JP2005146228A - インクセット - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、インクセット、特に、耐光性に優れた画像を形成することができるインクセットに関するものである。
近年、インクジェット記録方法が注目されている。インクジェット記録方法は、インク組成物を小滴として飛翔させ、この小滴を紙等の記録媒体(メディア)に付着させて印刷を行なう印刷方法である。この方法は、比較的安価な装置により高解像度かつ高品位な画像を高速で印刷可能であるという特徴を有する。そして、この方法を利用したインクジェット記録装置は、優れた印字品質、低コスト、比較的静かな動作、優れたグラフィック形成能により、市場に広く受け入れられている。中でも、サーマル(バブルジェット(登録商標))及び圧電ドロップ・オン・デマンドプリンターは、商業的にとりわけ成功し、オフィス及び家庭でのパソコン用プリンターとして広く用いられてきた。
さらに近年、複数のカラーインク組成物を用いたインクジェット記録方法によってカラー画像を形成して記録物を得ることが行われている。一般に、カラー画像の形成は、イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、及びシアンインク組成物の三色、さらに所望によりブラックインク組成物を加えた四色によって行われている。また、これらの四色にライトシアンインク組成物及びライトマゼンタインク組成物を加えた六色又はそれらにさらにダークイエローインク組成物を加えた七色によってカラー画像形成を行なう場合もある。このような2種以上のインク組成物を組み合わせたものがインクセットである。
上述したカラー画像の形成に用いられるインク組成物には、各色ごとのインク組成物自身が良好な発色性を有していることに加え、複数色のインク組成物を組み合わせたときに良好な中間色を発色することができること、及び得られる記録物が保存中に変退色しないこと等が求められる。
さらに最近、カラーインクジェットプリンタによる"写真画質"印刷においては、ヘッド、インク組成物、記録方法、及びメディアのそれぞれの継続的な改良がなされ、得られる画質は"銀塩写真"と遜色ないレベルとなり、"写真並"となった。その一方で、インク組成物及びメディアの改良により、カラーインクジェットプリンタを用いて得られる記録物の画像の保存性の向上が図られており、特に画像の耐光性に関しては、実用上問題のないレベルまで改良されてきた(たとえば、特許文献1及び2参照)。しかし、この耐光性は、未だ銀塩写真よりは劣っており、さらなる改良が望まれている。
ところで、記録物の画像の耐光性能力の評価は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)のそれぞれの純色のパターン(光学濃度が1.0近傍)の退色率を指標に行われるのが標準的である。現在市場で市販されているプリンターに搭載されているインク組成物によって記録媒体上に形成された画像の耐光性能力に関しては、上記評価手法を用いて判断した場合、マゼンタインク組成物によって形成された画像の耐光性(以下、記録媒体上にインク組成物によって形成された画像、すなわち記録物の画像の耐光性を、そのインク組成物の耐光性、たとえばマゼンタインク組成物の耐光性などともいう。)が最も低い。したがって、インクセット全体としては、マゼンタインク組成物以外のインク組成物の耐光性が向上してもマゼンタインク組成物の耐光性が向上しなければ、記録物の画像全体としての耐光性は向上しない。また、インクセットにおいて、特定のインク組成物の耐光性が他のインク組成物の耐光性よりも著しく低い場合、その特定のインク組成物によって形成された画像の色が他の色よりも早く退色及び変色等してしまうため、画像全体の色調のバランスが悪くなり、むしろ観察者によって画像の画質劣化が認められやすくなる。したがって、インクセットにおいては、インクセットを構成する各インク組成物各々の耐光性を向上させることと併せて、各インク組成物の耐光性レベル、すなわち各インク組成物によって形成される画像の光による劣化速度、たとえば退色速度もできるだけ同じであることが好ましい。言い換えれば、インクセットを構成する各インク組成物の耐光性が優れているとともに、各インク組成物間の耐光性の差が小さいことが好ましい。
また、同系色について色濃度の異なる濃淡2種のインク組成物を含めてインクセットを構成することによって、様々な色濃度の画像を形成でき、粒状感のない画像を得ることができるようになった。このような色濃度の異なる2種のインク組成物を含むインクセットは、主に写真画像の印刷に用いられるが、写真画像の形成においては、画像の粒状感を緩和又は解消するため、一般に色濃度の低いインク組成物が使用されるケースが多い。また、前述した耐光性の評価においても、評価試料となる光学濃度が1.0近傍のパターンは、色濃度の低いインク組成物によって形成される。したがって、記録物の写真画像の耐光性、及びインクセット全体としての耐光性向上のためには、色濃度の低いインク組成物の耐光性を改良することが重要である。一方、色濃度の濃いインク組成物は、極彩色の画像やグラフィックアート的なパターンの印刷に用いられるため、これらのインク組成物の耐光性の改良も必要である。
さらに、ブラックインク組成物は、画像中において画像のコントラストを得るといった観点から重要な役割を果たすため、インクセットにブラックインク組成物を含めることも多い。ブラックインクの耐光性に関しては、画像中におけるブラックインクの使用頻度の低さやその染料濃度の高さゆえ、その改善が遅れていた。この場合、イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、及びシアンインク組成物の耐光性が改善され、標準的な評価によるこれら各色の耐光性の特性が向上しても、ブラックインク組成物の耐光性能力が不足する場合は、画像が光に晒されることにより、画像の色は残っているにもかかわらずコントラストの低い、締まりのない画像になってしまう場合がある。したがって、インクセットにブラックインク組成物を含める場合は、ブラックインク組成物が優れた耐光性を有するとともに、ブラックインク組成物の光による劣化速度がインクセットを構成する他のインク組成物の劣化速度と極端に違わないことが必要である。
上述のとおり、インクセットにおいてはインクセットを構成する各インク組成物自身の耐光性が良好であるとともに、各インク組成物間の耐光性のバランスが良く、特定色が他の色に比べて早く退色及び/又は変色しないようにすることが必要とされる。
本発明は、上記課題を解決すべく完成されたものであり、耐光性が良好な画像を記録媒体上に記録することが可能なインクセット、そのインクセットを収容したインクカートリッジ、そのインクセットを使用した記録方法、及びそのインクセットにより記録された記録物に関するものである。
本発明のインクセットは、少なくとも、イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、及びシアンインク組成物を備えたインクセットであって、前記マゼンタインク組成物が着色剤として以下の式(1):
(上記一般式(1)中:Aは、5員複素環ジアゾ成分A−NH2の残基を表す。B1およびB2は、各々−CR1=、−CR2=を表すか、あるいはいずれか一方が窒素原子,他方が−CR1=または−CR2=を表す。R5,R6は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表わす。各基は更に置換基を有していてもよい。G、R1、R2は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルキル基またはアリール基または複素環基で置換されたアミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルおよびアリールチオ基、アルキルおよびアリールスルホニル基、アルキルおよびアリールスルフィニル基、スルファモイル基、スルホ基、またはヘテロ環チオ基を表す。各基は更に置換されていてもよい。また、R1とR5、あるいはR5とR6が結合して5〜6員環を形成してもよい。)
で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とするものである。
で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とするものである。
さらに本発明の上記インクセットにおいては、マゼンタインク組成物として、色濃度の異なる二種のマゼンタインク組成物を備えることができ、その少なくとも一種が着色剤として前記式(1)で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とするものである。
さらに本発明の上記インクセットにおいて、マゼンタインク組成物として色濃度の異なる二種のマゼンタインク組成物を備える場合、低い色濃度を有するマゼンタインク組成物(以下、淡マゼンタインク組成物ともいう。)が、前記式(1)で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含み、かつ前記着色剤の合計量が淡マゼンタインク組成物の総重量に対して0.3〜2.0重量%含有されていることが好ましい。
さらに本発明の上記インクセットにおいて、マゼンタインク組成物として色濃度の異なる二種のマゼンタインク組成物を備える場合、高い色濃度を有するマゼンタインク組成物(以下、濃マゼンタインク組成物ともいう。)が、前記式(1)で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含み、かつ前記着色剤の合計量が濃マゼンタインク組成物の総重量に対して1.5〜5.0重量%含有されていることが好ましい。
本発明の上記インクセットにおいては、前記式(1)で表される化合物及びその塩が、以下の式(2):
(前記式(2)中:Z1は、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基を表す。Z2は、水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表す。R1、R2、R5、R6は、一般式(1)の場合と同義である。R3、R4は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基またはスルファモイル基を表す。Qは、水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表す。上記Z1、Z2、R1〜R6、Qの各基は、更に置換基を有していてもよい。)
で表される化合物及びその塩であることが好ましい。
で表される化合物及びその塩であることが好ましい。
本発明の上記インクセットにおいては、イエローインク組成物が、着色剤として以下の式(3):
及び以下の式(4):
(前記式(3)及び(4)中、R5、R5’、 R6、及びR6’は、独立してCH3、OCH3を表し、Z及びZ’は独立して、下記式:
のいずれかの構造を有するものであり、互いに同一であっても異なっていても良い。ここで、Mは、H、Li、Na、K、アンモニウム、又は有機アミン類を表し、nは1又は2の整数である。)
で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
本発明の上記インクセットにおいては、前記イエローインク組成物が、前記式(3)で表される化合物及び前記式(4)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含み、かつ前記着色剤の合計量がイエローインク組成物の総重量に対して1〜6重量%含有されていることが好ましい。
本発明の上記インクセットにおいては、シアンインク組成物が、着色剤として、以下の式(5):
(前記式(5)中、R7は、OH又はCOOHを表し、Mは、H、Li、Na、K、アンモニウム基又は有機アミン類を表し、l、m、nは、それぞれ、0〜4であり、かつ(l+m+n)=4である。)
で表される化合物の少なくとも一種を含有することが好ましい。
で表される化合物の少なくとも一種を含有することが好ましい。
本発明の上記インクセットにおいては、シアンインク組成物が前記式(5)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含み、かつ前記着色剤の合計量がシアンインク組成物の総重量に対して2.0〜6.0重量%含有されていることが好ましい。
本発明の上記インクセットにおいては、シアンインク組成物として、色濃度の異なる二種のシアンインク組成物を備えることが好ましい。
本発明の上記インクセットにおいて、シアンインク組成物として色濃度の異なる二種のシアンインク組成物を備える場合、低い色濃度を有するシアンインク組成物(以下、淡シアンインク組成物ともいう。)が、着色剤として、前記式(5)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましい。
本発明の上記インクセットにおいて、シアンインク組成物として色濃度の異なる二種のシアンインク組成物を備える場合、高い色濃度を有するシアンインク組成物(以下、濃シアンインク組成物ともいう。)が、着色剤として、前記式(5)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましい。
本発明の上記インクセットにおいて、シアンインク組成物として濃シアンインク組成物及び淡シアンインク組成物を備える場合、濃シアンインク組成物が、前記式(5)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含み、かつ前記着色剤の合計量が、濃シアンインク組成物の総重量に対して2.0〜6.0重量%含有されているとともに、淡シアンインク組成物が、前記式(5)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含み、かつ前記着色剤の合計量が、淡シアンインク組成物の総重量に対して0.4〜3.0重量%含有されていることが好ましい。
本発明の上記インクセットは、さらにブラックインク組成物を備えることができ、その場合、ブラックインク組成物が、着色剤として以下の式(6):
(前記式(6)中、R1は置換基を有するフェニル基又は置換基を有するナフチル基を表し、R2は置換基を有するフェニレン基又は置換基を有するナフチレン基を表し、R3は少なくとも1つの二重結合及び置換基を有する5〜7員環の複素環基を表す。さらに前記R1〜R3における前記置換基は、OH、SO3H、PO3H2、CO2H、NO2、NH2、C1〜C4のアルキル基、置換基を有するアルキル基、C1〜C4のアルコキシ基、置換基を有するアルコキシ基、アミノ基、置換基を有するアミノ基、及び置換基を有するフェニル基からなる群から選ばれる。)
で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましい。
で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましい。
本発明の上記インクセットにおいては、前記式(6)で表される化合物及びその塩が以下の式(7):
(前記式(7)中、R1〜R9は独立に、H、OH、SO3H、PO3H2、CO2H、NO2、及びNH2からなる群から選ばれる基を表す。)
で表される化合物及びその塩であることが好ましい。
で表される化合物及びその塩であることが好ましい。
本発明の上記インクセットにブラックインク組成物を含める場合、ブラックインク組成物が前記式(6)若しくは前記式(7)で表される化合物及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含み、かつ前記着色剤の合計量がブラックインク組成物の総重量に対して0.5〜12重量%含有されていることが好ましい。
本発明の上記インクセットにおいては、インクセットを構成するインク組成物が、ノニオン系界面活性剤を含むことが好ましく、ノニオン系界面活性剤がアセチレングリコール系界面活性剤であることがさらに好ましい。
本発明の上記インクセットにおいては、インク組成物が上記ノニオン系界面活性剤を0.1〜5重量%含むことが好ましい。
本発明の上記インクセットにおいては、インク組成物が浸透促進剤を含むことが好ましく、浸透促進剤がグリコールエーテル類であることがさらに好ましい。
本発明のインクカートリッジは、上記インクセットを一体的に又は独立に収容したことを特徴とするものである。
本発明のインクジェット記録方法は、上記インクセット又は上記インクカートリッジを用いて記録することを特徴とするものである。
本発明の記録物は、上記インクセット又は上記インクカートリッジを用いて記録されたことを特徴とするものである。
少なくともイエローインク組成物、マゼンタインク組成物、及びシアンインク組成物を備えたインクセットにおいて、マゼンタインク組成物に着色剤として上記式(1)で表される化合物及びその塩から成る群から選ばれる少なくとも一種を含有させることにより、インクセットの耐光性を優れたものにすることができる。さらに上記マゼンタインク組成物として濃マゼンタ及び淡マゼンタインク組成物を備えるインクセットにおいては、その少なくとも一種のマゼンタインク組成物、特に淡マゼンタインク組成物に着色剤として上記式(1)で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有させることによりインクセットの耐光性を優れたものにできる。さらに、上記式(1)で表される化合物及びその塩として、上記式(2)で表される化合物及びその塩を用いることによってインクセットの耐光性をいっそう優れたものにすることができる。
また、本発明のインクセットにおいては、上記式(3)及び上記式(4)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤としてイエローインク組成物に含有させることによってインクセットの耐光性を優れたものにすることができる。また、本発明のインクセットにおいては、シアンインク組成物に、着色剤として上記式(5)で表される化合物の少なくとも一種を含有させることによってインクセットの耐光性を優れたものにすることができる。
本発明のインクセットにおいてシアンインク組成物として濃シアンインク組成物及び淡シアンインク組成物を備える場合、濃シアンインク組成物及び淡シアンインク組成物のうちの少なくともいずれか一つ、特に好ましくは淡シアンインク組成物に着色剤として上記式(5)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有させることにより、インクセットの耐光性を優れたものにすることができる。
本発明のインクセットにブラックインク組成物を含める場合、ブラックインク組成物に着色剤として上記式(6)、特に好ましくは上記式(7)で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有させることにより、インクセットの耐光性を優れたものにすることができる。
本発明のインクセットを用い、インクジェット記録方法によって記録された記録物は優れた耐光性を有する。
本発明者らは、少なくとも、イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、及びシアンインク組成物を備え、さらに所望によりブラックインク組成物を備えたインクセットを用いて形成された画像の耐光性を向上するための検討を行った。その結果、上記の特定構造を有する染料を用いたマゼンタインク組成物を備えたインクセットを用いて画像を記録した場合、記録物の画像が耐光性に優れることを見いだした。
さらにインクセットを構成するイエローインク組成物及びシアンインク組成物において上記の特定構造を有する染料を着色剤として用いた場合に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各カラーを耐光性に優れたものにでき、かつ各カラー間の耐光劣化速度の差を小さくすることができ、画像の耐光劣化がある程度進行しても観察者が画像全体の劣化を感じにくいインク組成物にできることを見いだした。
さらに、マゼンタ及び/又はシアンインク組成物について、色濃度の異なる2種のインク組成物を備えたインクセットにおいては、淡マゼンタインク組成物及び/又は淡シアンインク組成物の着色剤として上記の特定の構造を有する染料を用いる場合、特に好ましい耐光特性を有するインクセットにできることを見いだした。
さらに、インクセットにブラックインク組成物を含める場合、ブラックインク組成物において上記の特定構造を有する染料を用いたブラックインク組成物を備えたインクセットを用いて画像を記録した場合、記録物の画像が耐光性に優れることを見いだした。
さらに、本発明のインクセットを構成するインク組成物に、特定の界面活性剤及び/又は浸透促進剤を添加することによって優れた画質の記録物を得ることができることを見いだした。
さらに、本発明のインクセットはインクジェット記録方法に用いるインクセットとして好ましいことを見いだした。
本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
さらに、本発明のインクセットはインクジェット記録方法に用いるインクセットとして好ましいことを見いだした。
本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
本発明の第一の態様に係るインクセットは、イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、及びシアンインク組成物を含む。本発明のマゼンタインク組成物は、前記式(1)で表される化合物及びその塩(以下、あわせて式(1)の染料ともいう。)から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含むものである。
本発明の第二の態様に係るインクセットは、上記インクセットにおいて、マゼンタインク組成物として色濃度の異なる少なくとも二種のマゼンタインク組成物を備えたインクセットであり、二種のマゼンタインク組成物のうちの少なくとも一種が前記式(1)の染料の少なくとも一種を着色剤として含むものである。特に淡マゼンタインク組成物が、前記式(1)の染料の少なくとも一種を着色剤として含有していることが好ましい。
本発明の第三の態様に係るインクセットは、上記第一及び第二の態様に係るインクセットにおいて、イエローインク組成物が、前記式(3)で表される化合物(以下、式(3)の染料ともいう。)及び前記式(4)で表される化合物(以下、式(4)の染料ともいう。)からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含むものである。
本発明の第四の態様に係るインクセットは、上記第一から第三の態様に係るインクセットにおいて、さらに、シアンインク組成物が、前記式(5)で表される化合物(以下、式(5)の染料ともいう。)の少なくとも一種を着色剤として含むものである。さらに、シアンインク組成物として色濃度の異なる少なくとも二種のシアンインク組成物を備えたインクセットが好ましく、少なくとも二種のシアンインク組成物のうちの少なくとも一種が、前記式(5)の染料の少なくとも一種を着色剤として含むことが好ましい。特に淡シアンインク組成物が前記式(5)の染料を着色剤として含むことが好ましい。
本発明の第五の態様に係るインクセットは、上記第一から第四の態様に係るインクセットにおいて、さらにブラックインク組成物を含み、そのブラックインク組成物が、前記式(6)で表される化合物及びその塩からなる群(以下、式(6)の染料ともいう。)から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含むものである。さらに前記式(6)の染料が、前記式(7)で表される化合物及びその塩からなる群(以下、式(7)の染料ともいう。)から選ばれる染料であることが好ましい。
本発明のインクセットはいずれも、インク組成物を用いる記録方法に用いられ、インク組成物を用いた記録方法としては、例えば、インクジェット記録方法、ペン等の筆記具による記録方法、その他各種の印字及び印刷方法があげられる。本発明のインクセットは、特にインクジェット記録方法に用いるインクセットとして好ましい。
以下、本発明のインクセットを構成する各インク組成物について説明する。初めに各インク組成物中に含有される着色剤について説明する。本発明のインクセットにおいては、インクセットを構成する各インク組成物に特定の化学構造を有する染料を着色剤として用いることにより、インクセットとして優れた耐光性を発現させることができる。
まず、本発明のインクセットに用いるマゼンタインク組成物について説明する。本発明のマゼンタインク組成物は、以下の式(1):
で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含む。
以下、上記式(1)について詳細に説明する。
上記式(1)において、 Aは5員複素環ジアゾ成分A−NH2の残基を表す。 該5員複素環のヘテロ原子の例には、N、O、およびSを挙げることができる。好しくは含窒素5員複素環であり、複素環に脂肪族環、芳香族環または他の複素環が縮合していてもよい。Aの好ましい複素環の例には、ピラゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環を挙げることができる。各複素環基は更に置換基を有していてもよい。なかでも、下記一般式(a)から(f)で表されるピラゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環が好ましい。
上記式(1)において、 Aは5員複素環ジアゾ成分A−NH2の残基を表す。 該5員複素環のヘテロ原子の例には、N、O、およびSを挙げることができる。好しくは含窒素5員複素環であり、複素環に脂肪族環、芳香族環または他の複素環が縮合していてもよい。Aの好ましい複素環の例には、ピラゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環を挙げることができる。各複素環基は更に置換基を有していてもよい。なかでも、下記一般式(a)から(f)で表されるピラゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環が好ましい。
上記一般式(a)〜(f)のR7〜R20は、後に説明する置換基G、R1、R2と同じ置換基を表す。上記一般式(a)〜(f)のうち、好ましいのは一般式(a)、(b)で表されるピラゾール環、イソチアゾール環であり、最も好ましいのは一般式(a)で表されるピラゾール環である。
B1およびB2は、各々−CR1=、−CR2=を表すか、あるいはいずれか一方が窒素原子,他方が−CR1=または−CR2=を表すが、各々−CR1=、−CR2=を表すものがより好ましい。
R5、R6は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルおよびアリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表し、各基は更に置換基を有していてもよい。 R5、R6で表される好ましい置換基は、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルおよびアリールスルホニル基を挙げることができる。 さらに好ましくは水素原子、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルまたはアリールスルホニル基である。最も好ましくは、水素原子、アリール基、複素環基である。各基は更に置換基を有していてもよい。 ただし、R5、R6が同時に水素原子であることはない。
B1およびB2は、各々−CR1=、−CR2=を表すか、あるいはいずれか一方が窒素原子,他方が−CR1=または−CR2=を表すが、各々−CR1=、−CR2=を表すものがより好ましい。
R5、R6は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルおよびアリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表し、各基は更に置換基を有していてもよい。 R5、R6で表される好ましい置換基は、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルおよびアリールスルホニル基を挙げることができる。 さらに好ましくは水素原子、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルまたはアリールスルホニル基である。最も好ましくは、水素原子、アリール基、複素環基である。各基は更に置換基を有していてもよい。 ただし、R5、R6が同時に水素原子であることはない。
G、R1、R2は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルキル基またはアリール基または複素環基で置換されたアミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルおよびアリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルおよびアリールスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、スルファモイル基、またはスルホ基を表し、各基は更に置換されていてもよい。
Gで表される好ましい置換基としては、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキル基またはアリール基または複素環基で置換されたアミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルおよびアリールチオ基、およびヘテロ環チオ基が挙げられ、より好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルキル基またはアリール基または複素環基で置換されたアミノ基、またはアシルアミノ基であり、なかでも水素原子、アリールアミノ基、アミド基が最も好ましい。各基は更に置換基を有していてもよい。
R1、R2で表される好ましい置換基としては、水素原子、アルキル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、カルバモイル基およびシアノ基を挙げることができる。各基は更に置換基を有していてもよい。R1とR5あるいはR5とR6が結合して5〜6員環を形成してもよい。A、R1、R2、R5、R6、Gで表される各置換基が更に置換基を有する場合の置換基としては、上記G,R1,R2で挙げた置換基を挙げることができる。
一般式(1)で表されるアゾ染料が水溶性染料である場合には、A、R1、R2、R5、R6、G上のいずれかの位置に置換基としてイオン性親水性基をさらに有することが好ましい。置換基としてのイオン性親水性基には、スルホ基、カルボキシル基、および4級アンモニウム基等が含まれる。該イオン性親水性基としては、カルボキシル基およびスルホ基が好ましく、特にスルホ基が好ましい。カルボキシル基およびスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アルカリ金属イオン(例、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン)、アンモニウムイオンおよび有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウム、テトラメチルグアニジウムイオン)が含まれる。
以下、G、R1、R2で表される置換基について詳しく説明する。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。
本明細書において、脂肪族基は、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基および置換アラルキル基を意味する。脂肪族基は、分岐を有していてもよく、また環を形成していてもよい。脂肪族基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜16であることがさらに好ましい。アラルキル基および置換アラルキル基のアリール部分はフェニルまたはナフチルであることが好ましく、フェニルが特に好ましい。脂肪族基の例には、メチル、エチル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、シアノエチル、トリフルオロメチル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、シクロヘキシル基、ベンジル基、2−フェネチル基、ビニル基、およびアリル基を挙げることができる。
本明細書において、芳香族基は、アリール基および置換アリール基を意味する。アリール基は、フェニルまたはナフチルであることが好ましく、フェニルが特に好ましい。芳香族基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜16がさらに好ましい。芳香族基の例には、フェニル、p−トリル、p−メトキシフェニル、o−クロロフェニルおよびm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニルが含まれる。複素環基には、置換基を有する複素環基および無置換の複素環基が含まれる。複素環に脂肪族環、芳香族環または他の複素環が縮合していてもよい。複素環基としては、5員または6員環の複素環基が好ましい。置換基の例には、脂肪族基、ハロゲン原子、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アシルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、イオン性親水性基などが含まれる。複素環基の例には、2−ピリジル基、2−チエニル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、2−ベンゾオキサゾリル基および2−フリル基が含まれる。
カルバモイル基には、置換基を有するカルバモイル基および無置換のカルバモイル基が含まれる。置換基の例には、アルキル基が含まれる。カルバモイル基の例には、メチルカルバモイル基およびジメチルカルバモイル基が含まれる。
アルコキシカルボニル基には、置換基を有するアルコキシカルボニル基および無置換のアルコキシカルボニル基が含まれる。アルコキシカルボニル基としては、炭素原子数が2〜12のアルコキシカルボニル基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル基およびエトキシカルボニル基が含まれる。
アリールオキシカルボニル基には、置換基を有するアリールオキシカルボニル基および無置換のアリールオキシカルボニル基が含まれる。アリールオキシカルボニル基としては、炭素原子数が7〜12のアリールオキシカルボニル基が好ましい。置換基には、イオン性親水性基が含まれる。アリールオキシカルボニル基の例には、フェノキシカルボニル基が含まれる。
アシル基には、置換基を有するアシル基および無置換のアシル基が含まれる。アシル基としては、炭素原子数が1〜12のアシル基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アシル基の例には、アセチル基およびベンゾイル基が含まれる。
アルコキシ基には、置換基を有するアルコキシ基および無置換のアルコキシ基が含まれる。アルコキシ基としては、炭素原子数が1〜12のアルコキシ基が好ましい。置換基の例には、アルコキシ基、ヒドロキシ基、およびイオン性親水性基が含まれる。アルコキシ基の例には、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、メトキシエトキシ基、ヒドロキシエトキシ基および3−カルボキシプロポキシ基が含まれる。
アリールオキシ基には、置換基を有するアリールオキシ基および無置換のアリールオキシ基が含まれる。アリールオキシ基としては、炭素原子数が6〜12のアリールオキシ基が好ましい。置換基の例には、アルコキシ基、およびイオン性親水性基が含まれる。アリールオキシ基の例には、フェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基およびo−メトキシフェノキシ基が含まれる。
アシルオキシ基には、置換基を有するアシルオキシ基および無置換のアシルオキシ基が含まれる。アシルオキシ基としては、炭素原子数1〜12のアシルオキシ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アシルオキシ基の例には、アセトキシ基およびベンゾイルオキシ基が含まれる。
カルバモイルオキシ基には、置換基を有するカルバモイルオキシ基および無置換のカルバモイルオキシ基が含まれる。置換基の例には、アルキル基が含まれる。カルバモイルオキシ基の例には、N−メチルカルバモイルオキシ基が含まれる。
アルキル基またはアリール基または複素環基で置換されたアミノ基の置換基は、さらに置換基を有していてもよい。無置換のアミノ基は含まれない。アルキルアミノ基としては、炭素原子数1〜6のアルキルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アルキルアミノ基の例には、メチルアミノ基およびジエチルアミノ基が含まれる。アリールアミノ基には、置換基を有するアリールアミノ基および無置換のアリールアミノ基が含まれる。アリールアミノ基としては、炭素原子数が6〜12のアリールアミノ基が好ましい。置換基の例としては、ハロゲン原子、およびイオン性親水性基が含まれる。アリールアミノ基の例としては、アニリノ基および2−クロロアニリノ基が含まれる。
アシルアミノ基には、置換基を有するアシルアミノ基が含まれる。前記アシルアミノ基としては、炭素原子数が2〜12のアシルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アシルアミノ基の例には、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、N-フェニルアセチルアミノおよび3,5−ジスルホベンゾイルアミノ基が含まれる。
ウレイド基には、置換基を有するウレイド基および無置換のウレイド基が含まれる。前記ウレイド基としては、炭素原子数が1〜12のウレイド基が好ましい。置換基の例には、アルキル基およびアリール基が含まれる。ウレイド基の例には、3−メチルウレイド基、3,3−ジメチルウレイド基および3−フェニルウレイド基が含まれる。
スルファモイルアミノ基には、置換基を有するスルファモイルアミノ基および無置換のスルファモイルアミノ基が含まれる。置換基の例には、アルキル基が含まれる。スルファモイルアミノ基の例には、N, N−ジプロピルスルファモイルアミノが含まれる。
アルコキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアルコキシカルボニルアミノ基および無置換のアルコキシカルボニルアミノ基が含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が2〜12のアルコキシカルボニルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、エトキシカルボニルアミノ基が含まれる。
アリールオキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアリールオキシカルボニルアミノ基および無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基が含まれる。アリールオキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が7〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アリールオキシカルボニルアミノ基の例には、フェノキシカルボニルアミノ基が含まれる。
アルキル及びアリールスルホニルアミノ基には、置換基を有するアルキル及びアリールスルホニルアミノ基、および無置換のアルキル及びアリールスルホニルアミノ基が含まれる。スルホニルアミノ基としては、炭素原子数が1〜12のスルホニルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。スルホニルアミノ基の例には、メタンスルホニルアミノ基、N-フェニルメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基、および3−カルボキシベンゼンスルホニルアミノ基が含まれる。
アルキル、アリール及び複素環チオ基には、置換基を有するアルキル,アリール及び複素環チオ基と無置換のアルキル、アリール及び複素環チオ基が含まれる。アルキル,アリール及び複素環チオ基としては、炭素原子数が1〜12のものが好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アルキル,アリール及び複素環チオ基の例には、メチルチオ基、フェニルチオ基、2−ピリジルチオ基が含まれる。
アルキルおよびアリールスルホニル基の例としては、それぞれメタンスルホニル基およびフェニルスルホニル基をあげることができる。アルキルおよびアリールスルフィニル基の例としては、それぞれメタンスルフィニル基およびフェニルスルフィニル基をあげることができる。
スルファモイル基には、置換基を有するスルファモイル基および無置換のスルファモイル基が含まれる。置換基の例には、アルキル基が含まれる。スルファモイル基の例には、ジメチルスルファモイル基およびジ−(2−ヒドロキシエチル)スルファモイル基が含まれる。
以下、上記式(2)について詳細に説明する。
上記式(2)中、Z1はハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基を表す。Z1はσp値が0.30〜1.0の電子吸引性基であるのが好ましい。好ましい具体的な置換基については後述する電子吸引性置換基を挙げることができるが、なかでも、炭素数2〜12のアシル基、炭素数2〜12のアルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、炭素数1〜12のカルバモイル基及び炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基が好ましい。特に好ましいものは、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基であり、最も好ましいものはシアノ基である。
上記式(2)中、Z1はハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基を表す。Z1はσp値が0.30〜1.0の電子吸引性基であるのが好ましい。好ましい具体的な置換基については後述する電子吸引性置換基を挙げることができるが、なかでも、炭素数2〜12のアシル基、炭素数2〜12のアルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、炭素数1〜12のカルバモイル基及び炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基が好ましい。特に好ましいものは、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基であり、最も好ましいものはシアノ基である。
R1、R2,R5,R6は、上記式(1)の場合と同義である。R3、R4は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキル及びアリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表す。なかでも、水素原子、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキル及びアリールスルホニル基が好ましく、水素原子、芳香族基、複素環基が特に好ましい。Z2は、水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表す。
Qは、水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表す。なかでも、Qは5〜8員環を形成するのに必要な非金属原子群からなる基が好ましい。この5〜8員環は置換されていてもよいし、飽和環であっても不飽和結合を有していてもよい。そのなかでも、特に芳香族基、複素環基が好ましい。好ましい非金属原子としては、窒素原子、酸素原子、イオウ原子および炭素原子が挙げられる。5〜8員環の具体例としては、例えばベンゼン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロヘキセン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、イミダゾール環,ベンゾイミダゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサン環、スルホラン環およびチアン環等が挙げられる。
上記式(2)で説明した各基は更に置換基を有していてもよい。これらの各基が更に置換基を有する場合、該置換基としては、上記式(1)で説明した置換基、G、R1、R2で例示した基やイオン性親水性基が挙げられる。
ここで、置換基Z1に関連して、本明細書中で用いられるハメットの置換基定数σp値について説明する。ハメット則はベンゼン誘導体の反応または平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年にL. P. Hammett により提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J. A. Dean編、「Lange's Handbook of Chemistry 」第12版、1979年(McGraw-Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。尚、本発明において各置換基をハメットの置換基定数σpにより限定したり、説明したりするが、これは上記の成書で見出せる、文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に含まれるであろう置換基をも含むことはいうまでもない。また、本発明の式(1)および(2)の中には、ベンゼン誘導体ではない物も含まれるが、置換基の電子効果を示す尺度として、置換位置に関係なくσp値を使用する。本発明において、σp値をこのような意味で使用する。
ハメット置換基定数σp値が0.60以上の電子吸引性基としては、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル基、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル基)を例として挙げることができる。ハメットσp値が0.45以上の電子吸引性基としては、上記に加えアシル基(例えばアセチル基)、アルコキシカルボニル基(例えばドデシルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、m−クロロフェノキシカルボニル)、アルキルスルフィニル基(例えば、n−プロピルスルフィニル)、アリールスルフィニル基(例えばフェニルスルフィニル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル)、ハロゲン化アルキル基(例えば、トリフロロメチル)を挙げることができる。
ハメット置換基定数σp値が0.30以上の電子吸引性基としては、上記に加え、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、ハロゲン化アルコキシ基(例えば、トリフロロメチルオキシ)、ハロゲン化アリールオキシ基(例えば、ペンタフロロフェニルオキシ)、スルホニルオキシ基(例えばメチルスルホニルオキシ基)、ハロゲン化アルキルチオ基(例えば、ジフロロメチルチオ)、2つ以上のσp値が0.15以上の電子吸引性基で置換されたアリール基(例えば、2,4−ジニトロフェニル、ペンタクロロフェニル)、および複素環(例えば、2−ベンゾオキサゾリル、2−ベンゾチアゾリル、1−フェニル−2−ベンズイミダゾリル)を挙げることができる。σp値が0.20以上の電子吸引性基の具体例としては、上記に加え、ハロゲン原子などが挙げられる。
上記式(1)で表されるアゾ染料として特に好ましい置換基の組み合わせは、以下の通りである。
(イ)R5およびR6は、好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、スルホニル基、アシル基であり、さらに好ましくは水素原子、アリール基、複素環基、スルホニル基であり、最も好ましくは水素原子、アリール基、複素環基である。ただし、R5およびR6が共に水素原子であることは無い。
(ロ)Gは、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、アミド基であり、さらに好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、アミド基であり、最も好ましくは水素原子、アミノ基、アミド基である。
(ハ)Aは、好ましくはピラゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環であり、さらに好ましくはピラゾール環、イソチアゾール環であり、最も好ましくはピラゾール環である。
(ニ)B1およびB2は、それぞれ−CR1=、−CR2=であり、そしてこれらR1、R2は、各々好ましくは水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルバモイル基、カルボキシル基、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基であり、さらに好ましくは水素原子、シアノ基、カルバモイル基、アルキル基である。
(イ)R5およびR6は、好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、スルホニル基、アシル基であり、さらに好ましくは水素原子、アリール基、複素環基、スルホニル基であり、最も好ましくは水素原子、アリール基、複素環基である。ただし、R5およびR6が共に水素原子であることは無い。
(ロ)Gは、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、アミド基であり、さらに好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、アミド基であり、最も好ましくは水素原子、アミノ基、アミド基である。
(ハ)Aは、好ましくはピラゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環であり、さらに好ましくはピラゾール環、イソチアゾール環であり、最も好ましくはピラゾール環である。
(ニ)B1およびB2は、それぞれ−CR1=、−CR2=であり、そしてこれらR1、R2は、各々好ましくは水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルバモイル基、カルボキシル基、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基であり、さらに好ましくは水素原子、シアノ基、カルバモイル基、アルキル基である。
尚、式(1)で表される化合物の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
前記式(1)で表される化合物は、どのような方法で製造されてもよいが、例えば、以下のような方法で製造することができる。
(a)下記式(8)で表される化合物と、ジアゾ化剤とを反応させてジアゾニウム塩を形成する。
(b)上記工程(a)で形成されたジアゾニウム塩を下記式(9)で表されるカップリング剤と反応させて、上記式(1)で表される化合物を形成する。
(c)塩基の存在下で、上記工程(b)で形成された化合物をアルキル化剤、アリール化剤又はヘテリル化剤と反応させてアルキル基等の置換基を導入した上記式(1)で表される化合物を形成する。
(b)上記工程(a)で形成されたジアゾニウム塩を下記式(9)で表されるカップリング剤と反応させて、上記式(1)で表される化合物を形成する。
(c)塩基の存在下で、上記工程(b)で形成された化合物をアルキル化剤、アリール化剤又はヘテリル化剤と反応させてアルキル基等の置換基を導入した上記式(1)で表される化合物を形成する。
(式中、A、G、B1、B2、R5、R6は上記式(1)の場合と同義である。)
さらに、上記式(1)の化合物において水溶性基を導入する場合、求電子反応を用いる。求電子反応としてはスルホン化、マンニッヒ反応、フリーデルクラフツ反応があり、中でもスルホン化が好ましい。
さらに、上記式(1)の化合物において水溶性基を導入する場合、求電子反応を用いる。求電子反応としてはスルホン化、マンニッヒ反応、フリーデルクラフツ反応があり、中でもスルホン化が好ましい。
本発明において好ましく用いることのできる、式(1)で表される化合物の具体例を以下に示す。
本発明においては、マゼンタインク組成物中の着色剤の濃度は、用いられる染料のカラーバリューに基づいて適宜定めることができる。本発明のインクセットに一種のマゼンタ組成物のみを含める場合、一般的にはマゼンタインク組成物中に、式(1)の染料から選ばれる少なくとも一種が着色剤として含まれ、かつその着色剤が合計でマゼンタインク組成物の総重量に対して0.3〜5.0重量%含有されていることが好ましい。マゼンタインク組成物中に含まれる着色剤の濃度を0.3重量%以上とすることにより、インクとして充分な発色性を確保でき、さらに染料濃度を5.0重量%以下にすることによって、インクジェット記録方法に用いるインク組成物としてノズルからの好ましい吐出性を確保することやノズルの目詰まりを防止すること等が容易となる。
また、マゼンタインクとして濃マゼンタインク組成物及び淡マゼンタインク組成物をインクセットに含める場合、淡マゼンタインク組成物中における着色剤の濃度は、着色剤として用いられる式(1)の染料のカラーバリューにしたがって適宜選択することができる。一般的には淡マゼンタインク組成物が式(1)の染料の少なくとも一種を着色剤として含み、かつその着色剤が合計で淡マゼンタインク組成物の総重量に対して0.3〜2.0重量%含有されていることが好ましい。着色剤の濃度を0.3重量%以上にすることによって淡マゼンタインク組成物として必要な発色性を確保することができ、かつ着色剤の濃度を2.0重量%以下にすることによって、淡マゼンタインク組成物を用いて記録された記録物の画像における好ましくない粒状感の発生を防止することができる。
さらに、上記濃マゼンタインク組成物は、式(1)の染料の少なくとも一種を着色剤として含み、かつその着色剤が合計で濃マゼンタインク組成物の総重量に対して1.5〜5.0重量%含有されていることが好ましい。着色剤の濃度を1.5重量%以上にすることによって濃マゼンタインク組成物として必要な発色性を確保することができ、かつ着色剤の濃度を5.0重量%以下にすることによって、インクジェット記録方法に用いた場合のノズルからの好ましい吐出性の確保、及びノズルの目詰まりを防止すること等が容易となる。
本発明のマゼンタインク組成物、又は濃マゼンタインク組成物及び淡マゼンタインク組成物において、色調などを調整するために、耐光性を大きく損ねない範囲で前記式(1)の染料以外のマゼンタ系染料を着色剤として併用することができる。
上記の式(1)の染料以外のマゼンタ系染料としては、例えば、C.I.ダイレクトレッド2,4,9,23,26,31,39,62,63,72,75,76,79,80,81,83,84,89,92,95,111,173,184,207,211,212,214,218,221,223,224,225,226,227,232,233,240,241,242,243,247、C.I.ダイレクトバイオレット7,9,47,48,51,66,90,93,94,95,98,100,101、C.I.アシッドレッド35,42,52,57,62,80,82,111,114,118,119,127,128,131,143,151,154,158,249,254,257,261,263,266,289,299,301,305,336,337,361,396,397、C.I.アシッドバイオレット5,34,43,47,48,90,103,126、C.I.リアクティブレッド3,13,17,19,21,22,23,24,29,35,37,40,41,43,45,49,55、C.I.リアクティブバイオレット1,3,4,5,6,7,8,9,16,17,22,23,24,26,27,33,34、C.I.ベーシックレッド12,13,14,15,18,22,23,24,25,27,29,35,36,38,39,45,46、C.I.ベーシックバイオレット1,2,3,7,10,15,16,20,21,25,27,28,35,37,39,40,48等を例示できる。
なお、マゼンタインク組成物、濃マゼンタインク組成物、及び淡マゼンタインク組成物中着色剤として含有させる式(1)の染料の濃度についての上記の説明は、式(1)の染料として式(2)の染料を用いる場合も同様である。
次に本発明のインクセットを構成するイエローインク組成物に用いる着色剤について説明する。本発明のインクセットにおいて、イエローインク組成物に用いる着色剤は特定構造の着色剤に限定されるものではないが、他の色のインク組成物の耐光性とイエローインク組成物の耐光性との間の差が小さいことが好ましい。本発明のインクセットに含まれるイエローインク組成物は、前記式(3)で表される化合物(式(3)の染料)及び前記式(4)で表される化合物(式(4)の染料)からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含有することが特に好ましい。イエローインク組成物の着色剤として式(3)の染料及び式(4)の染料からなる群から選ばれる少なくとも一種を用いることにより、本発明のインクセットを用いて形成される画像の耐光性を良好にすることができ、かつ、他の色のインク組成物の耐光性とのバランスにも優れたインクセットを得ることができる。
イエローインク組成物中の着色剤の濃度は、着色剤として用いられる化合物のカラーバリューにしたがって適宜決定することができる。上記式(3)及び式(4)の染料からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として本発明のイエローインク組成物中に含める場合、一般的には、前記式(3)及び式(4)の染料からなる群から選ばれた着色剤の合計量が、イエローインク組成物中に、イエローインク組成物の総重量に対して1.0〜6.0重量%含有されることが好ましい。イエローインク組成物中における前記着色剤の合計量の濃度を1.0重量%以上にすることによって良好な発色性を得ることができ、また前記着色剤の合計量の濃度を6.0重量%以下にすることによって、インクジェット記録方法に用いるためのインク組成物として必要とされる、ノズルからの吐出性等の特性を良好なものにし、インクノズルの目詰まりを防止することができる。
また、本発明においては、イエローインク組成物の色調などを調整するために、耐光性を大きく損ねない範囲で、前記式(3)の染料及び式(4)の染料からなる群から選ばれる少なくとも一種とその他のイエロー系染料を併用することもできる。
本発明において用いることができる、前記の式(3)の染料及び式(4)の染料以外のイエロー系染料としては、例えば、C.I.ダイレクトイエロー8,9,11,12,27,28,29,33,35,39,41,44,50,53,58,59,68,87,93,95,96,98,100,106,108,109,110,130,142,144,161,163、C.I.アシッドイエロー17,19,23,25,39,40,42,44,49,50,61,64,76,79,110,127,135,143,151,159,169,174,190,195,196,197,199,218,219,222,227、C.I.リアクティブイエロー2,3,13,14,15,17,18,23,24,25,26,27,29,35,37,41,42、C.I.ベーシックイエロー1,2,4,11,13,14,15,19,21,23,24,25,28,29,32,36,39,40等を挙げることができるが、これらに限定されない。
次に本発明においてシアンインク組成物に用いられる着色剤について説明する。本発明のインクセットにおけるシアンインク組成物に用いられる着色剤は、特に限定されるものではないが、本発明のインクセットを用いて得られる画像の耐光性を良好に保つためには、シアンインク組成物が優れた耐光性を有するとともに、他の色のインク組成物の耐光性との差が小さいことが好ましい。耐光性に優れ、かつ他の色のインク組成物の耐光性と大きな差がないことから、本発明のシアンインク組成物に用いられる着色剤としては、前記の式(5)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
本発明のインクセットにおけるシアンインク組成物中の着色剤の濃度は、着色剤として用いられる化合物(染料)のカラーバリューにしたがって適宜決定することができるが、着色剤として上記式(5)で表される化合物(式(5)の染料)の少なくとも一種を用いる場合、一般に、式(5)の染料の合計量が、シアンインク組成物中に、シアンインク組成物の総重量に対して2.0〜6.0重量%含有されることが好ましい。シアンインク中に含まれる式(5)の染料の濃度を2.0重量%以上にすることにより、優れた発色性を得ることができ、さらに式(5)の染料の濃度を6.0重量%以下にすることにより、インクジェット記録方法に用いるためのインク組成物として必要とされるノズルからのインクの吐出性等の物性を好ましいものにすることができ、しかもインクジェットノズルの目詰まりが生じにくい等の効果が得られる。
本発明においては、所望によりシアンインク組成物として色濃度の高いシアンインク組成物(濃シアンインク組成物)及び色濃度の低いシアンインク組成物(淡シアンインク組成物)をインクセット含めることができる。濃シアンインク組成物及び淡シアンインク組成物を本発明のインクセットに含める場合、濃シアンインク組成物又は淡シアンインク組成物の少なくとも一つが前記式(5)の染料の少なくとも一種を着色剤として含有することが好ましく、淡シアンインク組成物が前記式(5)の染料の少なくとも一種を着色剤として含むことがさらに好ましい。濃シアンインク組成物及び淡シアンインク組成物の両者が前記式(5)の染料の少なくとも一種を着色剤として含むことが特に好ましい。
濃シアンインク組成物及び淡シアンインク組成物をインクセットに含める場合、淡シアンインク組成物中の着色剤の濃度は、着色剤として用いられる染料の種類に応じて、淡シアンインク組成物を濃シアンインク組成物と組み合わせたときに好ましいカラーバランスを有するよう適宜決定することができる。淡シアンインク組成物中に式(5)の染料の少なくとも一種を着色剤として含める場合、その着色剤が合計で淡シアンインク組成物の総重量に対して0.4〜3.0重量%含まれていることが好ましい。淡シアンインク組成物中の前記着色剤の濃度を0.4重量%以上にすることにより、発色性を優れたものにすることができ、かつ、前記着色剤の濃度を3.0重量%以下にすることによって、そのインク組成物を用いて記録された画像の粒状性が荒くなることを防止することができる。一方、濃シアンインク組成物中に式(5)の染料の少なくとも一種を着色剤として含める場合、その着色剤が合計で濃シアンインク組成物の総重量に対して2.0〜6.0重量%含まれていることが好ましい。濃シアンインク組成物中の前記着色剤の濃度を2.0重量%以上にすることにより、発色性を優れたものにでき、かつ、前記着色剤の濃度を6.0重量%以下にすることにより、インクジェット記録方法に用いるためのインク組成物として必要とされる、ノズルからのインクの吐出性等の物性を好ましいものにすることができ、しかもインクジェットノズルの目詰まりが生じにくい等の効果が得られる。
上述したとおり、本発明のインクセットにおけるシアンインク組成物、又は濃シアンインク組成物及び淡シアンインク組成物においては、着色剤として前記式(5)の染料の少なくとも一種を用いることが特に好ましいが、インクの色調の調整等のため、耐光性を大きく損ねない範囲で他のシアン系染料を併用することができる。他のシアン系染料としては、例えば、C.I.ダイレクトブルー1,10,15,22,25,55,67,68,71,76,77,78,80,84,90,98,106,108,109,151,156,158,159,160,168,189,192,193,194,200,201,202,203,207,211,213,214,218,225,229,236,237,244,248,249,251,252,264,270,280,288,289,291、C.I.アシッドブルー9,25,40,41,62,72,76,78,80,82,92,106,112,113,120,127:1,129,138,143,175,181,205,207,220,221,230,232,247,258,260,264,271,277,278,279,280,288,290,326、C.I.リアクティブブルー2,3,5,8,10,13,14,15,17,18,19,21,25,26,27,28,29,38、C.I.ベーシックブルー1,3,5,7,9,22,26,41,45,46,47,54,57,60,62,65,66,69,71等を挙げることができるが、これらに限定されない。
次に本発明のインクセットを構成するブラックインク組成物に用いる着色剤について説明する。本発明のインクセットにブラックインク組成物を含めることによって、良好なコントラストを有する画像を記録媒体上に形成することができる。
本発明のブラックインク組成物に着色剤として用いるブラック染料は特に限定されるものではない。しかし、インクセットの耐光性を優れたものにできることから、本発明のブラックインク組成物は、下記式(6):
で表される化合物及びその塩からなる群(式(6)の染料)から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含有することが好ましい。
上記式(6)中、R1は置換基を有するフェニル基又は置換基を有するナフチル基を表す。さらに式(6)中、R2は置換基を有するフェニレン基又は置換基を有するナフチレン基を表す。さらに式(6)中、R3は少なくとも1つの二重結合及び置換基を有する5〜7員環の複素環基を表す。さらにR1〜R3における前記置換基は独立して、OH、SO3H、PO3H2、CO2H、NO2、NH2、C1〜4のアルキル基、置換されたアルキル基、C1〜4のアルコキシ基、置換されたアルコキシ基、アミノ基、置換されたアミノ基、及び置換されたフェニル基からなる群から選ばれる基を表す。
さらに上記の置換されたアルキル基は、OH、SO3H、PO3H2、CO2H、及びNH2基からなる群から選ばれた1種以上の基で置換されたC1〜4のアルキル基から選ばれることが好ましい。また、上記の置換されたアルコキシ基は、OH、SO3H、PO3H2、CO2H、及びNH2基からなる群から選ばれる1種以上の基で置換されたC1〜4のアルコキシ基から選ばれることが好ましい。また、上記の置換されたアミノ基は、OH、SO3H、PO3H2、CO2H、及びNH2基からなる群から選ばれた1種以上の基で置換されたC1〜4のアルキル基を1つ又は2つ有するアミノ基からなる群から選ばれることが好ましい。また、上記の置換基されたフェニル基は、OH、SO3H、PO3H2、CO2H、NH2、C1〜4のアルキル基、及び置換されたC1〜4のアルキル基からなる群から選ばれる置換基を1つ又は2つ有するフェニル基からなる群から選ばれることが好ましい。
さらに本発明に用いる上記式(6)で表される化合物は、以下の式(7):
(式(7)中、R1〜R9は独立して、H、OH、SO3H、PO3H2、CO2H、NO2、及びNH2からなる群から選ばれる基を表す。)
で表される化合物であることが特に好ましい。
で表される化合物であることが特に好ましい。
本発明においてブラックインク組成物に用いる上記式(6)で表される化合物及びその塩は、好ましい方法を用いて適宜合成することができるが、例えば各化合物において3つのアゾ基によって結合されている4つの対応する各構造を有するビルディングブロックをアゾカップリングによって結合することにより合成することができる。すなわち、例えば式(6)で表される化合物のジヒドロキシナフタレン骨格部分をQで表すと、式(6)の化合物は、R3−N=N−R2−N=N−Q−N=N−R1で表すことができる。この化合物を合成する一つの具体的な方法を模式的に示すと、まずR1−NH2をジアゾ化して得られたジアゾニウム塩をQHと反応させてR1−N=N−QHとする。次にCH3CON−R2−NH2をジアゾ化して得られる化合物とR1−N=N−QHをカップリングさせてR1−N=N−Q−N=N−R2NCOCH3を合成する。この化合物のアセチル基を除去してアミノ基としてからジアゾ化し、続いてR3HとカップリングさせてR1−N=N−Q−N=N−R2−N=N−R3が合成できる。
さらに合成の具体例として前記式(10)で表される化合物の合成例を以下に説明する。
5−アセチルアミノ−2−アミノベンゼンスルホン酸(23.0g、0.10モル)を、濃硝酸(30ml)を含む水(300ml)に添加した。亜硝酸ナトリウム(6.9g)を0〜5℃の温度で10分かけて加えた。60分後、過剰の亜硝酸を分解し、得られたジアゾニウム塩溶液を、5〜10℃、pH8〜9を維持しながらゆっくりと、水(500g)に溶解しておいた1,8−ジヒドロキシナフタレン−3,6−ジスルホン酸(32.0g、0.10モル)の溶液に添加した。この反応が定量的に進行したことは、HPLCにより確認できた。これによってカップリング生成物を含む溶液(染料ベースという)が得られた。
5−アセチルアミノ−2−アミノベンゼンスルホン酸(23.0g、0.10モル)を、濃硝酸(30ml)を含む水(300ml)に添加した。亜硝酸ナトリウム(6.9g)を0〜5℃の温度で10分かけて加えた。60分後、過剰の亜硝酸を分解し、得られたジアゾニウム塩溶液を、5〜10℃、pH8〜9を維持しながらゆっくりと、水(500g)に溶解しておいた1,8−ジヒドロキシナフタレン−3,6−ジスルホン酸(32.0g、0.10モル)の溶液に添加した。この反応が定量的に進行したことは、HPLCにより確認できた。これによってカップリング生成物を含む溶液(染料ベースという)が得られた。
次に5−ニトロ−2−アミノベンゼンスルホン酸(43.6g、0.20モル)を、濃塩酸(60g)を含む水(500g)に添加した。亜硝酸ナトリウム(13.8g)を0〜5℃の温度で15分かけて加えた。60分後、得られたジアゾニウム塩溶液を、5〜10℃、pH6〜7を維持しながら120分かけて、あらかじめテトラヒドロフラン(1000g)を添加しておいた上記染料ベースに添加した。5時間後、生成した沈殿物を集め、乾燥器で乾燥させると、暗赤色の固形物が得られた(55.3g)。この暗赤色の固形物を水(1000ml)に溶解させて、80℃まで加熱した。水酸化ナトリウム(10g)を加え、さらに8時間温度を80℃に保った。8時間後、濃塩酸を用いてpH7〜8に調節し、溶液を放冷して室温にまで下げた。この溶液をVisking(商標)チュービングを用いて透析(50μScm-1未満)してから、フィルタを用いて濾過し、乾燥器で乾燥させると47.2gの黒色固形物が得られた。
上記で得られた黒色固形物をpH7〜9で水に再溶解させたが、pHの調整には水酸化リチウムを用いた。次いで亜硝酸ナトリウム(8.3g)を加え、10分間攪拌した。それから、この染料/亜硝酸塩の溶液を、濃塩酸(30g)を含む氷水(100ml)中に移した。放置すると温度は15〜25℃に上昇したが、そのまま3時間おいた。得られたジアゾジウム塩溶液を、15〜20℃、pH6〜7を維持しながら120分かけて、1−(4−スルホフェニル)−3−カルボキシ−5−ピラゾロン(17.9g、0.06モル)の溶液に加えた。このpHは水酸化リチウムを添加することによって維持した。次いでこの溶液をVisking(商標)チュービングを用いて透析(50μScm-1未満)し、さらにフィルタを用いて濾過し、乾燥器で乾燥させると60.0gの前記式(10)で表される化合物が黒色固形物として得られた。
式(6)で表される化合物の塩としては、式(6)で表される化合物のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、及び有機アンモニウム塩からなる群から選ばれる1種以上が例示できる。前記アルカリ金属塩としては、例えばリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、及びこれらの2種以上の金属を含む塩をあげることができる。本発明においてブラックインク組成物に用いる式(6)で表される化合物の塩としては、リチウム塩及びナトリウム塩が特に好ましい。なお、式(7)で表される化合物は式(6)で表される化合物に含まれ、式(6)で表される化合物の塩についての説明は、そのまま式(7)で表される化合物の塩についてあてはまる。
本発明のブラックインク組成物は、式(6)の染料から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含み、かつその着色剤が合計でブラックインク組成物の総重量に対して0.5〜12重量%含有されていることが好ましく、1.0〜9.0重量%含有されていることがさらに好ましい。ブラックインク組成物中の式(6)の染料の合計の含有量がブラックインク組成物の総重量に対して0.5重量%以上の場合、そのインク組成物を用いて記録媒体に画像等を記録したときに、充分良好な発色や高い画像濃度を得ることができる。また、ブラックインク組成物中の式(6)の染料の合計の含有量をブラックインク組成物の総重量に対して12重量%以下にすることにより、そのインク組成物の粘度を好ましい値に調節することができ、またインクジェットヘッドからのインク組成物の吐出量を安定化することができ、さらにインクジェットヘッドの目詰まりを防止することができる。また、上記式(6)の染料は式(7)の染料であることがさらに好ましい。したがって、ブラックインク組成物中の式(6)の染料の好ましい含有量についての上記説明は、式(6)の染料のさらに好ましい態様である式(7)の染料についてもそのままあてはまる。
以上本発明の各インク組成物に用いる着色剤及びそのインク組成物中の着色剤含有量について説明したが、以下、各インク組成物に含まれるその他の成分について説明する。
本発明における各インク組成物は、上述した着色剤(染料)を適当な溶媒に溶解して得ることができる。上記各インク組成物において着色剤を溶解するための溶媒としては、水、または水と水溶性有機溶剤との混合液を主溶媒として用いることが好ましい。水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等を用いることができる。また、長期保存の観点から、紫外線照射や過酸化水素添加などの各種化学滅菌処理を施した水を用いることが好ましい。本発明のインクセットを構成する各インク組成物における水の含有量は、各インク組成物の重量のうちの40〜90重量%であることが好ましく、50〜80重量%であることがさらに好ましい。
本発明における各インク組成物は、上述のとおり、溶媒として水とともに水溶性有機溶剤を用いることができる。この水溶性有機溶剤としては、染料を溶解する能力を有するものが好ましく、かつ蒸気圧が純水よりも小さいものが好ましい。本発明において用いる水溶性有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール類、アセトニルアセトン等のケトン類、γ−ブチロラクトン、リン酸トリエチル等のエステル類、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、チオジグリコール等が好ましいが、これらに限定されるものではない。水とともに水溶性有機溶剤をインク組成物の溶媒として用いることによって、インクヘッドからのインク組成物の吐出安定性を向上させること、及び他の特性をほとんど変化させずにインク組成物の粘度を下げる等の調節を容易に行うことができる。
また、糖類から選ばれる少なくとも一種の保湿剤を、本発明の各インク組成物に含有させることができる。インク組成物に保湿剤を含有させることにより、インクジェット記録方法にインク組成物を用いた場合、インクからの水分の蒸発を抑制してインクを保湿することができる。本発明に用いる糖類としては、マルチトール、ソルビトール、グルコノラクトン、マルトース等が好ましい。なお、上述した水溶性有機溶剤も保湿剤としてはたらく場合がある。
上記水溶性有機溶剤及び/又は保湿剤は合計して、インク組成物中に5〜50重量%、さらに好ましくは5〜30重量%、特に好ましくは5〜20重量%含有させることができる。これらの含有量を5重量%以上にすることによって良好なインクの保湿性が得られ、かつ50重量%以下にすることによって、インク組成物の粘度をインクジェット記録方法に用いるための好ましい粘度に調整することができる。
また、本発明のインク組成物には、記録媒体へのインクの速やかな定着性(浸透性)を得るとともに、1ドットの真円度を保つために有効な添加剤として、ノニオン系界面活性剤を含有させることが好ましい。本発明に用いられるノニオン系界面活性剤としては、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤が挙げられる。アセチレングリコール系界面活性剤として、具体的には、サーフィノール465(商標)、サーフィノール104(商標)(以上商品名、Air Products and Chemicals, Inc. 社製)、オルフィンSTG(商標)、オルフィンE1010(商標)(以上商品名、日信化学社製)等が挙げられる。
本発明においては、インク組成物中にノニオン系界面活性剤が、好ましくは0.1〜5重量%、さらに好ましくは0.5〜2重量%含まれるように、各インク組成物にノニオン系界面活性剤を添加するのがよい。インク組成物にノニオン系界面活性剤を0.1重量%以上含有させることによって、記録媒体に対する各インク組成物の浸透性を高くすることができる。またインク組成物中のノニオン系界面活性剤の含有量を5重量%以下にすることにより、記録媒体上にインク組成物によって形成された画像がにじみにくいという効果が得られる。
さらに、浸透促進剤として、グリコールエーテル類をインク組成物に添加することにより、記録媒体に対するインク組成物の浸透性が向上するとともに、カラー印刷を行った場合に隣り合うカラーインクどうしの境界において、インクのブリード(ブリーディング)が減少し、非常に鮮明な画像を得ることができる。したがって、本発明のインクセットを構成するインク組成物には浸透促進剤を添加することが好ましい。
浸透促進剤として本発明に用いる上記グリコールエーテル類としては、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等が好ましいが、これらに限定されるものではない。これらのグリコールエーテル類は、インク組成物中に3〜30重量%、さらに好ましくは5〜15重量%含まれるように各インク組成物中に添加されることが好ましい。グリコールエーテル類の添加量を3重量%以上にすることにより、カラー印刷時における隣り合うインク間のブリード(ブリーディング)を有効に防止でき、さらにこの添加量を30重量%以下にすることにより、画像のにじみが発生することを防止しやすくなり、かつインクの保存安定性を高めることができる。
さらに、本発明における各インク組成物には、トリエタノールアミンやアルカリ金属水酸化物等のpH調整剤、アルギン酸ナトリウム等の水溶性ポリマー、水溶性樹脂、フッ素系界面活性剤、防腐剤、防カビ剤、防錆剤、溶解助剤、酸化防止剤、及び紫外線吸収剤等から選ばれる材料を所望により添加することができる。これらの成分は、各種別に一種又は二種以上を混合して用いることができる。また、添加する必要がなければ添加しなくてもよい。当業者は本発明の効果を損なわない範囲で、選択された好ましい添加剤を好ましい量で用いることができる。なお、上記溶解助剤とは、インク組成物から不溶物が析出する場合に、その不溶物を溶解し、インク組成物を均一な溶液に保つための添加剤である。
上記溶解助剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドンなどのピロリドン類、尿素、チオ尿素、テトラメチル尿素などの尿素類、アロハネート、メチルアロハネート等のアロハネート類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチルビウレットなどのビウレット類などを挙げることができるがこれらに限定されない。また、上記酸化防止剤の例としては、L−アスコルビン酸及びその塩類等が例示できるが、これらに限定されない。
上記防腐剤又は防カビ剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、及び1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン(AVECIA社のプロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL、プロキセルXL−2、及びプロキセルTN(以上商品名))等を例示できるが、これらに限定されない。
上記pH調整剤しては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、モルホリン等のアミン類及びそれらの変性物、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどの金属水酸化物、水酸化アンモニウム、四級アンモニウム水酸化物(テトラメチルアンモニウム等)等のアンモニウム塩、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウムなどの炭酸塩類その他燐酸塩類などが例示できるが、これらに限定されない。
なお、本発明のインクセットを構成する各インク組成物は、そのpHが20℃において7.0〜10.5であることが好ましく、7.5〜10.0であることがさらに好ましい。20℃におけるインク組成物のpHを7.0以上にすることによってインクジェットヘッドの共析メッキが剥離することを防止することができ、かつインクジェットヘッドからのインク組成物の吐出特性を安定化することができる。また、インク組成物のpHを20℃において10.5以下にすることによって、インク組成物が接触する各種の部材、たとえばインクカートリッジやインクジェットヘッドを構成する部材が劣化されることを防ぐことができる。
なお、本発明におけるインク組成物のpH値は、市販のpHメーターを用い、インク組成物にpH電極を直接挿入することによって測定される値である。
なお、本発明におけるインク組成物のpH値は、市販のpHメーターを用い、インク組成物にpH電極を直接挿入することによって測定される値である。
本発明のインクセットを構成する各インク組成物は、上述した成分から適宜選ばれた成分を含んで構成されるが、得られる各インク組成物の粘度が20℃において10mPa・s未満であることが好ましい。さらに、本発明においては各インク組成物の表面張力を20℃において45mN/m以下であることが好ましく、25〜45mN/mの範囲であることが特に好ましい。粘度及び表面張力をこのように調整することによって、インクジェット記録方法に用いるために好ましい特性を有するインク組成物を得ることができる。この粘度及び表面張力の調整は、インク組成物に含有させる溶剤及び各種添加剤の添加量、並びにそれらの種類等を適宜調節及び選択することによって行うことができる。
本発明における各インク組成物の調製方法としては、たとえば、各インク組成物に含有される各種成分を充分に混合してできるだけ均一に溶解した後、孔径1μm程度のメンブランフィルターで加圧濾過し、さらに得られた溶液を真空ポンプを用いて脱気処理して調製する方法が例示できるが、これに限定されない。
次に、上述した各インク組成物を用いた本発明のインクセットは、これらを一体的に若しくは独立に収容したインクカートリッジとして用いることができ、取り扱いが便利である点等からも好ましい。インクセットを含んで構成されるインクカートリッジは当技術分野において公知であり、公知の方法を適宜用いてインクカートリッジにすることができる。
本発明のインクセット又はインクカートリッジは一般の筆記具用、記録計用、ペンプロッター用等に用いることができるが、インクジェット記録方法に用いることが特に好ましい。本発明のインクセット又はインクカートリッジを用いることができるインクジェット記録方法は、インク組成物を細いノズルから液滴として吐出させ、その液滴を記録媒体に付着させるいかなる記録方法も含む。本発明のインク組成物を用いることができるインクジェット記録方法の具体例を以下に説明する。
第一の方法は静電吸引方式とよばれる方法である。静電吸引方式は、ノズルとノズルの前方に配置された加速電極との間に強電界を印加し、ノズルから液滴状のインクを連続的に噴射させ、そのインク滴が偏向電極間を通過する間に印刷情報信号を偏向電極に与えることによって、インク滴を記録媒体上に向けて飛ばしてインクを記録媒体上に定着させて画像を記録する方法、又は、インク滴を偏向させずに、印刷情報信号に従ってインク滴をノズルから記録媒体上にむけて噴射させることにより画像を記録媒体上に定着させて記録する方法である。本発明のインクセット又はインクカートリッジはこの静電吸引方式による記録方法に用いることが好ましい。
第二の方法は、小型ポンプによってインク液に圧力を加えるとともに、インクジェットノズルを水晶振動子等によって機械的に振動させることによって、強制的にノズルからインク滴を噴射させる方法である。ノズルから噴射されたインク滴は、噴射されると同時に帯電され、このインク滴が偏向電極間を通過する間に印刷情報信号を偏向電極に与えてインク滴を記録媒体に向かって飛ばすことにより、記録媒体上に画像を記録する方法である。本発明のインクセット又はインクカートリッジはこの記録方法に用いることが好ましい。
第三の方法は、インク液に圧電素子によって圧力と印刷情報信号を同時に加え、ノズルからインク滴を記録媒体に向けて噴射させ、記録媒体上に画像を記録する方法である。本発明のインクセット又はインクカートリッジはこの記録方法に用いることが好ましい。
第四の方法は、印刷信号情報に従って微小電極を用いてインク液を加熱して発泡させ、この泡を膨張させることによってインク液をノズルから記録媒体に向けて噴射させて記録媒体上に画像を記録する方法である。本発明のインクセット又はインクカートリッジはこの記録方法に用いることが好ましい。
本発明のインクセット又はインクカートリッジは、上述した4つの方法を含むインクジェット記録方式による画像記録方法を用いて記録媒体上に画像を記録する場合に用いるインク組成物として特に好ましい。本発明のインクセットを用いて記録された記録物は優れた画質を有し、さらに耐光性にも優れている。
次に本発明の実施例を比較例とともに挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜5、比較例1〜3]
〔インク組成物の調製〕
表1に示す配合比で各成分を混合し、常温にて30分攪拌した後、孔径1μmのメンブランフィルターで濾過して、表1に示す組成を有する各インク組成物を得た。なお、表1及び以下の表4に示す、各インク組成物に含まれる各成分量を示す数値は、それぞれのインク組成物の総重量に対する各成分の重量%を示しており、超純水の「残量」は各インク組成物に含まれる他の成分とあわせて100重量%となる量の意味である。
なお、表1におけるインク組成物についての詳細は、次の通りである。
M1及びM2はマゼンタインク組成物、Y1及びY2はイエローインク組成物、C1及びC2はシアンインク組成物、Bk1及びBk2はブラックインク組成物をそれぞれ示す。なお、M1は従来一般に用いられているマゼンタ染料を用いたマゼンタインク組成物であり、M2は今回の発明である式(1)で表される化合物を用いたマゼンタインク組成物である。また、Bk1は従来一般に用いられているブラック染料を用いたブラックインク組成物であり、Bk2は今回の発明である式(6)で表される化合物を用いたブラックインク組成物である。
[実施例1〜5、比較例1〜3]
〔インク組成物の調製〕
表1に示す配合比で各成分を混合し、常温にて30分攪拌した後、孔径1μmのメンブランフィルターで濾過して、表1に示す組成を有する各インク組成物を得た。なお、表1及び以下の表4に示す、各インク組成物に含まれる各成分量を示す数値は、それぞれのインク組成物の総重量に対する各成分の重量%を示しており、超純水の「残量」は各インク組成物に含まれる他の成分とあわせて100重量%となる量の意味である。
なお、表1におけるインク組成物についての詳細は、次の通りである。
M1及びM2はマゼンタインク組成物、Y1及びY2はイエローインク組成物、C1及びC2はシアンインク組成物、Bk1及びBk2はブラックインク組成物をそれぞれ示す。なお、M1は従来一般に用いられているマゼンタ染料を用いたマゼンタインク組成物であり、M2は今回の発明である式(1)で表される化合物を用いたマゼンタインク組成物である。また、Bk1は従来一般に用いられているブラック染料を用いたブラックインク組成物であり、Bk2は今回の発明である式(6)で表される化合物を用いたブラックインク組成物である。
表1中、TEGmBEはトリエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルを表す。また、表1中、オルフィンE1010(商標)及びオルフィンSTG(商標)は日信化学社製のアセチレングリコール系界面活性剤であり、プロキセルXL−2(商品名)はAVECIA社製の防腐剤である。以下の表4においても同様である。
また、従来一般に用いられているマゼンタ染料の一例として、C.I.ダイレクトレッド227を用い、従来一般に用いられているブラック染料の一例として、C.I.ダイレクトブラック195を用いた。
さらに、上記式(3)で表される化合物及び/又は上記式(4)で表される化合物の一例としてC.I.ダイレクトイエロー173及びC.I.ダイレクトイエロー86を用い、式(5)で表される化合物の一例としてC.I.ダイレクトブルー199をそれぞれ用いた。
さらに、上記式(3)で表される化合物及び/又は上記式(4)で表される化合物の一例としてC.I.ダイレクトイエロー173及びC.I.ダイレクトイエロー86を用い、式(5)で表される化合物の一例としてC.I.ダイレクトブルー199をそれぞれ用いた。
〔記録物の作成〕
上述のようにして得られたインク組成物を下記表2に示す組み合わせの各インクセットとし、これらを専用カートリッジに充填し、インクジェットプリンタStylus Color 880(製品名、セイコーエプソン株式会社製)を用いてインクジェット専用記録媒体(PM写真用紙、セイコーエプソン株式会社製)に印刷を行って記録物を得た。この記録物は、耐光性試験を行うためのイエロー画像(Y画像1)、マゼンタ画像(M画像1)、シアン画像(C画像1)、及びブラック画像(Bk画像1)(但し、インクセットがブラックインク組成物を含む場合のみブラック画像を含む。以下同じ。)であって、それぞれのOD値が0.9〜1.1の範囲に入るように作成したカラーパッチである。
上述のようにして得られたインク組成物を下記表2に示す組み合わせの各インクセットとし、これらを専用カートリッジに充填し、インクジェットプリンタStylus Color 880(製品名、セイコーエプソン株式会社製)を用いてインクジェット専用記録媒体(PM写真用紙、セイコーエプソン株式会社製)に印刷を行って記録物を得た。この記録物は、耐光性試験を行うためのイエロー画像(Y画像1)、マゼンタ画像(M画像1)、シアン画像(C画像1)、及びブラック画像(Bk画像1)(但し、インクセットがブラックインク組成物を含む場合のみブラック画像を含む。以下同じ。)であって、それぞれのOD値が0.9〜1.1の範囲に入るように作成したカラーパッチである。
上記各インクセットを用いて作成した上記カラーパッチを試験体として用い、以下の蛍光灯耐光性試験を行った。
〔蛍光灯耐光性試験〕
蛍光灯耐光性試験機SFT―II(製品名、スガ試験機株式会社製)を使用し、24℃、60%RHの条件下、照度70,000luxにて記録物(カラーパッチ)に光照射試験を行った。一種類のインクセットごとに記録物4サンプルを用いて試験を行い、7日間、14日間、21日間、及び28日間と光照射時間を変えて試験した4種のサンプルを各一つ準備した。試験は各インクセットについて行った。
蛍光灯耐光性試験機SFT―II(製品名、スガ試験機株式会社製)を使用し、24℃、60%RHの条件下、照度70,000luxにて記録物(カラーパッチ)に光照射試験を行った。一種類のインクセットごとに記録物4サンプルを用いて試験を行い、7日間、14日間、21日間、及び28日間と光照射時間を変えて試験した4種のサンプルを各一つ準備した。試験は各インクセットについて行った。
すなわち、イエロー画像(Y画像1)、マゼンタ画像(M画像1)、シアン画像(C画像)、及びブラック画像(Bk画像1)を、それぞれのOD値が0.9〜1.1の範囲に入るように作成したカラーパッチについて、初期サンプル(光照射なし)、並びに、7日間、14日間、21日間、及び28日間光照射試験を行ったサンプルの合計5種類のサンプルを得、各サンプルの画像のOD値(Optical Density)を、反射濃度計(商品名:Spectrolino、Gretag社製)を用いて測定した。得られた各測定値を以下の式:
ROD(%)=(Dn/D0)×100
(Dn:光照射試験後のOD(n=1〜4)、D0:光照射試験前のOD)
に代入することにより、退色後の光学濃度残存率(Relict Optical Density;ROD)を得た。
ROD(%)=(Dn/D0)×100
(Dn:光照射試験後のOD(n=1〜4)、D0:光照射試験前のOD)
に代入することにより、退色後の光学濃度残存率(Relict Optical Density;ROD)を得た。
そして、試験期間(日数)を横軸、RODを縦軸にとってプロットし、試験期間に対する光学濃度残存率変化を示す近似曲線を求めた。得られた曲線から求めた近似式により、RODが70%まで減少するまでの期間を求め、下記の耐光性判断基準に基づいて蛍光灯耐光性を評価し、その結果を表3に示した。また、インクセットを構成するインク組成物のうち、上記評価の中で律速となる結果(すなわち、最も耐光性が低い結果)を耐光性におけるインクセットの寿命とみなした。表3に示した結果から、実施例1〜5のインクセットの寿命は、比較例1〜3のインクセットの寿命より長く、実施例1〜5のインクセットが優れた耐光性を有することがわかる。実施例1〜5のなかでも、イエロー染料とシアン染料として好ましい構造の化合物を用いた実施例2及び5と、さらにBk染料にも好ましい構造の化合物を用いた実施例4は、その他の実施例より優れた耐光性を有することがわかる。
〔耐光性判断基準〕
A:RODが25日経過時までに70%まで減少しない。
B:RODが70%まで減少するのが20日を越え、25日以下である。
C:RODが70%まで減少するのが15日を越え、20日以下である。
D:RODが70%まで減少するのが10日を越え、15日以下である。
E:RODが70%まで減少するのが5日を越え、10日以下である。
A:RODが25日経過時までに70%まで減少しない。
B:RODが70%まで減少するのが20日を越え、25日以下である。
C:RODが70%まで減少するのが15日を越え、20日以下である。
D:RODが70%まで減少するのが10日を越え、15日以下である。
E:RODが70%まで減少するのが5日を越え、10日以下である。
[実施例6〜10及び比較例4〜6]
〔インク組成物の調製〕
以下の表4に示す配合比で各成分を混合し、常温にて30分攪拌した後、孔径1μmのメンブランフィルターで濾過して、表4に示す組成を有する各インク組成物を得た。なお、表4中に示すインク組成物の各成分量は各インク組成物の総重量に対する各成分の重量%を示す。超純水の量はインク組成物に含まれる他の成分と合計して100重量%となる量である。
〔インク組成物の調製〕
以下の表4に示す配合比で各成分を混合し、常温にて30分攪拌した後、孔径1μmのメンブランフィルターで濾過して、表4に示す組成を有する各インク組成物を得た。なお、表4中に示すインク組成物の各成分量は各インク組成物の総重量に対する各成分の重量%を示す。超純水の量はインク組成物に含まれる他の成分と合計して100重量%となる量である。
なお、表4に示したインク組成物についての詳細は、次の通りである。M1及びM2は濃マゼンタインク組成物、LM1及びLM2は淡マゼンタインク組成物、Y1及びY2はイエローインク組成物、C1及びC2は濃シアンインク組成物、LC1及びLC2は淡シアンインク組成物、Bk1及びBk2はブラックインク組成物をそれぞれ表す。なお、M1及びLM1は、それぞれ従来一般に用いられているマゼンタ染料を用いた濃マゼンタインク組成物及び淡マゼンタインク組成物であり、M2及びLM2は今回の発明である式(1)で表される化合物を用いた濃マゼンタインク組成物及び淡マゼンタインク組成物である。
表4に示した各着色剤のうち、M染料1は、上述の実施例1〜5で用いたものと同じ前記式(17)で表される化合物であり、前記式(1)で表される化合物の一例である。
また、表4中のBk染料1は、上述の実施例1〜5で用いたものと同じ前記式(10)で表される化合物のLi塩であり、前記式(6)で表される化合物の塩の一例である。
また、従来一般に用いられているマゼンタ染料の一例として、C.I.ダイレクトレッド227を用い、さらに従来一般に用いられているブラック染料の一例として、C.I.ダイレクトブラック195を用いた。
さらに、式(3)で表される化合物及び/又は式(4)で表される化合物の例として、C.I.ダイレクトイエロー173及びC.I.ダイレクトイエロー86を用い、式(5)で表される化合物の一例として、C.I.ダイレクトブルー199をそれぞれ用いた。
さらに、式(3)で表される化合物及び/又は式(4)で表される化合物の例として、C.I.ダイレクトイエロー173及びC.I.ダイレクトイエロー86を用い、式(5)で表される化合物の一例として、C.I.ダイレクトブルー199をそれぞれ用いた。
〔記録物の作成〕
次に、表4の配合に基づいて調製したインク組成物を用いて、表5に示す組み合わせに従い、濃淡マゼンタインク組成物及び濃淡シアンインク組成物を含む実施例6〜10及び比較例4〜6の各インクセットを構成した。インクジェットプリンタPM800C(製品名、セイコーエプソン株式会社製)を用い、専用カートリッジに各インクセットを充填し、インクジェット専用記録媒体(PM写真用紙、セイコーエプソン株式会社製)に印刷を行って記録物を作成した。この記録物は、イエロー画像(Y画像1)、マゼンタ画像(M画像1)、シアン画像(C画像1)、及びブラック画像(Bk画像1)(但し、インクセットがブラックインク組成物を含む場合のみ、ブラック画像を含む。)を、それぞれのOD値が0.9〜1.1の範囲に入るように作成したカラーパッチである。この場合、マゼンタ画像は濃淡マゼンタインク組成物を併用して作成されたものであり、シアン画像は濃淡シアンインク組成物を併用して作成されたものである。
次に、表4の配合に基づいて調製したインク組成物を用いて、表5に示す組み合わせに従い、濃淡マゼンタインク組成物及び濃淡シアンインク組成物を含む実施例6〜10及び比較例4〜6の各インクセットを構成した。インクジェットプリンタPM800C(製品名、セイコーエプソン株式会社製)を用い、専用カートリッジに各インクセットを充填し、インクジェット専用記録媒体(PM写真用紙、セイコーエプソン株式会社製)に印刷を行って記録物を作成した。この記録物は、イエロー画像(Y画像1)、マゼンタ画像(M画像1)、シアン画像(C画像1)、及びブラック画像(Bk画像1)(但し、インクセットがブラックインク組成物を含む場合のみ、ブラック画像を含む。)を、それぞれのOD値が0.9〜1.1の範囲に入るように作成したカラーパッチである。この場合、マゼンタ画像は濃淡マゼンタインク組成物を併用して作成されたものであり、シアン画像は濃淡シアンインク組成物を併用して作成されたものである。
〔蛍光灯耐光性試験及び評価〕
上述のようにして作成したカラーパッチを用い、上記実施例1〜5及び比較例1〜3の説明中で示した蛍光灯耐光性試験方法に準拠して試験を行い、上記実施例1〜5及び比較例1〜3で用いた耐光性判断基準に基づいて、各インクセットの蛍光灯耐光性を評価した。さらに実施例1〜5及び比較例1〜3と同様にして、実施例6〜10及び比較例4〜6のインクセットの寿命を求めた。得られた結果を表6に示した。
上述のようにして作成したカラーパッチを用い、上記実施例1〜5及び比較例1〜3の説明中で示した蛍光灯耐光性試験方法に準拠して試験を行い、上記実施例1〜5及び比較例1〜3で用いた耐光性判断基準に基づいて、各インクセットの蛍光灯耐光性を評価した。さらに実施例1〜5及び比較例1〜3と同様にして、実施例6〜10及び比較例4〜6のインクセットの寿命を求めた。得られた結果を表6に示した。
表6に示したとおり、実施例6〜10のインクセットの耐光性の寿命はA〜Dであり、比較例4〜6のインクセットの耐光性の寿命Eより優れていることがわかる。したがって、本発明のインクセットは優れた耐光性を有することがわかる。実施例6〜10のなかでも、イエロー染料及びシアン染料として、好ましい構造を有する化合物を用いた実施例7及び10と、さらに、Bk染料にも好ましい構造の化合物を用いた実施例9は、その他の実施例よりも優れた耐光性を有することがわかる。
Claims (24)
- 少なくとも、イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、及びシアンインク組成物を備えたインクセットであって、前記マゼンタインク組成物が着色剤として以下の式(1):
で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とするインクセット。 - 前記マゼンタインク組成物として、色濃度の異なる二種のマゼンタインク組成物を備え、その少なくとも一種が着色剤として前記式(1)で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1に記載のインクセット。
- 前記色濃度の異なる二種のマゼンタインク組成物のうち、低い色濃度を有するマゼンタインク組成物が、前記式(1)で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含み、かつ前記着色剤の合計量が前記低い色濃度を有するマゼンタインク組成物の総重量に対して0.3〜2.0重量%含有されていることを特徴とする請求項2に記載のインクセット。
- 前記色濃度の異なる二種のマゼンタインク組成物のうち、高い色濃度を有するマゼンタインク組成物が、前記式(1)で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含み、かつ前記着色剤の合計量が前記高い色濃度を有するマゼンタインク組成物の総重量に対して1.5〜5.0重量%含有されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のインクセット。
- 前記式(1)で表される化合物及びその塩が、以下の式(2):
で表される化合物及びその塩である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクセット。 - 前記イエローインク組成物が、前記式(3)で表される化合物及び前記式(4)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含み、かつ前記着色剤の合計量が前記イエローインク組成物の総重量に対して1〜6重量%含有されていることを特徴とする請求項6に記載のインクセット。
- 前記シアンインク組成物が、前記式(5)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含み、かつ前記着色剤の合計量が前記シアンインク組成物の総重量に対して2.0〜6.0重量%含有されていることを特徴とする請求項8に記載のインクセット。
- 色濃度の異なる二種のシアンインク組成物を備えたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のインクセット。
- 前記色濃度の異なる二種のシアンインク組成物のうち、低い色濃度を有するシアンインク組成物が、着色剤として、前記式(5)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項10に記載のインクセット。
- 前記色濃度の異なる二種のシアンインク組成物のうち、高い色濃度を有するシアンインク組成物が、着色剤として、前記式(5)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項10又は11に記載のインクセット。
- 前記高い色濃度を有するシアンインク組成物が、前記式(5)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含み、かつ前記着色剤の合計量が前記高い色濃度を有するシアンインク組成物の総重量に対して2.0〜6.0重量%含有されているとともに、前記低い色濃度を有するシアンインク組成物が、前記式(5)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含み、かつ前記着色剤の合計量が前記低い色濃度を有するシアンインク組成物の総重量に対して0.4〜3.0重量%含有されていることを特徴とする請求項10〜12のいずれか一項に記載のインクセット。
- インク組成物としてさらにブラックインク組成物を備え、かつ前記ブラックインク組成物が、着色剤として以下の式(6):
で表される化合物及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載のインクセット。 - 前記ブラックインク組成物が前記式(6)若しくは前記式(7)で表される化合物及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を着色剤として含み、かつ前記着色剤の合計量が前記ブラックインク組成物の総重量に対して0.5〜12重量%含有されていることを特徴とする請求項14又は15に記載のインクセット。
- 前記インク組成物が、ノニオン系界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項に記載のインクセット。
- 前記ノニオン系界面活性剤が、アセチレングリコール系界面活性剤であることを特徴とする請求項17に記載のインクセット。
- 前記インク組成物が前記ノニオン系界面活性剤を0.1〜5重量%含むことを特徴とする、請求項17又は18に記載のインクセット。
- 前記インク組成物が浸透促進剤を含むことを特徴とする請求項1〜19のいずれか一項に記載のインクセット。
- 前記浸透促進剤がグリコールエーテル類であることを特徴とする請求項20に記載のインクセット。
- 請求項1〜21のいずれかに一項に記載されたインクセットを一体的に又は独立に収容したことを特徴とするインクカートリッジ。
- 請求項1〜21のいずれか一項に記載のインクセット又は請求項22に記載のインクカートリッジを用いて記録することを特徴とするインクジェット記録方法。
- 請求項1〜22のいずれか一項に記載のインクセット又は請求項23に記載のインクカートリッジを用いて記録されたことを特徴とする記録物。
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