JP2014062259A - チェーファー用ゴム組成物及びそれを用いたタイヤ - Google Patents

チェーファー用ゴム組成物及びそれを用いたタイヤ Download PDF

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    • C08L77/00Compositions of polyamides obtained by reactions forming a carboxylic amide link in the main chain; Compositions of derivatives of such polymers

Abstract

【課題】本発明は、高弾性で、引張強度が高く、発熱性及び疲労性の優れたゴム組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】加硫可能なゴム(A)100重量部に対し、融点が100〜180℃のポリアミドエラストマー(B)0.1〜50重量部と無機補強剤(C)1〜100重量部を含有し、前記ポリアミドエラストマー(B)のソフトセグメントがポリエーテルであることを特徴とするゴム組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、加硫可能なゴム、融点が100〜180℃のポリアミドエラストマー及び無機補強剤を含むゴム組成物、ベーストレッド用ゴム組成物、チェーファー用ゴム組成物、及びサイドウォール用ゴム組成物に関する。
近年、世界的に希求されている環境に対する配慮から、自動車の低燃費化、特にタイヤの低燃費化技術が注目されている。一般的には、ポリマーを拘束する補強剤を減量させ、ゴムのヒステリシスを低減させることで、タイヤの低燃費化を行っている。しかしながら、補強剤の減量はタイヤの補強性を低減させるだけでなく、硬さも低下してしまう問題が生じていた。
そこで、架橋剤を増量させることでゴムのヒステリシスを低減させる方法もあるが、ゴム自体が脆くなってしまい、亀裂成長性が促進するなどの問題があり、更なる改善が求められている。
また、上述した問題点を解決するために、補強剤を減量しても補強性が低減せず、ゴム自体の補強性を向上させることが必要である。その方策として、特許文献1には、ブタジエンゴムを補強性の高いシンジオタクチックポリブタジエンに変更を使用することで、補強剤を低減しても、補強効果を維持することが記されている。しかし、シンジオタクチックポリブタジエンを使用した方法では、目標とする低燃費性や破断伸び、硬さバランスなどを総合的に向上させることは困難であった。
特許文献2にはゴムに微細化(あるいは短繊維化)した熱可塑性ポリアミドとシリカ粒子を配合し、OA機器のロールの耐摩耗性を改良したゴム組成物が開示されている。また、特許文献3には天然ゴム等にポリアミドエラストマーと微粒子カーボンブラックを配合することで、高弾性率で振動エネルギーを効率良く吸収する免震積層体用ゴム組成物が開示されている。
特開2006−124503号公報 特開平7−224189号公報 特開平10−237221号公報
しかしながら、一般にゴムに樹脂や繊維を配合すると高弾性化するものの引張強度の低下や発熱性、疲労性が悪化するという問題がある。また、いずれの技術に関しても、所望の効果は得られるものの、引張強度等が低下する問題があり、タイヤ用部材等、特にベーストレッドに用いる場合には、より実用性の高いものが求められている。
さらに、タイヤの中でも特にトラックやバスなどの重荷重用タイヤのベルト部やリムと接触するビード部の耐久性には不十分であり、特にビード部は十分な耐久性が必要とされている。また、ビード部の変形を抑制する目的として、リムとビード部との間らは硬質ゴム部としてチェーファーが配合されているが、硬度や破断伸びなどの点で十分なものではなかった。
さらに、タイヤの中でも特にトラックやバスなどの重荷重用タイヤのサイドウォールゴムについては、従来より屈曲亀裂成長性や硬度などの問題が残り、より実用性の高いものが求められていた。
そこで、本発明は、高弾性で、引張強度が高く、発熱性及び疲労性の優れたゴム組成物を提供することを第一の目的とする。
また、本発明は、高弾性で、引張強度、破断伸びが大きく、発熱性及び疲労性が優れ、かつそれらのバランスに優れたベーストレッド用ゴム組成物、ベーストレッド、及びそれを含むタイヤを提供することを第二の目的とする。
さらに、本発明は、発熱性、破断伸び、硬度及び疲労性が優れ、かつそれらのバランスに優れたチェーファー用ゴム組成物、チェーファー、及びそれを含むタイヤを提供することを第三の目的とする。
またさらに、本発明は、発熱性、耐チップカット性、硬度、疲労性および屈曲亀裂成長性が優れ、かつそれらのバランスに優れたサイドウォール用ゴム組成物、サイドウォール、及びそれを含むタイヤを提供することを第四の目的とする。
以上の第一の目的を達成するために、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、加硫可能なゴム(A)100重量部に対し、融点が100〜180℃のポリアミドエラストマー(B)0.1〜50重量部と無機補強剤(C)1〜100重量部を含有することによって、高弾性で、引張強度が高く、発熱性及び疲労性の優れたゴム組成物を得ることができることを見出した。
すなわち、本発明は、加硫可能なゴム(A)100重量部に対し、融点が100〜180℃のポリアミドエラストマー(B)0.1〜50重量部と無機補強剤(C)1〜100重量部を含有することを特徴とするゴム組成物である。
また、以上の第二の目的を達成するために、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、加硫可能なゴム(A)100重量部に対し、融点が100〜180℃のポリアミドエラストマー(B)1〜50重量部と無機補強剤(C)20〜70質量部を含有し、前記無機補強剤(C)が少なくともカーボンブラック及びシリカを含み、無機補強剤(C)中におけるシリカの配合量が80質量%以下であることによって、高弾性で、引張強度、破断伸びが大きく、発熱性及び疲労性が優れ、かつそれらのバランスに優れたベーストレッド用ゴム組成物を得ることができることを見出した。
すなわち、本発明は、加硫可能なゴム(A)100重量部に対し、融点が100〜180℃のポリアミドエラストマー(B)1〜50重量部と無機補強剤(C)20〜70質量部を含有し、前記無機補強剤(C)が少なくともカーボンブラック及びシリカを含み、無機補強剤(C)中におけるシリカの配合量が80質量%以下であること特徴とするベーストレッド用ゴム組成物である。また、本発明は、前記ベーストレッド用ゴム組成物を含むベーストレッドである。さらに、本発明は、前記ベーストレッドを有する乗用車用タイヤ及びスタッドレスタイヤ等のタイヤである。
さらに、以上の第三の目的を達成するために、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、加硫可能なゴム(A)100重量部に対し、融点が100〜180℃のポリアミドエラストマー(B)1〜50重量部と無機補強剤(C)60〜100重量部を含有し、JIS−A硬度が70〜90及び引張試験における破断伸びが180%以上であることによって、発熱性、破断伸び、硬さ及び疲労性が優れ、かつそれらのバランスに優れたチェーファー用ゴム組成物を得ることができることを見出した。
すなわち、本発明は、加硫可能なゴム(A)100重量部に対し、融点が100〜180℃のポリアミドエラストマー(B)1〜50重量部と無機補強剤(C)60〜100重量部を含有し、JIS−A硬度が70〜90及び引張試験における破断伸びが180%以上であるチェーファー用ゴム組成物である。また、本発明は、前記チェーファー用ゴム組成物を含むチェーファーである。さらに、本発明は、前記チェーファーを有する乗用車用タイヤ及びスタッドレスタイヤ等のタイヤである。
またさらに、以上の第四の目的を達成するために、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、加硫可能なゴム(A)100重量部に対し、融点が100〜180℃のポリアミドエラストマー(B)1〜50重量部と無機補強剤(C)20〜60重量部含有し、JIS−A硬度が55〜75であることによって、発熱性、耐チップカット性、硬さ、疲労性および屈曲亀裂成長性が優れ、かつそれらのバランスに優れたサイドウォール用ゴム組成物を得ることができることを見出した。
すなわち、本発明は、加硫可能なゴム(A)100重量部に対し、融点が100〜180℃のポリアミドエラストマー(B)1〜50重量部と無機補強剤(C)20〜60重量部含有し、JIS−A硬度が55〜75であることを特徴とするサイドウォール用ゴム組成物である。また、本発明は、前記サイドウォール用ゴム組成物を含むサイドウォールである。さらに、本発明は、前記サイドウォールを有する乗用車用タイヤ及びスタッドレスタイヤ等のタイヤである。
以上のように、本発明によれば、高弾性で、引張強度が高く、発熱性及び疲労性の優れたゴム組成物を提供することができる。
また、本発明は、高弾性で、引張強度、破断伸びが大きく、発熱性及び疲労性が優れ、かつそれらのバランスに優れたベーストレッド用ゴム組成物、ベーストレッド、及びそれを含むタイヤを提供することができる。
さらに、本発明は、発熱性、破断伸び、硬度及び疲労性が優れ、かつそれらのバランスに優れたチェーファー用ゴム組成物、チェーファー、及びそれを含むタイヤを提供することができる。
またさらに、本発明は、発熱性、耐チップカット性、硬度、疲労性および屈曲亀裂成長性が優れ、かつそれらのバランスに優れたサイドウォール用ゴム組成物、サイドウォール、及びそれを含むタイヤを提供することができる。
ゴム組成物:
次に、本発明に係るゴム組成物について説明する。
〔加硫可能なゴム(A)〕
本発明に係るゴム組成物に用いられる加硫可能なゴムとしては、特に制限なく、公知のものを使用することができ、好ましくは、ジエン系ゴムを使用することができる。例えば、天然ゴム、ブタジエンゴム(BR)、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン(SPB)含有のブタジエンゴム、SPB含有の天然ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、及びクロロプレンゴムなどのジエン系単量体の重合体;アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ニトリルクロロプレンゴム、及びニトリルイソプレンゴムなどのアクリロニトリル−ジエン共重合ゴム;スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンクロロプレンゴム、及びスチレンイソプレンゴムなどのスチレン−ジエン共重合ゴム;並びに、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)などが挙げられる。この中で、ブタジエンゴム、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン含有のブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、天然ゴム、及びイソプレンゴムが好ましい。これらは単独で、または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン含有のブタジエンゴムは、1,3−ブタジエンをシンジオタクチック−1,2重合したもの(SPB)と1,3−ブタジエンをシス−1,4重合したものを混合して得ることができる(例えば、特公平3−63566号)。
SPB含有のブタジエンゴムの中でも特に好ましいのは、結晶繊維の長軸長さの平均が200nm以下の結晶繊維が25μm当たり90以上であり、かつ融点が170℃以上である特定のシンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン結晶繊維1〜30質量%、シス−ポリブタジエンゴム99〜70質量%、及び繰り返し単位当たり少なくとも1個の不飽和二重結合を有する不飽和高分子物質0〜20質量%からなるビニル・シス−ポリブタジエンゴムである(例えば、WO2006−54808)。
また、加硫可能なゴム(A)には、加硫剤、加硫促進剤を添加することができる。加硫剤としては、硫黄、加熱により硫黄を生成させる化合物、有機過酸化物、酸化マグネシウム等の金属酸化物、多官能性モノマー、及びシラノール化合物等が挙げられる。加熱により硫黄を生成させる化合物としては、テトラメチルチウラムジスルフィド、及びテトラエチルチウラムジスルフィド等が挙げられる。
加硫促進剤としては、例えばアルデヒド類、アンモニア類、アミン類、グアニジン類、チオウレア類、チアゾール類、チウラム類、ジチオカーバメイト類、及びキサンテート類等が挙げられ、より具体的には、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(OBS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(CBS)、ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジンクジ−n−ブチルジチオカーバイト(ZnBDC)、及びジンクジメチルジチオカーバイト(ZnMDC)等が挙げられる。
その他、必要に応じて、老化防止剤、充填剤、プロセスオイル、亜鉛華、ステアリン酸等、通常ゴム組成物に用いられる公知の添加剤を配合することができる。
老化防止剤としては、アミン・ケトン系、イミダゾール系、アミン系、フェノール系、硫黄系及び燐系等の老化防止剤が挙げられる。より具体的には、老化防止剤としてはフェノール系の2,6一ジーt−ブチル−p−クレゾール(BHT)、リン系のトリノニルフェニルフォスファイト(TNP)、硫黄系の4.6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、及びジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート(TPL)等が挙げられる。
充填剤としては、炭酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、クレー、リサージュ、及び珪藻土等の無機充填剤、再生ゴム、及び粉末ゴム等の有磯充填剤が挙げられ、プロセスオイルとしては、アロマティック系、ナフテン系、及びパラフィン系のプロセスオイルが挙げられる。
〔ポリアミドエラストマー(B)〕
本発明に係るゴム組成物に用いられる融点が100〜180℃のポリアミドエラストマー(B)は、ハードセグメントはポリアミドであり、ソフトセグメントはポリエーテルやポリエステルを用いたマルチブロックコポリマーである。ソフトセグメントは、ポリエーテルが好ましい。アミド成分はナイロン6,66,610,11,12などであり、ポリエーテルの代表例はジオールポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリ(オキシプロピレン)グリコールなどであり、ポリエステルの代表例はポリ(エチレンアジペート)グリコール、ポリ(ブチレン−1,4アジペート)グリコールなどである。このようなポリアミドエラストマー(B)としては、特許第4123475号に記載のポリエーテルポリアミドエラストマーや、特公昭56−45419号に記載のポリエーテル・エステル・アミドブロックコポリマーが挙げられる。
融点が100℃より低いポリアミドエラストマーを用いると、耐熱性の点で劣るため好ましくなく、融点が180℃より高いとゴムとの混練り時に溶融分散しないため好ましくない。
本発明に用いられるポリアミドエラストマー(B)の融点は、100℃〜180℃であるが、120℃〜170℃がより好ましい。融点は、例えば、ハードセグメントとソフトセグメントとの割合により調整することができる。
本発明に用いられるポリアミドエラストマー(B)の硬度(ショアーD)は、30〜65であることが好ましく、35〜60であることがさらに好ましい。硬度は、例えば、ハードセグメントとソフトセグメントとの割合により調整することができる。
さらに、本発明においてポリアミドエラストマー(B)の量は、加硫可能なゴム(A)100重量部に対し、0.1〜50重量部、好ましくは0.2〜40重量部、より好ましくは0.3〜30重量部、特に好ましくは0.5〜20重量部である。ポリアミドエラストマーの量が、加硫可能なゴム(A)100重量部に対し、0.1重量部より少ないと効果が発現せず、50重量部より多いと加工性が悪化するため好ましくない。
ポリアミドエラストマー(B)としては、特に、ポリアミド形成性モノマー[即ち、アミノカルボン酸化合物(D1)及び/又はラクタム化合物(D2)]、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物(E)(Yはポリオキシブチレンである)、及びジカルボン酸(F)を重合して得られるポリエーテルポリアミドエラストマーが好ましい。
前記ポリエーテルポリアミドエラストマーにおいて、ポリアミド形成性モノマー、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン(E)、及びジカルボン酸(F)に含まれる末端のカルボン酸又はカルボキシ基と、末端のアミノ基とがほぼ等モルになるような割合が好ましい。
特に、ポリアミド形成性モノマーの一方の末端がアミノ基で、他方の末端がカルボン酸又はカルボキシ基の場合、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン(E)及びジカルボン酸(F)は、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン(E)のアミノ基とジカルボン酸(F)のカルボキシ基がほぼ等モルになるような割合とするのが好ましい。
〔アミノカルボン酸化合物(D1)及びラクタム化合物(D2)〕
次に、アミノカルボン酸化合物(D1)及びラクタム化合物(D2)について説明する。本発明に使用するアミノカルボン酸化合物(D1)は、下記式(1)で表される化合物である。
N−R−COOH (1)
ここで、Rは炭化水素鎖を含む連結基を表わし、炭素数2〜20の脂肪族、脂環族若しくは芳香族の炭化水素基又は炭素数2〜20のアルキレン基であることが好ましく、さらに好ましくは炭素数3〜18の上記炭化水素基又は炭素数3〜18のアルキレン基であり、より好ましくは炭素数4〜15の上記炭化水素基又は炭素数4〜15のアルキレン基であり、特に好ましくは炭素数10〜15の上記炭化水素基又は炭素数10〜15アルキレン基を示す。
本発明に使用するラクタム化合物(D2)は、下記式(2)で表される化合物である。ここで、Rは炭化水素鎖を含む連結基を表わし、炭素数3〜20の脂肪族、脂環族若しくは芳香族の炭化水素基又は炭素数3〜20のアルキレン基であることが好ましく、さらに好ましくは炭素数3〜18の上記炭化水素基又は炭素数3〜18のアルキレン基であり、さらに好ましくは炭素数4〜15の上記炭化水素基又は炭素数4〜15のアルキレン基であり、特に好ましくは炭素数10〜15の上記炭化水素基又は炭素数10〜15のアルキレン基を示す。
Figure 2014062259
アミノカルボン酸化合物(D1)及びラクタム化合物(D2)としては、ω−アミノカルボン酸、ラクタム、又はジアミンとジカルボン酸から合成されるもの及びそれらの塩から選ばれる少なくとも一種の脂肪族、脂環族及び/又は芳香族を含むポリアミド形成性モノマーが使用される。
ω−アミノカルボン酸の具体例としては、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸、10−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸、及び12−アミノドデカン酸などの炭素数5〜20の脂肪族ω−アミノカルボン酸などを挙げることができる。
ラクタムの具体例としては、ε−カプロラクタム、ω−エナントラクタム、ω−ウンデカラクタム、ω−ドデカラクタム、及び2−ピロリドンなどの炭素数5〜20の脂肪族ラクタムなどを挙げることができる。
ジアミンとジカルボン酸から合成されるもの及びそれらの塩において、ジアミンとしては、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン及び芳香族ジアミン、又はこれらの誘導体から選ばれる少なくとも一種のジアミン化合物などを挙げることができる。ジカルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸、又はこれらの誘導体から選ばれる少なくとも一種のジカルボン酸化合物などを挙げることができる。特に、脂肪族ジアミン化合物と脂肪族ジカルボン酸化合物との組合せを使用することにより、低比重で、引張り伸びが大きく、耐衝撃性に優れ、溶融成形性が良好なポリエーテルポリアミドエラストマーを得ることができる。
ジアミンとジカルボン酸とのモル比(ジアミン/ジカルボン酸)は、0.9〜1.1の範囲が好ましく、0.93〜1.07の範囲がさらに好ましく、0.95〜1.05の範囲がより好ましく、0.97〜1.03の範囲が特に好ましい。このモル比が上記範囲内にあれば、高分子量化が容易となる。
上記のジアミンの具体例としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、及び3−メチルペンタメチレンジアミンなどの炭素数2〜20の脂肪族ジアミンなどのジアミン化合物を挙げることができる。
ジカルボン酸の具体例としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、及びドデカン二酸のような炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸などのジカルボン酸化合物を挙げることができる。
〔XYX型トリブロックポリエーテルジアミン(E)〕
XYX型トリブロックポリエーテルジアミン(E)は、下記式(3)で表される化合物であり、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコールなどの両末端にプロピレンオキシドを付加することによりポリプロピレングリコールとした後、このポリプロピレングリコールの末端にアンモニアなどを反応させることによって製造されるポリエーテルジアミンなどを用いることができる。
Figure 2014062259
上記式(3)において、x及びzは1〜20、好ましくは1〜18、さらに好ましくは1〜16、より好ましくは1〜14、特に好ましいのは1〜12であり、yは4〜50、好ましくは5〜45、さらに好ましくは6〜40、より好ましくは7〜35、特に好ましいのは8〜30である。またx、y及びzの組合せとしては、xが2〜6の範囲、yが6〜12の範囲、zが1〜5の範囲の組合せ、あるいはxが2〜10の範囲、yが13〜28の範囲、zが1〜9の範囲の組合せなどを好ましく例示することができる。
XYX型トリブロックポリエーテルジアミン(E)において、x及びzがそれぞれ上記の範囲より小さい場合には、得られるエラストマーの透明性が劣るため好ましくなく、yが上記範囲より小さい場合には、ゴム弾性が低くなるので好ましくない。また、x及びzが上記範囲より大きい場合又は、yが上記範囲より大きい場合、ポリアミド成分との相溶性が低くなり強靭なエラストマーが得られにくいため好ましくない。
XYX型トリブロックポリエーテルジアミン(E)の具体例としては、米国HUNTSMAN社製XTJ−533(一般式(3)において、xがおよそ12、yがおよそ11、zがおよそ11)、XTJ−536(一般式(3)において、xがおよそ8.5、yがおよそ17、zがおよそ7.5)、そしてXTJ−542(一般式(3)において、xがおよそ3、yがおよそ9、zがおよそ2)などを挙げることができる。
また、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン(E)として、XYX−1(一般式(3)において、xがおよそ3、yがおよそ14、zがおよそ2)、XYX−2(一般式(3)において、xがおよそ5、yがおよそ14、zがおよそ4)、そしてXYX−3(一般式(3)において、xがおよそ3、yがおよそ19、zがおよそ2)なども挙げることができる。
〔ジカルボン酸化合物(F)〕
本発明に使用するジカルボン酸化合物(F)は、下記式(4)で表される化合物である。
HOOC−(R−COOH (4)
ここで、Rは、炭化水素鎖を含む連結基を表わし、炭素数1〜20の脂肪族、脂環族若しくは芳香族の炭化水素基又は炭素数1〜20のアルキレン基であることが好ましく、さらに好ましくは炭素数1〜15の上記炭化水素基又は炭素数1〜15のアルキレン基であり、より好ましくは炭素数2〜12の上記炭化水素基又は炭素数2〜12のアルキレン基であり、特に好ましくは炭素数4〜10の上記炭化水素基又は炭素数4〜10のアルキレン基を示すものである。また、mは0又は1を示す。
ジカルボン酸化合物(F)としては、脂肪族、脂環族及び芳香族ジカルボン酸から選ばれる少なくとも一種のジカルボン酸又はこれらの誘導体を用いることができる。
ジカルボン酸の具体例としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、及びドデカン二酸などの炭素数2〜25の直鎖脂肪族ジカルボン酸、又は、トリグリセリドの分留により得られる不飽和脂肪酸を二量化した炭素数14〜48の二量化脂肪族ジカルボン酸(ダイマー酸)及びこれらの水素添加物(水添ダイマー酸)などの脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、並びに、テレフタル酸、及びイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸を挙げることができる。ダイマー酸及び水添ダイマー酸としては、ユニケマ社製商品名「プリポール1004」、「プリポール1006」、「プリポール1009」、「プリポール1013」などを用いることができる。
ポリエーテルポリアミドエラストマーの全成分に対する、ポリアミド形成性モノマーの割合は、好ましくは10〜95質量%、さらに好ましくは15〜90質量%、より好ましくは15〜85質量%、特に好ましくは15〜80質量%、最も好ましくは15〜70質量である。ポリエーテルポリアミドエラストマーの全成分に対するポリアミド形成性モノマーの割合が、10質量%以上であれば、ポリアミド成分の結晶性を向上されることができ、強度、弾性率などの機械的物性を向上させることができる。95質量%以下であれば、ゴム弾性や柔軟性などのエラストマーとしての機能、性能を発現させることができる。
また、ポリエーテルポリアミドエラストマーの全成分に対する(E)化合物と(F)化合物との合計量の割合は、好ましくは5〜90質量%、さらに好ましくは10〜85質量%、より好ましくは15〜85質量%、特に好ましくは20〜85質量%、最も好ましくは30〜85質量である。
ポリエーテルポリアミドエラストマーの硬度(ショアーD)は、好ましくは30〜65の範囲、より好ましくは35〜60の範囲のものである。なお、本発明において、硬度(ショアーD)は、ASTM D2240に準拠して測定することができる。
ポリエーテルポリアミドエラストマーの曲げ弾性率は、好ましくは20〜450MPa、さらに好ましくは20〜400MPa、より好ましくは20〜350MPa、特に好ましくは20〜300MPaである。弾性率が上記範囲であることにより、特に強靭性とゴム弾性に優れるエラストマーが得られる。なお、本発明において、曲げ弾性率は、ASTM D790に準拠して測定することができる。
ポリエーテルポリアミドエラストマーの引張り降伏点強度は、好ましくは3〜25MPaの範囲、さらに好ましくは3〜22MPaの範囲、より好ましくは3〜20MPaの範囲、特に好ましくは3〜18MPaの範囲である。引張り降伏点強度が上記範囲であることにより、特に強靭性とゴム弾性に優れるエラストマーが得られる。なお、本発明において、引張り降伏点強度は、ASTM D−638に準拠して測定することができる。
ポリエーテルポリアミドエラストマーの引張り破断伸びは、300%以上が好ましく、特に600%以上が好ましい。この範囲よりも少ないと、強靭性、ゴム弾性などのエラストマーとしての性能が発現しにくくなるために好ましくない場合がある。なお、本発明において、引張り破断伸びは、ASTM D−638に準拠して測定することができる。
ポリエーテルポリアミドエラストマーの曲げ強さは、好ましくは0.8〜15MPa、さらに好ましくは1〜13MPa、より好ましくは1.1〜10MPa、特に好ましくは1.2〜9MPaが好ましい。ポリエーテルポリアミドエラストマーの曲げ強さが、上記範囲内では、曲げ強さなどの強靭性とゴム弾性とのバランスの優れるエラストマーが得られるために好ましい。なお、本発明において、曲げ強さは、ASTM D−790に準拠して測定することができる。
ポリエーテルポリアミドエラストマーは、23℃におけるアイゾットノッチ付き衝撃強さの測定において破壊しないこと(NBと略す)が、特に耐衝撃性に優れるために好ましい。なお、本発明において、アイゾットノッチ付き衝撃強さは、ASTM D−256に準拠して測定することができる。
ポリエーテルポリアミドエラストマーの荷重たわみ温度は、50℃以上が好ましい。上記範囲内であると使用時に材料が変形しにくくなるために好ましい。なお、本発明において、荷重たわみ温度は、ASTM D−648に準拠して測定することができる。
ポリエーテルポリアミドエラストマーの相対粘度(ηr)は、1.2〜3.5(0.5質量/容量%メタクレゾール溶液、25℃)の範囲にあることが好ましい。
〔ポリエーテルポリアミドエラストマーの製造方法〕
ポリエーテルポリアミドエラストマーの製造方法として、一例を挙げると、ポリアミド形成性モノマー(即ち、アミノカルボン酸化合物(D1)及び/又はラクタム化合物(D2))、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物(E)及びジカルボン酸(F)の三成分を、加圧及び/又は常圧下で溶融重合し、必要に応じさらに減圧下で溶融重合する工程からなる方法を用いることができ、さらにポリアミド形成性モノマー、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物(E)及びジカルボン酸(F)の三成分を同時に、加圧及び/又は常圧下で溶融重合し、必要に応じさらに減圧下で溶融重合する工程からなる方法を用いることができる。なお、ポリアミド形成性モノマーとジカルボン酸(F)の二成分を先に重合させ、ついで、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物(E)を重合させる方法も利用できる。
ポリエーテルポリアミドエラストマーの製造に当たり、原料の仕込む方法に特に制限はないが、ポリアミド形成性モノマー、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物(E)及びジカルボン酸(F)の仕込み割合は、全成分に対してポリアミド形成性モノマーが好ましくは10〜95質量%、特に好ましくは15〜90質量%の範囲、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物(E)が好ましくは3〜88質量%、特に好ましくは8〜79質量%の範囲である。原料のうち、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物(E)とジカルボン酸(F)は、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物(E)のアミノ基とジカルボン酸(F)のカルボキシ基がほぼ等モルになるように仕込むことが好ましい。
重合温度は、好ましくは150〜300℃、さらに好ましくは160〜280℃、特に好ましくは180〜250℃である。重合温度が150℃以上であれば、重合反応が良好に進行し、300℃以下であれば、熱分解が抑えられ、良好な物性のポリマーを得ることができる。
ポリエーテルポリアミドエラストマーは、ポリアミド形成性モノマーとしてω−アミノカルボン酸を使用する場合、常圧溶融重合又は常圧溶融重合とそれに続く減圧溶融重合での工程からなる方法で製造することができる。
一方、ポリアミド形成性モノマーとしてラクタム、又はジアミンとジカルボン酸から合成されるもの及び/又はそれらの塩を用いる場合には、適量の水を共存させ、0.1〜5MPaの加圧下での溶融重合とそれに続く常圧溶融重合及び/又は減圧溶融重合からなる方法で製造することができる。
重合時間は、通常0.5〜30時間である。重合時間が0.5時間以上であれば、分子量を上昇させることができ、30時間以下であれば、熱分解による着色などが抑えられ、所望の物性を有するポリエーテルポリアミドエラストマーが得ることができる。
ポリエーテルポリアミドエラストマーの製造は、回分式でも、連続式でも実施することができ、またバッチ式反応釜、一槽式ないし多槽式の連続反応装置、管状連続反応装置などを単独であるいは適宜組み合わせて用いることができる。
ポリエーテルポリアミドエラストマーの製造の際に、必要に応じて分子量調節や成形加工時の溶融粘度安定のために、ラウリルアミン、ステアリルアミン、ヘキサメチレンジアミン、メタキシリレンジアミンなどのモノアミン及びジアミン、酢酸、安息香酸、ステアリン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などのモノカルボン酸、或はジカルボン酸などを添加することができる。これらの使用量は、最終的に得られるポリエーテルポリアミドエラストマーの相対粘度が1.2〜3.5(0.5質量/容量%メタクレゾール溶液、25℃)の範囲になるように適宜添加することが好ましい。
上記のモノアミン及びジアミン、モノカルボン酸及びジカルボン酸などの添加量は、得られるポリエーテルポリアミドエラストマーの特性を阻害されない範囲とするのが好ましい。
ポリエーテルポリアミドエラストマーの製造の際に、必要に応じて触媒として、リン酸、ピロリン酸、及びポリリン酸などを、また触媒と耐熱剤の両方の効果をねらって亜リン酸、次亜リン酸、及びこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などの無機系リン化合物を添加することができる。添加量は、通常、仕込み原料に対して50〜3000ppmである。
ポリアミドエラストマー(B)としては、その他に、例えば、式(5)のポリアミドエラストマーを挙げることができる。
Figure 2014062259
式(4)中、Aはポリアミドシークエンス、Bは直鎖又は分枝脂肪族ポリオキシアルキレングリコールシークエンスでかつアルキレン基が少なくとも2つの炭素原子を有するものであり、nは繰り返し単位を表わす整数である。式(4)により表わされる成形可能な及び/又は押し出し可能なポリエーテル・エステル・アミドブロックコポリマーを製造する方法は、連鎖末端にカルボン酸基を有し平均分子量が300〜15000のジカルボン酸ポリアミドと、連鎖末端に水酸基を有し平均分子量が200〜6000の直鎖又は分枝脂肪族ポリオキシアルキレングリコールと溶融状態において反応させ、かつ前記反応を、高真空下、100〜400℃の温度において、一般式Ti(OR)(ただし、Rは炭素数1〜24の直鎖又は分枝脂肪族炭化水素基である。)により表わされるテトラアルキルオルトチタン酸塩を含有する触媒を、反応混合物に対して0.01〜5重量%となる量で存在させて、行うことにより得ることができる(特公昭56−45419号)。
ポリエーテルポリアミドエラストマーは、その特性が阻害されない範囲で、耐熱剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、スリップ剤、結晶核剤、粘着性付与剤、シール性改良剤、防曇剤、離型剤、可塑剤、顔料、染料、香料、難燃剤、及び補強材などを添加することができる。
ポリエーテルポリアミドエラストマーは、吸水性が低く、溶融成形性に優れ、成形加工性に優れ、強靭性に優れ、耐屈曲疲労性に優れ、反発弾性に優れ、低比重性、低温柔軟性に優れ、低温耐衝撃性に優れ、伸長回復性に優れ、消音特性に優れ、ゴム的な性質及び透明性などに優れている。
射出成形、押出成形、ブロー成形、及び真空成形などの公知の成形方法により、ポリエーテルポリアミドエラストマーからなるシート状成形物を得ることができる。
本発明におけるポリエーテルポリアミドエラストマーは、市販品として「UBESTA XPA 9040X1、同9040F1、同9048X1、同9048F1、同9055X1、同9055F1、同9063X1、同9063F1、同9040X2、同9048X2、同9040F2、同9048F2」(宇部興産株式会社製)などを使用することができる。
ポリエーテルポリアミドエラストマーは、本発明で使用するポリエーテルポリアミドエラストマーを除くポリアミド、ポリ塩化ビニル、熱可塑性ポリウレタン、ABS樹脂などの熱可塑性樹脂との相溶性が良く、これらの熱可塑性樹脂とブレンドすることにより、これらの樹脂の成形性、耐衝撃性、弾性及び柔軟性などを改良することができる。またポリエーテルポリアミドエラストマーはガスバリア性を有しているが他の樹脂と混合することにより、さらにガスバリア性を上げることができる。またポリエーテルポリアミドエラストマーは、ゴムに添加して加硫する場合に加硫を促進する効果があり、ゴム製品の生産性向上に寄与できる。
〔無機補強剤(C)〕
本発明に係るゴム組成物に配合される無機補強剤(C)としては、各種のカーボンブラック、ホワイトカーボン、シリカ、活性化炭酸カルシウム、及び超微粒子珪酸マグネシウム等などが挙げられる。なかでも、カーボンブラック及びシリカのうち少なくとも1以上であることが好ましい。特に好ましくは、粒子径が90nm以下、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が70ml/100g以上のカーボンブラックであり、例えば、FEF、FF、GPF、SAF、ISAF、SRF、及びHAF等が用いられる。
シリカはシリカ純度が97%以上であるのが好ましい。純度97%未満のシリカはゴムの補強効果が充分ではないので、このようなシリカをブレンドしたゴム組成物は耐磨耗性が充分ではない。シリカ粒子の平均粒径は、好ましくは0.1〜50μ、さらに好ましくは1〜50μ、特に好ましくは5〜50μの範囲である。かかるシリカ粒子は、例えば完全溶融した石英ガラスを然るべき粒径になるように粉砕するなどの方法により得ることができる。又、シリカの純度が97%以上の天然石英を粉砕したものも好ましく用いられる。さらに、シラン等の有機珪素化合物を加水分解して得られた粒子も好ましく用いられる。
加硫可能なゴム(A)とシリカが良く混ざるようにするためにカップリング剤を用いてもよい。カップリング剤としては、アルキルフェノールホルムアルデヒド系樹脂初期縮合物や酸無水物、シラン系カップリング剤、及びチタネート系カップリング剤が好ましく、シランカップリング剤がさらに好ましい。
シランカップリング剤としては、アルコキシシラン類、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジエトキシジエチルシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、トリエトキシエチルシラン、トリメトキシフェニルシラン、トリメトキシプロピルシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、及びN−ドデシルトリエトキシシランである。
上記のアルコキシシランを含め、ビニル基を含むアルコキシシラン類、エステル結合を有するアルコキシシラン類、エポキシ基を有するアルコキシシラン類、アミノ基を有するアルコキシシラン類、メルカプト基を有するアルコキシシラン類、スルフィド基を有するアルコキシシラン類、クロル基を有するアルコキシシラン類、スチリル基を有するアルコキシシラン類、ウレイド基を有するアルコキシシラン類及びイソシアネート基を有するアルコキシシラン類などを用いることができる。
ビニル基を有するアルコキシシラン類としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、トリクロロビニルシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリクロロシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シランアクリロキシ基またはメタクリロキシ基を有するアルコキシシラン類、例えば、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、及び3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランである。
エステル結合を有するアルコキシシラン類としては、例えば、トリアセトキシメチルシラン、及びジアセトキシジメチルシランである。
エポキシ基を有するアルコキシシラン類としては、例えば、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、及び3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランなどがある。
アミノ基を有するアルコキシシラン類としては、例えば、3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、及びN−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルなどがある。
メルカプト基を有するアルコキシシラン類としては、例えば、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、及び3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランなどがある。
スルフィド基を有するアルコキシシラン類としては、例えば、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、及びビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどがある。
クロル基を有するアルコキシシラン類としては、例えば、クロロメチルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルジメトキシメチルシラン、3−クロロプロピルトリクロロシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルジメトキシメチルシラン、ブチルトリクロロシラン、クロロヘキシルトリクロロシラン、ドデカシルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、n−デシルトリクロロシラン、n−オクチルトリクロロシラン、n−テトラデシルトリクロロシラン、及びフェニルトリクロロシランなどがある。
スチリル基を有するアルコキシシラン類としては、例えば、p−スチリルトリメトキシシランなどがある。
ウレイド基を有するアルコキシシラン類としては、例えば、3−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどがある。
イソシアネート基を有するアルコキシシラン類としては、例えば、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、及びトリス−(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートなどがある。
シランカップリング剤は、上記化合物を複数組み合わせて使用しても良い。
使用されるシランカップリング剤の量は、加硫可能なゴム(A)100重量部に対して0.1〜100重量部が好ましく、より好ましくは1〜50重量部、特に好ましくは2〜
30重量部である。
特に、アミノ基、エポキシ基を有するアルコキシシランが望ましい。
また、アミノ基を有するシランカップリング剤を使用した際、SBRのような加硫可能なゴムとポリアミド系樹脂の双方に効果があり、その結果、両者の界面が活性化されるため相溶性が増すのでより好ましい。同様にエポキシ基を有するシランカップリング剤でも同様の効果が得られる。
無機補強剤(C)に用いるカーボンブラックとシリカは混合するとより加工性と低エネルギーロス性や摩耗性などの両立が可能となるので、無機補強剤(C)がカーボンブラックとシリカの混合物であることが好ましい。特に、両者の重量比がカーボンブラック/シリカが90/10〜5/95であることが好ましく、より好ましくは、80/20〜20/80、特に好ましくは70/30〜30/70である。シリカが10%より少ないと、エネルギーロスが大きくなり、90%より多いと加工性や摩耗性が悪くなる欠点がある。
使用される無機補強剤(C)の量は、加硫可能なゴム(A)100重量部に対して1〜100重量部、好ましくは10〜80重量部、より好ましくは20〜70重量部である。
〔その他の成分〕
本発明に係るゴム組成物には、必要に応じて、加硫剤、加硫助剤、活性剤、スコーチ防止剤、老化防止剤、充填剤、プロセスオイル、亜鉛華、及びステアリン酸など、通常ゴム業界で用いられる配合剤を混練してもよい。
加硫剤としては、公知の加硫剤、例えば硫黄、有機過酸化物、樹脂加硫剤、及び酸化マグネシウムなどの金属酸化物などが用いられる。
加硫助剤としては、公知の加硫助剤、例えばアルデヒド類、アンモニア類、アミン類、グアニジン類、チオウレア類、チアゾール類、チウラム類、ジチオカーバメイト類、及びキサンテート類などが用いられる。
スコーチ防止剤(リターダー)としては、有機酸やニトロソ化合物、N−シクロヘキシルチオフタルイミド、及びスルホンアミド誘導体などが用いられる。
老化防止剤としては、アミン・ケトン系、イミダゾール系、アミン系、フェノール系、硫黄系及び燐系などが挙げられる。
充填剤としては、炭酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、クレー、リサージュ、珪藻土等の無機充填剤、再生ゴム、及び粉末ゴム等の有機充填剤が挙げられる。
プロセスオイルは、アロマティック系、ナフテン系、及びパラフィン系のいずれを用いてもよい。
〔ゴム組成物の製造〕
本発明に係るゴム組成物は、上記各成分を通常行われているバンバリー、オープンロール、ニーダー、又は二軸混練り機などを用いて混練時の最高温度がポリアミドエラストマーの融点以上となる条件で混練りすることで得られる。混練時の最高温度はポリアミドエラストマーの融点と同じ温度〜融点よりも50℃高い温度の範囲が好ましい。さらに好ましくは、融点よりも5℃高い温度〜融点よりも40℃高い温度である。混練時の最高温度はポリアミドエラストマーの融点より低いとポリアミドエラストマーが溶融分散せず、融点よりも50℃高い温度であると加硫可能なゴムが劣化する場合がある。
〔ゴム組成物の用途〕
本発明に係るゴム組成物は、高弾性で引張強度が高く、発熱性、疲労性の優れたゴム組成物に関するもので、タイヤにおけるトレッド・サイドウォール・チェーファー等のタイヤ外部部材、カーカス・ベルト・ビード、インナーライナー等のタイヤ内部部材、防振ゴム・ゴムベルト・ホース・免震ゴム・防舷材等の工業用品、紳士靴、婦人靴、及びスポーツシューズ等の履物、工業用・印刷用・OA機器用等のゴムロール、ゴルフボール・テニスボール・スポーツ床等のスポーツ用品、農耕用・フォークリフト用等のソリッドタイヤ、ゴムクローラー、キャスター、シーリング材、接着剤、ゴムシート、防水材、パッキン類、並びにスポンジ製品などにも用いる事ができる。ゴム組成物は、タイヤに用いられることが好ましい。また、後述のベーストレッド用ゴム組成物、チェーファー用ゴム組成物、及びサイドウォール用ゴム組成物であることが好ましい。
さらに、タイヤのインナーライナーに適用する場合、カーカスとインナーライナーとの接着層としてポリアミドエラストマーを使用することができる。あるいは、ガスバリア性を上げるために、インナーライナーとして、ポリアミドエラストマーに樹脂やゴム、たとえば公知の材料であるハロゲン化ブチルゴム、EVOH、低密度ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリ酢酸ビニル、非晶ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ナイロン6、ポリフッ化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコールなどを混ぜたものを使用することもでき、この場合、カーカスとインナーライナーを直接積層しても良い。
ベーストレッド用ゴム組成物:
次に、本発明に係るベースとレッド用ゴム組成物について説明する。
〔加硫可能なゴム(A)及びポリアミドエラストマー(B)〕
本発明に係るベーストレッド用ゴム組成物に用いられる加硫可能なゴム(A)及びポリアミドエラストマー(B)は、上記のゴム組成物に用いられるものと同じものを用いることができる。ただし、ポリアミドエラストマー(B)の含有量は、加硫可能なゴム(A)100重量部に対し、ポリアミドエラストマー(B)1〜50重量部、好ましくは2〜40重量部、さらに好ましくは3〜30重量部である。ポリアミドエラストマー(B)の量が、加硫可能なゴム(A)100重量部に対し、1重量部より少ないと効果が発現せず、50重量部より多いと加工性が悪化するため好ましくない。
本発明に係るベーストレッド用ゴム組成物に用いられる加硫可能なゴム(A)は、その強度を向上させるため、SPB含有のブタジエンゴムやSPB含有天然ゴムが含まれることが好ましい。これらSPB含有のブタジエンゴムやSPB含有天然ゴムの配合量は、加硫可能なゴム(A)100重量部に対して1〜30重量部が好ましく、5〜20重量部が特に好ましい。
〔無機補強剤(C)〕
本発明に係るベーストレッド用ゴム組成物に用いられる無機補強剤(C)としては、上記のゴム組成物に用いられるものと同じものを用いることができる。ただし、無機補強剤(C)が少なくともカーボンブラック及びシリカを含み、無機補強剤(C)中におけるシリカの配合量が80質量%以下である。
無機補強剤(C)に用いるカーボンブラックとシリカは混合するとより加工性と低エネルギーロス性や摩耗性などの両立が可能となるので、無機補強剤(C)がカーボンブラックとシリカの混合物であることが好ましい。特に、両者の重量比がカーボンブラック/シリカが95/5〜20/80が良く、より好ましくは、90/10〜30/70、特に好ましくは60/40〜40/60である。シリカが5%より少ないと、エネルギーロスが大きくなり、80%より多いと加工性や摩耗性が悪くなる欠点がある。
使用される無機補強剤(C)の量は、加硫可能なゴム(A)100重量部に対して20〜70重量部、好ましくは30〜60重量部、さらに好ましくは35〜55重量部である。
〔ワックス(D)〕
本発明に係るベーストレッド用ゴム組成物には、タイヤ溝底の耐オゾンクラック性を保持させるためにワックスを配合することが好ましい。
ワックスの配合量は、耐オゾンクラック性が良好であるという観点から、加硫可能なゴム(A)100重量部に対して0.1重量部以上が好ましく、0.5重要部以上がより好ましく、0.8重量部以上が特に好ましい。
また、ワックスの配合量は、耐ワックスブルーミング性が良好であるという観点から、(加硫可能なゴム(A)100重量部に対して5重量部以下が好ましく、3重量部以下が特に好ましい。
ワックス(D)としては、60℃〜70℃の融点のものを使用することが特に好ましい。
ワックス(D)の具体例としては、精工化学社製のサンタイトS,R,E等、大内新興化学社製のサンノックN,Pなどが挙げられる。
〔その他の成分〕
本発明に係るベーストレッド用ゴム組成物には、その他の成分として、上記のゴム組成物に用いられるものと同じものを用いることができる。
〔物性〕
本発明に係るベーストレッド用ゴム組成物のJIS−A硬度は、55〜75が好ましく、60〜70が特に好ましい。硬度が55未満になると、操縦安定性が不安定になる傾向がある。また硬度が75以上になると破断伸びが低下する傾向を示す。
ベーストレッド用ゴム組成物の引張伸びは、350%〜600%が好ましく、400%〜550%が更に好ましい。ベーストレッド用ゴム組成物の引張伸びが350%未満であると、目的とするタイヤ溝底のクラックが成長しやすい傾向があり好ましくない。逆に、引張伸びが600%以上になると発熱性が悪くなる傾向を示す。
ベーストレッド用ゴム組成物の60℃歪2%における粘弾性の正接損失(tanδ)は、0.1以下が好ましい。0.1を超えると低燃費性を損なう傾向がある。なお、tanδが0.03未満になると、疲労性が悪化する場合がある。
チェーファー用ゴム組成物:
次に、本発明に係るチェーファー用ゴム組成物について説明する。
〔加硫可能なゴム(A)及びポリアミドエラストマー(B)〕
本発明に係るチェーファー用ゴム組成物に用いられる加硫可能なゴム(A)及びポリアミドエラストマー(B)は、上記のゴム組成物に用いられるものと同じものを用いることができる。ただし、ポリアミドエラストマー(B)の含有量は、加硫可能なゴム(A)100重量部に対し、ポリアミドエラストマー(B)1〜50重量部、好ましくは2〜40重量部、さらに好ましくは3〜30重量部である。ポリアミドエラストマー(B)の量が、加硫可能なゴム(A)100重量部に対し、1重量部より少ないと効果が発現せず、50重量部より多いと加工性が悪化するため好ましくない。加硫可能なゴム(A)は、少なくとも天然ゴム又はポリイソプレンゴムを30重量%以上含むことが好ましく、40重量%以上含むことがさらに好ましい。
本発明に係るチェーファー用ゴム組成物に用いられる加硫可能なゴム(A)は、その強度を向上させるため、SPB含有のブタジエンゴムやSPB含有天然ゴムが含まれることが好ましい。これらSPB含有のブタジエンゴムやSPB含有天然ゴムの配合量は、加硫可能なゴム(A)100重量部に対して1〜30重量部が好ましく、5〜20重量部が特に好ましい。
〔無機補強剤(C)〕
本発明に係るチェーファー用ゴム組成物に用いられる無機補強剤(C)としては、上記のゴム組成物に用いられるものと同じものを用いることができる。
使用される無機補強剤(C)の量は、加硫可能なゴム(A)100重量部に対して60〜100重量部、好ましくは60〜90重量部、さらに好ましくは65〜80重量部である。
無機補強剤に用いるカーボンブラックとシリカは混合するとより加工性と低エネルギーロス性や摩耗性などの両立が可能となるので、無機補強剤(C)がカーボンブラックとシリカの混合物であることが好ましい。特に、両者の重量比がカーボンブラック/シリカが90/10〜10/90が良く、より好ましくは、80/20〜20/80、特に好ましくは70/30〜30/70である。シリカが10%より少ないと、エネルギーロスが大きくなり、90%より多いと加工性や摩耗性が悪くなる欠点がある。
〔その他の成分〕
本発明に係るチェーファー用ゴム組成物に用いられるその他の成分としては、上記のゴム組成物に用いられるものと同じものを用いることができる。
〔物性〕
本発明に係るチェーファー用ゴム組成物のJIS−A硬度は、70以上、好ましくは75以上である。該ゴム組成物のJIS−A硬度が70未満では、ビードの十分な耐久性が得られない。また、チェーファー用ゴム組成物のJIS−A硬度は、90以下、好ましくは85以下である。該ゴム組成物のJIS−A硬度が90を超えると、ゴム組成物の伸びが低下する。
チェーファー用ゴム組成物の加硫温度は、130〜180℃とすることが好ましい。加硫温度が、130℃未満であると加硫時間が過度に長くなり、生産性が低下する。一方、加硫温度が180℃を超えると破断伸びを180%以上とすることが難しく、タイヤをリムから脱着するときにビード部のチェーファー先端の欠けが生じやすくなる。
チェーファー用ゴム組成物の破断伸びは、180%以上であり、180%〜500%が好ましく、250%〜400%が更に好ましい。チェーファー用ゴム組成物の破断伸びが180%未満であると、タイヤ溝底のクラックが成長しやすい傾向があり好ましくない。逆に、破断伸びが500%を超えると目的とする低発熱性が悪くなる傾向を示す。
チェーファー用ゴム組成物の60℃歪2%における粘弾性の正接損失(tanδ)は、0.2以下が好ましい。0.2を超えると低燃費性を損なう傾向がある。なお、tanδが0.05未満になると、疲労性が悪化する場合がある。
サイドウォール用ゴム組成物:
次に、本発明に係るサイドウォール用ゴム組成物について説明する。
〔加硫可能なゴム(A)及びポリアミドエラストマー(B)〕
本発明に係るサイドウォール用ゴム組成物に用いられる加硫可能なゴム(A)及びポリアミドエラストマー(B)は、上記のゴム組成物に用いられるものと同じものを用いることができる。ただし、ポリアミドエラストマー(B)の含有量は、加硫可能なゴム(A)100重量部に対し、ポリアミドエラストマー(B)1〜50重量部、好ましくは2〜40重量部、さらに好ましくは3〜30重量部である。ポリアミドエラストマー(B)の量が、加硫可能なゴム(A)100重量部に対し、1重量部より少ないと効果が発現せず、50重量部より多いと加工性が悪化するため好ましくない。
本発明に係るサイドウォール用ゴム組成物に用いられる加硫可能なゴム(A)は、その強度を向上させるため、SPB含有のブタジエンゴムやSPB含有天然ゴムが含まれることが好ましい。これらSPB含有のブタジエンゴムやSPB含有天然ゴムの配合量は、加硫可能なゴム(A)100重量部に対して1〜30重量部が好ましく、5〜20重量部が特に好ましい。
〔無機補強剤(C)〕
本発明に係る無機補強剤としては、上記のゴム組成物に用いられるものと同じものを用いることができる。
使用される無機補強剤(C)の量は、加硫可能なゴム(A)100重量部に対して20〜60重量部、好ましくは30〜55重量部、さらに好ましくは40〜50重量部である。
無機補強剤(C)に用いるカーボンブラックとシリカは混合するとより加工性と低エネルギーロス性や摩耗性などの両立が可能となるので、無機補強剤(C)がカーボンブラックとシリカの混合物であることが好ましい。特に、両者の重量比がカーボンブラック/シリカが90/10〜10/90が良く、より好ましくは、80/20〜20/80、特に好ましくは70/30〜30/70である。シリカが10%より少ないと、エネルギーロスが大きくなり、90%より多いと加工性や摩耗性が悪くなる欠点がある。
〔ワックス(D)〕
本発明に係るサイドウォール用ゴム組成物には、タイヤ溝底の耐オゾンクラック性を保持させるためにワックスを配合することが好ましい。
ワックスの配合量は、耐オゾンクラック性が良好であるという観点から、加硫可能なゴム(A)100重量部に対して0.1重量部以上が好ましく、0.5重量部以上がより好ましく、0.8重量部以上が特に好ましい。
また、ワックスの配合量は、耐ワックスブルーミング性が良好であるという観点から、(加硫可能なゴム(A)100重量部に対して5重量部以下が好ましく、3重量部以下が特に好ましい。
ワックス(D)としては、60℃〜70℃の融点のものを使用することが特に好ましい。
ワックス(D)の具体例としては、精工化学社製のサンタイトS,R,E等、大内新興化学社製のサンノックN,Pなどが挙げられる。
〔その他の成分〕
本発明に係るサイドウォール用ゴム組成物には、その他の成分として、上記のゴム組成物に用いられるものと同じものを用いることができる。
〔物性〕
本発明に係るサイドウォール用ゴム組成物のJIS−A硬度は、55〜75であり、60〜70が好ましい。JIS−A硬度が55未満になると、操縦安定性が不安定になる傾向がある。またJIS−A硬度が75を超えると破断伸びが低下する傾向を示す。
サイドウォール用ゴム組成物の破断伸びは、300%〜700%が好ましく、400%〜600%が更に好ましい。サイドウォール用ゴム組成物の破断伸びが300%未満であると、タイヤ溝底のクラックが成長しやすい傾向があり好ましくない。逆に、破断伸びが700%を超えると目的とする低発熱性が悪くなる傾向を示す。
サイドウォール用ゴム組成物の60℃歪2%における粘弾性の正接損失(tanδ)は、0.15以下が好ましい。0.15を超えると低燃費性を損なう傾向がある。なお、tanδが0.03未満になると、疲労性が悪化する場合がある。
〔タイヤ〕
本発明に係るタイヤは、発明で得られたベーストレッド用ゴム組成物を有することで、操縦安定性が低下することなく、転がり抵抗を低減させることが可能である。
本発明に係るタイヤは、発明で得られたチェーファー用ゴム組成物を有することで発熱性、破断伸び、硬度及び疲労性が優れ、かつそれらのバランスに優れたタイヤが得られる。
本発明に係るタイヤは、発明で得られたサイドウォール用ゴム組成物を有することで発熱性、耐チップカット性、硬度及び屈曲亀裂成長性を向上させることが可能である。
以下、実施例及び比較例を示して、本発明について具体的に説明する。実施例及び比較例において、加硫可能なゴムの物性、並びに得られたゴム組成物の配合物及び加硫物の物性は、以下のようにして測定した。
[加硫可能なゴム物性]
(1)ムーニー粘度(ML)
ムーニー粘度(ML)は、JIS−K6300に準拠し、100℃にて予熱1分測定4分の値をムーニー粘度計(島津製作所製、SMV−202)により測定した。
(2)固有粘度[η]
固有粘度[η]は、試料ゴム0.1gとトルエン100mlを三角フラスコに入れて30℃で完全溶解させ、その後、30℃に維持された恒温水槽中で、キャノンフェンスケ動粘度計に上記溶液10mlを入れ、溶液の落下時間(T)を測定し、下記式により求めた値とする。
ηsp=T/T0−1(T0:トルエンだけの落下時間)
ηsp/c=[η]+k’[η]2c
(ηsp:比粘度、k’:ハギンズ定数(0.37)、c:試料濃度(g/ml))
(3)トルエン溶液粘度(Tcp)
トルエン溶液粘度(Tcp)は、ポリマー2.28gをトルエン50mlに溶解した後、標準液として粘度計校正用標準液(JIS−Z8809)を用い、キャノンフェンスケ粘度計No.400を使用して、25℃で測定した。
(4)ミクロ構造
ミクロ構造は、赤外吸収スペクトル分析によって行った。シス740cm−1、トランス967cm−1、ビニル910cm−1の吸収強度比からミクロ構造を算出した。
(5)ηsp/c
ηsp/cは、1.2ポリブタジエン結晶繊維の分子量の目安として、0.20g/dlのo−ジクロロベンゼン溶液から135℃で還元粘度を測定した。
[配合後のゴム物性]
ムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、JIS−K6300に準拠し、100℃にて予熱1分測定4分の値をムーニー粘度計(島津製作所製、SMV−202)により測定した。数値が小さいほど粘度が低く、流動性が良好なことを示す。
ダイ・スウェルは、配合物の寸法安定性の目安として、加工性測定装置(モンサント社製、MPT)を用いて、100℃、100sec−1のせん断速度で、押出時の配合物の断面積とダイオリフィス断面積(但し、L/D=1.5mm/1.5mm)の比を測定した。数値が小さいほど押出加工性が良好なことを示す。
加硫特性(t90)はJSR社製キュラストメーターIIF型を用いて、150℃で加硫トルクが90%に達するまでの時間を測定した、数値が小さいほど加硫時間が短くなることを示す。
[加硫物物性]
JIS−A硬度は、JIS−K6253に規定されている測定法に従って、タイプAデュロメーターで測定した、数値が大きいほど硬度が高いことを示す。
引張応力は、JIS−K6251に準拠して100%引張応力を測定した。数値が大きいほど引張応力が高いことを示す。
引張強度は、JIS−K6251に準拠して、破断時の引張強さを測定した。数値が大きいほど引張強度が高いことを示す。
破断伸びは、JIS−K6251に準拠して、破断時の伸びを測定した。数値が大きいほど破断伸びが大きいことを示す。
引裂強度は、JIS−K6252に準拠して測定した。数値が大きいほど引裂強度が高いことを示す。
伸張疲労性は、伸張疲労試験機(安田精機製作所製)を用いて、ダンベル状3号形(JIS−K6251)試験片の中央に0.5mmφの傷を入れ、初期歪100%、300回/分の条件で試験片が破断した回数を測定した。数値が大きいほど伸張疲労性が良好なことを示す。
発熱性は、JIS−K6265に規定されている測定方法に準じて測定した。数値が小さいほど発熱量が小さく、良好なことを示す。
損失係数(tanδ)は、RPA2000(アルファテクノロジーズ社製)を使用して、60℃、10Hz、2%歪の条件で測定した。数値が小さいほどエネルギーロスが小さく、良好なことを示す。
屈曲亀裂成長性は、JIS−K6260に準拠し、ディマーチャ屈曲試験機(上島製作所製)を用いて、試験片つかみ具の運動距離を30mmで1万回屈曲したときの亀裂長さを測定した。数値が小さいほど耐屈曲亀裂成長性が良好なことを示す。
摩耗性は、JIS−K6265に規定されているランボーン摩耗試験機を使用してスリップ率20%の条件で測定した。数値が小さいほど摩耗量が少なく、良好なことを示す。
酸素透過性は、ASTM−D3985に準じて酸素ガス透過量測定装置(モダンコントロール社製MOCON−OX−TRAN2/20)を使用して、23℃、相対湿度50%の条件で測定した。数値が小さいほど酸素透過量が少なく、ガスバリアー性が良好なことを示す。
以下、ポリエーテルポリアミドエラストマーの特性値は、次のようにして測定した。
(1)相対粘度(ηr)(0.5質量/容量%メタクレゾール溶液、25℃)
試薬特級品のm−クレゾールを溶媒として、5g/dmの濃度で、オストワルド粘度計を用いて25℃で測定した。
(2)末端カルボキシ基濃度([COOH])
重合物約1gに40ミリリットルのベンジルアルコールを加え、窒素ガス雰囲気で加熱溶解し、得られた試料溶液に指示薬としてフェノールフタレインを加えて、N/20水酸化カリウム−エタノール溶液で滴定した。
(3)末端アミノ基濃度([NH])
重合物約1gを40ミリリットルのフェノール/メタノール混合溶媒(容量比:9/1)に溶解し、得られた試料溶液に指示薬としてチモールブルーを加えて、N/20塩酸で滴定した。
(4)融点(Tm)及び結晶化温度(Tc)
Tm及びTcは、株式会社島津製作所製示差走査熱量計DSC−50を用いて窒素雰囲気下で測定した。室温から230℃まで10℃/minの速度で昇温し(昇温ファーストランと呼ぶ)、230℃で10分保持したのち、−100℃まで10℃/minの速度で降温し(降温ファーストランと呼ぶ)、次に230℃まで10℃/minの速度で昇温した(昇温セカンドランと呼ぶ)。得られたDSCチャートから降温ファーストランの発熱ピーク温度をTc、昇温セカンドランの吸熱ピーク温度をTmとした。
(5)組成
ポリエーテルポリアミドエラストマーの組成は、重トリフロロ酢酸を溶媒として、4質量%の濃度で、日本電子株式会社製JNM−EX400WB型FT−NMRを用いて、室温で測定したプロトンNMRスペクトルから各成分の組成を求めた。
(6)ショアーD硬度
ASTM D2240に準拠してショアーDを測定した。射出成形により成形した厚さ6mmのシートを用いて測定した。測定は、温度23℃で行った。
(7)機械的物性:以下に示す(i)〜(iv)の測定は、下記の試験片を射出成形により成形し、これを用いて行った。
(i)引張り試験(引張り降伏点強さ及び引張り破断伸び):ASTM D638に記載のTypeIの試験片をASTM D638準拠して測定した。
(ii)曲げ試験(曲げ弾性率及び曲げ強度):試験片寸法6.35mm×12.7mm×127mmの試験片を用いてASTM D790に準拠して測定した。
(iii)衝撃強さ(アイゾットノッチ付):試験片寸法12.7mm×12.7mm×63.5mmの試験片を用いてASTM D256に準拠し、23℃で測定した。
(iv)荷重たわみ温度:試験片寸法6.35mm×12.7mm×127mmの試験片を用いてASTM D648に準拠し、荷重0.45MPaで測定した。
製造例1(PAE1の製造)
撹拌機、温度計、トルクメーター、圧力計、窒素ガス導入口、圧力調整装置及びポリマー取り出し口を備えた70リットルの圧力容器に宇部興産(株)製12−アミノドデカン酸8.000kg、ABA型のトリブロックポリエーテルジアミン(HUNTSMAN社製、商品名:XTJ−542)10.471kg及びアジピン酸1.529kgを仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを流速300リットル/分で供給しながら徐々に加熱を行った。3時間かけて室温から230℃まで昇温し、230℃で8時間重合を行った。加熱を始めてから容器内の圧力は0.05MPaに調整した。次に、撹拌を停止し、ポリマー取り出し口から溶融状態の無色透明のポリマーを紐状に抜き出し、水冷した後、ペレタイズして、約12kgのペレットを得た。得られたペレットは白色強靱でゴム弾性に富む柔軟なポリマーであり、ηr=2.16、[COOH]=1.28×10−5eq/g、[NH2]=1.86×10−5eq/g、Mn=63700、Tm=135℃、Tc=59℃であった。ポリマー組成はPA12/XTJ−542/AA=40.7/52.9/6.4(重量%)(ただし、PA12、XTJ−542及びAAはポリマー中の各成分を表し、PA12はナイロン12単位を、XTJ−542はABA型トリブロックポリエーテルジアミン単位を、AAはアジピン酸単位をそれぞれ表す。)であった。得られたペレットを射出成形し、各種物性測定用試料得た。得られた試料の硬度及び機械的物性は、以下のとおりである。
硬度:40,曲げ弾性率:76MPa,曲げ強度:4.3MPa,引張り降伏強度:6.3MPa,引張り破断伸び:300%以上,衝撃強さ:NB,荷重たわみ温度:48℃。
製造例2(PAE2の製造)
撹拌機、温度計、トルクメーター、圧力計、窒素ガス導入口、圧力調整装置及びポリマー取り出し口を備えた70リットルの圧力容器に宇部興産(株)製12−アミノドデカン酸11.200kg、ABA型のトリブロックポリエーテルジアミン(HUNTSMAN社製、商品名:XTJ−542)7.678kg及びアジピン酸1.121kgを仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを流速300リットル/分で供給しながら徐々に加熱を行った。3時間かけて室温から230℃まで昇温し、230℃で6時間重合を行った。加熱を始めてから容器内の圧力は0.05MPaに調整した。次に、撹拌を停止し、ポリマー取り出し口から溶融状態の無色透明のポリマーを紐状に抜き出し、水冷した後、ペレタイズして、約12kgのペレットを得た。得られたペレットは白色強靱でゴム弾性に富む柔軟なポリマーであり、ηr=2.22、[COOH]=1.61×10−5eq/g、[NH2]=2.17×10−5eq/g、Mn=52900、Tm=154℃、Tc=109℃であった。ポリマー組成はPA12/XTJ−542/AA=56.5/38.9/4.6(重量%)(ただし、PA12、XTJ−542及びAAはポリマー中の各成分を表し、PA12はナイロン12単位を、XTJ−542はABA型トリブロックポリエーテルジアミン単位を、AAはアジピン酸単位をそれぞれ表す。)であった。得られたペレットを射出成形し、各種物性測定用試料得た。得られた試料の硬度及び機械的物性は、以下のとおりである。
硬度:48,曲げ弾性率:132MPa,曲げ強度:7.2MPa,引張り降伏強度:9.2MPa,引張り破断伸び:300%以上,衝撃強さ:NB,荷重たわみ温度:73℃。
製造例3(PAE3の製造)
撹拌機、温度計、トルクメーター、圧力計、窒素ガス導入口、圧力調整装置及びポリマー取り出し口を備えた70リットルの圧力容器に宇部興産(株)製12−アミノドデカン酸14.000kg、ABA型のトリブロックポリエーテルジアミン(HUNTSMAN社製、商品名:XTJ−542)5.236kg及びアジピン酸0.764kgを仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを流速300リットル/分で供給しながら徐々に加熱を行った。3時間かけて室温から230℃まで昇温し、230℃で6.5時間重合を行った。加熱を始めてから容器内の圧力は0.05MPaに調整した。次に、撹拌を停止し、ポリマー取り出し口から溶融状態の無色透明のポリマーを紐状に抜き出し、水冷した後、ペレタイズして、約13kgのペレットを得た。得られたペレットは白色強靱でゴム弾性に富む柔軟なポリマーであり、ηr=2.05、[COOH]=2.48×10−5eq/g、[NH2]=2.82×10−5eq/g、Mn=37700、Tm=163℃、Tc=123℃であった。ポリマー組成はPA12/XTJ−542/AA=70.1/26.6/3.3(重量%)(ただし、PA12、XTJ−542及びAAはポリマー中の各成分を表し、PA12はナイロン12単位を、XTJ−542はABA型トリブロックポリエーテルジアミン単位を、AAはアジピン酸単位をそれぞれ表す。)であった。得られたペレットを射出成形し、各種物性測定用試料得た。得られた試料の硬度及び機械的物性は、以下のとおりである。
硬度:55,曲げ弾性率:232MPa,曲げ強度:11.9MPa,引張り降伏強度:14.8MPa,引張り破断伸び:300%以上,衝撃強さ:NB,荷重たわみ温度:78℃。
製造例4(ナノVCRの製造)
(A)ビニル・シスポリブタジエンの作製
窒素ガスで置換した内容1.5Lの撹拌機つきステンレス製反応槽中に重合溶液1.0L(ブタジエン;31.5wt%、2‐ブテン類;28.8wt%、シクロヘキサン;39.7wt%)を入れ、水1.7mmol、ジエチルアルミニウムクロライド2.9mmol、二硫化炭素0.3mmol、シクロオクタジエン13.0mmol、及びコバルトオクトエート0.005mmolを加え、60℃で20分間撹拌し、1,4シス重合を行った。その後、ブタジエン150ml、水1.1mmol、トリエチルアルムニウムクロライド3.5mmol、及びコバルトオクトエート0.04mmolを加え、40℃で20分間撹拌し、1,2シンジオ重合を行った。これに老化防止剤エタノール溶液を加えた。その後、未反応のブタジエン及び2‐ブテン類を蒸発除去し、収量66gで、HI;40.5%のビニル・シスポリブタジエンを得た。このうち58gのビニル・シスポリブタジエンをシクロヘキサンに溶解させ、ビニル・シスポリブタジエンスラリーを作製した。
(B)シスポリブタジエンの作製
窒素ガスで置換した内容1.5Lの撹拌機つきステンレス製反応槽中に、重合溶液1.0L(ブタジエン;31.5wt%、2‐ブテン類;28.8wt%、シクロヘキサン;39.7wt%)を入れ、水1.7mmol、ジエチルアルミニウムクロライド2.9mmol、シクロオクタジエン20.0mmol、及びコバルトオクトエート0.005mmolを加え、60℃で20分間撹拌し、1,4シス重合を行った。これに老化防止剤エタノール溶液を加えて重合を停止した。その後、未反応のブタジエン及び2‐ブテン類を蒸発除去し、ムーニー粘度29.0、トルエン溶液粘度48.3のシスポリブタジエン81gを得た。この操作を2回実施し、合わせて162gのシス−ポリブタジエンをシクロヘキサンに溶解させ、シス−ポリブタジエンシクロヘキサン溶液を作製した。
(A)+(B)混合物の試作VCRの製造
窒素ガスで置換した内容5.0Lの攪拌機つきステンレス製反応槽中に前述で述べたシスポリブタジエン162gが溶解したシス−ポリブタジエンシクロヘキサン溶液を入れ、そこに前述で述べたビニル・シスポリブタジエン58gを含むビニル・シスポリブタジエンシクロヘキサンスラリーを撹拌しながら添加した。スラリー添加後1時間撹拌した後、105℃で60分間真空乾燥して、(A)+(B)混合物であるナノVCRを220gを得た。
このナノVCRのMLは62であり、1.2ポリブタジエン結晶繊維の含有量は11.9%であった。また、1.2ポリブタジエン結晶繊維の融点は203℃、ηsp/cは1.7、平均繊維長は156nm、アスペクト比は2.8であり、結晶繊維の数は123個であった。
ηsp/cは、1.2ポリブタジエン結晶繊維の分子量の目安として、0.20g/dlのo−ジクロロベンゼン溶液から135℃で還元粘度を測定した。
1.2ポリブタジエン結晶繊維の融点及び含有量は、示差走査熱量計(島津製作所製、DSC−50)を使用し、昇温速度10℃/minで吸熱曲線を求め、そのピーク温度を融点とし、吸熱量から含有量を算出した。
結晶繊維の平均繊維長、繊維長200nm以下の結晶繊維の数、及び結晶繊維の平均アスペクト比は、次のように求めた。ビニル・シス−ポリブタジエンゴムを一塩化硫黄と二硫化炭素の混合溶液中で加硫を行い、その加硫物からウルトラミクロトーム(ライカ社製)により超薄切片を切出した。その切片を透過型電子顕微鏡(日立製作所社製H−7100FA型)で観察し、5000倍の写真を撮影した。その写真を画像解析ソフト(Win ROOF(三谷商事社製))を使用して、25μm範囲で二値化を行い、結晶繊維の繊維長さ、アスペクト比、面積を求めた。次に、平均の繊維長さ、アスペクト比を、それぞれの結晶繊維の値に面積分率を乗じて平均し、結晶繊維の平均繊維長、及び結晶繊維の平均アスペクト比とした。結晶繊維の数は繊維長200nm以下の繊維数を1.2ポリブタジエン結晶繊維含有量1質量%当たりで計算して求めた。
〔ゴム組成物〕
実施例1〜5及び比較例1〜2
次に、実施例1〜5及び比較例1〜2について説明する。表1に示す配合処方のうち、加硫促進剤、硫黄を除くBR150(ML=43,Tcp=75)とPAE及び配合剤を1.7リットルの試験用バンバリーミキサーを使用してスタート温度90℃で5分間混練し、一次混練物を得た。この際、最高混練温度は170℃〜180℃であった。次いで、一次混練物を60℃の10インチロール上で加硫促進剤、硫黄を混練し、二次混練物を得た。得られた二次混練物のダイスウェル及び加硫特性(t90)を測定した。次に、二次混練物を金型に入れて150℃で(t90×3)分間プレス加硫を行い、加硫物を得た。得られた加硫物の物性を測定し、結果はまとめて比較例1を100として指数で表1に示した。なお、表中に示した記号は、以下のすべての表において共通であり、以下のものを示す。
(*1)宇部興産社製 ハイシスポリブタジエンゴム
(*2)宇部興産社製 UBESTA XPA9040X1(融点135℃,硬度40)
(*3)宇部興産社製 UBESTA XPA9048X1(融点154℃,硬度48)
(*4)宇部興産社製 UBESTA XPA9055X1(融点163℃,硬度55)
(*5)宇部興産社製 UBESTA XPA9068X1(融点181℃,硬度68)
(*6)三菱化学社製 ダイアブラックH
(*7)宇部興産社製 ハイシスポリブタジエンゴム
(*8)東ソー・シリカ社製 NipsilAQ
(*9)デグサ社製 シランカップリング剤
(*10)宇部興産社製 補強ポリブタジエンゴム
(*11)製造例4で製造されたナノVCR
(*12)ARKMA社製 PEBAX 5533(融点159℃,硬度55)
(*13)精工化学社製サンタイトS
表1から、実施例1〜5のゴム組成物は、比較例1比べて、加硫特性や加工性(ダイスウェル小)が優れ、高弾性で引張強度が大きく、発熱性や伸長疲労性、ガスバリアー性に優れていることが分かる。また、比較例2で使用したPAEは融点が高いため、混練中に溶融分散せずペレット状のままで残っていた。
Figure 2014062259

実施例6〜10及び比較例3〜5
次に、実施例6〜10及び比較例3〜5について説明する。表2に示す配合処方のうち、加硫促進剤、硫黄を除くBR150L(ML=43,Tcp=105)とNRとPAE及び配合剤を1.7リットルの試験用バンバリーミキサーを使用してスタート温度90℃で5分間混練し、一次混練物を得た。この際、最高混練温度は170℃〜180℃であった。次いで、一次混練物を60℃の10インチロール上で加硫促進剤、硫黄を混練し、二次混練物を得た。得られた二次混練物のダイスウェル及び加硫特性(t90)を測定した。次に、二次混練物を金型に入れて150℃で(t90×3)分間プレス加硫を行い、加硫物を得た。得られた加硫物の物性を測定し、結果はまとめて比較例3を100として指数で表2に示した。
表2から、ポリアミドエラストマーを配合した実施例は比較例に比して各物性がバランス良く向上していることが分かる。
Figure 2014062259

実施例11〜16及び比較例6〜8
次に、実施例11〜16及び比較例6〜8について説明する。表3に示す配合処方のうち、加硫促進剤、硫黄を除くBR150L(ML=43,Tcp=105)とNRとPAE及び配合剤を1.7リットルの試験用バンバリーミキサーを使用してスタート温度90℃で5分間混練し、一次混練物を得た。この際、最高混練温度は170℃〜180℃であった。次いで、一次混練物を60℃の10インチロール上で加硫促進剤、硫黄を混練し、二次混練物を得た。得られた二次混練物のダイスウェル及び加硫特性(t90)を測定した。次に、二次混練物を金型に入れて150℃で(t90×3)分間プレス加硫を行い、加硫物を得た。得られた加硫物の物性を測定し、結果はまとめて比較例6を100として指数で表3に示した。
表3から、ポリアミドエラストマーを適正量配合すると、各物性がバランス良く向上することが分かる。ポリアミドエラストマー配合量が少ない比較例6及び7は、その効果が認められず、配合量の多い比較例8はバンバリーミキサーよりバラバラの状態で排出され、ロールでの二次配合ができなかった。
Figure 2014062259

実施例17〜21及び比較例9
次に、実施例17〜21及び比較例9について説明する。表4に示す配合処方のうち、加硫促進剤、硫黄を除くVCR又はBR150L(ML=43,Tcp=105)とNRとPAE及び配合剤を1.7リットルの試験用バンバリーミキサーを使用してスタート温度90℃で5分間混練し、一次混練物を得た。この際、最高混練温度は170℃〜180℃であった。次いで、一次混練物を60℃の10インチロール上で加硫促進剤、硫黄を混練し、二次混練物を得た。得られた二次混練物のダイスウェル及び加硫特性(t90)を測定した。次に、二次混練物を金型に入れて150℃で(t90×3)分間プレス加硫を行い、加硫物を得た。得られた加硫物の物性を測定し、結果はまとめて比較例9を100として指数で表4に示した。
表4から、ポリアミドエラストマーとVCRやナノVCRとを組み合わせることにより、各物性がさらにバランス良く向上していることが分かる。
Figure 2014062259

〔ベーストレッド用ゴム組成物〕
実施例22〜25及び比較例10〜11
次に、実施例22〜25及び比較例10〜11について説明する。表5に示す配合処方のうち、加硫促進剤、硫黄を除くBR150L(ML=43,Tcp=105)とNRとPAE及び配合剤を1.7リットルの試験用バンバリーミキサーを使用してスタート温度90℃で5分間混練し、一次混練物を得た。この際、最高混練温度は170℃〜180℃であった。次いで、一次混練物を60℃の10インチロール上で加硫促進剤、硫黄を混練し、二次混練物を得た。得られた二次混練物のダイスウェル及び加硫特性(t90)を測定した。次に、二次混練物を金型に入れて150℃で(t90×3)分間プレス加硫を行い、加硫物を得た。得られた加硫物の物性を測定し、結果はまとめて比較例10を100として指数で表5に示した。
表5から、実施例22〜25のゴム組成物は、比較例10比べて、加工性が優れ(ダイスウェル小)、高弾性で引張強度、破断伸びが大きく、屈曲亀裂成長性に優れていることが分かる。また、比較例10で使用したPAEは融点が高いため、混練中に溶融分散せずペレット状のままで残っていた。
Figure 2014062259

実施例26〜30及び比較例12〜14
次に、実施例26〜30及び比較例12〜14について説明する。表6に示す配合処方のうち、加硫促進剤、硫黄を除くVCR又はナノVCRとNRとPAE及び配合剤を1.7リットルの試験用バンバリーミキサーを使用してスタート温度90℃で5分間混練し、一次混練物を得た。この際、最高混練温度は170℃〜180℃であった。次いで、一次混練物を60℃の10インチロール上で加硫促進剤、硫黄を混練し、二次混練物を得た。得られた二次混練物のダイスウェル及び加硫特性(t90)を測定した。次に、二次混練物を金型に入れて150℃で(t90×3)分間プレス加硫を行い、加硫物を得た。得られた加硫物の物性を測定し、結果はまとめて比較例12を100として指数で表6に示した。
表6から、VCRやナノVCRにポリアミドエラストマーを配合すると、各物性がバランス良く向上することが分かる。また、無機補強剤(カーボンブラック及びシリカ)の配合量が少ない比較例13は、硬度や引張強度が充分ではなく、配合量の多い比較例14は、発熱性や屈曲亀裂成長が劣っていることが分かる。
Figure 2014062259

〔チェーファー用ゴム組成物〕
実施例31〜34及び比較例15〜16
次に、実施例31〜34及び比較例15〜16について説明する。表7に示す配合処方のうち、加硫促進剤、硫黄を除くVCRとNRとPAE及び配合剤を1.7リットルの試験用バンバリーミキサーを使用してスタート温度90℃で5分間混練し、一次混練物を得た。この際、最高混練温度は170℃〜180℃であった。次いで、一次混練物を60℃の10インチロール上で加硫促進剤、硫黄を混練し、二次混練物を得た。得られた二次混練物のダイスウェル及び加硫特性(t90)を測定した。次に、二次混練物を金型に入れて150℃で(t90×3)分間プレス加硫を行い、加硫物を得た。得られた加硫物の物性を測定し、結果はまとめて表7に示した。
表7から、実施例31〜34のゴム組成物は、比較例15比べて、加工性が優れ(ダイスウェル小)、高硬度で破断伸びが大きく、屈曲亀裂成長性に優れていることが分かる。また、比較例16で使用したPAEは融点が高いため、混練中に溶融分散せずペレット状のままで残っていた。
Figure 2014062259

実施例35〜38及び比較例17〜19
次に、実施例35〜38及び比較例17〜19について説明する。表8に示す配合処方のうち、加硫促進剤、硫黄を除くVCR又はBR150L(ML=43,Tcp=105)とNRとPAE及び配合剤を1.7リットルの試験用バンバリーミキサーを使用してスタート温度90℃で5分間混練し、一次混練物を得た。この際、最高混練温度は170℃〜180℃であった。次いで、一次混練物を60℃の10インチロール上で加硫促進剤、硫黄を混練し、二次混練物を得た。得られた二次混練物のダイスウェル及び加硫特性(t90)を測定した。次に、二次混練物を金型に入れて150℃で(t90×3)分間プレス加硫を行い、加硫物を得た。得られた加硫物の物性を測定し、結果はまとめて表8に示した。
表8から、ポリアミドエラストマーを配合すると、各物性がバランス良く向上することが分かる。また、無機補強剤の配合量が少ない比較例18は、硬度が充分ではなく、配合量が多い比較例19は、バンバリーミキサーよりバラバラの状態で排出され、ロールでの二次配合ができなかった。
Figure 2014062259

〔サイドウォール用ゴム組成物〕
実施例39〜42及び比較例20〜21
次に、実施例39〜42及び比較例20〜21について説明する。表9に示す配合処方のうち、加硫促進剤、硫黄を除くBR150(ML=43,Tcp=75)とNRとPAE及び配合剤を1.7リットルの試験用バンバリーミキサーを使用してスタート温度90℃で5分間混練し、一次混練物を得た。この際、最高混練温度は170℃〜180℃であった。次いで、一次混練物を60℃の10インチロール上で加硫促進剤、硫黄を混練し、二次混練物を得た。得られた二次混練物のダイスウェル及び加硫特性(t90)を測定した。次に、二次混練物を金型に入れて150℃で(t90×3)分間プレス加硫を行い、加硫物を得た。得られた加硫物の物性を測定し、結果はまとめて表9に示した。
表9から、実施例39〜42のゴム組成物は、比較例20比べて加工性が優れ(ダイスウェル小)、高弾性で引張強度、破断伸びが大きく、屈曲亀裂成長性に優れていることが分かる。また、比較例21で使用したPAEは融点が高いため、混練中に溶融分散せずペレット状のままで残っていた。
Figure 2014062259

実施例43〜48及び比較例22〜24
次に、実施例43〜48及び比較例22〜24について説明する。表10に示す配合処方のうち、加硫促進剤、硫黄を除くVCR又はBR150L(ML=43,Tcp=105)とNRとPAE及び配合剤を1.7リットルの試験用バンバリーミキサーを使用してスタート温度90℃で5分間混練し、一次混練物を得た。この際、最高混練温度は170℃〜180℃であった。次いで、一次混練物を60℃の10インチロール上で加硫促進剤、硫黄を混練し、二次混練物を得た。得られた二次混練物のダイスウェル及び加硫特性(t90)を測定した。次に、二次混練物を金型に入れて150℃で(t90×3)分間プレス加硫を行い、加硫物を得た。得られた加硫物の物性を測定し、結果はまとめて表10に示した。
表10から、ポリアミドエラストマーとVCRやナノVCRを組み合わせることにより、各物性がさらにバランス良く向上していることが分かる。また、無機補強剤の配合量が少ない比較例23は、硬度、引張強度、及び破断伸びが充分ではなく、配合量が多い比較例24は、発熱性や屈曲亀裂成長が劣っていることが分かる。
Figure 2014062259
本発明は、加硫可能なゴム、融点が100〜180℃のポリアミドエラストマー及び無機補強剤を含むゴム組成物、ベーストレッド用ゴム組成物、チェーファー用ゴム組成物、及びサイドウォール用ゴム組成物に関する。
近年、世界的に希求されている環境に対する配慮から、自動車の低燃費化、特にタイヤの低燃費化技術が注目されている。一般的には、ポリマーを拘束する補強剤を減量させ、ゴムのヒステリシスを低減させることで、タイヤの低燃費化を行っている。しかしながら、補強剤の減量はタイヤの補強性を低減させるだけでなく、硬さも低下してしまう問題が生じていた。
そこで、架橋剤を増量させることでゴムのヒステリシスを低減させる方法もあるが、ゴム自体が脆くなってしまい、亀裂成長性が促進するなどの問題があり、更なる改善が求められている。
また、上述した問題点を解決するために、補強剤を減量しても補強性が低減せず、ゴム自体の補強性を向上させることが必要である。その方策として、特許文献1には、ブタジエンゴムを補強性の高いシンジオタクチックポリブタジエンに変更を使用することで、補強剤を低減しても、補強効果を維持することが記されている。しかし、シンジオタクチックポリブタジエンを使用した方法では、目標とする低燃費性や破断伸び、硬さバランスなどを総合的に向上させることは困難であった。
特許文献2にはゴムに微細化(あるいは短繊維化)した熱可塑性ポリアミドとシリカ粒子を配合し、OA機器のロールの耐摩耗性を改良したゴム組成物が開示されている。また、特許文献3には天然ゴム等にポリアミドエラストマーと微粒子カーボンブラックを配合することで、高弾性率で振動エネルギーを効率良く吸収する免震積層体用ゴム組成物が開示されている。
特開2006−124503号公報 特開平7−224189号公報 特開平10−237221号公報
しかしながら、一般にゴムに樹脂や繊維を配合すると高弾性化するものの引張強度の低下や発熱性、疲労性が悪化するという問題がある。また、いずれの技術に関しても、所望の効果は得られるものの、引張強度等が低下する問題があり、タイヤ用部材等、特にベーストレッドに用いる場合には、より実用性の高いものが求められている。
さらに、タイヤの中でも特にトラックやバスなどの重荷重用タイヤのベルト部やリムと接触するビード部の耐久性には不十分であり、特にビード部は十分な耐久性が必要とされている。また、ビード部の変形を抑制する目的として、リムとビード部との間らは硬質ゴム部としてチェーファーが配合されているが、硬度や破断伸びなどの点で十分なものではなかった。
さらに、タイヤの中でも特にトラックやバスなどの重荷重用タイヤのサイドウォールゴムについては、従来より屈曲亀裂成長性や硬度などの問題が残り、より実用性の高いものが求められていた。
そこで、本発明は、高弾性で、引張強度が高く、発熱性及び疲労性の優れたゴム組成物を提供することを第一の目的とする。
また、本発明は、高弾性で、引張強度、破断伸びが大きく、発熱性及び疲労性が優れ、かつそれらのバランスに優れたベーストレッド用ゴム組成物、ベーストレッド、及びそれを含むタイヤを提供することを第二の目的とする。
さらに、本発明は、発熱性、破断伸び、硬度及び疲労性が優れ、かつそれらのバランスに優れたチェーファー用ゴム組成物、チェーファー、及びそれを含むタイヤを提供することを第三の目的とする。
またさらに、本発明は、発熱性、耐チップカット性、硬度、疲労性および屈曲亀裂成長性が優れ、かつそれらのバランスに優れたサイドウォール用ゴム組成物、サイドウォール、及びそれを含むタイヤを提供することを第四の目的とする。
以上の第一の目的を達成するために、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、加硫可能なゴム(A)100重量部に対し、融点が100〜180℃のポリアミドエラストマー(B)0.1〜50重量部と無機補強剤(C)1〜100重量部を含有することによって、高弾性で、引張強度が高く、発熱性及び疲労性の優れたゴム組成物を得ることができることを見出した。
すなわち、本発明は、加硫可能なゴム(A)100重量部に対し、融点が100〜180℃のポリアミドエラストマー(B)0.1〜50重量部と無機補強剤(C)1〜100重量部を含有することを特徴とするゴム組成物である。
また、以上の第二の目的を達成するために、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、加硫可能なゴム(A)100重量部に対し、融点が100〜180℃のポリアミドエラストマー(B)1〜50重量部と無機補強剤(C)20〜70質量部を含有し、前記無機補強剤(C)が少なくともカーボンブラック及びシリカを含み、無機補強剤(C)中におけるシリカの配合量が80質量%以下であることによって、高弾性で、引張強度、破断伸びが大きく、発熱性及び疲労性が優れ、かつそれらのバランスに優れたベーストレッド用ゴム組成物を得ることができることを見出した。
すなわち、本発明は、加硫可能なゴム(A)100重量部に対し、融点が100〜180℃のポリアミドエラストマー(B)1〜50重量部と無機補強剤(C)20〜70質量部を含有し、前記無機補強剤(C)が少なくともカーボンブラック及びシリカを含み、無機補強剤(C)中におけるシリカの配合量が80質量%以下であること特徴とするベーストレッド用ゴム組成物である。また、本発明は、前記ベーストレッド用ゴム組成物を含むベーストレッドである。さらに、本発明は、前記ベーストレッドを有する乗用車用タイヤ及びスタッドレスタイヤ等のタイヤである。
さらに、以上の第三の目的を達成するために、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、加硫可能なゴム(A)100重量部に対し、融点が100〜180℃のポリアミドエラストマー(B)1〜50重量部と無機補強剤(C)60〜100重量部を含有し、JIS−A硬度が70〜90及び引張試験における破断伸びが180%以上であることによって、発熱性、破断伸び、硬さ及び疲労性が優れ、かつそれらのバランスに優れたチェーファー用ゴム組成物を得ることができることを見出した。
すなわち、本発明は、加硫可能なゴム(A)100重量部に対し、融点が100〜180℃のポリアミドエラストマー(B)1〜50重量部と無機補強剤(C)60〜100重量部を含有し、JIS−A硬度が70〜90及び引張試験における破断伸びが180%以上であるチェーファー用ゴム組成物である。また、本発明は、前記チェーファー用ゴム組成物を含むチェーファーである。さらに、本発明は、前記チェーファーを有する乗用車用タイヤ及びスタッドレスタイヤ等のタイヤである。
またさらに、以上の第四の目的を達成するために、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、加硫可能なゴム(A)100重量部に対し、融点が100〜180℃のポリアミドエラストマー(B)1〜50重量部と無機補強剤(C)20〜60重量部含有し、JIS−A硬度が55〜75であることによって、発熱性、耐チップカット性、硬さ、疲労性および屈曲亀裂成長性が優れ、かつそれらのバランスに優れたサイドウォール用ゴム組成物を得ることができることを見出した。
すなわち、本発明は、加硫可能なゴム(A)100重量部に対し、融点が100〜180℃のポリアミドエラストマー(B)1〜50重量部と無機補強剤(C)20〜60重量部含有し、JIS−A硬度が55〜75であることを特徴とするサイドウォール用ゴム組成物である。また、本発明は、前記サイドウォール用ゴム組成物を含むサイドウォールである。さらに、本発明は、前記サイドウォールを有する乗用車用タイヤ及びスタッドレスタイヤ等のタイヤである。
以上のように、本発明によれば、高弾性で、引張強度が高く、発熱性及び疲労性の優れたゴム組成物を提供することができる。
また、本発明は、高弾性で、引張強度、破断伸びが大きく、発熱性及び疲労性が優れ、かつそれらのバランスに優れたベーストレッド用ゴム組成物、ベーストレッド、及びそれを含むタイヤを提供することができる。
さらに、本発明は、発熱性、破断伸び、硬度及び疲労性が優れ、かつそれらのバランスに優れたチェーファー用ゴム組成物、チェーファー、及びそれを含むタイヤを提供することができる。
またさらに、本発明は、発熱性、耐チップカット性、硬度、疲労性および屈曲亀裂成長性が優れ、かつそれらのバランスに優れたサイドウォール用ゴム組成物、サイドウォール、及びそれを含むタイヤを提供することができる。
ゴム組成物:
次に、本発明に係るゴム組成物について説明する。
〔加硫可能なゴム(A)〕
本発明に係るゴム組成物に用いられる加硫可能なゴムとしては、特に制限なく、公知のものを使用することができ、好ましくは、ジエン系ゴムを使用することができる。例えば、天然ゴム、ブタジエンゴム(BR)、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン(SPB)含有のブタジエンゴム、SPB含有の天然ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、及びクロロプレンゴムなどのジエン系単量体の重合体;アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ニトリルクロロプレンゴム、及びニトリルイソプレンゴムなどのアクリロニトリル−ジエン共重合ゴム;スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンクロロプレンゴム、及びスチレンイソプレンゴムなどのスチレン−ジエン共重合ゴム;並びに、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)などが挙げられる。この中で、ブタジエンゴム、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン含有のブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、天然ゴム、及びイソプレンゴムが好ましい。これらは単独で、または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン含有のブタジエンゴムは、1,3−ブタジエンをシンジオタクチック−1,2重合したもの(SPB)と1,3−ブタジエンをシス−1,4重合したものを混合して得ることができる(例えば、特公平3−63566号)。
SPB含有のブタジエンゴムの中でも特に好ましいのは、結晶繊維の長軸長さの平均が200nm以下の結晶繊維が25μm当たり90以上であり、かつ融点が170℃以上である特定のシンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン結晶繊維1〜30質量%、シス−ポリブタジエンゴム99〜70質量%、及び繰り返し単位当たり少なくとも1個の不飽和二重結合を有する不飽和高分子物質0〜20質量%からなるビニル・シス−ポリブタジエンゴムである(例えば、WO2006−54808)。
また、加硫可能なゴム(A)には、加硫剤、加硫促進剤を添加することができる。加硫剤としては、硫黄、加熱により硫黄を生成させる化合物、有機過酸化物、酸化マグネシウム等の金属酸化物、多官能性モノマー、及びシラノール化合物等が挙げられる。加熱により硫黄を生成させる化合物としては、テトラメチルチウラムジスルフィド、及びテトラエチルチウラムジスルフィド等が挙げられる。
加硫促進剤としては、例えばアルデヒド類、アンモニア類、アミン類、グアニジン類、チオウレア類、チアゾール類、チウラム類、ジチオカーバメイト類、及びキサンテート類等が挙げられ、より具体的には、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(OBS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(CBS)、ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジンクジ−n−ブチルジチオカーバイト(ZnBDC)、及びジンクジメチルジチオカーバイト(ZnMDC)等が挙げられる。
その他、必要に応じて、老化防止剤、充填剤、プロセスオイル、亜鉛華、ステアリン酸等、通常ゴム組成物に用いられる公知の添加剤を配合することができる。
老化防止剤としては、アミン・ケトン系、イミダゾール系、アミン系、フェノール系、硫黄系及び燐系等の老化防止剤が挙げられる。より具体的には、老化防止剤としてはフェノール系の2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、リン系のトリノニルフェニルフォスファイト(TNP)、硫黄系の4.6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、及びジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート(TPL)等が挙げられる。
充填剤としては、炭酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、クレー、リサージュ、及び珪藻土等の無機充填剤、再生ゴム、及び粉末ゴム等の有磯充填剤が挙げられ、プロセスオイルとしては、アロマティック系、ナフテン系、及びパラフィン系のプロセスオイルが挙げられる。
〔ポリアミドエラストマー(B)〕
本発明に係るゴム組成物に用いられる融点が100〜180℃のポリアミドエラストマー(B)は、ハードセグメントはポリアミドであり、ソフトセグメントはポリエーテルやポリエステルを用いたマルチブロックコポリマーである。ソフトセグメントは、ポリエーテルが好ましい。アミド成分はナイロン6,66,610,11,12などであり、ポリエーテルの代表例はジオールポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリ(オキシプロピレン)グリコールなどであり、ポリエステルの代表例はポリ(エチレンアジペート)グリコール、ポリ(ブチレン−1,4アジペート)グリコールなどである。このようなポリアミドエラストマー(B)としては、特許第4123475号に記載のポリエーテルポリアミドエラストマーや、特公昭56−45419号に記載のポリエーテル・エステル・アミドブロックコポリマーが挙げられる。
融点が100℃より低いポリアミドエラストマーを用いると、耐熱性の点で劣るため好ましくなく、融点が180℃より高いとゴムとの混練り時に溶融分散しないため好ましくない。
本発明に用いられるポリアミドエラストマー(B)の融点は、100℃〜180℃であるが、120℃〜170℃がより好ましい。融点は、例えば、ハードセグメントとソフトセグメントとの割合により調整することができる。
本発明に用いられるポリアミドエラストマー(B)の硬度(ショアーD)は、30〜65であることが好ましく、35〜60であることがさらに好ましい。硬度は、例えば、ハードセグメントとソフトセグメントとの割合により調整することができる。
さらに、本発明においてポリアミドエラストマー(B)の量は、加硫可能なゴム(A)100重量部に対し、0.1〜50重量部、好ましくは0.2〜40重量部、より好ましくは0.3〜30重量部、特に好ましくは0.5〜20重量部である。ポリアミドエラストマーの量が、加硫可能なゴム(A)100重量部に対し、0.1重量部より少ないと効果が発現せず、50重量部より多いと加工性が悪化するため好ましくない。
ポリアミドエラストマー(B)としては、特に、ポリアミド形成性モノマー[即ち、アミノカルボン酸化合物(D1)及び/又はラクタム化合物(D2)]、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物(E)(Yはポリオキシブチレンである)、及びジカルボン酸(F)を重合して得られるポリエーテルポリアミドエラストマーが好ましい。
前記ポリエーテルポリアミドエラストマーにおいて、ポリアミド形成性モノマー、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン(E)、及びジカルボン酸(F)に含まれる末端のカルボン酸又はカルボキシ基と、末端のアミノ基とがほぼ等モルになるような割合が好ましい。
特に、ポリアミド形成性モノマーの一方の末端がアミノ基で、他方の末端がカルボン酸又はカルボキシ基の場合、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン(E)及びジカルボン酸(F)は、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン(E)のアミノ基とジカルボン酸(F)のカルボキシ基がほぼ等モルになるような割合とするのが好ましい。
〔アミノカルボン酸化合物(D1)及びラクタム化合物(D2)〕
次に、アミノカルボン酸化合物(D1)及びラクタム化合物(D2)について説明する。本発明に使用するアミノカルボン酸化合物(D1)は、下記式(1)で表される化合物である。
N−R−COOH (1)
ここで、Rは炭化水素鎖を含む連結基を表わし、炭素数2〜20の脂肪族、脂環族若しくは芳香族の炭化水素基又は炭素数2〜20のアルキレン基であることが好ましく、さらに好ましくは炭素数3〜18の上記炭化水素基又は炭素数3〜18のアルキレン基であり、より好ましくは炭素数4〜15の上記炭化水素基又は炭素数4〜15のアルキレン基であり、特に好ましくは炭素数10〜15の上記炭化水素基又は炭素数10〜15アルキレン基を示す。
本発明に使用するラクタム化合物(D2)は、下記式(2)で表される化合物である。ここで、Rは炭化水素鎖を含む連結基を表わし、炭素数3〜20の脂肪族、脂環族若しくは芳香族の炭化水素基又は炭素数3〜20のアルキレン基であることが好ましく、さらに好ましくは炭素数3〜18の上記炭化水素基又は炭素数3〜18のアルキレン基であり、さらに好ましくは炭素数4〜15の上記炭化水素基又は炭素数4〜15のアルキレン基であり、特に好ましくは炭素数10〜15の上記炭化水素基又は炭素数10〜15のアルキレン基を示す。
Figure 2014062259
アミノカルボン酸化合物(D1)及びラクタム化合物(D2)としては、ω−アミノカルボン酸、ラクタム、又はジアミンとジカルボン酸から合成されるもの及びそれらの塩から選ばれる少なくとも一種の脂肪族、脂環族及び/又は芳香族を含むポリアミド形成性モノマーが使用される。
ω−アミノカルボン酸の具体例としては、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸、10−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸、及び12−アミノドデカン酸などの炭素数5〜20の脂肪族ω−アミノカルボン酸などを挙げることができる。
ラクタムの具体例としては、ε−カプロラクタム、ω−エナントラクタム、ω−ウンデカラクタム、ω−ドデカラクタム、及び2−ピロリドンなどの炭素数5〜20の脂肪族ラクタムなどを挙げることができる。
ジアミンとジカルボン酸から合成されるもの及びそれらの塩において、ジアミンとしては、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン及び芳香族ジアミン、又はこれらの誘導体から選ばれる少なくとも一種のジアミン化合物などを挙げることができる。ジカルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸、又はこれらの誘導体から選ばれる少なくとも一種のジカルボン酸化合物などを挙げることができる。特に、脂肪族ジアミン化合物と脂肪族ジカルボン酸化合物との組合せを使用することにより、低比重で、引張り伸びが大きく、耐衝撃性に優れ、溶融成形性が良好なポリエーテルポリアミドエラストマーを得ることができる。
ジアミンとジカルボン酸とのモル比(ジアミン/ジカルボン酸)は、0.9〜1.1の範囲が好ましく、0.93〜1.07の範囲がさらに好ましく、0.95〜1.05の範囲がより好ましく、0.97〜1.03の範囲が特に好ましい。このモル比が上記範囲内にあれば、高分子量化が容易となる。
上記のジアミンの具体例としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、及び3−メチルペンタメチレンジアミンなどの炭素数2〜20の脂肪族ジアミンなどのジアミン化合物を挙げることができる。
ジカルボン酸の具体例としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、及びドデカン二酸のような炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸などのジカルボン酸化合物を挙げることができる。
〔XYX型トリブロックポリエーテルジアミン(E)〕
XYX型トリブロックポリエーテルジアミン(E)は、下記式(3)で表される化合物であり、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコールなどの両末端にプロピレンオキシドを付加することによりポリプロピレングリコールとした後、このポリプロピレングリコールの末端にアンモニアなどを反応させることによって製造されるポリエーテルジアミンなどを用いることができる。
Figure 2014062259
上記式(3)において、x及びzは1〜20、好ましくは1〜18、さらに好ましくは1〜16、より好ましくは1〜14、特に好ましいのは1〜12であり、yは4〜50、好ましくは5〜45、さらに好ましくは6〜40、より好ましくは7〜35、特に好ましいのは8〜30である。またx、y及びzの組合せとしては、xが2〜6の範囲、yが6〜12の範囲、zが1〜5の範囲の組合せ、あるいはxが2〜10の範囲、yが13〜28の範囲、zが1〜9の範囲の組合せなどを好ましく例示することができる。
XYX型トリブロックポリエーテルジアミン(E)において、x及びzがそれぞれ上記の範囲より小さい場合には、得られるエラストマーの透明性が劣るため好ましくなく、yが上記範囲より小さい場合には、ゴム弾性が低くなるので好ましくない。また、x及びzが上記範囲より大きい場合又は、yが上記範囲より大きい場合、ポリアミド成分との相溶性が低くなり強靭なエラストマーが得られにくいため好ましくない。
XYX型トリブロックポリエーテルジアミン(E)の具体例としては、米国HUNTSMAN社製XTJ−533(一般式(3)において、xがおよそ12、yがおよそ11、zがおよそ11)、XTJ−536(一般式(3)において、xがおよそ8.5、yがおよそ17、zがおよそ7.5)、そしてXTJ−542(一般式(3)において、xがおよそ3、yがおよそ9、zがおよそ2)などを挙げることができる。
また、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン(E)として、XYX−1(一般式(3)において、xがおよそ3、yがおよそ14、zがおよそ2)、XYX−2(一般式(3)において、xがおよそ5、yがおよそ14、zがおよそ4)、そしてXYX−3(一般式(3)において、xがおよそ3、yがおよそ19、zがおよそ2)なども挙げることができる。
〔ジカルボン酸化合物(F)〕
本発明に使用するジカルボン酸化合物(F)は、下記式(4)で表される化合物である。
HOOC−(R−COOH (4)
ここで、Rは、炭化水素鎖を含む連結基を表わし、炭素数1〜20の脂肪族、脂環族若しくは芳香族の炭化水素基又は炭素数1〜20のアルキレン基であることが好ましく、さらに好ましくは炭素数1〜15の上記炭化水素基又は炭素数1〜15のアルキレン基であり、より好ましくは炭素数2〜12の上記炭化水素基又は炭素数2〜12のアルキレン基であり、特に好ましくは炭素数4〜10の上記炭化水素基又は炭素数4〜10のアルキレン基を示すものである。また、mは0又は1を示す。
ジカルボン酸化合物(F)としては、脂肪族、脂環族及び芳香族ジカルボン酸から選ばれる少なくとも一種のジカルボン酸又はこれらの誘導体を用いることができる。
ジカルボン酸の具体例としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、及びドデカン二酸などの炭素数2〜25の直鎖脂肪族ジカルボン酸、又は、トリグリセリドの分留により得られる不飽和脂肪酸を二量化した炭素数14〜48の二量化脂肪族ジカルボン酸(ダイマー酸)及びこれらの水素添加物(水添ダイマー酸)などの脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、並びに、テレフタル酸、及びイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸を挙げることができる。ダイマー酸及び水添ダイマー酸としては、ユニケマ社製商品名「プリポール1004」、「プリポール1006」、「プリポール1009」、「プリポール1013」などを用いることができる。
ポリエーテルポリアミドエラストマーの全成分に対する、ポリアミド形成性モノマーの割合は、好ましくは10〜95質量%、さらに好ましくは15〜90質量%、より好ましくは15〜85質量%、特に好ましくは15〜80質量%、最も好ましくは15〜70質量である。ポリエーテルポリアミドエラストマーの全成分に対するポリアミド形成性モノマーの割合が、10質量%以上であれば、ポリアミド成分の結晶性を向上されることができ、強度、弾性率などの機械的物性を向上させることができる。95質量%以下であれば、ゴム弾性や柔軟性などのエラストマーとしての機能、性能を発現させることができる。
また、ポリエーテルポリアミドエラストマーの全成分に対する(E)化合物と(F)化合物との合計量の割合は、好ましくは5〜90質量%、さらに好ましくは10〜85質量%、より好ましくは15〜85質量%、特に好ましくは20〜85質量%、最も好ましくは30〜85質量である。
ポリエーテルポリアミドエラストマーの硬度(ショアーD)は、好ましくは30〜65の範囲、より好ましくは35〜60の範囲のものである。なお、本発明において、硬度(ショアーD)は、ASTM D2240に準拠して測定することができる。
ポリエーテルポリアミドエラストマーの曲げ弾性率は、好ましくは20〜450MPa、さらに好ましくは20〜400MPa、より好ましくは20〜350MPa、特に好ましくは20〜300MPaである。弾性率が上記範囲であることにより、特に強靭性とゴム弾性に優れるエラストマーが得られる。なお、本発明において、曲げ弾性率は、ASTM D790に準拠して測定することができる。
ポリエーテルポリアミドエラストマーの引張り降伏点強度は、好ましくは3〜25MPaの範囲、さらに好ましくは3〜22MPaの範囲、より好ましくは3〜20MPaの範囲、特に好ましくは3〜18MPaの範囲である。引張り降伏点強度が上記範囲であることにより、特に強靭性とゴム弾性に優れるエラストマーが得られる。なお、本発明において、引張り降伏点強度は、ASTM D−638に準拠して測定することができる。
ポリエーテルポリアミドエラストマーの引張り破断伸びは、300%以上が好ましく、特に600%以上が好ましい。この範囲よりも少ないと、強靭性、ゴム弾性などのエラストマーとしての性能が発現しにくくなるために好ましくない場合がある。なお、本発明において、引張り破断伸びは、ASTM D−638に準拠して測定することができる。
ポリエーテルポリアミドエラストマーの曲げ強さは、好ましくは0.8〜15MPa、さらに好ましくは1〜13MPa、より好ましくは1.1〜10MPa、特に好ましくは1.2〜9MPaが好ましい。ポリエーテルポリアミドエラストマーの曲げ強さが、上記範囲内では、曲げ強さなどの強靭性とゴム弾性とのバランスの優れるエラストマーが得られるために好ましい。なお、本発明において、曲げ強さは、ASTM D−790に準拠して測定することができる。
ポリエーテルポリアミドエラストマーは、23℃におけるアイゾットノッチ付き衝撃強さの測定において破壊しないこと(NBと略す)が、特に耐衝撃性に優れるために好ましい。なお、本発明において、アイゾットノッチ付き衝撃強さは、ASTM D−256に準拠して測定することができる。
ポリエーテルポリアミドエラストマーの荷重たわみ温度は、50℃以上が好ましい。上記範囲内であると使用時に材料が変形しにくくなるために好ましい。なお、本発明において、荷重たわみ温度は、ASTM D−648に準拠して測定することができる。
ポリエーテルポリアミドエラストマーの相対粘度(ηr)は、1.2〜3.5(0.5質量/容量%メタクレゾール溶液、25℃)の範囲にあることが好ましい。
〔ポリエーテルポリアミドエラストマーの製造方法〕
ポリエーテルポリアミドエラストマーの製造方法として、一例を挙げると、ポリアミド形成性モノマー(即ち、アミノカルボン酸化合物(D1)及び/又はラクタム化合物(D2))、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物(E)及びジカルボン酸(F)の三成分を、加圧及び/又は常圧下で溶融重合し、必要に応じさらに減圧下で溶融重合する工程からなる方法を用いることができ、さらにポリアミド形成性モノマー、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物(E)及びジカルボン酸(F)の三成分を同時に、加圧及び/又は常圧下で溶融重合し、必要に応じさらに減圧下で溶融重合する工程からなる方法を用いることができる。なお、ポリアミド形成性モノマーとジカルボン酸(F)の二成分を先に重合させ、ついで、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物(E)を重合させる方法も利用できる。
ポリエーテルポリアミドエラストマーの製造に当たり、原料の仕込む方法に特に制限はないが、ポリアミド形成性モノマー、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物(E)及びジカルボン酸(F)の仕込み割合は、全成分に対してポリアミド形成性モノマーが好ましくは10〜95質量%、特に好ましくは15〜90質量%の範囲、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物(E)が好ましくは3〜88質量%、特に好ましくは8〜79質量%の範囲である。原料のうち、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物(E)とジカルボン酸(F)は、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物(E)のアミノ基とジカルボン酸(F)のカルボキシ基がほぼ等モルになるように仕込むことが好ましい。
重合温度は、好ましくは150〜300℃、さらに好ましくは160〜280℃、特に好ましくは180〜250℃である。重合温度が150℃以上であれば、重合反応が良好に進行し、300℃以下であれば、熱分解が抑えられ、良好な物性のポリマーを得ることができる。
ポリエーテルポリアミドエラストマーは、ポリアミド形成性モノマーとしてω−アミノカルボン酸を使用する場合、常圧溶融重合又は常圧溶融重合とそれに続く減圧溶融重合での工程からなる方法で製造することができる。
一方、ポリアミド形成性モノマーとしてラクタム、又はジアミンとジカルボン酸から合成されるもの及び/又はそれらの塩を用いる場合には、適量の水を共存させ、0.1〜5MPaの加圧下での溶融重合とそれに続く常圧溶融重合及び/又は減圧溶融重合からなる方法で製造することができる。
重合時間は、通常0.5〜30時間である。重合時間が0.5時間以上であれば、分子量を上昇させることができ、30時間以下であれば、熱分解による着色などが抑えられ、所望の物性を有するポリエーテルポリアミドエラストマーが得ることができる。
ポリエーテルポリアミドエラストマーの製造は、回分式でも、連続式でも実施することができ、またバッチ式反応釜、一槽式ないし多槽式の連続反応装置、管状連続反応装置などを単独であるいは適宜組み合わせて用いることができる。
ポリエーテルポリアミドエラストマーの製造の際に、必要に応じて分子量調節や成形加工時の溶融粘度安定のために、ラウリルアミン、ステアリルアミン、ヘキサメチレンジアミン、メタキシリレンジアミンなどのモノアミン及びジアミン、酢酸、安息香酸、ステアリン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などのモノカルボン酸、或はジカルボン酸などを添加することができる。これらの使用量は、最終的に得られるポリエーテルポリアミドエラストマーの相対粘度が1.2〜3.5(0.5質量/容量%メタクレゾール溶液、25℃)の範囲になるように適宜添加することが好ましい。
上記のモノアミン及びジアミン、モノカルボン酸及びジカルボン酸などの添加量は、得られるポリエーテルポリアミドエラストマーの特性を阻害されない範囲とするのが好ましい。
ポリエーテルポリアミドエラストマーの製造の際に、必要に応じて触媒として、リン酸、ピロリン酸、及びポリリン酸などを、また触媒と耐熱剤の両方の効果をねらって亜リン酸、次亜リン酸、及びこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などの無機系リン化合物を添加することができる。添加量は、通常、仕込み原料に対して50〜3000ppmである。
ポリアミドエラストマー(B)としては、その他に、例えば、式(5)のポリアミドエラストマーを挙げることができる。
Figure 2014062259
式()中、Aはポリアミドシークエンス、Bは直鎖又は分枝脂肪族ポリオキシアルキレングリコールシークエンスでかつアルキレン基が少なくとも2つの炭素原子を有するものであり、nは繰り返し単位を表わす整数である。式()により表わされる成形可能な及び/又は押し出し可能なポリエーテル・エステル・アミドブロックコポリマーを製造する方法は、連鎖末端にカルボン酸基を有し平均分子量が300〜15000のジカルボン酸ポリアミドと、連鎖末端に水酸基を有し平均分子量が200〜6000の直鎖又は分枝脂肪族ポリオキシアルキレングリコールと溶融状態において反応させ、かつ前記反応を、高真空下、100〜400℃の温度において、一般式Ti(OR)(ただし、Rは炭素数1〜24の直鎖又は分枝脂肪族炭化水素基である。)により表わされるテトラアルキルオルトチタン酸塩を含有する触媒を、反応混合物に対して0.01〜5重量%となる量で存在させて、行うことにより得ることができる(特公昭56−45419号)。
ポリエーテルポリアミドエラストマーは、その特性が阻害されない範囲で、耐熱剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、スリップ剤、結晶核剤、粘着性付与剤、シール性改良剤、防曇剤、離型剤、可塑剤、顔料、染料、香料、難燃剤、及び補強材などを添加することができる。
ポリエーテルポリアミドエラストマーは、吸水性が低く、溶融成形性に優れ、成形加工性に優れ、強靭性に優れ、耐屈曲疲労性に優れ、反発弾性に優れ、低比重性、低温柔軟性に優れ、低温耐衝撃性に優れ、伸長回復性に優れ、消音特性に優れ、ゴム的な性質及び透明性などに優れている。
射出成形、押出成形、ブロー成形、及び真空成形などの公知の成形方法により、ポリエーテルポリアミドエラストマーからなるシート状成形物を得ることができる。
本発明におけるポリエーテルポリアミドエラストマーは、市販品として「UBESTA XPA 9040X1、同9040F1、同9048X1、同9048F1、同9055X1、同9055F1、同9063X1、同9063F1、同9040X2、同9048X2、同9040F2、同9048F2」(宇部興産株式会社製)などを使用することができる。
ポリエーテルポリアミドエラストマーは、本発明で使用するポリエーテルポリアミドエラストマーを除くポリアミド、ポリ塩化ビニル、熱可塑性ポリウレタン、ABS樹脂などの熱可塑性樹脂との相溶性が良く、これらの熱可塑性樹脂とブレンドすることにより、これらの樹脂の成形性、耐衝撃性、弾性及び柔軟性などを改良することができる。またポリエーテルポリアミドエラストマーはガスバリア性を有しているが他の樹脂と混合することにより、さらにガスバリア性を上げることができる。またポリエーテルポリアミドエラストマーは、ゴムに添加して加硫する場合に加硫を促進する効果があり、ゴム製品の生産性向上に寄与できる。
〔無機補強剤(C)〕
本発明に係るゴム組成物に配合される無機補強剤(C)としては、各種のカーボンブラック、ホワイトカーボン、シリカ、活性化炭酸カルシウム、及び超微粒子珪酸マグネシウム等などが挙げられる。なかでも、カーボンブラック及びシリカのうち少なくとも1以上であることが好ましい。特に好ましくは、粒子径が90nm以下、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が70ml/100g以上のカーボンブラックであり、例えば、FEF、FF、GPF、SAF、ISAF、SRF、及びHAF等が用いられる。
シリカはシリカ純度が97%以上であるのが好ましい。純度97%未満のシリカはゴムの補強効果が充分ではないので、このようなシリカをブレンドしたゴム組成物は耐磨耗性が充分ではない。シリカ粒子の平均粒径は、好ましくは0.1〜50μ、さらに好ましくは1〜50μ、特に好ましくは5〜50μの範囲である。かかるシリカ粒子は、例えば完全溶融した石英ガラスを然るべき粒径になるように粉砕するなどの方法により得ることができる。又、シリカの純度が97%以上の天然石英を粉砕したものも好ましく用いられる。さらに、シラン等の有機珪素化合物を加水分解して得られた粒子も好ましく用いられる。
加硫可能なゴム(A)とシリカが良く混ざるようにするためにカップリング剤を用いてもよい。カップリング剤としては、アルキルフェノールホルムアルデヒド系樹脂初期縮合物や酸無水物、シラン系カップリング剤、及びチタネート系カップリング剤が好ましく、シランカップリング剤がさらに好ましい。
シランカップリング剤としては、アルコキシシラン類、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジエトキシジエチルシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、トリエトキシエチルシラン、トリメトキシフェニルシラン、トリメトキシプロピルシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、及びN−ドデシルトリエトキシシランである。
上記のアルコキシシランを含め、ビニル基を含むアルコキシシラン類、エステル結合を有するアルコキシシラン類、エポキシ基を有するアルコキシシラン類、アミノ基を有するアルコキシシラン類、メルカプト基を有するアルコキシシラン類、スルフィド基を有するアルコキシシラン類、クロル基を有するアルコキシシラン類、スチリル基を有するアルコキシシラン類、ウレイド基を有するアルコキシシラン類及びイソシアネート基を有するアルコキシシラン類などを用いることができる。
ビニル基を有するアルコキシシラン類としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、トリクロロビニルシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリクロロシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シランアクリロキシ基またはメタクリロキシ基を有するアルコキシシラン類、例えば、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、及び3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランである。
エステル結合を有するアルコキシシラン類としては、例えば、トリアセトキシメチルシラン、及びジアセトキシジメチルシランである。
エポキシ基を有するアルコキシシラン類としては、例えば、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、及び3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランなどがある。
アミノ基を有するアルコキシシラン類としては、例えば、3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、及びN−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルなどがある。
メルカプト基を有するアルコキシシラン類としては、例えば、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、及び3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランなどがある。
スルフィド基を有するアルコキシシラン類としては、例えば、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、及びビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどがある。
クロル基を有するアルコキシシラン類としては、例えば、クロロメチルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルジメトキシメチルシラン、3−クロロプロピルトリクロロシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルジメトキシメチルシラン、ブチルトリクロロシラン、クロロヘキシルトリクロロシラン、ドデカシルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、n−デシルトリクロロシラン、n−オクチルトリクロロシラン、n−テトラデシルトリクロロシラン、及びフェニルトリクロロシランなどがある。
スチリル基を有するアルコキシシラン類としては、例えば、p−スチリルトリメトキシシランなどがある。
ウレイド基を有するアルコキシシラン類としては、例えば、3−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどがある。
イソシアネート基を有するアルコキシシラン類としては、例えば、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、及びトリス−(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートなどがある。
シランカップリング剤は、上記化合物を複数組み合わせて使用しても良い。
使用されるシランカップリング剤の量は、加硫可能なゴム(A)100重量部に対して0.1〜100重量部が好ましく、より好ましくは1〜50重量部、特に好ましくは2〜30重量部である。
特に、アミノ基、エポキシ基を有するアルコキシシランが望ましい。
また、アミノ基を有するシランカップリング剤を使用した際、SBRのような加硫可能なゴムとポリアミド系樹脂の双方に効果があり、その結果、両者の界面が活性化されるため相溶性が増すのでより好ましい。同様にエポキシ基を有するシランカップリング剤でも同様の効果が得られる。
無機補強剤(C)に用いるカーボンブラックとシリカは混合するとより加工性と低エネルギーロス性や摩耗性などの両立が可能となるので、無機補強剤(C)がカーボンブラックとシリカの混合物であることが好ましい。特に、両者の重量比がカーボンブラック/シリカが90/10〜5/95であることが好ましく、より好ましくは、80/20〜20/80、特に好ましくは70/30〜30/70である。シリカが10%より少ないと、エネルギーロスが大きくなり、90%より多いと加工性や摩耗性が悪くなる欠点がある。
使用される無機補強剤(C)の量は、加硫可能なゴム(A)100重量部に対して1〜100重量部、好ましくは10〜80重量部、より好ましくは20〜70重量部である。
〔その他の成分〕
本発明に係るゴム組成物には、必要に応じて、加硫剤、加硫助剤、活性剤、スコーチ防止剤、老化防止剤、充填剤、プロセスオイル、亜鉛華、及びステアリン酸など、通常ゴム業界で用いられる配合剤を混練してもよい。
加硫剤としては、公知の加硫剤、例えば硫黄、有機過酸化物、樹脂加硫剤、及び酸化マグネシウムなどの金属酸化物などが用いられる。
加硫助剤としては、公知の加硫助剤、例えばアルデヒド類、アンモニア類、アミン類、グアニジン類、チオウレア類、チアゾール類、チウラム類、ジチオカーバメイト類、及びキサンテート類などが用いられる。
スコーチ防止剤(リターダー)としては、有機酸やニトロソ化合物、N−シクロヘキシルチオフタルイミド、及びスルホンアミド誘導体などが用いられる。
老化防止剤としては、アミン・ケトン系、イミダゾール系、アミン系、フェノール系、硫黄系及び燐系などが挙げられる。
充填剤としては、炭酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、クレー、リサージュ、珪藻土等の無機充填剤、再生ゴム、及び粉末ゴム等の有機充填剤が挙げられる。
プロセスオイルは、アロマティック系、ナフテン系、及びパラフィン系のいずれを用いてもよい。
〔ゴム組成物の製造〕
本発明に係るゴム組成物は、上記各成分を通常行われているバンバリー、オープンロール、ニーダー、又は二軸混練り機などを用いて混練時の最高温度がポリアミドエラストマーの融点以上となる条件で混練りすることで得られる。混練時の最高温度はポリアミドエラストマーの融点と同じ温度〜融点よりも50℃高い温度の範囲が好ましい。さらに好ましくは、融点よりも5℃高い温度〜融点よりも40℃高い温度である。混練時の最高温度はポリアミドエラストマーの融点より低いとポリアミドエラストマーが溶融分散せず、融点よりも50℃高い温度であると加硫可能なゴムが劣化する場合がある。
〔ゴム組成物の用途〕
本発明に係るゴム組成物は、高弾性で引張強度が高く、発熱性、疲労性の優れたゴム組成物に関するもので、タイヤにおけるトレッド・サイドウォール・チェーファー等のタイヤ外部部材、カーカス・ベルト・ビード、インナーライナー等のタイヤ内部部材、防振ゴム・ゴムベルト・ホース・免震ゴム・防舷材等の工業用品、紳士靴、婦人靴、及びスポーツシューズ等の履物、工業用・印刷用・OA機器用等のゴムロール、ゴルフボール・テニスボール・スポーツ床等のスポーツ用品、農耕用・フォークリフト用等のソリッドタイヤ、ゴムクローラー、キャスター、シーリング材、接着剤、ゴムシート、防水材、パッキン類、並びにスポンジ製品などにも用いる事ができる。ゴム組成物は、タイヤに用いられることが好ましい。また、後述のベーストレッド用ゴム組成物、チェーファー用ゴム組成物、及びサイドウォール用ゴム組成物であることが好ましい。
さらに、タイヤのインナーライナーに適用する場合、カーカスとインナーライナーとの接着層としてポリアミドエラストマーを使用することができる。あるいは、ガスバリア性を上げるために、インナーライナーとして、ポリアミドエラストマーに樹脂やゴム、たとえば公知の材料であるハロゲン化ブチルゴム、EVOH、低密度ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリ酢酸ビニル、非晶ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ナイロン6、ポリフッ化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコールなどを混ぜたものを使用することもでき、この場合、カーカスとインナーライナーを直接積層しても良い。
ベーストレッド用ゴム組成物:
次に、本発明に係るベースとレッド用ゴム組成物について説明する。
〔加硫可能なゴム(A)及びポリアミドエラストマー(B)〕
本発明に係るベーストレッド用ゴム組成物に用いられる加硫可能なゴム(A)及びポリアミドエラストマー(B)は、上記のゴム組成物に用いられるものと同じものを用いることができる。ただし、ポリアミドエラストマー(B)の含有量は、加硫可能なゴム(A)100重量部に対し、ポリアミドエラストマー(B)1〜50重量部、好ましくは2〜40重量部、さらに好ましくは3〜30重量部である。ポリアミドエラストマー(B)の量が、加硫可能なゴム(A)100重量部に対し、1重量部より少ないと効果が発現せず、50重量部より多いと加工性が悪化するため好ましくない。
本発明に係るベーストレッド用ゴム組成物に用いられる加硫可能なゴム(A)は、その強度を向上させるため、SPB含有のブタジエンゴムやSPB含有天然ゴムが含まれることが好ましい。これらSPB含有のブタジエンゴムやSPB含有天然ゴムの配合量は、加硫可能なゴム(A)100重量部に対して1〜30重量部が好ましく、5〜20重量部が特に好ましい。
〔無機補強剤(C)〕
本発明に係るベーストレッド用ゴム組成物に用いられる無機補強剤(C)としては、上記のゴム組成物に用いられるものと同じものを用いることができる。ただし、無機補強剤(C)が少なくともカーボンブラック及びシリカを含み、無機補強剤(C)中におけるシリカの配合量が80質量%以下である。
無機補強剤(C)に用いるカーボンブラックとシリカは混合するとより加工性と低エネルギーロス性や摩耗性などの両立が可能となるので、無機補強剤(C)がカーボンブラックとシリカの混合物であることが好ましい。特に、両者の重量比がカーボンブラック/シリカが95/5〜20/80が良く、より好ましくは、90/10〜30/70、特に好ましくは60/40〜40/60である。シリカが5%より少ないと、エネルギーロスが大きくなり、80%より多いと加工性や摩耗性が悪くなる欠点がある。
使用される無機補強剤(C)の量は、加硫可能なゴム(A)100重量部に対して20〜70重量部、好ましくは30〜60重量部、さらに好ましくは35〜55重量部である。
〔ワックス(D)〕
本発明に係るベーストレッド用ゴム組成物には、タイヤ溝底の耐オゾンクラック性を保持させるためにワックスを配合することが好ましい。
ワックスの配合量は、耐オゾンクラック性が良好であるという観点から、加硫可能なゴム(A)100重量部に対して0.1重量部以上が好ましく、0.5重要部以上がより好ましく、0.8重量部以上が特に好ましい。
また、ワックスの配合量は、耐ワックスブルーミング性が良好であるという観点から、加硫可能なゴム(A)100重量部に対して5重量部以下が好ましく、3重量部以下が特に好ましい。
ワックス(D)としては、60℃〜70℃の融点のものを使用することが特に好ましい。
ワックス(D)の具体例としては、精工化学社製のサンタイトS,R,E等、大内新興化学社製のサンノックN,Pなどが挙げられる。
〔その他の成分〕
本発明に係るベーストレッド用ゴム組成物には、その他の成分として、上記のゴム組成物に用いられるものと同じものを用いることができる。
〔物性〕
本発明に係るベーストレッド用ゴム組成物のJIS−A硬度は、55〜75が好ましく、60〜70が特に好ましい。硬度が55未満になると、操縦安定性が不安定になる傾向がある。また硬度が75以上になると破断伸びが低下する傾向を示す。
ベーストレッド用ゴム組成物の引張伸びは、350%〜600%が好ましく、400%〜550%が更に好ましい。ベーストレッド用ゴム組成物の引張伸びが350%未満であると、目的とするタイヤ溝底のクラックが成長しやすい傾向があり好ましくない。逆に、引張伸びが600%以上になると発熱性が悪くなる傾向を示す。
ベーストレッド用ゴム組成物の60℃歪2%における粘弾性の正接損失(tanδ)は、0.1以下が好ましい。0.1を超えると低燃費性を損なう傾向がある。なお、tanδが0.03未満になると、疲労性が悪化する場合がある。
チェーファー用ゴム組成物:
次に、本発明に係るチェーファー用ゴム組成物について説明する。
〔加硫可能なゴム(A)及びポリアミドエラストマー(B)〕
本発明に係るチェーファー用ゴム組成物に用いられる加硫可能なゴム(A)及びポリアミドエラストマー(B)は、上記のゴム組成物に用いられるものと同じものを用いることができる。ただし、ポリアミドエラストマー(B)の含有量は、加硫可能なゴム(A)100重量部に対し、ポリアミドエラストマー(B)1〜50重量部、好ましくは2〜40重量部、さらに好ましくは3〜30重量部である。ポリアミドエラストマー(B)の量が、加硫可能なゴム(A)100重量部に対し、1重量部より少ないと効果が発現せず、50重量部より多いと加工性が悪化するため好ましくない。加硫可能なゴム(A)は、少なくとも天然ゴム又はポリイソプレンゴムを30重量%以上含むことが好ましく、40重量%以上含むことがさらに好ましい。
本発明に係るチェーファー用ゴム組成物に用いられる加硫可能なゴム(A)は、その強度を向上させるため、SPB含有のブタジエンゴムやSPB含有天然ゴムが含まれることが好ましい。これらSPB含有のブタジエンゴムやSPB含有天然ゴムの配合量は、加硫可能なゴム(A)100重量部に対して1〜30重量部が好ましく、5〜20重量部が特に好ましい。
〔無機補強剤(C)〕
本発明に係るチェーファー用ゴム組成物に用いられる無機補強剤(C)としては、上記のゴム組成物に用いられるものと同じものを用いることができる。
使用される無機補強剤(C)の量は、加硫可能なゴム(A)100重量部に対して60〜100重量部、好ましくは60〜90重量部、さらに好ましくは65〜80重量部である。
無機補強剤に用いるカーボンブラックとシリカは混合するとより加工性と低エネルギーロス性や摩耗性などの両立が可能となるので、無機補強剤(C)がカーボンブラックとシリカの混合物であることが好ましい。特に、両者の重量比がカーボンブラック/シリカが90/10〜10/90が良く、より好ましくは、80/20〜20/80、特に好ましくは70/30〜30/70である。シリカが10%より少ないと、エネルギーロスが大きくなり、90%より多いと加工性や摩耗性が悪くなる欠点がある。
〔その他の成分〕
本発明に係るチェーファー用ゴム組成物に用いられるその他の成分としては、上記のゴム組成物に用いられるものと同じものを用いることができる。
〔物性〕
本発明に係るチェーファー用ゴム組成物のJIS−A硬度は、70以上、好ましくは75以上である。該ゴム組成物のJIS−A硬度が70未満では、ビードの十分な耐久性が得られない。また、チェーファー用ゴム組成物のJIS−A硬度は、90以下、好ましくは85以下である。該ゴム組成物のJIS−A硬度が90を超えると、ゴム組成物の伸びが低下する。
チェーファー用ゴム組成物の加硫温度は、130〜180℃とすることが好ましい。加硫温度が、130℃未満であると加硫時間が過度に長くなり、生産性が低下する。一方、加硫温度が180℃を超えると破断伸びを180%以上とすることが難しく、タイヤをリムから脱着するときにビード部のチェーファー先端の欠けが生じやすくなる。
チェーファー用ゴム組成物の破断伸びは、180%以上であり、180%〜500%が好ましく、250%〜400%が更に好ましい。チェーファー用ゴム組成物の破断伸びが180%未満であると、タイヤ溝底のクラックが成長しやすい傾向があり好ましくない。逆に、破断伸びが500%を超えると目的とする低発熱性が悪くなる傾向を示す。
チェーファー用ゴム組成物の60℃歪2%における粘弾性の正接損失(tanδ)は、0.2以下が好ましい。0.2を超えると低燃費性を損なう傾向がある。なお、tanδが0.05未満になると、疲労性が悪化する場合がある。
サイドウォール用ゴム組成物:
次に、本発明に係るサイドウォール用ゴム組成物について説明する。
〔加硫可能なゴム(A)及びポリアミドエラストマー(B)〕
本発明に係るサイドウォール用ゴム組成物に用いられる加硫可能なゴム(A)及びポリアミドエラストマー(B)は、上記のゴム組成物に用いられるものと同じものを用いることができる。ただし、ポリアミドエラストマー(B)の含有量は、加硫可能なゴム(A)100重量部に対し、ポリアミドエラストマー(B)1〜50重量部、好ましくは2〜40重量部、さらに好ましくは3〜30重量部である。ポリアミドエラストマー(B)の量が、加硫可能なゴム(A)100重量部に対し、1重量部より少ないと効果が発現せず、50重量部より多いと加工性が悪化するため好ましくない。
本発明に係るサイドウォール用ゴム組成物に用いられる加硫可能なゴム(A)は、その強度を向上させるため、SPB含有のブタジエンゴムやSPB含有天然ゴムが含まれることが好ましい。これらSPB含有のブタジエンゴムやSPB含有天然ゴムの配合量は、加硫可能なゴム(A)100重量部に対して1〜30重量部が好ましく、5〜20重量部が特に好ましい。
〔無機補強剤(C)〕
本発明に係る無機補強剤としては、上記のゴム組成物に用いられるものと同じものを用いることができる。
使用される無機補強剤(C)の量は、加硫可能なゴム(A)100重量部に対して20〜60重量部、好ましくは30〜55重量部、さらに好ましくは40〜50重量部である。
無機補強剤(C)に用いるカーボンブラックとシリカは混合するとより加工性と低エネルギーロス性や摩耗性などの両立が可能となるので、無機補強剤(C)がカーボンブラックとシリカの混合物であることが好ましい。特に、両者の重量比がカーボンブラック/シリカが90/10〜10/90が良く、より好ましくは、80/20〜20/80、特に好ましくは70/30〜30/70である。シリカが10%より少ないと、エネルギーロスが大きくなり、90%より多いと加工性や摩耗性が悪くなる欠点がある。
〔ワックス(D)〕
本発明に係るサイドウォール用ゴム組成物には、タイヤ溝底の耐オゾンクラック性を保持させるためにワックスを配合することが好ましい。
ワックスの配合量は、耐オゾンクラック性が良好であるという観点から、加硫可能なゴム(A)100重量部に対して0.1重量部以上が好ましく、0.5重量部以上がより好ましく、0.8重量部以上が特に好ましい。
また、ワックスの配合量は、耐ワックスブルーミング性が良好であるという観点から、(加硫可能なゴム(A)100重量部に対して5重量部以下が好ましく、3重量部以下が特に好ましい。
ワックス(D)としては、60℃〜70℃の融点のものを使用することが特に好ましい。
ワックス(D)の具体例としては、精工化学社製のサンタイトS,R,E等、大内新興化学社製のサンノックN,Pなどが挙げられる。
〔その他の成分〕
本発明に係るサイドウォール用ゴム組成物には、その他の成分として、上記のゴム組成物に用いられるものと同じものを用いることができる。
〔物性〕
本発明に係るサイドウォール用ゴム組成物のJIS−A硬度は、55〜75であり、60〜70が好ましい。JIS−A硬度が55未満になると、操縦安定性が不安定になる傾向がある。またJIS−A硬度が75を超えると破断伸びが低下する傾向を示す。
サイドウォール用ゴム組成物の破断伸びは、300%〜700%が好ましく、400%〜600%が更に好ましい。サイドウォール用ゴム組成物の破断伸びが300%未満であると、タイヤ溝底のクラックが成長しやすい傾向があり好ましくない。逆に、破断伸びが700%を超えると目的とする低発熱性が悪くなる傾向を示す。
サイドウォール用ゴム組成物の60℃歪2%における粘弾性の正接損失(tanδ)は、0.15以下が好ましい。0.15を超えると低燃費性を損なう傾向がある。なお、tanδが0.03未満になると、疲労性が悪化する場合がある。
〔タイヤ〕
本発明に係るタイヤは、発明で得られたベーストレッド用ゴム組成物を有することで、操縦安定性が低下することなく、転がり抵抗を低減させることが可能である。
本発明に係るタイヤは、発明で得られたチェーファー用ゴム組成物を有することで発熱性、破断伸び、硬度及び疲労性が優れ、かつそれらのバランスに優れたタイヤが得られる。
本発明に係るタイヤは、発明で得られたサイドウォール用ゴム組成物を有することで発熱性、耐チップカット性、硬度及び屈曲亀裂成長性を向上させることが可能である。
以下、実施例及び比較例を示して、本発明について具体的に説明する。実施例及び比較例において、加硫可能なゴムの物性、並びに得られたゴム組成物の配合物及び加硫物の物性は、以下のようにして測定した。
[加硫可能なゴム物性]
(1)ムーニー粘度(ML)
ムーニー粘度(ML)は、JIS−K6300に準拠し、100℃にて予熱1分測定4分の値をムーニー粘度計(島津製作所製、SMV−202)により測定した。
(2)固有粘度[η]
固有粘度[η]は、試料ゴム0.1gとトルエン100mlを三角フラスコに入れて30℃で完全溶解させ、その後、30℃に維持された恒温水槽中で、キャノンフェンスケ動粘度計に上記溶液10mlを入れ、溶液の落下時間(T)を測定し、下記式により求めた値とする。
ηsp=T/T0−1(T0:トルエンだけの落下時間)
ηsp/c=[η]+k’[η]2c
(ηsp:比粘度、k’:ハギンズ定数(0.37)、c:試料濃度(g/ml))
(3)トルエン溶液粘度(Tcp)
トルエン溶液粘度(Tcp)は、ポリマー2.28gをトルエン50mlに溶解した後、標準液として粘度計校正用標準液(JIS−Z8809)を用い、キャノンフェンスケ粘度計No.400を使用して、25℃で測定した。
(4)ミクロ構造
ミクロ構造は、赤外吸収スペクトル分析によって行った。シス740cm−1、トランス967cm−1、ビニル910cm−1の吸収強度比からミクロ構造を算出した。
(5)ηsp/c
ηsp/cは、1.2ポリブタジエン結晶繊維の分子量の目安として、0.20g/dlのo−ジクロロベンゼン溶液から135℃で還元粘度を測定した。
[配合後のゴム物性]
ムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、JIS−K6300に準拠し、100℃にて予熱1分測定4分の値をムーニー粘度計(島津製作所製、SMV−202)により測定した。数値が小さいほど粘度が低く、流動性が良好なことを示す。
ダイ・スウェルは、配合物の寸法安定性の目安として、加工性測定装置(モンサント社製、MPT)を用いて、100℃、100sec−1のせん断速度で、押出時の配合物の断面積とダイオリフィス断面積(但し、L/D=1.5mm/1.5mm)の比を測定した。数値が小さいほど押出加工性が良好なことを示す。
加硫特性(t90)はJSR社製キュラストメーターIIF型を用いて、150℃で加硫トルクが90%に達するまでの時間を測定した、数値が小さいほど加硫時間が短くなることを示す。
[加硫物物性]
JIS−A硬度は、JIS−K6253に規定されている測定法に従って、タイプAデュロメーターで測定した、数値が大きいほど硬度が高いことを示す。
引張応力は、JIS−K6251に準拠して100%引張応力を測定した。数値が大きいほど引張応力が高いことを示す。
引張強度は、JIS−K6251に準拠して、破断時の引張強さを測定した。数値が大きいほど引張強度が高いことを示す。
破断伸びは、JIS−K6251に準拠して、破断時の伸びを測定した。数値が大きいほど破断伸びが大きいことを示す。
引裂強度は、JIS−K6252に準拠して測定した。数値が大きいほど引裂強度が高いことを示す。
伸張疲労性は、伸張疲労試験機(安田精機製作所製)を用いて、ダンベル状3号形(JIS−K6251)試験片の中央に0.5mmφの傷を入れ、初期歪100%、300回/分の条件で試験片が破断した回数を測定した。数値が大きいほど伸張疲労性が良好なことを示す。
発熱性は、JIS−K6265に規定されている測定方法に準じて測定した。数値が小さいほど発熱量が小さく、良好なことを示す。
損失係数(tanδ)は、RPA2000(アルファテクノロジーズ社製)を使用して、60℃、10Hz、2%歪の条件で測定した。数値が小さいほどエネルギーロスが小さく、良好なことを示す。
屈曲亀裂成長性は、JIS−K6260に準拠し、ディマーチャ屈曲試験機(上島製作所製)を用いて、試験片つかみ具の運動距離を30mmで1万回屈曲したときの亀裂長さを測定した。数値が小さいほど耐屈曲亀裂成長性が良好なことを示す。
摩耗性は、JIS−K6265に規定されているランボーン摩耗試験機を使用してスリップ率20%の条件で測定した。数値が小さいほど摩耗量が少なく、良好なことを示す。
酸素透過性は、ASTM−D3985に準じて酸素ガス透過量測定装置(モダンコントロール社製MOCON−OX−TRAN2/20)を使用して、23℃、相対湿度50%の条件で測定した。数値が小さいほど酸素透過量が少なく、ガスバリアー性が良好なことを示す。
以下、ポリエーテルポリアミドエラストマーの特性値は、次のようにして測定した。
(1)相対粘度(ηr)(0.5質量/容量%メタクレゾール溶液、25℃)
試薬特級品のm−クレゾールを溶媒として、5g/dmの濃度で、オストワルド粘度計を用いて25℃で測定した。
(2)末端カルボキシ基濃度([COOH])
重合物約1gに40ミリリットルのベンジルアルコールを加え、窒素ガス雰囲気で加熱溶解し、得られた試料溶液に指示薬としてフェノールフタレインを加えて、N/20水酸化カリウム−エタノール溶液で滴定した。
(3)末端アミノ基濃度([NH])
重合物約1gを40ミリリットルのフェノール/メタノール混合溶媒(容量比:9/1)に溶解し、得られた試料溶液に指示薬としてチモールブルーを加えて、N/20塩酸で滴定した。
(4)融点(Tm)及び結晶化温度(Tc)
Tm及びTcは、株式会社島津製作所製示差走査熱量計DSC−50を用いて窒素雰囲気下で測定した。室温から230℃まで10℃/minの速度で昇温し(昇温ファーストランと呼ぶ)、230℃で10分保持したのち、−100℃まで10℃/minの速度で降温し(降温ファーストランと呼ぶ)、次に230℃まで10℃/minの速度で昇温した(昇温セカンドランと呼ぶ)。得られたDSCチャートから降温ファーストランの発熱ピーク温度をTc、昇温セカンドランの吸熱ピーク温度をTmとした。
(5)組成
ポリエーテルポリアミドエラストマーの組成は、重トリフロロ酢酸を溶媒として、4質量%の濃度で、日本電子株式会社製JNM−EX400WB型FT−NMRを用いて、室温で測定したプロトンNMRスペクトルから各成分の組成を求めた。
(6)ショアーD硬度
ASTM D2240に準拠してショアーDを測定した。射出成形により成形した厚さ6mmのシートを用いて測定した。測定は、温度23℃で行った。
(7)機械的物性:以下に示す(i)〜(iv)の測定は、下記の試験片を射出成形により成形し、これを用いて行った。
(i)引張り試験(引張り降伏点強さ及び引張り破断伸び):ASTM D638に記載のTypeIの試験片をASTM D638準拠して測定した。
(ii)曲げ試験(曲げ弾性率及び曲げ強度):試験片寸法6.35mm×12.7mm×127mmの試験片を用いてASTM D790に準拠して測定した。
(iii)衝撃強さ(アイゾットノッチ付):試験片寸法12.7mm×12.7mm×3.5mmの試験片を用いてASTM D256に準拠し、23℃で測定した。
(iv)荷重たわみ温度:試験片寸法6.35mm×12.7mm×127mmの試験片を用いてASTM D648に準拠し、荷重0.45MPaで測定した。
製造例1(PAE1の製造)
撹拌機、温度計、トルクメーター、圧力計、窒素ガス導入口、圧力調整装置及びポリマー取り出し口を備えた70リットルの圧力容器に宇部興産(株)製12−アミノドデカン酸8.000kg、ABA型のトリブロックポリエーテルジアミン(HUNTSMAN社製、商品名:XTJ−542)10.471kg及びアジピン酸1.529kgを仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを流速300リットル/分で供給しながら徐々に加熱を行った。3時間かけて室温から230℃まで昇温し、230℃で8時間重合を行った。加熱を始めてから容器内の圧力は0.05MPaに調整した。次に、撹拌を停止し、ポリマー取り出し口から溶融状態の無色透明のポリマーを紐状に抜き出し、水冷した後、ペレタイズして、約12kgのペレットを得た。得られたペレットは白色強靱でゴム弾性に富む柔軟なポリマーであり、ηr=2.16、[COOH]=1.28×10−5eq/g、[NH]=1.86×10−5eq/g、Mn=63700、Tm=135℃、Tc=59℃であった。ポリマー組成はPA12/XTJ−542/AA=40.7/52.9/6.4(重量%)(ただし、PA12、XTJ−542及びAAはポリマー中の各成分を表し、PA12はナイロン12単位を、XTJ−542はABA型トリブロックポリエーテルジアミン単位を、AAはアジピン酸単位をそれぞれ表す。)であった。得られたペレットを射出成形し、各種物性測定用試料得た。得られた試料の硬度及び機械的物性は、以下のとおりである。
硬度:40,曲げ弾性率:76MPa,曲げ強度:4.3MPa,引張り降伏強度:6.3MPa,引張り破断伸び:300%以上,衝撃強さ:NB,荷重たわみ温度:48℃。
製造例2(PAE2の製造)
撹拌機、温度計、トルクメーター、圧力計、窒素ガス導入口、圧力調整装置及びポリマー取り出し口を備えた70リットルの圧力容器に宇部興産(株)製12−アミノドデカン酸11.200kg、ABA型のトリブロックポリエーテルジアミン(HUNTSMAN社製、商品名:XTJ−542)7.678kg及びアジピン酸1.121kgを仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを流速300リットル/分で供給しながら徐々に加熱を行った。3時間かけて室温から230℃まで昇温し、230℃で6時間重合を行った。加熱を始めてから容器内の圧力は0.05MPaに調整した。次に、撹拌を停止し、ポリマー取り出し口から溶融状態の無色透明のポリマーを紐状に抜き出し、水冷した後、ペレタイズして、約12kgのペレットを得た。得られたペレットは白色強靱でゴム弾性に富む柔軟なポリマーであり、ηr=2.22、[COOH]=1.61×10−5eq/g、[NH]=2.17×10−5eq/g、Mn=52900、Tm=154℃、Tc=109℃であった。ポリマー組成はPA12/XTJ−542/AA=56.5/38.9/4.6(重量%)(ただし、PA12、XTJ−542及びAAはポリマー中の各成分を表し、PA12はナイロン12単位を、XTJ−542はABA型トリブロックポリエーテルジアミン単位を、AAはアジピン酸単位をそれぞれ表す。)であった。得られたペレットを射出成形し、各種物性測定用試料得た。得られた試料の硬度及び機械的物性は、以下のとおりである。
硬度:48,曲げ弾性率:132MPa,曲げ強度:7.2MPa,引張り降伏強度:9.2MPa,引張り破断伸び:300%以上,衝撃強さ:NB,荷重たわみ温度:73℃。
製造例3(PAE3の製造)
撹拌機、温度計、トルクメーター、圧力計、窒素ガス導入口、圧力調整装置及びポリマー取り出し口を備えた70リットルの圧力容器に宇部興産(株)製12−アミノドデカン酸14.000kg、ABA型のトリブロックポリエーテルジアミン(HUNTSMAN社製、商品名:XTJ−542)5.236kg及びアジピン酸0.764kgを仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを流速300リットル/分で供給しながら徐々に加熱を行った。3時間かけて室温から230℃まで昇温し、230℃で6.5時間重合を行った。加熱を始めてから容器内の圧力は0.05MPaに調整した。次に、撹拌を停止し、ポリマー取り出し口から溶融状態の無色透明のポリマーを紐状に抜き出し、水冷した後、ペレタイズして、約13kgのペレットを得た。得られたペレットは白色強靱でゴム弾性に富む柔軟なポリマーであり、ηr=2.05、[COOH]=2.48×10−5eq/g、[NH]=2.82×10−5eq/g、Mn=37700、Tm=163℃、Tc=123℃であった。ポリマー組成はPA12/XTJ−542/AA=70.1/26.6/3.3(重量%)(ただし、PA12、XTJ−542及びAAはポリマー中の各成分を表し、PA12はナイロン12単位を、XTJ−542はABA型トリブロックポリエーテルジアミン単位を、AAはアジピン酸単位をそれぞれ表す。)であった。得られたペレットを射出成形し、各種物性測定用試料得た。得られた試料の硬度及び機械的物性は、以下のとおりである。
硬度:55,曲げ弾性率:232MPa,曲げ強度:11.9MPa,引張り降伏強度:14.8MPa,引張り破断伸び:300%以上,衝撃強さ:NB,荷重たわみ温度:78℃。
製造例4(ナノVCRの製造)
(A)ビニル・シスポリブタジエンの作製
窒素ガスで置換した内容1.5Lの撹拌機つきステンレス製反応槽中に重合溶液1.0L(ブタジエン;31.5wt%、2−ブテン類;28.8wt%、シクロヘキサン;39.7wt%)を入れ、水1.7mmol、ジエチルアルミニウムクロライド2.9mmol、二硫化炭素0.3mmol、シクロオクタジエン13.0mmol、及びコバルトオクトエート0.005mmolを加え、60℃で20分間撹拌し、1,4シス重合を行った。その後、ブタジエン150ml、水1.1mmol、トリエチルアルムニウムクロライド3.5mmol、及びコバルトオクトエート0.04mmolを加え、40℃で20分間撹拌し、1,2シンジオ重合を行った。これに老化防止剤エタノール溶液を加えた。その後、未反応のブタジエン及び2−ブテン類を蒸発除去し、収量66gで、HI;40.5%のビニル・シスポリブタジエンを得た。このうち58gのビニル・シスポリブタジエンをシクロヘキサンに溶解させ、ビニル・シスポリブタジエンスラリーを作製した。
(B)シスポリブタジエンの作製
窒素ガスで置換した内容1.5Lの撹拌機つきステンレス製反応槽中に、重合溶液1.0L(ブタジエン;31.5wt%、2−ブテン類;28.8wt%、シクロヘキサン;39.7wt%)を入れ、水1.7mmol、ジエチルアルミニウムクロライド2.9mmol、シクロオクタジエン20.0mmol、及びコバルトオクトエート0.005mmolを加え、60℃で20分間撹拌し、1,4シス重合を行った。これに老化防止剤エタノール溶液を加えて重合を停止した。その後、未反応のブタジエン及び2−ブテン類を蒸発除去し、ムーニー粘度29.0、トルエン溶液粘度48.3のシスポリブタジエン81gを得た。この操作を2回実施し、合わせて162gのシス−ポリブタジエンをシクロヘキサンに溶解させ、シス−ポリブタジエンシクロヘキサン溶液を作製した。
(A)+(B)混合物の試作VCRの製造
窒素ガスで置換した内容5.0Lの攪拌機つきステンレス製反応槽中に前述で述べたシスポリブタジエン162gが溶解したシス−ポリブタジエンシクロヘキサン溶液を入れ、そこに前述で述べたビニル・シスポリブタジエン58gを含むビニル・シスポリブタジエンシクロヘキサンスラリーを撹拌しながら添加した。スラリー添加後1時間撹拌した後、105℃で60分間真空乾燥して、(A)+(B)混合物であるナノVCRを220gを得た。
このナノVCRのMLは62であり、1.2ポリブタジエン結晶繊維の含有量は11.9%であった。また、1.2ポリブタジエン結晶繊維の融点は203℃、ηsp/cは1.7、平均繊維長は156nm、アスペクト比は2.8であり、結晶繊維の数は123個であった。
ηsp/cは、1.2ポリブタジエン結晶繊維の分子量の目安として、0.20g/dlのo−ジクロロベンゼン溶液から135℃で還元粘度を測定した。
1.2ポリブタジエン結晶繊維の融点及び含有量は、示差走査熱量計(島津製作所製、DSC−50)を使用し、昇温速度10℃/minで吸熱曲線を求め、そのピーク温度を融点とし、吸熱量から含有量を算出した。
結晶繊維の平均繊維長、繊維長200nm以下の結晶繊維の数、及び結晶繊維の平均アスペクト比は、次のように求めた。ビニル・シス−ポリブタジエンゴムを一塩化硫黄と二硫化炭素の混合溶液中で加硫を行い、その加硫物からウルトラミクロトーム(ライカ社製)により超薄切片を切出した。その切片を透過型電子顕微鏡(日立製作所社製H−7100FA型)で観察し、5000倍の写真を撮影した。その写真を画像解析ソフト(Win ROOF(三谷商事社製))を使用して、25μm範囲で二値化を行い、結晶繊維の繊維長さ、アスペクト比、面積を求めた。次に、平均の繊維長さ、アスペクト比を、それぞれの結晶繊維の値に面積分率を乗じて平均し、結晶繊維の平均繊維長、及び結晶繊維の平均アスペクト比とした。結晶繊維の数は繊維長200nm以下の繊維数を1.2ポリブタジエン結晶繊維含有量1質量%当たりで計算して求めた。
なお、以下に示す表中に示した記号は、以下のすべての表において共通であり、以下のものを示す。
(*1)宇部興産社製 ハイシスポリブタジエンゴム
(*2)宇部興産社製 UBESTA XPA9040X1(融点135℃,硬度40)
(*3)宇部興産社製 UBESTA XPA9048X1(融点154℃,硬度48)
(*4)宇部興産社製 UBESTA XPA9055X1(融点163℃,硬度55)
(*5)宇部興産社製 UBESTA XPA9068X1(融点181℃,硬度68)
(*6)三菱化学社製 ダイアブラックH
(*7)宇部興産社製 ハイシスポリブタジエンゴム
(*8)東ソー・シリカ社製 NipsilAQ
(*9)デグサ社製 シランカップリング剤
(*10)宇部興産社製 補強ポリブタジエンゴム
(*11)製造例4で製造されたナノVCR
(*12)ARKMA社製 PEBAX 5533(融点159℃,硬度55)
(*13)精工化学社製サンタイトS
〔チェーファー用ゴム組成物〕
実施例31〜34及び比較例15〜16
次に、実施例31〜34及び比較例15〜16について説明する。表7に示す配合処方のうち、加硫促進剤、硫黄を除くVCRとNRとPAE及び配合剤を1.7リットルの試験用バンバリーミキサーを使用してスタート温度90℃で5分間混練し、一次混練物を得た。この際、最高混練温度は170℃〜180℃であった。次いで、一次混練物を60℃の10インチロール上で加硫促進剤、硫黄を混練し、二次混練物を得た。得られた二次混練物のダイスウェル及び加硫特性(t90)を測定した。次に、二次混練物を金型に入れて150℃で(t90×3)分間プレス加硫を行い、加硫物を得た。得られた加硫物の物性を測定し、結果はまとめて表7に示した。
表7から、実施例31〜34のゴム組成物は、比較例15比べて、加工性が優れ(ダイスウェル小)、高硬度で破断伸びが大きく、屈曲亀裂成長性に優れていることが分かる。また、比較例16で使用したPAEは融点が高いため、混練中に溶融分散せずペレット状のままで残っていた。
Figure 2014062259
実施例35〜38及び比較例17〜19
次に、実施例35〜38及び比較例17〜19について説明する。表8に示す配合処方のうち、加硫促進剤、硫黄を除くVCR又はBR150L(ML=43,Tcp=105)とNRとPAE及び配合剤を1.7リットルの試験用バンバリーミキサーを使用してスタート温度90℃で5分間混練し、一次混練物を得た。この際、最高混練温度は170℃〜180℃であった。次いで、一次混練物を60℃の10インチロール上で加硫促進剤、硫黄を混練し、二次混練物を得た。得られた二次混練物のダイスウェル及び加硫特性(t90)を測定した。次に、二次混練物を金型に入れて150℃で(t90×3)分間プレス加硫を行い、加硫物を得た。得られた加硫物の物性を測定し、結果はまとめて表8に示した。
表8から、ポリアミドエラストマーを配合すると、各物性がバランス良く向上することが分かる。また、無機補強剤の配合量が少ない比較例18は、硬度が充分ではなく、配合量が多い比較例19は、バンバリーミキサーよりバラバラの状態で排出され、ロールでの二次配合ができなかった。
Figure 2014062259

Claims (37)

  1. 加硫可能なゴム(A)100重量部に対し、融点が100〜180℃のポリアミドエラストマー(B)0.1〜50重量部と無機補強剤(C)1〜100重量部を含有することを特徴とするゴム組成物。
  2. ポリアミドエラストマー(B)のソフトセグメントがポリエーテルであることを特徴とする請求項2記載のゴム組成物。
  3. ポリアミドエラストマー(B)の硬度(ショアーD)が30〜65であることを特徴とする請求項1又は2いずれか記載のゴム組成物。
  4. 無機補強剤(C)がカーボンブラック(C−a)又はシリカ(C−b)を少なくとも含むことを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載のゴム組成物。
  5. 加硫可能なゴム(A)とポリアミドラストマー(B)を溶融混練して製造することを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載のゴム組成物。
  6. 無機補強剤(C)がカーボンブラック(C−a)とシリカ(C−b)の混合物であって、カーボンブラック(C−a)とシリカ(C−b)の重量比が90/10〜5/95であることを特徴とする請求項1乃至5いずれか記載のゴム組成物。
  7. 加硫可能なゴム(A)は、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンが含有されたシス−1,4−ポリブタジエンであるビニル・シス−ブタジエンゴムを含むことを特徴とする請求項1乃至6いずれか記載のゴム組成物。
  8. 前記ビニル・シス−ブタジエンゴムは、結晶繊維の長軸長さの平均が200nm以下の結晶繊維が25μm当たり90以上であり、かつ融点が170℃以上である特定のシンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン結晶繊維1〜30質量%、シス−ポリブタジエンゴム99〜70質量%、及び繰り返し単位当たり少なくとも1個の不飽和二重結合を有する不飽和高分子物質0〜20質量%からなるビニル・シス−ポリブタジエンゴムであることを特徴とする請求項7記載のゴム組成物。
  9. 請求項1乃至8いずれか記載のゴム組成物がタイヤに用いられることを特徴とするタイヤ用ゴム組成物。
  10. 加硫可能なゴム(A)100重量部に対し、融点が100〜180℃のポリアミドエラストマー(B)1〜50重量部と無機補強剤(C)20〜70質量部を含有し、
    前記無機補強剤(C)が少なくともカーボンブラック及びシリカを含み、無機補強剤(C)中におけるシリカの配合量が80質量%以下であること特徴とするベーストレッド用ゴム組成物。
  11. さらに、融点が60℃以上であるワックス(D)0.1〜5重量部を配合することを特徴とする請求項10に記載のベーストレッド用ゴム組成物。
  12. ポリアミドエラストマー(B)のソフトセグメントがポリエーテルであることを特徴とする請求項10又は11に記載のベーストレッド用ゴム組成物。
  13. ポリアミドエラストマー(B)の硬度(ショアーD)が30〜65であることを特徴とする請求項10乃至12のいずれかに記載のベーストレッド用ゴム組成物。
  14. 加硫可能なゴム(A)とポリアミドラストマー(B)を溶融混練して製造することを特徴とする請求項10乃至13のいずれかに記載のベーストレッド用ゴム組成物。
  15. 請求項10乃至14のいずれかに記載のベーストレッド用ゴム組成物を含むベーストレッド。
  16. 請求項15記載のベーストレッドを有する乗用車用タイヤ。
  17. 請求項15に記載のベーストレッドを有するスタッドレスタイヤ。
  18. 請求項15に記載のベーストレッドを有するタイヤ。
  19. 加硫可能なゴム(A)100重量部に対し、融点が100〜180℃のポリアミドエラストマー(B)1〜50重量部と無機補強剤(C)60〜100重量部を含有し、
    JIS−A硬度が70〜90及び引張試験における破断伸びが180%以上であるチェーファー用ゴム組成物。
  20. ポリアミドエラストマー(B)のソフトセグメントがポリエーテルであることを特徴とする請求項19に記載のチェーファー用ゴム組成物。
  21. ポリアミドエラストマー(B)の硬度(ショアーD)が30〜65であることを特徴とする請求項19又は20に記載のチェーファー用ゴム組成物。
  22. 加硫可能なゴム(A)が少なくとも天然ゴム又はポリイソプレンゴムを30重量%以上含むことを特徴とする請求項19乃至21のいずれかに記載のチェーファー用ゴム組成物。
  23. 加硫可能なゴム(A)とポリアミドラストマー(B)を溶融混練して製造することを特徴とする請求項19乃至22のいずれかに記載のチェーファー用ゴム組成物。
  24. 請求項19乃至23のいずれかに記載のチェーファー用ゴム組成物を含むチェーファー。
  25. 請求項24に記載のチェーファーを有する乗用車用タイヤ。
  26. 請求項24に記載のチェーファーを有するスタッドレスタイヤ。
  27. 請求項24に記載のチェーファーを有するタイヤ。
  28. 加硫可能なゴム(A)100重量部に対し、融点が100〜180℃のポリアミドエラストマー(B)1〜50重量部と無機補強剤(C)20〜60重量部含有し、
    JIS−A硬度が55〜75であることを特徴とするサイドウォール用ゴム組成物。
  29. さらに、融点が60℃以上であるワックス(D)0.1〜5重量部を配合することを特徴とする請求項28に記載のサイドウォール用ゴム組成物。
  30. ポリアミドエラストマー(B)のソフトセグメントがポリエーテルであることを特徴とする請求項28又は29に記載のサイドウォール用ゴム組成物。
  31. ポリアミドエラストマー(B)の硬度(ショアーD)が30〜65であることを特徴とする請求項28乃至30のいずれかに記載のサイドウォール用ゴム組成物。
  32. 加硫可能なゴム(A)のゴム成分が天然ゴムを30重量%以上含むことを特徴とする請求項28乃至31のいずれかに記載のサイドウォール用ゴム組成物。
  33. 加硫可能なゴム(A)とポリアミドラストマー(B)を溶融混練して製造することを特徴とする請求項28乃至32のいずれかに記載のサイドウォール用ゴム組成物。
  34. 請求項28乃至33のいずれかに記載のサイドウォール用ゴム組成物を含むサイドウォール。
  35. 請求項34に記載のサイドウォールを有する乗用車用タイヤ。
  36. 請求項34に記載のサイドウォールを有するスタッドレスタイヤ。
  37. 請求項34に記載のサイドウォールを有するタイヤ。
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