JP6530173B2 - タイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、リムに装着されるタイヤにかかり、特に、タイヤケースの少なくとも一部が樹脂材料で形成されたタイヤに関する。
従来、乗用車等の車両には、ゴム、有機繊維材料、スチール部材などから構成された空気入りタイヤが用いられている。従来空気入りタイヤに用いられている一般的なゴム材料は、耐熱性などには問題はない。しかし、タイヤ製造工程において、混練、シーティング、成形及び加硫といった複数の工程を経るのが通常であり、生産性の向上が求められていた。
これに対し、近年では、軽量化や、成形の容易さ、リサイクルのしやすさから、樹脂材料、特に熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーなどをタイヤ材料として用いることが検討されている。例えば、下記特許文献1などには、熱可塑性の高分子材料を用いて成形された空気入りタイヤが開示されている。これら熱可塑性の高分子材料(熱可塑性樹脂)は、射出成形が可能であるなど、生産性の向上の観点から有利な点が多い。また、前記熱可塑性樹脂としてはポリアミド系エラストマー等が例示されている。
特開2003−104005号公報
熱可塑性の高分子材料を用いたタイヤにおいて強度等を向上させるためには、通常のゴム製タイヤのように充填材による補強が考えられる。例えば、上述の特許文献1には、樹脂組成物等中にシリカ(ホワイトカーボン)を用いてもよい旨が記載されている。しかし、シリカは凝集しやすく、そのまま高分子材料中に配合しても凝集塊を形成しやすい。当該凝集塊はタイヤ強度に影響を与え、タイヤ強度の向上効果を妨げる場合もありうる。
一方、通常のゴム分野では、シリカの凝集を抑制するためにカップリング剤が用いられている。しかし、ポリアミド系エラストマー等の樹脂とシリカとを用いたタイヤ骨格体に単にゴム用のカップリング剤を用いても樹脂製のタイヤの強度を向上させることは困難であった。
本発明は、前記事情を踏まえ、樹脂材料を用いて形成され、優れた強度を有するタイヤを提供することを目的とする。
[1]樹脂材料で形成され且つ環状のタイヤ骨格体を有し、前記樹脂材料は、ポリアミド系熱可塑性エラストマーと、シリカと、窒素原子、カルボキシル基、酸無水物及びウレイド基から選ばれる少なくともいずれか一つを含む官能基を有するシランカップリング剤と、を含み、前記樹脂材料の総量に対する前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーの含有量が70質量%以上である、タイヤである。
[2]前記官能基がアミノ基又は置換アミノ基を含む前記[1]に記載のタイヤである。
[3]前記樹脂材料中の前記シリカの含有量が、樹脂成分100質量部に対して1〜40質量部である前記[1]又は[2]に記載のタイヤである。
[4]前記樹脂材料中の前記シランカップリング剤の含有量が、前記シリカ100質量部に対して0.1〜20質量部である前記[1]〜[3]のいずれか一つに記載のタイヤである。
[5]前記シリカの平均粒子径が、100nm以下である[1]〜[4]のいずれか一つに記載のタイヤである。
[6]前記シリカのBET比表面積が、10〜3000m/gである[1]〜[5]のいずれか一つに記載のタイヤである。
本発明によれば、樹脂材料を用いて形成され、優れた強度を有するタイヤを提供することができる。
(A)は本発明の一実施形態に係るタイヤの一部の断面を示す斜視図であり、(B)は、リムに装着したビード部の断面図である。 第1実施形態のタイヤのタイヤケースのクラウン部に補強コードが埋設された状態を示すタイヤ回転軸に沿った断面図である。 コード加熱装置、及びローラ類を用いてタイヤケースのクラウン部に補強コードを埋設する動作を説明するための説明図である。
本発明のタイヤは、樹脂材料で形成され且つ環状のタイヤ骨格体を有し、前記樹脂材料は、ポリアミド系熱可塑性エラストマーと、シリカと、窒素原子、カルボキシル基、酸無水物及びウレイド基から選ばれる少なくともいずれか一つを含む官能基を有するシランカップリング剤(以下、単に「本発明におけるシランカップリング剤」と称する場合がある。)と、を含む。
本発明のタイヤは、樹脂材料中にポリアミド系熱可塑性樹脂エラストマーとシリカとに加えて特定のシランカップリング剤を含めることで、タイヤの強度を向上させることができる。特に、本発明のタイヤは亀裂耐性に優れる。これは、本発明におけるシランカップリング剤を用いることで、タイヤ骨格体を形成する樹脂材料中のシリカの分散性を向上させることができ、これによりシリカによる補強効果を十分に発揮させることができるためだと推測される。また、本発明のタイヤは、成形性に優れ射出成形によってタイヤ骨格体を形成することも可能であることから、生産性に優れる。
《樹脂材料》
上述のように前記タイヤは、樹脂材料を用いたタイヤ骨格体を有する。前記樹脂材料は、ポリアミド系熱可塑性エラストマーと、シリカと、窒素原子、カルボキシル基、酸無水物及びウレイド基から選ばれる少なくともいずれか一つを含む官能基を有するシランカップリング剤と、を含む。前記樹脂材料は、ポリアミド系熱可塑性エラストマー以外の熱可塑性エラストマーや任意の成分を含んでいてもよいが、前記樹脂材料の総量に対するポリアミド系熱可塑性エラストマーの含有量が30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることが更に好ましく、70質量%以上であることが特に好ましい。また、本明細書において「樹脂」とは、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂を含む概念であるが、天然ゴムは含まない。
(ポリアミド系熱可塑性エラストマー)
本発明において、「ポリアミド系熱可塑性エラストマー」とは、結晶性で融点の高いハードセグメントを構成するポリマーと非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを構成するポリマーとを有する共重合体からなる熱可塑性樹脂材料であって、ハードセグメントを構成するポリマーの主鎖にアミド結合(−CONH−)を有するものを意味する。
ポリアミド系熱可塑性エラストマーを、単に「TPA」(ThermoPlastic Amid elastomer)と称することもある。
前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーとしては、少なくともポリアミドが結晶性で融点の高いハードセグメントを構成し、他のポリマー(例えば、ポリエステル又はポリエーテル等)が非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを構成している材料が挙げられる。また、ポリアミド系熱可塑性エラストマーはハードセグメント及びソフトセグメントの結合部として、ジカルボン酸等の鎖長延長剤を用いてもよい。
−ハードセグメント−
前記ハードセグメントを形成するポリアミドとしては、例えば、下記一般式(1)又は一般式(2)で表されるモノマーを用いて合成されるポリアミドを挙げることができる。

一般式(1)中、Rは、炭素数2〜20の炭化水素の分子鎖、又は、炭素数2〜20のアルキレン基を表す。

一般式(2)中、Rは、炭素数3〜20の炭化水素の分子鎖、又は、炭素数3〜20のアルキレン基を表す。
一般式(1)中、Rとしては、炭素数3〜18の炭化水素の分子鎖又は炭素数3〜18のアルキレン基が好ましく、炭素数4〜15の炭化水素の分子鎖又は炭素数4〜15のアルキレン基が更に好ましく、炭素数10〜15の炭化水素の分子鎖又は炭素数10〜15のアルキレン基が特に好ましい。また、一般式(2)中、Rとしては、炭素数3〜18の炭化水素の分子鎖又は炭素数3〜18のアルキレン基が好ましく、炭素数4〜15の炭化水素の分子鎖又は炭素数4〜15のアルキレン基が更に好ましく、炭素数10〜15の炭化水素の分子鎖又は炭素数10〜15のアルキレン基が特に好ましい。
前記一般式(1)又は一般式(2)で表されるモノマーとしては、ω−アミノカルボン酸やラクタムが挙げられる。また、前記ハードセグメントを形成するポリアミドとしては、これらω−アミノカルボン酸やラクタムの重縮合体や、ジアミンとジカルボン酸との共縮重合体等が挙げられる。
前記ω−アミノカルボン酸としては、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸、10−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などの炭素数5〜20の脂肪族ω−アミノカルボン酸等を挙げることができる。また、ラクタムとしては、ラウリルラクタム、ε−カプロラクタム、ウンデカンラクタム、ω−エナントラクタム、2−ピロリドンなどの炭素数5〜20の脂肪族ラクタムなどを挙げることができる。
前記ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、3−メチルペンタメチレンジアミン、メタキシレンジアミンなどの炭素数2〜20の脂肪族ジアミンなどのジアミン化合物を挙げることができる。また、ジカルボン酸は、HOOC−(R)m−COOH(R:炭素数3〜20の炭化水素の分子鎖、m:0又は1)で表すことができ、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの炭素数2〜22の脂肪族ジカルボン酸を挙げることができる。
前記ハードセグメントを形成するポリアミドとしては、ε-カプロラクタムを開環重縮合したポリアミド(ポリアミド6)、ウンデカンラクタムを開環重縮合したポリアミド(ポリアミド11)、ラウリルラクタムを開環重縮合したポリアミド(ポリアミド12)、12−アミノドデカン酸を重縮合したポリアミド(ポリアミド12)、ジアミンと二塩基酸との重縮合ポリアミド(ポリアミド66)又はメタキシレンジアミンを構成単位として有するポリアミド(アミドMX)等を挙げることができる。
前記ポリアミド6は、例えば、{CO−(CH−NH}(nは任意の繰り返し単位数を表す)で表すことができ、例えば、nとしては2〜100が好ましく、3〜50が更に好ましい。
前記ポリアミド11は、例えば、{CO−(CH10−NH}(nは任意の繰り返し単位数を表す)で表すことができ、例えば、nとしては2〜100が好ましく、3〜50が更に好ましい。
前記ポリアミド12は、例えば、{CO−(CH11−NH}(nは任意の繰り返し単位数を表す)で表すことができ、例えば、nとしては2〜100が好ましく、3〜50が更に好ましい。
前記ポリアミド66は、例えば、{CO(CHCONH(CHNH}(nは任意の繰り返し単位数を表す)で表すことができ、例えば、nとしては2〜100が好ましく、3〜50が更に好ましい。
また、メタキシレンジアミンを構成単位として有するアミドMXは、例えば、下記構成単位(A−1)〔(A−1)中、nは任意の繰り返し単位数を表す〕で表わすことができ、例えば、nとしては2〜100が好ましく、3〜50が更に好ましい。
前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントとして、−[CO−(CH−NH]−で表されるポリアミド(ポリアミド6)、−[CO−(CH11−NH]−で表される単位構造を有するポリアミド(ポリアミド12)を有することが好ましい。上述のようにポリアミド12は、ラウリルラクタムを開環重縮合又は12−アミノドデカン酸を重縮合することで得ることができる。
−ソフトセグメント−
前記ソフトセグメントを形成するポリマーとしては、例えば、ポリエステルや、ポリエーテルが挙げられ、更に、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)、ABA型トリブロックポリエーテル等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を用いることができる。また、ポリエーテルの末端にアンモニア等を反応させることによって得られるポリエーテルジアミン等を用いることができ、例えば、ABA型トリブロックポリエーテルジアミンを用いることができる。
ここで、「ABA型トリブロックポリエーテル」とは、下記一般式(3)に示されるポリエーテルを挙げることができる。

一般式(3)中、x及びzは、それぞれ独立に1〜20の整数を表す。yは、4〜50の整数を表す。
前記一般式(3)において、x及びzとしては、それぞれ、1〜18の整数が好ましく、1〜16の整数が更に好ましく、1〜14の整数が特に好ましく、1〜12の整数が最も好ましい。また、前記一般式(3)において、yとしては、5〜45の整数が好ましく、6〜40の整数が更に好ましく、7〜35の整数が特に好ましく、8〜30の整数が最も好ましい。
また、「ABA型トリブロックポリエーテルジアミン」とは、下記一般式(N)に示されるポリエーテルジアミンを挙げることができる。
一般式(N)中、X及びZは、それぞれ独立に1〜20の整数を表す。Yは、4〜50の整数を表す。
前記一般式(N)において、X及びZとしては、それぞれ、1〜18の整数が好ましく、1〜16の整数が更に好ましく、1〜14の整数が特に好ましく、1〜12の整数が最も好ましい。また、前記一般式(N)において、Yとしては、5〜45の整数が好ましく、6〜40の整数が更に好ましく、7〜35の整数が特に好ましく、8〜30の整数が最も好ましい。
前記ハードセグメントと前記ソフトセグメントとの組合せとしては、上述で挙げたハードセグメントとソフトセグメントとのそれぞれの組合せを挙げることができる。この中でも、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ポリエチレングリコールの組合せ、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ポリプロピレングリコールの組合せ、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ポリテトラメチレンエーテルグリコールの組合せ、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ABA型トリブロックポリエーテルの組合せ、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ABA型トリブロックポリエーテルジアミンの組み合わせ、アミノドデカン酸の重縮合体/ポリエチレングリコールの組合せ、アミノドデカン酸の重縮合体/ポリプロピレングリコールの組合せ、アミノドデカン酸の重縮合体/ポリテトラメチレンエーテルグリコールの組合せ、アミノドデカン酸の重縮合体/ABA型トリブロックポリエーテルの組合せ、アミノドデカン酸の重縮合体/ABA型トリブロックポリエーテルジアミンの組み合わせ、が好ましく、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ABA型トリブロックポリエーテルの組合せ、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ABA型トリブロックポリエーテルジアミンの組み合わせ、アミノドデカン酸の重縮合体/ABA型トリブロックポリエーテルの組合せ、アミノドデカン酸の重縮合体/ABA型トリブロックポリエーテルジアミンの組み合わせ、が特に好ましい。
前記ソフトセグメントを形成するポリマーは、炭素数6〜22の分岐型飽和ジアミン、炭素数6〜16の分岐脂環式ジアミン、又は、ノルボルナンジアミン等のジアミンをモノマー単位として含んでいてもよい。また、これら、炭素数6〜22の分岐型飽和ジアミン、炭素数6〜16の分岐脂環式ジアミン、又は、ノルボルナンジアミンは、それぞれ単独で用いてもよいし、これらを組み合わせて用いてもよいし、上述の、ABA型トリブロックポリエーテルや前記ABA型トリブロックポリエーテルジアミンと組み合わせて用いてもよい。
前記炭素数6〜22の分岐型飽和ジアミンとしては、例えば、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノペンタン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン及び2−メチル−1,8−ジアミノオクタンなどが挙げられる。
前記炭素数6〜16の分岐脂環式ジアミンとしては、例えば、5−アミノ−2,2,4−トリメチル−1−シクロペンタンメチルアミン、5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン等を挙げることができる。これらのジアミンはシス体及びトランス体のいずれであってもよく、これら異性体の混合物であってもよい。
前記ノルボルナンジアミンとしては、例えば、2,5−ノルボナンジメチルアミン、2,6−ノルボナンジメチルアミンあるいはこれらの混合物などが挙げられる。
更に、前記ソフトセグメントを構成するポリマーは、上述以外の他のジアミン化合物をモノマー単位として含んでいてもよい。他のジアミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、3−メチルペンタンメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサンなどの脂環式ジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンなどの芳香族ジアミンなどが挙げられる。
上述のジアミンは単独で使用してもよいし、2種類以上を適宜組合せて使用してもよい。
−鎖長延長剤−
上述のように、ポリアミド系熱可塑性エラストマーはハードセグメント及びソフトセグメントの他に、ジカルボン酸等の鎖長延長剤を用いてもよい。前記ジカルボン酸としては、例えば、脂肪族、脂環式及び芳香族ジカルボン酸から選ばれる少なくとも一種又はこれらの誘導体を用いることができる。
前記ジカルボン酸の具体例としては、アジピン酸、デカンジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の炭素数2〜25の直鎖脂肪族ジカルボン酸;トリグリセリドの分留により得られる不飽和脂肪酸を二量化した炭素数14〜48の二量化脂肪族ジカルボン酸及びこれらの水素添加物等の脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、及びテレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸を挙げることができる。
−分子量−
本発明において、樹脂材料に含まれるポリアミド系熱可塑性エラストマーの重量平均分子量は、15,000〜75,000である。前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーの重量平均分子量が15,000〜75,000の範囲にあると、リム組み性や生産性を向上させることができる。前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーの重量平均分子量としては、20,000〜75,000が好ましい。前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができ、例えば、東ソー株式会社製の「HLC−8320GPC EcoSEC」等のGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)を用いることができる。
また、前記ハードセグメントを構成するポリマー(ポリアミド)の数平均分子量としては、溶融成形性の観点から、300〜15000が好ましい。また、前記ソフトセグメントを構成するポリマーの数平均分子量としては、強靱性及び低温柔軟性の観点から、200〜6000が好ましい。
前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーにおいて、前記ハードセグメント(x)及びソフトセグメント(y)の質量比(x:y)は、成形性の観点から、50:50〜90:10が好ましく、50:50〜80:20が更に好ましい。
前記ポリアミド系熱可塑性エラストマー中のハードセグメントの含有量は、ポリアミド系熱可塑性エラストマー全量に対して、5〜95質量%が好ましく、10〜90質量%が更に好ましく、15〜90質量%が特に好ましい。
前記ポリアミド系熱可塑性エラストマー中のソフトセグメントの含有量は、ポリアミド系熱可塑性エラストマー全量に対して、10〜95質量%が好ましく、10〜90質量%が更に好ましく、10〜90質量%が特に好ましい。
前記鎖長延長剤を用いる場合、その含有量は前記ソフトセグメントを構成するモノマーの水酸基又はアミノ基と、鎖長延長剤のカルボキシル基とがほぼ等モルになるように設定されることが好ましい。
前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーは、前記ハードセグメントを形成するポリマー及びソフトセグメントを形成するポリマーを公知の方法によって共重合することで合成することができる。例えば、前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントを構成するモノマー(例えば、12−アミノドデカン酸などのω−アミノカルボン酸や、ラウリルラクタムなどのラクタム)と、ソフトセグメントを構成するモノマー(例えば、前記ABA型トリブロックポリエーテルや前記ABA型トリブロックポリエーテルジアミン)と、鎖長延長剤(例えば、アジピン酸又はデカンジカルボン酸)とを容器内で重合させることで得ることができる。特に、ハードセグメントを構成するモノマーとしてω−アミノカルボン酸を使用する場合、常圧溶融重合又は常圧溶融重合に、更に減圧溶融重合を行って合成することができる。ハードセグメントを構成するモノマーとしてラクタムを用いる場合には、適量の水を共存させることができ、0.1〜5MPaの加圧下での溶融重合とそれに続く常圧溶融重合及び/又は減圧溶融重合からなる方法で製造することができる。また、これら合成反応は、回分式及び連続式のいずれでも実施することができる。また、上述の合成反応には、バッチ式反応釜、一槽式若しくは多槽式の連続反応装置、管状連続反応装置などを単独であるいは適宜組み合わせて用いてもよい。
前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーの製造において、重合温度は、150〜300℃が好ましく、160〜280℃が更に好ましい。また、重合時間は、合成するポリアミド系熱可塑性エラストマーの重合平均分子量及び重合温度との関係で適宜決定できるが、例えば、0.5〜30時間が好ましく、0.5〜20時間が更に好ましい。
前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーの製造においては、必要に応じて分子量の調整や成形加工時の溶融粘度安定化を目的として、ラウリルアミン、ステアリルアミン、ヘキサメチレンジアミン、メタキシリレンジアミンなどのモノアミン若しくはジアミン、酢酸、安息香酸、ステアリン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などのモノカルボン酸、或いはジカルボン酸などの添加剤を添加してもよい。これら添加剤は、本発明の効果に悪い影響を与えない範囲で、得られるポリアミド系熱可塑性エラストマーの分子量や粘度等の関係で適宜選定することができる。
また、前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーの製造においては、必要に応じて触媒を用いることができる。前記触媒としては、P、Ti、Ge、Zn、Fe、Sn、Mn、Co、Zr、V、Ir、La、Ce、Li、Ca、及び、Hfからなる群より選択される少なくとも1種を含む化合物が挙げられる。
例えば、無機系リン化合物、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物、有機スズ化合物等が挙げられる。
具体的には、無機系リン化合物としては、リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、亜リン酸、次亜リン酸等のリン含有酸、リン含有酸のアルカリ金属塩、リン含有酸のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。
有機チタン化合物としては、チタンアルコキシド〔チタンテトラブトキシド、チタンテトライソプロポキシド等〕等が挙げられる。
有機ジルコニウム化合物としては、ジルコニウムアルコキシド〔ジルコニウムテトラブトキシド(「Zr(OBu)」または「Zr(OC」とも称される)等〕等が挙げられる。
有機スズ化合物としては、ジスタノキサン化合物〔1−ヒドロキシ−3−イソチオシアネート−1,1,3,3−テトラブチルジスタノキサン等〕、酢酸スズ、ジラウリン酸ジブチルスズ、ブチルチンヒドロキシドオキシドヒドレート等が挙げられる。
触媒添加量及び触媒添加時期は、目的物を速やかに得られる条件であれば特に制限されない。
前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ポリエチレングリコール/アジピン酸の組合せ、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ポリプロピレングリコール/アジピン酸の組合せ、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ポリテトラメチレンエーテルグリコール/アジピン酸の組合せ、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ABA型トリブロックポリエーテル/アジピン酸の組合せ、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ABA型トリブロックポリエーテルジアミン/デカンジカルボン酸の組み合わせ、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ポリエチレングリコール/デカンジカルボン酸の組合せ、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ポリプロピレングリコール/デカンジカルボン酸の組合せ、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ポリテトラメチレンエーテルグリコール/デカンジカルボン酸の組合せ、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ABA型トリブロックポリエーテル/デカンジカルボン酸の組合せ、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ABA型トリブロックポリエーテルジアミン/デカンジカルボン酸の組み合わせ、アミノドデカン酸の重縮合体/ポリエチレングリコール/アジピン酸の組合せ、アミノドデカン酸の重縮合体/ポリプロピレングリコール/アジピン酸の組合せ、アミノドデカン酸の重縮合体/ポリテトラメチレンエーテルグリコール/アジピン酸の組合せ、アミノドデカン酸の重縮合体/ABA型トリブロックポリエーテル/アジピン酸の組合せ、アミノドデカン酸の重縮合体/ABA型トリブロックポリエーテルジアミン/アジピン酸の組み合わせ、アミノドデカン酸の重縮合体/ポリエチレングリコール/デカンジカルボン酸の組合せ、アミノドデカン酸の重縮合体/ポリプロピレングリコール/デカンジカルボン酸の組合せ、アミノドデカン酸の重縮合体/ポリテトラメチレンエーテルグリコール/デカンジカルボン酸の組合せ、アミノドデカン酸の重縮合体/ABA型トリブロックポリエーテル/デカンジカルボン酸の組合せ、アミノドデカン酸の重縮合体/ABA型トリブロックポリエーテルジアミン/デカンジカルボン酸の組み合わせが好ましく、ラウリルラクタムの開環重縮合体/ABA型トリブロックポリエーテル/アジピン酸の組合せ、アミノドデカン酸の重縮合体/ABA型トリブロックポリエーテル/アジピン酸の組合せ、アミノドデカン酸の重縮合体/ABA型トリブロックポリエーテルジアミン/デカンジカルボン酸の組み合わせ、アミノドデカン酸の重縮合体/ポリテトラメチレンエーテルグリコール/アジピン酸の組合せ、アミノドデカン酸の重縮合体/ポリテトラメチレンエーテルグリコール/デカンジカルボン酸の組合せが特に好ましい。前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーとしては、構成単位の組み合わせ、その構成比、分子量等について上述した好ましい態様同士を組み合わせたものを用いることができる。
尚、本発明に用いられるポリアミド系熱可塑性エラストマーとしては、末端にカルボキシル基又はアミノ基が結合されているものが好ましい。
(シリカ)
前記樹脂材料には、シリカが含まれる。前記シリカは、狭義の二酸化ケイ素(SiO)のみではなく、ケイ酸系化合物を含み、無水ケイ酸の他に、含水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等のケイ酸塩を含む。前記シリカとしては、特に制限はなく、市販のゴム組成物に使用されているものを使用することができる。前記シリカの凝集状態は特に限定はなく、沈殿法シリカ、ゲル法シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカなども含まれる。本発明においては、耐摩耗性、取り扱い性及び表面のシラノール基の数等の観点から湿式シリカを用いることが好ましい。
前記シリカの平均粒子径は、特に限定はないが、分散性及びタイヤ強度の観点から、100nm以下が好ましく、50nm以下が更に好ましい。前記シリカの平均粒子径の下限についても特に限定はないが、1nm以上が好ましく、10nm以上が更に好ましい。前記シリカの平均粒子径は、シランカップリング剤との反応前のシリカの平均粒子径を示す。前記シリカの平均粒子径は、例えば、レーザー解析散乱式粒度分布計によって測定することができる。
前記シリカのBET比表面積も特に限定はないが、例えば、10〜3000m/gが好ましく、20〜2000m/gが更に好ましい。
樹脂材料中の前記シリカの含有量は、タイヤの強度、特に亀裂耐性を高める観点から、樹脂成分100質量部に対して1〜40質量部が好ましく、10〜30質量部が更に好ましい。ここで、「樹脂成分」とは前記樹脂材料に含まれる熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂等の樹脂を意味する。
(シランカップリング剤)
前記樹脂材料には、窒素原子、カルボキシル基、酸無水物及びウレイド基から選ばれる少なくともいずれか一つを含む官能基を有するシランカップリング剤が含まれる。前記シランカップリング剤は、Si原子と、有機材料と化学結合する官能基と、シリカ等の無機材料と化学結合する官能基と、を含む。本明細書においては、有機材料と化学結合する官能基に、窒素原子、カルボキシル基、酸無水物及びウレイド基から選ばれる少なくともいずれか一つを含む。本発明におけるシランカップリング剤は、ポリアミド系熱可塑性エラストマーとシリカとの界面結合を形成させる効果を有しており、当該効果により効果的にタイヤの強度(特に亀裂耐性)を向上させることができる。尚、ウレイド基も窒素原子を含む基の一種であるが、本発明においては別に説明する。
前記官能基が窒素原子を含む場合、官能基に含まれる窒素原子の数は特に限定はなく2つ以上含んでいてもよい。前記官能基は窒素原子を含む基として、例えば、アミノ基、置換アミノ基、イソシアヌレート基又はイソシアネート基等を有することができ、アミノ基又は置換アミノ基が好ましい。前記置換アミノ基としては、シリカとの界面結合の際に置換基が脱離しアミノ基と同様の働きを有する基などを用いることができる。前記置換アミノ基としては、例えば、アミノ基にケトンが脱水縮合している基やアミノ基にアルキル基又はアリール基など置換している基などが挙げられる。前記有機材料と化学結合する官能基がアミノ基又は置換アミノ基を有する場合、当該アミノ基等の数は特に限定されない。
前記官能基がカルボキシル基又は酸無水物を含む場合、官能基に含まれるこれらの基の数は特に限定されず、2つ以上含んでいてもよい。前記酸無水物としては、無水カルボン酸等が挙げられる。
前記官能基がウレイド基を含む場合、官能基に含まれるウレイド基の数は特に限定されず、2つ以上含んでいてもよい。ウレイド基は、尿素(HN)COの水素1原子を除いて得られる1価の基HNCONH−で示すことができる。また、当該ウレイド基は置換基を有していてもよい。
前記有機材料と化学結合する官能基の構造は、特に限定されるものではないが、反応性の観点から、直鎖構造の官能基を選択することができる。また、前記有機材料と化学結合する官能基の分子量についても特に限定されるものではないが、反応性等の観点から、例えば、100以下が好ましく、70以下であることが更に好ましい。
前記無機材料と化学結合する官能基は、シリカと化学結合する基であれば特に限定はされないが、例えば、メトキシ基又はエトキシ基を挙げることができる。前記無機材料と化学結合する官能基としては、環境性、取り扱い性の観点からは、エトキシ基であることが好ましい。
本発明におけるシランカップリング剤は、窒素原子、カルボキシル基、酸無水物及びウレイド基から選ばれる少なくともいずれか一つを含む官能基を有するものであれば、特に限定なく、市販品を用いることができる。前記窒素原子を官能基に含むシランカップリング剤としては、例えば、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
また、前記カルボキシル基又は酸無水物を含むカップリング剤としては、トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物等が挙げられる。前記シランカップリング剤の中でも、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランを好適に用いることができる。
前記樹脂材料中の前記シランカップリング剤の含有量は、特に限定されるものではなく、使用するシリカの種類に応じて適宜選定することができる。この際、使用するシリカの比表面積をシランカップリング剤の含有量選定の指標の一つとすることができる。例えば、比表面積の大きなシリカの場合、比表面積の小さなシリカの場合よりもシランカップリング剤の含有量を大きくすることができる。また、シリカ表面のシラノール基の数も前記シランカップリング剤の含有量選定の指標の一つとすることができる。例えば、前記シリカとして湿式シリカを用いる場合、前記シランカップリング剤の含有量としては、シリカ100質量部に対して0.1〜20質量部とすることができ、0.1〜10質量部であることが好ましく、5〜10質量部であることが更に好ましい。
前記シリカと前記シランカップリング剤との配合方法は特に限定はなく公知の配合方法を適宜選定して用いることができる。前記シリカとシランカップリング剤との配合方法としては、例えば、前記シリカに対し、前記シランカップリング剤を、乾式法、スラリー法、スプレー法、気相反応法などを用いて直接処理する方法や、二軸混練工程などでポリアミド系熱可塑性エラストマーとシリカとを混合する際に同時にシランカップリング剤を添加するインテグラルブレンド法を用いることもできる。
前記樹脂材料には、上述のシリカ及びシランカップリング剤の他、所望に応じて、ゴム、各種充填剤(例えば、炭酸カルシウム、クレイ)、老化防止剤、オイル、可塑剤、着色剤、耐候剤、補強材等の各種添加剤を含有させてもよい。前記添加剤の樹脂材料(タイヤ骨格体)中の含有量は特に限定はなく、本発明の効果を損なわない範囲で適宜用いることができる。前記樹脂材料に添加剤など樹脂以外の成分を加える場合、前記樹脂材料中の樹脂成分の含有量は、樹脂材料の総量に対して、50質量%以上が好ましく、90質量%以上が更に好ましい。尚、樹脂材料中の樹脂成分の含有量は、前記樹脂成分の総量から各種添加剤の総含有量を差し引いた残部となる。
(樹脂材料の物性)
次に、タイヤ骨格体を構成する樹脂材料の好ましい物性について説明する。本発明におけるタイヤ骨格体は、上述の樹脂材料を用いるものである。
前記樹脂材料(タイヤ骨格体)自体の融点(又は軟化点)としては、通常100℃〜350℃、好ましくは100℃〜250℃程度であるが、タイヤの生産性の観点から120℃〜250℃程度が好ましく、120℃〜200℃が更に好ましい。
このように、融点が120℃〜250℃の樹脂材料を用いることで、例えばタイヤの骨格体を、その分割体(骨格片)を融着して形成する場合に、120℃〜250℃の周辺温度範囲で融着された骨格体であってもタイヤ骨格片同士の接着強度が十分である。このため、本発明のタイヤは耐パンク性や耐摩耗性など走行時における耐久性に優れる。尚、前記加熱温度は、タイヤ骨格片を形成する樹脂材料の融点(又は軟化点)よりも10℃〜150℃高い温度が好ましく、10℃〜100℃高い温度が更に好ましい。
前記樹脂材料は、必要に応じて各種添加剤を添加して、公知の方法(例えば、溶融混合)で適宜混合することにより得ることができる。
溶融混合して得られた樹脂材料は、必要に応じてペレット状にして用いることができる。
前記樹脂材料(タイヤ骨格体)自体のJIS K7113:1995に規定される引張降伏強さは、5MPa以上が好ましく、5MPa〜20MPaが好ましく、5MPa〜17MPaがさらに好ましい。樹脂材料の引張降伏強さが、5MPa以上であると、走行時などにタイヤにかかる荷重に対する変形に耐えることができる。
前記樹脂材料(タイヤ骨格体)自体のJIS K7113:1995に規定される引張降伏伸びは、10%以上が好ましく、10%〜70%が好ましく、15%〜60%がさらに好ましい。樹脂材料の引張降伏伸びが、10%以上であると、弾性領域が大きく、エアシール性をよくすることができる。
前記樹脂材料(タイヤ骨格体)自体のJIS K7113:1995に規定される引張破断伸びとしては、50%以上が好ましく、100%以上が好ましく、150%以上がさらに好ましく、200%以上が特に好ましい。樹脂材料の引張破断伸びが、50%以上であると、リム組み性がよく、衝突に対して破壊しにくくすることができる。
前記樹脂材料(タイヤ骨格体)自体のISO75−2又はASTM D648に規定される荷重たわみ温度(0.45MPa荷重時)としては、50℃以上が好ましく、50℃〜150℃が好ましく、50℃〜130℃がさらに好ましい。樹脂材料の荷重たわみ温度が、50℃以上であると、タイヤの製造において加硫を行う場合であってもタイヤ骨格体の変形を抑制することができる。
[第1の実施形態]
以下に、図面に従って本発明のタイヤの第1の実施形態に係るタイヤを説明する。
本実施形態のタイヤ10について説明する。図1(A)は、本発明の一実施形態に係るタイヤの一部の断面を示す斜視図である。図1(B)は、リムに装着したビード部の断面図である。図1に示すように、本実施形態のタイヤ10は、従来一般のゴム製の空気入りタイヤと略同様の断面形状を呈している。
図1(A)に示すように、タイヤ10は、図1(B)に示すリム20のビードシート21及びリムフランジ22に接触する1対のビード部12と、ビード部12からタイヤ径方向外側に延びるサイド部14と、一方のサイド部14のタイヤ径方向外側端と他方のサイド部14のタイヤ径方向外側端とを連結するクラウン部16(外周部)と、からなるタイヤケース17を備えている。
ここで、本実施形態のタイヤケース17は、ポリアミド系熱可塑性エラストマーにシリカ及び本発明におけるシランカップリング剤を含めたものを用いることができる。
本実施形態においてタイヤケース17は、単一の樹脂材料で形成されているが、本発明はこの構成に限定されず、従来一般のゴム製の空気入りタイヤと同様に、タイヤケース17の各部位毎(サイド部14、クラウン部16、ビード部12など)に異なる特徴を有する熱可塑性樹脂材料を用いてもよい。また、タイヤケース17(例えば、ビード部12、サイド部14、クラウン部16等)に、補強材(高分子材料や金属製の繊維、コード、不織布、織布等)を埋設配置し、補強材でタイヤケース17を補強してもよい。
本実施形態のタイヤケース17は、樹脂材料で形成された一対のタイヤケース半体(タイヤ骨格片)17A同士を接合させたものである。タイヤケース半体17Aは、一つのビード部12と一つのサイド部14と半幅のクラウン部16とを一体として射出成形等で成形された同一形状の円環状のタイヤケース半体17Aを互いに向かい合わせてタイヤ赤道面部分で接合することで形成されている。なお、タイヤケース17は、2つの部材を接合して形成するものに限らず、3以上の部材を接合して形成してもよい。
前記樹脂材料で形成されるタイヤケース半体17Aは、例えば、真空成形、圧空成形、インジェクション成形、メルトキャスティング等で成形することができる。このため、従来のようにゴムでタイヤケースを成形する場合に比較して、加硫を行う必要がなく、製造工程を大幅に簡略化でき、成形時間を省略することができる。
また、本実施形態では、タイヤケース半体17Aは左右対称形状、即ち、一方のタイヤケース半体17Aと他方のタイヤケース半体17Aとが同一形状とされているので、タイヤケース半体17Aを成形する金型が1種類で済むメリットもある。
本実施形態において、図1(B)に示すようにビード部12には、従来一般の空気入りタイヤと同様の、スチールコードからなる円環状のビードコア18が埋設されている。しかし、本発明はこの構成に限定されず、ビード部12の剛性が確保され、リム20との嵌合に問題なければ、ビードコア18を省略することもできる。なお、スチールコード以外に、有機繊維コード、樹脂被覆した有機繊維コード、又は硬質樹脂などで形成されていてもよい。
本実施形態では、ビード部12のリム20と接触する部分や、少なくともリム20のリムフランジ22と接触する部分に、タイヤケース17を構成する樹脂材料よりもシール性に優れた材料、例えば、ゴムからなる円環状のシール層24が形成されている。このシール層24はタイヤケース17(ビード部12)とビードシート21とが接触する部分にも形成されていてもよい。タイヤケース17を構成する樹脂材料よりもシール性に優れた材料としては、タイヤケース17を構成する樹脂材料に比して軟質な材料を用いることができる。シール層24に用いることのできるゴムとしては、従来一般のゴム製の空気入りタイヤのビード部外面に用いられているゴムと同種のゴムを用いることが好ましい。また、前記樹脂材料よりもシール性に優れる他の熱可塑性樹脂(熱可塑性エラストマー)を用いてもよい。このような他の熱可塑性樹脂としては、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系熱可塑性樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂やこれら樹脂とゴム若しくはエラストマーとのブレンド物等が挙げられる。また、熱可塑性エラストマーを用いることもでき、例えば、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、或いは、これらエラストマー同士の組み合わせや、ゴムとのブレンド物等が挙げられる。
図1に示すように、クラウン部16には、タイヤケース17を構成する樹脂材料よりも剛性が高い補強コード26がタイヤケース17の周方向に巻回されている。補強コード26は、タイヤケース17の軸方向に沿った断面視で、少なくとも一部がクラウン部16に埋設された状態で螺旋状に巻回されており、補強コード層28を形成している。補強コード層28のタイヤ径方向外周側には、タイヤケース17を構成する樹脂材料よりも耐摩耗性に優れた材料、例えばゴムからなるクラウン30が配置されている。
図2を用いて補強コード26によって形成される補強コード層28について説明する。図2は、第1実施形態のタイヤのタイヤケースのクラウン部に補強コードが埋設された状態を示すタイヤ回転軸に沿った断面図である。図2に示されるように、補強コード26は、タイヤケース17の軸方向に沿った断面視で、少なくとも一部がクラウン部16に埋設された状態で螺旋状に巻回されており、タイヤケース17の外周部の一部と共に図2において破線部で示される補強コード層28を形成している。補強コード26のクラウン部16に埋設された部分は、クラウン部16(タイヤケース17)を構成する樹脂材料と密着した状態となっている。補強コード26としては、金属繊維や有機繊維等のモノフィラメント(単線)、又は、スチール繊維を撚ったスチールコードなどこれら繊維を撚ったマルチフィラメント(撚り線)などを用いることができる。なお、本実施形態において補強コード26としては、スチールコードが用いられている。
また、図2において埋設量Lは、タイヤケース17(クラウン部16)に対する補強コード26のタイヤ回転軸方向への埋設量を示す。補強コード26のクラウン部16に対する埋設量Lは、補強コード26の直径Dの1/5以上であれば好ましく、1/2を超えることがさらに好ましい。そして、補強コード26全体がクラウン部16に埋設されることが最も好ましい。補強コード26の埋設量Lが、補強コード26の直径Dの1/2を超えると、補強コード26の寸法上、埋設部から飛び出し難くなる。また、補強コード26全体がクラウン部16に埋設されると、表面(外周面)がフラットになり、補強コード26が埋設されたクラウン部16上に部材が載置されても補強コード周辺部に空気が入るのを抑制することができる。なお、補強コード層28は、従来のゴム製の空気入りタイヤのカーカスの外周面に配置されるベルトに相当するものである。
上述のように補強コード層28のタイヤ径方向外周側にはクラウン30が配置されている。このクラウン30に用いるゴムは、従来のゴム製の空気入りタイヤに用いられているゴムと同種のゴムを用いることが好ましい。なお、クラウン30の代わりに、タイヤケース17を構成する樹脂材料よりも耐摩耗性に優れる他の種類の樹脂材料で形成したクラウンを用いてもよい。また、クラウン30には、従来のゴム製の空気入りタイヤと同様に、路面との接地面に複数の溝からなるクラウンパターンが形成されている。
以下、本実施形態のタイヤの製造方法について説明する。
(タイヤケース成形工程)
まず、上述のように前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーを含む樹脂材料を用いて、タイヤケース半体を形成する。これらタイヤケースの形成は、射出成形で行うことが好ましい。次に、薄い金属の支持リングに支持されたタイヤケース半体同士を互いに向かい合わせる。次いで、タイヤケース半体の突き当て部分の外周面と接するように図を省略する接合金型を設置する。ここで、前記接合金型はタイヤケース半体17Aの接合部(突き当て部分)周辺を所定の圧力で押圧するように構成されている。次いで、タイヤケース半体の接合部周辺を、タイヤケースを構成する樹脂材料の融点(又は軟化点)以上で押圧する。タイヤケース半体の接合部が接合金型によって加熱及び加圧されると、前記接合部が溶融しタイヤケース半体同士が融着しこれら部材が一体となってタイヤケース17が形成される。尚、本実施形態においては接合金型を用いてタイヤケース半体の接合部を加熱したが、本発明はこれに限定されず、例えば、別に設けた高周波加熱機等によって前記接合部を加熱したり、予め熱風、赤外線の照射等によって軟化又は溶融させ、接合金型によって加圧して、タイヤケース半体を接合させてもよい。
(補強コード部材巻回工程)
次に、補強コード巻回工程について図3を用いて説明する。図3は、コード加熱装置、及びローラ類を用いてタイヤケースのクラウン部に補強コードを埋設する動作を説明するための説明図である。図3において、コード供給装置56は、補強コード26を巻き付けたリール58と、リール58のコード搬送方向下流側に配置されたコード加熱装置59と、補強コード26の搬送方向下流側に配置された第1のローラ60と、第1のローラ60をタイヤ外周面に対して接離する方向に移動する第1のシリンダ装置62と、第1のローラ60の補強コード26の搬送方向下流側に配置される第2のローラ64と、及び第2のローラ64をタイヤ外周面に対して接離する方向に移動する第2のシリンダ装置66と、を備えている。第2のローラ64は、金属製の冷却用ローラとして利用することができる。また、本実施形態において、第1のローラ60又は第2のローラ64の表面は、溶融又は軟化した樹脂材料の付着を抑制するためにフッ素樹脂(本実施形態では、テフロン(登録商標))でコーティングされている。なお、本実施形態では、コード供給装置56は、第1のローラ60又は第2のローラ64の2つのローラを有する構成としているが、本発明はこの構成に限定されず、何れか一方のローラのみ(即ち、ローラ1個)を有している構成でもよい。
また、コード加熱装置59は、熱風を生じさせるヒーター70及びファン72を備えている。また、コード加熱装置59は、内部に熱風が供給される、内部空間を補強コード26が通過する加熱ボックス74と、加熱された補強コード26を排出する排出口76とを備えている。
本工程においては、まず、コード加熱装置59のヒーター70の温度を上昇させ、ヒーター70で加熱された周囲の空気をファン72の回転によって生じる風で加熱ボックス74へ送る。次に、リール58から巻き出した補強コード26を、熱風で内部空間が加熱された加熱ボックス74内へ送り加熱(例えば、補強コード26の温度を100〜200℃程度に加熱)する。加熱された補強コード26は、排出口76を通り、図3の矢印R方向に回転するタイヤケース17のクラウン部16の外周面に一定のテンションをもって螺旋状に巻きつけられる。ここで、加熱された補強コード26がクラウン部16の外周面に接触すると、接触部分の樹脂材料が溶融又は軟化し、加熱された補強コード26の少なくとも一部がクラウン部16の外周面に埋設される。このとき、溶融又は軟化した樹脂材料に加熱された補強コード26が埋設されるため、樹脂材料と補強コード26とが隙間がない状態、つまり密着した状態となる。これにより、補強コード26を埋設した部分へのエア入りが抑制される。なお、補強コード26をタイヤケース17の樹脂材料の融点(又は軟化点)よりも高温に加熱することで、補強コード26が接触した部分の樹脂材料の溶融又は軟化が促進される。このようにすることで、クラウン部16の外周面に補強コード26を埋設しやすくなると共に、効果的にエア入りを抑制することができる。
また、補強コード26の埋設量Lは、補強コード26の加熱温度、補強コード26に作用させるテンション、及び第1のローラ60による押圧力等によって調整することができる。そして、本実施形態では、補強コード26の埋設量Lが、補強コード26の直径Dの1/5以上となるように設定されている。なお、補強コード26の埋設量Lとしては、直径Dの1/2を超えることがさらに好ましく、補強コード26全体が埋設されることが最も好ましい。
このようにして、加熱した補強コード26をクラウン部16の外周面に埋設しながら巻き付けることで、タイヤケース17のクラウン部16の外周側に補強コード層28が形成される。
次に、タイヤケース17の外周面に加硫済みの帯状のクラウン30を1周分巻き付けてタイヤケース17の外周面にクラウン30を、接着剤などを用いて接着する。なお、クラウン30は、例えば、従来知られている更生タイヤに用いられるプレキュアクラウンを用いることができる。本工程は、更生タイヤの台タイヤの外周面にプレキュアクラウンを接着する工程と同様の工程である。
そして、タイヤケース17のビード部12に、加硫済みのゴムからなるシール層24を、接着剤等を用いて接着すれば、タイヤ10の完成となる。
(作用)
本実施形態のタイヤ10では、タイヤケース17が、ポリアミド系熱可塑性エラストマーとシリカと本発明におけるシランカップリング剤とを含む樹脂材料によって形成されているため、タイヤ強度(特に耐亀裂性)を向上させることができる。また、タイヤ10は従来のゴム製のタイヤに比して構造が簡易であるため重量が軽い。このため、本実施形態のタイヤ10は、耐摩擦性及び耐久性が高い。更に、タイヤケース17を射出成形できることから生産性にも非常に優れる。
また、本実施形態のタイヤ10では、樹脂材料で形成されたタイヤケース17のクラウン部16の外周面に前記樹脂材料よりも剛性が高い補強コード26が周方向へ螺旋状に巻回されていることから耐パンク性、耐カット性、及びタイヤ10の周方向剛性が向上する。なお、タイヤ10の周方向剛性が向上することで、樹脂材料で形成されたタイヤケース17のクリープが防止される。
また、タイヤケース17の軸方向に沿った断面視(図1に示される断面)で、樹脂材料で形成されたタイヤケース17のクラウン部16の外周面に補強コード26の少なくとも一部が埋設され且つ樹脂材料に密着していることから、製造時のエア入りが抑制されており、走行時の入力などによって補強コード26が動くのが抑制される。これにより、補強コード26、タイヤケース17、及びクラウン30に剥離などが生じるのが抑制され、タイヤ10の耐久性が向上する。
このように補強コード層28が、樹脂材料を含んで構成されていると、補強コード26をクッションゴムで固定する場合と比してタイヤケース17と補強コード層28との硬さの差を小さくできるため、更に補強コード26をタイヤケース17に密着及び/又は固定することができる。これにより、上述のエア入りを効果的に防止することができ、走行時に補強コード部材が動くのを効果的に抑制することができる。
更に、補強コード26がスチールコードの場合に、タイヤ処分時に補強コード26を加熱によって樹脂材料から容易に分離及び/又は回収が可能であるため、タイヤ10のリサイクル性の点で有利である。また、樹脂材料は加硫ゴムに比して損失係数(tanδ)が低いため、補強コード層28が樹脂材料を多く含んでいると、タイヤの転がり性を向上させることができる。更には、樹脂材料は加硫ゴムに比して、面内せん断剛性が大きく、タイヤ走行時の操安性や耐摩耗性にも優れるといった利点がある。
そして、図2に示すように、補強コード26の埋設量Lが直径Dの1/5以上となっていることから、製造時のエア入りが効果的に抑制されており、走行時の入力などによって補強コード26が動くのがさらに抑制される。
また、路面と接触するクラウン30を、タイヤケース17を構成する樹脂材料よりも耐摩耗性のあるゴム材で構成していることから、タイヤ10の耐摩耗性が向上する。
さらに、ビード部12には、金属材料からなる環状のビードコア18が埋設されていることから、従来のゴム製の空気入りタイヤと同様に、リム20に対してタイヤケース17、すなわちタイヤ10が強固に保持される。
ビード部12のリム20と接触する部分に、タイヤケース17を構成する樹脂材料よりもシール性のあるゴム材からなるシール層24が設けることで、タイヤ10とリム20との間のリム組み性を更に向上させることができる。
上述の実施形態では、補強コード26を加熱し、加熱した補強コード26が接触する部分のタイヤケース17の表面を溶融又は軟化させる構成としたが、本発明はこの構成に限定されず、補強コード26を加熱せずに熱風生成装置を用い、補強コード26が埋設されるクラウン部16の外周面を加熱した後、補強コード26をクラウン部16に埋設するようにしてもよい。
また、第1実施形態では、コード加熱装置59の熱源をヒーター及びファンとしているが、本発明はこの構成に限定されず、補強コード26を輻射熱(例えば、赤外線など)で直接加熱する構成としてもよい。
さらに、第1実施形態では、補強コード26を埋設した樹脂材料が溶融又は軟化した部分を金属製の第2のローラ64で強制的に冷却する構成としたが、本発明はこの構成に限定されず、樹脂材料が溶融又は軟化した部分に冷風を直接吹きかけて、樹脂材料の溶融又は軟化した部分を強制的に冷却固化する構成としてもよい。
また、第1実施形態では、補強コード26を加熱する構成としたが、例えば、補強コード26の外周をタイヤケース17と同じ樹脂材料で被覆する構成としてもよく、この場合には、被覆補強コードをタイヤケース17のクラウン部16に巻き付ける際に、補強コード26と共に被覆した樹脂材料も加熱することで、クラウン部16への埋設時におけるエア入りを効果的に抑制することができる。
また、補強コード26は螺旋巻きするのが製造上は容易だが、幅方向で補強コード26を不連続とする方法等も考えられる。
第1実施形態のタイヤ10は、ビード部12をリム20に装着することで、タイヤ10とリム20との間で空気室を形成する、所謂チューブレスタイヤであるが、本発明はこの構成に限定されず、完全なチューブ形状であってもよい。また、本発明のタイヤは、特開2012−46030号公報の第2実施形態(図4及び5)に示すようにコード部材が樹脂材料で被覆されている補強コード部材を用いた態様であってもよい。
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
以下、本発明について実施例を用いてより具体的に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
[実施例及び比較例]
各実施例及び比較例において、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(宇部興産(株)製、製品名「XPA9048」)、充填剤(シリカ)(東ソー・シリカ(株)製、製品名「ニップシールAQ」)、及び、下記表1に記載のシランカップリング剤(信越化学工業(株))を含む樹脂材料を、予め二軸混練装置(東洋精機製作所製、商品名:LABOPLASTMILL(型番:10C100)に小型二軸セグメント押し出し機(型番:2D15W)を接続した混練装置)にて混練し、その後、射出成型によってサイズ(30mm×100mm×2mm)の各実施例及び比較例の樹脂シートを作製した。この際、樹脂材料の配合比は、ポリアミド系熱可塑性エラストマー:100部、シリカ:20部、シランカップリング剤:2部とした。
(タイヤ強度:亀裂耐性試験)
得られた樹脂シートをJIS K 6251:2010に規定のダンベル状3号形に打ち抜き、予め中心部に亀裂起点を入れた試験サンプルを作製した。試験サンプルを、サーボパルサー装置(島津製作所製、商品名:SERVO PULSER)を用い、繰り返し引張りを行い、亀裂が進展して試験サンプルが破断するまでの耐久回数を記録した。この際、下記表中の比較例4(シランカップリング剤未使用)の耐久回数を基準値として各実施例及び比較例の耐久回数について下記に従って評価した。尚、比較例4の評価は「B」に含まれる。
A:基準値よりも耐久回数が100万回以上多かった。
B:基準値よりも耐久回数が0以上100万回未満多かった。
C:基準値よりも耐久回数が少なかった。
表1の結果から分かるように、シランカップリング剤未配合、並びに、従来ゴム組成物用に用いられるメルカプト基含有又はスルフィド基含有のシランカップリング剤をポリアミド系熱可塑性エラストマーとシリカとを含む樹脂材料に配合した比較例に比して、本発明におけるシランカップリング剤を配合した実施例はタイヤ強度(亀裂耐性)に優れていることが明らかであった。
10タイヤ、12 ビード部、16 クラウン部(外周部)、18 ビードコア 、20 リム、21 ビードシート、22 リムフランジ、17 タイヤケース(タイヤ骨格体)、24 シール層(シール部)、26 補強コード(補強コード部材)、28 補強コード層、30 クラウン、D 補強コードの直径(補強コード部材の直径)、L 補強コードの埋設量(補強コード部材の埋設量)

Claims (6)

  1. 樹脂材料で形成され且つ環状のタイヤ骨格体を有し、
    前記樹脂材料は、
    ポリアミド系熱可塑性エラストマーと、
    シリカと、
    窒素原子、カルボキシル基、酸無水物及びウレイド基から選ばれる少なくともいずれか一つを含む官能基を有するシランカップリング剤と、
    を含み、
    前記樹脂材料の総量に対する前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーの含有量が70質量%以上である、タイヤ。
  2. 前記官能基がアミノ基又は置換アミノ基を含む請求項1に記載のタイヤ。
  3. 前記樹脂材料中の前記シリカの含有量が、樹脂成分100質量部に対して1〜40質量部である請求項1又は請求項2に記載のタイヤ。
  4. 前記樹脂材料中の前記シランカップリング剤の含有量が、前記シリカ100質量部に対して0.1〜20質量部である請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のタイヤ。
  5. 前記シリカの平均粒子径が、100nm以下である請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のタイヤ。
  6. 前記シリカのBET比表面積が、10〜3000m/gである請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のタイヤ。
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