JP5306233B2 - 水溶性アントラピリドン化合物又はその塩、インク組成物及び着色体 - Google Patents

水溶性アントラピリドン化合物又はその塩、インク組成物及び着色体 Download PDF

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Description

本発明は水溶性のアントラピリドン化合物又はその塩、これを含有するインク組成物及びこれにより着色された着色体に関する。
各種カラー記録方法の中で、その代表的方法の一つであるインクジェットプリンターによる記録方法、すなわちインクジェット記録は、インクの吐出方式が各種開発されているが、いずれもインクの小滴を発生させ、これを種々の被記録材、例えば、紙、フィルム、布帛等に付着させ記録を行うものである。この記録方法は、プリンターヘッドと被記録材とが直接接触しない為、音の発生がなく静かであり、また小型化、高速化、カラー化が容易であるという特長を有する為、近年急速に普及しつつあり、今後とも大きな伸長が期待されている。
従来、万年筆、フェルトペン等のインク及びインクジェット記録用のインクとしては、色素として水溶性の染料を水性媒体に溶解したインクが使用されている。また、これらのインクにおいては、ペン先やインク吐出ノズルでのインクの目詰まりを防止すべく、一般に水溶性の有機溶剤が添加されている。これらのインクには、十分な濃度の記録画像を与えること、ペン先やノズルの目詰まりを生じないこと、被記録材上での乾燥性がよいこと、滲みが少ないこと、保存安定性に優れること等が要求される。また、形成される記録画像には、耐水性、耐湿性、耐光性、耐ガス性等の堅牢度が求められている。
インクジェットプリンターのノズル詰まりは、ノズル付近でインク中の水分が他の溶剤や添加剤よりも先に蒸発し、水分が少なく溶剤や添加剤が多いという組成状態になったときに色素が結晶化し析出することに由来するものが多い。よって、インクを蒸発乾燥させた場合においても結晶が析出しにくいということが非常に重要な要求性能の一つである。また、この理由により、溶剤や添加剤に対する高い溶解性も色素に求められる性質の一つである。
ところで、コンピューターのカラーディスプレー上の画像又は文字情報をインクジェットプリンターによりカラーで記録するには、一般にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のインクによる減法混色が用いられ、これにより記録画像がカラーで表現される。CRT(ブラウン管)ディスプレー等におけるレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)による加法混色画像を、減法混色画像で出来るだけ忠実に再現するには、インクに使用される各色素、中でもY、M、Cのそれぞれが、標準に近い色相を有し且つ鮮明であることが望まれる。また、インクは長期の保存に対して安定であり、また上記のように記録画像の濃度が高く、しかも記録画像の堅牢度に優れていることが求められる。
近年のインクジェット記録技術の発達により、印刷スピードの向上がめざましく、オフィス環境での主用途である普通紙へのドキュメントの印刷に、電子トナーを用いたレーザープリンターと同じ様に、インクジェットプリンターを用いる動きが出ている。インクジェットプリンターは、記録紙の種類を選ばない、機械の価格が比較的安い、という利点があり、特にSOHO等の小〜中規模オフィス環境で普及が進んでいる。このように普通紙への印刷にインクジェットプリンターを使用する場合、印刷物に求められる各種の品質の中でも、色相や耐水性がより重視される傾向がある。従来、これらの性能、特に耐水性を満たすべく、色素として染料を使用した染料インクの代わりに、色素として顔料を使用した顔料インクを用いるという方法が提案されている。しかし、顔料インクは染料インクと異なり、溶液ではなく分散液になるため、保存安定性が不良であるという問題や、プリンターヘッドのノズルが詰まるという問題等が比較的起こりやすい。また、顔料インクを使用した場合、耐擦性にも問題が出ることが多く、色相も染料インクより劣る場合が多い。これに対して染料インクの場合、このような顔料インクを用いた場合の問題は比較的起こりにくいとされる。その反面、染料インクは特に耐水性が顔料インクと比較して著しく劣り、それに対する改良が強く望まれている。
普通紙上での耐水性向上という問題に対しては古くから多くの提案がなされている。耐水性に優れ、色相や耐光性等の改良を行ったインクジェット記録用のマゼンタ色素として、例えば特許文献1乃至10には、アントラピリドン系マゼンタ色素が開示され、特許文献11及び12には、架橋基で結合された二量体型のアントラピリドン系マゼンタ色素が開示されている。
特開2000−109464号公報 特開平10−306221号公報 特開2000−191660号公報 特開2000−169776号公報 特開2001−72884号公報 特開2001−139836号公報 特開2002−332418号公報 特開2005−8868号公報 特開2005−314514号公報 特開2006−188706号公報 国際公開第2003/027185号パンフレット 国際公開第2006/075706号パンフレット
特許文献1には耐水性及び/又は耐湿性に優れたマゼンタ色素が開示されているが、耐水性、特に普通紙に記録した場合の記録画像の耐水性について市場の要求を十分に満たしているとはいえない。
よって、より多くの種類の普通紙上で一様に優れた耐水性をもち、さらには色相、鮮明性にも優れたマゼンタ色素が求められていた。
本発明は水又は水溶性有機溶剤に対する溶解性が高く、インクジェット記録に適する色相と鮮明性を有し、特に普通紙にプリントした場合における耐水性に優れた水溶性のマゼンタ色素及びそれを含有する保存安定性の良いインク組成物を提供することを目的とする。
本発明者等は上記課題を解決すべく、鋭意検討した結果、特定の式で示される水溶性アントラピリドン化合物及びそれを色素として含有するインク組成物が上記課題を解決するものであることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
1)
下記式(1)で表されるアントラピリドン化合物又はその塩、
Figure 0005306233
(式中、Rは水素原子又はC1−C8アルキル基であり、
シアヌルアミノ基及びアゾ基が置換したベンゼン環上の、置換位置が特定されていないスルホン酸基は、シアヌルアミノ基の置換位置を1位、アゾ基の置換位置を5位とした場合に2位又は4位に置換しており、
Rは水酸基;アニリノ基;トルイジノ基;キシリジノ基;C2−C8アルキルアニリノ基;フェニルC1−C3アルキルアミノ基;C1−C12アルキルアミノ基;ジC1−C12アルキルアミノ基;カルボキシC1−C12アルキルアミノ基;又はスルホC1−C12アルキルアミノ基を表す。)、
2)
が水素原子又はC1−C8アルキル基であり、
Rがアニリノ基;トルイジノ基;キシリジノ基;C2−C4アルキルアニリノ基;フェニルC1−C3アルキルアミノ基;C1−C8アルキルアミノ基;ジC1−C8アルキルアミノ基;カルボキシC1−C5アルキルアミノ基;又はスルホC1−C4アルキルアミノ基である上記1)に記載のアントラピリドン化合物又はその塩、
3)
がメチル基であり、
Rがアニリノ基;トルイジノ基;キシリジノ基;C2−C4アルキルアニリノ基;フェニルC1−C3アルキルアミノ基;C1−C8アルキルアミノ基;又はカルボキシC1−C5アルキルアミノ基である上記1)に記載のアントラピリドン化合物又はその塩、
4)
下記式(19)で表される上記1)乃至3)のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物又はその塩、
Figure 0005306233
5)
下記式(20)で表される上記1)乃至3)のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物又はその塩、
Figure 0005306233
6)
上記1)乃至5)のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物又はその塩を色素として含有し、さらに水を含有することを特徴とするインク組成物、
7)
水溶性有機溶剤をさらに含有する上記6)に記載のインク組成物、
8)
インクジェット記録用である上記7)に記載のインク組成物、
9)
色素として含有する上記1)乃至5)のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物の総質量中における無機不純物の含有量が、該化合物の総質量に対して1質量%以下である上記6)乃至8)のいずれか一項に記載のインク組成物、
10)
色素として含有する上記1)乃至5)のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物の含有量が、組成物の総質量に対して0.1〜20質量%の範囲である請求項6乃至9のいずれか一項に記載のインク組成物、
11)
上記6)乃至10)のいずれか一項に記載のインク組成物をインクとして用い、該インクのインク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に記録を行うインクジェット記録方法、
12)
上記被記録材が情報伝達用シートである上記11)に記載のインクジェット記録方法、
13)
上記情報伝達用シートが普通紙又は多孔性白色無機物を含有するインク受容層を有するシートである上記12)に記載のインクジェット記録方法、
14)
上記6)乃至10)のいずれか一項に記載のインク組成物により着色された着色体、
15)
着色がインクジェットプリンターによりなされた上記14)に記載の着色体、
16)
上記6)乃至10)のいずれか一項に記載のインク組成物を含有する容器が装填されたインクジェットプリンター、
に関する。
本発明の上記式(1)で示される水溶性アントラピリドン化合物又はその塩は、水や水溶性有機溶剤に対する溶解性に優れる。また、インク組成物を製造する過程での、例えばメンブランフィルターに対する濾過性が良好であるという特徴を有し、インクジェット記録紙上で非常に鮮明で、明度の高いマゼンタ色の色相を与える。また、この化合物を色素として含有する本発明のインク組成物は、長期間保存後の結晶析出、物性変化、色相変化等もなく、貯蔵安定性が極めて良好である。そして本発明のインク組成物をインクジェット記録用のインクとして使用した印刷物は被記録材(例えば紙、フィルム等)を選択することなくマゼンタ色の色相として理想的な色相であり、写真調のカラー画像を紙の上に忠実に再現させることも可能である。
さらに本発明のインク組成物は、従来の染料インクと比較して特に普通紙上での耐水性が極めて向上している。また、写真画質用インクジェット専用紙やフィルムのような多孔性白色無機物を表面に塗工した被記録材に記録しても耐水性が良好であり、写真調の記録画像の長期保存安定性にも優れている。このため、記録メディアを選ばないことが特徴の一つであるインクジェット印刷に非常に適しているインクである。このように、上記式(1)の水溶性アントラピリドン化合物はインク用、特にインクジェット記録用インクに含有するマゼンタ色素として極めて有用である。
発明を実施するための形態
本発明を詳細に説明する。なお、本明細書においては特に断りがない限り、スルホン酸基、カルボキシ基等の酸性官能基は遊離酸の形で表す。また、本発明のアントラピリドン化合物又はその塩は、マゼンタインク組成物又はマゼンタインク用の色素である。以下、便宜上、「本発明のアントラピリドン化合物又はその塩」を含めて、単に「本発明のアントラピリドン化合物」と簡略して記載する。
本発明のアントラピリドン化合物は、上記式(1)で表される。式(1)中、Rは水素原子又はC1−C8アルキル基であり、シアヌルアミノ基及びアゾ基が置換したベンゼン環上の、置換位置が特定されていないスルホン酸基は、シアヌルアミノ基の置換位置を1位、アゾ基の置換位置を5位とした場合に2位又は4位に置換しており、Rは水酸基;アニリノ基;トルイジノ基;キシリジノ基;C2−C8アルキルアニリノ基;フェニルC1−C3アルキルアミノ基;C1−C12アルキルアミノ基;ジC1−C12アルキルアミノ基;カルボキシC1−C12アルキルアミノ基;又はスルホC1−C12アルキルアミノ基を表す。
上記式(1)において、Rで表されるC1−C8アルキル基としては、直鎖、分岐鎖及び環状アルキル基のいずれでもよいが、直鎖又は分岐鎖のものが好ましく、直鎖のものがより好ましい。該アルキル基の炭素数は、C1−C5が好ましく、C1−C3がより好ましい。具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル等の直鎖;イソプロピル、2−メチルブチル、イソブチル、tert−ブチル等の分岐鎖;及び、シクロプロピル、シクロブチル等の環状のアルキル基が挙げられる。上記の具体例のうち、最も好ましいものはメチルである。
上記式(1)において、シアヌルアミノ基及びアゾ基が置換したベンゼン環上の、置換位置が特定されていないスルホン酸基は、シアヌルアミノ基の置換位置を1位、アゾ基の置換位置を5位とした場合に2位又は4位に置換している。スルホン酸基の置換位置としてはいずれも好ましく、該スルホン酸基の置換位置が2位と4位との混合物であってもよい。
なお、式(1)中、上記「シアヌルアミノ基及びアゾ基が置換したベンゼン環」に付与した1乃至6の数字は、該ベンゼン環上の位置を記載したものである。
以下、上記式(1)において、Rがトルイジノ基;キシリジノ基;C2−C8アルキルアニリノ基;フェニルC1−C3アルキルアミノ基;C1−C12アルキルアミノ基;ジC1−C12アルキルアミノ基;カルボキシC1−C12アルキルアミノ基;又はスルホC1−C12アルキルアミノ基を表す場合、その具体例等について順次記載する。
Rで表されるトルイジノ基としてはo−、m−、p−トルイジノが挙げられる。
同様に、キシリジノ基としては、2,4−キシリジノ、2,5−キシリジノ、3,5−キシリジノ、3,4−キシリジノが挙げられる。
同様に、C2−C8アルキルアニリノ基のC2−C8アルキル部分は、直鎖、分岐鎖のいずれでもよいが、直鎖がより好ましい。該アルキル部分の炭素数は、C2−C6が好ましく、C2−C4がより好ましい。その具体例としては、4−エチルアニリノ、4−n−ブチルアニリノ、4−tert−ブチルアニリノ、4−n−ヘキシルアニリノ、4−n―オクチルアニリノ等が挙げられる。
同様に、フェニルC1−C3アルキルアミノ基のC1−C3アルキル部分は、直鎖、分岐鎖のいずれでもよいが、直鎖がより好ましい。その具体例としては、ベンジルアミノ、2−フェネチルアミノ、フェニルプロピルアミノ等のアルキル部分が直鎖のもの;1−フェネチルアミノ等のアルキル部分が分岐鎖のもの;等が挙げられる。
同様に、C1−C12アルキルアミノ基のC1−C12アルキル部分は、直鎖、分岐鎖のいずれでもよく、いずれも好ましいが、分岐鎖がより好ましい。該アルキル部分の炭素数は、C1−C10が好ましく、C1−C8がより好ましい。その具体例としては、メチルアミノ、ブチルアミノ、ヘキシルアミノ、オクチルアミノ、デシルアミノ、等のアルキル部分が直鎖のもの;2−エチルヘキシル等のアルキル部分が分岐鎖のもの;等が挙げられる。
同様に、ジC1−C12アルキルアミノ基のアルキル部分は、直鎖、分岐鎖のいずれでもよいが、直鎖がより好ましい。該アルキル部分の炭素数は、C1−C8が好ましい。その具体例としては、ジメチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ジヘキシルアミノ等が挙げられる。
同様に、カルボキシC1−C12アルキルアミノ基のアルキル部分は、直鎖、分岐鎖のいずれでもよいが、直鎖がより好ましい。該アルキル部分の炭素数は、C1−C8が好ましく、C1−C5がより好ましい。その具体例としては、カルボキシメチルアミノ、カルボキシエチルアミノ、5−カルボキシペンチルアミノ等が挙げられる。
同様に、スルホC1−C12アルキルアミノ基のアルキル部分は、直鎖、分岐鎖のいずれでもよいが、直鎖がより好ましい。該アルキル部分の炭素数は、C1−C8が好ましく、C1−C6がより好ましく、C1−C4がさらに好ましい。その具体例としては、2−スルホエチルアミノ、3−スルホプロピルアミノ、4−スルホブチルアミノ等が挙げられる。
Rとして好ましいものは、アニリノ基、キシリジノ基、C2−C8アルキルアニリノ基、フェニルC1−C3アルキルアミノ基、C1−C12アルキルアミノ基、カルボキシC1−C12アルキルアミノ基であり、より好ましくはアニリノ基及びC2−C8アルキルアニリノ基である。これらの好ましい具体例としては、下記表1のRに記載した各基であり、アニリノ、2,4−ジメチルアニリノ、4−n−ブチルアニリノ、ベンジルアミノ、フェネチルアミノ、フェニルプロピルアミノ、2−エチルヘキシルアミノ、5−カルボキシペンチルアミノ、等がより好ましい。上記のうち、アニリノ及び4−n−ブチルアニリノがさらに好ましい。
上記R及びRとして挙げたもののうち、好ましいもの同士を組み合わせた化合物はより好ましく、より好ましいもの同士を組み合わせた化合物はさらに好ましい。また、さらに好ましいもの同士等についても同様である。
本発明の上記式(1)で示されるアントラピリドン化合物の具体例を下記表1に示す。
Figure 0005306233
上記式(1)で表される化合物は遊離酸、あるいはその塩の形としても存在する。上記式(1)で表される化合物の塩としては、無機又は有機の陽イオンとの塩が挙げられる。無機陽イオンの塩の具体例としてはアンモニウム塩やアルカリ金属塩、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム等の塩が挙げられる。また、有機の陽イオンとしては、例えば下記式(4)で表される化合物の塩が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
Figure 0005306233
(式(4)中、Z〜Zはそれぞれ独立に水素原子、C1−C4アルキル基、ヒドロキシC1−C4アルキル基、又はヒドロキシC1−C4アルコキシC1−C4アルキル基を表す。このうち、Z〜Zの全てが水素原子である組み合わせはアンモニウム塩である。)
ここで、Z〜Zがアルキル基の例としてはメチル、エチル等が挙げられ;同じくヒドロキシアルキル基の例としてはヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシブチル等が挙げられ;さらにヒドロキシアルコキシアルキル基の例としては、ヒドロキシエトキシメチル、2−ヒドロキシエトキシエチル、3−(ヒドロキシエトキシ)プロピル、3−(ヒドロキシエトキシ)ブチル、2−(ヒドロキシエトキシ)ブチル等が挙げられる。
上記塩のうち好ましいものとしては、ナトリウム、カリウム、リチウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンの塩、アンモニウム塩等が挙げられる。これらのうち特に好ましいものは、リチウム、ナトリウム、カリウム、及びアンモニウム塩である。
当業者においては明らかなように、上記式(1)で表される化合物の塩は以下の方法等により容易に得ることができる。
例えば、後述する実施例1の(工程8)における液量を880部に調整する前の反応液、あるいは式(1)で表される化合物を含むウェットケーキ又は式(1)で表される化合物の乾燥品等を溶解した水溶液に食塩を加えて塩析し、析出固体を濾過することにより、上記式(1)で表される化合物のナトリウム塩をウェットケーキとして得ることができる。
また、得られたナトリウム塩のウェットケーキを水に溶解後、塩酸等の酸を加えてそのpHを適宜調整し、析出した固体を濾過することにより、上記式(1)で表される化合物の遊離酸を、あるいは式(1)で表される化合物の一部がナトリウム塩である遊離酸とナトリウム塩との混合物を得ることもできる。
さらに、式(1)で表される化合物の遊離酸のウェットケーキを水と共に撹拌しながら、例えば、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア水、式(2)で表される化合物の水酸化物等を添加してアルカリ性にすれば、各々相当するカリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、又は4級アンモニウム塩を得ることもできる。
遊離酸のモル数に対して、加える上記の塩のモル数を制限することにより、例えばリチウムとナトリウムとの混塩等、さらにはリチウム、ナトリウム、カリウム、及びアンモニウムの混塩等も調製することが可能である。
上記式(1)で表される化合物の塩は、その塩の種類により溶解性等の物理的な性質、あるいはインクとして用いた場合のインクの性能、特に堅牢性に関する性能が変化する場合もある。このため目的とするインク性能等に応じて塩の種類を選択することも好ましく行われる。
以下に本発明の化合物の製造方法を記載する。なお、下記式(5)〜(11)中に記載のRは、上記式(1)におけるのと同じ意味を表す。
すなわち、下記式(5)で示されるアントラキノン化合物1モルとベンゾイル酢酸エチルエステル1.1〜3モルとを、キシレン等の極性溶媒中、炭酸ナトリウム等の塩基性化合物の存在下、130〜180℃の条件で5〜15時間反応させることにより、下記式(6)で表される化合物を得る。
Figure 0005306233
Figure 0005306233
得られた上記式(6)で表される化合物1モルとメタアミノアセトアニリド1〜5モルとを、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性有機溶媒中、炭酸ナトリウム等の塩基及び酢酸銅等の銅触媒の存在下、110〜150℃の条件で2〜6時間ウルマン反応により縮合させることにより、下記式(7)で表される化合物を得る。
Figure 0005306233
得られた上記式(7)で表される化合物を8〜15%発煙硫酸中、50〜120℃の条件でスルホ化すると同時に、アセチルアミノ基を加水分解することにより、下記式(8)で表される化合物を得る。
Figure 0005306233
得られた上記式(8)で表される化合物1モルと2,4,6−トリクロロ−S−トリアジン(シアヌルクロライド)1〜1.2モルとを、水中でpH2〜7.5、5〜35℃の条件で2〜8時間反応させることにより、1次縮合物である下記式(9)で表される化合物を得た後、さらに2,4−ジアミノベンゼンスルホン酸1〜1.2モルを添加し、pH3〜7、20〜70℃の条件で15分〜5時間反応させることにより、下記式(10)で表される化合物が得られる。
Figure 0005306233
Figure 0005306233
得られた上記式(10)で表される化合物1モルに、0〜10℃にて亜硝酸ナトリウム1〜1.1モルを添加し、次いで塩酸2〜3モルを添加してジアゾ化反応を行い、スルファミン酸を添加して過剰の亜硝酸ナトリウムを分解させた後、ジアゾニウム塩を、N−ベンゾイルH酸1モルとpH6〜9でカップリングさせて、下記式(11)で表される化合物を得る。
Figure 0005306233
次いで、上記式(11)で表される化合物1モルに、Rに対応する基を導入するために、例えばR−Hで表される化合物1〜4モルを添加し、pH2〜10、70〜100℃の条件で0.5〜5時間反応させることにより、本発明の上記式(1)で表される化合物が得られる。
本発明の上記式(1)の化合物は、反応後、塩酸等の鉱酸の添加により固体の遊離酸として単離することができる。また、得られた遊離酸の固体を水又は例えば塩酸水等の酸性水で洗浄すること等により、不純物として含有する無機塩、例えば塩化ナトリウム等の金属陽イオンの塩化物や、硫酸ナトリウム等の硫酸陽イオンのアルカリ金属塩等、すなわち、本明細書でいうところの「無機不純物」を除去することができる。
これらの無機不純物は、上記式(1)で表される化合物を色素として含有するインク組成物及び/又はインクを調製する場合に、該インク等の保存安定性や、該インクを使用してインクジェット記録等を行う際の吐出安定性等に悪影響を与えることが多い。このため、上記式(1)で表されるアントラピリドン化合物の総質量中における、該無機不純物の含有量は1質量%以下にすることが好ましく、下限は0質量%、すなわち分析機器における検出限界以下でもよい。
無機不純物の少ない化合物を製造するには、例えば逆浸透膜による方法が知られている。その他の方法として、上記式(1)で表される化合物の乾燥品あるいはウェットケーキを、メタノール等のC1−C4アルコール及び水の混合溶媒中に懸濁させて撹拌した後、固体を濾取し、乾燥することによっても脱塩処理が可能である。
上記式(1)の化合物は、天然及び合成繊維材料又は混紡品の染色、さらには、筆記用インク及びインクジェット記録用インクの製造に適している。
上記式(1)の化合物を含む反応液は、本発明のインク組成物の製造に直接使用することも出来る。また、反応液から該化合物を単離、例えばスプレー乾燥等の方法により反応液を乾燥して単離した後、得られた化合物をインク組成物に加工することもできる。本発明のインク組成物は、上記式(1)で表される化合物を色素としてインク組成物の総質量に対して通常0.1〜20質量%、より好ましくは1〜10質量%、さらに好ましくは2〜8質量%含有する。
本発明のインク組成物は水を媒体として調製され、必要に応じて、水溶性有機溶剤及びインク調製剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有してもよい。水溶性有機溶剤は、染料溶解剤、乾燥防止剤(湿潤剤)、粘度調整剤、浸透促進剤、表面張力調整剤、消泡剤等として使用される。その他のインク調製剤としては、例えば、防腐防黴剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、染料溶解剤、褪色防止剤、乳化安定剤、表面張力調整剤、消泡剤、分散剤、分散安定剤等の公知の添加剤が挙げられる。
水溶性有機溶剤の含有量はインクの総質量に対して0〜60質量%、好ましくは10〜50質量%であり、インク調製剤は同様に0〜20質量%、好ましくは0〜15質量%用いるのが良い。上記以外の残部は水である。
上記の水溶性有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等のC1−C4アルカノール(アルコール);N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン、1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の複素環式ケトン;アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトン又はケトアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル;エチレングリコール、1,2−又は1,3−プロピレングリコール、1,2−又は1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジグリコール等のC2−C6アルキレン単位を有するモノ、オリゴ、若しくはポリアルキレングリコール又はチオグリコール;グリセリン、ヘキサン−1,2,6−トリオール等のポリオール(トリオール);エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールのC1−C4モノアルキルエーテル;γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
上記の水溶性有機溶剤として好ましいものは、イソプロパノール、グリセリン、モノ、ジ、又はトリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、及びブチルカルビトールであり、より好ましくはイソプロパノール、グリセリン、ジエチレングリコール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、及びブチルカルビトールである。これらの水溶性有機溶剤は、単独又は混合して用いられる。
防腐防黴剤としては、例えば、有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリルスルホン系、ヨードプロパギル系、N−ハロアルキルチオ系、ベンゾチアゾール系、ニトリル系、ピリジン系、8−オキシキノリン系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオキシド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系、無機塩系等の化合物が挙げられる。
有機ハロゲン系化合物としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられる。
ピリジンオキシド系化合物としては、例えば2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウムが挙げられる。
イソチアゾリン系化合物としては、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウムクロライド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド等が挙げられる。
その他の防腐防黴剤としては、ソルビン酸ソーダ、酢酸ソーダ、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
防腐防黴剤のその他の具体例としては、例えば、アベシア社製 商品名プロクセルGXL(S)、プロクセルXL−2(S)等が好ましく挙げられる。
pH調整剤は、インクの保存安定性を向上させる目的で、インクのpHを6.0〜11.0の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用することができる。例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化アンモニウム、あるいは炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられる。
キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラシル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、桂皮酸系化合物、トリアジン系化合物、スチルベン系化合物、又はベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
粘度調整剤としては、水溶性有機溶剤の他に水溶性高分子化合物が挙げられ、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミン、ポリイミン等が挙げられる。
染料溶解剤としては、例えば、尿素、ε−カプロラクタム、エチレンカーボネート等が挙げられる。その中でも、尿素を使用するのが好ましい。
褪色防止剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。褪色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機系の褪色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類等があり、金属錯体系の褪色防止剤としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体等がある。
表面張力調整剤としては界面活性剤が挙げられ、例えば、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤等が挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、アルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸及びその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリールスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル系;ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等のアセチレングリコール(アルコール)系;その他の具体例として、例えば、日信化学社製 商品名サーフィノール104、82、465、オルフィンSTG等が挙げられる。
消泡剤としては、高酸化油系、グリセリン脂肪酸エステル系、フッ素系、シリコーン系化合物が必要に応じて用いられる。
これらのインク調製剤は、単独又は混合して用いられる。なお、本発明のインク組成物を含有するインクの表面張力は通常25〜70mN/m、より好ましくは25〜60mN/mである。同様に、インクの粘度は30mPa・s以下が好ましく、20mPa・s以下に調整することがより好ましい。
本発明のインク組成物を製造するにあたり、添加剤等の各薬剤を溶解させる順序には特に制限はない。インク組成物を調製するにあたり、用いる水はイオン交換水や蒸留水等の不純物が少ないものが好ましい。
さらに、必要に応じてメンブランフィルター等を用いて精密濾過を行い、夾雑物を除いてもよい。特にインクジェットプリンター用のインクとして使用する場合には精密濾過を行うことが好ましい。精密濾過を行うフィルターの孔径は通常1〜0.1μm、好ましくは、0.8〜0.2μmである。
本発明のアントラピリドン化合物を色素として含有するインク組成物は、印捺、複写、マーキング、筆記、製図、スタンピング、又は記録(印刷)、特にインクジェット記録における使用に適する。また、本発明のインク組成物は、インクジェットプリンターのノズル付近における乾燥によっても結晶の析出が起こりにくく、この理由によりプリンターヘッドの閉塞もまた起こりにくい。さらに、本発明のインク組成物をインクジェット記録に用いた場合、水、光、オゾンや酸化窒素ガス、及び摩擦に対する良好な耐性を有する高品質のマゼンタ色の印捺物が得られ、特に普通紙に記録した記録画像の耐水性が極めて良好である。
インクジェットプリンターにおいて、高精細な画像を供給することを目的に、高濃度のインクと低濃度のインクとの2種類のインクが1台のプリンターに装填されたものもある。その場合、色素として本発明の化合物を高濃度に含有するインクと、低濃度に含有するインクとをそれぞれ調製し、それらをインクセットとして使用してもよい。また、どちらか一方だけに該化合物を含有させてもよい。
また、本発明の化合物が有する耐水性等の効果を阻害しない範囲で、公知のマゼンタ色素を併用してもよい。
また、他の色、例えばブラックインクの調色用、あるいはイエロー色素やシアン色素と混合して、レッドインクやブルー(又はバイオレット)インクを調製する目的で、本発明の化合物を色素として用いることもできる。
本発明の着色体とは本発明の化合物で着色された物質のことである。着色体の材質には特に制限はなく、例えば紙、フィルム等の情報伝達用シート、繊維や布(セルロース、ナイロン、羊毛等)、皮革、カラーフィルター用基材等、着色されるものであればなんでもよく、これらに限定されない。着色法としては、例えば浸染法、捺染法、スクリーン印刷等の印刷法、インクジェットプリンターによる方法等が挙げられるが、インクジェットプリンターによる方法が好ましい。
上記の情報伝達用シートとしては、特に制限はなく、普通紙はもちろん、表面処理されたもの、具体的には紙、合成紙、フィルム等の基材にインク受容層を設けたもの等も用いることができる。ここでインク受容層とは、例えば上記基材にカチオン系ポリマーを含浸あるいは塗工する方法;多孔質シリカ、アルミナゾル、特殊セラミックス等のインク中の色素を吸収し得る無機微粒子をポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーと共に上記基材表面に塗工する方法;等により設けられる。このようなインク受容層を設けたものは通常インクジェット専用紙、インクジェット専用フィルム、光沢紙、光沢フィルム等と呼ばれる。
普通紙とは、特にインク受容層を設けていない紙のことを意味し、用途によってさまざまなものが数多く市販されている。市販されている普通紙の一例を挙げると、インクジェット用としては、セイコーエプソン社製 両面上質普通紙;キヤノン社製 カラー普通紙;Hewlett Packard社製 Multipurpose Paper、All−in−one Printing Paper;等がある。この他、特に用途をインクジェット印刷に限定しないPPC用紙等も普通紙である。
本発明のインク組成物は、上記のような普通紙に記録した画像の耐水性が特に優れているが、その他の光、オゾン、湿度、摩擦等に対する耐性にも優れる。一方、上記のインクジェット専用紙等に記録した記録画像の耐水性にも非常に優れ、また同様に耐光性、耐ガス性、耐湿性、耐擦性等にも優れる。
本発明のインクジェット記録方法で、被記録材に記録するには、例えば上記のインク組成物が充填された容器をインクジェットプリンターの所定位置に装填し、通常の方法で、被記録材に記録すればよい。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインク組成物と共に、イエロー、シアン、必要に応じて、グリーン、ブルー(又はバイオレット)、レッド、ブラック等の各インクを併用し得る。この場合、各色のインクは、それぞれの容器に注入され、それらの容器を、インクジェットプリンターの所定位置に装填して使用する。
インクジェットプリンターには、例えば機械的振動を利用したピエゾ方式;及び加熱により生ずる泡を利用したバブルジェット(登録商標)方式等を利用したものがある。本発明のインクジェット記録方法は、いかなる方式であっても使用が可能である。
本発明のインク組成物は、鮮明なマゼンタ色であり、普通紙やインクジェット専用紙等に記録した画像の鮮明度が高く、インクジェット記録方法に適した色相を有する。また、その記録画像の堅牢度、特に耐水性が非常に高いことを特徴とする。
本発明のインク組成物は、貯蔵中に色素成分等が沈澱、分離することがない。また、本発明のインク組成物をインクジェット記録に使用した場合、ノズル付近におけるインク組成物の乾燥による結晶の析出は非常に起こりにくく、噴射器(インクヘッド)を閉塞することもない。本発明のインク組成物は連続式インクジェットプリンターを用い、比較的長い時間間隔においてインクを再循環させて使用する場合においても、又はオンデマンド式インクジェットプリンターによる断続的な使用においても、物理的性質の変化を起こさない。
以下に本発明をさらに実施例により具体的に説明する。なお、本文中「部」及び「%」とあるのは、特別の記載のない限り質量基準である。また、実施例に記載した式中、1乃至6の置換位置を付与したベンゼン環に置換した、置換位置が特定されていないスルホン酸基は、いずれも2位又は4位に置換したものである。従って、該スルホン酸基を有する実施例中の化合物は、いずれも位置異性体の混合物である。また、実施例に記載した化合物のうち、最大吸収波長(λmax)の測定において、ほぼ同等の吸収強度を有するピークが複数観測されたものについては、その複数のピークのいずれをも最大吸収波長として記載した。このλmaxは、水溶液での測定値である。
[実施例1]
(工程1)キシレン360部中に、撹拌しながら、下記式(12)で表される化合物94.8部、炭酸ナトリウム3.0部、ベンゾイル酢酸エチルエステル144.0部を順次加えて昇温し、140〜150℃の温度で8時間反応を行った。その間、反応で生成するエタノール及び水をキシレンと共沸させながら系外へ留出させ、反応を完結させた。次いで、冷却し、30℃にてメタノール240部を添加して30分撹拌後、析出固体を濾取した。得られた固体をメタノール360部で洗浄後、乾燥して、下記式(13)で表される化合物124.8部を淡黄色針状結晶として得た。
Figure 0005306233
Figure 0005306233
(工程2)撹拌下、N,N―ジメチルホルムアミド300.0部中に、上記式(13)で表される化合物88.8部、メタアミノアセトアニリド75.0部、酢酸銅一水和物24.0部、及び炭酸ナトリウム12.8部を順次加えて120〜130℃に昇温し、3時間反応を行った。反応液を約50℃に冷却し、メタノール120部を添加して30分撹拌した。析出固体を濾取し、メタノール500部、次いで80℃の温水で洗浄した後、乾燥することにより、下記式(14)で表される化合物79.2部を青味赤色固体として得た。
Figure 0005306233
(工程3)98%硫酸130部に、撹拌下、水冷しながら28%発煙硫酸170部を添加して、12%発煙硫酸300部を調製した。水冷下、上記式(14)で表される化合物51.3部を50℃以下で添加した後、85〜90℃へ昇温し、4時間反応を行った。氷水600部中に反応液を添加し、その間、氷を加えながら発熱による液温の上昇を40℃以下に保持した。さらに水を加えて液量を1000部とした後、濾過して、不溶解物を除去した。得られた母液に温水を加えて1500部とし、液温を60〜65℃に保ちながら、塩化ナトリウム300部を添加して2時間撹拌し、析出した固体を濾取した。20%塩化ナトリウム水溶液300部で洗浄し、よく水分を絞って下記式(15)で表される化合物59.2部を含むウェットケーキ129.0部を赤色固体として得た。なお、この化合物の純度は、ジアゾ分析法により45.9%であった。
Figure 0005306233
(工程4)水60部中に上記(工程3)で得た上記式(15)で表される化合物のウェットケーキ67.7部を添加し、次いで25%水酸化ナトリウム水溶液24部を添加して撹拌し、さらに25%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを3〜4に調整しながら溶解させた。
一方、氷水60部に商品名リパールOH(アニオン界面活性剤、ライオン株式会社製)0.4部を加え、シアヌルクロライド8.9部を添加し、30分撹拌した後、得られた懸濁液を、上記の式(15)を含む溶液中に添加し、10%水酸化ナトリウム水溶液にてpHを2.7〜3.0に保ち、25〜30℃で4時間反応を行うことにより、下記式(16)で表される化合物を含有する反応液を得た。
Figure 0005306233
(工程5)上記(工程4)で得られた上記式(16)で表される化合物を含有する反応液中に、2,4−ジアミノベンゼンスルホン酸8.2部と水40部と25%苛性ソーダ水溶液6.7部とからなる水溶液を加え、次いで25%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH4.0に保持しながら、液温を50〜55℃まで昇温し、その温度で1時間反応を行うことにより、下記式(17)で表される化合物を含む反応液を得た。
Figure 0005306233
(工程6)上記(工程5)で得られた上記式(17)で表される化合物を含む反応液中に、氷を加えて3℃とし、40%亜硝酸ナトリウム水溶液7.2部を添加し、次いで濃塩酸12部を添加し、さらに水及び氷を加えて液量を600部に調整し、3〜5℃にて1時間撹拌した。さらに10%スルファミン酸水溶液を0.3部添加して過剰の亜硝酸ナトリウムを分解させ、ジアゾニウム反応液を得た。
(工程7)N−ベンゾイルH酸(純度:63%)28.2部と水120部と25%苛性ソーダ水溶液6.8部とからなる水溶液を上記(工程6)で得られたジアゾニウム反応液中に一気に添加し、次いで25%苛性ソーダ水溶液を添加してpHを7.5〜8.0に調整し、温度を50〜55℃となるように加熱し、1時間反応させることにより、下記式(18)で表される化合物を含有するスラリー液を得た。
Figure 0005306233
(工程8)上記(工程7)で得られたスラリー液にアニリン11.6部を添加し、加熱し、90℃にて30分間反応させた。その間、反応系内のpHは8から4に低下した。反応を完結後、反応液を濾過して不溶解物を除去した後、下記式(19)で表される化合物を含有する水溶液を得た。上記の水溶液を880部に調整し、次いで55℃に加熱し、濃塩酸を添加してpHを4.0に調整し、次いで塩化アンモニウム88部を添加し、55℃にて30分撹拌し、固体を析出させた。析出した固体を濾取し、15%塩化アンモニウム水溶液600部で洗浄して赤色ウェットケーキ200部を得た。
Figure 0005306233
(工程9)上記(工程8)で得られたウェットケーキをエタノール800部と共に加熱、撹拌し、65℃にて30分保持した後、析出固体を濾取し、エタノール500部で洗浄後、乾燥して上記式(19)で表される化合物の精製品49.2部のアンモニウム塩を赤色固体として得た。
λmax:519、538nm。
[実施例2]
実施例1の(工程1)〜(工程7)と同様にして得られた上記式(18)で表される化合物を含有するスラリー液に、実施例1の(工程8)で用いたアニリンの代わりに4−n−ブチルアニリン17.9部を添加して加熱し、90℃にて2時間反応させた。その間、反応系内のpHは8から4.6に低下した。反応を完結後、反応液を濾過して不溶解物を除去した後、濾液を800部に調整し、次いで60℃に加熱し、濃塩酸を添加してpHを3.5に調整し、次いで塩化アンモニウム40部を添加し、60℃にて30分撹拌し、固体を析出させた。析出した固体を濾取し、20%塩化アンモニウム水溶液200部で洗浄して赤色のウェットケーキ160部を得た。得られたウェットケーキをエタノール800部と共に加熱撹拌して70℃にて30分保持した後、析出固体を濾取し、エタノール500部で洗浄後、乾燥して下記式(20)で表される化合物41.6部のアンモニウム塩を赤色固体として得た。
λmax:522、539nm。
Figure 0005306233
[実施例3]
実施例1の(工程1)〜(工程7)と同様にして得られた上記式(18)で表される化合物を含有するスラリー液に、2,4−ジメチルアニリン14.5部を添加して加熱し、90℃にて40分反応させた。その間、反応系内のpHは8から3.8に低下した。反応を完結後、反応液を濾過して不溶解物を除去した後、濾液を800部に調整し、次いで55℃に加熱し、濃塩酸を添加してpHを4に調整し、次いで塩化アンモニウム80部を添加し、さらに濃塩酸を添加してpHを3に調整して固体を析出させた。析出した固体を濾取し、20%塩化アンモニウム水溶液400部で洗浄して赤色のウェットケーキ240部を得た。得られたウェットケーキをエタノール800部と共に加熱撹拌して65℃にて1時間保持した後、濾過し、エタノール400部で洗浄後、乾燥して下記式(21)で表される化合物のアンモニウム塩48.0部を赤色固体として得た。
λmax:518、536nm。
Figure 0005306233
[実施例4]
実施例1の(工程1)〜(工程7)と同様にして得られた上記式(18)のスラリー液に、フェネチルアミン14.5部を添加して加熱し、25%苛性ソーダ水溶液を加えながらpHを8〜9に調整して85℃にて3時間反応を行い、反応を完結させた。反応液を濾過して不溶解物を除去した後、濾液を1000部に調整し、次いで60℃に加熱し、濃塩酸を添加してpHを4.0に調整し、次いで塩化アンモニウム75部を添加し、さらに濃塩酸を添加してpHを2.0に調整して30分撹拌し、固体を析出させた。析出した固体を濾取し、20%塩化アンモニウム水溶液400部で洗浄して赤色のウェットケーキ120部を得た。得られたウェットケーキをエタノール800部と共に加熱撹拌して65℃にて30分保持した後、析出した固体を濾取し、エタノール400部で洗浄後、乾燥して下記式(22)で表される化合物49.0部のアンモニウム塩を赤色固体として得た。
λmax:520、536nm。
Figure 0005306233
[実施例5]
実施例1の(工程1)〜(工程7)と同様にして得られた上記式(18)のスラリー液に6−アミノヘキサン酸15.7部を添加し、25%苛性ソーダ水溶液を加えながらpHを8〜9に調整して90℃にて1時間反応を行い、反応を完結させた。濾過して不溶解物を除去した後、濾液を1000部に調整し、次いで60℃に加熱し、濃塩酸を添加してpHを3.0に調整し、次いで塩化アンモニウム100部を添加し、さらに濃塩酸を添加してpHを2.5に調整して15分撹拌し、固体を析出させた。析出した固体を濾取し、20%塩化アンモニウム水溶液240部で洗浄して赤色のウェットケーキ104部を得た。得られたウェットケーキをメタノール600部と共に加熱撹拌して60℃にて30分保持した後、氷冷して3℃にて30分撹拌後、濾過し、乾燥して下記式(23)で表される化合物19.2部のアンモニウム塩を赤色固体として得た。
λmax:516nm。
Figure 0005306233
[実施例6]
実施例1の(工程1)〜(工程7)と同様にして得られた上記式(18)のスラリー液に2−エチルヘキシルアミン15.5部を添加し、25%苛性ソーダ水溶液を加えながらpHを6〜6.5に調整して90℃にて2時間反応を行い、反応を完結させた。濾過して不溶解物を除去した後、濾液を1000部に調整し、次いで60℃に加熱し、濃塩酸を添加してpHを3.0に調整し、次いで塩化アンモニウム100部を添加し、さらに濃塩酸を添加してpHを1.5に調整して30分撹拌し、固体を析出させた。析出した固体を濾取し、20%塩化アンモニウム水溶液400部で洗浄して赤色のウェットケーキ144部を得た。得られたウェットケーキをエタノール1000部と共に加熱撹拌して70℃にて30分保持した後、20℃に冷却して析出した固体を濾過し、エタノール400部で洗浄し、乾燥して下記式(24)で表される化合物40.5部のアンモニウム塩を赤色固体として得た。
λmax:538、523nm。
Figure 0005306233
[(A)インクの調製]
上記実施例1の(工程9)で得られた上記式(19)で表される化合物、及びその他のインク調製剤等を、下記表2に示した組成比で混合して本発明のインク組成物を得た。得られたインク組成物を0.45μmのメンブランフィルターで濾過することにより夾雑物を除き、評価用のインクを得た。なお、水はイオン交換水を使用し、インク組成物のpHがおよそ9.0となるようにアンモニア水で調整後、総量が100部になるように水を加えた。得られたインクを実施例7とする。同様に、実施例2〜6で得られた化合物を用いる以外は実施例7と同様の組成及び操作によって得られたインクをそれぞれ実施例8〜12とする。
Figure 0005306233
[比較例1]
実施例1の(工程9)で得られた上記式(19)で表される化合物の代わりに、下記式(25)の比較用の色素を用いる以外は実施例7と同様にして、比較用のインク組成物を調製した。なお、下記式(25)で表される化合物はアンモニウム塩として合成したものを用いた。
Figure 0005306233
なお、上記式(25)の色素は次のようにして合成した。
実施例1の(工程1)〜(工程4)と同様にして得られた式(16)で表される化合物を含有する反応液中に、スルファニル酸8.0部と水40部と25%水酸化ナトリウム水溶液7.0部とからなる水溶液をpH3〜4で添加し、50℃に加熱し、その温度で1時間反応させた。その間、25%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを4に保持し、2次縮合液を得た。
得られた2次縮合液に、アニリン11.2部を添加し、90℃にて1.5時間反応させ、反応を完結させて3次縮合液を得た。その間、pHは5から3.4に低下した。濾過により不溶解物を除去した後、湯を加えて液量を500部に調整し、50℃に加熱し、濃塩酸を添加してpHを3に調整した。次いで塩化アンモニウム100部を添加し55℃にて1時間撹拌し、固体を析出させた。析出した固体を濾取し、20%塩化アンモニウム水溶液400部で洗浄して赤色のウェットケーキ84部を得た。
得られたウェットケーキをメタノール300部に加えて加熱し、55℃の温度で15分間保持して溶解させた。次いでエタノール75部を添加して、50℃にて15分間保持した後、水冷し、20℃にて30分間撹拌し、析出した固体を濾取し、メタノール280部とエタノール120部とからなる液で洗浄し、乾燥することにより、上記式(25)の色素49.2部を赤色固体として得た。
[(B)インクジェット記録]
インクジェットプリンター(キヤノン社製 商品名:PIXUS ip4100)を用いて、下記表3に示す5種類の普通紙にインクジェット記録を行った。インクジェット記録の際、チェック柄のパターン(濃度100%と0%との1.5mm角正方形を交互に組み合わせたパターン)を作成し、コントラストの高いマゼンタ−ホワイトの印字物を得た。また、反射濃度が数段階の階調が得られるように画像パターンも作成し、マゼンタ色のグラデーションを有する印字物を得た。
耐水性試験の目視判断を行う際には、チェック柄の印刷物を用いた。
耐水性試験の色素残存率測定は、グラデーションを有する印字物を用い、試験前の印字物の反射濃度D値が1に最も近い部分について反射濃度の測定を行った。反射濃度は測色システム(GretagMacbeth社製、商品名SectroEye)を用いて測定した。
記録画像の各種試験方法及び試験結果の評価方法を以下に記載する。
Figure 0005306233
[(C)印刷物のL*、a*、b*の測定]
プリントしたグラデーションを有する印字物中で反射濃度(D値)が1.0付近の部分について、上記測色システムを用いてL*、a*、b*値を測定した。鮮明性は、色度(a*、b*)からC*=[(a*)+(b*)1/2を算出した。
実施例7〜12及び比較例1の結果を下記表4に記す。
Figure 0005306233
実施例7〜12の色相は、普通紙1〜4の全てにおいて、b*が、比較例1のb*よりも値が小さく、黄味な色相である。また、実施例12は、普通紙1〜4において、L*値がそれぞれ52.9、53.5、54.1、52.4であったのに対し、比較例2は、それぞれ50.7、53.0、53.3、51.5と値が小さく、実施例12の方が比較例1よりも明度が高い色相ということが分かる。
普通紙2では、実施例7,9,11,12のC*値がそれぞれ61.5、62.4、60.8、60.8であったのに対し、比較例1は59.4と値が小さく、実施例7,9,11,12は比較例1よりも鮮明性が高い色相であることが分かる。
従って、本発明のアントラピリドン化合物は、普通紙においてインクジェット用マゼンタ色素として好適な鮮明性、明度を有すると言える。
[(D)耐水性試験1(浸漬試験)]
印刷後24時間乾燥を行ったチェック柄の印字物に対して、イオン交換水中に1時間浸漬した。乾燥後、パターンの着色部分の色落ち具合を目視で評価し、以下の基準で3段階に評価した。
色落ちがやや見られる・・・・・・・・・・・・・・・・・○
色落ちするが、着色の残存がある・・・・・・・・△
全て色落ちする・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・×
結果を表5に示す。
[(E)耐水性試験2(ふき取り試験)]
印刷後24時間乾燥を行ったグラデーションの印字物に対して、イオン交換水を一滴落とし、1分後にふき取る。乾燥後、反射濃度を上記の測色システムを用いて測色した。測定後、色素残存率を(試験後の反射濃度/試験前の反射濃度)×100(%)で計算して求めた値の結果を表6に示す。
Figure 0005306233
Figure 0005306233
表5及び表6の結果より明らかなように、目視評価の耐水性試験1において、比較例1では普通紙1〜4の全てについて着色物が色落ちしてしまい、プリント前の普通紙と同様の白色になるのに対し、実施例7〜12では色落ちが認められるものの、着色の残存があった。従って、実施例7〜12は比較例1よりも明らかに耐水性が良好である結果となった。
また、耐水性試験2において、普通紙1では、比較例1の残存率が60.2に対して、実施例7〜12は70.5〜82.6であり、普通紙2では、比較例1の残存率が71.9に対して、実施例7〜12は77.1〜83.2であり、普通紙3では、比較例1が67.8に対して、実施例7〜12は72.1〜87.4であり、普通紙4では、比較例1が58.3に対して、実施例7〜12が78.5〜86.5である。従って、普通紙1〜4の全てにおいて実施例7〜12が比較例1よりも残存率が高く、明らかに良好である結果が得られた。すなわち、比較例1に対して実施例7〜12の記録画像は、目視及び測色結果のいずれにおいても極めて優れた耐水性を示し、本発明の色素及びこれを含有するインクの有用性が明らかとなった。
以上の結果から、本発明の水溶性アントラピリドン化合物はインクジェット記録用のインク組成物を調製するのに適しており、各種の堅牢性、特に耐水性に極めて優れ、また水溶解性が高く、良好で鮮明な色相を持つ。これらの特徴から、本発明のアントラピリドン化合物は各種の記録用インク色素、特にインクジェットインク用のマゼンタ色の色素として非常に有用な化合物であることが明らかである。

Claims (16)

  1. 下記式(1)で表されるアントラピリドン化合物又はその塩。
    Figure 0005306233
    (式中、Rは水素原子又はC1−C8アルキル基であり、
    シアヌルアミノ基及びアゾ基が置換したベンゼン環上の、置換位置が特定されていないスルホン酸基は、シアヌルアミノ基の置換位置を1位、アゾ基の置換位置を5位とした場合に2位又は4位に置換しており、
    Rは水酸基;アニリノ基;トルイジノ基;キシリジノ基;C2−C8アルキルアニリノ基;フェニルC1−C3アルキルアミノ基;C1−C12アルキルアミノ基;ジC1−C12アルキルアミノ基;カルボキシC1−C12アルキルアミノ基;又はスルホC1−C12アルキルアミノ基を表す。)
  2. が水素原子又はC1−C8アルキル基であり、
    Rがアニリノ基;トルイジノ基;キシリジノ基;C2−C4アルキルアニリノ基;フェニルC1−C3アルキルアミノ基;C1−C8アルキルアミノ基;ジC1−C8アルキルアミノ基;カルボキシC1−C5アルキルアミノ基;又はスルホC1−C4アルキルアミノ基である請求項1に記載のアントラピリドン化合物又はその塩。
  3. がメチル基であり、
    Rがアニリノ基;トルイジノ基;キシリジノ基;C2−C4アルキルアニリノ基;フェニルC1−C3アルキルアミノ基;C1−C8アルキルアミノ基;又はカルボキシC1−C5アルキルアミノ基である請求項1に記載のアントラピリドン化合物又はその塩。
  4. 下記式(19)で表される請求項1乃至3のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物又はその塩。
    Figure 0005306233
  5. 下記式(20)で表される請求項1乃至3のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物又はその塩。
    Figure 0005306233
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物又はその塩を色素として含有し、さらに水を含有することを特徴とするインク組成物。
  7. 水溶性有機溶剤をさらに含有する請求項6に記載のインク組成物。
  8. インクジェット記録用である請求項7に記載のインク組成物。
  9. 色素として含有する請求項1乃至5のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物の総質量中における無機不純物の含有量が、該化合物の総質量に対して1質量%以下である請求項6乃至8のいずれか一項に記載のインク組成物。
  10. 色素として含有する請求項1乃至5のいずれか一項に記載のアントラピリドン化合物の含有量が、組成物の総質量に対して0.1〜20質量%の範囲である請求項6乃至9のいずれか一項に記載のインク組成物。
  11. 請求項6乃至10のいずれか一項に記載のインク組成物をインクとして用い、該インクのインク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に記録を行うインクジェット記録方法。
  12. 前記被記録材が情報伝達用シートである請求項11に記載のインクジェット記録方法。
  13. 前記情報伝達用シートが普通紙又は多孔性白色無機物を含有するインク受容層を有するシートである請求項12に記載のインクジェット記録方法。
  14. 請求項6乃至10のいずれか一項に記載のインク組成物により着色された着色体。
  15. 着色がインクジェットプリンターによりなされた請求項14に記載の着色体。
  16. 請求項6乃至10のいずれか一項に記載のインク組成物を含有する容器が装填されたインクジェットプリンター。
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