JP2007099880A - 染料水溶液、インク組成物、インクジェット記録方法及び着色体 - Google Patents

染料水溶液、インク組成物、インクジェット記録方法及び着色体 Download PDF

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Abstract

【課題】インクジェット用として良好な色相を有し、耐光性、耐オゾン性、耐湿性に優れたインク組成物の提供。
【解決手段】下記式で表されるジスアゾ化合物又はその塩を7.0質量%以上含有する染料水溶液。
Figure 2007099880

(X及びYは一方が水素原子で他方がスルホン酸基、A及びBは一方が水素原子で他方がスルホン酸基、R1、R2、R3及びR4は水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、アセチルアミノ基又はウレイド基、R5及びR6は水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、アセチルアミノ基、塩素原子、ヒドロキシル基又はカルボキシル基。)
【選択図】なし

Description

本発明は染料水溶液又はインク組成物、インクジェット記録方法、及び着色体に関する。
近年、画像記録材料としては、特にカラー画像を形成するための材料が主流であり、具体的には、インクジェット方式記録材料、感熱転写型画像記録材料、電子写真方式を用いる記録材料、転写式ハロゲン化銀感光材料、印刷インク、記録ペン等が盛んに利用されている。また、ディスプレーでは液晶ディスプレー(LCD)やプラズマディスプレーパネル(PDP)において、撮影機器では電荷結合素子(CCD)などの電子部品において、カラーフィルターが使用されている。これらのカラー画像記録材料やカラーフィルターでは、フルカラー画像を再現あるいは記録するために、いわゆる加法混色法や減法混色法の3原色の色素(染料や顔料)が使用されているが、好ましい色再現域を実現出来る吸収特性を有し、且つさまざまな使用条件に耐えうる色素がないのが実状であり、改善が強く望まれている。
インクジェット記録方法は、材料費が安価であること、高速記録が可能なこと、記録時の騒音が少ないこと、更にカラー記録が容易であることから、急速に普及し、更に発展しつつある。インクジェット記録方法には、連続的に液滴を飛翔させるコンティニュアス方式と画像情報信号に応じて液滴を飛翔させるオンデマンド方式が有り、その吐出方式にはピエゾ素子により圧力を加えて液滴を吐出させる方式、熱によりインク中に気泡を発生させて液滴を吐出させる方式、超音波を用いた方式、あるいは静電力により液滴を吸引吐出させる方式等がある。また、インクジェット記録に適したインクの例としては、水性インク、油性インク、あるいは固体(溶融型)インク等が挙げられる。
このようなインクジェット記録に適したインクに用いられる色素に対しては、溶剤に対する溶解性あるいは分散性が良好なこと、高濃度記録が可能であること、色相が良好であること、光、熱、環境中の活性ガス(NOx、オゾン等の酸化性ガスの他、SOxなど)に対して強いこと、水や薬品に対する耐久性に優れていること、被記録材に対して定着性が良く滲みにくいこと、インクとしての保存性に優れていること、毒性がないこと、更には、安価に入手できることが要求されている。特に、良好なイエローの色相を有し、耐光性(光に対する耐久性)、耐オゾン性(オゾンガスに対する耐久性)及び耐湿性(高湿度下における耐久性)に優れたイエローインクが強く望まれている。
耐光性、耐オゾン性、耐湿性等の画像堅牢性に優れ、またインクジェットインク用途として良好な特性を持つ化合物として広く用いられている化合物としては、C.I.ダイレクトイエロー86が挙げられ、特許文献1及び2に開示されている。
また本発明で使用する式(2)で表されるジスアゾ化合物は、セルロース系繊維の染料として特許文献3に開示されている。
特開2003−253176号公報 特開2004−323587号公報 特開昭59−74163号公報
イエローインクとしてインクジェット用途として用いられるC.I.ダイレクトイエロー86は水への溶解性は良好であるが、その水溶液は室温及び低温(0℃)において保存中に結晶が析出しやすいという問題があり、このため溶解助剤として尿素を加えたり7.0質量%未満程度の低濃度染料水溶液として販売されている。
また7.0質量%未満程度の低濃度染料水溶液では、インクを調整する際にインク化の為の水溶性有機溶剤の添加量に制限が生じる。また、他の染料と配合して望みの色相を持つインクを調整したいような場合等においても配合量に制限が生じる。さらに、濃度が低い為に、染料水溶液の液量が多くなり、例えば輸送時、貯蔵時や製造時などのコスト的にも不利に働く。このため、C.I.ダイレクトイエロー86に近い色相を持ち、また画像堅牢性などにおいても同等もしくはそれ以上の品質を持つより高濃度な染料水溶液が強く望まれている。
本発明の課題は、インクジェット用インクとして良好なイエローの色相を有し、且つ記録物の耐光性、耐オゾン性、耐湿性に優れ、インクジェット用途に適した染料水溶液、インク及びインクジェット記録方法を提供することにある。
本発明者らは前記課題を解決すべく、鋭意検討の結果、特定の式で示される公知のジスアゾ化合物(色素)を含有する染料水溶液が前期課題を解決するものであることを見出し、本発明を完成させたものである。
即ち、本発明は、
(1)下記式(1)で表されるジスアゾ化合物又はその塩を7.0質量%以上含有し、Clイオン及びSO4 2−イオンがいずれも1.0質量%以下であることを特徴とする染料水溶液
Figure 2007099880
(式(1)中、X及びYは一方が水素原子で他方がスルホン酸基を表し、A及びBは一方が水素原子で他方がスルホン酸基を表し、R1、R2、R3及びR4は各々独立に水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、アセチルアミノ基又はウレイド基を表し、R5及びR6は各々独立に水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、アセチルアミノ基、塩素原子、ヒドロキシル基又はカルボキシル基を表す。)、
(2)下記式(2)で表されるジスアゾ化合物又はその塩を7.0質量%以上含有し、Clイオン及びSO4 2−イオンがいずれも1.0質量%以下であることを特徴とする染料水溶液、
Figure 2007099880
(3)インクジェット記録用である(1)又は(2)に記載の染料水溶液、
(4)(1)に記載の式(1)で表されるジスアゾ化合物又はその塩を含有することを特徴とするインク組成物、
(5)(1)に記載の染料水溶液を含むことを特徴とするインク組成物、
(6)(2)に記載の式(2)で表されるジスアゾ化合物又はその塩を含有することを特徴とするインク組成物、
(7)(2)に記載の染料水溶液を含むことを特徴とするインク組成物、
(8)有機溶剤を含有する(4)から(7)のいずれか一項に記載のインク組成物、
(9)インクジェット記録用である(4)から(8)に記載のインク組成物、
(10)インク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に記録を行うインクジェット記録方法において、インクとして(4)から(9)のいずれか一項に記載のインクを使用することを特徴とするインクジェット記録方法、
(11)被記録材が情報伝達用シートである(10)に記載のインクジェット記録方法、
(12)情報伝達用シートが表面処理されたシートであって、支持体上に白色無機顔料粒子を含有するインク受像層を有するシートである(11)に記載のインクジェット記録方法、
(13)(4)から(9)のいずれか一項に記載のインクを搭載するインクジェットプリンタ、
(14)(4)から(9)のいずれか一項に記載のインクで着色された着色体、
に関する。
式(1)の水溶性ジスアゾ化合物は、インクジェット記録紙上で色相が良好であり、水溶解性と水溶液の保存安定性にも優れ、水性インク組成物製造過程でのメンブランフィルター等に対する濾過性が良好という特徴を有する。又、本発明の染料水溶液及びインク組成物は長期間保存後の結晶析出、物性変化、色変化等もなく、貯蔵安定性が良好である。そして本発明の水性インク組成物をインクジェット記録用イエロー(または赤味のイエロー)インクとして使用して得られた記録画像は被記録材(紙、フィルム等)を選択することなく良好な色相であり、写真調のカラー画像の色相を紙の上に忠実に再現させることも可能である。更に写真画質インクジェット専用紙やインクジェット専用フィルムのような多孔性白色無機顔料を表面に塗工した被記録材に記録しても各種堅牢性、すなわち耐水性、耐湿性、耐光性、耐ガス性が良好であり、写真調の記録画像の長期保存安定性に優れている。
本発明を詳細に説明する。尚、本発明において断りがない限りスルホン酸基及びカルボキシル基は遊離酸の形で表すが、式(1)のジスアゾ化合物の塩は、無機又は有機陽イオンの塩である。塩としてはアルカリ金属塩など(ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩など)又は式(3)で表されるオニウム塩などが挙げられる。
Figure 2007099880
(式(3)中、Z1からZ4はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基又はヒドロキシアルコキシアルキル基を表す。)
式(3)のZ1からZ4においてアルキル基の例としてはメチル基、エチル基等が挙げられ、ヒドロキシアルキル基の例としてはヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基などが挙げられ、更にヒドロキシアルコキシアルキル基の例としては、ヒドロキシエトキシメチル基、2−ヒドロキシエトキシエチル基、3−ヒドロキシエトキシプロピル基、3−ヒドロキシエトキシブチル基、2−ヒドロキシエトキシブチル基などが挙げられる。
以上のうち、好ましい塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、モノイソプロパノールアミン塩、ジイソプロバノールアミン塩、トリイソプロパノールアミン塩、アンモニウム塩等が挙げられる。これらのうち、特に好ましいものは、リチウム塩、アンモニウム塩またはナトリウム塩であり、さらにはこれらの混塩も好ましい。
当業者であれば理解できるように、前記式(1)の化合物の各塩は以下の方法などにより容易に得ることができる。
例えば、式(1)の化合物の合成時における式(1)の化合物を含む反応液、または式(1)の化合物を含むケーキあるいは式(1)の化合物を含む乾燥品などを水に溶解し、これに食塩を加えて塩析、次いで濾過することにより式(1)の化合物のナトリウム塩をウェットケーキとして得ることが出来る。又、得られたウェットケーキを再び水に溶解後、塩酸などを加えてpHを適宜調整した後に析出する結晶を濾過することにより、式(1)の化合物の遊離酸あるいは式(1)の化合物の遊離酸及びナトリウム塩の混合物を任意の比率で、ウェットケーキとして得ることも出来る。更に、得られたウェットケーキを水と共に撹拌しながら、更に別の種類の塩基、例えば、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア水又は式(3)で示される化合物の塩などを用いて処理することにより、各々相当するカリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、有機アミン塩またはこれらの塩の混合物を得ることも可能である。
式(1)で示されるジスアゾ化合物は、例えば特許文献3に記載の方法で製造することが出来る。式(1)に示したジスアゾ化合物の好適な例として、特に限定されるものではないが、下記表1及び表2中に記載の構造式を有する化合物例が挙げられる。また、式(1)の特に好ましい例としては式(2)のジスアゾ化合物が挙げられる。
Figure 2007099880
Figure 2007099880
本発明の染料水溶液は、前記式(1)のジスアゾ化合物又はその塩(以下、特に断りの無い限り、単にジスアゾ化合物と呼ぶ)を含み、水を媒体として調整される。Cl及びSO4 2−等の陰イオンの含有量1質量%以下であり、このCl及びSO4 2−の濃度の低い染料水溶液を製造するには、例えば逆浸透膜による通常の方法又はジスアゾ化合物の乾燥品あるいはウェットケーキをアルコール及び水の混合溶媒中で撹拌し、濾過、乾燥する等の方法で脱塩処理すればよい。用いるアルコールは、炭素数1〜4の低級アルコール好ましくは炭素数1〜3のアルコール、更に好ましくはメタノール、エタノール又は2−プロパノールである。また、アルコールでの脱塩処理の際に、使用するアルコールの沸点近くまで加熱後、冷却して脱塩する方法も採用しうる。Cl及びSO4 2−の含有量は例えばイオンクロマトグラム法で測定される。
本発明の染料水溶液のpHは3.0〜12.0の範囲にあるものが好ましく、5.0〜10.0の範囲にあるものがより好ましい。pHの調整は、染料水溶液の保存安定性を向上させる目的で、上記範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用することができる。例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、アンモニア水、あるいは炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩などが挙げられる。
本発明のインク組成物は、式(1)のジスアゾ化合物又はその塩を含み、水及び有機溶媒等を媒体として調製されるが、このインクをインクジェット記録用インクとして使用する場合、ジスアゾ化合物に含まれるCl及びSO4 2−等の陰イオンの含有量は少ないものが好ましく、その含有量の目安は、ジスアゾ化合物中でCl及びSO4 2−の総含量として5質量%以下、好ましくは3質量%以下、更に好ましくは1質量%以下であり、インク中に1質量%以下である。
本発明のインク組成物をインクジェット記録用インクとして使用する場合、ジスアゾ化合物に含まれる銅、亜鉛、鉄等の重金属(イオン)、カルシウム、シリカ等の金属(陽イオン)等の含有量が少ないものを用いるのが好ましい。その含有量の目安は例えば、ジスアゾ化合物の精製乾燥品中に、銅、亜鉛、鉄等の重金属(イオン)、カルシウム、シリカ等の金属(陽イオン)について各々500ppm以下程度である。重金属(イオン)及び金属(陽イオン)の含有量はイオンクロマトグラム法、原子吸光法又はICP(Inductively Coupled Plasma)発光分析法にて測定される。
本発明のインク中に前記式(1)のジスアゾ化合物は、通常0.1〜8質量%、好ましくは0.3〜6質量%含有される。低い濃度のインクにはジスアゾ化合物は通常0.1〜2.5質量%含有される。
本発明のインク組成物は水を媒体として調製される。本発明のインクにはさらに必要に応じて、水溶性有機溶剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有される。水溶性有機溶剤は、染料溶解剤、乾燥防止剤(湿潤剤)、粘度調整剤、浸透促進剤、表面張力調整剤、消泡剤等として使用される。その他インク調製剤としては、例えば、防腐防黴剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、染料溶解剤、褪色防止剤、乳化安定剤、表面張力調整剤、消泡剤、分散剤、分散安定剤、等の公知の添加剤が挙げられる。水溶性有機溶剤の含有量はインク全体に対して0〜60質量%好ましくは10〜50質量%用い、インク調製剤はインク全体に対して0〜20質量%好ましくは0〜15質量%用いるのが良い。上記以外の残部は水である。
本発明のインク組成物を調製するのに用いうる水溶性有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等のC1〜C4アルカノール、N,N−ジメチルホルムアミドまたはN,N−ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オンまたは1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の複素環式ケトン、アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトンまたはケトアルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル、エチレングリコール、1,2−または1,3−プロピレングリコール、1,2−または1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、チオジグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の(C2〜C6)アルキレン単位を有するモノマー、オリゴマーまたはポリアルキレングリコールまたはチオグリコール、グリセリン、ヘキサン−1,2,6−トリオール等のポリオール(トリオール)、エチレングリコールモノメチルエーテルまたはエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル又はジエチレングリコールモノエチルエーテル又はトリエチレングリコールモノメチルエーテル又はトリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールの(C1〜C4)アルキルエーテル、γーブチロラクトンまたはジメチルスルホキシド等があげられる。
水溶性有機溶剤として好ましいものは、炭素数3〜8のモノ又は多価アルコール、例えばイソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、グリセリンなど及び炭素数1〜3のアルキル置換基を有しても良い2−ピロリドン、例えば2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンなどが挙げられ、多価アルコールとしてはヒドロキシ基を2〜3有するもの、例えばモノ、ジまたはトリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどが好ましい。より好ましくはイソプロパノール、グリセリン、ジエチレングリコール、2−ピロリドンである。これらの水溶性有機溶剤は、単独もしくは混合して用いられる。
防腐防黴剤としては、例えば、有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリルスルホン系、ヨードプロパギル系、N−ハロアルキルチオ系、ベンゾチアゾール系、ニトリル系、ピリジン系、8−オキシキノリン系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオキシド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系等の化合物が挙げられる。有機ハロゲン系化合物としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられ、ピリジンオキシド系化合物としては、例えば2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウムが挙げられ、イソチアゾリン系化合物としては、例えば1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウムクロライド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド等が挙げられる。その他の防腐防黴剤としてソルビン酸ソーダ安息香酸ナトリウム、等(例えば、アベシア社製、商品名プロクセルGXL(S)、プロクセルXL−2(S)等)があげられる。
pH調整剤は、インクの保存安定性を向上させる目的で、インクのpHを6.0〜11.0の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用することができる。例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、水酸化アンモニウム、あるいは炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩などが挙げられる。
キレート試薬としては、例えばエチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラシル二酢酸ナトリウムなどがあげられる。防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライトなどがあげられる。
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、桂皮酸系化合物、トリアジン系化合物、スチルベン系化合物、又はベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
粘度調整剤としては、水溶性有機溶剤の他に、水溶性高分子化合物があげられ、例えばポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミン、ポリイミン等があげられる。
染料溶解剤としては、例えば尿素、ε−カプロラクタム、エチレンカーボネート等があげられる。
褪色防止剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。褪色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機の褪色防止剤としてはハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類などがあり、金属錯体としてはニッケル錯体、亜鉛錯体などがある。
表面張力調整剤としては、界面活性剤があげられ、例えばアニオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤などがあげられる。アニオン界面活性剤としてはアルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸およびその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリルスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩などが挙げられる。カチオン界面活性剤としては2−ビニルピリジン誘導体、ポリ−4−ビニルピリジン誘導体などがある。両性界面活性剤としてはラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシンその他イミダゾリン誘導体などがある。ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル系、ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレートなどのエステル系、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オールなどのアセチレングリコール系(例えば、日信化学社製サーフィノール104、104PG50、82、465、オルフィンSTG等)、等が挙げられる。これらのインク調製剤は、単独もしくは混合して用いられる。なお、本発明のインクの表面張力は通常25〜70mN/m、より好ましくは25〜60mN/mである。また本発明のインクの粘度は30mPa・s以下が好ましい。更に20mPa・s以下に調整することがより好ましい。
消泡剤としては、高酸化油系、グリセリン脂肪酸エステル系、フッ素系、シリコーン系化合物が必要に応じて用いられる。
本発明のインクを製造するにあたり、各薬剤を溶解させる順序には特に制限はない。インクを調製するにあたり、用いる水はイオン交換水または蒸留水など不純物が少ない物が好ましい。さらに、必要に応じメンブランフィルターなどを用いて精密濾過を行って夾雑物を除いてもよく、インクジェットプリンタ用のインクとして使用する場合は精密濾過を行うことが好ましい。精密濾過を行うフィルターの孔径は通常1ミクロン〜0.1ミクロン、好ましくは、0.8ミクロン〜0.2ミクロンである。
本発明のインクは、単色の画像形成のみならず、フルカラーの画像形成に用いることができる。フルカラー画像を形成するために、イエローインク、マゼンタインク、シアンインクの3色を併せたインクセット、又はこれにブラックインクを併せた4色のインクセットとしても使用される。更にはより高精細な画像を形成する為に、ライトマゼンタインク、ライトシアンインク、ブルーインク、グリーンインク、オレンジインク、ダークイエローインク、グレーインク等と併用したインクセットとしても使用される。
式(1)で表されるジスアゾ化合物はイエローインクの成分として使用することができ、この際、そのイエローインクは色材としては式(1)で表されるジスアゾ化合物だけを単独で用いても良いし、微細な色相調整の為にその他のイエローインク用の色素を併せて使用しても良い。適用できるイエローインクの色素としては、種々のものを使用することが出来る。例えばアリール・ヘテリル系のアゾ染料、アゾメチン染料、メチン染料、キノン系染料、キノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等を挙げることができる。
式(1)で表されるジスアゾ化合物は、ブラックインク、オレンジインク、グリーンインク、ダークイエローインク又はグレーインクの一成分として使用することもできる。この際もインク用の色材として用いる色素は式(1)のジスアゾ化合物のほか、種々のものを使用することが出来る。
本発明のインク組成物は、印捺、複写、マーキング、筆記、製図、スタンピング等の記録方法に使用でき、特にインクジェット印捺法における使用に適する。
本発明のインクジェット記録方法は、前記で調整されたインクにエネルギーを供与して、公知の受像材料、即ち普通紙、樹脂コート紙、インクジェット専用紙、光沢紙、光沢フィルム、電子写真共用紙、繊維や布(セルロース、ナイロン、羊毛等)、ガラス、金属、陶磁器、皮革等に画像を形成する。
画像を形成する際に、光沢性や耐水性を与えたり、耐候性を改善したりする目的からポリマー微粒子分散物(ポリマーラテックスともいう)を併用してもよい。ポリマーラテックスを被記録材に付与する時期については、着色剤を付与する前であっても,後であっても、また同時であってもよく、したがって添加する場所も被記録材中であっても、インク中であってもよく、あるいはポリマーラテックス単独の液状物として使用しても良い。
本発明の着色体は前記の本発明のインク組成物で着色されたものである。着色されうるものとしては、例えば紙、フィルム等の情報伝達用シート、繊維や布(セルロース、ナイロン、羊毛等)、皮革、カラーフィルター用基材等が挙げられる。情報伝達用シートとしては、表面処理されたもの、具体的には紙、合成紙、フィルム等の基材にインク受容層を設けたものが好ましい。インク受容層には、例えば上記基材にカチオン系ポリマーを含浸あるいは塗工することにより、また多孔質シリカ、アルミナゾルや特殊セラミックスなどのインク中の色素を吸収し得る無機微粒子をポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーと共に上記基材表面に塗工することにより設けられる。このようなインク受容層を設けたものは通常インクジェット専用紙(フィルム)、光沢紙(フィルム)等と呼ばれる。この中でも、オゾンガス等の空気中の酸化作用を持つガスに対して影響を受けやすいとされているのが、多孔質シリカ、アルミナゾルや特殊セラミックスなどのインク中の色素を吸収し得る無機微粒子を基材表面に塗工しているタイプのインクジェット専用紙であり、例えば代表的な市販品の一例を挙げると、ピクトリコ(旭硝子(株)製)、プロフェッショナルフォトペーパー、スーパーフォトペーパー、マットフォトペーパー(いずれもキヤノン(株)製)、写真用紙クリスピア<高光沢>、写真用紙<光沢>、フォトマット紙(いずれもセイコーエプソン(株)製)、アドバンスフォト用紙(光沢)、プレミアム光沢フィルム、フォト用紙(いずれも日本ヒューレット・パッカード(株)製)、フォトライクQP(コニカ(株)製)、高品位コート紙、写真光沢紙(いずれもソニー(株)製)等がある。なお、普通紙も利用できることはもちろんである。
本発明の着色体は、前記インクジェットプリンタを用いて、前記インク組成物で被着色材を着色したものである。被着色剤は前記被記録材及びその他のインクジェットプリンタで着色しうる物品であれば特に制限はない。
本発明のインクジェット記録方法で、被記録材に記録するには、例えば上記のインクを含有する容器をインクジェットプリンタの所定位置にセットし、通常の方法で、被記録材に記録すればよい。インクジェットプリンタとしては、例えば機械的振動を利用したピエゾ方式のプリンタや加熱により生ずる泡を利用したバブルジェット(登録商標)方式のプリンタ等があげられる。
本発明によるインク組成物は貯蔵中に沈澱、分離することがない。また、本発明によるインク組成物をインクジェット印刷において使用した場合、噴射器(インクヘッド)を閉塞することもない。本発明によるインクは連続式インクジェットプリンタによる比較的長い時間一定の再循環下またはオンデマンド式インクジェットプリンタによる断続的な使用においても、物理的性質の変化を起こさない。
本発明のインク組成物は特に耐オゾン性に優れ、かつ耐光性、耐湿性、耐水性においても優れた記録物を得ることができる。
以下に本発明を実施例により更に具体的に説明する。尚、本文中「部」及び「%」とあるのは、特別の記載のない限り質量基準である。
実施例1
特許文献3の実施例8に記載の方法に従い、下記式(2)
Figure 2007099880
で表される化合物(染料)を得た。得られた式(2)の化合物の乾燥品10.0部を水100部に溶解し、2−プロパノール300部を加えて晶析させ濾過した。得られたウェットケーキ全量を更にもう一度水100部に溶解し、2−プロパノール300部を加えて再び晶析させて濾過し、最終的に得られたウェットケーキ全量を乾燥して6.2部の本願発明の式(2)の脱塩化合物(染料)を得た。この化合物の水への溶解度は100g/L以上と良好であった。この化合物の水中での最大吸収波長(λmax)は398nmであった。
実施例2(無機分濃度の測定)
実施例1にて得られた本願発明の式(2)の脱塩化合物(脱塩品)を用いて15質量%、10質量%および7質量%の水溶液を調整し、その水溶液につき、塩素イオン(Cl)および硫酸イオン(SO4 2−)濃度をそれぞれ測定した。結果を表3に示す。

比較例1(無機分濃度の測定)
比較化合物として実施例1にて得られた特許文献3に記載の式(2)の化合物(未脱塩品)を用いて15質量%、10質量%および7質量%の水溶液を調整し、その水溶液につき、塩素イオン(Cl)および硫酸イオン(SO4 2−)濃度をそれぞれ測定した。結果を表3に示す。

比較例2(無機分濃度の測定)
比較化合物としてC.I.ダイレクトイエロー86(DY86)を用いて15質量%、10質量%および7質量%の水溶液を調整し、その水溶液につき、塩素イオン(Cl)および硫酸イオン(SO4 2−)濃度をそれぞれ測定した。結果を表3に示す。
なおDY86は下記式(4)の化合物である。
Figure 2007099880
表3
無機分 15%溶液 10%溶液 7%溶液
未脱塩品 Cl ND 5.2% 3.5%
SO4 2− ND 240ppm 170ppm
脱塩品 Cl 80ppm 53ppm 37ppm
SO4 2− 23ppm 15ppm 11ppm
DY86 Cl ND 26ppm 18ppm
SO4 2− ND 10ppm 10ppm

ND:化合物が溶解せず、測定を行うことができなかった。

表3より明らかなように、本願発明の脱塩品は10%溶液および7%溶液のいずれの場合でも塩素イオン濃度につき53ppmおよび37ppmであり、未脱塩品が5.2%および3.5%であるのと比較し、きわめて塩素イオン濃度が低い。また硫酸イオン濃度についても同様に15ppmおよび11ppmであり、未脱塩品が240ppmおよび170ppmであるのと比較しやはり10倍以上イオン濃度が低い。
また15%溶液については未脱塩品およびDY86は化合物が溶解せず、溶液を調整できないのに対し、本願発明の脱塩品においては15%溶液の調製が可能となり単独においても、また他の染料との配合時においても充分な濃度を有する染料水溶液の調整が可能となった。
実施例3(染料水溶液の貯蔵安定性評価)
上記実施例2で調整した各化合物の15%、10%および7%の各水溶液を水酸化ナトリウムにてpH7に調整後、蓋付ガラス試験管中に入れ0℃及び5℃で1日間保存した後、各化合物(染料)の析出を目視で確認した。結果を表4に示す。
なお○を付けたものについては2週間保存後においても沈殿は生じなかった。

表4

0℃保存の結果(5℃保存の結果も同様なものとなった)
15%溶液 10%溶液 7%溶液
未脱塩品 不溶 ○ ○
脱塩品 ○ ○ ○
DY86(脱塩品) 不溶 保存1日で沈殿発生 ○
(○は2週間保存で沈殿発生なし)

表4の結果より明らかなように、DY86は10%水溶液においても保存1日で沈殿が生じ、貯蔵安定性に極めて難があることが判る。また本願化合物と同一の構造式を有する未脱塩品においても、10%溶液までは安定であるものの、15%溶液は調製することができない。これと比較し、本願発明の脱塩品は15%溶液においても2週間の保存期間中、沈殿を生じることは無く保存安定性においてもきわめて優れることが証明された。
実施例4(インク評価)
(A)インクの調製
下記表5に記載の各成分を混合溶解し、0.45μmのメンブランフィルター(アドバンテック社製)で濾過する事によりインクを得た。尚、水はイオン交換水を使用した。又、インクのpHがpH=9〜10、総量が100部になるように水、水酸化ナトリウム(pH調整剤)を加えた。
表5
実施例2で得られた10%の染料水溶液 30.0部
水+水酸化ナトリウム 14.7部
グリセリン 15.0部
尿素 15.0部
N−メチル−2−ピロリドン 12.0部
IPA(イソプロピルアルコール) 8.0部
ブチルカルビトール 5.0部
サーフィノール104PG50(商品名:日信化学社製) 0.3部
計 100.0部
比較例3
色素としてC.I.ダイレクトイエロー86を用いて実施例2と同様に3.0質量%の染料水溶液を調製し、pHを8に調整した。
比較例4
実施例2で得られた染料水溶液の代わりに比較例3で得られた染料水溶液を用いる他は前記表5と同じ組成でインク組成物を作成した。
(B)インクジェットプリント
インクジェットプリンタ(商品名 キヤノン社製 PIXUS ip4100)を用いて、専用紙A(キャノン社製 プロフェッショナルフォトペーパー PR101)、専用紙B(セイコーエプソン社製 写真用紙<光沢> KA420PSK)の2種にインクジェット記録を行った。
印刷の際は、反射濃度が数段階の階調が得られるように画像パターンを作り、ハーフトーンの印字物を得た。耐光性試験、耐オゾン性試験の測定の際には、試験前の印刷物の反射濃度D値が1.0に最も近い階調部分を用いて測定を行った。
(C)記録画像の評価
1.色相評価
記録画像の色相は、記録紙を測色システム(GRETAG SPM50:GRETAG社製)を用いて測色し、印刷物のL*が90〜100の範囲にあるときのh値、C*値を測色した。評価は好ましいh値を90〜100と定義し、これらとC*値から3段階で判断した。
○:a*、b*値両方が好ましい領域内に存在し、更にC*値が55以上
△:a*、b*値両方が好ましい領域内に存在するが、C*値が55未満
×:a*、b*値が好ましい範囲に領域内に存在しない
2.耐光性試験
記録画像の試験片を、キセノンウェザーメーター(ATLAS社製 型式Ci4000)を用い、0.36W/平方メートル照度で、槽内温度24℃、湿度60%RHの条件にて100時間照射した。試験後、試験前後の反射濃度を、前記測色システムを用いて測色した。測定後、色素残存率を(試験後の反射濃度/試験前の反射濃度)×100(%)で計算して求め、3段階で評価した。
○:残存率90%以上
△:残存率70%以上、90%未満
×:残存率70%未満
3.耐オゾン性試験
記録画像の試験片を、オゾンウェザーメーター(スガ試験機社製 型式OMS−H)を用い、オゾン濃度40ppm、槽内温度24℃、湿度60%RHで4時間放置した。試験後、試験前後の反射濃度を前記の測色システムを用いて測色した。測定後、色素残存率を(試験後の反射濃度/試験前の反射濃度)×100(%)で計算して求め、3段階で評価した。
○:残存率80%以上
△:残存率70%以上、80%未満
×:残存率70%未満
4.耐湿性試験
記録画像の試験片を、恒温恒湿器(応用技研産業社製)を用いて、槽内温度50℃、湿度90%RHで5日間放置した。試験後、試験片のにじみを目視にて3段階で評価した。
○:にじみが認められない
△:わずかににじみが認められる
×:大きくにじみが認められる
実施例3と比較例4で作成したインクにより得られた記録画像の色相評価、耐光性試験結果、耐オゾン性試験結果及び耐湿性試験結果をそれぞれ表6(専用紙A)及び表7(専用紙B)に表わす。
表6
インク評価結果:専用紙A
色相 耐光性 耐オゾン性 耐湿性
実施例3で作成したインク ○ ○ ○ ○
比較例4で作成したインク ○ △ △ △
表7
インク評価結果:専用紙B
色相 耐光性 耐オゾン性 耐湿性
実施例3で作成したインク ○ ○ ○ ○
比較例4で作成したインク ○ △ ○ △
表6及び表7から明らかなように、比較例4で作成したインクは、専用紙Aを用いた場合、耐光性および耐オゾン性の各試験における色素の残存率がそれぞれ90%未満70%以上、80%未満70%以上であり、本発明のインクを使用した実施例3がそれぞれ90%以上、80%以上であるのと比較し、耐光性および耐オゾン性が劣ることが判明した。
専用紙Bを用いた場合でも比較例4のインクは耐光性試験において色素の残存率が90%未満70%以上であり、本発明のインクを使用した実施例3が90%以上であるのと比較し、やはり耐光性において劣ることが判った。
また耐湿性においては本発明のインクにはにじみが認められないのと比較し、比較例4のインクにはいずれの専門紙を用いた場合にもにじみが認められた。
以上の結果より本発明のインク組成物は、インクジェット用途として色相に優れ、耐光性、耐オゾン性及び耐湿性に優れるものであることが明らかである。
本発明の染料水溶液は、水溶液の保存安定性に優れ、長期保存後の結晶析出、物性変化、色変化もなく、貯蔵安定性が良好である。また、本発明のインク組成物は、インクジェット用インクとして良好な色相を有し、耐光性、耐オゾン性及び耐湿性に優れたインクであり、さらに水への高い溶解性から高濃度の染料水溶液を調製することが可能となった。従って、本発明のインク組成物はインクジェット記録用のインクとして極めて有用である。

Claims (14)

  1. 下記式(1)で表されるジスアゾ化合物又はその塩を7.0質量%以上含有し、Clイオン及びSO4 2−イオンがいずれも1.0質量%以下であることを特徴とする染料水溶液
    Figure 2007099880
    (式(1)中、X及びYは一方が水素原子で他方がスルホン酸基を表し、A及びBは一方が水素原子で他方がスルホン酸基を表し、R1、R2、R3及びR4は各々独立に水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、アセチルアミノ基又はウレイド基を表し、R5及びR6は各々独立に水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、アセチルアミノ基、塩素原子、ヒドロキシル基又はカルボキシル基を表す。)
  2. 下記式(2)で表されるジスアゾ化合物又はその塩を7.0質量%以上含有し、Clイオン及びSO4 2−イオンがいずれも1.0質量%以下であることを特徴とする染料水溶液
    Figure 2007099880
  3. インクジェット記録用である請求項1又は2に記載の染料水溶液
  4. 請求項1に記載の式(1)で表されるジスアゾ化合物又はその塩を含有することを特徴とするインク組成物
  5. 請求項1に記載の染料水溶液を含むことを特徴とするインク組成物
  6. 請求項2に記載の式(2)で表されるジスアゾ化合物又はその塩を含有することを特徴とするインク組成物
  7. 請求項2に記載の染料水溶液を含むことを特徴とするインク組成物
  8. 有機溶剤を含有する請求項4から7のいずれか一項に記載のインク組成物
  9. インクジェット記録用である請求項4から8に記載のインク組成物
  10. インク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に記録を行うインクジェット記録方法において、インクとして請求項4から9のいずれか一項に記載のインクを使用することを特徴とするインクジェット記録方法
  11. 被記録材が情報伝達用シートである請求項10に記載のインクジェット記録方法
  12. 情報伝達用シートが表面処理されたシートであって、支持体上に白色無機顔料粒子を含有するインク受像層を有するシートである請求項11に記載のインクジェット記録方法
  13. 請求項4から9のいずれか一項に記載のインクを搭載するインクジェットプリンタ
  14. 請求項4から9のいずれか一項に記載のインクで着色された着色体
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