JPWO2011068046A1 - 水溶性アゾ化合物又はその塩、インク組成物及び着色体 - Google Patents
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Abstract
インクジェット記録に適する高い印字濃度をもち、且つ記録物の各種堅牢性、特に耐光性が高く、また、インク組成物を調製したときのインク組成物の保存安定性に優れたイエロー色素として、下記式(1)で表される水溶性アゾ化合物又はその塩を提供する。また、このイエロー色素を含有するインク組成物を提供する。なお、式(1)中、Qはハロゲン原子を表し、nは1から3の整数を表し、xは2から4の整数を表し、mは1又は2を表し、基Aは下記式(2)〜(4)のいずれかで表されるアミノ基を表す。式(2)〜(4)中、yは1から11の整数を表し、zは1又は2を表し、Rは水素原子等を表し、Wは0から2の整数を表す。
Description
本発明は水溶性のジスアゾ化合物又はその塩、これを含有するインク組成物、及びこれらにより着色された着色体に関する。
各種カラー記録方法の中で、その代表的方法の1つであるインクジェットプリンタによる記録方法は、インクの吐出方式が各種開発されている。これらは、いずれもインクの小滴を発生させ、これを種々の被記録材(紙、フィルム、布帛等)に付着させ記録を行うものである。この方法は、記録ヘッドと被記録材とが直接接触しないため、音の発生がなく静かである。また、小型化、高速化、カラー化が容易であるという特長を有するため、近年急速に普及しつつあり、今後とも大きな伸長が期待されている。
従来、万年筆やフェルトペン等のインク、及びインクジェット記録用のインクとしては、水溶性の色素(染料)を水性媒体に溶解したインクが使用されている。これらの水性インクには、ペン先やインク吐出ノズルでのインクの目詰まりを防止すべく、一般に水溶性の有機溶剤が添加されている。これらのインクには、十分な濃度の記録画像を与えること、ペン先やノズルの目詰まりを生じないこと、被記録材上での乾燥性が良いこと、滲みが少ないこと、保存安定性に優れること等の性能が要求される。
従来、万年筆やフェルトペン等のインク、及びインクジェット記録用のインクとしては、水溶性の色素(染料)を水性媒体に溶解したインクが使用されている。これらの水性インクには、ペン先やインク吐出ノズルでのインクの目詰まりを防止すべく、一般に水溶性の有機溶剤が添加されている。これらのインクには、十分な濃度の記録画像を与えること、ペン先やノズルの目詰まりを生じないこと、被記録材上での乾燥性が良いこと、滲みが少ないこと、保存安定性に優れること等の性能が要求される。
インクジェットのノズル詰まりは、ノズル付近でインク中の水分が他の溶剤や添加剤よりも先に蒸発し、水分が少なく溶剤や添加剤が多いという組成状態になったときに、色素が固化し析出することに由来するものが多い。よって、インク中の水分が少ない状態になった場合においても固体が析出しにくいということが非常に重要な要求性能の1つである。この理由から、溶剤や添加剤に対する高い溶解性も色素に求められる性質の1つである。また、ノズル詰まりを解消する方法として、印字濃度の高い色素を用いる手法が知られている。印字濃度が高い色素を用いることで、従来の印字濃度を保ちつつ、インク中の色素含有量を減らすことができる。これは色素を析出しにくくするだけでなく、コスト面でも有利であり、高い印字濃度を持つ色素の開発が望まれている。
コンピューターのカラーディスプレイ上の画像又は文字情報をインクジェットプリンタによりカラーで記録する方法としては、一般にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のインクによる減法混色が用いられ、これにより記録画像がカラーで表現される。CRT(ブラウン管)ディスプレイ等におけるレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)による加法混色画像を、減法混色画像でできるだけ忠実に再現するために、インクに使用される各色素、中でもY、M、Cのそれぞれが、標準色に近い色相を有し、且つ鮮明であることが望まれる。ここで言う鮮明さとは、一般的に高い彩度を持つことを意味する。彩度が低いY、M、Cの3原色を用いた場合、単色又は混色で表現できる色領域が狭くなり、表現したい色領域の範囲としては不十分となる場合がある。このため、高彩度な色素と、それを含有するインクの開発が望まれている。
また、インクの性能としては、長期の保存に対して安定であり、記録画像の濃度が高く、しかもその画像が耐水性、耐湿性、耐光性、耐ガス性等の堅牢度に優れることが求められる。ここで耐ガス性とは、空気中に存在する酸化作用を持つガス(酸化性ガスとも呼ばれる)が、被記録材上又は被記録材中で、記録画像の色素(染料)と反応し、記録画像を変退色させるという現象に対する耐性のことである。酸化性ガスの中でも特にオゾンガスは、インクジェット記録画像の変退色現象を促進させる主要な原因物質とされている。この変退色現象はインクジェット記録画像に特徴的なものであるため、耐オゾンガス性の向上はこの分野における重要な技術的課題である。
また、インクの性能としては、長期の保存に対して安定であり、記録画像の濃度が高く、しかもその画像が耐水性、耐湿性、耐光性、耐ガス性等の堅牢度に優れることが求められる。ここで耐ガス性とは、空気中に存在する酸化作用を持つガス(酸化性ガスとも呼ばれる)が、被記録材上又は被記録材中で、記録画像の色素(染料)と反応し、記録画像を変退色させるという現象に対する耐性のことである。酸化性ガスの中でも特にオゾンガスは、インクジェット記録画像の変退色現象を促進させる主要な原因物質とされている。この変退色現象はインクジェット記録画像に特徴的なものであるため、耐オゾンガス性の向上はこの分野における重要な技術的課題である。
近年のインクジェット技術の発達により、インクジェット記録(印刷)のスピードの向上がめざましい。このため、電子トナーを用いたレーザープリンタと同様に、オフィス環境での主用途である普通紙へのドキュメントの印刷に、インクジェットプリンタを用いる市場の動きがある。インクジェットプリンタは記録紙の種類を選ばず、またプリンタ自体の価格が安いという利点があり、特にスモールオフィス・ホームオフィス(SOHO)等の小〜中規模オフィス環境で普及が進んでいる。このように普通紙への印刷用途でインクジェットプリンタを使用する場合、印刷物に求められる品質の中では、色相、発色(印字)濃度、及び耐水性がより重視される傾向がある。
これらの性能を満たす目的で、顔料インクを用いる方法が提案されている。しかし、顔料インクは色素が水性インク中には溶解しないため溶液状態とはならず、分散状態のインクであるため、これをインクジェット記録に用いると、インク自体の安定性の問題や記録ヘッドのノズル詰まりの問題等が生じる。また、顔料インクを使用した場合、耐擦性にも問題を生じることが多い。染料インクの場合、このような問題は比較的起こりにくいとされるが、特に耐水性において顔料インクと比較して著しく劣り、それに対する改良が強く望まれている。また、染料インクは顔料インクと異なり、インクジェット記録により普通紙の表面に付着させた色素が、より速く紙の裏面方向へ浸透し、その結果、発色濃度が低下するという問題が起こりやすい。
これらの性能を満たす目的で、顔料インクを用いる方法が提案されている。しかし、顔料インクは色素が水性インク中には溶解しないため溶液状態とはならず、分散状態のインクであるため、これをインクジェット記録に用いると、インク自体の安定性の問題や記録ヘッドのノズル詰まりの問題等が生じる。また、顔料インクを使用した場合、耐擦性にも問題を生じることが多い。染料インクの場合、このような問題は比較的起こりにくいとされるが、特に耐水性において顔料インクと比較して著しく劣り、それに対する改良が強く望まれている。また、染料インクは顔料インクと異なり、インクジェット記録により普通紙の表面に付着させた色素が、より速く紙の裏面方向へ浸透し、その結果、発色濃度が低下するという問題が起こりやすい。
写真画質のインクジェット記録画像を得る方法の1つとして、被記録材の表面にインク受容層を設ける方法がある。このような目的で設けられるインク受容層は、インクの乾燥を早め、また高画質での色素の滲みを少なくするために、多孔性白色無機物を含むことが多い。しかし、特にこのような被記録材において、オゾンガスによる変退色が顕著に見られる。最近のデジタルカメラ及びカラープリンタの普及と共に、家庭でもデジタルカメラ等で得られた画像を写真画質として印刷する機会が増しているため、上記の酸化性ガスによる記録画像の変退色が問題視される。他の3原色であるマゼンタやシアンと比較すると、イエロー色素については耐光性と共に、良好な酸化性ガスへの耐性を有する色素が提案されてきている。しかし、市場が要求するような高い鮮明性と各種堅牢性とを十分に満足するインクジェット記録用の黄色色素やイエローインクは、未だ得られていない。
水溶性及び鮮明性に優れる公知のインクジェット用の黄色色素としては、C.I.(カラーインデックス)ダイレクト・イエロー132が挙げられる。また、近年のインクジェット記録用の黄色色素の開発により高堅牢性のアゾ系色素が複数提案されている。
特許文献1には、色濃度、耐湿性、耐酸化窒素ガス性、耐オゾンガス性、耐光性、及び溶解性に優れるとされる黄色色素が開示されている。
特許文献2には、溶解性及び鮮明性が高く、耐光性、耐湿性、及び耐オゾン性に優れるとされる黄色ジスアゾ染料が開示されている。
特許文献1には、色濃度、耐湿性、耐酸化窒素ガス性、耐オゾンガス性、耐光性、及び溶解性に優れるとされる黄色色素が開示されている。
特許文献2には、溶解性及び鮮明性が高く、耐光性、耐湿性、及び耐オゾン性に優れるとされる黄色ジスアゾ染料が開示されている。
本発明は、水に対する溶解性が高く、記録画像の耐光性に優れ、高い彩度を有し、堅牢性と画像品質とのバランスに優れた水溶性の黄色色素(化合物)及びそれを含有するインク組成物を提供することを目的とする。
本発明者等は上記課題を解決すべく、鋭意検討の結果、特定の式で表される水溶性アゾ化合物及びそれを含有するインク組成物が上記課題を解決するものであることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
1)
下記式(1)で表される水溶性アゾ化合物又はその塩、
[式(1)中、Qはハロゲン原子を表し、nは1から3の整数を表し、xは2から4の整数を表し、mは1又は2を表し、基Aは下記式(2)〜(4)のいずれかで表されるアミノ基を表す。]
[式(2)中、yは1から11の整数を表す。]
[式(3)中、zは1又は2を表す。]
[式(4)中、Rは水素原子、カルボキシ基、又はスルホ基を表し、Wは0から2の整数を表す。]
1)
下記式(1)で表される水溶性アゾ化合物又はその塩、
2)
Qが塩素原子であり、nが2であり、xが3であり、mが1である上記1)に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩、
3)
Qが塩素原子であり、nが2であり、xが3であり、mが1であり、基Aが上記式(2)で表されるアミノ基である上記1)に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩、
4)
上記1)乃至3)のいずれか一項に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩を、色素として含有するインク組成物、
5)
水溶性有機溶剤をさらに含有する上記4)に記載のインク組成物、
6)
インクジェット記録用である上記4)又は5)に記載のインク組成物、
7)
上記4)乃至6)のいずれか一項に記載のインク組成物をインクとして用い、該インクのインク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に付着させることにより記録を行うインクジェット記録方法、
8)
上記被記録材が情報伝達用シートである上記7)に記載のインクジェット記録方法、
9)
上記情報伝達用シートが多孔性白色無機物を含有するインク受容層を有するシートである上記8)に記載のインクジェット記録方法、
10)
(a)上記1)乃至3)のいずれか一項に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩、
(b)上記1)乃至3)のいずれか一項に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩を含有するインク組成物、及び
(c)上記1)乃至3)のいずれか一項に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩及び水溶性有機溶剤を含有するインク組成物、のいずれかにより着色された着色体、
11)
上記7)に記載のインクジェット記録方法により着色された着色体、
12)
上記4)に記載のインク組成物を含む容器が装填されたインクジェットプリンタ、
に関する。
Qが塩素原子であり、nが2であり、xが3であり、mが1である上記1)に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩、
3)
Qが塩素原子であり、nが2であり、xが3であり、mが1であり、基Aが上記式(2)で表されるアミノ基である上記1)に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩、
4)
上記1)乃至3)のいずれか一項に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩を、色素として含有するインク組成物、
5)
水溶性有機溶剤をさらに含有する上記4)に記載のインク組成物、
6)
インクジェット記録用である上記4)又は5)に記載のインク組成物、
7)
上記4)乃至6)のいずれか一項に記載のインク組成物をインクとして用い、該インクのインク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に付着させることにより記録を行うインクジェット記録方法、
8)
上記被記録材が情報伝達用シートである上記7)に記載のインクジェット記録方法、
9)
上記情報伝達用シートが多孔性白色無機物を含有するインク受容層を有するシートである上記8)に記載のインクジェット記録方法、
10)
(a)上記1)乃至3)のいずれか一項に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩、
(b)上記1)乃至3)のいずれか一項に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩を含有するインク組成物、及び
(c)上記1)乃至3)のいずれか一項に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩及び水溶性有機溶剤を含有するインク組成物、のいずれかにより着色された着色体、
11)
上記7)に記載のインクジェット記録方法により着色された着色体、
12)
上記4)に記載のインク組成物を含む容器が装填されたインクジェットプリンタ、
に関する。
上記式(1)で表される本発明の水溶性アゾ化合物又はその塩は、水に対する溶解性が高く、該化合物又はその塩を含有する本発明のインク組成物を製造する過程での、例えばメンブランフィルタに対する濾過性が良好であるという特徴を有する。また、本発明の化合物を含有する本発明のインク組成物により記録された画像は、従来の化合物を用いたものと比較して彩度及び耐光性に優れるため、画像品質と堅牢性とのバランスに優れる。このように、式(1)で表される本発明の水溶性アゾ化合物又はその塩、及びこれを含有するインク組成物は、各種記録用のインク、特にインクジェット記録用のインクとして極めて有用である。
本発明を詳細に説明する。
上記式(1)で表される本発明の水溶性アゾ化合物又はその塩は、水溶性の黄色色素である。本明細書においては特に断りがない限り、スルホ基、カルボキシ基等の酸性官能基は遊離酸の形で表す。また、本発明は、上記の通り、式(1)で表される水溶性アゾ化合物又は該化合物の塩の両者を含むものであるが、両者を常に「化合物又はその塩」等と併記するのは煩雑である。このため特に断りがない限り、便宜上、「本発明の(水溶性アゾ)化合物又はその塩」の両者を含めて単に「本発明の(水溶性アゾ)化合物」と簡略して、以下記載する。
上記式(1)で表される本発明の水溶性アゾ化合物又はその塩は、水溶性の黄色色素である。本明細書においては特に断りがない限り、スルホ基、カルボキシ基等の酸性官能基は遊離酸の形で表す。また、本発明は、上記の通り、式(1)で表される水溶性アゾ化合物又は該化合物の塩の両者を含むものであるが、両者を常に「化合物又はその塩」等と併記するのは煩雑である。このため特に断りがない限り、便宜上、「本発明の(水溶性アゾ)化合物又はその塩」の両者を含めて単に「本発明の(水溶性アゾ)化合物」と簡略して、以下記載する。
本発明の化合物は上記式(1)で表される。
式(1)中、Qはハロゲン原子を表す。ハロゲン原子の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子又は塩素原子が好ましく、塩素原子が特に好ましい。
式(1)中、Qはハロゲン原子を表す。ハロゲン原子の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子又は塩素原子が好ましく、塩素原子が特に好ましい。
上記式(1)中、nは1から3の整数、好ましくは2を表し、xは2から4の整数、好ましくは3を表し、mは1又は2、好ましくは1を表す。
式(1)における「−(SO3H)n」で表されるスルホ基の置換位置は特に制限されないが、アゾ基の置換位置を2位として、nが1の場合には6位;nが2の場合には4位及び8位、5位及び7位、6位及び8位、好ましくは6位及び8位;nが3の場合には4位、6位、及び8位;に、それぞれ置換するのが好ましい。
式(1)における「−(SO3H)n」で表されるスルホ基の置換位置は特に制限されないが、アゾ基の置換位置を2位として、nが1の場合には6位;nが2の場合には4位及び8位、5位及び7位、6位及び8位、好ましくは6位及び8位;nが3の場合には4位、6位、及び8位;に、それぞれ置換するのが好ましい。
上記式(1)において、基Aは上記式(2)乃至(4)で表されるアミノ基である。
上記式(2)において、yは1から11の整数、好ましくは1から5の整数、より好ましくは2を表す。
上記式(3)において、zは1又は2、好ましくは2を表す。
上記式(4)において、Rは水素原子、カルボキシ基、又はスルホ基を表し、好ましくはスルホ基である。また、wは0から2の整数、好ましくは1を表す。
上記式(2)において、yは1から11の整数、好ましくは1から5の整数、より好ましくは2を表す。
上記式(3)において、zは1又は2、好ましくは2を表す。
上記式(4)において、Rは水素原子、カルボキシ基、又はスルホ基を表し、好ましくはスルホ基である。また、wは0から2の整数、好ましくは1を表す。
基Aとしては、上記式(2)又は(3)で表されるアミノ基が好ましく、上記式(2)で表されるアミノ基がより好ましい。
上記のn、m、Q、R、w、x、y、及びzのうち、好ましいものを組み合わせた化合物はより好ましく、より好ましいものを組み合わせた化合物はさらに好ましい。好ましいものと、より好ましいものとの組み合わせ等についても同様である。
上記式(1)で表される本発明の化合物は、例えば次のようにして製造することができる。なお、下記式(AA)から(J)において適宜使用されるn、m、Q、R、w、x、y、及びzは、それぞれ上記式(1)におけるのと同じ意味を表す。
下記式(AA)で表される市販品の2−アミノ安息香酸を、重亜硫酸ナトリウム及びホルマリンを用いてメチル−ω−スルホン酸誘導体(B)に変換する。次いで、常法により、下記式(C)で表されるアミノベンゼンスルホン酸類をジアゾ化し、先に得られた式(B)のメチル−ω−スルホン酸誘導体と、反応温度0〜15℃、pH2〜4でカップリング反応を行い、引き続き、反応温度80〜95℃、pH10.5〜11.5で加水分解反応を行うことにより、下記式(D)の化合物が得られる。
下記式(AA)で表される市販品の2−アミノ安息香酸を、重亜硫酸ナトリウム及びホルマリンを用いてメチル−ω−スルホン酸誘導体(B)に変換する。次いで、常法により、下記式(C)で表されるアミノベンゼンスルホン酸類をジアゾ化し、先に得られた式(B)のメチル−ω−スルホン酸誘導体と、反応温度0〜15℃、pH2〜4でカップリング反応を行い、引き続き、反応温度80〜95℃、pH10.5〜11.5で加水分解反応を行うことにより、下記式(D)の化合物が得られる。
また、特開2004−75719号公報に記載の例を参考にし、市販品の2−アミノ−4−ハロゲノフェノールを原料として得られる下記式(E)で表される化合物を重亜硫酸ナトリウム及びホルマリンを用いてメチル−ω−スルホン酸誘導体(F)に変換する。次いで、常法により、下記式(G)で表されるアミノナフタレンスルホン酸類をジアゾ化し、先に得られた式(F)で表されるメチル−ω−スルホン酸誘導体と0〜15℃、pH2〜4でカップリング反応を行い、引き続き、80〜95℃、pH10.5〜11.5で加水分解反応を行うことにより、下記式(H)で表される化合物が得られる。
次に、上記式(D)で表されるアゾ化合物1当量とハロゲン化シアヌル、例えば塩化シアヌル1当量とを、温度0〜15℃、弱酸性(通常pH5〜6)で縮合することにより、下記式(I)で表される化合物が得られる。続いて、得られた式(I)で表される化合物1当量と、上記式(H)で表される化合物1当量とを、温度20〜35℃、弱酸性(通常pH6〜7)で縮合することにより、下記式(J)で表される化合物が得られる。
得られた上記式(J)で表される化合物のトリアジン環上の塩素原子を、80〜95℃、pH7〜9の条件下に、上記式(1)のAに相当するアミン類で置換することにより、上記式(1)で表される本発明の水溶性アゾ化合物を得ることができる。
上記式(C)で表される化合物としては、2−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼン−1,3−ジスルホン酸、2−アミノベンゼン−1,4−ジスルホン酸等が具体例として挙げられ、上記式(E)で表される化合物としては、2−(スルホエトキシ)−5−クロロアニリン、2−(スルホプロポキシ)−5−クロロアニリン、2−(スルホブトキシ)−5−クロロアニリン等が具体例として挙げられ、上記式(G)で表される化合物としては、2−アミノナフタレン−6−スルホン酸、2−アミノナフタレン−4,8−ジスルホン酸、2−アミノナフタレン−5,7−ジスルホン酸、2−アミノナフタレン−6,8−ジスルホン酸、2−アミノナフタレン−4,6,8−トリスルホン酸等が具体例として挙げられる。
上記式(1)で表される本発明の水溶性アゾ化合物の好ましい具体例を下記表1に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。表1において、スルホ基等の酸性官能基は遊離酸の形で表す。
上記式(1)で表される化合物は、遊離酸、あるいはその塩としても存在する。上記式(1)で表される化合物の塩としては、無機又は有機陽イオンとの塩が挙げられる。無機陽イオンの塩の具体例としては、アルカリ金属塩、例えばリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩;アンモニウム塩;等が挙げられる。また、有機陽イオンの塩としては、例えば下記式(5)で表される4級アンモニウムの塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記式(5)中、Z1〜Z4はそれぞれ独立に水素原子、C1−C4アルキル基、ヒドロキシC1−C4アルキル基、又はヒドロキシC1−C4アルコキシC1−C4アルキル基を表し、Z1〜Z4の少なくとも1つは水素原子以外の基である。
ここで、Z1〜Z4における上記C1−C4アルキル基の例としては、メチル、エチル等が挙げられる。同様に、上記ヒドロキシC1−C4アルキル基の例としては、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシブチル等が挙げられる。同様に、上記ヒドロキシC1−C4アルコキシC1−C4アルキル基の例としては、ヒドロキシエトキシメチル、2−ヒドロキシエトキシエチル、3−(ヒドロキシエトキシ)プロピル、3−(ヒドロキシエトキシ)ブチル、2−(ヒドロキシエトキシ)ブチル等が挙げられる。
上記塩のうち好ましいものは、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンの塩等の有機4級アンモニウム塩(好ましくはアルカノールアミン塩);アンモニウム塩;等が挙げられる。これらのうち、より好ましくは、リチウム塩、ナトリウム塩、及びアンモニウム塩である。
当業者においては明らかなように、上記式(1)の化合物の塩又は遊離酸は、以下の方法等により容易に得ることができる。
例えば、式(1)の化合物の合成反応における、最終工程終了後の反応液、あるいは式(1)の化合物を含む水溶液等に、例えばアセトンやC1−C4アルコール等の水溶性有機溶剤を加える方法;塩化ナトリウムを加えて塩析する方法;等の方法によって析出した固体を濾過分離することにより、上記式(1)の化合物のナトリウム塩等をウェットケーキとして得ることができる。
また、得られたナトリウム塩のウェットケーキを水に溶解後、塩酸等の酸を加えてそのpHを適宜調整し、析出した固体を濾過分離することにより、上記式(1)の化合物の遊離酸を、あるいは式(1)の化合物の一部がナトリウム塩である遊離酸とナトリウム塩との混合物を得ることもできる。
また、得られたナトリウム塩のウェットケーキ又はその乾燥固体を水に溶解後、塩化アンモニウム等のアンモニウム塩を添加し、塩酸等の酸を加えてそのpHを適宜、例えばpH1〜3に調整し、析出した固体を濾過分離することにより、上記式(1)の化合物のアンモニウム塩を得ることができる。添加する塩化アンモニウムの量又は/及びpHを適宜調整することにより、式(1)の化合物のアンモニウム塩と式(1)の化合物のナトリウム塩との混合物;式(1)の化合物の遊離酸とアンモニウム塩との混合物;等を得ることもできる。
また、後記するように上記反応終了後の反応液に、鉱酸(例えば塩酸、硫酸等)を加えて直接遊離酸の固体を得ることもできる。この場合には、式(1)の化合物の遊離酸のウェットケーキを水に加えて撹拌し、例えば、水酸化カリウム;水酸化リチウム;アンモニア水;式(5)の有機4級アンモニウムの水酸化物;等を添加して造塩することにより、各々添加した化合物に応じたカリウム塩;リチウム塩;アンモニウム塩;4級アンモニウム塩;等を得ることもできる。遊離酸のモル数に対して、加える上記の水酸化物等のモル数を制限することにより、例えばリチウム塩とナトリウム塩との混塩等;さらにはリチウム塩、ナトリウム塩、及びアンモニウム塩の混塩等;も調製することが可能である。上記式(1)の化合物の塩は、その塩の種類により溶解性等の物理的な性質、あるいはインクとして用いた場合のインクの性能が変化する場合もある。このため、目的とするインク性能等に応じて塩の種類を選択することも好ましく行われる。
例えば、式(1)の化合物の合成反応における、最終工程終了後の反応液、あるいは式(1)の化合物を含む水溶液等に、例えばアセトンやC1−C4アルコール等の水溶性有機溶剤を加える方法;塩化ナトリウムを加えて塩析する方法;等の方法によって析出した固体を濾過分離することにより、上記式(1)の化合物のナトリウム塩等をウェットケーキとして得ることができる。
また、得られたナトリウム塩のウェットケーキを水に溶解後、塩酸等の酸を加えてそのpHを適宜調整し、析出した固体を濾過分離することにより、上記式(1)の化合物の遊離酸を、あるいは式(1)の化合物の一部がナトリウム塩である遊離酸とナトリウム塩との混合物を得ることもできる。
また、得られたナトリウム塩のウェットケーキ又はその乾燥固体を水に溶解後、塩化アンモニウム等のアンモニウム塩を添加し、塩酸等の酸を加えてそのpHを適宜、例えばpH1〜3に調整し、析出した固体を濾過分離することにより、上記式(1)の化合物のアンモニウム塩を得ることができる。添加する塩化アンモニウムの量又は/及びpHを適宜調整することにより、式(1)の化合物のアンモニウム塩と式(1)の化合物のナトリウム塩との混合物;式(1)の化合物の遊離酸とアンモニウム塩との混合物;等を得ることもできる。
また、後記するように上記反応終了後の反応液に、鉱酸(例えば塩酸、硫酸等)を加えて直接遊離酸の固体を得ることもできる。この場合には、式(1)の化合物の遊離酸のウェットケーキを水に加えて撹拌し、例えば、水酸化カリウム;水酸化リチウム;アンモニア水;式(5)の有機4級アンモニウムの水酸化物;等を添加して造塩することにより、各々添加した化合物に応じたカリウム塩;リチウム塩;アンモニウム塩;4級アンモニウム塩;等を得ることもできる。遊離酸のモル数に対して、加える上記の水酸化物等のモル数を制限することにより、例えばリチウム塩とナトリウム塩との混塩等;さらにはリチウム塩、ナトリウム塩、及びアンモニウム塩の混塩等;も調製することが可能である。上記式(1)の化合物の塩は、その塩の種類により溶解性等の物理的な性質、あるいはインクとして用いた場合のインクの性能が変化する場合もある。このため、目的とするインク性能等に応じて塩の種類を選択することも好ましく行われる。
本発明の化合物は、天然及び合成繊維材料又は混紡品の染色、さらには、筆記用インク及びインクジェット記録用インク組成物の製造に適している。例えば、上記式(1)の本発明の化合物の合成反応における、最終工程終了後の反応液は、本発明のインク組成物の製造に直接使用することもできる。しかし、例えば上記の方法や、スプレー乾燥等の方法により反応液等を乾燥して該化合物を単離した後、得られた化合物をインク組成物に加工することもできる。
本発明のインク組成物は、上記式(1)の化合物を水又は、水と水溶性有機溶剤(水との混和が可能な有機溶剤)との混合溶液(水性媒体ともいう)に溶解し、必要に応じインク調製剤を添加したものである。このインク組成物をインクジェットプリンタ用のインクとして使用する場合、不純物として含有する金属陽イオンの塩化物、例えば塩化ナトリウム;硫酸塩、例えば硫酸ナトリウム;等の無機不純物の含有量が少ないものを用いるのが好ましい。この場合、例えば塩化ナトリウムと硫酸ナトリウムとの総含有量は、式(1)の化合物の総質量に対して1質量%以下程度であり、下限値は0質量%、すなわち検出機器の検出限界以下でよい。無機不純物の少ない化合物を製造する方法としては、例えばそれ自体公知の逆浸透膜による方法;本発明の化合物の乾燥品あるいはウェットケーキを、例えばアセトンやC1−C4アルコール(例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール等)等の水溶性有機溶剤、又は含水水溶性有機溶剤中に加え、懸濁精製又は晶析する方法;等の方法が挙げられ、これらの方法により脱塩処理等をすればよい。
本発明のインク組成物は、インク組成物の総質量中に、上記式(1)の化合物を通常0.1〜20質量%、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%含有する。
本発明のインク組成物は水を媒体として調製され、本発明の効果を害しない範囲内において必要に応じ、水溶性有機溶剤やインク調製剤を適宜含有してもよい。
水溶性有機溶剤は、染料の溶解;組成物の乾燥の防止(湿潤状態の保持);組成物の粘度の調整;色素の被記録材への浸透の促進;組成物の表面張力の調整;組成物の消泡;等の効果を目的として使用され、本発明のインク組成物には含有する方が好ましい。
インク調製剤としては、例えば、防腐防黴剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、染料溶解剤、褪色防止剤、表面張力調整剤、消泡剤等の公知の添加剤が挙げられる。
本発明のインク組成物の総質量に対して、水溶性有機溶剤の含有量は0〜60質量%、好ましくは10〜50質量%であり、インク調製剤は0〜20質量%、好ましくは0〜15質量%用いるのがよい。本発明のインク組成物において、上記式(1)の化合物、水溶性有機溶剤、及びインク調製剤以外の残部は水である。
上記の水溶性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等のC1−C4アルコール;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン又は1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の複素環式ケトン;アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトン又はケトアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル;エチレングリコール、1,2−又は1,3−プロピレングリコール、1,2−又は1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジグリコール等のC2−C6アルキレン単位を有するモノ、オリゴ、若しくはポリアルキレングリコール又はチオグリコール;トリメチロールプロパン、グリセリン、ヘキサン−1,2,6−トリオール等のポリオール(好ましくはトリオール);エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールのC1−C4モノアルキルエーテル;γ−ブチロラクトン;ジメチルスルホキシド;等が挙げられる。
なお、上記の水溶性有機溶剤には、例えばトリメチロールプロパン等のように、常温で固体の物質も含まれている。しかし、該物質等は固体であっても水溶性を示し、さらに該物質等を含有する水溶液は水溶性有機溶剤と同様の性質を示し、同じ目的で使用することができる。このため本明細書においては、便宜上、このような固体の物質であっても上記と同じ目的で使用できる限り、水溶性有機溶剤の範疇に含むこととする。
上記の水溶性有機溶剤として好ましいものは、イソプロパノール、グリセリン、モノ、ジ、又はトリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2−ピロリドン、ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、トリメチロールプロパン、及びブチルカルビトールであり、より好ましくはイソプロパノール、グリセリン、ジエチレングリコール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、トリメチロールプロパン、及びブチルカルビトールである。これらの水溶性有機溶剤は、単独又は混合して用いられる。
上記の防腐防黴剤としては、例えば、有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリルスルホン系、ヨードプロパギル系、N−ハロアルキルチオ系、ベンゾチアゾール系、ニトリル系、ピリジン系、8−オキシキノリン系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオキシド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系、無機塩系等の化合物が挙げられる。
有機ハロゲン系化合物としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられる。
ピリジンオキシド系化合物としては、例えば2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウムが挙げられる。
イソチアゾリン系化合物としては、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウムクロライド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド等が挙げられる。
その他の防腐防黴剤としては、酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム等;さらにはアーチケミカル社製の商品名プロクセルRTMGXL(S)及びプロクセルRTMXL−2(S);等が、それぞれ挙げられる。なお、本明細書中において、上付きの「RTM」は登録商標を意味する。
有機ハロゲン系化合物としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられる。
ピリジンオキシド系化合物としては、例えば2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウムが挙げられる。
イソチアゾリン系化合物としては、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウムクロライド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド等が挙げられる。
その他の防腐防黴剤としては、酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム等;さらにはアーチケミカル社製の商品名プロクセルRTMGXL(S)及びプロクセルRTMXL−2(S);等が、それぞれ挙げられる。なお、本明細書中において、上付きの「RTM」は登録商標を意味する。
pH調整剤は、インクの保存安定性を向上させる目的で、インクのpHを6.0〜11.0の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用することができる。例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化アンモニウム;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;タウリン等のアミノスルホン酸;等が挙げられる。
キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラシル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、桂皮酸系化合物、トリアジン系化合物、スチルベン系化合物が挙げられる。また、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤等も使用できる。
粘度調整剤としては、水溶性有機溶剤の他に水溶性高分子化合物が挙げられ、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミン、ポリイミン等が挙げられる。
染料溶解剤としては、例えば、尿素、ε−カプロラクタム、エチレンカーボネート等が挙げられる。その中でも尿素を使用するのが好ましい。
褪色防止剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。褪色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機の褪色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類等が挙げられ、金属錯体としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体等が挙げられる。
表面張力調整剤としては、界面活性剤が挙げられ、例えば、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤等が挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、アルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸及びその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリールスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル系;ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等のアセチレングリコール(アルコール)系;日信化学工業株式会社製の商品名サーフィノールRTM104、同82、同465、オルフィンRTMSTG;SIGMA−ALDRICH社製の商品名TergitolRTM15−S−7;等が挙げられる。
消泡剤としては、高酸化油系、グリセリン脂肪酸エステル系、フッ素系、シリコーン系化合物等が挙げられる。
これらのインク調製剤は、単独又は混合して用いられる。なお、本発明のインク組成物の表面張力は通常25〜70mN/m、好ましくは25〜60mN/mであり、粘度は30mPa・s以下が好ましく、20mPa・s以下に調整することがより好ましい。
本発明のインク組成物の製造において、添加剤等の各薬剤を溶解させる順序には特に制限はない。インク組成物の調製に用いる水は、イオン交換水、蒸留水等の不純物が少ないものが好ましい。また、必要に応じインク組成物の調製後に、メンブランフィルタ等を用いて精密濾過を行って、インク組成物中の夾雑物を除いてもよい。特に、本発明のインク組成物をインクジェット記録用のインクとして使用する場合には、精密濾過を行うことが好ましい。精密濾過に使用するフィルタの孔径は通常1〜0.1μm、好ましくは0.8〜0.1μmである。
本発明の化合物を含有するインク組成物は、印捺、複写、マーキング、筆記、製図、スタンピング、又は記録(印刷)、特にインクジェット記録における使用に適する。また、本発明のインク組成物は、インクジェットプリンタの記録ヘッドのノズル付近における乾燥に対しても固体の析出は起こりにくく、この理由により該記録ヘッドの閉塞もまた起こしにくい。
本発明のインクジェット記録方法で被記録材に記録を行う方法として、次の方法が挙げられる。すなわち、本発明のインク組成物が充填された容器をインクジェットプリンタの所定位置に装填し、本発明のインク組成物をインクとして用い、該インクのインク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に付着させ、記録を行う方法である。インクジェットプリンタには、例えば機械的振動を利用したピエゾ方式;加熱により生ずる泡を利用したバブルジェット(登録商標)方式;等を利用したものがある。本発明のインクジェット記録方法は、いかなる方式であっても使用が可能である。
より高精細な記録画像を得ることを目的とし、同じ色素を含有する2種類のインクを1台のインクジェットプリンタに装填する場合もある。この2種類のインクの違いは色素の含有量であり、一方は含有量の高いもの、他方は低いものとし、インクセットとして使用する。本発明のインク組成物は、このようなインクセットとして使用することもできる。また、インクセットの一方に本発明のインク組成物を使用し、他方に公知のインク(組成物)を使用してもよい。
本発明のインク組成物は、本発明により得られる効果を阻害しない範囲で、その色相を微調整する目的等から本発明の化合物と公知のイエロー色素とを含有するイエローインク組成物としてもよい。また、他の色のインク、例えばブラックインクの調色用途、あるいはレッドインクやグリーンインクを調製する目的で、本発明の化合物をマゼンタ色素やシアン色素と併用して用いることもできる。さらに、フルカラーの記録画像を得る目的で、本発明のインク組成物と共に、マゼンタ、シアン、必要に応じて、グリーン、ブルー(又はバイオレット)、レッド、ブラック等の各色のインクを併用することもできる。この場合、各色のインクをそれぞれの容器に充填し、それらの容器をインクジェットプリンタの所定位置に装填してインクジェット記録に使用すればよい。
本発明のインクジェット記録方法に用いる被記録材としては、例えば紙、フィルム等の情報伝達用シート、繊維や布(セルロース、ナイロン、羊毛等)、皮革、カラーフィルター用基材等が挙げられ、情報伝達用シートが好ましい。情報伝達用シートとしては、特に制限はなく、普通紙はもちろん、表面処理されたもの、具体的には紙、合成紙、フィルム等の基材にインク受容層を設けたもの等が用いられる。インク受容層とは、インクを吸収してその乾燥を早める等の作用を有する層である。インク受容層は、例えば上記基材にカチオン系ポリマーを含浸又は塗工する方法;インク中の色素を吸収し得る無機微粒子をポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーと共に、上記基材の表面に塗工する方法;等により設けられる。上記のインク中の色素を吸収し得る無機微粒子の材質としては、多孔質シリカ、アルミナゾル、特殊セラミックス等が挙げられる。
このようなインク受容層を有する情報伝達用シートは、通常インクジェット専用紙、インクジェット専用フィルム、光沢紙、光沢フィルム等と呼ばれる。インク受容層を有する情報伝達シートの代表的な市販品の例としては、キヤノン(株)製、商品名プロフェッショナルフォトペーパー、キヤノン写真用紙・光沢プロ[プラチナグレード]、及び光沢ゴールド;セイコーエプソン(株)製、商品名写真用紙クリスピア(高光沢)、写真用紙(光沢);日本ヒューレット・パッカード(株)製、商品名アドバンスフォト用紙(光沢);富士フィルム(株)製、商品名画彩 写真仕上げPro;ブラザー工業株式会社製、商品名:写真光沢紙BP71G;等が挙げられる。
また、普通紙とは、特にインク受容層を設けていない紙のことを意味し、用途によってさまざまなものが数多く市販されている。市販されている普通紙のうち、インクジェット記録用としては、両面上質普通紙(セイコーエプソン株式会社製);PB PAPER GF−500(キヤノン株式会社製);Multipurpose Paper、All−in−one Printing Paper(Hewlett Packard社製);等が挙げられる。また、特に用途をインクジェット記録に限定しないプレーンペーパーコピー(PPC)用紙等も普通紙である。
このようなインク受容層を有する情報伝達用シートは、通常インクジェット専用紙、インクジェット専用フィルム、光沢紙、光沢フィルム等と呼ばれる。インク受容層を有する情報伝達シートの代表的な市販品の例としては、キヤノン(株)製、商品名プロフェッショナルフォトペーパー、キヤノン写真用紙・光沢プロ[プラチナグレード]、及び光沢ゴールド;セイコーエプソン(株)製、商品名写真用紙クリスピア(高光沢)、写真用紙(光沢);日本ヒューレット・パッカード(株)製、商品名アドバンスフォト用紙(光沢);富士フィルム(株)製、商品名画彩 写真仕上げPro;ブラザー工業株式会社製、商品名:写真光沢紙BP71G;等が挙げられる。
また、普通紙とは、特にインク受容層を設けていない紙のことを意味し、用途によってさまざまなものが数多く市販されている。市販されている普通紙のうち、インクジェット記録用としては、両面上質普通紙(セイコーエプソン株式会社製);PB PAPER GF−500(キヤノン株式会社製);Multipurpose Paper、All−in−one Printing Paper(Hewlett Packard社製);等が挙げられる。また、特に用途をインクジェット記録に限定しないプレーンペーパーコピー(PPC)用紙等も普通紙である。
本発明の着色体は、(a)本発明の水溶性アゾ化合物;(b)該化合物を含有する本発明のインク組成物;(c)該化合物及び水溶性有機溶剤を含有する本発明のインク組成物;の3者のいずれかにより、着色された物質を意味する。着色される物質には特に制限はなく、例えば上記の被記録材等が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは上記の被記録材が着色されたものが挙げられる。物質への着色方法は特に制限されないが、例えば浸染法、捺染法、スクリーン印刷等の印刷方法、本発明のインクジェット記録方法等が挙げられ、本発明のインクジェット記録方法が好ましい。上記着色体の中でも、本発明のインクジェット記録方法により着色された着色体が好ましい。
上記式(1)で表される本発明の水溶性アゾ化合物は、水や水溶性有機溶剤に対する溶解性に優れる。また、本発明のインク組成物を製造する過程での、例えばメンブランフィルタに対する濾過性が良好であるという特徴を有する。本発明のインク組成物は、普通紙及びインク受容層を有する情報伝達用シートといった被記録材上で非常に鮮明で、彩度及び印字濃度、特に彩度が高く、理想的な色相のイエロー色の記録画像を与える。このため、写真調のカラー画像を紙の上に忠実に再現させることも可能である。また、本発明のインク組成物は長期間保存後の固体析出、物性変化、色相変化等もなく、貯蔵安定性が極めて良好である。
本発明のインク組成物をインクジェットインクとして使用しても、ノズル付近におけるインク組成物の乾燥による固体析出は非常に起こりにくく、噴射器(記録ヘッド)を閉塞することもない。また、本発明のインク組成物は連続式インクジェットプリンタを用い、比較的長い時間間隔においてインクを再循環させて使用する場合においても、又はオンデマンド式インクジェットプリンタによる断続的な使用においても、物理的性質の変化を起こさない。
さらに、本発明のインク組成物により、インク受容層を有する情報伝達用シートに記録された画像は、耐水性、耐湿性、耐オゾンガス性、耐擦性、耐光性等の各種堅牢性、中でも耐オゾンガス性及び耐光性が良好であり、この理由から、写真調の画像の長期保存安定性にも優れるため、画像品質と堅牢性とのバランスに優れている。また、従来のインクと比較して、普通紙上での彩度、明度、印字濃度等の発色性にも優れている。
このように、式(1)で表される本発明の水溶性アゾ化合物、及びこれを含有する本発明のインク組成物は、各種の記録インク用途、特にインクジェット記録用のインク用途に極めて有用である。
本発明のインク組成物をインクジェットインクとして使用しても、ノズル付近におけるインク組成物の乾燥による固体析出は非常に起こりにくく、噴射器(記録ヘッド)を閉塞することもない。また、本発明のインク組成物は連続式インクジェットプリンタを用い、比較的長い時間間隔においてインクを再循環させて使用する場合においても、又はオンデマンド式インクジェットプリンタによる断続的な使用においても、物理的性質の変化を起こさない。
さらに、本発明のインク組成物により、インク受容層を有する情報伝達用シートに記録された画像は、耐水性、耐湿性、耐オゾンガス性、耐擦性、耐光性等の各種堅牢性、中でも耐オゾンガス性及び耐光性が良好であり、この理由から、写真調の画像の長期保存安定性にも優れるため、画像品質と堅牢性とのバランスに優れている。また、従来のインクと比較して、普通紙上での彩度、明度、印字濃度等の発色性にも優れている。
このように、式(1)で表される本発明の水溶性アゾ化合物、及びこれを含有する本発明のインク組成物は、各種の記録インク用途、特にインクジェット記録用のインク用途に極めて有用である。
以下に本発明を実施例により、さらに具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、特別の記載のない限り、本文中「部」及び「%」とあるのは質量基準であり、また反応温度は内温である。合成した化合物のうち、λmax(最大吸収波長)を測定したものについては、pH7〜8の水溶液中での測定値を示した。また、実施例中で得た化合物の各構造式において、カルボキシ基、スルホ基等の酸性官能基は、遊離酸の形で記載した。なお、実施例で得られた本発明の化合物の室温における水に対する溶解度は、いずれも100g/L以上であった。
[実施例1]
(工程1)
4−アミノベンゼンスルホン酸17.3部を水酸化ナトリウムでpH6に調整しながら水100部に溶解し、35%塩酸を31.3部加えた後、0〜10℃で、亜硝酸ナトリウム7.2部を加えた。得られた液を10℃以下で1時間撹拌し、ジアゾ化反応を行い、ジアゾ反応液を調製した。
一方、2−アミノ安息香酸13.7部を、水酸化ナトリウムでpH7に調整しながら水80部に溶解し、10.4部の重亜硫酸ナトリウム及び8.6部の35%ホルマリンを用いて、常法によりメチル−ω−スルホン酸誘導体とした。
得られたメチル−ω−スルホン酸誘導体を、先に調製したジアゾ反応液中に加え、0〜15℃、pH3〜5で12時間撹拌した。反応液を水酸化ナトリウムでpH11とした後、同pHを維持しながら80〜95℃で5時間撹拌し、さらに110部の塩化ナトリウムを加えて塩析し、析出固体を濾過分離することにより、下記式(6)で表されるアゾ化合物50部をウェットケーキとして得た。
(工程1)
4−アミノベンゼンスルホン酸17.3部を水酸化ナトリウムでpH6に調整しながら水100部に溶解し、35%塩酸を31.3部加えた後、0〜10℃で、亜硝酸ナトリウム7.2部を加えた。得られた液を10℃以下で1時間撹拌し、ジアゾ化反応を行い、ジアゾ反応液を調製した。
一方、2−アミノ安息香酸13.7部を、水酸化ナトリウムでpH7に調整しながら水80部に溶解し、10.4部の重亜硫酸ナトリウム及び8.6部の35%ホルマリンを用いて、常法によりメチル−ω−スルホン酸誘導体とした。
得られたメチル−ω−スルホン酸誘導体を、先に調製したジアゾ反応液中に加え、0〜15℃、pH3〜5で12時間撹拌した。反応液を水酸化ナトリウムでpH11とした後、同pHを維持しながら80〜95℃で5時間撹拌し、さらに110部の塩化ナトリウムを加えて塩析し、析出固体を濾過分離することにより、下記式(6)で表されるアゾ化合物50部をウェットケーキとして得た。
(工程2)
2−アミノナフタレン−6,8−ジスルホン酸30.3部を水酸化ナトリウムでpH6に調整しながら水200部に溶解し、次いで亜硝酸ナトリウム7.2部を加えた。この溶液を0〜10℃で、5%塩酸300部中に30分間かけて滴下した後、10℃以下で1時間撹拌し、ジアゾ化反応を行い、ジアゾ反応液を調製した。
一方、2−(スルホプロポキシ)−5−クロロアニリン26.6部を、水酸化ナトリウムでpH7に調整しながら水130部に溶解し、10.4部の重亜硫酸ナトリウム及び8.6部の35%ホルマリンを用いて、常法によりメチル−ω−スルホン酸誘導体とした。
得られたメチル−ω−スルホン酸誘導体を、先に調製したジアゾ反応液中に加え、0〜15℃、pH2〜4で5時間撹拌した。反応液を水酸化ナトリウムでpH11とした後、同pHを維持しながら80〜95℃で5時間撹拌し、さらに100部の塩化ナトリウムを加えて塩析し、析出固体を濾過分離することにより、下記式(7)で表されるアゾ化合物150部をウェットケーキとして得た。
2−アミノナフタレン−6,8−ジスルホン酸30.3部を水酸化ナトリウムでpH6に調整しながら水200部に溶解し、次いで亜硝酸ナトリウム7.2部を加えた。この溶液を0〜10℃で、5%塩酸300部中に30分間かけて滴下した後、10℃以下で1時間撹拌し、ジアゾ化反応を行い、ジアゾ反応液を調製した。
一方、2−(スルホプロポキシ)−5−クロロアニリン26.6部を、水酸化ナトリウムでpH7に調整しながら水130部に溶解し、10.4部の重亜硫酸ナトリウム及び8.6部の35%ホルマリンを用いて、常法によりメチル−ω−スルホン酸誘導体とした。
得られたメチル−ω−スルホン酸誘導体を、先に調製したジアゾ反応液中に加え、0〜15℃、pH2〜4で5時間撹拌した。反応液を水酸化ナトリウムでpH11とした後、同pHを維持しながら80〜95℃で5時間撹拌し、さらに100部の塩化ナトリウムを加えて塩析し、析出固体を濾過分離することにより、下記式(7)で表されるアゾ化合物150部をウェットケーキとして得た。
(工程3)
100部の氷水中にライオン社製、商品名:レオコールTD50(界面活性剤)0.10部を加えて激しく撹拌し、その中に塩化シアヌル9.2部を添加し、0〜5℃で30分間撹拌し、懸濁液を得た。
次に、上記工程1で得た式(6)で表される化合物のウェットケーキ150部を水200部に溶解し、この溶液に上記の懸濁液を30分間かけて滴下した。滴下終了後、pH5〜6.0、5〜10℃で5時間撹拌し、反応液を得た。
100部の氷水中にライオン社製、商品名:レオコールTD50(界面活性剤)0.10部を加えて激しく撹拌し、その中に塩化シアヌル9.2部を添加し、0〜5℃で30分間撹拌し、懸濁液を得た。
次に、上記工程1で得た式(6)で表される化合物のウェットケーキ150部を水200部に溶解し、この溶液に上記の懸濁液を30分間かけて滴下した。滴下終了後、pH5〜6.0、5〜10℃で5時間撹拌し、反応液を得た。
一方、上記工程2で得た式(7)で表される化合物のウェットケーキ50部を水300部に溶解し、この溶液を上記の反応液に30分間かけて滴下した。滴下終了後、炭酸ナトリウムを加えてpH6〜7に調整し、45〜50℃で4時間撹拌し、グルタミン酸22.1部、さらに炭酸ナトリウムを加えてpH7〜9に調整し、85〜88℃で4時間撹拌した。得られた反応液を20〜25℃まで冷却後、この反応液にアセトン800部を加え、20〜25℃で1時間撹拌した。析出固体を濾過分離することによりウェットケーキ95.0部を得た。このウェットケーキを80℃の熱風乾燥機で乾燥することにより、下記式(8)で表される本発明の水溶性アゾ化合物のナトリウム塩(λmax:401.0nm)35.0部を得た。
[実施例2]
実施例1の工程3で使用したグルタミン酸22.1部を4−(アミノメチル)ベンゼンスルホン酸18.7部とする以外は実施例1と同様の方法により、下記式(9)で表される本発明の水溶性アゾ化合物のナトリウム塩(λmax:397nm)40.0部を得た。
実施例1の工程3で使用したグルタミン酸22.1部を4−(アミノメチル)ベンゼンスルホン酸18.7部とする以外は実施例1と同様の方法により、下記式(9)で表される本発明の水溶性アゾ化合物のナトリウム塩(λmax:397nm)40.0部を得た。
[実施例3]
(工程1)
3−アミノベンゼンスルホン酸17.3部を水酸化ナトリウムでpH6に調整しながら水100部に溶解し、35%塩酸を31.3部加えた後、0〜10℃で、亜硝酸ナトリウム7.2部を加えた。10℃以下で1時間撹拌し、ジアゾ化反応を行い、ジアゾ反応液を調製した。
一方、2−アミノカルボキシベンゼン13.7部を、水酸化ナトリウムでpH7に調整しながら水80部に溶解し、10.4部の重亜硫酸ナトリウム及び8.6部の35%ホルマリンを用いて、常法によりメチル−ω−スルホン酸誘導体とした。
得られたメチル−ω−スルホン酸誘導体を、先に調製したジアゾ反応液中に加え、0〜15℃、pH3〜5で12時間撹拌した。反応液を水酸化ナトリウムでpH11とした後、同pHを維持しながら80〜95℃で5時間撹拌し、さらに110部の塩化ナトリウムを加えて塩析し、析出固体を濾過分離することにより、下記式(10)で表されるアゾ化合物50部をウェットケーキとして得た。
(工程1)
3−アミノベンゼンスルホン酸17.3部を水酸化ナトリウムでpH6に調整しながら水100部に溶解し、35%塩酸を31.3部加えた後、0〜10℃で、亜硝酸ナトリウム7.2部を加えた。10℃以下で1時間撹拌し、ジアゾ化反応を行い、ジアゾ反応液を調製した。
一方、2−アミノカルボキシベンゼン13.7部を、水酸化ナトリウムでpH7に調整しながら水80部に溶解し、10.4部の重亜硫酸ナトリウム及び8.6部の35%ホルマリンを用いて、常法によりメチル−ω−スルホン酸誘導体とした。
得られたメチル−ω−スルホン酸誘導体を、先に調製したジアゾ反応液中に加え、0〜15℃、pH3〜5で12時間撹拌した。反応液を水酸化ナトリウムでpH11とした後、同pHを維持しながら80〜95℃で5時間撹拌し、さらに110部の塩化ナトリウムを加えて塩析し、析出固体を濾過分離することにより、下記式(10)で表されるアゾ化合物50部をウェットケーキとして得た。
(工程2)
100部の氷水中にライオン社製、商品名:レオコールTD50(界面活性剤)0.10部を加えて激しく撹拌し、その中に塩化シアヌル9.2部を添加し、0〜5℃で30分間撹拌し、懸濁液を得た。
次に、上記工程1で得た式(10)で表される化合物のウェットケーキ50部を水200部に溶解し、この溶液に上記の懸濁液を30分間かけて滴下した。滴下終了後、pH5〜6.0、5〜10℃で5時間撹拌し、反応液を得た。
100部の氷水中にライオン社製、商品名:レオコールTD50(界面活性剤)0.10部を加えて激しく撹拌し、その中に塩化シアヌル9.2部を添加し、0〜5℃で30分間撹拌し、懸濁液を得た。
次に、上記工程1で得た式(10)で表される化合物のウェットケーキ50部を水200部に溶解し、この溶液に上記の懸濁液を30分間かけて滴下した。滴下終了後、pH5〜6.0、5〜10℃で5時間撹拌し、反応液を得た。
一方、上記実施例1の工程2で得た式(7)で表される化合物のウェットケーキ150部を水300部に溶解し、この溶液を上記の反応液に30分間かけて滴下した。滴下終了後、炭酸ナトリウムを加えてpH6〜7に調整し、45〜50℃で4時間撹拌し、β−アラニン13.4部、さらに炭酸ナトリウムを加えてpH7〜9に調整し、85〜88℃で4時間撹拌した。得られた反応液を20〜25℃まで冷却後、この反応液にアセトン800部を加え、20〜25℃で1時間撹拌した。析出固体を濾過分離することによりウェットケーキ95.0部を得た。このウェットケーキを80℃の熱風乾燥機で乾燥することにより、下記式(11)で表される本発明の水溶性アゾ化合物のナトリウム塩(λmax:396nm)45.0部を得た。
[実施例4]
実施例3の工程2で使用したβ−アラニン13.4部を4−(アミノメチル)ベンゼンスルホン酸28.1部とする以外は実施例3と同様の方法により、下記式(12)で表される本発明の水溶性アゾ化合物のナトリウム塩(λmax:378nm)19.0部を得た。
実施例3の工程2で使用したβ−アラニン13.4部を4−(アミノメチル)ベンゼンスルホン酸28.1部とする以外は実施例3と同様の方法により、下記式(12)で表される本発明の水溶性アゾ化合物のナトリウム塩(λmax:378nm)19.0部を得た。
[実施例5]
実施例1の工程3で使用したグルタミン酸22.1部をβ−アラニン13.4部とする以外は実施例1と同様の方法により、下記式(13)で表される本発明の水溶性アゾ化合物のナトリウム塩(λmax:396nm)45.0部を得た。
実施例1の工程3で使用したグルタミン酸22.1部をβ−アラニン13.4部とする以外は実施例1と同様の方法により、下記式(13)で表される本発明の水溶性アゾ化合物のナトリウム塩(λmax:396nm)45.0部を得た。
[実施例6〜9]
[(A)インクの調製]
上記実施例1〜4で得られた本発明の水溶性アゾ化合物を色素として用い、下記表2に示した組成比で混合して本発明のインク組成物を得、それぞれ0.45μmのメンブランフィルタで濾過して夾雑物を除くことにより、試験用のインクを調製した。なお、この試験用インクのpHは7.0〜9.5の範囲であった。また、下記表2中、「界面活性剤」としては、日信化学株式会社製の商品名サーフィノールRTM104PG50を使用した。実施例1で得られた化合物を用いたインクの調製を実施例6、同様に、実施例2〜4で得られた化合物を用いたインクの調製をそれぞれ実施例7〜9とする。
[(A)インクの調製]
上記実施例1〜4で得られた本発明の水溶性アゾ化合物を色素として用い、下記表2に示した組成比で混合して本発明のインク組成物を得、それぞれ0.45μmのメンブランフィルタで濾過して夾雑物を除くことにより、試験用のインクを調製した。なお、この試験用インクのpHは7.0〜9.5の範囲であった。また、下記表2中、「界面活性剤」としては、日信化学株式会社製の商品名サーフィノールRTM104PG50を使用した。実施例1で得られた化合物を用いたインクの調製を実施例6、同様に、実施例2〜4で得られた化合物を用いたインクの調製をそれぞれ実施例7〜9とする。
[比較例1]
本発明の水溶性アゾ化合物の代わりに、特許文献1の実施例4に記載の方法にて合成した下記式(14)で表される化合物を用いる以外は実施例6乃至9と同様にして、比較用のインクを調製した。これを比較例1とする。
本発明の水溶性アゾ化合物の代わりに、特許文献1の実施例4に記載の方法にて合成した下記式(14)で表される化合物を用いる以外は実施例6乃至9と同様にして、比較用のインクを調製した。これを比較例1とする。
[比較例2]
本発明の水溶性アゾ化合物の代わりに、特許文献1の実施例5に記載の方法にて合成した下記式(15)で表される化合物を用いる以外は実施例6乃至9と同様にして、比較用のインクを調製した。これを比較例2とする。
本発明の水溶性アゾ化合物の代わりに、特許文献1の実施例5に記載の方法にて合成した下記式(15)で表される化合物を用いる以外は実施例6乃至9と同様にして、比較用のインクを調製した。これを比較例2とする。
[(B)インクジェット記録]
インクジェットプリンタ(キヤノン社製、商品名:PIXUSRTMip4500)を用いて、インクジェット専用紙(ブラザー工業株式会社製、商品名:写真光沢紙BP71G)にインクジェット記録を行った。インクジェット記録の際、100、85、70、55、40、25%の階調が得られるように画像パターンを作り、黄色の印字物を得た。得られた印字物を試験片とし、各種の試験を行った。
耐光性試験、及び耐オゾンガス性試験はインクジェット記録を行った印字物の55%階調部分について反射濃度の測定を行った。また、反射濃度は測色システム(商品名SpectroEyeRTM、X−right社製)を用いて測色した。測色は、濃度基準にDIN、視野角2°、光源D65の条件で行った。
記録画像の各種試験方法及び試験結果の評価方法を以下に記載する。
インクジェットプリンタ(キヤノン社製、商品名:PIXUSRTMip4500)を用いて、インクジェット専用紙(ブラザー工業株式会社製、商品名:写真光沢紙BP71G)にインクジェット記録を行った。インクジェット記録の際、100、85、70、55、40、25%の階調が得られるように画像パターンを作り、黄色の印字物を得た。得られた印字物を試験片とし、各種の試験を行った。
耐光性試験、及び耐オゾンガス性試験はインクジェット記録を行った印字物の55%階調部分について反射濃度の測定を行った。また、反射濃度は測色システム(商品名SpectroEyeRTM、X−right社製)を用いて測色した。測色は、濃度基準にDIN、視野角2°、光源D65の条件で行った。
記録画像の各種試験方法及び試験結果の評価方法を以下に記載する。
[(C)印字濃度試験]
上記のようにして得た試験片において、反射濃度が最も高い部分について上記測色システムを用いてイエロー濃度Dy値(印字濃度)を測定した。Dy値はより大きい数値のものが良い。これを4段階で評価した。
Dy値が2.00以上・・・・・・・・・・・A
Dy値が1.90以上2.00未満・・・・・B
Dy値が1.80以上1.90未満・・・・・C
Dy値が1.80未満・・・・・・・・・・・D
結果を下記表3に示す。
上記のようにして得た試験片において、反射濃度が最も高い部分について上記測色システムを用いてイエロー濃度Dy値(印字濃度)を測定した。Dy値はより大きい数値のものが良い。これを4段階で評価した。
Dy値が2.00以上・・・・・・・・・・・A
Dy値が1.90以上2.00未満・・・・・B
Dy値が1.80以上1.90未満・・・・・C
Dy値が1.80未満・・・・・・・・・・・D
結果を下記表3に示す。
[(D)彩度試験]
上記のようにして得た試験片において、反射濃度が最も高い部分について上記測色システムを用いて色度(a*、b*)の値をそれぞれ測色し、彩度C*を下記式より求めた。
C*=[(a*)2+(b*)2]1/2
彩度はより大きい数値のものが高鮮明で良い。これを3段階で評価した。
C*値が105以上・・・・・・・・・・A
C*値が95以上105未満・・・・・・B
C*値が95未満・・・・・・・・・・・C
結果を下記表3に示す。
上記のようにして得た試験片において、反射濃度が最も高い部分について上記測色システムを用いて色度(a*、b*)の値をそれぞれ測色し、彩度C*を下記式より求めた。
C*=[(a*)2+(b*)2]1/2
彩度はより大きい数値のものが高鮮明で良い。これを3段階で評価した。
C*値が105以上・・・・・・・・・・A
C*値が95以上105未満・・・・・・B
C*値が95未満・・・・・・・・・・・C
結果を下記表3に示す。
[(E)キセノン耐光性試験]
上記のようにして得た試験片をホルダ−に設置して、キセノンウェザオメータXL75[スガ試験機(株)社製]を用い、温度24℃、湿度60%RH、0.36W/平方メートル照度で192時間照射した。
試験後、反射濃度を上記測色システムにて測色し、色素の残存率を(試験後の反射濃度/試験前の反射濃度)×100(%)で計算して求め、3段階で評価した。
色素残存率が70%以上・・・・・・・・・・A
色素残存率が65%以上70%未満・・・・・B
色素残存率が65%未満・・・・・・・・・・C
結果を下記表3に示す。
上記のようにして得た試験片をホルダ−に設置して、キセノンウェザオメータXL75[スガ試験機(株)社製]を用い、温度24℃、湿度60%RH、0.36W/平方メートル照度で192時間照射した。
試験後、反射濃度を上記測色システムにて測色し、色素の残存率を(試験後の反射濃度/試験前の反射濃度)×100(%)で計算して求め、3段階で評価した。
色素残存率が70%以上・・・・・・・・・・A
色素残存率が65%以上70%未満・・・・・B
色素残存率が65%未満・・・・・・・・・・C
結果を下記表3に示す。
[(F)耐オゾンガス性試験]
上記のようにして得た試験片を、オゾンウェザーメーター[スガ試験機社製]を用いてオゾン濃度10ppm、湿度60%RH、温度24℃の環境下に24時間放置した後、反射濃度を前記の測色システムを用いて測色した。測定後、色素残存率を(試験後の反射濃度/試験前の反射濃度)×100(%)で計算して求め、3段階で評価した。
色素残存率が80%以上・・・・・・・・A
色素残存率が70%以上80%未満・・・B
色素残存率が70%未満・・・・・・・・C
結果を下記表3に示す。
上記のようにして得た試験片を、オゾンウェザーメーター[スガ試験機社製]を用いてオゾン濃度10ppm、湿度60%RH、温度24℃の環境下に24時間放置した後、反射濃度を前記の測色システムを用いて測色した。測定後、色素残存率を(試験後の反射濃度/試験前の反射濃度)×100(%)で計算して求め、3段階で評価した。
色素残存率が80%以上・・・・・・・・A
色素残存率が70%以上80%未満・・・B
色素残存率が70%未満・・・・・・・・C
結果を下記表3に示す。
表3の結果から明らかなように、各実施例のインクは比較例1より(C)印字濃度及び(D)彩度に優れ、各比較例より(E)キセノン耐光性が優れており、また、比較例2より(F)耐オゾンガス性が向上している。したがって、本発明の水溶性アゾ化合物及びこれを含有するインク組成物は、従来のものと比較して、印字濃度や彩度といった品質、及び堅牢性のバランスに優れ、特に耐光性に極めて優れる記録画像を与えることが判明した。
実施例5で得た色素を用い、上記実施例6〜9と同様にしてインクを調製した。このインクの調製を実施例10とする。
インクジェット専用紙を、ブラザー工業株式会社製、商品名:写真光沢紙BP71Gの代わりに、セイコーエプソン(株)製、商品名写真用紙クリスピア(高光沢)とする以外は、上記(B)インクジェット記録と同様にしてインクジェット記録を行い、実施例6〜10、比較例1及び比較例2のインクで記録された試験片をそれぞれ得た。
得られた各試験片につき、上記(D)彩度試験、及び(E)キセノン耐光性試験を行い、上記と同様に評価した。その結果、両試験において本発明の実施例6〜10は全て「A」評価であった。これに対して、比較例1は前者が「A」評価であるものの、後者が「C]評価であり、比較例2は両試験共に「C]評価であった。
したがって、本願発明の各実施例のインクは、異なるインクジェット専用紙を用いた場合であっても、彩度と耐光性とのバランスに優れることが明らかとなった。
インクジェット専用紙を、ブラザー工業株式会社製、商品名:写真光沢紙BP71Gの代わりに、セイコーエプソン(株)製、商品名写真用紙クリスピア(高光沢)とする以外は、上記(B)インクジェット記録と同様にしてインクジェット記録を行い、実施例6〜10、比較例1及び比較例2のインクで記録された試験片をそれぞれ得た。
得られた各試験片につき、上記(D)彩度試験、及び(E)キセノン耐光性試験を行い、上記と同様に評価した。その結果、両試験において本発明の実施例6〜10は全て「A」評価であった。これに対して、比較例1は前者が「A」評価であるものの、後者が「C]評価であり、比較例2は両試験共に「C]評価であった。
したがって、本願発明の各実施例のインクは、異なるインクジェット専用紙を用いた場合であっても、彩度と耐光性とのバランスに優れることが明らかとなった。
以上の結果から、本発明の水溶性アゾ化合物はインクジェット記録用のインクを調製するのに適しており、各種の堅牢性に極めて優れ、黄色として高い印字濃度を有し、高い彩度を有する色素であるため、品質と堅牢性とのバランスに優れた記録画像を得ることができる。これらの特徴から、本発明のアゾ化合物は各種の記録用インク色素、特にインクジェットインク用の黄色色素として非常に有用な化合物である。
Claims (12)
- Qが塩素原子であり、nが2であり、xが3であり、mが1である請求項1に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩。
- Qが塩素原子であり、nが2であり、xが3であり、mが1であり、基Aが前記式(2)で表されるアミノ基である請求項1に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩。
- 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩を、色素として含有するインク組成物。
- 水溶性有機溶剤をさらに含有する請求項4に記載のインク組成物。
- インクジェット記録用である、請求項4又は5に記載のインク組成物。
- 請求項4乃至6のいずれか一項に記載のインク組成物をインクとして用い、該インクのインク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に付着させることにより記録を行うインクジェット記録方法。
- 前記被記録材が情報伝達用シートである請求項7に記載のインクジェット記録方法。
- 前記情報伝達用シートが多孔性白色無機物を含有するインク受容層を有するシートである請求項8に記載のインクジェット記録方法。
- (a)請求項1乃至3のいずれか一項に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩、
(b)請求項1乃至3のいずれか一項に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩を含有するインク組成物、及び
(c)請求項1乃至3のいずれか一項に記載の水溶性アゾ化合物又はその塩及び水溶性有機溶剤を含有するインク組成物、のいずれかにより着色された着色体。 - 請求項7に記載のインクジェット記録方法により着色された着色体。
- 請求項4に記載のインク組成物を含む容器が装填されたインクジェットプリンタ。
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