JP2016216704A - ポリエステル樹脂組成物及びそれからなる成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】ブロー成形に適した特性を有し、ブロー成形時の成形性に優れ、優れた耐衝撃性を有するブロー成形体を得ることができるポリエステル樹脂組成物を提供する。
【解決手段】エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合成分として2〜20モル%含有し、極限粘度が0.7〜1.4であるポリエステル樹脂(A)を含有するポリエステル樹脂組成物であって、260℃で測定した溶融張力が15〜60mNであり、アイゾット衝撃強度が40J/m以上であるポリエステル樹脂組成物。
【選択図】図1

Description

本発明は、1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合したポリエステル樹脂を含有するポリエステル樹脂組成物及びそれからなる成形体に関するものである。
ポリエチレンテレフタレート(PET)は、機械的特性、化学的安定性、透明性等に優れ、かつ、安価であり、各種のシート、フィルム、容器等として幅広く用いられており、特に昨今では、塩化ビニル樹脂製成形品におけるような残留モノマーや有害添加剤の心配が少なく、衛生性及び安全性が高い点から、各種用途において塩化ビニル樹脂からの置き換えも進んでいる。
PETを各種用途に広く利用するためには、耐衝撃性を有していることが必要である。特にシート状成形体から得られる容器や、ブロー成形により得られたブロー成形体などにおいては、耐久性などの点からも優れた耐衝撃性を有していることが求められる。
特許文献1には、熱可塑性ポリマーとコアシェル型耐衝撃緩衝剤とからなる熱可塑性ポリマー組成物が記載されている。そして、熱可塑性ポリマーとしては、PETやポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸等のポリエステルも記載されている。
しかしながら、特許文献1ではブロー成形により成形体を得ることは記載されておらず、特許文献1の熱可塑性ポリマー組成物をブロー成形して得られた成形体(ボトル等)は、耐衝撃性の向上効果が不十分なものであった。
また、特許文献2には、PETに変性ポリオレフィンや変性オレフィン系エラストマーを添加した樹脂組成物が記載されている。しかしながら、特許文献2記載の樹脂組成物もブロー成形により成形体を得ることは考慮されておらず、射出成形にて耐衝撃性と耐熱性に優れた成形体を得ることを目的とするものであった。このため、特許文献2記載の樹脂組成物は、結晶核剤、(メタ)アクリレート共重合体、エステル系可塑剤及び繊維状強化材を必須とするものであり、ブロー成形することが困難なものであり、たとえブロー成形が可能であっても、得られた成形体(ボトル等)は、耐衝撃性の向上効果が不十分なものであった。
特許文献1:特開2012−126902号公報
特許文献2:特開昭61−200159号公報
本発明は上記の問題点を解決し、ブロー成形に適した特性を有し、ブロー成形時の成形性に優れ、優れた耐衝撃性を有するブロー成形体を得ることができるポリエステル樹脂組成物を提供しようとするものである。
本発明者等は、上記の課題を解決するために、鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、次の(1)〜(2)を要旨とするものである。
(1)エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合成分として2〜20モル%含有し、極限粘度が0.7〜1.4であるポリエステル樹脂(A)を含有するポリエステル樹脂組成物であって、260℃で測定した溶融張力が15〜60mNであり、アイゾット衝撃強度が40J/m以上であることを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
(2)エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合成分として2〜20モル%含有し、極限粘度が0.7〜1.4であるポリエステル樹脂(A)と、炭素数2〜20の変性オレフィン共重合体(B)とを含有するポリエステル樹脂組成物であって、ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、変性オレフィン共重合体(B)を0.2〜25質量部含有し、260℃で測定した溶融張力が15〜60mNであり、アイゾット衝撃強度が70J/m以上であることを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、特定の共重合ポリエステル樹脂を主成分とし、特定の特性値を満足するものであるため、ブロー成形に適した性能を有し、耐衝撃性に優れたブロー成形体を得ることが可能となるものである。
中でも、本発明のポリエステル樹脂組成物が、特定の共重合ポリエステル樹脂と特定の変性オレフィン共重合体を適量含有する場合は、より耐衝撃性に優れたブロー成形体を得ることが可能となる。
そして、本発明の成形体は、本発明のポリエステル樹脂組成物を用いて形成されたものであるため、生産性よく得ることができ、耐衝撃性に優れたものであり、種々の用途に用いることができる。
アイゾット衝撃強度の測定に用いる試験片の形状を示す模式図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合成分として2〜20モル%含有するポリエステル樹脂(A)を主成分とするものである。
本発明のポリエステル樹脂組成物において、後述する変性オレフィン共重合体(B)を含まない場合は、樹脂組成物中のポリエステル樹脂(A)の含有量は、80質量%以上であることが好ましく、中でも90質量%以上であることが好ましく、さらには95質量%以上であることが好ましい。
また、本発明のポリエステル樹脂組成物中に後述する変性オレフィン共重合体(B)を含む場合は、ポリエステル樹脂(A)と変性オレフィン共重合体(B)の合計含有量は、樹脂組成物中の80質量%以上であることが好ましく、中でも90質量%以上であることが好ましく、さらには95質量%以上であることが好ましい。
本発明におけるポリエステル樹脂(A)は、1,4−シクロヘキサンジメタノールの共重合量が2〜20モル%であり、中でも3〜18モル%であることが好ましく、さらには3〜15モル%であることが好ましく、6〜12モル%であることが最も好ましい。
1,4−シクロヘキサンジメタノールを適量共重合することにより、ポリエステル樹脂(A)の結晶化速度を射出成形、押出成形、ブロー成形などの成形法に適したものに調整することができ、耐衝撃性に顕著に優れた成形体を得ることができる。そして、さらに後述する変性オレフィン共重合体(B)を適量添加することにより、得られる成形体の耐衝撃性をより向上させることができる。
1,4−シクロヘキサンジメタノールの共重合量が2モル%未満であると、耐衝撃性の向上効果が乏しく、変性オレフィン共重合体(B)を添加しても、優れた耐衝撃性を付与することが困難となる。一方、1,4−シクロヘキサンジメタノールの共重合量が20モル%を超えると、樹脂が非晶性のものとなるため、耐衝撃性に劣るものとなる。また、高温での乾燥や固相重合が困難となったり、高温乾燥時や固相重合工程においてブロッキングが起こりやすくなる。
ポリエステル樹脂(A)中のグリコール成分は、60モル%以上がエチレングリコールであることが好ましく、中でも70モル%以上がエチレングリコールであることが好ましく、さらには80モル%以上がエチレングリコールであることが好ましい。エチレングリコールの含有量が60モル%未満であると、得られるポリエステル樹脂の結晶性や耐熱性が劣るものとなる。一方、98モル%を超えると、1,4−シクロヘキサンジメタノールの割合が少なくなるため、1,4−シクロヘキサンジメタノールを含有することによる前記の効果に乏しいものとなる。
なお、エチレングリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノールの合計量は、全グリコール成分の70モル%以上であることが好ましく、中でも80モル%以上であることが好ましい。
また、エチレングリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノール以外のグリコール成分としては、例えば、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサメチレンジオール、ジエチレングリコール、ダイマージオール、ビスフェノールA又はビスフェノールSのエチレンオキシド付加体等を用いることができる。
一方、酸成分は、60モル%以上がテレフタル酸であることが好ましく、中でもテレフタル酸の割合は70モル%以上、さらには80モル%以上であることが好ましい。テレフタル酸の割合が60モル%未満であると、樹脂の結晶性が低下し、非晶性のものとなりやすい。
テレフタル酸以外のジカルボン酸成分としては、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、セバシン酸、ダイマー酸等が挙げられ、これらを2種類以上併用してもよく、これらの酸のエステル形成性誘導体を使用してもよい。
本発明のポリエステル樹脂(A)は、極限粘度が0.7〜1.4であり、中でも0.75〜1.3であることが好ましい。さらには、ダイレクトブロー成形用途に用いる際には、0.9〜1.3であることが好ましい。
なお、極限粘度は、フェノールと四塩化エタンとの等質量混合物を溶媒として、温度20℃で測定するものである。
極限粘度が0.7未満の場合は、樹脂の粘度が低いため、ブロー成形時にパリソンのドローダウンが大きくなり、成形自体が困難なものとなる。中でもダイレクトブロー成形時にはパリソンのドローダウンが顕著となる。また、成形体を得ることができたとしても、耐衝撃性に劣るものとなる。一方、極限粘度が1.4を超える場合は、成形温度を上げる必要があり、樹脂の熱分解が促進され、得られる成形体の耐衝撃性や色調が悪くなる。また、得られる成形体は厚みムラが生じたものとなり、耐衝撃性も悪くなる。
ポリエステル樹脂(A)は、衝撃強度を向上させるため、また、後述する変性オレフィン共重合体(B)との相溶性の面から、メルトフローレート(MFR)(ASTM D1238により、260℃、21.2Nで測定)が0.1〜20g/10分であることが好ましく、中でも0.5〜10g/10分であることが好ましい。
さらに、本発明のポリエステル樹脂(A)は、カルボキシル末端基濃度が20当量/t以下であることが好ましく、中でも19当量/t以下であることが好ましい。ポリエステル樹脂(A)のカルボキシル末端基濃度を20当量/t以下とすることによって、加工中に熱分解が生じることがなく、安定した成形が可能となる。また、耐久性にも優れた成形体を得ることが可能となる。
カルボキシル末端基濃度が20当量/tを超える場合は、加工中の熱履歴によって、樹脂の熱分解が生じる。このため、成形体が物性に劣るものになったり、着色などの外観悪化を起こすため好ましくない。また、耐久性にも劣るため好ましくない。
次に、変性オレフィン共重合体(B)について説明する。
変性オレフィン共重合体(B)は、炭素数2〜20の変性オレフィン共重合体であるが、中でもオレフィン構造単位と官能基構造単位を有するものであることが好ましい。
オレフィン構造単位としては、エチレン系重合体、プロピレン系重合体、ブテン系重合体などが挙げられる。これらの中でエチレン系重合体が好ましい。
エチレン系重合体としては、エチレン単独重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−エチレン系不飽和エステル共重合体等が挙げられる。また、共役ジエンや非共役ジエン等の多不飽和化合物とエチレンとα−オレフィンとの共重合体も挙げることができる。これらは単独もしくは複数を組み合わせて使用してもよい。中でもエチレンと1種類以上のα−オレフィンとの共重合体であるエチレン−α−オレフィン共重合体を用いることが好ましい。
α−オレフィンとしては、炭素数3〜12のα−オレフィンが好ましい。具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘキセン、スチレン、ノルボルネン、ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。これらの中でもα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が好ましい。
さらに、本発明におけるエチレン−α−オレフィン共重合体は、エチレンから導かれる構造単位の割合が、70〜99.5モル%であることが好ましく、中でも75〜95モル%であることが好ましい。
次に、官能基構造単位の官能基としては、ヘテロ原子を含む官能基であることが好ましい。より具体的には炭素、水素、酸素を含む官能基が好ましく、さらに具体的にはエステル基、エーテル基、カルボキシル基(無水物を含む)、アルデヒド基、ケトン基が好ましい。
上記の中でも特に好ましい官能基は、無水マレイン酸である。無水マレイン酸は、前述のオレフィン構造単位との反応性が比較的高く、それ自身が重合等による大きな構造変化が少なく、基本構造として安定な傾向がある。このため、安定した品質の変性オレフィン共重合体(B)を得られるなどの様々な利点がある。
変性オレフィン共重合体(B)における、オレフィン構造単位と官能基構造単位の質量比(オレフィン構造単位/官能基構造単位)は、100/0.1〜100/10であることが好ましく、中でも100/0.3〜100/8であることが好ましく、100/0.5〜100/5であることがより好ましい。官能基構造単位の含有量が上記範囲より少ない場合、ポリエステル樹脂(A)との反応点が少なく、得られる樹脂組成物の耐衝撃性を向上させることが困難となりやすい。一方、官能基構造単位の含有量が上記範囲よりも多い場合、ポリエステル樹脂(A)との反応が過剰に進行し、ポリエステル樹脂(A)のゲル化がおこり、樹脂組成物の成形性が阻害されたり、外観不良になる場合がある。また、多過ぎる官能基が、熱や光による変性などを受けて着色を引き起こす場合もある。
変性オレフィン共重合体(B)は、ポリエステル樹脂(A)との相溶性や衝撃強度向上の面から、メルトフローレート(MFR)(JIS K−7210により、190℃、21.2N荷重で測定)が0.1〜25g/10分であることが好ましく、中でも0.5〜20g/10分であることが好ましい。
上記したような変性オレフィン共重合体(B)のうち、最も好ましい態様である、無水マレイン酸変性エチレン−α−オレフィンとして市販されているものとしては、三井化学社製「タフマーMシリーズ」、ダウ・ケミカル日本社製「パラロイドEXL−3808」などが挙げられる。
本発明のポリエステル樹脂組成物において、変性オレフィン共重合体(B)を含有する場合、変性オレフィン共重合体(B)は前記ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して0.2〜25質量部とすることが必要であり、中でも0.5〜20質量部であることが好ましく、さらには0.5〜15質量部であることが好ましい。含有量が0.2質量部未満である場合には、得られる樹脂組成物の衝撃強度を十分に向上させることができない。一方、25質量部を超える場合には、ポリエステル樹脂(A)との相溶性が低下し、成形性が悪化し、特にブロー成形が困難となり、得られる成形体は厚みムラの生じたものとなる。
次に、本発明のポリエステル樹脂組成物は、260℃で測定した溶融張力の値が15〜60mNであり、中でも17〜50mNであることが好ましく、20〜40mNであることがさらに好ましい。溶融張力が15mN未満の場合、ブロー成形時の粘度が十分に高くないため、ドローダウンなどを起こし、外観悪化の原因となったり、厚み斑の原因となる。そして、得られる成形体の耐衝撃性を向上させることができない。
一方、溶融張力が60mNを超える場合、ブロー成形を行った場合、流動性が悪くなるため、成形温度を上げる必要がある。このため、樹脂の熱分解が生じ、着色や外観悪化の原因となる。
本発明における溶融張力は以下のようにして測定するものである。東洋精機製作所製のキャピログラフ1C(シリンダーの内径9.55mm、オリフィスの内径1.0mm、長さ10.0mm)を用いて測定する。まず、シリンダーおよびオリフィスの設定温度を260℃とし、該シリンダー中にポリエステル樹脂組成物(測定試料)を充填し、5分間放置してから、ピストン速度を10mm/分として260℃の溶融樹脂をオリフィスからストランド状に押出する。このストランドを、下方の直径40mmの張力検出用プーリーの円形ガイドを通過させながら巻き取り、この円形ガイドにかかる荷重を張力計で検出する。巻き取り速度を徐々に増加させていき、ストランドが破断したときの張力(すなわち測定可能な最大の張力)を溶融張力とする。
そして、本発明のポリエステル樹脂組成物は、アイゾット衝撃強度が40J/m以上であり、中でも50J/m以上であることが好ましく、さらには55J/m以上であることが好ましい。本発明のポリエステル樹脂組成物が変性オレフィン共重合体(B)を含有する場合は、アイゾット衝撃強度が70J/m以上であり、中でも80J/m以上であることが好ましく、さらには90J/m以上であることが好ましい。
本発明におけるアイゾット衝撃強度の測定方法は、ポリエステル樹脂組成物を日精樹脂社製NEX110型射出成形機に投入し、シリンダ温度260℃、金型表面温度15℃で、長さ=62.5mm、幅=3.2mm、厚さ=12.5mm、残り厚さ=3.2mmの衝撃試験片を作製する。得られた試験片の中央部に角度45°のV字型のノッチ〔V字の頂点は半径(R)=0.25〕を入れたものをサンプルとして用い、ASTM D256に従ってアイゾット衝撃強度を測定するものである。このときに用いる試験片の形状を図1に示す。
さらに、本発明のポリエステル樹脂組成物は、260℃、荷重21.2Nの条件下で測定されるメルトフローレート(MFR−1)が0.1〜20g/10分であることが好ましく、中でも0.5〜10g/10分であることが好ましい。MFR−1がこの範囲外のものであると、ブロー成形に適した流動性を有するものとならず、成形性が悪化し、得られるブロー成形体は厚み斑の生じたものとなりやすい。
また、260℃、荷重130Nの条件下で測定されるメルトフローレート(MFR−2)との比(MFR−2/MFR−1)が10〜30であることが好ましく、11〜25であることがより好ましく、12〜20であることがさらに好ましい。
なお、本発明におけるメルトフローレートは、JIS K−7210に従って測定するものである。
MFR−2/MFR−1の値は、樹脂組成物の分子量分布、直鎖分岐の目安でもあり、MFR−2/MFR−1の値が高いほど、分子量分布が広い、あるいは直鎖分岐が高いことを示す。MFR−2/MFR−1の値が10未満の場合、流動性が高すぎるため、ブロー成形時に厚みに斑ができやすくなり、耐衝撃性を向上させることが困難となる。一方、MFR−2/MFR−1の値が30を超える場合、流動性が悪いため、成形温度を高くする必要がある。それにより、樹脂が分解しやすくなり、着色やゲル化など外観が悪化する可能性が高くなるため好ましくない。また、分解によって樹脂組成物のカルボン酸末端が増えることで、得られる成形体の耐久性も悪くなるために好ましくない。
そして、ポリエステル樹脂組成物の溶融張力やMFRの比を本発明で規定する上記範囲を満足するものとするためには、ポリエステル樹脂(A)や変性オレフィン共重合体(B)のメルトフローレートを適切な値とすることや、ポリエステル樹脂組成物中に、脂肪酸エステルやヒンダードフェノール系抗酸化剤を添加することが好ましい。
ポリエステル樹脂組成物中に脂肪酸エステルやヒンダードフェノール系抗酸化剤を添加する場合、これらの含有量は、0.01〜1.0質量%であることが好ましく、中でも0.05〜1.0質量%であることが好ましい。
脂肪酸エステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサステアレート等が挙げられる。中でも、グリセリンモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサステアレートが好ましい。
また、ヒンダードフェノール系抗酸化剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、3,9−ビス{2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1’−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン等が用いられるが、効果とコストの点で、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタンが好ましい。
また、本発明のポリエステル樹脂組成物中には、上記のような脂肪酸エステルやヒンダードフェノール系抗酸化剤の他、着色防止剤として、例えば、亜リン酸、リン酸、トリメチルフォスファイト、トリフェニルフォスファイト、トリデシルフォスファイト、トリメチルフォスフェート、トリデシルフォスフェート、トリフェニルフォスフォート等のリン化合物を用いることができ、これらのリン化合物は単独で使用しても2種以上使用しても良い。また、ポリエステル樹脂の熱分解による着色を抑制するために酢酸コバルト等のコバルト化合物、酢酸マンガン等のマンガン化合物、アントラキノン系染料化合物、銅フタロシアニン系化合物等の添加剤が含有されていてもよい。
本発明のポリエステル樹脂組成物中には、本発明の効果を損なわない範囲において、他の樹脂成分が含有されていてもよい。例えば、熱可塑性樹脂として、ポリエチレングリコールまたはその誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ナイロンその他のポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン等の弗化炭素樹脂、セルロース樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンまたはアクリロニトリル−スチレン、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリオキシメチレン、ポリホルムアルデヒド、ポリアセタール等の熱可塑性樹脂またはグラフト、レゾール及びノボラック等のフェノール−ホルムアルデヒド樹脂及びこれらの共重合体、及びこれらの混合物などが挙げられる。熱硬化性樹脂としては、ポリウレタン、シリコーン、フルオロシリコーン、フェノール樹脂、メラミン樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド、ウレア・ホルムアルデヒドおよびこれらの共重合体、及びこれらの混合物などが挙げられる。
また、本発明のポリエステル樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、顔料、熱安定剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤等を添加してもよい。熱安定剤としては、たとえばリン化合物、ヒンダードアミン、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物あるいはこれらの混合物を使用することができる。これらの添加剤は、一般に溶融混練時あるいは重合時に加えられる。
また、本発明のポリエステル樹脂組成物中には、下記に示すような発泡剤が含有されていてもよく、発泡ブロー成形により、本発明の成形体を発泡ブロー成形体としてもよい。
発泡剤としては、熱分解型の、例えば、アゾ、N−ニトロソ、複素環式窒素含有及びスルホニルヒドラジド基のような分解しうる基を含有する有機化合物、炭酸アンモニウムや炭酸水素ナトリウムなどの無機化合物を挙げることができる。その具体例としては、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、ジアゾアミノベンゼン、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、4,4’−オキシ−ビス(ベンゼンスルホニル)ヒドラジド、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホニルヒドラジド、4−トルエンスルホニルヒドラジド、4,4’−オキシ−ビス(ベンゼンスルホニル)セミカルバジド、4−トルエンスルホニルセミカルバジド、バリウムアゾジカルボキシレート、5−フェニルテトラゾール、トリヒドラジノトリアジン、4−トルエンスルフォニルアザイド、4,4’−ジフェニルジスルフォニルアザイドなどが挙げられる。
発泡剤としては、ガス状フルオロカーボン、窒素、二酸化炭素、空気、ヘリウム、アルゴンなど常温で気体のものや、液状フルオロカーボン、ペンタンなどの常温で液体のものも使用できる。
次に、本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法について説明する。本発明におけるポリエステル樹脂(A)は、エステル化反応、溶融重合反応及び固相重合反応工程を経て得られるものであることが好ましい。エステル化反応と溶融重合反応のみでは、目標の極限粘度のポリエステル樹脂を得ることが困難となる。得られたとしても、溶融重合反応の反応時間が長くなり、得られるポリエステル樹脂は色調が悪いものとなる。そして、固相重合反応における工程や条件を特定のものにすることによって、特有の粘性を有するポリエステル樹脂(A)を得ることができる。
具体的には、例えば、次のような方法で製造することができる。
酸成分としてテレフタル酸あるいはそのエステル形成性誘導体、グリコール成分としてエチレングリコールを所定の割合でエステル化反応器に仕込み、加圧下、160〜280℃の温度でエステル化反応を行う。この後、反応生成物を重合反応器に移し、1,4−シクロヘキサンジメタノール、重縮合触媒、必要に応じて脂肪酸エステルやヒンダードフェノール系抗酸化剤、着色防止剤等の添加剤を添加し、通常1hPa以下の減圧下で240〜290℃、好ましくは250〜280℃の温度で溶融重合反応を行う。ここで得られる共重合ポリエステル(プレポリマー)の極限粘度は、0.5〜0.8の範囲であることが好ましい。
重縮合触媒としては、一般的にPETに用いられる公知の化合物、例えば、ゲルマニウム、アンチモン、チタンおよびコバルト化合物などの1種以上を用いることができるが、好ましくはゲルマニウムまたはアンチモンの化合物を使用する。さらに、得られるポリエステル樹脂の透明性を非常に重視する場合においては、ゲルマニウム化合物を使用することが好ましい。ゲルマニウムまたはアンチモンの化合物としては、それらの酸化物、無機酸塩、有機酸塩、ハロゲン化物、硫化物などが例示される。これらの重縮合触媒は、生成するポリエステル樹脂の酸成分1モルに対し5×10−5モル〜3.0×10−4モルの範囲内、中でも6×10−5モル〜2.0×10−4モルの範囲内となるような量で用いることが好ましい。
続いて、上記した溶融重合反応により得られたプレポリマーをダイス状、円柱状などの任意の形状のチップとし、該ポリエステルチップを結晶化装置に連続的に供給し、150〜180℃の温度で1〜3時間熱処理を行い、結晶化を行う。この後、乾燥機に供給し、180℃以下の温度で4〜10時間乾燥後、予備加熱機に送り、2〜5時間の範囲で下記固相重合温度まで加熱した後、固相重合機へ連続的に供給する。固相重合反応は、窒素ガスなどの不活性ガス下で行うのが好ましく、170〜230℃の範囲内の温度で行うのが好ましく、180〜220℃の範囲内の温度で行うのがより好ましい。また、重合時間は40時間〜70時間の範囲で、固相重合機内にて反応させることにより、目標の粘度特性を有するポリエステル樹脂(A)を得ることができる。
本発明のポリエステル樹脂組成物において、変性オレフィン共重合体(B)を含有する場合は、上記のポリエステル樹脂(A)と変性オレフィン共重合体(B)とを溶融混練することで得ることができる。混練方法は、特に限定されないが、例えば、工業的に最も簡便である溶融混練法を採用することができる。溶融混練には一般的な押出機を用いることができ、混練状態の向上のためには、二軸押出機を使用することが好ましい。ポリエステル樹脂(A)と変性オレフィン共重合体(B)の押出機への供給の際には、予め全ての原料をドライブレンドしたものを一つのホッパーに供給してもよいし、2つのホッパーにそれぞれの樹脂を仕込み、ホッパー下のスクリュー等で定量しながら供給してもよい。
このとき、変性オレフィン共重合体(B)の添加方法に関しては、ポリエステル樹脂(A)中に変性オレフィン共重合体(B)が高濃度に添加されたマスターバッチペレットを作製し、このマスターバッチペレットをポリエステル樹脂(A)で希釈することによりポリエステル樹脂組成物を得る方法を採用することが好ましい。このような方法を採用することで、成形体を得る際のコストが抑えられると同時に、成形体を得る際の熱履歴が少なくなるために、ポリエステル樹脂の熱劣化が抑えられ、粘度や張力の低下を抑えることができる。これにより、成形加工性に優れ、また、得られる成形体は、より耐衝撃性に優れた成形体となり、色調にも優れたものとすることが可能となる。
このようなマスターバッチペレットにおいて、変性オレフィン共重合体(B)の含有量は、ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、3〜40質量部であることが好ましく、中でも4〜35質量部であることが好ましく、5〜30質量部であることがより好ましい。変性オレフィン共重合体(B)の含有量が3質量部未満であると、本発明の樹脂組成物を得る際にマスターバッチペレットの使用量が多くなり、変性オレフィン共重合体(B)を高濃度に含有するマスターバッチペレットとは言えないものとなる。一方、含有量が40質量部を超えると、マスターバッチペレット作製時の操業性が低下し、変性オレフィン共重合体(B)の分散性が低くなり、得られるマスターバッチペレットに濃度むらが生じやすくなる。
次に、上記したような本発明のマスターバッチペレットを製造した後、ポリエステル樹脂(A)で希釈して、本発明のポリエステル樹脂組成物を製造する方法について説明する。
まず、本発明のマスターバッチペレットの製造方法について説明する。押出機中に、ポリエステル樹脂(A)と、変性オレフィン共重合体(B)を添加し、溶融混練する。このとき、1軸押出機あるいは2軸押出機で溶融混練を行い、シリンダー温度250〜290℃、ダイス温度260〜290℃に加熱し、樹脂組成物を溶融混練して押出して、ストランドを冷却後、ペレットサイズにカットする方法が好ましい。用いる押出機は混練能力から2軸押出機が好ましい。また、添加方法としては、変性オレフィン共重合体(B)を別フィーダーから添加する方法、ドライブレンドをしてホッパーから添加する方法など特に制限はないが、濃度を正確に測定でき、分散むらを抑えることができるため、それぞれ別フィーダーで計量して添加することが好ましい。
そして、本発明のポリエステル樹脂組成物は、上記のようにして得られたマスターバッチペレットを用い、変性オレフィン共重合体(B)が所望の濃度となるように、ポリエステル樹脂(A)で希釈することにより得ることができる。具体的には、マスターバッチペレットとポリエステル樹脂(A)をドライブレンドした後、1軸押出機あるいは2軸押出機で溶融混練を行うことが好ましい。
その際、マスターバッチペレットとポリエステル樹脂(A)の割合は5/95〜20/80質量部であることが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、上記したように、ブロー成形に適したものであるが、射出成形や延伸法を採用しても、耐衝撃性に優れた成形体(射出成形体、シート、フィルム等)を得ることができる。
次に、本発明の成形体は、本発明のポリエステル樹脂組成物を用いて形成されたものであり、中でもブロー成形体とすることが好ましい。本発明のブロー成形体は、汎用のダイレクトブロー成形機や延伸ブロー成形機を用いて製造することが可能であり、成形機のシリンダー各部及びノズルの温度は、230〜280℃の範囲とするのが好ましい。
そして、本発明のブロー成形体は、本発明の樹脂組成物のみを用いて形成された単層構造のブロー成形体であってもよいし、本発明の樹脂組成物を少なくとも一部に用いた多層構造のブロー成形体であってもよい。
次に、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。なお、実施例中の各種の特性値等の測定、評価方法は次の通りである。
(1)ポリエステル樹脂(A)の極限粘度
フェノールと四塩化エタンの等質量混合溶媒を用いて、温度20℃で測定した溶液粘度から求めた。
(2)樹脂組成物の組成
得られたポリエステル樹脂組成物を、重水素化ヘキサフルオロイソプロパノールと重水素化クロロホルムとの容量比が1/20の混合溶媒に溶解させ、日本電子社製LA−400型NMR装置にて1H−NMRを測定し、得られたチャートの各成分のプロトンのピークの積分強度から、共重合成分の種類と含有量を求めた。
(3)樹脂組成物の溶融張力
前記の方法で測定した。
(4)樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)
得られたポリエステル樹脂組成物(二軸押出機で溶融混練後、ペレット状にカッティングし、熱風乾燥したもの)を、JIS K−7210に従って260℃、21.2N(MFR−1)および130N(MFR−2)条件下で測定した。
(5)アイゾット衝撃強度
前記のとおりにサンプルを作製し、測定を行った。
(6)耐衝撃性(シャルピー衝撃強さ)
得られたポリエステル樹脂組成物を日精樹脂社製NEX110型射出成形機に投入し、シリンダ温度260℃、金型表面温度15℃で、一般物性測定用試験片(ISO型)及び2mm厚プレート(長さ90mm、幅50mm)を作製した。
得られた一般物性測定用試験片(ISO型)にV字型切込みを入れたものを試験サンプルとして用い、ISO 179−1に従って、シャルピー衝撃強さを測定した。
(7)耐衝撃性(デュポン衝撃強度)
(6)で得られた2mm厚のプレートの中心部に直径=2.5mmの穴を空けたものを測定用サンプルとして用い、JIS K5600−5−3の「6.デュポン式」に従って耐衝撃性(耐おもり落下性)を測定した。測定によって得られた50%破壊エネルギーの値で耐衝撃性を評価した。
(8)ダイレクトブロー成形性
得られたダイレクトブロー成形体(サンプル数100本)の胴部の厚さを測定し、最厚部と最薄部の厚さの差が0.30mmまでのものを合格とし、合格のサンプル数を示した。合格のサンプル数が90本以上であるものを○、90本未満であるものを×とした。
(9)延伸ブロー成形性
得られた延伸ブロー成形体(サンプル数100本)の胴部の厚さを測定し、最厚部と最薄部の厚さの差が30μmまでのものを合格とし、合格のサンプル数を示した。合格のサンプル数が90本以上であるものを○、90本未満であるものを×とした。
下記の実施例及び比較例において使用した樹脂は次の通りである。
ポリエステル樹脂(A)
A−1:製造例1に示す方法で作製した。(1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合量:6モル%、極限粘度1.13)
A−2:製造例2に示す方法で作製した。(1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合量:10モル%、極限粘度1.11)
A−3:製造例3に示す方法で作製した。(1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合量:8モル%、極限粘度1.12)
A−4:製造例4に示す方法で作製した。(1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合量:4モル%、極限粘度1.12)
A−5:製造例5に示す方法で作製した。(1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合量:12モル%、極限粘度1.00)
a−1:製造例6に示す方法で作製した。(1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合量:1モル%、極限粘度1.11)
a−2:製造例7に示す方法で作製した。(1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合量:22モル%、極限粘度0.66)
a−3:製造例8に示す方法で作製した。(イソフタル酸共重合量:6モル%、極限粘度1.13)
変性オレフィン共重合体(B)
・B−1:パラロイドEXL−3808(ダウ社製、無水マレイン酸変性エチレン−オクテン共重合体、無水マレイン酸含率0.8質量%、MFR:1g/10分)
その他のエラストマー(X)
・X−1:タフテックM1943(旭化成ケミカルズ社製、無水マレイン酸変性SEBS、スチレン含有量20質量%、無水マレイン酸含率1.1質量%、MFR:0.6g/10分)
・X−2:メタブレンC−223(三菱レイヨン株式会社製、コアシェル型耐衝撃改良剤コア層成分:ブタジエン系ゴム、シェル層成分:(メタ)アクリル酸メチル重合体)
製造例1:A−1の作製
エステル化反応器に、テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)のスラリー(TPA/EGモル比=1/1.6)を供給し、温度250℃、圧力50hPaの条件で反応させ、エステル化反応率95%の反応生成物(数平均重合度:5)を得た。
TPAとEGの反応生成物59.4質量部を重合反応器に仕込み、続いて、1,4―シクロヘキサンジメタノール3.8質量部、重合触媒として二酸化ゲルマニウム0.008質量部、酢酸コバルト0.004質量部、ヒンダードフェノール系抗酸化剤(ADEKA社製:アデカスタブAO−60)0.12質量部を、それぞれ加え、反応器を減圧にして60分後に最終圧力0.9hPa、温度280℃で4時間、溶融重合反応を行い、共重合ポリエステルのプレポリマーを得た。このプレポリマーの極限粘度は、0.66であった。
続いて、該プレポリマーを結晶化装置に連続的に供給し150℃で結晶化をさせた後、乾燥機に供給し160℃で8時間乾燥後、予備加熱機に送り190℃まで加熱した後、固相重合機へ供給し、窒素ガス下にて固相重合反応を190℃で50時間行い、ポリエステル樹脂組成物(A−1)を得た。
製造例2〜6:(A−2)〜(A〜5)、(a−1)の作製
1,4―シクロヘキサンジメタノールの共重合量が表1の値となるように組成を変更した以外は、製造例1と同様にして、共重合ポリエステルのプレポリマーを得た。そして得られたプレポリマーを用い、製造例1と同様にして固相重合反応を行い、ポリエステル樹脂組成物(A−2)〜(A〜5)、(a−1)を得た。
製造例7:a−2の作製
1,4―シクロヘキサンジメタノールの共重合量が表1の値となるように組成を変更した以外は、製造例1と同様にして、共重合ポリエステルのプレポリマーを得た。得られたプレポリマーを製造例1と同様、結晶化装置に連続的に供給したが、固着したため結晶化を行うことができなかった。
そこでエステル化反応、溶融重合反応を行って得た共重合ポリエステルのプレポリマーに、固相重合を行わなかった以外は、製造例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物(a−2)を得た。
製造例8:a−3の作製
エステル化反応器に、テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)のスラリー(TPA/EGモル比=1/1.6)を供給し、温度250℃、圧力50hPaの条件で反応させ、エステル化反応率95%の反応生成物(数平均重合度:5)を得た。
別のエステル化反応缶に、イソフタル酸(IPA)とエチレングリコールとからなるスラリー(IPA/EGモル比=1/3.1)を仕込み、温度200℃で3時間エステル化反応を行い、イソフタル酸とエチレングリコールの反応溶液を得た。
TPAとEGの反応生成物55.5質量部を重合反応器に仕込み、続いて、イソフタル酸とエチレングリコールの反応溶液6.1質量部、重合触媒として二酸化ゲルマニウム0.008質量部、酢酸コバルト0.004質量部、ヒンダードフェノール系抗酸化剤(ADEDKA社製:アデカスタブAO−60)0.12質量部を、それぞれ加え、反応器を減圧にして60分後に最終圧力0.9hPa、温度280℃で4時間、溶融重合反応を行い、ポリエステル樹脂組成物(a−3)を得た。
製造例9:B−1のマスターバッチペレットの作製
二軸押出機(東芝機械社製TEM37BS型)を用い、ポリエステル樹脂組成物(A−1)100質量部と、変性オレフィン共重合体(B−1)25質量部とをドライブレンドして押出機の根元供給口から供給し、混練温度260℃、スクリュー回転数150rpm、吐出20kg/hの条件で、ベントを効かせながら押出しを実施した。押出機先端から吐出された樹脂組成物をペレット状にカッティングし、85℃×12時間熱風乾燥したものをB−1のマスターバッチペレットとして各種成形体作製に用いた。
実施例1
製造例1で得られたポリエステル樹脂組成物(A−1)をペレット化したものを85℃×12時間熱風乾燥し、下記の成形体(1)、(2)の作製に用いた。
(1)ポリエステル樹脂組成物(A−1)を、ダイレクトブロー成形機(タハラ社製)を用い、押出温度260℃で樹脂を押出して円筒形パリソンを形成し、パリソンが軟化状態にあるうちに金型で挟み、底部形成を行い、これをブローしてボトルを成形した。このとき、パリソン径3cmで長さが25cmとなったところで底部形成を行い、ブロー成形して500ccの中空容器(ダイレクトブロー成形体)を得た。
(2)ポリエステル樹脂組成物(A−1)を、シリンダー各部およびノズル温度を260℃、スクリュー回転数100rpm、射出時間10秒、冷却時間10秒、金型温度15℃に設定した射出成型機(日精エーエスビー社製、ASB−50TH型)を用いてプリフォームを成形した。次いで、このプリフォームを100℃雰囲気下、ブロー圧力2MPaで延伸ブロー成形し、胴部の平均肉厚300μm、内径3.5cm、高さ15cmの円筒状のボトル(内容積150ccの中空容器;延伸ブロー成形体)を得た。
実施例2〜5、比較例1〜3
ポリエステル樹脂組成物(A−1)に代えて、表2に示すポリエステル樹脂組成物(A−2)〜(A−5)、(a−1)〜(a−3)を使用した以外は、実施例1と同様にして成形体(1)、(2)の作製を行った。
実施例6
二軸押出機(東芝機械社製TEM37BS型)を用い、ポリエステル樹脂組成物(A−1)100質量部と、変性オレフィン共重合体(B−1)0.5質量部とをドライブレンドして押出機の根元供給口から供給し、混練温度260℃、スクリュー回転数150rpm、吐出20kg/hの条件で、ベントを効かせながら押出しを実施した。押出機先端から吐出された樹脂組成物をペレット状にカッティングした。得られたペレットを85℃×12時間熱風乾燥したものをポリエステル樹脂組成物として、実施例1と同様にして成形体(1)、(2)の作製を行った。
実施例7〜10、12〜14、比較例4〜8
表2に示すように、ポリエステル樹脂組成物(A−1)と変性オレフィン共重合体(B−1)等の種類と割合を変更した以外は、実施例6と同様に行ってポリエステル樹脂組成物を得た。
得られたポリエステル樹脂組成物を用い、実施例1と同様にして成形体(1)、(2)の作製を行った。
実施例11
ポリエステル樹脂組成物(A−1)と変性オレフィン共重合体(B−1)の割合が表1に示すものとなるように、ポリエステル樹脂組成物(A−1)と製造例9で作製したB−1のマスターバッチペレットをドライブレントした以外は、実施例6と同様に行ってポリエステル樹脂組成物を得た。
得られたポリエステル樹脂組成物を用い、実施例1と同様にして成形体(1)、(2)の作製を行った。
実施例1〜14、比較例1〜8で得られたポリエステル樹脂組成物及び成形体の評価結果を表2に示す。
表2から明らかなように、実施例1〜14で得られたポリエステル樹脂組成物は、優れた耐衝撃性を有しており、中でも実施例6〜14で得られたポリエステル樹脂組成物は、変性オレフィン共重合体(B)を適量含有するものであったため、耐衝撃性が顕著に優れるものであった。そして、実施例1〜14で得られたポリエステル樹脂組成物は、ダイレクトブロー成形、延伸ブロー成形ともに良好に行うことができ、厚み斑の少ない、耐衝撃性に優れた成形体を得ることができた。
一方、比較例1、7で得られたポリエステル樹脂組成物は、ポリエステル樹脂(A)の1,4−シクロヘキサンジメタノールの共重合量が少なかったため、耐衝撃性に劣るものであった。比較例2、8で得られたポリエステル樹脂組成物は、ポリエステル樹脂(A)の1,4−シクロヘキサンジメタノールの共重合量が多すぎ、固相重合ができなかったため、溶融張力が低くなり、ブロー成形時にドローダウンが生じ、得られた成形体は厚み斑の生じたものとなった。比較例3で得られたポリエステル樹脂組成物は、ポリエステル樹脂(A)が1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合成分としないものであったため、耐衝撃性に劣るものであった。
比較例4で得られたポリエステル樹脂組成物は、変性オレフィン共重合体(B)の含有量が多すぎたため、溶融張力の値が60mNを超え、ブロー成形時の流動性が悪いものとなった。そこで、成形温度を上げて成形を行ったため、樹脂の熱分解が生じ、成形性が悪化し、厚み斑の生じた成形体が多くなった。また、得られた成形体は着色が生じていた。比較例5で得られたポリエステル樹脂組成物は、変性オレフィン共重合体(B)に代えて、他のエラストマーを添加したため、耐衝撃性に劣るものであった。比較例6で得られたポリエステル樹脂組成物は、変性オレフィン共重合体(B)に代えて、他のエラストマーを添加したため、耐衝撃性に劣るものであった。さらに、溶融張力の値が15mN未満となったため、ブロー成形時にドローダウンが生じ、得られた成形体は厚み斑の生じたものとなった。

Claims (5)

  1. エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合成分として2〜20モル%含有し、極限粘度が0.7〜1.4であるポリエステル樹脂(A)を含有するポリエステル樹脂組成物であって、260℃で測定した溶融張力が15〜60mNであり、アイゾット衝撃強度が40J/m以上であることを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
  2. エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合成分として2〜20モル%含有し、極限粘度が0.7〜1.4であるポリエステル樹脂(A)と、炭素数2〜20の変性オレフィン共重合体(B)とを含有するポリエステル樹脂組成物であって、ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、変性オレフィン共重合体(B)を0.2〜25質量部含有し、260℃で測定した溶融張力が15〜60mNであり、アイゾット衝撃強度が70J/m以上であることを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
  3. 変性オレフィン共重合体(B)は、オレフィン構造単位と官能基構造単位を有し、オレフィン構造単位と官能基構造単位の質量比(オレフィン構造単位/官能基構造単位)が100/0.1〜100/10である請求項2に記載のポリエステル樹脂組成物。
  4. 260℃、21.2N条件下で測定されるメルトフローレート(MFR−1)が0.1〜20g/10分であり、260℃、130N条件下で測定されるメルトフローレート(MFR−2)との比(MFR−2/MFR−1)が10〜30である請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物からなる成形体。
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