JP4215372B2 - 熱可塑性エラストマー組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、連続相が熱可塑性ポリアミド樹脂であり、分散相がハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレンである熱可塑性エラストマー組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性ポリアミド樹脂、ハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレン、および加硫剤を混練機で混練して、熱可塑性エラストマー組成物を製造する方法は、米国特許第5,244,961号、特開平11−199713号公報等により公知である。
【0003】
連続相が熱可塑性ポリアミド樹脂であり、分散相がハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレンである熱可塑性エラストマー組成物を、2軸混練押出機で製造する方法において、樹脂、ゴム、架橋剤を混合する方法としては、以下の方法が考えられる;
▲1▼ 最初に樹脂とゴムを同じ投入口から2軸混練押出機に投入し溶融混練し、その後、混練の途中に別の投入口から架橋剤等の配合剤を投入する方法(以下、方法▲1▼と記す)
▲2▼ 樹脂、ゴム、架橋剤等の配合剤を同時に2軸混練押出機に投入する方法(以下、方法▲2▼と記す)とが考えられる。
【0004】
方法▲1▼では、樹脂とゴムが加熱下で混練され、この混練機からの熱気により、架橋剤等の配合剤が投入口で飛散し、混練機の投入口近くのシリンダ部に付着するという問題があり、定量性に欠けることから、熱可塑性エラストマー組成物の物性が不安定になる。また、混練機の途中から配合剤を添加するには、混練機に開口部を設ける必要があるが、この部分で混練が均一に行われず、ゲル粒が発生し、これにより製造された熱可塑性エラストマー組成物の物性が低下する等の問題が生じる。
【0005】
方法▲2▼では、上述の問題はないが、樹脂とゴムが十分に混練されず、ゴムが樹脂に包まれないうちに架橋が進むと、熱可塑性、流動性が得られず、混練機のスクリューに過度に負荷がかかり混練できなくなったり、ゴムの分散不良により、製造された熱可塑性エラストマー組成物の物性が低下するという問題を生じる。一方、架橋が遅すぎれば、ゴムの架橋度が低くなるため、製造された熱可塑性エラストマー組成物の物性が低下する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、連続相が熱可塑性ポリアミド樹脂であり、分散相がハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレンである熱可塑性エラストマー組成物を2軸混練押出機で製造するにあたり、配合剤、特に架橋剤の定量供給性が高く、製造時の混練性、および、得られる熱可塑性エラストマー組成物の機械的物性が優れる熱可塑性エラストマー組成物の製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、2軸混練押出機を用いて、連続相が熱可塑性ポリアミド樹脂であり、分散相がハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレンである熱可塑性エラストマー組成物を製造する方法において、
2軸混練押出機のシリンダ部中、供給された熱可塑性ポリアミド樹脂が、溶融せずに搬送される部分を搬送ゾーンとし、
熱可塑性ポリアミド樹脂が溶融混練されている部分を混練ゾーンとし、
熱可塑性ポリアミド樹脂、ハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレン、および、架橋剤を含有する配合剤を、2軸混練押出機の搬送ゾーンに供給すること、および、
混練ゾーンの温度における、ハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレンと、架橋剤を含有する配合剤との混合物のムーニースコーチタイムT30が、熱可塑性ポリアミド樹脂、ハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレン、および架橋剤を含有する配合剤が、2軸混練押出機に供給されてから吐出されるまでの時間TC の25〜70%であること
を特徴とする熱可塑性エラストマー組成物の製造方法を提供する。
【0008】
上記TC とは、熱可塑性ポリアミド樹脂、ハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレン、および、架橋剤を含有する配合剤、これら全てを2軸混練押出機に投入してから、吐出されるまでの時間をいい、具体的には、熱可塑性ポリアミド樹脂、ハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレン、架橋剤を含有する配合剤を2軸混練押出機にて混練し、得られる組成物の状態が安定してから色樹脂数粒を組成物に投入し、この投入した時点から、吐出される組成物の色が、部分的に変わり始める時点でなく、全体が完全に変わった時点までを計測することで求めることが出来る。以下、TC を混練時間TC とも記す。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法(以下、本発明の製造方法という)は、本発明にかかる熱可塑性エラストマー組成物の製造のために配合される原材料、すなわち、熱可塑性ポリアミド樹脂、ハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレン、および、架橋剤を含有する配合剤をすべて、2軸混練押出機の搬送ゾーンに供給する。
【0010】
ここで、搬送ゾーンとは、2軸混練押出機のシリンダ部の中で、スクリューにより混合される熱可塑性ポリアミド樹脂が、まだ溶融していない部分をさす。換言すれば、シリンダ部において、熱可塑性ポリアミド樹脂を投入する投入口から、熱可塑性ポリアミド樹脂が溶融し始める部分の前までを占める空間である。熱可塑性ポリアミド樹脂は、溶融していないために溶融混練されず、スクリューの押出し方向に搬送されているだけである。
搬送ゾーンでは、熱可塑性ポリアミド樹脂やハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレンの、混練による自己発熱がまだ起こっていない。搬送ゾーンでの温度は低温である。
シリンダ部の加熱温度、熱可塑性ポリアミド樹脂の量、スクリューの回転速度等の混練条件により、シリンダ部内で、熱可塑性ポリアミド樹脂の溶融が始まる部分は変動するので、搬送ゾーンとは、各混練条件に従って決定される空間である。
【0011】
このように、熱可塑性エラストマー組成物の製造のために配合される原材料すべてを、シリンダ部の温度が上昇していない搬送ゾーンに供給することにより、架橋剤やその他の粉体状の配合剤が、シリンダ部からの熱気により、投入口の壁面や、投入口近くのシリンダ部に飛散するということを回避することが出来、配合剤の定量供給性が高くなる。ひいては、本発明の製造方法により得られる熱可塑性エラストマー組成物の機械的物性が優れたものとなる。
【0012】
原材料の中でも、特に、架橋剤を、搬送ゾーンに供給することが重要である。架橋剤を搬送ゾーンに供給するとは、架橋剤を、2軸混練押出機に熱可塑性ポリアミド樹脂が供給されてから、熱可塑性ポリアミド樹脂の溶融が起こる前まで、すなわち、熱可塑性ポリアミド樹脂が融点に達する前までに配合するということである。つまり、本発明の製造方法では、架橋剤を、熱可塑性ポリアミド樹脂とハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレンとが溶融混練され始める前に配合し混合する。
また、架橋剤以外の配合剤も、搬送ゾーンに投入する。熱可塑性ポリアミド樹脂とハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレンとの溶融混練が始まる前に、予め、熱可塑性ポリアミド樹脂とハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレンと混合し、ついで混練する。
【0013】
本発明の製造方法において、混練ゾーンとは、2軸混練押出機のシリンダ部の中で、熱可塑性ポリアミド樹脂が溶融し、熱可塑性ポリアミド樹脂、ハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレン、および、架橋剤を含有する配合剤が溶融混練されている部分をさす。この混練ゾーンで、連続相を形成する熱可塑性ポリアミド樹脂中に、ハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレンを分散させ、混練しながら架橋剤により動的に架橋を行い、熱可塑性エラストマー組成物を製造する。
【0014】
本発明の製造方法において、熱可塑性ポリアミド樹脂、ハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレン、架橋剤を含有する配合剤を、2軸混練押出機へ供給するタイミングとしては、熱可塑性ポリアミド樹脂、ハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレン、架橋剤を含む配合剤を、一括して同じ投入口から供給してもよいし、搬送ゾーンに投入口を複数個設け、スクリューの押出し方向に向かって1番手前の投入口から熱可塑性ポリアミド樹脂を供給し、他の投入口から、ハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレン、架橋剤を含む配合剤を、一緒にあるいは別々に供給してもよい。ハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレン、架橋剤、架橋剤以外の配合剤を、それぞれ複数回にわけて異なる投入口から供給してもよい。
搬送ゾーン内であれば、ハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレン、架橋剤を含む配合剤を供給する投入の回数は特に限定しない。
【0015】
上述の供給方法の中でも、熱可塑性ポリアミド樹脂、ハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレン、架橋剤を含む配合剤を、一括して同じ投入口から供給する方法が好ましい。熱可塑性ポリアミド樹脂の混練による自己発熱がまだ全く起こっておらず、2軸混練押出機のシリンダ内の温度が上昇していないので、架橋剤やその他の配合剤が投入口の壁面や、投入口近くのシリンダ部に飛散することがなく、配合剤の定量供給性が極めて高くなる。さらに、一括して同時に投入すれば、予め搬送ゾーンの位置を確認する必要がなく、架橋剤を投入するタイミングを図る必要がないので、簡便である。
【0016】
本発明の製造方法では、混練時の温度(混練ゾーンの温度のことである)における、ハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレン、および、架橋剤を含む配合剤の混合物のムーニースコーチタイムT30が、混練時間TC の25〜70%、好ましくは35〜55%となる条件で架橋する。
ムーニースコーチタイムT30が、TC の25〜70%の範囲の値をとるようにするには、ハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレンに配合する架橋剤の種類、量の調整、および、搬送ゾーン、混練ゾーンの各ゾーンの長さおよび温度(特に混練時間、混練温度)を調節する。
【0017】
ハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレンと、架橋剤を含む配合剤との混合物のムーニースコーチタイムT30は、レオメータにより測定することができる。ムーニー粘度は、JIS K 6300に記載のムーニー粘度試験に準拠して測定される値である。ムーニー値の最低値から5ポイント上昇時点t5 および35ポイント上昇時点t35を測定し、t35−t5 からムーニースコーチタイムT30[分]を求める。
【0018】
架橋剤の配合量を、ハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレンと、架橋剤を含む配合剤との混合物のムーニースコーチタイムT30が上記範囲となるように選定して、熱可塑性ポリアミド樹脂と共に、2軸混練押出機にて混練すると、熱可塑性ポリアミド樹脂とハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレンが十分に混練され、ハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレンが熱可塑性ポリアミド樹脂に包まれてから架橋が十分に進むので、混練時には熱可塑性、流動性が維持され、2軸混練押出機のスクリューに負荷がかからず混練性に優れる。また、得られるエラストマーの架橋も十分に行われ、機械的物性(破断強度、破断伸び等)に優れる熱可塑性エラストマー組成物が得られる。
【0019】
なお、ムーニー粘度の測定温度は、2軸混練押出機の混練ゾーンの温度(混練温度)に設定する。混練ゾーンの温度は、180〜270℃が好ましく、220〜250℃がより好ましい。この温度範囲であると、熱可塑性ポリアミド樹脂が十分に溶融され、ハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレンや配合剤とよく混練され、ハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレンが熱可塑性ポリアミド樹脂に包まれることが出来るからである。
【0020】
混練時間TC は、30秒〜10分が好ましく、2分〜4分がより好ましい。TC がこの範囲であれば、熱可塑性ポリアミド樹脂とハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレンとを十分に混練することができ、動的架橋を十分に行えるからである。
混練時のせん断速度は、250〜7500sec-1であるのが好ましく、500〜2500sec-1であるのがより好ましい。
【0021】
例えば、主剤100phr(phrはparts per hundred parts of rubber のことであり、ゴム100重量部あたりの配合量(重量部)を示す)に対し、加硫剤、例えば酸化亜鉛0.05phr、加硫助剤、例えばステアリン酸亜鉛0.2phr、ステアリン酸0.1phrを配合し、混練温度を250℃とすると、T30が1.83分となる。一方、同じ組成で混練温度を220℃と変えると、T30が2.41分と変化する。
TC を3分とした場合、T30が2.41分では、TC の80%となり、TC の25〜70%の範囲外となる。その結果、得られる熱可塑性エラストマー組成物の機械的強度(破断強度、破断伸び)が不十分となる。
【0022】
主剤100phrに対し、加硫剤、加硫助剤を増量したり、加硫剤としてチウラム系架橋剤、変性フェノール樹脂等を配合すると、T30が短縮される。T30が短縮され、TC の25%未満となるようにすると、混練時に、混練機のスクリューにかかる負荷が大きくなりすぎて、混練できなくなる。得られる熱可塑性エラストマー組成物には、粒ができ、焼けカスがつくなどの外観不良が起きる。
【0023】
本発明に係る熱可塑性エラストマー組成物を製造するのに用いられる熱可塑性ポリアミド樹脂としては、例えば、ポリアミド系樹脂(例えば、ナイロン6(N6)、ナイロン66(N66)、ナイロン46(N46)、ナイロン11(N11)、ナイロン12(N12)、ナイロン610(N610)、ナイロン612(N612)、ナイロン6/66共重合体(N6/66)、ナイロン6/66/610共重合体(N6/66/610)、ナイロンMXD6(MXD6)、ナイロン6T、ナイロン6/6T共重合体、ナイロン66/PP共重合体、ナイロン66/PPS共重合体)、及びそれらのN−アルコキシアルキル化物、例えば6−ナイロンのメトキシメチル化物、6−610−ナイロンのメトキシメチル化物、612−ナイロンのメトキシメチル化物等を挙げることが出来る。これらは単独又は2種以上の混合物として用いることができる。これらの中でも、ナイロン6/66共重合体(N6/66)、ナイロン11(N11)が、空気透過性、耐熱性、屈曲疲労性のバランスがよいことから好ましい。
【0024】
熱可塑性ポリアミド樹脂としては、市販品を利用することが出来、例えば、東レ社製アミランCM6001(N6/66)、アトケム社製リルサンBESN O TL(N11)等が挙げられる。
【0025】
本発明に係る熱可塑性エラストマー組成物を製造するのに用いられるハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレンに含有されるイソモノオレフィンモノマーとしては、炭素数4〜7のイソモノオレフィンが好ましい。具体的には、イソブチレン、イソプレン等が挙げられる。
【0026】
ハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレンに含有されるパラアルキルスチレンとしては、パラメチルスチレン等が挙げられる。
ハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレンに含有されるパラアルキルスチレン部分は、少なくとも0.5重量%であるのが好ましい。より詳しくは、0.5〜20重量%が好ましく、1〜20重量%がより好ましく、2〜20重量%が特に好ましい。
【0027】
ハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレンに含有されるハロゲン原子の含有量は、0超からおよそ7.5重量%以下が好ましく、およそ0.1〜およそ7.5重量%がより好ましい。ハロゲンとしては、臭素、塩素、が挙げられ、おのおの単独で、もしくは2種混合して、ハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレンに含有されていてもよい。これらの中でも、臭素が好ましい。ハロゲンは主に共有結合によりパラアルキル基に結合している。
【0028】
ハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレンの数平均分子量(Mn)は、少なくとも約25000であるのが好ましく、少なくとも30000であるのがより好ましく、少なくとも約100,000であるのが特に好ましい。ハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレンの重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比(Mw/Mn)は、約6未満が好ましく、約4未満がより好ましく、約2.5未満がさらに好ましく、約2未満が特に好ましい。
【0029】
ハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレンとしては、市販品を利用することが出来、例えば、Exxon社製Exxpro89−4等が上げられる。
【0030】
熱可塑性ポリアミド樹脂とハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレンとを混合する場合の組成比は、特に限定はせず、適宜決めればよいが、好ましい範囲は重量比(熱可塑性ポリアミド樹脂)/(ハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレン)で、10/90〜90/10が好ましく、10/80〜85/15がより好ましい。
【0031】
本発明に係る熱可塑性エラストマー組成物に配合される架橋剤としては、一般的なゴム加硫剤(架橋剤)を用いることができる。具体的には、イオウ系加硫剤としては粉末イオウ、沈降性イオウ、高分散性イオウ、表面処理イオウ、不溶性イオウ、ジモルフォリンジサルファイド、アルキルフェノールジサルファイド等が例示される。また、有機過酸化物系の架橋剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ(パーオキシルベンゾエート)等が例示される。フェノール樹脂系の架橋剤としては、アルキルフェノール樹脂の臭素化物や、塩化スズ、クロロブレン等のハロゲンドナーとアルキルフェノール樹脂とを含有する混合架橋系等が例示される。その他として、亜鉛華、酸化マグネシウム、リサージ、p−キノンジオキシム、p−ジベンゾイルキノンジオキシム、テトラクロロ−p−ベンゾキノン、ポリ−p−ジニトロソベンゼン、メチレンジアニリンが例示される。
これらの架橋剤の種類と量は、上述したようにT30がTC の25〜70%となるように選定される。
【0032】
本発明に係る熱可塑性エラストマー組成物には、必要に応じて、加硫促進剤を配合してもよい。加硫促進剤としては、アルデヒド・アンモニア系、グアニジン系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チウラム系、ジチオ酸塩系、チオウレア系等の一般的な加硫促進剤を用いることができる。
具体的には、アルデヒド・アンモニア系加硫促進剤としては、ヘキサメチレンテトラミン等が;グアジニン系加硫促進剤としては、ジフェニルグアジニン等が;チアゾール系加硫促進剤としては、ジベンゾチアジルジサルファイド(DM)等が;スルフェンアミド系加硫促進剤としては、シクロヘキシルベンゾチアジルスルフェンアマイド(CBS)等が;チウラム系加硫促進剤としては、テトラメチルチウラムジサルファイド(TMTD)等が;ジチオ酸塩系加硫促進剤としては、Zn−ジメチルジチオカーバメート等が;チオウレア系加硫促進剤としては、エチレンチオウレア、ジエチルチオウレア等が;例示される。また、加硫促進助剤としては、一般的なゴム用助剤を併せて用いることができ、例えば、亜鉛華、ステアリン酸やオレイン酸およびこれらのZn塩等を用いることができる。
これらの架橋促進剤の配合量は、上記架橋剤とともに、T30がTC の25〜70%となるように選定される。
【0033】
熱可塑性ポリアミド樹脂とハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレンとの相溶性を改良し、得られる熱可塑性エラストマー組成物のフィルム成型加工性、耐熱性向上のため、また、コストダウンのために、熱可塑性エラストマー組成物中に他のポリマーを添加することもできる。このようなポリマーとして、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ABS、SBS、ポリカーボネート(PC)、熱可塑性ポリアミド樹脂とエチレン−エチルアクリレートの共重合体のマレイン酸変性物等が挙げられる。
【0034】
本発明に係る熱可塑性エラストマー組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、一般的にゴムに配合される充填剤(炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミナ等)、カーボンブラック、ホワイトカーボン等の補強剤、軟化剤、可塑剤、加工助剤、顔料、染料、老化防止剤等を配合することもできる。
【0035】
本発明の製造方法により得られる熱可塑性エラストマー組成物は、熱可塑性ポリアミド樹脂の連続相中に、ハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレンが分散相として分散した構造をとる。
このようにして得られた上記組成物は、ハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレンの架橋度が、70%以上100%未満が好ましい。架橋度が上記範囲であれば、機械的強度(破断強度、破断伸び等)が優れるからである。ここで、架橋度とは、上記組成物における、ハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレン全重量に対する架橋されているハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレンの重量の百分率をいう。架橋度は、熱可塑性エラストマー組成物を溶媒に溶かし、多段階にわたるソクスレー抽出を行い、未架橋のハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレンを抽出し、その重量を測定することから算出出来る。
【0036】
本発明の製造方法によれば、架橋剤等の配合剤を2軸混練押出機に供給時、配合剤がシリンダ部からの熱気により飛散し、投入口のシリンダ部に付着するといったことを防止することができ、配合剤を定量的にシリンダ部に供給することができ、このため得られる熱可塑性エラストマー組成物は破断強度、破断伸び等の機械的物性が非常に安定しており、優れている。また、混練時の混練性に優れている。本発明の製造方法により得られる熱可塑性エラストマー組成物は、シート状に成形加工した場合のシート外観も、配合材料のダマやゲル粒等がなく良好である。
【0037】
【実施例】
以下に実施例を挙げ、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法についてさらに具体的に説明する。
(実施例1〜3、比較例1〜13)
<T30の測定>
第1表に示す組成で、イソプレン・パラメチルスチレン(以下、原料エラストマーという)と、架橋剤を含む配合剤(エラストマー4のみ架橋剤を含まない)を、ゴム用バンバリミキサーに投入して混練し、得られたエラストマー組成物について、レオメータを用いて架橋反応の間ムーニー粘度を測定し、ムーニースコーチタイムT30を算出した。
【0038】
【表1】
【0039】
<表中の成分>
IPMS:イソプレン・パラメチルスチレン、EXXON社製、Exxpro89-4
TT:トリメチルチウラムジサルファイド、三新化学工業社製、サンセラーTT
DM:ジベンゾチアジルジサルファイド、大内新興工業社製、ノクセラーDM
TRA:ジペンタメチレンチウラムテトラサルファイド、三新化学工業社製、サンセラーTRA−C
臭素化アルキルフェノール樹脂:田岡化学工業社製、タッキロール250−I
亜鉛華:ZnO、正同化学社製、亜鉛華3号
ステアリン酸亜鉛:正同化学社製、ステアリン酸亜鉛
ステアリン酸:日本油脂、ビーズステアリン酸
【0040】
<熱可塑性エラストマー組成物の製造>
原料エラストマーを、密閉式のゴム用バンバリミキサーに投入して混練し、次いで、ゴム用ロールを用いて厚さ2.5mmのゴムシート状に成形した。このシートをゴム用ペレタイザーでペレット化し、エラストマーペレットを作製した。できたエラストマーペレットと、樹脂ペレット(6,66ナイロン、PA11、無水マレイン酸エチレン・エチルアクリレートの3種)と、架橋剤等の配合剤を、2軸混練押出機(TEX44、JSW社製)に投入し、溶融混練を行った。原料ゴムと配合剤の配合量は第1表に示すとおりである。樹脂の配合量は、第2表に示す。
【0041】
エラストマーペレット、樹脂ペレット、配合剤を配合するタイミングが異なる、2種類の混練方法を行った。
混練方法1:
エラストマーペレット、樹脂ペレット、架橋剤等の配合剤を2軸混練押出機の搬送ゾーンに投入した(実施例1〜3、比較例1〜5)
混練方法2:
エラストマーペレット、樹脂ペレットが溶融した後、混練ゾーンに設けてある投入口より架橋剤等の配合剤を投入した(比較例6〜13)
【0042】
混練条件は、混練温度250℃、TC =3分で、せん断速度1200sec-1であった。架橋は2軸混練押出機内で動的に行われた。
得られた各熱可塑性エラストマー組成物を、2軸混練押出機より連続してストランド状に押出し、水冷後カッターで切断することによりペレット状の熱可塑性エラストマー組成物を得た。
得られたペレット状の熱可塑性エラストマー組成物を用いて、ソクスレー抽出を行い、架橋度を算出した。
物性試験用のシートを得るため、作製した熱可塑性エラストマー組成物のペレットをシーティングダイを付けた単軸押出機に投入し、シート状に加工した。得られたシート状の熱可塑性エラストマー組成物について、物性試験と共に、シート外観について目視で評価した。
【0043】
<物性試験>
JIS K 6301に記載の方法に準拠して、引張試験を行い、破断強度[MPa]、破断伸び[%]を測定した。
<シート外観>
押出されたシートに粒があるもの、目やに等がついているものを×、どちらもないものを○と記載した。なお、ダイスから出てきたシートについているいわゆる目やにと呼ばれる焼けカスは、樹脂、エラストマー、配合剤の配合量が好ましくなかったことにより発生する。
【0044】
<架橋度>
ソクスレー抽出を24時間繰り返し行い、未架橋のゴムを抽出し、その量から、架橋されているエラストマーの重量を算出し、架橋度を算出した。なお、抽出用溶媒はn−ヘキサンを使用した。
結果を第2表に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
<表中の成分>
PA6,66:6,66ナイロン、東レ社製、アミランCM6001
PA11:11ナイロン、アトケム社製、リルサンBEST O TL
マレイン酸変性EEA:無水マレイン酸エチレン・エチルアクリレート、三井・デュポンポリケミカル社製、AR201
【0047】
(実施例4〜6、比較例1〜20)
<T30の測定>
混練温度を220℃とし、第1表に示したエラストマー1〜3、5〜6を用いた以外は、実施例1と同様にしてムーニースコーチタイムT30を算出した。
<熱可塑性エラストマー組成物の製造>
混練温度を220℃とした以外は、実施例1と同様に混練方法1を行い(実施例4〜6、比較例14〜15)、あるいは、比較例6と同様に混練方法2を行い(比較例16〜20)、熱可塑性エラストマー組成物を製造し、物性試験、シート外観、架橋度を測定し、評価した。
結果を第3表、第4表に示す。
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法によれば、2軸混練押出機における材料の流動性が非常に高く、混練性に優れている。また、得られる熱可塑性エラストマー組成物の物性が安定しており、機械的物性に優れている。
Claims (1)
- 2軸混練押出機を用いて、連続相が熱可塑性ポリアミド樹脂であり、分散相がハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレンである熱可塑性エラストマー組成物を製造する方法において、
2軸混練押出機のシリンダ部中、供給された熱可塑性ポリアミド樹脂が、溶融せずに搬送される部分を搬送ゾーンとし、
熱可塑性ポリアミド樹脂が溶融混練されている部分を混練ゾーンとし、
熱可塑性ポリアミド樹脂、ハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレン、および、架橋剤を含有する配合剤を、2軸混練押出機の搬送ゾーンに供給すること、および、
混練ゾーンの温度における、ハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレンと、架橋剤を含有する配合剤との混合物のムーニースコーチタイムT30が、熱可塑性ポリアミド樹脂、ハロゲン含有イソモノオレフィン−パラアルキルスチレン、および架橋剤を含有する配合剤が、2軸混練押出機に供給されてから吐出されるまでの時間TC の25〜70%であること
を特徴とする熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
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