JP3624488B2 - ホース用ゴム組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、押出加工性、成形加工性に優れたゴム組成物をゴムホースの内部管に使用するホース用ゴム組成物に関するものであり、これを加硫するとゴムホースの内部管ばかりでなく、ホースのカバーゴム(外管部)、伝動用ベルト、運搬用ベルト、ゴムロール、ゴムクローラ、ブッシュ、パッキン、ブーツ、防振ゴムなどの工業用品や、紳士靴、婦人靴、スポーツ用シューズなどの靴底などに用いることができる。
【0002】
【従来の技術】
一般にゴムホースは、補強層を挟んでカバーゴムと内管とに分けられる。カバーゴムに必要な物性は耐候性、耐オゾン性である。内管に必要な物性は当然のことではあるが内を通る物体・媒体に対する抵抗性(硬さ、耐摩耗性、耐溶媒性など)や耐屈曲性などである。ホース内を通る物体がセメントなどの粒体や生コンクリートのような水のスラリーで耐油性が必要がない場合には内管は、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴムを主体にした配合で製造される。特に耐摩耗性が要求される場合は、ブタジエンゴム、天然ゴムが用いられる。直径が大きくない通常のホースは、内管を押出し、その上に繊維(糸ないし、布)又はスチールワイヤを巻いて補強し、その上に更にカバーゴムをつけてから加硫して製造される。そのため、内管用ゴム組成物には押出加工性(流動性、スウェル比など)と繊維を巻くときその圧力で変形しないように大おきいグリーンモジュラス、スウェル比及びムーニー粘度が必要であり、これらの要求を満足さすものはなかった。
従来これらの要求に応えて、ゴムホース組成物にカーボンブラック等の無機補強剤を増量する方法や短繊維を混入する方法がある。カーボンブラックなど補強剤を増量する方法は、ゴム組成物のグリーンモジュラス、スウェル比は改良されるが充分でなく、かえって配合物ムーニー粘度が高くなりすぎて押出加工性、成形加工性が低下するなどの欠点を有している。更にゴム配合物の比重が大きくなるので、ゴムホースの軽量化にはふさわしくない。一方、短繊維を混入する方法において、短繊維を混入するのが難しくなることや、短繊維の径が大きく、しかも短繊維とゴムとの結合が不十分なので耐久性(高強度性、耐屈曲性、管内を通る媒体に対する抵抗性)を低下させてしまう欠点を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、上記の欠点を克服して押出加工性、成形加工性に優れ、管内を通る媒体に対する抵抗性に優れるホース用ゴム組成物を提供することである。
【0004】
【課題を解決のための手段】
この発明によれば、(A)、(B)、(C)及び(D)を主成分とするゴム組成物において、(A)繊維強化熱可塑性組成物、(1)ポリオレフィン(但し、ポリブテンを除く)、(2)加硫可能なゴム(第1のゴム)及び(3)主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマーからなる(A)繊維強化熱可塑性組成物であって、(1)成分と(2)成分がマトリックスを構成しており、そのマトリックス中に(3)成分が微細な繊維として分散し、且つ(3)成分が、(1)成分及び(2)成分と結合している(A)繊維強化熱可塑性組成物、(B)天然ゴム、ポリイソプレンゴム又はこれらの混合物(第2のゴム)、(C)天然ゴム及びポリイソプレンゴム以外のジエン系ゴム(第3のゴム)及び(D)カーボンブラックを配合することを特徴とするホース用ゴム組成物が提供される。
【0005】
また、この発明によれば、(A)、(B)、(C)及び(D)を主成分とするゴム組成物において
(A)繊維強化熱可塑性組成物、(1)高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、または、ポリプロピレン(PP)、(2)加硫可能なゴム(第1のゴム)、及び、(3)主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマーからなる組成物であって、(1)成分と(2)成分がマトリックスを構成しており、そのマトリックス中に(3)成分が微細な繊維として分散し、且つ(3)成分が、(1)成分及び(2)成分と結合している繊維強化熱可塑性組成物、(B)天然ゴム、ポリイソプレンゴム又はこれらの混合物(第2のゴム)、(C)天然ゴム及びポリイソプレンゴム以外のジエン系ゴム(第3のゴム)、及び(D)カーボンブラックを配合したことを特徴とするホース用ゴム組成物が提供される。
また、この発明によれば、ゴム成分(第1のゴム、第2のゴム及び第3のゴム)100重量部に対して、a(3)成分の主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマーの量が1〜20重量部、b(A)成分及び(B)成分中の天然ゴム及び/又はポリイソプレンが30〜100重量部、cカーボンブラック(D)の量が30〜70重量部からなるホース用ゴム組成物が提供される。
また、この発明によれば、(A)繊維強化熱可塑性組成物中の(3)成分の主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマーの微細な繊維が0.05〜1.0μmの平均径を有するホース用ゴム組成物が提供される。
また、この発明によれば、(A)繊維強化熱可塑性組成物中の(2)成分の加硫可能なゴム(第1のゴム)100重量部に対して、成分(1)ポリオレフィン30〜500重量部であり、成分(3)の主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマー10〜500重量部であるホース用ゴム組成物が提供される。
また、この発明によれば、ホース用ゴム組成物の加硫物において、JIS K 6301のA型スプリング式硬さ試験による硬さが55〜80゜であるホース用ゴム組成物が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】
次にこの発明の構成成分について具体的にに説明する。
(1)成分について説明する。
(1)成分は、ポリオレフィンであって、その融点が80〜250℃のものである。又、50℃以上のビカット軟化点、特に50〜200℃のビカット軟化点を持つものも好ましい。中でもメルトフロー・インデクスが0.2〜50g/10分の範囲のものが好ましいものとして挙げられる。
このようなポリオレフィンとして炭素数が2〜8のオレフィンの単独重合体又は共重合体及び、炭素数が2〜8のオレフィンとアクリル酸或いはそのエステルとの共重合体、炭素数が2〜8のオレフィンとスチレン、クロルスチレン、或いはα−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物との共重合体、炭素数が2〜8のオレフィンと酢酸ビニルとの共重合体及び炭素数が2〜8のオレフィンとビニルシラン化合物との共重合体が好ましく用いられる。
具体的には、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、ポリ−4−メチルペンテン−1(P4MP1)、ポリブテン−1、ポリヘキセン−1、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−スチレン共重合体、プロピレン−スチレン共重合体、エチレン−ビニルシラン共重合体、エチレン−ビニルトリエトキシシラン共重合体などである。
又、塩素化ポリエチレン、臭素化ポリエチレン、クロルスルフォン化ポリエチレンなどのハロゲン化ポリオレフィンも好ましく用いられる。
これらのポリオレフィンは、1種のみ用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
【0007】
(2)成分について説明する。
(2)成分は、加硫可能なゴム(第1のゴム)であって、ガラス転移温度が0℃以下のゴム状ポリマーであるものが好ましい。特に好ましくはガラス転移温度が−20℃以下のものである。ムーニー粘度(ML1+4,100℃)として通常20〜150程度のもの、好ましく30〜80の範囲のものが好ましい。20未満では加硫ゴムの物性が劣り、一方150を超えると加工性が劣るので上記範囲のものがよい。1種でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
このような具体例としては、ポリブタジエン(BR)、天然ゴム(NR)、ポリイソプレン(IR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、クロルスルフォン化ポリエチレン(CSM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、エチレン−プロピレンゴム(EPR、EPDM)、ブチルゴム(IIR)、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴムなどを挙げることができる。
これらの中でもポリブタジエン(BR)、天然ゴム(NR)、ポリイソプレン(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)が好ましい。
【0008】
次に(3)成分について説明する。
(3)成分は、主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマーであり、その融点が135℃〜350℃のものである。好ましいものとして150〜300℃の熱可塑性ポリアミドが挙げられる。これらの熱可塑性ポリアミドは、10,000〜200,000の範囲の分子量を有していることが好ましい。
具体的にはナイロン6、ナイロン66、ナイロン6−ナイロン66共重合体、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン46、ナイロン11、ナイロン12、ナイロンMXD6などである。
又、ジアミン化合物とジカルボン酸化合物の重縮合体、例えばキシレンジアミンとアジピン酸との重縮合体、キシレンジアミンとピメリン酸との重縮合体、キシレンジアミンとスペリン酸との重縮合体、キシレンジアミンとアゼライン酸との重縮合体及びキシレンジアミンとセバシン酸との重縮合体など、テトラメチレンジアミンとテレフタル酸との重縮合体、ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸との重縮合体及びオクタメチレンジアミンとテレフタル酸との重縮合体など、テトラメチレンジアミンとイソフタル酸との重縮合体、ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸との重縮合体、オクタメチレンジアミンとイソフタル酸との重縮合体及びトリメチルヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸との重縮合体など、も好ましいものとして挙げられる。
これらの熱可塑性ポリアミドとしては、最も好ましいものとしては融点160〜265℃の熱可塑性ポリアミドが挙げられ、具体的にはナイロン6、ナイロン66、ナイロン6−ナイロン66共重合体、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン46、ナイロン11及び、ナイロン12が挙げられる。これらの1種又は2種以上でもよい。
【0009】
(1)成分のポリオレフィン、(2)成分の加硫可能なゴム(第1のゴム)及び(3)成分の主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマーからなる(A)繊維強化熱可塑性組成物中の(1)成分、(2)成分及び(3)成分の割合は次の通りである。(2)成分100重量部に対して(1)成分は30〜500重量部、好ましくは30〜300重量部、特に好ましくは40〜200重量部の範囲である。(1)成分の割合が30重量部より少ないと、ペレット化できない。(1)成分の割合が500重量部を越えると加工性が悪くなる。
(3)成分は(2)成分100重量部に対して10〜500重量部、好ましくは20〜400重量部、特に好ましくは30〜300重量部の範囲である。(3)成分の割合が10重量部より少ないと、生産性が低く、コストアップの要因となる。一方(3)成分の割合が500重量部を越えると、組成物中で微細な繊維として存在する(3)成分の割合が少なくなり過ぎるので、かかる組成物を成形しても、平滑な表面を有する成形品が得られにくくなると共に強度が著しく低下する。
【0010】
(3)成分はその殆どが微細な繊維として(1)成分と(2)成分のマトリックス中に均一に分散している。具体的には70重量%、好ましくは80重量%、特に好ましくは90重量%以上が微細な繊維として均一に分散している。(3)成分の繊維は、平均繊維径が1μm 以下であり、好ましくは平均繊維径が0.05〜1.0μm の範囲である。アスペクト比(繊維長/繊維径)は10以上であることが好ましい。そして、(3)成分は(1)成分と(2)成分のいずれとも界面で結合している。(3)成分に対して結合した(1)成分と(2)成分の和が1〜20重量%、特に5〜15重量%の範囲が好ましい。
【0011】
(B)成分(第2のゴム)は天然ゴム、ポリイソプレンゴム、又は両者の混合物である。ムーニー粘度(ML1+4,100℃)として通常20〜150程度のもの、好ましく30〜80の範囲のものが好ましい。20未満では加硫ゴムの物性が劣り、一方150を超えると加工性が劣るので上記範囲のものがよい。
【0012】
(C)成分(第3のゴム)は天然ゴム、ポリイソプレンゴムを除くジエン系ゴムである。ガラス転移温度が0℃以下のゴム状ポリマーであるものが好ましい。特に好ましくはガラス転移温度が−20℃以下のものである。ムーニー粘度(ML1+4,100℃)として通常20〜150程度のもの、好ましく30〜80の範囲のものが好ましい。20未満では加硫ゴムの物性が劣り、一方150を超えると加工性が劣るので上記範囲のものがよい。このような具体例としては、ポリブタジエン(BR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、エチレン−プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴムなどを挙げることができる。
【0013】
(D)成分のカーボンブラックとしては、粒子径100mμ以下、ジブチルフタレート(DBP)吸油量60mμ/100g以上のものが好適に使用される。カーボンブラックの品種として例えばSAF,ISAF,IISAF−HS,HAF,FEF,GPF,SRF,FTなどの各種カーボンブラックが適宜使用される。
【0014】
ホース用ゴム組成物の各成分は、加硫可能なゴム成分(第1のゴムと第2のゴム及び第3のゴム)の合計100重量部に対して、(1)成分のポリオレフィン1〜20重量部であり、好ましくは2〜15重量部、(3)成分の主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマーの量は1〜20重量部であり、好ましくは2〜15重量部、(C)カーボンブラックの量は30〜70重量部である。この組成物の加硫物は、JIS K 6301のA型スプリング式硬さ試験による硬さが55〜80°であるように配合する。
(1)成分のポリオレフィンの量が1重量部より少ないと加硫物の耐久性(屈曲性、耐摩耗性)が充分でなく、(1)成分の量が20重量部より多いとゴム弾性の乏しいゴム組成物になり、又ムーニー粘度が上がりすぎ加硫物の耐摩耗性などが低下する。よって前記記載の範囲が好ましい。(3)成分の主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマーの量が1重量部より少ないと加工性が悪くなり硬さや強度が低下して耐久性に優れるゴム組成物は得られない。(3)成分の量が20重量部より多いとムーニー粘度が上がりすぎ加工しにくくなる。よって前記記載の範囲が好ましい。(C)成分のカーボンブラックの量が30重量部より少ないと加硫物の強度や耐摩耗性が低くなり、カーボンブラックの量が70重量部より多いとゴム組成物のムーニー粘度が上がりすぎ加工しにくくなり比重が大きくなりすぎるので前記記載の範囲が好ましい。この発明のホース用ゴム組成物の各成分が、上記記載の範囲である限り、この発明のホース用ゴム組成物は、加硫可能なゴムとポリオレフィンがマトリックスを構成し、そのマトリックス中に熱可塑性ポリアミドが0.2μm の微細な繊維として均一に分散しており、且つ熱可塑性ポリアミドが、加硫可能なゴムとポリオレフィンと結合している。ポリアミドと結合したポリオレフィンが繊維表面から結晶ラメラを形成し。このラメラがアンカー効果の役割をして、繊維とマトリックスのゴムとの間の界面結合をより強固なものとしている。一方、ゴムと結合したポリオレフィンは、直径0.2μm 以下の微細な粒子としてゴム中に均一に分散し、補強充填剤の効果を発現する。
【0015】
前記ホース用ゴム組成物は以下に示す工程から製造される。
(a)(1)成分と(2)成分からなるマトリックスを調製する工程、
(b)上記マトリックスと、(3)成分とを溶融、混練し、得られた混練物を(3)成分の融点以上の温度で押出す工程、
(c)上記押出し物を(3)成分の融点より低い温度で延伸及び/又は圧延する工程、
(d)上記延伸及び/又は圧延して得られれた紐状又は糸状物を切断して繊維強化熱可塑性組成物とする工程、及び
(e)得られた繊維強化熱可塑性組成物、(B)第2のゴム、(C)第3のゴム及び(D)カーボンブラックを配合する工程
により製造できる。
【0016】
以下、この発明のホース用ゴム組成物の製造法における各工程を説明する。
工程(a):(1)成分のポリオレフィン及び(2)成分の加硫可能なゴムとからなるマトリックスを調製する工程からなる。
マトリックスを調製法としては、(1)成分、(2)成分とカップリング剤と溶融混練する方法、(1)成分とカップリング剤を溶融混練し、次いで、(2)成分と溶融混練する方法が挙げられる。溶融混練温度は(1)成分の融点より高い温度であり、溶融混練は樹脂やゴムの混練に通常用いられる装置で行うことができる。このような装置として、バンバリー型ミキサー、ニーダー、ニーダーエキストルーダー、オープンロール、一軸混練機、二軸混練機などが用いられる。これらの装置の中で短時間で且つ連続的に溶融混練が行える点で二軸混練機が最も好ましい。
【0017】
カップリング剤として、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、ノボラック型アルキルフェノールホルムアルデヒド初期縮合物、レゾール型アルキルフェノールホルムアルデヒド初期縮合物、ノボラック型フェノールホルムアルデヒド初期縮合物、レゾール型フェノールホルムアルデヒド初期縮合物、不飽和カルボン酸及びその誘導体、有機過酸化物など、高分子のカップリング剤として通常用いられているものが使用できる。これらのカップリング剤のうち、(1)成分や(2)成分をゲル化させることが少なく、且つこれらの成分の界面に強固に結合する点からシランカップリング剤が好ましい。
【0018】
シランカップリング剤の具体例として、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メタクイロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)アミノプロピルエチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルメトキシシラン、γ−〔N−(β−メタクロキシエチル)−N,N−ジメチルアンモニウム(クロライド)〕プロピルメトキシシラン、及びスチリルジアミノシランなどが挙げられる。中でも、アルコキシ基などから水素原子を奪って脱離し易い基及び/又は極性基とビニル基とを有するものが特に好ましい。
【0019】
シランカップリング剤は、(1)成分のポリオレフィン100重量部に対し、好ましくは0.1〜2.0重量部の範囲、特に好ましくは0.2〜1.0重量部の範囲である。シランカップリング剤の量0.1重量部より少ないと、強度の高い組成物が得られず、2.0重量部よりも多いとモジュラスに優れた組成物が得られない。シランカップリング剤の量が上記範囲内では(1)成分及び(2)成分との間で強固な結合が形成される。
【0020】
シランカップリング剤を用いる場合には、有機過酸化物を併用することができる。有機過酸化物を併用することにより(1)成分のポリオレフィンの分子鎖上にラジカルが形成され、このラジカルがシランカップリング剤と反応することにより、(1)成分とシランカップリング剤との間の反応が促進させると考えられる。この時の有機過酸化物の使用量は、(1)成分100重量部に対して0.01〜1.0重量部の範囲が好ましい。(2)成分に天然ゴムやポリイソプレンを使用する時(イソプレン構造を有するゴム)には有機過酸化物の使用は不要である。混練時の剪断による上記反応が起こるからである。
【0021】
有機過酸化物として1分間の半減期温度が溶融混練温度ないし、この温度より30℃程度高い温度の範囲であるもの、具体的には1分間の半減期温度が80〜260℃程度のものが好ましく用いられる。
有機過酸化物の具体例としては、1,1−ジ−t−ブチル−オキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパ−オキシシクロヘキサン、2,2−ジ−t−ブチルパ−オキシブタン、4,4−ジ−t−ブチルパーオキシバレリン酸n−ブチルエステル、2、2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン)プロパンなどのパーオキシケタール類、パーオキシネオデカン酸2,2,4−トリメチルペンチル、パーオキシネオデカン酸α−クミル、パーオキシネオヘキサン酸t−ブチル、パーオキシネオビバリン酸t−ブチル、パーオキシ酢酸t−ブチル、パーオキシラウリル酸t−ブチル、パーオキシ安息香酸t−ブチル、パーオキシフタル酸t−ブチル、パーオキシイソフタル酸t−ブチルなどのアルキルパーエステル類などが挙げられる。
【0022】
工程(b):(1)成分と(2)成分のマトリックスと、(3)成分の主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマーとを(1)成分、(2)成分及び(3)成分のいずれの融点より高い温度で溶融混練し押出す工程からなる。
工程(b)での溶融混練はシランカップリング剤を添加しても、しなくてもよいが生産性を考慮すると添加しない。(3)成分との溶融混練する工程は、それ故に強大な剪断速度で混練できるバンバリー型ミキサー及び二軸混練機などの装置が使用される。
押出工程において得られた混練物を紡糸口金或いはインフレーションダイ又はTダイから押出す。紡糸、押出のいずれも、(3)成分の融点より高い温度で実施する必要がある。具体的には(3)成分の融点より30℃高い温度の範囲で実施することが好ましい。(3)成分の融点より低い温度で溶融混練を行っても、混練物は(1)成分及び(2)成分からなるマトリックス中に(3)成分の微細な粒子が混在した構造にはならない。従って、かかる混練物を紡糸、延伸しても(3)成分は微細な繊維構造を形成しない。
【0023】
延伸及び/又は圧延工程(c):上記押出し物を(3)成分の融点より低い温度で延伸及び/又は圧延する工程からなる。工程(b)で得られた紐状又は糸状の押出物を延伸及び/又は圧延して(3)成分を繊維形状に変換させて繊維強化熱可塑性組成物を得る。紡糸口金或いはインフレーションダイ又はTダイなどから押出し、次いでこれを延伸及び/又は圧延によって混練成分中の(3)成分の微粒子が繊維に変形する。この繊維は、それに引き続く延伸又は圧延によって延伸処理され、より強固な繊維となる。従って紡糸及び押出しは(3)成分の融点以上の温度で、延伸及び圧延は(3)成分の融点以下の温度で、具体的には(3)成分の融点より10℃以下の低い温度で実施する必要がある。紡糸及び押出しに引き続く延伸又は圧延は、例えば紡糸口金から押し出された糸をドラフトを掛けながらホビンなどに巻き取るなどの方法で実施される。ドラフトを掛けるとは、紡糸口金速度より巻取速度を高くすることである。巻取速度/紡糸口金速度の比(ドラフト比)は、1.5〜100の範囲とすることが好ましく。更に好ましくは2〜70の範囲、特に好ましくは3〜50の範囲である。
押出された紐状乃至糸状紡糸は、連続的に冷却、延伸又は圧延処理して行われる。冷却、延伸又は圧延することにより、より強固な繊維が形成されるので繊維強化熱可塑性組成物としての特性がより発揮できて好ましい。
【0024】
工程(d):延伸及び/又は圧延して得られれた紐状又は糸状物を切断して繊維強化熱可塑性組成物とする工程。延伸又は圧延された繊維強化熱可塑性組成物は通常ペレタイズされてペレットとなる。ペレット化することにより追加されるゴム、カーボンブラックなどとの配合・混練・分散が均一、簡単に行われるからである。
【0025】
この発明における(A)繊維強化熱可塑性組成物は、(1)成分と(2)成分がマトリックスを形成し、(2)成分が(1)成分中に島状に分散した構造であり、そして、(1)成分と(2)成分が互いに界面で結合しいる。更に(1)成分、(2)成分及び(3)成分からなり、(1)成分と(2)成分がマトリックスを形成しており、(3)成分の殆どが微細な繊維としてマトリックス中に均一に分散した構造であり、(3)成分の微細な繊維はマトリックスと結合している。(3)成分は(1)成分と(2)成分のいずれとも界面で結合する。この界面結合の存在は(1)成分と(2)成分のいずれにも溶解する溶媒、例えばキシレンなどの中で繊維強化熱可塑性組成物を熱抽出すると(1)成分と(2)成分は、抽出除去される。残った(3)成分の微細な繊維をo−ジクロロベンゼン−フェノール混合溶媒(85:15)に溶解してNMRで測定すると(1)成分と(2)成分に由来するピークが観測されることにより証明される。
【0026】
工程(e):得られた(A)維強化熱可塑性組成物と(B)第2のゴム、(C)第3のゴム及び(D)カーボンブラックを配合する工程。加硫可能なゴム成分(第1のゴムと第2のゴム及び第3のゴム)100重量部に対して3〜60重量部の維強化熱可塑性組成物及び30〜70重量部の(C)カーボンブラクを(3)成分の微細な繊維を溶融させない温度、(3)成分の融点以下で融点より20℃低い温度で(1)成分の融点より高い温度、好ましくは融点より10℃以上高い温度で溶融混練する。上記維強化熱可塑性組成物(A)の量が3重量部より少ないとゴム組成物のグリーンモジュラスが低下しスウェル比が大きくなる。逆に60重量部より多いと配合物ムーニー粘度が大きくなる。いずれの場合もゴムホース成形性(加工・流動性)が悪くなる。上記範囲内が好ましい。又、上記(D)カーボンブラック量が30重量部より少ないと加硫物の強度や耐摩耗性が低下し、逆に70重量部より多いと配合物ムーニー粘度が大きくなる。いずれの場合もゴムホース成形性(加工・流動性)が悪くなるので上記範囲内が好ましい。ゴムの成分(第1のゴムと第2のゴム及び第3のゴム)100重量部に対して(A)成分及び(B)成分のゴムの割合が30〜100重量部の範囲外であると加硫物の耐久性が低下する。上記範囲内に溶融混練することによりこの発明のホース用ゴム組成物が得られる。
溶融混練は樹脂やゴムの混練に通常用いられる装置で行うことができ、このような装置として、バンバリー型ミキサー、ニーダー、ニーダーエキストルーダー、オープンロール、一軸混練機、二軸混練機などが用いられる。
【0027】
かくして、この発明のホース用ゴム組成物は、前記(A)の繊維強化熱可塑性組成物、(B)第2のゴム、(C)第3のゴム、及び(D)カーボンブラックを配合してなりゴムホースを構成する内管部に使用すると押出加工性、成形加工性に優れ、管内を通る媒体に対する抵抗性の良いゴムホースを得ることができる。(A)繊維強化熱可塑性組成物に加硫可能なゴム(B)第2のゴム及び(C)第3のゴムを混練すると生成したゴム組成物中では、相転移が起こり、繊維強化熱可塑性組成物(A)で海構造をとっていた(1)成分のポリオレフィンは、島構造即ち微粒子として分散する。このポリオレフィン微粒子は直径0.2μm 以下であり、好ましくは0.1μm 以下である。直径0.2μm 以上の微粒子では、この発明の特性である耐屈曲性が悪く柔軟性がなくなり、屈曲により発生するクラックの伝播を阻止できず、ホースとしての耐久性を損なうので、上記の通り直径0.2μm 以下がよい。
【0028】
又、この発明のホース用ゴム組成物には通常の短繊維を配合することができる。短繊維として、ナイロン、ポリエステル、アラミッド、綿、ビニロン、レーヨン、天然セルローズ、アクリルなどを用いることができる。
【0029】
工程(e)においては、プロセスオイル、亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤を投入して混練する。この時は混練温度が上昇するので必要に応じて成分(3)の熱可塑性ポリアミドの融点以下に制御する。好ましくは120〜180℃で、混練時間は1〜10分である。、この時に加硫剤及び加硫助剤を一緒に室温〜100℃で必要量混練できる。充分均一に分散させてシート状に引き出す。得られたシートを成形・加硫するとホース用ゴム組成物の加硫物が得られる。この時の加硫剤の量は第1、第2及び第3のゴムの合計100重量部に対して0.1〜5.0重量部、特に0.5〜3.0重量部の範囲が好ましい。加硫助剤の量は第1と第2のゴムの合計100重量部に対して0.01〜2.0重量部、特に0.1〜1.0重量部の範囲が好ましい。
加硫剤としては、公知の加硫剤、例えば硫黄、有機過酸化物、樹脂加硫剤、酸化マグネシウムなどの金属酸化物などが用いられる。加硫助剤としては、公知の加硫助剤、例えばアルデヒド・アンモニア類、アルデヒド・アミン類、グアニジン類、チオウレア類、チアゾール類、チウラム類、ジチオカーバメイト類、キサンテートなどから選択される。
【0030】
この発明のホース用ゴム組成物には、この他にホワイトカーボン、活性化炭酸カルシウム、超微粒子珪酸マグネシウム、ハイスチレン樹脂、フェノール樹脂、リグニン、変性メラミン樹脂、クマロンインデン樹脂及び石油樹脂などの補強剤、炭酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、クレー、リサージュ、珪藻土、再生ゴム及び粉末ゴムなどの各種充填剤、アミン−アルデヒド系、ウレア系、グアニジン系、チアゾール系、ジチオカルバミン酸塩系、キサントゲン酸塩系、スルフェンアミド系及びチウラム系などの加硫促進剤、アミン−ケトン系、イミダゾール系、アミン系、フェノール系、硫黄系及び燐系などの酸化防止剤、ナフテン系、アロマチック系及びパラフィン系のプロセスオイルなどを含んでいてもよい。
【0031】
この発明のホース用ゴム組成物の加硫温度は100〜190℃程度が好ましい。但し加硫温度は、ゴム組成物中の微細な繊維を構成する熱可塑性ポリアミドの融点よりも低い温度である必要がある。この熱可塑性ポリアミドの融点以上の温度で加硫を行うと、折角繊維強化熱可塑性樹脂組成物の調整の段階で形成された繊維が溶けてしまい、加工性に優れ、加硫物の硬度や強度が大きく、耐久性に優れるゴム組成物が得られないからである。
【0032】
【実施例】
以下、実施例および比較例を示して、本発明について具体的に説明するが本発明はこれらによって制約されるものではない。
実施例および比較例において、成分(A)繊維強化熱可塑性組成物のペレット化の可否、各成分の分散形状の観察、及び得られたホース用ゴム組成物のムーニー粘度、スウェル比及びグリーンモジュラス、加硫物の硬さ、耐摩耗性及び耐屈曲性は以下のように測定した。
分散形状の観察:成分(A)繊維強化熱可塑性組成物のペレット5gをo−ジクロルベンゼンとキシレンの混合溶媒(容量比50:50)中、100℃で還流して成分(1)と成分(2)を抽出除去後、残った繊維を電子顕微鏡で観察して得た画像から繊維形態、平均繊維径・長さを求めた。
ムーニー粘度:JIS K6300に従い、未加硫物のゴム組成物のムーニー粘度ML1+4 ( 100℃)を測定した。
スウェル比:未加硫物のゴム組成物をキャピラリーレオメーターを用いてダイのL/D=2mm/1mm,押出温度100℃、剪断速度360sec−1にて測定した。
モジュラス:JIS K 6301に従い、未加硫物のゴム組成物のモジュラスM100 をJIS3号ダンベルに打ち抜いて試験片とし、室温、200mm/分の引張速度で測定した。
硬さ :JIS K 6301に従い、加硫物の硬さを測定した。
耐摩耗性:ASTM D2228に従い、加硫物のピコ摩耗指数を測定し、比較例1を100として指数表示した。数値の高い程、耐摩耗性は良好である。
耐屈曲性:JIS K6301に従い、2mmの傷が15mmの長さに成長する日数を測定し、比較例1を100として指数表示した。数値が大きい程、耐屈曲性は良好である。
【0033】
〔サンプル1〕
(1)成分として、ポリプロピレン(PP、宇部興産社製、ウベポリプロJ109融点165℃、メルトフローインデックス9g/10分)を用い、(2)成分として天然ゴム(NR,SMR−L)を、(3)成分としてナイロン6(宇部興産社製、宇部ナイロン1030B、融点215〜220℃、分子量30、000)を用いた。
先ず、(1)成分75重量部を、(2)成分100重量部と0.5重量部のγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランをバンバリー型ミキサーで溶融混練(温度210℃、時間4分)した。これをダンプ後、ペレット化した。次いでこのマトリックスと(3)成分87.5部を、240℃に加温した二軸混練機で混練し、混練物をペレット化した。得られた混練物を245℃にセットした一軸押出機で紐状に押出、ドラフト比10で引取りつつペレタイザーでペレット化した。得られたペレットをo−ジクロルベンゼンとキシレンの混合溶媒中で還流して、ポリプロピレン及び天然ゴムを除去し、残った繊維の形状や直径を電子顕微鏡で観察して、平均繊維径0.2μm の繊維であることを確認した。
【0034】
〔サンプル2〕
(1)成分として、高密度ポリエチレン(HDPE、丸善ポリマー社製、ケミレッツHD3070、融点130℃、メルトフローインデックス8.0g/10分)を用い温度160℃で溶融混練した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル2を調整し、これをペレット化した。得られたペレットをo−ジクロルベンゼンとキシレンの混合溶媒中で還流して、ポリエチレン及び天然ゴムを除去し、残った繊維の形状や直径を電子顕微鏡で観察したところ、平均繊維径0.2μm の繊維であることを確認した。
【0035】
〔サンプル3〕
(1)成分として、低密度ポリエチレン(LDPE、宇部興産社製、ウベポリエチレンF522、融点106℃、メルトフローインデックス5.0g/10分)を用いた以外は、サンプル2と同様にして、サンプル3を調整し、これをペレット化した。得られたペレットをo−ジクロルベンゼンとキシレンの混合溶媒中で還流して、ポリエチレン及び天然ゴムを除去し、残った繊維の形状や直径を電子顕微鏡で観察して、平均繊維径0.2μの繊維であることを確認した。
【0036】
〔サンプル4〕
(1)成分の低密度ポリエチレンを100重量部、(2)成分の天然ゴムを100重量部、(3)成分を100重量部とした以外は、サンプル2と同様にしてサンプル4を調整し、これをペレット化した。得られたペレットをo−ジクロルベンゼンとキシレンの混合溶媒中で還流して、ポリエチレン及び天然ゴムを除去し、残った繊維の形状や直径を電子顕微鏡で観察したところ、平均繊維径0.2μの繊維であることを確認した。以上の結果を表1にまとめて示した。
【0037】
【表1】
【0038】
〔実施例1〕
100℃、77rpmにセットしたB型バンバリーミキサー(容量1.7L
)で、繊維強化熱可塑性組成物としてサンプル1を用い、表2に示す配合処方で(B)成分の天然ゴム54.3部、(C)成分のポリブタジエンゴム40重量部(BR、宇部興産社製、UBEPOL−BR150、ムーニー粘度ML1+4 100 ℃43),カーボンブラック(三菱化学社製、FEF,粒子径43μm 、DBP吸油量115mL/100g),アロマティックオイル10重量部以外は表3に示す配合により亜鉛華、ステアリン酸及び老化防止剤を混練し、ホース用ゴム組成物である混練物を得た。この際最高混練温度を170〜180℃に調整した。次いで、この混練物を10インチロール上で表3に示す配合により加硫促進剤、硫黄を混練し、これをシート状にロール出しをした後、金型に入れて加硫し、加硫物を得た。加硫は145℃、30分行った。結果を表2に、その他の配合を表3に示す。
【0039】
〔実施例2〜4〕
使用する繊維強化熱可塑性組成物を表2に示すように変え、最高混練温度を150〜160℃に変えた以外は、実施例1と同様に実施した。結果を表2に、その他の配合を表3に示す。
【0040】
〔実施例5〜6〕
使用する繊維強化熱可塑性組成物を第2表に示すように変え、各成分の配合割合を表2に示すように変えた以外は、実施例2と同様に実施した。結果を表2に、その他の配合を表3に示す。
【0041】
〔実施例7〕
使用する繊維強化熱可塑性組成物を第2表に示すように変え、各成分の配合割合を表2に示すようにしてポリブタジエンゴムの代わりにスチレンブタジエンゴム(SBR、日本合成ゴム社製、JSR1500、ムーニー粘度ML1+4 100 ℃52)40重量部に変えた以外は、実施例2と同様に実施して、結果を表2に、その他の配合を表3に示す。
【0042】
〔実施例8〕
使用する繊維強化熱可塑性組成物を表2に示すように変え、各成分の配合割合を表2に示すようにして天然ゴムを24.3重量部、ポリブタジエンゴムを40重量部、スチレンブタジエンゴム30重量部に変えた以外は、実施例2と同様に実施して、結果を表2に、その他の配合を表3に示す。
【0043】
〔比較例1、2〕
繊維強化熱可塑性樹脂組成物を使用しないで各成分を表2に示すようにナイロン6及びアラミッド短繊維に変えた他は実施例2と同様にして組成物を得た。結果を表2、その他の配合を表3に示す。
【0044】
〔比較例3、4〕
繊維強化熱可塑性樹脂組成物を使用しないで各成分を表2に示すようにナイロン6及びアラミッド短繊維に変えた他は実施例2と同様にして組成物を得た。結果を表2、その他の配合を表3に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
【発明の効果】
この発明は、ポリオレフィン、加硫可能なゴム、熱可塑性ポリアミドからなる組成物であって、加硫可能なゴムとポリオレフィンがマトリックスを構成しており、そのマトリックス中に熱可塑性ポリアミドが0.2μm の微細な繊維として均一に分散しており、且つ熱可塑性ポリアミドが、加硫可能なゴムとポリオレフィンと結合している。ポリアミドに結合したポリオレフィンが繊維表面から結晶ラメラを形成し、この結晶ラメラがアンカー効果の役割をして、繊維とマトリックスのゴムとの界面結合をより強固なものとしている。一方ゴムと結合したポリオレフィンは0.2μm 以下の微細な粒子としてゴム中に均一に分散し、補強充填剤の効果を発現している。この結果、比較例に比べて、熱可塑性ポリアミド繊維の配合にも拘わらず、配合物のムーニー粘度、スウェル比が小さく、その上モジュラスも大きいので押出加工性、成形加工性などの作業性に優れ、ゴムホースに使用しても高硬度、高強度、耐摩耗性及び耐屈曲性の良いゴムホースを提供することができる。又、ゴムホースばかりでなく、運搬用ベルト、伝動用ベルト、ゴムロール、ゴムクローラ、ブッシュ、パッキン、ブーツ、防振ゴムなどの工業用品やシューズの靴底などにも使用することができる。
Claims (6)
- (A)、(B)、(C)及び(D)を主成分とするゴム組成物において
(A)繊維強化熱可塑性組成物、(1)ポリオレフィン(但し、ポリブテンを除く)、(2)加硫可能なゴム(第1のゴム)、及び、(3)主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマーからなる組成物であって、(1)成分と(2)成分がマトリックスを構成しており、そのマトリックス中に(3)成分が微細な繊維として分散し、且つ(3)成分が、(1)成分及び(2)成分と結合している繊維強化熱可塑性組成物、
(B)天然ゴム、ポリイソプレンゴム又はこれらの混合物(第2のゴム)、
(C)天然ゴム及びポリイソプレンゴム以外のジエン系ゴム(第3のゴム)、及び
(D)カーボンブラックを配合したことを特徴とするホース用ゴム組成物。 - (A)、(B)、(C)及び(D)を主成分とするゴム組成物において
(A)繊維強化熱可塑性組成物、(1)高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、または、ポリプロピレン(PP)、(2)加硫可能なゴム(第1のゴム)、及び、(3)主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマーからなる組成物であって、(1)成分と(2)成分がマトリックスを構成しており、そのマトリックス中に(3)成分が微細な繊維として分散し、且つ(3)成分が、(1)成分及び(2)成分と結合している繊維強化熱可塑性組成物、
(B)天然ゴム、ポリイソプレンゴム又はこれらの混合物(第2のゴム)、
(C)天然ゴム及びポリイソプレンゴム以外のジエン系ゴム(第3のゴム)、及び
(D)カーボンブラックを配合したことを特徴とするホース用ゴム組成物。 - ゴム成分(第1のゴム、第2のゴム及び第3のゴム)100重量部に対して、
a(3)成分の主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマーの量が1〜20重量部、
b(A)成分及び(B)成分中の天然ゴム及び/又はポリイソプレンが30〜100重量部、
cカーボンブラック(D)の量が30〜70重量部からなる特許請求の範囲の第1項に記載のホース用ゴム組成物。 - (A)繊維強化熱可塑性組成物中の(3)成分の主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマーの微細な繊維が0.05〜1.0μmの平均径を有する特許請求の範囲の第1項に記載のホース用ゴム組成物。
- (A)繊維強化熱可塑性組成物中の(2)成分の加硫可能なゴム(第1のゴム)100重量部に対して、成分(1)ポリオレフィン30〜500重量部であり、成分(3)の主鎖にアミド基を有する熱可塑性ポリマー10〜500重量部である特許請求の範囲の第1項に記載のホース用ゴム組成物。
- ホース用ゴム組成物の加硫物において、JIS K 6301のA型スプリング式硬さ試験による硬さが55〜80゜である特許請求の範囲の第1項に記載のホース用ゴム組成物。
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