JP2010248486A - インクジェット用インク及びインクジェット記録方法 - Google Patents

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    • C09D11/328Inkjet printing inks characterised by colouring agents characterised by dyes

Abstract

【課題】プリンタに対する侵食性が改善されたインクジェット記録インクを提供する。
【解決手段】スルホキシド化合物と分子内に芳香族ヘテロ環を有する水溶性染料と水と水溶性有機溶媒とを有し、前記スルホキシド化合物の含有量が全質量中1質量%以上10質量%未満であることを特徴とするインクジェット用インク。
【選択図】なし

Description

本発明はインクジェット用インク及びインクジェット記録方法に関する。
近年、コンピューターの普及に伴いインクジェットプリンターがオフィスだけでなく家庭で紙、フィルム、布等に印字・描画するために広く利用されている。
インクジェット記録方法には、ピエゾ素子により圧力を加えて液滴を吐出させる方式、熱によりインク中に気泡を発生させて液滴を吐出させる方式、超音波を用いた方式、あるいは静電力により液滴を吸引吐出させる方式がある。これらのインクジェット記録用インクとしては、水性インク、油性インク、あるいは固体(溶融型)インクが用いられる。
これらのインクのうち、水性インクは、製造・取り扱い性・臭気・安全性等の点を両立させ得る可能性の点では油性インクや固体(溶融型)インクよりは比較的優っているので、現用インクジェット記録用インクの主流となっている。
これらのインクジェット記録用インクに用いられる色素に対しては、溶剤(インク媒体)に対する溶解性が高いこと、高濃度記録が可能であること、色相が良好であること、光、熱、空気、水や薬品に対する堅牢性に優れていること、受像材料に対して定着性が良く滲みにくいこと、インクとしての保存性に優れていること、毒性がないこと、純度が高いこと、さらには、安価に入手できることが要求されている。
上記問題の耐オゾン性及び吐出安定性を解決する手段として、チオエーテル若しくはスルホキシド部位を有する化合物を10〜80質量%含み、かつ、特定のマゼンタ染料と水溶性有機溶剤とを有するインク組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2007−204632号公報
近年、上記問題に応えるために様々なインクジェット記録用インクが検討される中、インクジェットプリンタの流路やヘッド部材を侵食、劣化する問題が生じて来ている。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、プリンタに対する侵食性が改善されたインクジェット記録インクを提供することを目的とする。
また、本発明はプリンタに対する侵食性が改善されたインクジェット記録インクを用いたインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
<1>
スルホキシド化合物と分子内に芳香族ヘテロ環を有する水溶性染料と水と水溶性有機溶媒とを有し、前記スルホキシド化合物の含有量が全質量中1質量%以上10質量%未満であることを特徴とするインクジェット用インク。
<2>
前記水溶性染料は、下記一般式(Y)で示される染料であることを特徴とする上記<1>に記載のインクジェット用インク。
一般式(Y):


(式中、Gはヘテロ環基を表し、R、X、Y、Z、及びQは、水素原子又は置換基を表し、nは1〜3の整数を表す。nが1の時は、R、X、Y、Z、Q、Gは1価の基を表す。nが2の時は、R、X、Y、Z、Q、Gは1価または2価の置換基を表し、少なくとも1つは2価の置換基を表す。nが3の時は、R、X、Y、Z、Q、Gは1価、2価または3価の置換基を表し、そのうちの2つが2価の置換基を表すかまたは1つが3価の置換基を表す。)
<3>
前記スルホキシド化合物は、アミノ酸のスルホキシド体であることを特徴とする上記<1>または<2>に記載のインクジェット用インク。
<4>
前記スルホキシド化合物は、メチオニンスルホキシドであることを特徴とする上記<3>に記載のインクジェット用インク。
<5>
インクが接する部材のすくなくとも一部に酸化シリコン層又はシランカップリング処理層を有するインクジェットプリンタを用いて、スルホキシド化合物と水溶性染料とを含有し、該スルホキシド化合物の含有量が全質量中1質量%以上10質量%未満であるインクジェット用インクを吐出して、インクジェット記録媒体に画像を記録することを特徴とするインクジェット記録方法。
<6>
前記シランカップリング処理層を形成するシランカップリング剤がフッ素原子を含有し、かつ、前記シランカップリング処理層は前記インクジェットプリンタのインクジェットヘッドのノズルプレート表面に形成されていることを特徴とする上記<5>に記載のインクジェット記録方法。
<7>
支持体上に無機顔料粒子を含有するインク受容層を有する前記インクジェット記録媒体上に画像を記録することを特徴とする上記<5>又は<6>に記載のインクジェット記録方法。
本発明によれば、プリンタに対する侵食性が改善されたインクジェット記録インクを提供することができる。
また、本発明によればプリンタに対する侵食性が改善されたインクジェット記録インクを用いたインクジェット記録方法を提供することができる。
[インクジェット用インク]
本発明のインクジェット用インク(以下、「インク」ともいう。)は、スルホキシド化合物と分子内に芳香族ヘテロ環を有する水溶性染料と水と水溶性有機溶媒とを有し、かつ、前記スルホキシド化合物の含有量が全質量中1質量%以上10質量%未満であることにより構成される。
更に、本発明のインクジェット用インクはノニオン系界面活性剤を含有することが好ましく、必要に応じてその他の成分等を用いて構成してもよい。
本発明は、上記構成のように、特に、スルホキシド化合物の含有量を1質量%以上10質量%未満とすることにより、プリンタに対する侵食性が改善されたインクジェット用インクとすることができる。
スルホキシド化合物の含有量を10質量%以上とすると、プリンタに対する侵食、劣化の抑制効果は有するものの、インクの吐出性が悪化する。また、1質量%以上であることはスルホキシド化合物を積極的に含有することを意味し、侵食、劣化の抑制効果が得られる。即ち、スルホキシド化合物を含有することによりプリンタに対する侵食、劣化の抑制効果が徐々に得られ、上記範囲とすることにより、インク吐出性に優れ、また、プリンタに対する侵食、劣化の抑制効果が顕著となるインクとすることができる。
−スルホキシド化合物−
本発明のインクジェット用インクはスルホキシド化合物の少なくとも1種を含有する。
スルホキシド化合物は、分子内にスルホキシド構造を有する化合物であれば、特に限定されるものではないが、下記一般式(1)で表される構造を分子内に1個以上有することが好ましい。

一般式(1)で表される構造を有するスルホキシド化合物は、親水性基で置換されていてもよい。親水性基としては、置換又は無置換のアミノ基、置換又は無置換のカルバモイル基、置換又は無置換のスルファモイル基、置換又は無置換のアンモニウム、ヒドロキシル基、スルホン酸、カルボン酸、リン酸、エチレンオキシ酸、置換又は無置換の含窒素ヘテロ環等が挙げられる。
本発明におけるインクは実質的に水系であることから、本発明におけるスルホキシド化合物は水溶性であることが好ましい。
本発明におけるスルホキシド化合物は、更に好ましくは上記一般式(1)で表される構造を分子内に1〜2個有する。
本発明におけるスルホキシド化合物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記スルホキシド化合物の具体例(例示化合物A−1〜A−52)を以下に示すが、本発明はこれに限定されることはない。




本発明においては、上記スルホキシド化合物の中でも、プリンタに対する侵食性抑制の観点から、アミノ酸のスルホキシド体が好ましい。具体的には、A−41)〜A−47)、A−51)〜A−52)が好ましく、A−41)〜A−44)がより好ましく、A−41)(メチオニンスルホキシド)が特に好ましい。
本発明におけるスルホキシド化合物のインク中における含有量は、プリンタに対する侵食性抑制、特に、インクに接する部材に対する侵食性を抑制する観点から、1質量%以上10質量%未満含有することが必要であり、2質量%〜9質量%であることが好ましく、3質量%〜8質量%が更に好ましい。
前記含有量が2質量%以上であると侵食性抑制の効果が顕著になり、また9質量%以下であるとインク粘度の大幅な上昇による吐出性の悪化を引き起こす事が無く好ましい。
本発明のインクにおいて、インク中にスルホキシド化合物を特定の量を含有させることにより、インクが接する酸化シリコン層又はシランカップリング処理層に対するインクの侵食性が改善され、その結果インク流路の腐食によるインク漏れが起きにくく、またノズルプレートの撥インク性が長期間維持され、良好な吐出性が得られる様になる。
[分子内に芳香族ヘテロ環を有する水溶性染料]
本発明のインクは、水溶性染料の中でも、分子内に芳香族ヘテロ環を有する水溶性染料(以下、「特定の水溶性染料」ともいう。)の少なくとも1種を含んで構成される。
本発明において、特に、特定の水溶性染料と前記スルホキシド化合物を含有するインクとすることにより、インクジェット記録において用いるプリンタに対する侵食性が改善される。
前記特定の水溶性染料が、後述の水溶性アゾ染料である水溶性イエロー染料、水溶性マゼンタ染料、水溶性シアン染料及び水溶性ブラック染料であることが好ましく、中でも好ましくは水溶性イエロー染料である。
本発明において、特に断らない限り、一般式で表される化合物はその塩も含むものとする。
(水溶性イエロー染料)
前記分子内に芳香族ヘテロ環を有する水溶性染料は、下記一般式(Y)で表される化合物及びその塩からなる群より選ばれる水溶性アゾ染料の少なくとも1種であることが好ましい。
この水溶性アゾ染料は、色再現性に優れ、光、熱、湿度、及び環境中の活性ガスに対する堅牢性に優れるイエロー系の染料である。
なお、「水溶性」とは、水100g(25℃)に1g以上溶解することをいう。

式中、Gはヘテロ環基を表し、R、X、Y、Z、及びQは、水素原子又は置換基を表し、nは1〜3の整数を表す。nが1のときは、R、X、Y、Z、Q、Gは1価の基を表す。nが2のときは、R、X、Y、Z、Q、Gは1価又は2価の置換基を表し、少なくとも1つは2価の置換基を表す。nが3のときは、R、X、Y、Z、Q、Gは1価、2価又は3価の置換基を表し、そのうちの2つが2価の置換基を表すか又は1つが3価の置換基を表す。
以下、一般式(Y)について詳細に説明する。
一般式(Y)中、Gとしては、5〜8員ヘテロ環基が好ましく、その中でも、5員又は6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環基が好ましく、それらは更に縮環していてもよい。更に好ましくは、炭素数3〜30の5員又は6員の芳香族のヘテロ環基である。
前記Gで表されるヘテロ環基の例には、置換位置を限定しないで例示すると、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾール、イソオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリン、スルホランなどが挙げられる。
前記ヘテロ環基が、更に置換基を有することが可能な基であるときは、以下に挙げたような置換基を更に有してもよい。
炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖アルキル基、炭素数7〜18の直鎖又は分岐鎖アラルキル基、炭素数2〜12の直鎖又は分岐鎖アルケニル基、炭素数2〜12の直鎖又は分岐鎖アルキニル基、炭素数3〜12の直鎖又は分岐鎖シクロアルキル基、炭素数3〜12の直鎖又は分岐鎖シクロアルケニル基(以上の各基は分岐鎖を有するものが染料の溶解性及びインクの安定性を向上させる理由から好ましく、不斉炭素を有するものが特に好ましい。例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、sec−ブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、2−メチルスルホニルエチル、3−フェノキシプロピル、トリフルオロメチル、シクロペンチル)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)、アリール基(例えば、フェニル、4−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−アミルフェニル)、ヘテロ環基(例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキルオキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メチルスルホニルエトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、3−t−ブチルオキシカルボニルフェノキシ、3−メトキシカルボニルフェニルオキシ、アシルアミノ基(例えば、アセトアミド、ベンズアミド、4−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)ブタンアミド)、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルブチルアミノ)、アリールアミノ基(例えば、フェニルアミノ、2−クロロアニリノ)、ウレイド基(例えば、フェニルウレイド、メチルウレイド、N,N−ジブチルウレイド)、スルファモイルアミノ基(例えば、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、オクチルチオ、2−フェノキシエチルチオ)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、2−ブトキシ−5−t−オクチルフェニルチオ、2−カルボキシフェニルチオ)、アルキルオキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ)、アルキルスルホニルアミノ基及びアリールスルホニルアミノ基(例えば、メチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、p−トルエンスルホニルアミノ)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、スルホニル基(例えば、メチルスルホニル、オクチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−トルエンスルホニル)、アルキルオキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル)、ヘテロ環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アゾ基(例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾ)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイルオキシ基(例えば、N−メチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ)、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、ジブチルメチルシリルオキシ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ)、イミド基(例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ヘテロ環チオ基(例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、2,4−ジ−フェノキシ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ、2−ピリジルチオ)、スルフィニル基(例えば、3−フェノキシプロピルスルフィニル)、ホスホニル基(例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル)、アシル基(例えば、アセチル、3−フェニルプロパノイル、ベンゾイル)、イオン性親水性基(例えば、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基及び4級アンモニウム基)が挙げられる。
前記一般式(Y)において、Q、R、X、Y、及びZの好ましい例について、詳細に説明する。
Q、R、X、Y及びZが1価の基を表す場合、1価の基としては、1価の置換基を表す。1価の置換基を更に詳しく説明する。この1価の置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリールアミノ基)、アシルアミノ基(アミド基)、アミノカルボニルアミノ基(ウレイド基)、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基、アゾ基、又はイミド基を挙げることができ、各々はさらに置換基を有していてもよい。
中でも、特に好ましいものは、記録した画像の湿度や酸化性ガス・光等に対する保存性及び良好な色相の点で、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルバモイル基、又はアルコキシカルボニル基であり、特に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はヘテロ環基が好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、又はアルキルスルホニル基が最も好ましい。
以下、前記Q、R、X、Y、及びZについて更に詳しく説明する。
Q、R、X、Y及びZで表されるハロゲン原子は、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を表す。中でも塩素原子、又は臭素原子が好ましく、特に塩素原子が好ましい。
Q、R、X、Y及びZで表されるアルキル基は、置換もしくは無置換のアルキル基が含まれる。置換又は無置換のアルキル基は、炭素原子数が1〜30のアルキル基が好ましい。置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。中でも、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シアノ基、及びハロゲン原子、スルホ基(塩の形でもよい)又はカルボキシル基(塩の形でもよい)が好ましい。前記アルキル基の例には、メチル、エチル、ブチル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、ヒドロキシエチル、シアノエチル又は4−スルホブチルを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるシクロアルキル基は、置換もしくは無置換のシクロアルキル基が含まれる。置換基又は無置換のシクロアルキル基は、炭素原子数が5〜30のシクロアルキル基が好ましい。置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記シクロアルキル基の例にはシクロヘキシル、シクロペンチル、又は4−n−ドデシルシクロヘキシルを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアラルキル基は、置換もしくは無置換のアラルキル基が含まれる。置換もしくは無置換のアラルキル基としては、炭素原子数が7〜30のアラルキル基が好ましい。置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アラルキルの例にはベンジル及び2−フェネチルを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアルケニル基は、直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。好ましくは炭素数2−30の置換又は無置換のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イルなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアルキニル基は、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキニル基であり、例えば、エチニル、又はプロパルギルを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアリール基は、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、又はo−ヘキサデカノイルアミノフェニルである。置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。
Q、R、X、Y及びZで表されるヘテロ環基は、5又は6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた1価の基であり、それらは更に縮環していてもよい。更に好ましくは、炭素数3〜30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記ヘテロ環基の例には、置換位置を限定しないで例示すると、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾール、イソオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリンなどが挙げられる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアルコキシ基は、置換もしくは無置換のアルコキシ基が含まれる。置換もしくは無置換のアルコキシ基としては、炭素原子数が1〜30のアルコキシ基が好ましい。置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、n−オクチルオキシ、メトキシエトキシ、ヒドロキシエトキシ及び3−カルボキシプロポキシなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアリールオキシ基は、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基が好ましい。置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アリールオキシ基の例には、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるシリルオキシ基は、炭素数3〜20のシリルオキシ基が好ましく、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるヘテロ環オキシ基は、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基が好ましい。置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記ヘテロ環オキシ基の例には、例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアシルオキシ基は、ホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アシルオキシ基の例には、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるカルバモイルオキシ基は、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。
前記カルバモイルオキシ基の例には、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアルコキシカルボニルオキシ基は、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アルコキシカルボニルオキシ基の例には、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアリールオキシカルボニルオキシ基は、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アリールオキシカルボニルオキシ基の例には、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアミノ基は、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアミノ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アミノ基の例には、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ、ヒドロキシエチルアミノ、カルボキシエチルアミノ、スルフォエチルアミノ、3,5−ジカルボキシアニリノなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアシルアミノ基は、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アシルアミノ基の例には、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアミノカルボニルアミノ基は、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アミノカルボニルアミノ基の例には、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアルコキシカルボニルアミノ基は、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アルコキシカルボニルアミノ基の例には、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアリールオキシカルボニルアミノ基は、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アリールオキシカルボニルアミノ基の例には、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるスルファモイルアミノ基は、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記スルファモイルアミノ基の例には、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアルキル及びアリールスルホニルアミノ基は、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アルキルスルホニルアミノ基及びアリールスルホニルアミノ基の例には、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアルキルチオ基は、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アルキルチオ基の例には、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアリールチオ基は炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールチオ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アリールチオ基の例には、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるヘテロ環チオ基は、炭素数2〜30の置換又は無置換のヘテロ環チオ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記ヘテロ環チオ基の例には、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるスルファモイル基は、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記スルファモイル基の例には、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N‘−フェニルカルバモイル)スルファモイル)などを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアルキル及びアリールスルフィニル基は、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換又は無置換のアリールスルフィニル基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アルキル及びアリールスルフィニル基の例には、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニルなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアルキル及びアリールスルホニル基は、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換又は無置換のアリールスルホニル基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アルキル及びアリールスルホニル基の例には、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−トルエンスルホニルなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアシル基は、ホルミル基、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4〜30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アシル基の例には、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2―ピリジルカルボニル、2―フリルカルボニルなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアリールオキシカルボニル基は、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アリールオキシカルボニル基の例には、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニルなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアルコキシカルボニル基は、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記アルコキシカルボニル基の例には、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニルなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるカルバモイル基は、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記カルバモイル基の例には、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイルなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるホスフィノ基は、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィノ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記ホスフィノ基の例には、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるホスフィニル基は、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニル基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記ホスフィニル基の例には、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニルなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるホスフィニルオキシ基は、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記ホスフィニルオキシ基の例には、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるホスフィニルアミノ基は、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記ホスフィニルアミノ基の例には、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるシリル基は、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシリル基が好ましく、置換基の例としては、上記Gが更に置換基を有することが可能な基であるときに挙げたような置換基と同じものが挙げられる。前記シリル基の例には、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリルなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるアゾ基は、例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZで表されるイミド基は、例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミドなどを挙げることができる。
Q、R、X、Y及びZが2価の基を表す場合、2価の基としては、アルキレン基(例、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン)、アルケニレン基(例、エテニレン、プロぺニレン)、アルキニレン基(例、エチニレン、プロピニレン)、アリーレン基(例、フェニレン、ナフチレン)、2価のヘテロ環基(例、6−クロロ−1、3、5−トリアジン−2、4−ジイル基、ピリミジン−2、4−ジイル基、ピリミジン−4、6−ジイル基、キノキサリン−2、3−ジイル基、ピリダジン−3,6−ジイル)、−O−、−CO−、−NR’−(R’は水素原子、アルキル基又はアリール基)、−S−、−SO−、−SO−又はこれらの組み合わせ(例えば−NHCHCHNH−、−NHCONH−等)であることが好ましい。
アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、2価のヘテロ環基、Rのアルキル基又はアリール基は、置換基を有していてもよい。置換基の例としては、前記Gで説明した置換基と同義である。
前記R’のアルキル基及びアリール基は、前記Gの置換基例と同義である。
さらに好ましくは、炭素数10以下のアルキレン基、炭素数10以下のアルケニレン基、炭素数10以下のアルキニレン基、炭素数6以上10以下のアリーレン基、2価のヘテロ環基、−S−、−SO−、−SO−又はこれらの組み合わせ(例えば−SCHCHS−、−SCHCHCHS−等)であることがさらに好ましい。
2価の連結基の総炭素数は0〜50であることが好ましく、0〜30であることがより好ましく、0〜10であることが最も好ましい。
Q、R、X、Y及びZが3価の基を表す場合、3価の基としては、3価の炭化水素基、3価のヘテロ環基、>N−、又はこれと2価の基の組み合わせ(例えば>NCHCHNH−、>NCONH−等)であることが好ましい。
3価の連結基の総炭素数は0〜50であることが好ましく、0〜30であることがより好ましく、0〜10であることが最も好ましい。
一般式(Y)中、nの好ましい例は、1又は2であり、特に2が好ましい。
一般式(Y)中、Xの好ましい置換基例は電子吸引性基である。特に、ハメットの置換基定数σ値が0.20以上の電子吸引性基であり、より好ましくはσ値が0.30以上の電子吸引性基であることが好ましい。上限としては、σ値が1.0の電子吸引性基である。
σ値が0.20以上の電子吸引性基であるXの具体例としては、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、ジアリールホスフィニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基、アシルチオ基、スルファモイル基、チオシアネート基、チオカルボニル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン化アリールオキシ基、ハロゲン化アルキルアミノ基、ハロゲン化アルキルチオ基、σ値が0.20以上の他の電子吸引性基で置換されたアリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アゾ基、又はセレノシアネート基が挙げられる。
Xの好ましいものとしては、炭素数2〜12のアシル基、炭素数2〜12のアシルオキシ基、炭素数1〜12のカルバモイル基、炭素数2〜12のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7〜18のアリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルキルスルフィニル基、炭素数6〜18のアリールスルフィニル基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、炭素数0〜12のスルファモイル基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキルオキシ基、炭素数1〜12のハロゲン化アルキルチオ基、炭素数7〜18のハロゲン化アリールオキシ基、2つ以上のσ0.20以上の他の電子吸引性基で置換された炭素数7〜18のアリール基、及び窒素原子、酸素原子、又はイオウ原子を有する5〜8員環で炭素数1〜18のヘテロ環基を挙げることができる。
更に好ましくは、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、又は炭素数0〜12のスルファモイル基である。
Xとして特に好ましいものは、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、又は炭素数0〜12のスルファモイル基であり、最も好ましいものは、シアノ基、又は炭素数1〜12のアルキルスルホニル基である。
一般式(Y)中、Zの好ましい例は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルキニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換のヘテロ環基などである。
Zで表される基の詳細については、前記Gで表されるヘテロ環基の例に説明した対応する置換基の例と同義であり、好ましい例も同じである。
Zの特に好ましくは、置換アリール基、又は置換へテロ環基であり、その中でも特に置換アリール基が好ましい。
一般式(Y)中、Qは、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアシル基、置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、又は置換もしくは無置換のアリールスルホニル基が好ましく、特に水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアシル基が好ましく、その中でも特に水素原子が好ましい。
一般式(Y)中、Rは置換もしくは無置換の総炭素数1〜12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜18のアリール基、又は置換もしくは無置換の総炭素数4〜12のヘテロ環基が好ましく、その中でも、総炭素原子数1〜8の直鎖アルキル基又は分岐のアルキル基が好ましく、特に2級又は3級アルキル基が好ましく、t−ブチル基が最も好ましい。
一般式(Y)中、Yは水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数1〜12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜18のアリール基、又は置換もしくは無置換の総炭素数4〜12ヘテロ環基が好ましく、その中でも、水素原子、総炭素数1〜8の直鎖アルキル基及び又は分岐のアルキル基が好ましく、特に水素原子、又は総炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
一般式(Y)で表される色素におけるG,R,X,Y,Z,Qの好ましい組み合わせについては、種々の基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
一般式(Y)で表される色素として特に好ましい組み合わせは、以下の(イ)〜(ト)を含むものである。
(イ)Gは、5〜8員含窒素ヘテロ環が好ましく、特にS−トリアジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、ピリジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、又はピロール環が好ましく、その中でもS−トリアジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、又はピラジン環が好ましく、S−トリアジン環が最も好ましい。
(ロ)Rは置換もしくは無置換の総炭素数1〜12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜18のアリール基、又は置換もしくは無置換の総炭素数4〜12ヘテロ環基が好ましく、その中でも、総炭素数1〜8の直鎖アルキル基又は分岐のアルキル基が好ましく、特に2級又は3級アルキル基が好ましく、t−ブチル基が最も好ましい。
(ハ)Xとして特に好ましいものは、シアノ基、総炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、総炭素数6〜18のアリールスルホニル基、又は総炭素数0〜12のスルファモイル基であり、その中でも、シアノ基、又は総炭素数1〜12のアルキルスルホニル基が好ましく、最も好ましいものは、シアノ基である。
(ニ)Yは水素原子、置換もしくは無置換の総炭素数1〜12のアルキル基、置換もしくは無置換の総炭素数6〜18のアリール基、又は置換もしくは無置換の総炭素数4〜12ヘテロ環基が好ましく、その中でも、水素原子、総炭素数1〜8の直鎖アルキル基又は分岐のアルキル基が好ましく、特に水素原子、又は総炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
(ホ)Zは、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルキニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は置換もしくは無置換のヘテロ環基が好ましく、特に好ましい置換基は置換アリール基、又は置換へテロ環基であり、その中でも特に置換アリール基が好ましい。
(ヘ)Qは、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアシル基、置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、又は置換もしくは無置換のアリールスルホニル基が好ましく、特に水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアシル基が好ましく、その中でも特に水素原子が好ましい。
(ト)nは1〜3の整数を表し、好ましくは1又は2であり、特に2が最も好ましい。
前記一般式(Y)で表される化合物は、下記の一般式(Y−1)、一般式(Y−2)、一般式(Y−3)、一般式(Y−4)、及び一般式(Y−5)のいずれかで表される化合物であることが好ましい。

式中、R、R、X、X、Y、Y、Z、及びZは1価の基を表し、Gは5〜8員含窒素ヘテロ環を構成する原子団を表し、Mは水素原子又はカチオンを表す。mは0〜3の整数を表す。
Gの例としては、前述の一般式(Y)におけるGと同様のものが挙げられ、R、R、X、X、Y、Y、Z、及びZの表す1価の基の例としては、前述の一般式(Y)におけるQ、R、X、Y、及びZと同様のものが挙げられる。

式中、R、R、R11、R12、X、X、Z、及びZは1価の基を表し、Lは2価の連結基を表し、G、Gはそれぞれ独立に5〜8員含窒素ヘテロ環を構成する原子団を表し、Mは水素原子又はカチオンを表す。m21、m22は、それぞれ独立に0〜3の整数を表す。
、Gの例としては、前述の一般式(Y)におけるGと同様のものが挙げられ、R、R、R11、R12、X、X、Z、及びZの表す1価の基の例としては、前述の一般式(Y)におけるQ、R、X、Y、及びZと同様のものが挙げられ、Lの表す2価の連結基の例としては、前述の一般式(Y)におけるQ、R、X、Y、及びZが2価の基を表す場合の例と同様のものが挙げられる。

式中、R、R、R11、R12、X、X、Y、及びYは1価の基を表し、Lは2価の連結基を表し、G、Gはそれぞれ独立に5〜8員含窒素ヘテロ環を構成する原子団を表し、Mは水素原子又はカチオンを表す。m31、m32は、それぞれ独立に0〜3の整数を表す。
、Gの例としては、前述の一般式(Y)におけるGと同様のものが挙げられ、R、R、R11、R12、X、X、Y、及びYの表す1価の基の例としては、前述の一般式(Y)におけるQ、R、X、Y、及びZと同様のものが挙げられ、Lの表す2価の連結基の例としては、前述の一般式(Y)におけるQ、R、X、Y、及びZが2価の基を表す場合の例と同様のものが挙げられる。

式中、R11、R12、X、X、Y、Y、Z、及びZは1価の基を表し、Lは2価の連結基を表し、G、Gはそれぞれ独立に5〜8員含窒素ヘテロ環を構成する原子団を表し、Mは水素原子又はカチオンを表す。m41、m42は、それぞれ独立に0〜3の整数を表す。
、Gの例としては、前述の一般式(Y)におけるGと同様のものが挙げられ、R11、R12、X、X、Y、Y、Z、及びZの表す1価の基の例としては、前述の一般式(Y)におけるQ、R、X、Y、及びZと同様のものが挙げられ、Lの表す2価の連結基の例としては、前述の一般式(Y)におけるQ、R、X、Y、及びZが2価の基を表す場合の例と同様のものが挙げられる。

式中、R、R、R11、R12、Y、Y、Z、及びZは1価の基を表し、Lは2価の連結基を表し、G、Gはそれぞれ独立に5〜8員含窒素ヘテロ環を構成する原子団を表し、Mは水素原子又はカチオンを表す。m51、m52は、それぞれ独立に0〜3の整数を表す。
、Gの例としては、前述の一般式(Y)におけるGと同様のものが挙げられ、R、R、R11、R12、Y、Y、Z、及びZの表す1価の基の例としては、前述の一般式(Y)におけるQ、R、X、Y、及びZと同様のものが挙げられ、Lの表す2価の連結基の例としては、前述の一般式(Y)におけるQ、R、X、Y、及びZが2価の基を表す場合の例と同様のものが挙げられる。
一般式(Y)で表される化合物は、下記一般式(Y−1)、一般式(Y−2)、一般式(Y−3)、一般式(Y−4)又は一般式(Y−5)中、G、G及びGで構成される含窒素ヘテロ環がS−トリアジン環であることが好ましい。
以下、一般式(Y)で表される化合物で表される染料の具体例(例示染料DYE−1〜26)を示す。但し、本発明に用いられる染料は、下記例に限定されるものではない。また、以下の具体例の構造は遊離の酸の形で示すが、任意の塩の形で用いてもよい。また、好ましいカウンターカチオンとしては、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム)、アンモニウム、又は有機のカチオン(例えば、ピリジニウム、テトラメチルアンモニウム、グアニジウム)を挙げることができる。






上記の一般式(Y)で表される化合物及びその塩の合成は、例えば、特開2001−279145号、特開2003−277661号、特開2003−277662号、特開2004−83903号等の各公報に記載の合成法を参照して行なうことができる。
(水溶性マゼンタ染料)
本発明のインクにおける前記特定の水溶性染料が下記一般式(M−1)で表される化合物(水溶性マゼンタ染料)であることも好ましい。
本発明のインクは一般式(M−1)で表される化合物を含むことによりマゼンタインクを調製することができ、インクジェットプリンタに対する侵食性の抑制効果が顕著となる。

前記一般式(M−1)中、Aは、5員ヘテロ環ジアゾ成分A−NHの残基を表す。BおよびBは、各々−CR13=、−CR14=を表すか、あるいはいずれか一方が窒素原子,他方が−CR13=または−CR14=を表す。
11、R12は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表わす。各基は更に置換基を有していてもよい。
G、R13、R14は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルキル基またはアリール基またはヘテロ環基で置換されたアミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルフアモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルおよびアリールチオ基、アルキルおよびアリールスルホニル基、アルキルおよびアリールスルフィニル基、スルファモイル基、ヘテロ環チオ基、またはイオン性親水性基を表す。各基は更に置換されていてもよい。また、R13とR11、あるいはR11とR12が結合して5〜6員環を形成してもよい。但し、一般式(M−1)は、少なくとも一つのイオン性親水性基を有する。
一般式(M−1)に示される染料の好ましい具体例としては、特開2008−101173号公報の[0032]〜[0052]に記載の化合物が挙げられる。
(水溶性シアン染料)
本発明のインクにおける前記特定の水溶性染料が下記一般式(C−1)で表される化合物(水溶性シアン染料)であることも好ましい。
本発明のインクは下記一般式(C−1)に示される染料を含むことによりシアンインクを調製することができ、インクジェットプリンタに対する侵食性の抑制効果が顕著となる。
更に、水溶性シアン染料の50質量%以上が、下記一般式(C−1)であることが画像の保存安定性の観点で好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上であることが特に好ましい。
一般式(C−1):

前記一般式(C−1)中、X、X、X及びXは、それぞれ独立に、−SO−Z、−SO−Z、−SONV、−CONV、−COZ、−CO−Z及びスルホ基のいずれかを表す。ここで、Zは、それぞれ独立に、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアルキニル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。V,Vは、同一または異なっていてもよく、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルキニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環基を表す。
、Y、Y及びYは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミド基、アリールアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、ホスホリル基、アシル基、又はイオン性親水性基を表し、各々の基はさらに置換基を有していてもよい。
〜a及びb〜bは、それぞれX〜X及びY〜Yの置換基数を表す。
そして、a〜aは、それぞれ独立に、0〜4の整数であり、すべてが同時に0になることはない。b〜bは、それぞれ独立に、0〜4の整数を表す。
Mは、水素原子、金属原子又はその酸化物、水酸化物若しくはハロゲン化物である。ただし、X、X、X、X、Y、Y、Y及びYの内の少なくとも1つは、イオン性親水性基であるか又はイオン性親水性基を置換基として有する基である。
一般式(C−1)に示される染料の好ましい具体例としては、特開2008−101173号公報の[0133]〜[0140]に記載の化合物が挙げられる。また、一般式(C−1)に示される染料は、上記公開公報の[0141]に引用されている各公開公報に従って合成することが可能である。
(水溶性ブラック染料)
本発明のインクにおける前記特定の水溶性染料が下記一般式(B−1)で表される化合物(水溶性ブラック染料)であることも好ましい。
本発明のインクは一般式(B−1)で表される化合物を含むことによりブラックインクを調製することができ、インクジェットプリンタに対する侵食性の抑制効果が顕著となる。

上記一般式(B−1)中、A、Bは、各々独立に、置換されていてもよい芳香族基または置換されていてもよいヘテロ環基を表す(Aは一価の基であり、Bは二価の基である)。
およびTは、各々=CR43−および−CR44=を表すか、あるいはいずれか一方が窒素原子、他方が=CR43−または−CR44=を表す。
、R43およびR44は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリ−ルアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含む)、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、ヘテロ環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキル及びアリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキル及びアリールスルホニル基、ヘテロ環スルホニル基、アルキル及びアリールスルフィニル基、ヘテロ環スルフィニル基、スルファモイル基、またはスルホ基を表し、各基は更に置換されていても良い。
41、R42は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルまたはアリールスルホニル基、スルファモイル基を表し、各基は更に置換基を有していても良い。但し、R41、R42が同時に水素原子であることはない。また、R43とR41、あるいはR41とR42が結合して5乃至6員環を形成しても良い。
一般式(B−1)に示される染料の好ましい具体例としては、特開2008−101173号公報の[0152]〜[0166]に記載の化合物が挙げられる。
上記一般式(Y)で表される化合物(イエロー染料)、一般式(M−1)で表される化合物(マゼンタ染料)、一般式(C−1)で表される化合物(シアン染料)、一般式(B−1)で表される化合物(ブラック染料)に対して、色相の調整や退色速度の調整等の目的で、他の染料を併用しても良い。併用する上で好適な染料の具体例としては、例えば特開2007−138124号公報の[0473]〜[0481](イエロー染料の併用染料)、[0570]〜[0578](マゼンタ染料の併用染料)、[0660]〜[0664](シアン染料の併用染料)、[0779]〜[0792](ブラック染料の併用染料)に記載の化合物が挙げられる。
本発明のインクは、前記特定の水溶性染料を全質量中、0.5質量%〜15質量%の範囲で含有することが好ましい。
前記特定の水溶性染料を上記範囲で含む本発明のインクは、インクジェットプリンタに対する侵食性が低減され、かつ、急激な褪色によるカラーバランスの低下を回避でき、長期での保存性に優れた画像を得ることができる。
本発明のインク中の前記特定の水溶性染料が、一般式(Y)で表される化合物及びその塩である場合、インク中の染料濃度は、0.5質量%〜15質量%が好ましく、1.0〜8質量%の範囲がより好ましく、1.5質量%〜7質量%の範囲が特に好ましい。
前記イエローインクのインク中の染料濃度を0.5質量%以上に多くすると、受像紙上に大量のインクを吐出する必要がなく、高湿条件下での滲みや染料に対する有機溶剤量の過多によるインクの乾燥不良を防いで、経時での画像のカラーバランスをより保つことができる。
また、前記特定の水溶性染料が、一般式(Y)で表される化合物及びその塩である場合、イエローインク中の全染料の50質量%以上の範囲で含有することが好ましい。一般式(Y)で表される化合物及びその塩のイエローインク中における含有量が前記範囲内であると、急激な褪色によるカラーバランスの低下を回避でき、長期での保存性に優れた画像を得ることができるという効果が顕著となる。
一般式(Y)で表される化合物及びその塩のイエローインク中における含有量としては、前記同様の理由から、全染料量に対して、70質量%以上の範囲がより好ましく、80質量%以上の範囲が特に好ましい。
なお、本発明における一般式(Y)で表される化合物を含むイエローインクは、前記一般式(Y)で表される化合物及びその塩に加え、さらに他のイエロー染料を併用することができる。他のイエロー染料には、特に制限はなく、公知の染料を任意に選択して用いることができる。
前記特定の水溶性染料が前記一般式(M−1)で表される化合物及びその塩であるマゼンタインクの場合、マゼンタインク中の染料濃度を0.5質量%〜15質量%の範囲であることが好ましい。
なお、本発明における一般式(M−1)で表される化合物を含むマゼンタインクは、前記一般式(M−1)で表される化合物及びその塩に加え、さらに他のマゼンタ染料を併用することができる。他のマゼンタ染料には、特に制限はなく、公知の染料を任意に選択して用いることができる。
前記特定の水溶性染料が、前記一般式(C−1)で表される化合物及びその塩である場合、本発明において、シアンインク中に含まれる水溶性シアン染料の含有量は、一般式(C−1)で表されるシアン染料の合計量が、シアンインク中に、シアンインクの総質量に対して1〜10質量%含まれることが好ましく、1.5〜8質量%含まれることがさらに好ましい。
シアンインク中に含まれる一般式(C−1)の染料の合計量を1質量%以上にすることで、印刷したときの記録媒体上におけるインクの発色性を良好にでき、かつ必要とされる画像濃度を確保できる。また、シアンインク中に含まれる一般式(C−1)の染料の合計量を10質量%以下にすることで、インクジェット記録方法に用いた場合にシアンインクの吐出性を良好にでき、しかもインクジェットノズルが目詰まりしにくい等の効果が得られる。
なお、本発明における一般式(C−1)で表される化合物を含むシアンインクは、一般式(C−1)で表される化合物及びその塩に加え、さらに他のシアン染料を併用することができる。他のシアン染料には、特に制限はなく、公知の染料を任意に選択して用いることができる。
前記特定の水溶性染料が前記一般式(B−1)で表される化合物及びその塩であるブラックインクの場合、ブラックインク中の染料濃度を0.5質量%〜15質量%の範囲であることが好ましい。
なお、本発明における一般式(B−1)で表される化合物を含むブラックインクは、前記一般式(B−1)で表される化合物及びその塩に加え、さらに他のブラック染料を併用することができる。他のブラック染料には、特に制限はなく、公知の染料を任意に選択して用いることができる。
(水溶性有機溶媒)
本発明のインクは水溶性有機溶媒を少なくとも1種含有する。
水溶性有機溶媒としては、特に限定されず用いることができ、具体的な例としては、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール)、グリコール誘導体(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングルコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングルコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングルコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル)、アミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレンジアミン)、尿素、尿素誘導体およびその他の極性溶媒(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル、アセトン)が挙げられる。尚、前記水溶性有機溶媒は、25℃において液体でも固体でもよい化合物であり、2種類以上を併用してもよい。
水溶性有機溶媒の使用量は、本発明における前記インク中、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは20〜60質量%である。また本発明でいう水溶性とは、25℃の水に対する溶解度が、1g/100g以上であることを意味する。
本発明のインクは、スルホキシド化合物、前記特定の水溶性染料及び前記水溶性有機溶媒と共に、さらに界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤は、静的表面張力および動的表面張力の調整が行なえる。
界面活性剤としては、ノニオン系、カチオン系、又はアニオン系などの界面活性剤が挙げられる。本発明のインクでは、インクの保存安定性や吐出安定性、更に受像紙へのインクの迅速な浸透性の点で、ノニオン系界面活性剤を含有することがより好ましい。
前記ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等を挙げることができる。中でも、吐出安定性や受像紙へのインクの迅速な浸透性の点で、アセチレンジオール系界面活性剤が好ましく、好ましい例として、アセチレングリコール系(好ましくはアセチレン系ポリオキシエチレンオキシド)界面活性剤が好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤の例として、SURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社、サーフィノール465など)やオルフィン(日信化学社、オルフィンE1010など)が挙げられる。
前記界面活性剤のインク中における含有量としては、インク全質量に対して、0.001〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.005〜10質量%であり、更に好ましくは0.01〜5質量%であり、特に好ましくは0.1〜5質量%である。
界面活性剤(特にノニオン系界面活性剤)の含有量が前記範囲内であると、良好な吐出安定性が得られる点で有利である。
本発明のインクには、インクの噴射口での乾操による目詰まりを防止するための乾燥防止剤、インクを紙によりよく浸透させるための浸透促進剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、分散剤、分散安定剤、防黴剤、防錆剤、pH調整剤、消泡剤、キレート剤等の添加剤を適宜選択して適量使用することができる。これらの各種添加剤の具体例や好ましい使用量は、特開2004−331871号公報に記載の通りである。
本発明に使用されるpH調整剤はpH調節、分散安定性付与などの点で好適に使用する事ができ、25℃でのインクのpHが4〜11に調整されていることが好ましい。pHが4未満である場合は染料の溶解性が低下してノズルが詰まりやすく、11を超えると耐水性が劣化する傾向がある。pH調製剤としては、塩基性のものとして有機塩基、無機アルカリ等が、酸性のものとして有機酸、無機酸等が挙げられる。
前記有機塩基としてはトリエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミンなどが挙げられる。前記無機アルカリとしては、アルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムなど)、炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなど)、アンモニウムなどが挙げられる。また、前記有機酸としては酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、アルキルスルホン酸などが挙げられる。前記無機酸としては、塩酸,硫酸、リン酸などが挙げられる。
本発明において、インクは少なくとも水を含有する。水は、水もしくは水と前記水溶性有機溶媒との混合溶媒である形態で用いてもよい。
本発明において、含有する水の量には特に制限はないが、好ましい含有量は、10〜99質量%であり、より好ましくは30〜80質量%であり、更に好ましくは50〜70質量%である。
本発明のインクを作製する際には、濾過により固形分であるゴミを除く工程がインクの安定性向上および色相の向上のために重要である。この作業には濾過フィルターを使用するが、このときの濾過フィルターとは、有効径が1μm以下、好ましくは0.05μm以上0.3μm以下、より好ましくは0.20μm以上0.3μm以下のフィルターを用いる。フィルターの材質としては種々のものが使用できるが、特に水溶性染料のインクの場合には、水系の溶媒用に作製されたフィルターを用いるのが好ましい。中でも特にゴミの出にくい、ポリマー材料で作製されたジャケット型のフィルターを用いるのが好ましい。濾過法としては送液によりジャケットを通過させてもよいし、加圧濾過、減圧濾過のいずれの方法も利用可能である。
また、濾過後には溶液中に空気を取り込むことが多い。この空気に起因する泡もインクジェット記録において画像の乱れの原因となることが多いため、本発明では脱泡工程を別途設ける。脱泡の方法としては、超音波脱泡や減圧脱泡等種々の方法が利用可能である。
本発明におけるインク粘度は、23℃において3〜10mPa・sであることが好ましい。10mPa・sを超えると記録画像の定着速度が遅くなり、吐出性能も低下する傾向となり、3mPa・s未満では、記録画像がにじむために品位が低下する場合がある。
粘度の調整は前述の水溶性有機溶媒の添加量で任意に調整可能である。また、各種高分子量ポリマーなどの粘度調節剤(増粘剤)等の添加によっても調節可能である。
粘度の測定方法は、JISのZ8803に詳細に記載されているが、市販品の粘度計にて簡便に測定することができる。例えば、回転式では東京計器のB型粘度計、E型粘度計がある。本発明では東機産業のE型粘度計TV−22により25℃にて測定した。粘度の単位はパスカル秒(Pa・s)であるが、通常はミリパスカル秒(mPa・s)を用いる。
本発明のインクは、23℃での静的表面張力が25〜40mN/mであることが好ましい。さらに、23℃での静的表面張力が30〜40mN/mであることが好ましい。インクの静的表面張力が40mN/mを超えると、吐出安定性の低下、混色時の滲みの発生、ひげ発生(例えば、シアンベタ上に黒文字を印字した場合などに、黒文字からヒモ状に滲みが発生することがある)などのように印字品質が著しく低下する場合がある。また、インクの静的表面張力が25mN/mに満たないと、吐出時にハード表面へのインクの付着等が生じ、印字不良となる場合がある。
静的表面張力測定法としては、毛細管上昇法、滴下法、吊環法等が知られているが、本発明においては、垂直板法を静的表面張力測定法として用いる。垂直板法の原理を以下に示す。
ガラスまたは白金の薄い板を液体中に一部分浸して垂直に吊るすと、液面と板との接する部分に表面張力が下向きに働く。この表面張力は板を吊るしている上向きの力と釣り合わせることで測定することができる。
本発明で用いるインクの動的表面張力は、23℃において25〜40mN/mであることが好ましく、30〜40mN/mであることがさらに好ましい。動的表面張力が40mN/mを超えると、吐出安定性の低下、混色時の滲みの発生、ひげ発生などのように印字品質が著しく低下する場合がある。また、25mN/mに満たないと、吐出時にハード表面へのインクの付着等が生じ、印字不良となる場合がある。
動的表面張力測定方法としては、例えば「新実験化学講座、第18巻、界面とコロイド」[(株)丸善、p.69〜90(1977)]に記載されるように、振動ジェット法、メニスカス落下法、最大泡圧法等が知られており、さらに、特開平3−2064号公報に記載されているような液膜破壊法が知られているが、本発明においては、動的表面張力測定法として、バブルプレッシャー差圧法を用いている。以下、その測定原理と方法を説明する。
界面活性剤を添加した溶液を撹拌して均一とし、溶液中で気泡を生成すると、新たな気−液界面が生成され、溶液中の界面活性剤分子が水の表面に一定速度で集まってくる。バブルレート(気泡の生成速度)を変化させたとき、生成速度が遅くなれば、より多くの界面活性剤が泡の表面に集まってくるため、泡がはじける直前の最大泡圧が小さくなり、バブルレートに対する最大泡圧(表面張力)が検出できる。本発明における動的表面張力測定では、大小2本のプローブを用いて溶液中で気泡を生成させ、2本のプローブの最大泡圧状態での差圧を測定し、動的表面張力を算出する。
静的表面張力および動的表面張力の調整は、表面張力調整剤を用いることにより行うことができ、上記範囲とすることが可能である。
表面張力調整剤としては、ノニオン、カチオンあるいはアニオン界面活性剤が挙げられる。例えばアニオン系界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩(例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、石油スルホン酸塩など)、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等を挙げることができ、ノニオン系界面活性剤としては、アセチレン系ジオール(例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールなど)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、ポリオキシエチレンデシルエーテル、アセチレン系ジオールのエチレンオキシド付加物など)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等を挙げることができる。
また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。更に、特開昭59−157,636号の第(37)〜(38)頁、リサーチディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使うことができる。
前記各インクからの析出や分離が起こりにくく、発泡性が少なくいことから、疎水性部位が2本鎖あるいは疎水性部位が分岐しているアニオン性界面活性剤や疎水性部位の中央付近に親水性基を有するアニオン性またはノニオン性界面活性剤、疎水性部位が2本鎖あるいは疎水性部位が分岐しているノニオン性界面活性剤が好ましい。
この目的のための界面活性剤の含有量は、インクに対して0.001〜15質量%、好ましくは0.005〜10質量%、更に好ましくは0.01〜5質量である。
なお、インクジェット記録用インクの調製方法については、特開平5−148436号、同5−295312号、同7−97541号、同7−82515号、同7−118584号の各公報に詳細が記載されていて、本発明のインクジェット記録用インクの調製にも利用できる。
[インクジェット記録方法]
本発明のインクジェット記録方法は、インクが接する部材のすくなくとも一部に酸化シリコン層(SiO層)又はシランカップリング処理層を有するインクジェットプリンタを用いて、スルホキシド化合物と水溶性染料とを含有し、該スルホキシド化合物の含有量が全質量中1質量%以上10質量%未満であるインクジェット用インクを吐出して、インクジェット記録媒体上に画像を記録することを特徴とする。
本発明は、上記構成とすることにより、酸化シリコン層又はシランカップリング処理層を有するインクジェットプリンタに対する侵食性が抑制されたインクジェット記録方法とすることができる。
そして、例えば、インクジェットプリンタヘッドにおける酸化シリコン層のインクによる層厚み減少やインクジェットプリンタヘッドのノズルプレート表面のシランカップリング処理層のインクに対する接触角の低下を抑制することができ、その結果、インクジェット用インクの均一な吐出が可能となりより鮮明な画像を得ることができ、更には、インクジェットプリンタヘッドの耐久性をも向上させることができる。
本発明のインクジェット記録方法は、インクが接する部材のすくなくとも一部に酸化シリコン層(例えば、SiO層)又はシランカップリング処理層を有するインクジェットプリンタを少なくとも用いて構成され、これらの層のうち少なくとも1つを有するインクジェットプリンタであればよい。
ここで、「インクが接する部材」とは、インクジェット記録に用いるインクジェット用インクが接するインクジェットプリンタの部材をいい、例えば、インクジェットプリンタヘッド(単に、ヘッド)、ノズル(ノズルプレート表面を含む。)、インクタンク、圧力室、インク流路等を挙げることができる。
上記インクが接する部材の中でも、ヘッドやノズルのすくなくとも一部に、酸化シリコン層又はシランカップリング処理層を有するインクジェットプリンタを用いた場合、特に、インクが接する表面が酸化シリコン層であるインク流路及び/又は表面がシランカップリング処理層であるノズルプレートを備えたインクジェットプリンタを用いた場合に、本発明のインクジェット記録方法はヘッドやノズルの侵食の抑制効果及び均一なインク吐出性向上の効果が顕著となる点で好ましい。
前記「インクが接する部材のすくなくとも一部に酸化シリコン層又はシランカップリング処理層を有する」とは、前記部材の全体又は一部に酸化シリコン層又はシランカップリング層を有することをいい、本発明においては層とは言えないような酸化シリコンを前記部材の一部に有する又はシランカップリング処理された個所を部材の一部に有することをも含むものとする。
前記酸化シリコン層は、何れの方法で形成された層であって特に限定されない。
インクが接する部材のすくなくとも一部に酸化シリコン層を有する場合、インクによる層厚み減少が生じるが、本発明のインクジェット記録方法はこれを抑制することができる。
また、前記シランカップリング処理された層は何れの方法で形成された層であってもよい。中でも、インクに対する侵食の抑制効果、及び均一なインク吐出性効果が顕著となる点で、シランカップリング処理された層はフッ素原子を分子内に含有するシランカップリング剤を用いて形成されたシランカップリング層であることが好ましく、更に、シランカップリング剤がフッ素原子を含有し、かつ、該シランカップリング剤を用いてシランカップリング処理層が形成されたノズルプレート表面が撥インク性である態様がより好ましい。
前記シランカップリング剤としては、例えば信越シリコーン(株)社製のKA−1003、KBM−1003、KBE−1003、KBM−303、KBM−403、KBE−402、KBE−403、KBM−1403、KBM−502、KBM−503、KBE−502、KBE−503、KBM−5103、KBM−602、KBM−603、KBE−603,KBM−903,KBE−903,KBE−9103,KBM−573、KBM−575、KBM−6123、KBE−585、KBM−703、KBM−802、KBM−803、KBE−846、KBE−9007、KBM−04、KBE−04、KBM−13、KBE−13、KBE−22、KBE−103、HMDS−3、KBM−3063、KBM−3103C、KPN−3504、KF−99等が挙げられる。また、フッ素原子を分子内に含有するシランカップリング剤としては、例えば信越シリコーン(株)社製KP−801M、X−24−7890や、T&K(株)社製NANOS−B、NANOS−Y、NANOS−SGなどのNANOSシリーズ等が挙げられる。これらの中で、KP−801MやX−24−7890、NANOS−B、NANOS−SG等を用いると、良好な撥インク性や耐傷性が得られ好ましい。
前記シランカップリング処理された層としては、例えばインクジェットプリンタのインクジェットヘッドノズルプレート表面等が挙げられる。
また、本発明のインクジェット記録方法は、全質量中1質量%以上10質量%未満含有されるスルホキシド化合物を少なくとも1種を含むインクジェット用インクを用いて構成される。
該スルホキシド化合物は、前記インクジェット用インクの項において記載された化合物例、好適例、及びその含有量等も同様である。
本発明は、全質量中1質量%以上10質量%未満でスルホキシド化合物を含有するインクジェット用インクを用いたインクジェット記録方法とすることにより、インクジェットプリンタに対する侵食性が抑制でき、インク吐出性が良好となり、鮮明な画像を得ることができる。
スルホキシド化合物の含有量を10質量%以上とするとインクジェットプリンタのインク流路やヘッド部材の侵食、劣化を抑制することができないため、インク吐出性が悪化し、鮮明な画像を得ることができない。
本発明のインクジェット記録方法は、水溶性染料の少なくとも1種を含有するインクジェット用インクを用いて構成される。
水溶性染料は特に限定されず用いることができるが、中でも、前述の本発明のインクジェット用インクにおいて用いる分子内に芳香族ヘテロ環を有する水溶性染料であることが好ましく、その好ましい例及び含有量も同様である。
本発明のインクジェット記録方法におけるインクジェット用インクは、上記の中でも、インクジェットプリンタに対する侵食性及びインク吐出性の点で、前述の本発明のインクジェット用インクであることが好ましく、より好ましい態様も同様である。
本発明のインクジェット記録方法においては、前記インクジェット用インク及び前記インクジェットプリンタを用いて画像を記録するが、記録紙及び記録フィルム等のインクジェット記録媒体としては、公知の被記録材、すなわち普通紙、樹脂コート紙、例えば特開平8−169172号公報、同8−27693号公報、同2−276670号公報、同7−276789号公報、同9−323475号公報、特開昭62−238783号公報、特開平10−153989号公報、同10−217473号公報、同10−235995号公報、同10−337947号公報、同10−217597号公報、同10−337947号公報等に記載のインクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等を用いることができる。
記録紙及び記録フィルム等のインクジェット記録媒体における支持体は、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等を用い、必要に応じて従来の公知の顔料、バインダー、サイズ剤、定着剤、カチオン剤、紙力増強剤等の添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機等の各種装置で製造されたもの等が使用可能である。支持体としては、これらの支持体の他に合成紙、プラスチックフィルムシートのいずれであってもよく、支持体の厚みは10〜250μm、坪量は10〜250g/mが望ましい。
支持体としては、両面をポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブテン及びこれらのコポリマー)やポリエチレンテレフタレートでラミネートした紙及びプラスチックフイルムがより好ましく用いられる。ポリオレフィン中に、白色顔料(例、酸化チタン、酸化亜鉛)又は色味付け染料(例、コバルトブルー、群青、酸化ネオジウム)を添加することが好ましい。
本発明においては、上記インクジェット記録媒体の中でも、支持体上に無機微粒子を含有するインク受容層を有するインクジェット記録媒体が好ましい。以下、支持体上に設けられるインク受容層について説明する。
インク受容層は、多孔質材料や水性バインダーを用いて形成できる。また、インク受容層には、無機微粒子として顔料を含む場合が好ましく、顔料としては、白色顔料が好ましい。白色顔料としては、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー、珪藻土、合成非晶質シリカ、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、硫化亜鉛、炭酸亜鉛等の無機白色顔料、スチレン系ピグメント、アクリル系ピグメント、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。特に好ましくは、多孔性の白色無機顔料がよく、特に細孔面積が大きい合成非晶質シリカ等が好適である。合成非晶質シリカは、乾式製造法(気相法)によって得られる無水珪酸及び湿式製造法によって得られる含水珪酸のいずれも使用可能である。
前記顔料をインク受容層に含有するインクジェット記録媒体としての記録紙としては、具体的には、特開平10−81064号、同10−119423号、同10−157277号、同10−217601号、同11−348409号、特開2001−138621号、同2000−43401号、同2000−211235号、同2000−309157号、同2001−96897号、同2001−138627号、特開平11−91242号、同8−2087号、同8−2090号、同8−2091号、同8−2093号、同8−174992号、同11−192777号、特開2001−301314号などの各公報に記載のものを用いることができる。
前記水性バインダーとしては、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、デンプン、カチオン化デンプン、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド誘導体等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。これらの水性バインダーは単独又は2種以上併用して用いることができる。中でも特に、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコールが顔料に対する付着性、インク受容層の耐剥離性の点で好適である。
インク受容層は、顔料及び水性バインダーのほか、媒染剤、耐水化剤、耐光性向上剤、耐ガス性向上剤、界面活性剤、硬膜剤その他の添加剤を含有することができる。なお、インク受容層中に含まれる媒染剤は、不動化されていることが好ましい。そのためには、ポリマー媒染剤が滲み防止の点で好ましく用いられる。
本発明のインクジェット記録方法において、インクジェット用インクの吐出に用いるインクジェット方式には、特に制限はなく、公知の方式、例えば静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式等を適用することができる。インクジェット方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。尚、特に断りの無い限り、「部」及び「%」は質量基準である。
[実施例1]
[ブラックインクの作製]
<ブラックインクK−101の調製>
下記の成分にイオン交換水を加え1000gとした後、30〜40℃で加熱しながら1時間撹拌した。その後、平均孔径0.2μmのミクロフィルターで加圧濾過してブラックインク(K−101)を調製した。
〔ブラックインク:K−101処方〕
(固形分)
・ブラック染料(下記構造式のブラック染料K−1のカリウム塩) 60.0g
・プロキセルXL−2(アーチ・ケミカルズ・ジャパン(株)製) 1.0g
(液体成分)
・グリセリン 81g
・トリエチレングリコール 96g
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル 91g
・プロピレングリコール 3g
・オルフィンE1010(日信化学工業(株)製;アセチレンジオールのエチレンオキサイド(10モル)付加物(ノニオン系界面活性剤)) 20g
・メチオニンスルホキシド 50g
・イオン交換水 598g
(固形分及び液体成分の全体で1000gになるように添加)

[実施例2]
<イエローインクY−101の調製>
実施例1において、ブラック染料(ブラック染料K−1のカリウム塩)を、下記構造式のイエロー染料Y−1のカリウム塩に変更した以外は、実施例1と同様に行い、表1に記載のインクを調製した。

[実施例3、4]
<イエローインクY−102、103の調製>
実施例2において、メチオニンスルホキシドの含有量を、表1に記載の含有量に変更した以外は、実施例2と同様に行い表1に記載のインクを調製した。
[実施例5]
<イエローインクY−104の調製>
実施例2において、メチオニンスルホキシドを表1のスルホキシド化合物に変更した以外は、実施例2と同様に行い表1に記載のインクを調製した。
[比較例1]
<ブラックインクKC−101の調製>
実施例1において、メチオニンスルホキシドをイオン交換水に置き換えた以外は実施例1と同様にして、インクを調製した。
[比較例2]
<イエローインクYC−101の調製>
実施例2において、メチオニンスルホキシドの含有量を、表1に記載の含有量に変更した以外は実施例2と同様にして、インクを調製した。
[比較例3]
<イエローインクYC−102の調製>
実施例2において、メチオニンスルホキシドをイオン交換水に置き換えた以外は実施例2と同様にして、インクを調製した。
[評価]
<ヘッド部材の侵食性評価>
(A)酸化シリコン表面保護膜(酸化シリコン層)の侵食性
熱酸化により酸化シリコン被膜(膜厚100nm)が表面に形成された2cm×2cmの大きさのシリコン基板を、実施例及び比較例で得られたインク50mlに浸漬させて、密封状態で60℃×100時間放置した。その後、前記インク中からシリコン基板を取り出し、酸化シリコン被膜の膜厚を自動偏光解析装置エリプソメーター(ハイソル(株)社製)を用いて測定し、酸化シリコン被膜の膜厚の浸漬前後で差を算出することにより、酸化シリコン被膜の減少分を求めた。
酸化シリコン被膜の減少分が少ないほど良好である。インクの侵食による酸化シリコン被膜の減少分が多い場合には、予め酸化シリコン被膜を厚く形成する必要が生じるが、その際に酸化シリコン被膜によるストレインなどによる変形等が発生する場合があり、好ましくない。
(B)シランカップリング層(撥インク膜)の接触角による侵食性
b1)シランカップリング層(撥インク膜)の作製
上記テストで用いた基板と同様に表面に熱酸化シリコン被膜が形成されたシリコン基板の表面を、Ar気体中で酸素ガスでエッチングして表面を活性化した後、フッ素原子を含有したシランカップリング剤(製品名:NANOS−B T&K(株)製)を用いてシランカップリング処理を行う事で、表面にシランカップリング層を20nmの厚みで形成して撥インク化した。
b2)シランカップリング層に対する接触角評価
上記で作製された撥インク性シリコン基板の表面に対する上記実施例及び比較例で得られたインクの浸漬前の接触角を、接触角計ドロップマスターDM700(協和界面科学(株)社製)を用いて算出した。
これとは別に、上記で得られた撥インク性シリコン基板を、2cm×4cmに切断した後、実施例及び比較例で得られたインクの50mlに浸漬させて、密封状態で45℃×100時間放置した。その後、インク中からシリコン基板を取り出し、浸漬前の接触角の測定と同様にインクに対する接触角を求め、接触角の変化の度合いを評価した。
(C)シランカップリング層(撥インク膜)に対するインク切れ評価
上記で作製された撥インク性シリコン基板を、2cm×3cmに切断した後、50mlのインクに浸漬させて、浸した状態から基板を10cm/sの速度で引き上げ、基板全面に付着したインクが基板から離れるまでの時間(インク切れ時間)を評価した。評価は、以下の基準により行った。
(評価基準)
○:インク切れ時間が3秒未満
△:インク切れ時間が3秒以上〜5秒未満
×:インク切れ時間が5秒以上
<インクの吐出性テスト>
ノズルプレートの表面が撥インク処理されているフジフイルムディマティックス(株)社製インクジェットプリンタDMP−2831のヘッド部分を、上記で得られた実施例及び比較例の前記インク100ml中に浸漬させて、密封状態で45℃×100時間放置した。その後、インク中からヘッド部分を取り出し、イオン交換水で洗浄・乾燥した後、ヘッド部分を前記プリンタに装填し、インクをヘッド内に充填した。インクジェット受像紙として、富士フイルム(株)社製「画彩Value」をセットし、テストパターンを印画して評価した。
(評価基準)
○:鮮明に印画できた。
△:かすれが一部発生した。
×:インクの吐出方向がずれ、鮮明に印画できなかった。

上記表1の結果から、インクが接する部材に酸化シリコン又はシランカップリング剤により形成された撥インク膜が使用されているプリンタに、本発明におけるスルホキシド化合物を特定量添加したインクを用いる事で、ヘッド部材に対するインクの侵食性が改良され、長期間使用しても良好な吐出性が得られる事がわかる。また、実施例1と実施例2の比較により、特定の染料との組み合わせで、さらに好ましい効果が得られる事がわかる。

Claims (7)

  1. スルホキシド化合物と分子内に芳香族ヘテロ環を有する水溶性染料と水と水溶性有機溶媒とを有し、前記スルホキシド化合物の含有量が全質量中1質量%以上10質量%未満であることを特徴とするインクジェット用インク。
  2. 前記水溶性染料は、下記一般式(Y)で示される染料であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用インク。
    一般式(Y):


    (式中、Gはヘテロ環基を表し、R、X、Y、Z、及びQは、水素原子又は置換基を表し、nは1〜3の整数を表す。nが1の時は、R、X、Y、Z、Q、Gは1価の基を表す。nが2の時は、R、X、Y、Z、Q、Gは1価または2価の置換基を表し、少なくとも1つは2価の置換基を表す。nが3の時は、R、X、Y、Z、Q、Gは1価、2価または3価の置換基を表し、そのうちの2つが2価の置換基を表すかまたは1つが3価の置換基を表す。)
  3. 前記スルホキシド化合物は、アミノ酸のスルホキシド体であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインクジェット用インク。
  4. 前記スルホキシド化合物は、メチオニンスルホキシドであることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット用インク。
  5. インクが接する部材のすくなくとも一部に酸化シリコン層又はシランカップリング処理層を有するインクジェットプリンタを用いて、スルホキシド化合物と水溶性染料とを含有し、該スルホキシド化合物の含有量が全質量中1質量%以上10質量%未満であるインクジェット用インクを吐出して、インクジェット記録媒体に画像を記録することを特徴とするインクジェット記録方法。
  6. 前記シランカップリング処理層を形成するシランカップリング剤がフッ素原子を含有し、かつ、前記シランカップリング処理層は前記インクジェットプリンタのインクジェットヘッドのノズルプレート表面に形成されていることを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録方法。
  7. 支持体上に無機顔料粒子を含有するインク受容層を有する前記インクジェット記録媒体上に画像を記録することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のインクジェット記録方法。
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