JP5871198B2 - インク組成物 - Google Patents
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Description
本発明は、インク組成物、特に、色材が有する色相を損なうことなく、良好な耐光性を有する記録画像を実現できるインク組成物に関する。
近年、複数のカラーインク組成物を用いたインクジェット記録方法によってカラー画像を形成して記録物を得ることが行われている。一般に、カラー画像の形成は、イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、およびシアンインク組成物の三色、さらに所望によりブラックインク組成物を加えた四色によって行われている。また、これらの四色に淡シアンインク組成物および淡マゼンタインク組成物を加えた六色またはそれらにさらにダークイエローインク組成物を加えた七色によってカラー画像形成を行なう場合もある。
現在市場で市販されているプリンターに搭載されているインク組成物の耐光性能力に関しては、上記評価手法を用いて判断した場合、マゼンタインク組成物の能力が最も低く、インクセットの耐光性寿命の律速となっているケースが多い。よって、マゼンタインク組成物の耐光性を改良することは、写真画像の耐光性向上及びインクセットの耐光性寿命の延長に効果的である。
アントラピリドン系染料
本発明のインク組成物には、上記式(I)で表されるアントラピリドン系染料が含まれる。
M1がNH4またはNaを表し、
R1が置換されてもよいベンゾイル基(好ましくは、スルホン酸基(このスルホン酸基はNH4またはNaで置換されていてもよい)で置換されたベンゾイル基)を表し、 R2が置換されてもよいアルキル基(好ましくは、炭素数1〜3のアルキル基、さらに好ましくはメチル基)を表し、
R3が水素原子を表し、
R4が置換されてもよいスルホン酸基(好ましくは、NH4またはNaで置換されたスルホン酸基)を表し、
R5が上記式(II)(好ましくは、式(II)中、XおよびYが、それぞれ独立して、アミノ基、アニリノ基、フェノール基(さらに好しくは、カルボキシル基(このカルボキシル基はNH4またはNaで置換されていてもよい)で置換されたフェノール基)を表し、これらの基は、各々水素原子の部分が一種または二種以上の置換基により置換されていてもよい)を表す化合物群が挙げられる。
で表される基を表す。さらにZは、塩素原子、水酸基、アミノ基、モノエタノールアミノ基、ジエタノールアミノ基、モルホリノ基、アニリノ基、フェノール基を表し、これらの基は、各々水素原子の部分が一種または二種以上の置換基により置換されていてもよい。)
M2がNH4またはNaを表し、
R6が置換されてもよいベンゾイル基(好ましくは、スルホン酸基(このスルホン酸基はNH4またはNaで置換されていてもよい)で置換されたベンゾイル基)を表し、 R7が置換されてもよいアルキル基(好ましくは、炭素数1〜3のアルキル基、さらに好ましくはメチル基)を表し、
R8が水素原子を表し、
R9が置換されてもよいスルホン酸基(好ましくは、NH4またはNaで置換されたスルホン酸基)を
Aがアルキレン基または上記式(IV)(好ましくは、R10が水素原子を表す)表し、 Zがアミノ基またはフェノール基(さらに好しくは、カルボキシル基(このカルボキシル基はNH4またはNaで置換されていてもよい)で置換されたフェノール基)を表す化合物群が挙げられる。
M3がNH4またはNaを表し、
Bがアルキレン基(好ましくは、エチレン基)を表し、
n=2である化合物群が挙げられる。
本発明のインク組成物には、水に可溶な銅化合物が含まれる。ここで、「水に可溶な」とは、25℃において、水に対し0.5質量%以上の割合で溶解することを意味する。
本発明によるインク組成物は、水のみ、または水と水溶性有機溶剤とからなる水性媒体中に、着色剤として、上記式(I)で表される染料を含有し、必要に応じ、保湿剤、界面活性剤、浸透促進剤、粘度調整剤、pH調整剤、およびその他の添加剤を含有させたものである。
インク組成物に保湿剤を含有させることにより、インクジェット記録方法にインク組成物を用いた場合、インクからの水分の蒸発を抑制してインクを保湿することができる。本発明に用いる糖類としては、マルチトール、ソルビトール、グルコノラクトン、マルトース等が好ましい。なお、上述した水溶性有機溶剤も保湿剤として働く場合がある。
下記表1〜3の組成からなるインク組成物を常温にて1時間攪拌した後、0.8μmのメンブランフィルターで濾過して、各インク組成物を得た。なお、下記表1〜3中の数値はインク中の含有量(質量%)を表す。また、表1〜3中の化合物A、B、およびCは、それぞれ、下記式により表される化合物であり、下記式中、M=NH4である化合物と、M=Naである化合物とを7:3の割合(モル比)で混合したものである。
インク組成物(例1〜24のインク組成物)を充填したインクカートリッジを、インクジェットプリンターPM-G800(セイコーエプソン株式会社製)のマゼンタ列に装填し、評価紙(写真用紙クリスピア<高光沢>:セイコーエプソン株式会社製)に印字した。なお、印刷サンプルの形態については、各試験方法において記載する。
OD(Optical Density)が0.9〜1.1の範囲に入るように印加Dutyを調整して、Magentaのベタ印字を行い、得られた印刷物を、Xenon耐光性試験機XL−75s(商品名:(株)スガ試験機製)を用い、23℃相対湿度50%R.H.、照度75000lux条件にて20日間の曝露を行った。
曝露後、印刷物のOD値を、反射濃度計(「Spectrilino」(商品名:Gretag社製)を用いて測定し、次式より光学濃度残存率(ROD)を求め、下記判定基準により評価した。
ROD(%)=(D/D0)×100
D:暴露試験後のOD D0:暴露試験前のOD
(測定条件 光源:D50、視野角:2°、DIN-NB)
S: RODが95%以上の場合
A: RODが90%以上95%未満の場合
B: RODが80%以上90%未満の場合
C: RODが70%以上80%未満の場合
D: RODが60%以上70%未満の場合
E: RODが60%未満の場合
評価結果を下記表4〜表6に表す。
「銅化合物を添加していないインク」(例19〜21および例23〜24)に比べ、「銅化合物を添加したインク」(例1〜18および22)の画像耐光性のランクが3ランク以上高い場合をA、2ランク高い場合をB、1ランク高い場合をC、同じランクの場合をDとした。なお、例1〜7および例10〜13、例18、例24に関しては例19を、例8および例14〜17に関しては例20を、例9に関しては例21を、例22に関しては例23を「銅化合物を添加していないインク」として評価した。
評価結果を下記表4〜表6に表す。
印加Duty最大でベタ印字を行い、23℃、55%条件にて24時間乾燥後、CIE−L*a*b*座標を反射濃度計(「Spectrilino」(商品名:Gretag社製)を用いて測定し、「銅化合物を添加していないインク」(例19〜21および例23〜24)と「銅化合物を添加したインク」(例1〜18および22)の色差(ΔE)を求め、下記の判定基準により評価した。なお、「銅化合物を添加していないインク」と「銅化合物を添加したインク」の関係は、“画像耐光性改善度”のそれと同じである。
ΔE={(L*−L0 *)2+(a*−a0 *)2+(b*−b0 *)2}1/2
L*、a*、b* :「銅化合物を添加していないインク」の座標値
L0 *、a0 *、b0 *:「銅化合物を添加したインク」の座標値
評価S:ΔEが3未満
評価A:ΔEが3以上6未満
評価B:ΔEが6以上10未満
評価C:ΔEが10以上20未満
評価D:ΔEが20以上
評価結果を下記表4〜表6に表す。
Claims (7)
- 下記式(I)で表されるアントラピリドン系染料と、水に可溶な銅化合物とを含んでなり、前記銅化合物の含有量が、インク組成物に対して、0.05〜5質量%の範囲内であり、前記アントラピリドン系染料の含有量が、インク組成物に対して、1〜10質量%の範囲内であって、前記アントラピリドン系染料の含有量と、前記銅化合物の含有量との比が、1:1〜100:1の範囲内である、インク組成物:
- 前記アントラピリドン系染料が下記式(III)で表される化合物である、請求項1に記載のインク組成物:
で表される基を表す。さらにZは、塩素原子、水酸基、アミノ基、モノエタノールアミノ基、ジエタノールアミノ基、モルホリノ基、アニリノ基、フェノール基を表し、これらの基は、各々水素原子の部分が一種または二種以上の置換基により置換されていてもよい。) - 前記銅化合物が、塩素酸銅(II)、塩化銅(II)、サリチル酸銅(II)、グルコン酸銅(II)、蟻酸銅(II)、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム銅(II)、および酢酸銅(II)からなる群から選択される一種または二種以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 前記銅化合物が、塩化銅(II)、塩素酸銅(II)、グルコン酸銅(II)、蟻酸銅(II)、およびエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム銅(II)からなる群から選択される一種または二種以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 前記銅化合物がグルコン酸銅(II)である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 前記銅化合物がエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム銅(II)である、請求項1〜3いずれか一項に記載のインク組成物。
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