JP5458010B2 - ポルフィラジン色素、インク組成物及び着色体 - Google Patents

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Description

本発明は銅ポルフィラジン色素、該色素を含有するインク組成物、及びこれらにより着色された着色体に関する。
近年、画像記録材料としては、カラー画像を形成するための材料が主流である。具体的には、これらの材料として、インクジェット方式に使用される記録材料、感熱転写用の画像記録材料、電子写真方式に用いられる記録材料、転写用のハロゲン化銀感光材料等を挙げることができる。また、印刷インク及び記録ペン用インク等も記録材料の一つとして、盛んに利用されている。
また、LCD(液晶ディスプレー)やPDP(プラズマディスプレーパネル)等のディスプレー、また、撮影機器におけるCCD(撮動素子)などの電子部品等においては、カラー画像を形成するためカラーフィルターが使用されている。これらにおいては、フルカラー画像を再現あるいは記録するために、いわゆる加法混色法や減法混色法の3原色の色素(染料や顔料)が使用されている。しかし、好ましい色の範囲を再現出来る吸収特性を有し、且つさまざまな使用条件においても充分な耐性を有する色素がないのが実状であり、改善が強く望まれている。
インクジェット記録方法は、材料費が安価であること、高速記録が可能なこと、記録時の騒音が少ないこと、更にカラー記録が容易であることから、急速に普及し、更に発展しつつある。インクジェット記録方法には、連続的に液滴を飛翔させるコンティニュアス方式と画像情報信号に応じて液滴を飛翔させるオンデマンド方式が有る。その吐出方式にはピエゾ素子により圧力を加えて液滴を吐出させる方式;熱によりインク中に気泡を発生させて液滴を吐出させる方式;超音波を用いた方式;あるいは静電力により液滴を吸引吐出させる方式;等がある。また、インクジェット記録に適したインクの例としては、水性インク、油性インク、あるいは固体(溶融型)インク等が挙げられる。
このようなインクジェット記録に適したインクに含有する色素に対して要求される事項としては、溶剤に対する溶解性あるいは分散性が良好なこと;高濃度記録が可能であること;色相が良好であること;光、熱、環境中の活性ガス(NOx、オゾン等の酸化性ガス及びSOxなど)に対して耐久性に優れていること;水や薬品に対する耐久性に優れていること;被記録材に対して定着性が良く滲みにくいこと;インクとしての保存性に優れていること;毒性がないこと;更には、安価に入手できること;等が挙げられる。特に、良好なシアンの色相を有し、耐光性(光に対する耐久性)、耐オゾン性(オゾンガスに対する耐久性)、耐湿性(高湿度下における耐久性)及び耐水性(水に対する耐久性)に優れ、且つブロンズ現象(ブロンジング現象とも言う)を起こさないシアン色素が強く望まれている。ブロンズ現象とは色素の会合や凝集又はインクのメディアへの吸収不良などが原因で光沢紙等の表面上に色素が凝集して金属光沢を持ち、記録画像がぎらつく現象のことを言う。この現象が起こると光沢性、印字品位、印刷濃度のすべての点で記録画質が劣るものとなる。
インクジェット記録に適したインクに用いられる水溶性シアン色素としては、フタロシアニン系色素やトリフェニルメタン系色素が代表的である。最も広範囲に報告され、利用されている代表的なフタロシアニン系色素としては、以下のA〜Hで分類されるフタロシアニン誘導体がある。
A:Direct Blue 86、Direct Blue 87、Direct Blue 199、Acid Blue 249又はReactive Blue 71等の公知のフタロシアニン系色素
B:特許文献1〜3等に記載のフタロシアニン系色素
[例えば、Cu−Pc−(SONa)m(SONH)n : m+n=1〜4の混合物]
C:特許文献4等に記載のフタロシアニン系色素
[例えば、Cu−Pc−(COH)m(CONR)n : m+n=0〜4の数]
D:特許文献5等に記載のフタロシアニン系色素
[例えば、Cu−Pc−(SOH)m(SONR)n : m+n=0〜4の数、且つ、m≠0]
E:特許文献6等に記載のフタロシアニン系色素
[例えば、Cu−Pc−(SOH)l(SONH)m(SONR)n : l+m+n=0〜4の数]
F:特許文献7等に記載のフタロシアニン系色素
[例えば、Cu−Pc−(SONR)n : n=1〜5の数]
G:特許文献8、9、及び12等に記載のフタロシアニン系色素
[置換基の置換位置を制御したフタロシアニン化合物、β−位に置換基が導入されたフタロシアニン系色素]
H:特許文献10、13、14、15、16等に記載のピリジン環とベンゼン環を有するベンゾピリドポルフィラジン系色素
現在一般に広く用いられているC.I.Direct Blue 86又はC.I.Direct Blue 199に代表されるフタロシアニン系色素は、一般に知られているマゼンタ色素やイエロー色素に比べ耐光性に優れるという特徴がある。しかし、フタロシアニン系色素は酸性条件下ではグリーン味の色相であり、シアンインクとしては余り好ましくない。そのためこれらの色素をシアンインクとして用いる場合は中性からアルカリ性の条件下で使用するのが好ましい。しかしながら、インクが中性からアルカリ性でも、用いる被記録材が酸性紙である場合、印刷物の色相が好ましくないグリーン味へ大きく変化する可能性がある。
さらに、フタロシアニン系色素をシアンインクとして用いた場合、昨今環境問題として取りあげられることの多い酸化窒素ガスやオゾン等の酸化性ガスによっても、印刷物の色相がグリーン味に変色すると共に、消色も起こるため、同時に印字濃度も低下してしまうという問題点があった。
一方、トリフェニルメタン系については、色相は良好であるが、耐光性、耐オゾン性及び耐湿性において非常に劣る。
今後、インクジェット記録の使用分野が拡大して、広告等の展示物にも広く使用されるようになると、光や環境中の活性ガスに曝される機会が多くなるため、そこに使用される色素及びインクは良好な色相を有し、且つ安価であることと共に、特に、耐光性、環境中の活性ガス(NOx、オゾン等の酸化性ガス及びSOxなど)耐性及び耐湿性等の各種耐久性に優れることがますます強く望まれてくる。しかしながら、これらの要求を高いレベルで満たすシアン色素(例えば、フタロシアニン系色素)及びシアンインクを開発することは難しい。
これまで、活性ガス耐性を付与したフタロシアニン系色素は、特許文献3、8〜12、14〜16等に開示されているが、色相、耐光性、耐オゾン性、耐湿性及びブロンズ現象を起こさない等すべての品質を満足させ、更には安価に製造可能なシアン色素及びシアンインクはいまだ得られていない。よって市場の要求を充分に満足させるには至っていない。
特開昭62−190273号公報 特開平7−138511号公報 特開2002−105349号公報 特開平5−171085号公報 特開平10−140063号公報 特表平11−515048号公報 特開昭59−22967号公報 特開2000−303009号公報 特開2002−249677号公報 特開2003−34758号公報 特開2002−80762号公報 WO2004/087815号公報 WO2002/034844号公報 特開2004−75986号公報 WO2007/091631号公報 WO2007/116933号公報
本発明は、前記問題を解決し、シアンインクとして良好な色相を有し、耐光性、耐オゾン性、耐湿性及び耐水性等の各種耐久性に優れ、且つブロンズ現象を起こさない新規な色素を提供すること、更には該色素を用いたインクジェットに適したインク組成物及び該インク組成物を用いたインクジェット記録方法を提供することを課題とする。
本発明者らは鋭意検討の結果、ポルフィラジン環における含窒素複素芳香環の個数を平均値で0より大きく、1未満であり、特定のスルファモイル置換を有する、下記式(1)で表されるポルフィラジン色素混合物又はその塩が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、
(1)
下記式(1)で表されるポルフィラジン色素混合物又はその塩、
Figure 0005458010
[式中、
環A乃至Dは、それぞれ独立にポルフィラジン環に縮環したベンゼン環又は窒素原子を1又は2個含む6員環の含窒素複素芳香環を表し、環A乃至Dにおける含窒素複素芳香環の個数は平均値で0.00より大きく1.00未満であり、残りはベンゼン環であり、
EはC2−C6アルキレンを表し、
Xは、スルホ基、カルボキシ基及びリン酸基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を置換基として有する、アニリノ基又はナフチルアミノ基であり、該アニリノ基又はナフチルアミノ基は、更に、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基、スルファモイル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アミノ基、モノ又はジアルキルアミノ基、モノ又はジアリールアミノ基、アセチルアミノ基、ウレイド基、アルキル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、アルキルスルホニル基、アルキルチオ基、アリールオキシ基及びヘテロ環基よりなる群から選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよく、
Yはアミノ基;ヒドロキシ基;スルホ基、カルボキシ基、リン酸基、スルファモイル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アミノ基、モノ又はジアルキルアミノ基、モノ又はジアリールアミノ基、アセチルアミノ基、ウレイド基、アルキル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、アルキルスルホニル基、アルキルチオ基、アリールオキシ基及びヘテロ環基よりなる群から選択される1種又は2種以上の置換基を有してもよい、モノ又はジアルキルアミノ基又は含窒素複素環基;を表し、
XとYの組合せのうち、Yがアミノ基又はヒドロキシ基であり、かつXが置換アニリノ基である組合せは含まず、
bは非置換スルファモイル基の置換数を表し、平均値で0.00以上3.90未満であり、
cは置換スルファモイル基の置換数を表し、平均値で0.10以上4.00未満であり、
且つbおよびcの和は、平均値で3.00より大きく4.00未満である。]、
(2)
上記(1)に記載された式(1)において、環A乃至Dで表される前記含窒素複素芳香環が、ピリジン環又はピラジン環である上記(1)に記載のポルフィラジン色素混合物又はその塩、
(3)
下記式(3)で表されるポルフィラジン化合物の混合物と、下記式(4)で表される有機アミンとを、アンモニア存在下で反応させて得られる上記(1)又は(2)に記載のポルフィラジン色素混合物又はその塩、
Figure 0005458010
[式中、環A乃至Dは上記(1)に記載のものと同じ意味を表し、またnは3より大きく4未満である。]、
Figure 0005458010
[式中、E、X、及びYは上記(1)に記載のものと同じ意味を表す。]、
(4)
環A乃至Dにおける前記含窒素複素芳香環がピリジン環であり、該ピリジン環の縮環位置が、ピリジン環の窒素原子を1位として2位及び3位、3位及び4位、4位及び5位、又は5位及び6位であるか、又は、
環A乃至Dにおける前記含窒素複素芳香環がピラジン環であり、該ピラジン環の縮環位置が、ピラジン環の窒素原子を1位及び4位として2位及び3位であり、
EがC2−C4アルキレンであり、
Xはスルホ基、カルボキシ基、又はリン酸基を置換基として有する、アニリノ基又はナフチルアミノ基であり、該アニリノ基又はナフチルアミノ基は、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ウレイド基、アセチルアミノ基、ニトロ基及び塩素原子よりなる群から選択される1種又は2種以上の置換基を、さらに0〜3個有しても良く、
Yはアミノ基;ヒドロキシ基;又は、ヒドロキシ基、スルホ基、カルボキシ基若しくはリン酸基よりなる群から選択される基で置換されてもよい、モノ若しくはジC1−C4アルキルアミノ基若しくは5乃至7員環の含窒素複素環基;である、Yがアミノ基又はヒドロキシ基であり、かつXが置換アニリノ基の組合せは含まない、上記(1)乃至(3)のいずれか一項に記載のポルフィラジン色素混合物又はその塩、
(5)
環A乃至Dにおける前記含窒素複素芳香環の個数が、平均値で0.20〜0.90であり、残りがベンゼン環であり、
bが平均値で0.00〜3.70であり、
cは平均値で0.10〜3.80であり、
且つbおよびcの和は、平均値で3.10〜3.80である上記(1)乃至(4)のいずれか一項に記載のポルフィラジン色素混合物又はその塩、
(6)
環A乃至Dにおける前記含窒素複素芳香環の個数が平均値で0.25〜0.85であり、
EがC2−C4アルキレンを表し、
Xが、スルホ基又はカルボキシ基で置換されたアニリノ基又はナフチルアミノ基;又は、リン酸置換アニリノ基であり、該アニリノ基及びナフチルアミノ基はスルホ基、カルボキシ基、リン酸基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ウレイド基、アセチルアミノ基、ニトロ基及び塩素原子からなる群から選択される1種又は2種以上の置換基を、さらに0〜3個有しても良く、
Yはアミノ基;ヒドロキシ基;ヒドロキシ基、スルホ基、カルボキシ基又はリン酸基よりなる群から選択される基で置換されてもよい、モノ又はジアルキルアミノ基又は含窒素複素環基;であり、
bは平均値で0.00〜3.65であり、
cは平均値で0.10〜3.75であり、
且つbおよびcの和は平均値で3.15から3.75である、上記(1)乃至(5)のいずれか一項に記載のポルフィラジン色素混合物又はその塩、
(7)
Eがエチレン又はプロピレンであり、
Xがスルホ置換アニリノ基;カルボキシ置換アニリノ基;又はスルホ置換ナフチルアミノ基であり、
Yはアミノ基;ヒドロキシ基;ヒドロキシ基、スルホ基、又はカルボキシ基で置換されてもよい、モノ又はジアルキルアミノ基又は含窒素複素環基;である、上記(1)乃至(6)のいずれか一項に記載のポルフィラジン色素混合物又はその塩、
(8)
環A乃至Dにおける前記含窒素複素芳香環がピリジン環であり、該ピリジン環の縮環位置が、ピリジン環の窒素原子を1位として2位及び3位、又は5位及び6位である上記(7)に記載のポルフィラジン色素混合物又はその塩、
(9)
上記(1)乃至(8)のいずれか一項に記載のポルフィラジン色素混合物又はその塩を、色素として含有し、さらに水を含有することを特徴とするインク組成物、
(10)
さらに有機溶剤を含有する上記(9)に記載のインク組成物、
(11)
インクジェット記録用である上記(9)又は(10)に記載のインク組成物、
(12)
上記(1)乃至(8)のいずれか一項に記載のポルフィラジン色素混合物又はその塩、及び水を含有するインク組成物のインク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に付着させることにより記録を行うインクジェット記録方法、
(13)
被記録材が情報伝達用シートである上記(12)に記載のインクジェット記録方法、
(14)
情報伝達用シートが表面処理されたシートであって、支持体上に白色無機顔料粒子を含有するインク受容層を有するシートである上記(13)に記載のインクジェット記録方法、
(15)
上記(1)乃至(8)のいずれか一項に記載のポルフィラジン色素混合物又はその塩、及び水を含有するインク組成物を充填した容器、
(16)
上記(15)に記載の容器が装填されたインクジェットプリンタ、
(17)
上記(1)乃至(8)のいずれか一項に記載のポルフィラジン色素混合物又はその塩、及び水を含有するインク組成物で着色された着色体、
(18)
環A乃至Dにおける前記含窒素複素芳香環がピリジン環又はピラジン環であり、
EがC2−C4アルキレン基であり、
Xがスルホ置換アニリノ基、カルボキシ置換アニリノ基又はスルホ置換ナフチルアミノ基であり、
Yが、アミノ基;ヒドロキシ基;スルホ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基及びアルコキシ基からなる群より選択される基で置換されてもよいモノ(C1−C4)アルキルアミノ基;カルボキシ基又はヒドロキシ基で置換されてもよいジ(C1−C4)アルキルアミノ基;又は、メチル基、エチル基又はカルボキシ基で置換されてもよい5乃至6員環含窒素複素環基である、
上記(1)に記載のポルフィラジン色素混合物又はその塩、
(19)
環A乃至Dにおける前記含窒素複素芳香環がピリジン環であり、該ピリジン環の縮環位置が、ピリジン環の窒素原子を1位として2位及び3位であり、かつ、該ピリジン環の個数が平均値で0.2〜1未満であり、
Eがエチレン基であり、
Xがスルホ置換アニリノ基であり、
YがスルホC1−C4アルキルアミノ基である、
上記(1)に記載のポルフィラジン色素混合物又はその塩、
(20)
下記式(1’)
Figure 0005458010
(式中、環A乃至Dはそれぞれ独立にポルフィラジン環に縮環したベンゼン環又は窒素原子を1又は2個含む6員環の含窒素複素芳香環を表し、環A乃至Dにおける含窒素複素芳香環の個数は平均値で0より大きく1未満であり、残りはベンゼン環であり、
E’はC2−C4アルキレンを表し、
X’はスルホ置換アニリノ基;カルボキシ置換アニリノ基;又はスルホ置換ナフチルアミノ基であり、
Y’はアミノ基;ヒドロキシ基;置換基としてアルキル基上に、ヒドロキシ基、スルホ基、又はカルボキシ基を有してもよいモノ又はジアルキルアミノ基;又は置換基としてC1〜C3アルキル基又はカルボキシ基を有してもよい5乃至6員環含窒素複素環基
bは平均値で0以上3.9未満であり、
cは平均値で0.1以上4未満であり、
且つbおよびcの和は、平均値で3より大きく4未満である)
で表されるポルフィラジン色素混合物又はその塩、
(21)
前記含窒素複素芳香環がピリジン環、X’がスルホ置換アニリノ基、Y’がスルホ置換C1−C4アルキルアミノ基である上記(20)に記載のポルフィラジン色素混合物又はその塩、
(22)
ピリジン環の個数が平均値で0.1〜1未満であり、bおよびcが平均値で下記
1.8<b≦3.7
0.2≦c≦1.2
3<b+c≦3.9
の関係を満たす上記(21)に記載のポルフィラジン色素混合物又はその塩、
に関する。
本発明の色素又はその塩を含有するインク組成物は、シアンインクとして良好な色相を有し、耐光性、耐オゾン性、耐湿性及び耐水性に優れたインク組成物である。また、長期間保存後の固体析出、物性変化、色変化等もなく、貯蔵安定性が良好である。更に、他のマゼンタインク及びイエローインクと共に用いることで、広い可視領域の色調を色出しすることができる。従って、本発明のポルフィラジン色素又はその塩を含有するシアンインク組成物は、インクジェット記録用のインクとして極めて有用である。
本発明を詳細に説明する。
本発明の前記式(1)又は前記式(1’)で表されるポルフィラジン色素又はその塩は、インクジェット記録用の色素として適している。そして、本発明のインクジェット記録に適したインクは、前記式(1)又は前記式(1’)で表されるポルフィラジン色素又はその塩を含有することを特徴とする。
また、該色素は、銅テトラベンゾポルフィラジン(通常、銅フタロシアニンと呼ばれているもの)の4つのベンゾ(ベンゼン)環のうち、平均値で、0より大きく、1より小さい個数のベンゼン環を、6員の含窒素複素芳香環に置き換えたポルフィラジンに、無置換スルファモイル基、及び特定の置換スルファモイル基を導入した色素であり、該銅ポルフィラジン色素又はその塩は水溶性が高く、インクジェット用のインクに非常に適し、保存安定性に優れ、且つ、該色素又はその塩を含むインクでの記録物は、極めてオゾンガスに対して耐久性が優れ、ブロンズ現象を起こしにくく、且つ耐水性が良好である。
なお、本明細書においては煩雑さを避けるため、特に断りの無い限り、以下「本発明のポルフィラジン色素又はその塩」の意味で、「本発明のポルフィラジン色素」と簡略に記載する。
前記式(1)又は前記式(1’)において、環A乃至Dは、それぞれ独立にポルフィラジン環に縮環したベンゼン環又は6員環の含窒素複素芳香環を表し、含窒素複素芳香環の個数は平均値で0より大きく1未満であり、残りはベンゼン環である。
環A乃至Dにおける6員環の含窒素複素芳香環としては、例えば、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環及び/又はピリダジン環等の窒素原子1〜2個を含む含窒素複素芳香環があげられる。これらの中ではピリジン環又はピラジン環が好ましく、ピリジン環が最も好ましい。
該含窒素複素芳香環の個数が増えるにしたがって、耐オゾン性は向上するが、ブロンジング性は生じやすくなる傾向にあり、含窒素複素芳香環の個数は耐オゾン性とブロンジング性を考慮しながら、適宜調節し、バランスの良い比率を選択すれば良い。含窒素複素芳香環の個数は複素環の種類にもよるので一概には言えないが、通常平均値で0より大きく、1未満、好ましくは0.1〜1未満であり、より好ましくは0.2〜1未満である。また、含窒素複素芳香環の個数は、0.01〜0.99、より好ましくは0.10〜0.90、更に好ましくは0.20〜0.90、最も好ましくは0.2〜0.85、又は0.25〜0.85の範囲であってもよい。残りの環A乃至Dはベンゼン環である。
本発明のポルフィラジン色素は、環A乃至Dの含窒素複素環の個数を平均値で表していることから明らかなように、複数の色素の色素混合物である。より具体的には、本発明の色素においては、環A乃至Dの全てがベンゼン環のポルフィラジン色素、及び環A乃至Dの一つ若しくはそれ以上が6員環の含窒素複素芳香環になっているポルフィラジン色素との混合物となっており、その混合物における平均のベンゼン環の個数及び6員環の含窒素複素芳香環の個数を示すため、1より小さい数、又は整数でない個数となっている。例えば、6員環の含窒素複素芳香環の個数が0より大きく、1より小さい時は、環A乃至Dの全てがベンゼン環のポルフィラジン色素と環A乃至Dの一つ(主成分)若しくはそれ以上が6員環の含窒素複素芳香環であるポルフィラジン色素とが、平均値で上記の値の範囲になる様に混合物になっていることを示す。本発明においては、平均値の化合物として取り扱って支障が無いので、そのように記載する。
なお、本明細書においては、必要に応じて、該含窒素複素芳香環の個数は、小数点以下3桁目を四捨五入して2桁目までを記載する。
前記式(1)のEにおけるアルキレンとしては、例えばC2−C12のアルキレンがあげられ、好ましくはC2−C6のアルキレン、より好ましくはC2−C4のアルキレンがあげられる。具体例としてはエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、シクロプロピレンジイル、1,2−又は1,3−シクロペンチレンジイル、1,2−、1,3−又は1,4−などの各シクロヘキシレンジイルなどが挙げられる。前記式(1)におけるEとして、エチレン、プロピレン又はブチレンが好ましく、より好ましくはエチレン又はプロピレン、さらに好ましくはエチレンである。
Xは、ベンゼン環又はナフタレン環上に、スルホ基、カルボキシ基及びリン酸基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を置換基として有するアニリノ基又はナフチルアミノ基であり、ベンゼン環上には1〜2個、より好ましくは1個、ナフタレン環上には1〜3個、好ましくは1〜2個、上記から選ばれる置換基を有するのが好ましい。これらの中で、スルホ基又はカルボキシ基がより好ましく、スルホ基が最も好ましい。
該アニリノ基又は該ナフチルアミノ基は、ベンゼン環又はナフタレン環上に、上記以外の置換基として、スルファモイル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アミノ基、モノ又はジアルキルアミノ基、モノ又はジアリールアミノ基、アセチルアミノ基、ウレイド基、アルキル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、アルキルスルホニル基、アルキルチオ基、アリールオキシ基及びヘテロ環基よりなる群から選択される1種又は2種以上の基で、さらに置換されても良い。これらの置換基はベンゼン環上には0〜2個、より好ましくは0個、ナフタレン環上には0〜2個、好ましくは0個有するのが好ましい。
上記Xにおけるベンゼン環又はナフタレン環上の各置換基に付き以下に説明する。
アルコキシ基は、そのアルキル部分が、直鎖、分岐鎖又は環状の何れでもよく、直鎖又は分岐鎖が好ましく、直鎖がより好ましい。該アルコキシ基としては、通常(C1−C6)アルコキシ基、好ましくは(C1−C4)アルコキシ基、より好ましくは(C1−C3)アルコキシ基を挙げることができる。該アルコキシ基の具体例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ、n−ペントキシ及びn−ヘキシロキシ等の直鎖アルコキシ基;イソプロポキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、イソペントキシ(イソアミロキシ)及びイソヘキシロキシ等の分岐鎖アルコキシ基;シクロプロポキシ、シクロブトキシ、シクロペントキシ及びシクロヘキシロキシ等の環状アルコキシ基;等が挙げられる。
モノ又はジアルキルアミノ基は、そのアルキル部分が直鎖又は分岐鎖のいずれでもよい。そのアルキル部分の炭素数としては、通常C1−C6、好ましくはC1−C4、より好ましくはC1−C3である。ジアルキルアミノ基の場合には、両方のアルキル基が直鎖又は分岐鎖であっても、また、一方が直鎖であり、他方が分岐鎖であってもよい。
該モノ又はジアルキルアミノ基の具体例としては、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、n−ブチルアミノ、n−ペンチルアミノ及びn−ヘキシルアミノ等の直鎖モノアルキルアミノ基;イソプロピルアミノ、イソブチルアミノ、イソペンチルアミノ及びイソヘキシルアミノ等の分岐鎖モノアルキルアミノ基;ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジ(n−プロピル)アミノ、ジ(n−ブチル)アミノ、ジ(n−ペンチル)アミノ及びジ(n−ヘキシル)アミノ等の直鎖ジアルキルアミノ基;ジイソプロピルアミノ、ジイソブチルアミノ、ジイソペンチルアミノ及びジイソヘキシルアミノ等の分岐鎖ジアルキルアミノ基;メチル(エチル)アミノ、メチル(n−プロピル)アミノ、メチル(イソプロピル)アミノ等の両アルキル鎖が異なるジアルキルアミノ基;等が挙げられる。
モノ又はジアリールアミノ基としては、モノ又はジC6−C10アリールアミノ基が好ましく、モノ又はジフェニルアミノ基がより好ましい。
アルキル基としては、直鎖又は分岐鎖アルキル基が挙げられ、直鎖アルキル基が好ましい。該アルキル基の炭素数としては、通常C1−C6、好ましくはC1−C4、より好ましくはC1−C3である。具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル及びn−ヘキシル等の直鎖アルキル基;イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、イソペンチル、2−メチルブチル及びイソヘキシル等の分岐鎖アルキル基;等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、塩素原子及び臭素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
アルキルスルホニル基は、そのアルキル部分が直鎖又は分岐鎖の何れでもよく、直鎖が好ましい。該アルキル部分の炭素数としては、通常C1−C6、好ましくはC1−C4、より好ましくはC1−C3である。該アルキルスルホニル基の具体例としては、メチルスルホニル、エチルスルホニル、n−プロピルスルホニル、n−ブチルスルホニル、n−ペンチルスルホニル及びn−ヘキシルスルホニル等の直鎖アルキルスルホニル基;イソプロピルスルホニル、イソブチルスルホニル、sec−ブチルスルホニル、t−ブチルスルホニル、イソペンチルスルホニル、2−メチルブチルスルホニル及びイソヘキシルスルホニル等の分岐鎖アルキルスルホニル基;等が挙げられる。
アルキルチオ基は、そのアルキル部分が直鎖又は分岐鎖の何れでもよく、直鎖が好ましい。該アルキル基の炭素数としては、通常C1−C6、好ましくはC1−C4、より好ましくはC1−C3である。該アルキルチオ基の具体例としては、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、n−ブチルチオ、n−ペンチルチオ及びn−ヘキシルチオ等の直鎖アルキルチオ基;イソプロピルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオ、t−ブチルチオ、イソペンチルチオ、2−メチルブチルチオ及びイソヘキシルチオ等の分岐鎖アルキルチオ基;等が挙げられる。
アリールオキシ基としては、C6−C10アリールオキシ基が好ましく、フェノキシ又はナフチロキシがより好ましく、フェノキシがさらに好ましい。
ヘテロ環基としては、窒素原子を含む、芳香族ヘテロ環基又は脂肪族ヘテロ環基が挙げられ、該窒素原子でベンゼン環またはナフタレン環に結合している脂肪族ヘテロ環基が好ましい。
該芳香族ヘテロ環基としては、窒素原子を1又は2含む6員環のものが挙げられ、その具体例としては、ピリジン基、ピラジン基、ピリミジン基及びピリダジン基等が挙げられる。
該脂肪族ヘテロ環基としては、窒素原子を1つ含み、さらに酸素原子又は窒素原子を1つ含んでも良い5又は6員環のものが挙げられる。また、該脂肪族ヘテロ環基は、C1−C4アルキル基又はカルボキシ基を置換基として有しても良い。該脂肪族ヘテロ環基の具体例としては、モルホリン−1−イル、4−メチルーピペリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、ピロリジン−1−イル、2−カルボキシ−ピロリジン−1−イル及び4−エチル−ピペラジン−1−イル等の窒素原子で、ベンゼン環又はナフタレン環に結合している基があげられる。
次に、Xについて、より具体的に説明する。
前記したように、Xは、ベンゼン環又はナフタレン環上に、スルホ基、カルボキシ基及びリン酸基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を置換基として有するアニリノ基又はナフチルアミノ基であり、Xがスルホ基、カルボキシ基又はリン酸基を置換基として有するアニリノ基又はナフチルアミノ基の場合、さらに有してもよい置換基としては、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ウレイド基、アセチルアミノ基、ニトロ基及びハロゲン原子(より好ましくは塩素原子)からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を挙げることができ、より好ましくはスルホ基、カルボキシ基及びヒドロキシ基が挙げられる。またXが該ナフチルアミノ基の場合には、上記のさらに有してもよい置換基のうち、スルホ基及びヒドロキシ基がさらに好ましい。
該アニリノ基又は該ナフチルアミノ基がさらに有する置換基の数は、通常0〜4、好ましくは0〜3、より好ましくは0〜2、さらに好ましくは0又は1、特に好ましくは0である。
上記Xの具体例としては、2,5−ジスルホアニリノ、2−スルホアニリノ、3−スルホアニリノ、4−スルホアニリノ、2−カルボキシアニリノ、4−カルボキシアニリノ、4−エトキシ−2−スルホアニリノ、2−メチル−5−スルホアニリノ、2−メトキシ−4−ニトロ−5−スルホアニリノ、2−クロロ−5−スルホアニリノ、3−カルボキシ−4−ヒドロキシアニリノ、3−カルボキシ−4−ヒドロキシ−5−スルホアニリノ、2−ヒドロキシ−5−ニトロ−3−スルホアニリノ、4−アセチルアミノ−2−スルホアニリノ、4−アニリノ−3−スルホアニリノ、3,5−ジクロロ−4−スルホアニリノ、3−ホスホノアニリノ、3,5−ジカルボキシアニリノ、2−カルボキシ−4−スルホアニリノ、2−カルボキシ−5−スルホアニリノ、5,7−ジスルホナフタレン−2−イルアミノ、6,8−ジスルホナフタレン−2−イルアミノ、3,6−ジスルホナフタレン−1−イルアミノ、3,6,8−トリスルホナフタレン−1−イルアミノ、8−ヒドロキシ−3,6−ジスルホナフタレン−1−イルアミノ、4,8−ジスルホナフタレン−2−イルアミノ、3,6,8−トリスルホナフタレン−2−イルアミノ、4,6,8−トリスルホナフタレン−2−イルアミノ、8−クロロ−3,6−ジスルホナフタレン−1−イルアミノ、8−ヒドロキシ−6−スルホナフタレン−2−イルアミノ及び5−ヒドロキシ−7−スルホナフタレン−2−イルアミノ等があげられる。
好ましいXとしては、スルホ基もしくはカルボキシ基で置換されたアニリノ基もしくは、スルホ基もしくはカルボキシ基で置換されたナフチルアミノ基、又は、リン酸基置換アニリノ基を挙げることができ、該アニリノ基又はナフチルアミノ基は、更に、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ウレイド基、アセチルアミノ基、ニトロ基及び塩素原子からなる群から選択される少なくとも1つの基をさらに0〜3個有してもよい。
より好ましいXとしては、スルホ基又はカルボキシ基を1乃至3個、好ましくは1乃至2個有する、スルホ置換アニリノ基、カルボキシ置換アニリノ基(より好ましくはジカルボキシ置換アニリノ)、又はスルホ置換ナフチルアミノ基を挙げることができ、スルホ置換アニリノ基がさらに好ましい。
次に、Yについて説明する。
Yは、アミノ基;ヒドロキシ基;又は、アルキル基若しくは複素環における炭素原子上に置換基として、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基、スルファモイル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(さらにヒドロキシ基で置換されていてもよい)、アミノ基、モノ又はジアルキルアミノ基、モノ又はジアリールアミノ基、アセチルアミノ基、ウレイド基、アルキル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、アルキルスルホニル基、アルキルチオ基、アリールオキシ基及びヘテロ環基よりなる群(以下Y置換基群ともいう)から選択される少なくとも1つの基を有してもよいモノもしくはジアルキルアミノ基又は含窒素複素環基;を表す。Yがモノもしくはジアルキルアミノ基又は含窒素複素環基であるときに有しても良い置換基の数は、通常1〜4、好ましくは1〜3、より好ましくは1又は2、さらに好ましくは1である。また同様に置換基の種類としては、通常1〜4、好ましくは1〜3、より好ましくは1又は2、さらに好ましくは1である。
上記Yのモノ又はジアルキルアミノ基は、そのアルキル部分が直鎖又は分岐鎖の何れでもよく、直鎖が好ましい。該アルキル部分の炭素数は、通常C1−C6、好ましくはC1−C4、より好ましくはC1−C3である。その具体例としては、前記Xのベンゼン環又はナフタレン環上の置換基として挙げたモノ又はジアルキルアミノ基の説明の個所でアルキル基として例示した基を挙げることができる。好ましい基を例示すれば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、イソペンチル、2−メチルブチル及びイソヘキシル等の直鎖又は分岐鎖のC1−C6アルキル基を挙げることができ、より好ましくはこれらの中のC1−C4アルキル基、更に好ましくはC1−C3アルキル基である。
Yにおける含窒素複素環基としては、窒素原子を1つ含み、さらに酸素原子又は窒素原子を1つ含んでも良い5乃至7員環、好ましくは5又は6員環の基で、窒素原子においてトリアジン環に結合する基が挙げられる。その具体例としては、モルホリン−1−イル(モルホリノ)、ピペラジン−1−イル(ピペラジノ)、ピペリジン−1−イル(ピペリジノ)、及び、ピロリジン−1−イル(ピロリジノ)が挙げられる。
次にYにおけるモノもしくはジアルキルアミノ基上、又は含窒素複素環基上に置換基として置換してもよい基(Y置換基群)について以下に説明する。
Y置換基群の中で好ましいものは、スルホ基、カルボキシ基、ウレイド基、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子及びヘテロ環基が挙げられ、更に好ましくはスルホ基、カルボキシ基及び/又はヒドロキシ基が挙げられる。
前記Y置換基群におけるアルコキシ基は、そのアルキル部分が直鎖、分岐鎖又は環状何れでもよく、直鎖又は分岐鎖がより好ましく、直鎖がより好ましい。該アルキル部分の炭素数は、通常C1−C8、好ましくはC1−C6、より好ましくはC1−C4である。また、上記アルコキシはさらにヒドロキシで置換されていてもよい。該アルコキシ基の具体例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキシロキシ、n−ヘプチロキシ及びn−オクチロキシ等の直鎖のもの;イソプロポキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、イソペントキシ(イソアミロキシ)、イソヘキシロキシ、イソヘプチロキシ及びイソオクチロキシ等の分岐鎖のもの;シクロプロポキシ、シクロブトキシ、シクロペントキシ及びシクロヘキシロキシ等の環状のもの;上記直鎖、分岐鎖又は環状の基上に、ヒドロキシ基を有するアルコキシ基等が挙げられる。
前記Y置換基群におけるモノ又はジアルキルアミノ基は、そのアルキル部分が直鎖又は分岐鎖の何れでもよい。アルキル部分の炭素数は、通常C1−C8、好ましくはC1−C6、より好ましくはC1−C4である。ジアルキルアミノ基の場合には、2つのアルキルは同じであっても、異なっていてもよく、例えば、一方のアルキル基が直鎖であり、他方が分岐鎖であってもよい。該モノ又はジアルキルアミノ基の具体例としては、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、n−ブチルアミノ、n−ペンチルアミノ、n−ヘキシルアミノ、n−ヘプチルアミノ及びn−オクチルアミノ等の直鎖モノアルキルアミノ基;イソプロピルアミノ、イソブチルアミノ、イソペンチルアミノ、イソヘキシルアミノ、イソヘプチルアミノ及びイソオクチルアミノ等の分岐鎖モノアルキルアミノ基;ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジ(n−プロピル)アミノ、ジ(n−ブチル)アミノ、ジ(n−ペンチル)アミノ及びジ(n−ヘキシル)アミノ等の直鎖ジアルキルアミノ基;ジイソプロピルアミノ、ジイソブチルアミノ、ジイソペンチルアミノ及びジイソヘキシルアミノ等の分岐鎖ジアルキルアミノ基;メチル(エチル)アミノ、メチル(n−プロピル)アミノ、メチル(イソプロピル)アミノ等の、直鎖及び分岐鎖のアルキル基のうちで異なる種類のアルキル基を1つずつ有するジアルキルアミノ基;等が挙げられる。
前記Y置換基群におけるモノ又はジアリールアミノ基としては、モノ又はジC6−C10アリールアミノ基が好ましく、モノ又はジフェニルアミノ基がより好ましい。
前記Y置換基群におけるアルキル基、ハロゲン原子、アルキルスルホニル基、アルキルチオ基、アリールオキシ基及びヘテロ環基については、前記Xのベンゼン環又はナフタレン環上の置換基として挙げた上記各基における説明をそのまま適用できる。
次にYについて説明する。
好ましいYとしては、Y置換基群から選択される少なくとも1つの基を有してもよいモノもしくはジアルキルアミノ基を挙げることができ、より好ましくは前記Y置換基群の中の好ましい置換基を有するモノもしくはジアルキルアミノ基を挙げることができ、更に好ましくは、スルホ基、カルボキシ基及びヒドロキシ基よりなる群から選ばれる少なくとも1つ基で置換されたモノもしくはジアルキルアミノ基を挙げることができる。より具体的以下にそれぞれについて説明する。
Yが置換基を有してもよいモノアルキルアミノ基であるとき、好ましい置換基としては、スルホ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基及びアルコキシ基(好ましくはC1−C4アルコキシ基であり、さらにヒドロキシ基で置換されてもよい)が挙げられ、スルホ基がより好ましい。これら置換基で置換されたモノアルキルアミノ基がより好ましく、更に好ましくはこれら置換基で置換されたモノC1−C4アルキルアミノ基であり、最も好ましくはスルホ置換モノC1−C4アルキルアミノ基である。
該モノアルキルアミノ基の具体例としては、2−スルホエチルアミノ、2−カルボキシエチルアミノ、カルボキシメチルアミノ、2−ヒドロキシエチルアミノ、4−ヒドロキシブチルアミノ、5−カルボキシ−ペンチルアミノ、(2−ヒドロキシエトキシ)エチルアミノ、2−メトキシエチルアミノ及び2−エトキシエチルアミノ等があげられる。
Yが置換基を有してもよいジアルキルアミノ基であるとき、好ましい置換基としては、スルホ基、カルボキシ基、ウレイド基、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子及びヘテロ環基が挙げられ、カルボキシ基及びヒドロキシ基がより好ましい。該ジアルキルアミノ基は、これらの好ましい置換基の中から選ばれる少なくとも1つの基を2〜4個、好ましくは2個有しても良い。該ジアルキルアミノ基のアルキル部分及び/又は該アルキル部分の置換基は、同じでも異なっていても良いが、いずれも同じである方が好ましい。
該ジアルキルアミノ基の具体例としては、ジ(2−ヒドロキシエチル)アミノ及びジ(2−カルボキシエチル)アミノ等があげられる。
次ぎに、Yが前記Y置換基群から選ばれる置換基で置換されていてもよい含窒素複素環基の場合、前記Y置換基群の中で、好ましい置換基としてはスルホ基、カルボキシ基、ウレイド基、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子及びヘテロ環基があげられ、スルホ基、カルボキシ基、C1−C4アルキル基及びヒドロキシ基がさらに好ましい。これらの中から1種又は2種以上の置換基を0〜4個、好ましくは0〜3個、より好ましくは0又は1個有しても良い。
該含窒素複素環基における置換基の好ましい具体例としてはメチル基、エチル基、スルホ基、カルボキシ基及びヒドロキシ基があげられ、より好ましくはメチル基、エチル基及びカルボキシ基である。
該含窒素複素環基の好ましい具体例としては、モルホリン−1−イル(モルホリノ)、4−メチル−ピペリジン−1−イル(4-メチルピペリジノ)、ピペリジン−1−イル(ピペリジノ)、ピロリジン−1−イル(ピロリジノ)、3−メチルピロリジン−1−イル、2−カルボキシ−ピロリジン−1−イル及び4−エチル−ピペラジン−1−イル等があげられる。
好ましいYとしては、スルホC1−C4アルキルアミノ;ヒドロキシC1−C4アルキルアミノ;ヒドロキシC1−C4アルコキシC1−C4アルキルアミノ;ジ(ヒドロキシC1−C4アルキル)アミノ;ジ(カルボキシC1−C4アルキル)アミノ;含窒素複素環基(好ましくは5乃至6員環含窒素複素環基)を挙げることができる。
場合により、好ましいYとして、アミノ基;ヒドロキシ基;又は、ヒドロキシ基、スルホ基、カルボキシ基及びリン酸基よりなる群(より好ましくはヒドロキシ基、スルホ基及びカルボキシ基よりなる群)から選択される基で置換されてもよい、モノ又はジアルキルアミノ基又は含窒素複素環基が挙げられる。より好ましくは、アミノ基;ヒドロキシ基;又は、ヒドロキシ基、スルホ基及びカルボキシ基から選択される基で置換されてもよい、モノ又はジ(C1−C4)アルキルアミノ基又は5乃至7員環(さらに好ましくは5又は6員環)の含窒素複素環基;である。
この場合に、さらに、好ましいYとして、アミノ基;ヒドロキシ基;スルホ、カルボキシ、ヒドロキシ及びアルコキシ(好ましくはC1−C4アルコキシであり、さらにヒドロキシで置換されてもよい。)からなる群より選択される基で置換されてもよいモノ(C1−C4)アルキルアミノ基;カルボキシ又はヒドロキシで置換されてもよいジ(C1−C4)アルキルアミノ基;及び、メチル、エチル又はカルボキシで置換されてもよい5乃至6員環含窒素複素環基が挙げられる。
最も好ましいYはスルホC1−C4アルキルアミノである。
前記式(1)又は式(1’)におけるbは非置換スルファモイル基の置換数を、前記式(1)又は式(1’)におけるcは置換スルファモイル基の置換数をそれぞれ表す。
前記式(1)又は式(1’)におけるb、c、並びに、b及びcの和は、いずれも前記式(1)又は式(1’)で表されるポルフィラジン色素1分子あたりの平均値である。
bは0.00以上3.90未満、好ましくは0.00〜3.70、より好ましくは0.00〜3.65である。また、bの更に好ましい場合として、1以上で3.9未満、より好ましくは、1.8以上で3.8未満、最も好ましくは2.0以上で3.6未満の範囲を挙げることができる。
cは0.10以上4.00未満、好ましくは0.10〜3.80、より好ましくは0.10〜3.75である。また、cの更に好ましい場合として、0.1〜2の範囲、より好ましくは0.2〜1.2の範囲、最も好ましくは0.4〜1.0の範囲を挙げることができる。
bおよびcの和は、平均値で3.00より大きく4.00未満であり、好ましくは3.01〜3.99、より好ましくは3.1〜3.9、更に好ましくは3.1〜3.8、最も好ましくは3.15〜3.75の範囲である。
本発明の前記式(1)で表される化合物は、bが大きくなるにつれて、耐オゾン性は向上する傾向にあるが、ブロンジング性は生じやすくなる傾向にある。耐オゾン性とブロンジング性を考慮しながら、b及びcの数を適宜調節し、バランスの良い比率を選択すれば良い。
例えば、b及びcが下記
1.8<b<3.8、好ましくは2.0<b<3.6、
0.2≦c≦1.2、好ましくは0.4≦c≦1.0、及び
3<b+c<4、
の関係を満たす時、特に好ましい。
式(1)又は式(1’)における非置換スルファモイル基(bで置換数を表わしている基)、及び置換スルファモイル基(cで置換数を表わしている基)はいずれも、環A乃至Dのベンゼン環上に置換する基であり、環A乃至Dの含窒素複素芳香環には、置換しない。
なお、本明細書においては、b、c、及び、bとcの和は、必要に応じて、いずれも小数点以下3桁目を四捨五入して、2桁目までを記載した。
環A乃至Dにおける6員環の含窒素複素芳香環がピリジン環である場合、該ピリジン環の縮環位置としては、ピリジン環の窒素原子を1位として2位及び3位、3位及び4位、4位及び5位、又は5位及び6位であるのが好ましく、より好ましくは2位及び3位、又は5位及び6位である。
同様に、該含窒素複素芳香環がピラジン環である場合、該ピラジン環の縮環位置としては、ピラジン環の窒素原子を1位及び4位として、2位及び3位であるのが好ましい。
該環A乃至Dにおける6員環の含窒素複素芳香環としては、上記の中から任意のものを独立に選択してよいが、複数の種類であるより単一の種類であるのが好ましい。
前記式(1)における、環A乃至D、E、X、Y及びこれらが有しても良い置換基、b、c及びbとcの和等につき、好ましいもの同士を組合せたものはより好ましく、より好ましいもの同士を組合せたものはさらに好ましい。さらに好ましいもの同士等についても同様である。
好ましい本発明の銅ポルフィラジン色素を具体的に挙げれば、下記の通りである。
(i)
前記式(1)において、環A乃至Dがそれぞれ独立にポルフィラジン環に縮環したベンゼン環又は、含窒素複素芳香環を表し、環A乃至Dにおける含窒素複素芳香環の個数は平均値で0.00より大きく1.00未満であって、残りはベンゼン環であり、
EがC2−C6アルキレンであり、
Xが、スルホ基、カルボキシ基又はリン酸基で置換されたアニリノ基又はナフチルアミノ基であり、さらに、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ウレイド基、アセチルアミノ基、ニトロ基及びハロゲン原子(より好ましくは塩素原子)からなる群から選択される置換基を0〜3個有するものであり、
Yがアミノ基;ヒドロキシ基;又は、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基、スルファモイル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アミノ基、モノ又はジアルキルアミノ基、モノ又はジアリールアミノ基、アセチルアミノ基、ウレイド基、アルキル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、アルキルスルホニル基、アルキルチオ基、アリールオキシ基及びヘテロ環基よりなる群から選択される少なくとも1つの基を有してもよい、モノ又はジアルキルアミノ基又は含窒素複素環基;であり、
bは平均値で0.00以上3.90未満であり、
cは平均値で0.10以上4.00未満であり、
且つ、bおよびcの和は、平均値で3.00より大きく4.00未満である、ポルフィラジン色素又はその塩、
(ii)
環A乃至Dで表される6員環の含窒素複素芳香環が、ピリジン環又はピラジン環であり、好ましくは、該ピリジン環の縮環位置が窒素原子を1位として2位及び3位、又は、5位及び6位であるピリジン環、又は、該ピラジン環の縮環位置が窒素原子を1位及び4位として2位及び3位であるピラジン環である、上記(i)に記載のポルフィラジン色素又はその塩、
(iii)
環A乃至Dにおける6員環の含窒素複素芳香環の個数が平均値で0.20〜1未満であり、環A乃至Dにおける残りがベンゼン環である上記(i)又は(ii)に記載のポルフィラジン色素又はその塩、
(iv)
EがC2−C4アルキレン、好ましくはエチレン又はプロピレン、より好ましくはエチレンである上記(i)〜(iii)に記載のポルフィラジン色素又はその塩、
(v)
Xが、スルホ基若しくはカルボキシ基で置換されたアニリノ基若しくはナフチルアミノ基、又はリン酸置換アニリノ基であり、更に、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ウレイド基、アセチルアミノ基、ニトロ基及び塩素原子からなる群から選択される少なくとも1つの基を、0〜3個有する上記(i)〜(iv)の何れか一項に記載のポルフィラジン色素又はその塩、
(vi)
Xが、スルホ置換アニリノ基である、上記(i)〜(iv)のいずれか一項に記載のポルフィラジン色素又はその塩、
(vii)
Yが、ヒドロキシ基、スルホ基及びカルボキシ基よりなる群から選択される基で置換されているモノ又はジC1−C4アルキルアミノ基である、上記(i)〜(vi)の何れか一項に記載のポルフィラジン色素又はその塩、
(viii)
Yが、スルホ基で置換されたモノ(C1−C4)アルキルアミノ基である、上記(i)〜(vi)の何れか一項に記載のポルフィラジン色素又はその塩、
(ix)
bが1.8<b<3.8、
cが0.2≦c≦1.2
である上記(i)〜(viii)の何れか一項に記載のポルフィラジン色素又はその塩、
(x)
bが2.0<b<3.6、
cが0.4≦c≦1.0
である上記(i)〜(ix)の何れか一項に記載のポルフィラジン色素又はその塩、
等を挙げることができる。
また、本発明においては、下記一般式(1’)で表されるポルフィラジン色素又はその塩も好ましい。即ち、
(xi)下記式(1’)
Figure 0005458010
(式中、環A乃至Dはそれぞれ独立にポルフィラジン環に縮環したベンゼン環又は6員環の含窒素複素芳香環を表し、環A乃至Dにおける含窒素複素芳香環の個数は平均値で0より大きく1未満であり、残りはベンゼン環であり、
E’はC2−C4アルキレンを表し、
X’はスルホ置換アニリノ基;カルボキシ置換アニリノ基;又はスルホ置換ナフチルアミノ基であり、
Y’はアミノ基;ヒドロキシ基;置換基としてアルキル基上に、ヒドロキシ基、スルホ基、又はカルボキシ基を有してもよいモノ又はジアルキルアミノ基;又はC1〜C3アルキル基又はカルボキシ基で置換されていてもよい5乃至6員環含窒素複素環基であり、
bは平均値で0以上3.9未満であり、
cは平均値で0.1以上4未満であり、
且つbおよびcの和は、平均値で3以上4未満である)
で表されるポルフィラジン色素又はその塩、
(xii)
6員環の含窒素複素芳香環がピリジン環、X’がスルホ置換アニリノ基、Yがスルホ置換C1−C4アルキルアミノ基である上記(xi)に記載のポルフィラジン色素又はその塩、
(xiii)
ピリジン環の個数が平均値で0.1〜1未満であり、bおよびcが平均値で下記
1.8<b≦3.7、好ましくは2.0<b<3.5、
0.2≦c≦1.2、好ましくは0.4≦c≦1.0、
3<b+c≦3.9
の関係を満たす上記(xii)に記載のポルフィラジン色素又はその塩、
等である。
前記式(1)で表される色素は分子内に有するスルホ基、カルボキシ基およびリン酸基などの酸性官能基等を利用して塩を形成することも可能である。式(1)で表される色素が塩を形成している場合、その塩は、無機金属のカチオン、アンモニウム又は有機塩基の4級アンモニウム等と塩を形成するのが好ましい。
上記無機金属としてはアルカリ金属やアルカリ土類金属が挙げられる。アルカリ金属の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。アルカリ土類金属としては、例えばカルシウム、マグネシウム等があげられる。
上記有機塩基としては、特に有機アミンが挙げられ、例えばメチルアミン及びエチルアミン等のC1−C3アルキルアミン類;並びに、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン及びトリイソプロパノールアミン等のモノ、ジ又はトリ(C1−C4アルカノール)アミン類があげられる。
これらの中でも好ましい塩としてはナトリウム、カリウム及びリチウム等のアルカリ金属塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン及びトリイソプロパノールアミン等のモノ、ジ又はトリ(C1−C4アルカノール)アミンの4級アンモニウム塩;及びアンモニウム塩があげられる。より好ましくはアルカリ金属塩、アンモニウム塩である。
本発明の前記式(1)で表される銅ポルフィラジン色素におけるE、X及びYの具体例、及びbとcの数を表1に示す。
下記の例は、本発明の色素を具体的に説明するために代表的な化合物を示すものである。従って本発明のポルフィラジン色素は、下記の例に限定されるものではない。なお、表中のbの数については、煩雑さを避けるため、小数点以下2桁目を四捨五入して1桁目までを記載し、さらにcの数「1」については、同様に2桁目を四捨五入した「1.0」を意味する。
Figure 0005458010
Figure 0005458010
Figure 0005458010
Figure 0005458010
前記式(1)で表される色素の製造方法を説明する。
なお、以下において特に断りの無い限り、環A乃至Dとして6員環の含窒素複素芳香環を有する化合物はいずれも、前記式(1)で表される色素と同様に混合物である。
まず、下記式(6)で表される銅ポルフィラジン化合物を合成する。下記式(6)で表される銅ポルフィラジン化合物は、例えば触媒及び銅化合物の存在下、6員含窒素複素芳香環ジカルボン酸誘導体とフタル酸誘導体、及び必要に応じて尿素、とを反応させる事により得られる。含窒素複素芳香環ジカルボン酸誘導体とフタル酸誘導体の反応における両者のモル比を変えることにより環A乃至Dの含窒素複素芳香環の数とベンゼン環の数を調整することが可能である。
式(6)
Figure 0005458010
[式中、環A乃至Dは、前記と同じ意味を表す。]
例えば本発明で使用する式(6)における環A乃至Dのうち、0より大きく1個未満が含窒素複素芳香環であり、残りがベンゼン環である化合物は、その含有割合に応じて、含窒素複素芳香環ジカルボン酸誘導体及びフタル酸誘導体の使用割合を、それぞれ0より大きく0.25モル未満及び0.75より大きく1モル未満の割合の範囲で、両者の合計が1モルとなる割合で使用することにより、目的とする化合物を得ることができる。
例えば、含窒素複素芳香環が0.5で、ベンゼン環が3.5の場合、含窒素複素芳香環ジカルボン酸誘導体を0.125モル、フタル酸誘導体を0.875モルの割合で使用すればよい。
含窒素複素芳香環ジカルボン酸誘導体としては、隣接する2つの位置にそれぞれカルボキシ基、又はそれから誘導される反応性の基(酸アミド基、イミド基、酸無水物基及びカルボニトリル基等)を有する6員環含窒素複素芳香環ジカルボン酸誘導体が挙げられる。
含窒素複素芳香環ジカルボン酸誘導体として具体的には、キノリン酸、3,4−ピリジンジカルボン酸及び2,3−ピラジンジカルボン酸等のジカルボン酸化合物;無水キノリン酸、3,4−ピリジンジカルボン酸無水物及び2,3−ピラジンジカルボン酸無水物等の酸無水物;ピリジン−2,3−ジカルボキシアミド等のアミド化合物;ピラジン−2,3−ジカルボン酸モノアミド等のジカルボン酸モノアミド化合物;キノリン酸イミド等の酸イミド化合物;ピリジン−2,3−ジカルボニトリル及びピラジン−2,3−ジカルボニトリル等のジカルボニトリル化合物があげられる。またフタル酸誘導体としては、フタル酸、無水フタル酸、フタルアミド、フタラミン酸、フタルイミド、フタロニトリル、1,3−ジイミノイソインドリン及び2−シアノベンズアミド等があげられる。
銅ポルフィラジン化合物の合成方法には一般的にニトリル法とワイラー法と呼ばれる2つがあり、反応条件等が異なる。
ニトリル法とはピリジン−2,3−ジカルボニトリル、ピラジン−2,3−ジカルボニトリル及びフタロニトリル等のジカルボニトリル化合物を原料にポルフィラジンを合成する方法である。
それに対し、ワイラー法はフタル酸、キノリン酸、3,4−ピリジンジカルボン酸及び2,3−ピラジンジカルボン酸等のジカルボン酸化合物;無水フタル酸、無水キノリン酸、3,4−ピリジンジカルボン酸無水物及び2,3−ピラジンジカルボン酸無水物等の酸無水物化合物;フタルアミド及びピリジン−2,3−ジカルボキシアミド等のジカルボキシアミド化合物;フタラミック酸及びピラジン−2,3−ジカルボン酸モノアミド等のジカルボン酸モノアミド化合物;並びに、フタルイミド及びキノリン酸イミド等の酸イミド化合物を原料に用いる。またワイラー法では尿素の添加が必須であり、尿素の使用量は含窒素複素芳香環ジカルボン酸化合物又はその誘導体とフタル酸化合物又はその誘導体の総計1モルに対し5〜100倍モル量である。
反応は溶媒の存在下に行われ、ニトリル法においては溶媒としては沸点100℃以上、より好ましくは130℃以上の有機溶媒が用いられる。該有機溶媒として、例えば、n−アミルアルコール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−エチルヘキサノール、N,N−ジメチルアミノエタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリクロロベンゼン、クロロナフタレン、ニトロベンゼン、キノリン、スルホラン及び尿素等が挙げられる。
また、ワイラー法においては、溶媒として沸点150℃以上、より好ましくは180℃以上の非プロトン性有機溶媒が用いられる。例えば、トリクロロベンゼン、クロロナフタレン、ニトロベンゼン、キノリン、スルホラン及び尿素等である。
溶媒の使用量は含窒素複素芳香環ジカルボン酸誘導体とフタル酸誘導体の総計の1〜100質量倍である。
触媒としては、以下のものが使用できる。
ニトリル法においてはキノリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、トリブチルアミン、アンモニア及びN,N−ジメチルアミノエタノール等のアミン類、又は、ナトリウムエトキシド及びナトリウムメトキシド等のアルカリ金属アルコラート類があげられる。
またワイラー法においてはモリブデン酸アンモニウム及びホウ酸等があげられる。
触媒の添加量は、含窒素複素芳香環ジカルボン酸誘導体とフタル酸誘導体の総計1モルに対し、0.001〜1モルである。
銅化合物としては、金属銅、銅のハロゲン化物、カルボン酸塩、硫酸塩、硝酸塩、アセチルアセトナート及び錯体等が挙げられる。例えば、塩化銅、臭化銅、酢酸銅及び銅アセチルアセトナート等が挙げられる。
銅化合物の使用量は、含窒素複素芳香環ジカルボン酸誘導体とフタル酸誘導体の総計1モルに対し、0.15〜0.35モルである。
ニトリル法では反応温度は通常100〜200℃であり、好ましくは130〜170℃である。
一方、ワイラー法では反応温度は150〜300℃であり、好ましくは170〜220℃である。
反応時間は反応条件により変わるが通常1〜40時間である。反応終了後、目的物を濾過分離、洗浄及び乾燥する事により、前記式(6)で表される銅ポルフィラジン化合物が得られる。得られた前記式(6)で表される化合物の環A乃至Dにおける6員環含窒素複素芳香環の導入割合は、元素分析により求めることができる。
前記式(6)における環A乃至Dのうち、0.50個がピリジン環で、残り3.50個がベンゼン環で表される化合物を例にあげて、合成方法を更に詳細に説明する。
スルホラン溶媒中、キノリン酸(0.125モル)、無水フタル酸(0.875モル)、塩化銅(II)(0.25モル)、モリブデン酸アンモニウム(0.004モル)、尿素(6モル)を200℃で、5時間反応させることにより前記式(6)におけるA、B、C及びDのうち0.5個がピリジン環で、残り3.5個がベンゼン環で表される銅ポルフィラジン化合物が得られる。キノリン酸、無水フタル酸、金属化合物、溶媒及び触媒等の種類や使用量により反応性は異なるため、合成法は上記に限定されるものではない。
得られた前記式(6)で表される銅ポルフィラジン化合物をクロロスルホン酸中でクロロスルホニル化すること;又は、前記式(6)で表される銅ポルフィラジン化合物を、硫酸又は発煙硫酸中でスルホ化した後、クロル化剤で該スルホ基をクロロスルホニル基へ変換すること;等により、前記式(3)で表される銅ポルフィラジン化合物が得られる。上記クロロスルホニル化又はスルホ化によって得られるクロロスルホニル基又はスルホ基は、前記式(6)の環A乃至Dにおけるベンゼン環上に導入され、該複素芳香環上には導入されない。ベンゼン環上には通常1つのクロロスルホニル基又はスルホ基が導入されるので、クロロスルホニル基又はスルホ基の導入される数はベンゼン環の数以内である。従って該スルホ基から誘導される、前記式(3)におけるクロロスルホ基の数(n)は、前記式(3)で表される化合物のベンゼン環の数に応じて3.00より大きく4.00未満である。
前記式(3)で表される銅ポルフィラジン化合物は、その他の合成方法によっても得ることができる。例えば、1つのスルホ基を有するスルホフタル酸又はその誘導体とキノリン酸等の含窒素複素芳香環ジカルボン酸又はその誘導体との縮合閉環により、下記式(10)で表されるスルホ基を有する銅ポルフィラジン化合物を合成し、その後スルホ基をクロロスルホニル基へ変換することにより、目的の前記式(3)で表される化合物を得る事もできる。
Figure 0005458010
[式中、環A乃至D及びnは、前記式(3)におけるのと同じ意味を表す。]
前記式(6)で表される銅ポルフィラジン化合物のクロロスルホニル化は、通常、該銅ポルフィラジン化合物の3〜20質量倍、好ましくは5〜10質量倍のクロロスルホン酸を溶媒として用いる。反応温度は、通常100〜150℃であり、好ましくは120〜150℃である。反応時間は、反応温度等の反応条件により異なるが、通常1〜10時間である。この場合、通常得られる銅ポルフィラジン化合物の置換基は、クロロスルホニル基とスルホ基の混合物となる。本発明においては、全てがクロロスルホニル基となるように、クロロスルホン酸溶媒での反応後、該反応液中に、塩化チオニル等のクロル化剤を加えて、更に反応を行い、残るスルホ基を全てクロロスルホニル基にするのが好ましい。
該クロル化剤の量は、最初のクロロスルホン酸溶媒中での反応で副生するスルホ置換銅ポルフィラジン化合物におけるスルホ基に対して、0.5〜10当量、好ましくは0.5〜5当量程度である。該クロル化剤としては塩化チオニル、塩化スルフリル、三塩化リン、五塩化リン及びオキシ塩化リン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
前記式(10)で表されるスルホ置換銅ポルフィラジン化合物におけるスルホ基からクロロスルホ基への変換は、上記と同様に該化合物に上記のクロル化剤を反応させることにより、行うことができる。該クロル化反応の溶媒としては、硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸、ベンゼン、トルエン、ニトロベンゼン、クロロベンゼン、N,N−ジメチルホルムアミド及びN,N−ジメチルアセトアミド等を挙げることができる。
上記のようにして得られた前記式(3)で表される銅ポルフィラジン化合物と、後記式(4)で表される有機アミンとを、アンモニア又はアンモニア発生化合物(両者を併せてアミノ化剤とも言う。)の存在下、水溶媒中で、おおよそpH8〜10、5〜70℃、1〜20時間反応させる事により、本発明の前記式(1)で表される銅ポルフィラジン色素が得られる。本明細書においてアンモニア発生化合物とは、例えば種々のアンモニウム塩等のように、中和又は加熱等の操作により、アンモニアを発生する化合物をいう。上記反応に用いるアミノ化剤としては例えば、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム等の中和によりアンモニアを発生するアンモニウム塩;尿素等の、加熱によりアンモニアを発生する化合物;アンモニア水;アンモニアガス;等が挙げられる。上記アミノ化剤としては、好ましくはアンモニア水又は中和によりアンモニアを発生するアンモニウム塩、より好ましくはアンモニア水が挙げられる。しかしながら、上記アミノ化剤はこれらに限定されるものではない。また、上記式(3)で表される化合物、下記式(4)で表される有機アミン及び上記アミノ化剤の反応は通常、水中又は含水溶媒中で行われ、好ましくは上記の通り水中で行なわれる。
式(4)
Figure 0005458010
[式中、E、X及びYは前記と同じ意味を表す。]
上記式(4)で表される有機アミンの使用量は、前記式(3)で表される化合物1モルに対して、通常、前記式(1)におけるcの値に応じた理論値の1倍モル以上である。しかしながら、該有機アミンの反応性や、該有機アミンの導入反応の条件により異なるため、一概にいうことは困難である。
通常の該有機アミンの使用量は上記cの値に応じた理論値に対して1〜3倍モル、好ましくは1〜2倍モル程度である。cの値が大きくなるほど、該導入反応に用いる上記式(4)で表される有機アミンの使用量は、該cの値に応じた理論値に対して、より多くする必要がある。
前記式(3)で表される化合物、アミノ化剤及び上記式(4)で表される有機アミンとの反応によって得られる生成物は、単一化合物ではなく、b及びcの値の異なる化合物の混合物である。しかし平均値として、b及びcを前記の範囲で含む化合物であり、該化合物であれば本発明の目的を達成することができる。従って、該混合物の詳細は不明であるが支障は無い。
上記式(4)で表される有機アミンの製造方法を説明する。上記式(4)で表される有機アミンは公知の方法で製造することができる。
例えば、Xに対応するアニリン類又はナフチルアミン類0.95〜1.1モルと、2,4,6−トリクロロ−S−トリアジン(シアヌルクロライド)1モルとを水中で、おおよそpH2.5〜7、5〜40℃、2〜12時間の条件下に反応させて、1次縮合物を得る。
次いで、Yがアミノ基の場合には、得られた1次縮合物1モルと、アンモニア0.95〜2.0モルとを、おおよそpH4〜10、5〜80℃、0.5〜12時間の条件下に反応させることにより2次縮合物を得る。
またYがヒドロキシ基の場合には、1次縮合物の反応液に、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物を加え、おおよそpH4〜10、5〜80℃、0.5〜12時間の条件下に反応させることにより2次縮合物を得る。
またYが置換又は非置換モノ又はジアルキルアミノ基、又は含窒素複素環基の場合には、得られた1次縮合物1モルと、これらの基に相当するアミン類0.95〜1.1モルとを、pH4〜10、5〜80℃、0.5〜12時間の条件下に反応させることにより2次縮合物を得る。
次いで、得られた2次縮合物1モルと、Eに対応するアルキレンジアミン類1〜50モルとを、おおよそpH9〜12、5〜90℃、0.5〜12時間の条件下に反応させることにより、上記式(4)で表される化合物が得られる。各縮合反応における反応液のpH調整は、通常、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、又は、炭酸ナトリウムや炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩などを使用して行うことができる。なお、縮合の順序は各種化合物の反応性に応じ適宜定められ、上記に限定されない。
次に、前記式(1)で表される銅ポルフィラジン色素の合成の際に生成される副生物等について説明する。
前記式(1)で表される銅ポルフィラジン色素は、前記式(3)で表される化合物と、アミノ化剤及び前記式(4)で表される有機アミンとから合成され、通常、水溶媒を用いて行われる。このため反応中に式(3)におけるクロロスルホニル基の一部が、水により加水分解されて、スルホン酸基へと変換された化合物が副生し、該副生物が目的とする式(1)で表される色素に混入することが、理論上考えられる。
しかしながら質量分析において無置換スルファモイル基とスルホン酸基とを識別することは困難である。従って、本発明においては式(4)で表される有機アミンと反応したもの以外の式(3)におけるクロロスルホニル基については全て無置換スルファモイル基へと変換されたものとして記載する。
また、反応中に、銅ポルフィラジン環(Pz)が、2価の連結基(L)を介して2量体(例えばPz−L−Pz)又は3量体を形成した不純物が副生し、該副生物が反応生成物中に混入することもある。
上記Lで表される2価の連結基としては−SO−、又は−SO−NH−SO−などがあり、3量体の場合にはこれら2つのLが組み合わされた副生成物が形成される場合も有る。
こうして得られた前記式(1)で表される銅ポルフィラジン色素は、酸析又は塩析後、濾過等により分離することが出来る。塩析は例えば酸性〜アルカリ性、好ましくはpH1〜11の範囲で塩析を行うことが好ましい。塩析の際の温度は特に限定されないが、通常40〜80℃、好ましくは50〜70℃である。具体的には、本発明のポルフィラジン色素を含む反応液を上記温度まで加熱した後、塩化ナトリウム等を加えて上記範囲にpHを調製して、塩析するのが好ましい。
上記の方法で合成される、本発明の前記式(1)で表わされる銅ポルフィラジン色素は、遊離酸の形あるいはその塩の形で得られる。遊離酸とするには、例えば酸析すればよい。また、塩にするには塩析すればよい。塩析によって所望の塩が得られないときには、例えば遊離酸にしたものに所望の有機又は無機の塩基等を添加する方法等の、通常の塩交換法を利用すればよい。
次に本発明のインク組成物について説明する。
本発明の前記式(1)で表される銅ポルフィラジン色素は鮮明なシアン色を呈する。よって、これらを含むインク組成物は、主にシアン色のインクとして好適に用いることができる。該インク組成物は高濃度のシアンインクとしてばかりでなく、画像の階調部分を滑らかに再現するため、又は淡色領域の粒状感を軽減する為に用いられる低い色素濃度のシアンインク(ライトシアンインクやフォトシアンインク等と呼ばれる)として用いても良い。また、イエロー色の色素と配合してグリーン色のインクとして使用しても良いし、マゼンタ色の色素と配合してバイオレット色やブルー色のインクとして使用しても良い。更に多色を配合してインクを調製し、ダークイエロー色、グレー色又はブラック色として使用することも可能である。
本発明のインク組成物は、水を媒体として調製される。
このインク組成物をインクジェットインクとして使用する場合、色素として含有する本発明の銅ポルフィラジン色素は、Cl及びSO 2−等の陰イオンの含有量の少ないものが好ましい。その含有量の目安は、銅ポルフィラジン色素の総質量中における、Cl及びSO 2−の総含有量として5質量%以下、好ましくは3質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。本発明のインク組成物の総質量に対する、該陰イオンの総含有量は1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下である。該陰イオンの総含有量の下限はいずれの場合においても、検出機器の検出限界以下、すなわち0質量%でも良い。該検出機器としては、例えばイオンクロマトグラフィーが使用できる。
該陰イオン含有量の少ない本発明のポルフィラジン色素を製造するには、例えば逆浸透膜による通常の方法、又は本発明のポルフィラジン色素の乾燥品あるいはウェットケーキを、含水アルコール中で撹拌する等の方法で脱塩処理すればよい。
このとき用いるアルコールは、C1−C4アルコール、好ましくはC1−C3アルコール、具体的にはメタノール、エタノール、n−プロパノール又は2−プロパノール(イソプロパノール)である。含水アルコールを用いた脱塩方法として、使用するアルコールの沸点近くまで加熱後、冷却して脱塩する方法も採用しうる。
含水アルコール中で脱塩処理された本発明のポルフィラジン色素は、常法により濾過分離を行い、必要に応じて、常法により乾燥することによって得られる。
本発明のインク組成物をインクジェットインクとして使用する場合、該インク組成物に含有される本発明のポルフィラジン色素は、上記の陰イオン以外の、亜鉛及び鉄等の重金属(イオン)、カルシウム等の各イオン、及びシリカ等の不純物の含有量が少ないものが好ましい。
上記の不純物含有量の目安は例えば、本発明のポルフィラジン色素の乾燥精製品中に、亜鉛及び鉄等の重金属(イオン)、カルシウムなどの各イオン、及びシリカ等について、各々500ppm以下程度である。該不純物含有量の下限は上記と同様に、0ppmでもよい。
重金属などのイオン含有量は、イオンクロマトグラフィー、原子吸光法又はICP(Inductively Coupled Plasma)発光分析法にて測定することができる。
ただし、本発明の前記式(1)で表されるポルフィラジン色素は、中心金属として銅(イオン)を含有するため、この中心金属は不純物には含めない。
本発明のインク組成物は、前記式(1)で表される銅ポルフィラジン色素を0.1〜8質量%、好ましくは0.3〜6質量%含有する。残部は水である。
本発明のインク組成物は、さらに必要に応じて、水溶性有機溶剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有してもよい。水溶性有機溶剤は、染料溶解、乾燥防止(湿潤)、粘度調整、浸透促進、表面張力調整、及び/又は、消泡等の機能を目的として使用される。本発明のインク組成物中には、水溶性有機溶剤を含有する方が好ましい。
その他インク調製剤として、例えば、防腐防黴剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、染料溶解剤、褪色防止剤、乳化安定剤、表面張力調整剤、消泡剤、分散剤、分散安定剤等の添加剤を更に含有していても良い。
本発明のインク組成物は、インク組成物の総量に対して、水溶性有機溶剤を0〜60質量%、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜50質量%、インク調製剤を0〜20質量%、好ましくは0〜15質量%、それぞれ含有しているのが好ましい。残部は水である。
上記の水溶性有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール又は第三ブタノール等のC1〜C4アルカノール;N,N−ジメチルホルムアミド又はN,N−ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン又は1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の複素環式ケトン;アセトン、メチルエチルケトン又は2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトン又はケトアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル;エチレングリコール、1,2−又は1,3−プロピレングリコール、1,2−又は1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、チオジグリコール、ポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコール等のC2−C6アルキレン単位を有するモノ、オリゴ又はポリアルキレングリコール又はチオグリコール;グリセリン又はヘキサン−1,2,6−トリオール等のポリオール(好ましくはC3−C6トリオール);エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル又はトリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールのC1−C4モノアルキルエーテル;γ−ブチロラクトン又はジメチルスルホキシド等があげられる。
上記の水溶性有機溶剤として好ましいものは、イソプロパノール、グリセリン、モノ、ジ又はトリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2−ピロリドン及びN−メチル−2−ピロリドンであり、より好ましくはイソプロパノール、グリセリン、ジエチレングリコール、2−ピロリドン及びブチルカルビトールである。
これらの水溶性有機溶剤は、単独もしくは混合して用いられる。
防腐防黴剤としては、例えば、有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリルスルホン系、ヨードプロパギル系、N−ハロアルキルチオ系、ベンゾチアゾール系、ニトリル系、ピリジン系、8−オキシキノリン系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオキシド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系、及び、無機塩系等の化合物が挙げられる。
有機ハロゲン系化合物としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられる。ピリジンオキシド系化合物としては、例えば2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウムが挙げられる。イソチアゾリン系化合物としては、例えば1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウムクロライド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド及び2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド等が挙げられる。
その他の防腐防黴剤の具体例としては、ソルビン酸ソーダ、安息香酸ナトリウム、及び酢酸ソーダ等が挙げられ、又市販品としては、例えば、アベシア社製 商品名プロクセルRTMGXL(S)、プロクセルRTMXL−2(S)等が挙げられる。
なお、本明細書において上付きのRTMは登録商標を表す。
pH調整剤は、インクの保存安定性を向上させる目的で、インクのpHを6.0〜11.0の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用することができる。例えば、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミンなどのアルカノールアミン;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;水酸化アンモニウム;あるいは、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩などが挙げられる。
キレート試薬としては、例えばエチレンジアミン四酢酸2ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム及びウラシル二酢酸ナトリウムなどがあげられる。防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール及びジシクロヘキシルアンモニウムナイトライトなどがあげられる。
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、桂皮酸系化合物、トリアジン系化合物及びスチルベン系化合物等が挙げられる。また、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
粘度調整剤としては、水溶性有機溶剤の他に、水溶性高分子化合物があげられ、例えばポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミン及びポリイミン等があげられる。
染料溶解剤としては、例えば尿素、ε−カプロラクタム及びエチレンカーボネート等があげられる。
褪色防止剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。褪色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機系の褪色防止剤としてはハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類及びヘテロ環化合物類などがあり、金属錯体系の褪色防止剤としてはニッケル錯体及び亜鉛錯体などがある。
表面張力調整剤としては、界面活性剤があげられ、例えばアニオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン界面活性剤及びノニオン界面活性剤などがあげられる。
アニオン界面活性剤としては、アルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸およびその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリールスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキシルスルホ琥珀酸塩、及び、ジオクチルスルホ琥珀酸塩などが挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、2−ビニルピリジン誘導体、及び、ポリ4−ビニルピリジン誘導体などがある。
両性界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、及び、その他のイミダゾリン誘導体などがある。
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル及びポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル系;ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート及びポリオキシエチレンステアレートなどのエステル系;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール及び3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オールなどのアセチレンアルコール系等の化合物が挙げられる。その他の具体例として例えば、サーフィノールRTM104、82、465、オルフィンRTMSTG(以上、日信化学工業株式会社製)等が挙げられる。
消泡剤としては、高酸化油系、グリセリン脂肪酸エステル系、フッ素系及びシリコーン系化合物が必要に応じて用いられる。
これらのインク調製剤は、単独もしくは混合して用いられる。なお、本発明のインクの表面張力は通常25〜70mN/m、より好ましくは25〜60mN/mである。また本発明のインクの粘度は30mPa・s以下が好ましく、20mPa・s以下に調整することがより好ましい。
本発明のインク組成物を調製するにあたり、各薬剤を溶解させる順序には特に制限はない。インク組成物を調製するにあたり用いる水は、イオン交換水又は蒸留水など不純物が少ない物が好ましい。さらに、必要に応じメンブランフィルターなどを用いて精密濾過を行って夾雑物を除いてもよく、インクジェットインクとして使用する場合は精密濾過を行うことが好ましい。精密濾過を行うフィルターの孔径は通常1μm〜0.1μm、好ましくは、0.8μm〜0.1μmである。
本発明のインク組成物は、単色の画像形成のみならず、フルカラーの画像形成に用いることができる。フルカラー画像を形成するために、マゼンタインク及びイエローインクと共に、本発明のシアンインクを加えた3原色のインクセットとして、更にはこれにブラックインクを加えた4色のインクセットとしても使用できる。更にはより高精細な画像を形成する為に、ライトマゼンタインク、ブルーインク、グリーンインク、オレンジインク、ダークイエローインク及びグレーインク等と併用したインクセットとしても使用できる。これらのインクに含有する各色の色素としては、公知のいずれの色素をも用いることができる。
本発明のインク組成物は、印捺、複写、マーキング、筆記、製図及びスタンピング等の記録方法に使用でき、特にインクジェット記録方法における使用に適する。
本発明の着色体は、本発明のポルフィラジン色素又はこれを含有する水性インク組成物で着色されたものである。着色される材料としては、例えば紙及びフィルム等の情報伝達用シート、繊維や布(セルロース、ナイロン、羊毛等)、ガラス、金属、陶磁器、皮革、並びに、カラーフィルター用基材等が挙げられ、この中で情報伝達用シートが好ましい。
情報伝達用シートとしては、表面処理されたもの、具体的には紙、合成紙又はフィルム等の基材にインク受容層を設けたものが好ましい。該インク受容層は、例えば上記基材にカチオン系ポリマーを含浸あるいは塗工する方法;または、多孔質シリカ、アルミナゾル又は特殊セラミックスなどのインク中の色素を吸収し得る無機微粒子を、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーと共に上記基材表面に塗工する方法;等により設けられる。
このようなインク受容層を設けた情報伝達用シートは、通常インクジェット専用紙(フィルム)、光沢紙(フィルム)等と呼ばれる。この中でも、オゾンガス等の空気中の酸化作用を持つガスに対して影響を受けやすいとされているのが、多孔質シリカ、アルミナゾル又は特殊セラミックスなどのインク中の色素を吸収し得る無機微粒子を基材表面に塗工しているタイプのインクジェット専用紙である。
市販品として入手できる上記専用紙の代表的な例を挙げると、キヤノン株式会社製、商品名プロフェッショナルフォトペーパー、スーパーフォトペーパー;セイコーエプソン株式会社製、商品名写真用紙クリスピア(高光沢)、写真用紙(光沢)、フォトマット紙;日本ヒューレット・パッカード株式会社製、商品名アドバンスフォト用紙(光沢)プレミアム光沢フィルム、フォト用紙;ソニー株式会社製、商品名高品位コート紙、写真光沢紙;等がある。なお、普通紙も当然利用できる。
上記本発明の着色体を得るための着色方法は、いずれの方法を用いてもよい。好ましい着色方法の一つは、インクジェットプリンタを用い、本発明のインク組成物で上記の材料を着色する方法である。被記録材は前記の材料であっても、その他のものであっても、インクジェットプリンタで着色しうる物質であれば特に制限はない。
本発明のインクジェット記録方法で、上記の材料又は物品に記録を行うには、例えば本発明のインク組成物を含有する容器をインクジェットプリンタの所定位置に装填して、該インク組成物をインクとして用い、通常の方法で、該材料又は物品に記録すればよい。
インクジェットプリンタとしては、例えば機械的振動を利用したピエゾ方式のプリンタ;加熱により生ずる泡を利用したバブルジェットRTM方式のプリンタ等があげられる。
また、画像を形成する際に、光沢性や耐水性を与えたり、耐候性を改善する目的からポリマー微粒子分散物(ポリマーラテックスともいう)を使用してもよい。
ポリマーラテックスを被記録材に付与する時期については、色素を付与する前であっても、後であっても、また同時であってもよい。
したがって本発明の記録方法においては、ポリマーラテックスを含有する被記録材に本発明のインク組成物で記録してもよいし、ポリマーラテックスを含有する本発明のインク組成物を用いて記録してもよい。また、該インク組成物によって被記録材へ記録を行う前又は後に、ポリマーラテックスを単独の液状物として被記録材に適用しても良い。
本発明のインク組成物は貯蔵中に沈澱、分離することがない。また、本発明によるインクをインクジェット記録に使用した場合、噴射器(インクヘッド)を閉塞することもない。本発明によるインクは連続式インクジェットプリンタによる比較的長い時間かつ一定の再循環下での記録、又はオンデマンド式インクジェットプリンタによる断続的な記録においても、物理的性質の変化を起こさない。
本発明のインク組成物は鮮明なシアン色であり、これをインクとして使用することにより、特に耐オゾン性に優れ、かつ耐光性及び耐水性においても優れた記録物を得ることができる。
濃淡それぞれのシアンインクを使用し、これに加えて耐オゾン性、耐光性及び耐水性に優れた他のイエロー、マゼンタ、その他必要に応じてグリーン、レッド、オレンジ、ブルー等のインクと共に併用することで、さらに広い可視領域の色調を表現することもでき、なおかつ、特に耐オゾン性に優れ、耐光性及び耐水性においても優れた記録物を得ることができる。
以下に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は該実施例に限定されるものではない。尚、本文中「部」及び「%」とあるのは、特別の記載のない限り質量基準である。
また、「(対液20%)」等と記載した場合は、その時点における総液量(質量基準)に対して、加えた化合物の質量%を表す。
また、実施例で得た混合物及び色素において、環A乃至Dにおける6員環の含窒素複素芳香環がピリジン環である場合には、ポルフィラジン環に縮環する該ピリジン環の縮環位置は、2位及び3位、又は5位及び6位である。さらに、環A乃至Dにおける、ベンゼン環及び6員環の含窒素複素芳香環の数、b及びcの値は、小数点以下3桁目を四捨五入し、小数点以下2桁として記載した。このb及びcの値は、目的化合物を試料としたICP発光分析法による銅含有量の測定、カールフィッシャー法による含水量の測定、及びイオンクロマト法による無機不純物(ナトリウム、カリウム、塩素原子等のイオン)の含有量の測定により求めることができる。
なお、合成した本発明のポルフィラジン色素は、いずれも水に対して100g/L以上の溶解度を示した。
実施例1
(1)式(6)における環A乃至Dのうち0.25個がピリジン環で残り3.75個がベンゼン環である化合物の合成。
Figure 0005458010
四つ口フラスコに、スルホラン375部、無水フタル酸41.6部、キノリン酸3.13部、尿素108部、塩化銅(II)10.1部、及び、モリブデン酸アンモニウム1.5部を加え、液温を200℃に上げ、同温度を5時間保持した。反応終了後、液温を65℃まで冷却し、そこに、DMF50部を加えて、析出した固体を濾過分離した。得られた固体をDMF50部で洗浄し、ウェットケーキ75.2部を得た。得られたウェットケーキ全量をDMF450部に加え、液温を110℃に上げ、同温度を一時間保持した。固体を濾過分離し、水200部で洗浄することによりウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを5%塩酸450部中に加え、液温を60℃に上げ、同温度を1時間保持した。固体を濾過分離し、水200部で洗浄してウェットケーキを得た。得られたウェットケーキ全量を5%アンモニア水450部中に加え、該液温を60℃で1時間保持した。固体を濾過分離し、水200部で洗浄して、ウェットケーキ82.6部を得た。得られたウェットケーキを80℃で乾燥し、前記式(6)の目的とする化合物26.3部を青色固体として得た。
元素分析 C1276333Cu
C H N Cu
理論値: 66.17 2.76 11.03 20.05
実測値: 65.79 2.95 10.94 19.81
(2)式(3)における環A乃至Dのうち0.25がピリジン環で残り3.75がベンゼン環であり、nが3.75である化合物の合成。
Figure 0005458010
クロロスルホン酸46.2部中に、攪拌しながら60℃以下で実施例1(1)で得られた化合物5.8部を徐々に仕込み、140℃で4時間反応を行った。次に反応液を70℃まで冷却し、そこに塩化チオニル17.9部を30分間かけて滴下し、70℃で3時間反応を行った。反応液を30℃以下に冷却し、氷水800部中にゆっくりと注ぎ、析出固体を濾過分離し、冷水200部で洗浄することにより、目的とする化合物のウェットケーキ42.0部を得た。
(3)下記式(15)で表される化合物[式(4)におけるXが4−スルホアニリノ、Yが2−スルホエチルアミノ、Eがエチレンである化合物]の合成。
式(15)
Figure 0005458010
氷水330部中に塩化シアヌール18.4部、商品名レオコールTD−90(界面活性剤、ライオン株式会社製)0.2部を加え10℃以下で30分間攪拌した。次に、そこに4−スルホアニリン(純度99.3%)17.4部を加え、pH2.6〜3.0及び0〜5℃で1時間、pH3.0〜3.5及び0〜5℃で1時間、さらに、同pH及び25〜30℃で1時間、反応を行った。この反応のpHは、10%水酸化ナトリウム水溶液を用いて調整した。得られた反応液に2−スルホエチルアミン12.6部を加え、10%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH7.0〜8.0に調整しながら25℃で2時間反応を行った。得られた反応液に氷250部を加え、0℃へ冷却し、次いで、該反応液に、エチレンジアミン60部を、該反応液の温度を5℃以下に保持しながら滴下した。得られた混合液を室温で一晩攪拌した後、濃塩酸を用いてpH1.0に調節した。攪拌の間、氷を加えながら、液温を10〜15℃を保持した。このとき液量は980部であった。この反応液に塩化ナトリウム190部を加え、30分撹拌し固体を析出させた。析出した固体を濾過分離して、ウェットケーキ70.6部を得た。得られたウェットケーキをビーカーに入れ、水280部を加え、10%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH9.0に調整することにより、得られたウェットケーキを溶解させた。このとき液量は400部であった。この反応液に濃塩酸を加えてpH1.0に調整し、そこに塩化ナトリウム80部を加え、30分撹拌して、固体を析出させた。析出固体を濾過分離し、ウェットケーキ110.1部を得た。得られたウェットケーキをビーカーに入れ、メタノール260部及び水26部を加え、得られた懸濁液を50℃で1時間攪拌した。その後、固体を濾過分離し、ウェットケーキ89.1部を得た。得られたウェットケーキを乾燥させ、上記式(15)で表される目的化合物の白色粉末49.3部を得た。
(4)下記式(16)で表される本発明の色素の合成[前記式(1)における環A乃至Dのうち0.25がピリジン環で残り3.75がベンゼン環であり、Eがエチレン、Xが4−スルホアニリノ、Yが2−スルホエチルアミノ、bが3.10、及びcが0.65である色素]。
式(16)
Figure 0005458010
氷水50部中に本実施例の前記(2)で得られた式(3)の化合物のウェットケーキ42.0部を加え、5℃以下で懸濁した。10分後、該液温を10℃以下に保持しながら、そこに、28%アンモニア水2部、及び、水30部中に前記式(15)で表される化合物2.6部を溶解させた溶液を加えた。さらに、そこに、28%アンモニア水を加えながら、該液のpHを9.0に保持し、1時間かけて液温を20℃まで上げ、同温度で8時間反応を行った。この時の液量は230部であった。反応液の温度を50℃に上げ、そこに塩化ナトリウム46部(対液20%)を加え、該液を30分撹拌した。次いで、そこに20分かけて濃塩酸を加えてpH1.0に調整した後、析出した固体を濾過分離し、次いで、20%塩化ナトリウム水溶液100部で洗浄し、ウェットケーキ49.0部を得た。得られたウェットケーキを、水200部中に、25%水酸化ナトリウム水溶液を用いて、液のpHを9.0に調整することによって溶解した。このときの液量は260部であった。この溶液の温度を50℃に上げ、塩化ナトリウム52部(対液20%)を加え、30分撹拌した。そこに、20分かけて濃塩酸を加えてpH1.0に調整した後、析出した固体を濾過分離し、20%塩化ナトリウム水溶液100部で洗浄し、ウェットケーキ49.2部を得た。得られたウェットケーキに、メタノール255部及び水45部を加えて、得られた懸濁液を50℃で1時間攪拌した後、固体を濾過分離し、ウェットケーキ36.5部を得た。得られたウェットケーキを乾燥することにより、目的とする本発明の上記式(16)で表される色素を、青色粉末として10.1部得た。
λmax:607.0nm(水溶液中)
実施例2
(1)前記式(6)における環A乃至Dのうち0.85がピリジン環で残り3.15がベンゼン環である化合物の合成。
四つ口フラスコに、スルホラン375部、無水フタル酸34.96部、キノリン酸10.65部、尿素108部、塩化銅(II)10.1部、及び、モリブデン酸アンモニウム1.5部を加え、液温を200℃まで上げ、同温度を5時間保持した。反応終了後、液温を65℃まで冷却し、DMF50部を加えて、析出した固体を濾過分離した。得られた固体をDMF50部で洗浄し、ウェットケーキ79.2部を得た。得られたウェットケーキ全量をDMF450部に加え、液温を110℃に上げ、同温度を一時間保持した。その後、固体を濾過分離し、水200部で洗浄してウェットケーキを得た。次いで、得られたウェットケーキを5%塩酸450部中に加え、液温を60℃に上げ、同温度を1時間保持した。その後固体を濾過分離し、水200部で洗浄してウェットケーキを得た。得られたウェットケーキ全量を5%アンモニア水450部中に加え、該液を60℃で1時間保持した。固体を濾過分離し、水200部で洗浄して、ウェットケーキ82.6部を得た。得られたウェットケーキを80℃で乾燥し、前記式(6)の目的とする化合物29.3部を青色固体として得た。
元素分析 C635315165Cu20
C H N Cu
理論値: 64.85 2.65 11.01 21.49
実測値: 64.39 2.95 10.49 20.67
(2)前記式(3)における環A乃至Dのうち0.85がピリジン環で残り3.15がベンゼン環であり、nが3.15である化合物の合成。
クロロスルホン酸46.2部中に、60℃以下で本実施例の上記(1)で得られた化合物5.8部を徐々に加え、140℃で4時間反応を行った。次に反応液を70℃まで冷却し、そこに塩化チオニル17.9部を30分間かけて滴下し、70℃で3時間反応を行った。反応液を30℃以下に冷却し、氷水800部中にゆっくりと注ぎ、析出固体を濾過分離し、冷水200部で洗浄することにより、目的とする化合物のウェットケーキ40.0部を得た。
(3)上記式(16)で表される本発明の色素の合成[前記式(1)における環A乃至Dのうち0.85がピリジン環で残り3.15がベンゼン環であり、Eがエチレン、Xが4−スルホアニリノ、Yが2−スルホエチルアミノ、bが2.52、及びcが0.63である色素]。
氷水50部中に本実施例の上記(2)で得られた化合物のウェットケーキ40.0部を加え、5℃以下で懸濁した。10分後、その液温を10℃以下に保持しながら、そこに、28%アンモニア水2部、及び、水30部中に式(15)で表される化合物3.0部を溶解させた溶液を加えた。さらに、そこに、28%アンモニア水を加えながらpHを9.0に保持し、1時間かけて液温を20℃まで上げ、同温度で8時間保持した。この時の液量は230部であった。得られた反応液の温度を50℃に上げ、そこに、塩化ナトリウム46部(対液20%)を加え、該液を30分撹拌した。次いで、そこに、20分かけて濃塩酸を加えてpHを1.0に調整した。析出した固体を濾過分離し、20%塩化ナトリウム水溶液100部で洗浄して、ウェットケーキ51.0部を得た。得られたウェットケーキを、水200部中に、25%水酸化ナトリウム水溶液を用いて、液のpHを9.0に調整することによって、溶解した。このときの液量は260部であった。溶解液の温度を50℃に上げ、そこに塩化ナトリウム52部(対液20%)を加え、該液を30分撹拌した後、20分かけて濃塩酸でその液のpHを1.0に調整した。析出した固体を濾過分離し、20%塩化ナトリウム水溶液100部で洗浄して、ウェットケーキ48.2部を得た。得られたウェットケーキにメタノール255部及び水45部を加えて、その液を50℃で1時間攪拌した後、析出固体を濾過分離して、ウェットケーキ33.5部を得た。得られたウェットケーキを乾燥することにより、目的とする本発明の前記式(16)で表される色素を青色粉末として10.4部得た。
λmax:603.0nm(水溶液中)
比較例1
(1)前記式(6)における環A乃至Dのうち1.00がピリジン環で残り3.00がベンゼン環で表される化合物の合成。
四つ口フラスコに、スルホラン375部、無水フタル酸33.29部、キノリン酸12.53部、尿素108部、塩化銅(II)10.1部、及び、モリブデン酸アンモニウム1.5部を加え、液温を200℃へ上げ、同温度を5時間保持した。反応終了後、液温を65℃まで冷却し、そこにDMF50部を加え、析出した固体を濾過分離した。得られた固体をDMF50部で洗浄し、ウェットケーキ73.1部を得た。得られたウェットケーキ全量をDMF450部に加え、液温を110℃に上げ、同温度を一時間保持した。固体を濾過分離し、水200部で洗浄することによりウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを5%塩酸450部中に加え、液温を60℃に上げ、同温度を1時間保持した。固体を濾過分離し、水200部で洗浄してウェットケーキを得た。得られたウェットケーキ全量を5%アンモニア水450部中に加え、溶液を60℃で1時間保持した。固体を濾過分離し、水200部で洗浄することにより、ウェットケーキ78.1部を得た。得られたウェットケーキを80℃で乾燥し、目的とする化合物24.1部を青色固体として得た。
(2)前記式(3)における環A乃至Dのうち1.00がピリジン環で残り3.00がベンゼン環であり、nが3である化合物の合成。
クロロスルホン酸46.2部中に、攪拌しながら60℃以下で本比較例の上記(1)で得られた化合物5.8部を徐々に加え、140℃で4時間反応を行った。得られた反応液を70℃まで冷却し、そこに塩化チオニル17.9部を30分間かけて滴下し、70℃で3時間反応を行った。反応液を30℃以下に冷却し、氷水800部中にゆっくりと注ぎ、析出固体を濾過分離し、冷水200部で洗浄することにより、目的とする化合物のウェットケーキ42.4部を得た。
(3)前記式(16)で表される比較用色素の合成[前記式(1)における環A乃至Dのうち1.00がピリジン環で残り3.00がベンゼン環であり、Eがエチレン、Xが4−スルホアニリノ、Yが2−スルホエチルアミノ、bが2.31、cが0.70である色素]。
氷水50部中に本比較例の上記(2)で得られたウェットケーキ42.4部を加え、5℃以下で懸濁した。10分後、その液温を10℃以下に保持しながら、そこに、28%アンモニア水2部、及び、水30部中に式(15)で表される色素2.6部を溶解させた溶液を加えた。さらにそこに、28%アンモニア水を加えながら、該懸濁液のpHを9.0に保持したまま、1時間かけて液温を20℃へ上げ、同温度で8時間保持した。この時の液量は225部であった。反応液の温度を50℃に上げ、そこに塩化ナトリウム45部(対液20%)を加え、該液を30分撹拌した。次いで、20分かけて濃塩酸でその液のpHを1.0に調整した後、析出した固体を濾過分離し、20%塩化ナトリウム水溶液100部で洗浄して、ウェットケーキ45.0部を得た。得られたウェットケーキを、水200部中に、25%水酸化ナトリウム水溶液を用いて、液のpHを9.0に調整することによって、溶解した。このときの液量は260部であった。得られた溶液の温度を50℃に上げ、塩化ナトリウム52部(対液20%)を加え、該液を30分撹拌した。次いで、20分かけて濃塩酸で該液のpHを1.0に調整した後、析出した固体を濾過分離し、20%塩化ナトリウム水溶液100部で洗浄して、ウェットケーキ44.2部を得た。得られたウェットケーキに、メタノール255部及び水45部を加えて、該液を50℃で1時間攪拌した後、固体を濾過分離し、ウェットケーキ31.5部を得た。得られたウェットケーキを乾燥することにより、目的とする前記式(16)で表される比較用の色素を青色粉末として8.1部得た。
λmax:603.0nm(水溶液中)
比較例2
(1)銅テトラベンゾポルフィラジンテトラスルホニルクロリドの合成[前記式(3)における環A乃至Dの全てがベンゼン環であり、nが4である化合物]。
クロロスルホン酸46.2部中に、攪拌しながら60℃以下で銅テトラベンゾポルフィラジン5.8部を徐々に加え、140℃で4時間反応を行った。次に反応液を70℃まで冷却し、そこに塩化チオニル17.9部を30分間かけて滴下し、70℃で3時間反応を行った。反応液を30℃以下に冷却し、氷水800部中にゆっくりと注ぎ、析出固体を濾過分離し、冷水200部で洗浄することにより、目的化合物のウェットケーキ40.4部を得た。
(2)前記式(16)で表される比較用色素の合成[前記式(1)における環A乃至Dの全てがベンゼン環であり、Eがエチレン、Xが4−スルホアニリノ、Yが2−スルホエチルアミノ、bが3.35、及びcが0.65である色素]。
氷水50部中に本比較例の上記(1)で得られた化合物のウェットケーキ40.4部を加え、液温5℃以下で懸濁した。10分後、その液温を10℃以下に保持しながら、そこに、28%アンモニア水2部、及び、水30部中に式(15)で表される色素2.6部を溶解させた溶液を加えた。さらにそこに、28%アンモニア水を加えながら、該液のpHを9.0に保持し、1時間かけて液温を20℃まで上げ、同温度で8時間保持した。この時の液量は225部であった。反応液の温度を50℃に上げ、塩化ナトリウム45部(対液20%)を反応液に加え、30分撹拌した。次いで、20分かけて濃塩酸を溶液に加えてpH1.0に調整した後、析出した固体を濾過分離し、20%塩化ナトリウム水溶液100部で洗浄し、ウェットケーキ43.1部を得た。得られたウェットケーキを、水200部中に、25%水酸化ナトリウム水溶液を用いて、液のpHを9.0に調整することにより、溶解した。このときの液量は260部であった。得られた溶液の温度を50℃に上げ、塩化ナトリウム52部(対液20%)を加え、30分撹拌した。次いで、20分かけて濃塩酸を溶液に加えてpH1.0に調整した後、析出した固体を濾過分離し、20%塩化ナトリウム水溶液100部で洗浄し、ウェットケーキ45.2部を得た。得られたウェットケーキにメタノール255部及び水45部を加えて50℃で1時間攪拌した後、固体を濾過分離し、ウェットケーキ36.5部を得た。得られたウェットケーキを乾燥することにより、目的とする前記式(16)で表される比較用色素を青色粉末として10.1部得た。
λmax:609.0nm(水溶液中)
実施例3
(A)インクの調製
下記表5に記載の各成分を混合溶解し、0.45μmのメンブランフィルター(アドバンテック社製)で濾過する事により試験用のインクを得た。尚、水はイオン交換水を使用した。又、インクのpHが8〜10、総量が100部になるように水及び水酸化ナトリウム(pH調整剤)を加えた。評価に用いた本発明の色素は実施例1及び2でそれぞれ得た色素であり、実施例1の色素を用いて調製したインクをC−1、実施例2の色素を用いて調製したインクをC−2とする。
表5
上記実施例で得られた色素 5.0部
水+水酸化ナトリウム 59.2部
グリセリン 9.4部
尿素 9.4部
N−メチル−2−ピロリドン 7.5部
IPA(イソプロピルアルコール) 5.6部
ブチルカルビトール 3.7部
商品名サーフィノールRTM104PG50 注1 0.2部
計 100.0部
注1:日信化学工業株式会社製、界面活性剤。
実施例で得られた本発明の各色素の代わりに、比較例1及び2で得た比較用色素をそれぞれ用いる以外は上記と同様にして、比較用のインクを調製した。比較例1の色素を用いて調製したインクをC−3、比較例2の色素を用いて調製したインクをC−4とする。
(B)インクジェット記録
上記のようにして調製したC−1乃至C−4の各インクを、インクジェットプリンタ(キヤノン株式会社製、商品名PIXUSRTMip4100)を用いて、光沢紙A[日本ヒューレット・パッカード株式会社製、商品名アドバンスフォト用紙(光沢)]と光沢紙B[セイコーエプソン株式会社製、商品名クリスピア(光沢)]にインクジェット記録を行なった。
インクジェット記録によりチェック柄のパターン(濃度100%と0%の1.5mm角正方形を交互に組み合わせたパターン)を作成し、コントラストの高いシアン/ホワイトの印字物を得て、これを試験片とした。なお、ホワイトの部分はインクによって着色されていない、紙の地肌の部分である。下記の4.耐水性評価の目視判定を行う際には、このチェック柄の印刷物を用いた。
また反射濃度が100%、85%、70%、55%、40%、及び、25%の6段階の階調として得られるように画像パターンを作り、得られた記録物を試験片として下記する各試験に用いた。耐光性試験、耐オゾン性試験の際には、6段階の階調のうち、試験前の印刷物の反射濃度Dc値が1.0に最も近い階調部分を用いて測定を行った。測色にはGretagMacbeth社製のSpectroEyeを用い、光源はD65、濃度基準はDIN、視野角2°の条件で測色を行なった。
(C)記録画像の評価
1.耐オゾン性試験(残存率)
各試験片を、オゾンウェザーメーター(スガ試験機株式会社製 型式OMS−H)を用い、オゾン濃度10ppm、槽内温度24℃、湿度60%RHで16時間放置した。各試験片のシアンの反射濃度(Dc値)を試験前後で測色し、色素残存率を(試験後の反射濃度/試験前の反射濃度)×100(%)で計算して求め、2段階で評価した。評価基準を以下に示す。
○:色素残存率が75%以上
×:色素残存率が75%未満
結果を表6及び7に示す。
2.耐オゾン性試験(色差)
各試験片を、オゾンウェザーメーター(スガ試験機株式会社製 型式OMS−H)を用い、オゾン濃度10ppm、槽内温度24℃、湿度60%RHで16時間放置した。各試験片のDc値を試験前後で測色し、色差(ΔE)を求め、2段階で評価した。
○:ΔEが10未満
×:ΔEが10以上
結果を表6及び7に示す。
3.ブロンズ性評価
ブロンズ性の評価は、100%濃度、85%濃度、70%濃度、55%濃度、40%濃度、及び25%濃度の6段階の印刷濃度に対して、どの段階以上でブロンズが発生するかを目視で評価した。6段階のいずれにおいてもブロンズが発生しなかったものについてはOK、ブロンズが発生したものに関しては、ブロンズが発生した印刷濃度のうち上記6段階における最低濃度を記載した。
結果を表6及び7に示す。
4.耐水性評価
各試験片の記録画像上にイオン交換水を一滴垂らし、そのまま一日乾燥させることで水滴を蒸発させ、試験前後の印字部から未印字部への滲み具合を目視にて判定した。評価基準は以下の通りである。
未印字部への滲み具合がまったく見られない・・・◎
未印字部への滲みがやや見られる・・・・・・・・○
未印字部への滲み具合が悪い・・・・・・・・・・×
結果を表6及び7に示す。
表6
光沢紙A
耐オゾン性
インク番号 残存率 色差 ブロンズ 耐水性
C−1 ○ ○ OK ◎
C−2 ○ ○ OK ◎
C−3 ○ ○ OK ◎
C−4 × × OK ◎
表7
光沢紙B
耐オゾン性
インク番号 残存率 色差 ブロンズ 耐水性
C−1 ○ ○ OK ◎
C−2 ○ ○ 85 ○
C−3 ○ ○ 70 ×
C−4 ○ × OK ◎
表6及び7から明らかなように、比較例1のインクC−3は耐オゾン性については優れた結果を示したが、光沢紙Bではその印刷物のブロンズは各実施例ならびに比較例の中で最も悪く、さらには耐水性についても最も悪い結果であった。一方、比較例2のインクC−4はブロンジングや耐水性には優れるものの、その耐オゾン性はいずれの光沢紙においても非常に劣る結果であった。
それに対し本発明の化合物を用いたシアンインクはその色相に優れ、且つ耐オゾン性すなわち、オゾン暴露におけるその残存率と試験前後での変色について優れた結果を示した。さらには水に対する耐性も優れていることが明らかで、ブロンズを生じにくい優れた色素であることが明らかとなった。

Claims (22)

  1. 下記式(1)で表されるポルフィラジン色素混合物又はその塩、
    Figure 0005458010
    [式中、環A乃至Dは、それぞれ独立にポルフィラジン環に縮環したベンゼン環又は窒素原子を1又は2個含む6員環の含窒素複素芳香環を表し、環A乃至Dにおける含窒素複素芳香環の個数は平均値で0.00より大きく1.00未満であり、残りはベンゼン環であり、
    EはC2−C6アルキレンを表し、
    Xは、スルホ基、カルボキシ基及びリン酸基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を置換基として有する、アニリノ基又はナフチルアミノ基であり、該アニリノ基又はナフチルアミノ基は、更に、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基、スルファモイル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アミノ基、モノ又はジアルキルアミノ基、モノ又はジアリールアミノ基、アセチルアミノ基、ウレイド基、アルキル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、アルキルスルホニル基、アルキルチオ基、アリールオキシ基及びヘテロ環基よりなる群から選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよく、
    Yはアミノ基;ヒドロキシ基;スルホ基、カルボキシ基、リン酸基、スルファモイル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アミノ基、モノ又はジアルキルアミノ基、モノ又はジアリールアミノ基、アセチルアミノ基、ウレイド基、アルキル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、アルキルスルホニル基、アルキルチオ基、アリールオキシ基及びヘテロ環基よりなる群から選択される1種又は2種以上の置換基を有してもよい、モノ又はジアルキルアミノ基又は含窒素複素環基;を表し、
    XとYの組合せのうち、Yがアミノ基又はヒドロキシ基であり、かつXが置換アニリノ基である組合せは含まず、
    bは非置換スルファモイル基の置換数を表し、平均値で0.00以上3.90未満であり、
    cは置換スルファモイル基の置換数を表し、平均値で0.10以上4.00未満であり、
    且つbおよびcの和は、平均値で3.00より大きく4.00未満である。]。
  2. 請求項1に記載された式(1)において、環A乃至Dで表される前記含窒素複素芳香環が、ピリジン環又はピラジン環である請求項1に記載のポルフィラジン色素混合物又はその塩。
  3. 下記式(3)で表されるポルフィラジン化合物の混合物と、下記式(4)で表される有機アミンとを、アンモニア存在下で反応させて得られる請求項1に記載のポルフィラジン色素混合物又はその塩、
    Figure 0005458010
    [式中、環A乃至Dは請求項1に記載のものと同じ意味を表し、またnは3より大きく4未満である。]、
    Figure 0005458010
    [式中、E、X、及びYは請求項1に記載のものと同じ意味を表す。]。
  4. 環A乃至Dにおける前記含窒素複素芳香環がピリジン環であり、該ピリジン環の縮環位置が、ピリジン環の窒素原子を1位として2位及び3位、3位及び4位、4位及び5位、又は5位及び6位であるか、又は、
    環A乃至Dにおける前記含窒素複素芳香環がピラジン環であり、該ピラジン環の縮環位置が、ピラジン環の窒素原子を1位及び4位として2位及び3位であり、
    EがC2−C4アルキレンであり、
    Xはスルホ基、カルボキシ基、又はリン酸基を置換基として有する、アニリノ基又はナフチルアミノ基であり、該アニリノ基又はナフチルアミノ基は、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ウレイド基、アセチルアミノ基、ニトロ基及び塩素原子よりなる群から選択される1種又は2種以上の置換基を、さらに0〜3個有しても良く、
    Yはアミノ基;ヒドロキシ基;又は、ヒドロキシ基、スルホ基、カルボキシ基若しくはリン酸基よりなる群から選択される基で置換されてもよい、モノ若しくはジC1−4アルキルアミノ基若しくは5乃至7員環の含窒素複素環基;である、
    請求項1に記載のポルフィラジン色素混合物又はその塩。
  5. 環A乃至Dにおける前記含窒素複素芳香環の個数が、平均値で0.20〜0.90であり、残りがベンゼン環であり、
    bが平均値で0.00〜3.70であり、
    cは平均値で0.10〜3.80であり、
    且つbおよびcの和は、平均値で3.10〜3.80である請求項1に記載のポルフィラジン色素混合物又はその塩。
  6. 環A乃至Dにおける前記含窒素複素芳香環の個数が平均値で0.25〜0.85であり、
    EがC2−C4アルキレンを表し、
    Xが、スルホ基又はカルボキシ基で置換されたアニリノ基又はナフチルアミノ基;又は、リン酸置換アニリノ基であり、該アニリノ基及びナフチルアミノ基はスルホ基、カルボキシ基、リン酸基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ウレイド基、アセチルアミノ基、ニトロ基及び塩素原子からなる群から選択される1種又は2種以上の置換基を、さらに0〜3個有しても良く、
    Yはアミノ基;ヒドロキシ基;ヒドロキシ基、スルホ基、カルボキシ基又はリン酸基よりなる群から選択される基で置換されてもよい、モノ又はジアルキルアミノ基又は含窒素複素環基;であり、
    bは平均値で0.00〜3.65であり、
    cは平均値で0.10〜3.75であり、
    且つbおよびcの和は平均値で3.15から3.75である、請求項1に記載のポルフィラジン色素混合物又はその塩。
  7. Eがエチレン又はプロピレンであり、
    Xがスルホ置換アニリノ基;カルボキシ置換アニリノ基;又はスルホ置換ナフチルアミノ基であり、
    Yはアミノ基;ヒドロキシ基;ヒドロキシ基、スルホ基、又はカルボキシ基で置換されてもよい、モノ又はジアルキルアミノ基又は含窒素複素環基;である、
    請求項1に記載のポルフィラジン色素混合物又はその塩。
  8. 環A乃至Dにおける前記含窒素複素芳香環がピリジン環であり、該ピリジン環の縮環位置が、ピリジン環の窒素原子を1位として2位及び3位、又は5位及び6位である請求項7に記載のポルフィラジン色素混合物又はその塩。
  9. 請求項1及び6乃至8のいずれか一項に記載のポルフィラジン色素混合物又はその塩を、色素として含有し、さらに水を含有することを特徴とするインク組成物。
  10. さらに有機溶剤を含有する請求項9に記載のインク組成物。
  11. インクジェット記録用である請求項9に記載のインク組成物。
  12. 請求項1に記載のポルフィラジン色素混合物又はその塩、及び水を含有するインク組成物のインク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に付着させることにより記録を行うインクジェット記録方法。
  13. 被記録材が情報伝達用シートである請求項12に記載のインクジェット記録方法。
  14. 情報伝達用シートが表面処理されたシートであって、支持体上に白色無機顔料粒子を含有するインク受容層を有するシートである請求項13に記載のインクジェット記録方法。
  15. 請求項1に記載のポルフィラジン色素混合物又はその塩、及び水を含有するインク組成物を充填した容器。
  16. 請求項15に記載の容器が装填されたインクジェットプリンタ。
  17. 請求項1に記載のポルフィラジン色素混合物又はその塩、及び水を含有するインク組成物で着色された着色体。
  18. 環A乃至Dにおける前記含窒素複素芳香環がピリジン環又はピラジン環であり、
    EがC2−C4アルキレン基であり、
    Xがスルホ置換アニリノ基、カルボキシ置換アニリノ基又はスルホ置換ナフチルアミノ基であり、
    Yが、アミノ基;ヒドロキシ基;スルホ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基及びアルコキシ基からなる群より選択される基で置換されてもよいモノ(C1−C4)アルキルアミノ基;カルボキシ基又はヒドロキシ基で置換されてもよいジ(C1−C4)アルキルアミノ基;又は、メチル基、エチル基又はカルボキシ基で置換されてもよい5乃至6員環含窒素複素環基である、
    請求項1に記載のポルフィラジン色素混合物又はその塩。
  19. 環A乃至Dにおける前記含窒素複素芳香環がピリジン環であり、該ピリジン環の縮環位置が、ピリジン環の窒素原子を1位として2位及び3位であり、かつ、該ピリジン環の個数が平均値で0.2〜1未満であり、
    Eがエチレン基であり、
    Xがスルホ置換アニリノ基であり、
    YがスルホC1−C4アルキルアミノ基である、
    請求項1に記載のポルフィラジン色素混合物又はその塩。
  20. 下記式(1’)
    Figure 0005458010
    (式中、環A乃至Dはそれぞれ独立にポルフィラジン環に縮環したベンゼン環又は窒素原子を1又は2個含む6員環の含窒素複素芳香環を表し、環A乃至Dにおける含窒素複素芳香環の個数は平均値で0より大きく1未満であり、残りはベンゼン環であり、
    E’はC2−C4アルキレンを表し、
    X’はスルホ置換アニリノ基;カルボキシ置換アニリノ基;又はスルホ置換ナフチルアミノ基であり、
    Y’はアミノ基;ヒドロキシ基;置換基としてアルキル基上に、ヒドロキシ基、スルホ基、又はカルボキシ基を有してもよいモノ又はジアルキルアミノ基;又は置換基としてC1〜C3アルキル基又はカルボキシ基を有してもよい5乃至6員環含窒素複素環基
    bは平均値で0以上3.9未満であり、
    cは平均値で0.1以上4未満であり、
    且つbおよびcの和は、平均値で3より大きく4未満である)
    で表されるポルフィラジン色素混合物又はその塩。
  21. 前記含窒素複素芳香環がピリジン環、X’がスルホ置換アニリノ基、Y’がスルホ置換C1−C4アルキルアミノ基である請求項20に記載のポルフィラジン色素混合物又はその塩。
  22. ピリジン環の個数が平均値で0.1〜1未満であり、bおよびcが平均値で下記
    1.8<b≦3.7
    0.2≦c≦1.2
    3<b+c≦3.9
    の関係を満たす請求項21に記載のポルフィラジン色素混合物又はその塩。
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