JP2000143878A - ゴム補強用表面処理カーボンブラック含有熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

ゴム補強用表面処理カーボンブラック含有熱可塑性エラストマー組成物

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JP2000143878A JP10341170A JP34117098A JP2000143878A JP 2000143878 A JP2000143878 A JP 2000143878A JP 10341170 A JP10341170 A JP 10341170A JP 34117098 A JP34117098 A JP 34117098A JP 2000143878 A JP2000143878 A JP 2000143878A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シリカ付着カーボンブラックが、マトリック
スの熱可塑性樹脂成分へ移行しないで、分散相の変性ポ
リイソブチレンゴム中に分散固定されている微細構造を
有し、もって引張諸特性に優れ、ゴムエラストマー成分
の補強性に優れた熱可塑性エラストマー組成物を提供す
る。 【解決手段】 熱可塑性樹脂中に、シリカ付着カーボン
ブラックを添加したシリカ表面のシラノール基と反応可
能な官能基を導入した変性ポリイソブチレンもしくはイ
ソブチレン系共重合ポリマーが動的に加硫され、前記樹
脂中に分散している熱可塑性エラストマー組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性エラスト
マー組成物に関し、更に詳細には、シリカ付着したカー
ボンブラックを分散固定した変性ブチル系ゴムを動的加
硫し、これをマトリックスの熱可塑性樹脂中に分散させ
た熱可塑性エラストマー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、各種ゴム製品に使用した場合
に、高温域のtanδを相対的に低くすることにより耐
久性を向上させ、また低電気伝導性やさらにはシリカの
分散が難しいという加工上の問題を解決した、シリカを
表面に付着させたゴム補強用表面処理カーボンブラック
およびそれを配合したゴム組成物が、特開平7−237
030号公報により開示され、また、ゴム基材としての
ポリイソブチレン系ゴムであるポリイソブチレンもしく
はイソブチレン系共重合ポリマーに対してシリカ表面の
シラノール基と反応可能な官能基を導入した変性ポリイ
ソブチレン系ゴムに前記シリカ付着カーボンブラックを
添加、混練することによって、シリカ付着カーボンブラ
ックのシリカ部分と変性ポリイソブチレン系ゴムにおけ
る変性官能基部分とを相互に結合させ、それによってゴ
ム材のtanδバランスおよび未加硫粘度の抑制を一層
向上させたゴム組成物が、特開平9−334071号公
報により開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ブチル系ゴムを動的加
硫し、マトリックスである熱可塑性樹脂のナイロン等に
分散させた熱可塑性エラストマー組成物の場合に、通常
のカーボンブラック配合では、マトリックスナイロンと
カーボンブラックの親和性が高いためゴム補強剤として
のカーボンブラックがマトリックスのナイロン側に移行
してしまい、本来のゴムエラストマー成分における補強
性が得られないと共に、マトリックス中に移行したカー
ボンブラックのためマトリックス自体の物性も損なって
しまうという問題がある。そこで、本発明では、熱可塑
性エラストマー組成物のゴムエラストマー成分に、前記
の変性ポリイソブチレンもしくはイソブチレン系共重合
ポリマーを使用し、さらにカーボンブラックにも前記の
シリカ付着カーボンブラックを用いることによって、こ
のシリカ付着カーボンブラックのシリカ表面のシラノー
ル基が変性ポリイソブチレンもしくはイソブチレン系共
重合ポリマーのハロゲン基と置換して、シリカ付着カー
ボンブラックがゴムエラストマー成分中に固定されてマ
トリックスへの移行が阻止されるようになり、もって、
引張物性が向上し、また、マトリックス中に分散される
ゴムの粘度制御が可能となり、さらにゴムの配合比率が
高められるように改善された熱可塑性エラストマー組成
物が提供される。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、熱可塑
性樹脂中に、シリカ付着カーボンブラックを添加したシ
リカ表面のシラノール基と反応可能な官能基を導入した
変性ポリイソブチレンもしくはイソブチレン系共重合ポ
リマーが動的に加硫され、前記樹脂中に分散しているこ
とを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物が提供され
る。
【0005】また、本発明によれば、前記変性ポリイソ
ブチレンが、ハロゲン基を導入したイソブチレン−イソ
プレン共重合ゴムおよび/またはハロゲン基を導入した
イソモノオレフィンとp−アルキルスチレンの共重合ゴ
ムであること、前記シリカ付着カーボンブラックのシリ
カ付着量が0.1〜50重量%であること、前記熱可塑
性樹脂のSP値が8.0〔(cal/cm3)1/2 〕以上である
こと、そして、前記熱可塑性樹脂100重量部に、シリ
カ付着カーボンブラックを1重量部以上配合した動的加
硫ゴムを10重量部以上配合することをそれぞれ特徴と
する熱可塑性エラストマー組成物が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明では、熱可塑性樹脂のマト
リックス中にゴムエラストマー成分が分散固定されてい
る構造の熱可塑性エラストマー組成物において、そのゴ
ムエラストマー成分にシラノール基と反応可能な官能基
を導入した変性ポリイソブチレンもしくはイソブチレン
系共重合ポリマーを用い、一方、このゴムエラストマー
成分を補強するための補強剤として、シリカをカーボン
ブラックの表面に付着したシリカ付着カーボンブラック
を用いた点に特徴を有する。本発明では、これらゴムエ
ラストマー成分とシリカ付着カーボンブラックを所定の
熱可塑性樹脂中に配合、混練すると、このゴムエラスト
マー成分に導入されたシラノール基と反応可能な官能基
とシリカ付着カーボンのシリカ表面におけるシラノール
基とが反応して、ゴムエラストマー中にシリカ付着カー
ボンブラックが均一に分散、固定された状態の分散相と
して、これが熱可塑性樹脂のマトリックス中に分散した
構造となり、そのため、当該熱可塑性エラストマー組成
物の引張強さ等の物性が一層向上し、また、前記分散相
としてのゴムエラストマー中への前記補強剤の配合量を
変えることによって分散ゴム相の粘度制御が可能とな
り、更に、マトリックス中への分散ゴム相の比率を高め
ることができることも見い出した。
【0007】本発明の熱可塑性エラストマー組成物にお
けるマトリックスを構成する熱可塑性樹脂成分として
は、ナイロン11(N11)、ナイロン12(N1
2)、ナイロン610(N610)、ナイロン612
(N612)、ナイロン6T、ナイロン6/6T共重合
体、ナイロン66/PP共重合体、ナイロン66/PP
S共重合体のようなポリアミド系樹脂およびポリエーテ
ルエステルアミドエラストマー、ポリブチレンテレフタ
レート(PBT)、ポリブチレンテレフタレート/テト
ラメチレングリコール共重合体、ポリアリレート(PA
R)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、液晶ポリ
エステル、ポリオキシアルキレンジイミド酸/ポリブチ
レンテレフタレート共重合体のようなポリエステル系樹
脂;ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロ
ニトリル(PMN)、アクリロニトリル/スチレン共重
合体(AS)、メタクリロニトリル/スチレン共重合
体、メタクリロニトリル/スチレン/ブタジエン共重合
体のようなポリニトリル系樹脂;ポリメタクリル酸メチ
ル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル、エチレンエ
チルアクリレート共重合体(EEA)、エチレンアクリ
ル酸共重合体(EAA)、エチレンメチルアクリレート
(EMA)のようなポリ(メタ)アクリレート系樹脂;
酢酸ビニル(EVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)のよ
うなポリビニル系樹脂;酢酸セルロース、酢酸酪酸セル
ロースのようなセルロース系樹脂;ポリフッ化ビニリデ
ン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリク
ロルフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロ
エチレン/エチレン共重合体(ETFE)のようなフッ
素系樹脂および芳香族イミドのようなイミド系樹脂など
を挙げることができる。
【0008】これら熱可塑性樹脂のうち、好ましく用い
られるものはSP値が8.0〔(cal/cm3)1/2 〕以上の
樹脂であり、特に好ましくは、SP値が8.05〔(cal
/cm3)1/2 〕以上の樹脂が用いられる。SP値が8.0
〔(cal/cm3)1/2 〕以上の樹脂であると、シリカ付着カ
ーボンブラックが、ゴムからマトリックスである熱可塑
性樹脂への移行が発生しない点でより好適である。
【0009】本発明の熱可塑性エラストマー組成物に用
いられる変性ポリイソブチレン系ゴムは、ポリイソブチ
レン系ゴム(これには、ポリイソブチレンもしくはイソ
ブチレン系共重合ポリマーが含まれる)に対してシリカ
表面のシラノール基と反応可能な官能基、例えばハロゲ
ン基、アルコキシシリル基、アシルオキシ基、アミノ基
などを導入したものであり、かかる反応基の導入は、例
えばゴム工業便覧(第四版)(日本ゴム協会平成6年発
行)の第255頁に記載された方法などによって行なう
ことができる。こゝで、前記変性ポリイソブチレン系ゴ
ムとして特に本発明に有用なものは、ハロゲン基を導入
したイソブチレン−イソプレン共重合ゴム、および/ま
たはハロゲン基を導入したイソブチレン−パラメチルス
チレン共重合ゴムのようなイソモノオレフィンとp−ア
ルキルスチレンのハロゲン含有共重合ゴムである。
【0010】本発明の熱可塑性エラストマー組成物の上
記ゴムエラストマー成分の補強剤として用いられるシリ
カ付着カーボンブラックは、カーボンブラックの表面全
部または一部にシリカを生成、付着させたもので、基本
的には気相もしくは液相中でカーボンブラックをシリカ
の適正な生成条件中に置くことで製造できる。シリカ付
着に用いられるシリカの生成条件は、例えばテトラエト
キシシランの加水分解、ポリアルコキシシロキサンの加
熱分解、水ガラスの中和、コロイダルシリカ水溶液の乾
燥等があげられる。シリカの付着は、カーボンブラック
粒子が炉中で成長している過程で行っても良いし、一度
出来上がったカーボンブラックに後処理しても良く、具
体的工程としてカーボン生成炉や造粒機やウェットマス
ターバッチ凝固槽等があげられる。公知なものとして特
開平8−277347号公報や国際公表番号WO第96
/37547号があげられる。
【0011】本発明において前記シリカ付着カーボンブ
ラックの原料物質として使用されるカーボンブラックと
しては、従来からゴム補強効果を示すものとしてタイヤ
用その他のゴム組成物に汎用されている任意のカーボン
ブラックを用いることができる。好ましいカーボンブラ
ックは、SRF〜SAFグレードの窒素吸着表面積が2
5〜250m2 /gにあるものであり、ゴム組成物の用
途により、種々使い分けや2種以上をブレンドすること
も可能である。本発明で使用するシリカ付着カーボンブ
ラックにおけるシリカ付着量は、0.1〜50重量%で
あることが本発明のゴムエラストマー成分中での分散性
並びに本発明の所期の作用効果を達成する上で好まし
い。
【0012】本発明による熱可塑性エラストマー組成物
では、マトリックスを構成する前記熱可塑性樹脂100
重量部に対して、シリカ付着カーボンブラックを1重量
部以上、好ましくは1〜150重量部、より好ましくは
2〜100重量部の範囲で配合してなる分散相を構成す
る動的加硫ゴムを10重量部以上、好ましくは15〜5
00重量部、より好ましくは15〜450重量部の範囲
で配合することが、熱可塑性樹脂のマトリックス中に前
記シリカ付着カーボンブラックにより動的加硫されたゴ
ムエラストマー分散相が固定された状態を形成させた上
で、所望の物性の向上を達成するために好ましい。
【0013】本発明の熱可塑性エラストマー組成物の分
散相を構成するゴム成分を動的加硫する場合の加硫剤、
加硫助剤、および加硫条件(温度、時間)等は、添加す
るゴム成分の組成に応じて適宜決定すればよく、特に限
定されるものではない。加硫剤としては、一般的なゴム
加硫剤(架橋剤)を用いることができる。具体的には、
イオウ系加硫剤としては粉末イオウ、沈降性イオウ、高
分散性イオウ、表面処理イオウ、不溶性イオウ、ジモル
フォリンジサルファイド、アルキルフェノールジサルフ
ァイド等を例示でき、例えば、0.5〜4phr 〔ゴム成
分(ポリマー)100重量部あたりの重量部〕程度用い
ることができる。また、有機過酸化物系の加硫剤として
は、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパー
オキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイ
ド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオ
キシ)ヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−
ジ(パーオキシルベンゾエート)等が例示され、例え
ば、1〜20phr 程度用いることができる。更に、フェ
ノール樹脂系の加硫剤としては、アルキルフェノール樹
脂の臭素化物や、塩化スズ、クロロプレン等のハロゲン
ドナーとアルキルフェノール樹脂とを含有する混合架橋
系等が例示でき、例えば、1〜20phr 程度用いること
ができる。
【0014】その他の配合成分として、亜鉛華(5phr
程度)、酸化マグネシウム(4phr程度)、リサージ
(10〜20phr 程度)、p−キノンジオキシム、p−
ジベンゾイルキノンジオキシム、テトラクロロ−p−ベ
ンゾキノン、ポリ−p−ジニトロソベンゼン(2〜10
phr 程度)、メチレンジアニリン(0.2〜10phr 程
度)が例示できる。また、必要に応じて、加硫促進剤を
添加してもよい。加硫促進剤としては、アルデヒド・ア
ンモニア系、グアニジン系、チアゾール系、スルフェン
アミド系、チウラム系、ジチオ酸塩系、チオウレア系等
の一般的な加硫促進剤を、例えば、0.5〜2phr 程度
用いることができる。また、加硫促進助剤としては、一
般的なゴム用助剤を併せて用いることができ、例えば、
ステアリン酸やオレイン酸およびこれらのZn塩(2〜
4phr 程度)等が使用できる。
【0015】さらに、分散相をなすゴムエラストマー中
には、前記の配合剤に加えて、分散性や耐熱性などの改
善その他のために一般的に配合される軟化剤、老化防止
剤、加工助剤などの配合剤を必要に応じ適宜配合するこ
とができる。
【0016】また、熱可塑性エラストマー組成物のマト
リックスを構成する熱可塑性樹脂中には、加工性、分散
性あるいはまた耐熱・酸化防止性などの改善その他のた
めに一般的に配合される可塑剤、軟化剤、充填剤、補強
剤、加工助剤、安定剤、酸化防止剤等を必要に応じ適宜
配合してもよい。
【0017】本発明における熱可塑性エラストマー組成
物は、熱可塑性樹脂成分と予めゴム成分にシリカ付着カ
ーボンブラックを混練しておいたゴムエラストマー(ゴ
ムは未加硫物)成分とを2軸混練押出機等で溶融混練
し、マトリックスを形成する熱可塑性樹脂中にエラスト
マー成分を分散させる。エラストマー成分の加硫には、
混練下で加硫剤を添加し、エラストマーを動的に加硫さ
せることにより行う。また、熱可塑性樹脂成分またはエ
ラストマー成分への各種配合剤(加硫剤を除く)は、上
記混練中に添加してもよいが、混練の前に予め混合して
おくことが好ましい。熱可塑性樹脂とエラストマーの混
練に使用する混練機としては、特に限定はなく、スクリ
ュー押出機、ニーダ、バンバリミキサー、2軸混練押出
機等が挙げられる。中でも樹脂成分とゴム成分の混練お
よびゴム成分の動的加硫には2軸混練押出機を使用する
のが好ましい。さらに、2種類以上の混練機を使用し、
順次混練してもよい。溶融混練の条件として、温度は熱
可塑性樹脂が溶融する温度以上であれば良い。また、混
練時の剪断速度は500〜7500 sec-1であるのが好
ましい。混練全体の時間は30秒から10分で、また加
硫剤を添加した後の加硫時間は15秒から5分であるの
が好ましい。上記方法で作製された熱可塑性エラストマ
ー組成物は、熱可塑性樹脂成分が連続相を、シリカ付着
カーボンブラックが分散固定し架橋したエラストマー成
分が分散相(ドメイン)を形成した分散構造をとるため
に、安定した分散構造となり、かつ、加硫ゴムの特性を
示すと共に、熱可塑性エラストマー組成物の諸物性にお
いてより向上したものが得られる。
【0018】
【実施例】以下、実施例によって本発明を更に説明する
が、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するものでな
いことは言うまでもない。
【0019】以下の各例の配合に使用したシリカ付着カ
ーボンブラック−1および−2は、次の方法で調製し
た。シリカ付着カーボンブラック−1 以下の方法でシリカを2%含有するシリカ付着カーボン
ブラックを調製した。市販の水分散シリカ(スノーテッ
クス30、日産化学製)を蒸留水と硫酸を用いて、pH
7、SiO2 として2重量%の水溶液となるよう調製し
た。80℃に保温した密閉型ミキサーに市販のカーボン
ブラック(ダイアブラックN339)1000gを投入
し、調製した水分散シリカの水溶液の1000ミリリッ
トルを直ちに注ぎ、2〜5mmのビーズ状に造粒するまで
80℃で攪拌を続けた。これを105℃で乾燥した。シリカ付着カーボンブラック−2 市販の水分散シリカ(スノーテックス30、日産化学
製)を蒸留水と硫酸を用いて、pH7、SiO2 として3
重量%の水溶液となるように調製した点を除き、上記と
同様の方法でシリカを3%含有するシリカ付着カーボン
ブラックを調製した。
【0020】以下の各例の配合に使用した他の配合成分
は、以下の市販品を用いた。 変性ブチルゴム:Exxpro 89−4(エクソン化
学製) ジシアンジアミド:DICY 15(三菱化学製) 加硫促進剤:カーメックスD(デュポン製) ポリアミド樹脂1:Pebax 2533(東レ・アト
ケム製) ポリアミド樹脂2:Pebax 3533(東レ・アト
ケム製)
【0021】試験サンプルの調製 先ず、下記の表1に示す変性ブチルゴム、シリカ付着カ
ーボンブラックおよび加硫促進剤を、密閉式のゴム用バ
ンバリーミキサーに投入して混練し、次にゴム用ロール
を用いてシート状にした後、ゴム用ペレタイザーでペレ
ット状にした。次いで、下記表1に示すポリアミド樹脂
1または2と前記ペレット状のシリカ付着カーボンブラ
ック混入ゴムとを2軸混練押出機に投入し、混練した
後、さらにジシアンジアミド(加硫剤)を連続的に投入
することにより、ポリアミド樹脂からなるマトリックス
中に分散相として分散しているゴム成分を動的に加硫し
た。混練条件は、混練温度は、200℃、動的加硫を行
う部分の滞留時間120秒、剪断速度1000 sec-1
ある。動的加硫終了後、2軸混練押出機から連続的にス
トランド状に排出し、氷冷後、カッターで長さ約3mm
(直径2mm)に切断し、ペレット状の熱可塑性エラスト
マー組成物を得た。試験体は、上記熱可塑性エラストマ
ー組成物のペレットを通常使用される樹脂用プレス機
で、230℃で5分、2.9MPa の圧力で2.0mm厚さ
のシート状に成形して供した。
【0022】電顕観察 表1の実施例1および比較例2の配合になる上記試験体
シートより電顕用試料を作成し、これを用いて倍率10
000倍の電顕写真1および2を得た。
【0023】これらの電顕写真1および2によると、シ
リカ付着カーボンブラックと変性ポリイソブチレンゴム
との組合せの配合を用いた本発明の熱可塑性エラストマ
ー組成物である実施例1のもの(電顕写真1)では、そ
のゴムエラストマー成分の分散相中にカーボンブラック
が均一に分散固定されていること、またこの分散相の大
きさは、未処理カーボンブラックを配合してなるそれよ
りもシリカ付着カーボンブラックを内包しているため大
きく発達していることがわかる。それに対して、未処理
カーボンブラックを変性ポリイソブチレンと共に熱可塑
性樹脂マトリックス中に配合した熱可塑性エラストマー
組成物である比較例2のもの(電顕写真2)では、カー
ボンブラックが熱可塑性樹脂のマトリックス中に相当部
分が移行して、本来保持されるべきゴムエラストマー成
分中にはカーボンブラックが僅かしか残存していないこ
とがわかる。
【0024】試験方法 上記で得られた各例の試験体よりJIS規格の3号ダン
ベル形状(JIS K6251)の試験片を打抜機で作
製し、この試験片を用いて、JIS K6250,K6
251に準拠して、所定の50%モジュラス(MPa )、
300%モジュラス(MPa )、破断強度(MPa )および
破断伸び(%)を測定した。得られた結果を表1に示
す。
【0025】
【表1】
【0026】表1の結果から、熱可塑性樹脂マトリック
ス中に変性ブチルゴムとシリカ付着カーボンブラックの
組合せ配合になる分散相を有する構造の本発明の熱可塑
性エラストマー組成物である実施例1〜4のものは、5
0%および300%モジュラス、破断強度、破断伸びの
物性の点で、カーボンブラックを配合しない比較例1お
よび未処理カーボンブラックを配合した比較例2および
3のものに比して、いずれも上記諸物性が一段と優れて
いることがわかる。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
シリカ付着カーボンブラックがゴムエラストマー成分中
に固定されてマトリックスへの移行が阻止され、そのた
め引張物性が向上し、また、マトリックス中に分散相と
して分散固定されるゴムエラストマー成分の粘度制御が
可能となり、更に分散相としてのゴムエラストマー成分
の配合比率を高めることもでき、よって、従来のものに
比して一段と優れた熱可塑性エラストマー組成物を得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱可塑性エラストマー組成物の微細構
造を示す電顕写真1である。
【図2】従来の熱可塑性エラストマー組成物の微細構造
を示す電顕写真2である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 AA01W AB01W BB07W BB18X BB20X BD04W BD12W BD13W BD14W BF02W BG05W BG06W BG10W BG11W BN15W CF07W CF08W CF16W CL01W CL03W CL08W DA036 DJ017 FB076 FD140 FD150

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂中に、シリカ付着カーボン
    ブラックを添加したシリカ表面のシラノール基と反応可
    能な官能基を導入した変性ポリイソブチレンもしくはイ
    ソブチレン系共重合ポリマーが動的に加硫され、前記樹
    脂中に分散していることを特徴とする熱可塑性エラスト
    マー組成物。
  2. 【請求項2】 前記変性ポリイソブチレンが、ハロゲン
    基を導入したイソブチレン−イソプレン共重合ゴム、お
    よび/またはハロゲン基を導入したイソモノオレフィン
    とp−アルキルスチレンの共重合ゴムである請求項1に
    記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 【請求項3】 前記シリカ付着カーボンブラックのシリ
    カ付着量が0.1〜50重量%である請求項1または2
    に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 【請求項4】 前記熱可塑性樹脂のSP値が8.0〔(c
    al/cm3)1/2 〕以上である請求項1〜3のいずれか1項
    に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  5. 【請求項5】 前記熱可塑性樹脂100重量部に、シリ
    カ付着カーボンブラックを1重量部以上配合した動的加
    硫ゴムを10重量部以上配合した請求項1〜4のいずれ
    か1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
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