JP2012046019A - タイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】樹脂材料を用いて形成され、好適な範囲の弾性率が得られ且つ転がり抵抗の増大を抑制することができるタイヤを提供する。
【解決手段】少なくとも熱可塑性エラストマーと、前記熱可塑性エラストマー以外であってガラス転移温が20℃以下で弾性率が前記熱可塑性エラストマーの弾性率より大きい樹脂と、を含む樹脂材料で形成された環状のタイヤケース17と、樹脂材料よりも剛性が高く、タイヤケース17の外周部に螺旋状に巻回されると共に、タイヤケース17の軸方向に沿った断面視で外周部に少なくとも一部が埋設され樹脂材料に密着した補強コード26と、この補強コード26によって形成された補強コード層28の径方向外側に設けられるトレッド30と、をタイヤ10が有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、リムに装着されるタイヤにかかり、特に、少なくとも一部が熱可塑性材料で形成されたタイヤに関する。
従来、乗用車等の車両には、ゴム、有機繊維材料、スチール部材などから構成された空気入りタイヤが用いられている。
近年では、軽量化や、成形の容易さ、リサイクルのしやすさから、樹脂材料、特に熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーなどをタイヤ材料として用いることが検討されている。
例えば、特許文献1および特許文献2には、熱可塑性の高分子材料を用いて成形された空気入りタイヤが開示されている。
特開2003−104008号公報 特開平03−143701号公報
熱可塑性の高分子材料を用いたタイヤは、ゴム製の従来タイヤと比べて、製造が容易で且つ低コストである。しかし、タイヤ骨格体がカーカスプライなどの補強部材を内装しない均一な熱可塑性高分子材料で形成されている場合には、ゴム製の従来タイヤと比べて耐応力、耐内圧等の観点で改良の余地がある。
また、熱可塑性の高分子材料を用いてタイヤを製造する場合、製造効率を高め低コストを実現しつつ従来のゴム製タイヤと比して遜色のない性能を実現することが求められる。
本発明は、上記事情を踏まえ、樹脂材料を用いて形成され、好適な範囲の弾性率が得られ且つ転がり抵抗の増大を抑制することができるタイヤを提供することを目的とする。
(1)本発明のタイヤは、少なくとも樹脂材料で形成される環状のタイヤ骨格体を有するタイヤであって、前記樹脂材料が、少なくとも熱可塑性エラストマーと、前記熱可塑性エラストマー以外であってガラス転移温度が20℃以下で弾性率が前記熱可塑性エラストマーの弾性率より大きい樹脂と、を含む。
ここで、「熱可塑性エラストマー」とは、分子中にハードセグメントおよびソフトセグメントを有する樹脂材料であるが、詳細には、弾性を有する高分子化合物であって、結晶性で融点の高いハードセグメントもしくは物理的な凝集によって疑似架橋を形成しているハードセグメントを構成するポリマーと、非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを構成するポリマーとを有する共重合体からなる樹脂材料をいう。
また、本発明における「樹脂」は、熱可塑性または熱硬化性を有する樹脂を意味し、従来の天然ゴムや合成ゴム等の加硫ゴムは含まない。熱可塑性エラストマーもまた、従来の天然ゴムや合成ゴム等の加硫ゴムを包含しない。
以下、熱可塑性エラストマー以外であってガラス転移温度が20℃以下で弾性率が前記熱可塑性エラストマーの弾性率より大きい樹脂を、単に「特定樹脂」とも称する。
樹脂材料が、熱可塑性エラストマーに加えて更にガラス転移温度が上記範囲の特定樹脂を含むことにより、転がり抵抗の増大を抑制できる。
ところで、熱可塑性エラストマーのみで構成される樹脂材料を用いて形成されるタイヤは、当該樹脂材料の弾性率が上がるほど、タイヤの変形で発生するヒステリシスロスによる損失エネルギーが大きくなるため、転がり抵抗が大きく、エネルギー損失(発熱)も大きくなる傾向にある。タイヤの転がり抵抗は、タイヤを構成する材料の損失正接(tanδ)から把握することができ、例えば、タイヤの転がり抵抗が大きいほど、タイヤを構成する材料のtanδが大きくなる傾向にある。
尚、タイヤの転がり抵抗は、50℃付近の10Hz〜100Hz前後の振動で生じる為、タイヤについて粘弾性の測定を行うとすると、30℃〜50℃のtanδで転がり抵抗の大小を表すことができる。
熱可塑性エラストマーのみで構成される樹脂材料を用いて形成されるタイヤは、熱可塑性エラストマーのハードセグメント領域の数を多くして、弾性率を大きくした場合に、損失正接(tanδ)が大きくなる傾向がある。具体的には、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、もしくはポリエステル系熱可塑性エラストマーのハードセグメントとソフトセグメントの比率を変えて、弾性率を大きくした場合、粘弾性測定に熱可塑性エラストマーのtanδのピークは高温側にシフトし、30℃〜50℃におけるtanδが大きくなる傾向にある。樹脂材料の損失正接(tanδ)が大きくなると、タイヤが転動する際の変形で発生するエネルギー損失(発熱)が大きくなり、転がり抵抗が大きくなる傾向にある。その為に、かかる樹脂材料を原料とするタイヤを用いた自動車は、燃費が大きくなり易い。
つまり、熱可塑性エラストマーのみで構成される樹脂材料を用いて形成されるタイヤは、タイヤの耐変形性等を向上する目的で当該樹脂材料の弾性率を上げると、同時に樹脂材料のtanδも上がってしまうため、転がり抵抗の低減を実現しにくかった。
これに対して、上記構成の樹脂材料を用いてタイヤ骨格体とし、タイヤを形成することで、樹脂材料は所望の弾性率を有し且つtanδを低く抑えることができる。その結果、本発明においては、好適な弾性率が得られると共に、タイヤの転がり抵抗の低減を実現できるものと考えられる。
(2)本発明のタイヤは、前記樹脂(特定樹脂)が、酸変性樹脂であるように構成することができる。
このように、樹脂材料が熱可塑性エラストマーと酸変性された特定樹脂とを含有する場合、熱可塑性エラストマーで構成される海相と、酸変性樹脂で構成される島相とを有する海島構造、もしくは熱可塑性エラストマー内に特定樹脂が分散した構造となる。海相と島相との相界面もしくは熱可塑性エラストマーと特定樹脂との相界面の相互作用が弱いと、樹脂材料の流動性が増し、射出成形性に優れる。酸変性樹脂は、分子内に酸変性部位を有するため、酸変性されていない樹脂に比べ、熱可塑性エラストマーとの相互作用が強い。
一方、海島構造において、酸変性されている樹脂の酸価が高いほど島相が小さく、酸価が低いほど島相が大きくなる傾向にある。
(3)本発明のタイヤは、上記(2)の構成において、前記酸変性樹脂が、酸変性ポリオレフィン樹脂(例えば、酸変性ポリプロピレン、酸変性ポリエチレン、酸変性されたエチレン−プロピレン共重合体、およびエチレン−酢酸ビニル共重合体)であるように構成することができる。
このように、特定樹脂が、上記のものであることにより、タイヤ性能としての引張弾性、破断強度等の引張り特性を向上することができる。
(4)本発明のタイヤは、上記(2)または(3)の構成において、前記樹脂材料が、更に前記熱可塑性エラストマー以外であって酸変性されていない樹脂を含むように構成することができる。
このように、樹脂材料が、熱可塑性エラストマーと、酸変性された特定樹脂と、更に酸変性されていない樹脂と、を含有することにより、酸価を調整でき、流動性を抑えつつ、引張弾性、破断強度等の引張り特性を向上することができ、射出成形性に優れる。
(5)本発明のタイヤは、上記(4)の構成において、前記酸変性されていない樹脂が、ポリオレフィン樹脂(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、およびエチレン−プロピレン共重合体)から選ばれる少なくとも一種であるように構成することができる。
このように、酸変性されていない樹脂が上記のものであることにより、酸変性樹脂と相溶することで、タイヤ製造時の射出成形を向上することができる。
尚、上記酸変性されていない樹脂は、併用される酸変性樹脂と同種の樹脂であることが好ましい。ここで言う「同種」とは、両者の樹脂の主鎖を構成する骨格同士が共通する骨格を備えていることを意味し、例えば酸変性ポリプロピレンに対してはポリプロピレン、酸変性ポリエチレンに対してはポリエチレンが該当する。
(6)本発明のタイヤは、前記樹脂(特定樹脂)が、酸変性されていない樹脂であるように構成することができる。
(7)本発明のタイヤは、上記(6)の構成において、前記酸変性されていない樹脂が、ポリオレフィン樹脂(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体)から選ばれる少なくとも一種であるように構成することができる。
(8)本発明のタイヤは、前記熱可塑性エラストマーが、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマーおよびポリウレタン系熱可塑性エラストマーから選ばれる少なくとも一種であるように構成することができる。
ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーは、耐熱性を有するとともに、引張弾性率、引張強度および破断ひずみに優れるという利点がある。更に、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーおよびポリスチレン系熱可塑性エラストマーから選ばれる少なくとも一種を含む樹脂材料をタイヤ骨格体に用いると、従来のゴム製タイヤに比してタイヤの構造を簡素化でき、結果タイヤの軽量化を実現することが可能となる。このため、タイヤ骨格体として形成した場合に、かかる樹脂材料を原料とするタイヤを用いた自動車は、燃費がよくなる。
以上説明したように、本発明によれば、樹脂材料を用いて形成され、好適な範囲の弾性率が得られ且つ転がり抵抗の増大を抑制することができるタイヤを提供することができる。
(A)は本発明の一実施形態に係るタイヤの一部の断面を示す斜視図であり、(B)は、リムに装着したビード部の断面図である。 第1実施形態のタイヤのタイヤケースのクラウン部に補強コードが埋設された状態を示すタイヤ回転軸に沿った断面図である。 コード加熱装置、及びローラ類を用いてタイヤケースのクラウン部に補強コードを埋設する動作を説明するための説明図である。 他の実施形態に係るタイヤの断面図である。 (A)は本発明の一実施形態に係るタイヤのタイヤ幅方向に沿った断面図である。(B)はタイヤにリムを嵌合させた状態のビード部のタイヤ幅方向に沿った断面の拡大図である。 第2実施形態のタイヤの補強層の周囲を示すタイヤ幅方向に沿った断面図である。
まず、本発明におけるタイヤ骨格体を構成する樹脂材料について説明し、続いて本発明のタイヤの具体的な実施形態について図を用いて説明する。
[樹脂材料]
本発明のタイヤは、少なくとも樹脂材料で形成される環状のタイヤ骨格体を有するタイヤであって、前記樹脂材料が、少なくとも熱可塑性エラストマーと、前記熱可塑性エラストマー以外であってガラス転移温度が20℃以下であって、弾性率が前記熱可塑性エラストマーの弾性率より大きい樹脂と、を含む。
タイヤを形成する環状のタイヤ骨格体を構成する樹脂材料として、熱可塑性エラストマーと、熱可塑性エラストマー以外であって、ガラス転移温度が上記範囲である樹脂(特定樹脂)との組合せを適用することで、好適な範囲の弾性率が得られると共に、タイヤの転がり抵抗を上がりにくくすることができる。
以下、熱可塑性エラストマーおよび特定樹脂について説明する。
〔熱可塑性エラストマー〕
「熱可塑性エラストマー」とは、既述のように、分子中にハードセグメントおよびソフトセグメントを有する樹脂材料であり、詳細には、弾性を有する高分子化合物であって、結晶性で融点の高いハードセグメントもしくは物理的な凝集によって疑似架橋を形成しているハードセグメントを構成するポリマーと、非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを構成するポリマーとを有する共重合体からなる樹脂材料をいう。なお、熱可塑性エラストマーには、従来の天然ゴムや合成ゴム等の加硫ゴムは包含されない。
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
(ポリアミド系熱可塑性エラストマー)
「ポリアミド系熱可塑性エラストマー」とは、弾性を有する高分子化合物であり、結晶性で融点の高いハードセグメントを構成するポリマーと、非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを構成するポリマーとを有する共重合体からなる樹脂材料であって、ハードセグメントを構成するポリマーの主鎖にアミド結合(−CONH−)を有するものをいう。ポリアミド系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、JIS K6418:2007に規定されるアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)等や、特開2004−346273号公報に記載のポリアミド系熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。
ポリアミド系熱可塑性エラストマーとしては、特に限定されるものではないが、結晶性のポリアミドが融点の高いハードセグメントを構成し、非晶性のポリマーがガラス転移温度の低いソフトセグメントを構成している共重合体が挙げられる。
ハードセグメントを形成する結晶性のポリアミドとしては、ポリカプラミド(ナイロン−6)、ポリ−ω−アミノヘプタン酸(ナイロン−7)、ポリ−ω−アミノノナン酸(ナイロン−9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン−11)、ポリラウリルラクタム(ナイロン−12)、ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン−2,6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン−4,6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン−6,6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン−6,10)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン−6,12)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン−8,6)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン−10,8)等の脂肪族ポリアミド、メタキシレンジアミン、パラキシレンジアミン等の芳香族ジアミンと、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等のジカルボン酸またはその誘導体との重縮合反応で得られる結晶性芳香族ポリアミド等が挙げられる。
中でも、ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−12等が好ましく、ナイロン−12がより好ましい。
ソフトセグメントを形成するポリマーとしては、例えば、ポリメチレンおよび脂肪族ポリエーテルから選択されたポリマーが挙げられる。
脂肪族ポリエーテルとしては、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体等が挙げられる。
前記ハードセグメントを構成するポリマー(ポリアミド)の数平均分子量としては、溶融成形性の観点から、300〜15000が好ましい。また、前記ソフトセグメントを構成するポリマーの数平均分子量としては、強靱性および低温柔軟性の観点から、200〜6000が好ましい。更に、前記ハードセグメント(x)およびソフトセグメント(y)の質量比(x:y)は、成形性の観点から、50:50〜90:10が好ましく、50:50〜80:20が更に好ましい。
ポリアミド系熱可塑性エラストマーは、上記ハードセグメントを形成するポリマーおよびソフトセグメントを形成するポリマーを公知の方法によって共重合することで合成することができる。
上記のようなポリアミド系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、市販品の宇部興産(株)の「UBESTA、XPA」シリーズ(例えば、XPA9063X1、XPA9055X1、XPA9048X2、XPA9048X1、XPA6040X1、XPA9040X2等)、ダイセル・エポニック(株)の「べスタミド」シリーズ(例えば、E40−S3、E47−S1、E47−S3、E55−S1、E55−S3、EX9200、E50−R2)等を用いることができる。
(ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー)
「ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー」とは、少なくともポリオレフィンが結晶性で融点の高いハードセグメントを構成し、他のポリマー(例えば、前記ポリオレフィンないし他のポリオレフィン)が非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを構成している材料が挙げられる。前記ハードセグメントを形成するポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレン、ポリブテン等が挙げられる。
ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、特に限定されるものではないが、結晶性のポリオレフィンが融点の高いハードセグメントを構成し、非晶性のポリマーがガラス転移温度の低いソフトセグメントを構成している共重合体が挙げられる。
前記ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、オレフィン−α−オレフィンランダム共重合体、オレフィンブロック共重合体等が挙げられ、例えば、プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−4−メチル−1ペンテン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−4−メチル−ペンテン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、1−ブテン−4−メチル−ペンテン、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ブチルアクリレート共重合体、プロピレン−メタクリル酸共重合体、プロピレン−メタクリル酸メチル共重合体、プロピレン−メタクリル酸エチル共重合体、プロピレン−メタクリル酸ブチル共重合体、プロピレン−メチルアクリレート共重合体、プロピレン−エチルアクリレート共重合体、プロピレン−ブチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、プロピレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
前記ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−4−メチル−1ペンテン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−4−メチル−ペンテン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ブチルアクリレート共重合体、プロピレン−メタクリル酸共重合体、プロピレン−メタクリル酸メチル共重合体、プロピレン−メタクリル酸エチル共重合体、プロピレン−メタクリル酸ブチル共重合体、プロピレン−メチルアクリレート共重合体、プロピレン−エチルアクリレート共重合体、プロピレン−ブチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、プロピレン−酢酸ビニル共重合体が好ましく、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン-ブチルアクリレート共重合体が更に好ましい。
また、エチレンとプロピレンといったように2種以上のポリオレフィン樹脂を組み合わせて使用してもよい。また、前記ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー中のポリオレフィン含率は、50質量%以上100質量%以下が好ましい。
前記ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーの数平均分子量としては、5,000〜10,000,000であることが好ましい。ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーの数平均分子量が5,000〜10,000,000にあると、熱可塑性樹脂材料の機械的物性が十分であり、加工性にも優れる。同様の観点から、7,000〜1,000,000であることが更に好ましく、10,000〜1,000,000が特に好ましい。これにより、樹脂材料の機械的物性及び加工性を更に向上させることができる。また、前記ソフトセグメントを構成するポリマーの数平均分子量としては、強靱性及び低温柔軟性の観点から、200〜6000が好ましい。更に、前記ハードセグメント(x)及びソフトセグメント(y)の質量比(x:y)は、成形性の観点から、50:50〜95:5が好ましく、50:50〜90:10が更に好ましい。
ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーは、上記ハードセグメントを形成するポリマーおよびソフトセグメントを形成するポリマーを公知の方法によって共重合することで合成することができる。
上記のようなポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、市販品の三井化学社製の「タフマー」シリーズ(例えば、A0550S、A1050S、A4050S、A1070S、A4070S,A35070S、A1085S、A4085S、A7090、A70090、MH7007、MH7010、XM−7070,XM−7080、BL4000、BL2481、BL3110、BL3450、P−0275、P−0375、P−0775、P−0180、P−0280、P−0480、P−0680)、三井・デュポンポリケミカル(株)「ニュクレル」シリーズ(例えば、AN4214C、AN4225C、AN42115C、N0903HC、N0908C、AN42012C、N410、N1050H、N1108C、N1110H、N1207C、N1214、AN4221C、N1525、N1560、N0200H、AN4228C、AN4213C、N035C、「エルバロイAC」シリーズ(例えば、1125AC、1209AC、1218AC、1609AC、1820AC、1913AC、2112AC、2116AC、2615AC、2715AC、3117AC、3427AC、3717AC)、住友化学(株)「アクリフト」シリーズ、「エバテート」シリーズ、東ソー(株)「ウルトラセン」シリーズ等を用いることができる。
更に、前記ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、市販品のプライムポリマー製の「プライムTPO」シリーズ(例えば、E−2900H、F-3900H、E−2900、F−3900、J−5900、E−2910、F−3910、J−5910、E−2710、F−3710、J−5910、E−2740、F−3740、R110MP、R110E、T310E、M142E等)等も用いることができる。
(ポリウレタン系熱可塑性エラストマー)
「ポリウレタン系熱可塑性エラストマー」とは、弾性を有する高分子化合物であり、物理的な凝集によって疑似架橋を形成しているハードセグメントを構成するポリマーと、非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを構成するポリマーとを有する共重合体からなる樹脂材料であって、ハードセグメントを構成するポリマーの主鎖にウレタン結合を有するものをいう。
ポリウレタン系熱可塑性エラストマーとしては、特に限定されるものではないが、物理的な凝集によって疑似架橋を形成しているポリウレタンが融点の高いハードセグメントを構成し、非晶性のポリマーがガラス転移温度の低いソフトセグメントを構成している共重合体が挙げられ、例えば下記式Aまたは式Bで表されるものが挙げられる。

[前記式中、Pは、長鎖脂肪族ポリエーテルまたは長鎖脂肪族ポリエステルを表す。Rは、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、芳香族炭化水素を表す。P’は、短鎖脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、または、芳香族炭化水素を表す。]
前記式A中、Pで表される長鎖脂肪族ポリエーテルおよび長鎖脂肪族ポリエステルとしては、例えば、分子量500〜5000のものを使用することができる。前記Pは、前記Pで表される長鎖脂肪族ポリエーテルおよび長鎖脂肪族ポリエステルを含むジオール化合物に由来する。このようなジオール化合物としては、例えば、分子量が前記範囲内にある、ポリエチレングリコール、プリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリ(ブチレンアジベート)ジオール、ポリ−ε−カプロラクトンジオール、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)ジオール、ABA型トリブロックポリエーテル等が挙げられる。これらは単独で使用されてもよく、また2種以上が併用されてもよい。
ここで、「ABA型トリブロックポリエーテル」とは、下記一般式(1)に示されるポリエーテルを意味する。
一般式(1)

[一般式(1)中、x及びzは1〜20の整数を、yは4〜50の整数を表す。]
前記一般式(1)において、x及びzとしては、それぞれ、1〜18の整数が好ましく、1〜16の整数が更に好ましく、1〜14の整数が特に好ましく、1〜12の整数が最も好ましい。また、前記一般式(1)において、yとしては、それぞれ、5〜45の整数が好ましく、6〜40の整数が更に好ましく、7〜35の整数が特に好ましく、8〜30の整数が最も好ましい。
前記式Aおよび式B中、前記Rは、前記Rで表される脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素または芳香族炭化水素を含むジイソシアネート化合物に由来する。前記Rで表される脂肪族炭化水素を含む脂肪族ジイソシアネート化合物としては、例えば、1,2−エチレンジイソシアネート、1,3−プロピレンジイソシアネート、1,4−ブタンジイソシアネート、および1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
また、前記Rで表される脂環族炭化水素を含むジイソシアネート化合物としては、例えば、1,4−シクロヘキサンジイソシアネートおよび4,4−シクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。更に、前記Rで表される芳香族炭化水素を含む芳香族ジイソシアネート化合物としては例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートが挙げられる。
これらは単独で使用されてもよく、また2種以上が併用されてもよい。
前記式B中、P’で表される短鎖脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、または、芳香族炭化水素としては、例えば、分子量500未満のものを使用することができる。また、前記P’は、前記P’で表される短鎖脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素または芳香族炭化水素を含むジオール化合物に由来する。前記P’で表される短鎖脂肪族炭化水素を含む脂肪族ジオール化合物としては、グリコールおよびポリアルキレングリコールが挙げられ、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオールおよび1,10−デカンジオールが挙げられる。
また、前記P’で表される脂環族炭化水素を含む脂環族ジオール化合物としては、例えば、シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,3−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、およびシクロヘキサン−1,4−ジメタノール等が挙げられる。
更に、前記P’で表される芳香族炭化水素を含む芳香族ジオール化合物としては、例えば、ヒドロキノン、レゾルシン、クロロヒドロキノン、ブロモヒドロキノン、メチルヒドロキノン、フェニルヒドロキノン、メトキシヒドロキノン、フェノキシヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルサルファイド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、ビスフェノールA、1,1−ジ(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)エタン、1,4−ジヒドロキシナフタリン、および2,6−ジヒドロキシナフタリン等が挙げられる。
これらは単独で使用されてもよく、また2種以上が併用されてもよい。
前記ハードセグメントを構成するポリマー(ポリウレタン)の数平均分子量としては、溶融成形性の観点から、300〜1500が好ましい。また、前記ソフトセグメントを構成するポリマーの数平均分子量としては、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーの柔軟性および熱安定性の観点から、500〜20000が好ましく、500〜5000が更に好ましく、特に好ましくは500〜3000である。また、前記ハードセグメント(x)およびソフトセグメント(y)の質量比(x:y)は、成形性の観点から、15:85〜90:10が好ましく、30:70〜90:10が更に好ましい。
前記ポリウレタン系熱可塑性エラストマーとして、具体的には、トリレンジイソシアネート(TDI)/ポリエステル系ポリオール共重合体、TDI/ポリエーテル系ポリオール共重合体、TDI/カプロラクトン系ポリオール共重合体、TDI/ポリカーボネート系ポリオール共重合体、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)/ポリエステル系ポリオール共重合体、MDI/ポリエーテル系ポリオール共重合体、MDI/カプロラクトン系ポリオール共重合体、MDI/ポリカーボネート系ポリオール共重合体が好ましく、TDIとポリエステル系ポリオール、TDIとポリエーテル系ポリオール、MDIとポリエステル系ポリオール、MDIとポリエーテル系ポリオールが更に好ましい。
ポリウレタン系熱可塑性エラストマーは、上記ハードセグメントを形成するポリマーおよびソフトセグメントを形成するポリマーを公知の方法によって共重合することで合成することができる。
上記のようなポリウレタン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、市販品のクラレ社製のクラミロン、日本ミラクトラン社製のミラクトラン(登録商標)、 BASFジャパン社製のエラストラン(登録商標)等を用いることができる。
(ポリスチレン系熱可塑性エラストマー)
ポリスチレン系熱可塑性エラストマーは、少なくともポリスチレンがハードセグメントを構成し、他のポリマー(例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリエチレン、水添ポリブタジエン、水添ポリイソプレン等)が非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを構成している材料が挙げられる。前記ハードセグメントを形成するポリスチレンとしては、例えば、公知のラジカル重合法、イオン性重合法で得られるものが好適に使用でき、例えば、アニオンリビング重合を持つポリスチレンが挙げられる。
また、前記ソフトセグメントを形成するポリマーとしては、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ(2,3−ジメチル−ブタジエン)等が挙げられる。
上述のハードセグメントとソフトセグメントとの組合せとしては、上述で挙げたハードセグメントとソフトセグメントとのそれぞれの組合せを挙げることができる。この中でもポリスチレン/ポリブタジエンの組合せ、ポリスチレン/ポリイソプレンの組合せが好ましい。また、熱可塑性エラストマーの意図しない架橋反応を抑制するため、ソフトセグメントは水素添加されていることが好ましい。
前記ハードセグメントを構成するポリマー(ポリスチレン)の数平均分子量としては、5000〜500000が好ましく、10000〜200000が好ましい。また、前記ソフトセグメントを構成するポリマーの数平均分子量としては、5000〜1000000が好ましく、10000〜800000が更に好ましく、30000〜500000が特に好ましい。更に、前記ハードセグメント(x)及びソフトセグメント(y)の質量比(x:y)は、成形性の観点から、5:95〜80:20が好ましく、10:90〜70:30が更に好ましい。
ポリスチレン系熱可塑性エラストマーは、上記ハードセグメントを形成するポリマーおよびソフトセグメントを形成するポリマーを公知の方法によって共重合することで合成することができる。
前記ポリスチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン−ブタジエン系共重合体[SBS(ポリスチレン−ポリ(ブチレン)ブロック−ポリスチレン)、SEBS(ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック−ポリスチレン)]、スチレン−イソプレン共重合体[ポリスチレン−ポリイソプレンブロック−ポリスチレン)、スチレン−プロピレン系共重合体[SEP(ポリスチレン−(エチレン/プロピレン)ブロック)、SEPS(ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン)、SEEPS(ポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン)等が挙げられる。
上記のようなポリスチレン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、市販品の旭化成社製のタフプレン(登録商標)およびタフテック(登録商標)、クラレ社製のセプトン(登録商標)等を用いることができる。
(ポリエステル系熱可塑性エラストマー)
前記ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、少なくともポリエステルが結晶性で融点の高いハードセグメントを構成し、他のポリマー(例えば、ポリエステルまたはポリエーテル等)が非晶性でガラス転移温度の低いソフトセグメントを構成している材料が挙げられる。
前記ハードセグメントを形成するポリエステルとしては、芳香族ポリエステルを用いることができる。芳香族ポリエステルは、例えば、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と脂肪族ジオールとから形成することができる。前記芳香族ポリエステルとしては、好ましくは、テレフタル酸および/またはジメチルテレフタレートと1,4−ブタンジオールから誘導されるポリブチレンテレフタレートであり、更に、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸、あるいはこれらのエステル形成性誘導体などのジカルボン酸成分と、分子量300以下のジオール、例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコールなどの脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメチロールなどの脂環式ジオール、キシリレングリコール、ビス(p−ヒドロキシ)ジフェニル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(2−ヒドロキシ)フェニル]スルホン、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシ−p−ターフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−p−クオーターフェニルなどの芳香族ジオールなどから誘導されるポリエステル、あるいはこれらのジカルボン酸成分およびジオール成分を2種以上併用した共重合ポリエステルであってもよい。また、3官能以上の多官能カルボン酸成分、多官能オキシ酸成分および多官能ヒドロキシ成分などを5モル%以下の範囲で共重合することも可能である。
前記ハードセグメントを形成するポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等が挙げられ、ポリブチレンテレフタレートが好ましい。
また、前記ソフトセグメントを形成するポリマーとしては、例えば、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリエーテルが挙げられる。
前記脂肪族ポリエーテルとしては、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体等が挙げられる。
前記脂肪族ポリエステルとしては、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリエナントラクトン、ポリカプリロラクトン、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペートなどが挙げられる。
これらの脂肪族ポリエーテルおよび脂肪族ポリエステルのなかでも、得られるポリエステルブロック共重合体の弾性特性の観点から、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペートなどが好ましい。
また、前記ソフトセグメントを構成するポリマーの数平均分子量としては、強靱性および低温柔軟性の観点から、300〜6000が好ましい。更に、前記ハードセグメント(x)およびソフトセグメント(y)の質量比(x:y)は、成形性の観点から、99:1〜20:80が好ましく、98:2〜30:70が更に好ましい。
前記他のエラストマーは、前記ハードセグメントを形成するポリマーおよびソフトセグメントを形成するポリマーを公知の方法によって共重合することで合成することができる。
前記ポリエステル系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、市販品の東レ・デュポン製の「ハイトレル」シリーズ(例えば、3046,5557,6347,4047,4767等)、東洋紡社製「ペルプレン」シリーズ(P30B、P40B、P40H、P55B、P70B、P150B、P280B、P450B、P150M、S1001、S2001、S5001、S6001、S9001等)が挙げられる。
樹脂材料は、2種以上の熱可塑性エラストマーを含んでいてもよいが、樹脂材料を用いて形成するタイヤのタイヤ性能を制御する観点から、熱可塑性エラストマーは1種であることが好ましい。
以上、説明した熱可塑性エラストマーの中でも、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマーおよびポリウレタン系熱可塑性エラストマーから選ばれる少なくとも一種を用いることが好ましく、更には耐熱性を有するとともに、引張弾性率、引張強度および破断ひずみに優れ、従来のゴム製タイヤに比してタイヤの構造を簡素化でき、結果タイヤの軽量化を実現することが可能となるという観点から、ポリアミド系熱可塑性エラストマーもしくはポリエステル系熱可塑性エラストマーが好ましい。
尚、熱可塑性エラストマーのガラス転移温度(Tg)は、転がり抵抗への影響を少なくする、すなわち、30℃〜50℃のtanδを抑える為に、30℃以下もしくは50℃以上であることが好ましく、更には25℃以下70℃以上であることがより好ましい。上記ガラス転移温度は、後述の特定樹脂におけるガラス転移温度と同様の方法により測定することができる。
また、熱可塑性エラストマーの弾性率は、特定樹脂を添加して上昇することから、特定樹脂の弾性率より低く、5MPa〜700MPaであることが好ましく、更には10MPa〜500MPaであることがより好ましい。上記弾性率は、JIS K7113:1995に規定される引張弾性率を意味し、例えば、島津製作所社製の精密万能試験機オートグラフを用いて測定することができる。
また、熱可塑性エラストマーのtanδは、30℃〜50℃のtanδを抑える為に、0〜0.1であることが好ましく、更には0〜0.07であることがより好ましい。上記tanδは、例えば、レオメトリックス社製のARESIIIを用いて30℃、20Hz,せん断歪み1%の条件にて測定することができる。
〔特定樹脂〕
樹脂材料には、熱可塑性エラストマー以外であって、ガラス転移温度が20℃以下で弾性率が前記熱可塑性エラストマーの弾性率より大きい樹脂(特定樹脂)を含む。
尚、本発明における樹脂は、熱可塑性または熱硬化性を有する樹脂を意味し、従来の天然ゴムや合成ゴム等の加硫ゴムは含まない。
前記ガラス転移温度(Tg)としては、更に15℃以下が好ましく、10℃以下が特に好ましい。尚、下限値は特に限定されるものではないが、−200℃以上が好ましく、−150℃以上が特に好ましい。
ガラス転移温度が上記上限値以下である特定樹脂を前記熱可塑性エラストマーに加えて用いることにより、樹脂材料は所望の弾性率を有し且つtanδを低く抑えることができる。その結果、本発明においては、好適な弾性率が得られると共に、タイヤの転がり抵抗の低減を実現できる。
ここで、上記特定樹脂のガラス転移温度は、動的損失(tanδ)温度依存性から測定できる。例えば、レオメトリックス社製のARESIIIを用いて、10Hz,せん断歪み0.2%の条件にて測定することができる。または、示差走査熱量測定(Differential scanning calorimetry:DSC)で測定することができる。
上記特定樹脂としては、例えば、後述の酸変性されていない樹脂(他の樹脂)の例として列挙する樹脂のうち、上記ガラス転移温度(Tg)および熱可塑性エラストマーとの弾性率の関係の条件を満たす樹脂や、以下に示す酸変性樹脂を用いることができる。
尚、前記特定樹脂は酸変性樹脂であることがより好ましい。「酸変性樹脂」とは、樹脂に、カルボン酸基、硫酸基、燐酸基等の酸性基を有する不飽和化合物を結合させた樹脂をいう。例えば、酸性基を有する不飽和化合物として、不飽和カルボン酸(一般的には、無水マレイン酸)を用いるとき、オレフィン系樹脂に、不飽和カルボン酸の不飽和結合部位を結合(例えば、グラフト重合)させることが挙げられる。
酸変性樹脂を用いた場合、樹脂材料は熱可塑性エラストマーで構成される海相と酸変性樹脂で構成される島相とを有する海島構造を有する。海相と島相との相界面の相互作用が弱いと、樹脂材料の流動性が増し、射出成形性に優れる。酸変性樹脂は、分子内に酸変性部位を有するため、酸変性されていない樹脂に比べ、熱可塑性エラストマーとの相互作用が強い。
酸変性樹脂は、熱可塑性エラストマーの劣化抑制の観点からは、弱酸基であるカルボン酸基を有する化合物が好ましく、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等が挙げられる。
酸変性樹脂としては、例えば、酸変性ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、酸変性ポリエチレン、酸変性ポリプロピレン、酸変性されたエチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましい。
酸変性ポリオレフィンとしては、例えば、三井化学社製、アドマーQF551、QE060、LB548、NE827およびQB550等が挙げられる。
上記酸変性樹脂の酸価は、0mg(CHONa)/gを超えるものであればよい。
酸価は、各酸変性樹脂1〔g〕に対して、ナトリウムメトキシド(CHONa)を用いて中和滴定を行なった際に用いられるナトリウムメトキシド(CHONa)の質量〔mg〕として測定される。
海島構造においては、上記酸価が高いほど島相が小さくなる傾向にあり、酸価が低いほど島相が大きくなる傾向にある。酸変性樹脂を含むことで、島相が熱可塑性エラストマー中に微分散する。
なお、酸変性樹脂の島相が樹脂材料中に微分散していることは、SEM(走査型電子顕微鏡、scanning electron microscope)を用いた写真観察から確認することができる。
尚、上記特定樹脂の弾性率は、弾性率を上昇させる為に、熱可塑性エラストマーの弾性率より高く、100MPa〜3000MPaであることが好ましく、更には300MPa〜2000MPaであることがより好ましい。上記弾性率は、JIS K7113:1995に規定される引張弾性率を意味し、前述の熱可塑性エラストマーにおける方法によって測定することができる。
また、特定樹脂のtanδは、樹脂材料のtanδを下げる為に、tanδのピークが−150℃〜20℃であることが好ましく、更には−150℃〜15℃であることがより好ましい。上記tanδは、前述の熱可塑性エラストマーにおける方法によって測定することができる。
尚、樹脂材料においては、2種以上の上記特定樹脂を含んでいてもよい。
〔酸変性されていない樹脂(他の樹脂)〕
樹脂材料に、前記特定樹脂として酸変性樹脂を含む場合には、更に熱可塑性エラストマー以外であって酸変性されていない樹脂(他の樹脂)を含んでもよい。
また、樹脂材料に、前記特定樹脂として酸変性樹脂を含まない場合には、該特定樹脂として酸変性されていない樹脂(他の樹脂/但し、前述の特定樹脂の要件を満たすもの)を含んでもよい。尚、前記熱可塑性エラストマーがポリスチレン系熱可塑性エラストマーの場合には、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー内に極性基を含まないことから、酸変性されていない樹脂を特定樹脂として用いることが好ましい。
酸変性されていない樹脂とは、その酸価が0mg/gのものを指す。
尚、本発明における樹脂は、熱可塑性または熱硬化性を有する樹脂を意味し、従来の天然ゴムや合成ゴム等の加硫ゴムは含まない。
このように、樹脂材料が、熱可塑性エラストマーと、酸変性された特定樹脂と、更に酸変性されていない樹脂(他の樹脂)と、を含有することにより、タイヤ性能としての引張弾性、破断強度等の引張り特性を向上することができる。
上記他の樹脂としては、例えばポリオレフィン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体等が挙げられ、特に引張弾性、破断強度等の引張り特性を向上するとの観点から、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体が好ましい。
ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体としては、例えば、プライムポリマー(株)製J−700GP(ホモポリマー)、JP−2000GP(ホモポリマー)、J−466HP(ブロックポリマー)、J−106MG(ホモポリマー)、J−226T(ランダムポリマー)、日本ポリプロ(株)製ノバテックEC9EV(ブロックポリマー)、WintecWFW4(ランダムポリマー)等が挙げられる。
また、他の樹脂のtanδは、樹脂材料のtanδを下げる為に、tanδのピークが−150℃〜20℃であることが好ましく、更には−150℃〜15℃であることがより好ましい。上記tanδは、前述の熱可塑性エラストマーにおける方法によって測定することができる。
尚、樹脂材料が、熱可塑性エラストマーと、酸変性された特定樹脂と、更に酸変性されていない樹脂(他の樹脂)と、を含有する場合には、他の樹脂のtanδは特に上記範囲に限定されない。
また、上記特定樹脂の弾性率は、弾性率を上昇させる為に、熱可塑性エラストマーの弾性率より高く、100MPa〜3000MPaであることが好ましく、更には300MPa〜2000MPaであることがより好ましい。上記弾性率は、JIS K7113:1995に規定される引張弾性率を意味し、前述の熱可塑性エラストマーにおける方法によって測定することができる。
尚、樹脂材料においては、2種以上の上記他の樹脂を含んでいてもよい。
〔組合せおよび比率〕
本発明の樹脂材料において、熱可塑性エラストマーに対する、特定樹脂と他の樹脂との総量の比率(熱可塑性エラストマー:特定樹脂+他の樹脂〔質量比〕)は、熱可塑性エラストマーを海島構造の海とする観点から、95:5〜55:45であることが好ましく、95:5〜60:40であることがより好ましい。
また、特定樹脂と他の樹脂との両方を含有する場合における、特定樹脂に対する他の樹脂の比率(特定樹脂:他の樹脂〔質量比〕)は、熱可塑性エラストマーと相互作用を持たす観点から、100:0〜5:95であることが好ましく、100:0〜10:90であることがより好ましい。
更に、樹脂材料中、熱可塑性エラストマーと特定樹脂と他の樹脂との総含有量は、熱可塑性エラストマーの性能を十分に発揮する観点から、樹脂材料の全質量に対して、50質量%〜100質量%であることが好ましい。
尚、本発明の樹脂材料における、熱可塑性エラストマーと特定樹脂と他の樹脂との組合せとしては、以下の組合せが好ましい。
・ポリアミド系熱可塑性エラストマーと酸変性ポリオレフィン樹脂との組合せ
・ポリアミド系熱可塑性エラストマーと酸変性ポリオレフィン樹脂とポリプロピレンとの組合せ
・ポリアミド系熱可塑性エラストマーと酸変性ポリオレフィン樹脂とエチレン−プロピレン共重合体との組合せ
・ポリエステル系熱可塑性エラストマーと酸変性ポリオレフィン樹脂との組合せ
・ポリエステル系熱可塑性エラストマーと酸変性ポリオレフィン樹脂とポリプロピレンとの組合せ
・ポリエステル系熱可塑性エラストマーと酸変性ポリオレフィン樹脂とエチレン−プロピレン共重合体との組合せ
・ポリスチレン系熱可塑性エラストマーとポリオレフィン樹脂との組み合わせ
〔その他の組成および樹脂材料の物性〕
樹脂材料には、所望に応じて、各種充填剤(例えば、シリカ、炭酸カルシウム、クレイ)、老化防止剤、オイル、可塑剤、着色剤、耐候剤、補強材等の各種添加剤を含有させてもよい。
樹脂材料は、熱可塑性エラストマー、および特定樹脂を混合し、必要に応じて他の樹脂や各種添加剤を添加して、溶融混合することにより得ることができる。熱可塑性エラストマーと、特定樹脂との混合比は、既述の割合に準ずる。溶融混合して得られた樹脂材料は、必要に応じてペレット状にして用いることができる。
樹脂材料のJIS K7113:1995に規定される引張弾性率(以下、特に特定しない限り本明細書で「弾性率」とは引張弾性率を意味する。)としては、100〜1000MPaが好ましく、100〜800MPaがさらに好ましく、100〜700MPaが特に好ましい。樹脂材料の引張弾性率が、100〜1000MPaであると、タイヤ骨格の形状を保持しつつリム組みを効率的におこなうことができる。
樹脂材料のJIS K7113:1995に規定される引張降伏強さは、5MPa以上が好ましく、5〜20MPaが好ましく、5〜17MPaがさらに好ましい。樹脂材料の引張降伏強さが5MPa以上であると、走行時などにタイヤにかかる荷重に対する変形に耐えることができる。
樹脂材料のJIS K7113:1995に規定される引張降伏伸びは、10%以上が好ましく、10〜70%が好ましく、15〜60%がさらに好ましい。樹脂材料の引張降伏伸びが10%以上であると、弾性領域が大きく、リム組み性を良くすることができる。
樹脂材料のJIS K7113:1995に規定される引張破壊伸びとしては、50%以上が好ましく、100%以上が好ましく、150%以上がさらに好ましく、200%以上が特に好ましい。樹脂材料の引張破壊伸びが50%以上であると、リム組み性がよく、衝突に対して破壊しにくくすることができる。
樹脂材料のISO75−2またはASTM D648に規定される荷重たわみ温度(0.45MPa荷重時)としては、50℃以上が好ましく、50〜150℃が好ましく、50〜130℃がさらに好ましい。樹脂材料の荷重たわみ温度が50℃以上であると、トレッド等の加流工程における変形を抑制することができる。
[補強コード層を構成する樹脂材料]
本発明のタイヤは、タイヤ骨格体の外周部に周方向に巻回されて補強コード層を形成する補強コード部材を有していてもよい。
また、補強コード層には、補強コード層用樹脂材料を含めて構成することができる。このように、補強コード層に補強コード層用樹脂材料が含まれていると、補強コードをクッションゴムで固定する場合と比して、タイヤと補強コード層との硬さの差を小さくできるため、更に補強コード部材をタイヤ骨格体に密着・固定することができる。「補強コード層用樹脂材料」とは、熱可塑性樹脂(熱可塑性エラストマーを含む)および熱硬化性樹脂を含む概念であり、加硫ゴムは含まない。
補強コード層に用いることのできる前記熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。
前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。
前記熱可塑性エラストマーとしては、例えば、JIS K6418:2007に規定されるアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)、エステル系熱可塑性エラストマー(TPC)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、熱可塑性ゴム架橋体(TPV)、若しくはその他の熱可塑性エラストマー(TPZ)等が挙げられる。なお、走行時に必要とされる弾性と製造時の成形性等を考慮すると熱可塑性エラストマーを用いることが好ましい。
また、樹脂材料の同種とは、エステル系同士、スチレン系同士などの形態を指す。
補強コード層に用いられる樹脂材料の弾性率(JIS K7113:1995に規定される引張弾性率)は、タイヤ骨格体を形成する熱可塑性樹脂の弾性率の0.1倍から10倍の範囲内に設定することが好ましい。前記樹脂材料の弾性率がタイヤ骨格体を形成する樹脂材料の弾性率の10倍以下の場合は、クラウン部が硬くなり過ぎずリム組み性が容易になる。また、前記樹脂材料の弾性率がタイヤ骨格体を形成する樹脂材料の弾性率の0.1倍以上の場合には、補強コード層を構成する樹脂が柔らかすぎず、ベルト面内せん断剛性に優れコーナリング力が向上する。
[第1の実施形態]
以下に、図面に従って本発明のタイヤの第1の実施形態に係るタイヤを説明する。
本実施形態のタイヤ10について説明する。図1(A)は、本発明の一実施形態に係るタイヤの一部の断面を示す斜視図である。図1(B)は、リムに装着したビード部の断面図である。図1に示すように、本実施形態のタイヤ10は、従来一般のゴム製の空気入りタイヤと略同様の断面形状を呈している。
図1(A)に示すように、タイヤ10は、図1(B)に示すリム20のビードシート21及びリムフランジ22に接触する1対のビード部12と、ビード部12からタイヤ径方向外側に延びるサイド部14と、一方のサイド部14のタイヤ径方向外側端と他方のサイド部14のタイヤ径方向外側端とを連結するクラウン部16(外周部)と、からなるタイヤケース17を備えている。
ここで、本実施形態のタイヤケース17は、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(宇部興産(株)製、UBESTA、XPA9048)と酸変性ポリオレフィン(三井化学社製、アドマーQE060、ガラス転移温度4℃)とを含有する樹脂材料(以下単に、第1の実施形態の説明において「樹脂材料」と称す)で形成されている。本実施形態においてタイヤケース17は、単一の樹脂材料で形成されているが、本発明はこの構成に限定されず、従来一般のゴム製の空気入りタイヤと同様に、タイヤケース17の各部位毎(サイド部14、クラウン部16、ビード部12など)に異なる特徴を有する熱可塑性樹脂材料を用いてもよい。また、タイヤケース17(例えば、ビード部12、サイド部14、クラウン部16等)に、補強材(高分子材料や金属製の繊維、コード、不織布、織布等)を埋設配置し、補強材でタイヤケース17を補強してもよい。
本実施形態のタイヤケース17は、樹脂材料で形成された一対のタイヤケース半体(タイヤ骨格片)17A同士を接合させたものである。タイヤケース半体17Aは、一つのビード部12と一つのサイド部14と半幅のクラウン部16とを一体として射出成形等で成形された同一形状の円環状のタイヤケース半体17Aを互いに向かい合わせてタイヤ赤道面部分で接合することで形成されている。なお、タイヤケース17は、2つの部材を接合して形成するものに限らず、3以上の部材を接合して形成してもよい。
樹脂材料で形成されるタイヤケース半体17Aは、例えば、真空成形、圧空成形、インジェクション成形、メルトキャスティング等で成形することができる。このため、従来のようにゴムでタイヤケースを成形する場合に比較して、加硫を行う必要がなく、製造工程を大幅に簡略化でき、成形時間を省略することができる。
また、本実施形態では、タイヤケース半体17Aは左右対称形状、即ち、一方のタイヤケース半体17Aと他方のタイヤケース半体17Aとが同一形状とされているので、タイヤケース半体17Aを成形する金型が1種類で済むメリットもある。
本実施形態において、図1(B)に示すようにビード部12には、従来一般の空気入りタイヤと同様の、スチールコードからなる円環状のビードコア18が埋設されている。しかし、本発明はこの構成に限定されず、ビード部12の剛性が確保され、リム20との嵌合に問題なければ、ビードコア18を省略することもできる。なお、スチールコード以外に、有機繊維コード、樹脂被覆した有機繊維コード、または硬質樹脂などで形成されていてもよい。
本実施形態では、ビード部12のリム20と接触する部分や、少なくともリム20のリムフランジ22と接触する部分に、タイヤケース17を構成する樹脂材料よりもシール性に優れた材料、例えば、ゴムからなる円環状のシール層24が形成されている。このシール層24はタイヤケース17(ビート部12)とビードシート21とが接触する部分にも形成されていてもよい。タイヤケース17を構成する樹脂材料よりもシール性に優れた材料としては、タイヤケース17を構成する樹脂材料に比して軟質な材料を用いることができる。シール層24に用いることのできるゴムとしては、従来一般のゴム製の空気入りタイヤのビード部外面に用いられているゴムと同種のゴムを用いることが好ましい。また、樹脂材料のみでリム20との間のシール性が確保できれば、ゴムのシール層24は省略してもよく、樹脂材料よりもシール性に優れる他の熱可塑性樹脂を用いてもよい。このような他の熱可塑性樹脂としては、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂やこれら樹脂とゴム若しくはエラストマーとのブレンド物等が挙げられる。また、熱可塑性エラストマーを用いることもでき、例えば、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、或いは、これらエラストマー同士の組み合わせや、ゴムとのブレンド物等が挙げられる。
図1に示すように、クラウン部16には、タイヤケース17を構成する樹脂材料よりも剛性が高い補強コード26がタイヤケース17の周方向に巻回されている。補強コード26は、タイヤケース17の軸方向に沿った断面視で、少なくとも一部がクラウン部16に埋設された状態で螺旋状に巻回されており、補強コード層28を形成している。補強コード層28のタイヤ径方向外周側には、タイヤケース17を構成する樹脂材料よりも耐摩耗性に優れた材料、例えばゴムからなるトレッド30が配置されている。
図2を用いて補強コード26によって形成される補強コード層28について説明する。図2は、第1実施形態のタイヤのタイヤケースのクラウン部に補強コードが埋設された状態を示すタイヤ回転軸に沿った断面図である。図2に示されるように、補強コード26は、タイヤケース17の軸方向に沿った断面視で、少なくとも一部がクラウン部16に埋設された状態で螺旋状に巻回されており、タイヤケース17の外周部の一部と共に図2において破線部で示される補強コード層28を形成している。補強コード26のクラウン部16に埋設された部分は、クラウン部16(タイヤケース17)を構成する樹脂材料と密着した状態となっている。補強コード26としては、金属繊維や有機繊維等のモノフィラメント(単線)、又は、スチール繊維を撚ったスチールコードなどこれら繊維を撚ったマルチフィラメント(撚り線)などを用いることができる。なお、本実施形態において補強コード26としては、スチールコードが用いられている。
また、図2において埋設量Lは、タイヤケース17(クラウン部16)に対する補強コード26のタイヤ回転軸方向への埋設量を示す。補強コード26のクラウン部16に対する埋設量Lは、補強コード26の直径Dの1/5以上であれば好ましく、1/2を超えることがさらに好ましい。そして、補強コード26全体がクラウン部16に埋設されることが最も好ましい。補強コード26の埋設量Lが、補強コード26の直径Dの1/2を超えると、補強コード26の寸法上、埋設部から飛び出し難くなる。また、補強コード26全体がクラウン部16に埋設されると、表面(外周面)がフラットになり、補強コード26が埋設されたクラウン部16上に部材が載置されても補強コード周辺部に空気が入るのを抑制することができる。なお、補強コード層28は、従来のゴム製の空気入りタイヤのカーカスの外周面に配置されるベルトに相当するものである。
上述のように補強コード層28のタイヤ径方向外周側にはトレッド30が配置されている。このトレッド30に用いるゴムは、従来のゴム製の空気入りタイヤに用いられているゴムと同種のゴムを用いることが好ましい。なお、トレッド30の代わりに、タイヤケース17を構成する樹脂材料よりも耐摩耗性に優れる他の種類の熱可塑性樹脂材料で形成したトレッドを用いてもよい。また、トレッド30には、従来のゴム製の空気入りタイヤと同様に、路面との接地面に複数の溝からなるトレッドパターンが形成されている。
以下、本発明のタイヤの製造方法について説明する。
(タイヤケース成形工程)
まず、薄い金属の支持リングに支持されたタイヤケース半体同士を互いに向かい合わせる。次いで、タイヤケース半体の突き当て部分の外周面と接するように図を省略する接合金型を設置する。ここで、前記接合金型はタイヤケース半体Aの接合部(突き当て部分)周辺を所定の圧力で押圧するように構成されている。次いで、タイヤケース半体の接合部周辺を、タイヤケースを構成する熱可塑性樹脂材料の融点以上で押圧する。タイヤケース半体の接合部が接合金型によって加熱・加圧されると、前記接合部が溶融しタイヤケース半体同士が融着しこれら部材が一体となってタイヤケース17が形成される。尚、本実施形態においては接合金型を用いてタイヤケース半体の接合部を加熱したが、本発明はこれに限定されず、例えば、別に設けた高周波加熱機等によって前記接合部を加熱したり、予め熱風、赤外線の照射等によって軟化又は溶融させ、接合金型によって加圧して。タイヤケース半体を接合させてもよい。
(補強コード部材巻回工程)
次に、補強コード巻回工程について図3を用いて説明する。図3は、コード加熱装置、及びローラ類を用いてタイヤケースのクラウン部に補強コードを埋設する動作を説明するための説明図である。図3において、コード供給装置56は、補強コード26を巻き付けたリール58と、リール58のコード搬送方向下流側に配置されたコード加熱装置59と、コード26の搬送方向下流側に配置された第1のローラ60と、第1のローラ60をタイヤ外周面に対して接離する方向に移動する第1のシリンダ装置62と、第1のローラ60のコード26の搬送方向下流側に配置される第2のローラ64と、第2のローラ64をタイヤ外周面に対して接離する方向に移動する第2のシリンダ装置66と、を備えている。第2のローラ64は、金属製の冷却用ローラとして利用することができる。また、本実施形態において、第1のローラ60または第2のローラ64の表面は、溶融又は軟化した樹脂材料の付着を抑制するためにフッ素樹脂(本実施形態では、テフロン(登録商標))でコーティングされている。なお、本実施形態では、コード供給装置59は、第1のローラ60または第2のローラ64の2つのローラを有する構成としているが、本発明はこの構成に限定されず、何れか一方のローラのみ(即ち、ローラ1個)を有している構成でもよい。
また、コード加熱装置59は、熱風を生じさせるヒーター70及びファン72を備えている。また、コード加熱装置59は、内部に熱風が供給される、内部空間をコード26が通過する加熱ボックス74と、加熱されたコード26を排出する排出口76とを備えている。
本工程においては、まず、コード加熱装置59のヒーター70の温度を上昇させ、ヒーター70で加熱された周囲の空気をファン72の回転によって生じる風で加熱ボックス74へ送る。次に、リール58から巻き出した補強コード26を、熱風で内部空間が加熱された加熱ボックス74内へ送り加熱(例えば、補強コード26の温度を100〜200℃程度に加熱)する。加熱された補強コード26は、排出口76を通り、図3の矢印R方向に回転するタイヤケース17のクラウン部16の外周面に一定のテンションをもって螺旋状に巻きつけられる。ここで、加熱された補強コード26がクラウン部16の外周面に接触すると、接触部分の樹脂材料が溶融又は軟化し、加熱された補強コード26の少なくとも一部がクラウン部16の外周面に埋設される。このとき、溶融又は軟化した樹脂材料に加熱された補強コード26が埋設されるため、樹脂材料と補強コード26とが隙間がない状態、つまり密着した状態となる。これにより、補強コード26を埋設した部分へのエア入りが抑制される。なお、補強コード26をタイヤケース17の樹脂材料の融点よりも高温に加熱することで、補強コード26が接触した部分の樹脂材料の溶融又は軟化が促進される。このようにすることで、クラウン部16の外周面に補強コード26を埋設しやすくなると共に、効果的にエア入りを抑制することができる。
また、補強コード26に作用させるテンションは、タイヤケース17に対して従動回転するリール58にブレーキをかけることで調整されるようになっており、このように一定のテンションを作用させながら補強コード26を巻き付けることで、補強コード26が蛇行するのを抑制でき、さらに、補強コード26の埋設量も調整できる。なお、本実施形態では、リール58にブレーキをかけてテンションを調整しているが、補強コード26の搬送経路途中にテンション調整用ローラを設ける等してテンションを調整してもよい。
また、加熱された補強コード26は、クラウン部16の外周面に少なくとも一部が埋設された直後に、第1のローラ60によって押圧されてより深くまで埋設される。このとき、埋設部分周囲が第1のローラ60によって均されると共に、補強コード26の埋設時に侵入したエアも押し出される。なお、第1のローラ60は、タイヤケース17に対して従動回転するようになっている。
その後、第1のローラ60の下流側に設けられてクラウン部16の外周面に押し付けられた第2のローラ64によって、加熱された補強コード26で熱可塑性樹脂材料が溶融又は軟化した部分が強制的に冷却される。これにより、補強コード26が埋設された部分の熱可塑性樹脂材料が、補強コード26が動いたりする前に冷却されるため、精度よく補強コード26を配設することができると共に、補強コード26を埋設した部分の熱可塑性樹脂材料の変形を抑制することができる。なお、第2のローラ64は、タイヤケース17に対して従動回転するようになっている。
また、補強コード26の埋設量Lは、補強コード26の加熱温度、補強コード26に作用させるテンション、及び第1のローラ60による押圧力等によって調整することができる。そして、本実施形態では、補強コード26の埋設量Lが、補強コード26の直径Dの1/5以上となるように設定されている。なお、補強コード26の埋設量Lとしては、直径Dの1/2を超えることがさらに好ましく、補強コード26全体が埋設されることが最も好ましい。
このようにして、加熱した補強コード26をクラウン部16の外周面に埋設しながら巻き付けることで、タイヤケース17のクラウン部16の外周側に補強コード層28が形成される。
次に、タイヤケース17の外周面に加硫済みの帯状のトレッド30を1周分巻き付けてタイヤケース17の外周面にトレッド30を、接着剤などを用いて接着する。なお、トレッド30は、例えば、従来知られている更生タイヤに用いられるプレキュアトレッドを用いることができる。本工程は、更生タイヤの台タイヤの外周面にプレキュアトレッドを接着する工程と同様の工程である。
そして、タイヤケース17のビード部12に、加硫済みのゴムからなるシール層24を、接着剤等を用いて接着すれば、タイヤ10の完成となる。
(作用)
本実施形態のタイヤ10では、タイヤケース17が熱可塑性エラストマーに加えて更にガラス転移温度が上記範囲の特定樹脂を含む樹脂材料によって形成されているため、タイヤケース17において好適な弾性率が得られ且つタイヤにおける転がり抵抗の増大を抑制することができる。
また、前述の樹脂材料は補強コード26に対する密着性が高く、さらに溶着強度等の固定性能に優れている。このため、補強コード巻回工程において補強コード26の周囲に空気が残る現象(エア入り)を抑制することができる。補強コード26への密着性及び溶着性が高く、さらに補強コード部材周辺へのエア入りが抑制されていると、走行時の入力などによって補強コード26が動くのを効果的に抑制することができる。これにより、例えば、タイヤ骨格体の外周部に補強コード部材全体を覆うようにタイヤ構成部材が設けられた場合であっても、補強コード部材は動きが抑制されているため、これらの部材間(タイヤ骨格体含む)の剥離などが生じるのが抑制されタイヤ10の耐久性が向上する。
また、本実施形態のタイヤ10では、樹脂材料で形成されたタイヤケース17のクラウン部16の外周面に樹脂材料よりも剛性が高い補強コード26が周方向へ螺旋状に巻回されていることから耐パンク性、耐カット性、及びタイヤ10の周方向剛性が向上する。なお、タイヤ10の周方向剛性が向上することで、熱可塑性樹脂材料で形成されたタイヤケース17のクリープが防止される。
また、タイヤケース17の軸方向に沿った断面視(図1に示される断面)で、樹脂材料で形成されたタイヤケース17のクラウン部16の外周面に補強コード26の少なくとも一部が埋設され且つ樹脂材料に密着していることから、製造時のエア入りが抑制されており、走行時の入力などによって補強コード26が動くのが抑制される。これにより、補強コード26、タイヤケース17、及びトレッド30に剥離などが生じるのが抑制され、タイヤ10の耐久性が向上する。
そして、図2に示すように、補強コード26の埋設量Lが直径Dの1/5以上となっていることから、製造時のエア入りが効果的に抑制されており、走行時の入力などによって補強コード26が動くのがさらに抑制される。
また、路面と接触するトレッド30を樹脂材料よりも耐摩耗性のあるゴム材で構成していることから、タイヤ10の耐摩耗性が向上する。
さらに、ビード部12には、金属材料からなる環状のビードコア18が埋設されていることから、従来のゴム製の空気入りタイヤと同様に、リム20に対してタイヤケース17、すなわちタイヤ10が強固に保持される。
またさらに、ビード部12のリム20と接触する部分に、樹脂材料よりもシール性のあるゴム材からなるシール層24が設けられていることから、タイヤ10とリム20との間のシール性が向上する。このため、リム20と樹脂材料とでシールする場合と比較して、タイヤ内の空気漏れがより一層抑制される。また、シール層24を設けることでリムフィット性も向上する。
上述の実施形態では、補強コード26を加熱し、加熱した補強コード26が接触する部分の樹脂材料を溶融又は軟化させる構成としたが、本発明はこの構成に限定されず、補強コード26を加熱せずに熱風生成装置を用い、補強コード26が埋設されるクラウン部16の外周面を加熱した後、補強コード26をクラウン部16に埋設するようにしてもよい。
また、第1実施形態では、コード加熱装置59の熱源をヒーター及びファンとしているが、本発明はこの構成に限定されず、補強コード26を輻射熱(例えば、赤外線など)で直接加熱する構成としてもよい。また、熱風生成装置の熱源を、例えば、赤外線を補強コード26が埋設される部分に収束させて、埋設部分を溶融又は軟化させてもよい。
さらに、第1実施形態では、補強コード26を埋設した熱可塑性樹脂材料が溶融又は軟化した部分を金属製の第2のローラ64で強制的に冷却する構成としたが、本発明はこの構成に限定されず、熱可塑性樹脂材料が溶融又は軟化した部分に冷風を直接吹きかけて、熱可塑性樹脂材料の溶融又は軟化した部分を強制的に冷却固化する構成としてもよい。
また、第1実施形態では、補強コード26を加熱する構成としたが、例えば、補強コード26の外周をタイヤケース17と同じ熱可塑性樹脂材料で被覆する構成としてもよく、この場合には、被覆補強コードをタイヤケース17のクラウン部16に巻き付ける際に、補強コード26と共に被覆した熱可塑性樹脂材料も加熱することで、クラウン部16への埋設時におけるエア入りを効果的に抑制することができる。
第1実施形態のタイヤ10は、ビード部12をリム20に装着することで、タイヤ10とリム20との間で空気室を形成する、所謂チューブレスタイヤであるが、本発明はこの構成に限定されず、完全なチューブ形状であってもよい。
前記完全なチューブ形状のタイヤとしては、図4に示すように、円環状とされたタイヤ骨格体をタイヤ幅方向に3本配置した態様であってもよい。図4は、他の実施形態に係るタイヤの断面図である。図4に示すように、タイヤ86は、トレッドゴム層87と、第1実施形態と同様の樹脂材料からなる円環状とされた中空のチューブ(タイヤ骨格体)88と、ベルト(補強コード)89と、リム90とを備えている。チューブ88は、タイヤ86のタイヤ幅方向に3本並んで配置されている。チューブ88の外周部には、ベルト89を埋設したトレッドゴム層87が接着されている。また、チューブ88は、チューブ88と係合する凹部を備えたリム90に装着されている。なお、このタイヤ86にはビードコアは設けられていない。
また、補強コード26は螺旋巻きするのが製造上は容易だが、幅方向で補強コード26を不連続とする方法等も考えられる。
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
[第2の実施形態]
次に、図面に従って本発明のタイヤの製造方法及びタイヤの第2実施形態について説明する。本実施形態のタイヤは、上述の第1実施形態と同様に、従来一般のゴム製の空気入りタイヤと略同様の断面形状を呈している。このため、以下の図において、前記第1実施形態と同様の構成については同様の番号が付される。図5(A)は、第2実施形態のタイヤのタイヤ幅方向に沿った断面図であり、図5(B)は第2実施形態のタイヤにリムを嵌合させた状態のビード部のタイヤ幅方向に沿った断面の拡大図である。また、図6は、第2実施形態のタイヤの補強層の周囲を示すタイヤ幅方向に沿った断面図である。
第2実施形態のタイヤは、上述の第1実施形態と同様に、タイヤケース17がポリアミド系熱可塑性エラストマー(宇部興産(株)製、UBESTA、XPA9048)と酸変性ポリオレフィン(三井化学社製、アドマーQE060、ガラス転移温度4℃)とを含有する樹脂材料(以下単に、第2の実施形態の説明において「樹脂材料」と称す)で形成されている。本実施形態においてタイヤ200は、図5及び図6に示すように、クラウン部16に、被覆コード部材26Bが周方向に巻回されて構成された補強コード層28(図6では破線で示されている)が積層されている。この補強コード層28は、タイヤケース17の外周部を構成し、クラウン部16の周方向剛性を補強している。なお、補強コード層28の外周面は、タイヤケース17の外周面17Sに含まれる。
この被覆コード部材26Bは、タイヤケース17を形成する樹脂材料よりも剛性が高いコード部材26Aにタイヤケース17を形成する樹脂材料とは別体の被覆用樹脂材料27を被覆して形成されている。また、被覆コード部材26Bはクラウン部16との接触部分において、被覆コード部材26Bとクラウン部16とが接合(例えば、溶接、又は接着剤で接着)されている。
また、被覆用樹脂材料27の弾性率は、タイヤケース17を形成する樹脂材料の弾性率の0.1倍から10倍の範囲内に設定することが好ましい。被覆用樹脂材料27の弾性率がタイヤケース17を形成する熱可塑性樹脂材料の弾性率の10倍以下の場合は、クラウン部が硬くなり過ぎずリム組み性が容易になる。また、被覆用樹脂材料27の弾性率がタイヤケース17を形成する熱可塑性樹脂材料の弾性率の0.1倍以上の場合には、補強コード層28を構成する樹脂が柔らかすぎず、ベルト面内せん断剛性に優れコーナリング力が向上する。なお、本実施形態では、被覆用樹脂材料27として上記樹脂材料と同様の材料が用いられている。
また、図6に示すように、被覆コード部材26Bは、断面形状が略台形状とされている。なお、以下では、被覆コード部材26Bの上面(タイヤ径方向外側の面)を符号26Uで示し、下面(タイヤ径方向内側の面)を符号26Dで示す。また、本実施形態では、被覆コード部材26Bの断面形状を略台形状とする構成としているが、本発明はこの構成に限定されず、断面形状が下面26D側(タイヤ径方向内側)から上面26U側(タイヤ径方向外側)へ向かって幅広となる形状を除いた形状であれば、いずれの形状でもよい。
図6に示すように、被覆コード部材26Bは、周方向に間隔をあけて配置されていることから、隣接する被覆コード部材26Bの間に隙間28Aが形成されている。このため、補強コード層28の外周面は、凹凸とされ、この補強コード層28が外周部を構成するタイヤケース17の外周面17Sも凹凸となっている。
タイヤケース17の外周面17S(凹凸含む)には、微細な粗化凹凸が均一に形成され、その上に接合剤を介して、クッションゴム29が接合されている。このクッションゴム29は、径方向内側のゴム部分が粗化凹凸に流れ込んでいる。
また、クッションゴム29の上(外周面)にはタイヤケース17を形成している樹脂材料よりも耐摩耗性に優れた材料、例えばゴムからなるトレッド30が接合されている。
なお、トレッド30に用いるゴム(トレッドゴム30A)は、従来のゴム製の空気入りタイヤに用いられているゴムと同種のゴムを用いることが好ましい。また、トレッド30の代わりに、タイヤケース17を形成する樹脂材料よりも耐摩耗性に優れる他の種類の樹脂材料で形成したトレッドを用いてもよい。また、トレッド30には、従来のゴム製の空気入りタイヤと同様に、路面との接地面に複数の溝からなるトレッドパターン(図示省略)が形成されている。
次に本実施形態のタイヤの製造方法について説明する。
(骨格形成工程)
(1)まず、上述の第1実施形態と同様にして、タイヤケース半体17Aを形成し、これを接合金型によって加熱・押圧し、タイヤケース17を形成する。
(補強コード部材巻回工程)
(2)本実施形態におけるタイヤの製造装置は、上述の第1実施形態と同様であり、上述の第1実施形態の図3に示すコード供給装置56において、リール58にコード部材26Aを被覆用樹脂材料27(本実施形態では熱可塑性材料)で被覆した断面形状が略台形状の被覆コード部材26Bを巻き付けたものが用いられる。
まず、ヒーター70の温度を上昇させ、ヒーター70で加熱された周囲の空気をファン72の回転によって生じる風で加熱ボックス74へ送る。リール58から巻き出した被覆コード部材26Bを、熱風で内部空間が加熱された加熱ボックス74内へ送り加熱(例えば、被覆コード部材26Bの外周面の温度を、被覆用樹脂材料27の融点以上)とする。ここで、被覆コード部材26Bが加熱されることにより、被覆用樹脂材料27が溶融又は軟化した状態となる。
そして被覆コード部材26Bは、排出口76を通り、紙面手前方向に回転するタイヤケース17のクラウン部16の外周面に一定のテンションをもって螺旋状に巻回される。このとき、クラウン部16の外周面に被覆コード部材26Bの下面26Dが接触する。そして、接触した部分の溶融又は軟化状態の被覆用樹脂材料27はクラウン部16の外周面上に広がり、クラウン部16の外周面に被覆コード部材26Bが溶着される。これにより、クラウン部16と被覆コード部材26Bとの接合強度が向上する。
また、被覆コード部材26Bに作用させるテンションは、タイヤケース17に対して従動回転するリール58にブレーキをかけることで調整されるようになっており、このように一定のテンションを作用させながら被覆コード部材26Bを巻回することで、被覆コード部材26Bが蛇行するのを抑制できる。なお、本実施形態では、リール58にブレーキをかけてテンションを調整しているが、被覆コード部材26Bの搬送経路途中にテンション調整用ローラを設けるなどしてテンションを調整してもよい。
また、被覆用樹脂材料27が溶融又は軟化状態の被覆コード部材26Bは、クラウン部16の外周面に接触した直後に、第1のローラ60によって押圧することで溶融又は軟化状態の被覆用樹脂材料27がクラウン部16の外周面上に広がり、クラウン部16との接合面積を確保することができる。また、このように押圧することで、被覆コード部材26Bをクラウン部16に接触させた際に侵入した空気も押し出され、被覆コード部材26Bとクラウン部16との間への空気入りがさらに抑制される。
その後、第1のローラ60の下流側に設けられた第2のローラ64によって、被覆コード部材26Bの溶融又は軟化した被覆用樹脂材料27が強制的に冷却される。これにより、被覆コード部材26Bが動いたりする前に被覆コード部材26B及びその周囲が冷却されるため、精度よく被覆コード部材26Bを配設することができる。
このように被覆コード部材26Bをクラウン部16に螺旋状に巻回することで、クラウン部16の外周側に補強コード層28が形成されて、タイヤケース17の外周部が構成される。なお、補強コード層28は、被覆コード部材26Bが間隔をあけて配置されるため、隙間28Aが形成され、タイヤケース17の外周面17Sが凹凸となる。
また、例えば、被覆コード部材26Bの断面形状を略矩形状とし、排出口76の幅方向の送り速度を隣接する被覆コード部材26B間に隙間が生じないように調整しながら被覆コード部材26Bを配設することにより、タイヤケース17の外周面17Sを凹凸状でなく平坦状(フラット状)とすることもできる。
(粗化処理工程)
(3)次に、図示を省略するブラスト装置にて、タイヤケース17の外周面17Sに向け、タイヤケース17側を回転させながら、外周面17Sへ投射材を高速度で射出する。射出された投射材は、外周面17Sに衝突し、この外周面17Sに算術平均粗さRaが0.05mm以上となる微細な粗化凹凸96を形成する。
このようにして、タイヤケース17の外周面17Sに微細な粗化凹凸96が形成されることで、外周面17Sが親水性となり、後述する接合剤の濡れ性が向上する。
ここで、例えば、サンドペーパーやリュータなどを用いて、タイヤケース17の外周面17Sを粗化処理する場合、タイヤケース17の外周面17Sの凹凸の特に凹部(隙間28A)に対して、粗化処理を施すのが困難であり、作業も煩雑なものとなる。しかし、ブラストガンから投射材を射出することで、凹部の凹壁や凹底を粗化処理することができるため、外周面17Sをほぼ一様に粗化処理することができる。
また、粗化処理する範囲は、タイヤ構成ゴム部材としての後述するクッションゴム29が積層される範囲と同じ、又は、クッションゴム29が積層される範囲よりも広い範囲とすることが好ましい。これにより、クッションゴム29は、全面的に粗化処理されて親密性が良好となった範囲に積層されるため、クッションゴム29とタイヤケース17との接合強度が確保される。
算術平均粗さRaが0.05mm以上となるように外周面17Sを粗化処理し、粗化処理された外周面17Sに接合剤を介して、例えば、未加硫又は半加硫状態のクッションゴム29を積層し加硫した場合に、粗化処理により形成された粗化凹凸96の底までクッションゴム29のゴムが流れ込むことにより、タイヤケース17とクッションゴム29との間に十分なアンカー効果が発揮されて、タイヤケース17とクッションゴム29との接合強度が向上する
なお、算術平均粗さRaが0.05mm未満の場合には、粗化凹凸が浅いため、接合剤の濡れ性が低く、十分なアンカー効果が発揮されず、タイヤケース17とクッションゴム29との接合強度が十分に確保できない。
さらに、投射材として、空気中で固定から気体へと気化する材料を用いた場合には、タイヤケース17の外周面17Sの粗化処理後に、投射材が空気中で固定から気体へと気化することから、タイヤケース17の外周面17Sに投射材が残らない。このような、投射材を用いた場合には、タイヤケース17から投射材を取り除くための作業を必要とせず、作業の煩雑さが改善される。
(積層工程)
(4)次に、粗化処理を行なったタイヤケース17の外周面17Sに接合剤を塗布する。
なお、接合剤としては、トリアジンチオール系接着剤、塩化ゴム系接着剤、フェノール系樹脂接着剤、イソシアネート系接着剤、ハロゲン化ゴム系接着剤、ゴム系接着剤など、特に制限はないが、クッションゴム29が加硫できる温度(90℃〜140℃)で反応することが好ましい。
(5)次に、接合剤が塗布された外周面17Sに未加硫状態のクッションゴム29を1周分巻き付け、そのクッションゴム29の上に例えば、ゴムセメント組成物などの接合剤を塗布し、その上に加硫済み又は半加硫状態のトレッドゴム30Aを1周分巻き付けて、生タイヤケース状態とする。
(加硫工程)
(6)次に生タイヤケースを加硫缶やモールドに収容して加硫する。このとき、粗化処理によってタイヤケース17の外周面17Sに形成された粗化凹凸96に未加硫のクッションゴム29が流れ込む。そして、加硫が完了すると、粗化凹凸96に流れ込んだクッションゴム29により、アンカー効果が発揮されて、タイヤケース17とクッションゴム29との接合強度が向上する。すなわち、クッションゴム29を介してタイヤケース17とトレッド30との接合強度が向上する。
(8)そして、タイヤケース17のビード部12に、樹脂材料よりも軟質である軟質材料からなるシール層24を、接着剤等を用いて接着すれば、タイヤ200の完成となる。
(作用)
本実施形態のタイヤ200では、タイヤケース17が熱可塑性エラストマーに加えて更にガラス転移温度が上記範囲の特定樹脂を含む樹脂材料によって形成されているため、タイヤケース17において好適な弾性率が得られ且つタイヤにおける転がり抵抗の増大を抑制することができる。
本実施形態のタイヤの製造方法では、タイヤケース17とクッションゴム29及びトレッドゴム30Aとを一体化するにあたり、タイヤケース17の外周面17Sが粗化処理されていることから、アンカー効果により接合性(接着性)が向上する。また、タイヤケース17を形成する樹脂材料が投射材の衝突により掘り起こされることから、接合剤の濡れ性が向上する。これにより、タイヤケース17の外周面17Sに接合剤が均一な塗布状態で保持され、タイヤケース17とクッションゴム29との接合強度を確保することができる。
特に、タイヤケース17の外周面17Sに凹凸が構成されていても、凹部(隙間28A)に投射材を衝突させることで凹部周囲(凹壁、凹底)の粗化処理がなされ、タイヤケース17とクッションゴム29との接合強度を確保することができる。
一方、クッションゴム29がタイヤケース17の外周面17Sの粗化処理された領域内に積層されることから、タイヤケース17とクッションゴム29との接合強度を効果的に確保することができる。
加硫工程において、クッションゴム29を加硫した場合、粗化処理によってタイヤケース17の外周面17Sに形成された粗化凹凸にクッションゴム29が流れ込む。そして、加硫が完了すると、粗化凹凸に流れ込んだクッションゴム29により、アンカー効果が発揮されて、タイヤケース17とクッションゴム29との接合強度が向上する。
このような、タイヤの製造方法にて製造されたタイヤ200は、タイヤケース17とクッションゴム29との接合強度が確保される、すなわち、クッションゴム29を介してタイヤケース17とトレッド30との接合強度が確保される。これにより、走行時などにおいて、タイヤ200のタイヤケース17の外周面17Sとクッションゴム29との間の剥離が抑制される。
また、タイヤケース17の外周部を補強コード層28が構成していることから、外周部を補強コード層28以外のもので構成しているものと比べて、耐パンク性及び耐カット性が向上する。
また、被覆コード部材26Bを巻回して補強コード層28が形成されていることから、タイヤ200の周方向剛性が向上する。周方向剛性が向上することで、タイヤケース17のクリープ(一定の応力下でタイヤケース17の塑性変形が時間とともに増加する現象)が抑制され、且つ、タイヤ径方向内側からの空気圧に対する耐圧性が向上する。
本実施形態では、タイヤケース17の外周面17Sに凹凸を構成したが、本発明はこれに限らず、外周面17Sを平らに形成する構成としてもよい。
また、タイヤケース17は、タイヤケースのクラウン部に巻回され且つ接合された被覆コード部材を被覆用熱可塑性材料で覆うようにして補強コード層を形成してもよい。この場合、溶融又は軟化状態の被覆用熱可塑性材料を補強コード層28の上に吐出して被覆層を形成することができる。また、押出機を用いずに、溶着シートを加熱し溶融又は軟化状態にして、補強コード層28の表面(外周面)に貼り付けて被覆層を形成してもよい。
上述の第2実施形態では、ケース分割体(タイヤケース半体17A)を接合してタイヤケース17を形成する構成としたが、本発明はこの構成に限らず、金型などを用いてタイヤケース17を一体的に形成してもよい。
第2実施形態のタイヤ200は、ビード部12をリム20に装着することで、タイヤ200とリム20との間で空気室を形成する、所謂チューブレスタイヤであるが、本発明はこの構成に限定されず、タイヤ200は、例えば、完全なチューブ形状であってもよい。
第2実施形態では、タイヤケース17とトレッド30との間にクッションゴム29を配置したが、本発明はこれに限らず、クッションゴム29を配置しない構成としてもよい。
また、第2実施形態では、被覆コード部材26Bをクラウン部16へ螺旋状に巻回する構成としたが、本発明はこれに限らず、被覆コード部材26Bが幅方向で不連続となるように巻回する構成としてもよい。
第2実施形態では、被覆コード部材26Bを形成する被覆用樹脂材料27を熱可塑性材料とし、この被覆用樹脂材料27を加熱することにより溶融又は軟化状態にしてクラウン部16の外周面に被覆コード部材26Bを溶着する構成としているが、本発明はこの構成に限定されず、被覆用樹脂材料27を加熱せずに接着剤などを用いてクラウン部16の外周面に被覆コード部材26Bを接着する構成としてもよい。
また、被覆コード部材26Bを形成する被覆用樹脂材料27を熱硬化性樹脂とし、被覆コード部材26Bを加熱せずに接着剤などを用いてクラウン部16の外周面に接着する構成としてもよい。
さらに、被覆コード部材26Bを形成する被覆用樹脂材料27を熱硬化性樹脂とし、タイヤケース17を熱可塑性樹脂材料で形成する構成としてもよい。この場合には、被覆コード部材26Bをクラウン部16の外周面に接着剤などを用いて接着してもよく、タイヤケース17の被覆コード部材26Bが配設される部位を加熱して溶融又は軟化状態にして被覆コード部材26Bをクラウン部16の外周面に溶着してもよい。
またさらに、被覆コード部材26Bを形成する被覆用樹脂材料27を熱可塑性材料とし、タイヤケース17を熱可塑性樹脂材料で形成する構成としてもよい。この場合には、被覆コード部材26Bをクラウン部16の外周面に接着剤などを用いて接着してもよく、タイヤケース17の被覆コード部材26Bが配設される部位を加熱して溶融又は軟化状態としつつ、被覆用樹脂材料27を加熱し溶融又は軟化状態にして被覆コード部材26Bをクラウン部16の外周面に溶着してもよい。なお、タイヤケース17及び被覆コード部材26Bの両者を加熱して溶融又は軟化状態にした場合、両者が良く混ざり合うため接合強度が向上する。また、タイヤケース17を形成する樹脂材料、及び被覆コード部材26Bを形成する被覆用樹脂材料27をともに熱可塑性樹脂材料とする場合には、同種の熱可塑性材料、特に同一の熱可塑性材料とすることが好ましい。
また、さらに粗化処理を行ったタイヤケース17の外周面17Sにコロナ処理やプラズマ処理等を用い、外周面17Sの表面を活性化し、親水性を高めた後に接着剤を塗布してもよい。
またさらに、タイヤ200を製造するための順序は、第1実施形態の順序に限らず、適宜変更してもよい。
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
以上、本発明の具体的な態様について第1実施形態及び第2実施形態を用いて説明したが本発明は上述の態様に限定されるものではない。
本発明のタイヤは第1実施形態に示されるように以下のように構成することができる。
(1−1)本発明のタイヤは、タイヤ骨格体の軸方向に沿った断面視で、熱可塑性樹脂材料で形成されたタイヤ骨格体の外周部に補強コード部材の少なくとも一部が埋設されるように構成することができる。
このように、補強コード部材の一部がタイヤ骨格体の外周部に埋設していると、補強コード部材巻回時にコード周辺に空気が残る現象(エア入り)を更に抑制することができる。補強コード部材周辺へのエア入りが抑制されると、走行時の入力などによって補強コード部材が動くのが抑制される。これにより、例えば、タイヤ骨格体の外周部に補強コード部材全体を覆うようにタイヤ構成部材が設けられた場合、補強コード部材は動きが抑制されているため、これらの部材間(タイヤ骨格体含む)に剥離などを生じるのが抑制され耐久性が向上する。
(1−2)本発明のタイヤは、前記補強コード層の径方向外側に前記熱可塑性樹脂材料よりも耐摩耗性を有する材料から形成されるトレッドを設けてもよい。
このように路面と接触するトレッドを熱可塑性樹脂材料よりも耐摩耗性のある材料で構成することでタイヤの耐摩耗性を更に向上させることができる。
(1−3)本発明のタイヤは、前記タイヤ骨格体の軸方向に沿った断面視で、前記補強コード部材の直径1/5以上を前記タイヤ骨格体の外周部に周方向に沿って埋設させることができる。
このようにタイヤ骨格体の軸方向に沿った断面視で補強コード部材の直径の1/5以上がタイヤ骨格体の外周部に埋設されていると、補強コード部材周辺へのエア入りを効果的に抑制することができ、走行時の入力などによって補強コード部材が動くのをより抑制することができる。
(1−4)本発明のタイヤは、前記タイヤ骨格体は、径方向内側にリムのビードシート及びリムフランジに接触するビード部を有し、前記ビード部に金属材料からなる環状のビードコアが埋設されるように構成することができる。
このように、タイヤ骨格体にリムとの嵌合部位であるビード部を設け、さらに、このビード部に金属材料からなる環状のビードコアを埋設することで、従来のゴム製の空気入りタイヤと同様に、リムに対して、タイヤ骨格体(すなわちタイヤ)を強固に保持させることができる。
(1−5)本発明のタイヤは、前記ビード部が前記リムと接触する部分に前記熱可塑性樹脂材料よりもシール性(リムとの密着性)の高い材料からなるシール部を設けることが出来る。
このように、タイヤ骨格体とリムとの接触部分に、熱可塑性樹脂材料よりもシール性の高い材料からなるシール部を設けることで、タイヤ(タイヤ骨格体)とリムとの間の密着性を向上させることができる。これにより、リムと熱可塑性樹脂材料とのみを用いた場合に比較して、タイヤ内の空気漏れを一層抑制することができる。また、前記シール部を設けることでタイヤのリムフィット性も向上させることができる。
(1−6)本発明のタイヤは、少なくとも樹脂材料によって環状のタイヤ骨格体の一部を構成するタイヤ骨格片を形成するタイヤ骨格片形成工程と、前記タイヤ骨格片の接合面に熱を付与し対となる2以上の前記タイヤ骨格片を融着させて前記タイヤ骨格体を形成するタイヤ骨格片接合工程と、前記タイヤ骨格体の外周部に補強コード層を周方向に巻回して補強コード層を形成する補強コード部材巻回工程と、を含む製造方法によって製造することができる。
(1−7)前記タイヤの製造方法は、前記タイヤ骨格片接合工程において、前記タイヤ骨格片の接合面を、タイヤ骨格片を構成する熱可塑性樹脂材料の融点以上(例えば、融点+10℃〜+150℃)に加熱するように構成することができる。
このように、前記分割体の接合面を、タイヤ骨格片を構成する熱可塑性樹脂材料の融点以上に加熱すると、タイヤ骨格片同士の融着を十分に行うことができるため、タイヤの耐久性を向上させつつ、タイヤの生産性を高めることができる。
(1−8)前記タイヤの製造方法は、前記補強コード部材巻回工程において、前記タイヤ骨格片接合工程において形成された前記タイヤ骨格体の外周部を溶融又は軟化させながら補強コード部材の少なくとも一部を埋設して前記タイヤ骨格体の外周部に前記補強コード部材を巻回するように構成することができる。
このように、前記タイヤ骨格体の外周部を溶融又は軟化させながら補強コード部材の少なくとも一部を埋設して前記タイヤ骨格体の外周部に前記補強コード部材を巻回することで、埋設された補強コード部材の少なくとも一部と溶融又は軟化した熱可塑性樹脂材料とを溶着させることができる。これにより、タイヤ骨格体の軸方向に沿った断面視でタイヤ骨格体の外周部と補強コード部材との間のエア入りを更に抑制することができる。また、補強コード部材を埋設した部分が冷却固化されると、タイヤ骨格体に埋設された補強コード部材の固定具合が向上する。
(1−9)前記タイヤの製造方法は、前記補強コード部材巻回工程において、前記タイヤ骨格体の軸方向に沿った断面視で前記補強コードの直径の1/5以上を前記タイヤ骨格体の外周部に埋設させるように構成することができる。
このように、タイヤ骨格体の軸方向に沿った断面視で、タイヤ骨格体の外周部に補強コード部材を直径の1/5以上埋設すると、製造時の補強コード周辺へのエア入りを効果的に抑制することができ、更に、埋設された補強コード部材がタイヤ骨格体から抜け難くすることができる。
(1−10)前記タイヤの製造方法は、前記補強コード部材巻回工程において、加熱した前記補強コード部材を前記タイヤ骨格体に埋設するように構成することができる。
このように、補強コード巻回工程において、補強コード部材を加熱しながらタイヤ骨格体に埋設させると、加熱された補強コード部材がタイヤ骨格体の外周部に接触した際に接触部分が溶融又は軟化するため、補強コード部材をタイヤ骨格体の外周部に埋設し易くなる。
(1−11)前記タイヤの製造方法は、前記コード部材巻回工程において、前記タイヤ骨格体の外周部の前記補強コード部材が埋設される部分を加熱するように構成することができる。
このように、タイヤ骨格体の外周部の補強コード部材が埋設される部分を加熱することで、タイヤ骨格体の加熱された部分が溶融又は軟化するため、補強コード部材を埋設し易くなる。
(1−12)前記タイヤの製造方法は、前記コード部材巻回工程において、前記補強コード部材のテンションを予め決定された値となるように調整しながら前記タイヤ骨格体の外周部の周方向に前記補強コード部材を螺旋状に巻回するように構成することできる。
このように、補強コード部材のテンションを予め決定された値となるように調整しながらタイヤ骨格体の外周部に補強コード部材を螺旋状に巻回することで、補強コード部材のタイヤ骨格体の外周部への埋設量を調整することができ、さらに、補強コード部材の巻回時の蛇行を抑制することができる。
(1−13)前記タイヤの製造方法は、前記コード部材巻回工程において、前記補強コード部材を前記タイヤ骨格体の外周部に押圧しながら前記タイヤ骨格体の外周部の周方向に前記補強コード部材を螺旋状に巻回するように構成することができる。
このように、補強コード部材を前記タイヤ骨格体の外周部に押圧しながら前記補強コード部材を螺旋状に巻回すると、補強コード部材のタイヤ骨格体の外周部への埋設量を調整することができる。
(1−14)前記製造方法によれば、前記コード部材巻回工程において、前記補強コード部材を前記タイヤ骨格体に巻回した後、前記タイヤ骨格体の外周部の溶融又は軟化した部分を冷却するように構成することができる。
このように、補強コード部材が埋設された後で、タイヤ骨格体の外周部の溶融又は軟化した部分を強制的に冷却することで、タイヤ骨格体の外周部の溶融又は軟化した部分を自然冷却よりも早く迅速に冷却固化することができる。タイヤ外周部を自然冷却よりも早く冷却することで、タイヤ骨格体の外周部の変形を抑制できると共に、補強コード部材が動くのを抑制することができる。
また、本発明のタイヤは第2実施形態において説明したように以下のように構成することができる。
(2−1)本発明のタイヤは、前記製造方法において、更に、タイヤ骨格体の外周面に粒子状の投射材を衝突させて、タイヤ骨格体の外周面を粗化処理する粗化処理工程と、粗化処理された前記外周面に接合剤を介してタイヤ構成ゴム部材を積層する積層工程と、を備えて構成することができる。
このように、粗化処理工程を設けると、樹脂材料を用いて形成された環状のタイヤ骨格体の外周面に粒子状の投射材が衝突して、当該外周面に微細な粗化凹凸が形成される。なお、タイヤ骨格体の外周面に投射材を衝突させて微細な粗化凹凸を形成する処理を粗化処理という。その後、粗化処理された外周面に接合剤を介してタイヤ構成ゴム部材が積層される。ここで、タイヤ骨格体とタイヤ構成ゴム部材とを一体化するにあたり、タイヤ骨格体の外周面が粗化処理されていることから、アンカー効果により接合性(接着性)が向上する。また、タイヤ骨格体を形成する樹脂材料が投射材の衝突により掘り起こされることから、外周面の濡れ性が向上する。これにより、タイヤ骨格体の外周面に接合剤が均一な塗布状態で保持され、タイヤ骨格体とタイヤ構成ゴム部材との接合強度を確保することができる。
(2−2)本発明のタイヤは、前記タイヤ骨格体の外周面の少なくとも一部が凹凸部であり、前記凹凸部が前記粗化処理工程において粗化処理を施して作製することができる。
このように、タイヤ骨格体の外周面の少なくとも一部が凹凸部とされていても、凹凸部に投射材を衝突させることで凹部周囲(凹壁、凹底)の粗化処理がなされ、タイヤ骨格体とタイヤ構成ゴム部材との接合強度を確保することができる。
(2−3)本発明のタイヤは、前記タイヤ骨格体の外周部が、外周面に前記凹凸部を構成する補強層で構成されており、前記補強層が前記タイヤ骨格体を形成する樹脂材料とは同種又は別の樹脂で補強コードを被覆して構成された被覆コード部材を前記タイヤ骨格体の周方向に巻回して構成することができる。
このように、被覆コード部材をタイヤ骨格体の周方向に巻回して構成された補強層でタイヤ骨格体の外周部を構成することで、タイヤ骨格体の周方向剛性を向上させることができる。
(2−4)本発明のタイヤは、前記被覆コード部材を構成する樹脂材料に熱可塑性樹脂材料を用いることができる。
このように、被覆コード部材を構成する樹脂材料に熱可塑性を有する熱可塑性材料を用いることで、前記樹脂材料として熱硬化性材料を用いた場合と比べて、タイヤ製造が容易になり、リサイクルしやすくなる。
(2−5)本発明のタイヤは、前記粗化処理工程において、前記タイヤ構成ゴム部材の積層領域よりも広い領域を粗化処理するように構成することができる。
このように、粗化処理工程において、タイヤ構成ゴム部材の積層領域よりも広い領域に粗化処理を施すと、タイヤ骨格体とタイヤ構成ゴム部材との接合強度を確実に確保することができる。
(2−6)本発明のタイヤは、前記粗化処理工程において、算術平均粗さRaが0.05mm以上となるように前記外周面を粗化処理するように構成することができる。
このように、粗化処理工程において算術平均粗さRaが0.05mm以上となるようにタイヤ骨格体の外周面を粗化処理すると、粗化処理された外周面に接合剤を介して、例えば、未加硫又は半加硫状態のタイヤ構成ゴム部材を積層し加硫した場合に、粗化処理により形成された粗化凹凸の底まで、タイヤ構成ゴム部材のゴムを流れ込ませることができる。粗化凹凸の底まで、タイヤ構成ゴム部材のゴムを流れ込ませると、外周面とタイヤ構成ゴム部材との間に十分なアンカー効果が発揮されて、タイヤ骨格体とタイヤ構成ゴム部材との接合強度を向上させることができる。
(2−7)本発明のタイヤは、前記投射材を、空気中で固体から気体へと気化する材料によって構成することができる。
このように、前記投射材として空気中で固体から気体へと気化する材料を用いると、タイヤ骨格体の外周面を粗化処理した後、投射材が空気中で固体から気体へと気化することから、タイヤ骨格体の外周面に投射材が残らない。これにより、タイヤ骨格体の外周面に残った投射材を取り除く作業などを必要とせず、作業の煩雑さを改善することができる。
(2−8)本発明のタイヤは、前記タイヤ構成ゴム部材として、未加硫、又は半加硫状態のゴムを用いることできる。
このように、前記タイヤ構成ゴム部材として未加硫又は半加硫状態のゴムを用いると、タイヤ構成ゴム部材を加硫した際に、粗化処理によってタイヤ骨格体の外周面に形成された粗化凹凸にゴムが流れ込む。そして、加硫が完了すると、粗化凹凸に流れ込んだゴム(加硫済み)により、アンカー効果が発揮されて、タイヤ骨格体とタイヤ構成ゴム部材との接合強度を向上させることができる。
なお、加硫済みとは、最終製品として必要とされる加硫度に至っている状態をいい、半加硫状態とは、未加硫の状態よりは加硫度が高いが、最終製品として必要とされる加硫度に至っていない状態をいう。
(2−9)本発明のタイヤは、樹脂材料を用いて形成され、外周面に粒子状の投射材を衝突させて該外周面を粗化処理した環状のタイヤ骨格体と、粗化処理された前記外周面に接合剤を介して積層されたタイヤ構成ゴム部材と、を備えるように構成することができる。
このように、粗化処理した環状のタイヤ骨格体を用いると、タイヤ骨格体とタイヤ構成ゴム部材との接合強度をアンカー効果によって向上させることができる。また、外周面が粗化処理されていることから、接合剤の濡れ性がよい。これにより、タイヤ骨格体の外周面に接合剤が均一な塗布状態で保持され、タイヤ骨格体とタイヤ構成ゴム部材との接合強度が確保されて、タイヤ骨格体とタイヤ構成ゴム部材との剥離を抑制することができる。
以下、本発明について実施例を用いてより具体的に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
まず。上述の第1実施形態に従って、実施例および比較例のタイヤを成形した。この際、タイヤケースを形成する材料については下記表1および表2に記載の材料を用いた。また、実施例および比較例と同条件で形成したタイヤケースと同じ成分組成である12.7mm×127mmの試料片を作成し、引張強さ、破断伸び、引張弾性率、および破壊状態について評価した。結果を表1および表2に示す。また、各試料片の作製方法、各評価方法および評価条件は以下の通りである。
<試料片の作製>
1.ポリアミド系熱可塑性エラストマー
1)宇部興産(株)製、UBESTA、XPA9040
(ガラス転移温度 −40以下℃、弾性率91MPa)
2)宇部興産(株)製、UBESTA、XPA9048
(ガラス転移温度 −6℃、弾性率183MPa)
3)宇部興産(株)製、UBESTA、XPA9055
(ガラス転移温度 8℃、弾性率303MPa)
4)宇部興産(株)製、UBESTA、XPA9063
(ガラス転移温度 14℃、弾性率626MPa)
2.ポリエステル系熱可塑性エラストマー
1)東レ・デュポンケミカル(株)製、ハイトレル、3046
(ガラス転移温度 −38℃、弾性率19MPa)
2)東レ・デュポンケミカル(株)製、ハイトレル、5557
(ガラス転移温度 −19℃、弾性率211MPa)
3)東レ・デュポンケミカル(株)製、ハイトレル、6347
(ガラス転移温度 9℃、弾性率414MPa)
4)東レ・デュポンケミカル(株)製 ハイトレル、7247
(ガラス転移温度 21℃、弾性率549MPa)
3.酸変性ポリオレフィン
1)三井化学社製、アドマーQF551
(ガラス転移温度 −13℃、弾性率694MPa)
2)三井化学社製、アドマーQE060
(ガラス転移温度 4℃、弾性率875MPa)
4.ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体
1)プライムポリマー(株)製、J−700GP(ホモポリマー)
(ガラス転移温度 32℃、弾性率1244MPa)
2)日本ポリプロ(株)製、ノバテックEC9EV(ブロックポリマー)
(ガラス転移温度 15℃、弾性率1176MPa)
3)日本ポリプロ(株)製、WintecWFW4(ランダムポリマー)
(ガラス転移温度 6℃、弾性率762MPa)
上記熱可塑性エラストマーを、表1および表2に示す組成で混合(質量基準)して、(株)東洋精機製作所製、LABOPLASTOMILL 50MR 2軸押出し機により混練し、ペレットを得た。なお、比較例1〜8においては、混合系とせず、ポリアミド系熱可塑性エラストマーおよびポリエステル系熱可塑性エラストマーのペレットを用意した。
用意した実施例、および比較例の各ペレットを用い、次の条件で射出成形して、試料片を得た。
射出成形には、住友重工社製、SE30Dを用い、成形温度200℃〜225℃、金型温度50℃〜70℃とし、12.7mm×127mm、厚さ1.6mmの金型を用いた。
<評価方法>
1.引張強さ、破断伸び、引張弾性率、および破壊状態評価
上記より得た試料片を用いて、下記の引張強さ、破断伸び、引張弾性率、および破壊状態について評価した。
島津製作所社製、島津オートグラフ、AGS−J(5KN)、JIS 5号ダンベルを用いて、試料片を引張速度200mm/minで引っ張ることにより、試料片の引張強さ、破断伸び、引張弾性率、および破壊状態を調べた。
2.tanδの測定
また上記より得た試料片について、レオメトリックス社製 ARESIIIを用い、30℃,20Hz,せん断歪み1%の条件でtanδを測定した。
表1および表2からわかるように、実施例に示す試料片は、比較例に比べて、tanδの上昇を抑制しつつ引張弾性率を好ましい範囲とすることができた。従って、実施例に示す試料片と同じ樹脂材料を用いて形成されたタイヤケースを用いて製造されたタイヤは、好適な弾性率が得られ且つ転がり抵抗の増大を抑制することができることは明らかである。従って、かかるタイヤを用いて構成される自動車は乗り心地がよいと推察される。
なお、実施例および比較例で形成した各タイヤについて、ドラム走行試験を行ったところ、走行上の安全性はいずれのタイヤも問題なかった。
10,200 タイヤ
12 ビード部
16 クラウン部(外周部)
17 タイヤケース(タイヤ骨格体)
18 ビードコア
20 リム
21 ビードシート
22 リムフランジ
24 シール層(シール部)
26 補強コード(補強コード部材)
26A コード部材(補強コード部材)
28 補強コード層
30 トレッド
D 補強コードの直径(補強コード部材の直径)
L 補強コードの埋設量(補強コード部材の埋設量)

Claims (8)

  1. 少なくとも樹脂材料で形成される環状のタイヤ骨格体を有するタイヤであって、
    前記樹脂材料が、少なくとも熱可塑性エラストマーと、前記熱可塑性エラストマー以外であってガラス転移温度が20℃以下で弾性率が前記熱可塑性エラストマーの弾性率より大きい樹脂と、を含むタイヤ。
  2. 前記樹脂が、酸変性樹脂である請求項1に記載のタイヤ。
  3. 前記酸変性樹脂が、酸変性ポリオレフィン樹脂から選ばれる少なくとも一種である請求項2に記載のタイヤ。
  4. 前記樹脂材料が、更に前記熱可塑性エラストマー以外であって酸変性されていない樹脂を含む請求項2または請求項3に記載のタイヤ。
  5. 前記酸変性されていない樹脂が、ポリオレフィン樹脂から選ばれる少なくとも一種である請求項4に記載のタイヤ。
  6. 前記樹脂が、酸変性されていない樹脂である請求項1に記載のタイヤ。
  7. 前記酸変性されていない樹脂が、ポリオレフィン樹脂から選ばれる少なくとも一種である請求項6に記載のタイヤ。
  8. 前記熱可塑性エラストマーが、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマーおよびポリウレタン系熱可塑性エラストマーから選ばれる少なくとも一種である請求項1〜請求項7の何れか1項に記載のタイヤ。
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