JP4967612B2 - インク組成物、インクセット、該インクセットを用いたインクジェット記録方法および記録物 - Google Patents
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Description
異なる色材からなる複数のカラーインク組成物を用いた多色印刷においては、複数の色材が記録媒体上で混合され、均一な発色を得ることで色ムラのない美麗な印刷物を作り出すことができる。
(1) 少なくとも下記一般式〔式1〕で表される染料からなる色材と、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、及びエチレングリコールモノオクチルエーテルの中の少なくとも1種であるグリコールエーテルと、を必須成分として含むインク組成物。
A: −SO 2 (CH 2 ) 3 SO 3 Li
B: −SO 2 (CH 2 ) 3 SO 2 NHCH 2 CH(OH)CH 3 )
(4) 前記インク組成物の全量に対して前記グリコールエーテルの含有量が0.25〜6重量%である、前記(1)〜(3)のいずれかに記載のインク組成物。
(6) 前記ノニオン系界面活性剤がアセチレンジオール系界面活性剤である、前記(5)に記載のインク組成物。
(9) 前記記録媒体の光沢度が30以上である、前記(8)に記載のインクジェット記録方法。
本発明のインク組成物は、水、又は水と水溶性有機溶剤からなる水性媒体(溶媒)中に、色材として、前記一般式〔式1〕で表される染料と、添加剤の1つとして、デービス法により算出されるHLB値が5.4〜8.0であるグリコールエーテルとを少なくとも必須成分として含有し、必要に応じてこれに保湿剤、界面活性剤、粘度調整剤、及びpH調整剤や、さらにその他の添加剤を含有させた組成物からなる。
本発明においては、前記一般式〔式1〕で表される染料と前記のHLB値が特定値範囲にあるグリコールエーテルとを併用することにより、上記以外の色材からなるインク組成物とともに記録媒体に印刷したとき、色ムラのない均一な発色を得ることができる上に、優れた耐光性及び耐湿性を有するインク組成物を提供することができる。
(色材)
本発明のインク組成物に使用される色材としては、下記一般式〔式1〕
本発明のインク組成物は、前記一般式〔式1〕で表される染料に加えてHLB値が5.4〜8.0であるグリコールエーテルを必須の成分として含むことを特徴とする。インク組成物中にHLB値が5.4〜8.0の範囲、より好ましくは5.4〜6.9の範囲にあるグリコールエーテルを添加しておくことにより、本発明のインク組成物とは異なる色の色材を含むインク組成物とともに、記録媒体上に印刷して該記録媒体上で混色した時の色ムラを著しく低減させることができる。
HLB値=7+Σ[1]+Σ[2] (1)
但し、[1]は親水基の基数を表し、[2]は疎水基の基数を表す。下記の表1に、代表的な親水基、及び疎水基の基数を例示する。
これらのグリコールエーテル類の中でも、顕著に色ムラを解消し得る点において、前記のHLB値が5.4〜6.9であるプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、及びエチレングリコールモノオクチルエーテルがより好ましい。
本発明のインク組成物は、主溶媒として、水又は水とグリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の水溶性有機溶剤の混合液を使用することが好ましい。
水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等を用いることができる。また、長期保存の観点から、紫外線照射や過酸化水素添加などの各種化学滅菌処理を施した水が好ましい。
本発明のインク組成物は、さらに蒸気圧が純水よりも小さい水溶性有機溶剤及びマルチトール、ソルビトール、グルコノラクトン、マルトース等の糖類から選ばれる少なくとも1種の保湿剤を含むことができる。
保湿剤を含むことにより、インクジェット記録方式において、水分の蒸発を抑制してインクを保湿することができる。また、水溶性有機溶剤であれば、吐出安定性を向上させたり、インク特性を変化させることなく粘度を容易に変更させたりすることができる。
ノニオン系界面活性剤としては、アセチレンジオール系界面活性剤を用いるのが好ましく、具体的には、サーフィノール465、サーフィノール104(以上、エアプロダクツ社製、商品名)、オルフィンSTG、オルフィンE1010(以上、日信化学工業(株)製、商品名)等が挙げられる。
アセチレンジオール系界面活性剤添加量はインク組成物全量に対して好ましくは0.1〜5wt%、より好ましくは0.5〜2wt%である。添加量を0.1wt%以上とすることで、十分な浸透性を得ることができ、また、5wt%以下とすることで、画像のにじみの発生を防止し易い。
防腐剤又は防黴剤の例としては、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン(AVECIA製 プロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL、プロキセルXL−2、プロキセルTN)等が挙げられる。
本発明のインク組成物においては、前記した任意成分は、単独又は各群内及び各群間において複数種選択して混合して用いることができる。
また、本発明のインク組成物は、その表面張力が好ましくは20℃で45mN/m以下、さらに好ましくは、25〜45mN/mの範囲である。
本発明のインク組成物の調製方法は、インク構成主成分として、色材である前記一般式〔式1〕で表される染料、及びHLB値が5.4〜8.0であるグリコールエーテルを必須成分として用いる以外は従来のインク組成物と同様にして調製することができる。
例えば、各成分原料を溶媒中で十分混合溶解し、孔径0. 8μm程度のメンブランフィルターで加圧濾過したのち、真空ポンプを用いて脱気処理して調製される。
(インクセット)
本発明のインクセットは、色材である前記一般式〔式1〕で表される染料、及びHLB値が5.4〜8.0の範囲内にあるグリコールエーテルを必須成分として含む前記の本発明のインク組成物(シアンインク組成物)と、マゼンタインク組成物と、イエローインク組成物との組合せからなり、さらに必要に応じてこれにブラックインク組成物を加えたインク組成物を1組として、これらインク組成物を一体的に、または独立に収容したインクカートリッジからなる。本発明のインクセットは一般の筆記具用、記録計、ペンプロッター等の用途にも使用できることは言うまでもない。
なお、上記態様のインクセットにおいて、シアンインク組成物として色濃度の異なる少なくとも二種のシアンインク組成物、すなわち、少なくとも濃シアンインク組成物及び淡シアンインク組成物の二種を備えたインクセットであってもよい。
同様に、上記態様のインクセットにおいて、マゼンタインク組成物として色濃度の異なる少なくとも二種のマゼンタインク組成物、すなわち、少なくとも濃マゼンタインク組成物及び淡マゼンタインク組成物の二種を備えたインクセットであってもよい。
さらに、他のいかなる色のインク組成物についても同様に濃淡二種を備えることもできる。
本発明のインクジェット記録方法は、前記の本発明のインク組成物を含むインクセットの各インク組成物をインクジェットプリンタの各専用カートリッジに充填し、それぞれのノズルヘッドの微細孔(ノズル)から液滴として吐出させ、該液滴を記録媒体に付着させて印刷、記録を行うものである。
実施例中に記述した材料、組成、及び製造方法に何等限定されるものではない。
〔実施例1〜14及び比較例1〜7,15〜22〕
色材として、前記一般式〔式1〕で示される染料においてRがA:−SO2(CH2)3SO2Li、B:−SO2(CH2)3SO2NHCH2CH(OH)CH3のいずれかであり、その存在比がA:B=50:50であるもの(下記の染料A)を含む各インク組成物構成原料を下記の表2及び表3に示す各配合割合で混合して溶解させ、孔径1μmのメンブランフィルターにて加圧濾過して、それぞれ実施例1〜14及び比較例15〜22のインク組成物を調製した。
また、色材として前記実施例で用いた、染料Aを含む各インク組成物構成原料を下記の表4に示す各配合割合で混合して溶解させ、実施例1〜14及び比較例15〜22のインク組成物と同様にしてそれぞれ比較例1〜7のインク組成物を調製した。
実施例1及び2で用いた「BFG」はプロピレングリコールモノブチルエーテルの略称。
実施例3及び4で用いた「BFDG」はジプロピレングリコールモノブチルエーテルの略称。
実施例5及び6用いた「BFTG」はトリプロピレングリコールモノブチルエーテルの略称。
実施例7及び8用いた「HeG」はエチレングリコールモノヘキシルエーテルの略称。
実施例9及び10で用いた「HeDG」はジエチレングリコールモノヘキシルエーテルールの略称。
実施例11及び12で用いた「EHeG」はエチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテルの略称。
実施例13及び14で用いた「OcG」はエチレングリコールモノオクチルエーテルの略称。
比較例15及び16で用いた「PFG」はプロピレングリコールモノプロピレングリコールの略称。
比較例17及び18で用いた「PFDG」はジプロピレングリコールモノプロピレングリコールの略称。
比較例19及び20で用いた「PFTG」はトリプロピレングリコールモノプロピレングリコールの略称。
比較例21及び22で用いた「iBG」はエチレングリコールモノイソブチルエーテルの略称。
比較例1に記載の「MFG」はプロピレングリコールモノメチルエーテルの略称。
比較例2に記載の「MFDG」はジプロピレングリコールモノメチルエーテルの略称。
比較例3に記載の「MG」はエチレングリコールモノメチルエーテルの略称。
比較例4に記載の「MDG」はジエチレングリコールモノメチルエーテルの略称。
比較例5に記載の「MTG」はトリエチレングリコールモノメチルエーテルの略称。
比較例6に記載の「iBDG」はジエチレングリコールモノイソブチルエーテルの略称。
比較例7に記載の「DoG」はエチレングリコールモノドデシルエーテルの略称。
<色ムラの評価>
インクジェットプリンタPM−A700(セイコーエプソン株式会社製)を用いて、このプリンタのシアン専用カートリッジ(シアン室)に実施例1〜14、及び比較例15〜22の各インク組成物をそれぞれ充填するとともに、イエロー専用カートリッジ(イエロー室)にはイエロー系インク組成物を充填して、インクジェット専用記録媒体(写真用紙クリスピア<高光沢>(セイコーエプソン株式会社製))上に、シアンインク組成物によりシアン単色を印刷して、シアンインク組成物の前記記録媒体上での単色による色ムラの程度を評価した。尚、評価精度を高めるため上記シアンとイエローとの重ね合わせ印刷を行って視認性を高めた緑の部分についても、参照して評点した。
なお、本実施例においてシアン単色印刷と共に参照した色ムラ評価に用いたイエロー系インク組成物として、下記の表5に示す組成のものを用いた。
色材として、前記の染料Aのほか、下記染料B、C、およびDを使用した場合の各例について、実施例1と同様にインク組成物を調製し、同様の評価を行なった。その結果を表9に示す。
Claims (10)
- 少なくとも下記一般式〔式1〕で表される染料からなる色材と、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、及びエチレングリコールモノオクチルエーテルの中の少なくとも1種であるグリコールエーテルと、を必須成分として含むインク組成物。
A: −SO 2 (CH 2 ) 3 SO 3 Li
B: −SO 2 (CH 2 ) 3 SO 2 NHCH 2 CH(OH)CH 3 ) - 前記グリコールエーテルの含有量が前記染料に対して4〜1200重量%である、請求項1に記載のインク組成物。
- 前記インク組成物の全量に対して前記染料の含有量が、0.5〜6重量%である、請求項1または2に記載のインク組成物。
- 前記インク組成物の全量に対して前記グリコールエーテルの含有量が0.25〜6重量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインク組成物。
- さらにノニオン系界面活性剤を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 前記ノニオン系界面活性剤がアセチレンジオール系界面活性剤である、請求項5記載のインク組成物。
- インクジェット記録方法に用いるインクセットであって、少なくとも請求項1〜6のいずれか1項に記載のインク組成物を構成成分として含んでなるインクセット。
- インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方法であって、請求項1〜6のいずれか1項に記載のインク組成物、または請求項7に記載のインクセットを用いて記録するインクジェット記録方法。
- 前記記録媒体の光沢度が30以上である、請求項8に記載のインクジェット記録方法。
- 請求項8または9に記載のインクジェット記録方法によって印刷された記録物。
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