましい。
3価の連結基の総炭素数は0〜50であることが好ましく、0〜30であることがより好ましく、0〜10であることが最も好ましい。
一般式(Y)中、nの好ましい例は、1又は2であり、特に2が好ましい。
一般式(Y)中、Xの好ましい置換基例は電子吸引性基である。特に、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基であり、より好ましくはσp値が0.30以上の電子吸引性基であることが好ましい。上限としては、σp値が1.0の電子吸引性基である。
σp値が0.20以上の電子吸引性基であるXの具体例としては、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、ジアリールホスフィニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基、アシルチオ基、スルファモイル基、チオシアネート基、チオカルボニル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン化アリールオキシ基、ハロゲン化アルキルアミノ基、ハロゲン化アルキルチオ基、σp値が0.20以上の他の電子吸引性基で置換されたアリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アゾ基、又はセレノシアネート基が挙げられる。
Xの好ましいものとしては、炭素数2〜12のアシル基、炭素数2〜12のアシルオキシ基、炭素数1〜12のカルバモイル基、炭素数2〜12のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7〜18のアリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルキルスルフィニル基、炭素数6〜18のアリールスルフィニル基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、炭素数0〜12のスルファモイル基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキルオキシ基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキルチオ基、炭素数7〜18のハロゲン化アリールオキシ基、2つ以上のσp0.20以上の他の電子吸引性基で置換された炭素数7〜18のアリール基、及び窒素原子、酸素原子、又はイオウ原子を有する5〜8員環で炭素数1〜18のヘテロ環基を挙げることができる。
更に好ましくは、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、又は炭素数0〜12のスルファモイル基である。
Xとして特に好ましいものは、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、又は炭素数0〜12のスルファモイル基であり、最も好ましいものは、シアノ基、又は炭素数1〜12のアルキルスルホニル基である。
一般式(Y)中、Zの好ましい例は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルキニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換のヘテロ環基などである。
Zで表される基の詳細については、前記Gで表されるヘテロ環基の例に説明した対応する置換基の例と同義であり、好ましい例も同じである。
Zの特に好ましくは、置換アリール基、又は置換へテロ環基であり、その中でも特に置換アリール基が好ましい。
一般式(Y)中、Qは、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアシル基、置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、又は置換もしくは無置換のアリールスルホニル基が好ましく、特に水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアシル基が好ましく、その中でも特に水素原子が好ましい。
一般式(Y)中、Rは置換もしくは無置換の総炭素数1〜12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜18のアリール基、又は置換もしくは無置換の総炭素数4〜12ヘテロ環基が好ましく、その中でも、総炭素原子数1〜8の直鎖アルキル基又は分岐のアルキル基が好ましく、特に2級又は3級アルキル基が好ましく、t−ブチル基が最も好ましい。
一般式(Y)中、Yは水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数1〜12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜18のアリール基、又は置換もしくは無置換の総炭素数4〜12ヘテロ環基が好ましく、その中でも、水素原子、総炭素数1〜8の直鎖アルキル基及び又は分岐のアルキル基が好ましく、特に水素原子、又は総炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
一般式(Y)で表される色素におけるG,R,X,Y,Z,Qの好ましい組み合わせについては、種々の基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
一般式(Y)で表される色素として特に好ましい組み合わせは、以下の(イ)〜(ト)を含むものである。
(イ)Gは、5〜8員含窒素ヘテロ環が好ましく、特にS-トリアジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、ピリジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、又はピロール環が好ましく、その中でもS-トリアジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、又はピラジン環が好ましく、S-トリアジン環が最も好ましい。
(ロ)Rは置換もしくは無置換の総炭素数1〜12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜18のアリール基、又は置換もしくは無置換の総炭素数4〜12ヘテロ環基が好ましく、その中でも、総炭素数1〜8の直鎖アルキル基又は分岐のアルキル基が好ましく、特に2級又は3級アルキル基が好ましく、t−ブチル基が最も好ましい。
(ハ)Xとして特に好ましいものは、シアノ基、総炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、総炭素数6〜18のアリールスルホニル基、又は総炭素数0〜12のスルファモイル基であり、その中でも、シアノ基、又は総炭素数1〜12のアルキルスルホニル基が好ましく、最も好ましいものは、シアノ基である。
(ニ)Yは水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数1〜12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜18のアリール基、又は置換もしくは無置換の総炭素数4〜12ヘテロ環基が好ましく、その中でも、水素原子、総炭素数1〜8の直鎖アルキル基又は分岐のアルキル基が好ましく、特に水素原子、又は総炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
(ホ)Zは、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルキニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換のヘテロ環基が好ましく、特に好ましい置換基は置換アリール基、又は置換へテロ環基であり、その中でも特に置換アリール基が好ましい。
(ヘ)Qは、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアシル基、置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、又は置換もしくは無置換のアリールスルホニル基が好ましく、特に水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアシル基が好ましく、その中でも特に水素原子が好ましい。
(ト)nは1〜3の整数を表し、好ましくは1又は2であり、特に2が最も好ましい。
前記一般式(Y)で表される化合物のうち、n=2であるビス体としては、下記の一般式(Y−1)、一般式(Y−2)、一般式(Y−3)、一般式(Y−4)、及び一般式(Y−5)のいずれかで表される化合物が好ましい。また、n=1であるモノ体としては、下記の一般式(Y−1)のGを含まない片側半分の構造の化合物、一般式(Y−2)のL1を含まない片側半分の構造の化合物、一般式(Y−3)のL2を含まない片側半分の構造の化合物、一般式(Y−4)のL3を含まない片側半分の構造の化合物、及び一般式(Y−5)のL4を含まない片側半分の構造の化合物(いずれの化合物もG、L1、L2、L3又はL4との結合手に1価の置換基が結合したものである。ここでの1価の置換基は、前記一般式(Y)のR、X、Y、Z、及びQで表される1価の置換基と同義であり、好ましい態様も同様であり、水素原子が好ましい。)が好適である。
以下、一般式(Y−1)〜一般式(Y−5)の詳細及び好ましい態様について説明するが、G、L1、L2、L3又はL4を除いてはそれぞれモノ体の場合も同様であり、ビス体もみならずモノ体を含めて説明する。
式中、R1、R2、X1、X2、Y1、Y2、Z1、及びZ2は1価の基を表し、Gは5〜8員含窒素ヘテロ環を構成する原子団を表し、Mは水素原子又はカチオンを表す。m1は0〜3の整数を表す。
Gの例としては、前述の一般式(Y)におけるGと同様のものが挙げられ、R1、R2、X1、X2、Y1、Y2、Z1、及びZ2の表す1価の基の例としては、前述の一般式(Y)におけるQ、R、X、Y、及びZと同様のものが挙げられる。
式中、R1、R2、R11、R12、X1、X2、Z1、及びZ2は1価の基を表し、L1は2価の連結基を表し、G1、G2はそれぞれ独立に5〜8員含窒素ヘテロ環を構成する原子団を表し、Mは水素原子又はカチオンを表す。m21、m22は、それぞれ独立に0〜3の整数を表す。
G1、G2の例としては、前述の一般式(Y)におけるGと同様のものが挙げられ、R1、R2、R11、R12、X1、X2、Z1、及びZ2の表す1価の基の例としては、前述の一般式(Y)におけるQ、R、X、Y、及びZと同様のものが挙げられ、L1の表す2価の連結基の例としては、前述の一般式(Y)におけるQ、R、X、Y、及びZが2価の基を表す場合の例と同様のものが挙げられる。
式中、R1、R2、R11、R12、X1、X2、Y1、及びY2は1価の基を表し、L2は2価の連結基を表し、G1、G2はそれぞれ独立に5〜8員含窒素ヘテロ環を構成する原子団を表し、Mは水素原子又はカチオンを表す。m31、m32は、それぞれ独立に0〜3の整数を表す。
G1、G2の例としては、前述の一般式(Y)におけるGと同様のものが挙げられ、R1、R2、R11、R12、X1、X2、Y1、及びY2の表す1価の基の例としては、前述の一般式(Y)におけるQ、R、X、Y、及びZと同様のものが挙げられ、L2の表す2価の連結基の例としては、前述の一般式(Y)におけるQ、R、X、Y、及びZが2価の基を表す場合の例と同様のものが挙げられる。
式中、R11、R12、X1、X2、Y1、Y2、Z1、及びZ2は1価の基を表し、L3は2価の連結基を表し、G1、G2はそれぞれ独立に5〜8員含窒素ヘテロ環を構成する原子団を表し、Mは水素原子又はカチオンを表す。m41、m42は、それぞれ独立に0〜3の整数を表す。
G1、G2の例としては、前述の一般式(Y)におけるGと同様のものが挙げられ、R11、R12、X1、X2、Y1、Y2、Z1、及びZ2の表す1価の基の例としては、前述の一般式(Y)におけるQ、R、X、Y、及びZと同様のものが挙げられ、L3の表す2価の連結基の例としては、前述の一般式(Y)におけるQ、R、X、Y、及びZが2価の基を表す場合の例と同様のものが挙げられる。
式中、R1、R2、R11、R12、Y1、Y2、Z1、及びZ2は1価の基を表し、L4は2価の連結基を表し、G1、G2はそれぞれ独立に5〜8員含窒素ヘテロ環を構成する原子団を表し、Mは水素原子又はカチオンを表す。m51、m52は、それぞれ独立に0〜3の整数を表す。
G1、G2の例としては、前述の一般式(Y)におけるGと同様のものが挙げられ、R1、R2、R11、R12、Y1、Y2、Z1、及びZ2の表す1価の基の例としては、前述の一般式(Y)におけるQ、R、X、Y、及びZと同様のものが挙げられ、L4の表す2価の連結基の例としては、前述の一般式(Y)におけるQ、R、X、Y、及びZが2価の基を表す場合の例と同様のものが挙げられる。
前記一般式(Y)で表される化合物のうち、上記の一般式(Y−1)、一般式(Y−2)、一般式(Y−3)、一般式(Y−4)又は一般式(Y−5)中のG、G1及びG2で構成される含窒素ヘテロ環がS−トリアジン環である化合物が色相や画像保存性の点でより好ましい。
以下、一般式(Y)で表される化合物で表される染料の具体例(例示染料DYE−1〜26)を示す。但し、本発明に用いられる染料は、下記例に限定されるものではない。
ここで、以下の具体例の構造は遊離の酸の形で示すが、任意の塩の形で用いてもよい。好ましいカウンターカチオンとしては、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム)、アンモニウム、又は有機のカチオン(例えば、ピリジニウム、テトラメチルアンモニウム、グアニジウム)を挙げることができる。
また、下記の具体例中のビス体については、前記一般式中のG、L1、L2、L3又はL4に相当する連結部位を除き、該連結部位との結合手に1価の置換基が結合した化合物も、前記一般式(Y)で表される化合物のモノ体の具体例として挙げられる。ここでの1価の置換基は、前記一般式(Y)のR、X、Y、Z、及びQで表される1価の置換基と同義であり、好ましい態様も同様であり、水素原子が好ましい。
上記のうち、本発明のイエローインクに含有する前記一般式(Y)で表される化合物としては、ビス体である水溶性アゾ染料(yn2)とモノ体である水溶性アゾ染料(yn1)とが互いに似通った構造である態様が好ましい。
具体的には、水溶性アゾ染料(yn2)が前記一般式(Y−1)で表される化合物であって、水溶性アゾ染料(yn1)が前記一般式(Y−1)のGを含まない片側半分の構造の化合物(Gとの結合手に1価の置換基が結合したもの)である形態が好ましい。また、これと同様に、水溶性アゾ染料(yn2)が前記一般式(Y−2)、前記一般式(Y−3)、前記一般式(Y−4)、又は前記一般式(Y−5)で表される化合物であって、水溶性アゾ染料(yn1)がそれぞれ、前記一般式(Y−2)のL1を含まない片側半分の構造の化合物、前記一般式(Y−3)のL2を含まない片側半分の構造の化合物、前記一般式(Y−4)のL3を含まない片側半分の構造の化合物、又は前記一般式(Y−5)のL4を含まない片側半分の構造の化合物(いずれの化合物もL1、L2、L3又はL4との結合手に1価の置換基が結合したもの)である形態が好ましい。
ここで、1価の置換基は、前記一般式(Y)のR、X、Y、Z、及びQで表される1価の置換基と同義であり、好ましい態様も同様であり、水素原子が好ましい。
上記の一般式(Y)で表される化合物及びその塩の合成は、例えば、特開2001−279145号、特開2003−277661号、特開2003−277662号、特開2004−83903号等の各公報に記載の合成法を参照して行なうことができる。
イエロー染料の本発明のインクジェット記録用イエローインク中における総含有量としては、イエローインクの総質量に対して、3質量%〜7質量%の範囲が好ましい。イエロー染料の総含有量は、3質量%以上であると、受像紙に対するインクの打滴量が多過ぎない範囲とすることができ、滲みのない画像を高速記録することが可能であり、7質量%以下であると、粒状性の良い、高画質な記録画像を得ることができる。
本発明のインクジェット記録用イエローインクは、染料として、前記一般式(Y)で表されるモノ体の水溶性アゾ染料(yn1)及びビス体の水溶性アゾ染料(yn2)を、これらの合計量でインク中の全染料の80質量%以上の範囲で含有することが好ましい。水溶性アゾ染料(yn1)及び水溶性アゾ染料(yn2)の合計量が前記範囲内であると、急激な褪色によるカラーバランスの低下を回避でき、長期での保存性に優れた画像を得ることができる。
水溶性アゾ染料(yn1)及び水溶性アゾ染料(yn2)の合計量としては、前記同様の理由から、イエローインク中の全染料量に対して、85質量%以上の範囲がより好ましく、90質量%以上の範囲が特に好ましい。
なお、本発明のインクジェット記録用イエローインクは、前記一般式(Y)で表される化合物及びその塩(水溶性アゾ染料(yn1)及び水溶性アゾ染料(yn2)を含む)に加え、さらに他のイエロー染料を併用することができる。他のイエロー染料には、特に制限はなく、公知の染料を任意に選択して用いることができる。
[水溶性有機溶剤]
本発明のイエローインクは、水溶性有機溶剤の少なくとも1種を含有することができる。「水溶性」とは、25℃の水に対する溶解度が1g/100g以上であることをいう。
水溶性有機溶剤としては、例えば、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール)、グリコール誘導体(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングルコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングルコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングルコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル)、アミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレンジアミン)、尿素、尿素誘導体及びその他の極性溶媒(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル、アセトン)が挙げられる。
イエローインク中における水溶性有機溶剤の含有量としては、10〜80質量%が好ましく、より好ましくは20〜60質量%である。なお、水溶性有機溶剤は、25℃において液体でも固体でもよい化合物であり、2種以上を併用してもよい。
[界面活性剤]
本発明のインクジェット記録用イエローインクは、前記一般式(Y)で表される水溶性アゾ染料及び前記水溶性有機溶剤と共に、さらに界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤は、表面張力調整剤として含有し、静的表面張力および動的表面張力の調整が行なえる。
界面活性剤としては、ノニオン系、カチオン系、又はアニオン系などの界面活性剤が挙げられる。本発明のインクジェット記録用イエローインクでは、インクの保存安定性や吐出安定性、更に受像紙へのインクの迅速な浸透性の点で、ノニオン系界面活性剤を含有することがより好ましい。
前記ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等を挙げることができる。中でも、吐出安定性や受像紙へのインクの迅速な浸透性の点で、アセチレンジオール系界面活性剤が好ましく、好ましい例として、アセチレングリコール系(好ましくはアセチレン系ポリオキシエチレンオキシド)界面活性剤が好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤の例として、SURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社、サーフィノール465など)が挙げられる。
前記界面活性剤のイエローインク中における含有量としては、インク全質量に対して、0.001〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.005〜10質量%であり、更に好ましくは0.01〜5質量%であり、特に好ましくは0.1〜5質量%である。
界面活性剤(特にノニオン系界面活性剤)の含有量が前記範囲内であると、良好な吐出安定性が得られる点で有利である。
イエローインクの表面張力としては、動的・静的表面張力のいずれも、25℃において20〜50mN/m以下であることが好ましく、25〜40mN/m以下であることがより好ましい。表面張力は、50mN/m以下であると吐出安定性、混色時の滲み、ひげ等の画像品質が向上し、20mN/m以上であると吐出時のハード表面へのインクの付着等の防止効果が得られる。
静的表面張力の測定方法としては、毛細管上昇法、滴下法、吊環法等が知られているが、本発明においては、垂直板法を静的表面張力測定法として用いたものである。垂直板法の原理は次の通りである。即ち、ガラス又は白金の薄い板を液体中に一部分浸して垂直に吊るすと、液面と板との接する部分に表面張力が下向きに働く。この表面張力は板を吊るしている上向きの力と釣り合わせることで測定することができる。
また、動的表面張力の測定方法としては、例えば「新実験化学講座、第18巻、界面とコロイド」、「(株)丸善、p.69〜90(1977)」に記載のように、振動ジェット法、メニスカス落下法、最大泡圧法等が知られており、さらに特開平3−2064号公報に記載の液膜破壊法が知られているが、本発明においては、バブルプレッシャー差圧法が用いられる。その測定原理と方法は次の通りである。即ち、界面活性剤を添加した溶液を撹拌して均一とし、溶液中で気泡を生成すると、新たな気−液界面が生成され、溶液中の界面活性剤分子が水の表面に一定速度で集まってくる。バブルレート(気泡の生成速度)を変化させたとき、生成速度が遅くなれば、より多くの界面活性剤が泡の表面に集まってくるため、泡がはじける直前の最大泡圧が小さくなり、バブルレートに対する最大泡圧(表面張力)が検出できる。本発明における動的表面張力測定では、大小2本のプローブを用いて溶液中で気泡を生成させ、2本のプローブの最大泡圧状態での差圧を測定し、動的表面張力を算出する。
本発明のインクジェット記録用イエローインクは、上記の成分以外に、必要に応じて、乾燥防止剤(湿潤剤)、滲み改良剤、ブロンズ防止剤、会合促進剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防黴剤、防錆剤、pH調整剤等の添加剤を適宜選択して含有することができる。
これらの添加剤の詳細については、特開2007−197491号公報や特開2008−101173号公報に記載されている。
<インクジェット記録用インクセット>
本発明のインクジェット記録用インクセットは、イエローインクとマゼンタインクとシアンインクとを少なくとも設けて構成されたものであり、このイエローインクの少なくとも1種を、既述のように、前記一般式(Y)で表され、nが1である化合物及びその塩からなる群より選ばれる水溶性アゾ染料(yn1)と、前記一般式(Y)で表され、nが2である化合物及びその塩からなる群より選ばれる水溶性アゾ染料(yn2)との少なくとも2種を用いて構成したものである。
インクジェット記録用インクセットを用いることにより、多色のカラー画像(例えばフルカラー画像)を記録することができる。フルカラー画像の記録には、インクに用いる顔料等の色材の色相を所望により変更することにより、マゼンタ色調のインク、シアン色調のインク、イエロー色調のインクとして用いることができる。さらに、色調を整えるために、ブラック色調のインクを用いることができる。また、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の色調以外のレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)、白色(W)の色調のインクや、いわゆる印刷分野における特色のインク等を用いることができる。
本発明のインクジェット記録用インクセット(以下、「本発明のインクセット」ともいう。)においては、イエロー色用の染料としてピラゾールアゾ系のイエロー染料を単に含有するイエローインクを用いるのではなく、ピラゾールアゾ系のイエロー染料のビス体とモノ体との両方を同インク中にともに含有し、モノ体がビス体に比較して堅牢性が弱く、色相が近似していることを利用することで、イエロー色調を所望色調に保ちながら、多色画像の褪色時のカラーバランスを調整できる。これより、カラーバランスが良好で長期の保存性に優れた画像が得られる。
本発明のインクジェット記録用インクセットは、既述の本発明のインクジェット記録用イエローインクと、マゼンタ染料を含むマゼンタインクと、シアン染料を含むシアンインクとを有し、必要に応じて、ブラックインクなどの他のインクを更に用いて構成することができる。
なお、本発明のインクジェット記録用イエローインクの詳細については、既述した通りである。
シアンインク及びマゼンタインク、並びに場合によりブラックインク等の他色のインクは、既述のイエローインクと同様に、染料、水溶性有機溶剤、界面活性剤、その他の添加剤などを用いて構成することができる。これらの水溶性有機溶剤、界面活性剤、及びその他の添加剤などの詳細については、既述のイエローインクにおける場合と同様であり、好ましい態様も同様である。
以下、シアンインク、マゼンタインク、ブラックインクに好適に用いられる染料について詳述する。
[水溶性フタロシアニン染料]
まず、シアンインク中の染料としては、下記一般式(C−1)で表される化合物及びその塩(水溶性フタロシアニン染料)が好ましい。この水溶性フタロシアニン染料は、前記一般式(Y)で表される化合物(イエローの水性アゾ染料)と併用して画像記録した場合に、画像のカラーバランスを長期間安定的に保ち、保存性に優れた画像を得るのに好ましい。
一般式(C−1)中、Q1〜Q4、P1〜P4、W1〜W4、R1〜R4は、それぞれ独立に、(=C(J1)−又は−N=)、(=C(J2)−又は−N=)、(=C(J3)−又は−N=)、(=C(J4)−又は−N=)を表す。J1〜J4は、それぞれ独立に、水素原子及び又は置換基を表す。Mは、水素原子、金属元素、金属酸化物、金属水酸化物、又は金属ハロゲン化物を表す。
「Q1、P1、W1、及びR1」を含む環A、「Q2、P2、W2、及びR2」を含む環B、「Q3、P3、W3、及びR3」を含む環C、並びに「Q4、P4、W4、及びR4」を含む環Dの4つの環は、芳香族炭化水素環、又はヘテロ環を表す。
環A、環B、環C、及び環Dのうち、画像の保存性の観点からは、少なくとも1つはヘテロ環であることが好ましい。環A、環B、環C、及び環Dの1つ又は2つ以上の環がヘテロ環である場合、含窒素ヘテロ環が好ましく、中でもピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環が好ましく、更にピリジン環、ピラジン環が好ましく、特にピリジン環が好ましい。
また、環A、環B、環C、及び環Dのうち、色相や色再現性の観点からは、少なくとも1つは芳香族炭化水素環であることが好ましく、2つ以上が芳香族炭化水素環であるものが更に好ましい。
J1〜J4が置換基を表す場合、J1〜J4は電子求引性の置換基が好ましく、更にはJ1〜J4の少なくとも1つはイオン性親水性基を有する置換基が好ましい。
環A、環B、環C、及び環Dの1つ又は2つ以上の環が芳香族環である場合、下記一般式(I)であることが好ましい。
前記一般式(I)中、「*」は、フタロシアニン骨格との結合位置を表す。Gは、−SO−Z1、−SO2−Z1、−SO2NZ2Z3、−CONZ2Z3、−CO2Z1、−COZ1、又はスルホ基を表す。tは、1〜4の整数を表す。
Z1は、同一又は異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルキニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環基を表す。
前記一般式(I)中、好ましいZ1は、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環基であり、その中でも置換アルキル基、置換アリール基が好ましく、置換アルキル基が最も好ましい。
Z2及びZ3は、同一又は異なっていてもよく、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルキニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換のヘテロ環基を表す。
前記一般式(I)中、Z1及びZ2は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも、水素原子、置換アルキル基、置換アリール基がより好ましく、特にZ1及びZ2の一方が水素原子を表し、他方が置換アルキル基又は置換アリール基を表す場合が好ましい。
前記一般式(I)中、好ましいGは、−SO−Z1、−SO2−Z1、−SO2NZ2Z3 、−CONZ2Z3、−CO2Z1、又は−COZ1であり、その中でも−SO−Z1、−SO2−Z1、又は−SO2NZ2Z3が好ましく、特に−SO2−Z1が好ましい。
前記一般式(I)中、好ましいtは1〜3の整数であり、その中でも1〜2の整数が好ましく、特にt=1が好ましい。
更には、前記一般式(C−1)で表される水溶性フタロシアニン染料において、環A、環B、環C、環Dの1つ又は2つ以上の環が芳香族環である場合には、少なくとも1つの芳香族環が下記一般式(II)であることが好ましい。
前記一般式(II)中、「*」はフタロシアニン骨格との結合位置を表す。
前記一般式(II)中、Gは前記一般式(I)におけるGと同義であり、好ましい態様も同様である。
また、前記一般式(II)中のt1は、1又は2を表し、特にt=1が好ましい。
本発明においては、前記一般式(C−1)で表される水溶性フタロシアニン染料以外に、シアンインクの色調の調整等のため、耐光性・耐オゾン性を損なわない範囲で、シアンインクは、他のシアン染料を用いることができる。他のシアン染料として、例えば、下記一般式(C−5)で表される染料又は染料混合物を用いることができる。
前記一般式(C−5)において、R1及びR2は、各々独立に、水素原子又は1価の置換基を表す。1価の置換基は、更に置換基を有していてもよい。aは、0〜5の整数を表し、bは0〜5の整数を表し、cは0〜5の整数を表す。
更に、他のシアン系染料としては、例えば、C.I.ダイレクトブルー1,10,15,22,25,55,67,68,71,76,77,78,80,84,86,87,90,98,106,108,109,151,156,158,159,160,168,189,192,193,194,199,200,201,202,203,207,211,213,214,218,225,229,236,237,244,248,249,251,252,264,270,280,288,289,291、C.I.アシッドブルー9,25,40,41,62,72,76,78,80,82,92,106,112,113,120,127:1,129,138,143,175,181,205,207,220,221,230,232,247,258,260,264,271,277,278,279,280,288,290,326、C.I.リアクティブブルー2,3,5,8,10,13,14,15,17,18,19,21,25,26,27,28,29,38、C.I.ベーシックブルー1,3,5,7,9,22,26,41,45,46,47,54,57,60,62,65,66,69,71等を挙げることができるが、これらに限定されない。
なお、本発明におけるシアンインクは、前記一般式で表される化合物に加え、さらに他のシアン染料を併用することができる。他のシアン染料には、特に制限はなく、公知の染料を任意に選択して用いることができる。
[水溶性アゾ染料(マゼンタ系)]
次に、マゼンタインク中の染料としては、下記一般式(M−1)で表される水溶性アゾ染料が好ましい。この水溶性アゾ染料は、前記一般式(Y)で表される化合物(イエローの水性アゾ染料)と併用して画像記録した場合に、画像のカラーバランスを長期間安定的に保ち、保存性に優れた画像を得るのに好ましい。
前記一般式(M−1)中、Aは、5員ヘテロ環ジアゾ成分A−NH2の残基を表す。B1及びB2は、各々−CR13=、−CR14=を表すか、あるいはいずれか一方が窒素原子,他方が−CR13=又は−CR14=を表す。R11,R12は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はスルファモイル基を表わす。各基は更に置換基を有していてもよい。G、R13、R14は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルキル基又はアリール基又はヘテロ環基で置換されたアミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキル及びアリールチオ基、アルキル及びアリールスルホニル基、アルキル及びアリールスルフィニル基、スルファモイル基、ヘテロ環チオ基又はイオン性親水性基を表す。各基は更に置換されていてもよい。また、R13とR11、あるいはR11とR12が結合して5〜6員環を形成してもよい。但し、一般式(M−1)は、少なくとも一つのイオン性親水性基を有する。
本発明においては、上記一般式(M−1)において、好ましいAは5員ヘテロ環であり、そのヘテロ原子の例にはN、O及びSを挙げることができる。好ましくは、含窒素5員ヘテロ環であり、ヘテロ環に脂肪族環、芳香族環、又は他のヘテロ環が縮合していてもよい。Aの好ましいヘテロ環の例としては、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、又はベンゾイソチアゾール環を挙げることができる。各ヘテロ環基は更に置換基を有していてもよい。中でも、下記一般式(a)〜(i)で表されるヘテロ環が好ましい。
前記一般式(a)〜(i)において、Rm1〜Rm20は一般式(M−1)におけるR13又はR14と同義である。
前記一般式(M−1)中、B1及びB2は、各々、−CR13=もしくは−CR14=を表すか、又はいずれか一方が窒素原子、他方が−CR13=もしくは−CR14=を表すが、B1及びB2が、−CR13=又は−CR14=を表す場合が、より優れた性能を発揮できる点で好ましい。
前記一般式(M−1)中、R11,R12は、各々独立に、水素原子、置換又は無置換のシクロアルキル基、置換又は無置換のアリール基、置換又は無置換のヘテロ環基、置換又は無置換のアシル基、置換又は無置換のアルキルスルホニル基、置換又は無置換のアリールスルホニル基が好ましく、更に水素原子、置換アリール基、置換ヘテロ環基が好ましく、その中でも置換アリール基、置換ヘテロ環基が特に好ましい。但し、R11、R12が同時に水素原子であることはない。
前記一般式(M−1)中、Gは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキル基又はアリール基又はヘテロ環基で置換されたアミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルキル及びアリールチオ基、ヘテロ環チオ基又はイオン性親水性基が好ましい。各基は更に置換されていてもよい。
更に、Gは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルキル基又はアリール基又はヘテロ環基で置換されたアミノ基、アシルアミノ基が好ましい。
その中でも、水素原子、アリール基又はヘテロ環基で置換されたアミノ基、アシルアミノ基が特に好ましく、置換基を有するアリール基で置換されたアミノ基が最も好ましい。
前記一般式(M−1)中、R13,R14は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基が好ましい。各基は更に置換されていてもよい。
更に詳しくは、水素原子、アルキル基、シアノ基、カルボキシル基が好ましく、その中でもR13が水素原子、R14がアルキル基が好ましく、特にR13が水素原子、R14がメチル基が最も好ましい。
前記一般式(M−1)で表される化合物におけるA,B1,B2,R11〜R14、Gの好ましい組み合わせについては、種々の基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
本発明では、前記一般式(M−1)で表される化合物のうち、下記一般式(M−2)で表される化合物が好ましい。
一般式(M−2)中、A、B1、B2、R11及びR12は、前記一般式(M−1)中のA、B1、B2、R11及びR12と同義である。
a及びeは各々独立に、アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子を表すが、a及びeが共にアルキル基であるときは、そのアルキル基を構成する炭素数の合計が3以上であって、それらはさらに置換されていてもよい。
b、c、dは、各々独立に前記一般式(M−1)中のR13、R14と同義であり、aとb、又は、eとdで互いに縮環していてもよい。但し、一般式(M−2)は、少なくとも一つのイオン性親水性基を有する。
前記一般式(M−2)において、Aは、前記一般式(M−1)中のAと同義であり、好ましい例も同じである。B1、B2は、前記一般式(M−1)中のB1、B2と同義であり、好ましい例も同じである。R11、R12は、前記一般式(M−1)中のR11、R12と同義であり、好ましい例も同じである。また、a及びeは各々独立に、アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子を表すが、a及びeが共にアルキル基であるときは、そのアルキル基を構成する炭素数の合計が3以上であって、それらはさらに置換されていてもよい。
更には、a及びeは各々独立にメチル基、エチル基、イソプロピル基が好ましく、その中でもエチル基、イソプロピル基が好ましく、特にa=e=エチル基又はイソプルピル基が最も好ましい。また、b、c、dは、各々独立に前記一般式(M−1)中のR13、R14と同義であり、aとb、又は、eとdで互いに縮環していてもよい。但し、一般式(M−2)は、少なくとも一つのイオン性親水性基を有する。更には、cは水素原子、アルキル基が好ましく、その中でも水素原子、メチル基が特に好ましい。b、dは、水素原子、イオン性親水性基が好ましく、その中でも水素原子、スルホ基、カルボキシ基が好ましく、特にbとdの組み合わせが水素原子とスルホ基であるのが最も好ましい。
前記一般式(M−2)で表される化合物におけるA、B1,B2,R11,R12,a〜eの好ましい組み合わせについては、種々の基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
本発明では、前記一般式(M−2)で表される化合物のうち、下記一般式(M−3)で表される化合物が好ましい。
一般式(M−3)中、Z11は、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基を表す。Z12は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基又はアシル基を表す。R11、R12、R13、R14、a、b、c、d及びeは、各々前記一般式(M−2)の場合と同義である。Qは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。前記Z11、Z12及びQの各基は、更に置換基を有していてもよい。但し、一般式(M−3)は、少なくとも一つのイオン性親水性基を有する。
前記一般式(M−3)において、R13、R14は、前記一般式(M−1)中のR13、R14と同義であり、好ましい例も同じである。R11、R12は、前記一般式(M−1)中のR11、R12と同義であり、好ましい例も同じである。a、b、c、d及びeは、前記一般式(M−2)中のa、b、c、d及びeと同義であり、好ましい例も同じである。また、Z11の前記電子吸引性基は、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上、好ましくは0.30以上の電子吸引性基である。σp値の上限としては、好ましくは1.0である。
σp値が0.20以上の電子吸引性基の具体例としては、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、ジアリールホスフィニル基、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基、アシルチオ基、スルファモイル基、チオシアネート基、チオカルボニル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン化アリールオキシ基、ハロゲン化アルキルアミノ基、ハロゲン化アルキルチオ基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アゾ基、セレノシアネート基及びσp値が0.20以上の他の電子吸引性基で置換されたアリール基が挙げられる。
Z11として好ましくはシアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ニトロ基、又はハロゲン原子であり、シアノ基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基がより好ましく、シアノ基が最も好ましい。
Z12としては水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、又はアシル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。各置換基はさらに置換されていてもよい。
更に詳しくは、Z12としてのアルキル基には、置換基を有するアルキル基及び無置換のアルキル基が含まれる。前記アルキル基は、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が1〜12のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基が好ましい。
置換基の例には、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、及びイオン性親水性基が含まれる。
アルキル基の例には、メチル、エチル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、シアノエチル、トリフルオロメチル、3−スルホプロピル及び4−スルホブチルが含まれ、その中でもメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチルが好ましく、特にイソプロピル、t−ブチルが好ましく、特にt−ブチルが最も好ましい。
Z12としてのシクロアルキル基には、置換基を有するシクロアルキル基及び無置換のシクロアルキル基が含まれる。前記シクロアルキル基としては、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が5〜12のシクロアルキル基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。シクロアルキル基の例には、シクロヘキシル基が含まれる。
Z12としてのアラルキル基としては、置換基を有するアラルキル基及び無置換のアラルキル基が含まれる。アラルキル基としては、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が7〜12のアラルキル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アラルキル基の例には、ベンジル基、及び2−フェネチル基が含まれる。
Z12としてのアリール基には、置換基を有するアリール基及び無置換のアリール基が含まれる。アリール基としては、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が6〜12のアリール基が好ましい。置換基の例には、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキルアミノ基、アミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、水酸基、エステル基及びイオン性親水性基が含まれる。アリール基の例には、フェニル、p−トリル、p−メトキシフェニル、o−クロロフェニル及びm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニルが含まれる。
Z12としてのヘテロ環基には、置換基を有する複素環基及び無置換の複素環基が含まれる。複素環基としては、5員又は6員環の複素環基が好ましい。置換基の例には、アミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、水酸基、エステル基及びイオン性親水性基が含まれる。複素環基の例には、2−ピリジル基、2−チエニル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基及び2−フリル基が含まれる。
Z12としてのアシル基には、置換基を有するアシル基及び無置換のアシル基が含まれる。前記アシル基としては、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が1〜12のアシル基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アシル基の例には、アセチル基及びベンゾイル基が含まれる。
前記一般式(M−3)において、Qは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。これら各置換基はさらに置換されていてもよい。これらの置換基の詳細は前記R13、R14の場合と同じである。
Qは、電子吸引性基で置換された、アリール基又はヘテロ環基が好ましい。Qの置換基となる電子吸引性基は、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上、好ましくは0.30以上の電子吸引性基である。σp値の上限としては、好ましくは1.0以下である。
σp値が0.20以上の電子吸引性基の具体例としては、前記一般式(M−3)中のZ11と同義である。
更に詳しくは、Qは、電子吸引性基で置換されたヘテロ環基が好ましく、その中でもスルホ基、置換又は無置換のカルバモイル基、置換又は無置換のスルファモイル基で置換されたベンズオキサゾール環、ベンゾチアゾール環が好ましく、特にスルホ基、置換スルファモイル基で置換されたベンゾチアゾール環が最も好ましい。
前記一般式(M−3)で表される化合物におけるR11〜R14,Z11〜Z12,Q,a〜eの好ましい組み合わせについては、種々の基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
本発明の一般式(M−1)で表される化合物として特に好ましい組み合わせは、以下の(イ)〜(ニ)を含むものである。
(イ)Aの好ましいヘテロ環の例には、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、又はベンゾイソチアゾール環が好ましく、更にピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環が好ましく、その中でもピラゾール環、トリアゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環が好ましく、ピラゾール環が最も好ましい。
(ロ)B1及びB2は、各々、−CR13=もしくは−CR14=を表すか、又はいずれか一方が窒素原子、他方が−CR13=もしくは−CR14=を表すが、B1及びB2が、−CR13=又は−CR14=を表す場合が好ましく、更にR13が水素原子(B1が無置換炭素原子)、R14が水素原子又はアルキル基(B2が無置換又はアルキル基で置換された炭素原子)が好ましく、特にR13が水素原子(B1が無置換炭素原子)、R14がメチル基(B2がメチル基で置換された炭素原子)が最も好ましい。
(ハ)R11、R12は、各々独立に、水素原子、置換又は無置換のシクロアルキル基、置換又は無置換のアリール基、置換又は無置換のヘテロ環基、置換又は無置換のアシル基、置換又は無置換のアルキルスルホニル基、置換又は無置換のアリールスルホニル基が好ましく、更に水素原子、置換アリール基、置換ヘテロ環基が好ましく、その中でも置換アリール基、置換ヘテロ環基が好ましく、特にスルホ基で置換されたアリール基、及び、スルホ基で置換されたヘテロ環基が最も好ましい。
(ニ)Gは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキル基又はアリール基又はヘテロ環基で置換されたアミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルキル及びアリールチオ基、ヘテロ環チオ基又はイオン性親水性基が好ましく、更に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルキル基又はアリール基又はヘテロ環基で置換されたアミノ基、アシルアミノ基が好ましく、その中でも水素原子、アリール基又はヘテロ環基で置換されたアミノ基、アシルアミノ基が特に好ましく、置換を有するアリール基で置換されたアミノ基が最も好ましい。
前記一般式(M−1)中、一般式(M−2)の場合が特に好ましい。
一般式(M−2)で表される化合物として特に好ましい組み合わせは、以下の(イ)〜(ニ)を含むものである。
(イ)Aのヘテロ環の例には、前記一般式(M−1)中のA〔前記一般式(M−1)における(イ)〕と同義であり、好ましい例も同じである。
(ロ)B1及びB2は、前記一般式(M−1)中のB1及びB2〔前記一般式(M−1)における(ロ)〕と同義であり、好ましい例も同じである。
(ハ)R11、R12は、前記一般式(M−1)中のR11、R12〔前記一般式(M−1)における(ハ)〕と同義であり、好ましい例も同じである。
(ニ)a及びeは、アルキル基又はハロゲン原子が好ましく、a及びeが共にアルキル基の時は無置換アルキル基であって、a及びeの炭素数の合計が3以上(好ましくは5以下)であり、a、b、c、dは、各々水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、イオン性親水性基(好ましくは各々水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、イオン性親水性基)の場合が好ましい。更に好ましくは、a及びeは各々独立にメチル基、エチル基、イソプロピル基が好ましく、その中でもエチル基、イソプロピル基が好ましく、特にa=e=エチル基又はイソプルピル基が最も好ましい。更に、cは、水素原子、アルキル基が好ましく、その中でも水素原子、メチル基が特に好ましい。b、dは、水素原子、イオン性親水性基が好ましく、その中でも水素原子、スルホ基、カルボキシ基が好ましく、特にbとdの組み合わせが水素原子とスルホ基であるのが最も好ましい。
前記一般式(M−2)中、一般式(M−3)の場合が特に好ましい。
本発明の一般式(M−3)で表される化合物の特に好ましい組み合わせは、以下に示す(イ)〜(ヘ)を含む組み合わせ(組み合わせ態様M)のものである。
(イ)Z11は、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上、好ましくは0.30以上の電子吸引性基である。σp値の上限としては、好ましくは1.0以下である。Z11として更に好ましくはシアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ニトロ基、又はハロゲン原子であり、シアノ基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基がより好ましく、その中でもシアノ基が最も好ましい。
(ロ)Z12としては水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、又はアシル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。各基はさらに置換されていてもよい。更に詳しくは、Z12としてのアルキル基には、置換基を有するアルキル基及び無置換のアルキル基が含まれる。前記アルキル基は、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が1〜12のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基が好ましい。置換基の例には、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、及びイオン性親水性基が含まれる。その中でもメチル、エチル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、シアノエチル、トリフルオロメチル、3−スルホプロピル及び4−スルホブチルが好ましく、特にイソプロピル、t−ブチルが好ましく、t−ブチルが最も好ましい。
(ハ)Qは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。これら各置換基はさらに置換されていてもよい。更にQは、電子吸引性基で置換された、アリール基又はヘテロ環基が好ましい。Qの置換基となる電子吸引性基は、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上、好ましくは0.30以上の電子吸引性基である。σp値の上限としては、好ましくは1.0以下である。更に詳しくは、Q電子吸引性基で置換されたヘテロ環基が好ましく、その中でもスルホ基、置換又は無置換のカルバモイル基、置換又は無置換のスルファモイル基で置換されたベンズオキサゾール環、ベンゾチアゾール環が好ましく、特にスルホ基、置換スルファモイル基で置換されたベンゾチアゾール環が最も好ましい。
(ニ)a、b、c、d及びeは、前記一般式(M−2)中のa、b、c、d及びe〔前記一般式(M−2)における(ニ)〕と同義であり、好ましい例も同じである。
(ホ)R13及びR14は、前記一般式(M−1)中のR13及びR14と同義であり、好ましい例も同じである。
(ヘ)R11、R12は、前記一般式(M−2)中のR11、R12〔前記一般式(M−2)における(ハ)〕と同義であり、好ましい例も同じである。
前記一般式(M−1)、(M−2)及び(M−3)で表される化合物(アゾ色素)はその分子内にイオン性親水性基を少なくとも1つ(好ましくは3つ以上6つ以下)有する。イオン性親水性基には、スルホ基、カルボキシル基、ホスホノ基及び4級アンモニウム基等が含まれる。前記イオン性親水性基としては、カルボキシル基、ホスホノ基、及びスルホ基が好ましく、中でもカルボキシル基、スルホ基が好ましい。特に少なくとも1つはスルホ基である事が最も好ましい。カルボキシル基、ホスホノ基及びスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)及び有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジウムイオン、テトラメチルホスホニウム)が含まれる。対イオンの中でもアルカリ金属塩が好ましい。アルカリ金属塩の中でも、カリウムイオン、ナトリウムイオン、リチウムイオンが好ましく、リチウムイオンが最も好ましい。特に、溶解性向上及びインクジェット印刷におけるブロンズ抑制の観点から、イオン性親水性基がスルホ基で、且つその対イオンがリチウムイオンの組み合わせが最も好ましい。
前記アゾ色素はその分子内にイオン性親水性基を3つ以上6つ以下有することが好ましく、スルホ基を3つ以上6つ以下有することがより好ましく、スルホ基を3つ以上5つ以下有することが更に好ましい。
なお、本発明におけるマゼンタインクは、前記一般式で表される化合物に加え、さらに他のマゼンタ染料を併用することができる。他のマゼンタ染料には、特に制限はなく、公知の染料を任意に選択して用いることができる。
上記において、本発明のインクジェット記録用インクセットは、前記一般式(Y)で表される水溶性アゾ染料のモノ体yn1及びビス体yn2(GがS-トリアジン環であって、Rが2級又は3級アルキル基であって、Xがシアノ基であって、Yが水素原子であって、Zが置換アリール基であって、Qが水素原子である場合)を含むイエローインクと、前記一般式(C−I)で表される水溶性フタロシアニン染料(環A、環B、環C、及び環Dの全てが前記一般式(I)又は(II)で表される環であって、Gが−SO2−Z1(Z1が置換アルキル基)であって、tが1〜2である場合)を含むシアンインクと、前記一般式(M−3)で表される水性アゾ染料(前記組み合わせ態様Mの場合)を含むマゼンタインクと、を含む形態が好ましい態様である。
上記に加えて、前記モノ体yn1と前記ビス体yn2とが同じ構造を有している場合〔例えば、ビス体yn2が前記一般式(Y−1)で表される化合物、モノ体yn1が前記一般式(Y−1)のGを含まない片側半分の構造の化合物(Gとの結合手に1価の置換基が結合したもの)である場合〕が好ましい。
[水溶性アゾ染料(ブラック系)]
次に、ブラックインク中の染料としては、下記一般式(B−1)で表される水溶性アゾ染料が好ましい。この水溶性アゾ染料は、前記一般式(Y)で表される化合物(イエローの水性アゾ染料)と併用して画像記録した場合に、画像のカラーバランスを長期間安定的に保ち、保存性に優れた画像を得るのに好ましい。
前記一般式(B−1)中、Aは、置換されていてもよい1価の芳香族基又はヘテロ環基を表し、Bは置換されていてもよい2価の芳香族基又はヘテロ環基を表す。T1及びT2は、各々=CR43−及び−CR44=を表すか、あるいはいずれか一方が窒素原子、他方が=CR43−又は−CR44=を表す。また、V1、R43及びR44は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリ−ルアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含む)、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、ヘテロ環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキル及びアリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキル及びアリールスルホニル基、ヘテロ環スルホニル基、アルキル及びアリールスルフィニル基、ヘテロ環スルフィニル基、スルファモイル基、又はスルホ基を表し、各基は更に置換されていてもよい。R41、R42は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキル又はアリールスルホニル基、スルファモイル基を表し、各基は更に置換基を有していてもよい。
但し、R41、R42が同時に水素原子であることはない。また、R43とR41、あるいはR41とR42が結合して5員環又は6員環を形成してもよい。
前記一般式(B−1)について詳細に説明する。
前記一般式(B−1)において、好ましいAは、置換されていてもよい1価の芳香族基又は置換されていてもよい1価のヘテロ環基が挙げられ、更に詳しくは置換されたフェニル基、置換されたナフチル基、置換又は無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でもイオン性親水性基で置換されたフェニル基、ナフチル基、置換基を有する5〜6員の含窒素へテロ環が好ましく、特にスルホ基(それらの塩を含む)、カルボキシル基(それらの塩を含む)で置換されたフェニル基、ナフチル基が好ましく、更に2つ以上のスルホ基(それらの塩を含む)、カルボキシル基(それらの塩を含む)で置換されたフェニル基、ナフチル基が好ましく、2又は3個のスルホ基(それらの塩を含む)で置換されたナフチル基が最も好ましい。
前記一般式(B−1)中、Bは、置換されていてもよい2価の芳香族基又は置換されていてもよい2価のヘテロ環基が挙げられ、更に詳しくは置換基を有する5〜6員ヘテロ環基が好ましく、その中でも置換基を有する5員ヘテロ環基が好ましい。5〜6員ヘテロ環とはヘテロ原子を含む5〜6員環を意味する。ヘテロ環のヘテロ原子としてはN、S及びO原子を挙げることができる。
Bが表すヘテロ環は、脂肪族基、芳香族環又は他のヘテロ環が縮合していてもよく、更に縮環上に置換基を有していてもよい。また、Bが表すヘテロ環は、飽和へテロ環、不飽和ヘテロ環の両方を意味するが、好ましくは不飽和へテロ環が好ましい。含窒素へテロ環の場合は、N原子が4級化されていてもよい。また、互変異性となりうるヘテロ環については、互変異性体の1つのみを記載している場合でも、他の互変異性体も合わせて含まれる。
特に好ましいBが表すヘテロ環は、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、チオフェン環、チアゾール環、イミダゾール環、ベンゾチアゾール環、チエノチアゾール環が挙げられる。
前記一般式(B−1)中、T1及びT2は、各々=CR43−及び−CR44=を表すか、あるいはいずれか一方が窒素原子、他方が=CR43−又は−CR44=を意味するが、好ましくはT1及びT2は、各々=CR43−及び−CR44=を表す場合がより優れた性能を発揮できる点で好ましい。
前記一般式(B−1)中、R41、R42は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキル又はアリールスルホニル基、スルファモイル基を表し、各基は更に置換基を有していてもよいが、その中でも水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキル又はアリールスルホニル基が好ましく、更に水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基が好ましく、特に水素原子、置換基を有するアリール基、置換基を有するヘテロ環基が好ましく、水素原子、置換基を有するアリール基が最も好ましい。但し、R41、R42が同時に水素原子であることはない。また、R43とR41、あるいはR41とR42が結合して5〜6員環を形成してもよい。
前記一般式(B−1)中、V1は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリ−ルアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含む)、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキル及びアリールチオ基、ヘテロ環チオ基が好ましく、各基は更に置換されていてもよい。
更に好ましいV1は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリ−ルアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含む)、アシルアミノ基を表し、その中でも水素原子、アミノ基(アルキルアミノ基、アリ−ルアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含む)、アシルアミノ基であり、特に置換基を有するアミノ基が好ましく、イオン性親水性基を置換基として有するアリール基で置換したアミノ基(置換アニリノ基等)が最も好ましい。
一般式(B−1)で表される化合物の特に好ましい組み合わせは、以下の(イ)〜(ホ)を含むものである。
(イ)Aは、置換されたフェニル基、置換されたナフチル基、置換又は無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でもイオン性親水性基で置換されたフェニル基、ナフチル基、置換基を有する5〜6員の含窒素へテロ環が好ましく、特にスルホ基(それらの塩を含む)、カルボキシル基(それらの塩を含む)で置換されたフェニル基、ナフチル基が好ましく、更に2つ以上のスルホ基(それらの塩を含む)、カルボキシル基(それらの塩を含む)で置換されたフェニル基、ナフチル基が好ましく、2又は3個のスルホ基(それらの塩を含む)で置換されたナフチル基が最も好ましい。
(ロ)Bは、置換基を有する5〜6員ヘテロ環基が好ましく、その中でも置換基を有する5員ヘテロ環基が好ましい。特に好ましいヘテロ環は、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、チオフェン環、チアゾール環、イミダゾール環、ベンゾチアゾール環、チエノチアゾール環が挙げられる。
(ハ)T1及びT2は、各々=CR43−及び−CR44=を表すか、あるいはいずれか一方が窒素原子、他方が=CR43−又は−CR44=を意味するが、好ましくはT1及びT2は、各々=CR43−及び−CR44=を表す場合がより優れた性能を発揮できる点で好ましい。
(ニ)R41、R42は、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキル又はアリールスルホニル基が好ましく、更に水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基が好ましく、特に水素原子、置換基を有するアリール基、置換基を有するヘテロ環基が好ましく、水素原子、置換基を有するアリール基が最も好ましい。但し、R41、R42が同時に水素原子であることはない。また、R43とR41、あるいはR41とR42が結合して5〜6員環を形成してもよい。
(ホ)V1は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリ−ルアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含む)、アシルアミノ基を表し、その中でも水素原子、アミノ基(アルキルアミノ基、アリ−ルアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含む)、アシルアミノ基が好ましく、特に置換基を有するアミノ基が好ましく、イオン性親水性基を置換基として有するアリール基で置換したアミノ基(置換アニリノ基等)が最も好ましい。
前記一般式(B−1)で表される色素におけるA,B,T1,T2,R41,R42,V1の好ましい組み合わせについては、種々の基の少なくとも1つが上記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
前記一般式(B−1)で表される化合物のうち、下記一般式(B−2)で表される化合物が好ましい。
前記一般式(B−2)中、Xは、N原子又は=CW1−を表す。W1は、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基を表す。A、V1、T1、T2、R41及びR42は、前記一般式(B−1)中のA、V1、T1、T2、R41及びR42と同義である。Wは、前記一般式(B−1)中のV1と同義である。
前記一般式(B−2)について詳細に説明する。
前記一般式(B−2)において、好ましいWは、置換フェニル基、置換又は無置換のナフチル基、置換又は無置換のヘテロ環基(例えばピロール環、チオフェン環、イミダゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ピリジン環又はピリダジン環)であり、特に好ましくは、置換フェニル基(特にパラ位置換のフェニル基)、置換又は無置換のβ−ナフチル基、ピリジン環又はチアゾール環である。
前記一般式(B−2)において、Xは、N原子又は=CW1−を表し、W1は、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基を表す。その中でも、σp値が0.30以上の電子吸引性基であるのが好ましく、0.45以上の電子吸引性基が更に好ましく、0.60以上の電子吸引性基が特に好ましいが、1.0を超えないことが望ましい。更に詳しくは、炭素数2〜20のアシル基、炭素数2〜20のアルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、炭素数6〜20のアリールスルホニル基、炭素数1〜20のカルバモイル基及び炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基が好ましい。特に好ましいものは、シアノ基、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、炭素数6〜20のアリールスルホニル基であり、最も好ましいものはシアノ基である。
前記一般式(B−2)において、Aは、前記一般式(B−1)中のAと同義であり、好ましい例も同じである。また、T1及びT2は、前記一般式(B−1)中のT1及びT2と同義であり、好ましい例も同じである。R41、R42は、前記一般式(B−1)中のR41、R42と同義であり、好ましい例も同じである。V1は、前記一般式(B−1)中のV1と同義であり、好ましい例も同じである。
前記一般式(B−2)で表される化合物の特に好ましい組み合わせは、以下の(イ)〜(ヘ)を含むものである。
(イ)好ましいWは、置換フェニル基、置換又は無置換のナフチル基、置換又は無置換のヘテロ環基(例えばピロール環、チオフェン環、イミダゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ピリジン環又はピリダジン環)であり、特に好ましくは、置換フェニル基(特にパラ位置換のフェニル基)、置換又は無置換のβ−ナフチル基、ピリジン環又はチアゾール環である。
(ロ)Xは、N原子又は=CW1−を表し、W1は、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基を表す。更に詳しくは、炭素数2〜20のアシル基、炭素数2〜20のアルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、炭素数6〜20のアリールスルホニル基、炭素数1〜20のカルバモイル基及び炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基が好ましい。特に好ましいものは、シアノ基、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、炭素数6〜20のアリールスルホニル基であり、最も好ましいものはシアノ基である。
(ハ)Aは、置換されたフェニル基、置換されたナフチル基、置換又は無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でもイオン性親水性基で置換されたフェニル基、ナフチル基、置換基を有する5〜6員の含窒素へテロ環が好ましく、特にスルホ基(それらの塩を含む)、カルボキシル基(それらの塩を含む)で置換されたフェニル基、ナフチル基が好ましく、更に2つ以上のスルホ基(それらの塩を含む)、カルボキシル基(それらの塩を含む)で置換されたフェニル基、ナフチル基が好ましく、2又は3個のスルホ基(それらの塩を含む)で置換されたナフチル基が最も好ましい。
(ニ)T1及びT2は、各々=CR43−及び−CR44=を表すか、あるいはいずれか一方が窒素原子、他方が=CR43−又は−CR44=を意味するが、好ましくはT1及びT2は、各々=CR43−及び−CR44=を表す場合がより優れた性能を発揮できる点で好ましい。
(ホ)R41、R42は、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキル又はアリールスルホニル基が好ましく、更に水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基が好ましく、特に水素原子、置換基を有するアリール基、置換基を有するヘテロ環基が好ましく、水素原子、置換基を有するアリール基が最も好ましい。但し、R41、R42が同時に水素原子であることはない。また、R43とR41、あるいはR41とR42が結合して5〜6員環を形成してもよい。
(ヘ)V1は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリ−ルアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含む)、アシルアミノ基を表し、その中でも水素原子、アミノ基(アルキルアミノ基、アリ−ルアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含む)、アシルアミノ基が好ましく、特に置換基を有するアミノ基が好ましく、イオン性親水性基を置換基として有するアリール基で置換したアミノ基(置換アニリノ基等)が最も好ましい。
前記一般式(B−2)で表される色素におけるW,X,A,T1,T2,R41,R42,V1の好ましい組み合わせについては、種々の基の少なくとも1つが上記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
前記一般式(B−2)で表される化合物のうち、下記一般式(B−3)で表される化合物が好ましい。
前記一般式(B−3)中、V1、W、X、T1,T2、R41及びR42は、前記一般式(B−2)中のV1、W、X、T1,T2、R41及びR42と同義である。X1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7は、前記一般式(B−1)中のV1と同義である。
前記一般式(B−3)について詳細に説明する。
前記一般式(B−3)において、X1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7で表される1価の基としては、水素原子、又は1価の置換基を表す。1価の置換基を更に詳しく説明する。この1価の置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリルアミノ基)、アシルアミノ基(アミド基)、アミノカルボニルアミノ基(ウレイド基)、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基、アゾ基、又はイミド基を挙げることができ、各々はさらに置換基を有していてもよい。
好ましいX1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基(それらの塩を含む)、カルボキシル基(それらの塩を含む)、水酸基(塩でもよい)、ホスホノ基(塩でもよい)又は4級アンモニウムであり、その中でも水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、スルホ基(それらの塩を含む)、カルボキシル基(それらの塩を含む)、水酸基(塩でもよい)が好ましく、更に水素原子、スルホ基(それらの塩を含む)、カルボキシル基(それらの塩を含む)が好ましく、特にX1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7のうち少なくとも1つがスルホ基(それらの塩を含む)又はカルボキシル基(それらの塩を含む)であることが好ましい。
前記一般式(B−3)において、Wは、前記一般式(B−2)中のWと同義であり、好ましい例も同じである。Xは、前記一般式(B−2)中のXと同義であり、好ましい例も同じである。T1及びT2は前記一般式(B−2)中のT1及びT2と同義であり、好ましい例も同じである。R41、R42は前記一般式(B−2)中のR41、R42と同義であり、好ましい例も同じである。V1は、前記一般式(B−2)中のV1と同義であり、好ましい例も同じである。
前記一般式(B−3)で表される化合物の特に好ましい組み合わせは、以下の(イ)〜(へ)を含むものである。
(イ)X1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基(それらの塩を含む)、カルボキシル基(それらの塩を含む)、水酸基(塩でもよい)、ホスホノ基(塩でもよい)又は4級アンモニウムであり、その中でも水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、スルホ基(それらの塩を含む)、カルボキシル基(それらの塩を含む)、水酸基(塩でもよい)が好ましく、更に水素原子、スルホ基(それらの塩を含む)、カルボキシル基(それらの塩を含む)が好ましく、特にX1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7のうち少なくとも1つがスルホ基(それらの塩を含む)又はカルボキシル基(それらの塩を含む)であることが好ましい。
(ロ)好ましいWは、置換フェニル基、置換又は無置換のナフチル基、置換又は無置換のヘテロ環基(例えばピロール環、チオフェン環、イミダゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ピリジン環又はピリダジン環)であり、特に好ましくは、置換フェニル基(特にパラ位置換のフェニル基)、置換又は無置換のβ−ナフチル基、ピリジン環又はチアゾール環である。
(ハ)Xは、N原子又は=CW1−を表し、W1は、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基を表す。更に詳しくは、炭素数2〜20のアシル基、炭素数2〜20のアルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、炭素数6〜20のアリールスルホニル基、炭素数1〜20のカルバモイル基及び炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基が好ましい。特に好ましいものは、シアノ基、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、炭素数6〜20のアリールスルホニル基であり、最も好ましいものはシアノ基である。
(ニ)T1及びT2は、各々=CR43−及び−CR44=を表すか、あるいはいずれか一方が窒素原子、他方が=CR43−又は−CR44=を意味するが、好ましくはT1及びT2は、各々=CR43−及び−CR44=を表す場合がより優れた性能を発揮できる点で好ましい。
(ホ)R41、R42は、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキル又はアリールスルホニル基が好ましく、更に水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基が好ましく、特に水素原子、置換基を有するアリール基、置換基を有するヘテロ環基が好ましく、水素原子、置換基を有するアリール基が最も好ましい。但し、R41、R42が同時に水素原子であることはない。また、R43とR41、あるいはR41とR42が結合して5〜6員環を形成してもよい。
(ヘ)V1は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリ−ルアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含む)、アシルアミノ基を表し、その中でも水素原子、アミノ基(アルキルアミノ基、アリ−ルアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含む)、アシルアミノ基が好ましく、特に置換基を有するアミノ基が好ましく、イオン性親水性基を置換基として有するアリール基で置換したアミノ基(置換アニリノ基等)が最も好ましい。
一般式(B−3)で表される色素におけるX1〜X7、W、X、T1,T2,V1,R41,R42の好ましい組み合わせについては、種々の基の少なくとも1つが上記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
前記一般式(B−3)で表される化合物のうち、下記一般式(B−4)又は下記一般式(B−5)で表される化合物が好ましい。
前記一般式(B−4)中、R41、R42、R43は前記一般式(B−1)中のR41、R42、R43と同義である。R44は、前記一般式(B−1)中のR44と同義である。R45、R46は、前記一般式(B−3)中のR41及びR42と同義である。Wは、前記一般式(B−3)中のWと同義である。X1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7は、前記一般式(B−3)中のX1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7と同義である。
前記一般式(B−5)中、R41、R42、R43は、前記一般式(B−1)中のR41、R42、R43と同義である。R44は、前記一般式(B−1)中のR44と同義である。R45、R46は、前記一般式(B−1)中のR41及びR42と同義である。Wは、前記一般式(B−3)中のWと同義である。W11は、前記一般式(B−2)中のW1と同義である。X1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7は、前記一般式(B−3)中のX1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7と同義である。
前記一般式(B−4)について詳細に説明する。
前記一般式(B−4)において、X1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7は、前記一般式(B−3)中のX1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7と同義であり、好ましい例も同じである。Wは、前記一般式(B−3)中のWと同義であり、好ましい例も同じである。R41、R42は前記一般式(B−3)中のR41、R42と同義であり、好ましい例も同じである。R43、R44は、前記一般式(B−1)中のR43、R44と同義であり、好ましい例も同じである。R45、R46は前記一般式(B−3)中のR41、R42と同義であり、好ましい例も同じである。
前記一般式(B−4)で表される化合物として特に好ましい組み合わせは、以下の(イ)〜(ホ)を含むものである。
(イ)X1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基(それらの塩を含む)、カルボキシル基(それらの塩を含む)、水酸基(塩でもよい)、ホスホノ基(塩でもよい)又は4級アンモニウムであり、その中でも水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、スルホ基(それらの塩を含む)、カルボキシル基(それらの塩を含む)、水酸基(塩でもよい)が好ましく、更に水素原子、スルホ基(それらの塩を含む)、カルボキシル基(それらの塩を含む)が好ましく、特にX1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7のうち少なくとも1つがスルホ基(それらの塩を含む)又はカルボキシル基(それらの塩を含む)であることが好ましい。
(ロ)好ましいWは、置換フェニル基、置換又は無置換のナフチル基、置換又は無置換のヘテロ環基(例えばピロール環、チオフェン環、イミダゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ピリジン環又はピリダジン環)であり、特に好ましくは、置換フェニル基(特にパラ位置換のフェニル基)、置換又は無置換のβ−ナフチル基、ピリジン環又はチアゾール環である。
(ハ)R41、R42は、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキル又はアリールスルホニル基が好ましく、更に水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基が好ましく、特に水素原子、置換基を有するアリール基、置換基を有するヘテロ環基が好ましく、水素原子、置換基を有するアリール基が最も好ましい。但し、R41、R42が同時に水素原子であることはない。また、R43とR41、あるいはR41とR42が結合して5〜6員環を形成してもよい。
(ニ)R43及びR44の好ましい例は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、ヒドロキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリ−ルアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含む)、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、ヘテロ環スルホニルアミノ基を表し、各基は更に置換されていてもよい。
更に好ましいR43は、水素原子、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基であり、その中でもシアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基が好ましく、特にシアノ基が最も好ましい。また、更に好ましいR44は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリ−ルアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含む)、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、ヘテロ環スルホニルアミノ基であり、その中でも水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基が好ましく、特に、メチル基が最も好ましい。
(ホ)R45、R46は、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキル又はアリールスルホニル基が好ましく、更に水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基が好ましく、特に水素原子、置換基を有するアリール基、置換基を有するヘテロ環基が好ましく、水素原子、置換基を有するアリール基が最も好ましい。但し、R45、R46が同時に水素原子であることはない。また、R45とR46が結合して5〜6員環を形成してもよい。
前記一般式(B−4)で表される色素におけるX1〜X7,W,R41〜R46の好ましい組み合わせについては、種々の基の少なくとも1つが上記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
前記一般式(B−5)について詳細に説明する。
前記一般式(B−5)において、X1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7は、前記一般式(B−3)中のX1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7と同義であり、好ましい例も同じである。
前記一般式(B−5)においてWは、前記一般式(B−3)中のWと同義であり、好ましい例も同じである。W11は、前記一般式(B−2)中のW1と同義であり、好ましい例も同じである。R41、R42は前記一般式(B−1)中のR41、R42と同義であり、好ましい例も同じである。R43、R44は、前記一般式(B−1)中のR43、R44と同義であり、好ましい例も同じである。R45、R46は前記一般式(B−3)中のR41、R42と同義であり、好ましい例も同じである。
前記一般式(B−5)で表される化合物の特に好ましい組み合わせは、以下の(イ)〜(ヘ)を含むものである。
(イ)X1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基(それらの塩を含む)、カルボキシル基(それらの塩を含む)、水酸基(塩でもよい)、ホスホノ基(塩でもよい)又は4級アンモニウムであり、その中でも水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、スルホ基(それらの塩を含む)、カルボキシル基(それらの塩を含む)、水酸基(塩でもよい)が好ましく、更に水素原子、スルホ基(それらの塩を含む)、カルボキシル基(それらの塩を含む)が好ましく、特にX1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7のうち少なくとも1つがスルホ基(それらの塩を含む)又はカルボキシル基(それらの塩を含む)であることが好ましい。
(ロ)好ましいWは、置換フェニル基、置換又は無置換のナフチル基、置換又は無置換のヘテロ環基(例えばピロール環、チオフェン環、イミダゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ピリジン環又はピリダジン環)であり、特に好ましくは、置換フェニル基(特にパラ位置換のフェニル基)、置換又は無置換のβ−ナフチル基、ピリジン環又はチアゾール環である。
(ハ)好ましいW11は、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基を表す。その中でも、σp値が0.30以上の電子吸引性基であるのが好ましく、0.45以上の電子吸引性基が更に好ましく、0.60以上の電子吸引性基が特に好ましいが、1.0を超えないことが望ましい。更に詳しくは、炭素数2〜20のアシル基、炭素数2〜20のアルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、炭素数6〜20のアリールスルホニル基、炭素数1〜20のカルバモイル基及び炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基が好ましい。特に好ましいものは、シアノ基、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、炭素数6〜20のアリールスルホニル基であり、最も好ましいものはシアノ基である。
(ニ)R41、R42は、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキル又はアリールスルホニル基が好ましく、更に水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基が好ましく、特に水素原子、置換基を有するアリール基、置換基を有するヘテロ環基が好ましく、水素原子、置換基を有するアリール基が最も好ましい。但し、R41、R42が同時に水素原子であることはない。また、R43とR41、あるいはR41とR42が結合して5〜6員環を形成してもよい。
(ホ)R43及びR44の好ましい例は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、ヒドロキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリ−ルアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含む)、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、ヘテロ環スルホニルアミノ基を表し、各基は更に置換されていてもよい。
更に好ましいR43は、水素原子、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基であり、その中でもシアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基が好ましく、特にシアノ基が最も好ましい。また、更に好ましいR44は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリ−ルアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含む)、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、ヘテロ環スルホニルアミノ基であり、その中でも水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基が好ましく、特に、メチル基が最も好ましい。
(ヘ)R45、R46は、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキル又はアリールスルホニル基が好ましく、更に水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基が好ましく、特に水素原子、置換基を有するアリール基、置換基を有するヘテロ環基が好ましく、水素原子、置換基を有するアリール基が最も好ましい。但し、R45、R46が同時に水素原子であることはない。また、R45とR46が結合して5〜6員環を形成してもよい。
前記一般式(B−5)で表される色素におけるX1〜X7、W、W1,R41〜R46の好ましい組み合わせについては、種々の基の少なくとも1つが上記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
本発明では、前記一般式(B−4)又は(B−5)で表される化合物のうち、特に下記一般式(B−4−I)及び又は(B−5−I)で表される化合物がより優れた性能を発揮できる点で好ましい。
前記一般式(B−4−I)中、R11、R12はイオン性親水性基を表す。特に好ましくはスルホ基(それらの塩を含む)、カルボキシル基(それらの塩を含む)であり、その中でもスルホ基が好ましい。m、nは、1〜3の整数を表す。特に好ましくは1〜2の整数を表し、m=1及び又はn=1が最も好ましい。Wは、前記一般式(B−4)中のWと同義であり好ましい例も同じである。X1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7は、前記一般式(B−4)中のX1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7と同義であり好ましい例も同じである。
前記一般式(B−5−I)中、R11、R12はイオン性親水性基を表す。特に好ましくはスルホ基(それらの塩を含む)、カルボキシル基(それらの塩を含む)であり、その中でもスルホ基が好ましい。m、nは、1〜3の整数を表す。特に好ましくは1〜2の整数を表し、m=1及び又はn=1が最も好ましい。Wは、前記一般式(B−5)中のWと同義であり好ましい例も同じである。W11は、前記一般式(B−5)中のW11と同義であり好ましい例も同じである。X1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7は、前記一般式(B−5)中のX1、X2、X3、X4、X5、X6及びX7と同義であり好ましい例も同じである。
なお、本発明におけるブラックインクは、前記一般式で表される化合物に加え、さらに他のブラック染料を併用することができる。他のブラック染料には、特に制限はなく、公知の染料を任意に選択して用いることができる。
また、各インクの調製方法については、特開平5−148436号、同5−295312号、同7−97541号、同7−82515号、同7−118584号の各公報に詳細が記載されていて、本発明におけるインクジェット記録用インクの調製にも利用できる。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、既述の本発明のインクジェット記録用イエローインク、又は既述の本発明のインクジェット記録用インクセットを用い、支持体上に無機微粒子を含有するインク受容層を有するインクジェット記録媒体上に画像を記録する構成としたものである。
本発明のインクジェット記録方法においては、イエローインクとして本発明のインクジェット記録用イエローインクを用いて記録するので、記録された画像を長期間保管した際に、画像のカラーバランスが大きく変化するのを抑えることができ、長期にわたって色調を安定的に保つことができる画像が得られる。
本発明のインクセットを用いて記録する記録紙及び記録フィルムとしては、公知の被記録材、すなわち普通紙、樹脂コート紙、例えば特開平8−169172号公報、同8−27693号公報、同2−276670号公報、同7−276789号公報、同9−323475号公報、特開昭62−238783号公報、特開平10−153989号公報、同10−217473号公報、同10−235995号公報、同10−337947号公報、同10−217597号公報、同10−337947号公報等に記載のインクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等を用いることができる。
記録紙及び記録フィルムにおける支持体は、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等を用い、必要に応じて従来の公知の顔料、バインダー、サイズ剤、定着剤、カチオン剤、紙力増強剤等の添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機等の各種装置で製造されたもの等が使用可能である。支持体としては、これらの支持体の他に合成紙、プラスチックフィルムシートのいずれであってもよく、支持体の厚みは10〜250μm、坪量は10〜250g/m2が望ましい。
支持体としては、両面をポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブテン及びそれらのコポリマー)やポリエチレンテレフタレートでラミネートした紙及びプラスチックフイルムがより好ましく用いられる。ポリオレフィン中に、白色顔料(例、酸化チタン、酸化亜鉛)又は色味付け染料(例、コバルトブルー、群青、酸化ネオジウム)を添加することが好ましい。
本発明においては、支持体上に無機微粒子を含有するインク受容層を有するインクジェット記録媒体が好ましい。以下、支持体上に設けられるインク受容層について説明する。
インク受容層は、多孔質材料や水性バインダーを用いて形成できる。また、インク受容層には、無機微粒子として顔料を含む場合が好ましく、顔料としては、白色顔料が好ましい。白色顔料としては、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー、珪藻土、合成非晶質シリカ、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、硫化亜鉛、炭酸亜鉛等の無機白色顔料、スチレン系ピグメント、アクリル系ピグメント、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。特に好ましくは、多孔性の白色無機顔料がよく、特に細孔面積が大きい合成非晶質シリカ等が好適である。合成非晶質シリカは、乾式製造法(気相法)によって得られる無水珪酸及び湿式製造法によって得られる含水珪酸のいずれも使用可能である。
前記顔料をインク受容層に含有する記録紙としては、具体的には、特開平10−81064号、同10−119423号、同10−157277号、同10−217601号、同11−348409号、特開2001−138621号、同2000−43401号、同2000−211235号、同2000−309157号、同2001−96897号、同2001−138627号、特開平11−91242号、同8−2087号、同8−2090号、同8−2091号、同8−2093号、同8−174992号、同11−192777号、特開2001−301314号などの各公報に記載のものを用いることができる。
前記水性バインダーとしては、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、デンプン、カチオン化デンプン、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド誘導体等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。これらの水性バインダーは単独又は2種以上併用して用いることができる。中でも特に、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコールが顔料に対する付着性、インク受容層の耐剥離性の点で好適である。
インク受容層は、顔料及び水性バインダーのほか、媒染剤、耐水化剤、耐光性向上剤、耐ガス性向上剤、界面活性剤、硬膜剤その他の添加剤を含有することができる。なお、インク受容層中に含まれる媒染剤は、不動化されていることが好ましい。そのためには、ポリマー媒染剤が滲み防止の点で好ましく用いられる。
本発明のインクジェット記録用インクセットの吐出に用いるインクジェット方式には、特に制限はなく、公知の方式、例えば静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式等を適用することができる。インクジェット方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。