JPH0652716A - 複合誘電体および回路用基板 - Google Patents

複合誘電体および回路用基板

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JPH0652716A
JPH0652716A JP20158492A JP20158492A JPH0652716A JP H0652716 A JPH0652716 A JP H0652716A JP 20158492 A JP20158492 A JP 20158492A JP 20158492 A JP20158492 A JP 20158492A JP H0652716 A JPH0652716 A JP H0652716A
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JP
Japan
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coupling agent
dielectric
particles
silane coupling
resin
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Pending
Application number
JP20158492A
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English (en)
Inventor
Akiyoshi Nozue
明義 野末
Michimasa Tsuzaki
通正 津崎
Seishiro Yamakawa
山河清志郎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高い誘電率と低い誘電損失を兼ね備え、誘電
特性に対する耐湿性が良く、耐熱性や寸法安定性など諸
物性が良好であって、樹脂と無機誘電体粒子の界面接着
強度が十分である複合誘電体を提供する。 【構成】 樹脂中に無機誘電体粒子を分散してなる複合
誘電体において、前記樹脂として、ポリフェニレンオキ
サイドと架橋性ポリマおよび/または架橋性モノマを含
むポリフェニレンオキサイド系組成物からなるものが用
いられており、前記無機誘電体粒子として、アミノ系シ
ランカップリング剤および/またはアクリル系シランカ
ップリング剤で表面処理した粒子が用いられていること
を特徴とする複合誘電体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、複合誘電体およびプ
リント配線板等に使われる回路用基板に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、誘電体、例えば電子回路素子のひ
とつであるフィルムコンデンサ用の誘電体として、樹脂
製の誘電体が用いられている。中でも、高周波域での誘
電損失(tanδ)が少ない樹脂としてポリフェニレン
オキサイド(以下、適宜「PPO」と言う)は、昨今の
高周波化の要求に適したものとして注目される。このP
POはフィルムコンデンサの他に衛星放送等に使われる
高周波プリント回路用の絶縁基板(回路用基板)にも適
している。
【0003】一方、電子回路素子の小型化等のために、
誘電率をさらに増大することが望まれている。しかしな
がら、PPOは誘電率が余り高くない。それで、誘電率
を高くするために、樹脂中に無機誘電体粒子を分散させ
る複合化技術が提案されている(特公昭49-25159号公
報、特公昭54-18754号公報など) 。この複合化で得られ
た誘電体は、大面積化の容易性、優れた後加工(切断、
孔開、接着等)性など樹脂製の誘電体のもつ利点が維持
されている。
【0004】しかしながら、無機誘電体粒子分散の複合
誘電体では、誘電特性に対する耐湿性が十分でない。樹
脂と無機誘電体粒子の界面への吸湿で誘電率や誘電損失
が変動(上昇)するのである。それだけでなく、樹脂と
無機誘電体粒子の界面接着強度が十分でない。熱や力学
的ストレスを受けた際に変形や破壊が起こり易いのであ
る。
【0005】さらに、PPOは誘電損失特性は良好であ
るが、耐熱性や寸法安定性(熱膨張特性)等の諸物性が
今ひとつ十分でない。複合誘電体の用途によっては、耐
熱性等の諸物性を十分に確保する必要がある。高周波域
で用いる回路用基板では、基板の寸法精度も重要であ
り、十分な寸法安定性(低熱膨張係数)を確保する必要
がある。従来のPPOは熱膨張係数が大きくて寸法安定
性が良くない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記事情
に鑑み、高い誘電率と低い誘電損失を兼ね備え、誘電特
性に対する耐湿性が良く、耐熱性や寸法安定性など諸物
性が良好であって、樹脂と無機誘電体粒子の界面接着強
度が十分である複合誘電体および回路用基板を提供する
ことを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、この発明にかかる複合誘電体および回路用基板で
は、樹脂中に無機誘電体粒子を分散してなり、前記樹脂
として、ポリフェニレンオキサイドと架橋性ポリマおよ
び/または架橋性モノマを含むポリフェニレンオキサイ
ド系組成物からなるものを用い、前記無機誘電体粒子と
して、アミノ系シランカップリング剤および/またはア
クリル系シランカップリング剤で表面処理した粒子を用
いるようにしている。
【0008】無機誘電体粒子としては、Ba0.85La
0.15Ti0.9 Zr0.1 3 粒子やTiO2 粒子、BaT
iO3 粒子、SrTiO3 粒子、CaTiO3 粒子など
が挙げられる。通常、平均粒径0.1〜5μm程度のも
のが使われる。この発明におけるアミノ系シランカップ
リング剤やアクリル系シランカップリング剤による表面
処理は、普通、無機誘電体粒子の総処理面積を最小被覆
面積で除すことで求まるカップリング剤量の1/10〜
3倍の量でなされていることが好ましい。無機誘電体粒
子の総処理面積は、無機誘電体粒子の平均比表面積(m
2 /g)×処理対象の無機誘電体粒子の総重量(g)で
ある。一方、最小被覆面積(m2 /g)は、カップリン
グ剤の分子が最小間隙で並んで粒子表面を覆うとすると
きに1gのカップリング剤で覆える総面積であり、カッ
プリング剤の種類によって異なるが、普通、250〜5
00m2 /g程度である。
【0009】具体的な算出例について述べる。平均比表
面積が1.5m2 /gの無機誘電体粒子300gを最小
被覆面積300m2 /gのカップリング剤で処理する場
合、1.5×300m2 (総処理面積)÷300m2
g(最小被覆面積)=1.5gとなる。そして、この量
の1/10〜3倍の量であるから、0.15〜4.5g
の範囲の量で処理することになる。カップリング剤の量
が余り少ないと処理効果が薄く、余り多いと非吸湿時に
既に誘電損失が大きくなる傾向がみられる。
【0010】アクリル系シランカップリング剤とアミノ
系シランカップリング剤はそれぞれ単独で用いて処理す
るようにしてもよいし、併用するようにして処理するよ
うにしてもよい。アミノ系シランカップリング剤として
は、下記の式a,式b,式c,式dで表されるものが例
示され、アクリル系シランカップリング剤としては、下
記の式eで表されるものが例示されるが、アクリル基あ
るいはアミノ基を有するものであれば側鎖の数、種類、
アルコキシ基の種類については特に限定されない。
【0011】
【化1】
【0012】この発明におけるカップリング剤の無機誘
電体粒子への処理方法としては、PPO系組成物(樹脂
組成物)に混入する前に予め粒子表面にコーティングす
る乾式法、あるいは、PPO系組成物に無機誘電体粒子
およびカップリング剤を同時に添加する方法、さらに
は、混合段階以降のプロセスでの反応により結果的に無
機誘電体粒子にコーティングが出来るインターブレンド
法などが挙げられる。例えば、ミキサーに無機誘電体粒
子を入れトリクレン等に溶かしたカップリング剤を滴下
するようにする。
【0013】この発明に用いられるPPOは、例えば、
つぎの一般式(1)で表される。
【0014】
【化2】
【0015】〔ここに、Rは、水素または炭素数1〜3
の炭化水素基を表し、各Rは、同じであってもよく、異
なっていてもよい。〕で表されるものであり、その一例
としては、ポリ(2・6−ジメチル−1・4−フェニレ
ンオキサイド)が挙げられる。このようなPPOは、た
とえば、USP4059568号明細書に開示されてい
る方法で合成することができる。特に限定するものでは
ないが、たとえば、重量平均分子量(Mw)が50,0
00、分子量分布Mw/Mn=4.2(Mnは数平均分
子量)のポリマが好ましく使用される。
【0016】架橋性ポリマとしては、特にこれらに限定
される訳ではないが、たとえば、1・2−ポリブタジエ
ン、1・4−ポリブタジエン、スチレンブタジエンコポ
リマ、変性1・2−ポリブタジエン(マレイン変性,ア
クリル変性,エポキシ変性)、ゴム類などが挙げられ、
それぞれ、単独でまたは2つ以上併せて用いられる。ポ
リマ状態は、エラストマーでもラバーでもよいが、製膜
性を向上させるということからは特に高分子量のラバー
状がよい。
【0017】PPO系樹脂組成物の製膜性を良くすると
いう点からは、ポリスチレンをこの発明の目的達成を妨
げない範囲で用いるようにすることが好ましい。なお、
ポリスチレンは、高分子量のものが製膜性を向上させる
ということから望ましい。架橋性モノマとしては、例え
ば、エステルアクリレート類,エポキシアクリレート
類,ウレタンアクリレート類,エーテルアクリレート
類,メラミンアクリレート類,アルキドアクリレート
類,シリコンアクリレート類等のアクリル酸類、トリ
アリルシアヌレート,トリアリルイソシアヌレート,エ
チレングリコールジメタクリレート,ジビニルベンゼ
ン,ジアリルフタレート等の多官能モノマ、ビニルト
ルエン,エチルビニルベンゼン,スチレン,パラメチル
スチレン等の単官能モノマ、多官能エポキシ類などが
挙げられ、それぞれ、単独であるいは2つ以上併せて用
いられるが、特にこれらに限定される訳ではない。
【0018】架橋性モノマとしては、トリアリルシアヌ
レートおよび/またはトリアリルイソシアヌレートを用
いるのが、PPOとの相溶性が良く、製膜性、架橋性,
耐熱性および誘電特性の面で好ましいのでよい。このほ
か、PPO系樹脂組成物には、普通、開始剤が添加され
る。開始剤としては、ジクミルパーオキサイド、tert−
ブチルクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオ
キサイド、2・5−ジメチル−2・5−ジ−(tert−ブ
チルパーオキシ)ヘキシン−3、2・5−ジメチル−2
・5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α・
α′−ビス(tert−ブチルパーオキシ−m−イソプロピ
ル)ベンゼン〔1・4(または1・3)−ビス(tert−
ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンともいう〕等
の過酸化物、日本油脂(株)のビスクミルなどがあげら
れ、それぞれ、単独でまたは2つ以上併せて用いられる
が、これらに限定されない。
【0019】以上の原材料の配合割合は、特に限定され
ないが、PPOと架橋性ポリマおよび/または架橋性モ
ノマ、ならびに必要に応じて加えられる開始剤の合計量
に対して、PPOが7重量%以上、架橋性ポリマおよび
/または架橋性モノマが93重量%未満、開始剤が0.
1〜5重量%とするのが好ましい。この範囲を外れると
PPO系樹脂組成物の成膜性が悪くなり、下記のように
してシートを得ることが難しくなる恐れがある。より好
ましくは、前記合計量に対して、PPOが7重量%以
上、架橋性ポリマが93重量%未満、架橋性モノマが7
0重量%以下、開始剤が0.1〜5重量%以下であり、
さらにより好ましくは、PPOが10重量%以上、架橋
性ポリマが20重量%以下、架橋性モノマが60重量%
以下、開始剤が0.5〜3重量%の範囲である。
【0020】上記配合による原料は、通常、溶剤(溶
媒)に溶かして混合(溶液混合)される。溶剤に溶かす
場合、PPO系樹脂組成物の樹脂固形分量が、溶剤に対
して10〜30重量%の範囲にあるのが好ましい。混合
後、溶剤を除去することにより、PPO系樹脂組成物が
得られる。前記溶剤としては、トリクロロエチレン,ト
リクロロエタン,クロロホルム,塩化メチレン等のハロ
ゲン化炭化水素、クロロベンゼン,ベンゼン,トルエ
ン,キシレン等の芳香族炭化水素、アセトン、四塩化炭
素などがあり、特にトリクロロエチレンが好ましく、こ
れらをそれぞれ単独でまたは2つ以上混合して用いるこ
とができるが、これらに限定されない。なお、混合は他
の方法によってもよい。
【0021】回路用基板を作製するにあたっては、通
常、機械的強度や寸法安定性をよくするために補強材が
用いられる。補強材としては、クロス状補強材、マット
状補強材、ファイバー状補強材などが挙げられる。補強
材には無機材料のものも有機材料のものもあり、ガラス
材、アルミナやジルコニア等のセラミック材、ポリエチ
レンやポリアミド等の有機材からなるクロス、マット、
ファイバーなどが挙げられる。クロスやマットは、通
常、厚み15μm〜1.5mm程度、繊維径0.5〜2
0μm程度のものを使う。ファイバーは、通常、長さ2
0〜300μm程度、繊維径2〜50μm程度のものを
使う。
【0022】この発明の複合誘電体においては、マトリ
ックス用樹脂とカップリング剤で処理された無機誘電体
粒子の配合割合は、通常、樹脂25〜95vol%(体
積%)、カップリング剤で処理された無機誘電体粒子5
〜75vol%であり、補強材を併用する場合は補強材
70vol%以下の範囲とする。この発明の複合誘電体
は、例えば、下記のようにして製造する。
【0023】例えば、上記のような原料を溶剤に溶かし
て混合することによりPPO系樹脂組成物を得、これに
無機誘電体粒子を添加分散させてから、適宜のものに流
延または塗布するなどして薄層にしたのち風乾および/
または熱風による乾燥などで溶剤を除去し固化物を得
る。このキャスティング法によれば、コストがかかるカ
レンダー法によらず、しかも、低温で固化物を製造でき
る。通常、このようなキャスティング法では、固化物は
シート(フィルム)となるが、固化物はシートに限定さ
れない。なお、固化物は、硬化物も含めることにする。
なお、無機誘電体粒子に対するカップリング剤による処
理は、前述したとおりの方法で行うようにすることは言
うまでもない。
【0024】前記キャスティング法についてさらに詳し
く述べれば、PPO系樹脂組成物またはその原材料を溶
剤に溶かし無機誘電体粒子を添加混合したスラリを、鏡
面処理した鉄板またはキャスティング用キァリアーフィ
ルムなどの上に、例えば、5〜700(好ましくは、5
〜500)μmの厚みに流延(または塗布)し、十分に
乾燥させて溶剤を除去することによりシートを得るとい
うものである。なお、ここでシートとは、フィルム,
膜,テープなどと言われているものを含み、厚み方向に
直交する面の広がり長さについては特に限定はなく、厚
みについても用途などに応じて種々設定することが可能
である。上記キャスティング用キャリアーフィルムとし
ては、特に限定するわけではないが、ポリエチレンテレ
フタレート(以下、「PET」)フィルム、ポリエチレ
ンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィ
ルムなど上記溶剤に不溶のものが好ましく、かつ、離型
処理されているものが好ましい。キャスティング用キャ
リアーフィルムに流延(または塗布)されたPPO樹脂
組成物溶液は、風乾および/または熱風による乾燥など
で溶剤を除去される。乾燥時の設定温度は、その上限が
溶剤の沸点よりも低いか、または、キャスティング用キ
ャリアーフィルムの耐熱温度よりも低いこと(キャステ
ィング用キャリアーフィルム上で乾燥を行う場合)が好
ましく、その下限が乾燥時間や処理性などによって決め
られ、例えば、トリクロロエチレンを溶剤とし、PET
フィルムをキャスティング用キャリアーフィルムとして
用いる場合には、室温から80℃までの範囲が好まし
く、この範囲内で温度を高くすれば乾燥時間の短縮が可
能となる。
【0025】なお、無機誘電体粉末を添加分散させてか
ら、必要に応じて(回路用基板の場合など)ガラスクロ
スなどの補強材に含浸させ、その後、風乾および/また
は熱風による乾燥などで溶剤を除去しプリプレグを得る
こともある。このカップリング剤で処理した無機誘電体
粒子を分散したPPO系樹脂組成物からなるシートおよ
び/またはカップリング剤で処理した無機誘電体粒子を
分散したPPO系樹脂組成物を含浸したプリプレグがあ
れば、取扱性がよくて、所望の厚みの積層板を作製し易
くなる。また、この時、無機誘電体粒子が未分散のPP
O系樹脂組成物からなるシートおよび/または無機誘電
体粒子が未分散のPPO系樹脂組成物を含浸したプリプ
レグをも併用するようにしてもよい。
【0026】プリプレグは、どのような方法で作っても
良い。プリプレグに作製する場合には、樹脂を溶融させ
なくてもよいので、比較的低温でより容易に行える。こ
の発明にかかる回路用基板(積層板を含む。両面とも金
属箔なしか、片面または両面金属箔張り)は、例えば、
以下のようにして作製されるが、これに限定されない。
用いる材料が上記のように作製されたキャスティングシ
ートであれば、配合されている開始剤の分解温度よりも
低く、用いた溶剤の沸点よりも高い温度で十分に乾燥さ
せて、残留溶剤をなくしておく。このシートおよび/ま
たはプリプレグを所定の設計厚みとなるように所定枚組
み合わせ、必要に応じて両面または片面に金属箔も組み
合わせて積層し、加熱圧締する等して樹脂を溶融させ
て、シート同士、シートとプリプレグ、プリプレグ同
士、シートと金属箔、プリプレグと金属箔を互いに接着
させて積層体を得る。この融着により強固な接着が得ら
れるが、このときの加熱でラジカル開始剤による架橋反
応が行われれば、いっそう強固な接着が得られるように
なる。架橋反応は紫外線照射などにより行われてもよ
い。熱架橋,光架橋が行われないときには、放射線照射
による架橋を行えばよい。また、熱架橋,光架橋が行わ
れたあとに放射線照射による架橋を行ってもよい。した
がって、シート同士、プリプレグ同士、シートとプリプ
レグ、シートと金属箔、プリプレグと金属箔との間で耐
熱性の優れた接着が実現できるのである。
【0027】ここで、シートとプリプレグの組み合わせ
であるが、特に限定しないが、上下対称の組合わせとす
ることが、成形後や二次加工(エッチング等)後のそり
防止という点から好ましい。なお、金属箔との接着界面
にシートがくるように組み合わせる方が接着力向上とい
う点で好ましい。金属箔とシートの接着はシートの熱融
着性を利用できるので、積層圧締温度はシートのガラス
転移点温度以上で、大体160〜300℃ぐらいの範囲
が好ましい。PPO系樹脂組成物の硬化物では、硬化前
に若干樹脂が流れるので、金属に対して良好な融着性を
示す。ただし、接着剤を併用しても構わない。
【0028】金属箔としては、銅箔,アルミニウム箔等
が用いられる。圧締は、シート同士、シートとプリプレ
グ、プリプレグ同士、金属箔とシートおよび金属箔とプ
リプレグの接合、積層板の厚み調整のために行うので、
圧締条件は必要に応じて選択される。加熱により架橋を
行う場合、架橋反応は、使用する開始剤の反応温度等に
依存するので、開始剤の種類に応じて加熱温度を選ぶと
よい。加熱時間も開始剤等の種類に応じて選ぶとよい。
たとえば、温度150〜300℃,圧力30kg/cm2
時間10〜60分間程度である。あらかじめ、シートお
よび/またはプリプレグを所定枚加熱積層成形してお
き、これの片面あるいは両面に金属箔を重ね合わせて、
再び加熱圧締するようであっても良い。回路用基板の厚
みは、通常、0.1〜2mm程度である。
【0029】なお、このようにして作製されたPPO系
樹脂組成物の固化物(例えば、シート)は、ラジカル開
始剤を用いた熱架橋、光架橋、放射線を利用した架橋な
どを行うことによって、さらに、引張り強さ、衝撃強
さ、破裂強さ、耐熱性などを高めることができる。この
ようにして得た複合誘電体および回路用基板は、誘電損
失が小さいというPPOの特性が損なわれず、誘電特性
等の高周波特性および耐熱性等の諸物性が優れたものと
なり、しかも、寸法安定性も優れたものとなるのであ
る。そして、回路用基板の製造操作も、前記のように簡
単である。
【0030】この発明の範囲は、上記例示の化合物や数
値範囲あるいは処理方法に限られるものではない。その
用途もコンデンサや回路用基板に限らない。
【0031】
【作用】この発明の複合誘電体および回路用基板の場
合、PPO系の樹脂中に無機誘電体粉末を分散させてな
るため、高い誘電率と低い誘電損失の誘電特性となって
いる。加えて、無機誘電体粒子の表面がアミノ系シラン
カップリング剤やアクリル系シランカップリング剤で処
理されているため、誘電特性に対する耐湿性が向上して
いて吸湿に伴う変動(ドリフト)が少なくなっている。
アミノ系シランカップリング剤やアクリル系シランカッ
プリング剤の表面処理で樹脂と無機誘電体粒子の界面接
着強度が高くなり、外部因子(熱、力学的ストレスな
ど)による変形・破損が起こり難い。プレッシャークッ
カードテスト(134℃、3気圧、8時間)等な過酷な
試験にかけても、試験前後での誘電率や誘電損失の変化
は僅かである。エポキシ系シランカップリング剤、ビニ
ル系シランカップリング剤、チタン系シランカップリン
グ剤などのアクリル系、アミノ系以外のものでは、吸湿
に伴う誘電特性のドリフトを十分に抑えることが出来な
い。
【0032】それに、樹脂がPPO単独でなくて架橋性
ポリマや架橋性モノマを含むため、耐熱性や寸法安定性
などの諸物性や誘電特性が改善されており、回路用基板
にも非常に適したものになっている。回路用基板の場
合、アミノ系シランカップリング剤やアクリル系シラン
カップリング剤で表面処理した無機誘電体粒子を用いる
と、層間接着強度が高くなる。この層間接着強度向上効
果は、アクリル系シランカップリング剤による処理、も
しくは、アクリル系シランカップリング剤とアミノ系シ
ランカップリング剤を混合して行った処理のときに特に
顕著である。
【0033】
【実施例】以下、実施例および比較例の説明を行う。 −実施例1〜5− 無機誘電体粒子として、平均粒径1μm、平均比表面積
1.5m2 /gのBa 0.85La0.15Ti0.9 Zr0.1
3 粒子をアクリル系シランカップリング剤(信越化学:
KBM503)で乾式処理した。この処理は、最小被覆
面積(314m 2 /g)相当量で行った。そして、処理
粒子35.2vol%、表1に示す原料配合のPPO樹
脂組成物64.8vol%となるように秤量するととも
に、PPOに対し重量で4倍のトリクレンを添加し、P
POを完全に溶解させてワニスを得た。このワニスをよ
くかく拌してから、平織ガラスクロス(厚み:100μ
m、繊維径:7μm、織密度:25mm当たり縦60
本、横58本)に含浸させ、50℃で乾燥させた。得ら
れたワニス含浸ガラスクロスにおけるPPO樹脂と無機
誘電体粒子の混合物とガラスクロスとの割合は、PPO
と無機誘電体粒子の混合物:78wt%(76vol
%)、ガラスクロス:22wt%(24vol%)であ
る。このようにして得られたワニス含浸ガラスクロス4
枚を重ねて、上下に銅箔(厚み17μm)を配して、温
度180℃、圧力30 kg/cm2 、60分間の成形条件で
加圧成形し、両面銅箔張りプリント回路用基板を得た。
【0034】
【表1】
【0035】表1において、SBSはスチレンブタジエ
ンコポリマを、TAICはトリアリルイソシアヌレート
を、p−TAICはTAICのポリマを、そしてAは2
・5−ジメチル−2・5−ジ−(tert−ブチルパーオキ
シ)ヘキシン−3をそれぞれあらわす。この2・5−ジ
メチル−2・5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキ
シン−3は日本油脂(株)のパーヘキシン25Bを用い
た。
【0036】−実施例6− カップリグ剤としてアミノ系シランカップリング剤(信
越化学:KBM573:最小被覆面積 307m2
g)を用いた他は、実施例1と同様にして両面銅箔張り
プリント回路用基板を得た。 −実施例7− カップリグ剤としてアクリル系シランカップリング剤
(信越化学:KBM503)とアミノ系シランカップリ
ング剤(信越化学:KBM573)を併用した他は、実
施例1と同様にして両面銅箔張りプリント回路用基板を
得た。
【0037】−実施例8− アクリル系シランカップリング剤(信越化学:KBM5
03)の使用量を1/10とした他は、実施例1と同様
にして両面銅箔張りプリント回路用基板を得た。 −実施例9− カップリグ剤としてアクリル系シランカップリング剤
(信越化学:KBM503)の使用量を3倍とした他
は、実施例1と同様にして両面銅箔張りプリント回路用
基板を得た。
【0038】−実施例10− 無機誘電体粒子として平均粒径1μm、平均比表面積
2.0m2 /gのTiO 2 粒子を用い、カップリング剤
で処理した無機誘電体粒子42vol%、PPO樹脂組
成物58vol%とした他は、実施例1と同様にして両
面銅箔張りプリント回路用基板を得た。なお、得られた
ワニス含浸ガラスクロスにおけるPPO樹脂と無機誘電
体粒子の混合物とガラスクロスとの割合は、PPOと無
機誘電体粒子の混合物:78wt%(78vol%)、ガ
ラスクロス:22wt%(22vol%)であった。
【0039】−比較例1− 樹脂がPPO単独であり、温度250℃、圧力30 kg/
cm2 、10分間の成形条件で加圧成形するようにした他
は、実施例1と同様にして両面銅箔張りプリント回路用
基板を得た。 −比較例2− 無機誘電体粒子をカップリング剤で処理しなかった他
は、実施例1と同様にして両面銅箔張りプリント回路用
基板を得た。
【0040】−比較例3− カップリング剤として、エポキシ系シランカップリング
剤(信越化学:KBM403、最小被覆面積 330m
2 /g)を用いた他は、実施例1と同様にして両面銅箔
張りプリント回路用基板を得た。 −比較例4− カップリング剤として、チタン系シランカップリング剤
(味の素:TTS)を用いた他は、実施例1と同様にし
て両面銅箔張りプリント回路用基板を得た。
【0041】実施例と比較例のプリント回路用基板につ
いて、インピーダンスアナライザーを用いて、1MHzに
おける比誘電率(εr)と誘電損失(tanδ)、層間
接着強度、はんだ耐熱性について測定を行った。さら
に、プレッシャ−クッカードテスト(134℃、3気
圧、8時間)にかけた後、1MHzにおける比誘電率(ε
r)と誘電損失(tanδ)をインピーダンスアナライ
ザーを用いて測定した。結果を表2に記す。
【0042】
【表2】
【0043】表2にみるように、実施例のプリント回路
用基板は、作成直後も、テスト後も、高い誘電率と低い
誘電損失であり、テスト前後の誘電率および誘電損失の
変化も僅かである。樹脂が架橋性ポリマや架橋性モノマ
を含まずPPO単独の場合、実施例1と比較例1のハン
ダ耐熱性データの比較から、耐熱性などの諸物性が十分
でないことが分かる。
【0044】無機誘電体粒子がシランカップリング剤で
処理されていない場合、実施例1と比較例2のデータの
比較から、層間接着強度が低く、誘電特性のドリフトが
顕著であることが分かる。シランカップリング剤がアク
リル系シランカップリング剤やアミノ系シランカップリ
ング剤でない場合、実施例1と比較例3,4のデータの
比較から、誘電特性のドリフトが十分に抑えられないこ
とが分かる。
【0045】
【発明の効果】この発明の複合誘電体および回路用基板
の場合、PPO系の樹脂中に無機誘電体粉末を分散させ
てなるため、誘電率が高く誘電損失が低いという誘電特
性となっており、加えて、無機誘電体粒子の表面が適切
なカップリング剤で処理されているために誘電特性の吸
湿に伴う変動が少なく、しかも、樹脂と無機誘電体粒子
の界面接着強度が高いために外部因子(熱、力学的スト
レスなど)による変形・破損が起こり難く、回路用基板
では層間接着強度が高くなり、その上、樹脂としてPP
Oと共に架橋性ポリマや架橋性モノマを含む組成物を用
いているために耐熱性や寸法安定性などの諸物性も改善
されており、非常に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 71/12 LQP 9167−4J H05K 1/03 C 7011−4E

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂中に無機誘電体粒子を分散してなる
    複合誘電体において、前記樹脂として、ポリフェニレン
    オキサイドと架橋性ポリマおよび/または架橋性モノマ
    を含むポリフェニレンオキサイド系組成物からなるもの
    が用いられており、前記無機誘電体粒子として、アミノ
    系シランカップリング剤および/またはアクリル系シラ
    ンカップリング剤で表面処理した粒子が用いられている
    ことを特徴とする複合誘電体。
  2. 【請求項2】 シランカップリング剤による表面処理
    が、無機誘電体粒子の総処理面積を最小被覆面積で除す
    ことで求まるカップリング剤量の1/10〜3倍の量で
    なされている請求項1記載の複合誘電体。
  3. 【請求項3】 ポリフェニレンオキサイド系組成物が、
    ポリフェニレンオキサイドと架橋性ポリマおよび/また
    は架橋性モノマの合計量に対して、ポリフェニレンオキ
    サイド7重量%以上、架橋性ポリマおよび/または架橋
    性モノマ93重量%未満の配合である請求項1または2
    記載の複合誘電体。
  4. 【請求項4】 架橋性ポリマが、1・2ポリブタジエ
    ン、1・4ポリブタジエン、スチレンブタジエンコポリ
    マ、変性1・2ポリブタジエン、ゴム類からなる群の中
    から選ばれた少なくとも1種である請求項1から3まで
    のいずれかに記載の複合誘電体。
  5. 【請求項5】 架橋性モノマが、エステルアクリレート
    類、エポキシアクリレート類、ウレタンアクリレート
    類、エーテルアクリレート類、メラミンアクリレート
    類、アルキドアクリレート類、シリコンアクリレート
    類、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレ
    ート、エチレングリコールジメタクリレート、ジビニル
    ベンゼン、ジアリルフタレート、ビニルトルエン、エチ
    ルビニルベンゼン、スチレン、パラメチルスチレンおよ
    び多官能エポキシ類からなる群の中から選ばれた少なく
    とも1種である請求項1から4までのいずれかに記載の
    複合誘電体。
  6. 【請求項6】 請求項1から5までのいずれかに記載の
    複合誘電体を用いてなる回路用基板。
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