JP4007706B2 - ゴム補強用表面処理カーボンブラック含有熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

ゴム補強用表面処理カーボンブラック含有熱可塑性エラストマー組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性エラストマー組成物に関し、更に詳細には、シリカ付着したカーボンブラックを分散固定した変性ブチル系ゴムを動的加硫し、これをマトリックスのポリアミド系樹脂中に分散させた熱可塑性エラストマー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、各種ゴム製品に使用した場合に、高温域のtanδを相対的に低くすることにより耐久性を向上させ、また低電気伝導性やさらにはシリカの分散が難しいという加工上の問題を解決した、シリカを表面に付着させたゴム補強用表面処理カーボンブラックおよびそれを配合したゴム組成物が、特願平7−237030号(特開平8−277347号公報)により開示され、また、ゴム基材としてのポリイソブチレン系ゴムであるポリイソブチレンもしくはイソブチレン系共重合ポリマーに対してシリカ表面のシラノール基と反応可能な官能基を導入した変性ポリイソブチレン系ゴムに前記シリカ付着カーボンブラックを添加、混練することによって、シリカ付着カーボンブラックのシリカ部分と変性ポリイソブチレン系ゴムにおける変性官能基部分とを相互に結合させ、それによってゴム材のtanδバランスおよび未加硫粘度の抑制を一層向上させたゴム組成物が、特願平9−334071号(特開平11−166086号公報)により開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ブチル系ゴムを動的加硫し、マトリックスである熱可塑性樹脂のナイロン等に分散させた熱可塑性エラストマー組成物の場合に、通常のカーボンブラック配合では、マトリックスナイロンとカーボンブラックの親和性が高いためゴム補強剤としてのカーボンブラックがマトリックスのナイロン側に移行してしまい、本来のゴムエラストマー成分における補強性が得られないと共に、マトリックス中に移行したカーボンブラックのためマトリックス自体の物性も損なってしまうという問題がある。
そこで、本発明では、熱可塑性エラストマー組成物のゴムエラストマー成分に、前記の変性ポリイソブチレンもしくはイソブチレン系共重合ポリマーを使用し、さらにカーボンブラックにも前記のシリカ付着カーボンブラックを用いることによって、このシリカ付着カーボンブラックのシリカ表面のシラノール基が変性ポリイソブチレンもしくはイソブチレン系共重合ポリマーのハロゲン基と置換して、シリカ付着カーボンブラックがゴムエラストマー成分中に固定されてマトリックスへの移行が阻止されるようになり、もって、引張物性が向上し、また、マトリックス中に分散されるゴムの粘度制御が可能となり、さらにゴムの配合比率が高められるように改善された熱可塑性エラストマー組成物が提供される。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、ポリアミド系樹脂中に、シリカ付着カーボンブラックを添加したシリカ表面のシラノール基と反応可能な官能基を導入した変性ポリイソブチレンもしくはイソブチレン系共重合ポリマーが動的に加硫され、前記樹脂中に分散していることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物が提供される。
【0005】
また、本発明によれば、前記変性ポリイソブチレンが、ハロゲン基を導入したイソブチレン−イソプレン共重合ゴムおよび/またはハロゲン基を導入したイソモノオレフィンとp−アルキルスチレンの共重合ゴムであること、前記シリカ付着カーボンブラックのシリカ付着量が0.1〜50重量%であること、前記ポリアミド系樹脂のSP値が8.0〔(cal/cm31/2 〕以上であること、そして、前記ポリアミド系樹脂100重量部に、シリカ付着カーボンブラックを1重量部以上配合した動的加硫ゴムを10重量部以上配合することをそれぞれ特徴とする熱可塑性エラストマー組成物が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明では、ポリアミド系樹脂のマトリックス中にゴムエラストマー成分が分散固定されている構造の熱可塑性エラストマー組成物において、そのゴムエラストマー成分にシラノール基と反応可能な官能基を導入した変性ポリイソブチレンもしくはイソブチレン系共重合ポリマーを用い、一方、このゴムエラストマー成分を補強するための補強剤として、シリカをカーボンブラックの表面に付着したシリカ付着カーボンブラックを用いた点に特徴を有する。本発明では、これらゴムエラストマー成分とシリカ付着カーボンブラックを所定のポリアミド系樹脂中に配合、混練すると、このゴムエラストマー成分に導入されたシラノール基と反応可能な官能基とシリカ付着カーボンのシリカ表面におけるシラノール基とが反応して、ゴムエラストマー中にシリカ付着カーボンブラックが均一に分散、固定された状態の分散相として、これがポリアミド系樹脂のマトリックス中に分散した構造となり、そのため、当該熱可塑性エラストマー組成物の引張強さ等の物性が一層向上し、また、前記分散相としてのゴムエラストマー中への前記補強剤の配合量を変えることによって分散ゴム相の粘度制御が可能となり、更に、マトリックス中への分散ゴム相の比率を高めることができることも見出した。
【0007】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物におけるマトリックスを構成するポリアミド系樹脂成分としては、ナイロン11(N11)、ナイロン12(N12)、ナイロン610(N610)、ナイロン612(N612)、ナイロン6T、ナイロン6/6T共重合体、ナイロン66/PP共重合体、ナイロン66/PPS共重合体などを挙げることができる。
【0008】
これらポリアミド系樹脂のうち、好ましく用いられるものはSP値が8.0〔(cal/cm31/2 〕以上の樹脂であり、特に好ましくは、SP値が8.05〔(cal/cm31/2 〕以上の樹脂が用いられる。SP値が8.0〔(cal/cm31/2 〕以上のポリアミド系樹脂であると、シリカ付着カーボンブラックが、ゴムからマトリックスであるポリアミド系樹脂への移行が発生しない点でより好適である。
【0009】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に用いられる変性ポリイソブチレン系ゴムは、ポリイソブチレン系ゴム(これには、ポリイソブチレンもしくはイソブチレン系共重合ポリマーが含まれる)に対してシリカ表面のシラノール基と反応可能な官能基、例えばハロゲン基、アルコキシシリル基、アシルオキシ基、アミノ基などを導入したものであり、かかる反応基の導入は、例えばゴム工業便覧(第四版)(日本ゴム協会平成6年発行)の第255頁に記載された方法などによって行なうことができる。こゝで、前記変性ポリイソブチレン系ゴムとして特に本発明に有用なものは、ハロゲン基を導入したイソブチレン−イソプレン共重合ゴム、および/またはハロゲン基を導入したイソブチレン−パラメチルスチレン共重合ゴムのようなイソモノオレフィンとp−アルキルスチレンのハロゲン含有共重合ゴムである。
【0010】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の上記ゴムエラストマー成分の補強剤として用いられるシリカ付着カーボンブラックは、カーボンブラックの表面全部または一部にシリカを生成、付着させたもので、基本的には気相もしくは液相中でカーボンブラックをシリカの適正な生成条件中に置くことで製造できる。シリカ付着に用いられるシリカの生成条件は、例えばテトラエトキシシランの加水分解、ポリアルコキシシロキサンの加熱分解、水ガラスの中和、コロイダルシリカ水溶液の乾燥等があげられる。シリカの付着は、カーボンブラック粒子が炉中で成長している過程で行っても良いし、一度出来上がったカーボンブラックに後処理しても良く、具体的工程としてカーボン生成炉や造粒機やウェットマスターバッチ凝固槽等があげられる。公知なものとして特開平8−277347号公報や国際公表番号WO第96/37547号があげられる。
【0011】
本発明において前記シリカ付着カーボンブラックの原料物質として使用されるカーボンブラックとしては、従来からゴム補強効果を示すものとしてタイヤ用その他のゴム組成物に汎用されている任意のカーボンブラックを用いることができる。好ましいカーボンブラックは、SRF〜SAFグレードの窒素吸着表面積が25〜250m2 /gにあるものであり、ゴム組成物の用途により、種々使い分けや2種以上をブレンドすることも可能である。
本発明で使用するシリカ付着カーボンブラックにおけるシリカ付着量は、0.1〜50重量%であることが本発明のゴムエラストマー成分中での分散性並びに本発明の所期の作用効果を達成する上で好ましい。
【0012】
本発明による熱可塑性エラストマー組成物では、マトリックスを構成する前記ポリアミド系樹脂100重量部に対して、シリカ付着カーボンブラックを1重量部以上、好ましくは1〜150重量部、より好ましくは2〜100重量部の範囲で配合してなる分散相を構成する動的加硫ゴムを10重量部以上、好ましくは15〜500重量部、より好ましくは15〜450重量部の範囲で配合することが、ポリアミド系樹脂のマトリックス中に前記シリカ付着カーボンブラックにより動的加硫されたゴムエラストマー分散相が固定された状態を形成させた上で、所望の物性の向上を達成するために好ましい。
【0013】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の分散相を構成するゴム成分を動的加硫する場合の加硫剤、加硫助剤、および加硫条件(温度、時間)等は、添加するゴム成分の組成に応じて適宜決定すればよく、特に限定されるものではない。
加硫剤としては、一般的なゴム加硫剤(架橋剤)を用いることができる。具体的には、イオウ系加硫剤としては粉末イオウ、沈降性イオウ、高分散性イオウ、表面処理イオウ、不溶性イオウ、ジモルフォリンジサルファイド、アルキルフェノールジサルファイド等を例示でき、例えば、0.5〜4phr 〔ゴム成分(ポリマー)100重量部あたりの重量部〕程度用いることができる。
また、有機過酸化物系の加硫剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ(パーオキシルベンゾエート)等が例示され、例えば、1〜20phr 程度用いることができる。
更に、フェノール樹脂系の加硫剤としては、アルキルフェノール樹脂の臭素化物や、塩化スズ、クロロプレン等のハロゲンドナーとアルキルフェノール樹脂とを含有する混合架橋系等が例示でき、例えば、1〜20phr 程度用いることができる。
【0014】
その他の配合成分として、亜鉛華(5phr 程度)、酸化マグネシウム(4phr 程度)、リサージ(10〜20phr 程度)、p−キノンジオキシム、p−ジベンゾイルキノンジオキシム、テトラクロロ−p−ベンゾキノン、ポリ−p−ジニトロソベンゼン(2〜10phr 程度)、メチレンジアニリン(0.2〜10phr 程度)が例示できる。
また、必要に応じて、加硫促進剤を添加してもよい。加硫促進剤としては、アルデヒド・アンモニア系、グアニジン系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チウラム系、ジチオ酸塩系、チオウレア系等の一般的な加硫促進剤を、例えば、0.5〜2phr 程度用いることができる。
また、加硫促進助剤としては、一般的なゴム用助剤を併せて用いることができ、例えば、ステアリン酸やオレイン酸およびこれらのZn塩(2〜4phr 程度)等が使用できる。
【0015】
さらに、分散相をなすゴムエラストマー中には、前記の配合剤に加えて、分散性や耐熱性などの改善その他のために一般的に配合される軟化剤、老化防止剤、加工助剤などの配合剤を必要に応じ適宜配合することができる。
【0016】
また、熱可塑性エラストマー組成物のマトリックスを構成するポリアミド系樹脂中には、加工性、分散性あるいはまた耐熱・酸化防止性などの改善その他のために一般的に配合される可塑剤、軟化剤、充填剤、補強剤、加工助剤、安定剤、酸化防止剤等を必要に応じ適宜配合してもよい。
【0017】
本発明における熱可塑性エラストマー組成物は、ポリアミド系樹脂成分と予めゴム成分にシリカ付着カーボンブラックを混練しておいたゴムエラストマー(ゴムは未加硫物)成分とを2軸混練押出機等で溶融混練し、マトリックスを形成するポリアミド系樹脂中にエラストマー成分を分散させる。エラストマー成分の加硫には、混練下で加硫剤を添加し、エラストマーを動的に加硫させることにより行う。また、ポリアミド系樹脂成分またはエラストマー成分への各種配合剤(加硫剤を除く)は、上記混練中に添加してもよいが、混練の前に予め混合しておくことが好ましい。ポリアミド系樹脂とエラストマーの混練に使用する混練機としては、特に限定はなく、スクリュー押出機、ニーダ、バンバリミキサー、2軸混練押出機等が挙げられる。中でも樹脂成分とゴム成分の混練およびゴム成分の動的加硫には2軸混練押出機を使用するのが好ましい。さらに、2種類以上の混練機を使用し、順次混練してもよい。溶融混練の条件として、温度はポリアミド系樹脂が溶融する温度以上であれば良い。また、混練時の剪断速度は500〜7500 sec-1であるのが好ましい。混練全体の時間は30秒から10分で、また加硫剤を添加した後の加硫時間は15秒から5分であるのが好ましい。上記方法で作製された熱可塑性エラストマー組成物は、ポリアミド系樹脂成分が連続相を、シリカ付着カーボンブラックが分散固定し架橋したエラストマー成分が分散相(ドメイン)を形成した分散構造をとるために、安定した分散構造となり、かつ、加硫ゴムの特性を示すと共に、熱可塑性エラストマー組成物の諸物性においてより向上したものが得られる。
【0018】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するものでないことは言うまでもない。
【0019】
以下の各例の配合に使用したシリカ付着カーボンブラック−1および−2は、次の方法で調製した。
シリカ付着カーボンブラック−1
以下の方法でシリカを2%含有するシリカ付着カーボンブラックを調製した。市販の水分散シリカ(スノーテックス30、日産化学製)を蒸留水と硫酸を用いて、pH7、SiO2 として2重量%の水溶液となるよう調製した。80℃に保温した密閉型ミキサーに市販のカーボンブラック(ダイアブラックN339)1000gを投入し、調製した水分散シリカの水溶液の1000ミリリットルを直ちに注ぎ、2〜5mmのビーズ状に造粒するまで80℃で攪拌を続けた。これを105℃で乾燥した。
シリカ付着カーボンブラック−2
市販の水分散シリカ(スノーテックス30、日産化学製)を蒸留水と硫酸を用いて、pH7、SiO2 として3重量%の水溶液となるように調製した点を除き、上記と同様の方法でシリカを3%含有するシリカ付着カーボンブラックを調製した。
【0020】
以下の各例の配合に使用した他の配合成分は、以下の市販品を用いた。
変性ブチルゴム:Exxpro 89−4(エクソン化学製)
ジシアンジアミド:DICY 15(三菱化学製)
加硫促進剤:カーメックスD(デュポン製)
ポリアミド樹脂1:Pebax 2533(東レ・アトケム製)
ポリアミド樹脂2:Pebax 3533(東レ・アトケム製)
【0021】
試験サンプルの調製
先ず、下記の表1に示す変性ブチルゴム、シリカ付着カーボンブラックおよび加硫促進剤を、密閉式のゴム用バンバリーミキサーに投入して混練し、次にゴム用ロールを用いてシート状にした後、ゴム用ペレタイザーでペレット状にした。次いで、下記表1に示すポリアミド樹脂1または2と前記ペレット状のシリカ付着カーボンブラック混入ゴムとを2軸混練押出機に投入し、混練した後、さらにジシアンジアミド(加硫剤)を連続的に投入することにより、ポリアミド樹脂からなるマトリックス中に分散相として分散しているゴム成分を動的に加硫した。
混練条件は、混練温度は、200℃、動的加硫を行う部分の滞留時間120秒、剪断速度1000 sec-1である。動的加硫終了後、2軸混練押出機から連続的にストランド状に排出し、氷冷後、カッターで長さ約3mm(直径2mm)に切断し、ペレット状の熱可塑性エラストマー組成物を得た。
試験体は、上記熱可塑性エラストマー組成物のペレットを通常使用される樹脂用プレス機で、230℃で5分、2.9MPa の圧力で2.0mm厚さのシート状に成形して供した。
【0022】
電顕観察
表1の実施例1および比較例2の配合になる上記試験体シートより電顕用試料を作成し、これを用いて倍率10000倍の電顕写真1および2を得た。
【0023】
これらの電顕写真1および2によると、シリカ付着カーボンブラックと変性ポリイソブチレンゴムとの組合せの配合を用いた本発明の熱可塑性エラストマー組成物である実施例1のもの(電顕写真1)では、そのゴムエラストマー成分の分散相中にカーボンブラックが均一に分散固定されていること、またこの分散相の大きさは、未処理カーボンブラックを配合してなるそれよりもシリカ付着カーボンブラックを内包しているため大きく発達していることがわかる。それに対して、未処理カーボンブラックを変性ポリイソブチレンと共にポリアミド樹脂マトリックス中に配合した熱可塑性エラストマー組成物である比較例2のもの(電顕写真2)では、カーボンブラックがポリアミド樹脂のマトリックス中に相当部分が移行して、本来保持されるべきゴムエラストマー成分中にはカーボンブラックが僅かしか残存していないことがわかる。
【0024】
試験方法
上記で得られた各例の試験体よりJIS規格の3号ダンベル形状(JIS K6251)の試験片を打抜機で作製し、この試験片を用いて、JIS K6250,K6251に準拠して、所定の50%モジュラス(MPa )、300%モジュラス(MPa )、破断強度(MPa )および破断伸び(%)を測定した。得られた結果を表1に示す。
【0025】
【表1】
Figure 0004007706
【0026】
表1の結果から、ポリアミド樹脂マトリックス中に変性ブチルゴムとシリカ付着カーボンブラックの組合せ配合になる分散相を有する構造の本発明の熱可塑性エラストマー組成物である実施例1〜4のものは、50%および300%モジュラス、破断強度、破断伸びの物性の点で、カーボンブラックを配合しない比較例1および未処理カーボンブラックを配合した比較例2および3のものに比して、いずれも上記諸物性が一段と優れていることがわかる。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、シリカ付着カーボンブラックがゴムエラストマー成分中に固定されてマトリックスへの移行が阻止され、そのため引張物性が向上し、また、マトリックス中に分散相として分散固定されるゴムエラストマー成分の粘度制御が可能となり、更に分散相としてのゴムエラストマー成分の配合比率を高めることもでき、よって、従来のものに比して一段と優れた熱可塑性エラストマー組成物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱可塑性エラストマー組成物の微細構造を示す電顕写真1である。
【図2】従来の熱可塑性エラストマー組成物の微細構造を示す電顕写真2である。

Claims (5)

  1. ポリアミド系樹脂中に、シリカ付着カーボンブラックを添加したシリカ表面のシラノール基と反応可能なハロゲン基、アルコキシシリル基、アシルオキシ基またはアミノ基から選ばれる官能基を導入した変性ポリイソブチレンもしくはイソブチレン系共重合ポリマーが動的に加硫され、前記樹脂中に分散していることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
  2. 前記変性ポリイソブチレンが、ハロゲン基を導入したイソブチレン−イソプレン共重合ゴム、および/またはハロゲン基を導入したイソモノオレフィンとp−アルキルスチレンの共重合ゴムである請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 前記シリカ付着カーボンブラックのシリカ付着量が0.1〜50重量%である請求項1または2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 前記ポリアミド系樹脂のSP値が8.0〔(cal/cm31/2 〕以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  5. 前記ポリアミド系樹脂100重量部に、シリカ付着カーボンブラックを1重量部以上配合した動的加硫ゴムを10重量部以上配合した請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
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