JP6345384B2 - 印刷配線板用樹脂組成物、並びに印刷配線板用樹脂フィルム及びその製造方法 - Google Patents

印刷配線板用樹脂組成物、並びに印刷配線板用樹脂フィルム及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、印刷配線板用樹脂組成物、並びに印刷配線板用樹脂フィルム及びその製造方法に関する。
携帯電話に代表される移動体通信機器、通信用基地局装置やその周辺機器(アンテナ、パワーアンプ、フィルタ等)では、使用する信号の高速大容量化が進んでいる。これに伴い、これらの機器に搭載される印刷配線板の信号の高周波数化対応が必要となり、印刷配線板の伝送損失の低減を可能とする基板材料が求められている。近年、このような高周波信号を扱う無線系のアプリケーションとして、ITS分野(自動車・交通システム関連)や室内の近距離通信分野でミリ波帯(30GHz〜)の信号を扱うシステムの実用化や実用計画が特に進んでいる。今後、これらの機器に搭載する印刷配線板には、伝送損失の低減がさらに要求されると予想される。
従来、低伝送損失の印刷配線板を得るために、比誘電率及び誘電正接が低いフッ素系樹脂が基板材料として使用されている。しかしながら、フッ素系樹脂はコストが高いだけでなく、溶融温度及び溶融粘度が高く、その流動性が比較的低いため、プレス成型を高温高圧条件下で行う必要があるという問題点がある。加えて、印刷配線板用途に使用するには、加工性、熱膨張特性、寸法安定性及び金属めっきとの接着性が不充分であるという問題点もある。また、フッ素系樹脂は、他の樹脂材料との接着や複合化が困難であり、用途が限定される。更にフッ素系樹脂は、基本的には熱可塑性樹脂であるために、耐熱性の要求される用途や誘電特性の温度に対する安定性の要求される用途での使用が困難である。
一方、電子機器の小型・高機能化に伴い、薄型・軽量で且つ高密度配線を可能とする基板材料が求められるようになってきている。近年、小径で且つ必要な層間のみを非貫通穴で接続するインナービアホール(IVH)構造のビルドアップ積層方式の印刷配線板が開発され、急速に普及が進んでいる。ビルドアップ積層方式の印刷配線板の絶縁層には、ガラス布等(ガラスクロス)の基材を含まない樹脂フィルムが用いられる場合が多い。一般的なEガラス布基材は、高周波帯での誘電特性が不十分であるので、ミリ波帯に必要な高周波特性を考慮した場合は、基材を含まない樹脂フィルムが適している。また、ハイスペックの高周波特性を要求されるミリ波帯のアンテナ用途等では、絶縁層の厚み精度や比誘電率のばらつき精度の要求が厳しいため、ガラス等の基材を含む複合材料よりも樹脂フィルムの方が有利である。IVH用の穴は、感光性樹脂を利用したフォトリソグラフィによる方法あるいは熱硬化性樹脂をレーザー加工機によって熱分解する等の方法で形成されている。
上述した樹脂フィルムの材料として、ビルドアップ配線板では、耐熱性能を有するエポキシ樹脂系の材料が適用されており、フレキシブル印刷配線板では、フィルム形成能を有するポリイミド系の材料が適用されている。しかしながら、これらの樹脂フィルムを備えた印刷配線板は、比誘電率及び誘電正接がともに高く、高周波特性(低伝送損失)が不十分である。このほか、高周波特性に優れる樹脂フィルムの材料として、全芳香族ポリエステルの液晶ポリマー(LCP)が最近注目されている。しかし、LCPを備えた印刷配線板は、誘電正接が低いものの、比誘電率が3以上とフッ素樹脂系材料と比べて高い。またLCPは、コストが高い上に、フッ素樹脂同様に溶融温度の高い熱可塑性樹脂であり、また加工性及び金属や他の樹脂材料との接着性が乏しいため多層化には適さず、用途が限定される。
そこで、従来から、フッ素樹脂には及ばないものの、低誘電率を示す樹脂フィルムの材料として、耐熱性熱可塑性樹脂(エンジニアリング・プラスチックス)であるポリフェニレンエーテル(PPO又はPPE)系樹脂が知られている。しかしながら、印刷配線板の絶縁層に適用するためには、実装時のはんだ接続工程に耐えられる耐熱性が必要となる。ポリフェニレンエーテル系樹脂の耐熱性や耐溶剤性を改善する方法として、ポリフェニレンエーテル系樹脂を熱硬化性樹脂で変性する方法が提案されている。例えば、熱硬化性樹脂の中でも誘電率が低いシアネートエステル樹脂を用いた樹脂フィルムとして、ポリフェニレンエーテル樹脂にシアネートエステル樹脂を配合した硬化性樹脂組成物を用いるポリフェニレンエーテル樹脂系フィルムが知られている(特許文献1参照)。
また、そのほかに、低誘電率を示す材料として、ポリフェニレンオキサイド系樹脂組成物、架橋性ポリマー及び架橋性モノマー、難燃剤あるいは難燃助剤を含有させた樹脂組成物(特許文献2参照)や、不飽和基を含む特定の硬化ポリフェニレンエーテル樹脂を適度に架橋させたフィルムなども開示されている(特許文献3参照)。また、ポリフェニレンエーテル系樹脂とシアネートエステル樹脂を用いた変性シアネートエステル系樹脂フィルム(特許文献4参照)や、ポリフェニレンエーテル含有の変性シアネートエステル樹脂等にエラストマを配合した樹脂フィルムなども開示されている(特許文献5参照)。
さらに、シアネートエステル樹脂とスチレン系エラストマ等の各種熱可塑性樹脂を配合したフィルム状接着剤が開示されている(特許文献6参照)。
その他にも、スチレンユニットを有する飽和型熱可塑性エラストマと、特定の熱硬化性樹脂と、必要に応じて当該熱硬化性樹脂の硬化剤及び硬化促進剤とを含有し、(A)成分と(B)成分との含有量の質量比を所定の範囲とし、さらにポリフェニレンエーテルを含有した樹脂組成物を半硬化又は硬化した印刷配線板用樹脂フィルムが開示されている(特許文献7参照)。
特公平1-53700号公報 特公平5-77705号公報 特開平7-188362号公報 特開平11−124451号公報 特開2003−138133号公報 特開平9−279121号公報 特開2012−122046号公報
しかしながら、本発明者らが検討したところ、特許文献1〜7に記載の材料であっても、ミリ波用途の印刷配線板に要求されるような、高周波領域における誘電特性(低比誘電率及び低誘電正接)を達成するものとしては十分とはいえなかった。特に、特許文献5に記載されているようなアクリルゴムや変性ポリブタジエン系のエラストマを含有した樹脂組成物では、高周波領域における伝送損失が顕著となっていた。また、特許文献6に記載されているようなスチレン系エラストマを配合した場合でも、使用しているエラストマが極性基含有タイプのみであるため、高周波特性だけでなく、耐湿性、耐加熱変色性等がやや不十分となっていた。さらに、本発明者らの検討によれば、特許文献1〜5に記載された材料の場合、主成分であるポリフェニレンエーテルとの相溶性を確保する観点から、併用される樹脂の種類及びその配合量が制限されるため、実用上採用し得る組成の自由度が小さいことも判明した。
また、高周波用途の印刷配線板に用いられる金属箔として、導体に起因する伝送損失(導体損失)を低減するために、表面の粗さが小さいロープロファイル箔を用いることが一般的である。しかしながら、本発明者らの検討によれば、上記特許文献1〜3に記載の樹脂組成物やフィルムをロープロファイル箔に適用した積層板は、金属箔の引きはがしにおいて、実用できるレベルの強さを確保できないことが分かった。また、特許文献4、5に記載の樹脂フィルムをロープロファイル箔に適用した場合は、十分な接着性や耐熱性は得られるものの、高周波数領域での誘電特性が不十分であった。そのため、樹脂組成物の誘電特性による伝送損失を、ロープロファイル箔を適用することによって補っても、印刷配線板全体としての伝送損失の増大を回避することは難しい傾向にあった。
さらに、特許文献7の樹脂組成物の硬化物は、無機充填材を含有していない場合、耐湿性、誘電正接のレベルが十分ではなく、誘電正接を向上させるために無機充填材を配合した場合であっても、耐湿性、耐熱性、耐薬品性等に問題があった。
そこで、本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、高周波領域における良好な誘電特性を有し、且つ、金属箔との十分な接着性も有する印刷配線板用樹脂フィルムを形成することが可能な印刷配線板用樹脂組成物、並びに印刷配線板用樹脂フィルム及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る印刷配線板用樹脂組成物は(A)スチレンユニットを有する飽和型熱可塑性エラストマと、(B)エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂及びマレイミド化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の成分と、(C)アミノ系シランカップリング剤で表面処理された球状シリカとを含有し、上記(B)成分に対する上記(A)成分の質量比W/Wが0.43〜5.0である。なお、本発明は、上記印刷配線板用樹脂組成物の半硬化物又は硬化物からなる樹脂層を備える印刷配線板用樹脂フィルムとすることもできる。
また、本発明の印刷配線板用樹脂組成物は、上述した(A)〜(C)成分を組み合わせて含むとともに、(A)成分と(B)成分との含有比率が上記特定の条件を満たすことから、本発明の印刷配線板用樹脂組成物の半硬化物又は硬化物からなる樹脂層を備える印刷配線板用樹脂フィルムは、高周波領域における比誘電率及び誘電正接がともに低いという優れた誘電特性を有している。そのため、本発明の印刷配線板用樹脂組成物の表面(片面又は両面)に金属箔(銅箔)を積層して金属張硬化樹脂フィルムとした場合に、本発明の構成要件を満たさない樹脂フィルムを使用した場合と比較して、高周波領域における優れた誘電特性を得ることができる。
また、従来は、印刷配線板用の樹脂フィルムにおいてガラスクロス等を樹脂組成物中に配さないと、樹脂フィルムの取り扱い性が悪くなり、また強度も十分に保持できなくなる傾向にあった。これに対し、本発明の印刷配線板用樹脂組成物から形成される印刷配線板用樹脂フィルムは、特に、(A)成分と(B)成分との含有比率が特定の割合で含まれるため、ガラスクロス等を有さなくても、薄く且つ取り扱い性(タック性、割れ・粉落ち等)にも優れるものとなる。
また、上述の如く、従来の樹脂フィルム等は、ロープロファイル箔と組み合わせて適用した場合、ロープロファイル箔に対する接着性や、耐熱性、高周波数領域での誘電特性が十分に得られないものであったが、本発明の印刷配線板用樹脂組成物から形成される印刷配線板用樹脂フィルムは、ロープロファイル箔等に対する引き剥がし強さが十分に高い。そのため、ロープロファイル箔を問題なく使用でき、さらに伝送損失を十分に低減した印刷配線板を提供できる。
また、本発明の印刷配線板用樹脂組成物から形成される印刷配線板用樹脂フィルムは、優れた外観性と多層化成形性とを同時に達成できるものでもある。また、本発明に係る印刷配線板用樹脂組成物は、耐熱性及び耐湿性に優れる。そして、本発明の印刷配線板用樹脂組成物を用いて得られる金属張硬化樹脂フィルムは、実装時のはんだ接続工程に耐え得る高いはんだ耐熱性を備えるとともに、耐吸湿性にも優れることから、屋外での使用用途にも適するものとなる。
さらに、本発明の印刷配線板用樹脂組成物において、上記(A)〜(C)成分は相溶性が高いため、(A)〜(C)を含む印刷配線板用樹脂組成物は幅広い組成範囲を選択することが可能である。そのため、本発明の印刷配線板用樹脂組成物は各成分の配合比率を適宜調節することによって、所望とする特性を得やすいものでもある。
本発明の印刷配線板用樹脂組成物において、上記(A)成分は、飽和型熱可塑性エラストマとして、スチレン−エチレン−ブチレン共重合体を含有していてもよい。上記(A)成分がスチレン−エチレン−ブチレン共重合体を含有すると、得られる印刷配線板用樹脂フィルムの誘電特性、耐吸湿性、導体との接着性が特に優れたものとなる。
また、(A)成分は、飽和型熱可塑性エラストマとして、スチレン−ブタジエン共重合体におけるブタジエンに由来する構造単位が有する不飽和二重結合に水素添加することにより得られた飽和型熱可塑性エラストマを含有していてもよい。このような方法で製造された飽和型熱可塑性エラストマは、スチレンとブチレンとエチレンとを共重合させて得られたものよりも安定して製造できる傾向にあると共に、コスト面においても優れる。また、水添してビニル基及び内部オレフィンをなくしたもののほうが低極性となりやすく、誘電特性の向上及び低吸湿性を得ることができる。
上記(A)成分が、数平均分子量6万未満の飽和型熱可塑性エラストマを含有していてもよい。また、数平均分子量6万未満の飽和型熱可塑性エラストマの含有量は、(A)成分の全質量中、50質量%以上とすることができる。これらの条件を満たすと、本発明の印刷配線板用樹脂組成物から形成される印刷配線板用樹脂フィルムは、導体や他の樹脂基板材料と接着させた場合に、高い接着性が得られるだけでなく、回路やビアホール付きの基板に接着させて多層板を製造する際の多層化成形性にも優れる。
さらに、(A)成分は、数平均分子量6万未満の飽和型熱可塑性エラストマとともに、数平均分子量6万以上の飽和型熱可塑性エラストマを組み合わせて含有してもよい。このように(A)成分が、数平均分子量6万未満の飽和型熱可塑性エラストマと数平均分子量6万以上の飽和型熱可塑性エラストマとを含むことで、本発明の印刷配線板用樹脂組成物から形成される印刷配線板用樹脂フィルムは、ロープロファイル箔などの表面粗さの小さい金属箔との引き剥がし強さが大きく、また、タックフリーで且つ割れや粉落ちが少ないものとなるほか、支持基材としてPETフィルムなどを用いる場合に、支持基材との離形性にも優れるものとなる。
上記(A)成分は、側鎖又は末端に無水マレイン酸基を有する化学変性飽和型熱可塑性エラストマを含有してもよい。このような印刷配線板用樹脂組成物から印刷配線板用樹脂フィルムを形成した場合、導体や他の樹脂基板材料との接着性と高周波領域での誘電特性とのバランスが良好な印刷配線板用樹脂フィルムが得られる。また、この化学変性飽和型熱可塑性エラストマの含有量は、上記(A)成分の全質量を基準として20〜50質量%であると好ましい。(A)成分における化学変性飽和型熱可塑性エラストマの含有量が上記範囲内であると、上記の効果がさらに良好に得られる。
(A)成分は、上記側鎖又は末端に無水マレイン酸基を有する化学変性飽和型熱可塑性エラストマと共に、側鎖又は末端に無水マレイン酸基を有しない非変性飽和型熱可塑性エラストマを更に含有してもよい。化学変性飽和型熱可塑性エラストマは銅箔ピール性に優れるものの、誘電特性は非変性飽和型熱可塑性エラストマに若干劣る場合があるため、非変性飽和型熱可塑性エラストマと併用することにより、得られる印刷配線板用樹脂フィルムの銅箔ピール性を保ちつつ、誘電特性を高めることができる。
上記(B)成分としてのシアネートエステル樹脂は、シアネート化合物と単官能フェノール化合物とをゲル化しないように反応させて得られたフェノール変性シアネートエステルプレポリマーであってもよい。シアネートエステル樹脂がこのような態様であると、未硬化(Bステージ)の状態のフィルムの外観及び取り扱い性や、フィルムを硬化する際の硬化性が良好となる。
フェノール変性シアネートエステルプレポリマーを得るための単官能フェノール化合物は、p−t−オクチルフェノール、p−フェニルフェノール及びp−(α−クミル)フェノールからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物であってもよい。これらの化合物を用いることで、上記印刷配線板用樹脂組成物から形成される印刷配線板用樹脂フィルムの誘電特性、耐湿性及び耐熱性を更に向上させることができる。
上記(B)成分としてのマレイミド化合物は、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン及び2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパンの少なくとも一方であってもよい。マレイミド化合物としてこれらの化合物を用いることで、吸湿性、熱膨張係数、破壊強度及び金属箔に対する引き剥がし強さをさらに向上させることができる。
本発明の印刷配線板用樹脂組成物は、(C)成分として、アミノ系シランカップリング剤で表面処理された球状シリカを含む。印刷配線板用樹脂組成物が球状シリカを含むことによって、上記印刷配線板用樹脂組成物から形成される印刷配線板用樹脂フィルムは、高周波特性や熱膨張特性等が向上するが、球状シリカがアミノ系シランカップリング剤で表面処理されていることにより、硬化の際の硬化性や、球状シリカと他の成分との反応性及び接着性を向上でき、これによって更に耐熱性の向上を図ることができる。更に、上記印刷配線板用樹脂組成物がこのような(C)成分を含むことで、得られる印刷配線板用樹脂フィルムは、プリント配線板の製造工程で使用される各種酸性や塩基性の水溶液に対する耐薬液汚染性にも優れるものとなる。
上記(C)成分において球状シリカを表面処理するアミノ系シランカップリング剤は、下記の式(1)で表されるフェニルアミノシランであってもよい。
Figure 0006345384
アミノ系シランカップリング剤として式(1)で表される化合物を用いることで、シリカの凝集等の欠陥を抑制でき、本発明の印刷配線板用樹脂組成物から形成される印刷配線板用樹脂フィルムの特性及び高周波数領域における誘電特性をさらに改善することができる。
(C)成分である球状シリカの平均粒子径は、0.01〜30μmとすることができる。球状シリカの平均粒子径がこの範囲内であると、本発明の印刷配線板用樹脂組成物から形成される印刷配線板用樹脂フィルムは、良好な成形性(内層回路充填性)を有するものとなる。
(C)成分の含有量は、上記(A)成分及び上記(B)成分との合計100質量部に対して10〜1000質量部とすることができる。これにより、(C)成分を含むことにより得られる効果が一層良好に得られるようになる。
本発明の印刷配線板用樹脂組成物は、(D)成分として下記の式(2)〜(4)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤を更に含有してもよい。これにより、上記印刷配線板用樹脂組成物から形成される印刷配線板用樹脂フィルムは、良好な誘電特性、耐湿性、耐熱性等を有するとともに、誘電特性の経年変化が小さく、しかも高い絶縁信頼性を有するものとなる。
Figure 0006345384

Figure 0006345384

Figure 0006345384
本発明の印刷配線板用樹脂組成物は、上記(B)成分の硬化剤及び/又は硬化促進剤を含んでいてもよい。これにより、上記印刷配線板用樹脂組成物から形成される印刷配線板用フィルムを得る際の反応を円滑に進めることができるとともに、当該印刷配線用樹脂フィルムの物性を適度に調節することが可能となる。
本発明の印刷配線板用樹脂フィルムは、支持基材と、この支持基材上に形成された上記樹脂層を備える構成を有していてもよい。この場合、支持基材は、金属箔又はPETフィルムの少なくとも一方であると好ましい。印刷配線板用樹脂フィルムが支持基材を備えることにより、保管性や、印刷配線板の製造に用いる際の取り扱い性が良好となる傾向にある。
本発明の印刷配線板用樹脂フィルムは、上記樹脂層の厚さが1〜200μmであってもよい。樹脂層の厚さをそのような範囲とすることにより、印刷配線板用樹脂フィルムを用いて得られる印刷配線板の薄型化を図れるだけでなく、高周波特性が優れ、且つ膜厚精度の高い絶縁層を形成することができる。
また、本発明の印刷配線板用樹脂フィルムの製造方法は、支持基材上に、上述したいずれかの印刷配線板用樹脂組成物からなる層を設け、当該印刷配線板用樹脂組成物を半硬化又は硬化する工程を含む。このような方法により、上記構成を有する本発明の印刷配線板用樹脂フィルムを良好に得ることができる。
上記印刷配線板用樹脂組成物は、上記(A)〜(C)成分を含む組成物を溶剤に溶解又は分散した樹脂ワニスであってもよい。印刷配線板用樹脂組成物を、樹脂ワニスの状態で支持基材上に流延塗布して印刷配線板用樹脂組成物からなる層を形成することにより、本発明の印刷配線板用樹脂フィルムを容易に製造することが可能となる。
また、上記の樹脂ワニスは、(C)成分を有機溶剤中に分散させたスラリーに、(A)成分を添加した後、(B)成分を添加することによって調製することができる。これにより、(C)成分のその他の成分への分散性が高められ、球状シリカの凝集が生じ難くなるので、得られる印刷配線板用樹脂フィルムの耐熱性、耐吸湿性、絶縁信頼性等が良好となる傾向にある。
本発明によれば、高周波領域における良好な誘電特性を有し、且つ、金属箔との十分な接着性も有する印刷配線板樹脂フィルムを形成することができる印刷配線板用樹脂組成物、並びに印刷配線板用樹脂フィルム及びその製造方法を提供することが可能となる。
以下、必要に応じて図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において、高周波領域とは、300MHz〜300Hzの領域を指すものとする。
本実施形態に係る印刷配線板用樹脂組成物は、(A)スチレンユニットを有する飽和型熱可塑性エラストマと、(B)エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂及びマレイミド化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種以上の成分と、(C)アミノ系シランカップリング剤で表面処理された球状シリカとを含有し、(B)成分に対する(A)成分の質量比W/Wが0.43〜5.0である。なお、当該印刷配線板用樹脂組成物の半硬化物又は硬化物からなる樹脂層を備える印刷配線板用樹脂フィルムとすることもできる。
印刷配線板用樹脂組成物が、上記(A)〜(C)成分を必須成分として組み合わせて含むことにより、当該印刷配線板用樹脂組成物から形成される印刷配線板用樹脂フィルムは、フッ素樹脂系に匹敵し、ポリフェニレンエーテル樹脂系を超える高周波特性と耐湿性を併せ持ち、且つ高接着性、高耐熱性、耐薬液汚染性を具備するものとなる。その結果、当該印刷配線板用樹脂フィルムは、ミリ波信号を含む高周波領域のアプリケーションへの適用が可能なものとなる。以下、本実施形態の印刷配線板用樹脂組成物の各成分について詳述する。
[印刷配線板用樹脂組成物]
((A)成分)
(A)成分は、分子中にスチレンユニットを有する飽和型熱可塑性エラストマである。本実施形態において、飽和型熱可塑性エラストマとは、スチレンブロックの芳香族炭化水素部分以外の脂肪族炭化水素部分が、いずれも飽和結合基によって構成された構造を有するものをいう。(A)成分は、分子中にスチレンユニットを有する飽和型熱可塑性エラストマであれば、特に限定されない。印刷配線板用樹脂組成物がこのような(A)成分の飽和型熱可塑性エラストマを含むことにより、印刷配線板用樹脂組成物がフィルム形成能を有するようになるとともに、当該印刷配線板用樹脂組成物から形成される印刷配線板用樹脂フィルムは、誘電特性、耐吸湿性、導体との接着性に優れるものとなる。
飽和型熱可塑性エラストマにおけるスチレンユニットの含有比率は、特に限定されないが、全質量に対するスチレンユニットの質量百分率で、20〜80質量%であると好ましく、30〜70質量%であるとより好ましい。スチレンユニットの含有比率が上記範囲内であると(B)成分との相容性が良好となり、フィルム外観や耐熱性、接着性に優れるため好ましい。
(A)成分の具体例としては、スチレン−エチレン−ブチレン共重合体(以下、SEBSと呼ぶ。)が挙げられる。上記SEBSは、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体のブタジエンに由来する構造単位が有する不飽和二重結合に水素添加を行うことにより得ることができる。
(A)成分は、数平均分子量6万未満の飽和型熱可塑性エラストマを含有することが好ましい。(A)成分がこのような飽和型熱可塑性エラストマを含むと、上記印刷配線板用樹脂組成物から形成される印刷配線板用樹脂フィルムを、導体や他の樹脂基板材料と接着させた場合に、両者の接着性を高めることができる。また、当該印刷配線板用樹脂フィルムを回路やビアホール付きの基板に接着させて多層板を製造する際の多層化成形性が良好となる。さらに、当該印刷配線板用樹脂フィルムが、ロープロファイル箔などの表面粗さの小さい金属箔との引き剥がし強さが大きいものとなるほか、タックフリーで、且つ割れや粉落ちがないものとなり、また支持基材としてPETフィルムなどを用いる場合の離形性にも優れるようになる。
(A)成分における数平均分子量6万未満の飽和型熱可塑性エラストマの含有量は、(A)成分の全質量を基準として、50質量%以上であることが好ましく、60〜100質量%であるとより好ましい。このような含有量であれば、(A)成分が、数平均分子量6万未満の飽和型熱可塑性エラストマを含有するときに得られる作用効果をさらに良好に得られる。さらに、(A)成分は、数平均分子量6万未満の飽和型熱可塑性エラストマとともに、数平均分子量6万以上の飽和型熱可塑性エラストマを組み合わせて含むことができる。
また、(A)成分は、側鎖又は末端に無水マレイン酸基を有する化学変性飽和型熱可塑性エラストマを含有することが好ましい。(A)成分における化学変性飽和型熱可塑性エラストマの含有量は、(A)成分の全質量を基準として、20〜50質量%であることが好ましく、20〜35質量%であるとより好ましい。印刷配線板用樹脂組成物がこのような割合で化学変性飽和型熱可塑性エラストマを含有すると、当該印刷配線板用樹脂組成物から形成される印刷配線板用樹脂フィルムの、導体や他の樹脂基板材料との接着性や、高周波領域での誘電特性が更にバランス良く良好に得られる。印刷配線板用樹脂組成物は、このような無水マレイン酸基を有する化学変性飽和型熱可塑性エラストマとともに、化学変性されていない非変性飽和型熱可塑性エラストマを組み合わせて含んでいてもよい。
ここで、化学変性飽和型熱可塑性エラストマとしては、無水マレイン酸で変性されたSEBSが挙げられる。その具体例としては、タフテックM1911、M1913、M1943等(旭化成ケミカルズ社製、)が挙げられる。一方、非変性飽和型熱可塑性エラストマとしては、非変性のSEBSが挙げられる。その具体例としては、タフテックH1041、H1051、H1043、H1053等(旭化成ケミカルズ社製、)等が挙げられる。
((B)成分)
(B)成分は、エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂及びマレイミド化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の成分である。印刷配線板用樹脂組成物は、必要に応じて、これらの(B)成分の硬化剤及び/又は硬化促進剤を含有することができる。このような(B)成分を、(A)成分と組み合わせて含有することにより、耐熱性や耐溶剤性を向上させることができる。
(B)成分として、エポキシ樹脂を用いる場合、エポキシ樹脂としては、分子内に2つ以上のエポキシ基を有するものであればどのようなものでもよい。このようなエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格型エポキシ樹脂、2官能ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ジヒドロアントラセン型エポキシ樹脂、フェノール類のジグリシジルエーテル化物、アルコール類のジグリシジルエーテル化物、及びこれらのアルキル置換体、ハロゲン化物などが挙げられる。これらは一種類単独で用いてもよいが、又は二種類以上を混合して用いてもよい。なお、高周波特性を考慮すると、ナフタレン骨格型エポキシ樹脂、2官能ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂又はジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂を用いることがより好ましい。
エポキシ樹脂を用いる場合、エポキシ樹脂の硬化剤や硬化促進剤を使用することもできる。硬化剤や硬化促進剤としては、例えば、多官能フェノール化合物、アミン化合物、イミダゾール化合物、酸無水物、有機リン化合物及びこれらのハロゲン化物などが挙げられる。多官能フェノール化合物としては、クレゾールノボラック樹脂が挙げられ、その具体例としては、KA1165(DIC製)が挙げられる。そのほかにも、多官能フェノール系硬化剤としては、フェノール−アラルキル型XLCシリーズ(三井化学製)やビフェニル−アラルキル型のMEH7800(明和化成製)等が挙げられる。アミン化合物としては、ジフェニルジアミノメタンやビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)等の芳香族ジアミン類(和歌山精化工業製)等が挙げられる。イミダゾール化合物としてはキュアゾールシリーズ(2MZ、2PZ、2E4MZ、2MZ−CN、2E4MZ−CN、2PZ−CN、2PZ−CNS等)(四国化成製)等が挙げられる。有機リン化合物としては、TPP(トリフェニルフォスフィン)等が挙げられる。
(B)成分は、エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂及びマレイミド化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種であれば、特に限定されるものではないが、中でも誘電特性、耐熱性、接着性の観点から、シアネートエステル樹脂が好ましい。さらに上記シアネートエステル樹脂が、単官能フェノール化合物を併用又は予め単官能フェノール化合物で変性したフェノール変性シアネートエステル樹脂として用いることが、誘電特性、耐湿性、耐熱性の観点から特に好ましい。
シアネートエステル樹脂としては、分子内にシアナト基を2つ以上有するシアネートエステル化合物であれば、特に限定せずに使用することができる。具体例としては、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、ビス(4−シアナトフェニル)エタン、ビス(3,5−ジメチル−4−シアナトフェニル)メタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、α,α’−ビス(4−シアナトフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン,フェノール付加ジシクロペンタジエン重合体のシアネートエステル化合物、フェノールノボラック型シアネートエステル化合物及びクレゾールノボラック型シアネートエステル化合物等が挙げられる。これらは一種類単独で用いてもよいが、又は二種類以上を混合して用いてもよい。
(B)成分として、シアネートエステル樹脂を用いる場合、シアネートエステル樹脂の硬化剤や硬化促進剤が含まれていてもよい。硬化剤や硬化促進剤としては、例えば、単官能フェノール化合物、多官能フェノール化合物、アミン化合物、酸無水物及び有機金属化合物等が挙げられる。なお、高周波特性、耐湿性、耐熱性等を考慮すると、単官能フェノール化合物及び有機金属化合物を併用することがより好ましい。また耐熱性を考慮すると上述したエポキシ樹脂を併用することも好ましい。
シアネートエステル樹脂の硬化剤として、単官能フェノール化合物を用いる場合、シアネートエステル樹脂は、特に、以下のような態様とすることができる。すなわち、シアネートエステル化合物と単官能フェノール化合物とを加熱することにより、ゲル化しないように反応させてシアネートエステル樹脂のプレポリマーを合成し、当該プレポリマーをシアネートエステル樹脂として使用する。(B)成分として、このようなプレポリマーを用いることによって、印刷配線板用樹脂組成物の未硬化(Bステージ)状態のフィルムの外観及び取り扱い性、並びにフィルムを硬化する際の硬化性の観点から好ましい。配合する単官能フェノール化合物はプレポリマーを合成する際に規定量全てを配合してもよいが、ワニスの保存安定性の観点からは、プレポリマーを合成する前後で規定量を分割して配合する方が好ましい。
単官能フェノール化合物としては、p−t−オクチルフェノール、p−フェニルフェノール、p−(α−クミル)フェノールが挙げられる。これらの化合物は、安価で、且つシアネートエステル化合物との反応性や硬化後の樹脂の耐熱性に優れるため好ましい。また、単官能フェノール化合物の配合量は、シアネートエステル樹脂のシアナト基に対するフェノール化合物の水酸基の当量比で0.01〜1.00の範囲であると好ましい。単官能フェノール化合物の配合量が上記範囲であると、得られる印刷配線板用樹脂フィルムの誘電特性、耐湿性及び耐熱性が向上するため好ましい。
また、他の硬化剤である有機金属錯体としては、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛等の2−エチルヘキサン酸塩、ナフテン酸塩及びアセチルアセトン錯体等が挙げられる。これらの中でも、特にマンガン又は亜鉛のナフテン酸塩は活性が高く、シアネートエステルのプレポリマ合成時の反応性及び硬化性が良好であるため好ましい。これらは一種類単独で用いてもよいが、又は二種類以上を混合して用いてもよい。
(B)成分として、マレイミド化合物を用いる場合、分子内にマレイミド基を2個以上含有するポリマレイミド化合物が好ましい。ポリマレイミド化合物の具体例としては、1,2−ジマレイミドエタン、1,3−ジマレイミドプロパン、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−エチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、2,7−ジマレイミドフルオレン、N,N′−(1,3−フェニレン)ビスマレイミド、N,N′−(1,3−(4−メチルフェニレン))ビスマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン、ビス(4−マレイミドフェニル)スルフィド、ビス(4−マレイミドフェニル)エ−テル、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−(3−マレイミドフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、ビス(4−マレイミドフェニル)ケトン、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル] スルホキシド、4,4′−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ビフェニル、1,3−ビス(2−(3−マレイミドフェニル)プロピル)ベンゼン、1,3−ビス(1−(4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル)−1−プロピル)ベンゼン、ビス(マレイミドシクロヘキシル)メタン、2、2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ) フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス(マレイミドフェニル)チオフェンが挙げられる。これらの中でも、得られる印刷配線板用樹脂フィルムの吸湿性及び熱膨張係数がさらに低下することから、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタンを用いることがより好ましい。あるいは、得られる印刷配線板用樹脂フィルムの破壊強度及び金属箔引き剥がし強さがさらに高まることから、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパンを用いることがより好ましい。
本実施形態において、マレイミド化合物を用いる場合、マレイミド化合物の硬化剤や硬化促進剤を併用してもよい。硬化剤や硬化促進剤としては、例えば、アミン化合物や有機過酸化物などが挙げられる。マレイミド化合物の硬化剤としてアミン化合物を用いる場合、エポキシ樹脂の硬化剤として例示した芳香族ジアミン化合物を使用することが好ましい。また、有機過酸化物としては、パーブチルP及びパーヘキシン25B等が挙げられ、これらは硬化性が良好であるため好ましい。
本実施形態において、印刷配線板用樹脂組成物における(A)成分と(B)成分の質量比W/Wは、0.43〜5.0であり、0.7〜2.0であるとより好ましく、0.8〜1.5であると更に好ましい。W/Wが上記範囲内であると、得られる印刷配線板用樹脂フィルムは、フィルム形成能、取り扱い性及び高周波帯域での誘電特性に優れるとともに、高い耐熱性、耐湿性及び接着性を有するものとなる。
((C)成分)
(C)成分は、アミノ系シランカップリング剤で表面処理された球状シリカである。(C)成分を含有することにより、上記印刷配線板用樹脂フィルムから形成される印刷配線板用樹脂フィルムの高周波特性や熱膨張特性等の向上を図りつつ、耐熱性及び耐薬液汚染性等を向上させることができる。
球状シリカのアミノ系シランカップリング剤による表面処理方法としては、例えば、(A)成分及び(B)成分を含む印刷配線板用樹脂組成物中に球状シリカを配合した後、この組成物中にアミノ系シランカップリング剤を添加する、いわゆるインテグラルブレンド処理方式や、球状シリカに乾式又は湿式で直接、アミノ系シランカップリング剤を付与する方式が知られている。しかしながら、本実施形態においては、後者の方式で表面処理された球状シリカのほうが、前者の方式で表面処理された球状シリカよりも、下記の様々な特徴を有効に発現し易い傾向にある。
アミノ系シランカップリング剤は、特に制限なく使用することができる。アミノ系シランカップリング剤としては、例えば、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミンとその部分加水分解物、3−トリメトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミンとその部分加水分解物、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩等が挙げられる。
上記アミノ系シランカップリング剤の具体例の中でも、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシランが好ましい。これらを用いることで、樹脂とシリカとの高い接着性を確保できるため好ましい。特に、上記(A)成分及び(B)成分を含む印刷配線板用樹脂組成物における、球状シリカの分散性や、樹脂との反応性及び接着性が向上することから、上記式(1)で表されるN-フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランがさらに好ましい。このようなアミノ系シランカップリング剤で表面処理された球状シリカにより、印刷配線板用樹脂組成物中で球状シリカが凝集等することによる不都合を抑制できるだけでなく、印刷配線板用樹脂組成物の硬化性を向上させつつ、さらに球状シリカと樹脂成分との反応性及び接着性を向上させることができる。その結果、当該印刷配線板用樹脂組成物から形成される印刷配線板用樹脂フィルムの高周波特性、熱膨張特性及び耐熱性等を向上させることができるとともに、プリント配線板製造工程で使用される各種酸性及び塩基性の水溶液に対する高い耐薬液汚染性も得られるようになる。
球状シリカの平均粒子径は、0.01〜30μmであることが好ましく、0.1〜10μmであることがより好ましく、0.3〜7μmであることが更に好ましい。好適な平均粒子径であるほど、上記印刷配線板用樹脂組成物から形成される印刷配線板用樹脂フィルムは、良好な成形性(内層回路充填性)を有するようになる。なお、本明細書において、球状シリカの平均粒子径とは、アミノ系シランカップリング剤による処理を施す前の球状シリカの平均粒径を指す。球状シリカの平均粒子径は、例えばレーザー回折散乱式粒度分布計によって測定することができる。
本実施形態において、(C)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計100重量部に対して、10〜1000質量部であることが好ましい。(C)成分の含有量がこのような範囲内であると、上記印刷配線板用樹脂組成物から形成される印刷配線板用樹脂フィルムは、良好な成形性(内層回路充填性)、取り扱い性、低熱膨張性、耐熱性及び導体やコア基板との接着性等を有するものとなる。
また、本実施形態において、球状シリカに対するアミノ系シランカップリング剤の添加量は特に制限されるものではないが、アミノ系シランカップリング剤の付着前の球状シリカの質量に対して、0.1〜5質量%であると好ましい。このような範囲であると、上記印刷配線板用樹脂組成物から形成される印刷配線板用樹脂フィルムの耐熱性等を十分に得ながら、(C)成分による上述したような特長を効果的に発揮することができる。
((D)成分)
本実施形態において、印刷配線板用樹脂組成物は、(D)成分として特定のフェノール系酸化防止剤を含むことができる。このフェノール系酸化防止剤としては、上記式(2)〜(4)で表される化合物の群より選ばれる少なくとも一種のフェノール系酸化防止剤が好適に用いられる。上記式(2)〜(4)で表される化合物は、比較的対称性が高い構造を有し、且つ、フェノール性水酸基に隣接するt−ブチル基が嵩高いため(バルキーな構造のため)、誘電特性の悪化を招くことなく、効率的に酸化抑制効果と絶縁劣化抑制効果を発現できる。
また、(D)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して0.01〜5質量部であると好ましい。(D)成分の含有量をそのような範囲とすることにより、上記印刷配線板用樹脂組成物から形成される印刷配線板用樹脂フィルムの誘電特性、耐湿性、耐熱性等を悪化させることなく、高温処理による誘電特性の酸化劣化の抑制及び絶縁信頼性を向上させることができる。特に(A)成分として化学変性SEBSを用いる場合に、加熱酸化による誘電特性の経年変化を抑制する効果を発揮できる。
また、本実施形態において、上記印刷配線板用樹脂組成物に、難燃剤や各種添加剤等を必要に応じて更に配合してもよい。これらの添加物は、当該印刷配線板用樹脂組成物から形成される印刷配線板用樹脂フィルムの取り扱い性、誘電特性、耐熱性、導体及び他の樹脂材料との接着性、耐湿性、Tg、熱膨張特性等のフィルム特性を悪化させない範囲の配合量で配合することができる。
難燃剤としては、特に限定されないが、臭素系、リン系、金属水酸化物等の難燃剤が好適に用いられる。臭素系難燃剤としては、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂等の臭素化エポキシ樹脂、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、エチレンビステトラブロモフタルイミド、1,2−ジブロモ−4−(1,2−ジブロモエチル)シクロヘキサン、テトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリスチレン及び2,4,6−トリス(トリブロモフェノキシ)−1,3,5−トリアジン等の臭素化添加型難燃剤、トリブロモフェニルマレイミド、トリブロモフェニルアクリレート、トリブロモフェニルメタクリレート、テトラブロモビスフェノールA型ジメタクリレート、ペンタブロモベンジルアクリレート及び臭素化スチレン等の不飽和二重結合基含有の臭素化反応型難燃剤等が挙げられる。これらの難燃剤は一種類を単独で用いてもよく、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
リン系難燃剤としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジルジ−2,6−キシレニルホスフェート及びレゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)等の芳香族系リン酸エステル、フェニルホスホン酸ジビニル、フェニルホスホン酸ジアリル及びフェニルホスホン酸ビス(1−ブテニル)等のホスホン酸エステル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、ジフェニルホスフィン酸メチル、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド誘導体等のホスフィン酸エステル、ビス(2−アリルフェノキシ)ホスファゼン、ジクレジルホスファゼン等のホスファゼン化合物、リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラム、ポリリン酸アンモニウム、リン含有ビニルベンジル化合物及び赤リン等のリン系難燃剤を例示でき、金属水酸化物難燃剤としては水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウム等が例示される。これらの難燃剤は一種類を単独で用いてもよく、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
難燃剤の配合割合は、特に限定されないが、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対して、10〜200質量部とすることが好ましく、15〜150質量部とすることがより好ましく、20〜100質量部とすることが更に好ましい。難燃剤の配合割合が10質量部未満では、得られる印刷配線板用樹脂フィルムの耐燃性が不十分となる傾向があり、200質量部を超えると得られる印刷配線板用樹脂フィルムの耐熱性、接着性、フィルム形成能及び成形性が低下する傾向にある。
各種添加剤としては、特に限定されないが、例えば、アミノ系以外のシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、熱安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤、滑剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、二種類以上を併用してもよい。
本実施形態に係る印刷配線板用樹脂フィルムは、上述した印刷配線板用樹脂組成物の半硬化物又は硬化物からなる樹脂層を少なくとも備えるものであり、当該樹脂層のみを備えていてもよく、当該樹脂層と他の層とを組み合わせて有していてもよい。例えば、印刷配線板用樹脂フィルムは、支持基材と、この支持基材上に形成された上記樹脂層を備える構成を有していてもよい。この支持基材は、製造時に下地として使用される基材でもよく、製造後に取り付けたものであってもよい。支持基材としては、金属箔又はPETフィルムが挙げられる。
[印刷配線板用樹脂フィルムの製造方法]
(印刷配線板用樹脂組成物及び樹脂ワニスの調製)
次に、印刷配線板用樹脂フィルムの製造方法の好適な例について説明する。まず、本実施形態において、印刷配線板用樹脂フィルムを形成するための印刷配線板用樹脂組成物を調製する方法は、特に制限されないが、例えば、以下の方法が挙げられる。
すなわち、まず、上記(A)〜(C)成分及び必要に応じて併用されるその他の成分を混合して、印刷配線板用樹脂組成物を得る。この際、(A)〜(C)成分及びその他の成分の混合方法としては、例えば、これらの成分に有機溶媒を加えて公知の方法で攪拌し、これらの成分を有機溶媒に溶解又は分散させる方法が挙げられる。これにより、印刷配線板用樹脂組成物は、(A)〜(C)成分及びその他の成分が、有機溶媒に溶解又は分散した樹脂ワニスとなる。
有機溶媒としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール類、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノメチルエーテル、カルビトール、ブチルカルビトール等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類、メトキシエチルアセテート、エトキシエチルアセテート、ブトキシエチルアセテート、酢酸エチル等のエステル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の含窒素類等の溶媒が挙げられる。特に、(A)成分の良溶媒であるトルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類や、これらの芳香族炭化水素類とアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類との混合溶媒が、フィルムとした時の外観が良好となるため好ましい。これらの溶媒は、一種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態において樹脂ワニスを調製する場合、樹脂ワニス中の(C)成分の分散性を良好にする観点から、(C)成分を有機溶剤中に分散させてシリカスラリーを調製することが好ましい。そして、このシリカスラリーに、(A)成分を添加し、(A)成分が溶解又は均一に分散した後に、(B)成分を添加する手順にて、樹脂ワニスを製造することが好ましい。
また、印刷配線板用樹脂組成物をワニスとする際には、ワニス中の固形分(不揮発分)濃度が、5〜80質量%となるように溶媒の使用量を調節することが好ましい。なお、後述の印刷配線板用樹脂フィルムを製造する工程において、印刷配線板用樹脂組成物を塗布した後に溶媒を蒸発等させることによって溶媒量を調節することもできる。この場合には、樹脂ワニスを、良好な外観及び所望の膜厚が得られるような固形分(不揮発分)濃度及びワニス粘度に調製することができる。
(印刷配線板用樹脂フィルムの製造)
本実施形態では、上記のような樹脂ワニスを用いて、公知の方法により印刷配線板用樹脂フィルムを製造することができる。例えば、上記樹脂ワニスを、金属箔、PETのような耐熱性フィルム等の支持基材上に、キスコーター、ロールコーター、コンマコーター等を用いて塗布した後、加熱乾燥炉中等で、例えば70〜250℃(溶媒を使用した場合は溶媒の揮発可能な温度以上)、好ましくは70〜200℃の温度で、1〜30分間、好ましくは3〜15分間乾燥する。これにより、印刷配線板用樹脂組成物が半硬化(Bステージ化)した状態の樹脂層を備える印刷配線板用樹脂フィルムを得ることができる。さらに、この半硬化した状態の樹脂層を備える印刷配線板用樹脂フィルムを、加熱炉で更に170〜250℃、好ましくは185〜230℃の温度で、60〜150分間加熱させることによって印刷配線板用樹脂組成物が硬化した状態の樹脂層を備える印刷配線板用樹脂フィルムが得られる。なお、ワニスの形態にしていない印刷配線板用樹脂組成物からであっても、同様の方法で印刷配線板用樹脂フィルムを作製することができる。
[金属張硬化樹脂フィルムの製造]
上記の印刷配線板用樹脂フィルムを用い、金属張硬化樹脂フィルムを製造することができる。印刷配線板用樹脂フィルムとしては、支持基材である金属箔若しくは耐熱性フィルム上に半硬化状態の印刷配線板用樹脂組成物から形成される印刷配線板用樹脂フィルムや、これから支持基材を剥離してなり、半硬化の印刷配線板用樹脂組成物からなる樹脂層のみから構成される印刷配線板用樹脂フィルムを用いることができる。
これらの印刷配線板用樹脂フィルムを1枚又は複数枚重ね、その片面又は両面に金属箔を配置し、170〜250℃、好ましくは185〜230℃の温度及び0.5〜5.0MPaの圧力で60〜150分間加熱・加圧することにより、樹脂層の両面又は片面に金属箔を備える金属張樹脂フィルムが得られる。加熱・加圧は、真空中で行うことが好ましく、例えば、真空度は10kPa以下、好ましくは5kPa以下とすることができる。加熱・加圧は、開始から30分間〜成形終了時間まで実施することが好ましい。
[多層印刷配線板の製造]
さらに、上記の印刷配線板用樹脂フィルムは、ビルドアップ配線板等の多層印刷配線板の製造に用いることもできる。印刷配線板用樹脂フィルムとしては、支持基材である金属箔若しくは耐熱性フィルム上に半硬化状態の印刷配線板用樹脂組成物からなる樹脂層を備える印刷配線板用樹脂フィルムや、これから支持基材を剥離してなり、半硬化の印刷配線板用樹脂組成物からなる樹脂層のみから構成される印刷配線板用樹脂フィルムを用いることができる。
まず、回路形成加工されたコア基板の片面又は両面に、印刷配線板用樹脂フィルムを配置するか、あるいは複数枚のコア基板の間に印刷配線板用樹脂フィルムを配置し、加圧・加熱ラミネート成形又は加圧・加熱プレス成形を行って各層を接着した後、公知の方法によって、レーザー穴開け加工、ドリル穴開け加工、金属めっき加工、金属エッチング等による回路形成加工を行うことで、多層印刷配線板を製造することができる。コア基板上又はコア基板間に印刷配線板用樹脂フィルムを配置する際、印刷配線板用樹脂フィルムが支持基材を有している場合、支持基材は、事前に剥離しておくか、或いは、樹脂層をコア基板に張り付けた後に剥離することができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明を更に詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[樹脂ワニスの調製]
下記手順に従って、各種の樹脂ワニスを調製した。調製例1〜16及び比較調製例1〜12の樹脂ワニスの調製に用いた各原材料の使用量は、表1及び表2にまとめて示す。
(調製例1)
温度計、還流冷却器、減圧濃縮装置及び撹拌装置を備えた1リットル容のセパラブルフラスコに、トルエンと、(A)成分としてスチレン−ブタジエン共重合体の水素添加物(タフテックH1051、スチレン含有比率:42%、Mn:66,000、旭化成ケミカルズ社製)とを投入し、フラスコ内の温度を80℃に設定して撹拌溶解した。次いで、(B)成分としてビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC−3000H,日本化薬製)及びクレゾールノボラック樹脂(KA1165、DIC製)を配合して溶解確認後、フラスコを室温まで冷却した。その後、成分(C)として、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(KBM−602、信越化学工業社製)を処理量1質量%で予め表面処理した球形シリカ(SO−25R、平均粒径:0.5μm、アドマテックス社製)のスラリー(分散媒:メチルイソブチルケトン、固形分:70質量%、ナノマイザー分散機による強制分散処理実施)を配合し、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ、四国化成製)を添加後、メチルエチルケトンを配合・攪拌して固形分濃度約45質量%の樹脂ワニスを調製した。
(調製例2)
(A)成分のタフテックH1051の1/2量を、数平均分子量が6万未満のスチレン−ブタジエン共重合体の水素添加物(タフテックH1041、スチレン含有比率:30%、Mn:58,000、旭化成ケミカルズ社製)に置き換えたこと以外は調製例1と同様にして樹脂ワニスを調製した。
(調製例3)
(A)成分のタフテックH1051の一部を、マレイン酸変性スチレン−ブタジエン共重合体の水素添加物(タフテックM1913、スチレン含有比率:30%、Mn:55,000、旭化成ケミカルズ社製)に置き換えたこと以外は調製例2と同様にして樹脂ワニスを調製した。
(調製例4)
(D)成分として、上記式(2)で表されるフェノール系酸化防止剤(アデカ社製アデカスタブAO−20)を表1に示す配合量で更に配合したこと以外は調製例3と同様にして樹脂ワニスを調製した。
(調製例5)
温度計、還流冷却器、減圧濃縮装置及び撹拌装置を備えた1リットル容のセパラブルフラスコに、トルエンと、(B)成分として2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン(BADCY,ロンザ製)と、p−(α−クミル)フェノール(東京化成工業製)とを投入し、溶解確認後に液温を110℃に保った後で反応促進剤としてナフテン酸マンガン(和光純薬工業製)を配合し、約3時間加熱反応させてフェノール変性シアネートプレポリマー溶液を得た。次いで反応液を冷却し、内温が80℃になったら、(A)成分としてタフテックH1051と、トルエン及びメチルエチルケトンとを攪拌しながら配合して溶解を確認後にフラスコを室温まで冷却した。その後、成分(C)として、N-フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−573、信越化学工業社製)を処理量1質量%で予め表面処理した球形シリカ(SO−25R、平均粒径:0.5μm、アドマテックス社製)のスラリー(分散媒:メチルイソブチルケトン、固形分:70質量%、ナノマイザー分散機による強制分散処理実施)を配合し、硬化促進剤としてナフテン酸亜鉛(和光純薬工業製)を配合して固形分濃度約45質量%の樹脂ワニスを調製した。
(調製例6)
調製例5において、(A)成分のタフテックH1051の一部を、数平均分子量が6万以下のスチレン−ブタジエン共重合体の水素添加物(タフテックH1043、スチレン含有比率:67%、Mn:47,000、旭化成ケミカルズ社製)及びタフテックM1913に置き換えこと以外は調製例5と同様にして樹脂ワニスを調製した。
(調製例7)
(D)成分として、上記式(3)で表されるフェノール系酸化防止剤(アデカ社製アデカスタブAO−80)を表1に示す配合量で配合したこと以外は調製例5と同様にして樹脂ワニスを調製した。
(調製例8)
(D)成分として、上記式(4)で表されるフェノール系酸化防止剤(アデカ社製アデカスタブAO−330)を表1に示す配合量で更に配合したこと以外は調製例6と同様にして樹脂ワニスを調製した。
(調製例9)
温度計、還流冷却器、減圧濃縮装置及び撹拌装置を備えた1リットル容のセパラブルフラスコに、トルエンと、(A)成分としてタフテックH1051とを投入し、フラスコ内の温度を80℃に設定して撹拌溶解した。次いで、(B)成分としてビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン(BMI−5100、大和化成製)を配合して溶解確認後、フラスコを室温まで冷却した。その後、成分(C)として、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−903、信越化学工業社製)を処理量1質量%で予め表面処理した球形シリカ(SO−25R、平均粒径:0.5μm、アドマテックス社製)のスラリー(分散媒:メチルイソブチルケトン、固形分:70質量%、ナノマイザー分散機による強制分散処理実施)を配合し、硬化促進剤として1,1′−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(パーブチルP、日本油脂社製)を添加後、メチルエチルケトンを配合・攪拌して固形分濃度約45質量%の樹脂ワニスを調製した。
(調製例10)
(A)成分のタフテックH1051の一部をタフテックH1041及びタフテックM1913に置き換えたこと以外は調製例9と同様にして樹脂ワニスを調製した。
(調製例11)
(D)成分として、アデカスタブAO−20を表1に示す配合量で更に配合し、さらに(C)成分であるKBM−903をKBM−573に置き換えたこと以外は調製例10と同様にして樹脂ワニスを調製した。
(調製例12)
(A)成分のタフテックH1051の一部を、タフテックH1043に置き換えて、希釈溶媒をトルエンのみにし、且つ各成分を表1に示す配合量で配合したこと以外は調製例5と同様にして樹脂ワニスを調製した。
(調製例13)
(A)成分のタフテックH1051の一部を、タフテックH1041及びM1913に置き換え、且つ、各成分を表1に示す配合量で配合したこと以外は調製例9と同様にして樹脂ワニスを調製した。
(調製例14)
(フェノール変性シアネートプレポリマーの作製)
温度計、還流冷却器、減圧濃縮装置及び撹拌装置を備えた1リットル容のセパラブルフラスコにトルエン、(B)成分として2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン(BADCY,ロンザ製)、p−(α−クミル)フェノール(東京化成工業製)を投入し、溶解確認後に液温を110℃に保った後で反応促進剤としてナフテン酸マンガン(和光純薬工業製)を配合し,約3時間加熱反応させた後、反応液を冷却しフェノール変性シアネートプレポリマー溶液を得た。
(樹脂ワニスの調整)
1リットルのポリビンに、(C)成分として、KBM−573を処理量1質量%で予め表面処理した球形シリカ(SO−25R、平均粒径:0.5μm、アドマテックス社製)のスラリー(分散媒:メチルイソブチルケトン、固形分:70質量%、ナノマイザー分散機による強制分散処理実施)を投入し、次いで、(A)成分として予めトルエンに溶解させたタフテックH1051を配合した。次に、この溶液に上記で作製したフェノール変性シアネートプレポリマー溶液を配合・攪拌後、硬化促進剤としてナフテン酸亜鉛(和光純薬工業製)、メチルエチルケトンを配合して固形分濃度約45質量%の樹脂ワニスを調製した。
(調製例15)
各成分の配合量を表1に示すように変更し、H1051の配合量と、BMI−5100及びパーブチルPの合計量との比率が変わるようにしたこと以外は調整例9と同様にして樹脂ワニス(固形分濃度約45質量%)を調製した。
(調製例16)
各成分の配合量を表1に示すように変更し、H1051の配合量と、BMI−5100及びパーブチルPの合計量との比率が変わるようにしたこと以外は調整例9と同様にして樹脂ワニス(固形分濃度約45質量%)を調製した。
(比較調製例1)
温度計、還流冷却器、撹拌装置を備えた1リットルのセパラブルフラスコに、トルエン、ポリフェニレンエーテル樹脂(S202A、旭化成ケミカルズ社製、Mn:16000)を投入し、フラスコ内の温度を90℃に設定して撹拌溶解した。次いで、トリアリルイソシアヌレート(TAIC、日本化成社製)を配合し、溶解又は均一分散したことを確認後、室温まで冷却した。次いで、撹拌しながら室温まで冷却後、ビニルトリメトキシシラン(KBM−1003、信越化学工業社製)を処理量1質量%で予め表面処理した球形シリカ(SO−25R、平均粒径:0.5μm、アドマテックス社製)のスラリー(分散媒:メチルイソブチルケトン、固形分:70質量%、ナノマイザー分散機による強制分散処理実施)硬化促進剤として1,1′−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン(パーブチルP、日本油脂社製)を添加した後、メチルエチルケトンを配合して樹脂ワニス(固形分濃度約45質量%)を調製した。
(比較調製例2)
タフテックH1051の代わりにポリフェニレンエーテル樹脂(S202A)を用い、KBM602の代わりにKBM1003を用いたこと以外は、調製例1と同様にして樹脂ワニス(固形分濃度約45質量%)を調製した。
(比較調製例3)
H1051の代わりにM1913を用い、KBM573の代わりにKBM1003を用いて表2に示す配合量で配合したこと以外は、調製例5と同様にして樹脂ワニス(固形分濃度約45質量%)を調製した。
(比較調製例4)
フェノール変性シアネートエステルプレポリマーの代わりに2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン(BADCY,ロンザ製)を用いて表2に示す配合量で配合したこと以外は、比較調製例3と同様にして樹脂ワニス(固形分濃度約45質量%)を調製した。
(比較調製例5)
温度計、還流冷却器、撹拌装置を備えた1リットルのセパラブルフラスコに、トルエンと、ポリフェニレンエーテル樹脂(S202A、旭化成ケミカルズ社製、Mn:16000)とを投入し、フラスコ内の温度を90℃に設定して撹拌溶解した。次いで、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン(BADCY,ロンザ製)、p−tert−オクチルフェノール(和光純薬工業株式会社製)を投入、溶解後、ナフテン酸マンガン(和光純薬工業製)を配合して約3時間加熱反応させた。次いで、トルエン及びメチルエチルケトンを攪拌しながら配合した後、フラスコを室温まで冷却した後、3−グリシドキシプロピルトリメトキシ(KBM−403)、信越化学工業社製)を処理量1質量%で予め表面処理した球形シリカ(SO−25R、平均粒径:0.5μm、アドマテックス社製)のスラリー(分散媒:メチルイソブチルケトン、固形分:70質量%、ナノマイザー分散機による強制分散処理実施)を配合し、硬化促進剤としてナフテン酸亜鉛(和光純薬工業製)を配合して樹脂ワニス(固形分濃度=45質量%)を製造した。
(比較調製例6)
エポキシ変性ポリブタジエン系エラストマ(ダイセル化学工業社製、PB―3600)を表2に示す配合量で追加配合したこと以外は、比較調製例5と同様にして樹脂ワニス(固形分濃度約45質量%)を調製した。
(比較調製例7)
H1051の配合量と、BMI−5100及びパーブチルPの合計量との比率を表2に示すように変更したこと以外は調整例9と同様にして樹脂ワニス(固形分濃度約45質量%)を調製した。
(比較調製例8)
H1051の配合量と、BMI−5100及びパーブチルPの合計量との比率を表2に示すように変更したこと以外は調整例9と同様にして樹脂ワニス(固形分濃度約45質量%)を調製した。
(比較調製例9)
H1051の代わりに、スチレン−ブタジエン共重合体のブタジエン部分の不飽和二重結合基を水素添加していない不飽和型熱可塑性エラストマ(タフプレン125、旭化成ケミカルズ社製)に変更したこと以外は調整例9と同様にして樹脂ワニス(固形分濃度約45質量%)を調製した。
(比較調製例10)
KBM−573の代わりにKBM−1003に変更したこと以外は調整例5と同様にして樹脂ワニス(固形分濃度約45質量%)を調製した。
(比較調製例11)
KBM−573の代わりにKBM−403に変更したこと以外は調整例5と同様にして樹脂ワニス(固形分濃度約45質量%)を調製した。
(比較調製例12)
KBM−573の代わりに、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシ(KBM−503)に変更したこと以外は調整例5と同様にして樹脂ワニス(固形分濃度約45質量%)を調製した。
Figure 0006345384
Figure 0006345384
[半硬化(Bステージ)状態の樹脂層を備える樹脂フィルムの作製]
調製例1〜16及び比較調製例1〜12で得られた樹脂ワニスを、コンマコータを用いて、厚さ38μmのPETフィルム(G2−38、帝人製)からなる支持基材上に塗工して(乾燥温度:130℃)、半硬化(Bステージ)状態の樹脂層を備える、膜厚50μmのPETフィルム付き樹脂フィルムを作製した。なお、調製例2〜4、6、8、10〜13、1、5、7、9、及び14〜16の樹脂ワニスを用いて作製した半硬化樹脂フィルムが実施例2〜4、6、8、及び10〜13、並びに参考例1、5、7、9、及び14〜16に、比較調製例1〜12の樹脂ワニスを用いて作製した半硬化樹脂フィルムが比較例1〜12にそれぞれ該当する。
[樹脂フィルムの評価]
実施例2〜4、6、8、及び10〜13、参考例1、5、7、9、及び14〜16、並びに比較例1〜12の樹脂フィルムの外観及び取り扱い性を評価した。評価結果を表3に示す。外観は目視により評価し、樹脂フィルムの表面に多少なりともムラ、スジ等があり、表面平滑性に欠けるものを×、ムラ、スジ等がなく、均一なものを○とした。また取り扱い性は、25℃において表面に多少なりともべたつき(タック)があるもの又はカッターナイフで切断した際に樹脂割れや粉落ちがあるものを×、それ以外を○とした。
回路パターンが形成されたガラス布基材エポキシ樹脂銅張積層板を内層回路基板とし、その両面に、PETフィルムを剥離した上記の樹脂フィルムを1枚乗せ、その上に厚さ12μmの電解銅箔(YGP−12、日本電解製)を配置し、その上に鏡板を乗せ、200℃/3.0MPa/70分のプレス条件で加熱加圧成形して、4層配線板を作製した。この4層配線板の最外層の銅箔をエッチングし、回路埋め込み性(多層化成形性)を評価した。評価結果を表3に示す。多層化成形性は目視により評価し、ボイド、カスレが多少なりともあるものを×、回路に均一に樹脂が充填されており均一なものを○とした。
[両面金属張硬化樹脂フィルムの作製]
上述の樹脂フィルムのPETフィルムを剥離し、これを2枚重ね、その両面に、厚さ18μのロープロファイル銅箔(F3−WS、M面Rz:3μm、古河電気工業社製)をその粗化(M)面が接するように配置し、その上に鏡板を乗せ、200℃/3.0MPa/70分のプレス条件で加熱加圧成形して、両面金属張硬化樹脂フィルム(厚さ:0.1mm)を作製した。
[両面金属張硬化樹脂フィルムの特性評価]
上述の実施例2〜4、6、8、及び10〜13、参考例1、5、7、9、及び14〜16、並びに比較例1〜12の両面金属張硬化樹脂フィルムについて、取り扱い性、誘電特性、銅箔引きはがし強さ、はんだ耐熱性、吸水率、絶縁信頼性を評価した。その評価結果を表3に示す。金属張硬化樹脂フィルムの特性評価方法は以下の通りである。
[取り扱い性の評価]
取り扱い性は、両面金属張硬化樹脂フィルムの外層銅箔をエッチングしたものを180度折り曲げることにより評価した。折り曲げた際、割れやクラックが多少なりとも発生したものを×、折り曲げを止めた際、変化がなかったものを○とした。
[誘電特性(比誘電率、誘電正接)の測定]
誘電特性は、両面金属張硬化樹脂フィルムの外層銅箔をエッチングしたものを空洞共振器摂動法により測定した。条件は、周波数:1GHz、測定温度:25℃とした。また、105℃の恒温槽で1000時間放置した後のサンプルについても同様に測定した。なお、表中の加熱処理後は常態からの変動量を示した。
[銅箔引きはがし強さの測定]
両面金属張硬化樹脂フィルムの銅箔引きはがし強さは、銅張積層板試験規格JIS−C−6481に準拠して測定した。
[はんだ耐熱性の評価]
はんだ耐熱性は、50mm角に切断した上述の両面金属張硬化樹脂フィルムの片側の銅箔をエッチングし、その常態及びプレッシャークッカーテスト(PCT)装置(条件:121℃、2.2気圧)において、所定時間(1、3及び5時間)処理した後のものを、288℃の溶融はんだ上に20秒間フロートし、処理時間が異なる3枚の硬化樹脂フィルムのそれぞれの外観を目視で調べた。なお、表中の数字は、はんだフロート後の硬化樹脂フィルム3枚のうち、フィルム内部及びフィルムと銅箔間に膨れやミーズリングの発生が認められなかったものの枚数を意味する。
[吸水率の測定]
吸水率は、50mm角に切断した上述の両面金属張硬化樹脂フィルムの両面の銅箔をエッチングし、その常態及びプレッシャークッカーテスト(PCT)装置(条件:121℃、2.2気圧)中に所定時間(5時間)処理した後のものの質量差から算出した。
[絶縁信頼性の評価]
絶縁信頼性は、両面金属張硬化樹脂フィルムの片面の銅箔をエッチングすることにより、L/S=100/100(μm)のくし型パターンを形成して、85℃/85%RHの恒温高湿下で100V印加/1000時間処理前後のライン間の絶縁抵抗を測定した。表中の数字は評価したn数=5のうち、抵抗値が1×1013Ω以上を確保したものの数を意味する。
Figure 0006345384
表3に示した結果から明らかなように、本発明の印刷配線板用樹脂フィルムに対応する樹脂フィルム(実施例2〜4、6、8、及び10〜13、並びに参考例1、5、7、9、及び14〜16)によれば、比較例1〜12の樹脂フィルムと比較して、外観性(表面均一性)、取り扱い性(タック性、割れ・粉落ち等)に問題がなく、多層化成形性も良好であることが確認された。
また、実施例2〜4、6、8、及び10〜13、並びに参考例1、5、7、9、及び14〜16の樹脂フィルムから作製した硬化後の樹脂フィルムは、いずれも比誘電率2.9以下、誘電正接0.006以下と優れていた。また、はんだ耐熱性や銅箔引きはがし強さ、吸水率に関しても実用に十分な特性を有していた。特に、配合手順を更に最適化した調製例14の樹脂ワニスにより得られた参考例14の樹脂フィルムは、更に良好な低吸湿性と優れた絶縁信頼性を示した。さらに、(D)成分を配合した系は絶縁信頼性が特に優れ、配合していない配合系と比較して、誘電特性の加熱ドリフト性が良好となった。
これに対し、比較例1〜12の樹脂フィルムでは、外観性、取り扱い性に問題があり、実施例と比較して誘電特性、はんだ耐熱性、銅箔引きはがし強さ、吸水率等も比較的劣る結果が得られた。
本発明の印刷配線板用樹脂フィルムは、ビルドアップ配線板の製造に適したフィルム形成能や取り扱い性を保持しつつ、約2.9以下と無機充填剤入りフッ素樹脂基板材料と同等レベルの比誘電率を有し、且つ誘電正接も低く、また液晶ポリマーよりも良好な誘電特性を示すことから、ミリ波帯を越えるような高周波帯域でも伝送損特性を発現し、且つ良好な低吸湿性、はんだ耐熱性、銅箔引きはがし強さを兼ね備えている。したがって、1GHz以上の高周波信号を扱う移動体通信機器やその基地局装置、サーバー、ルーター等のネットワーク関連電子機器及び大型コンピュータ等の各種電気・電子機器に使用される印刷配線板の部材・部品用途として有用である。

Claims (23)

  1. (A)スチレンユニットを有する飽和型熱可塑性エラストマと、
    (B)エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂及びマレイミド化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の成分と、
    (C)アミノ系シランカップリング剤で表面処理された球状シリカと、
    を含有し、
    前記(B)成分に対する前記(A)成分の質量比W/Wが0.43〜5.0であり、
    前記(A)成分が、数平均分子量6万未満の飽和型熱可塑性エラストマを含有する、印刷配線板用樹脂組成物。
  2. 前記アミノ系シランカップリング剤が、下記式(1)で表されるフェニルアミノシランである、請求項1に記載の印刷配線板用樹脂組成物。
    Figure 0006345384
  3. 前記球状シリカの平均粒子径が0.01〜30μmである、請求項1又は2に記載の印刷配線板用樹脂組成物。
  4. 前記(C)成分の含有量が、前記(A)成分及び前記(B)成分の合計100質量部に対して10〜1000質量部である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の印刷配線板用樹脂組成物。
  5. 前記(A)成分が、スチレン−エチレン−ブチレン共重合体を含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の印刷配線板用樹脂組成物。
  6. 前記(A)成分が、スチレン−ブタジエン共重合体におけるブタジエンに由来する構造単位が有する不飽和二重結合に水素添加することにより得られた飽和型熱可塑性エラストマを含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の印刷配線板用樹脂組成物。
  7. 前記数平均分子量6万未満の飽和型熱可塑性エラストマの含有量が、前記(A)成分の全質量中、50質量%以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の印刷配線板用樹脂組成物。
  8. 前記(A)成分が、数平均分子量6万以上の飽和型熱可塑性エラストマを更に含有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の印刷配線板用樹脂組成物。
  9. 前記(A)成分が、側鎖又は末端に無水マレイン酸基を有する化学変性飽和型熱可塑性エラストマを含有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の印刷配線板用樹脂組成物。
  10. 前記化学変性飽和型熱可塑性エラストマの割合が、前記(A)成分の全質量中、20〜50質量%である、請求項記載の印刷配線板用樹脂組成物。
  11. 前記(A)成分が、側鎖又は末端に無水マレイン酸基を有しない非変性飽和型熱可塑性エラストマを更に含有する、請求項9又は10記載の印刷配線板用樹脂組成物。
  12. 前記シアネートエステル樹脂が、シアネート化合物と単官能フェノール化合物とをゲル化しないように反応させて得られたフェノール変性シアネートエステルプレポリマーである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の印刷配線板用樹脂組成物。
  13. 前記単官能フェノール化合物が、p−t−オクチルフェノール、p−フェニルフェノール、p−(α−クミル)フェノールからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物である、請求項12に記載の印刷配線板用樹脂組成物。
  14. 前記マレイミド化合物が、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン及び2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパンの少なくとも一方である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の印刷配線板用樹脂組成物。
  15. (D)成分として下記式(2)〜(4)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種のフェノール系酸化防止剤を更に含有する、請求項1〜14のいずれか一項に記載の印刷配線板用樹脂組成物。
    Figure 0006345384

    Figure 0006345384

    Figure 0006345384
  16. 前記(B)成分の硬化剤及び/又は硬化促進剤を更に含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の印刷配線板用樹脂組成物。
  17. 請求項1〜16のいずれか1項に記載の印刷配線板用樹脂組成物の半硬化物又は硬化物からなる樹脂層を備える印刷配線板用樹脂フィルム。
  18. 支持基材と、該支持基材上に形成された前記樹脂層を備える、請求項17に記載の印刷配線板用樹脂フィルム。
  19. 前記支持基材が、金属箔及びPETフィルムの少なくとも一方である、請求項18記載の印刷配線板用樹脂フィルム。
  20. 前記樹脂層の厚さが1〜200μmである、請求項18又は19に記載の印刷配線板用樹脂フィルム。
  21. 支持基材上に、請求項1〜16のいずれか1項に記載の印刷配線板用樹脂組成物からなる層を設け、前記印刷配線板用樹脂組成物を半硬化又は硬化する工程を含む、印刷配線板用樹脂フィルムの製造方法。
  22. 前記印刷配線板用樹脂組成物が、樹脂ワニスである、請求項21記載の印刷配線板用樹脂フィルムの製造方法。
  23. 前記樹脂ワニスを、前記(C)成分を有機溶剤中に分散させたスラリーに、前記(A)成分を添加した後、前記(B)成分を添加することによって調製する、請求項22に記載の印刷配線板用樹脂フィルムの製造方法。
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