JP2013256548A - ポルフィラジン色素及びその製造方法、インク組成物及び着色体 - Google Patents

ポルフィラジン色素及びその製造方法、インク組成物及び着色体 Download PDF

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Abstract

【課題】耐オゾン性に優れ、且つインク中の色素濃度を高くしてもブロンズ現象を生じにくいインクジェット記録に適した色素、その製造方法及びこれを含有するインク組成物を提供する。
【解決手段】
Figure 2013256548

[式中、環A乃至Dはそれぞれ独立にベンゼン環又は複素芳香環、Eはアルキレン、R1はアルキル基、Xはスルホ基を有するアニリノ基等を表し、bは0.0より大きく3.9未満、cは0.1以上4.0未満、且つb及びcの和は1.0以上4.0未満]
【選択図】なし

Description

本発明はポルフィラジン色素及びその製造方法、これを含有するインク組成物、このインク組成物を用いたインクジェット記録方法及び着色体に関する。
インクジェット記録用インクに使用される色素としては、一般に染料や顔料が挙げられる。
これらのうち、水溶性染料を含有するインクにより記録された画像は、その保存安定性が十分ではないという問題が指摘されている。このため、該水溶性染料としては各種の耐久性、すなわち、耐光性、耐ガス性(NOx、SOx、オゾン等の酸化性ガス、特にオゾンガスに体する耐性)、耐湿性、及び耐水性等に優れる色素の開発が強く望まれている。
前記の耐久性に加え、インクジェット記録用のインクに使用される色素に対して要求される性能としては、水又は水を含有する有機溶剤に対する溶解性が良好なこと;高濃度記録が可能であると共に、ブロンジング(現象)を生じないこと;色相が良好であること;被記録材に対して定着性が良く、滲みにくいこと;インクの保存安定性に優れていること;毒性がないこと;さらには、安価に入手できること;等が挙げられる。
インクジェット記録用のシアンインクに用いられる水溶性シアン色素としては、フタロシアニン系やトリフェニルメタン系が代表的である。最も広範囲に報告され、利用されている代表的なフタロシアニン系色素としては、以下の各特許文献に開示されたフタロシアニン誘導体等が挙げられる。
しかしながら、前記したすべての品質を満足させ、さらには安価に製造可能なシアン色素はいまだ得られていない。このため、いまだ市場の要求を充分に満足させるには至っていない。
特開昭62−190273号公報 特開平7−138511号公報 特開2002−105349号公報 特開平5−171085号公報 特開平10−140063号公報 特表平11−515048号公報 特開昭59−22967号公報 特開2000−303009号公報 特開2002−249677号公報 特開2003−34758号公報 特開2002−80762号公報 国際公開第2004/087815号パンフレット 国際公開第2002/034844号パンフレット 特開2004−75986号公報 国際公開第2007/091631号パンフレット 国際公開第2007/116933号パンフレット 国際公開第2008/111635号パンフレット 国際公開第2010/020802号パンフレット 国際公開2010/038051号パンフレット 特開2005−179469号公報 国際公開2005/014725号パンフレット 国際公開2007/144586号パンフレット 特開2010−100739号公報 特開2007−023251号公報 特開2007−277416号公報
本発明は、耐オゾン性に優れ、且つインク中の色素濃度を高くしてもブロンズ現象を生じにくいインクジェット記録に適したポルフィラジン色素、その製造方法及びこれを含有するインク組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、各種のポルフィラジン色素を詳細に検討し、下記式(1)で表される特定の色素が、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、下記1)〜12)に関する。
1)
下記式(2)で表される化合物をクロロスルホニル化して得られる下記式(3)で表される化合物と、下記式(4)で表される有機アミンとを、アンモニア又はアンモニア発生源の存在下に反応させる、下記式(1)で表される色素又はその塩の製造方法。
Figure 2013256548
[式(2)中、破線で表される環A乃至Dは、それぞれ独立にベンゼン環又は複素芳香環を表し、該複素芳香環の個数は平均値で0.0より大きく3.0以下であり、残りはベンゼン環である。]。
Figure 2013256548
[式(3)中、破線で表される環A乃至Dは、前記式(2)におけるのと同じ意味を表し、nは平均値で1.0以上4.0未満である。]。
Figure 2013256548
[式(4)中、
Eはアルキレンを表し、
1はアルキル基を表し、
Xは少なくとも1つのスルホ基を有するアニリノ基であり、さらに、置換基として、カルボキシ基;リン酸基;ヒドロキシ基;アルコキシ基;アルキルカルボニルアミノ基;ウレイド基;ニトロ基;及び塩素原子;より成る群から選択される基を有してもよい。]。
Figure 2013256548
[式(1)中、
破線で表される環A乃至Dは、それぞれ独立にベンゼン環又は複素芳香環を表し、該複素芳香環の個数は平均値で0.0より大きく3.0以下であり、残りはベンゼン環であり
Eはアルキレンを表し、
1はアルキル基を表し、
Xは少なくとも1つのスルホ基を有するアニリノ基であり、さらに、置換基として、カルボキシ基;リン酸基;ヒドロキシ基;アルコキシ基;アルキルカルボニルアミノ基;ウレイド基;ニトロ基;及び塩素原子;より成る群から選択される基を有してもよい。
bは平均値で0.0より大きく3.9未満であり、
cは平均値で0.1以上4.0未満であり、
且つb及びcの和は、平均値で1.0以上4.0未満である。]。
2)
前記1)に記載の製造方法により得られる式(1)で表される色素又はその塩。
3)
下記式(1)で表される色素又はその塩。
Figure 2013256548
[式(1)中、
破線で表される環A乃至Dは、それぞれ独立にベンゼン環又は複素芳香環を表し、該複素芳香環の個数は平均値で0.0より大きく3.0以下であり、残りはベンゼン環であり、
Eはアルキレンを表し、
1はアルキル基を表し、
Xは少なくとも1つのスルホ基を有するアニリノ基であり、さらに、置換基として、カルボキシ基;リン酸基;ヒドロキシ基;アルコキシ基;アルキルカルボニルアミノ基;ウレイド基;ニトロ基;及び塩素原子;より成る群から選択される基を有してもよい。
bは平均値で0.0より大きく3.9未満であり、
cは平均値で0.1以上4.0未満であり、
且つb及びcの和は、平均値で1.0以上4.0未満である。]。
4)
前記2)又は3)に記載の色素又はその塩を含有するインク組成物。
5)
さらに有機溶剤を含有する前記4)に記載のインク組成物。
6)
インクジェット記録に用いる前記5)に記載のインク組成物。
7)
前記5)に記載のインク組成物の液滴を記録信号に応じて吐出させて、被記録材に付着させることにより記録を行うインクジェット記録方法。
8)
被記録材が情報伝達用シートである前記7)に記載のインクジェット記録方法。
9)
情報伝達用シートが普通紙であるか、又は表面処理されたシートであって、該シートが支持体上に白色無機顔料粒子を含有するインク受容層を有するシートである前記8)に記載のインクジェット記録方法。
10)
前記5)に記載のインク組成物を含有する容器。
11)
前記10)に記載の容器が装填されたインクジェットプリンタ。
12)
a)前記4)に記載のインク組成物、
b)前記5)に記載のインク組成物、又は、
c)前記7)に記載のインクジェット記録方法、
の前記a)乃至c)のいずれかにより着色された着色体。
耐オゾン性に優れ、且つインク中の色素濃度を高くしてもブロンズ現象を生じにくいインクジェット記録に適したポルフィラジン色素、その製造方法及びこれを含有するインク組成物を提供できた。
本発明の色素又はその塩は、前記式(1)で表される色素の混合物又はそれらの塩である。従って、本明細書においては該色素混合物の平均値をもって、本発明の色素又はその塩と記載する。該色素は水溶性であり、シアン色を呈するため、シアンインク用の色素として用いることができる。
なお、本明細書においては、便宜上、式(1)で表される「色素又はその塩」の両者を含めて、「色素」と簡略化して以下記載し、該両者を含む意味を有するものとする。
前記式(1)〜式(3)中、破線で表される環A乃至Dにおける複素芳香環としては、少なくとも1つの窒素原子を環構成原子として有する複素芳香環、すなわち含窒素複素芳香環が好ましく挙げられる。該窒素原子の数は通常1〜2つ、好ましくは1つである。具体例としては、窒素原子が1つのピリジン;同様に2つのピラジン、ピリダジン、ピリミジン;が挙げられる。
該複素芳香環におけるポルフィラジン環との縮環部位は特に制限されないが、環A乃至Dがピリジン環のとき、窒素原子の位置を1位として、2位及び3位で、又は、3位及び4位で縮環するのが好ましく、後者が特に好ましい。
該複素芳香環の個数は、いずれも平均値で通常0.0より大きく3.0以下、好ましくは0.2以上2.0以下、より好ましくは0.5以上1.7以下、さらに好ましくは0.7以上1.5以下の範囲である。残りの環A乃至Dはベンゼン環であり、環A乃至Dにおけるベンゼン環の個数は、同様に、通常平均値で、1.0以上4.0未満、好ましくは2.0以上3.8以下、より好ましくは2.3以上3.5以下、更に好ましくは2.5以上3.3以下である。
なお、本明細書においては特に断りの無い限り、該複素芳香環の個数は、小数点以下2桁目を四捨五入して1桁目までを記載する。但し、例えばピリジン環の個数が1.35、ベンゼン環の個数が2.65のとき、両者を四捨五入すると前者が1.4、後者が2.7となり、両者の合計が環A乃至Dの合計の4.0より大きくなってしまう。このような場合には、便宜上、複素芳香環側の小数点以下2桁目は切り捨て、ベンゼン環側のみ四捨五入することにより、前者を1.3、後者を2.7として記載する。
また、後記する式(1)におけるb及びcについても原則として小数点以下2桁目を四捨五入して1桁目までを記載するが、同様の場合においては、b側の小数点以下2桁目を切り捨て、c側のみ四捨五入して記載する。
前記式(1)及び式(4)中、Eにおけるアルキレンとしては、直鎖、分岐鎖又は環状アルキレンが挙げられ、直鎖又は環状が好ましく、直鎖がより好ましい。該アルキレンにおける炭素数の範囲は通常C2−C12、好ましくはC2−C6、より好ましくはC2−C4、特に好ましくはC2−C3が挙げられる。
具体例としてはエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、へキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレンといった直鎖のもの;2−メチルエチレン等の分岐鎖のもの;シクロプロピレンジイル、1,2−又は1,3−シクロペンチレンジイル、1,2−、1,3−又は1,4−等の各シクロへキシレンジイル等の環状のもの;等が挙げられる。
前記式(1)及び式(4)中、R1におけるアルキル基としては、直鎖、分岐鎖又は環状のものが挙げられ、直鎖又は分岐鎖のものが好ましく、直鎖のものがより好ましい。炭素数の範囲としては通常C1−C6、好ましくはC1−C4、より好ましくはC1−C3の範囲が挙げられる。
具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシルといった直鎖のもの;イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、イソペンチル、イソヘキシル等の分岐鎖のもの;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等の環状のもの;等が挙げられる。
これらの中ではメチル、エチル又はイソプロピルが好ましく、メチル又はエチルがより好ましく、メチルが特に好ましい。
前記式(1)及び式(4)中、Xにおける少なくとも1つのスルホ基を有するアニリノ基としては、通常1〜3つ、好ましくは1又は2つ、より好ましくは2つのスルホ基を有するアニリノ基が挙げられる。
具体例としては、2−スルホアニリノ、3−スルホアニリノ、4−スルホアニリノといったスルホ基を1つ有するもの;2,3−ジスルホアニリノ、2,4−ジスルホアニリノ、2,5−ジスルホアニリノ、3,4−ジスルホアニリノ、3,5−ジスルホアニリノといったスルホ基を2つ有するもの;2,3,4−トリスルホアニリノ、2,3,5−トリスルホアニリノ、2,3,6−トリスルホアニリノ、3,4,5−トリスルホアニリノといったスルホ基を3つ有するもの;等が挙げられる。これらの中では2,5−ジスルホアニリノが特に好ましい。
前記式(1)及び式(4)中、Xにおける前記少なくとも1つのスルホ基を有するアニリノ基が、さらにスルホ基以外の置換基を有するとき、その置換基の数は通常1又は2つ、好ましくは1つである。置換基の種類は単一でも複数でもよく、前記の群として記載した8種類の基から任意に選択される。
前記の群におけるアルコキシ基としては、直鎖、分岐鎖又は環状のものが挙げられ、直鎖又は分岐鎖のものが好ましく、直鎖のものがより好ましい。
炭素数の範囲としては通常C1−C6、好ましくはC1−C4、より好ましくはC1−C3の範囲が挙げられる。
具体例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキシロキシといった直鎖のもの;イソプロポキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシ、イソペンチロキシ、イソヘキシロキシ等の分岐鎖のもの;シクロプロポキシ、シクロペントキシ、シクロヘキシロキシ等の環状のもの;等が挙げられる。これらのうちではメトキシ、エトキシ又はイソプロポキシが好ましく、メトキシがより好ましい。
前記の群におけるアルキルカルボニルアミノ基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられ、直鎖のものが好ましい。アルキル部分の炭素数の範囲としては通常C1−C6、好ましくはC1−C4、より好ましくはC1−C3の範囲が挙げられる。具体例としては、メチルカルボニルアミノ(アセチルアミノ)、エチルカルボニルアミノ、n−プロピルカルボニルアミノ、n−ブチルカルボニルアミノ、といった直鎖のもの;イソプロピルカルボニルアミノといった分岐鎖のもの;等が挙げられる。これらの中ではアセチルアミノが好ましい。
前記式(1)〜式(3)におけるb、c及び、b及びcの和は、いずれも平均値である。bは0.0より大きく3.9未満である。
cは0.1以上4.0未満である。
また、b及びcの和は1.0以上4.0未満である。
このとき、環A乃至Dにおける複素芳香環は平均値で0.0より大きく3.0以下、同様にベンゼン環は1.0以上4.0未満である。
好ましくは環A乃至Dにおける複素芳香環が0.2以上2.0以下、ベンゼン環が2.0以上3.8以下のとき、bが1.8以上3.6以下であり、cが0.2以上2.0以下、b及びcの和は、2.0以上3.8以下である。
より好ましくは環A乃至Dにおける複素芳香環が0.3以上1.5以下、ベンゼン環が2.5以上3.7以下のとき、bが2.2以上3.0以下であり、cが0.3以上1.5以下、b及びcの和は、2.5以上3.7以下である。
さらに好ましくは環A乃至Dにおける複素芳香環が0.5以上1.2以下、ベンゼン環が2.8以上3.5以下のとき、bが2.1以上3.1以下であり、cが0.4以上1.4以下、b及びcの和は2.8以上3.5以下である。
bが大きくなるにつれて、耐オゾン性は向上する傾向にあるが、ブロンジングは生じやすくなる傾向にあり、耐オゾン性とブロンジングを考慮しながら、b、cの数を適宜調節し、バランスのよい比率を選択すればよい。
なお、b及びcでそれぞれの置換数を表される非置換スルファモイル基及び置換スルファモイル基はいずれも、環A乃至Dがベンゼン環である場合に、該ベンゼン環上に置換する基であり、環A乃至Dが複素芳香環である場合には置換しない。
なお、前記式(3)中、クロロスルホニル基の数を意味するnは平均値であり、好ましいもの等を含めて前記b及びcの和と同じ数を意味する。
前記式(1)〜式(4)において適宜使用される環A乃至D、E、X、R1、b、c、b及びcの和、及びnにおいて、好ましいもの同士を組み合わせたときはより好ましく、より好ましいもの同士を組み合わせたときはさらに好ましい。さらに好ましいもの同士、好ましいものとより好ましいものとを組み合わせたとき等についても同様である。
前記式(1)で表される色素は、分子内に有するスルホ基等の酸性官能基等を利用して塩を形成することも可能である。塩を形成するとき、そのカウンターカチオンは、無機金属;アンモニア(NH3);又は有機塩基;等の各カチオンと塩を形成するのが好ましい。
無機金属としてはアルカリ金属やアルカリ土類金属が挙げられる。アルカリ金属の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。アルカリ土類金属としては、例えばカルシウム、マグネシウム等が挙げられる。
有機塩基としては、特に有機アミンが挙げられ、例えばメチルアミン、エチルアミン等のC1−C3アルキルアミン類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のモノ−、ジ−又はトリ−C1−C4アルカノールアミン類;等が挙げられる。
上記のうち、式(1)で表される色素の好ましい塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のモノ−、ジ−又はトリ−C1−C4アルカノールアミンとの塩;及びアンモニウム塩(NH4 +);等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、式(1)で表される色素の塩は、その塩の種類により溶解性等の物理的な性質;又は、該色素を含有するインクの性能、特に堅牢性に関する性能;等が変化する場合もある。このため目的とするインクの性能等に応じて、塩の種類を選択することも好ましく行われる。
遊離酸から各種の塩を造塩する方法;各種の塩から遊離酸を得る方法;特定の塩から他の塩へ塩を交換する方法;等については、いずれも当業者であれば周知の方法が使用できる。
前記式(1)で表される色素の具体例を下記表1に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
また、当業者であれば周知の通り、式(1)で表される色素は複数の異性体を含む複雑な混合物であり、その状態で本発明により得られる効果を発揮する。本明細書においては、これらの異性体等を区別することなく、構造式で表示する場合は、便宜的に代表的な一つの構造式を記載する。なお、表中のb及びcの数については、煩雑さを避けるため、小数点以下1桁目を四捨五入して記載した。この理由から、表1中におけるbは便宜上0と記載されているが、これは計算処理の問題であり、式(1)中のbが0.0より大きいことを意味することには変わりはない。
下記表1における記号は、それぞれ以下の意味である。
3,4−P:3,4−ピリド(3位及び4位で縮環したピリジン環を意味する)。
B:ベンゼン環。
ET:エチレン。
PR:プロピレン。
Me:メチル。
Et:エチル。
i−Pr:イソプロピル。
Figure 2013256548
前記式(1)で表される色素の製造方法は、前記式(2)で表される化合物をクロロスルホニル化して得られる前記式(3)で表される化合物と、前記式(4)で表される有機アミンとを、アンモニア発生源の存在下に反応させる方法である。
前記式(2)で表される化合物は、いずれも公知の方法又はそれに準じて得ることができる。公知の方法としては、例えば前記特許文献15〜17に開示された方法等が挙げられる。
前記式(2)で表される化合物をクロロスルホニル化する方法としては、式(2)で表される化合物をクロロスルホン酸に加えて反応させた後、さらにクロロ化剤を加えて反応させる方法が好ましく挙げられる。式(2)で表される化合物とクロロスルホン酸とを反応させると、クロロスルホニル基とスルホ基とが混在して置換した化合物が得られ、目的とする式(3)で表される化合物を高選択的に得ることは困難である。このため、式(2)で表される化合物とクロロスルホン酸とを反応させた後、さらにクロロ化剤を加えて該スルホ基をクロロスルホニル基へ変換させる方法が好ましい。
式(2)で表される化合物をクロロスルホニル化するときは、式(2)で表される化合物に対してクロロスルホン酸を通常3〜20重量倍、好ましくは5〜10重量倍用いる。反応温度は通常100〜150℃、好ましくは120〜150℃である。反応時間については反応温度等の反応条件により異なるが、通常1〜10時間である。また、前記クロロ化剤としては、塩化チオニル、塩化スルフリル、三塩化リン、五塩化リン、オキシ塩化リン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中では塩化チオニルが好ましく挙げられる。クロロ化剤の添加量は、その種類により一様ではないが、式(2)で表される化合物1モルに対して通常6〜40モル、好ましくは9〜20モルである。このときの反応温度は通常30〜100℃、好ましくは50〜90℃である。反応時間については反応温度等の反応条件により異なるが、通常1〜10時間である。
前記式(4)で表される有機アミンは、以下の方法で製造することができる。
すなわち、「R1−OH」として表されるR1に対応するアルコール類5〜60モルと、2,4,6−トリクロロ−S−トリアジン(シアヌルクロライド)1モルと、炭酸水素ナトリウム0.8〜1.2モルとを、5〜70℃、2〜12時間の条件下に反応させて1次縮合物を含有する反応液を得る。得られた1次縮合物は適当な方法(例えば塩析等)により、ウェットケーキ等の固体として単離し、次の反応に用いてもよい。
次いで、Xに対応するアニリン0.9〜1.5モルの水溶液に、前記1次縮合物の反応液又はウェットケーキ(好ましくは反応液)を加え、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物により、反応液をおおよそpH4〜10に調整し、5〜80℃、好ましくは5〜40℃、0.5〜12時間反応させることにより2次縮合物を得る。
得られた2次縮合物1モルと、「H2N−E−NH2」として表されるEに対応するアルキレンジアミン類1〜50モルとを、おおよそpH4〜7、5〜90℃、好ましくは40〜90℃、0.5〜8時間反応させることにより、前記式(4)で表される有機アミンが得られる。各縮合反応のpH調整には、通常水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、炭酸ナトリウムや炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が用いられる。なお、縮合の順序はシアヌルクロライドと順次縮合する各化合物の反応性に応じて適宜決めるのがよい。
式(3)で表される化合物と、式(4)で表される有機アミンとの反応は、アンモニア又はアンモニア発生源の存在下に、水中で、おおよそpH8〜10、5〜70℃、好ましくは5〜40℃、1〜20時間反応させることにより行われ、目的の式(1)で表される色素が得られる。
アンモニアとしては、アンモニア水;アンモニアガスを含有する水混和性有機溶剤;等が挙げられる。アンモニアガスを含有する水混和性有機溶剤としては、例えばアンモニアガスを含有するジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。これらは水、又は水混和性有機溶剤にアンモニアガスを吹き込むこと等の公知の方法により調製することができるし、市販品として入手できるものもある。
「アンモニア発生源」とは、中和や分解によりアンモニアを発生する化学物質を意味する。該化学物質としては、例えば、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム等の中和によりアンモニアを発生するアンモニウム塩;尿素等の熱分解によりアンモニアを発生する物質;等が挙げられる。
前記のうちではアンモニアが好ましく、アンモニアの中でもアンモニア水がより好ましく、市販品として入手できる濃アンモニア水(通常は、およそ28%のアンモニア水として市販されている)、又はこれを必要に応じて水で希釈したアンモニア水がさらに好ましく、反応液の液量を少なくできる利点から濃アンモニア水が特に好ましい。
式(4)で表される有機アミンの使用量は、通常式(3)で表される化合物1モルに対して、理論値[目的とする式(1)で表される色素におけるcの値を得るのに必要な、計算上の式(4)で表される有機アミンのモル数]の1モル等量程度であるが、用いる有機アミンの反応性、反応条件により異なり、これらに限定されるものではない。
通常は前記理論値の1〜3モル当量、好ましくは1〜2モル当量程度である。
式(3)で表される化合物と、式(4)で表される有機アミンとの反応は、前記の通り水中で行われるため、式(3)におけるクロロスルホニル基の一部が加水分解を受けてスルホ基へと変換されることが理論上考えられる。すなわち、目的とする式(1)で表される色素における「−SO2NH2」基の一部が、スルホ基となった色素が該式(1)で表される色素に混入することが理論上考えられる。
しかしながら、式(1)で表される色素の通常の分析手段である質量分析において、該「−SO2NH2」基とスルホ基とを識別することは困難である。この理由から、本明細書においては式(4)で表される有機アミンと反応したもの以外の式(3)におけるクロロスルホニル基については、全て該「−SO2NH2」基へと変換されたものとして記載する。
前記の製造方法における最終工程の反応液から式(1)で表される色素を単離する方法としては、酸析;塩析;又は、これらを組み合わせた酸塩析;等の方法が挙げられる。
塩析は、例えば酸性〜アルカリ性、好ましくはpH1〜11の範囲で行うことが好ましい。塩析の際の温度は特に限定されないが、通常40〜80℃、好ましくは40〜60℃に加熱後、塩化ナトリウム等を加えて塩析するのが好ましい。
これらの単離方法の中では、pH1程度の強酸性下に塩析を行う酸塩析が好ましい。
当業者であれば周知の通り、フタロシアニン系のポルフィラジン色素は一般に、該置換基が置換する位置により、α位置換型;β位置換型;又は、αβ位混合置換型;の3種類に分類される。これらの分類については、例えば特許文献12、特許文献21等に開示されている。
前記式(1)で表される色素は、環A乃至Dとして、ベンゼン環を特定の平均値で有する。このため、該ベンゼン環上の置換基の位置により、フタロシアニン系のポルフィラジン色素と同様に3種類の置換型に分類することができる。
本発明の前記式(1)で表される色素は、これらのうちαβ位混合置換型である。
本発明のインク組成物は、前記式(1)で表される色素を含有することを特徴とする、実質的に溶液の水性インク組成物である。該色素を含有するインク組成物はシアンインクとして用いることができる。本発明のインク組成物は、色素濃度が高濃度のシアンインクのみならず、画像の階調部分を滑らかに再現する目的;又は淡色領域の粒状感を軽減する目的;等に用いられる色素濃度が低濃度のシアンインク(ライトシアンインクやフォトシアンインク等と呼ばれる)として用いてもよい。
また、該色素とイエロー色素とを配合してグリーンインクの調製に使用してもよいし、該色素とマゼンタ色素とを配合してバイオレットやブルーインクの調製に使用してもよい。さらに該色素と、例えばイエロー色素及びマゼンタ色素等を配合してインクを調製し、ダークイエロー、グレー又はブラック等の各インクとすることも可能である。
本発明のインク組成物をインクジェット記録に用いるときは、含有する式(1)で表される色素中に不純物として含まれるCl-及びSO4 2-等の陰イオンの含有量は少ないものが好ましい。該色素の総質量中における、Cl-及びSO4 2-の総含有量の目安としては通常5質量%以下、好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。下限は検出機器の検出限界以下、即ち0%でよい。該Cl-及びSO4 2-の含有量は、例えばイオンクロマトグラフィーで測定することができる。

前記陰イオンの含有量の少ない色素を製造する方法としては、例えば逆浸透膜による脱塩;又は、含水有機溶媒、好ましくは含水アルコール中での縣濁精製;等の方法を挙げることができる。
該含水アルコールに用いるアルコールとしては、C1−C4アルコール、好ましくはC1−C3アルコール、具体的にはメタノール、エタノール、n−プロパノール又は2−プロパノール(イソプロパノール)等が挙げられる。色素の溶解性等を考慮して、アルコールの種類は適宜選択される。懸濁生成を行う際には精製効率を向上する目的で、色素の縣濁液を、その沸点又は沸点近くの温度まで加熱して攪拌した後、必要に応じて冷却し、色素を濾過分離する方法も好ましく行われる。
該濾過分離により得られた色素のウェットケーキは、公知の方法により乾燥して、例えばインク組成物の調製に用いてもよい。。
本発明のインク組成物をインクジェット記録用途に用いる場合、前記の陰イオン以外として、亜鉛、鉄等の重金属;カルシウム;等の各イオン、及びシリカ等の不純物含有量も少ないことが好ましい。
但し、式(1)で表される色素は銅錯体を形成しているため、この中心金属である銅イオンについては不純物に含めない。
該不純物含有量の目安は、式(1)で表される色素の乾燥固体の総質量中において、亜鉛、鉄等の重金属イオン、カルシウムイオン、及びシリカ等について、各々おおよそ500ppm以下程度が好ましく、下限は分析機器の検出限界以下、即ち0ppmでよい。
色素の総質量中における前記不純物含有量は、イオンクロマトグラフィー、原子吸光法又はICP(Inductively Coupled Plasma)発光分析法により測定することができる。
本発明のインク組成物は、該組成物の総質量に対して式(1)で表される色素を0.1〜8質量%、好ましくは0.3〜6質量%含有する。
このインク組成物はさらに必要に応じて、水溶性有機溶剤及びインク調製剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有してもよい。水溶性有機溶剤は、染料の溶解、乾燥の防止、粘度の調整、浸透の促進、表面張力の調整、消泡等の効果を期待して使用され、本発明のインク組成物中には含有する方が好ましい。
インク調製剤としては、例えば、防腐防黴剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、染料溶解剤、褪色防止剤、表面張力調整剤、消泡剤等を必要に応じて加えてもよい。
インク組成物の総質量に対して、水溶性有機溶剤は通常0〜60質量%、好ましくは10〜50質量%;インク調製剤は通常0〜20質量%、好ましくは0〜15質量%;それぞれ用いるのがよい。残部は水である。
前記の水溶性有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等のC1−C4アルコール;N,N−ジメチルホルムアミド又はN,N−ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン又は1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の複素環式ケトン;アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトン又はケトアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル;エチレングリコール、1,2−又は1,3−プロピレングリコール、1,2−又は1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、チオジグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のC2−C6アルキレン単位を有するモノ、オリゴ又はポリアルキレングリコール又はチオグリコール;グリセリン、ヘキサン−1,2,6−トリオール等のポリオール(トリオール);エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールのC1−C4モノアルキルエーテル;γ−ブチロラクトン;又はジメチルスルホキシド;等が挙げられる。
前記の水溶性有機溶剤として好ましいものは、イソプロパノール、グリセリン、モノ、ジ又はトリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ブチルカルビトールであり、より好ましくはイソプロパノール、グリセリン、ジエチレングリコール、2−ピロリドン又はブチルカルビトールである。
これらは、単独もしくは混合して用いられる。
防腐防黴剤としては、例えば、有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリールスルホン系、ヨードプロパギル系、N−ハロアルキルチオ系、ベンゾチアゾール系、ニトリル系、ピリジン系、8−オキシキノリン系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオキシド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系、無機塩系等の化合物が挙げられる。
有機ハロゲン系化合物としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられる。ピリジンオキシド系化合物としては、例えば2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウムが挙げられる。イソチアゾリン系化合物としては、例えば1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウムクロライド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド等が挙げられる。
その他の防腐防黴剤としては、ソルビン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、及び酢酸ナトリウム、アーチケミカル社製、商品名プロクセルRTMGXL(S)やプロクセルRTMXL−2(S)等が挙げられる。
なお、本明細書において上付きの「RTM」は、登録商標を意味する。
pH調整剤は、インクの保存安定性を向上させる目的で、インクのpHを6.0〜11.0の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用することができる。例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化アンモニウム(アンモニア水);又は、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;タウリン等のアミノスルホン酸;等が挙げられる。
キレート試薬としては、例えばエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラシル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、桂皮酸系化合物、トリアジン系化合物、スチルベン系化合物、又はベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
粘度調整剤としては水溶性高分子化合物が挙げられ、例えばポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミン、ポリイミン等が挙げられる。
染料溶解剤としては、例えば尿素、ε−カプロラクタム、エチレンカーボネート等が挙げられる。
褪色防止剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。褪色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機の褪色防止剤としてはハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類等が挙げられ、金属錯体としてはニッケル錯体、亜鉛錯体等が挙げられる。
表面張力調整剤としては界面活性剤が挙げられ、例えばアニオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤等の種類がある。
アニオン界面活性剤としてはアルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸及びその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリールスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキルシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体等が挙げられる。
両性界面活性剤としてはラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシンその他イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル系;ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等のアセチレンアルコール系(例えば、日信化学社製サーフィノールRTM104、82、465、オルフィンRTMSTG等)等が挙げられる。
消泡剤としては、高酸化油系、グリセリン脂肪酸エステル系、フッ素系、シリコーン系化合物が必要に応じて用いられる。
これらのインク調製剤は、単独もしくは混合して用いられる。なお、本発明のインクの表面張力は通常25〜70mN/m、好ましくは25〜60mN/mである。また本発明のインクの粘度は30mPa・s以下に調整するのが好ましく、20mPa・s以下がより好ましい。
本発明のインク組成物を製造するにあたり、含有する各成分を溶解させる順序には特に制限はない。インク組成物の調製に用いる水は、イオン交換水又は蒸留水等の、金属イオン等の不純物が少ない水が好ましい。
このようにして調製されたインク組成物は、必要に応じメンブランフィルター等を用いて精密濾過を行って夾雑物を除いてもよい。該インク組成物をインクジェット記録に用いるときは精密濾過を行うことが好ましい。精密濾過を行うフィルターの孔径は通常1ミクロン〜0.1ミクロン、好ましくは、0.8ミクロン〜0.1ミクロンである。
本発明のインク組成物は、単色の画像形成のみならず、フルカラーの画像形成に用いることができる。フルカラー画像を形成するために、マゼンタインク、イエローインクとの3原色のインクセット、さらにはこれにブラックインクを加えた4色のインクセットとして使用してもよい。さらにはより高精細な画像を形成するために、ライトシアンインク、ライトマゼンタインク、ブルーインク、グリーンインク、オレンジインク、ダークイエローインク、グレーインク等と併用したインクセットとして使用することにより、広い可視領域の色調を表現することもできる。
本発明のインク組成物と併用する各色のインクセットに用いる色素としては、各色の公知の色素が挙げられる。
本発明のインク組成物は、印捺、複写、マーキング、筆記、製図、スタンピング等の各種の記録用途に使用でき、特にインクジェット記録に適する。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインク組成物に記録信号に応じてエネルギーを供与し、該インク組成物の液滴を吐出させて、各種の被記録材、即ち普通紙、樹脂コート紙、インクジェット専用紙、光沢紙、光沢フィルム、電子写真共用紙、繊維や布(セルロース、ナイロン、羊毛等)、ガラス、金属、陶磁器、皮革等に付着させて記録を行い、画像を形成する方法である。
インクジェット記録画像を形成する際には、画像に光沢性や耐水性を与えル目的;又は、耐候性を改善する目的;等の目的から、ポリマー微粒子分散物(ポリマーラテックスともいう)を併用してもよい。
ポリマーラテックスを被記録材に付与する時期については、被記録材にインクジェット記録を行う前であっても、後であっても、また同時であってもよい。
すなわち、ポリマーラテックスを含有する被記録材に本発明のインク組成物で記録してもよいし、該インク組成物中にポリマーラテックスを含有してもよい。また、該インク組成物によって被記録材へ記録を行う前又は後に、ポリマーラテックスを単独の液状物として被記録材に付与してもよい。
本発明の着色体は、
a)前記4)に記載のインク組成物、
b)前記5)に記載のインク組成物、又は、
c)前記7)に記載のインクジェット記録方法、
の前記a)乃至c)のいずれかにより着色された物質を意味する。
着色される物質としては特に制限されないが、例えば紙、フィルム等の情報伝達用シート、繊維や布(セルロース、ナイロン、羊毛等)、皮革、カラーフィルター用基材等が挙げられ、情報伝達用シートが好ましい。
情報伝達用シートとしては、表面処理されたもの、具体的には紙、合成紙、フィルム等の支持体(基材)上に、白色無機顔料粒子を含有するインク受容層を有するものが好ましい。インク受容層は、例えば前記基材にカチオン系ポリマーを含浸あるいは塗工する方法;多孔質シリカ、アルミナゾルや特殊セラミックス等の、インク中の色素を吸収し得る白色無機微顔料粒子を、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーと共に前記基材表面に塗工する方法;等により設けられる。
このようなインク受容層を有する情報伝達用シートは、通常インクジェット専用紙(フィルム)、光沢紙(フィルム)等と呼ばれる。この中でも、オゾンガス等の空気中の酸化作用を持つガスに対して影響を受けやすいとされているのが、多孔質シリカ、アルミナゾルや特殊セラミックス等のインク中の色素を吸収し得る無機微粒子を基材表面に塗工しているタイプのインクジェット専用紙である。
市販品として入手できる前記専用紙の代表的な例としては、キヤノン(株)製、商品名 写真用紙・光沢プロ「プラチナグレード」、写真用紙・光沢ゴールド、;セイコーエプソン(株)製、商品名 写真用紙クリスピア(高光沢)、写真用紙(光沢)、フォトマット紙;日本ヒューレット・パッカード(株)製、商品名 アドバンスフォト用紙(光沢);ブラザー(株)製、商品名 プレミアムプラスグロッシィフォトペーパー;等がある。
なお、普通紙も当然利用でき、具体的にはキヤノン(株)製、商品名 PBペーパーGF500;セイコーエプソン(株)製、商品名 両面上質普通紙;等が挙げられる。
本発明のインクジェット記録方法で被記録材に記録を行うときは、例えば前記のインク組成物を含有する容器をインクジェットプリンタの所定位置に装填し、前記の記録方法で記録を行えばよい。
インクジェットプリンタとしては、例えば機械的振動を利用したピエゾ方式のプリンタ;加熱により生ずる泡を利用したバブルジェット(登録商標)方式のプリンタ;等が挙げられる。本発明のインク組成物はこれらの吐出方式に限定されず、いずれの方式でも使用できる。
本発明の式(1)で表される色素を含有するインク組成物は、長期間の貯蔵を行っても沈澱、分離することがなく、物性や色相等の変化を生じることもないため、貯蔵安定性が良好である。また、該インク組成物をインクジェット記録に使用したとき、噴射器(インクヘッド)を閉塞することもない。本発明のインク組成物は連続式インクジェットプリンタによる比較的長い時間かつ一定の再循環下での記録;又はオンデマンド式インクジェットプリンタによる断続的な記録;等においても、物理的性質の変化を起こさない。
また、該インク組成物は、シアンインクとして鮮明かつ良好な色相を有し、印字濃度が高い記録画像が得られるため、インク中の色素濃度を低減することができる。この理由から、コストの減少といった産業上の優位性を有する。
さらに、記録画像の耐光性、耐水性、耐オゾンガス性及び耐湿性等の各種堅牢性、特に耐オゾンガス性に優れ、かつブロンジングを極めて生じにくいため、高品質の記録画像が得られる。
以下に本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。尚、本文中「部」及び「%」とあるのは、特別の記載のない限り質量基準である。また、反応、晶析等の各操作は、特に断りの無い限り、いずれも攪拌下に行った。また、合成反応に使用した、「商品名 レオコールRTMTD−90」は、ライオン株式会社製の界面活性剤である。
また、実施例で得た色素について最大吸収波長(λmax)を測定したものは、いずれもpH7〜9の水溶液中での測定値を記載した。この際のpHの調整は、水酸化ナトリウム水溶液を用いた。
なお、1回の合成で、目的とする化合物等の必要量が得られなかった場合には、必要な量が得られるまで、同一又は同様の操作を繰返し行った。
[実施例1]
(工程1)
前記式(2)における環A乃至Dのうち1.0が3位及び4位で縮環したピリジン環、残り3.0がベンゼン環で表される化合物の合成。
スルホラン400部に、無水フタル酸44.4部、シンコメロン酸16.7部、尿素144部、塩化銅(II)13.4部、及びモリブデン酸アンモニウム2.0部を加え、200℃まで昇温し、同温度で5時間反応した。反応終了後65℃まで冷却し、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)80部を加え、析出固体を濾過分離した。得られた固体をDMF220部で洗浄し、ウェットケーキ112.1部を得た。得られたウェットケーキをDMF340部に加え、110℃に昇温し、同温度で一時間攪拌した後、固体を濾過分離し、水300部で洗浄しウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを5%塩酸300部中に加え、60℃に昇温し、同温度で1時間攪拌した後、固体を濾過分離し、水300部で洗浄してウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを5%アンモニア水300部中に加え、60℃で1時間攪拌した後、固体を濾過分離し、水300部で洗浄し、ウェットケーキ138.2部を得た。得られたウェットケーキを80℃で乾燥し、目的化合物46.3部を青色固体として得た。
(工程2)
前記式(3)における環A乃至Dのうち1.0が3位及び4位で縮環したピリジン環、残り3.0がベンゼン環であり、nが3.0である化合物の合成。
室温下、クロロスルホン酸46.2部中に、60℃を超えないように実施例1
(工程1)で得た式(4)の化合物5.8部を徐々に加えた後、140℃で4時間反応した。得られた反応液を70℃まで冷却し、塩化チオニル17.9部を30分間で滴下し、70℃でさらに3時間反応した。反応液を30℃以下に冷却し、氷水800部中にゆっくりと注ぎ、析出固体を濾過分離し、冷水200部で洗浄することにより、目的化合物のウェットケーキ33.0部を得た。
(工程3)
前記式(4)で表される有機アミン[前記式(4)におけるEがエチレン、Xが2,5−ジスルホアニリノ、R1がメチルである有機アミン]の合成。
メタノール160部中に塩化シアヌル36.8部、商品名レオコールRTMTD−90(4部)、炭酸水素ナトリウム(16.8部)を加え、30℃以下で1時間反応し、一次縮合物を含む反応液を得た。
水280部中に2,5−ジスルホアニリン(56.1部)、25%水酸化ナトリウム水溶液(32部)を加えてpHを3〜5に調整した。この液に上記のようにして得た一次縮合物を含む反応液を徐々に加え、さらに25%水酸化ナトリウム水溶液でpH6〜7としながら室温で一晩反応し、二次縮合物を含有する反応液を得た。
得られた反応液に塩酸360部、氷125部を加えて0℃まで冷却し、さらにエチレンジアミン120部を滴下した。得られた液を25%水酸化ナトリウム水溶液でpH5〜6としながら80℃で2.5時間反応し、3次縮合物を含有する反応液を得た。
得られた反応液に塩酸55部を加え、pH1.0に調整した。このときの液量は1000部であった。得られた液に塩化ナトリウム200部を加えて30分間攪拌し、析出した固体を濾過分離してウェットケーキ183部を得た。得られたウェットケーキを水1000部に加え、25%水酸化ナトリウム水溶液でpH9.0に調整し、溶液を得た。この溶液に塩酸55部を加え、pH1.0に調整した。このとき液量は1400部であった。この液に塩化ナトリウム280部を加え、室温で30分間、さらに0℃で30分間攪拌し、析出した固体を濾過分離してウェットケーキ60部を得た。メタノール224部及び水56部の混合液中に、得られたウェットケーキを加えて懸濁液とし、50℃で1時間攪拌した後、固体を濾過分離してウェットケーキ51.3部を得た。得られたウェットケーキを乾燥させ、目的とする有機アミンの白色粉末37.0部を得た。
(工程4)
本発明の前記式(1)で表される色素[前記式(1)における環A乃至Dのうち1.0が3位及び4位で縮環したピリジン環、残り3.0がベンゼン環、Eがエチレン、Xが2,5−ジスルホアニリノ、R1がメチルであるαβ位混合置換型の色素]の合成。
氷水120部中に、実施例1(工程2)で得た式(3)のウェットケーキ33.0部を加え、5℃以下で撹拌懸濁した。10分後、10℃以下を保持しながら、実施例1(工程3)で得た式(4)で表される有機アミン2.1部を28%アンモニア水1部及び水40部の混合液中に溶解した溶液をこの縣濁液に加え、28%アンモニア水でpH9.0を保持しながら反応させた。同pHを保持したまま、1時間かけて20℃まで昇温し、同温度でさらに8時間反応した。この時の反応液の液量は225部であった。この反応液を50℃に昇温し、塩化ナトリウム33.8部を加えて30分撹拌した後、濃塩酸にてpH1.0に20分で調整し、析出した固体を濾過分離し、10%塩化ナトリウム水溶液100部で洗浄することによりウェットケーキ62.3部を得た。得られたウェットケーキを水200部に加え、25%水酸化ナトリウム水溶液でpH9.0に調整し、溶液とした。このときの液量は275部であった。この溶液を50℃に昇温し、塩化ナトリウム22.5部を加え30分撹拌した後、20分かけて濃塩酸にてpH1.0に調整し、析出した固体を濾過分離し、10%塩化ナトリウム水溶液100部で洗浄し、ウェットケーキ37.1部を得た。得られたウェットケーキをエタノール160部及び水40部の混合液に加えて懸濁液とし、この液を50℃で1時間攪拌した後、固体を濾過分離し、ウェットケーキ32.0部を得た。得られたウェットケーキを乾燥し、目的とする色素の遊離酸10.0部を青色粉末として得た。
λmax:605nm。
[比較用色素の合成]
以下に比較用の色素の合成方法を比較例1として記載する。
[比較例1]
(工程1)下記式(21)で表される、スルホ基の置換位置がβ位である化合物の合成。
四つ口フラスコに、スルホラン250部、4−スルホフタル酸73.86部(50%水溶液として得られる市販品を使用)、28%アンモニア水11.0部を加え、200℃に昇温し、同温度で2時間反応した。その後65℃まで冷却し、シンコメロン酸8.35部、尿素72部、酢酸銅(II)9.1部、モリブデン酸アンモニウム1部を加え、再度200℃へ昇温し、同温度で5時間反応した。反応終了後65℃まで冷却し、メタノール50部を加え、析出固体を濾過分離し、メタノール200部で洗浄し、ウェットケーキ106.1部を得た。得られたウェットケーキの全量を水343部、塩酸57部、塩化ナトリウム100部に加えて懸濁液とし、60℃に昇温して同温度で一時間攪拌した後、固体を濾過分離し、20%塩化ナトリウム水溶液200部で洗浄しウェットケーキを得た。得られたウェットケーキをメタノール400部、25%水酸化ナトリウム水溶液100部の混合溶媒中に加えて懸濁液とし、60℃に昇温して同温度で1時間攪拌した後、固体を濾過分離し、メタノール200部で洗浄し、ウェットケーキ76.5部を得た。得られたウェットケーキをメタノール540部、水60部の混合溶媒中に加えて懸濁液とし、60℃に昇温して同温度で1時間攪拌した後、固体を濾過分離し、メタノール200部で洗浄し、ウェットケーキ72.0部を得た。得られたウェットケーキを80℃で乾燥し、目的とする化合物31.2部を青色固体として得た。λmax=623nm。
Figure 2013256548
(工程2)下記式(22)で表される、クロロスルホニル基の置換位置がβ位である化合物の合成。
クロロスルホン酸39.8部中に、60℃を超えないように比較例1(工程1)で得た化合物6.65部を徐々に加え、120℃へ昇温し、4時間反応させた。反応液を70℃まで冷却し、塩化チオニル13.4部を30分間かけて滴下し、80℃で3時間反応を行った。反応液を30℃以下に冷却し、氷水1000部中にゆっくりと注ぎ、析出固体を濾過分離し、冷水100部で洗浄することにより、目的とする化合物のウェットケーキ33.3部を得た。
Figure 2013256548
(工程3)下記式(23)で表されるβ位置換型の比較用色素の合成。
Figure 2013256548
氷水50部中に、比較例1(工程2)で得たウェットケーキ33.3部を加え、5℃以下で撹拌懸濁した。10分後、10℃以下を保持しながら、実施例4(工程1)で得た式(4)で表される有機アミン1.6部を28%アンモニア水1部及び水40部の混合液中に溶解した溶液をこの縣濁液に加え、28%アンモニア水でpH9.0を保持しながら反応した。同pHを保持したまま、1時間かけて20℃まで昇温し、同温度でさらに8時間反応した。この時の反応液の液量は175部であった。反応液を50℃に昇温し、塩化ナトリウム35部を加えて30分撹拌した後、濃塩酸にてpH1.0に20分で調整し、析出した固体を濾過分離し、20%塩化ナトリウム水溶液100部で洗浄することによりウェットケーキ61.2部を得た。得られたウェットケーキを水130部に加え、25%水酸化ナトリウム水溶液でpH9.0に調整し、溶液とした。このときの液量は200部であった。この溶液を50℃に昇温し、塩化ナトリウム10部を加え30分撹拌した後、濃塩酸にてpH1.0に20分で調整し、析出した固体を濾過分離し、5%塩化ナトリウム水溶液100部で洗浄し、ウェットケーキ40.1部を得た。得られたウェットケーキをメタノール360部及び水40部の混合液に加えて懸濁液とし、50℃で1時間攪拌した後、固体を濾過分離し、ウェットケーキ18.6部を得た。得られたウェットケーキを乾燥し、式(23)で表される比較用色素の遊離酸8.1部を青色粉末として得た。λmax:608nm。
[実施例2]
[(A)インクの調製]
下記表2に記載の各成分を混合溶解し、0.45μmのメンブランフィルター(アドバンテック社製)で濾過する事により評価試験用のインクを調製した。インクの調製における「水」は、イオン交換水を使用した。又、インクのpHが8〜10となるように水酸化ナトリウムで調整し、総量が100部になるように水を加えた。実施例1で得た色素を用いたインクの調製を実施例2とする。
また実施例1で得た色素の代わりに、比較例1で得た比較用色素を用いる以外は実施例2と同様にして比較用インクを調製した。このインクの調製を比較例2とする。
なお、下記表2中に記載の「界面活性剤」は、日信化学株式会社製、商品名サーフィノールRTM104PG50を使用した。
Figure 2013256548
[(B)インクジェット記録]
インクジェットプリンタ(キヤノン社製、商品名PIXUS ip4500)を用い、下記3種類の光沢紙にインクジェット記録を行った。 インクジェット記録の際は、100%、85%、70%、55%、40%、25%の各濃度の6段階の階調が得られるようにグラデーションの画像パターンを作り、これを試験片とした。
光沢紙1:富士フィルム株式会社製、「画彩写真仕上げPro」。
光沢紙2:ヒューレット・パッカード社製、「アドバンスドフォト用紙」。
光沢紙3:セイコーエプソン社製、「写真用紙クリスピアRTM」。
[(C)記録画像の評価]
記録画像の各種試験方法及び試験結果の評価方法を以下に記載する。
1.耐オゾン性試験
オゾンウェザーメーター(スガ試験機社製 型式OMS−H)を用い、オゾン濃度10ppm、槽内温度23℃、湿度50%RHの試験条件下、各試験片を48時間放置した。各試験片における55%の階調部分について、試験前後の印字濃度(Dc)を測色システム用いて測定することにより色素の残存率を求め、下記の4段階で評価した。
測色システムとしては、X−rite社製の「SpectroEyeRTM」を用いた。測色は濃度基準にDIN、視野角2°、光源D65の条件で行なった。

A:残存率が90%以上。
B:残存率が85%以上、90%未満。
C:残存率が80%以上、85%未満。
D:残存率が80%未満。

残存率の値が高いほど試験前後の色変化が少ないため、耐オゾン性に優れることを意味する。結果を下記表3に示す。
2.ブロンジング試験
前記「(B)インクジェット記録」で作成した各試験片について、ブロンジングの発生の有無を目視にて確認し、下記の4段階で評価した。

A:いずれの階調部分についてもブロンジングの発生が無かった。
B:100%階調部分でブロンジングが発生した。
C:85%階調部分でブロンジングが発生した。
D:70%階調部分でブロンジングが発生した。

ブロンジングは発生しない方が記録画像の品質に優れる。結果を下記表4に示す。
Figure 2013256548
表3から明らかなように、本発明のαβ位混合置換型の色素を用いた実施例2は、耐オゾンガス性において、β位置換型の比較例2と同等以上に優れる。
一方、比較例2は2種類の光沢紙では70%階調部分、残りの1種類の光沢紙でも100%階調部分でブロンジングの発生が確認されたが、実施例2は全ての光沢紙の全ての階調においてブロンジングの発生が無かった。このことは実施例2のインクによる記録画像の品質が極めて高いことを示し、本発明のαβ位混合置換型の色素及びこれを含有するインク組成物により記録された画像は、堅牢性と品質のバランスに極めて優れることが確認された。
本発明の色素及びこれを含有するインク組成物により記録された画像は、優れた堅牢性と高い品質を示したことから、該色素及びこれを含有するインク組成物は各種の記録用途、特にインクジェット記録用途に極めて好適である。

Claims (12)

  1. 下記式(2)で表される化合物をクロロスルホニル化して得られる下記式(3)で表される化合物と、下記式(4)で表される有機アミンとを、アンモニア又はアンモニア発生源の存在下に反応させる、下記式(1)で表される色素又はその塩の製造方法。
    Figure 2013256548
    [式(2)中、破線で表される環A乃至Dは、それぞれ独立にベンゼン環又は複素芳香環を表し、該複素芳香環の個数は平均値で0.0より大きく3.0以下であり、残りはベンゼン環である。]。
    Figure 2013256548
    [式(3)中、破線で表される環A乃至Dは、前記式(2)におけるのと同じ意味を表し、nは平均値で1.0以上4.0未満である。]。
    Figure 2013256548
    [式(4)中、
    Eはアルキレンを表し、
    1はアルキル基を表し、
    Xは少なくとも1つのスルホ基を有するアニリノ基であり、さらに、置換基として、カルボキシ基;リン酸基;ヒドロキシ基;アルコキシ基;アルキルカルボニルアミノ基;ウレイド基;ニトロ基;及び塩素原子;より成る群から選択される基を有してもよい。]。
    Figure 2013256548
    [式(1)中、
    破線で表される環A乃至Dは、それぞれ独立にベンゼン環又は複素芳香環を表し、該複素芳香環の個数は平均値で0.0より大きく3.0以下であり、残りはベンゼン環であり
    Eはアルキレンを表し、
    1はアルキル基を表し、
    Xは少なくとも1つのスルホ基を有するアニリノ基であり、さらに、置換基として、カルボキシ基;リン酸基;ヒドロキシ基;アルコキシ基;アルキルカルボニルアミノ基;ウレイド基;ニトロ基;及び塩素原子;より成る群から選択される基を有してもよい。
    bは平均値で0.0より大きく3.9未満であり、
    cは平均値で0.1以上4.0未満であり、
    且つb及びcの和は、平均値で1.0以上4.0未満である。]。
  2. 請求項1に記載の製造方法により得られる式(1)で表される色素又はその塩。
  3. 下記式(1)で表される色素又はその塩。
    Figure 2013256548
    [式(1)中、
    破線で表される環A乃至Dは、それぞれ独立にベンゼン環又は複素芳香環を表し、該複素芳香環の個数は平均値で0.0より大きく3.0以下であり、残りはベンゼン環であり、
    Eはアルキレンを表し、
    1はアルキル基を表し、
    Xは少なくとも1つのスルホ基を有するアニリノ基であり、さらに、置換基として、カルボキシ基;リン酸基;ヒドロキシ基;アルコキシ基;アルキルカルボニルアミノ基;ウレイド基;ニトロ基;及び塩素原子;より成る群から選択される基を有してもよい。
    bは平均値で0.0より大きく3.9未満であり、
    cは平均値で0.1以上4.0未満であり、
    且つb及びcの和は、平均値で1.0以上4.0未満である。]。
  4. 請求項2又は3に記載の色素又はその塩を含有するインク組成物。
  5. さらに有機溶剤を含有する請求項4に記載のインク組成物。
  6. インクジェット記録に用いる請求項5に記載のインク組成物。
  7. 請求項5に記載のインク組成物の液滴を記録信号に応じて吐出させて、被記録材に付着させることにより記録を行うインクジェット記録方法。
  8. 被記録材が情報伝達用シートである請求項7に記載のインクジェット記録方法。
  9. 情報伝達用シートが普通紙であるか、又は表面処理されたシートであって、該シートが支持体上に白色無機顔料粒子を含有するインク受容層を有するシートである請求項8に記載のインクジェット記録方法。
  10. 請求項5に記載のインク組成物を含有する容器。
  11. 請求項10に記載の容器が装填されたインクジェットプリンタ。
  12. a)請求項4に記載のインク組成物、
    b)請求項5に記載のインク組成物、又は、
    c)請求項7に記載のインクジェット記録方法、
    の前記a)乃至c)のいずれかにより着色された着色体。
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