JP4432431B2 - インクセット - Google Patents

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Description

本発明は、インクセット、特に、耐光性に優れた画像を形成することができるインクセットに関するものである。
近年、インクジェット記録方法が注目されている。インクジェット記録方法は、インク組成物を小滴として飛翔させ、この小滴を紙等の記録媒体(メディア)に付着させて印刷を行なう印刷方法である。この方法は、比較的安価な装置により高解像度かつ高品位な画像を高速で印刷可能であるという特徴を有する。そして、この方法を利用したインクジェット記録装置は、優れた印字品質、低コスト、比較的静かな動作、優れたグラフィック形成能により、市場に広く受け入れられている。中でも、サーマル(バブルジェット(登録商標))及び圧電ドロップ・オン・デマンドプリンターは、商業的にとりわけ成功し、オフィス及び家庭でのパソコン用プリンターとして広く用いられてきた。
さらに近年、複数のカラーインク組成物を用いたインクジェット記録方法によってカラー画像を形成して記録物を得ることが行われている。一般に、カラー画像の形成は、イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、及びシアンインク組成物の三色、さらに所望によりブラックインク組成物を加えた四色によって行われている。また、これらの四色にライトシアンインク組成物及びライトマゼンタインク組成物を加えた六色又はそれらにさらにダークイエローインク組成物を加えた七色によってカラー画像形成を行なう場合もある。このような2種以上のインク組成物を組み合わせたものがインクセットである。
上述したカラー画像の形成に用いられるインク組成物には、各色ごとのインク組成物自身が良好な発色性を有していることに加え、複数色のインク組成物を組み合わせたときに良好な中間色を発色することができること、及び得られる記録物が保存中に変退色しないこと等が求められる。
さらに最近、カラーインクジェットプリンタによる"写真画質"印刷においては、ヘッド、インク組成物、記録方法、及びメディアのそれぞれの継続的な改良がなされ、得られる画質は"銀塩写真"と遜色ないレベルとなり、"写真並"となった。その一方で、インク組成物及びメディアの改良により、カラーインクジェットプリンタを用いて得られる記録物の画像の保存性の向上が図られており、特に画像の耐光性に関しては、実用上問題のないレベルまで改良されてきた(たとえば、特許文献1及び2参照)。しかし、この耐光性は、未だ銀塩写真よりは劣っており、さらなる改良が望まれている。
ところで、記録物の画像の耐光性能力の評価は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)のそれぞれの純色のパターン(光学濃度が1.0近傍)の退色率を指標に行われるのが標準的である。現在市場で市販されているプリンターに搭載されているインク組成物によって記録媒体上に形成された画像の耐光性能力に関しては、上記評価手法を用いて判断した場合、マゼンタインク組成物によって形成された画像の耐光性(以下、記録媒体上にインク組成物によって形成された画像、すなわち記録物の画像の耐光性を、そのインク組成物の耐光性、たとえばマゼンタインク組成物の耐光性などともいう。)が最も低い。したがって、インクセット全体としては、マゼンタインク組成物以外のインク組成物の耐光性が向上してもマゼンタインク組成物の耐光性が向上しなければ、記録物の画像全体としての耐光性は向上しない。また、インクセットにおいて、特定のインク組成物の耐光性が他のインク組成物の耐光性よりも著しく低い場合、その特定のインク組成物によって形成された画像の色が他の色よりも早く退色及び変色等してしまうため、画像全体の色調のバランスが悪くなり、むしろ観察者によって画像の画質劣化が認められやすくなる。したがって、インクセットにおいては、インクセットを構成する各インク組成物各々の耐光性を向上させることと併せて、各インク組成物の耐光性レベル、すなわち各インク組成物によって形成される画像の光による劣化速度、たとえば退色速度もできるだけ同じであることが好ましい。言い換えれば、インクセットを構成する各インク組成物の耐光性が優れているとともに、各インク組成物間の耐光性の差が小さいことが好ましい。
また、同系色について色濃度の異なる濃淡2種のインク組成物を含めてインクセットを構成することによって、様々な色濃度の画像を形成でき、粒状感のない画像を得ることができるようになった。このような色濃度の異なる2種のインク組成物を含むインクセットは、主に写真画像の印刷に用いられるが、写真画像の形成においては、画像の粒状感を緩和又は解消するため、一般に色濃度の低いインク組成物が使用されるケースが多い。また、前述した耐光性の評価においても、評価試料となる光学濃度が1.0近傍のパターンは、色濃度の低いインク組成物によって形成される。したがって、記録物の写真画像の耐光性、及びインクセット全体としての耐光性向上のためには、色濃度の低いインク組成物の耐光性を改良することが重要である。一方、色濃度の濃いインク組成物は、極彩色の画像やグラフィックアート的なパターンの印刷に用いられるため、これらのインク組成物の耐光性の改良も必要である。
さらに、ブラックインク組成物は、画像中において画像のコントラストを得るといった観点から重要な役割を果たすため、インクセットにブラックインク組成物を含めることも多い。ブラックインクの耐光性に関しては、画像中におけるブラックインクの使用頻度の低さやその染料濃度の高さゆえ、その改善が遅れていた。この場合、イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、及びシアンインク組成物の耐光性が改善され、標準的な評価によるこれら各色の耐光性の特性が向上しても、ブラックインク組成物の耐光性能力が不足する場合は、画像が光に晒されることにより、画像の色は残っているにもかかわらずコントラストの低い、締まりのない画像になってしまう場合がある。したがって、インクセットにブラックインク組成物を含める場合は、ブラックインク組成物が優れた耐光性を有するとともに、ブラックインク組成物の光による劣化速度がインクセットを構成する他のインク組成物の劣化速度と極端に違わないことが必要である。
特開2000−290559号公報 特開2001−288392号公報
上述のとおり、インクセットにおいてはインクセットを構成する各インク組成物自身の耐光性が良好であるとともに、各インク組成物間の耐光性のバランスが良く、特定色が他の色に比べて早く退色及び/又は変色しないようにすることが必要とされる。
本発明は、特にマゼンタインク組成物及びブラックインク組成物を含むインクセットにおいて、上記課題を解決すべく完成されたものであり、耐光性が良好な画像を記録媒体上に記録することが可能なインクセット、そのインクセットを収容したインクカートリッジ、そのインクセットを使用した記録方法、及びそのインクセットにより記録された記録物に関するものである。
本発明のインクセットは、少なくとも、イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、シアンインク組成物、及びブラックインク組成物を備えたインクセットであって、前記マゼンタインク組成物が着色剤として以下の式(1):
Figure 0004432431
[前記式(1)中、Aは、アルキレン基、フェニレン基を含有するアルキレン基、及び下記式:
Figure 0004432431
で表される基からなる群から選ばれる基を表し、Xは、NH2、OH又はClを表す。]
で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有するとともに、前記ブラックインク組成物が、着色剤として下記の式(2):
Figure 0004432431
(前記式(2)中、R1は置換基を有するフェニル基又は置換基を有するナフチル基を表し、R2は置換基を有するフェニレン基又は置換基を有するナフチレン基を表し、R3は少なくとも1つの二重結合及び置換基を有する5〜7員環の複素環基を表す。さらに前記R1〜R3における前記置換基は、OH、SO3H、PO32、CO2H、NO2、NH2、C1〜C4のアルキル基、置換基を有するアルキル基、C1〜C4のアルコキシ基、置換基を有するアルコキシ基、アミノ基、置換基を有するアミノ基、及び置換基を有するフェニル基からなる群から選ばれる。)
で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とするものである。
本発明のインクセットは、上記インクセットにおいて、さらに前記式(2)で表される化合物が以下の式(3):
Figure 0004432431
(前記式(3)中、R1〜R9は独立に、H、OH、SO3H、PO32、CO2H、NO2、及びNH2からなる群から選ばれる基を表す。)
で表される化合物であることが好ましい。
本発明のインクセットは、上記インクセットにおいてブラックインク組成物中に、上記式(2)若しくは式(3)で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含み、かつその着色剤の合計量がブラックインク組成物の総重量に対して0.5〜12重量%含有されていることが好ましい。
本発明のインクセットは、上記インクセットにおいて、さらにマゼンタインク組成物として、色濃度の異なる二種のマゼンタインク組成物を有し、その少なくとも一種が着色剤として前記式(1)で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましい。
本発明のインクセットは、上記インクセットにおいて、上記色濃度の異なる二種のマゼンタインク組成物のうち、低い色濃度を有するマゼンタインク組成物が、前記式(1)で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含み、かつその着色剤の合計量がその低い色濃度を有するマゼンタインク組成物の総重量に対して0.5〜3.5重量%含有されていることが好ましい。
本発明のインクセットは、上記インクセットにおいて、前記色濃度の異なる二種のマゼンタインク組成物のうち、高い色濃度を有するマゼンタインク組成物が、着色剤として前記式(1)で表される化合物及びその塩、並びに下記の式(4):
Figure 0004432431
[(前記式(4)中、Yは、C1〜C4のアルキル基、アルコキシ基、又はOH、SO3H、COOMで置換されたフェニル基、又はナフチル基を表す。
Bは、H又は次式を表す。
Figure 0004432431
(ここで、R1は、H、OH、又はCOOHで置換されたC1〜C4のアルキル基を表し、R2は、OH、OCH3、OC25、SO3M、COOMで置換されたC1〜C4のアルキル基、又はフェニル基を表し、R3は、OH、COOH、又はNHR4を表し、R4は、SO3M、又はCOOHで置換されたC1〜C4のアルキル基を表し、Mは、H、Li、Na、K、アンモニウム、又は有機アミン類を表す。)]
で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましい。
本発明のインクセットは、上記インクセットにおいて、高い色濃度を有するマゼンタインク組成物が、前記式(1)で表される化合物及びその塩、並びに前記式(4)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含み、かつその着色剤の合計量が、高い色濃度を有するマゼンタインク組成物の総重量に対して1〜10重量%含有されていることが好ましい。
本発明のインクセットは、上記インクセットにおいて、高い色濃度を有するマゼンタインク組成物が、前記式(1)で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含み、かつ前記着色剤の合計量が高い色濃度を有するマゼンタインク組成物の総重量に対して3.0〜8.0重量%含有されているとともに、低い色濃度を有するマゼンタインク組成物が、前記式(1)で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含み、かつ前記着色剤の合計量が低い色濃度を有するマゼンタインク組成物の総重量に対して0.5〜3.5重量%含有されていることが好ましい。
本発明のインクセットは、上記インクセットにおいて、イエローインク組成物が、着色剤として下記の式(5):
Figure 0004432431
及び、下記式(6):
Figure 0004432431
(前記式(5)及び(6)中、R5、R5'、 R6、及びR6'は、独立してCH3、OCH3を表し、Z及びZ'、は独立して下記式:
Figure 0004432431
のいずれかの構造を有するものであり、互いに同一であっても異なっていても良い。ここで、Mは、H、Li、Na、K、アンモニウム、又は有機アミン類を表し、nは1又は2の整数である。)
で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
本発明のインクセットは、上記インクセットにおいて、イエローインク組成物が、前記式(5)で表される化合物及び前記式(6)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含み、かつその着色剤の合計量がイエローインク組成物の総重量に対して1〜6重量%含有されていることが好ましい。
本発明のインクセットは、上記インクセットにおいて、シアンインク組成物が、着色剤として、下記式(7):
Figure 0004432431
(前記式(7)中、R7は、OH又はCOOHを表し、Mは、H、Li、Na、K、アンモニウム基又は有機アミン類を表し、l、m、nは、それぞれ、0〜4であり、かつ(l+m+n)=4である。)
で表される化合物の少なくとも一種を含有することが好ましい。
本発明のインクセットは、上記インクセットにおいて、シアンインク組成物が、前記式(7)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含み、かつ、その着色剤の合計量が前記シアンインク組成物の総重量に対して2.0〜6.0重量%含有されていることが好ましい。
本発明のインクセットは、上記インクセットにおいて、色濃度の異なる二種のシアンインク組成物を有することが好ましい。
本発明のインクセットは、上記インクセットにおいて、上記の色濃度の異なる二種のシアンインク組成物のうち、低い色濃度を有するシアンインク組成物が、着色剤として、前記式(7)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましい。
本発明のインクセットは、上記インクセットにおいて、色濃度の異なる二種のシアンインク組成物のうち、高い色濃度を有するシアンインク組成物が、着色剤として、前記式(7)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましい。
本発明のインクセットは、上記インクセットにおいて、高い色濃度を有するシアンインク組成物が、前記式(7)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含み、かつその着色剤の合計量が前記高い色濃度を有するシアンインク組成物の総重量に対して2.0〜6.0重量%含有されているとともに、低い色濃度を有するシアンインク組成物が、前記式(7)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含み、かつその着色剤の合計量が前記低い色濃度を有するシアンインク組成物の総重量に対して0.4〜3.0重量%含有されていることが好ましい。
本発明のインクセットにおいては、インク組成物が、ノニオン系界面活性剤を含むことが好ましい。
本発明のインクセットにおいては、上記ノニオン系界面活性剤が、アセチレングリコール系界面活性剤であることが好ましい。
本発明のインクセットにおいては、インク組成物が、ノニオン系界面活性剤を0.1〜5重量%含んでいることが好ましい。
本発明のインクセットにおいては、インク組成物が浸透促進剤を含むことが好ましい。
本発明のインクセットにおいては、上記浸透促進剤がグリコールエーテル類であることが好ましい。
本発明のインクカートリッジは、上記インクセットを一体的に又は独立に収容したことを特徴とするものである。
本発明のインクジェット記録方法は、上記インクセット又は上記インクカートリッジを用いて記録することを特徴とするものである。
少なくともイエローインク組成物、マゼンタインク組成物、シアンインク組成物、及びブラックインク組成物を備えたインクセットであって、前記マゼンタインク組成物が上記式(1)で表される化合物及びその塩から成る群から選ばれる少なくとも一種を含有するとともに、前記ブラックインク組成物が着色剤として上記式(2)、特に好ましくは上記式(3)で表される化合物及びその塩から成る群から選ばれる少なくとも一種を含有することにより、インクセットの耐光性を優れたものにすることができる。さらに上記マゼンタインク組成物として濃マゼンタ及び淡マゼンタインク組成物を有するインクセットにおいては、その少なくとも一種のマゼンタインク組成物、特に淡マゼンタインク組成物が着色剤として上記式(1)で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことによりインクセットの耐光性を優れたものにできる。また濃マゼンタインク組成物に用いる着色剤としては、上記式(1)の染料及び式(4)の染料からなる群から選ばれる染料を用いることによってインクセットの耐光性を優れたものにすることができる。本発明のインクセットにおいてはイエローインク組成物が着色剤として上記式(5)及び(6)の染料からなる群から選ばれる少なくとも一種を用いることによってインク組成物の耐光性を優れたものにすることができる。さらに本発明のインクセットにおいては、シアンインク組成物の着色剤として上記式(7)の染料の少なくとも一種を用いることによりインクセットの耐光性を優れたものにすることができる。シアンインク組成物として濃シアンインク組成物及び淡シアンインク組成物を含むインクセットにおいては、濃シアンインク組成物及び淡シアンインク組成物の少なくとも一つ、特に淡シアンインク組成物の着色剤として上記式(7)の染料の少なくとも一種を用いることによってインクセットの耐光性を優れたものにすることができる。本発明のインクセットを用い、インクジェット記録方法によって記録された記録物は優れた耐光性を有する。
本発明者らは、複数色の各種インク組成物を組み合わせてインクセットを構成し、それを用いて形成された画像の耐光性を向上するための検討を行った。その結果、それぞれが上記の特定構造を有する染料を用いたマゼンタ及びブラックインク組成物を含むインクセットを用いて画像を記録した場合、記録物の画像が耐光性に優れることを見いだした。
さらにイエローインク組成物及びシアンインク組成物において上記の特定構造を有する染料を着色剤として用いた場合に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(Bk)の各カラーが耐光性に優れ、かつ各カラー間の耐光劣化速度の差を小さくすることができ、ある程度画像の耐光劣化が進行しても観察者が画像全体の劣化を感じにくいインク組成物にできることを見いだした。
さらに、マゼンタ及び/又はシアンインク組成物について、色濃度の異なる2種のインク組成物(以下、高い色濃度を有するマゼンタ及びシアンインク組成物をそれぞれ「濃マゼンタインク組成物」及び「濃シアンインク組成物」といい、低い色濃度を有するマゼンタ及びシアンインク組成物をそれぞれ「淡マゼンタインク組成物」及び「淡シアンインク組成物」という。)を含むインクセットにおいては、淡マゼンタインク組成物及び/又は淡シアンインク組成物の着色剤として上記の特定の構造を有する染料を用いる場合、特に好ましい耐光特性を有するインクセットにできることを見いだした。
さらに、本発明のインクセットを構成するインク組成物に、特定の界面活性剤及び/又は浸透促進剤を添加することによって優れた画質の記録物を得ることができることを見いだした。
さらに、本発明のインクセットはインクジェット記録方法に用いるインクセットとして好ましいことを見いだした。
本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
本発明の第一の態様に係るインクセットは、イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、シアンインク組成物、及びブラックインク組成物を含む。本発明のマゼンタインク組成物は、着色剤として、前記式(1)で表される化合物及びその塩(以下、あわせて式(1)の染料ともいう。)から選ばれる少なくとも一種を含み、かつブラックインク組成物は、着色剤として前記式(2)で表される化合物及び前記式(2)で表される化合物の塩(以下、あわせて式(2)の染料ともいう。)から選ばれる少なくとも一種を含むものである。
本発明の第二の態様に係るインクセットは、上記インクセットにおいて、所望によりマゼンタインク組成物として色濃度の異なる少なくとも二種のマゼンタインク組成物を備えたインクセットであり、少なくとも一種のマゼンタインク組成物が前記式(1)の染料の少なくとも一種を含むものである。特に淡マゼンタインク組成物が、着色剤として前記の式(1)の染料の少なくとも一種を含有していることが好ましい。さらに濃マゼンタインク組成物に含まれる染料は、前記式(1)の染料及び前記式(4)で表される化合物(以下、式(4)の染料ともいう。)から選ばれる少なくとも一種の染料を含むことが好ましい。
上記各インクセットにおいては、さらに、イエローインク組成物に含有されるイエロー染料として、前記式(5)で表される化合物(以下、式(5)の染料ともいう。)及び前記式(6)で表される化合物(以下、式(6)の染料ともいう。)からなる群から選ばれる少なくとも一種が用いられることが好ましい。また、上記各インクセットにおいては、さらに、シアンインク組成物に含有されるシアン染料が、前記式(7)で表される化合物(以下、式(7)の染料ともいう。)の一種以上を含むことが好ましい。
本発明のインクセットはいずれも、インク組成物を用いる記録方法に用いられ、インク組成物を用いた記録方法としては、例えば、インクジェット記録方法、ペン等の筆記具による記録方法、その他各種の印字及び印刷方法があげられる。本発明のインクセットは、特にインクジェット記録方法に用いるインクセットとして好ましい。
以下、本発明のインクセットに含まれる各インク組成物について説明する。初めに各インク組成物中に含有される着色剤について、各インク組成物ごとに説明する。本発明のインクセットにおいては各インク組成物において、特定の化学構造を有する染料を着色剤として用いることによってインクセットとして優れた特性を発現させることができる。
本発明のインクセットに用いるマゼンタインク組成物は、上述のとおり、前記式(1)の染料の少なくとも一種を含む。前記式(1)で表される化合物は、いかなる方法で製造されても良いが、例えば、以下のような方法で製造することができる。
1)1−メチルアミノ−4−ブロモアントラキノンにベンゾイル酢酸エチルエステルを溶媒中で反応させ、1−ベンゾイル−6−ブロモ−2,7−ジヒドロ−3−メチル−2,7−ジオキソ−3H−ジベンゾ[f,ij]イソキノリンを得る。
2)次いで、上記1)で得られた化合物とメタアミノアセトアニリドを溶媒中で反応させ、3'−[1−ベンゾイル−2,7−ジヒドロ−3−メチル−2,7−ジオキソ−3H−ジベンゾ[f,ij]イソキノリン−6−イルアミノ]−アセトアニリドを得る。
3)次いで、上記2)で得られた化合物を発煙硫酸中で反応させ、トリナトリウム−6−アミノ−4−[2,7−ジヒドロ−3−メチル−1−(3−スルホナトベンゾイル)−2,7−ジオキソ−3H−ジベンゾ[f,ij]イソキノリン−6−イルアミノ]−ベンゼン−1,3−ジスルホナートを得る。
4)次いで、上記3)で得られた化合物とシアヌルクロライドとを水中で反応させて1次縮合物を得、さらにそれに連結基Aを有するジアミンを反応させて2次縮合物を得る。
5)次いで、上記4)で得られた化合物をそのまま、又は加水分解、あるいはアンモニアと反応させて3次縮合物と成し、目的とする前記式(1)で表される化合物を得る。
本発明のマゼンタインク組成物においては、前記式(1)で表される化合物及びその塩(式(1)の染料)は1種のみを用いることも、また2種以上を併用することもできる。
本発明のインクセットには、マゼンタインク組成物として濃マゼンタインク組成物及び淡マゼンタインク組成物を含めることができる。濃マゼンタインク組成物及び淡マゼンタインク組成物の両者をインクセットに含める場合、両者の少なくとも一つが前記式(1)の染料の少なくとも一種を着色剤として含むことが好ましい。本発明のインクセットにおいては、淡マゼンタインク組成物が前記式(1)の染料の少なくとも一種を着色剤として含むことがさらに好ましい。前記式(1)の染料を用いることによって、得られる記録物における淡マゼンタの耐光性を向上させることができ、それにより写真画像の耐光性を向上させることができるからである。
本発明のインクセットの濃マゼンタインク組成物においては、上述のとおり耐光性に優れることから、式(1)の染料の少なくとも一種を着色剤として用いることが好ましいが、式(1)の染料と併せて前記式(4)の染料の少なくとも一種を用いることができる。
本発明のインクセットにおいては、マゼンタインク組成物中の染料の濃度は、用いられる式(1)の染料のカラーバリューに基づいて適宜定めることができる。インクセットに一つのマゼンタ組成物のみを含める場合、一般的にはマゼンタインク組成物中に式(1)の染料の少なくとも一種が着色剤として含まれ、かつその着色剤が合計でマゼンタインク組成物の総重量に対して1.0〜10重量%含有されていることが好ましい。マゼンタインク組成物中に含まれる着色剤の濃度を1.0重量%以上とすることにより、インクとして充分な発色性を確保でき、さらに染料濃度を10重量%以下にすることによって、インクジェット記録方法に用いるインク組成物としてノズルからの好ましい吐出性を確保することやノズルの目詰まりを防止すること等が容易となる。
また、濃マゼンタインク組成物及び淡マゼンタインク組成物を含むインクセットの場合、淡マゼンタインク組成物中における着色剤の濃度は、着色剤として用いられる式(1)の染料のカラーバリューにしたがって適宜選択することができるが、一般的には淡マゼンタインク組成物が式(1)の染料の少なくとも一種を着色剤として含み、かつその着色剤が合計で淡マゼンタインク組成物の総重量に対して0.5〜3.5重量%含有されていることが好ましく、1.0〜3.0重量%含有されていることがさらに好ましい。着色剤の濃度を0.5重量%以上にすることによって淡マゼンタインク組成物として必要な発色性を確保することができ、かつ着色剤の濃度を3.5重量%以下にすることによって淡マゼンタインク組成物を用いて記録された記録物の画像における好ましくない粒状感の発生を防止することができる。
本発明のインクセットに濃マゼンタインク組成物及び淡マゼンタインク組成物の両者を含め、さらに淡マゼンタインク組成物中に含まれる着色剤として前記式(1)の染料の少なくとも一種を用いる場合、濃マゼンタインク組成物に用いられる着色剤としては、前記式(1)の染料及び式(4)の染料からなる群から選ばれる少なくとも一種を用いることができる。濃マゼンタインク組成物中における着色剤の濃度は、式(1)の染料及び式(4)の染料から選ばれる化合物のカラーバリューにしたがって適宜選択することができるが、通常、濃マゼンタインク組成物が式(1)の染料及び式(4)の染料からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含み、かつその着色剤の合計量が濃マゼンタインク組成物の総重量に対し1.0〜10重量%であることが好ましい。着色剤の濃度を1.0重量%以上にすることによってインク組成物の発色性を充分高くすることができ、さらに着色剤の濃度を10重量%以下にすることによってインクジェット記録に用いるインク組成物として必要なインクジェットノズルからの吐出性及びインクの流動性等の各種物性を好ましい範囲に制御でき、さらにインクジェットノズルの目詰まり等を防止できる。
本発明のマゼンタインク組成物、又は濃マゼンタインク組成物及び淡マゼンタインク組成物において、色調などを調整するために、耐光性を大きく損ねない範囲で他のマゼンタ系染料を着色剤として併用することができる。
上記の他のマゼンタ系染料としては、例えば、C.I.ダイレクトレッド2,4,9,23,26,31,39,62,63,72,75,76,79,80,81,83,84,89,92,95,111,173,184,207,211,212,214,218,221,223,224,225,226,227,232,233,240,241,242,243,247、C.I.ダイレクトバイオレット7,9,47,48,51,66,90,93,94,95,98,100,101、C.I.アシッドレッド35,42,52,57,62,80,82,111,114,118,119,127,128,131,143,151,154,158,249,254,257,261,263,266,289,299,301,305,336,337,361,396,397、C.I.アシッドバイオレット5,34,43,47,48,90,103,126、C.I.リアクティブレッド3,13,17,19,21,22,23,24,29,35,37,40,41,43,45,49,55、C.I.リアクティブバイオレット1,3,4,5,6,7,8,9,16,17,22,23,24,26,27,33,34、C.I.ベーシックレッド12,13,14,15,18,22,23,24,25,27,29,35,36,38,39,45,46、C.I.ベーシックバイオレット1,2,3,7,10,15,16,20,21,25,27,28,35,37,39,40,48等を例示できる。
次に本発明のインクセットを構成するブラックインク組成物に用いる着色剤について説明する。本発明のインクセットにブラックインク組成物を含めることによって、良好なコントラストを有する画像を記録媒体上に形成することができる。
本発明のブラックインク組成物は、上述したとおり下記式(2):
Figure 0004432431
で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とする。
上記式(2)中、R1は置換基を有するフェニル基又は置換基を有するナフチル基を表す。さらに式(2)中、R2は置換基を有するフェニレン基又は置換基を有するナフチレン基を表す。さらに式(2)中、R3は少なくとも1つの二重結合及び置換基を有する5〜7員環の複素環基を表す。さらにR1〜R3における前記置換基は独立して、OH、SO3H、PO32、CO2H、NO2、NH2、C1〜4のアルキル基、置換されたアルキル基、C1〜4のアルコキシ基、置換されたアルコキシ基、アミノ基、置換されたアミノ基、及び置換されたフェニル基からなる群から選ばれる基を表す。
さらに上記の置換されたアルキル基は、OH、SO3H、PO32、CO2H、及びNH2基からなる群から選ばれた1種以上の基で置換されたC1〜4のアルキル基から選ばれることが好ましい。また、上記の置換されたアルコキシ基は、OH、SO3H、PO32、CO2H、及びNH2基からなる群から選ばれる1種以上の基で置換されたC1〜4のアルコキシ基から選ばれることが好ましい。また、上記の置換されたアミノ基は、OH、SO3H、PO32、CO2H、及びNH2基からなる群から選ばれた1種以上の基で置換されたC1〜4のアルキル基を1つ又は2つ有するアミノ基からなる群から選ばれることが好ましい。また、上記の置換基されたフェニル基は、OH、SO3H、PO32、CO2H、NH2、C1〜4のアルキル基、及び置換されたC1〜4のアルキル基からなる群から選ばれる置換基を1つ又は2つ有するフェニル基からなる群から選ばれることが好ましい。
さらに本発明に用いる上記式(2)で表される化合物としては、以下の式(3):
Figure 0004432431
(式(3)中、R1〜R9は独立して、H、OH、SO3H、PO32、CO2H、NO2、及びNH2からなる群から選ばれる基を表す。)
で表される化合物であることが特に好ましい。
本発明のブラックインク組成物は、上記式(2)で表される化合物及び式(2)で表される化合物の塩からなる群(式(2)の染料)から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含むことを特徴とするものである。
本発明のブラックインク組成物に用いる式(2)の化合物としては、以下の式(8)〜式(14)で表される化合物が特に好ましい。
Figure 0004432431
Figure 0004432431
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Figure 0004432431
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本発明においてブラックインク組成物に用いる上記式(2)で表される化合物及びその塩は、好ましい方法を用いて適宜合成することができるが、例えば各化合物において3つのアゾ基によって結合されている4つの対応する各構造を有するビルディングブロックをアゾカップリングによって結合することにより合成することができる。すなわち、例えば式(2)で表される化合物のジヒドロキシナフタレン骨格部分をQで表すと、式(2)の化合物は、R3−N=N−R2−N=N−Q−N=N−R1で表すことができる。この化合物を合成する一つの具体的な方法を模式的に示すと、まずR1−NH2をジアゾ化して得られたジアゾニウム塩をQHと反応させてR1−N=N−QHとする。次にCH3CON−R2−NH2をジアゾ化して得られる化合物とR1−N=N−QHをカップリングさせてR1−N=N−Q−N=N−R2NCOCH3を合成する。この化合物のアセチル基を除去してアミノ基としてからジアゾ化し、続いてR3HとカップリングさせてR1−N=N−Q−N=N−R2−N=N−R3が合成できる。
さらに合成の具体例として前記式(8)で表される化合物の合成例を以下に説明する。
5−アセチルアミノ−2−アミノベンゼンスルホン酸(23.0g、0.10モル)を、濃硝酸(30ml)を含む水(300ml)に添加した。亜硝酸ナトリウム(6.9g)を0〜5℃の温度で10分かけて加えた。60分後、過剰の亜硝酸を分解し、得られたジアゾニウム塩溶液を、5〜10℃、pH8〜9を維持しながらゆっくりと、水(500g)に溶解しておいた1,8−ジヒドロキシナフタレン−3,6−ジスルホン酸(32.0g、0.10モル)の溶液に添加した。この反応が定量的に進行したことは、HPLCにより確認できた。これによってカップリング生成物を含む溶液(染料ベースという)が得られた。
次に5−ニトロ−2−アミノベンゼンスルホン酸(43.6g、0.20モル)を、濃塩酸(60g)を含む水(500g)に添加した。亜硝酸ナトリウム(13.8g)を0〜5℃の温度で15分かけて加えた。60分後、得られたジアゾニウム塩溶液を、5〜10℃、pH6〜7を維持しながら120分かけて、あらかじめテトラヒドロフラン(1000g)を添加しておいた上記染料ベースに添加した。5時間後、生成した沈殿物を集め、乾燥器で乾燥させると、暗赤色の固形物が得られた(55.3g)。この暗赤色の固形物を水(1000ml)に溶解させて、80℃まで加熱した。水酸化ナトリウム(10g)を加え、さらに8時間温度を80℃に保った。8時間後、濃塩酸を用いてpH7〜8に調節し、溶液を放冷して室温にまで下げた。この溶液をVisking(商標)チュービングを用いて透析(50μScm-1未満)してから、フィルタを用いて濾過し、乾燥器で乾燥させると47.2gの黒色固形物が得られた。
上記で得られた黒色固形物をpH7〜9で水に再溶解させたが、pHの調整には水酸化リチウムを用いた。次いで亜硝酸ナトリウム(8.3g)を加え、10分間攪拌した。それから、この染料/亜硝酸塩の溶液を、濃塩酸(30g)を含む氷水(100ml)中に移した。放置すると温度は15〜25℃に上昇したが、そのまま3時間おいた。得られたジアゾジウム塩溶液を、15〜20℃、pH6〜7を維持しながら120分かけて、1−(4−スルホフェニル)−3−カルボキシ−5−ピラゾロン(17.9g、0.06モル)の溶液に加えた。このpHは水酸化リチウムを添加することによって維持した。次いでこの溶液をVisking(商標)チュービングを用いて透析(50μScm-1未満)し、さらにフィルタを用いて濾過し、乾燥器で乾燥させると60.0gの前記式(3)で表される化合物が黒色固形物として得られた。
なお、本明細書において、前記式(2)で表される化合物(以下、単に化合物(2)ともいう。)の塩(以下、単に化合物(2)の塩ともいう。)には、前記式(2)で表される化合物の塩及び前記式(2)で表される化合物の部分塩が含まれ、さらに前記塩及び前記部分塩には複合塩も含まれる。また、式(2)の塩としては、式(2)で表される化合物のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、及び有機アンモニウム塩、並びにこれらの各種金属、アンモニウム、及び有機アンモニウムからなる群から選ばれる2種以上を含む複合塩からなる群から選ばれる1種以上が例示でき、特に上記アルカリ金属塩としては、例えばリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、及びこれらの2種以上の金属を含む塩をあげることができる。本発明においてブラックインク組成物に用いる式(2)で表される化合物の塩としては、リチウム塩及びナトリウム塩が特に好ましい。
本発明におけるブラックインク組成物においては、上記化合物(2)及び化合物(2)の塩として、1種のみを用いることも、また2種以上を併用することもできる。
本発明のブラックインク組成物は、上記化合物(2)及びその塩からなる群(以下、単に「ブラック染料(2)」ともいう。)から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含み、かつその着色剤が合計でブラックインク組成物の総重量に対して0.5〜12重量%含有されていることが好ましく、1.0〜9.0重量%含有されていることがさらに好ましい。ブラックインク組成物中のブラック染料(2)の合計の含有量がブラックインク組成物の総重量に対して0.5重量%以上の場合、そのインク組成物を用いて記録媒体に画像等を記録したときに、充分良好な発色や高い画像濃度を得ることができる。また、ブラックインク組成物中のブラック染料(2)の合計の含有量をブラックインク組成物の総重量に対して12重量%以下にすることにより、そのインク組成物の粘度を好ましい値に調節することができ、またインクジェットヘッドからのインク組成物の吐出量を安定化することができ、さらにインクジェットヘッドの目詰まりを防止することができる。
次に本発明のインクセットを構成するイエローインク組成物に用いられる着色剤について説明する。本発明のインクセットにおいて、イエローインク組成物に用いられる着色剤は特定構造の着色剤に限定されるものではないが、他の色のインク組成物の耐光性とイエローインク組成物の耐光性との間の差が小さいことが好ましい。本発明のインクセットに含まれるイエローインク組成物は、前記式(5)で表される化合物及び前記式(6)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含有することが特に好ましい。イエローインク組成物の着色剤として式(5)及び式(6)の染料からなる群から選ばれる少なくとも一種を用いることにより、本発明のインクセットを用いて形成される画像の耐光性を良好にすることができ、しかも他の色のインク組成物の耐光性とのバランスにも優れたインクセットを得ることができる。また、本発明においては、イエローインク組成物の色調などを調整するために、耐光性を大きく損ねない範囲で、前記式(5)及び式(6)の染料と他のイエロー系染料を併用することもできる。
イエローインク組成物中の着色剤の濃度は、着色剤として用いられる化合物のカラーバリューにしたがって適宜決定することができる。上記式(5)及び式(6)の染料からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として本発明のイエローインク組成物中に含める場合、一般的には、前記式(5)及び式(6)の染料からなる群から選ばれた着色剤の合計量が、イエローインク組成物中に、イエローインク組成物の総重量に対して1.0〜6.0重量%含有されることが好ましい。イエローインク組成物中における前記着色剤の合計量の濃度を1.0重量%以上にすることによって良好な発色性を得ることができ、また前記着色剤の合計量の濃度を6.0重量%以下にすることによって、インクジェット記録方法に用いるためのインク組成物として必要とされるノズルからの吐出性等の特性を良好なものにし、インクノズルの目詰まりを防止することができる。
前記の式(5)の染料及び式(6)の染料以外のイエロー系染料としては、例えば、C.I.ダイレクトイエロー8,9,11,12,27,28,29,33,35,39,41,44,50,53,58,59,68,87,93,95,96,98,100,106,108,109,110,130,142,144,161,163、C.I.アシッドイエロー17,19,23,25,39,40,42,44,49,50,61,64,76,79,110,127,135,143,151,159,169,174,190,195,196,197,199,218,219,222,227、C.I.リアクティブイエロー2,3,13,14,15,17,18,23,24,25,26,27,29,35,37,41,42、C.I.ベーシックイエロー1,2,4,11,13,14,15,19,21,23,24,25,28,29,32,36,39,40等を挙げることができるが、これらに限定されない。
次に本発明においてシアンインク組成物に用いられる着色剤について説明する。本発明のインクセットにおけるシアンインク組成物に用いられる着色剤は、特に限定されるものではないが、本発明のインクセットを用いて得られる画像の耐光性を良好に保つためには、シアンインク組成物が優れた耐光性を有するとともに、他の色のインク組成物の耐光性との差が小さいことが好ましい。耐光性に優れ、かつ他の色のインク組成物の耐光性と大きな差がないことから、本発明のシアンインク組成物に用いられる着色剤としては、前記の式(7)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
本発明のインクセットにおけるシアンインク組成物中の着色剤の濃度は、着色剤として用いられる化合物(染料)のカラーバリューにしたがって適宜決定することができるが、着色剤として上記式(7)で表される化合物(式(7)の染料)の少なくとも一種を用いる場合、一般に、式(7)の染料の合計量が、シアンインク組成物中に、シアンインク組成物の総重量に対して2.0〜6.0重量%含有されることが好ましい。シアンインク中に含まれる式(7)の染料の濃度を2.0重量%以上にすることにより、優れた発色性を得ることができ、さらに式(7)の染料の濃度を6.0重量%以下にすることにより、インクジェット記録方法に用いるためのインク組成物として必要とされるノズルからのインクの吐出性等の物性を好ましいものにすることができ、しかもインクジェットノズルの目詰まりが生じにくい等の効果が得られる。
本発明においては、所望によりシアンインク組成物として色濃度の高いシアンインク組成物(濃シアンインク組成物)及び色濃度の低いシアンインク組成物(淡シアンインク組成物)をインクセット含めることができる。濃シアンインク組成物及び淡シアンインク組成物を本発明のインクセットに含める場合、濃シアンインク組成物又は淡シアンインク組成物の少なくとも一つが前記式(7)の染料の少なくとも一種を着色剤として含有することが好ましく、淡シアンインク組成物が前記式(7)の染料の少なくとも一種を着色剤として含むことがさらに好ましい。濃シアンインク組成物及び淡シアンインク組成物の両者が前記式(7)の染料の少なくとも一種を着色剤として含むことが特に好ましい。
上記のとおり、インクセットに濃シアンインク組成物及び淡シアンインク組成物を含める場合、淡シアンインク組成物中の着色剤の濃度は、着色剤として用いられる染料の種類に応じて、淡シアンインク組成物を濃シアンインク組成物と組み合わせたときに好ましいカラーバランスを有するよう適宜決定することができる。一般には、淡シアンインク組成物中に着色剤、例えば式(7)の染料の少なくとも一種が含まれ、かつ、その着色剤が合計で淡シアンインク組成物の総重量に対して0.4〜3.0重量%含有されていることが好ましい。淡シアンインク組成物中の着色剤の濃度を0.4重量%以上にすることにより、発色性を優れたものにすることができ、かつ着色剤の濃度を3重量%以下にすることによって、そのインク組成物を用いて記録された画像の粒状性が荒くなることを防止することができる。
上述したとおり、本発明のインクセットにおけるシアンインク組成物、又は濃シアンインク組成物及び淡シアンインク組成物においては、着色剤として前記式(7)の染料の少なくとも一種を用いることが特に好ましいが、インクの色調の調整等のため、耐光性を大きく損ねない範囲で他のシアン系染料を併用することができる。他のシアン系染料としては、例えば、C.I.ダイレクトブルー1,10,15,22,25,55,67,68,71,76,77,78,80,84,90,98,106,108,109,151,156,158,159,160,168,189,192,193,194,200,201,202,203,207,211,213,214,218,225,229,236,237,244,248,249,251,252,264,270,280,288,289,291、C.I.アシッドブルー9,25,40,41,62,72,76,78,80,82,92,106,112,113,120,127:1,129,138,143,175,181,205,207,220,221,230,232,247,258,260,264,271,277,278,279,280,288,290,326、C.I.リアクティブブルー2,3,5,8,10,13,14,15,17,18,19,21,25,26,27,28,29,38、C.I.ベーシックブルー1,3,5,7,9,22,26,41,45,46,47,54,57,60,62,65,66,69,71等を挙げることができるが、これらに限定されない。
以上本発明の各インク組成物に用いる着色剤及びそのインク組成物中の着色剤含有量について説明したが、以下、各インク組成物に含まれるその他の成分について説明する。
本発明における各インク組成物は、上述した着色剤(染料)を適当な溶媒に溶解して得ることができる。上記各インク組成物において着色剤を溶解するための溶媒としては、水、又は水と水溶性有機溶剤との混合液を主溶媒として用いることが好ましい。水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等を用いることができる。また、長期保存の観点から、紫外線照射や過酸化水素添加などの各種化学滅菌処理を施した水を用いることが好ましい。本発明のインクセットを構成する各インク組成物における水の含有量は、各インク組成物の重量のうちの40〜90重量%であることが好ましく、50〜80重量%であることがさらに好ましい。
本発明における各インク組成物は、上述のとおり、溶媒として水とともに水溶性有機溶剤を用いることができる。この水溶性有機溶剤としては、染料を溶解する能力を有するものが好ましく、かつ蒸気圧が純水よりも小さいものが好ましい。本発明において用いる水溶性有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール類、アセトニルアセトン等のケトン類、γ−ブチロラクトン、リン酸トリエチル等のエステル類、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、チオジグリコール等が好ましいが、これらに限定されるものではない。水とともに水溶性有機溶剤をインク組成物の溶媒として用いることによって、インクヘッドからのインク組成物の吐出安定性を向上させること、及び他の特性をほとんど変化させずにインク組成物の粘度を下げる等の調節を容易に行うことができる。
また、糖類から選ばれる少なくとも一種の保湿剤を、本発明の各インク組成物に含有させることができる。インク組成物に保湿剤を含有させることにより、インクジェット記録方法にインク組成物を用いた場合、インクからの水分の蒸発を抑制してインクを保湿することができる。本発明に用いる糖類としては、マルチトール、ソルビトール、グルコノラクトン、マルトース等が好ましい。なお、上述した水溶性有機溶剤も保湿剤としてはたらく場合がある。
上記水溶性有機溶剤及び/又は保湿剤は合計して、インク組成物中に5〜50重量%、さらに好ましくは5〜30重量%、特に好ましくは5〜20重量%含有させることができる。これらの含有量を5重量%以上にすることによって良好なインクの保湿性が得られ、かつ50重量%以下にすることによって、インク組成物の粘度をインクジェット記録方法に用いるための好ましい粘度に調整することができる。
また、本発明のインク組成物には、記録媒体へのインクの速やかな定着性(浸透性)を得るとともに、1ドットの真円度を保つために有効な添加剤として、ノニオン系界面活性剤を含有させることが好ましい。本発明に用いられるノニオン系界面活性剤としては、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤が挙げられる。アセチレングリコール系界面活性剤として、具体的には、サーフィノール465(商標)、サーフィノール104(商標)(以上商品名、Air Products and Chemicals, Inc. 社製)、オルフィンSTG(商標)、オルフィンE1010(商標)(以上商品名、日信化学社製)等が挙げられる。
本発明においては、インク組成物中にノニオン系界面活性剤が、好ましくは0.1〜5重量%、さらに好ましくは0.5〜2重量%含まれるように、各インク組成物にノニオン系界面活性剤を添加するのがよい。インク組成物にノニオン系界面活性剤を0.1重量%以上含有させることによって、記録媒体に対する各インク組成物の浸透性を高くすることができる。またインク組成物中のノニオン系界面活性剤の含有量を5重量%以下にすることにより、記録媒体上にインク組成物によって形成された画像がにじみにくいという効果が得られる。
さらに、浸透促進剤として、グリコールエーテル類をインク組成物に添加することにより、記録媒体に対するインク組成物の浸透性が向上するとともに、カラー印刷を行った場合に隣り合うカラーインクどうしの境界において、インクのブリード(ブリーディング)が減少し、非常に鮮明な画像を得ることができる。したがって、本発明のインクセットを構成するインク組成物には浸透促進剤を添加することが好ましい。
浸透促進剤として本発明に用いる上記グリコールエーテル類としては、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等が好ましいが、これらに限定されるものではない。これらのグリコールエーテル類は、インク組成物中に3〜30重量%、さらに好ましくは5〜15重量%含まれるように各インク組成物中に添加されることが好ましい。グリコールエーテル類の添加量を3重量%以上にすることにより、カラー印刷時における隣り合うインク間のブリード(ブリーディング)を有効に防止でき、さらにこの添加量を30重量%以下にすることにより、画像のにじみが発生することを防止しやすくなり、かつインクの保存安定性を高めることができる。
さらに、本発明における各インク組成物には、トリエタノールアミンやアルカリ金属水酸化物等のpH調整剤、アルギン酸ナトリウム等の水溶性ポリマー、水溶性樹脂、フッ素系界面活性剤、防腐剤、防カビ剤、防錆剤、溶解助剤、酸化防止剤、及び紫外線吸収剤等から選ばれる材料を所望により添加することができる。これらの成分は、各種別に一種又は二種以上を混合して用いることができる。また、添加する必要がなければ添加しなくてもよい。当業者は本発明の効果を損なわない範囲で、選択された好ましい添加剤を好ましい量で用いることができる。なお、上記溶解助剤とは、インク組成物から不溶物が析出する場合に、その不溶物を溶解し、インク組成物を均一な溶液に保つための添加剤である。
上記溶解助剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドンなどのピロリドン類、尿素、チオ尿素、テトラメチル尿素などの尿素類、アロハネート、メチルアロハネート等のアロハネート類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチルビウレットなどのビウレット類などを挙げることができるがこれらに限定されない。また、上記酸化防止剤の例としては、L−アスコルビン酸及びその塩類等が例示できるが、これらに限定されない。
上記防腐剤又は防カビ剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、及び1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン(AVECIA社のプロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL、プロキセルXL−2、及びプロキセルTN(以上商品名)等を例示できるが、これらに限定されない。
上記pH調整剤しては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、モルホリン等のアミン類及びそれらの変性物、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどの金属水酸化物、水酸化アンモニウム、四級アンモニウム水酸化物(テトラメチルアンモニウム等)等のアンモニウム塩、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウムなどの炭酸塩類その他燐酸塩類などが例示できるが、これらに限定されない。
なお、本発明のインクセットを構成する各インク組成物は、そのpHが20℃において7.0〜10.5であることが好ましく、7.5〜10.0であることがさらに好ましい。20℃におけるインク組成物のpHを7.0以上にすることによってインクジェットヘッドの共析メッキが剥離することを防止することができ、かつインクジェットヘッドからのインク組成物の吐出特性を安定化することができる。また、インク組成物のpHを20℃において10.5以下にすることによって、インク組成物が接触する各種の部材、たとえばインクカートリッジやインクジェットヘッドを構成する部材が劣化されることを防ぐことができる。
なお、本発明におけるインク組成物のpH値は、市販のpHメーターを用い、インク組成物にpH電極を直接挿入することによって測定された値である。
本発明のインクセットを構成する各インク組成物は、上述した成分から適宜選ばれた成分を含んで構成されるが、得られる各インク組成物の粘度が20℃において10mPa・s未満であることが好ましい。さらに、本発明においては各インク組成物の表面張力を20℃において45mN/m以下であることが好ましく、25〜45mN/mの範囲であることが特に好ましい。粘度及び表面張力をこのように調整することによって、インクジェット記録方法に用いるために好ましい特性を有するインク組成物を得ることができる。この粘度及び表面張力の調整は、インク組成物に含有させる溶剤及び各種添加剤の添加量、並びにそれらの種類等を適宜調節及び選択することによって行うことができる。
本発明における各インク組成物の調製方法としては、たとえば、各インク組成物に含有される各種成分を充分に混合してできるだけ均一に溶解した後、孔径0. 8μm のメンブランフィルターで加圧濾過し、さらに得られた溶液を真空ポンプを用いて脱気処理して調製する方法が例示できるが、これに限定されない。
次に、上述した各インク組成物を用いた本発明のインクセットは、これらを一体的に若しくは独立に収容したインクカートリッジとして用いることができ、取り扱いが便利である点等からも好ましい。インクセットを含んで構成されるインクカートリッジは当技術分野において公知であり、公知の方法を適宜用いてインクカートリッジにすることができる。
本発明のインクセット又はインクカートリッジは一般の筆記具用、記録計用、ペンプロッター用等に用いることができるが、インクジェット記録方法に用いることが特に好ましい。本発明のインクセット又はインクカートリッジを用いることができるインクジェット記録方法は、インク組成物を細いノズルから液滴として吐出させ、その液滴を記録媒体に付着させるいかなる記録方法も含む。本発明のインク組成物を用いることができるインクジェット記録方法の具体例を以下に説明する。
第一の方法は静電吸引方式とよばれる方法である。静電吸引方式は、ノズルとノズルの前方に配置された加速電極との間に強電界を印加し、ノズルから液滴状のインクを連続的に噴射させ、そのインク滴が偏向電極間を通過する間に印刷情報信号を偏向電極に与えることによって、インク滴を記録媒体上に向けて飛ばしてインクを記録媒体上に定着させて画像を記録する方法、又は、インク滴を偏向させずに、印刷情報信号に従ってインク滴をノズルから記録媒体上にむけて噴射させることにより画像を記録媒体上に定着させて記録する方法である。本発明のインクセット又はインクカートリッジはこの静電吸引方式による記録方法に用いることが好ましい。
第二の方法は、小型ポンプによってインク液に圧力を加えるとともに、インクジェットノズルを水晶振動子等によって機械的に振動させることによって、強制的にノズルからインク滴を噴射させる方法である。ノズルから噴射されたインク滴は、噴射されると同時に帯電され、このインク滴が偏向電極間を通過する間に印刷情報信号を偏向電極に与えてインク滴を記録媒体に向かって飛ばすことにより、記録媒体上に画像を記録する方法である。本発明のインクセット又はインクカートリッジはこの記録方法に用いることが好ましい。
第三の方法は、インク液に圧電素子によって圧力と印刷情報信号を同時に加え、ノズルからインク滴を記録媒体に向けて噴射させ、記録媒体上に画像を記録する方法である。本発明のインクセット又はインクカートリッジはこの記録方法に用いることが好ましい。
第四の方法は、印刷信号情報に従って微小電極を用いてインク液を加熱して発泡させ、この泡を膨張させることによってインク液をノズルから記録媒体に向けて噴射させて記録媒体上に画像を記録する方法である。本発明のインクセット又はインクカートリッジはこの記録方法に用いることが好ましい。
本発明のインクセット又はインクカートリッジは、上述した4つの方法を含むインクジェット記録方式による画像記録方法を用いて記録媒体上に画像を記録する場合に用いるインク組成物として特に好ましい。本発明のインクセットを用いて記録された記録物は優れた画質を有し、さらに耐光性にも優れている。
次に本発明の実施例を比較例とともに挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〜2、比較例1〜3〕
<インク組成物の調製>
表1に示す配合比で各成分を混合し、常温にて30分攪拌した後、1μmのメンブランフィルターで濾過して、表1に示す組成を有する各インク組成物を得た。なお、表1及び表4中に示す各インクに含まれる各成分量を示す数値は、それぞれのインク全量に対する各成分の重量%を示し、超純水の「残量」は各インク組成物に含まれる他の成分とあわせて100重量%となる量の意味である。
なお、表1におけるインク組成物についての詳細は、次の通りである。
M1及びM2はマゼンタインク組成物、Y1及びY2はイエローインク組成物、C1及びC2はシアンインク組成物、Bk1及びBk2はブラックインク組成物をそれぞれ示す。なお、M1は従来一般に用いられているマゼンタ染料を用いたマゼンタインク組成物であり、M2は今回の発明である式(1)で表される化合物を用いたマゼンタインク組成物である。また、Bk1は従来一般に用いられているブラック染料を用いたブラックインク組成物であり、Bk2は今回の発明である式(2)で表される化合物を用いたブラックインク組成物である。
Figure 0004432431
表1中、TEGmBEはトリエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルを示す。また、表1中、オルフィンE1010(商標)及びオルフィンSTG(商標)は日信化学社製のアセチレングリコール系界面活性剤であり、プロキセルXL−2(商品名)はAVECIA社製の防腐剤である。以下の表4においても同様である。
本実施例において、表1における各着色剤のうちのM染料1は、下記式(15):
Figure 0004432431
で表される化合物であり、式(1)で表される化合物の一例である。なお、上記式(1)において、各MはNH4又はNaを表し、かつNH4:Na=1:1である。
また、式(2)で表される化合物の一例として、下記式(8):
Figure 0004432431
で表される化合物のLi塩をBk染料1として用いた。
また、従来のマゼンタ染料の一例として、C.I.ダイレクトレッド227を用い、従来のブラック染料の一例として、BASCID BLACK X−34(商品名、BASF社製)を用いた。
さらに、式(5)で表される化合物及び/又は式(6)で表される化合物の一例としてC.I.ダイレクトイエロー173及びC.I.ダイレクトイエロー86を用い、式(7)で表される化合物の一例としてC.I.ダイレクトブルー199をそれぞれ用いた。
<記録物の作成>
次いで、上記のようにして得られたインク組成物を下記表2に示す組み合わせの各インクセットとし、それぞれを専用カートリッジに充填し、インクジェットプリンタStylus Color 880(セイコーエプソン株式会社製)を用いてインクジェット専用記録媒体(PM写真用紙;セイコーエプソン株式会社製)に印刷を行って記録物を得た。この記録物は、耐光性試験を行うためのイエロー画像(Y画像1)、マゼンタ画像(M画像1)、シアン画像(C画像1)、及びブラック画像(Bk画像1)であって、それぞれのOD値が0.9〜1.1の範囲に入るように作成したカラーパッチである。
Figure 0004432431
各インクセットを用いて作成した上記カラーパッチを試験体として用い、以下の蛍光灯耐光性試験を行った。
(蛍光灯耐光性試験)
蛍光灯耐光性試験機SFT―II(スガ試験機株式会社製)を使用し、24℃、60%RHの条件下、照度70,000luxにて記録物(カラーパッチ)に光照射試験を行った。試験は一種類の記録物について4サンプルを用いて行い、7日間、14日間、21日間、及び28日間と光照射時間を変えた4つのサンプルを準備した。
すなわち、イエロー画像(Y画像1)、マゼンタ画像(M画像1)、シアン画像(C画像)、及びブラック画像(Bk画像1)を、それぞれのOD値が0.9〜1.1の範囲に入るように作成したカラーパッチについて、初期サンプル(光照射なし)、並びに7日間、14日間、21日間、及び28日間光照射試験を行ったサンプルの合計5サンプルを得、各サンプルの画像のOD値(Optical Density)を、反射濃度計(「Spectrolino」Gretag社製)を用いて測定した。得られた各測定値を以下の式:
ROD(%)=(Dn/D0)×100
(Dn:照射試験後のOD(n=1〜4)、D0:照射試験前のOD)
に代入することにより、退色後の光学濃度残存率(Relict Optical Density;ROD)を得た。
そして、試験期間(日数)を横軸、RODを縦軸にとってプロットすることで、試験期間に対する光学濃度残存率変化を示す近似曲線を求めた。得られた曲線から求めた近似式によりRODが70%まで減少するまでの期間を求め、以下の判断基準に基づいて蛍光灯耐光性を評価し、その結果を表3に示した。また、インクセットを構成するインク組成物のうち、上記評価の中で律速となる結果(すなわち、最も耐光性が低い結果)をそのインクセットの寿命とみなした。表3に示した結果から、実施例1及び2のインクセットの寿命は、比較例1〜3のインクセットの寿命より長く、耐光性に優れていることがわかる。
〔判断基準〕
A:RODが25日経過時までに70%まで減少しない。
B:RODが70%まで減少するのが20日を越え、25日以下である。
C:RODが70%まで減少するのが15日を越え、20日以下である。
D:RODが70%まで減少するのが10日を越え、15日以下である。
E:RODが70%まで減少するのが5日を越え、10日以下である。
Figure 0004432431
〔実施例3〜6及び比較例4〜6〕
<インク組成物の調製>
以下の表4に示す配合比で各成分を混合し、常温にて30分攪拌した後、1μmのメンブランフィルターで濾過して表4に示す各インク組成物を得た。なお、表4中に示すインクの各成分量は各インクの総重量に対する各成分の重量%を示す。超純水の量はインク組成物に含まれる他の成分と合計して100重量%となる量である。
なお、表4におけるインク組成物についての詳細は、次の通りである。M1、M2、M3及びM4は濃マゼンタインク組成物、LM1及びLM2は淡マゼンタインク組成物、Y1及びY2はイエローインク組成物、C1及びC2は濃シアンインク組成物、LC1及びLC2は淡シアンインク組成物、Bk1及びBk2はブラックインク組成物をそれぞれ表す。なお、M1及びLM1は、それぞれ従来のマゼンタ染料を用いた濃マゼンタインク組成物及び淡マゼンタインク組成物であり、M2、M3、M4及びLM2は今回の発明である式(1)で表される化合物を用いた濃マゼンタインク組成物及び淡マゼンタインク組成物である。
本実施例において、表4に示した各着色剤のうちのM染料1は、下記式(15):
Figure 0004432431
で表される化合物であり、式(1)で表される化合物の一例である。なお、上記式(1)において、各MはNH4又はNaを表し、かつNH4:Na=1:1である。
また、表4中、M染料2は、下記式(16):
Figure 0004432431
で表される化合物であり、上記式(4)で表される化合物の一例である。
また、表4中、Bk染料1は、上記式(8)で表される化合物のLi塩であり、式(2)で表される化合物の一例である。
また、従来一般に用いられているマゼンタ染料の一例として、C.I.ダイレクトレッド227を用い、さらに従来一般に用いられているブラック染料の一例として、BASCID BLACK X−34(商品名、BASF社製)を用いた。
さらに、式(5)で表される化合物及び式(6)で表される化合物の一例として、C.I.ダイレクトイエロー173及びC.I.ダイレクトイエロー86を用い、式(7)で表される化合物の一例として、C.I.ダイレクトブルー199をそれぞれ用いた。
Figure 0004432431
<記録物の印字>
次に、表4の配合に基づいて調製したインク組成物を用いて、表5に示す組み合わせに従い、実施例及び比較例の各インクセットを構成した。インクジェットプリンタPM800C(セイコーエプソン株式会社製)を用い、専用カートリッジにこれらの各インクセットを充填し、インクジェット専用記録媒体(PM写真用紙;セイコーエプソン株式会社製)に印刷を行って記録物を作成した。この記録物は、イエローインク組成物、淡マゼンタインク組成物、淡シアンインク組成物、及びブラックインク組成物の耐光性を評価するための、イエロー画像(Y画像1)、マゼンタ画像(M画像1)、シアン画像(C画像1)、及びブラック画像(Bk画像1)を、それぞれのOD値が0.9〜1.1の範囲に入るように作成したカラーパッチである。また、イエローインク組成物、濃マゼンタインク組成物、濃シアンインク組成物、及びブラックインク組成物の耐光性試験を行うためのイエロー画像(Y画像2)、マゼンタ画像(M画像2)、シアン画像(C画像2)、及びブラック画像(Bk画像2)を最大の色濃度で打ち込んだカラーパッチを併せて作成した。このカラーパッチは高い色濃度を有する画像の耐光性を試験するための試料とした。
Figure 0004432431
表5に示した実施例3〜6及び比較例4〜6の各インクセットについて、上述したように作成した2種のカラーパッチを用いて下記の蛍光灯耐光性試験を行った。
(蛍光灯耐光性試験)
蛍光灯耐光性試験機SFT―II(スガ試験機株式会社製)を用い、24℃、60%RHの条件下で、照度70,000luxにて記録物(カラーパッチ)に光照射試験を行った。試験は一種類の記録物について4サンプルを用いて行い、7日間、14日間、21日間、及び28日間と光照射時間を変えた4つのサンプルを準備した。
(イエローインク組成物、淡マゼンタインク組成物、淡シアンインク組成物の耐
光性及びインクセットの耐光性寿命)
イエロー画像(Y画像1)、マゼンタ画像(M画像1)、シアン画像(C画像)、及びブラック画像(Bk画像1)を、それぞれのOD値が0.9〜1.1の範囲に入るように作成したカラーパッチについて、初期サンプル(光照射なし)、並びに7日間、14日間、21日間、及び28日間の上記蛍光灯耐光性試験を行ったサンプルの合計5サンプルの画像について、各画像のOD値(Optical Density)を反射濃度計(「Spectrolino」Gretag社製)を用いて測定した。得られた各測定値を以下の式:
ROD(%)=(Dn/D0)×100
(Dn:照射試験後のOD(n=1〜4)、D0:照射試験前のOD)
に代入することにより、退色後の光学濃度残存率(Relict Optical Density;ROD)を得た。
そして、試験期間(日数)を横軸、RODを縦軸にとってプロットすることで、試験期間に対する光学濃度残存率変化を示す近似曲線を求めた。得られた曲線から求めた近似式を用い、RODが70%まで減少するまでにかかる期間を求め、下記の判断基準に基づいて蛍光灯耐光性を評価し、その結果を表6に示した。また、インクセットを構成するインク組成物のうち、上記評価の中で律速となる結果(最も耐光性が低い結果)をそのインクセットの寿命とみなした。表6に示した結果より、実施例3〜6のインクセットの寿命は、比較例4〜6のインクセットの寿命より長く、耐光性に優れていることがわかる。
〔判断基準〕
A:RODが25日経過時までに70%まで減少しない。
B:RODが70%まで減少するのが20日を越え、25日以下である。
C:RODが70%まで減少するのが15日を越え、20日以下である。
D:RODが70%まで減少するのが10日を越え、15日以下である。
E:RODが70%まで減少するのが5日を越え、10日以下である。
Figure 0004432431
(イエローインク組成物、濃マゼンタインク組成物、濃シアンインク組成物、及びブラックインク組成物の耐光性)
イエロー画像(Y画像2)、マゼンタ画像(M画像2)、シアン画像(C画像2)、ブラック画像(Bk画像2)を最大の色濃度で打ち込むように作成したカラーパッチについて、初期サンプル(光照射なし)、並びに7日間、14日間、21日間、及び28日間の上記蛍光灯耐光性試験を行ったサンプルの合計5サンプルについて、各画像のOD値(Optical Density)を反射濃度計(「Spectrolino」Gretag社製)を用いて測定した。得られた各測定値を以下の式:
ROD(%)=(Dn/D0)×100
(Dn:照射試験後のOD(n=1〜4)、D0:照射試験前のOD)
に代入することにより、退色後の光学濃度残存率(Relict Optical Density;ROD)を得た。そして、試験期間(日数)を横軸、RODを縦軸にとってプロットすることで、試験期間に対する光学濃度残存率変化を示す近似曲線を求めた。得られた曲線から求めた近似式を用い、RODが70%まで減少するまでにかかる期間を求め、以下の判断基準に基づいて蛍光灯耐光性を評価し、その結果を表7に示した。
〔判断基準〕
A:RODが25日経過時までに70%まで減少しない。
B:RODが70%まで減少するのが20日を越え、25日以下である。
C:RODが70%まで減少するのが15日を越え、20日以下である。
D:RODが70%まで減少するのが10日を越え、15日以下である。
E:RODが70%まで減少するのが5日を越え、10日以下である。
表7に示したとおり、画像の色濃度が高い場合、比較例4〜6のインクセットにおいてはそのインクセットを構成する各インク組成物の耐光性結果のうち最も低いものがDであるのに対し、実施例3〜6のインクセットにおいてはインク組成物の耐光性結果の最も低いものでもC以上であり、比較例より優れていることがわかる。
Figure 0004432431

Claims (23)

  1. 少なくとも、イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、シアンインク組成物、及びブラックインク組成物を備えたインクセットであって、前記マゼンタインク組成物が着色剤として以下の式(1):
    Figure 0004432431

    [前記式(1)中、Aは、アルキレン基、フェニレン基を含有するアルキレン基、及び下記式:
    Figure 0004432431

    で表される基からなる群から選ばれる基を表し、Xは、NH2、OH又はClを表す。]
    で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有するとともに、前記ブラックインク組成物が、着色剤として下記の式(2):
    Figure 0004432431

    (前記式(2)中、R1は置換基を有するフェニル基又は置換基を有するナフチル基を表し、R2は置換基を有するフェニレン基又は置換基を有するナフチレン基を表し、R3は少なくとも1つの二重結合及び置換基を有する5〜7員環の複素環基を表す。さらに前記R1〜R3における前記置換基は、OH、SO3H、PO32、CO2H、NO2、NH2、C1〜C4のアルキル基、置換基を有するアルキル基、C1〜C4のアルコキシ基、置換基を有するアルコキシ基、アミノ基、置換基を有するアミノ基、及び置換基を有するフェニル基からなる群から選ばれる。)
    で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とするインクセット。
  2. 前記式(2)で表される化合物が以下の式(3):
    Figure 0004432431

    (前記式(3)中、R1〜R9は独立に、H、OH、SO3H、PO32、CO2H、NO2、及びNH2からなる群から選ばれる基を表す。)
    で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載のインクセット。
  3. 前記ブラックインク組成物が前記式(2)若しくは前記式(3)で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含み、かつ前記着色剤の合計量が前記ブラックインク組成物の総重量に対して0.5〜12重量%含有されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクセット。
  4. 前記マゼンタインク組成物として、色濃度の異なる二種のマゼンタインク組成物を有し、その少なくとも一種が着色剤として前記式(1)で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクセット。
  5. 前記色濃度の異なる二種のマゼンタインク組成物のうち、低い色濃度を有するマゼンタインク組成物が、前記式(1)で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含み、かつ前記着色剤の合計量が前記低い色濃度を有するマゼンタインク組成物の総重量に対して0.5〜3.5重量%含有されていることを特徴とする請求項4に記載のインクセット。
  6. 前記色濃度の異なる二種のマゼンタインク組成物のうち、高い色濃度を有するマゼンタインク組成物が、着色剤として前記式(1)で表される化合物及びその塩、並びに下記の式(4):
    Figure 0004432431

    [(前記式(4)中、Yは、C1〜C4のアルキル基、アルコキシ基、又はOH、SO3H、COOMで置換されたフェニル基、又はナフチル基を表す。
    Bは、H又は次式を表す。
    Figure 0004432431

    (ここで、R1は、H、OH、又はCOOHで置換されたC1〜C4のアルキル基を表し、R2は、OH、OCH3、OC25、SO3M、COOMで置換されたC1〜C4のアルキル基、又はフェニル基を表し、R3は、OH、COOH、又はNHR4を表し、R4は、SO3M、又はCOOHで置換されたC1〜C4のアルキル基を表し、Mは、H、Li、Na、K、アンモニウム、又は有機アミン類を表す。)]
    で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項4又は5に記載のインクセット。
  7. 前記高い色濃度を有するマゼンタインク組成物が、着色剤として前記式(1)で表される化合物及びその塩、並びに前記の式(4)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含み、かつ前記着色剤の合計量が前記高い色濃度を有するマゼンタインク組成物の総重量に対して1〜10重量%含有されていることを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載のインクセット。
  8. 前記高い色濃度を有するマゼンタインク組成物が、前記式(1)で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含み、かつ前記着色剤の合計量が前記高い色濃度を有するマゼンタインク組成物の総重量に対して3.0〜8.0重量%含有されているとともに、前記低い色濃度を有するマゼンタインク組成物が、前記式(1)で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含み、かつ前記着色剤の合計量が前記低い色濃度を有するマゼンタインク組成物の総重量に対して0.5〜3.5重量%含有されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクセット。
  9. 前記イエローインク組成物が、着色剤として下記の式(5):
    Figure 0004432431

    及び下記式(6):
    Figure 0004432431

    (前記式(5)及び(6)中、R5、R5'、 R6、及びR6'は、独立してCH3、OCH3を表し、Z及びZ'は独立して、下記式:
    Figure 0004432431

    のいずれかの構造を有するものであり、互いに同一であっても異なっていても良い。ここで、Mは、H、Li、Na、K、アンモニウム、又は有機アミン類を表し、nは1又は2の整数である。)
    で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のインクセット。
  10. 前記イエローインク組成物が、前記式(5)で表される化合物及び前記式(6)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含み、かつ前記着色剤の合計量が前記イエローインク組成物の総重量に対して1〜6重量%含有されていることを特徴とする請求項9に記載のインクセット。
  11. 前記シアンインク組成物が、着色剤として、下記式(7):
    Figure 0004432431

    (前記式(7)中、R7は、OH又はCOOHを表し、Mは、H、Li、Na、K、アンモニウム基又は有機アミン類を表し、l、m、nは、それぞれ、0〜4であり、かつ(l+m+n)=4である。)
    で表される化合物の少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のインクセット。
  12. 前記シアンインク組成物が、前記式(7)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含み、かつ前記着色剤の合計量が前記シアンインク組成物の総重量に対して2.0〜6.0重量%含有されていることを特徴とする請求項11に記載のインクセット。
  13. 色濃度の異なる二種のシアンインク組成物を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のインクセット。
  14. 前記色濃度の異なる二種のシアンインク組成物のうち、低い色濃度を有するシアンインク組成物が、着色剤として、前記式(7)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項13に記載のインクセット。
  15. 前記色濃度の異なる二種のシアンインク組成物のうち、高い色濃度を有するシアンインク組成物が、着色剤として、前記式(7)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項13又は14に記載のインクセット。
  16. 前記高い色濃度を有するシアンインク組成物が、前記式(7)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含み、かつ前記着色剤の合計量が前記高い色濃度を有するシアンインク組成物の総重量に対して2.0〜6.0重量%含有されているとともに、前記低い色濃度を有するシアンインク組成物が、前記式(7)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含み、かつ前記着色剤の合計量が前記低い色濃度を有するシアンインク組成物の総重量に対して0.4〜3.0重量%含有されていることを特徴とする請求項13〜15のいずれか一項に記載のインクセット。
  17. 前記インク組成物が、ノニオン系界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項に記載のインクセット。
  18. 前記ノニオン系界面活性剤が、アセチレングリコール系界面活性剤であることを特徴とする請求項17に記載のインクセット。
  19. 前記インク組成物が前記ノニオン系界面活性剤を0.1〜5重量%含むことを特徴とする、請求項17又は18に記載のインクセット。
  20. 前記インク組成物が浸透促進剤を含むことを特徴とする請求項1〜19のいずれか一項に記載のインクセット。
  21. 前記浸透促進剤がグリコールエーテル類であることを特徴とする請求項20に記載のインクセット。
  22. 請求項1〜21のいずれかに一項に記載されたインクセットを一体的に又は独立に収容したことを特徴とするインクカートリッジ。
  23. 請求項1〜21のいずれか一項に記載のインクセット又は請求項22に記載のインクカートリッジを用いて記録することを特徴とするインクジェット記録方法。
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