JP7003569B2 - タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ Download PDF

Info

Publication number
JP7003569B2
JP7003569B2 JP2017206586A JP2017206586A JP7003569B2 JP 7003569 B2 JP7003569 B2 JP 7003569B2 JP 2017206586 A JP2017206586 A JP 2017206586A JP 2017206586 A JP2017206586 A JP 2017206586A JP 7003569 B2 JP7003569 B2 JP 7003569B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon black
rubber
mass
parts
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017206586A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019077809A (ja
Inventor
臣将 北村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yokohama Rubber Co Ltd
Original Assignee
Yokohama Rubber Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yokohama Rubber Co Ltd filed Critical Yokohama Rubber Co Ltd
Priority to JP2017206586A priority Critical patent/JP7003569B2/ja
Publication of JP2019077809A publication Critical patent/JP2019077809A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7003569B2 publication Critical patent/JP7003569B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Tires In General (AREA)

Description

本発明はタイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤに関する。
近年、環境意識の高まりとともに、低燃費タイヤが広く開発されている。
低燃費タイヤについては、これまで、例えば、フィラーやオイルの低配合化によってゴムの発熱を下げて燃費を下げるという手法がとられてきた。
しかしながら、上記配合手法にも限界があり、さらなる低燃費化への開発が求められている。
空気入りタイヤに使用でき、優れた低発熱性等を有するゴム組成物として、特許文献1、2が提案されている。
特許文献1には、高い破断時伸び、優れた低発熱性を維持しつつ、モジュラス、加工性に優れ、永久歪を低減できるゴム組成物及びこれを用いる空気入りタイヤを提供することを目的として、ジエン系ゴムと、カーボンブラック及び白色充填剤からなる群から選ばれる少なくとも1種と、酸変性ポリオレフィンと、ポリアミドポリエーテルエラストマーとを含有し、カーボンブラック及び白色充填剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の含有量が、ジエン系ゴム100質量部に対して1~100質量部であり、酸変性ポリオレフィンと上記ポリアミドポリエーテルエラストマーとの合計含有量が、ジエン系ゴム100質量部に対して、3~35質量部である、ゴム組成物が記載されている。
特許文献2には、加工性を維持した特定組成のシリカ配合系からなるサイドウォールゴム組成物を採用することによって、操縦安定性、耐老化性、耐カット性、発熱性および耐疲労性を高次元にバランスさせた空気入りタイヤを提供することを目的として、(A)天然ゴムおよび/またはポリイソプレンゴム20~60重量部と、特定のブタジエンゴム総量40~80重量部とからなるゴム100重量部、(B)シリカ10~40重量部とカーボンブラックとの総量30~60重量部、(C)スルフェンアミド系加硫促進剤、および(D)硫黄1.3~1.8重量部を配合してなり、加硫促進剤/硫黄の配合比が0.5~0.7であるゴム組成物をサイドウォールとして用いた空気入りタイヤが記載されている。
国際公開第2016/143667号 特開2005-350595号公報
このようななか、本発明者は、低燃費性能に関し、タイヤの構成部材(例えばサイドウォール部)の厚さを薄くすることによってタイヤの軽量化することに注目した。
そして、タイヤの構成部材を薄肉化すべく、特許文献1を参考にして、酸変性ポリオレフィンとポリアミドポリエーテルエラストマーとを含有するゴム組成物を調製し評価したところ、このようなゴム組成物から得られるゴムは硬度が低く、上記ゴム組成物で形成された薄肉化された構成部材を有する空気入りタイヤは耐外傷性が低い場合があることが明らかとなった(比較例8)。
次に、特許文献2を参考にして、硫黄及び加硫促進剤を含有するゴム組成物を調製し評価したところ、このようなゴム組成物から得られるゴムは硬度が低く、上記ゴム組成物で形成された薄肉化された構成部材を有する空気入りタイヤは耐外傷性が低い場合があることが明らかとなった(比較例5)。
また、本発明者は、酸変性ポリオレフィン、ポリアミドポリエーテルエラストマー、硫黄、加硫促進剤を含有するゴム組成物を調製し評価したところ、このようなゴム組成物は耐屈曲疲労性が低い場合があることが明らかとなった(比較例1、4)。
そこで、本発明は、ゴムの高硬度化(ゴムの硬度が高くなること。以下同様)による耐外傷性、及び、耐屈曲疲労性に優れる、タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、ゴム組成物が、天然ゴムを含むジエン系ゴム、窒素吸着比表面積が特定範囲であるカーボンブラック、酸変性ポリオレフィン、ポリアミドポリエーテルエラストマー、硫黄、及び、加硫促進剤を、それぞれ特定量で含有することによって所望の効果が得られることを見出し、本発明に至った。
本発明は上記知見等に基づくものであり、具体的には以下の構成により上記課題を解決するものである。
[1]
天然ゴムを含むジエン系ゴム100質量部に対して、
窒素吸着比表面積が55~160m2/gであるカーボンブラックIを50質量部超80質量部以下、
酸変性ポリオレフィン及びポリアミドポリエーテルエラストマーを合計で3~35質量部、
硫黄を1.6~3.6質量部、並びに、
加硫促進剤を含有し、
上記加硫促進剤に対する上記硫黄の質量比(硫黄/加硫促進剤)が1.1~3.0である、タイヤ用ゴム組成物。
[2]
上記カーボンブラックIが、窒素吸着比表面積が55m2/g以上110m2/g未満であるカーボンブラック1、及び、窒素吸着比表面積が110m2/g以上160m2/g以下であるカーボンブラック2のうちのいずれか又は両方を含む、[1]に記載のタイヤ用ゴム組成物。
[3]
上記カーボンブラックIが、上記カーボンブラック1及び上記カーボンブラック2を含み、
上記カーボンブラック2に対する上記カーボンブラック1の質量比(カーボンブラック1/カーボンブラック2)が、0.2~2.0である、[2]に記載のタイヤ用ゴム組成物。
[4]
上記加硫促進剤に対する上記硫黄の質量比が、2.0超2.5以下である、[1]~[3]のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
[5]
[1]~[4]のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物を用いて形成された空気入りタイヤ。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、ゴムの高硬度化によりタイヤとしたときの耐外傷性に優れ、かつ、耐屈曲疲労性に優れる。
本発明の空気入りタイヤは、ゴムの高硬度化による耐外傷性、及び、耐屈曲疲労性に優れる。
本発明の空気入りタイヤの実施態様の一例を表すタイヤの部分断面概略図である。
本発明について以下詳細に説明する。
なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、特に断りのない限り、各成分はその成分に該当する物質をそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。成分が2種以上の物質を含む場合、成分の含有量は、2種以上の物質の合計の含有量を意味する。
本明細書において、特に断りのない限り、各成分はその製造方法について特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
[タイヤ用ゴム組成物]
本発明のタイヤ用ゴム組成物(本発明の組成物)は、
天然ゴムを含むジエン系ゴム100質量部に対して、
窒素吸着比表面積が55~160m2/gであるカーボンブラックIを50質量部超80質量部以下、
酸変性ポリオレフィン及びポリアミドポリエーテルエラストマーを合計で3~35質量部、
硫黄を1.6~3.6質量部、並びに、
加硫促進剤を含有し、
上記加硫促進剤に対する上記硫黄の質量比(硫黄/加硫促進剤)が1.1~3.0である、タイヤ用ゴム組成物である。
本発明の組成物はこのような構成をとるため、所望の効果が得られるものと考えられる。その理由は以下の通りである。
空気入りタイヤにおいて、低燃費化を目的として、軽量化を図るにあたって、サイドウォール部を薄肉化する場合、単にサイドウォール部を薄くすると、サイドウォール部の耐外傷性が低下し、例えば悪路を走行した際に、跳ね上げた砂利や岩によってサイドウォール部が損傷を受けてカーカスコードが破断し易くなり、空気入りタイヤの耐久性が低下するという懸念がある。
このため、サイドウォール部の硬度を上げることによって、サイドウォール部の耐外傷性を向上させることが考えられる。しかしながら、この場合、単にサイドウォール部の硬度を上げるとサイドウォール部の耐屈曲疲労性が悪化する。
ここで、優れた耐外傷性と耐屈曲疲労性との両立を実現させるには、ゴムの高硬度化と耐屈曲疲労性とをバランスさせることが必要であることに本発明者は想到した。
そして、本発明者は、ゴム組成物が、天然ゴムを含むジエン系ゴム、酸変性ポリオレフィン、ポリアミドポリエーテルエラストマーを含有するゴム組成物に対して、窒素吸着比表面積が特定範囲であるカーボンブラック、硫黄、及び、加硫促進剤を、それぞれ特定量で含有することによって、ゴムの高硬度化と耐屈曲疲労性とをバランスさせることが可能であり、上記ゴム組成物を用いて形成されたタイヤは耐外傷性と耐屈曲疲労性とを優れたレベルで両立できることを見出した。
以下、本発明の組成物に含有される各成分について詳述する。
<<ジエン系ゴム>>
本発明において、ジエン系ゴムは天然ゴムを含む。
<天然ゴム>
本発明において、上記ジエン系ゴムに含まれる天然ゴム(NR)は、特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
(NR以外の別のジエン系ゴム)
上記ジエン系ゴムが上記天然ゴムの他に更に別のジエン系ゴムを含む場合、上記別のジエン系ゴムとしては、例えば、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、芳香族ビニル-共役ジエン共重合ゴム(例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR))、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体ゴム(EPDM)、スチレン-イソプレンゴム、イソプレン-ブタジエンゴム、ニトリルゴム等が挙げられる。
上記別のジエン系ゴムは、硬度(得られるゴムの硬度。以下同様)がより高くなり耐外傷性により優れる、及び/又は、耐屈曲疲労性により優れる、低燃費性能(低発熱性)に優れるという観点から、BR及び/又はSBRが好ましい。
上記別のジエン系ゴムの重量平均分子量は特に限定されない。上記重量平均分子量は、硬度がより高くなり耐外傷性により優れる、及び/又は、耐屈曲疲労性により優れる、低燃費性能(低発熱性)に優れるという観点から、50,000~3,000,000であることが好ましく、100,000~2,000,000であることがより好ましい。
本発明において、上記別のジエン系ゴムの重量平均分子量(Mw)は、テトラヒドロフランを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定値をもとにした標準ポリスチレン換算値である。
上記別のジエン系ゴムは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
天然ゴム(NR)と上記別のジエン系ゴムとの組合せは、硬度がより高くなり耐外傷性により優れる、及び/又は、耐屈曲疲労性により優れる、低燃費性能(低発熱性)に優れるという観点から、NRとBRとSBRとの組合せが好ましい。
上記ジエン系ゴムとしてNRとBRとSBRとを組合せて使用する場合、
上記NRの含有量は、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、10~75質量部であることが好ましく、10~70質量部であることがより好ましく、25~60質量部が更に好ましい。
上記BRの含有量は、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、20~85質量部であることが好ましく、20~80質量部であることがより好ましく、30~70質量部が更に好ましい。
上記SBRの含有量は、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、5~70質量部であることが好ましく、5~50質量部であることがより好ましく、10~30質量部が更に好ましい。
<<カーボンブラックI>>
本発明の組成物は、窒素吸着比表面積(N2SA)が55~160m2/gであるカーボンブラックIを含有する。
本発明において、カーボンブラックIのN2SAが上記範囲であることによって、得られるゴムの硬度を高くでき、耐外傷性に優れる、及び/又は、低燃費性能(低発熱性)に優れる。
本発明において、カーボンブラックのN2SAは、JIS K 6217-2:2001「ゴム用カーボンブラック-基本特性-第2部:比表面積の求め方-窒素吸着法-単点法」に準じて測定された。
上記カーボンブラックIの窒素吸着比表面積は、硬度がより高くなり耐外傷性により優れる、及び/又は、耐屈曲疲労性により優れる、低燃費性能(低発熱性)に優れるという観点から、80~155m2/gであることが好ましい。
また、上記カーボンブラックIの窒素吸着比表面積は、硬度がより高くなり耐外傷性により優れる、及び/又は、耐屈曲疲労性により優れるという観点から、110~150m2/gがより好ましい。
上記カーボンブラックIとしては、例えば、
SAF(Super Abrasion Furnace)カーボンブラック、
ISAF(Intermediate Super Abrasion Furnace)カーボンブラック、
HAF(High Abrasion Furnace)カーボンブラックが挙げられる。
カーボンブラックIとして、例えば、窒素吸着比表面積が55m2/g以上110m2/g未満であるカーボンブラック1、窒素吸着比表面積が110m2/g以上160m2/g以下であるカーボンブラック2が挙げられる。
本発明の組成物がカーボンブラックIとしてカーボンブラック1を含有する場合、本発明の組成物は、硬度と低燃費性能(低発熱性)との両立性に優れる。
本発明の組成物がカーボンブラックIとしてカーボンブラック2を含有する場合、本発明の組成物は、硬度がより高くなり耐外傷性により優れる、及び/又は、耐屈曲疲労性により優れる。
<カーボンブラック1>
カーボンブラックIとしてのカーボンブラック1の窒素吸着比表面積は、硬度と低燃費性能(低発熱性)との両立性に優れるという観点から、55m2/g以上110m2/g未満であることが好ましく、60~100m2/gがより好ましい。
上記カーボンブラック1としては、例えば、HAFカーボンブラックが挙げられる。
<カーボンブラック2>
カーボンブラックIとしてのカーボンブラック2の窒素吸着比表面積は、硬度がより高くなり耐外傷性により優れる及び/又は耐屈曲疲労性により優れるという観点から、110m2/g以上160m2/g以下であることが好ましく、120~155m2/gがより好ましい。
上記カーボンブラック2としては、例えば、SAFカーボンブラック、ISAFカーボンブラックが挙げられる。
カーボンブラックIはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
カーボンブラックIを2種以上組み合わせて使用する場合、上記組合せとしては例えば、カーボンブラック1とカーボンブラック2との組合せが挙げられる。
カーボンブラックIは、硬度がより高くなり耐外傷性により優れる及び/又は耐屈曲疲労性により優れる、耐外傷性(ゴムの高硬度化)と耐屈曲疲労性と低燃費性能(低発熱性)とのバランスに優れるという観点から、カーボンブラック1とカーボンブラック2とを組合せて使用することが好ましい。
<<カーボンブラックIの含有量>>
本発明において、上記カーボンブラックIの含有量は、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、50質量部超80質量部以下である。超カーボンブラックIが上記カーボンブラック1及び2を併用する場合も同様である。なお、上記50質量部超は50質量部を超える量を意味する。
上記カーボンブラックIの含有量は、硬度がより高くなり耐外傷性により優れる及び/又は耐屈曲疲労性により優れる、低燃費性能(低発熱性)に優れるという観点から、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、55~75質量部であることが好ましく、55~70質量部がより好ましい。
(カーボンブラック2に対するカーボンブラック1の質量比)
上記カーボンブラックIが上記カーボンブラック1及び2を併用する場合、上記カーボンブラック2に対する上記カーボンブラック1の質量比(カーボンブラック1/カーボンブラック2)は、硬度がより高くなり耐外傷性により優れる及び/又は耐屈曲疲労性により優れる、耐外傷性(ゴムの高硬度化)と耐屈曲疲労性と低燃費性能(低発熱性)とのバランスに優れるという観点から、0.2~2.0であることが好ましく、0.3~1.4がより好ましい。
<<酸変性ポリオレフィン>>
本発明の組成物に含有される酸変性ポリオレフィンは、カルボン酸で変性されたポリオレフィンである。
本発明の組成物は、上記酸変性ポリオレフィンを含有することによって、低燃費性と耐外傷性(ゴムの高硬度化)のバランスに優れる。
酸変性ポリオレフィンの骨格は単独重合体、共重合体のいずれであってもよい。
酸変性ポリオレフィンの主鎖は、例えば、オレフィンから形成される繰り返し単位を有するポリオレフィンであることが好ましい態様の1つとして挙げられる。オレフィンとしては、例えば、エチレン;プロピレン、1-ブテン、1-オクテンのようなα-オレフィンが挙げられる。
(ポリオレフィン)
上記酸変性ポリオレフィンの骨格(主鎖)を構成するポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリオクテンなどの単独重合体;少なくとも2種のオレフィンから形成される共重合体が挙げられる。
なかでも、単独重合体が好ましく、ポリプロピレン、ポリエチレンがより好ましい。
ポリエチレンとしては、例えば、低密度から高密度のポリエチレンが挙げられる。なかでも高密度ポリエチレンが好ましい。酸変性ポリオレフィンの主鎖が高密度ポリエチレンである場合、このような酸変性ポリオレフィンの密度は940~980kg/m3が好ましい。なお本発明において酸変性ポリオレフィンの密度は、ASTM D1505に準じて測定された。
(カルボン酸)
一方、上述したポリオレフィンを変性するためのカルボン酸としては、例えば、不飽和カルボン酸が挙げられる。具体的には例えば、アクリル酸、メタアクリル酸のようなモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸のようなジカルボン酸;酸無水物などが挙げられる。酸無水物としては例えばジカルボン酸の無水物が挙げられる。
これらのうち、無水マレイン酸、マレイン酸、アクリル酸が好ましい。
酸変性ポリオレフィンは、酸無水物で変性されたポリオレフィンが好ましく、無水マレイン酸で変性されたポリオレフィンがより好ましい。
酸変性ポリオレフィンにおいて、カルボン酸が主鎖のどの位置に結合するかは特に制限されない。例えば、末端、側鎖が挙げられる。なかでもカルボン酸が側鎖として主鎖に結合することが好ましい。カルボン酸と主鎖とは直接又は有機基を介して結合することができる。有機基は特に制限されない。
酸変性ポリオレフィンは23℃で固体であることが好ましい態様の1つとして挙げられる。
酸変性ポリオレフィンの融点は、105~146℃であることが好ましく、110~145℃であることがより好ましい。
本発明において、酸変性ポリオレフィンの融点は、ASTM D2117に準じて測定された。
酸変性ポリオレフィンはその製造方法について特に制限されない。例えば従来公知のものが挙げられる。グラフト重合による製造方法が好ましい態様の1つとして挙げられる。
また酸変性ポリオレフィンとして市販品を用いることができる。
市販品としては、例えば、アドマーQE060(三井化学社製)などの無水マレイン酸変性ポリプロピレン;アドマーHE810(三井化学社製)などの無水マレイン酸変性高密度ポリエチレンが挙げられる。
酸変性ポリオレフィンはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
<<ポリアミドポリエーテルエラストマー>>
本発明の組成物に含有されるポリアミドポリエーテルエラストマーは、ハードセグメントとしてのポリアミドとソフトセグメントとしてのポリエーテルとを有するブロックコポリマーである。
本発明の組成物は上記ポリアミドポリエーテルエラストマーを含有することによって、低燃費性と耐外傷性(ゴムの高硬度化)のバランスに優れる。
ポリアミドポリエーテルエラストマーは、ポリアミドとポリエーテルとを有し、上記ポリアミドと上記ポリエーテルとが2価の連結基(例えば、アミド結合、エステル結合)で結合することが好ましい態様の1つとして挙げられる。
ポリアミドポリエーテルエラストマーとしては、例えば、下記式(1)で表される構造を有するものが挙げられる。
-[-CO-PA-CO-NH-PE-NH―]n― (1)
式中、PAはポリアミドであり、PEはポリエーテルであり、nは1又は2以上である。nの上限は、ポリアミドポリエーテルエラストマーの重量平均分子量に合わせて適宜選択することができる。nの上限は例えば500以下とすることができる。
上記ポリアミドポリエーテルエラストマーを構成できるポリアミドは特に制限されない。上記ポリアミドを構成し得るモノマーとしては、例えば、アミノカルボン酸、ラクタム、並びに、ジアミンとジカルボン酸から合成されるもの及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。上に例示されている各化合物は特に制限されない。
上記ポリアミドポリエーテルエラストマーを構成できるポリエーテルとしては、例えば、ポリオキシアルキレンポリオールが挙げられる。具体的には例えば、ポリオキシテトラメチレンジオール、ポリオキシプロピレンジオール、ポリオキシテトラメチレンオキシプロピレンジオールが挙げられる。上記ポリエーテルの末端がアミンで変性されていてもよい。
ポリアミドポリエーテルエラストマーの融点は、70~160℃であることが好ましく、90~150℃であることがより好ましい。
ポリアミドポリエーテルエラストマーの融点は、株式会社島津製作所製示差走査熱量計DSC-50を用いて窒素雰囲気下で測定した。室温から230℃まで10℃/minの速度で昇温し(昇温ファーストランと呼ぶ)、230℃で10分保持したのち、-100℃まで10℃/minの速度で降温し(降温ファーストランと呼ぶ)、次に230℃まで10℃/minの速度で昇温した(昇温セカンドランと呼ぶ)。得られたDSCチャートから降温ファーストランの発熱ピーク温度を結晶化温度(Tc)、昇温セカンドランの吸熱ピーク温度を融点(Tm)とした。
ポリアミドポリエーテルエラストマーはその製造方法について特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
ポリアミドポリエーテルエラストマーとして市販品を使用することができる。ポリアミドポリエーテルエラストマーの市販品としては、例えば宇部興産社製UBESTA XPAが挙げられる。
ポリアミドポリエーテルエラストマーはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
<<酸変性ポリオレフィンとポリアミドポリエーテルエラストマーとの合計含有量>>
本発明の組成物は、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、上記酸変性ポリオレフィンと上記ポリアミドポリエーテルエラストマーを合計で3~35質量部含有する。
なお、以下、上記酸変性ポリオレフィンと上記ポリアミドポリエーテルエラストマーとの合計の含有量を単に合計含有量と称する場合がある。
上記合計含有量は、硬度がより高くなり耐外傷性により優れる及び/又は耐屈曲疲労性により優れる、低燃費性能(低発熱性)に優れるという観点から、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、5~33質量部であることが好ましく、8~25質量部であることがより好ましい。
上記合計含有量中の上記ポリアミドポリエーテルエラストマーの含有量は、20~90質量%であることが好ましく、25~80質量%であることがより好ましい。
上記合計含有量中の上記酸変性ポリオレフィンの含有量は、10~80質量%であることが好ましく、20~75質量%であることがより好ましい。
<<硫黄>>
本発明の組成物に含有される硫黄は特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
<<硫黄の含有量>>
本発明において、硫黄の含有量は、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、1.6~3.6質量部である。
硫黄の含有量が上記範囲であることによって、硬度が高くなり耐外傷性に優れる、及び/又は、耐屈曲疲労性に優れる。
上記硫黄の含有量は、硬度がより高くなり耐外傷性により優れる及び/又は耐屈曲疲労性により優れる、低燃費性能(低発熱性)に優れるという観点から、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、1.6~3.2質量部であることが好ましく、1.8~3.0質量部であることがより好ましく、1.9~2.5質量部がより好ましい。
また、上記硫黄の含有量は、耐屈曲疲労性により優れるという観点から、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、1.6質量部以上3.0質量部未満であることが好ましい。
<<加硫促進剤>>
本発明の組成物は加硫促進剤を含有する。
上記加硫促進剤は特に制限されない。例えば、加硫促進剤としては例えば、チウラム系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤、アルキルフェニルジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤が挙げられる。
なかでも、スルフェンアミド系加硫促進剤が好ましい態様の1つとして挙げられる。
上記スルフェンアミド系加硫促進剤としては、例えば、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミドのようなN-鎖状アルキル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド;
N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミドのようなN-シクロアルキル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド;
N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミドのようなモルホリン環を有するベンゾチアゾリルスルフェンアミドが挙げられる。
なかでも、硬度がより高くなり耐外傷性により優れる及び/又は耐屈曲疲労性により優れるという観点から、N-鎖状アルキル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミドが好ましく、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミドがより好ましい。
<<加硫促進剤に対する硫黄の質量比>>
本発明において、上記加硫促進剤に対する上記硫黄の質量比(上記質量比を単に「硫黄/加硫促進剤」と称する場合がある。)は、1.1~3.0である。本発明は、上記質量比が上記範囲であることによって、硬度が高くなり耐外傷性に優れる、及び/又は、耐屈曲疲労性に優れる。
上記質量比は、硬度がより高くなり耐外傷性により優れる及び/又は耐屈曲疲労性により優れる、低燃費性能(低発熱性)に優れるという観点から、1.3~2.8であることが好ましく、1.5~2.5がより好ましく、1.8~2.5が更に好ましく、2.0超(2.0を超える値)2.5以下が特に好ましい。
(添加剤)
本発明の組成物は目的、効果を損なわない範囲で必要に応じて更に添加剤を含有することができる。添加剤としては、例えば、上記カーボンブラックI以外の充填剤、上記硫黄以外の加硫剤、架橋剤、酸化亜鉛、ステアリン酸のような加硫促進助剤、加硫遅延剤、オイル、ワックス、老化防止剤、可塑剤などのゴム組成物に一般的に配合されうるものが挙げられる。添加剤の含有量は適宜選択することができる。
本発明の組成物は再生ポリエチレンテレフタレートを実質的に含有しないことが好ましい態様の1つとして挙げられる。再生ポリエチレンテレフタレートとしては、例えば、未使用又は使用済みのポリエチレンテレフタレート製の成形品を微粒子化した粉末が挙げられる。再生ポリエチレンテレフタレートを実質的に含有しないとは、再生ポリエチレンテレフタレートの含有量が、本発明の組成物全体100質量部に対して、0~0.1質量部であることを意味する。上記再生ポリエチレンテレフタレートの含有量が本発明の組成物全体に対して0質量部であることが好ましい。
本発明の組成物の製造方法としては、例えば、まず、天然ゴムを含むジエン系ゴムと、カーボンブラックIと、酸変性ポリオレフィンと、ポリアミドポリエーテルエラストマーと、必要に応じて使用することができる添加剤とを、酸変性ポリオレフィン及びポリアミドポリエーテルエラストマーの融点以上の温度で混合し、これに硫黄及び加硫促進剤を加えて更に混合することによって、本発明の組成物を製造する方法が挙げられる。硫黄及び加硫促進剤を加えた後混合する際の温度を、酸変性ポリオレフィン及びポリアミドポリエーテルエラストマーの融点以上の温度とできる。
上記成分を混合する温度は、酸変性ポリオレフィン及びポリアミドポリエーテルエラストマーの融点以上の温度であることが好ましい。具体的には例えば、50~170℃とすることができる。
上記成分を混合する際に使用される装置は特に制限されない。例えば従来公知のものが挙げられる。
本発明の組成物は例えば従来公知の加硫または架橋条件で加硫または架橋することができる。
本発明の組成物の用途としては、例えば、空気入りタイヤが挙げられる。本発明の組成物を用いて空気入りタイヤを形成する場合、空気入りタイヤのいずれの構成部材を本発明の組成物で形成するかは特に制限されない。上記構成部材としては、例えば、タイヤトレッド部、サイドウォール部、ビードフィラーが挙げられる。なかでもサイドウォール部が好ましい。
[空気入りタイヤ]
本発明の空気入りタイヤは、上述した本発明の組成物を用いて形成された空気入りタイヤである。
本発明の空気入りタイヤに使用されるゴム組成物は、本発明の組成物であれば特に制限されない。
上記ゴム組成物で形成できる、空気入りタイヤの構成部材は特に制限されない。上記構成部材としては例えば、タイヤトレッド部、サイドウォール部、ビードフィラーが挙げられる。
本発明の空気入りタイヤは、本発明の組成物で形成されたサイドウォール部を有することが好ましい。
図1に、本発明の空気入りタイヤの実施態様の一例を表すタイヤの部分断面概略図を示す。なお本発明は添付の図面に限定されない。
図1において、空気入りタイヤは、ビード部1、サイドウォール部2及びタイヤトレッド部3を有する。左右一対のビード部1間においては、繊維コードが埋設されたカーカス層4が装架されており、カーカス層4の端部はビードコア5及びビードフィラー6の廻りにタイヤ内側から外側に折り返されて巻き上げられている。タイヤトレッド部3においては、カーカス層4の外側に、ベルト層7がタイヤ1周に亘って配置されている。ビード部1においては、リムに接する部分にリムクッション8が配置されている。
サイドウォール部2において、カーカス層4の外側に配置されるサイドゴム層G(サイドウォール部2の外側斜線部)の、タイヤ最大幅位置Pmaxでの厚さtは1.0mm~2.0mmとできる。
本発明において、厚さtが上記範囲である場合、サイドウォール部2は薄肉化されているものとする。厚さtが上記範囲である場合、サイドウォール部2の薄肉化により軽量化及び低燃費性能(低発熱性)に優れる。
上記ゴム組成物(本発明の組成物)を用いてサイドゴム層Gを形成することが好ましい態様の1つとして挙げられる。
本発明の空気入りタイヤは、例えば、従来公知の方法に従って製造することができる。また、空気入りタイヤに充填する気体としては、通常の又は酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスを用いることができる。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし本発明はこれらに限定されない。
<組成物の製造>
下記各表の各成分を同表に示す組成(質量部)で用いた。
まず、下記各表に示された成分のうち、加硫系成分(硫黄及び加硫促進剤)を除く各成分を接線式ミキサーで3分間混合して混合物を得た。次に、上記のとおり得られた混合物に上記加硫系成分を加え、これらをオープンロールで混合し、組成物を製造した。
<空気入りタイヤの製造>
タイヤサイズが205/55R16であり、図1に示す基本構造を有し、サイドゴム層G(タイヤ最大幅位置Pmaxでの厚さt2.0mm)を構成する組成物として、上記のとおり製造された各組成物を用いて、各空気入りタイヤを製造した。
<評価>
上記のとおり製造された組成物又は空気入りタイヤを用いて以下の評価を行った。結果を下記各表に示す。
(耐外傷性)
上記のとおり製造された各空気入りタイヤを、正規リムにリム組みし、空気圧230kPaとして排気量1600ccの試験車両に装着した。
次に、上記試験車両を所定の走行速度で走行させて、装着された空気入りタイヤを高さ15cmの縁石に対して30°の角度で乗り上げて、縁石を乗り越しさせた。
上記走行速度を、走行ごとに、10km/hから5km/h刻みで増加させ、縁石の乗り上げから乗り越しに際し、空気入りタイヤがバーストしたとき、又は、空気入りタイヤにエア漏れが発生したときの速度を測定した。
結果を、比較例1の値を100とする指数で示した。
上記指数が大きいほど耐外傷性に優れることを意味する。
本発明において、上記指数が100以上である場合、耐外傷性に優れるものとする。
(加硫ゴム試験片の調製)
上記のとおり製造された各組成物を所定の金型中で160℃、20分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を得た。
(硬度)
上記のとおり調製された各加硫ゴム試験片の硬度を、JIS K6253に基づき、20℃の条件下において測定した。
結果を、比較例1の値を100とする指数で示した。
本発明において、上記指数が95以上である場合、得られたゴムの硬度が高いものとする。
(耐屈曲疲労性)
上記のとおり調製された各加硫ゴム試験片からJIS 3号ダンベル状サンプル(厚さ2mm)を打ち抜き、JIS K6260:2010に準拠し、デマチャ屈曲試験により、上記サンプルに室温で毎分300回の屈曲を加え、上記サンプルが破断するまでの屈曲回数を測定した。
結果を、比較例1の値を100とする指数で示した。
上記指数が大きいほど耐屈曲疲労性が優れることを示す。
本発明において、上記指数が100を超える場合、耐屈曲疲労性に優れるものとする。
(tanδ60℃)
上記のとおり調製された各加硫ゴム試験片のtanδ60℃を、岩本製作所(株)製の粘弾性スペクトロメーターを用い、伸張変形歪率10±2%、振動数20Hz、温度60℃の条件下にて、測定した。
結果を、比較例1の値を100とする指数で示した。
上記指数が小さいほど低燃費性能(低発熱性)に優れることを示す。
本発明において、上記指数が105以下である場合、低燃費性能(低発熱性)に優れるものとする。
Figure 0007003569000001
Figure 0007003569000002
上記各表に示した各成分の詳細は以下のとおりである。
・NR:天然ゴム、PT.NURISA製SIR20
・BR:ブタジエンゴム、日本ゼオン社製Nipol BR1220、重量平均分子量400,000
・SBR:スチレンブタジエンゴム、日本ゼオン社製(商品名)NIPOL1502、重量平均分子量45万
・CB(SAF):SAFカーボンブラック、東海カーボン社製(商品名)シースト9、N2SA142m2/g
・CB(HAF):HAFカーボンブラック、東海カーボン社製(商品名)シーストKH、N2SA93m2/g
・CB(FEF):FEFカーボンブラック、昭和キャボット社製ショウブラックN550、N2SA42m2/g
・ポリアミドポリエーテルエラストマー:ポリアミドポリエーテルエラストマー、宇部興産社製UBESTA XPA 9040X1、融点130℃
・酸変性ポリオレフィン:無水マレイン酸変性ポリエチレン、三井化学社製アドマー HE810。主鎖はエチレンの単独重合体であり、無水マレイン酸によって変性されている。無水マレイン酸は上記主鎖に側鎖として結合する。融点130℃、密度960kg/m3
・酸化亜鉛:正同化学工業社製酸化亜鉛3種
・ステアリン酸:千葉脂肪酸社製ビーズステアリン酸
・ワックス:日本精鑞社製(商品名)オゾエース0015
・老化防止剤:バイエル社製VULKANOX4020
・アロマオイル:昭和シェル石油社製(商品名)エキストラクト4号S
・硫黄:鶴見化学工業社製金華印微粉硫黄150mesh
・加硫促進剤:大内新興化学工業社製ノクセラーNS-P。N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド。
第1表に示す結果から明らかなように、硫黄/加硫促進剤が所定の範囲未満である比較例1は、耐屈曲疲労性が低かった。
硫黄/加硫促進剤が所定の範囲を超える比較例2は、耐外傷性及び硬度が低かった。
硫黄の含有量が所定の範囲未満である比較例3、6は、耐外傷性及び硬度が低かった。
硫黄の含有量が所定の範囲を超える比較例4は、耐屈曲疲労性が低かった。
酸変性ポリオレフィン及びポリアミドポリエーテルエラストマーを含有しない比較例5、9、10は、耐外傷性及び硬度が低かった。なお、比較例5、9、10の耐外傷性の効果は同等であった。
所定のカーボンブラックIを含有せず、代わりに、窒素吸着比表面積が異なるカーボンブラックを含有する比較例7は、耐外傷性及び硬度が低かった。
所定のカーボンブラックIを含有せず、代わりに、窒素吸着比表面積が異なるカーボンブラックを含有し、硫黄の含有量が所定の範囲未満である比較例8は、耐外傷性及び硬度が低かった。
これらに対して、本発明の組成物及び本発明の空気入りタイヤは、耐外傷性(ゴムの高硬度化)及び耐屈曲疲労性に優れた。また、本発明の組成物及び本発明の空気入りタイヤは、低燃費性能(低発熱性)に優れた。
第2表に示した、比較例1、8、6、実施例3は、第1表と同様である。
比較例11は、所定のカーボンブラックIを含有せず、代わりに、窒素吸着比表面積が異なるカーボンブラックを含有する。なお、比較例11は、ゴム配合、硫黄及び加硫促進剤の含有量、並びに、硫黄/加硫促進剤の質量比以外は比較例8と同様である。
比較例6は、ゴム配合及びカーボンブラック以外は比較例8と同様である。
比較例8、11、6及び実施例3との関係において、本発明の耐外傷性の指数が下記式(1)に当てはまる場合、式(1)は、本発明が、所定のカーボンブラックIを含有せず、硫黄の含有量が所定の範囲を満たさない場合(比較例8)を基準にして、硫黄の含有量が所定の範囲を満たす場合(比較例11)による効果及び所定のカーボンブラックIを特定量で含有する場合(比較例6)による効果の合算よりも、耐外傷性の効果の上昇をより高くできることを意味する。
硬度、耐屈曲疲労性についても同様である。
X1-X4>(X2-X4)+(X3-X4)
X1>X2+X3-X4 (1)
X1:本発明の評価結果の指数(実施例3)
X2:比較例11の評価結果の指数
X3:比較例6の評価結果の指数
X4:比較例8の評価結果の指数
耐外傷性について、X2+X3-X4は95ポイントであったので、実施例3は、耐外傷性について、上記式(1)を満たす。
硬度について、X2+X3-X4は99ポイントであったので、実施例3は、硬度について、上記式(1)を満たす。
したがって、本発明は、硫黄の含有量が所定の範囲を満たす場合による効果及び所定のカーボンブラックIを特定量で含有する場合による効果の合算よりも、耐外傷性及び硬度の効果をより上昇させることができ、耐外傷性又はゴムの高硬度化に優れる。
1 ビード部
2 サイドウォール部
3 タイヤトレッド部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 リムクッション
G サイドゴム層
Pmax タイヤ最大幅位置
t 厚さ

Claims (5)

  1. 天然ゴムを含むジエン系ゴム100質量部に対して、
    窒素吸着比表面積が55~160m2/gであるカーボンブラックIを50質量部超80質量部以下、
    酸変性ポリオレフィン及びポリアミドポリエーテルエラストマーを合計で3~35質量部、
    硫黄を1.6~3.6質量部、並びに、
    加硫促進剤を含有し、
    前記加硫促進剤に対する前記硫黄の質量比(硫黄/加硫促進剤)が1.1~3.0であ
    前記酸変性ポリオレフィン及び前記ポリアミドポリエーテルエラストマーの合計含有量中における、前記酸変性ポリオレフィンの含有量が10~80質量%であり、前記ポリアミドポリエーテルエラストマーの含有量が20~90質量%である、タイヤ用ゴム組成物。
  2. 前記カーボンブラックIが、窒素吸着比表面積が55m2/g以上110m2/g未満であるカーボンブラック1、及び、窒素吸着比表面積が110m2/g以上160m2/g以下であるカーボンブラック2のうちのいずれか又は両方を含む、請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  3. 前記カーボンブラックIが、前記カーボンブラック1及び前記カーボンブラック2を含み、
    前記カーボンブラック2に対する前記カーボンブラック1の質量比(カーボンブラック1/カーボンブラック2)が、0.2~2.0である、請求項2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  4. 前記加硫促進剤に対する前記硫黄の質量比が、2.0超2.5以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物を用いて形成された空気入りタイヤ。
JP2017206586A 2017-10-25 2017-10-25 タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ Active JP7003569B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017206586A JP7003569B2 (ja) 2017-10-25 2017-10-25 タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017206586A JP7003569B2 (ja) 2017-10-25 2017-10-25 タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019077809A JP2019077809A (ja) 2019-05-23
JP7003569B2 true JP7003569B2 (ja) 2022-01-20

Family

ID=66628310

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017206586A Active JP7003569B2 (ja) 2017-10-25 2017-10-25 タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7003569B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7271932B2 (ja) * 2018-12-18 2023-05-12 住友ゴム工業株式会社 テニスボール用ゴム組成物
CN115216068A (zh) * 2022-09-20 2022-10-21 广东粤港澳大湾区黄埔材料研究院 一种航空轮胎三角胶及其制备方法

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005133017A (ja) 2003-10-31 2005-05-26 Yokohama Rubber Co Ltd:The サイドウォール用ゴム組成物
WO2009093695A1 (ja) 2008-01-23 2009-07-30 Ube Industries, Ltd. ゴム組成物、ベーストレッド用ゴム組成物、チェーファー用ゴム組成物、及びサイドウォール用ゴム組成物、並びにそれらを用いたタイヤ
US20100056670A1 (en) 2008-08-29 2010-03-04 Junling Zhao Tire compounds with improved tear, flex fatigue, and ozone resistance
JP2010155508A (ja) 2008-12-26 2010-07-15 Sumitomo Rubber Ind Ltd クッション用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ
JP2011021085A (ja) 2009-07-15 2011-02-03 Yokohama Rubber Co Ltd:The 空気入りタイヤ用ゴム組成物
JP2011046299A (ja) 2009-08-27 2011-03-10 Yokohama Rubber Co Ltd:The 空気入りタイヤ
JP2012046019A (ja) 2010-08-25 2012-03-08 Bridgestone Corp タイヤ
WO2016143667A1 (ja) 2015-03-06 2016-09-15 横浜ゴム株式会社 ゴム組成物及びこれを用いる空気入りタイヤ

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2593994B2 (ja) * 1992-02-03 1997-03-26 住友ゴム工業株式会社 タイヤ用ゴム組成物
JP3375424B2 (ja) * 1994-08-12 2003-02-10 横浜ゴム株式会社 空気入りタイヤ
JPH11147404A (ja) * 1997-09-10 1999-06-02 Bridgestone Corp 航空機用空気入りタイヤ

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005133017A (ja) 2003-10-31 2005-05-26 Yokohama Rubber Co Ltd:The サイドウォール用ゴム組成物
WO2009093695A1 (ja) 2008-01-23 2009-07-30 Ube Industries, Ltd. ゴム組成物、ベーストレッド用ゴム組成物、チェーファー用ゴム組成物、及びサイドウォール用ゴム組成物、並びにそれらを用いたタイヤ
US20100056670A1 (en) 2008-08-29 2010-03-04 Junling Zhao Tire compounds with improved tear, flex fatigue, and ozone resistance
JP2010155508A (ja) 2008-12-26 2010-07-15 Sumitomo Rubber Ind Ltd クッション用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ
JP2011021085A (ja) 2009-07-15 2011-02-03 Yokohama Rubber Co Ltd:The 空気入りタイヤ用ゴム組成物
JP2011046299A (ja) 2009-08-27 2011-03-10 Yokohama Rubber Co Ltd:The 空気入りタイヤ
JP2012046019A (ja) 2010-08-25 2012-03-08 Bridgestone Corp タイヤ
WO2016143667A1 (ja) 2015-03-06 2016-09-15 横浜ゴム株式会社 ゴム組成物及びこれを用いる空気入りタイヤ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019077809A (ja) 2019-05-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5132133B2 (ja) インナーライナー用ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP5431640B2 (ja) サイドウォール用ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP4405928B2 (ja) ベーストレッド用ゴム組成物
JP2008111014A (ja) タイヤベーストレッド用ゴム組成物
JP2007119582A (ja) 空気入りタイヤ
JP2008111012A (ja) タイヤキャップトレッド用ゴム組成物
JP7003569B2 (ja) タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP4102143B2 (ja) タイヤ用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ
US20180057675A1 (en) Rubber Composition, and Pneumatic Tire Using Same
JP2006063285A (ja) タイヤサイドウォール用ゴム組成物および空気入りタイヤ
JP2008120940A (ja) 空気入りタイヤ
JP6350508B2 (ja) ゴム組成物、その製造方法及び空気入りタイヤ
JP2011116819A (ja) タイヤ下ビードフィラー用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ
WO2017111019A1 (ja) ゴム組成物、その製造方法及び空気入りタイヤ
JP4882064B2 (ja) チェーファー用ゴム組成物およびそれからなるチェーファーを有するタイヤ
JP2011157495A (ja) タイヤリムクッション用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ
JP2010150324A (ja) タイヤ
US10723176B2 (en) Rubber composition for sidewalls, and pneumatic tire using same
JPH11100463A (ja) 空気入りタイヤ
JP7360021B2 (ja) 重荷重用空気入りタイヤ
JP7368698B2 (ja) 重荷重用空気入りタイヤ
JP7457230B2 (ja) 重荷重用空気入りタイヤ
WO2023223593A1 (ja) リムクッション用ゴム組成物
JP7287193B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP6350509B2 (ja) ゴム組成物、その製造方法及び空気入りタイヤ

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20200709

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201016

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210616

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210629

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210820

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20211130

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20211213

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7003569

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350