JP5639842B2 - インク組成物、それを用いたインクジェット記録方法及び記録物 - Google Patents
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Description
このような問題に対して、特許文献1及び2には耐光性に優れた構造を有する色材を含有するインクを用いることで、画像の耐光性を向上させることに関する提案がなされている。
一方、上述したカラー画像の形成に用いられるインク組成物には、各色ごとのインク組成物自身が良好な発色性を有していることに加え、高い色濃度も求められる。
(色味)の変化が起こりにくい特性を有する一般式(BkII−1)で表される化合物(
染料)又は一般式(BkIII−1)で表される化合物(染料)と、カーボンブラックと
を含有させることで、光、温熱、水、オゾンに対する堅牢性、及び着色力に優れたインク
組成物を得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、以下の手段により本発明の目的は達成される。
なお、本発明は上記<1>〜<10>に関するものであるが、その他の事項についても参考のために記載した。
<1>
カーボンブラックと、下記一般式(BkIII−1)で表される化合物を少なくとも1種含む染料とを含有するインク組成物。
(一般式(BkIII−1)中、A 1 は置換若しくは無置換のフェニル基、又は含窒素5員ヘテロ環基を表す。G 2 は窒素原子又は−C(R 22 )=を表す。R 22 は、水素原子、スルホ基、カルボキシ基、置換又は無置換のカルバモイル基、又はシアノ基を表す。Y 22 、Y 23 及びY 24 はそれぞれ独立に、水素原子、又は1価の置換基を表す。Y 22 、Y 23 及びY 24 は、互いに結合して環を形成しても良い。M 2 はそれぞれ独立に、水素原子又は一価のカウンターカチオンを表す。)
<2>
更に、下記一般式(BkII−1)で表される化合物を少なくとも1種含む染料を含有する<1>に記載のインク組成物。
(一般式(BkII−1)中、G 1 は窒素原子又は−C(R 12 )=を表す。R 12 は、水素原子、スルホ基、カルボキシ基、置換又は無置換のカルバモイル基、又はシアノ基を表す。X 11 、X 12 、X 13 、X 14 、X 15 、X 16 及びX 17 はそれぞれ独立に水素原子、又は1価の置換基を表す。Y 12 、Y 13 、及びY 14 はそれぞれ独立に水素原子、又は1価の置換基を表す。Y 12 、Y 13 、及びY 14 は、互いに結合して環を形成しても良い。M 1 はそれぞれ独立に、水素原子又は一価のカウンターカチオンを表す。)
<3>
前記一般式(BkII−1)で表される化合物が、下記一般式(BkII−2)で表される化合物である<2>に記載のインク組成物。
(一般式(BkII−2)中、G 1 は窒素原子又は−C(R 12 )=を表す。R 12 は、水素原子、スルホ基、カルボキシ基、置換又は無置換のカルバモイル基、又はシアノ基を表す。X 12 、X 14 、及びX 16 はそれぞれ独立に水素原子、又は1価の置換基を表す。但し、X 12 、X 14 、及びX 16 の少なくとも一つはハメットのσp値が0.3以上の電子求引性基を表す。R 13 は、1価の置換基を表す。M 1 はそれぞれ独立に水素原子又は一価のカウンターカチオンを表す。)
<4>
前記一般式(BkIII−1)で表される化合物が、下記一般式(BkIII−2)で表される化合物である<1>〜<3>のいずれか1項に記載のインク組成物。
(一般式(BkIII−2)中、G 2 は窒素原子又は−C(R 22 )=を表す。R 22 は、水素原子、スルホ基、カルボキシ基、置換又は無置換のカルバモイル基、又はシアノ基を表す。R 23 は、1価の置換基を表す。A 1 はフェニル基、又は5員含窒素ヘテロ環基を表す。M 2 は水素原子又は一価のカウンターカチオンを表す。)
<5>
前記カーボンブラックと、前記染料との質量比が、2.5:1〜7:1の範囲である<1>〜<4>のいずれか一項に記載のインク組成物。
<6>
前記カーボンブラックと、前記染料との質量比が、2.5:1〜7:1の範囲であり、かつ前記一般式(BkII−1)で表される化合物と、前記一般式(BkIII−1)で表される化合物との質量比が、1:7〜1:1の範囲である<2>に記載のインク組成物。
<7>
表面張力が20〜40mN/mである<1>〜<6>のいずれか一項に記載のインク組成物。
<8>
インクジェット用である<1>〜<7>のいずれか一項に記載のインク組成物。
<9>
<1>〜<8>のいずれか一項に記載のインク組成物を用いて記録するインクジェット記録方法。
<10>
<1>〜<8>のいずれか一項に記載のインク組成物を用いて画像が形成されてなる記録物。
カーボンブラックと、下記一般式(BkII−1)又は下記一般式(BkIII−1)で表される化合物を少なくとも1種含む染料とを含有するインク組成物。
〔2〕
前記一般式(BkII−1)で表される化合物が、下記一般式(BkII−2)で表される化合物である〔1〕に記載のインク組成物。
〔3〕
前記一般式(BkIII−1)で表される化合物が、下記一般式(BkIII−2)で表される化合物である〔1〕又は〔2〕に記載のインク組成物。
〔4〕
前記カーボンブラックと、前記染料との質量比が、2.5:1〜7:1の範囲である〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載のインク組成物。
〔5〕
前記カーボンブラックと、前記染料との質量比が、2.5:1〜7:1の範囲であり、かつ前記一般式(BkII−1)で表される化合物と、前記一般式(BkIII−1)で表される化合物との質量比が、1:7〜1:1の範囲である〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載のインク組成物。
〔6〕
表面張力が20〜40mN/mである〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載のインク組成物。
〔7〕
インクジェット用である〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載のインク組成物。
〔8〕
〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載のインク組成物を用いて記録するインクジェット記録方法。
〔9〕
〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載のインク組成物を用いて画像が形成されてなる記録物。
まず、本発明において、置換基群A、置換基群J、イオン性親水性基、ハメットの置換基定数σp値について定義する。
炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖アルキル基、炭素数7〜18の直鎖又は分岐鎖アラルキル基、炭素数2〜12の直鎖又は分岐鎖アルケニル基、炭素数2〜12の直鎖又は分岐鎖アルキニル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルケニル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、2−メチルスルホニルエチル、3−フェノキシプロピル、トリフルオロメチル、シクロペンチル)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)、アリール基(例えば、フェニル、4−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−アミルフェニル)、ヘテロ環基(例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキルオキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メチルスルホニルエトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、3−t−ブチルオキシカルボニルフェノキシ、3−メトキシカルボニルフェニルオキシ、アシルアミノ基(例えば、アセトアミド、ベンズアミド、4−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)ブタンアミド)、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルブチルアミノ)、アリールアミノ基(例えば、フェニルアミノ、2−クロロアニリノ)、ウレイド基(例えば、フェニルウレイド、メチルウレイド、N,N−ジブチルウレイド)、スルファモイルアミノ基(例えば、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、オクチルチオ、2−フェノキシエチルチオ)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、2−ブトキシ−5−t−オクチルフェニルチオ、2−カルボキシフェニルチオ)、アルキルオキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ)、アルキルスルホニルアミノ基及びアリールスルホニルアミノ基(例えば、メチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、p−トルエンスルホニルアミノ)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、スルホニル基(例えば、メチルスルホニル、オクチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−トルエンスルホニル)、アルキルオキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル)、ヘテロ環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アゾ基(例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾ)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイルオキシ基(例えば、N−メチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ)、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、ジブチルメチルシリルオキシ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ)、イミド基(例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ヘテロ環チオ基(例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、2,4−ジ−フェノキシ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ、2−ピリジルチオ)、スルフィニル基(例えば、3−フェノキシプロピルスルフィニル)、ホスホニル基(例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル)、アシル基(例えば、アセチル、3−フェニルプロパノイル、ベンゾイル)、イオン性親水性基(カルボキシル基、スルホ基など)が挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよく、更なる置換基としては、以上に説明した置換基群Aから選択される基を挙げることができる。
例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基、イオン性親水性基が例として挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよく、更なる置換基としては、以上に説明した置換基群Jから選択される基を挙げることができる。
アルキルチオ基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基等が挙げられる。
スルホ基、カルボキシル基、チオカルボキシル基、スルフィノ基、ホスホノ基、ジヒドロキシホスフィノ基などが挙げられる。特に好ましくはスルホ基、カルボキシル基である。またカルボキシル基、ホスホノ基及びスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)及び有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジウムイオン、テトラメチルホスホニウム)が含まれ、リチウムイオン、アンモニウムイオンが好ましく、リチウムイオンが更に好ましい。
本明細書中で用いられるハメットの置換基定数σp値について説明する。
ハメット則はベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年L.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J.A.Dean編、「Lange’s Handbook of Chemistry」第12版、1979年(Mc Graw−Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。なお、本発明において各置換基をハメットの置換基定数σpにより限定したり説明したりするが、これは上記の成書で見出せる、文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に含まれるであろう置換基をも含むことはいうまでもない。本発明にかかる化合物はベンゼン誘導体ではないが、置換基の電子効果を示す尺度として、置換位置に関係なくσp値を使用する。本発明においては今後、σp値をこのような意味で使用する。
本発明のインク組成物は、下記一般式(BkII−1)又は下記一般式(BkIII−1)で表される化合物を少なくとも1種含む染料と、カーボンブラックとを含有する。
以下、本発明にかかるインク組成物を構成する成分や、インクの物性などについて詳細に述べる。
本発明のインク組成物は、染料として、一般式(BkII−1)で表される化合物又は一般式(BkIII−1)で表される化合物を1種以上含む。
一般式(BkII−1)で表される化合物(以下「一般式(BkII−1)で表されるアゾ化合物」と称する場合がある)について説明する。
Y12、Y13、及びY14が表すカルバモイル基、スルファモイル基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アシルアミノ基が置換基を有する場合の置換基としては、それぞれ独立に、イオン性親水性基(例えば、−CO2M11、−SO3M11:M11は一価のカウンターカチオン)であることがより好ましい。
Y12、Y13、及びY14は、互いに結合して環を形成しても良く、Y12、Y13、及びY14は互いに結合して形成する環としては、例えばベンゼン環、ナフタレン環が挙げられ、ベンゼン環であることが好ましい。
Y12、Y13、及びY14は更に置換基を有していてもよく、置換基を表す場合の置換基としては、前記の置換基Jを挙げることができ、好ましくは水酸基、又はイオン性親水性基を有していてもよいアリール基、ヘテロ環基を挙げることができる。
X11、X12、X13、X14、X15、X16、及びX17はそれぞれ独立に水素原子、イオン性親水性基、シアノ基、置換又は無置換のアルキルスルホニル基、置換又は無置換のアリールスルホニル基、ニトロ基、置換又は無置換のアルコキシカルボニル基、置換又は無置換のカルバモイル基、置換又は無置換のスルファモイル基であることが好ましく、水素原子、イオン性親水性基、シアノ基、メタンスルホニル基、フェニルスルホニル基、ニトロ基、メトキシカルボニル基、カルバモイル基であることがより好ましく、水素原子、イオン性親水性基、又はシアノ基であることが特に好ましい。
一般式(BkII−1)において、X11、X13、X15及びX17はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基群Jのいずれかであることが好ましく、更に、X12、X14、及びX16の少なくとも一つはハメットのσp値が0.3以上の電子求引性基を表すことが好ましい。
Y12、及びY14は水素原子を表し、Y13はイオン性親水性基を置換基として有するアリールスルホニルアミノ基、イオン性親水性基を置換基として有するアシルアミノ基であることが最も好ましい。
その結果、水溶液としての貯蔵安定性が向上し、インクの要求性能である、光堅牢性、熱安定性、湿熱安定性、耐水性、耐ガス性及び又は耐溶剤性が大幅に向上するため、最も好ましい例となる。
X12、X14、及びX16はそれぞれ独立に水素原子、イオン性親水性基、シアノ基、置換又は無置換のアルキルスルホニル基、置換又は無置換のアリールスルホニル基、ニトロ基、置換又は無置換のアルコキシカルボニル基、置換又は無置換のカルバモイル基、置換又は無置換のスルファモイル基であることが好ましく、水素原子、イオン性親水性基、シアノ基、メタンスルホニル基、フェニルスルホニル基、ニトロ基、メトキシカルボニル基、カルバモイル基であることがより好ましく、水素原子、イオン性親水性基、又はシアノ基であることが特に好ましい。
X12、X14、及びX16の少なくとも一つが、σp値がこの範囲の電子求引性基であれば、アゾ化合物の色相調整と光堅牢性及びオゾンガス堅牢性向上が可能であり、インクジェット記録黒インク用水溶性染料として使用する点で効果を得ることができる。
(ニ)X12、X14、及びX16の少なくとも一つはイオン性親水性基であることが好ましく、X12、X14、及びX16の少なくとも一つはハメットのσp値が0.3以上の電子求引性基であることが好ましく、X13がハメットのσp値が0.3以上の電子求引性基であって、X12、及びX16がイオン性親水性基であることがより好ましい。
その結果、長期保存安定性が可能となり、インクの要求性能である、光堅牢性、熱安定性、湿熱安定性、耐水性、耐ガス性及び又は耐溶剤性が大幅に向上するため、最も好ましい例となる。
また、本発明では、一般式(BkII−1)〜(BkII−4)で表される化合物は少なくとも3つ以上のイオン性親水性基を有することが好ましい。より好ましくはイオン性親水性基を3〜6個有し、更に好ましくはイオン性親水性基を4〜5個有する。これにより本発明のアゾ化合物の水溶性、水溶液貯蔵安定性が向上し、インクジェット記録黒インク用水溶性染料としての要求性能を高いレベルで満足し更にインクジェット記録用インクとして使用した際のインクジェット印画物の画質を更に向上できる点という効果を奏する。
また、本発明では、一般式(BkII−1)〜(BkII−4)で表される化合物中に同位元素(例えば、2H、3H、13C、15N)を含有していても適用できる。
一般式(BkII−1)で表されるアゾ化合物(以下「一般式(BkIII−1)で表される化合物」と称する場合がある)について説明する。
一般式(BkIII−1)において、Y22、Y23、及びY24はそれぞれ独立に、水素原子、イオン性親水性基、置換又は無置換のカルバモイル基、置換又は無置換のスルファモイル基、置換又は無置換のアルキルスルホニルアミノ基、置換又は無置換のアリールスルホニルアミノ基、アシルアミノ基であることが好ましく、水素原子、イオン性親水性基を置換基として有するアルキルスルホニルアミノ基、イオン性親水性基を置換基として有するアリールスルホニルアミノ基、イオン性親水性基を置換基として有するアシルアミノ基であることがより好ましく、水素原子、イオン性親水性基を置換基として有するアリールスルホニルアミノ基、イオン性親水性基を置換基として有するアシルアミノ基であることが特に好ましい。
Y22、Y23、及びY24が表すカルバモイル基、スルファモイル基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アシルアミノ基が置換基を有する場合の置換基としては、それぞれ独立に、イオン性親水性基(例えば、−CO2M11、−SO3M11:M11は一価のカウンターカチオン)であることがより好ましい。
Y22、Y23、及びY24は、互いに結合して環を形成しても良く、Y22、Y23、及びY24は互いに結合して形成する環としては、例えばベンゼン環、ナフタレン環が挙げられ、ベンゼン環であることが好ましい。
Y22、Y23、及びY24は更に置換基を有していてもよく、更なる置換基としては、水酸基、又はイオン性親水性基を有していてもよいアリール基、ヘテロ環基を挙げることができる。
A1が表すアリール基は、炭素数6〜30の置換若しくは無置換のアリール基が好ましく、置換若しくは無置換のフェニル基がより好ましい。置換基の例としては、前述の置換基の項で述べた基が挙げられ、前記イオン性親水性基又は前記ハメットのσp値が0.3以上の電子求引性基が好ましい。
Y22、及びY24は水素原子を表し、Y23はイオン性親水性基を置換基として有するアリールスルホニルアミノ基、イオン性親水性基を置換基として有するアシルアミノ基であることが最も好ましい。
その結果、水溶液としての貯蔵安定性が向上し、インクの要求性能である、光堅牢性、熱安定性、湿熱安定性、耐水性、耐ガス性及び又は耐溶剤性が大幅に向上するため、最も好ましい例となる。
X21、X22、X23、X24、及びX25はそれぞれ独立に水素原子、イオン性親水性基、シアノ基、置換又は無置換のアルキルスルホニル基、置換又は無置換のアリールスルホニル基、ニトロ基、置換又は無置換のアルコキシカルボニル基、置換又は無置換のカルバモイル基、置換又は無置換のスルファモイル基であることが好ましく、水素原子、イオン性親水性基、シアノ基、メタンスルホニル基、フェニルスルホニル基、ニトロ基、メトキシカルボニル基、カルバモイル基であることがより好ましく、水素原子、イオン性親水性基、又はシアノ基であることが特に好ましい。
X21、X23、及びX25の少なくとも一つが、σp値がこの範囲の電子求引性基であれば、アゾ化合物の色相調整と光堅牢性及びオゾンガス堅牢性向上が可能であり、インクジェット記録黒インク用水溶性染料として使用する点で効果を得ることができる。
その結果、長期保存安定性が可能となり、インクの要求性能である、光堅牢性、熱安定性、湿熱安定性、耐水性、耐ガス性及び又は耐溶剤性が大幅に向上するため、最も好ましい例となる。
また、本発明では、一般式(BkIII−1)〜(BkIII−4)で表される化合物は少なくとも3つ以上のイオン性親水性基を有することが好ましい。より好ましくはイオン性親水性基を3〜6個有し、更に好ましくはイオン性親水性基を4〜5個有する。これにより本発明のアゾ化合物の水溶性、水溶液貯蔵安定性が向上し、インクジェット記録黒インク用水溶性染料としての要求性能を高いレベルで満足し更にインクジェット記録用インクとして使用した際のインクジェット印画物の画質を更に向上できる点という効果を奏する。
また、本発明では、一般式(BkIII−1)〜(BkIII−4)で表される化合物中に同位元素(例えば、2H、3H、13C、15N)を含有していても適用できる。
本発明で用いる染料がインク中に含まれているか否かの検証には、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた下記(1)〜(3)の検証方法が適用できる。
(1)ピークの保持時間
(2)(1)のピークについての極大吸収波長
(3)(1)のピークについてのマススペクトルのM/Z(posi)、M/Z(nega)
・カラム:SunFire C18(日本ウォーターズ製)2.1mm×150mm
・カラム温度:40℃
・流速:0.2mL/min
・PDA:200nm〜700nm
・移動相及びグラジエント条件:表1
このような好ましい色調は、一般式(BkII−1)で表される化合物、一般式(BkIII−1)で表される化合物を、それぞれ単独で用いることによって得ることができるが、(BkII−1)で表される化合物同士を2種以上組み合わせても、(BkIII−1)で表される化合物同士を2種以上組み合わせても、(BkII−1)で表される化合物と(BkIII−1)で表される化合物とを任意の組み合わせで用いても得ることができる。
本発明のインク組成物は、カーボンブラックを含む。
本発明において用いられるカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)としては、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法、チャネル法などの公知の方法によって製造されたファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラックなどがある。その性状は、特に限定はされないが、1次粒子が15〜40nm、BET吸着法による比表面積が50〜300m2/g、DBP吸油量が40〜150ml/100g、揮発分が0.5〜10%、pH2〜9のものが好ましく使用され、特にpH6以下の酸性カーボンブラックが高濃度で好ましい。
インク組成物に用いられるpH調整剤としては、本発明の水溶液に用いたものを挙げることができ、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムが好ましく、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウムがより好ましい。
本発明のインク組成物の用途は、特に制限されるべきものではなく、インクジェットなどの印刷用のインク組成物、感熱記録材料におけるインクシート、電子写真用のカラートナー、LCD、PDPなどのディスプレイやCCDなどの撮像素子で用いられるカラーフィルター、各種繊維の染色のための染色液などの調製に好ましく用いることができるが、特にインクジェット記録用インク組成物が好ましい。
インク組成物の製造方法は、上記水溶液を用いることができる。
インク組成物は、ブラックインクが好適であるが、ブラックインクに制限されるべきものではなく、他の染料あるいは顔料との混合により任意の色のインクを包含することができる。
インク組成物の製造方法は、少なくとも水溶液を用いて上記粘度範囲の所望のインク組成物を作製する工程(以下、調液工程ともいう)を含む。
調液工程とは、上記のようにして得られた水溶液を特定の粘度を有し、かつ所望の用途のインク組成物に調液する工程であり、最終製品であってもよいし、中間製品であってもよい。この調液工程には水溶液を媒体、好ましくは水性媒体で希釈する工程が少なくとも含まれる。油溶性染料を含む水溶液は、この希釈工程で使用する媒体に特に制限はないが、水性媒体中に乳化分散され、水性インク組成物として調製されることが好ましい。当該媒体には、必要な濃度の各種成分が含まれていてもよいし、当該成分を別途水溶液に添加するようにしてもよいし、それら両者を組みあわせてもよい。
本発明により製造されたインク組成物は、染料濃度が高濃度な水溶液を用いて製造されたために通常の方法で製造されたインク組成物よりも染料の溶解性が向上し、ひいては吐出安定性が向上する。
本発明では、粘度低下剤を用いていてもよく、上記濾過処理を抵抗なく行うことができる。
他の染料は、水溶液に用いることができるが、好ましくはインク組成物の調製のときに混合して用いることが保存安定性の観点から好ましい。
本発明では該速度定数(kvis)が5.0×10-2[hour-1]以下、好ましくは3.0×10-2[hour-1]以下、更に好ましくは1.0×10-2[hour-1]以下となるようなインク組成物を作製する。
また、本発明に用いられる染料としては、酸化電位が1.0V(vsSCE)以上であることが好ましい。
酸化電位の値(Eox)は当業者が容易に測定することができる。この方法に関しては、例えばP.Delahay著“New InstrumentalMethods in Electrochemistry”(1954年 Interscience Publishers社刊)やA.J.Bard他著“Electrochemical Methods”(1980年 JohnWiley & Sons社刊)、藤嶋昭他著“電気化学測定法”(1984年 技報堂出版社刊)に記載されている。
なお、本発明では、0.1mol/リットルの過塩素酸テトラプロピルアンモニウムを支持電解質として含むN,N-ジメチルホルムアミド中 (染料の濃度は0.001mol/リットル)で、参照電極としてSCE(飽和カロメル電極)、作用極としてグラファイト電極、対極として白金電極を使用して測定した値(vs SCE)を染料の酸化電位とした。
染料の会合性評価方法
染料の会合性は次のようにして評価出来る。0.01mmol/Lの染料溶液を光路長1cmのセルを使用して測定した時の、溶液吸収スペクトルの分子吸光係数(ε1)と、20mmol/Lの染料溶液を光路長5μmのセルを使用して測定したときの、溶液吸収スペクトルの分子吸光係数(ε2)との比、ε1/ε2が、染料の会合性の指標となる。この数値が大きい程、染料は会合をし易い。この値が1.1以上である染料は、染料の会合により、耐オゾン性、耐光性に優れた性能を示す。
上記、染料溶液に用いる溶媒は、染料が水溶性であれば、脱イオン水等の比抵抗値が18MΩ・cm以上の超純水を用い、染料が油溶性であれば、均一溶液とする場合は、染料が可溶な有機溶媒を用いるか、又は水溶性染料の場合と同様の超純水中への分散物、又は乳化物として測定を行う。
本発明におけるインクセットに用いることのできる着色剤、又は前記染料と併用できる着色剤としては、各々任意のものを使用する事が出来る。併用することができる染料の例としては今までに述べてきた染料及び、以下を挙げることができる。
イエロー染料としては、例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類、開鎖型活性メチレン化合物類を有するアリール若しくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分として開鎖型活性メチレン化合物類を有するアゾメチン染料;例えばベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;例えばナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料などがあり、これ以外の染料種としてはキノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等を挙げることができる。これらの染料は、クロモフォアの一部が解離して初めてイエローを呈するものであってもよく、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、更にはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
C.I. ダイレクトレッド1、2、4、9、11、23、26、31、37、39、62、63、72、75、76、79、80、81、83、84、87、89、92、95、111、173、184、207、211、212、214、218、21、223、224、225、226、227、232、233、240、241、242、243、247、254、C.I. ダイレクトバイオレット7、9、47、48、51、66、90、93、94、95、98、100、101
C.I. ダイレクトイエロー4、8、9、11、12、27、28、29、33、35、39、41、44、50、53、58、59、68、86、87、93、95、96、98、100、106、108、109、110、120、130、132、142、144、157、161、163
C.I. ダイレクトブルー1、10、15、22、25、55、67、68、71、76、77、78、80、84、86、87、90、98、106、108、109、151、156、158、159、160、168、189、192、193、194、199、200、201、202、203、207、211、213、214、218、225、229、236、237、244、248、249、251、252、264、270、280、288、289、290、291
C.I. ダイレクトブラック9、17、19、22、32、51、56、62、69、77、80、91、94、97、108、112、113、114、117、118、121、122、125、132、146、154、166、168、173、199
C.I. アシッドレッド1、8、35、42、52、57、62、80、81、82、87、94、111、114、115、118、119、127、128、131、143、144、151、152、154、158、186、245、249、254、257、261、263、266、289、299、301、305、336、337、361、396、397
C.I. アシッドバイオレット5、34、43、47、48、90、103、126
C.I. アシッドイエロー17、19、23、25、39、40、42、44、49、50、61、64、76、79、110、127、135、143、151、159、169、174、190、195、196、197、199、218、219、222、227、C.I. アシッドブルー9、25、40、41、62、72、76、78、80、82、87、92、106、112、113、120、127:1、129、138、143、175、181、185、205、207、220、221、230、232、247、249、258、260、264、271、277、278、279、280、288、290、326
C.I. アシッドブラック7、24、29、48、52:1、172
C.I. リアクティブレッド3、6、13、17、19、21、22、23、24、29、35、37、40、41、43、45、49、55、63、106、107、112、113、114、126、127、128、129、130、131、137、160、161、174、180
C.I. リアクティブバイオレット1、3、4、5、6、7、8、9、16、17、22、23、24、26、27、33、34
C.I. リアクティブイエロー2、3、13、14、15、17、18、23、24、25、26、27、29、35、37、41、42
C.I. リアクティブブルー2、3、5、7、8、10、13、14、15、17、18、19、21、25、26、27、28、29、38、82、89、158、182、190、203、216、220、244
C.I. リアクティブブラック4、5、8、14、21、23、26、31、32、34
C.I. ベーシックレッド12、13、14、15、18、22、23、24、25、27、29、35、36、38、39、45、46
C.I. ベーシックバイオレット1、2、3、7、10、15、16、20、21、25、27、28、35、37、39、40、48
C.I. ベーシックイエロー1、2、4、11、13、14、15、19、21、23、24、25、28、29、32、36、39、40
C.I. ベーシックブルー1、3、5、7、9、22、26、41、45、46、47、54、57、60、62、65、66、69、71
C.I. ベーシックブラック8、
等が挙げられる。
特開平10−130557号、特開平9−255906号、特開平6−234944号、特開平7−97541号、EP 982371号、WO 00/43450、WO 00/43451、WO 00/43452、WO 00/43453、WO 03/106572、WO 03/104332、特開2003−238862号、特開2004−83609号、特開2002−302619号、特開2002−327131号、特開2002−265809号、WO 01/48090、WO 04/087815、WO 02/90441、WO 03/027185、WO 04/085541、特開2003−321627号、特開2002−332418号、特開2002−332419号、WO 02/059215、WO 02/059216、WO 04/087814、WO 04/046252、WO 04/046265、米国特許第6652637号、WO 03/106572、WO 03/104332、WO 00/58407、特許第3558213号、特許第3558212号、特許第3558211号、特開2004−285351号、WO 04/078860、特開2004−323605号、WO 04/104108。
本発明に用いることのできる顔料としては、市販のものの他、各種文献に記載されている公知のものが利用できる。文献に関してはカラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists編)、「改訂新版顔料便覧」日本顔料技術協会編(1989年刊)、「最新顔料応用技術」CMC出版(1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版(1984年刊)、W. Herbst, K. Hunger共著によるIndustrial Organic Pigments (VCH Verlagsgesellschaft、1993年刊)等がある。具体的には、有機顔料ではアゾ顔料(アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料)、多環式顔料(フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、インジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料等)、染付けレーキ顔料(酸性又は塩基性染料のレーキ顔料)、アジン顔料等があり、無機顔料では、黄色顔料のC.I.Pigment Yellow 34, 37, 42, 53など、赤系顔料のC.I.Pigment Red 101, 108など、青系顔料のC.I.Pigment Blue 27, 29,17:1など、ブラック系顔料のC.I.Pigment Black 7,マグネタイトなど、白系顔料のC.I.Pigment White 4,6,18,21などを挙げることができる。
この他、オレンジ顔料(C.I.Pigment Orange 13, 16など)や緑顔料(C.I.Pigment Green 7など)を使用してもよい。
(1)金属石鹸の性質と応用(幸書房)
(2)印刷インキ印刷(CMC出版 1984)
(3)最新顔料応用技術(CMC出版 1986)
(4)米国特許5,554,739号、同5,571,311号
(5)特開平9−151342号、同10−140065号、同10−292143号、同11−166145号
特に、上記(4)の米国特許に記載されたジアゾニウム塩をカーボンブラックに作用させて調製された自己分散性顔料や、上記(5)の日本特許に記載された方法で調製されたカプセル化顔料は、インク組成物中に余分な分散剤を使用することなく分散安定性が得られるため特に有効である。
本発明に使用できる顔料の粒径は、分散後で0.01〜10μmの範囲であることが好ましく、0.05〜1μmであることが更に好ましい。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造時に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、縦型あるいは横型のアジテーターミル、アトライター、コロイドミル、ボールミル、3本ロールミル、パールミル、スーパーミル、インペラー、デスパーサー、KDミル、ダイナトロン、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986)に記載がある。
これらの水混和性有機溶剤は、総量でインク組成物中に5〜60質量%含有することが好ましく、特に好ましくは10〜45質量%である。
界面活性剤としては、例えばドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルオキシスルホン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤、セチルピリジニウムクロライド、トリメチルセチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤や、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のノニオン性界面活性剤などが挙げられる。中でも特にノニオン系界面活性剤が好ましく使用される。
本発明に用いられる高沸点有機溶媒の沸点は150℃以上であるが、好ましくは170℃以上である。
例えば、フタル酸エステル類(例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロへキシルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、デシルフタレート、ビス(2,4−ジ−tert−アミルフェニル)イソフタレート、ビス(1,1−ジエチルプロピル)フタレート)、リン酸又はホスホンのエステル類(例えば、ジフェニルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、ジオクチルブチルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート、トリドデシルホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルフェニルホスフェート)、安息香酸エステル酸(例えば、2−エチルヘキシルベンゾエート、2,4−ジクロロベンゾエート、ドデシルベンゾエート、2−エチルヘキシル−p−ヒドロキシベンゾエート)、アミド類(例えば、N,N−ジエチルドデカンアミド、N,N−ジエチルラウリルアミド)、アルコール類又はフェノール類(イソステアリルアルコール、2,4−ジ−tert−アミルフェノールなど)、脂肪族エステル類(例えば、コハク酸ジブトキシエチル、コハク酸ジ−2−エチルヘキシル、テトラデカン酸2−ヘキシルデシル、クエン酸トリブチル、ジエチルアゼレート、イソステアリルラクテート、トリオクチルシトレート)、アニリン誘導体(N,N−ジブチル−2−ブトキシ−5−tert−オクチルアニリンなど)、塩素化パラフィン類(塩素含有量10%〜80%のパラフィン類)、トリメシン酸エステル類(例えば、トリメシン酸トリブチル)、ドデシルベンゼン、ジイソプロピルナフタレン、フェノール類(例えば、2,4−ジ−tert−アミルフェノール、4−ドデシルオキシフェノール、4−ドデシルオキシカルボニルフェノール、4−(4−ドデシルオキシフェニルスルホニル)フェノール)、カルボン酸類(例えば、2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ酪酸、2−エトキシオクタンデカン酸)、アルキルリン酸類(例えば、ジ−2(エチルヘキシル)リン酸、ジフェニルリン酸)などが挙げられる。高沸点有機溶媒は油溶性染料に対して質量比で0.01〜3倍量、好ましくは0.01〜1.0倍量で使用できる。
これらの高沸点有機溶媒は単独で使用しても、数種の混合〔例えばトリクレジルホスフェートとジブチルフタレート、トリオクチルホスフェートとジ(2−エチルヘキシル)セバケート、ジブチルフタレートとポリ(N−t−ブチルアクリルアミド)〕で使用してもよい。
上記高沸点有機溶媒は、油溶性染料に対し、質量比で0.01〜3.0倍量、好ましくは0.01〜1.0倍量で使用する。
乳化法としては水相中に油相を添加する方法が一般的であるが、油相中に水相を滴下して行く、いわゆる転相乳化法も好ましく用いることができる。なお、染料が水溶性で、成分が油溶性の場合にも前記乳化法を適用し得る。
前記分散粒子の体積平均粒径及び粒度分布の測定方法には静的光散乱法、動的光散乱法、遠心沈降法のほか、実験化学講座第4版の417〜418ページに記載されている方法を用いるなど、公知の方法で容易に測定することができる。例えば、インク組成物中の粒子濃度が0.1〜1質量%になるように蒸留水で希釈して、市販の体積平均粒径測定機(例えば、マイクロトラックUPA(日機装(株)製))で容易に測定できる。更に、レーザードップラー効果を利用した動的光散乱法は、小サイズまで粒径測定が可能であり特に好ましい。
体積平均粒径とは粒子体積で重み付けした平均粒径であり、粒子の集合において、個々の粒子の直径にその粒子の体積を乗じたものの総和を粒子の総体積で割ったものである。体積平均粒径については「高分子ラテックスの化学(室井 宗一著 高分子刊行会)」の119ページに記載がある。
これらの粗大粒子を除去する方法としては、公知の遠心分離法、精密濾過法等を用いることができる。これらの分離手段は乳化分散直後に行ってもよいし、乳化分散物に湿潤剤や界面活性剤等の各種成分を加えた後、インクカートリッジに充填する直前でもよい。
平均粒子サイズを小さくし、かつ粗大粒子を無くす有効な手段として、機械的な乳化装置を用いることができる。
高圧ホモジナイザーは、米国特許4533254号、特開平6−47264号等に詳細な機構が記載されているが、市販の装置としては、ゴーリンホモジナイザー(A.P.V GAULIN INC.)、マイクロフルイダイザー(MICROFLUIDEX INC.)、アルティマイザー(株式会社スギノマシン)等がある。
また、近年になって米国特許5720551号に記載されているような、超高圧ジェット流内で微粒子化する機構を備えた高圧ホモジナイザーは本発明の乳化分散に特に有効である。この超高圧ジェット流を用いた乳化装置の例として、DeBEE2000(BEE INTERNATIONAL LTD.)があげられる。
例えば、撹拌乳化機で乳化した後、高圧ホモジナイザーを通す等の方法で2種以上の乳化装置を併用するのは特に好ましい方法である。また、一度これらの乳化装置で乳化分散した後、湿潤剤や界面活性剤等の成分を添加した後、カートリッジにインク組成物を充填する間に再度高圧ホモジナイザーを通過させる方法も好ましい方法である。
高沸点有機溶媒に加えて低沸点有機溶媒を含む場合、乳化物の安定性及び安全衛生上の観点から低沸点溶媒を除去するのが好ましい。低沸点溶媒を除去する方法は溶媒の種類に応じて各種の公知の方法を用いることができる。即ち、蒸発法、真空蒸発法、限外濾過法等である。この低沸点有機溶剤の除去工程は乳化直後、できるだけ速やかに行うのが好ましい。
伝導度の測定方法は、市販の飽和塩化カリウムを用いた電極法により測定可能である。
伝導度は主に水系溶液中のイオン濃度によってコントロール可能である。塩濃度が高い場合、限外濾過膜などを用いて脱塩することができる。また、塩等を加えて伝導度調節する場合、種々の有機物塩や無機物塩を添加することにより調節することができる。
無機物塩としては、ハロゲン化物カリウム、ハロゲン化物ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸1水素ナトリウム、ホウ酸、リン酸2水素カリウム、リン酸2水素ナトリウム等の無機化合物や、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酒石酸カリウム、酒石酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、サッカリン酸カリウム、フタル酸カリウム、ピコリン酸ナトリウム等の有機化合物を使用することもできる。
また、後述される水性媒体の成分を選定することによっても伝導度を調整し得る。
粘度の調製はインク溶剤の添加量で任意に調製可能である。インク溶剤として例えば、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエタノールアミン、2−ピロリドン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルなどがある。
また、粘度調整剤を使用してもよい。粘度調整剤としては、例えば、セルロース類、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーやノニオン系界面活性剤等が挙げられる。更に詳しくは、「粘度調製技術」(技術情報協会、1999年)第9章、及び「インクジェットプリンタ用ケミカルズ(98増補)−材料の開発動向・展望調査−」(シーエムシー、1997年)162〜174頁に記載されている。
表面張力を調整する目的で、前記カチオン、アニオン、ノニオン系並びにベタイン系の各種界面活性剤を添加することができる。また、界面活性剤は2種以上を併用することができる。
ガラス又は白金の薄い板を液体中に一部分浸して垂直に吊るすと、液体と板との接する長さに沿って液体の表面張力が下向きに働く。この力を上向きの力で釣り合わせて表面張力を測定することが出来る。
ここで、不揮発性成分とは、1気圧のもとでの沸点が150℃以上の液体や固体成分、高分子量成分を意味する。インクジェット用インク組成物の不揮発性成分は、染料、高沸点溶媒、必要により添加されるポリマーラテックス、界面活性剤、染料安定化剤、防黴剤、緩衝剤などであり、これら不揮発性成分の多くは、染料安定化剤以外ではインク組成物の分散安定性を低下させ、また印字後にもインクジェット受像紙上に存在するため、受像紙での染料の会合による安定化を阻害し、画像部の各種堅牢性や高湿度条件下での画像の滲みを悪化させる性質を有している。
また、ポリマーラテックスとしては、スチレン−ブタジエンラテックス、スチレン−アクリルラテックスやポリウレタンラテックスなどが挙げられる。更に、ポリマーエマルジョンとしては、アクリルエマルジョンなどが挙げられる。
これらの水溶性高分子化合物は単独でも2種以上併用して用いることもできる。
粘度調整剤の高分子化合物の添加量は、添加する化合物の分子量にもよるが(高分子量のものほど添加量は少なくて済む)、インク組成物全量に対して添加量を0〜5質量%、好ましくは0〜3質量%、より好ましくは0〜1質量%である。
支持体にそのまま受像層及びバックコート層を設けて本発明のインク組成物並びにインクセットの受像材料としてもよいし、デンプン、ポリビニルアルコール等でサイズプレスやアンカーコート層を設けた後、受像層及びバックコート層を設けて受像材料としてもよい。更に支持体には、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置により平坦化処理を行ってもよい。
支持体としては、両面をポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブテン及びそれらのコポリマー)やポリエチレンテレフタレートでラミネートした紙及びプラスチックフイルムがより好ましく用いられる。ポリオレフィン中に、白色顔料(例、酸化チタン、酸化亜鉛)又は色味付け染料(例、コバルトブルー、群青、酸化ネオジウム)を添加することが好ましい。
ポリマー媒染剤については、特開昭48−28325号、同54−74430号、同54−124726号、同55−22766号、同55−142339号、同60−23850号、同60−23851号、同60−23852号、同60−23853号、同60−57836号、同60−60643号、同60−118834号、同60−122940号、同60−122941号、同60−122942号、同60−235134号、特開平1−161236号の各公報、米国特許2484430号、同2548564号、同3148061号、同3309690号、同4115124号、同4124386号、同4193800号、同4273853号、同4282305号、同4450224号の各明細書に記載がある。特開平1−161236号公報の212〜215頁に記載のポリマー媒染剤を含有する受像材料が特に好ましい。同公報記載のポリマー媒染剤を用いると、優れた画質の画像が得られ、かつ画像の耐光性が改善される。
これらの具体的な化合物例としては、特開平10−182621号、特開2001−260519号、特開2000−260519号、特公平4−34953号、特公平4−34513号、特公平4−34512号、特開平11−170686号、特開昭60−67190号、特開平7−276808号、特開2000−94829号、特表平8−512258号、特開平11−321090号等に記載のものがあげられる。
界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。有機フルオロ化合物の例には、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれる。有機フルオロ化合物については、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭61−20994号、同62−135826号の各公報に記載がある。
バックコート層に含有される白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
超音波振動とは、インク組成物が記録ヘッドで加えられる圧力によって気泡を発生することを防止するため、記録ヘッドで受けるエネルギーと同等かそれ以上の超音波エネルギーを予めインク組成物の製造工程中に加えて気泡を除去しておくものである。
超音波振動は、通常、振動数20kHz以上、好ましくは40kHz以上、より好ましくは50kHzの超音波である。また超音波振動により液に加えられるエネルギーは、通常、2×107J/m3以上、好ましくは5×107J/m3以上、より好ましくは1×108J/m3以上である。また、超音波振動の付与時間としては、通常、10分〜1時間程度である。
超音波振動を加える工程は、染料を媒体に投入以降であれば何時行っても効果を示す。完成後のインク組成物を一旦保存した後に超音波振動を加えても効果を示す。しかし、染料を媒体中に溶解及び/又は分散する際に超音波振動を付加することが、気泡除去の効果がより大きく、なおかつ超音波振動により色素の媒体への溶解及び/又は分散が促進されるので好ましい。
即ち、上記少なくとも超音波振動を加える工程は、染料を媒体中に溶解及び/又は分散する工程中でもその工程後であってもいずれの場合にも行うことができる。換言すれば、上記少なくとも超音波振動を加える工程は、インク組成物調製後に製品となるまでの間に任意に1回以上行うことができる。
実施の形態としては媒体中に溶解及び/又は分散する工程は、前記染料を全媒体の一部分の媒体に溶解する工程と、残余の媒体を混合する工程とを有することが好ましく、上記少なくともいずれかの工程に超音波振動を加えることが好ましく、染料を全媒体の一部分の媒体に溶解する工程に少なくとも超音波振動を加えることが更に好ましい。
上記残余の溶媒を混合する工程は、単独工程でも複数工程でもよい。
また、本発明によるインク組成物製造に加熱脱気あるいは減圧脱気を併用することは、インク組成物中の気泡除去の効果を上げるので好ましい。加熱脱気工程あるいは減圧脱気工程は、残余の媒体を混合する工程と同時又はその後に実施することが好ましい。
超音波振動を加える工程における、超音波振動発生手段としては、超音波分散機等の公知の装置が挙げられる。
この濾過後には溶液中に空気を取り込むことが多い。この空気に起因する泡もインクジェット記録において画像の乱れの原因となることが多いため、前述の脱泡工程を別途設けることが好ましい。脱泡の方法としては、濾過後の溶液を静置してもよいし、市販の装置などを用いた超音波脱泡や減圧脱泡等種々の方法が利用可能である。超音波による脱泡の場合は、好ましくは30秒〜2時間、より好ましくは5分〜1時間程度脱泡操作を行うとよい。
これらの作業は、作業時におけるゴミの混入を防ぐため、クリーンルーム若しくはクリーンベンチなどのスペースを利用して行うことが好ましい。本発明では特にクリーン度としてクラス1000以下のスペースにおいてこの作業を行うことが好ましい。ここで「クリーン度」とは、ダストカウンターにより測定される値を指す。
本発明のインクジェット記録方法は、インクジェット記録用インクを用いて、被記録材(記録材料)に着色画像(単に画像と称する場合がある)を形成する方法である。
本発明では、本発明のインク組成物若しくはインクセットを使用して、インクジェットプリンターにより画像記録を行う方法であれば、インクジェットの記録方式に制限はなく、公知の方式、例えば静電誘引力を利用してインク組成物を吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインク組成物に照射して放射圧を利用してインク組成物を吐出させる音響インクジェット方式、及びインク組成物を加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式等に用いられる。
インクジェット記録方法には、フォトインクと称する濃度の低いインク組成物を小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインク組成物を用いて画質を改良する方式や無色透明のインク組成物を用いる方式が含まれる。インク組成物の打滴体積の制御は主にプリントヘッドにより行われる。
ピエゾ素子を用いたドロップオンデマンド方式の場合、サーマルインクジェット方式と同様にプリントヘッドの構造上打滴体積を変えることも可能であるが、後述するようにピエゾ素子を駆動する駆動信号の波形を制御することにより、同じ構造のプリントヘッドで複数のサイズの打滴を行うことができる。
写真のように、高画質の画像を記録するためには、小さいインク滴で鮮鋭度の高い画像を再現するため、打滴密度を600dpi(1インチあたりのドット数)以上とする必要がある。
一方、インク組成物を複数のノズルを有するヘッドで打滴するにあたり、記録紙とヘッドが互いに直交する方向に移動して記録するタイプでは同時に駆動できるヘッドの数は数十から200程度であり、ラインヘッドと呼ばれるヘッドが固定されたタイプでも数百であるという制約がある。これは駆動電力に制約があることや、ヘッドでの発熱が画像に影響を及ぼすため、多数のヘッドノズルを同時に駆動できないためである。
ここで駆動周波数を高くすることにより、記録速度を上げることが可能である。
打滴周波数を制御するには、サーマルインクジェット方式の場合、ヘッドを加熱するヘッド駆動信号の周波数を制御することで可能である。
ピエゾ方式の場合、ピエゾを駆動する信号の周波数を制御することで可能である。
ピエゾヘッドの駆動に関して説明する。プリントすべき画像信号はプリンタ制御部により、打滴サイズ、打滴速度、打滴周波数が決定され、プリントヘッドを駆動する信号が作成される。駆動信号はプリントヘッドに供給される。ピエゾを駆動する信号により打滴サイズ、打滴速度、打滴周波数が制御される。ここで打滴サイズと打滴速度は駆動波形の形状と振幅で決定され、周波数は信号の繰返し周期で決定される。
この打滴周波数を10kHzに設定すると、100マイクロ秒ごとにヘッドは駆動され、400マイクロ秒で1ラインの記録が終了する。記録紙の移動速度を400マイクロ秒に1/600インチすなわち約42ミクロン移動するように設定することにより、1.2秒に1枚の速度でプリントすることが出来る。
また、ノズルの表面は特開2002−292878号公報に記載されるような撥水処理を施すことが好適である。用途としては、コンピュータと接続されるプリンタであってもよいし、写真をプリントすることに特化した装置であってもよい。
本発明に適用されるインクジェット記録方法は、インク組成物を記録材料へ打滴するときの平均打滴速度が2m/sec以上、好ましくは5m/sec以上であることが好ましい。
打滴速度を制御するには、ヘッドを駆動する波形の形状と振幅を制御することにより行う。
また複数の駆動波形を使い分けることにより、同じヘッドで複数のサイズの打滴を行うことができる。
記録紙及び記録フィルムにおける支持体は、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等からなり、必要に応じて従来公知の顔料、バインダー、サイズ剤、定着剤、カチオン剤、紙力増強剤等の添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機等の各種装置で製造されたもの等が使用可能である。これらの支持体の他に合成紙、プラスチックフィルムシートのいずれであってもよく、支持体の厚みは10〜250μm、坪量は10〜250g/m2が望ましい。支持体には、そのままインク受容層及びバックコート層を設けてもよいし、デンプン、ポリビニルアルコール等でサイズプレスやアンカーコート層を設けた後、インク受容層及びバックコー卜層を設けてもよい。更に支持体には、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置により平坦化処理を行ってもよい。本発明では支持体としては、両面をポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブテン及びそれらのコポリマー)でラミネートした紙及びプラスチックフィルムがより好ましく用いられる。ポリオレフィン中に、白色顔料(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛)又は色味付け染料(例えば、コバルトブルー、群青、酸化ネオジウム)を添加することが好ましい。
(実施例の染料)B1〜B4
アセトナフトン 12.7gと酢酸 50mLの溶液を内温15℃で攪拌し、臭素 4.2mLを滴下した。室温まで昇温後1時間攪拌した。反応混合物を200gの氷水にあけ結晶を濾別した。水 50mLで洗浄し、中間体(c−6)のウエットケーキ 22.5gを得た。
中間体(c−6)のウエットケーキ 22.5gを水 110mLに懸濁し、チオ尿素 5.7gを添加した。内温95℃で2時間攪拌後、室温まで冷却した。25%のアンモニア水で反応液を中和後、結晶を濾別し、水 50mLで洗浄した。この結晶をメタノール 10mLとエタノール 10mLに懸濁させ、30分還流下で攪拌した。内温15℃まで冷却後、結晶を濾別し中間体(d−6)の白色結晶 5.4gを得た。
5−アミノイソフタル酸(e−4) 4.2gを水 23mLに懸濁させ、12N塩酸 6.5mLを室温で滴下した。氷浴で内温4℃まで冷却後、内温を0−4℃に保ちながら亜硝酸ナトリウム1.8gの水溶液 5.4mLを滴下し、内温5℃以下で2時間攪拌した。その後、尿素 0.1gを添加し、引き続き内温5℃で15分撹拌しジアゾニウム溶液を得た。
別途、中間体(d−6) 4.5gと酢酸リチウム 10.0gをメタノール 50mL、ジメチルアセトアミド 14mLに溶かし、内温4℃まで冷却後、ジアゾニウム溶液を内温5℃以下で15分かけて滴下した。内温を5℃以下に保ち1.5時間撹拌した後、イソプロピルアルコール 60mLを滴下した。結晶を濾別後イソプロピルアルコール 100mLで洗浄した。この結晶を水 20mLに溶解し、内温50℃でイソプロピルアルコール 60mLを滴下した。結晶を濾別後イソプロピルアルコール 50mLで洗浄した後に、80℃で乾燥して、中間体(f−6)の茶色結晶を7.8g得た。
中間体(f−6) 7.0gと中間体(g) 7.7gをジメチルアセトアミド 32mLに内温40℃で添加し、そこへ亜硝酸イソアミル 3.0gを滴下した。内温40℃で4時間撹拌後、イソプロピルアルコール 32mLを添加し、内温25℃まで冷却した。析出した結晶を濾別し、イソプロピルアルコール 50mLで洗浄した。水 56mLに得られた結晶を内温40℃で加え、イソプロピルアルコール 224mLを20分かけて滴下した後、15分撹拌した。内温25℃まで冷却後、結晶を濾別し、水 19mLに得られた結晶を加え撹拌し、pH8.3になるまで4M水酸化リチウム水溶液を加えた。そこへイソプロピルアルコール 80mLを滴下した。析出した結晶を濾別後、イソプロピルアルコール 30mLで洗浄した。80℃で乾燥し、B2(Dye−6)の黒色結晶1.1gを単離した。
上記で得られた各染料を用いて、下記のようにしてインクをそれぞれ調製した。先ず、下記表2に示した各成分に水を加えて100mlにしたものをそれぞれ混合して、十分撹拌した。その後、ポアサイズ0.2μmのフィルタにて加圧ろ過を行い、実施例1〜9及び比較例1〜3のブラックインクを調製した。なお、表2中の数値の単位は(g)である。
〔堅牢性評価〕
各インクをセイコーエプソン社製PX−V630のブラックインク液のカートリッジに装填し、Xerox社製、C2紙にプリントした。
光堅牢性は印画直後の画像濃度CiをX−Rite310(X−Rite社製)にて測定した後、アトラス社製ウェザーメーターを用い画像にキセノン光(10万ルックス)を10日間照射した後、再び画像濃度Cfを測定し、画像残存率Cf/Ci×100を求め評価を行った。
画像残像率について画像濃度が1、1.5、2の3点にて残存率Ci/Cfを求め、下記の基準に従い評価した。画像残存率の値が大きいほど耐光性に優れる。
◎:いずれの濃度でも画像残存率が80%以上
○:2つの濃度で画像残存率が80%未満
×:全ての濃度で80%未満
××:50%未満の濃度が1以上ある
印画物を80℃ 相対湿度70%の恒温恒湿機にて経時させた後、サンプルの画像濃度を測定する。
画像残像率について画像濃度が1、1.5、2の3点にて残存率Ci/Cfを求め、下記の基準に従い評価した。画像残存率の値が大きいほど耐温熱性に優れる。
◎:いずれの濃度でも画像残存率が70%以上
○:2つの濃度で画像残存率が70%未満
×:全ての濃度で70%未満
××:50%未満の濃度が1以上ある
オゾンガス5ppm(25℃:50%)に設定されたボックス内に10日間放置し、オゾンガス下放置後の画像濃度をX−Rite310を用いて測定した。
画像残像率について画像濃度が1、1.5、2の3点にて残存率Ci/Cfを求め、下記の基準に従い評価した。画像残存率の値が大きいほど耐オゾン性に優れる。
◎:いずれの濃度でも画像残存率が80%以上
○:2つの濃度で画像残存率が80%未満
×:全ての濃度で80%未満
印字したものを1時間室温乾燥し、シリンジを用いて0.5mlの純水を滴下後、自然乾燥させ、にじみを観察し、下記の基準に従い評価した。
◎:にじみが殆どない
○:中程度のにじみ
×:にじみが多い
上記評価紙にベタ部印刷を行い、ベタ部分の光学濃度(OD値)を測定し、OD値を次の基準に従い評価した。なお、OD値測定には、GretagMacbeth社製SpectroLinoを用いて、反射濃度を測定した。
◎:OD値が1.3以上
○:OD値が1.2以上1.3未満
×:OD値が1.1以上1.2未満
××:OD値が1.1以上
C.I.directBk154:カラーインデックスダイレクトブラック154(カラーインデックス第3版(Color Index, Third Edition. The Society of Dyes and Colourists)に記載の方法によって合成した。
カーボンブラックMA7:三菱化学製
カーボンブラックRaven10:コロンビヤカーボン製
ポリマー1:ジョンクリル62J (スチレンアクリル共重合体 ジョンソンポリマー社製)
オルフィンE1010:日信化学工業社製
BYK348:ビックケミー社製
プロキセルXL2:アベシア社製
Claims (10)
- 更に、下記一般式(BkII−1)で表される化合物を少なくとも1種含む染料を含有する請求項1に記載のインク組成物。
(一般式(BkII−1)中、G 1 は窒素原子又は−C(R 12 )=を表す。R 12 は、水素原子、スルホ基、カルボキシ基、置換又は無置換のカルバモイル基、又はシアノ基を表す。X 11 、X 12 、X 13 、X 14 、X 15 、X 16 及びX 17 はそれぞれ独立に水素原子、又は1価の置換基を表す。Y 12 、Y 13 、及びY 14 はそれぞれ独立に水素原子、又は1価の置換基を表す。Y 12 、Y 13 、及びY 14 は、互いに結合して環を形成しても良い。M 1 はそれぞれ独立に、水素原子又は一価のカウンターカチオンを表す。) - 前記カーボンブラックと、前記染料との質量比が、2.5:1〜7:1の範囲である請求項1〜4のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 前記カーボンブラックと、前記染料との質量比が、2.5:1〜7:1の範囲であり、かつ前記一般式(BkII−1)で表される化合物と、前記一般式(BkIII−1)で表される化合物との質量比が、1:7〜1:1の範囲である請求項2に記載のインク組成物。
- 表面張力が20〜40mN/mである請求項1〜6のいずれか一項に記載のインク組成物。
- インクジェット用である請求項1〜7のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載のインク組成物を用いて記録するインクジェット記録方法。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載のインク組成物を用いて画像が形成されてなる記録物。
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