JP2019182969A - タイヤインナーライナー用熱可塑性樹脂組成物、タイヤインナーライナー、空気入りタイヤ、タイヤインナーライナーの製造方法、および空気入りタイヤの製造方法 - Google Patents

タイヤインナーライナー用熱可塑性樹脂組成物、タイヤインナーライナー、空気入りタイヤ、タイヤインナーライナーの製造方法、および空気入りタイヤの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ガスバリア性に優れ、タイヤ加硫で故障しない耐熱性と良好なフィルム製膜性を両立するタイヤインナーライナー用熱可塑性樹脂組成物を提供する。【解決手段】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、エチレン−ビニルアルコール共重合体または変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)および融点が170℃以下のポリアミドエラストマー(B)を含む。本発明の空気入りタイヤの製造方法は、エチレン−ビニルアルコール共重合体または変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)および融点が170℃以下のポリアミドエラストマー(B)を含む熱可塑性樹脂組成物を加硫温度Tv以下の吐出温度で溶融成形して熱可塑性樹脂組成物フィルムを作製する工程、前記熱可塑性樹脂組成物フィルムをインナーライナーとして含むグリーンタイヤを作製する工程、および前記グリーンタイヤを加硫温度Tvで加硫して空気入りタイヤを製造する工程を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、タイヤインナーライナー用熱可塑性樹脂組成物、タイヤインナーライナー、空気入りタイヤ、タイヤインナーライナーの製造方法、および空気入りタイヤの製造方法に関する。
エチレン−ビニルアルコール共重合体およびポリアミドを含む熱可塑性樹脂組成物は、ガスバリア性および加硫時の耐熱性に優れるので、タイヤインナーライナーに用いられることが知られている(特許文献1)。
特開2012−46622号公報
エチレン−ビニルアルコール共重合体とポリアミドの組合せは、ガスバリア性および加硫時の耐熱性に優れるが、溶融成形時(フィルム製膜時)にエチレン−ビニルアルコール共重合体とポリアミドが相互作用しゲルが発生しやすいという短所がある。
本発明は、ガスバリア性に優れ、タイヤ加硫で故障しない耐熱性と良好なフィルム製膜性を両立するタイヤインナーライナー用熱可塑性樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者は、エチレン−ビニルアルコール共重合体および融点が170℃以下のポリアミドエラストマーを含む熱可塑性樹脂組成物が、加硫の熱履歴でエチレン−ビニルアルコール共重合体とポリアミドエラストマーが相互作用して耐熱性が発現し得ること、同時に融点が低いことで溶融成形の温度を従来より大幅に下げられるため、フィルム製膜時のゲル化を抑制できること、すなわち耐熱性と成形性を両立できることを見いだし、本発明を完成した。
本発明は、エチレン−ビニルアルコール共重合体または変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)および融点が170℃以下のポリアミドエラストマー(B)を含むタイヤインナーライナー用熱可塑性樹脂組成物である。
本発明は、次の態様を含む。
[1]エチレン−ビニルアルコール共重合体または変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)および融点が170℃以下のポリアミドエラストマー(B)を含むタイヤインナーライナー用熱可塑性樹脂組成物。
[2]180℃以下の吐出温度で溶融成形可能である、[1]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[3]エチレン−ビニルアルコール共重合体または変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)の融点が170℃以下である、[1]または[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[4]酸変性ポリオレフィン系エラストマー、酸変性スチレン系エラストマーおよびハロゲン化イソモノオレフィン−パラアルキルスチレン共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種のエラストマー成分(C)をさらに含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[5]エチレン−ビニルアルコール共重合体または変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)が連続相であり、ポリアミドエラストマー(B)が連続相または分散相であり、エラストマー成分(C)が分散相である、[4]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[6]変性エチレン−ビニルアルコール共重合体が、脂肪族ポリエステル変性エチレン−ビニルアルコール共重合体である、[1]〜[5]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[7]ポリアミドエラストマー(B)は、ポリアミドからなるハードセグメントとポリエーテルからなるソフトセグメントとからなる熱可塑性エラストマーである、[1]〜[6]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[8]ポリアミドエラストマー(B)の含有量が、エチレン−ビニルアルコール共重合体または変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)100体積部を基準として5〜100体積部である、[1]〜[7]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[9][1]〜[8]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物のフィルムからなるタイヤインナーライナー。
[10][9]に記載のタイヤインナーライナーを含む空気入りタイヤ。
[11]エチレン−ビニルアルコール共重合体または変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)および融点が170℃以下のポリアミドエラストマー(B)を含む熱可塑性樹脂組成物を180℃以下の吐出温度で溶融成形する工程を含むタイヤインナーライナーの製造方法。
[12]前記溶融成形する工程の前に、エチレン−ビニルアルコール共重合体または変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)に、1分子内に水酸基を2つ以上有する化合物または可塑剤(D)を混合して、エチレン−ビニルアルコール共重合体または変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)の融点を170℃以下に降下させる工程をさらに含む、[11]に記載のタイヤインナーライナーの製造方法。
[13]エチレン−ビニルアルコール共重合体または変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)および融点が170℃以下のポリアミドエラストマー(B)を含む熱可塑性樹脂組成物を加硫温度T以下の吐出温度で溶融成形して熱可塑性樹脂組成物フィルムを作製する工程、
前記熱可塑性樹脂組成物フィルムをインナーライナーとして含むグリーンタイヤを作製する工程、および
前記グリーンタイヤを加硫温度Tで加硫して空気入りタイヤを製造する工程
を含む空気入りタイヤの製造方法。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐熱性とフィルム製膜性の両方を兼ね備え持つ。
本発明のタイヤインナーライナー用熱可塑性樹脂組成物は、エチレン−ビニルアルコール共重合体または変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)を含む。エチレン−ビニルアルコール共重合体または変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を、以下、「(A)成分」ともいう。
エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下「EVOH」ともいう。)は、エチレン単位(−CH2CH2−)とビニルアルコール単位(−CH2−CH(OH)−)とからなる共重合体であるが、エチレン単位およびビニルアルコール単位に加えて、本発明の効果を阻害しない範囲で、他の構成単位を含有していてもよい。本発明において使用するエチレン−ビニルアルコール共重合体は、エチレン単位の含量すなわちエチレン組成比が好ましくは32〜48モル%、より好ましくは38〜48モル%のものを使用する。エチレン−ビニルアルコール共重合体のエチレン組成比が少なすぎるとエチレン−ビニルアルコール共重合体の柔軟性が減り、耐久性が落ちる。逆にエチレン組成比が多すぎるとガスバリア性が低下する。エチレン−ビニルアルコール共重合体はエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物であるが、そのケン化度は、好ましくは90%以上、より好ましくは98%以上である。エチレン−ビニルアルコール共重合体のケン化度が小さすぎるとガスバリア性が低下し、また熱安定性も低下する。エチレン−ビニルアルコール共重合体は、市販されており、たとえば、株式会社クラレから「エバール」(登録商標)の商品名で、日本合成化学工業株式会社から「ソアノール」(登録商標)の商品名で入手することができる。
変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下「変性EVOH」ともいう。)とは、主たる反復単位がエチレン単位(−CH2CH2−)およびビニルアルコール単位(−CH2−CH(OH)−)であるが、これらの反復単位以外の反復単位を含む共重合体をいう。好ましくは脂肪族ポリエステル変性エチレン−ビニルアルコール共重合体である。
脂肪族ポリエステル変性エチレン−ビニルアルコール共重合体は、エチレン−ビニルアルコール共重合体の水酸基に脂肪族ポリエステルがグラフトされてなる熱可塑性樹脂である。
脂肪族ポリエステル変性エチレン−ビニルアルコール共重合体の幹を形成するEVOH単位の含有量と、この幹にグラフトされた脂肪族ポリエステル単位の含有量の比率(EVOH単位の含有量/脂肪族ポリエステル単位の含有量)は、質量比で、通常40/60〜99/1、好ましくは60/40〜95/5、特に好ましくは80/20〜90/10である。EVOH単位の含有量が低すぎると、ガスバリア性が低下する傾向がある。なお、EVOH単位の含有量と脂肪族ポリエステル単位の含有量の比率は、グラフト反応時のEVOHと脂肪族ポリエステルの仕込み比でコントロールすることができる。
脂肪族ポリエステル変性エチレン−ビニルアルコール共重合体の製造方法は、幹を形成するEVOHに、脂肪族ポリエステルをグラフトさせる公知の方法を用いることができるが、特に、EVOHの存在下にラクトン類を開環重合させる方法が好ましく用いられる。
用いられるラクトン類としては、炭素原子の数が3〜10であるラクトン類であれば特に制限されない。このようなラクトン類は、置換基を有しない場合には下記式(1)で表される。ここで、nは2〜9の整数であり、好ましくは、nは4〜5である。
Figure 2019182969
具体的には、β−プロピオンラクトン、γ―ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトンなどを挙げることができ、ε−カプロラクトンおよびδ−バレロラクトンが好ましく、安価かつ容易に入手できる点から、ε−カプロラクトンがより好ましい。
これらのラクトン類は、2種以上組み合わせて使用することができる。
また、開環重合反応の際には、従来公知の開環重合触媒を添加することが好ましく、たとえば、チタン系化合物、錫系化合物などを挙げることができる。具体的には、テトラ−n−ブトキシチタン、テトライソブトキシチタン、テトライソプロポキシチタンなどのチタニウムアルコキシド、ジブチルジブトキシスズなどのスズアルコキシド、ジブチルスズジアセテートなどのスズエステル化合物などが挙げられるが、これらの中でも安価かつ容易に入手できる点からテトラ−n−ブトキシチタンが好ましい。
EVOHにラクトン類を開環重合させてグラフト化する方法としては、たとえば、両者を混練機中で溶融混練する方法が挙げられ、その際の混練機としては、一軸および二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ブラベンダーなどが挙げられる。
溶融混練の時間および温度は、特に限定されず、両物質が溶融する温度、およびグラフト化が完了する時間を適宜選べばよいが、通常50〜250℃で10秒〜24時間、特に150〜230℃で5分〜10時間の範囲が好ましく用いられる。
原料として用いるEVOHのエチレン組成比は、特に限定されないが、通常20〜60モル%、好ましくは25〜50モル%、さらに好ましくは30〜45モル%である。エチレン組成比が多すぎるとガスバリア性が低下し、逆に少なすぎるとラクトン類との開環重合の反応性が低下する傾向がある。
また、EVOHのケン化度は、特に限定されないが、通常80モル%以上であり、好ましくは90〜99.99モル%、特に好ましくは99〜99.9モル%である。ケン化度が低すぎるとガスバリア性が低下する傾向がある。
また、EVOHにおいて分子量の指標として用いられるメルトフローレート(MFR)は、210℃、荷重2160g条件下で、通常0.1〜100g/10分であり、好ましくは0.5〜50g/10分、特に好ましくは1〜25g/10分である。MFR値が低すぎるとラクトン類との開環重合の反応性が低下する傾向がある。
EVOHとしては、その平均値が、上記要件を充足するEVOHの組合せであれば、エチレン組成比、ケン化度、MFRが異なる2種以上のEVOHを混合して用いてもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、エチレン−ビニルアルコール共重合体と変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を併用してもよい。
エチレン−ビニルアルコール共重合体または変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)は、170℃以下の融点を有することが好ましい。170℃以下の融点を有するエチレン−ビニルアルコール共重合体と変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を用いることにより、溶融成形の温度を従来より大幅に下げられるため、フィルム製膜時のゲル化を抑制することできる。
エチレン−ビニルアルコール共重合体または変性エチレン−ビニルアルコール共重合体が170℃より高い融点を有する場合は、エチレン−ビニルアルコール共重合体または変性エチレン−ビニルアルコール共重合体に1分子内に水酸基を2つ以上有する化合物または可塑剤を混合して、融点を170℃以下に降下させたものを用いてもよい。1分子内に水酸基を2つ以上有する化合物または可塑剤を、以下、「(D)成分」ともいう。
1分子内に水酸基を2つ以上有する化合物としては、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのジオール類、グリセリンなどのトリオール類、キシリトール、ソルビトールなどの糖アルコール類などが挙げられるが、好ましくはトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートおよびグリセリンである。
可塑剤としては、芳香族エステル、脂肪族エステル、リン酸エステル、フタル酸エステルなどが挙げられる。
芳香族エステルとしては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ビス(2−エチルヘキシル)フタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ブチルラウリルフタレート、ジイソオクチルフタレート、ブチルココナッツアルキルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジラウリルフタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、オクチルデカノイルフタレート、ジメチルグリコールフタレート、エチルフタリルエチレングリコレート、メチルフタリルエチレングリコレート、ブチルフタリルブチレングリコレート、ジノニルフタレート、ジヘプチルフタレート、オクチルデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジカプリルフタレート、ビス(3,5,5−トリメチルヘキシル)フタレート、イソオクチルイソデシルフタレート、ビス(ジエチレングリコールモノメチルエーテル)フタレート、ヘンゾフェノールなどが挙げられる。
脂肪族エステルとしては、多価アルコール(2価、3価あるいはそれ以上の多価アルコール)と高級脂肪酸(炭素数8以上、好適には8〜30の高級脂肪酸)とのモノエステル、ジエステル、あるいはそれ以上の多価エステルが好適なものとして挙げられる。たとえばステアリン酸エステルとしてはグリセリンモノステアレート、グリセリンモノ12−ヒドロキシステアレート、グリセリンジステアレート、ジグリセリンモノステアレート、テトラグリセリンモノステアレート;ラウリン酸エステルとしてはグリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノラウレート、テトラグリセリンモノラウレートなどが例示される。それ以外の脂肪族エステルとしてはポリプロピレンアジペート、ジイソデシルアジペート、ビス(2−メチルヘキシル)アジペート、ジカプリルアジペート、ジイソオクチルアジペート、オクチルデシルアジペート、イソオクチルイソデシルアジペート、ジブチルフマレート、ジオクチルフマレート、トリエチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリブチルシトレートなどがあげられる。
リン酸エステルとしては、トリクレジルフォスフェート、フェニルジクレジルフォスフェート、キシレニルジクレジルフォスフェート、クレジルジキシレニルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、トリクロルエチルフォスフェート、トリオクチルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、トリクロルエチルフォスフェート、トリオクチルフォスフェート、トリエチルフォスフェート、アリールアルキルフォスフェートなどが挙げられる。
フタル酸エステルとしては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ビス(2−エチルヘキシル)フタレート、ジイソデシルフタレート、ジイソノニルフタレート、エチルフタリルエチルグリコレートなどが挙げられるが、好ましくはフタル酸ジメチル、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ビス(2−エチルヘキシル)フタレートである。
(D)成分の混合量は、エチレン−ビニルアルコール共重合体または変性エチレン−ビニルアルコール共重合体の融点を170℃以下に降下させることができる限りにおいて、限定されないが、エチレン−ビニルアルコール共重合体または変性エチレン−ビニルアルコール共重合体100質量部を基準として、好ましくは0.1〜10質量部であり、より好ましくは0.2〜8質量部であり、さらに好ましくは0.5〜6質量部である。(D)成分の混合量が少なすぎると、エチレン−ビニルアルコール共重合体または変性エチレン−ビニルアルコール共重合体の融点を170℃以下に降下させることができない場合があり、(D)成分の混合量が多すぎると、ガスバリア性が不足する虞がある。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、融点が170℃以下のポリアミドエラストマー(B)を含む。融点が170℃以下のポリアミドエラストマーを、以下、「(B)成分」ともいう。
ポリアミドエラストマーとしては、ポリアミドからなるハードセグメントとポリエーテルからなるソフトセグメントとからなる熱可塑性エラストマーが挙げられる。ハードセグメントを構成するポリアミドとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12などが挙げられるが、なかでもナイロン12が好ましい。ソフトセグメントを構成するポリエーテルとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが挙げられる。ポリアミドエラストマーは市販品を使用することができる。ポリアミドエラストマーの市販品としては、宇部興産株式会社製「UBESTA」(登録商標)XPA、アルケマ株式会社製「Pebax」(登録商標)33シリーズ、53シリーズ、MVシリーズ、MHシリーズ、HDシリーズ、MPシリーズなどが挙げられる。
ポリアミドエラストマーは融点が170℃以下であることが必要である。ポリアミドエラストマーの融点は、好ましくは120〜165℃であり、より好ましくは125〜160℃である。融点が高すぎると、溶融成形の温度を高くしなければならなくなり、フィルム製膜時のゲル化を抑制できなくなる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物中のポリアミドエラストマーの含有量は、エチレン−ビニルアルコール共重合体または変性エチレン−ビニルアルコール共重合体100体積部を基準として、好ましくは5〜100体積部であり、より好ましくは10〜80体積部であり、さらに好ましくは15〜60体積部である。ポリアミドエラストマーの含有量が少なすぎると、加硫工程でエチレン−ビニルアルコール共重合体とポリアミドエラストマーが相互作用して発現する耐熱性が十分得られず、加硫故障が発生する虞がある。ポリアミドエラストマーの含有量が多すぎると、熱可塑性樹脂組成物のガスバリア性が低下する虞がある。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、好ましくは、さらに、酸変性ポリオレフィン系エラストマー、酸変性スチレン系エラストマー、ハロゲン化イソモノオレフィン−パラアルキルスチレン共重合体から選ばれる少なくとも1種のエラストマー成分(C)を含む。酸変性ポリオレフィン系エラストマー、酸変性スチレン系エラストマー、ハロゲン化イソモノオレフィン−パラアルキルスチレン共重合体から選ばれる少なくとも1種のエラストマー成分を、以下、単に「エラストマー成分(C)」または「(C)成分」ともいう。エラストマー成分(C)を含有することにより、インナーライナーとしてタイヤに配するにあたり、柔軟性、耐久性、耐寒性が付与される。
酸変性ポリオレフィン系エラストマーとしては、不飽和カルボン酸もしくは不飽和カルボン酸無水物で変性されたエチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体もしくはその誘導体などが挙げられる。
不飽和カルボン酸もしくは不飽和カルボン酸無水物で変性されたエチレン−α−オレフィン共重合体としては、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−プロピレン共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−ブテン共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−ヘキセン共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−オクテン共重合体などが挙げられる。
エチレン−不飽和カルボン酸共重合体もしくはその誘導体としては、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体などが挙げられる。
なかでも好ましい酸変性ポリオレフィン系エラストマーは、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−プロピレン共重合体および無水マレイン酸グラフト変性エチレン−ブテン共重合体である。
酸変性ポリオレフィン系エラストマーは市販品を用いることができる。酸変性ポリオレフィン系エラストマーの市販品としては、三井化学株式会社製「タフマー」(登録商標)MH7010、MP7020、MP0610などが挙げられる。
酸変性スチレン系エラストマーとしては、無水マレイン酸変性スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体、無水マレイン酸変性スチレン−エチレンプロピレン−スチレン共重合体、無水マレイン酸変性スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、無水マレイン酸変性スチレン−イソプレン−スチレン共重合体などが挙げられるが、好ましくは無水マレイン酸変性スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体である。酸変性スチレン系エラストマーは市販品を用いることができる。無水マレイン酸変性スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体の市販品としては、旭化成株式会社製「タフテック」(登録商標)M1943、M1913、M1911、クレイトンポリマージャパン株式会社製「クレイトン」(登録商標)FG1924などが挙げられる。
ハロゲン化イソモノオレフィン−パラアルキルスチレン共重合体は、イソモノオレフィンとパラアルキルスチレンの共重合体をハロゲン化することにより製造することができ、イソモノオレフィンとパラアルキルスチレンの混合比、重合率、平均分子量、重合形態(ブロック共重合体、ランダム共重合体等)、粘度、ハロゲン原子等は、特に限定されず、熱可塑性樹脂組成物に要求される物性等に応じて任意に選択することができる。ハロゲン化イソモノオレフィン−パラアルキルスチレン共重合体を構成するイソモノオレフィンとしては、イソブチレン、イソペンテン、イソヘキセンなどが例示できるが、好ましくはイソブチレンである。ハロゲン化イソモノオレフィン−パラアルキルスチレン共重合体を構成するパラアルキルスチレンはパラメチルスチレン、パラエチルスチレン、パラプロピルスチレン、パラブチルスチレン等が例示できるが、好ましくはパラメチルスチレンである。ハロゲン化イソモノオレフィン−パラアルキルスチレン共重合体を構成するハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が例示できるが、好ましくは臭素である。特に好ましいハロゲン化イソモノオレフィン−パラアルキルスチレン共重合体は臭素化イソブチレン−パラメチルスチレン共重合体(以下「Br−IPMS」ともいう。)である。
臭素化イソブチレン−パラメチルスチレン共重合体は、式(2)
Figure 2019182969
で表される反復単位を有するイソブチレン−パラメチルスチレン共重合体を臭素化したものであり、典型的には式(3)
Figure 2019182969
で表される反復単位を有するものである。臭素化イソブチレン−パラメチルスチレン共重合体は、エクソンモービル・ケミカル社(ExxonMobil Chemical Company)から、EXXPRO(登録商標)の商品名で入手することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物中のエラストマー成分(C)の含有量は、エチレン−ビニルアルコール共重合体または変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)100体積部を基準として、好ましくは0〜260体積部であり、より好ましくは20〜230体積部であり、さらに好ましくは30〜210体積部である。エラストマー成分(C)の含有量が多すぎると、熱可塑性樹脂組成物のガスバリア性が低下する虞がある。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は海島構造を有していてもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物がエラストマー成分(C)を含まない場合、エチレン−ビニルアルコール共重合体または変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)が連続相を構成し、ポリアミドエラストマー(B)が分散相を構成することが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物がエラストマー成分(C)を含む場合、エチレン−ビニルアルコール共重合体または変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)が連続相を構成し、エラストマー成分(C)が分散相を構成することが好ましい。ポリアミドエラストマー(B)は、連続相を構成してもよいし、分散相を構成してもよいし、連続相と分散相の両方に存在してもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、海島構造を有することにより、エチレン−ビニルアルコール共重合体の優れたガスバリア性を維持しつつ、製膜性、耐熱性、柔軟性、耐久性等を満足することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、180℃以下の吐出温度で溶融成形可能であることが好ましく、175℃以下の吐出温度で溶融成形可能であることがより好ましく、170℃以下の吐出温度で溶融成形可能であることがさらに好ましい。180℃以下の比較的低い温度で溶融成形することにより、ゲルの発生を防止することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(A)〜(D)成分以外に、各種添加剤を、本発明の効果を阻害しない範囲で含んでもよい。添加剤としては、架橋剤、老化防止剤、可塑剤、加工助剤、架橋促進助剤、架橋促進剤、補強剤(フィラー)、スコーチ防止剤、素練促進剤、有機改質剤、軟化剤、粘着付与剤などが挙げられる。
本発明のタイヤインナーライナーは、前記熱可塑性樹脂組成物のフィルムからなるタイヤインナーライナーである。前記熱可塑性樹脂組成物は、T型ダイス付きの押出機や、インフレーション成形機などでフィルムとすることができる。そのフィルムは、通気度が低いため、空気入りタイヤのインナーライナーとして好適に使用することができる。フィルムの厚さは、インナーライナーとして機能する限り限定されないが、好ましくは1〜250μmであり、より好ましくは3〜200μmであり、さらに好ましくは5〜180μmである。フィルムの厚さが薄すぎると、フィルム製膜が難しくなる上、タイヤに供する際に取扱い性が悪く、またインナーライナーとしてガスバリア性が不足する虞がある。フィルムの厚さが厚すぎると、インナーライナーとしてタイヤに供する際、隣接するゴムシートとの追従性が悪化することによりタイヤ成形が困難となる虞がある。
本発明の空気入りタイヤは、前記タイヤインナーライナーを含む空気入りタイヤである。空気入りタイヤを製造する方法としては、慣用の方法を用いることができる。たとえば、予め熱可塑性樹脂組成物を所定の幅と厚さのフィルム状に押し出し、それをタイヤ成形用ドラム上に円筒に貼りつける。その上に未加硫ゴムからなるカーカス層、ベルト層、トレッド層等の通常のタイヤ製造に用いられる部材を順次貼り重ね、ドラムを抜き去ってグリーンタイヤとする。次いで、このグリーンタイヤを常法に従って加熱加硫することにより、所望の空気入りタイヤを製造することができる。
本発明のタイヤインナーライナーの製造方法は、エチレン−ビニルアルコール共重合体または変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)および融点が170℃以下のポリアミドエラストマー(B)を含む熱可塑性樹脂組成物を180℃以下の吐出温度で溶融成形する工程を含む。180℃以下の吐出温度で溶融成形することにより、ゲルの発生を防止することができる。
溶融成形する方法は、限定するものではないが、たとえば、T型ダイス付きの押出機を用いて溶融押出する方法、インフレーション成形機を用いたインフレート法などを挙げることができる。熱可塑性樹脂組成物を溶融成形することによって、熱可塑性樹脂組成物のフィルムを作製することができる。
本発明のタイヤインナーライナーの製造方法は、前記溶融成形する工程の前に、エチレン−ビニルアルコール共重合体または変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)100質量部に1分子内に水酸基を2つ以上有する化合物または可塑剤(D)0.1〜10質量部を混合して、エチレン−ビニルアルコール共重合体または変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)の融点を170℃以下に降下させる工程をさらに含んでもよい。
本発明に用いるエチレン−ビニルアルコール共重合体または変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)は、好ましくは融点が170℃以下のものであるが、融点が170℃よりも高いエチレン−ビニルアルコール共重合体または変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を用いることができる。融点が170℃よりも高いエチレン−ビニルアルコール共重合体または変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を用いる場合には、ポリアミドエラストマー(B)と混合するに先立ち、あらかじめ、融点が170℃よりも高いエチレン−ビニルアルコール共重合体または変性エチレン−ビニルアルコール共重合体に、1分子内に水酸基を2つ以上有する化合物または可塑剤(D)を混合して、エチレン−ビニルアルコール共重合体または変性エチレン−ビニルアルコール共重合体の融点を170℃以下に降下させておくことが好ましい。
本発明の空気入りタイヤの製造方法は、
エチレン−ビニルアルコール共重合体または変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)および融点が170℃以下のポリアミドエラストマー(B)を含む熱可塑性樹脂組成物を加硫温度T以下の吐出温度で溶融成形して熱可塑性樹脂組成物フィルムを作製する工程、
前記熱可塑性樹脂組成物フィルムをインナーライナーとして含むグリーンタイヤを作製する工程、および
前記グリーンタイヤを加硫温度Tで加硫して空気入りタイヤを製造する工程
を含む。
本発明の空気入りタイヤの製造方法は、熱可塑性樹脂組成物を溶融成形して熱可塑性樹脂組成物フィルムを作製する際の溶融成形の温度が、グリーンタイヤを加硫する際の温度以下であることを特徴とする。
空気入りタイヤを製造する際の加硫温度Tは、通常、165〜200℃であり、典型的には175〜195℃である。
加硫温度で溶融する融点を有する熱可塑性樹脂組成物のフィルムをインナーライナーとして用いると、タイヤ加硫時に、インナーライナーが流動化し、フィルム形状を維持できなくなると予想されるため、従来、熱可塑性樹脂組成物の構成成分として加硫温度よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂を少なくとも1種を用いるのが常套手段であった。たとえば、エチレン−ビニルアルコール共重合体およびポリアミドを含む熱可塑性樹脂組成物においては、エチレン−ビニルアルコール共重合体の融点は加硫温度よりも低いが、ポリアミドの融点は加硫温度よりも高いので、加硫時に、ポリアミドがエチレン−ビニルアルコール共重合体の流動化を抑制すると考えられている。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、その構成成分であるエチレン−ビニルアルコール共重合体または変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)とポリアミドエラストマー(B)とがいずれも加硫温度よりも低い融点を有するにもかかわらず、本発明の熱可塑性樹脂組成物からなるフィルムは、予想に反して、加硫時にフィルム形状を維持し得る。その理由は定かではないが、加硫の熱履歴でエチレン−ビニルアルコール共重合体または変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)とポリアミドエラストマー(B)とが相互作用して耐熱性が発現するためと推定される。
(1)原材料
以下の実施例および比較例において使用した原料は次のとおりである。
EVOH−1: 日本合成化学工業株式会社製エチレン−ビニルアルコール共重合体「ソアノール」(登録商標)H4815B(エチレン組成比48モル%、融点158℃)
EVOH−2: 日本合成化学工業株式会社製エチレン−ビニルアルコール共重合体「ソアノール」(登録商標)E3808(エチレン組成比38モル%、融点173℃)
変性EVOH: 日本合成化学工業株式会社製脂肪族ポリエステル変性エチレン−ビニルアルコール共重合体「ソアノール」(登録商標)SG743(融点110℃)
ポリアミドエラストマー−1: 宇部興産株式会社製「UBESTA」(登録商標)XPA 9040X1(ハードセグメント=ポリアミド12、ソフトセグメント=ポリエーテル、融点135℃)
ポリアミドエラストマー−2: 宇部興産株式会社製「UBESTA」(登録商標)XPA 9048X1(ハードセグメント=ポリアミド12、ソフトセグメント=ポリエーテル、融点153℃)
ポリアミドエラストマー−3: アルケマ株式会社製「Pebax Rnew」(登録商標)55R53SP01(ハードセグメント=ポリアミド11、ソフトセグメント=ポリエーテル、融点167℃)
ナイロン6: 宇部興産株式会社製「UBEナイロン」(登録商標)1013B(融点225℃)
Mah−PO: 三井化学株式会社製無水マレイン酸変性ポリオレフィン系エラストマー「タフマー」(登録商標)MH7010
Mah−SEBS: 旭化成株式会社製無水マレイン酸変性スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体「タフテック」(登録商標)M1943
Br−IPMS: エクソンモービル・ケミカル社製臭素化イソブチレン−パラメチルスチレン共重合体「EXXPRO」(登録商標)3745
1分子内に水酸基を2つ以上有する化合物として、次の2種類を使用した。
トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート: 四国化成工業株式会社製THEIC A
グリセリン: 日油株式会社製グリセリンDG
可塑剤として、次の2種類を使用した。
トリアセチン: 大八化学工業株式会社製
ジメチルフタレート: 大八化学工業株式会社製
(2)EVOHの融点降下処理
EVOH−3: EVOH−1 100質量部およびトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート5質量部を、シリンダー温度180℃に設定した二軸混練押出機に導入し、溶融混練の上、ストランド状に押出し、ペレット化し、融点を降下させたEVOH−3を調製した。EVOH−3の融点は148℃であった。
EVOH−4: EVOH−1 100質量部およびトリアセチン5質量部を、シリンダー温度180℃に設定した二軸混練押出機に導入し、溶融混練の上、ストランド状に押出し、ペレット化し、融点を降下させたEVOH−4を調製した。EVOH−4の融点は150℃であった。
EVOH−5: EVOH−1 100質量部およびジメチルフタレート5質量部を、シリンダー温度180℃に設定した二軸混練押出機に導入し、溶融混練の上、ストランド状に押出し、ペレット化し、融点を降下させたEVOH−5を調製した。EVOH−5の融点は152℃であった。
EVOH−6: EVOH−2 100質量部およびグリセリン5質量部を、シリンダー温度180℃に設定した二軸混練押出機に導入し、溶融混練の上、ストランド状に押出し、ペレット化し、融点を降下させたEVOH−6を調製した。EVOH−6の融点は167℃であった。
(3)熱可塑性樹脂組成物の調製
エチレン−ビニルアルコール共重合体または変性エチレン−ビニルアルコール(A)、ポリアミドエラストマー(B)またはポリアミド、エラストマー成分(C)を表1に示す配合にて、(A)成分、(B)成分またはポリアミドのうち最も融点の高い原料の融点より20℃高いシリンダー温度に設定した二軸混練押出機(株式会社日本製鋼所製)に導入し、滞留時間約3〜4分間に設定された混練ゾーンに搬送して溶融混練し、溶融混練物を吐出口に取り付けられたダイからストランド状に押し出した。得られたストランド状押出物を樹脂用ペレタイザーでペレット化し、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。
(4)性能評価
調製した熱可塑性樹脂組成物について、粘度測定を行うとともに、フィルム製膜性および加硫故障を評価した。評価結果を表1に示す。なお、評価方法は次のとおりである。
(5)粘度測定
(3)で調製したペレット状の熱可塑性樹脂組成物を用いて、キャピラリー・レオメーターにて、100℃で4時間事前乾燥し、温度170℃、190℃、240℃において、ピストンスピード5mm/分、キャピラリ長さ10mm、キャピラリ内径1mmの条件で荷重を検出することにより溶融粘度(Pa・S)の測定を行った。押出し開始から200秒時点での溶融粘度をη、800秒時点での溶融粘度をηとして、η<1.2ηを満たす場合、粘度上昇がないものと判定した。
ちなみに、粘度上昇しない温度で溶融成形すると、ゲル化が生じず、良好に製膜できる。逆に、粘度上昇する温度で溶融成形すると、ゲル化が生じ、製膜不良を起こす。190℃で粘度上昇するものは、加硫時の熱履歴で熱可塑性樹脂組成物が増粘し、発泡故障が起こらない。240℃で粘度上昇するものは、従来の成形温度(約240℃)で成形すると、ゲル化が生じ、製膜不良を起こす。
(6)フィルム製膜性
(3)で調製したペレット状の熱可塑性樹脂組成物を、550mm幅T型ダイス付40mmφ単軸押出機(株式会社プラ技研)を用いて、押出温度Cl/C2/C3/C4/ダイ=230/230/230/230/230℃、冷却ロール温度50℃、引き取り速度4m/minの押出条件で、平均厚み0.05mmのフィルムに成形した。押出開始から90分時点におけるフィルムを目視にて観察し、長さ100cmのフィルム中に2mm×2mm以上のゲルが5個以上あるものをフィルム製膜性が不良、5個未満のものをフィルム製膜性が良好と判定した。
(7)加硫故障
(6)で得られた熱可塑性樹脂組成物のフィルムを、タイヤ最内面に配置し、グリーンタイヤを作製後、190℃に設定された金型に挿入し、常法によって加硫を行い、ラジアルタイヤ195/65R15を作製した。加硫後、タイヤ内面を観察し、熱可塑性樹脂組成物のフィルムに発泡故障がないかを確認した。熱可塑性樹脂組成物のフィルムの内部または熱可塑性樹脂組成物のフィルムとゴム層との界面に気泡が観測された場合を加硫故障あり、気泡が観測されなかった場合を加硫故障なしと判定した。
Figure 2019182969
Figure 2019182969
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、空気入りタイヤのインナーライナー用として好適に利用することができる。

Claims (13)

  1. エチレン−ビニルアルコール共重合体または変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)および融点が170℃以下のポリアミドエラストマー(B)を含むタイヤインナーライナー用熱可塑性樹脂組成物。
  2. 180℃以下の吐出温度で溶融成形可能である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. エチレン−ビニルアルコール共重合体または変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)の融点が170℃以下である、請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 酸変性ポリオレフィン系エラストマー、酸変性スチレン系エラストマーおよびハロゲン化イソモノオレフィン−パラアルキルスチレン共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種のエラストマー成分(C)をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. エチレン−ビニルアルコール共重合体または変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)が連続相であり、ポリアミドエラストマー(B)が連続相または分散相であり、エラストマー成分(C)が分散相である、請求項4に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 変性エチレン−ビニルアルコール共重合体が、脂肪族ポリエステル変性エチレン−ビニルアルコール共重合体である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. ポリアミドエラストマー(B)は、ポリアミドからなるハードセグメントとポリエーテルからなるソフトセグメントとからなる熱可塑性エラストマーである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  8. ポリアミドエラストマー(B)の含有量が、エチレン−ビニルアルコール共重合体または変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)100体積部を基準として5〜100体積部である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物のフィルムからなるタイヤインナーライナー。
  10. 請求項9に記載のタイヤインナーライナーを含む空気入りタイヤ。
  11. エチレン−ビニルアルコール共重合体または変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)および融点が170℃以下のポリアミドエラストマー(B)を含む熱可塑性樹脂組成物を180℃以下の吐出温度で溶融成形する工程を含むタイヤインナーライナーの製造方法。
  12. 前記溶融成形する工程の前に、エチレン−ビニルアルコール共重合体または変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)に、1分子内に水酸基を2つ以上有する化合物または可塑剤(D)を混合して、エチレン−ビニルアルコール共重合体または変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)の融点を170℃以下に降下させる工程をさらに含む、請求項11に記載のタイヤインナーライナーの製造方法。
  13. エチレン−ビニルアルコール共重合体または変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)および融点が170℃以下のポリアミドエラストマー(B)を含む熱可塑性樹脂組成物を加硫温度T以下の吐出温度で溶融成形して熱可塑性樹脂組成物フィルムを作製する工程、
    前記熱可塑性樹脂組成物フィルムをインナーライナーとして含むグリーンタイヤを作製する工程、および
    前記グリーンタイヤを加硫温度Tで加硫して空気入りタイヤを製造する工程
    を含む空気入りタイヤの製造方法。
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